JP5552429B2 - オリゴシロキサン変性液晶配合物およびそれを用いるデバイス - Google Patents

オリゴシロキサン変性液晶配合物およびそれを用いるデバイス Download PDF

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Description

本出願はオリゴシロキサン変性液晶の使用および電気光学デバイスでのその使用に関する。本発明は特に、等温的に電場配向させることができ、またアクティブマトリクス・バックプレーン技術を用いる実用的デバイスに必要とされる非常に低い自発分極(Ps)をも有する、双安定強誘電体ディスプレイでの使用を可能にする液晶配合物に関する。
サーモトロピック液晶は、相が温度の関数として変化することができる液晶またはメソゲン相を示すことが可能な物質である。例えばネマチックまたはスメクチックなどの液晶相は、等方相と結晶相との間に存在し、等方(液体)相または結晶相では観察されない物理特性を示す傾向がある。例えば、液晶相は、同じ温度で複屈折および流体挙動を示すことができる。そのような特性は、例えば透過型および反射型ディスプレイなどの電気光学デバイスにおいて有効に使われてきており、そこでは、液晶分子の配向が制御されているデバイス構造において、印加電場により効果的に複屈折を調整することができる。ネマチック液晶は液晶ディスプレイ(LCD)、例えばラップトップコンピューター、携帯電話、PDA、コンピューター・モニター、およびTVのディスプレイなどに広く使われてきた。ネマチック液晶ベースの電気光学デバイスは広く利用されているが、そのようなデバイスの最速応答時間はミリ秒の位に限定されている、なぜなら、デバイスが、スイッチング・サイクルの一部については表面配向制御緩和プロセスに依存しているためである。強誘電性液晶は、光学状態間で非常により速くスイッチする可能性をもっている。しかし、デジタルおよびアナログモードデバイス両方が開発されているが、そのようなデバイスは実施することが困難であることがわかっており、それ故、特殊化された微小なディスプレイ用途、例えばカメラファインダーなどで商品化されただけであった。
クラークおよびラガーウォール(米国特許第4,367,924号およびApplied Physics Letters、36,899−901(1980)、それら両方とも参考として本明細書に組み込まれる)は、サブマイクロ秒の電気光学スイッチング速度を示す有機強誘電性液晶を利用するデバイスを記述している。クラークおよびラガーウォールのデバイスはいわゆる表面安定化強誘電性液晶デバイス(SSFLCD)である。そのようなデバイスは、デジタルスイッチングSSFLCDモードに必要とされるキラルスメクチックC(SmC)相を示す有機強誘電性液晶またはそれらの配合物を利用している。その物質は、典型的にはSSFLCDの製造を容易にするために冷却した場合に次の相系列を示す:等方相→ネマチック→SmA→SmC、ここでSmAはキラルスメクチックA相である。この相系列は、低粘度ネマチックであるより高い温度の相中における液晶分子の表面位置合せ(surface registration)によって、表面安定化配向層の形成を可能にしている。配向した液晶デバイスはその後慎重にSmA相を経由してSmC相へ冷却されて、SSFLCDを作り出す。SmC相が確実にいわゆる「ブックシェルフ」配列することができる場合は、デバイスは双安定強誘電性スイッチングを示す。
しかしながら、これは実際には困難であることが分かった。SSFLCDはいくつかの問題に敏感であり、それがこの技術の限定された実商化をもたらしていた。主要な制限は、用いた相系列に起因し、なぜなら、従来の有機FLCは、より高い温度のSmAからより低い温度のSmC相に冷却すると、転移の間に著しい層収縮を受けるからである。層状構造の収縮は欠陥の形成(ゆがんだ層またはシェブロンの形成による、ジグザグ欠陥)をもたらし、これがSSFLCDで観測されるコントラスト比を著しく低下させる。シェブロン構造の形成およびそれらの構造の制御は、当技術分野で知られているように、C1またはC2型デバイスのいずれかの製作を可能にし、例えばOptical Applications of Liquid Crystals,Ed.L Vicari著,第1章,ISBN0750308575を参照されたい。ある場合は、理想的な、いわゆる「ブックシェルフ配列」(SmC相の層がデバイス基板および配向層に対して垂直に配置される)が、電場の印加によってそのような物質中に誘導されうる。しかし、誘導されたブックシェルフ構造または擬ブックシェルフ構造を有するデバイスは、そのデバイスを、一旦配置されたシェブロン配向に戻すための製造要件およびその潜在的可能性が理由で、商品化されたディスプレイデバイスとしては実用的ではない。それ故に多くのSSFLCD特許がブックシェルフ構造が存在すると特許請求の範囲に記載しているが、そのような構造が真のブックシェルフ構造または擬ブックシェルフ構造であるかどうか、およびデバイスに用いられた場合にシェブロン構造が実在しているのかどうかを理解することは重要である。従来のSSFLCDのこれらの制限はまた、クロスランドらによってFerroelectrics,312,3〜23(2004)でも議論されている。
等方相→ネマチック→SmA→SmC相系列を有するFLC物質のこの固有の問題が、層収縮現象の傾向のない新規物質の研究へと導いた。これを除去する一つのアプローチが、等方相→SmA→SmC相系列を示し、このSmA→SmC相転移で実際に層収縮のない、いわゆる「ド・フリース(de Vries)」物質を用いることである。非常に低い粘度のネマチック相の不在は、SmC相のランダムドメインおよび自然なヘリエレクトリック(Helielectric)状態をモノ‐ドメイン(これは電極と基板に対して配向して実用的な電気光学デバイスを生み出す)に近づく相構造に変換することを可能にする、代替の配向スキームが必要である。
コールズ(米国特許第5,498,368号およびProceeding of SPIE、Vol.2408,22〜29(1995)、それら両方とも参考として本明細書に組み込まれる)は、フェニルベンゾアート芳香族核をベースにしたオリゴシロキサン変性強誘電性液晶の予期しない特性を強調した。真の双安定性、すなわち、印加電場の除去後のLCモノドメインの電気的に選択された配向の保持、および50℃ほどの広い温度範囲にわたって大きく低減された、FLCチルト角の過敏性が、この特許で示された。この場合、モノ‐ドメインは、等方相から印加電場下でのSmCを経由してゆっくり(例えば、1℃/分)デバイスを冷却することにより作り出された。クロスランドら(国際公開番号WO2005019380A1、参考として本明細書に組み込まれる)は、後に、フェニルベンゾアート芳香族核をベースにした簡単な、単一成分オリゴシロキサンFLCを用いたデバイスを実証し、それはモノ‐ドメイン配向のために電場だけを用いており、かつ前記特許出願に含められた定義に基づいて双安定であると述べられている。
Goodbyら(米国特許公開2005/0001200A1、参考として本明細書に組み込まれる)は、ビフェニル核を含有するオリゴシロキサン液晶類に関する物の組成物を記述した。Goodbyは、そのような物質が単独でまたは他の液晶との混合物として用いることができると指摘したが、特許請求された物質(それぞれSmA相を有し、得られた液晶混合物のSmA相を安定化する)の使用の域を越えたそのような混合物の設計については論じなかった。このことと特許出願内の比較化合物例とに基づけば、等方相→ネマチック→SmA→SmC相系列を有する従来のSSFLC混合物を設計することを意図していたことは明白である。この特許出願は、実用的なFLCDを構築するために必要である他の重要な物理特性に触れることなく、特許請求された物質の相系列のみを論じた。
リーら(J.Mater.Chem.,17,2313〜2318,(2007)、参考として本明細書に組み込まれる)はいくつかのアキラルなシロキサン末端フェニルピリミジンを作った。それら物質のいくつかは、等方相→SmC→結晶相系列(下記の表中のメソゲン1a、1b、1c、1d、1e、2e、5,6、7、8)を有していたが、他のものは等方相→SmA→SmC→結晶相系列(下記の表中のメソゲン2a、2b、2c、2d、3、4)を有していた。彼は、POM(偏光光学顕微鏡)で光学チルト角を測定しようとしてメソゲン1b、2b、3、4、5,6、7、および8への添加剤として1モル%のキラルオリゴシロキサン(「Brll−Si」)を用いた。彼は、他の人がシロキサン末端液晶についてX線データとPOM観察との間の不一致点を観察したことに注目し、X線によって明確にされる選択されたメソゲンのスメクチック層間隔とその光学チルト角間の関係を調べた。形成された2成分混合物の相系列は報告されていない。彼は5つの混合物(1b、5、6、7、および8に基づき、それらすべては等方相→SmC相系列を有する)を調製したが、モノ‐ドメインに配向できなかったこと、およびチルト角を測定できなかったことを報告した。彼は、用いた配向物質および用いたセルギャップに注目したが、試験セル内で配向を作り出そうとする試みに用いられるプロセスを論じなかった。彼はメソゲン2bに基づいて1個のサンプルを配向させることができ、36度のチルト角が測定されたことに言及した。このチルト角は実用的なFLCDには役立たず、実用的FLCDではFLCデバイスの動作モードに応じて22.5度または45度に近いチルト角は必要条件である。彼は、サンプルはチルト角測定のために配向されなければならないことに言及し、メソゲン3および4に基づくさらなる2個の混合物についてチルト角(それぞれ24度および26度)を報告した。それ故、彼は、等方相→SmA→SmC→結晶相系列を有するメソゲンにキラル添加剤が加えられた混合物を配向することができたことしか報告していない。それらの要約および概要は、メソゲン3(末端塩素原子および等方相→SmA→SmC相系列を有する)の真のド・フリース挙動を強調している。それらの構造は下記に示す。
Figure 0005552429
Walbaら(米国特許第6,870,163号、参考として本明細書に組み込まれる)は、典型的なFLCデバイスがシェブロン欠陥形成に起因して真の光学的双安定性を示さないということは、FLC物質およびデバイスの当業者には良く知られていると指摘した。クロスランドらはFerroelectrics,312,3〜23(2004)(参考として本明細書に組み込まれる)において、画像化中に「デッド期間(Dead periods)」をもたらす、デバイス動作へのこの制限の影響、例えば直流バランスおよび逆フレーミング(reverse framing)の必要性などを論じている。米国特許第6,507,330号(Handschyら)もまた直流バランスの必要性を論じた。
国際公開WO2005/019380A1(参考として本明細書に組み込まれる)において、クロスランドらは、デバイス内で配向層のラビング方向に対して配向されたスメクチックモノ‐ドメインを回転させる能力と組み合わされた、電場配向、SmC相内での温度に対するチルト角の鈍感さ、および真の双安定性を含めた、オリゴシロキサンFLCおよびデバイスの特有の特性に言及した。しかしながら、そのような特徴は、単一成分であるフェニルベンゾアートベースのオリゴシロキサンメソゲンについてしか明らかにされていない。チルト角は成分の分子構造を変えることでしか調整することができず、すなわちすべての必要特性は単一分子構造のなかに設計されなければならない。
LC技術の当業者は、幅広い動作領域を混合物に与え、かつ、実用的なFLCデバイスの要求事項に適合するために最適化されなければならない多くの物理特性を調整するために、分子は通常配合されることを知っている。この配合知識の大部分は有機FLCを用いて発展されてきており、その有機FLCは、等方相→ネマチック→SmA→SmC相系列を有する物質を利用している従来モードのシェブロン・デバイスにおける使用向けに開発されてきている。
コールズら(Liquid Crystals,23(2),235〜239(1997);J.Phys II France,6,271〜279,(1996))ならびにリーら(J.Mater.Chem.,17,2313〜2318(2007)およびそれらに記載された引用文献、それらすべては参考として本明細書に組み込まれる)に記載されているように、オリゴシロキサン変性液晶は、ナノ相分離層状構造を形成する傾向のために従来の液晶から区別される。そのようなシステムは仮想ポリマーとして記述されており、なぜならそれらの構造および特性は、サイド・チェーン液晶ポリマー(SCLCP)の特徴のいくつかと従来の有機液晶の特性のいくつかとが組み合わせているからである。オリゴシロキサン変性液晶の構造および特性は、最近の科学の総説(参照:C.Tschierske,「Non−conventional liquid crystals−the importance of micro−segregation for self−organization」,J.Mater.Chem.,1998,8(7),1485〜1508)において両親媒性またはナノ相分離した液晶のタイプとして分類されている有機液晶と非常に著しく異なっている。そのようなシステムの構造はなおも活発な科学的議論の分野であり、リーら(J.Mater.Chem.,17,2313〜2318(2007)、それらすべては参考として本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
例えば、アクティブマトリクス強誘電性LCD(FLCD)(これに限定されない)を含めた実用的デバイスに使用するためのオリゴシロキサン変性ナノ分離強誘電性液晶の配合は、詳細に研究されていなかった。有機液晶の配合は広範囲にわたって研究され、そのような配合の液晶の相挙動の設計を助けるために、多くの予測法則が開発されている(Demusら,Mol.Cryst.Liq.Cryst.,25,215〜232(1974);Hsuら,Mol.Cryst.Liq.Cryst.,27,95〜104(1974);Rabinovichら,Ferroelectrics,121,335〜342(1991))。しかしながら、本発明者らの経験ではそのような配合設計のやり方はオリゴシロキサンFLCには適さず、なぜなら、未知の液晶の相は、もしそれが既知の相を持つ液晶と混和性(Goodby&Gray、Physical Properties of Liquid Crystals,ISBN3−527−29747−2,Page17)(すなわち「類似の液晶」は「類似の液晶」に混和する)であれば、その素性を特定できるという標準の「経験則」でさえ行き詰る。そのような基本則は、ナノ相分離スメクチック層化が優位であり、他のクラスの液晶または非液晶分子でさえそのスメクチック相構造の損失なしに容易に混合されるオリゴシロキサン変性強誘電性液晶には適用されない。例えば、コールズおよびリーはそれぞれ独自に、そのようなシステムでの混和性の予期しない例を実証し、オリゴシロキサンシステムの有機LCシステムとの相違を強調している(コールズら,Ferroelectrics,243,75〜85(2000)、およびリーら,Advanced Materials 17(5),567〜571(2005)を参照されたい。それら両方とも参考として本明細書に組み込まれる)。本発明に先立って、高水準量のオリゴシロキサン液晶を含む組成物の配合に関する洗練された予測的規則は確認されていなかったし、実用的デバイス物質、配向および構造安定性の要求事項に適合するように物理特性を調整する能力も持っていなかった。例えば、リーら(J.Mater.Chem.,17,2313〜2318(2007))による簡単な一連の物質のチルト角を研究する試みは挫折したが、なぜなら、調製された8つの混合物のうちわずか3つしかチルト角が測定されることを可能にするように配向されることができなかったからである。
キャノン(米国特許第5,720,898号、参考として本明細書に組み込まれる)は、シロキサン連結基を含む主鎖型液晶および液晶モノマーを含むデバイスの群を記述している。米国特許第5,720,898号では、最小の主鎖ポリマーはABA種(ここで、A=メソゲン基、およびB=ジシロキサン連結基)でありうる。この特許は、スメクチックABA物質を微量成分としてモノマーの有機メソゲンに加えることを教示しているが、この液晶相がナノ相分離されることを何ら示唆していない。事実、そのシロキサン添加剤は、従来のスメクチック相構造を乱していない。発明者らは、共有的に結合されたABAオリゴマーがスメクチック相の隣接層を橋渡しすることができるならば、その相を安定化できることに注目した。この液晶システムはデバイス内でLC媒体を引き伸ばし又はせん断することにより巨視的(マクロスコピック)に配向される。この例では、相構造はナノ相分離されておらず、なぜなら、それがモノマー有機メソゲンに基づいており、かつ、存在する相を橋渡しするためにABAオリゴシロキサンが低濃度で加えられ、相を一緒に固定し且つ相を安定化しているからである。この特許は、シロキサン連結セグメントが大きすぎる場合、分子はヘアピンに折りたたまれることになり、もはや隣接層を橋渡しできなくなるので、その固定化機構は失われることを教示している。
米国特許第4,367,924号明細書 米国特許第5,498,368号明細書 国際公開WO2005/001200号パンフレット 米国特許第6,870,163号明細書 米国特許第6,507,330号明細書 国際公開WO2005/019380号パンフレット 米国特許第5,720,898号明細書
Applied Physics Letters, 36, 899-901 (1980) Optical Applications of Liquid Crystals, Ed.L Vicari著 Ferroelectrics, 312, 3-23 (2004) Proceeding of SPIE, Vol.2408, 22-29 (1995) J.Mater.Chem.,17, 2313-2318 (2007) Ferroelectrics, 312, 3-23 (2004) Liquid Crystals, 23(2), 235~239 (1997) J.Phys II France, 6, 271~279 (1996) J.Mater.Chem.,17, 2313-2318 (2007) C. Tschierske, J.Mater.Chem., 1998, 8(7), 1485-1508 J.Mater.Chem.,17, 2313-2318 (2007) Mol.Cryst. Liq. Cryst., 25, 215-232 (1974) Mol. Cryst. Liq. Cryst., 27, 95-104 (1974) Ferroelectrics, 121, 335-342 (1991) Goodby&Gray、Physical Properties of Liquid Crystals,ISBN3-527-29747-2, 17頁 Ferroelectrics, 243, 75-85 (2000) Advanced Materials 17(5), 567-571 (2005) J.Mater.Chem.,17, 2313-2318 (2007)
したがって、双安定な強誘電性ディスプレイに使用可能なオリゴシロキサン液晶物質の配合物に対するニーズがある。
本発明は、実用的デバイス用途向にバランスのとれた特性セット(特性の組合わせ)を有するナノ相分離オリゴシロキサン変性液晶配合物を提供することによりそのニーズを満たす。この液晶配合物は、第一オリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶物質;および第二オリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶物質、非液晶オリゴシロキサン変性物質、有機液晶物質、または有機非液晶物質から選ばれる少なくとも一つの追加物質、を含み、ここで、この液晶配合物はSmC相においてナノ相分離されており、約15℃から約35℃のSmC温度範囲をもってI→SmC相転移を有し、約22.5°±6°または約45°±6°のチルト角を有し、約50nC/cm未満の自発分極を有し、かつ約600cP未満の回転粘度を有する。
本発明の他の態様は、液晶配合物を含むデバイスである。このデバイスは安定なブックシェルフ配列、双安定なスイッチング、および等温的電場配向、二つの安定状態間をスイッチされたときの500μ秒未満の応答時間、および約30V/μm未満の電気駆動場を有する。
図1は、典型的な双安定液晶セルの横断面図を示す。 図2は、I→SmA→Cr相系列を有する化合物の量の関数として、配合物のチルト角(チルト角)を示すグラフである。 図3は、I→SmCおよびI→N→SmA→SmC相系列を有する物質を異なる割合で有する配合物のチルト角の温度依存性を示すグラフである。 図4aおよび4bは、駆動電圧および光透過を時間の関数として示すグラフである。 図5aはチルト角の温度依存性を示すグラフであり、図5bは駆動電圧および光透過を時間の関数として示すグラフである。 図6は、駆動電圧および光透過を時間の関数として示すグラフである。 図7は、チルト角の温度依存性を示すグラフである。 図8は、駆動電圧および光透過を時間の関数として示すグラフである。 図9は、チルト角の温度依存性を示すグラフである。
本発明者は、配合されたオリゴシロキサン変性液晶の挙動が、そのナノ相分離のために従来の液晶の大部分とは基本的に異なっていることを発見した。さらに、本発明者は、層中に生じたシロキサンに富む領域の存在によって生じるはっきりと異なる特徴を示した。例えば、オリゴシロキサン変性は、ナノ分離によってスメクチック相の形成を促進することを発見した。さらに、ナノ分離されたスメクチック層化の影響によって、他の種類の液晶および非液晶分子はスメクチック相構造の損失なしに容易に混合される。単一分子中において必要な特性セット(特性の組合わせ)を達成することの困難さのため、これらは重要な特徴である。したがって、種々の成分を混合することによる特性の最適化は、実用的な液晶物質を実現する重要なやり方である。はっきりと区別できる群の液晶に見られる安定化スメクチック相(本明細書ではナノ分離オリゴシロキサン変性液晶と表される)は本発明の重要な特徴であり、ここでは強誘電性液晶特性に必要なキラル・スメクチック相構造を保持しながら、バランスの良くとれた特性セットを有する実用的組成物を実現するために、用途に焦点を絞った配合物を用いる。このやり方は実用的FLCデバイスの実現を助ける。本発明に先立って、実用的デバイス物質に合わせるように物理特性を調整する能力を示す高水準量のオリゴシロキサン液晶を含む組成物の配合に関する洗練された予測的法則は示されていなかった。本発明は、Si−TFT技術に基づいて実用的デバイスを実現するために用いることができるバランスのとれた特性セットを有する安定な強誘電性液晶組成物を配合するためのベース液晶組成物としてオリゴシロキサン変性液晶を用いることの利益を示している。さらに、テーラーメードのデバイス構造および実用的な配向スキームを、これらのオリゴシロキサン変性液晶配合物用に開発しており、これは、従来の等方相→ネマチック→SmA→SmC有機強誘電性液晶に関する重大な加工および配向安定性の問題(当業者では知られている)を解消する。
本発明は、ナノ相分離したオリゴシロキサンFLCシステム内で、実用的デバイスに必要とされるベース物質およびデバイス特性をどのようにして首尾よく開発したかを示す。等方相→SmC相系列を有する配合物およびそれにより可能となる新規な強誘電性デバイスが本特許出願の対象である。有機メソゲンは完全にこの相系列で配合できるが、本出願はオリゴシロキサンFLCに関する。その低分子量液晶は、ハイブリッドシロキサン有機部分であり、ここで不連続のシロキサンセグメントは有機部分(1又は複数)上にABまたはABAの形態(B=オリゴシロキサンおよびA=有機)でグラフトしている。シロキサンはオリゴマーであり、したがって、側鎖液晶ポリシロキサン(SCLCP)、主鎖液晶ポリシロキサン(MCLCP)、または液晶ポリシロキサンエラストマー(LCE)とは、構造および物理的特性の両方で異なる。オリゴシロキサンLCは興味深く、なぜならそれらは、安定なスメクチック相を、実際のLCDの作動に必要な高度な可動性と結合させているからである。
本発明は、少なくとも1種のオリゴシロキサン変性液晶物質を含有する最適化された強誘電性液晶配合物の設計に関する。このオリゴシロキサン変性液晶物質は、他のオリゴシロキサン変性液晶、有機液晶、非液晶ハイブリッドオリゴシロキサン有機物質、または非液晶有機物質と混合されて、最適化された液晶特性を有する配合物を作ることができる。この配合物は、電場配向され、真の双安定性を示すFLCデバイスを製造するために用いることができる。これらの特徴は、電場を用いていつでも等温的にデバイスを配向または再配向する能力に加えて、直流バランスの目的のために反対フレーム(inverse frame)を用いる必要なしにデジタル・アドレス方式を可能にする。後者の特性は、等方相→ネマティック→SmA→SmC相系列物質の欠点(ゆっくり冷却させることの必要性が、機械的衝撃または温度逸脱によって引き起こされた損傷をうけた配向を有するデバイスを再配向させることを、それが一旦起こってしまうと困難にする)を克服する。任意選択により場合によっては、本出願の対象である配合物は、SmC相より下(すなわち、より低温で)の相を示すこともあり、そこでは、電場配向テクスチュアが保持され、デバイスの作動に著しい影響(例えば、デバイスのコントラスト比の減少)なしに、真に双安定なスウィッチングが、SmCに戻す加熱時に観察される。特許請求の範囲に記載された配合物および用いられたデバイス作製方法を用いて作製されたデバイスの特性は、配合物のベースを形成するオリゴシロキサン変性液晶の類まれなナノ相分離構造に起因する。このオリゴシロキサン変性液晶成分(1種又は複数)は、例えばX線回折試験によって検出されるナノ相分離したSmC相を生じさせるために十分な濃度で常に存在しなければならない。
上記配合物は少なくとも2種の成分を含んでいる。配合物中に、1種以上のオリゴシロキサン変性液晶成分が存在することができる。さらに、配合物中には、1種以上の非液晶オリゴシロキサン変性物質、有機液晶物質、または有機非液晶物質が存在することもできる。オリゴシロキサン変性液晶成分でない成分は、それが存在する場合は、通常、約50モル%未満、または約45モル%未満、または約40モル%未満、または約35モル%未満、または約30モル%未満の量で存在する。
これら配合物は、以下に限定されないが、透過型ディスプレイ、空間光変調器、および反射モード超小型ディスプレイを含めた、光の振幅または位相変調を利用するさまざまなデバイスでの使用向けに設計される。そのようなデバイスは、薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーンを用いて、パッシブマトリクス型アドレッシングまたはアクティブ画素アドレッシングを利用することができ、例えば、パッシブマトリクス液晶デバイス(PMLCD)、またはアクティブマトリクス液晶デバイス(AMLCD)などのデバイスである。本出願では、本発明者は透過モードまたは反射モードで作動しうるAMCLDデバイスの場合に焦点をあてる。しかし、本配合物は、そのようなデバイスでの使用に限定されることが意図されてはいない;本配合物は、当業者に周知の他のタイプのデバイスで使用することができる。液晶の配向性を制御するためのTFTの使用は、アモルファスシリコン(a‐Si)、低温多結晶シリコン(LTPS)、または結晶シリコンに基づいていようといまいと、TFTの電荷輸送制限により、容認できる液晶配合物の自発分極(Ps)の大きさに対する制約を課す。低Ps値は、TFTベースアクティブマトリクスの設計をかなり単純にする。当業者には、高Psはディスプレイ設計における自由度の低下、例えば、より低い解像度、より小さいディスプレイサイズ、および潜在的な開口サイズの縮小をもたらし、および最後にはSi−TFTの使用を排除することは承知するところである。単純化されたバックプレーン電気回路は大きな開口率(すなわち、より明るいディスプレイ(brighter display))および低コストを可能にする。
本発明の配合物は、アクティブマトリクス・バックプレーン電気光学デバイスに用いられることを可能にする低自発分極(Ps値)を有するように特に設計される。Ps値が高すぎる場合は、メソゲンの一つの光学状態から他の状態への電場誘導再配向の間に生じる電流フローが、画素電気回路の電流駆動能力に対する妥当な設計空間を越えてしまう。当業者には周知のとおり、Ps値は正または負のいずれかでありえる。値が本明細書で与えられる場合は、その数は正および負の値の両方を意味することを意図している。例えば、10nC/cmのPsは+10nC/cmまたは‐10nC/cmのいずれかを意味する。
強誘電性液晶の電気光学応答時間は次の式で決定できる:
τ∝η/Ps・E
式中、
τ=光学応答が10%から90%に変化するために必要な時間
E=光学的状態の変化を駆動する印加電場
Ps=自発分極
η=回転粘度
実際に、応答時間は可能な限り速くなければならず、好ましくは<約500マイクロ秒、または<約250マイクロ秒、または<約100マイクロ秒、または<約75マイクロ秒、または約50マイクロ秒である。配合物のPsの大きさはバックプレーンにより制限され(例えば、<約50nC/cm、または<約40nC/cm、または<約30nC/cm、または<約20nC/cm)、スイッチングのために必要な電場は可能な限り低くなければならない(例えば、<約30V/μm、または<約20V/μm、または<約15V/μm、または<約10V/μm、または<約5V/μm)。冷却時に等方相→SmC相系列を有するFLC配合物の開発に加えて、低Psシステムについて電気光学応答時間を最適化するために回転粘度を最小にする必要がある(例えば、<約600cP、または<約400cP、または<約300cP、または<約200cP、または<約100cP、または<約50cP)。
以前の出願(例えば、クロスランド(国際公開WO2005/019380)およびダウコーニング社出願(PCT/US07/009035))は単一成分強誘導性液晶を強調している。しかし、その単一成分物質はAMLCDのために最適化されていなかった。実際は、AMLCDでの使用に要求される特性すべてを示す単一分子を設計することは非常に難しい。本発明は、配合のやり方によってそれら特性を最適化する方法を提供し、この方法はAMLCDに用いるのにより適している。
例えば、実際の透過型AMLCDの場合、オリゴシロキサン変性液晶物質に基づく配合物の慎重な設計、および適する基本設計のカスタム設計は、配合物が多くの望ましい特徴を示すことを可能にする。「基本設計」とは、液晶配合物と、基本のFLC電気光学デバイスを製作するに必要となる、適する基板、配向層技術、電極構造、および分極技術との一体化を意味する。そのようなデバイスは、実在する強誘電性液晶デバイスから、本配合物の組成、その液晶相系列およびその配向特性の組み合わせによって区別される。AMLCDおよびPMLCDの両方にとって都合のよい特徴には以下の点が含まれる。
1)幅広いSmC相、すなわち、常温にわたる幅広いFLC駆動温度範囲。「幅広い」とは、少なくとも、約15℃から約35℃、および好ましくは約10℃から約40℃、または約0℃から約50℃、または約‐20℃から約60℃、または約‐30℃から約80℃までの幅を意味する。
2)基本設計内でブックシェルフ配列を有する液晶モノドメインまたは準モノドメインの形成を可能にする配向プロセス。この配向プロセスは、配合されたナノ相分離した等方相→SmCシステムのSmC相内で、適する電場を等温的に用いて行うことができる。これは、FLCDの先行技術とは異なっており、そこでは、特定の上に横たわる液晶相(具体的には、SmAおよびネマチック)、および等方相→ネマチック→スメクチックAを通して最終的にSmC相への慎重に制御された冷却プロフィルが必須である。SmC相を等温的に配向させる能力は有利であり、デバイス製作を単純化し、配合物における複雑な相系列を設計する必要なしに配向の達成を可能にしている。SmC相中で等温的電場配向を用いる能力は、デバイスを展開する間自由に再配向させることを可能にし、このことは非常に意義があり、なぜなら、当業者は、現行の強誘電性液晶デバイスは機械的衝撃または温度逸脱(ここでは液晶が結晶または等方相になる)によって可逆的に配向を失うおそれがあることを理解するからである。
3)得られたブックシェルフ構造は、デバイスの作動および保管の間安定でなければならない。いくらか劣化が見られた場合は、オリゴシロキサン強誘電性液晶配合物に使用される等温的、電気的配向スキームを、配向を回復させるために用いることができる。多くの従来からのすべての有機FLCはブックシェルフまたは擬ブックシェルフ配列を主張していたが、それらの構造はデバイス内での配置に対して十分には安定ではない。主張されたブックシェルフ構造は、基本設計内で不可欠な安定性を向上させた。本発明者は、ナノ相分離オリゴシロキサン変性液晶分子の実現できる効果が、コールズ、クロスランド、およびダウコーニングにより単一成分システムについて記述されたように、適切に配合されたシステムにおいて保たれ得ることを発見した。二重のセグメントホストのナノ相分離ブックシェルフ構造がその構造を安定化する。キャノンによって記述された固定機構は、ナノ相分離オリゴシロキサン変性液晶システムには必要とされず、また本発明者らはABA(すなわち、ビ−メソゲン)種を含有しないシステムにおいて真の双安定性を達成する能力を立証している。それ故に、キャノンによって用いられたトリ−セグメント(ABA)分子は、ここで記述した配合物の安定化には必要とされない。しかし、トリ−セグメント分子は、所望する場合は、本発明において、SmC温度範囲を広げるのに用いることができる。配合物はまた、上を覆うスメクチックA相を除去することにより、シェブロン欠陥の形成を除去するようにも設計され、直接I→SmC相転移を有する配合物をもたらす。従来の有機FLCDの潜在的欠陥モードは配向の喪失であり、それは、FLC物質が低温で、例えば保管または出荷中に、結晶化することが可能な場合である。本発明者らは、結晶化しない配合物を開発できることを立証した。これらの配合物はSmC相の下に幅広いSmX相を有する。SmX相は、非晶質相であって、その相中では本明細書で定義した条件下で電気光学スイッチングが止まるけれども、ブックシェルフ構造のマクロスコピックな分子配向は低温で保持される相として定義される。このデバイスはこの相では作動しないが、作動温度範囲に戻された場合には再び作動するようになる。
4)配向の質および均一性は、デバイスの高コントラスト比およびアクティブ領域全体にわたる双安定性の実現を可能にするために十分でなければならない。「高コントラスト」とは、同一の条件下で試験された、市販の有機の等方相→ネマチック→スメクチックA→SmC相系列の配合物と同一またはそれより優れていることを意味する。
5)チルト角は、偏光子ベースの電気光学デバイスの効率的作動のために特定値に調整されなければならない。例えば、透過型デバイスの例では、最適チルト角は22.5度±6度、または22.5度±4度、または22.5度±2度である。さらに、チルト角はデバイスの作動温度範囲内であまりにも劇的に変化してはならない。ある範囲のチルト角をもつ配合物を設計する能力もまた有利である;例えば、45度±6度、または45度±4度、または45度±2度のチルト角を有する配合物は、位相変調デバイス用としても用いることができる。
6)低Psの必要性もまた上で言及されている。低Psは、市販のLCDにおいて現在利用されているとおり、TFTベースアクティブマトリクスバックプレーン技術の要求事項であるが、電場配向プロトコルを用いて常温または常温付近で粘性なスメクチック相中においてその配向に取り組むデバイスに対して、大きな難題を負わせている。配向プロセスに加えて、低Psは、固定した温度および駆動場において液晶デバイスの応答時間にマイナスの影響を与え得る。
7)デジタルモードデバイスについては、真の双安定性が必要条件である。「真の双安定性」とは、スイッチング場の除去後のいくらかの時間、特定の許容範囲内での光信号の保持を意味する。許容範囲の例は、光信号が約20%超えて、または10%を超えて、または5%を超えて低下してはならないということである。平坦域の値に対する短時間緩和は許容し得るが、光透過の継続的低下は許容されない。許容時間は用途により、且つ駆動アーキテクチャによって決定され、分からミリ秒までの範囲であることができる。
8)配合物の複屈折は基本設計、すなわちAMLCD設計に基づいて最適化されなければならない。複屈折は典型的には約0.05よりも大きくまたは約0.1よりも大きい。複屈折は、作動温度範囲にわたって大きく変化するべきではなく、例えば作動温度範囲の下限とSmC→等方相転移より下約5℃の間で<約100ppm/℃、または<約50ppm/℃の複屈折の変化である。
上で定義された制約内で機能する配合物が設計されるなら、実用的なFLCデバイスが開発できる。以前に言及したように、かなり多数の配合経験が有機物質に基づく有機FLCシステムに存在する一方で、そのような情報は、このオリゴシロキサンベースFLC配合物に直接移すことができず、それは以下のものの組み合わされた影響のためである:i)本明細書で網羅されるオリゴシロキサンベースシステムによって示されるナノ相分離構造のより一層の構造上の複雑さ;ii)有機FLCの大部分に対する特定の相系列の利用、すなわち有機システムに対する、等方相→ネマチック→SmA→SmCの利用;iii)オリゴシロキサンベース配合物において、Psおよびチルト角の換算温度依存性を観測する能力;iv)オリゴシロキサンベース配合物の電場配向および層回転特性;v)オリゴシロキサンベース配合物の真の双安定性;vi)ナノ相分離システムにおいてチルト角を調整する能力;vii)低温において、好ましい分子配向の崩壊を避けることができるサブ‐SmC相特性を設計する能力;およびviii)オリゴシロキサン変性強誘電性液晶配合物中でのネマチック層形成を抑制する能力、例えば、4‐n‐ペンチル‐4’‐シアノビフェニル(化合物9)またはFelix 15/000(「化合物」15)がスメクチック・オリゴシロキサンシステムに添加された場合における能力。
一つのやり方は、等方相→SmC→結晶、または好ましくは等方相→SmC→SmX相系列を有する配合物を設計することである。本発明者は、上記の相系列を有する配合物を開発するために、幅広い相挙動を有する物質を用いることができることを発見した。以下に限定されないが、次の型から選ばれる相系列を有する物質を配合物に用いることができる:i)等方相→SmC;ii)等方相→SmA;iii)等方相→SmA→SmC;iv)等方相→SmA→SmC;v)等方相→ネマチック;vi)モノトロピック液晶相;vii)非液晶物質;など。配合物に用いられる物質すべてが官能化オリゴシロキサンである必要はないが、但し配合物中のナノ相分離構造を維持するために存在する十分なオリゴシロキサン変性物質があることを条件とする。
本発明の一つの実施態様では、I→SmC相系列のオリゴシロキサン液晶の特性は次のように調整される:
1)分子内相互作用を減らするために芳香族コアが選ばれ、それによって最終配合物の回転粘度を低くする。
2)芳香族コアをシロキサンから離す炭化水素鎖が選ばれ、オリゴシロキサンからの最適分離をもたらすとともに、低領域(low regime)(約22.5度)または高領域(約45度)チルト角をもたらす。
3)オリゴシロキサンはできるだけ短いものが選ばれて、最大限の可能な複屈折を得るとともに、必要な相特性を維持する。
4)スメクチックA物質が加えられて、配合物の有効チルト角を下げることができるが、配合物中にSmA相を誘発することはない。
5)低い全体のPs値を実現するためにいくつかのアプローチをとることができる。例えば、本質的に低Psのメソゲン種を作ることができ、アキラルおよびキラル種を配合してPsを設定することができ、または相反する光学活性を有する物質が配合されてPsを調整することができる。
本発明者の研究は、そのような配合物の選択および最適化には、異なる成分の効果のバランスをとることが含まれることを示している。例えば、チルト角を小さくするのに有効な添加剤は、回転粘度を下げるには効果がないかもしれず、あるいはサンプルの配向を妨げるかもしれない。
適する配合物の製造に用いられるオリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶物質には、以下に限定されないが、以下に示される構造が含まれる。オリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶物質は、AB(二つのセグメント付加物)、またはABA(三つのセグメント付加物、またLCダイマーとしても知られている)(ここでB=シロキサンセグメント、およびA=芳香族液晶コア)として定義することができることに注意されたい。ABA’構造もまた与えられる(ここでAおよびA’は同一基ではなく、非対称構造に導く)。
I)ナノ相分離スメクチック相を作り出すために用いることができる成分
(一般的構造)
配合物中にナノ相分離スメクチック相を作り出すために用いることができるオリゴシロキサン変性液晶物質のなかには、フェニルベンゾアート類ならびにビフェニル類、テルフェニル類およびフェニルピリミジン類がある。適する材料の例を以下に示す。
1)フェニルベンゾアート類(下記式(3))およびビフェニル類(下記式(4))
一つのクラスの化合物は次式を有する:
Figure 0005552429
〔上記式中、a=0または1;m=1または2;s=1または2;q=0または1;b=0または1;i=0〜4;T=O、COO、OCO、CH=N、N=CH、CFO、OCF、NHCO、CONH、CH、CHCH、C≡C、−CH=CH−、またはCFCF;Yは独立してハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q=O、COO、またはOCO;およびX=アルキルまたは少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、ここで個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;
上記式中、Aは
Figure 0005552429
であり、
Aを表す式中、n=3〜15;d=1〜5;R’およびR’’は独立してC(2r+1)(r=1〜4)またはフェニル基から選ばれ;
Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはW基であり、
ここで、Wは
Figure 0005552429
であり、
Wを表す式中、n=3〜15;a=0または1;m=1または2;s=1または2;q=0または1;b=0または1;i=0〜4;T=O、COO、OCO、CH=N、N=CH、CFO、OCF、NHCO、CONH、CH、CHCH、C≡C、−CH=CH−、またはCFCF;Yは独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q=O、COO、またはOCO;およびX=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであり、ここで個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕
Xで表されるアルキルおよび置換アルキル基は典型的には2〜20個の炭素原子を有する。置換アルキル基は以下の基の1個以上で置換され得る:さらなるアルキル基、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CF、またはOCF
2)テルフェニル類(下記式(2))
別のクラスの適する化合物は下記式:
Figure 0005552429
を有するテルフェニル類である。
〔上記式中、a=0または1;b=0または1;Lは独立して、H、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q=O、COO、またはOCO;X’’=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであり、ここで個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;
上記式中、Aは
Figure 0005552429
であり、
Aを表す式中、n=3〜15;d=1〜5;R’およびR’’は独立してC(2r+1)(r=1〜4)またはフェニル基から選ばれ;
Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基または本明細書の他の箇所で定義されているW’’もしくはW、またはW’の一つであり、
W’は
Figure 0005552429
であり、
W’を表す式中、n=3〜15;a=0または1;b=0または1;Lは独立して、H、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q=O、COO、またはOCO;およびX=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであり、ここで個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕
Xで表されるアルキルおよび置換アルキル基は典型的には2〜20個の炭素原子を有する。置換アルキルは1個以上の以下の基で置換され得る:さらなるアルキル基、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CFまたはOCF
3)フェニルピリミジン類(下記式(1a)又は(1b))
その他のクラスの適する化合物は下記式(1a)又は(1b)を有するフェニル(またはビフェニル)ピリミジン類である:
タイプ1
Figure 0005552429
タイプ2
Figure 0005552429
〔上記式中、a=0または1;p=0、1または2;k=0、1または2;f=0または1;h=0または1;c=0または1;i=0〜4;ただし、f=0である場合はc=0であり;ただし、a=0である場合はh=0であり;Yは、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、またはOCFであり;
上記式中、Xはアルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであり、ここで個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;
上記式中、Vは
Figure 0005552429
であり、
Vを表す式中、n=3〜15;d=1〜5;かつR’およびR’’は独立してC(2r+1)(r=1〜4)またはフェニル基から選ばれ;
Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、または本明細書の他の箇所で定義されているWもしくはW’、もしくはW’’のうちの一つであり、
ここで、W’’は次の基の一つから選ばれて、対称または非対称の二量体添加剤を作る:
Figure 0005552429
〔上記式中、n=3〜15;g=0または1;p=0、1または2;kは0、1または2であり;i=0〜4;tは0または1であり;u=0または1;ただし、t=0の場合はu=0であることを条件とする;Yは独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、またはOCFから選ばれ;Eはアルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、ここで個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕
XおよびEで表されるアルキルおよび置換アルキル基は典型的には2〜20個の炭素原子を有する。置換アルキルは1個以上の以下の基で置換され得る:さらなるアルキル基、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CFまたはOCF
II)ナノ相分離スメクチック相(包括的構造)の特性を調整するために用いることができる成分
下記の式(4)のクラスの物質は、上で示したオリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶物質を含有する配合物への添加剤として有用である。
Figure 0005552429
〔上記式中、e=0または1;Gは、H、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CH、CF、またはOCFであり;
Mは、アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、ここで個々のキラル基はラセミまたは非ラセミでもよい(ただしこの液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする)、またはMは、下記基:
Figure 0005552429
であり、
Mを表す式中、n=3〜15;d=1〜5;R’およびR’’は独立してC(2r+1)(r=1〜4)またはフェニル基から選ばれ;
Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはZであり、
ここで、Zは、
Figure 0005552429
であり、
Zを表す式中、n=3〜15;e=0または1;Gは、H、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CH、CF、またはOCFである。〕
Mで表されるアルキルおよび置換アルキル基は典型的には2〜20個の炭素原子を有する。置換アルキルは1個以上の以下の基で置換され得る:さらなるアルキル基、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CFまたはOCF
以下のクラスの物質もまた添加剤として用いることができる。
Figure 0005552429
〔上記式中、r=0または1;p=0、1、または2;v=0、1、または2;xは0または1であることができる;q=0または1;i=0〜4;ただし、r=0の場合はx=0であることを条件とする;Yは独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、またはOCFから選ばれ;JおよびJ’は独立して、アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルから選ばれ、ここで個々のキラル基はラセミまたは非ラセミでもあることができ、ただし液晶配合物が非ラセミとなることを確実にするように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕
JおよびJ’で表されるアルキルおよび置換アルキル基は典型的には2〜20個の炭素原子を有する。置換アルキルは1個以上の以下の基で置換され得る:さらなるアルキル基、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CFまたはOCF
オリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶成分がアキラルである場合は、液晶配合物中にキラリティーを生じさせるために有機キラル分子を用いることもできる。
配合物の実施例
液晶分子(メソゲン)は通常は複雑な混合物中に配合される。そのような配合物は、単一の分子からは実現が難しいか、不可能でさえあろう特性セット(特性の組合わせ)を実現可能にする。クロスランド(国際公開番号WO2005/019380)およびダウコーニング社特許出願(PCT/US07/009035)は、電場配向および双安定スイッチングを示す単一成分システムを確認した;しかしそのような分子は、それらが幅広い温度で用いられ且つアクティブ・マトリクス・バックプレーンデバイスに用いられる場合には配合を必要とする。オリゴシロキサン変性液晶に基づく配合されたシステムの開発は、そのような物質の独特のミクロ相分離した性質によって複雑化される。以下に示す実施例は、相系列、SmC相の温度範囲、自発分極(Ps)、およびチルト角がそのようなシステムでどのように制御されるかを明らかにする。そのような物質の配合は有機FLCの例から推定することはできず、なぜなら有機FLCシステムには存在しないナノ相分離オリゴシロキサン領域が、バルク配合物の特性およびそれから作製されたデバイスの電気光学特性を制御することにおいて重要な役割を果たすからである。
異なる配合物に用いられた成分の化学構造を表1に示している。配合物およびそれらの特性は表2〜8に示されている。表2はチルト角調整に用いたシアノビフェニル系物質の相挙動を示す。表3は、オリゴシロキサン変性テルフェニルメソゲンおよび有機シアノビフェニルメソゲンに基づいた二成分配合物の例についてのデータを示す。表4は、オリゴシロキサン変性テルフェニルメソゲンおよびオリゴシロキサン変性シアノビフェニルメソゲンに基づいた二成分、三成分および四成分の配合物の例を示す。表5は複数のオリゴシロキサン変性テルフェニルメソゲンを含有する配合物の例を示す。表6はオリゴシロキサン変性フェニルピリミジンおよびキラル・オリゴシロキサンフェニルピリミジン・ドーパントを含有する配合物の例を示す。表7は、オリゴシロキサン変性フェニルピリミジンおよび種々のキラル・オリゴシロキサン変性ドーパントを含有する配合物の例を示す。表7はオリゴシロキサン変性フェニルピリミジンおよびキラル・オリゴシロキサンフェニルピリミジン・ドーパントを含有する三成分の配合物の例を示す。表8はその他の配合物の例を示す。
配合物は、容器に成分を秤量し、次に等方相の形成のため、最も高い転移温度をもつ成分の透明化温度(液晶から等方相への転移)よりも、または非液晶成分の場合には融点よりも、約10℃上の温度に容器を加熱することにより調製した。サンプルをこの温度で約5〜10分間保持かつ混合し、次に常温に冷やした。すべての組成物は、別段の表示がない限り、それぞれの成分のモルパーセントとして示している。配合物は、最初に示差走査熱量計(DSC)を使用して特性解析を行なった。DSC試験の温度範囲は、配合物の透明相転移温度が>100℃でない限り(この場合、上限温度は高くなる)、典型的には−40℃〜120℃であった。未使用サンプルを等方相で加熱し(加熱#1)、その後−40℃に冷却し(冷却#1)、その後等方相に加熱して戻し(加熱#2)、次に−40℃に冷却し戻し(冷却#2)、その後等方相に加熱し戻し(加熱#3)、次に室温に冷やして戻した(冷却#3)。加熱#2と#3を用い、各転移に対するピーク温度を選択することによって、相転移温度を決めた。存在する液晶相のタイプ(型)を分類するために、偏光光学顕微鏡およびプログラム可能なホットステージシステムを用いての熱光学分析を行なった。Psを測定するための現在の反転法(Miyasatoら、Japan Journal Applied Physics,22,L661(1983)に記載されている)を用いて、SmC相の存在を確認し、且つSmCの転移温度境界を特定した。熱光学および電気光学測定は、ITOガラス基板を用い、スペーサービーズでセパレートし、接着剤で端をシールして組み立てた単一画素デバイスで行った。ラビングしたポリイミド配向層をそのデバイスに用いた。図1を参照されたい。
図1は、配合物を試験するために用いた典型的な双安定性液晶セルの構造を示す。液晶配合物17を、2枚の基板10、11の間に配置する。基板は任意の適する物質、例えば、ガラス、シリコン、有機ポリマー、または無機ポリマーで作ることができる。基板の一つまたは両方は透明とすることができるが、それはデバイスのクラスに左右される。
基板10、11の内表面は電極12、13、例えば、アルミニウムまたはインジウムスズ酸化物(ITO)を有し、この電極は選ばれた領域に付けることができる。1個の電極が各基板上に存在し、または両方の電極が基板のうちの1つの上に存在しうる(しかし、一対の電極だけは必要である)。電極の1個または両方は、デバイスに応じて透明であることができる。あるいは、電気光学効果を制御可能にする、フリンジ電場を与える電極があることもできる。電極の内表面は、所望する場合は、不動態化(パッシベーション)層で被覆することもできる。
電場配向、層配向、およびSmC相のスイッチングを容易にするために、電極の内表面(液晶物質に隣接する)またはフリンジ電場デバイスの場合には基板の内表面は、配向層14、15で被覆される。配向層は有機コーティングまたは無機コーティングであることができる。適する配向層としては、以下に限定されないが、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリテトラフルオロエチレン、酸化ケイ素、シラン、およびポリシランが挙げられる。しかし、配向層物質の的確な選択およびその製造条件は、良好な配向および双安定性を実現するために重要であるが、的確な選択は配合物の組成に左右される。好ましい物質としては<約3度のプレチルト角を有するポリイミドが挙げられる;しかし他の物質もまた用いられ得る。用いることのできる物質の例として、日産化学工業株式会社からSE130、SE1410、SE8292およびRN1199の表示で販売されているポリイミドが挙げられる。配向層は当技術分野既知の任意の方法で形成することができ、その方法は以下に限定されないが、ラビング、延伸、堆積、およびエンボス加工が挙げられる。配向層は、モノドメインが形成される(すなわち「ブックシェルフ」)ために、および双安定なスイッチングが観測されるために役立つ。均一な配向および双安定性を達成するために、配向層の厚さは<約200nm、または<約100nm、または<約50nm、または<25nmであるべきである。
スペーサー16は基板10、11を引き離し、且つセル厚を決める。シーリング層18は、セル内に液晶物質を保持するために用いられる。本発明の液晶電気光学デバイスは典型的には0.5ミクロンから10ミクロンの範囲となるように設計されたセルギャップを有する。
積層されたデバイスは、互いに90度で配向されている偏光子19、20の間に置くことができ、液晶が二つの状態間でスイッチされると明状態または暗状態を生じる。図1に記載されたデバイスは透過モードデバイスである。当業者に公知の、代わりの偏光子の配置を、透過モードおよび反射モードデバイスのために用いることができる。
Figure 0005552429
表1の続き
Figure 0005552429
表1の続き
Figure 0005552429
Figure 0005552429
Figure 0005552429
Figure 0005552429
Figure 0005552429
Figure 0005552429
Figure 0005552429
Figure 0005552429
実施例1:
オリゴシロキサン液晶C17を非液晶オリゴシロキサンC23と配合した。C17はI→SmA→SmC→Cr相挙動を示すが、一方でC23は非液晶化合物である。二成分配合物はI→SmC→SmX相挙動を示すことが分かり、異なる相挙動を有する成分から、所望のI→SmC相挙動を得ることができるという予想外の能力を明らかにした。
Figure 0005552429
実施例2:
I→SmC相系列を有するC1を、I→SmA→K相系列を有するC10と種々の割合で混合した。異なる量のC10を用いた二つの配合物を製造した。C10だけがSmA相を示すが、すべての配合物がSmC相を示した。
Figure 0005552429
これらの配合物の電気光学特性を、図1に示した13mm×16mm液晶セルで測定した。液晶試験用セルを次の方法で製造した:ITOコーティングを、それぞれについてコンタクトパッドを有する5mm×5mmの活性化領域で光パターン化した。ITOコーティングされたガラスは、ガラス基板とITOコーティングの間にSiOコーティングを有し、ITOのシート抵抗は100オーム/スクエアであった。指定された配向剤を約25nmの厚さにスピンコートし、硬化させ、その後ラビングして、配向層を形成させた。所望のサイズのスペーサーを約2%(質量)量で紫外線硬化性シーラントと混合し、これを一つの基板上のセルの2つの端部において、配向層の上面に適用した。それを、シーラントの適用なしに別の基板と、配向層どうしが内側を向き且つ逆平行ラビング配向となるようにラミネートした。二つの基板は13mm×13mmの基板の重なりおよび5mm×5mmの対向する電極を有し、かつ電源接続用コンタクトパッドを有する二つの相対する3mm出っ張りを有するように、ねじれた形態に組み立てた。この組立品を、真空プレスを使用して圧縮し、紫外線光源を照射して、シーラントを硬化させた。
配向層としてのナイロンと3μmスペーサーとを用いて作ったセルを上記の配合物で充填することによって透過型液晶デバイスを作製した。次にそのポートを紫外線硬化性シーラントでシールし、電場を液晶配合物の全域に適用するための相対するITO電極に対して、コンタクトパッドにはんだづけすることによってワイヤーを取り付けた。
充填されたデバイスを、SmC相の上限の直ぐ下の温度で800Hz10V/μm方形波を適用して処理することにより、均一な配向を生じた。このデバイスを次に40℃で特性解析し、C10の量を増加した場合にそのチルト角は30.5°から25°に低下したことが認められ、これは、C10のチルト角の調整挙動を明らかにしている。C10の量を17モルパーセントから25モルパーセントに増加させた場合、応答時間もまた、200から50μ秒に低下することがわかった。
実施例3:
C27およびC26を合成し、ここでC27はC26のラセミ化同族体である。これらの化合物それぞれのPsは下の表に数値をまとめたように測定された。
Figure 0005552429
部分的なラセミ(C27)およびキラル(C26)な化合物を2:1のモル比でブレンドし、配合物37を作った。この配合物のPsは29nC/cmであることがわかり、エナンチオ過剰率を調整することによって配合物のPsを調整できる能力を実証した。
実施例4:
C1を、I→SmA→Cr相系列を有するC10と種々の割合で混合した。C10はC1とは異なり、シアノ‐ビフェニル構造によって強い長手方向双極子を有し、C1では横方向の双極子(トランスバース双極子)挙動が示され、強誘電性スイッチングをもたらす。異なる量のC10を含有する配合物7〜9を調製し、それらのチルト角を40℃で測定した。C10だけがSmA相を示すが、すべての配合物がSmC相を示した。図2に示されているように、この組成物を調整することによってチルト角を調整することができる。別の配合物、例えば配合物13および配合物2では、そのような添加物が、配合物中に不連続のSmA相を導入することなくチルト角を調整するために用いることができる。
実施例5:
C1を、従来の強誘電体相系列I→N→SmA→SmCを示す市販の配合物C15と種々の割合で混合した。以下の表に示されているように、配合物の相系列は、C15の量が増加するにつれて、I→SmA→SmCからI→SmCに移っている。
Figure 0005552429
図3示されているように、チルト角の弱い温度依存性が、C15含量の低い、I→SmC相系列を有する配合物に見られる。C15の量が増えるにつれてSmA相が導入され、同時にチルト角の温度依存性もまた増大した。これらの結果は、I→SmA→SmCを有する配合物に対する、I→SmC相系列を有する配合物の利点、さらには、配合物中の少ないSmA形成成分の利点(これはチルト角の大きな温度安定性を有するFLC配合物へと導く)を示している。
実施例6:
オリゴシロキサン液晶組成「配合物19」を、以下の化合物を下記表に示した量で混合することによって調製した。得られた配合物は、−29〜50℃の間のSmC範囲をもち、表6に示した相系列をもつと特徴付けられた。
Figure 0005552429
実施例2に記述したようにして、配合物19でセルを充填して透過型液晶デバイスを調製した。周辺温度に保持しつつ、30Hz 10V/μm方形波を適用することによる充填されたデバイスの処理が、コントラスト比9:1を有する均一な配向の形成をもたらした。市販の有機強誘電性液晶処方(AZ Electronic Materials (Clariant) Felix 015/000)(「化合物」15)は同じ条件下で26:1のコントラスト比を有していた。配合物19を用いて作製したデバイスは、25℃および40℃のそれぞれにおいて、64μ秒および135μ秒の電圧印加から90%透過までの応答時間、11nC/cmおよび16nC/cmのPs、ならびに24°および27°のチルト角を示すことがわかった。>90%シグナルをもつ良好な双安定性が、25℃での10V/μm 200μ秒パルスの適用後20m秒(ミリ秒)保持された(図4a)。配合物19を用いて作製したデバイスはまた、160nm厚ポリイミド配向層(図4b)と、17m秒のパルス間遅延をもつ130μ秒幅の10V/μm両極性パルスの駆動条件とを備えたセルにおいて、40℃で良好な双安定性を示した。
実施例7:
オリゴシロキサン液晶組成「配合物23」を、以下の化合物を下の表に示した組成で混合することにより調製した。得られた配合物は、39〜58℃の間にSmC範囲をもち、表6に示した相系列をもつと特徴付けられた。
Figure 0005552429
実施例2に記載したようにして、配合物23でセルを充填して透過型液晶デバイスを作製した。50℃で保持しつつ、5Hz、15V/μmの方形波の適用によってその充填されたデバイスを処理して、コントラスト比50:1を有する均一な配向の形成がもたらされた。このデバイスを次に25℃で特性解析し、75μ秒の電圧印加から90%透過までの応答時間、24nC/cmのPs、および26.5°のチルト角を示すことがわかった。チルト角が、優れた温度非依存性を示すことがわかった(図5a)。20m秒のパルス間遅延をもつ、200μ秒幅の10V/μm両極性パルスで駆動したときに、優れた双安定性が観測された(図5b)。
実施例8:
オリゴシロキサン液晶組成物「配合物33」を、以下の化合物を下の表に示された組成で混合することにより調製した。得られた配合物は、−35〜55℃の間のSmC範囲をもち、表8に示した相系列をもつと特徴付けられた。
Figure 0005552429
実施例2に記載したようにして、配合物33でセルを充填することによって、透過型液晶デバイスを作製した。常温に保持しながら、30Hz 18V/μmの方形波の適用によってその充填されたデバイスを処理して、均一な配向の形成がもたらされた。このデバイスは次に25℃で特性解析し、10V/μmにおいて、132μ秒の電圧印加から90%透過までの応答時間、43nC/cmのPs、および39°のチルト角を示すことがわかった。50m秒のパルス間遅延をもつ500μ秒幅の10V/μm両極性パルスで駆動したときに、良好な双安定性が観測された(図6)。
チルト角の高い値に起因して、コントラスト比が3:1のかなり低い値を示すことがわかった。またこのデバイスを、スイッチングが起こらないサブ‐SmC相に冷却し、次にSmC相に再度加熱し、SmC相ではコントラスト比が4:1と測定され、したがって、SmC配向の破壊がないことを示していた。
実施例9:
オリゴシロキサン液晶組成「配合物25」を、以下の化合物を下の表に示した組成で混合することにより調製した。得られた配合物は、41〜61℃の間のSmC範囲をもち、表6に示された相系列をもつと特徴付けられた。
Figure 0005552429
実施例2に記載したようにして、配合物25でセルを充填して透過型液晶デバイスを作製した。50℃に保持しつつ、500Hz、18V/μmの方形波の適用によってその充填されたデバイスを処理して、コントラスト比50:1を有する均一な配向の形成をもたらした。このデバイスを、次に25℃で特性解析し、200μ秒の電圧印加から90%透過までの応答時間、17nC/cmのPs、および30°のチルト角を示すことがわかった。チルト角は優れた温度非依存性を示すことがわかった(図7)。この例は、そのチルト角が最適範囲を超えている(すなわち、幅広いチルト角によって劣る明状態の結果として、コントラスト比が低下する)にもかかわらず、配合物において高コントラスト比が達成されることを示した。チルト角は、実施例1および2で実証した技術を用いて最適範囲に調整して、この配合物に基づく適正な特性を達成することができる。
実施例10
オリゴシロキサン液晶組成「配合物20」を、以下の化合物を下の表に示した組成で混合することによって調製した。得られた配合物は、−27〜49℃の間のSmC範囲をもち、表6に示した相系列をもつと特徴付けられた。
Figure 0005552429
ポリイミド配向層を用い、実施例2に記載したようにして、セルに配合物20を充填することによって、透過型液晶デバイスを作製した。常温に保持しながら、30Hz 10V/μmの方形波の適用により、その充填されたデバイスを処理して、コントラスト比34:1を有する均一な配向の形成をもたらした。配向は、SmCより下の相に冷却した後も適度に良く保持されていることが認められ、かつコントラスト比は、再加熱後に29:1であることがわかった。
このデバイスは、それぞれ25℃で、66μ秒の電圧印加から90%透過までの応答時間、30nC/cmのPs、および30.5°のチルト角を示すことがわかった。13m秒のパルス間遅延をもつ133μ秒幅、10V/μmの両極性パルスでこのデバイスを駆動したとき、優れた双安定性が25℃で観測された(図8)。この実施例は、チルト角が最適範囲を超えているけれども、配合物において速い応答時間の達成を示した。チルト角を実施例2で実証した技術を用いることによって最適範囲に調整して、この配合物に基づく適正な特性セットを達成することができる。
実施例11:
オリゴシロキサン液晶組成「配合物31」を、以下の化合物を下の表に示した組成で混合することによって調製した。得られた配合物は、13〜60℃の間のSmC範囲をもち、表7に示した下記の相系列をもつと特徴付けられた。
Figure 0005552429
ポリイミド配向層を用い、実施例2に記述したようにして、配合物31でセルを充填して透過型液晶デバイスを製造した。55℃に保持しつつ、60Hz 20V/μm方形波の適用により、その充填されたデバイスを処理して、30分以内で均一な配向の形成をもたらした。このデバイスは次に40℃で特性解析を行い、300μ秒の電圧印加から90%透過までの応答時間、40nC/cmのPs、および44.5°のチルト角を示すことがわかった。チルト角は優れた温度非依存性を示すことがわかった(図9)。
本発明を説明する目的のために特定の代表的態様及び詳細を示したが、添付した特許請求の範囲で定義した本発明の範囲から離れることなく、様々な変更ができることは、当業者には明らかである。

Claims (10)

  1. 下記式(3)で表される化合物下記式(2)で表される化合物、及び下記式(1a)又は(1b)で表される化合物から選択される、50モル%以上の第一オリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶物質;および少なくとも一つの追加物質を含む液晶配合物であって、
    前記追加物質が、第二オリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶物質、非液晶オリゴシロキサン変性物質、有機液晶物質、または有機非液晶物質のいずれかであり、
    且つ前記第二オリゴシロキサン変性ナノ相分離液晶物質及び非液晶オリゴシロキサン変性物質は、下記式(4)で表される化合物下記式(2)で表される化合物下記式(3)で表される化合物、及び下記式(1a)又は(1b)で表される化合物から選択され、
    前記液晶配合物は、強誘電性であり、SmC相でナノ相分離されており、15℃〜35℃のSmC温度範囲をもってI→SmC相転移を有し、22.5°±6°または45°±6°のチルト角を有し、50nC/cm未満の自発分極を有し、かつ600cP未満の回転粘度を有し;
    ここで、式(1a)又は(1b)は下記のとおりであり
    Figure 0005552429
    または
    Figure 0005552429
    〔上記式中、a=0または1;p=0、1または2;k=0、1または2;f=0または1;h=0または1;i=0〜4;c=0または1;ただし、f=0の場合はc=0であることを条件とし;ただし、a=0の場合はh=0であることを条件とし;Yは独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、またはOCFから選ばれ;
    上記式中、Xは、アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし、本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;
    上記式中、Vは
    Figure 0005552429
    であり、
    Vを示す式中、n=3〜15;d=1〜5;かつR’およびR’’は独立してC(2r+1)(r=1〜4)またはフェニル基から選ばれ;
    Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはW、W’、もしくはW’’の一つであり、ここで、
    Wは
    Figure 0005552429
    であり、
    Wを示す式中、n’=3〜15;a’=0または1;m=1または2;s=1または2;q=0または1;b=0または1;i’=0〜4;T=O、COO、OCO、CH=N、N=CH、CFO、OCF、NHCO、CONH、CH、CHCH、C≡C、またはCFCF;Y’は独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q=O、COO、またはOCO;およびX’=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;
    W’は
    Figure 0005552429
    であり、
    W’を示す式中、n’’=3〜15;a’’=0または1;b’=0または1;Lは独立して、水素、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q’=O、COO、またはOCO;およびX’’=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;および
    W’’は
    Figure 0005552429
    のうちの1つであり、
    W’’を示す式中、n’’’=3〜15;g=0または1;p’=0、1または2;k’は0、1または2であり;i’’=0〜4;tは0または1であり;u=0または1;ただし、t=0の場合はu=0であることを条件とし;Y’’は独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、またはOCFから選ばれ;Eは、アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕;
    式(2)は以下のとおりであり
    Figure 0005552429
    〔上記式中、a=0または1;b=0または1;Lは独立して、H、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q=O、COO、またはOCO;X=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;
    式中、Aは
    Figure 0005552429
    であり、
    Aを示す式中、n=3〜15;d=1〜5;R’およびR’’は独立してC(2r+1)(r=1〜4)またはフェニル基から選ばれ;
    Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはW、W’、またはW’’の一つであり、
    Wは
    Figure 0005552429
    であり、
    Wを表す式中、n’=3〜15;a’=0または1;m=1または2;s=1または2;q=0または1;b’=0または1;i=1〜4;T=O、COO、OCO、CH=N、N=CH、CFO、OCF、NHCO、CONH、CH、CHCH、C≡C、またはCFCF;Yは独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q’=O、COO、またはOCO;およびX’=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;
    W’は
    Figure 0005552429
    であり、
    W’を表す式中、n’’=3〜15;a’’=0または1;b’’=0または1;L’は独立して、H、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;式中Q’’=O、COO、またはOCO;およびX’’=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;および
    W’’は
    Figure 0005552429
    のうちの1つであり、
    W’’を表す式中、n’’’=3〜15;g=0または1;p=0、1または2;kは0、1または2であり;i’=0〜4;tは0または1であり;u=0または1;ただし、t=0の場合はu=0であることを条件とする;Y’は独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、またはOCFから選ばれ;Eはアルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕;
    かつ、式(3)は以下のとおりであり
    Figure 0005552429
    〔上記式中、a=0または1;m=1または2;s=1または2;q=0または1;b=0または1;i=0〜4;T=O、COO、OCO、CH=N、N=CH、CFO、OCF、NHCO、CONH、CH、CHCH、C≡C、またはCFCF;Yは独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q=O、COO、またはOCO;およびX=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする;
    Aは
    Figure 0005552429
    であり、
    Aを表す式中、n=3〜15;d=1〜5;R’およびR’’は独立してC(2r+1)(r=1〜4)またはフェニル基から選ばれ;
    Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基またはW基であり、
    Wは
    Figure 0005552429
    であり、
    Wを表す式中、n’=3〜15;a’=0または1;m’=1または2;s’=1または2;q’=0または1;b’=0または1;i’=0〜4;T’=O、COO、OCO、CH=N、N=CH、CFO、OCF、NHCO、CONH、CH、CHCH、C≡C、またはCFCF;Y’は独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、OCFから選ばれ;Q’=O、COO、またはOCO;およびX’=アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕;
    式(4)は以下のとおりであり
    Figure 0005552429
    〔上記式中、e=0または1;Gは、H、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CH、CF、またはOCFであり;Mは下記の基
    Figure 0005552429
    であり、
    Mを表す上記式中、n=3〜15;d=1〜5;R’およびR’’は独立してC(2r+1)(r=1〜4)またはフェニル基から選ばれ;
    Rは1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、またはZであり、
    Zは
    Figure 0005552429
    であり、
    Zを表す上記式中、n’=3〜15;e’=0または1;G’は、H、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CH、CF、またはOCFである。〕;
    前記有機液晶物質または前記有機非液晶物質が、前記追加の物質として用いられる場合には、下記の式を有する化合物:
    Figure 0005552429
    〔上記式中、e=0または1;Gは、H、ハロゲン、エポキシド、NO、CN、CH、CF、またはOCFであり;Mは、アルキル、または少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルであって、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなるように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕、あるいは下記式のうちの一つを有する化合物である:
    Figure 0005552429
    〔上記式中、r=0または1;p=0、1、または2;v=0、1、または2;x=0、または1;q=0または1;i=0〜4;ただし、r=0の場合はx=0である;Yは独立して、ハロゲン、NO、CN、CH、CF、またはOCFから選ばれ;JおよびJ’は独立して、アルキルまたは少なくとも1個のキラル中心を有する置換アルキルから選ばれ、個々のキラル基はラセミまたは非ラセミであることができ、ただし本液晶配合物が非ラセミとなることを確実にするように個々のキラル基が選ばれることを条件とする。〕。
  2. 前記自発分極が40nC/cm未満である、請求項1に記載の液晶配合物。
  3. 前記液晶配合物がI→SmC→SmX相転移を有する、請求項1または2に記載の液晶配合物。
  4. 前記液晶配合物が0.05より大きな複屈折を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配合物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配合物を含むデバイスであって、SmC相において、安定なブックシェルフ配列、双安定スイッチング、および等温電場配向を有し、かつ二つの安定状態間でスイッチされたときに500μ秒未満の応答時間および30V/μm未満の電気駆動場を有する、デバイス。
  6. 間に隙間を有する一対の基板;
    前記基板の一つの上に配置された一対の電極、または各基板上に配置された1つの電極の対;および
    前記一対の基板間の隙間に配置された請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配合物、
    を含む少なくとも1個の液晶セルを含む、請求項5に記載のデバイス。
  7. 少なくとも1つの偏光子をさらに含む、請求項6に記載のデバイス。
  8. 前記デバイスがラビングした配向層をさらに含む、請求項6または7に記載のデバイス。
  9. 二つの安定状態間でスイッチされたときに100μ秒未満の応答時間を有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載のデバイス。
  10. 前記デバイスが、前記電気駆動場を除去した後20m秒後に、透過強度に10%未満の緩和しか有しない、請求項6〜9のいずれか一項に記載のデバイス。
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