JPH10279943A - スメクチック液晶組成物および液晶表示素子 - Google Patents

スメクチック液晶組成物および液晶表示素子

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JPH10279943A
JPH10279943A JP9178397A JP9178397A JPH10279943A JP H10279943 A JPH10279943 A JP H10279943A JP 9178397 A JP9178397 A JP 9178397A JP 9178397 A JP9178397 A JP 9178397A JP H10279943 A JPH10279943 A JP H10279943A
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JP9178397A
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Eiji Okabe
英二 岡部
Tatsuji Harufuji
龍士 春藤
Shinichi Saito
伸一 斉藤
Hideo Saito
秀雄 斉藤
Tomoaki Furukawa
智朗 古川
Hitoshi Takeda
均 竹田
Mitsuhiro Kouden
充浩 向殿
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JNC Corp
Sharp Corp
Original Assignee
Sharp Corp
Chisso Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ACスタビライズ効果及びττ−Vminを利
用した、高速応答の強誘電性液晶表示素子を提供できる
スメクチック液晶組成物を実現する。 【解決手段】 一般式(AI)で表される化合物、(A
II)で表される化合物、及び、一般式(BI)又は一般
式(BII)で表される化合物の3成分を含有するスメク
チック液晶組成物。 但し、一般式式(AI)において、R1は炭素数1から
12のアルキル基、又はアルコシキ基、R2は炭素数1
から12のアルキル基を示す。一般式式(AII)におい
て、R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1から9のア
ルキル基を示し、環Aはベンゼン環、又はシクロヘキサ
ン環を示す。一般式(BI)において、R5およびR6
それぞれ独立に炭素数1から18のアルキル基、又はア
ルコキシ基を示し、Xは水素又はフッ素を示す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子、特
に強誘電性液晶表示素子に好適に使用できる、液晶組成
物およびそれを用いた強誘電性液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、液晶表示素子は広汎に使用される
に至っている。それらのうち、低品位の表示素子として
は、TN(捻れネマチック)表示方式が最も広く使用さ
れている。このTN表示素子は低駆動電圧、低消費電力
など多くの利点を備えているが、応答速度は、陰極管、
エレクトロルミッセンス、プラズマディスプレイ等の発
光型の表示素子に著しく劣っている。捻れ角を180゜
〜270゜にした新しいタイプのTN表示素子、いわゆ
るSTN表示素子が開発されて、表示容量は飛躍的に増
大したが、応答速度に関してはやはり限界がある。ま
た、最近ではTN表示素子の各画素にスイッチ素子を備
え付けた表示素子が、市場に登場している。その多く
は、薄膜トランジスター素子(Thin Film Transisto
r)、略称してTFT素子と呼ばれており、高密度、大
容量かつフルカラーの液晶素子として、将来を嘱望され
てる。しかし、TFT素子の製造には半導体技術を用い
ているため、画面サイズは20インチ程度が限界であ
り、時分割能も1000ライン程度が限界であるといわ
れており、生産コストにも難点がある。
【0003】本発明の主題である強誘電性液晶表示素子
は、上記TFT素子が実現できない、20インチサイズ
以上の大画面と生産コストの低減の両者の実現の可能性
を秘めている(クラークら;アプライド フィジクス
レター (AppliedPhys.lett.,)3
6,899(1980))。この表示方式は、強誘電性
を示すカイラルスメクチックC相(以下Sc*相と略記
する)等のカイラルスメクチック相を利用するもので、
表面安定化強誘電性液晶表示(SSFLC)と呼ばれて
おり、家電メ−カ−や材料メ−カ−によって特性の改良
や商品化が行われている。その理由は、強誘電性液晶素
子が原理的に以下の特徴を有するからである。 1.高速応答性 2.メモリ−性 3.広視野角 これらの特徴がSSFLCの大容量表示への可能性を示
唆しており、SSFLCを非常に魅力あるものにしてい
る。
【0004】しかし、研究が進むにつれて、解決しなけ
ればならない問題が明らかにされてきた。これらの問題
の中でも、メモリ−の安定した発現が第一の課題であ
る。メモリーの安定的な発現の困難さは、スメクチック
層構造が一様ではないこと(例えば、捻れ配列、シェブ
ロン構造)、自発分極の大きさに起因すると考えられる
内部逆電界の発生等が考えられている。安定したメモリ
−性を発現させるための手段の1つとして、負の誘電率
異方性(Δε<0、Δεは誘電率異方性を表わす)を有
する強誘電性液晶組成物を用いる方法が提案されている
(Le ピ−サント等 パリ・リキッド・クリスタル・
コンファレンス(Paris Liquid Crys
tal Conference)、p.217(198
4年))。この方法により達成される効果はACスタビ
ライズ効果と呼ばれている。ホモジニアス配向処理した
セル中でのΔεが負の液晶分子は、電界を印加するとガ
ラス基板に対して平行の状態に向く(電界の方向に対し
て分子長軸が垂直に向く)性質がある。低周波電界を印
加した場合は、自発分極が電界に応答するため、電界の
方向が反転すると液晶分子もそれに伴い、もう一方の安
定状態に移動し、そこでΔεの効果で基板に対して平行
の状態になる。高周波電界を印加した場合には、自発分
極が電界の反転に追随できなくなり、Δεだけが効い
て、電界の方向が反転しても液晶分子の移動はおきず、
そのまま基板に対して平行になる。これが、ACスタビ
ライズ効果を利用したメモリ−性の発現メカニズムであ
る。これによって高いコントラストが得られる。この例
はジュアリ−等によって報告されている(SID ’8
5 ダイジェスト p.128(1985年))。
【0005】負の誘電率異方性を有する強誘電性液晶材
料は、さらに別の特異な性質を持つことが知られてい
る。それは、メモリ−反転可能なパルス幅(τ)が印加
電圧に対して極小値(Vmin)を持つことである。この
性質を利用して、クロスト−クのないコントラストの高
い表示素子を実現している(フェロエレクトリクス 第
122巻 p.63(1991年))。以上の様に負の
誘電率異方性を有する強誘電性液晶材料は、ACスタビ
ライズ効果およびτ−Vmin効果を利用した表示素子に
応用できる。
【0006】負のΔεを利用した強誘電性液晶材料が実
際に使用されるためには、多くの特性が要求されるが、
その要求に対して現状では単一化合物では応じられない
ので、材料は混合物の形で提供されている。強誘電性液
晶組成物を構成する方法としては、強誘電性液晶化合物
のみから構成する方法の他に、非カイラルなスメクチッ
クC,F,G,H,I等の傾いたスメクチック相(以
下、Sc等の相と略記する)を呈する化合物及び組成物
を基本物質として、これに1種以上の強誘電性液晶化合
物または非液晶の光学活性化合物を混合することによ
り、全体を強誘電性液晶相を呈する組成物とする方法が
ある。
【0007】ところで、一般式(AI)で表されるチア
ジアゾール環を有する液晶化合物は、既に知られてい
る。特表平2−500191号には、一般式(AI)及
び一般式(AII)で表される化合物を含む広範囲のチア
ジアゾール化合物を含んだ組成物が特許請求されてい
る。さらに、一般式(AI)においてR1がアルコキシ
基である下記の化合物(Ia)は開示されており、SC
相を示すことが記載されている。
【0008】
【化7】
【0009】式中、mおよびnの組合せは下記のとおり
である。 また、これらの化合物を成分とする組成物も開示されて
いる。しかし、ここには一般式(AI)で表される化合
物と一般式(AII)で表される化合物を同時に含有する
組成物は開示されていない。さらに、ここでは特に好ま
しい組成物として、チアジアゾール環を有する化合物を
0.5〜30wt%の範囲で含有した液晶組成物を特許
請求している。実施例中にも、一般式(AI)で表され
る化合物が14%の濃度を越えた組成物は開示されてい
ない。このように、特表平2−500191はチアジア
ゾール化合物の使用濃度の低い部分が発明の構成として
あげられている。特表平2−500191はまた、チア
ジアゾール環を有する化合物と混合して使用できるもの
として広範な化合物群を記載しており、チアジアゾール
環を有する化合物とピリジン環を有する化合物(IIg)
とを組合せた組成物をも特許請求している。ここで化合
物(IIg)は本発明における一般式(BI)及び一般式
(BII)で表される化合物に相当する。
【0010】
【化8】
【0011】(式中、R及びR’は炭素数3〜12のア
ルキル、アルコキシ等である。) しかしここには、一般式(AI)で表される化合物と一
般式(BI)で表される化合物との組み合わせ、及び一
般式(AI)で表される化合物と一般式(BII)で表さ
れる化合物との組み合わせは開示されているが、これら
の化合物にさらに一般式(AII)で表される化合物を組
み合わせた例は示されていない。さらに、本発明者等も
すでにチアジアゾールを用いた液晶組成物を出願した
(特願平06−339112)。
【0012】
【化9】
【0013】式(AII)において、R3及びR4はそれぞ
れ独立に炭素数1〜9のアルキル基を示し、環Aはベン
ゼン環、又はシクロヘキサン環を示す。式(BII)にお
いて、R7、及びR8はそれぞれ独立に炭素数1〜18の
アルキル基を示し、Xは水素又はフッ素を示す。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このように、Δεが負
の強誘電性液晶組成物を用いた表示素子には、通常の強
誘電性液晶表示素子にはない優れた特性がある。しか
し、τ−Vmin効果を利用する現行の組成物にはまだ解
決すべき多くの課題が残されている。それらは、大きく
3つにまとめられる。Δεが十分負に大きいこと、良好
な配向性を示すこと、及び低温でも高速な応答速度を示
すことである。
【0015】第一の課題である十分に負に大きいΔεに
ついては以下のように説明できる。スメクチックC相
(以下SC相と略記する)の層構造を、理想的なブック
シェルフ構造であると仮定すると以下の式が成り立つ。
【0016】
【数1】
【0017】(式中、Eminは極小値のパルス幅におけ
る電圧、Psは自発分極、ε0は真空誘電率、Δεは誘
電率異方性、θは傾き角、δεは二軸誘電異方性を示す
(リキッドクリスタル 6、No. 3、p341(198
9年))。この式に、現在の実用的な環境の数値をあて
はめて、Δεの値を推算してみる。現在の汎用のIC耐
圧電圧は40V程度であるから、Eminは40Vが最大
となる。逆電界の発生の影響を避けるためには、自発分
極の大きさは7nC/cm2以下となる。これらの値
と、傾き角を20゜、セル厚2μmの条件とを式に当て
はめると、Δεは−2以下であるという必要条件が導き
だされる。Δεが−2以下の大きさでないと、τ−Vmi
nモード用には使用ができないので、この条件を満たす
ことが第一の課題である。
【0018】第二の課題である良好な配向性については
以下のように説明できる。良好な配向性を呈する材料
は、高温側から順に等方性液体相(以下Iso相と略記
する)、コレステリック相(以下Ch相と略記する)、
SA相、SC*相の相転移系列を持つことが要求され
る。SA相がない場合は、スメクチック相における層面
の法線方向と液晶分子の長軸方向とが一致しないSC*
相が徐冷時に出現する。つまり、通常の高温側からの徐
冷では、大きな液晶均一配向領域(いわゆるモノドメイ
ン)は作成しにくい。モノドメインを得る方法として、
冷却してSC相に転移させる過程で、電場あるいは磁場
などの外力を加えて強制的に配向させる方法が提案され
ている。しかし、上述の外力による配向制御処理によっ
ても、必ずしもモノドメインが作成できる訳ではない。
一方、SA相を有する材料では、外力を加えなくても徐
冷によって良好なモノドメイン状態を得ることができ
る。何故なら、SA相では層面の法線方向と分子長軸方
向とが同じであるからである。一旦SA相において形成
された層の状態は、SC*相へ転移した後も保持される
ので、SC*相においても、均一なモノドメインが得ら
れる。従って、SC*相の高温側にSA相を有する材料
は、SC*相の配向性において優れている。さらに、S
C*相の良好な配向性を得るためには、Iso相とSA
相の中間の秩序を持ったCh相を経由する必要がある。
良好な配向を得るためには、SA相への転移の近傍で
は、Ch相のらせんピッチ長は十分長い必要がある(特
開昭61−255323)。
【0019】第三の課題である高速応答については以下
のように説明できる。強誘電性液晶組成物を用いた表示
素子の応答時間は以下の式により与えられる。
【0020】
【数2】 τ∝η/Ps・E
【0021】ここで、τは応答時間、ηは粘性、Eは電
界強度、Psは自発分極値を示す。従って、応答時間を
短縮するためには、液晶組成物の自発分極値を大きくす
ることと、及び粘性を低減することの二つの方法が考え
られる。しかし、τ−Vminモードでは、Psを極端に
大きくすることは、逆電界による影響が顕著になるので
適切ではない。したがって、τ−Vminモードにおいて
応答時間を短縮するには、液晶組成物の粘性を低減する
必要がある。強誘電性液晶組成物を用いた表示素子の応
答時間は、温度の低下により指数関数的に大きくなる。
これは粘性が同様の傾向を示すためである。特に、室温
以下での増大は顕著であり、τ−Vminモードに限らず
低温領域での低粘化が課題となっている。
【0022】本発明が解決しようとする課題は、低粘
化、特に低温領域での低粘化により高速応答を示すτ−
Vminモードに適した液晶組成物を実現することであ
り、さらに、この液晶組成物がτ−Vminモードに適し
た十分負に大きいΔεと、良好な配向性を実現するため
の十分な温度領域のSA相とを同時に発現することを必
要条件とする。上記のそれぞれの課題を単独に満足させ
ることは、そう困難なことではない。しかし、全ての課
題を同時に満たすことは容易ではない。加えて、この条
件を満たした上に、広い駆動温度範囲、低温保管性等の
諸条件が要求される。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するため鋭意研究の結果、公知の液晶組成物に新
しい成分を導入することにより所期の目的が達成される
ことを見い出した。すなわち本発明は以下の構成を有す
る。 (1) 一般式(AI)
【0024】
【化10】
【0025】(式中、R1は炭素数1〜12のアルキル
基又はアルコシキ基を示し、R2は炭素数1〜12のア
ルキル基を示す。)で表される化合物、一般式(AII)
【0026】
【化11】
【0027】(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に
炭素数1〜9のアルキル基を示し、環Aはベンゼン環又
はシクロヘキサン環を示す。)で表される化合物、及び
一般式(BI)
【0028】
【化12】
【0029】(式中、R5およびR6は、それぞれ独立に
炭素数1〜18のアルキル基又はアルコキシ基を示し、
Xは水素又はフッ素を示す。)で表される化合物を、各
々少なくとも1種類含有するスメクチック液晶組成物。 (2) 上記一般式(AI)及び一般式(AII)で表さ
れる化合物、及び一般式(BII)
【0030】
【化13】
【0031】(式中、R7およびR8は、それぞれ独立に
炭素数1〜18のアルキル基を示し、Xは水素又はフッ
素を示す。)で表される化合物を、各々少なくとも1種
類含有するスメクチック液晶組成物。
【0032】(3) 一般式(AI)で表される化合物
の含有量と一般式(AII)で表される化合物の含有量の
合計が液晶組成物全体の50wt%以上である上記
(1)項又は(2)項に記載のスメクチック液晶組成
物。 (4) 一般式(AI)で表される化合物の含有量が1
0〜60重量%であり、一般式(AII)で表される化合
物の含有量が30〜70重量%であり、かつ一般式(B
I)で表される化合物の含有量が5〜40重量%であ
る、上記(1)項に記載のスメクチック液晶組成物。 (5) 一般式(AI)で表される化合物の含有量が1
0〜60重量%であり、一般式(AII)で表される化合
物の含有量が30〜70重量%であり、かつ一般式(B
II)で表される化合物の含有量が5〜40重量%であ
る、上記(2)項に記載のスメクチック液晶組成物。 (6) 上記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の
組成物を全体量の70%以上含むスメクチック液晶組成
物。 (7) 上記(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の
液晶組成物に、少なくとも1種の光学活性化合物を添加
してなるカイラルスメクチック液晶組成物。 (8) 上記(7)項に記載のカイラルスメクチック液
晶組成物を使用した液晶表示素子。 (9) 強誘電性液晶のスメクチック層構造の折れ曲が
り方向と配向膜の一軸配向処理の方向とが同一である
(7)項に記載の液晶表示素子。 (10) 液晶層と配向膜との界面での液晶分子のプレ
チルト角が10度以下であることを特徴とする(8)項
または(9)項に記載の液晶表示素子。
【0033】(11) 電極を有する一対の絶縁基板
と、該基板間に介在させたカイラルスメクチック液晶組
成物と、前記電極に選択的に電圧を印加することによっ
て液晶の光軸を切り換える駆動手段と、前記光軸の切り
替えを光学的に識別する手段とを有する液晶表示素子で
あって、前記液晶組成物として、(7)項に記載のカイ
ラルスメクチック液晶組成物を用い、前記電極として複
数の走査電極と複数の信号電極が互いに交差する方向に
配列された電極を用い、該走査電極と該信号電極が交差
した領域のカイラルスメクチック液晶組成物が、2つの
安定状態を持った強誘電性液晶素子であって、該領域を
画素とし、該画素が選択されたとき、その画素へ第一パ
ルス電圧(V1)に引き続いて第二パルス電圧(V
2)、または第一パルス電圧(−V1)に引き続いて第
二パルス電圧(−V2)を印加すれば、該画素内のある
部分を構成する強誘電性液晶分子を一方の安定状態、ま
たは他方の安定状態とし、その同じ画素へ第一パルス電
圧(V3)に引き続いて第二パルス電圧(V4)、また
は第一パルス電圧(−V3)に引き続いて第二パルス電
圧(−V4)を印加すれば、その画素内の同じ部分を構
成する強誘電性液晶分子の安定状態を保持する、 0<V2<V4 V2−V1<V4−V3 なる関係にあるパルス電圧V1、V2、V3およびV4
を用いて画素を駆動することを特徴とする(8)、
(9)または(10)項のいずれか1項に記載の液晶表
示素子。
【0034】(12) カイラルスメクチック液晶組成
物が2つの安定状態を持った強誘電性液晶素子であっ
て、一方の安定状態から他方の安定状態へ書き換えるの
に必要な単極性パルスのパルス幅−パルス電圧特性にお
いて、パルス幅の極小値を与えるパルス電圧が60V以
下であることを特徴とする(11)項に記載の液晶表示
素子。 (13) カイラルスメクチック液晶組成物が2つの安
定状態を持った強誘電性液晶素子であって、一方の安定
状態から他方の安定状態へ書き換えるのに必要な単極性
パルスのパルス幅−パルス電圧特性において、パルス幅
の極小値を与えるパルス電圧が40V以下であることを
特徴とする(11)項に記載の液晶表示素子。
【0035】
【発明の実施の形態】本発明の主体は、一般式(AI)
で表される化合物及び一般式(AII)で表わされる化合
物と、一般式(BI)又は(BII)で表わされる化合物
とからなる組成物である。一般式(AI)及び一般式
(AII)で表される化合物は必須の成分であり、本願発
明の液晶組成物の基本の成分である。本願発明の液晶組
成物中におけるこれらの化合物の含有率は任意に設定が
可能であるが、好ましくは、一般式(AI)で表される
化合物を10〜60wt%、一般式(AII)で表される
化合物を30〜70wt%、一般式(BI)又は一般式
(BII)で表される化合物を5〜40wt%含有する組
成物であり、更に好ましくは、一般式(AI)で表され
る化合物を10〜50wt%、一般式(AII)で表され
る化合物を40〜55wt%、一般式(BI)又は一般
式(BII)で表される化合物を10〜40wt%含有す
る組成物である。このような範囲にある組成物は、高速
応答でありかつ、液晶温度領域及びΔεの値の両者が好
ましい範囲にある。
【0036】本発明に好適に使用できる(AI)の化合
物とその相転移温度を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】本発明に好適に使用できる一般式(AII)
における環Aがシクロヘキサン環である化合物とその相
転移温度を表2に示す。
【0039】
【表2】
【0040】本発明に好適に使用できる一般式(AII)
における環Aがベンゼン環である化合物とその相転移温
度を表3に示す。
【0041】
【表3】
【0042】本発明に好適に使用できる一般式(BII)
におけるXが水素である化合物とその相転移温度を表4
〜表6に示す。
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】
【表6】 本発明に好適に使用できる一般式(BII)におけるXが
フッ素である化合物とその相転移温度を表7および表8
に示す。
【0046】
【表7】
【表8】
【0047】本発明の組成物には、一般式(AI)、
(AII)、(BI)及び(BII)で表される化合物以外
の化合物を、組成物全体に対して30wt%以下の濃度
で添加することができる。それらの化合物は、好ましく
は液晶化合物であり、更に好ましくはスメクチック液晶
化合物である。更には、組成物全体の粘性が増大すると
組成物の応答が遅くなるので、添加する化合物の粘性は
低いほうが好ましい。また、これらの化合物は、粘性以
外の諸物性、例えばΔε、Δn等の大きさを調節するた
めに加えられる。そのような化合物の代表例を以下に示
す。
【0048】
【化14】
【0049】
【化15】
【0050】更に、上記本発明のスメクチック液晶組成
物は、これに光学活性化合物を添加して強誘電性液晶組
成物を調製することができる。添加する光学活性化合物
としては、本発明のスメクチック液晶組成物の特性が損
なわれないものであれば、公知の任意の化合物を使用す
ることができる。なかでも、高速応答を誘起するものが
より好ましい。光学活性化合物の添加の割合は、その化
合物の粘度とそれ自体の自発分極の大きさに依存する。
光学活性化合物は、液晶組成物を形成する基本物質に比
べて粘性が高い。過剰量の光学活性化合物の添加は組成
物の粘性を増加させ、ひいては応答時間の増大を招くの
で好ましくない。また、光学活性化合物は各々固有の誘
起する自発分極値を有し、光学活性化合物の添加量は組
成物の自発分極を決定する。既に述べたように、組成物
の自発分極が過大であると、内部に逆起電力が発生する
ので、τ−Vminモード用の組成物の自発分極には使用
上の上限がある。組成物の自発分極をこの上限値を越え
ない値に設定するため、必然的に添加量の上限が決ま
る。これらの観点より、光学活性化合物の添加量は組成
物全体の30wt%以下である必要があり、好ましくは
10wt%以下、さらに好ましくは5wt%以下であ
る。以下に、本発明に好ましく添加できる光学活性化合
物の構造を例示する。
【0051】
【化16】
【0052】さらに先行技術の項において、特表平2−
500191は主としてチアジアゾール化合物30wt
%以下を意図していることを述べた。これに対して本発
明の組成物は、(AI)及び(AII)成分を40wt%
以上、好ましくは50wt%以上の濃度で含むことが好
ましい。
【0053】以下、本発明を更に詳細に説明する。既述
の如く、一般式(AI)及び(AII)で表されるチアジ
アゾール環を含む液晶化合物は、既に多く知られてお
り、本発明者も、これらの化合物を用いた液晶組成物に
ついて特許出願を行った。本願発明では、先に出願した
該組成物の性能を、応答速度の面でさらに改善したもの
である。我々は先の出願(特願平06−339112)
で、下記一般式(AII)及び(BII)で表される化合物
を主成分とするスメクチック液晶組成物が、τ−Vmin
モードの強誘電性液晶表示素子に好適に使用できること
を明らかにした。
【0054】
【化17】
【0055】しかし、上記の組成物では、高速応答を実
現するためには以下の点で困難である。τ−Vmin用の
組成物は、Δεが負に十分大きくなくてはならない。上
記の組成物においては、Δεを負に大きくするには(A
II)成分を多く含んでいなければならない。また、良い
配向性を得るために必要な、十分広いSA相を得るため
にも、(AII)成分の使用が不可欠である。従って、上
記の組成物をτ−Vmin用に使用するには、組成物中の
(AII)成分の比率を多くする必要がある。しかし、一
般式(AII)で表される化合物は、その構造中に3つの
環を有するので、粘性が大きいという傾向にある。すな
わち、(AII)成分の多量の使用は、応答時間を短縮す
るためには不適である。そこで、我々は、構造中に2個
の環を有する一般式(AI)で表される化合物を使用す
ることにより、液晶組成物の低粘化をはかり、高速応答
性、特に、低温での高速応答性の実現を試みた。
【0056】後述の、実施例1及び比較例1に示した組
成(wt%)は以下のとおりである。 (AI)(AII)(BII) 実施例1 30 20 50 比較例1 0 50 50 実施例1と比較例1の応答時間の温度依存性を図1に示
す。実施例1の応答時間は、全温度範囲において、比較
例1より速くなっている。特に、25℃における応答時
間は実施例1が86.0μsec、比較例1が141.5
μsecであり、(AI)成分を含む実施例1が比較例1
に対して61%の短い時間で応答していることがわか
る。これは、低温領域での高速応答性を実現できたこと
を示している。
【0057】また、実施例1及び比較例2に示した組成
(wt%)は以下のとおりである。 (AI)(AII)(BII) 実施例1 30 20 50 比較例2 0 50 50 実施例1と比較例2の応答時間の温度依存性を図2に示
す。実施例1の応答時間は、全温度領域で、比較例2よ
り速くなっている。特に、25℃における応答時間は実
施例1が86.0μsec、比較例2が168.0μsecで
あり、(AI)成分を含む実施例1が比較例2に対して
51%の短い時間で応答していることがわかる。
【0058】実施例2及び比較例3に示した組成(wt
%)は以下のとおりである。 (AI)(AII)(BII) 実施例2 20 40 40 比較例3 0 60 40 実施例2と比較例3の応答時間の温度依存性を図3に示
す。実施例2の応答時間は、高温領域では比較例3とあ
まり変わらないが、25℃における応答時間は実施例2
が102.0μsec、比較例3が121.0μsecであ
り、(AI)成分を含む実施例2が比較例3に対して8
4%の短い時間で応答していることがわかる。
【0059】図4は本発明の強誘電性液晶組成物を用い
た液晶表示素子の基本構成を示す断面図である。この液
晶表示素子は、基本的に、導電性膜3、4を電極として
有する一対の絶縁性基板1、2と、該基板1、2の間に
介在させたスメクチック液晶組成物8と、前記電極に選
択的に電圧を印加することによって液晶の光軸を切り替
える駆動手段(図示せず)と、前記光軸の切り替えを光
学的に識別する手段としての偏光板9とからなる。な
お、図中、5は絶縁性膜、6は配向制御膜、7はシール
剤を示す。
【0060】絶縁性基板1および2としては、透光性の
基板が用いられ、通常ガラス基板が使用される。この絶
縁性基板上には、InO3、SnO2、ITO(Indium-Tin
Oxide)等をCVD(Chemical Vapor Deposition)法
あるいはスパッタ法で、所定のパターンの透明電極3お
よび4が形成される。透明電極の膜厚は50〜200nm
が好ましい。この透明電極上に、膜厚50〜200nmで
絶縁性膜5を形成する。この絶縁性膜には、例えばSi
2、SiNX、Al23、Ta25などの無機系薄膜、ポ
リイミド、フォトレジスト樹脂、高分子液晶などの有機
系薄膜などを使用することができる。絶縁性膜が無機系
の場合には蒸着法、スパッタ法、CVD法、溶液塗布法
等によって形成できる。また、有機系の場合には、有機
物質を溶かした溶液またはその前駆体溶液を用いて、ス
ピンナー塗布法、浸漬塗布法、スクリーン印刷法、ロー
ル塗布法などで塗布し、所定の硬化条件(加熱、光照射
等)で硬化させ形成する方法で形成することができ、あ
るいは蒸着法、スパッタ法、CVD法、LB(Langmuir
-Blodgett)法等で形成することもできる。この絶縁性
膜は省略することもできる。絶縁性膜5上には膜厚10
〜100nmの配向制御膜6が形成される。上述のように
絶縁性膜を省略した場合には導電性膜3および4の上に
直接配向制御膜を形成する。この配向制御膜6には無機
系あるいは有機系の膜を使用することができる。無機系
の配向制御膜には酸化ケイ素等が使用でき、その成膜方
法には、例えば、斜め蒸着法、回転蒸着法などの公知の
方法が使用できる。有機系の配向制御膜には、ナイロ
ン、ポリビニルアルコール、ポリイミド等が使用でき、
通常この上をラビングする。また、高分子液晶、LB膜
を用いる場合には、磁場により配向させたり、スペーサ
エッジ法による配向なども可能である。また、SiO2
SiNXなどを蒸着法、スパッタ法、CVD法などによっ
て成膜し、その上をラビングする方法も使用することが
できる。次に2枚の絶縁性基板1および2をシール材7
を介して張り合わせ、スメクチック液晶組成物8を注入
して液晶表示素子とする。スメクチック液晶組成物8と
して、前述の第(7 )項に記載した本発明のスメクチッ
ク液晶組成物を用いる。以上図4においては画素数1の
スイッチング素子として説明したが、本発明の液晶表示
素子は、大容量マトリクスの表示装置に適用可能であ
り、この場合には図5の平面模式図に示すように上下基
板1および2の電極配線をマトリクス型に組み合わせて
用いる。
【0061】次に、本発明の強誘電性液晶素子における
配向膜の一軸配向処理方法について述べる。上記液晶素
子における配向膜の一軸配向処理方法として、最も好ま
しい方法はラビング法である。ラビング法には、主にパ
ラレルラビング、アンチパラレルラビング、片ラビング
などの方法がある。パラレルラビングは上下基板をラビ
ングし、そのラビング方向が平行なラビング法である。
アンチパラレルラビングは上下基板をラビングし、その
ラビング方向が反平行なラビング法である。片ラビング
は上下基板のうち片側の基板のみラビングする方法であ
る。本発明において均一配向を得るための、最も好まし
い配向膜の一軸配向処理方法は、パラレルラビングで処
理されたセルとINAC相系列を有する強誘電性液晶を
組み合わせる方法である。この場合、ネマチック相にお
いて螺旋構造が存在するが、上下の基板の両側から分子
の配向方向を規制するため、ネマチック相において均一
な配向が得られやすく、その状態からスメクチックA
相、カイラルスメクチックC相へと降温してゆけば層法
線の方向のそろった均一な配向が容易に得られる。しか
しながらパラレルラビングの強誘電性液晶素子において
も、カイラルスメクチックC相において生じる配向状態
は決して一つではない。全面的に均一にならない原因は
二つある。一つはスメクチック層の折れ曲がりに関する
ものである。強誘電性液晶セルにおいて液晶相が折れ曲
がった層構造(シェブロン層構造)を示すことはよく知
られているが、図6に示すように二つの領域が存在しう
る。神辺らはこれらをプレチルトとの関係からC1、C
2と名付けている。
【0062】もう一つは、ユニフォーム(U)とツイス
ト(T)である。ユニフォームは消光位を示す配向、ツ
イストは消光位を示さない配向である。向殿らは、ハイ
プレチルト配向膜を用いたパラレルラビングの強誘電性
液晶セルにおいて、C1U(C1ユニフォーム)、C1
T(C1ツイスト)、C2の3つの配向が得られたこと
を報告している(M.Koden et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,3
0,L1823(1991))。また田川らは、詳細な検討をした結
果、プレチルト角5°以下のパラレルラビングの強誘電
性液晶セルにおいて、C1U、C1T、C2U(C2ユ
ニフォーム)、C2T(C2ツイスト)の4つの配向状
態が得られたことを報告している(A.Tagawa et al.,Ja
pan Display '92,519(1992))。図7にこれらの配向状態
の分子配向を示す。
【0063】負の誘電異方性を有する強誘電性液晶セル
において得られる4つの配向状態について比較すると、
C1UおよびC1T配向はスイッチングしにくいため駆
動が困難であり、また、C1T配向では消光位がないた
め、たとえスイッチングしても良好なコントラストが得
られない。これに対してC2U配向は良好なスイッチン
グ特性およびコントラストを与えること、また、C2T
配向は電界無印加時には消光性を示さないが、液晶材料
が負の誘電異方性を有する場合、適度なバイアス電界を
印加した場合にはユニフォーム配向のように消光性を示
すため、C2T配向でも良好なスイッチング特性及びコ
ントラストが得られることを本発明者らは見出した。C
1、C2配向の出現性はプレチルト角と関係がある。プ
レチルト角が0から15°の範囲ではC2状態が発生し
得る。向殿らが報告しているように、プレチルト角が高
いときにはC2状態は消光位を示す一つの状態しかな
く、これはむしろ好ましい。しかし、プレチルト角の増
加とともにC2配向よりC1配向になりやすくなる傾向
があるので、プレチルト角は10°以下が好ましい。
【0064】次に駆動法について述べる。本発明のスメ
クチック液晶組成物を用いた液晶表示素子は、負の大き
な誘電率異方性を有するので、τ−Vminモードに非常
に適している。Surguyらはτ−Vminモード用の駆動法
として図8に示す駆動波形(A)を用いたJOERS/
Alvey駆動法を報告している(P.W.H.Surguy et a
l.,Ferroelectrics,122,63(1991))。また、図9に示す
駆動波形(B)を一例とするMalvern駆動法(W
O92/02925(PCT))は、図10に示すよう
に、1タイムスロットの0V部分と1タイムスロットの
0Vでないメインパルス部分を用いた駆動波形(A)に
よるJOERS/Alvey駆動法に対して、メインパ
ルス幅を任意の長さに変えられるようにしたものであ
り、電圧を印加するタイミングを電極間で重ねられ、ラ
インアドレスタイムを小さくできるので好ましい駆動法
の一つである。このようなτ−Vminモードに用いられ
る駆動法は以下のような点で特徴付けられる。これらの
駆動法では、選択された走査電極上の画素へ、第一パル
ス電圧(V1)に引き続いて第二パルス電圧(V2)、
または、第一パルス電圧(−V1)に引き続いて第二パ
ルス電圧(−V2)を印加すれば、強誘電性液晶分子
を、電圧印加前の安定状態によらず、印加電圧の極性に
より一方の安定状態、または他方の安定状態とし、その
同じ画素へ第一パルス電圧(V3)に引き続いて第二パ
ルス電圧(V4)、または第一パルス電圧(−V3)に
引き続いて第二パルス電圧(−V4)を印加すれば、電
圧印加前の強誘電性液晶分子の安定状態を保持する、 0<V2<V4 V2−V1<V4−V3 なる電圧V1、V2、V3およびV4を用いる。すなわ
ち、選択期間最初の2タイムスロットにおいて、書き換
えに適用する波形よりも保持に適用する波形の方が、第
2パルス電圧が高く、かつ、第1パルスと第2パルスの
電圧差が大きい。例えばこのような電圧V1、V2、V
3およびV4は、図8の駆動波形(A)、および図9の
駆動波形(B)において、ともに、 V1=Vd、V2=Vs−Vd、V3=−Vd、V4=
Vs+Vd となる。液晶材料のτ−V特性における電圧Vminは、
駆動時印加される電圧の最大値に直接関係する。駆動に
用いる駆動回路の耐圧からVminが60V以下、また、
汎用のICドライバを使った駆動回路を用いるためには
Vminが40V以下である強誘電性液晶材料が必要とな
るが、本発明のスメクチック液晶組成物はこれを容易に
満たす。また、本発明のスメクチック液晶組成物を用い
た液晶素子のτ−Vminモード駆動においては、例えば
セルギャップや電極形状など素子構造を修飾するなどの
方法で、画素内に駆動特性の異なる領域を任意に作るこ
とによって、画素内の特定の部分の書き換えに適用する
波形を同じ画素内の他の部分では保持に適用する波形と
して用いたり、画素内の特定の部分の保持に適用する波
形を同じ画素内の他の部分では書き換えに適用する波形
として用いることが可能であるため、階調表示を行うこ
ともできる。なお、本発明の説明においては、本発明の
スメクチック液晶組成物を用いた液晶表示素子の非常に
好ましい利用法の一例として、パラレルラビング処理お
よび特定の駆動法などについて述べたが、もちろん、本
発明はこれに限定されるものではなく、別のタイプの液
晶表示素子や駆動法にも適用可能である。
【0065】
【実施例】以下に、実施例によって本発明をさらに詳細
に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。実施例及び比較例中において、各種の物性値
の測定は次の方法で行った。 相転移温度: 試料をスライドガラスに置き、カバーガ
ラスで覆ったものをホットプレートに乗せ、偏光顕微鏡
下で、1℃/minで昇温して測定した。 融点: 示差走査熱量分析(DSC)を用い、1℃/mi
nで昇温して測定した。 自発分極値(Ps): ソーヤ・タウアー法にて測定し
た。 傾き角(θ): ホモジニアス配向させたセルに、臨界
電場以上の十分高い電場を印加して、らせん構造を消滅
させ、さらに極性を反転させ、直交ニコル下における消
光位の移動角(2θに対応)より求めた。 応答時間: 配向処理を施した、電極間隔が2μmのセ
ルに各組成物を注入し、Vppが20V、1kHzの矩
形波を印加したときの透過光強度の変化から測定した。 誘電率異方性(Δε): 事前に容量を測定した垂直配
向剤を塗布した電極間隔2μmのセルとホモジニアス配
向処理を施した電極間隔2μmのセルに、各組成物をそ
れぞれ注入し、LCRメーターを用いて、25℃におい
て、1V、10kHzで各々のセルの容量を測定して算
出した。
【0066】実施例1 下記の組成のスメクチックC液晶組成物(A)を調製し
た。 2−(4−オクチルフェニル)−5−ヘプチルチアジアゾール 25重量% 2−(4−オクチルフェニル)−5−ウンデシルチアジアゾール 5重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ヘキシルフェニル) チアジアゾール 10重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ヘプチルフェニル) チアジアゾール 10重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 50重量% このスメクチックC液晶組成物(A)は下記の相転移温度
(℃)を示した。 Cr −32 SC 66.2 SA 69.8 N 71.5 Iso このスメクチックC液晶組成物(A)90重量%と、下
記の2種類の光学活性化合物各5重量%からなるカイラ
ルスメクチックC液晶組成物(I)を調製した。
【0067】
【化18】
【0068】このカイラルスメクチックC液晶組成物
(I)の相転移温度(℃)は Cr −45 SC* 60.8 SA 64.7 N* 68.4 Iso であり、強誘電性液晶特性は以下のようであった。 測定温度(℃) Ps(nC/cm2) θ(deg) τ(μsec) 55.8 4.0 14.1 24.4 50.8 6.3 20.1 32.2 45.8 8.9 22.5 36.8 40.8 10.1 24.4 44.5 25.0 16.6 27.5 86.0
【0069】比較例1 本発明者等が先に出願した特願平06−339112号
の実施例4に記載のスメクチックC液晶組成物(c)は
下記の組成を有している。 2−(4−オクチルフェニル)−5−(4−エチルフェニル)チアジアゾール 5重量% 2−(4−ヘキシルトランスシクロヘキシル)−5−(4−ペンチルフェニル ) チアジアゾール 45重量% 2−(4−ブチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 50重量% このスメクチックC液晶組成物(c)90重量%と、前
記の実施例1で用いた2種類の光学活性化合物各5重量
%からなるカイラルスメクチックC液晶組成物(II) を
調製した。このカイラルスメクチックC液晶組成物(I
I)の相転移温度(℃)は Cr −22 SC* 60.4 SA 78.3 N* 92.4 Iso であり、強誘電性液晶特性は以下のようであった。 測定温度(℃) Ps(nC/cm2) θ(deg) τ(μsec) 55.4 3.8 13.7 30.0 50.4 4.9 16.5 41.5 45.4 5.2 18.9 55.0 40.8 6.6 20.4 68.5 25.0 11.5 23.0 141.5
【0070】比較例2 本発明者等が先に出願した特願平06−339112号
の実施例5に記載のスメクチックC液晶組成物(d)は
下記の組成を有している。 2−(4−オクチルフェニル)−5−(4−エチルフェニル)チアジアゾール 25重量% 2−(4−ヘキシルトランスシクロヘキシル)−5−(4−ペンチルフェニル ) チアジアゾール 25重量% 2−(3−フルオロ−4−オクチルオキシフェニル)−5−オクチルピリジン 50重量% このスメクチックC液晶組成物(d)90重量%と、前
記の実施例1で用いた2種類の光学活性化合物各5重量
%からなるカイラルスメクチックC液晶組成物(III)を
調製した。このカイラルスメクチックC液晶組成物(II
I)の相転移温度(℃)は Cr −32 SC* 61.6 SA 78.9 N* 84.8 Iso であり、強誘電性液晶特性は以下のようであった。 測定温度(℃) Ps(nC/cm2) θ(deg) τ(μsec) 56.6 5.2 14.7 32.4 51.6 7.5 17.6 47.0 46.6 9.1 20.1 60.0 41.6 9.4 21.1 77.0 25.0 14.3 24.5 168.0
【0071】実施例2 下記の組成のスメクチックC液晶組成物(B)を調製し
た。 2−(4−オクチルフェニル)−5−ヘプチルチアジアゾール 15重量% 2−(4−オクチルフェニル)−5−ウンデシルチアジアゾール 5重量% 2−(4−ペンチルフェニル)−5−(4−オクチルフェニル) チアジアゾール 20重量% 2−(4−ペンチルフェニル)−5−(4−ノニルフェニル) チアジアゾール 20重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 40重量% このスメクチックC液晶組成物(B)は下記の相転移温度
(℃)を示した。 Cr −13 SC 78.6 SA 80.8 N 87.6 Iso このスメクチックC液晶組成物(B)90重量%と、前
記の実施例1で用いた2種類の光学活性化合物各5重量
%からなるカイラルスメクチックC液晶組成物(IV)を
調製した。このカイラルスメクチックC液晶混組成物(I
V)の相転移温度(℃)は Cr −15 SC* 72.9 SA 74.1 N* 84.4 Iso であり、強誘電性液晶特性は以下のようであった。 測定温度(℃) Ps(nC/cm2) θ(deg) τ(μsec) 67.9 3.8 16.7 26.4 62.9 6.6 22.4 29.8 57.9 8.9 23.9 33.0 52.9 10.3 25.6 37.5 25.0 19.2 29.7 102.0
【0072】比較例3 本発明者等が先に出願した特願平06−339112号
の実施例6に記載のスメクチックC液晶組成物(e)は
下記の組成を有している。 2−(4−ヘキシルフェニル)−5−(4−プロピルフェニル) チアジアゾール 20重量% 2−(4−ヘキシルトランスシクロヘキシル)−5−(4−オクチルフェニル ) チアジアゾール 40重量% 2−(4−ブチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 40重量% このスメクチックC液晶組成物(e)90重量%と、前
記の実施例1で用いた2種類の光学活性化合物各5重量
%からなるカイラルスメクチックC液晶組成物(V)を
調製した。このカイラルスメクチックC液晶組成物
(V)の相転移温度(℃)は Cr 2 SC* 67.2 SA 81.9 N* 99.3 Iso であり、強誘電性液晶特性は以下のようであった。 測定温度(℃) Ps(nC/cm2) θ(deg) τ(μsec) 62.2 4.5 12.9 22.6 57.2 6.6 16.2 31.5 52.2 8.0 19.5 38.5 47.2 9.4 21.2 47.5 25.0 16.9 26.3 121.0
【0073】実施例3 下記の組成のスメクチックC液晶組成物(C)を調製し
た。 2−(4−オクチルオキシフェニル)−5−ペンチルチアジアゾール 10重量% 2−(4−プロピルトランスシクロヘキシル)−5−(4−ペンチルフェニル ) チアジアゾール 30重量% 2−(4−ペンチルトランスシクロヘキシル)−5−(4−ペンチルフェニル ) チアジアゾール 20重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 40重量% このスメクチックC液晶組成物(C)は下記の相転移温
度(℃)を示した。 Cr −17 SC 65.5 SA 88.6 N 100.6 Iso このスメクチックC液晶混合物(C)90重量%と、前
記の実施例1で用いた2種類の光学活性化合物各5重量
%からなるカイラルスメクチックC液晶組成物(VI)を
調製した。このカイラルスメクチックC液晶組成物(V
I)の相転移温度(℃)は Cr −32 SC* 57.6 SA 80.6 N* 94.0 Iso であり、強誘電性液晶特性は以下のようであった。 測定温度(℃) Ps(nC/cm2) θ(deg) τ(μsec) 52.6 5.2 13.6 23.8 47.6 7.0 17.7 36.5 42.6 8.9 18.3 47.5 37.6 10.8 19.8 63.0 25.0 15.0 21.4 119.0
【0074】実施例4 下記の組成のスメクチックC液晶組成物(D)を調製し
た。 2−(4−オクチルフェニル)−5−ヘプチルチアジアゾール 35重量% 2−(4−オクチルフェニル)−5−ウンデシルチアジアゾール 15重量% 2−(4−エチルフェニル)−5−(4−ヘキシルフェニル)チアジアゾール 20重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ヘプチルフェニル) チアジアゾール 15重量% 2−(4−プロピルトランスシクロヘキシル)−5−(4−ペンチルフェニル ) チアジアゾール 5重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 10重量% このスメクチックC液晶組成物(D)は下記の相転移温
度(℃)を示した。 Cr −26 SC 67.5 SA 77.2 N 80.6 Iso このスメクチックC液晶組成物(D)90重量%と、前
記の実施例1で用いた2種類の光学活性化合物各5重量
%からなるカイラルスメクチックC液晶組成物(VII)を
調製した。このカイラルスメクチックC液晶組成物(VI
I)の相転移温度(℃)は Cr −29 SC* 62.5 SA 70.7 N* 76.3 Iso であり、強誘電性液晶特性は以下のようであった。 測定温度(℃) Ps(nC/cm2) θ(deg) τ(μsec) 57.5 6.8 13.9 21.8 52.5 9.1 18.8 30.4 47.5 11.5 21.0 36.8 42.5 13.6 22.8 45.0 25.0 19.7 26.8 92.0
【0075】実施例5 下記の組成のスメクチックC液晶組成物(E)を調製し
た。 2−(4−オクチルオキシフェニル)−5−ペンチルチアジアゾール 15重量% 2−(4−デシルオキシフェニル)−5−ペンチルチアジアゾール 20重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ヘプチルフェニル) チアジアゾール 25重量% 2−(4−ペンチルフェニル)−5−(4−オクチルフェニル) チアジアゾール 20重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 20重量% このスメクチックC液晶組成物(E)は下記の相転移温
度(℃)を示した。 Cr −4 SC 86.5 SA 96.8 N 101.8 Iso
【0076】実施例6 下記の組成のスメクチックC液晶組成物(F)を調製し
た。 2−(4−オクチルフェニル)−5−ウンデシルチアジアゾール 15重量% 2−(4−オクチルフェニル)−5−ヘプチルチアジアゾール 10重量% 2−(4−ペンチルフェニル)−5−(4−ヘプチルフェニル) チアジアゾール 15重量% 2−(4−ペンチルフェニル)−5−(4−オクチルフェニル) チアジアゾール 20重量% 2−(4−プロピルトランスシクロヘキシル)−5−(4−ペンチルフェニル ) チアジアゾール 15重量% 2−(4−ヘキシルトランスシクロヘキシル)−5−(4−ペンチルフェニル ) チアジアゾール 5重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 20重量% このスメクチックC液晶組成物(F)は下記の相転移温
度(℃)を示した。 Cr −34 SC 80.5 SA 92.7 N 100.5 Iso
【0077】実施例8 下記の組成のスメクチックC液晶混合物(G)を調製し
た。 2−(4−オクチルフェニル)−5−ウンデシルチアジアゾール 15重量% 2−(4−オクチルフェニル)−5−ヘプチルチアジアゾール 35重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ヘプチルフェニル) チアジアゾール 15重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ペンチルフェニル) チアジアゾール 15重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 20重量% このスメクチックC液晶組成物(G)は下記の相転移温
度を示した。 Cr −29 SC 66.6 SA 76.1 N 79.4 Iso
【0078】実施例9 下記の組成のスメクチックC液晶組成物(H)を調製し
た。 2−(4−オクチルフェニル)−5−ウンデシルチアジアゾール 20重量% 2−(4−オクチルフェニル)−5−ヘプチルチアジアゾール 40重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ペンチルフェニル) チアジアゾール 20重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ヘキシルフェニル) チアジアゾール 15重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 5重量% このスメクチックC液晶組成物(H)は下記の相転移温
度(℃)を示した。 Cr −5 SC 68.4 SA 79.3 N 82.1 Iso
【0079】実施例10 下記の組成のスメクチックC液晶組成物(J)を調製し
た。 2−(4−オクチルフェニル)−5−ヘプチルチアジアゾール 10重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ヘプチルフェニル) チアジアゾール 20重量% 2−(4−プロピルフェニル)−5−(4−ヘキシルフェニル) チアジアゾール 25重量% 2−(4−ヘキシルトランスシクロヘキシル−5−(4−ペンチルフェニル) チアジアゾール 25重量% 2−(4−ペンチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 10重量% 2−(3−フルオロ−4−オクチルオキシフェニル)−5−ヘプチルピリジン 10重量% このスメクチックC液晶組成物(J)は下記の相転移温
度(℃)を示した。 Cr 2 SC 89.1 SA 93.9 N 117.4 Iso
【0080】強誘電性液晶特性を測定するために、以下
の方法でセルを作成した。このセルの断面図を図11に
示す。まず、パターン化されたITO12が蒸着された
ガラス基板11を用意し、これを丁寧に洗浄した。その
基板上に絶縁膜13と配向膜14を塗布し、布で一方向
に擦ってラビングをかけた。そして、二枚の基板をラビ
ング方向が平行になるようにして貼り合わせた。こうし
て作成したセルは、電極間隔が約1.5μmであった。
この中に液晶組成物15を注入し、封止して液晶セルを
完成した。偏光顕微鏡で画素内がスメクチックC相にお
いて一様なC2U配向となっていることを確認し、そう
でない場合は再配向を行って一様なC2U配向を実現さ
せた。
【0081】全ての強誘電性液晶特性は上述の方法によ
って作製されたセルを用いて測定した。 メモリ角(2θm): クロスニコルにした偏光顕微鏡
にセルを乗せ、試料に±5V、周波数100kHzの矩
形波を印加した状態で、二つの消光位間の角度を計算す
ることで決定した。 自発分極: 矩形波を印加して分極反転電流を解析する
ことで決定した。 τmin、およびEminは、図12に示すように電圧の絶対
値がV、パルス幅がτの単極性パルスを一定周期Tごと
に電圧の極性を切り換えながら印加して,完全に書き換
わりを起こすパルス幅を測定し、得られτ−V曲線のτ
の最小値をτmin、その時のセルにかかる電界をEminと
した。さらにそのセルを用い、Malvern3における書き換
え用、非書き換え用の波形を一定周期ごとに電圧の極性
を切り換えながらセルに印加して駆動実験を行った。図
13中の(A)は、Malvern 3での書き換え用の波形
を、(B)はMalvern 3での非書き換え用の波形を表し
ている。書き換え用波形で完全に書き換わりを起こすパ
ルス幅の最小値と、非書き換え用波形で全く書き換わり
を起こさないパルス幅の最大値とで、それぞれτ−V曲
線を描いたとき、その両者に挟まれる領域が駆動可能領
域となる。従って、前者のτminが後者のそれよりも小
さければ、その試料は書き換え用波形のτminで駆動可
能であり、そうでなければその試料は書き換え用波形の
τminで駆動不可能である。駆動領域のτの最小値は最
速駆動点(fastest line address time,f.l.a.t.)と呼
ばれるもので、書き換え用波形のτminで駆動可能であ
れば、このτminがf.l.a.t.となる。この様子を図14
の(A)、(B)に示した。(A)の場合、書換え用波
形のτminで駆動可能、(B)の場合、書換え用波形の
τminで駆動不可能である。
【0082】実施例11 下記の2種類の光学活性化合物からなる光学活性組成物
(イ)を調製した。
【0083】
【化19】
【0084】実施例3に記載のスメクチックC液晶混合
物(C)98.5重量%と、上記の光学活性組成物
(イ)1.5重量%とからなる強誘電性液晶組成物(VI
I)を調製した。この強誘電性液晶組成物は下記の相転
移温度(℃)を示し、 SC* 64.5 SA 88.4 N* 101.1 Iso 25℃において測定した強誘電性特性は下記のとおりで
あった。 メモリ角(2θm) 21.1 deg. 自発分極 8.19 nC/cm2 τmin 13.5 μsec Emin 21 V/μm この強誘電性液晶組成物(VII)を用いた液晶表示素子
に、単極性パルスを印加したときのτ-V特性を図15の
(A)に、また Malvern 3の波形を印加したときのτ−
V特性を図15の(B)に示した。
【0085】実施例12 実施例4に記載のスメクチックC液晶混合物(D)9
8.5重量%と、上記の光学活性組成物(イ)1.5重
量%とからなる強誘電性液晶組成物(VIII)を調製し
た。この強誘電性液晶組成物は下記の相転移温度(℃)
を示し、 SC* 66.4 SA 76.8 N* 81.0 Iso 25℃において測定した強誘電性特性は下記のとおりで
あった。 メモリ角(2θm) 28.1 deg.. 自発分極 9.62 nC/cm2 τmin 15.4 μsec Emin 18 V/μm f.l.a.t. 21.0 μsec E at f.l.a.t. 15 V/μm この強誘電性液晶組成物(VIII)を用いた液晶表示素子
に、単極性パルスを印加したときのτ-V特性を図16の
(A)に、また Malvern 3の波形を印加したときのτ−
V特性を図16の(B)に示した。
【0086】実施例13 実施例5に記載のスメクチックC液晶混合物(E)9
8.5重量%と、上記の光学活性組成物(イ)1.5重
量%とからなる強誘電性液晶組成物(IX)を調製した。
この強誘電性液晶組成物は下記の相転移温度(℃)を示
し、 SC* 84.0 SA 96.0 N* 102.0 Iso 25℃において測定した強誘電性特性は下記のとおりで
あった。 メモリ角(2θm) 24.1 deg. τmin 18.2 μsec Emin 22 V/μm f.l.a.t. 17.2 μsec E at f.l.a.t. 20 V/μm この強誘電性液晶組成物(IX)を用いた液晶表示素子
に、単極性パルスを印加したときのτ-V特性を図17の
(A)に、また Malvern 3の波形を印加したときのτ−
V特性を図17の(B)に示した。 実施例14 実施例8に記載のスメクチックC液晶混合物(G)9
8.5重量%と、上記の光学活性組成物(イ)1.5重
量%とからなる強誘電性液晶組成物(X)を調製した。
この強誘電性液晶組成物は下記の相転移温度(℃)を示
し、 SC* 79.5 SA 92.5 N* 101.1 Iso 25℃において測定した強誘電性特性は下記のとおりで
あった。 メモリ角(2θm) 28.8 deg. 自発分極 10.95 nC/cm2 τmin 16.3 μsec Emin 18 V/μm f.l.a.t. 17.4 μsec E at f.l.a.t. 15 V/μm この強誘電性液晶組成物(X)を用いた液晶表示素子
に、単極性パルスを印加したときのτ-V特性を図18の
(A)に、また Malvern 3の波形を印加したときのτ−
V特性を図18の(B)に示した。
【0087】以上の実施例、比較例が示すとおり、本発
明により、応答速度が速く、τ−Vminを利用した強誘
電性液晶表示素子に好適に使用できるスメクチック液晶
組成物を得ることができる。
【0088】
【発明の効果】本発明により提供されるスメクチック液
晶組成物は、τ−Vminに適した十分負に大きいΔε
と、良好な配向性を実現するために十分な温度領域のS
A相と、速い応答速度を同時に発現する。この組成物を
利用した液晶表示素子は、実用的にτ−Vminを利用し
た強誘電性液晶素子として使用できる。
【0089】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1と比較例1の応答時間の温度依存性
を示す図。
【図2】 実施例1と比較例2の応答時間の温度依存性
を示す図。
【図3】 実施例2と比較例3の応答時間の温度依存性
を示す図。
【図4】 本発明のスメクチック液晶組成物を用いた強
誘電性液晶素子の構造および作製法を説明するための断
面図。
【図5】 本発明の液晶素子を用いて大容量の強誘電性
液晶素子を作製する方法を模式的に示した図。
【図6】 強誘電性液晶素子のC1配向とC2配向を説
明するための図。
【図7】 強誘電性液晶素子の4つの配向状態の分子配
向モデルを示す図。
【図8】 強誘電性液晶材料のτ-V特性を用いて強誘電
性液晶素子を駆動する駆動波形(A)を示す図。
【図9】 強誘電性液晶材料のτ-V特性を用いて強誘電
性液晶素子を駆動する駆動波形(B)を示す図。
【図10】 強誘電性液晶材料のτ-V特性を用いて強誘
電性液晶素子を駆動する駆動波形を示す図。
【図11】 本発明実施例で用いた液晶セルの構造を示
す断面図。
【図12】 実施例で用いた単極性パルスの波形を示す
図。
【図13】 Malvern 3 における書き換え用波形
(A)、及び Malvern 3における非書き換え用波形
(B)を示す図。
【図14】 Malvern 3におけるτ−V曲線と駆動領域を
示す図。
【図15】 実施例11の強誘電性液晶組成物(VII)を
用いた液晶表示素子に、単極性パルスを印加したときの
τ-V特性を示す図(A)、および Malvern 3の波形を印
加したときのτ−V特性を示す図(B)。
【図16】 実施例12の強誘電性液晶組成物(VIII)を
用いた液晶表示素子に、単極性パルスを印加したときの
τ-V特性を示す図(A)、および Malvern 3の波形を印
加したときのτ−V特性を示す図(B)。
【図17】 実施例13の強誘電性液晶組成物(IX)を
用いた液晶表示素子に、単極性パルスを印加したときの
τ-V特性を示す図(A)、およびMalvern 3 の波形を印
加したときのτ−V特性を示す図(B)。
【図18】 実施例14の強誘電性液晶組成物(X)を
用いた液晶表示素子に、単極性パルスを印加したときの
τ-V特性を示す図(A)、およびMalvern 3 の波形を印
加したときのτ-V特性を示す図(B)。
フロントページの続き (72)発明者 斉藤 秀雄 千葉県市原市飯沼195番地の6 (72)発明者 古川 智朗 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 竹田 均 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 向殿 充浩 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(AI) 【化1】 (式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基又はアルコ
    シキ基を示し、R2は炭素数1〜12のアルキル基を示
    す。)で表される化合物、一般式(AII) 【化2】 (式中、R3およびR4はそれぞれ独立に炭素数1〜9の
    アルキル基を示し、環Aはベンゼン環またはシクロヘキ
    サン環を示す。)で表される化合物、及び一般式(B
    I) 【化3】 (式中、R5およびR6はそれぞれ独立に炭素数1〜18
    のアルキル基又はアルコキシ基を示し、Xは水素又はフ
    ッ素を示す。)で表される化合物を、各々少なくとも1
    種類含有するスメクチック液晶組成物。
  2. 【請求項2】 一般式(AI) 【化4】 (式中、R1は炭素数1〜12のアルキル基又はアルコ
    シキ基を示し、R2は炭素数1〜12のアルキル基を示
    す。)で表される化合物、一般式(AII) 【化5】 (式中、R3 およびR4 はそれぞれ独立に炭素数1〜9
    のアルキル基を示し、環Aはベンゼン環又はシクロヘキ
    サン環を示す。)で表される化合物、及び一般式(BI
    I) 【化6】 (式中、R7及びR8はそれぞれ独立に炭素数1〜18の
    アルキル基を示し、Xは水素又はフッ素を示す。)で表
    される化合物を、各々少なくとも1種類含有するスメク
    チック液晶組成物。
  3. 【請求項3】 一般式(AI)で表される化合物の含有
    量と一般式(AII)で表される化合物の含有量の合計が
    液晶組成物全体の50wt%以上である請求項1又は請
    求項2に記載のスメクチック液晶組成物。
  4. 【請求項4】 一般式(AI)で表される化合物の含有
    量が10〜60重量%であり、一般式(AII)で表され
    る化合物の含有量が30〜70重量%であり、かつ一般
    式(BI)で表される化合物の含有量が5〜40重量%
    である、請求項1に記載のスメクチック液晶組成物。
  5. 【請求項5】 一般式(AI)で表される化合物の含有
    量が10〜60重量%であり、一般式(AII)で表され
    る化合物の含有量が30〜70重量%であり、かつ一般
    式(BII)で表される化合物の含有量が5〜40重量%
    である、請求項2に記載のスメクチック液晶組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれか1項に記載
    の組成物を全体量の70重量%以上含むスメクチック液
    晶組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の液晶組成物に、少なくとも1種の光学活性化合物を添
    加してなるカイラルスメクチック液晶組成物。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載のカイラルスメクチック
    液晶組成物を使用した液晶表示素子。
  9. 【請求項9】 強誘電性液晶のスメクチック層構造の折
    れ曲がり方向と配向膜の一軸配向処理の方向とが同一で
    ある請求項8記載の液晶表示素子。
  10. 【請求項10】 液晶と配向膜との界面での液晶分子の
    プレチルト角が10度以下であることを特徴とする請求
    項8または請求項9に記載の液晶表示素子。
  11. 【請求項11】 電極を有する一対の絶縁基板と、該基
    板間に介在させたカイラルスメクチック液晶組成物と、
    前記電極に選択的に電圧を印加することによって液晶の
    光軸を切り換える駆動手段と、前記光軸の切り替えを光
    学的に識別する手段とを有する液晶表示素子であって、
    前記液晶組成物として、請求項7に記載のカイラルスメ
    クチック液晶組成物を用い、前記電極として複数の走査
    電極と複数の信号電極が互いに交差する方向に配列され
    た電極を用い、該走査電極と該信号電極が交差した領域
    のカイラルスメクチック液晶組成物が、2つの安定状態
    を持った強誘電性液晶素子であって、該領域を画素と
    し、該画素が選択されたとき、その画素へ第一パルス電
    圧(V1)に引き続いて第二パルス電圧(V2)、また
    は第一パルス電圧(−V1)に引き続いて第二パルス電
    圧(−V2)を印加すれば、該画素内のある部分を構成
    する強誘電性液晶分子を一方の安定状態、または、他方
    の安定状態とし、またその同じ画素へ第一パルス電圧
    (V3)に引き続いて第二パルス電圧(V4)、または
    第一パルス電圧(−V3)に引き続いて第二パルス電圧
    (−V4)を印加すれば、その画素内の同じ部分を構成
    する強誘電性液晶分子の安定状態を保持する、 0<V2<V4 V2−V1<V4−V3 なる関係にあるパルス電圧V1、V2、V3およびV4
    を用いて画素を駆動することを特徴とする請求項8、9
    または10のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  12. 【請求項12】 カイラルスメクチック液晶組成物が2
    つの安定状態を持った強誘電性液晶素子であって、一方
    の安定状態から他方の安定状態へ書き換えるのに必要な
    単極性パルスのパルス幅−パルス電圧特性において、パ
    ルス幅の極小値を与えるパルス電圧が60V以下である
    ことを特徴とする請求項11記載の液晶表示素子。
  13. 【請求項13】 カイラルスメクチック液晶組成物が2
    つの安定状態を持った強誘電性液晶素子であって、一方
    の安定状態から他方の安定状態へ書き換えるのに必要な
    単極性パルスのパルス幅−パルス電圧特性において、パ
    ルス幅の極小値を与えるパルス電圧が40V以下である
    ことを特徴とする請求項11記載の液晶表示素子。
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