JPH08160373A - 液晶表示素子とその製造法及び駆動方法、並びに液晶組成物 - Google Patents

液晶表示素子とその製造法及び駆動方法、並びに液晶組成物

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JPH08160373A
JPH08160373A JP7234246A JP23424695A JPH08160373A JP H08160373 A JPH08160373 A JP H08160373A JP 7234246 A JP7234246 A JP 7234246A JP 23424695 A JP23424695 A JP 23424695A JP H08160373 A JPH08160373 A JP H08160373A
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crystal phase
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JP7234246A
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Fumio Moriwaki
文雄 森脇
Satoshi Hachiya
聡 蜂屋
Hiroyuki Endo
博之 遠藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配向安定性及び耐衝撃性に優れるとともに、
電界に対して高速に応答する液晶表示素子、その製造
法、駆動方法及びその液晶表示素子の液晶材料として好
適に用いられる液晶組成物を提供する。 【解決手段】 少なくとも一方が透明な一対の電極付き
基板により液晶を挟持した液晶表示素子において、1画
素内の液晶を少なくとも2種の液晶相で構成し、全ての
液晶相の層法線方向または配向方向をほぼ同一とするこ
とにより、液晶相界面の配向の乱れによるコントラスト
の低下を防止し、電界に最も遅く応答する液晶相として
最も高速に応答する液晶相の応答時間の50倍以上の応
答時間を要する液晶相を用い、その液晶相を液晶表示素
子の駆動時には電界に応答させないことにより、その低
速応答液晶相に配向安定性及び耐衝撃性向上の機能を持
たせ、高速に応答する液晶相に高速応答性の機能を発揮
させることを可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オプトエレクトロ
ニクス分野において表示素子として好適に用いられる液
晶表示素子とその製造法及び駆動方法、並びにその液晶
表示素子の液晶材料として好適に用いられる液晶組成物
に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示素子は、薄型軽量で、かつ消費
電力も少ないことから、パネル型やポータブル型等のデ
ィスプレイ装置用の表示素子として注目されており、ま
た、液晶表示素子の表示品位の向上を目指した開発も進
んでいる。特に、液晶には一般に電界に対する応答速度
が遅いという難点があり、液晶表示素子で高精細かつ高
品位の表示を行うには、応答速度の速い液晶を開発し、
使用する必要がある。
【0003】そこで着目されたのが、高速応答性を有
し、メモリ性や双安定性を有するなど、他の液晶に比べ
て優れた性質を持つ強誘電性液晶である。しかしなが
ら、強誘電性液晶を用いた表示素子については、クラー
クとラガウォールによる表示方式の提案(特開昭56−
107216号公報、特開昭63−153521号公
報)以来活発な研究が行われてきたものの、下記のよう
な理由から未だ実用例は少ない。
【0004】例えば、低分子強誘電性液晶を用いた液晶
表示素子は、電界に対して高速に応答はするものの、耐
衝撃性が不十分であり、また、液晶を配向させるには配
向膜が不可欠であり、製造工程が複雑であるという難点
がある。
【0005】このような低分子強誘電性液晶の難点を克
服するために、高分子強誘電性液晶が開発された(国際
公開92/01731号公報、特開平6−73179号
公報等)。高分子強誘電性液晶は製膜性に優れ、また剪
断法による配向法等を用いることにより配向膜を用いず
に配向させることが可能であることから、液晶表示素子
の製造に用いることにより、配向性に優れ、耐衝撃性に
も優れた表示素子を容易に製造することができる。しか
し、高分子強誘電性液晶は一般に電界に対する応答が遅
く、それらを用いた液晶表示素子は、応答速度が遅く、
十分に高品位の表示を得るには至っていない。
【0006】このような低分子強誘電性液晶を用いた液
晶表示素子及び高分子強誘電性液晶を用いた液晶表示素
子のそれぞれの欠点を解消する手段として、強誘電性液
晶を含む低分子スメクチック液晶と高分子強誘電性液晶
との均一組成物の使用が提案された(特開平5−202
358号公報、特開平6−73179号公報等)。この
均一組成物を用いた液晶表示素子は、配向性、応答性と
もに比較的良好ではあるものの、動画表示等の極めて高
速な応答を必要とする表示にはやはり不十分である。
【0007】一方、液晶としては高速応答性を有する低
分子強誘電性液晶のみを用い、配向性、耐衝撃性を向上
させる手段としては応答に関与しない非液晶性の高分子
物質を使用する方法も提案されている。例えば、特開平
2−36299号公報及び特開平2−232293号公
報には、低分子強誘電性液晶と接着剤からなる液晶組成
物が開示されている。この液晶組成物を用いた液晶表示
素子は、配向性、応答性ともに良好である。しかし、液
晶が接着剤により変質しやすく、また、接着剤相が光を
散乱するため、コントラストが低いという欠点がある。
また、特開昭61−47427号公報には、低分子強誘
電性液晶とポリスチレン等の熱可塑性非晶質ポリマーと
からなる液晶組成物が開示されている。この液晶組成物
を用いた液晶表示素子は応答性が良好であり、上記の接
着剤による液晶の変質といった障害はないものの、強度
向上のためにポリマーの比率を高くすると配向操作が困
難になるという欠点がある。
【0008】更に、特開平4−281425号公報に
は、強誘電性液晶相中に高分子液晶等の高分子を1〜2
μm程度の間隔で分散させ、かつ配向させた表示素子が
開示されている。しかしながら、この場合、高分子液晶
等の高分子が両基板間に柱状に存在する領域がなく、耐
衝撃性が十分でないという欠点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであり、配向安定性及び耐衝撃性
に優れるとともに高速応答性をも有する液晶表示素子を
提供することを目的とする。
【0010】また、本発明は、上記の液晶表示素子の製
造法、並びに、その液晶表示素子にその高速応答性を十
分に発揮させ、高精細、高品位の表示を可能にする上記
液晶表示素子の駆動方法を提供することを目的とする。
【0011】更に、本発明は、配向安定性及び耐衝撃性
と高速応答性との両方の実現を可能にする液晶材料であ
り、上記の液晶表示素子の液晶材料として好適に用いら
れる液晶組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために検討を重ねた結果、高速応答性を付与す
る液晶相と、配向性、耐衝撃性を付与する相とを存在さ
せるにあたり、後者の相を液晶相とし、全相の層法線方
向または配向方向をそろえることにより、相間界面の配
向の乱れによるコントラストの低下を防ぐことができる
ことを見出した。また、前述の如く、高分子液晶など配
向性、耐衝撃性に優れる液晶は一般に応答速度が遅い
が、それらを配向性及び耐衝撃性に寄与する相として用
い、高速に応答する液晶相との応答速度の差を大きく
し、特定の駆動方法で駆動させることにより、液晶表示
素子の応答性の悪化を防ぐことができることも見出し
た。これらの知見に基づき、本発明者らは本発明を完成
するに至った。
【0013】即ち、本発明は、少なくとも一方が透明な
一対の電極付き基板により液晶を挟持した液晶表示素子
において、1画素内の液晶が少なくとも2種の液晶相か
らなり、各液晶相が層構造を有する場合は該液晶相の層
法線方向に、層構造を持たない場合は該液晶相の配向方
向に着目しそれらを比較した場合に、全ての液晶相の該
層法線又は該配向方向がほぼ同一であり、電界に最も高
速に応答する液晶相の応答時間が最も遅く応答する液晶
相の応答時間の1/50以下であることを特徴とする液
晶表示素子を提供するものである。
【0014】また、本発明は、本発明の液晶表示素子の
一態様であって、最も高速に応答する液晶相が強誘電相
であり、液晶表示素子の駆動時に、最も遅く応答する液
晶相が電界応答しない高次のスメクチック相又は凍結さ
れたガラス状態にあり、その配向方向が、最も高速に応
答する液晶相の駆動において実現する2つの配向方向の
一方とほぼ同一である液晶表示素子の製造法を提供する
ものである。
【0015】この製造法は、最も高速に応答する液晶相
が強誘電相である本発明の液晶表示素子の液晶相を配向
後、電界を一方向に印加したまま又は電界を一方向に印
加した後電界を切り、冷却又は室温で放置することによ
り、強誘電相を有し電界に最も遅く応答する液晶相を電
界応答しない高次のスメクチック相へ転移させるか、又
はガラス状態へ凍結させることを特徴とする。
【0016】また、本発明は、最も高速に応答する液晶
相が強誘電相である本発明の液晶表示素子の駆動方法で
あって、最も高速応答する液晶相を駆動するには十分な
電圧及びパルス幅ではあるが、最も遅く応答する液晶相
を駆動するには不十分であるようなパルス電圧を印加す
ることを特徴とする上記液晶表示素子の駆動方法を提供
する。
【0017】更に、本発明は、上記本発明の液晶表示素
子のうち、最も高速に応答する液晶相及び最も遅く応答
する液晶相が強誘電相であるものの駆動方法であって、
最も遅く応答する液晶相が応答するのに十分な電圧及び
パルス幅のパルス電圧を印加して、最も遅く応答する液
晶の配向方向を最も高速に応答する液晶相の駆動におい
て実現する2つの配向方向の一方とほぼ同一とした後
に、最も高速に応答する液晶相を駆動するには十分な電
圧及びパルス幅であるが、最も遅く応答する液晶相を駆
動するには不十分であるようなパルス電圧を印加するこ
とを特徴とする上記液晶表示素子の駆動方法を提供す
る。
【0018】また、本発明は上記本発明の液晶表示素子
の液晶材料として好適に用いられる液晶組成物を提供す
るものであり、この液晶組成物は、電界に対する応答速
度の異なる2種以上の液晶相に相分離する液晶組成物で
あって、最も高速に応答する液晶相の該液晶組成物中で
の応答時間が、最も遅く応答する液晶相の該液晶組成物
中での応答時間の1/50以下であることを特徴とす
る。
【0019】
【発明の実施の形態】
[液晶表示素子及び好ましい態様の液晶表示素子の製造
法]なお、本発明において、[液晶相が層構造を有する
場合は層法線方向に、層構造を有しない場合は液晶の配
向方向に着目し、それらを比較した場合に、それらがほ
ぼ同一である]とは、下記の意味を有する。
【0020】すなわち、全ての液晶相が層構造を有する
場合はそれらの層法線方向がほぼ同一であることを意味
し、全ての液晶層が層構造を持たない場合は、それらの
配向方向がほぼ同一であることを意味し、層構造を持つ
ものと持たないものとが混在する場合は、層構造を持つ
液晶相においては層法線、層構造を持たない液晶相につ
いては配向方向に着目し、それらを相互に比較した場合
にそれらがほぼ同一であることを意味する。
【0021】本発明の液晶表示素子では、1画素内の液
晶が少なくとも2種の液晶相で構成されている。
【0022】液晶表示素子の1画素内に複数の液晶相が
存在すれば、当然それらの構成成分も異なるため、電
圧、パルス幅の同一な電界を印加しても、素子駆動時の
各液晶相の電界応答時間は異なる。例えば、1画素内に
2種の液晶領域があり、各々が電界に応答する場合、画
素全体としてのその応答挙動は図1のようになる。
【0023】そして、本発明では、1画素内に存在する
液晶相のうち、最も高速に応答する液晶相は、最も遅く
応答する液晶相の応答時間の1/50以下の応答速度を
有する。従って、液晶表示素子の駆動時に印加電圧やパ
ルス幅を調整することにより、容易に、少なくとも1種
の電界応答する液晶相と、少なくとも1種の電界応答し
ない液晶相とを存在させることができる。電界応答する
液晶相としない液晶相が存在すれば、電界応答する液晶
相には高速応答性を付与し、電界応答しない液晶相には
配向安定性、耐衝撃性を付与するという役割分担によ
り、高速応答性、配向安定性、耐衝撃性を合わせ持った
液晶表示素子を作製することが可能になる。更に、本発
明では、最も遅く電界応答する液晶相が両基板に垂直な
方向に連続して存在する領域、即ち、柱状の構造が両基
板間に形成されるので、この柱状の構造が配向安定性、
耐衝撃性の向上に役立つ。
【0024】最も高速に応答する液晶相の応答時間が最
も遅く応答する液晶相の応答時間の1/50を超える
と、各液晶相の電界応答のしきい値特性が悪い場合、少
なくとも1種の電界応答する液晶相と少なくとも1種の
電界応答しない液晶相とが存在する状態を電圧やパルス
幅の調整で作り出すことが困難になる。最も高速に応答
する液晶相の好ましい応答時間は、最も遅く応答する液
晶相の応答時間の1/500以下である。
【0025】なお、応答時間の比較は、ある電圧値のパ
ルス電圧を印加した場合に、各相において明暗のスイッ
チングが起こる最短のパルス幅を比較することによって
行う。
【0026】従って、ある電圧値を有するパルス電圧を
時間aだけ印加した場合に相Aは明暗のスイッチングを
起こさず、同じ電圧を有するパルス電圧を時間b(a>
b)印加した場合に相Bが明暗のスイッチングを起こす
場合、Bの電界応答時間は、Aのそれのb/a以下であ
ると判断する。
【0027】また、本発明においては、液晶相がカイラ
ルスメクチックC相等のスメクチック層のように層構造
を有する場合には層法線方向に、ネマチック相のように
層構造を持たない場合は液晶の配向方向に着目してそれ
らを相互に比較した場合に、それらがほぼ同一であるた
め、液晶相と液晶相の界面で配向が乱れにくい。従っ
て、液晶の配向の乱れによるコントラストの低下を抑え
ることができる。
【0028】最も高速に応答する液晶相としては、応答
性に優れたカイラルスメクチックC相等の強誘電相が好
ましい。また、最も高速に応答する液晶相が強誘電相で
あれば、後述する方法でコントラストの低下を更に最小
限に抑えることが可能となる。
【0029】最も高速に応答する液晶相としては前述の
ように強誘電相がふさわしく、従って、その主成分は単
一の強誘電性液晶化合物又は2種以上の成分からなる強
誘電性液晶組成物、しかも高速応答性を有するという点
から、低分子のそれらがより好ましい。
【0030】また、最も遅く応答する液晶相の主成分と
しては、配向性に優れ、耐衝撃性にも優れた材料、すな
わち、種々の高分子液晶がふさわしい。高分子液晶であ
り、高速応答する液晶相の成分、例えば低分子液晶と相
分離するものであれば、特に制限なく好適に用いること
ができる。ただし、後述する最も遅く応答する液晶相の
配向方向の制御を行うためには、最も遅く応答する液晶
相(例えば高分子液晶を主成分とする液晶相)と最も高
速に応答する液晶相(例えば低分子液晶を主成分とする
液晶相)とは、ある温度域で共に強誘電相を持つことが
好ましい。従って、最も遅く応答する液晶相の主成分
は、高分子強誘電性液晶又は高分子強誘電性液晶組成物
であることが好ましい。
【0031】最も遅く応答する液晶相は、液晶表示素子
を駆動する際には電界応答する必要はなく、スメクチッ
クI相、スメクチックF相のような電界に応答しない高
次のスメクチック相や、例えばカイラルスメクチックC
相における配向状態は保持されているがもはや電界応答
しなくなったいわゆる凍結されたガラス状態であっても
よい。この場合、最も遅く応答する液晶相を応答させな
いように印加パルスのパルス幅や電圧を調整しなくて
も、配向安定性、耐衝撃性のみに寄与する部分として利
用することができるため、役割分担により高速応答性、
配向安定性、耐衝撃性を合わせ持った液晶表示素子を作
製するためには、より有利である。
【0032】これらの液晶相の成分の詳細及び具体例に
ついては、後に本発明の液晶表示素子に好適に用いられ
る液晶組成物に関する説明において詳述する。
【0033】なお、上記の特長を有する本発明の液晶表
示素子を実現するためには、最低限2種の液晶相、即ち
電界に対して遅く応答する液晶相と、その応答時間と比
較して応答時間が1/50以下である高速に応答する液
晶相とが1画素内に存在すればよい。
【0034】この場合、低速に応答する液晶相を構成す
る液晶の割合は、両液晶相を構成する液晶の合計量に対
して5〜40重量%、好ましくは6〜27重量%が望ま
しい。5重量%未満では相分離が不十分になりやすく、
40重量%を超えるとパルス電圧に応答する領域が狭く
なり、コントラストが低下する畏れがある。
【0035】このように1画素内の液晶が2種の液晶相
のみからなる場合も、低速に応答する液晶領域には配向
性に優れた材料、即ち、種々の高分子液晶が好ましい。
先に記載した如く、低分子強誘電性液晶とポリスチレン
との組成物を用いる従来の液晶素子においては、ポリマ
ーの割合が高くなるとそれが配向操作の障害になるとい
う問題があった。しかし、高分子液晶はそれ自身も配向
するため、その割合が20重量%以上であっても配向操
作の障害になるようなこともなく、配向度の高い液晶表
示素子を得やすい。また、高分子液晶を用いた場合に
は、配向操作中に基板の剥離がおこる可能性が小さいと
いう利点もある。
【0036】3種以上の液晶相が存在する場合、最も高
速に応答する液晶相及び最も遅く応答する液晶相以外の
液晶相は、例えば、役割分担として高速応答を担当す
る。そして、高速応答を担当する液晶相間の応答速度の
差を利用すれば、パルス幅の選択によりそれらを応答さ
せるかさせないかの選択が可能になり、階調表示が可能
になる。このような液晶相としては、高速応答を担当す
ることから、強誘電相であることが好ましく、その応答
速度が最も高速に応答する液晶相と大きく異なっていな
いことが好ましい。例えば、そのような液晶相として
は、最も高速に応答する液晶相の応答時間の5倍以内の
時間で電界応答するものが好ましい。
【0037】次に、最も高速に応答する液晶相を強誘電
相とすることにより、コントラストの低下を最小限に抑
えるための方法について説明する。
【0038】最も高速に応答する液晶相が強誘電相であ
る場合、その液晶相は2つの安定状態を有しており、そ
れら2状態間でスイッチングを行うことが可能である。
【0039】ここで、最も遅く応答する液晶相が、液晶
表示素子の駆動時には電界応答しない高次のスメクチッ
ク相や凍結されたガラス状態であり、その配向方向が最
も高速に応答する液晶相において存在する前記の2状態
の一方の配向方向とほぼ同一である場合を考える。図2
はそのような場合の各液晶相の配列状態の一例を示す説
明図である。Aは最も高速に応答する液晶相の配向状態
を示し、低分子強誘電性液晶の液晶分子1が、点線と実
線の2つの安定状態にスイッチング可能な状態で配向し
ている。Bは最も遅く応答する液晶相の配向状態を示
し、高分子液晶の液晶性側鎖2が、電界応答しない状態
で、低分子強誘電性液晶の液晶分子の2つの安定状態の
一方の配向とほぼ同一の方向に配向している。このよう
な液晶表示素子を直交する偏光軸3、4を有する2枚の
偏光板と組み合わせる際に、一方の偏光板の偏光軸を、
最も高速に応答する液晶相における2状態のうちの、そ
の配向方向が最も遅く応答する液晶相の配向方向とほぼ
同一である状態の配向方向と揃えてやれば、暗状態をよ
り暗くし、つまり、最も遅く応答する液晶相からの光の
透過を最小限に抑え、コントラストの低下を最小限にす
ることができる。
【0040】このような状態を実現するには、例えば、
先に記載した本発明の製造法に従い、最も遅く応答する
液晶相の液晶材料として強誘電相を有する液晶を用い、
電界に最も遅く応答する液晶相を電界応答しない高次の
スメクチック相へ転移させるか、又はガラス状態へ凍結
させる方法が好適に用いられる。
【0041】例えば、最も遅く応答する液晶相の材料と
して、強誘電相を有し、−40〜30℃の適当な温度に
冷却又は放置すると強誘電相が電界応答しない高次のス
メクチック相に転移するかガラス状態へと凍結し、しか
も室温での液晶表示素子駆動時にはその状態を保持する
ような材料を選び、高速応答する液晶相には、同様の操
作で素子駆動時には電界応答しない高次のスメクチック
相とならず、ガラス状態にも凍結しない強誘電性液晶材
料を選ぶ。そして、最も遅く応答する領域が強誘電相の
状態で、液晶表示素子に例えば1〜100Vの範囲の適
当な直流電圧を印加し、最も遅く応答する液晶相の配向
方向を最も高速に応答する液晶において実現する2状態
のいずれか一方の配向方向とほぼ同一としたまま、又は
そのような電界印加後に電界を切って、−40〜30℃
の適当な温度に冷却又は放置し、低速に応答する領域を
電界応答しない高次のスメクチック相や凍結されたガラ
ス状態とした後、再び室温にもどせばよい。このコント
ラストの低下を最小限に抑えるための方法も、最低限2
種の液晶相、すなわち電界に対して遅く応答する液晶相
と、その応答時間と比較して応答時間が1/50以下で
ある高速に応答する液晶相とが1画素内に存在すれば実
現できる。
【0042】[液晶表示素子の駆動方法]上記本発明の
駆動方法は、最も遅く応答する液晶相が電界応答しない
状態に転移又は凍結されていない場合にも、本発明の液
晶表示素子の上記特長を十分に発揮させるための駆動方
法である。即ち、最も高速応答する液晶相を駆動するに
は十分な電圧及びパルス幅ではあるが、最も遅く応答す
る液晶相を駆動するには不十分であるようなパルス電圧
を電極間に印加することにより、本発明の液晶表示素子
を駆動する。このような駆動方法により、1画素内に少
なくとも1種の電界応答する液晶相が存在し、少なくと
も1種の電界応答しない液晶相も存在するような状態を
実現することができる。
【0043】また、最も高速に応答する液晶相及び最も
遅く応答する液晶相が2つの安定した配向状態をとりう
る強誘電性液晶である場合には、最も遅く応答する液晶
相が応答するのに十分な電圧及びパルス幅のパルス電圧
を電極間に印加して、最も遅く応答する液晶の配向方向
を、最も高速に応答する液晶相の駆動において実現する
2つの配向方向の一方とほぼ同一とした後に、上記の駆
動方法と同様に、最も高速に応答する液晶相を駆動する
には十分な電圧及びパルス幅であるが、最も遅く応答す
る液晶相を駆動するには不十分であるようなパルス電圧
を電極間に印加して駆動を行う方法が好適である。この
駆動方法による駆動時に、図2において示したような偏
光板の配置を行うことにより、応答速度の遅い液晶相が
電界応答しない状態に転移又は凍結されていなくても、
暗状態をより暗くし、コントラストの低下を最小限に抑
えることができる。
【0044】[液晶組成物]本発明の液晶組成物は、上
記本発明の液晶表示素子の液晶材料として好適に用いら
れ、電界に対する応答速度が異なる2種以上の液晶相に
相分離する液晶組成物であって、最も高速に応答する液
晶相の該液晶組成物中での応答時間が、最も遅く応答す
る液晶相の該液晶組成物中での応答時間の1/50以下
であるものである。
【0045】電界に対する応答速度の異なる2つの液晶
相に相分離する液晶組成物としては、以下に述べる高速
応答液晶相及び低速応答液晶相の主成分を含有する組成
物を挙げることができる。
【0046】−高速応答液晶相− 高速に応答する液晶相の主成分としては、低速に応答す
る液晶相と相分離し、電界に対して高速応答すればどの
ような液晶でも使用可能であるが高速応答する各種の液
晶のなかでも、特に高速応答性に優れる強誘電性液晶又
は強誘電性液晶組成物、好ましくは低分子強誘電性液晶
又は低分子強誘電性液晶組成物が特に好適に用いられ
る。中でも、(1)両末端基のいずれにも分枝構造を有
する低分子強誘電性液晶が、又は(2)両末端基のいず
れにも分枝構造を有する光学活性な低分子化合物及び少
なくとも一方の末端基に少なくとも1つの分枝構造を有
する光学的に不活性なスメクチックC低分子液晶が合計
して、60〜100重量%含まれる低分子強誘電性液晶
組成物が、低速に応答する液晶相との相分離性に優れて
おり、より好ましい。上述の低分子強誘電性液晶及び光
学活性な低分子化合物の分枝構造の少なくとも1つはラ
セミでない不斉炭素に基づくものであり、それ以外は光
学的に不活性あるいはラセミであってもよい。また、分
枝構造は3級あるいは4級の炭素、ケイ素、3級の窒素
【0047】
【化8】 原子1個につき分枝1個として計算する。上述の低分子
強誘電性液晶及び光学活性な低分子化合物の分枝構造は
2〜7個が好ましい。3又は4個がより好ましい。ま
た、上述の光学的に不活性なスメクチックC低分子液晶
の分枝構造は1〜6個が好ましい。1〜3個がより好ま
しい。上述の低分子強誘電性液晶としては、例えば、下
記の化合物(I)及び(IIb)のうち、強誘電性液晶
相を有する化合物が挙げられる。上述の光学活性低分子
化合物としては、例えば、下記の化合物(I)及び(I
Ib)が挙げられる。上述の光学的に不活性なスメクチ
ックC低分子液晶としては、例えば、下記の化合物(I
Ia)のうち光学活性アルキル基をもたず、スメクチッ
クC相を示す化合物、及び下記の化合物(III)のう
ちスメクチックC相を示す化合物が挙げられる。
【0048】このような低分子強誘電性液晶及び低分子
強誘電性液晶組成物の例としては、例えば、下記の
[1]〜[4]に記載される一般式(I)〜(VII)
で表される液晶化合物のうち、(イ)一般式(I)で表
される低分子強誘電性液晶、(ロ)一般式(IIb)で
表される低分子強誘電性液晶、(ハ)一般式(I)で表
される低分子化合物及び一般式(IIb)で表される低
分子化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種と、
一般式(III)で表されるスメクチックC相を有する
低分子液晶及び一般式(IV)〜(VII)で表される
スメクチックC相を有する低分子液晶からなる群から選
ばれる少なくとも1種とを含有し、一般式(IIa)で
表される低分子液晶のうちR4が光学活性基ではない低
分子液晶を含有していてもよい低分子強誘電性液晶組成
物の(イ)(ロ)(ハ)が挙げられる。
【0049】なお、上記低分子強誘電性液晶組成物
(ハ)中の化合物(I)及び化合物(IIa)の合計量
は、40重量%以上、好ましくは40〜90重量%、更
に好ましくは50〜70重量%とすることが望ましい。
40重量%未満では、配向が不安定となることがある。
【0050】[1] 下記一般式(I)
【0051】
【化9】 (式中、s、tは2〜5の整数、aは4〜16の整数、
bは0〜3の整数、cは1〜7の整数、*は不斉炭素原
子を表す。)で表される化合物(I)。この化合物
(I)は前記(イ)においては低分子強誘電性液晶でな
ければならないが、前記(ハ)の構成成分として用いる
場合は、必ずしも液晶性を示す必要はない。
【0052】化合物(I)の好適な具体例としては、下
記のものが挙げられる。
【0053】
【化10】 上記一般式(I)で表される化合物(I)は、例えば、
下記の方法により合成することができる。
【0054】ステップ
【0055】
【化11】 (式中、Xはハロゲン原子又はトシル基を表す。) 化合物(a)とp−ヒドロキシ安息香酸メチルの混合物
を溶媒中、アルカリ試薬の存在下でエーテル化反応を行
い、エーテル化されたエステル体[化合物(b)]を得
る。ステップでは、化合物(a)とp−ヒドロキシ安
息香酸メチルを反応させているが、後者に代えてメチル
エステル以外のp−ヒドロキシ安息香酸エステルを使用
することもできる。なお、このステップのエーテル化
反応は、化合物(a)、p−ヒドロキシ安息香酸メチ
ル、アルカリ試薬及び溶媒を任意の順序で混合し、通
常、60〜100℃で加熱撹拌することによって好適に
行われる。このステップにおける溶媒としては、例え
ば、アセトン、2−ブタノン等のケトン系溶媒、TH
F、ジイソプロピルエーテル等のエーテル系不活性溶
媒、あるいはメタノール、エタノール等の低級アルコー
ルなどが好適に使用される。また、ステップにおける
アルカリ試薬としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナ
トリウム等のアルカリ金属炭酸塩、水酸化カリウム、水
酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物などが好適に
使用される。
【0056】化合物(a)の具体例としては、4−ブロ
モ−1−ブテン、4−ヨード−1−ブテン、4−トシル
−1−ブテン、5−ブロモ−1−ペンテン、5−ヨード
−1−ペンテン、5−トシル−1−ペンテン、6−ブロ
モ−1−ヘキセン、6−ヨード−1−ヘキセン、6−ト
シル−1−ヘキセン、7−ブロモ−1−へプテン、7−
ヨード−1−へプテン、7−トシル−1−へプテン、8
−ブロモ−1−オクテン、8−ヨード−1−オクテン、
8−トシル−1−オクテン、9−ブロモ−1−ノネン、
9−ヨード−1−ノネン、9−トシル−1−ノネン、1
0−ブロモ−1デセン、10−ヨード−1−デセン、1
0−トシル−1−デセン、11−ブロモ−1−ウンデセ
ン、11−ヨード−1−ウンデセン、11−トシル−1
−ウンデセン、12−ブロモ−1−ドデセン、12−ヨ
ード−1−ドデセン、12−トシル−1−ドデセン、1
3−ブロモ−1−トリデセン、13−ヨード−1−トリ
デセン、13−トシル−1−トリデセン、14−ブロモ
−1−テトラデセン、14−ヨード−1−テトラデセ
ン、14−トシル−1−テトラデセン、15−ブロモ−
1−ペンタデセン、15−ヨード−1−ペンタデセン、
15−トシル−1−ペンタデセン、16−ブロモ−1−
ヘキサデセン、16−ヨード−1−ヘキサデセン、16
−トシル−1−ヘキサデセン等が挙げられる。
【0057】ステップ
【0058】
【化12】 ステップでは、ステップで得られたエステル体[化
合物(b)]のエステル結合のみを選択的に加水分解
し、対応するカルボン酸[化合物(c)]を得る。この
加水分解は、各種の手法によってなしうるが、通常は、
化合物(b)をアルカリの存在下、水又は水とアルコー
ルの混合液中で、必要に応じて加熱し、処理することに
よって好適に行われ、化合物(c)は得られた反応液に
適当な酸を添加し、pHを酸性に調整することによって
効率よく回収される。なお、この加水分解反応は、アル
カリ触媒、水のみで加熱してもよいが、更にアルコール
を加えることによって原料であるエステル化合物の溶解
性が向上し、反応が容易に進行する。ここで、アルカリ
としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム
等のアルカリ金属水酸化物などが好適に使用され、アル
コールとしては、メタノール、エタノール(EtOH)
等の水溶性低級アルコールなどが好適に使用される。ま
た、pH調整に使用する酸としては、例えば、塩酸、硫
酸等の常用される鉱酸などが好適に使用される。
【0059】ステップ
【0060】
【化13】 ステップでは、ステップで得られたカルボン酸[化
合物(c)]を、溶媒を用いず、又は適当な溶媒中で酸
ハロゲン化剤を用いて酸塩化物[化合物(d)]とす
る。この酸ハロゲン化反応は、公知の方法に準じて好適
に行うことができる。例えば、溶媒としては、通常、ト
ルエン等の常用されるものを適宜選定して使用すればよ
いし、また、酸ハロゲン化剤としては、例えば、塩化チ
オニル、オキシ塩化リン、五塩化リンなどの公知の酸ハ
ロゲン化剤が用いられる。また、例えば、ピリジン等の
反応促進剤などを適量添加するのが好ましい。
【0061】ステップ
【0062】
【化14】 酸塩化物[化合物(d)]とヒドロキシ化合物[化合物
(e)]とを溶媒中、適当なハロゲン化水素受容剤の存
在下エステル化反応を行うことで化合物(f)を得る。
【0063】前記化合物(e)は、それぞれ、公知の方
法等によって製造することができる。その際、化合物
(e)の末端部にある光学活性アルキル基は、例えば、
光学活性アルコール(HO−Ra)を用いてエステル化
反応等を利用して容易に導入することができる。
【0064】
【化15】 ここで使用する光学活性アルコール(HO−Ra)とし
ては、例えば、(+)−2−メチルブタノール、(−)
−2−メチルブタノール、(+)−2−メチルペンタノ
ール、(−)−2−メチルペンタノール、(+)−3−
メチルペンタノール、(−)−3−メチルペンタノー
ル、(+)−4−メチルヘキサノール、(−)−4−メ
チルヘキサノール、(+)−2−メチルヘプタノール、
(−)−2−メチルヘプタノール、(+)−2−メチル
オクタノール、(−)−2−メチルオクタノール、
(+)−2−ブタノール、(−)−2−ブタノール、
(+)−2−ペンタノール、(−)−2−ペンタノー
ル、(+)−2−ヘキサノール、(−)−2−ヘキサノ
ール、(+)−2−へプタノール、(−)−2−へプタ
ノール、(+)−2−オクタノール、(−)−2−オク
タノールなどを挙げることができる。
【0065】ステップのエステル化反応は、例えば、
前記ステップで得た酸塩化物[化合物(d)]又はそ
の溶液に、化合物(e)とハロゲン化水素受容剤と適当
な溶媒からなる溶液を導入し、攪拌することによって好
適に行うことができる。その際、反応性の低いときは、
例えば20〜80℃の適当な温度に加熱してもよい。こ
のようにして、所望の化合物(f)が効率よく得られ
る。
【0066】エステル化反応の原料として使用する酸塩
化物[化合物(d)]は、単離されたものを用いてよ
く、あるいは前記ステップで得られた酸塩化物含有反
応混合物から適宜溶媒及び酸ハロゲン化剤等を除去した
反応混合物を引き続き用いてもよい。ステップのエス
テル化反応の溶媒としては、例えば、THF等のエーテ
ル系不活性溶媒、トルエン、ヘキサン等の炭化水素系不
活性溶媒などが好適に使用される。また、前記ハロゲン
化水素受容剤としては、通常、例えばピリジン、トリエ
チルアミン(Et3N)等の三級アミンなどを好適に使
用することができる。
【0067】また、ステップ、によらず化合物
(c)と化合物(e)をDCC(ジシクロヘキシルカル
ボジイミド)等の縮合剤の存在下反応させることによっ
ても化合物(f)を得ることができる。
【0068】この場合、反応促進のため4−ジメチルア
ミノピリジン等を加えてもよい。溶媒としては、トルエ
ン、塩化メチレン等が使用される。反応温度は、0〜8
0℃の範囲で任意に設定可能であるが、通常、室温で行
う。また、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、
又は塩カル管等を使用して反応を行い水分の侵入を防
ぐ。
【0069】化合物(f)は上記に述べた方法の他に、
例えば化合物(a)と一般式(g)
【0070】
【化16】 (式中、b、c及び*は前記と同じ。)で表わされるヒ
ドロキシ化合物[化合物(g)]とを溶媒中アルカリ試
薬の存在下、エーテル化反応を行うことにより製造する
ことができる。反応は例えば次のように進行する。
【0071】
【化17】 (溶媒、試薬、反応条件はステップに同じ。) ステップ
【0072】
【化18】 [i]溶媒中、触媒存在下、化合物(f)とクロルジメ
チルシランの間でヒドロシリル化反応を行うことによ
り、化合物(h)を得、[ii]化合物(h)を水と反
応させることにより化合物(i)を得、[iii]化合
物(i)を溶媒中、適当なハロゲン化水素受容剤の存在
下、化合物(j)と反応させることにより化合物(I)
を得る。
【0073】[i]のヒドロシリル化反応に用いられる
溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン
等の不活性芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン(TH
F)、ジイソプロピルエーテル等の不活性なエーテル系
溶媒、塩化メチレン、クロロフォルム、1,2−ジクロ
ロエタン等の不活性なハロゲン化炭化水素系溶媒などが
好適に用いられる。また、前記触媒としては、ヒドロシ
リル化活性を有するものが使用され、具体的には例え
ば、ビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金
(O)錯体、塩化白金酸、プラチナム(II)アセチル
アセトナート、ジシクロペンタジエニルプラチナムクロ
リド等の白金系触媒が好ましく用いられる。なお、触媒
の添加法については単独で添加してもよいし、キシレ
ン、2−プロパノール等の溶媒に溶解して添加してもよ
い。
【0074】ヒドロシリル化反応は、通常、室温〜12
0℃、好ましくは60〜100℃の温度範囲で好適に行
われる。反応時間は、通常、1〜30時間程度である。
【0075】[i]で得られた化合物(h)は分解しや
すいので、単離せず、そのまま次の反応[ii]に使用
する。[ii]においては、等モル量の水をTHF等の
水と混合可能な溶媒に溶かし、化合物(h)を含む反応
液に加える。反応温度は0〜80℃の範囲で任意に設定
可能であるが、通常室温又は水冷下で行う。ピリジン、
トリエチルアミン等の3級アミンをハロゲン化水素受容
剤として加える。又は、化合物(h)を含む反応液をジ
エチルエーテル等で希釈した後、ハロゲン化水素受溶剤
として水酸化ナトリウム等を含む水を加え攪拌すること
により、化合物(i)を得る。この反応液(有機層)を
そのまま反応[iii]に使用する場合は硫酸マグネシ
ウム等で脱水を行う。
【0076】[ii]で得られた化合物(i)をシリカ
ゲルカラム等で精製し、THF、ジエチルエーテル等の
エーテル系不活性溶媒を加えた溶液、又は精製を行って
いない反応[ii]における反応液、若しくは未精製反
応液にTHF、ジエチルエーテル等のエーテル系不活性
溶媒又はトルエン、ヘキサン等の炭化水素系不活性溶媒
を加えた溶液に、化合物(j)をTHF、ジエチルエー
テル等のエーテル系不活性溶媒又はトルエン、ヘキサン
等の炭化水素系不活性溶媒に溶解して添加し、更に、ピ
リジン、トリエチルアミン等の3級アミンをハロゲン化
水素受容剤として加え、攪拌することによって化合物
(I)を得る。反応はN2、Ar等の不活性ガス雰囲気
下室温で行う。反応性の低いときは20〜80℃の適当
な温度に加熱してもよい。
【0077】ステップ 化合物(j)の合成法
【0078】
【化19】 [i]溶媒中、化合物(k)とマグネシウムを反応さ
せ、化合物(l)を得るか(M=MgX)、あるいは金
属リチウムと反応させ、化合物(l)を得る(M=L
i)。化合物(k)は、対応するアルコールをN−ブロ
モコハク酸イミド・トリフェニルホスフィン、N−クロ
ロコハク酸イミド・トリフェニルホスフィン、四塩化炭
素・トリフェニルホスフィン等でハロゲン化するなどし
て得られる。
【0079】[ii]更に、化合物(l)をテトラクロ
ルシラン、次いでテトラクロルシランの2倍モル量のメ
チルリチウムと反応させることにより化合物(j)を得
る。M=Liの場合、化合物(l)を、ジクロルジメチ
ルシランと反応させることによっても化合物(j)を得
ることができる。
【0080】[i][ii]の反応の溶媒としては、T
HF、ジエチルエーテル等のエーテル系不活性溶媒が好
適である。反応は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気
下、−70〜80℃の範囲で行う。
【0081】[i]においては、反応促進のため、ヨウ
素、1,2−ジブロモエタン等を添加してもよい。
【0082】化合物(k)の具体例としては3−クロル
メチル−1,4−ペンタジエン、3−クロルメチル−
1,5−ヘキサジエン、3−クロルメチル−1,6−ヘ
プタジエン、4−クロルメチル−1,6−ヘプタジエ
ン、3−クロルメチル−1,7−オクタジエン、4−ク
ロルメチル−1,7−オクタジエン、3−クロルメチル
−1,8−ノナジエン、5−クロルメチル−1,8−ノ
ナジエン、4−クロルメチル−1,9−デカジエン、5
−クロルメチル−1,9−デカジエン、3−クロルメチ
ル−1,10−ウンデカジエン、6−クロルメチル−
1,10−ウンデカジエン、及び、対応するブロムメチ
ル体等が挙げられる。
【0083】[2] 下記一般式(IIa)
【0084】
【化20】 (式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、R2、R3
は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基、xは1〜5の
整数、yは3〜20の整数、R4は炭素数1〜10のア
ルキル基を表す。)で表される化合物(IIa)。この
化合物(IIa)には、低分子強誘電性液晶及び低分子
非強誘電性液晶が含まれる。
【0085】化合物(IIa)の好適な具体例として
は、下記のものが挙げられる。
【0086】
【化21】 上記一般式(IIa)中、R1は炭素数1〜20のアル
キル基を示し、このアルキル基は直鎖状又は分岐状であ
ってもよい。このR1は好ましくは炭素数が1〜12の
アルキル基であり、炭素数がこの範囲より大きいと、ス
メクチックC相又はカイラルスメクチックC相の温度域
が狭くなる傾向がある。
【0087】R1のアルキル基の好適な具体例として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル
基、n−ペンチル基、3−メチル−1−ブチル基、3−
ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メ
チル−1−ペンチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル
基、2−エチル−1−ブチル基、3−メチル−3−ペン
チル基、n−ヘプチル基、4−ヘプチル基、3−エチル
−3−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n
−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙
げられる。
【0088】R2及びR3は各々炭素数1〜6のアルキル
基を示し、互いに同じであっても異なっていてもよく、
またR1と同じであっても異なっていてもよい。また、
2及びR3が示すアルキル基も直鎖状又は分岐状であっ
てもよい。R2及びR3の好適な具体例としては、メチル
基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチ
ル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチ
ル基、3−メチル−1−ブチル基、3−ペンチル基、ネ
オペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−1−ペン
チル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル
−1−ブチル基、3−メチル−3−ペンチル基等が挙げ
られる。
【0089】R4は炭素数1〜10のアルキル基であ
り、直鎖状又は分岐状であってもよい。また、R4は光
学活性のアルキル基であってもよく、あるいは非光学活
性のアルキル基であってもよい。
【0090】化合物(IIa)のうち、R4が光学活性
のアルキル基であるものは下記一般式(IIb)
【0091】
【化22】 (式中、R1、R2、R3、x及びyは上記同じ意味を有
し、R14は光学活性を有する炭素数4〜10のアルキル
基を表す。)で表され、この化合物(IIb)は前記
(ロ)においては強誘電性液晶化合物でなければならな
いが、前記(ハ)の構成成分として用いる場合は、必ず
しも液晶性を示す必要はない。
【0092】R4で示される光学活性のアルキル基の好
適な具体例としては、(R)−1−メチルプロピル基、
(S)−1−メチルプロピル基、(R)−1−メチルブ
チル基、(S)−1−メチルブチル基、(R)−2−メ
チルブチル基、(S)−2−メチルブチル基、(R)−
1−メチルペンチル基、(S)−1−メチルペンチル
基、(R)−1−メチルヘキシル基、(S)−1−メチ
ルヘキシル基、(R)−1−メチルヘプチル基、(S)
−1−メチルヘプチル基等が挙げられる。
【0093】ここで、R、Sは不斉炭素原子の絶対配置
を示す(以下同様)。
【0094】R4で示される非光学活性のアルキル基の
好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t
ert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチル−1−
ブチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキ
シル基、4−メチル−1−ペンチル基、3,3−ジメチ
ル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3−メ
チル−3−ペンチル基、n−ヘプチル基、4−ヘプチル
基、3−エチル−3−ペンチル基、n−オクチル基、n
−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0095】xは1〜5の整数を示す。
【0096】yは3〜20の整数を示す。yは好ましく
は6〜12の整数であり、この範囲より大きくても小さ
くても、スメクチックC相又はカイラルスメクチックC
相の温度域が狭くなる傾向がある。yは特に好ましくは
8〜11である。
【0097】一般式(IIa)で表される化合物(II
a)は、例えば下記のようにして製造することができ
る。
【0098】<化合物(IIa)の製造方法(A)>
【0099】
【化23】 上記反応式に示されるように、化合物は(IIa)は、
市販の、又は後述する方法により容易に製造できるシロ
キサン化合物(m)とオレフィン化合物(n)とを、溶
媒中、白金触媒等の存在下でヒドロシリル化反応させる
ことにより容易かつ安価に合成することができる。
【0100】なお、このヒドロシリル化反応における溶
媒、触媒、温度、試薬の添加方法等の反応条件は前述の
化合物(I)の合成におけるステップのヒドロシリル
化反応に用いられるものと同じである。
【0101】<化合物(IIa)の製造方法(B)>
【0102】
【化24】 オレフィン化合物(n)とジメチルクロロシランとのヒ
ドロシリル化反応によりクロロシラン化合物(n′)を
合成し、それを加水分解してシラノール化合物(o)を
得る。このシラノール化合物(o)は縮合しやすく、中
性で注意深く取扱う必要がある。次いでこのシラノール
化合物(o)とクロロシラン化合物(p)とを、溶媒
中、ハロゲン化水素受容剤としての3級アミンの存在下
でシロキサン結合させ、目的の液晶化合物(IIa)を
得る。
【0103】上記オレフィン化合物(n)とジメチルク
ロロシランとのヒドロシリル化反応の反応条件等は、先
に製造方法(A)で説明したと同様である。ヒドロシリ
ル化反応によって得られるクロロシラン化合物(n′)
は加水分解しやすいので、単離せず、反応液をそのまま
次のシラノール化合物(o)の合成反応に用いる。クロ
ロシラン化合物(n′)を含む上記反応液に、クロロシ
ラン化合物(n′)と等モル量の水をTHF等の水と混
合可能な溶媒に溶かして加える。反応温度は0〜80℃
が好適である。ピリジン、トリエチルアミン等の3級ア
ミンをハロゲン化水素受容剤として加える。また、等モ
ル量ではなく、大過剰の水をTHF等の水と混合可能な
溶媒に加え、ここに上記クロロシラン化合物(n′)を
含む反応液を加え、その後、硫酸ナトリウム、硫酸マグ
ネシウム等の脱水剤で水を除去してもよい。さらに、化
合物(n′)を含む反応液をジエチルエーテル等で希釈
した後、ハロゲン化水素受溶剤として水酸化ナトリウム
等を含む水を加え攪拌することにより、化合物(o)を
得ることもできる。
【0104】このようにして得られるシラノール化合物
(o)とクロロシラン化合物(p)との反応に用いられ
る上記溶媒としては、THF等の不活性なエーテル系溶
媒、トルエン、ヘキサン等の不活性な炭化水素系溶媒、
塩化メチレン等の不活性なハロゲン化炭素溶媒、ジメチ
ルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(D
MSO)等の不活性溶媒等が好適に用いられる。また上
記3級アミンとしてはピリジン、トリエチルアミン、エ
チルジイソプロピルアミン、4−ジメチルアミノピリジ
ン、イミダゾール等が好適に用いられる。また、1,8
−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン
(DBU)等の脱ハロゲン化水素剤も好適に用いられ
る。反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、
0℃〜室温で行う。反応性の低いときは20〜80℃の
適当な温度に加熱してもよい。
【0105】上記クロロシラン化合物(p)としては、
例えば、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシ
ラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブ
チルジメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチルクロ
ロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン等が好適に用
いられる。
【0106】シロキサン化合物(m)及びオレフィン化
合物(n)は、例えば、下記のようにして製造すること
ができる。
【0107】<シロキサン化合物(m)の製造方法>シ
ロキサン化合物(m)としては、ペンタメチルジシロキ
サン等の一般に市販されているものを使用する他、以下
の方法によって製造したものを用いることもできる。
【0108】(i)x=1の場合
【0109】
【化25】 上記反応式に示されるように、各種のトリアルキルクロ
ロシラン(q)を加水分解してシラノール化合物とし、
このシラノール化合物をジメチルクロロシランと反応さ
せてジシロキサン化合物(m)を得る。この加水分解及
びそれに続くシロキサン結合反応の反応条件は、上記の
製造方法(B)で記載したと同様である。
【0110】上記トリアルキルクロロシラン(q)とし
ては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリエチルク
ロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、ter
t−ブチルジメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチ
ルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン等が好
適に用いられる。
【0111】(ii)R1が炭素数3以上のアルキル基
であり、R2=R3=CH3の場合
【0112】
【化26】 (R1′−CH=CH2は、R1に対応するアルカンより
水素が2原子少なく、末端に炭素二重結合を1つもつオ
レフィンである。) 上記反応式に示されるように、各種オレフィン(r)と
シロキサン化合物(s)とのヒドロシリル化反応によ
り、シロキサン化合物(m)を得る。このヒドロシリル
化反応の条件も先に記載したと同様である。
【0113】上記オレフィン(r)としては、例えば、
1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデ
セン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−
1−ブテン等が好適に用いられる。また、上記シロキサ
ン化合物(s)としては、例えば、1,1,3,3−テ
トラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘ
キサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,
7,7−オクタメチルテトラシロキサン等が好適に用い
られる。
【0114】<オレフィン化合物(n)の製造方法>
【0115】
【化27】 上記反応式に示されるように、公知のエステル化反応に
よりエステル(t)を得、次いでエステル(t)とカル
ボン酸(u)とのエステル化反応によりオレフィン化合
物(n)を得る。
【0116】[3] 下記一般式(III)
【0117】
【化28】 (式中、R5
【0118】
【化29】 を表し、R6は炭素数4〜20の非光学活性なアルキル
基、dは0〜10の整数、eは0〜10の整数、fは1
〜10の整数、gは1〜20の整数、Yは単結合、−0
−、−COO−又は−OCO−を表す。)で表されるス
メクチックC相を有する化合物(III)。この化合物
(III)は、非強誘電性の低分子液晶である。
【0119】この非光学活性な化合物(III)の末端
部位にある分岐状のアルキル基の具体例としては、例え
ば次のような基を挙げることができる。
【0120】
【化30】 この化合物(III)の具体例としては、例えば次のよ
うな化合物が挙げられる。
【0121】
【化31】
【0122】
【化32】 [4] 下記一般式(IV)〜(VII)
【0123】
【化33】 (式中、R7は炭素数6〜15の非光学活性なアルキル
基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル
オキシ基、R8は炭素数6〜12の非光学活性なアルキ
ル基又はアルコキシ基、R9、R10は炭素数4〜14の
非光学活性なアルキル基又はアルコキシ基、R11は炭素
数4〜14の非光学活性なアルキル基、R 12は炭素数4
〜14の非光学活性なアルキル基又はアルコキシ基、R
13は炭素数6〜20の非光学活性なアルキル基又はアル
コキシ基を表す。)で表される化合物からなる群から選
ばれるスメクチックC相を有する化合物。これらの化合
物は、低分子非強誘電性液晶である。
【0124】なお、R7〜R13は直鎖でも分岐上であっ
てもよい。
【0125】これら化合物の具体例としては、例えば下
記のものが挙げられる。
【0126】
【化34】 −低速応答液晶相− 低速に応答する液晶相の主成分としては、高速応答液晶
相と相分離し、応答時間が高速に応答する液晶相の応答
時間の50倍以上である液晶相であれば、特に制限はな
い。先に本発明の液晶表示素子の説明において述べた如
く、本発明の液晶表示素子において配向方向を高速応答
液晶相と揃えるためには、低速応答液晶相と高速応答液
晶とがある温度域で共に強誘電相を持つことが好まし
い。また、液晶組成物に優れた配向性、配向安定性及び
耐衝撃性を付与するためには、高分子液晶材料を用いる
ことが好ましい。従って、低速応答液晶相の液晶材料と
しては、高分子強誘電性液晶又は高分子強誘電性液晶組
成物が好適に用いられる。特に、高速応答液晶との相分
離の点から、ポリシロキサン系の高分子強誘電性液晶が
好適である。
【0127】ポリシロキサン系の高分子強誘電性液晶の
例としては、例えば下記一般式(VIII)
【0128】
【化35】 (式中、hは8〜10の整数、iは1又は2、jは1又
は2、*は不斉炭素原子を表す。)で表される繰り返し
単位を有する高分子強誘電性液晶(VIII)が挙げら
れる。この高分子強誘電性液晶(VIII)の主鎖末端
基としては、トリメチルシリル基が好ましい[即ち、両
末端の構造が(CH33SiO−]。
【0129】高分子強誘電性液晶(VIII)の具体例
としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0130】
【化36】 高分子強誘電性液晶以外の高分子液晶として、カイラル
ネマチック液晶やスメクチックC液晶を使用することも
できる。
【0131】カイラルネマチック液晶の具体例として
は、下記の繰り返し単位を有する高分子液晶がある。
【0132】
【化37】 スメクチックC液晶の具体例としては、下記の繰り返し
単位を有する高分子液晶がある。
【0133】
【化38】 なお、高分子液晶の重量平均分子量は、2000〜20
0000であることが好ましい。重量平均分子量が20
00未満であると高速応答相と十分に相分離しない場合
があり、200000を超えると配向処理が困難になる
場合がある。
【0134】2種の液晶相に相分離する好ましい液晶組
成物としては、(1)高速応答液晶相の主成分として、 ・一般式(I)におけるs、t、a、b、cが、s=t
=3、a=10、11、b=0、c=2〜4の整数であ
る化合物(I′)及び ・一般式(IIb)におけるR1、R2、R3、x、y、
14が、R1が炭素数4〜8の直鎖状のアルキル基、R2
=R3=CH3、x=1、y=10、11、R14が(S)
−1−メチルブチル基、(R)−1−メチルブチル基、
(S)−1−メチルペンチル基、(R)−1−メチルペ
ンチル基、(S)−1−メチルヘキシル基又は(R)−
1−メチルヘキシル基である化合物(IIb′)から選
ばれた少なくとも1種、並びに、 ・一般式(III)におけるd、e、f、g、R5
6、Yがd=0、e=1、f=1、g=6〜10の整
数、R5
【0135】
【化39】 であり、R6が炭素数8〜12の直鎖状のアルキル基、
Yが単結合又は−O−であるスメクチックC相を有する
化合物(III′)から選ばれた少なくとも1種及び ・化合物(IV)におけるR7、R8が炭素数6〜12の
直鎖状アルキル基又はアルコキシ基であるスメクチック
C相を有する化合物(IV′)から選ばれた少なくとも
2種を含有し、 ・一般式(IIa)におけるR1、R2、R3、x、y、
4が、R1が炭素数1〜8の直鎖状のアルキル基、R2
=R3=CH3、x=1、y=8〜11の整数R4がn−
プロピル基、n−ブチル基又はn−ペンチル基である化
合物(IIa′)を含有していてもよく、(2)低速応
答液晶相の主成分として ・高分子強誘電性液晶(VIII)の少なくとも1種を
含有する液晶組成物を挙げることができる。
【0136】このような好ましい液晶組成物の具体例と
しては、本明細書中の実施例1〜5及び8に記載した組
み合わせの液晶組成物がある。なお、実施例1〜5及び
8において、低分子強誘電性液晶Aは上記の化合物
(I′)に該当し、低分子強誘電性液晶F、Mは上記の
化合物(IIb′)に該当し、低分子液晶Cは上記のス
メクチックC相を有する化合物(III′)に該当し、
低分子液晶D、E、Iは上記のスメクチックC相を有す
る化合物(IV′)に該当し、低分子液晶Gは上記の化
合物(IIa′)に該当し、高分子強誘電性液晶B、
H、J、Nは上記の高分子強誘電性液晶(VIII)に
該当する。
【0137】このような好ましい液晶組成物中の各成分
の混合比率としては、実施例1〜5及び8に記載された
比率の他、液晶組成物の総量に対して、低速に応答する
液晶相を構成する液晶の割合が6〜27重量%の範囲に
あり、上記化合物(I′)(IIb′)(III′)
(IV′)(IIa′)の合計量に対する(I′)+
(IIb′)+(IIa′)の割合が50〜70重量%
の範囲となる比率が好適である。
【0138】なお、本発明の液晶組成物には、最も低速
に応答する液晶相の主成分となる高分子液晶に加えて、
最も低速に応答する液晶相に対するよりも最も高速に応
答する液晶相に対して親和性を示し、主に最も高速に応
答する液晶相の成分となる第2の高分子液晶を、最も高
速に応答する液晶相の電界応答性を大きく阻害しない範
囲で添加してもよい。これにより、本発明の液晶表示素
子の配向安定性、耐衝撃性が一層向上する。添加可能量
は液晶表示素子に求められる電界応答性に依存して変化
するが、組成物全体の1〜5重量%が好ましい。1重量
%未満では、配向安定性、耐衝撃性向上への寄与が不十
分であり、5重量%を超えると、電界応答性の低下が大
きくなる。
【0139】上記第2の高分子液晶としては、電界応答
性の面から、高分子強誘電性液晶が好ましい。例として
は、国際公開92/01731号公報記載の下記一般式
(IX)
【0140】
【化40】 (式中、k及びlは各々独立に2〜5の整数、mは0〜
3の整数、nは8〜12の整数、oは1〜4の整数、*
は不斉炭素原子を表す。)で表される繰り返し単位を有
する高分子強誘電性液晶(IX)が挙げられる。高分子
強誘電性液晶(IX)の好適な具体例としては、下記の
ものが挙げられる。
【0141】
【化41】 [液晶表示素子の製造法]本発明の液晶表示素子の具体
的な製造法の例を以下に説明する。
【0142】1. まず、液晶組成物を調製する。液晶
組成物を調製する際の混合方法は、特に制限はなく、溶
媒を用いる溶液混合でも、溶媒を用いない直接混合でも
よい。
【0143】溶液混合法を用いる場合、例えば下記のよ
うにして実施される。 液晶組成物を構成する各成分を所定の比率で計量
し、ジクロロメタン、2−ブタノン等の溶媒に溶解させ
る。 溶媒を加熱除去し、液晶組成物を得る。 液晶組成物の配向性等を損わない範囲で、ポリスチ
レン等の熱可塑性非晶質ポリマーやスペーサーを添加し
てもよい。
【0144】2. 液晶組成物を少なくとも一方が透明
な2枚の電極付き基板で挟み、所定の厚さ、通常は1.
5〜3μmの液晶層を形成する。
【0145】液晶層の形成は、上記液晶組成物の基板へ
の塗布、印刷等により好適に行われる。液晶組成物の粘
度が高く、塗布、印刷等が困難な場合には、液晶組成物
を溶媒、例えばジクロロメタン、2−ブタノンなどで希
釈した状態、あるいは等方相まで加熱した状態で塗布又
は印刷することが好ましい。また、上記液晶組成物の調
製段階で、溶媒を加熱除去しないまま塗布又は印刷して
もよい。溶媒を用いた場合には、塗布後、加熱により溶
媒を除去する。
【0146】上記基板としては、少なくとも一方が透明
性の材料からなるものであれば特に制限はない。このよ
うな透明性の材料としては、ガラス、ポリエチレンテレ
フタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PE
S)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられる。液
晶組成物が高分子液晶を含有する場合は、生産性を向上
させるため、プラスチックフィルムのような可撓性基板
を用いることが好ましい。基板の厚さは、10μm〜5
mmが好ましい。
【0147】上記電極としては、少なくとも透明基板上
に設けられているものが透明性の材料からなるものであ
れば特に制限はない。例えば、酸化インジウム又は酸化
インジウムと酸化スズとの混合物からなるITO等の透
明電極を基板に蒸着したものなどが好ましい。
【0148】3. 上記のようにして構成された素子を
加熱し、液晶組成物全体を等方相に転移させた後、冷却
し、各液晶相を相分離させる。加熱は必ずしも必須では
ないが、加熱処理により相分離の状態が好適になる。
【0149】なお、室温に戻るのを待つことなく、冷却
途中で、後述の剪断法による配向を実施してもよい。
【0150】4. 液晶相の配向方法としては、一般に
知られているあらゆる方法を用いることができる。例え
ば、配向膜を用いる方法、剪断法による方法等が挙げら
れる。配向膜を用いる場合、ポリイミドやポリビニルア
ルコールなどの高分子膜を基板の電極面と液晶層との間
に設ける。剪断法としては、例えば、上下基板を微小に
ずらす往復運動を行う方法、素子に曲げ変形を与える方
法、更にはこのようにして剪断力を印加すると同時に上
下基板間に電界を印加する方法などがある。
【0151】剪断法を用いる場合、剪断力の印加によっ
ても相分離が促進されると同時に、最も低速に応答する
液晶相の集合が進み、特開平4−281425号公報記
載の配向膜を用いる配向法により形成されている、1〜
2μm程度の間隔で分散している高分子液晶等の高分子
とは異なる柱状の分離相が形成される。
【0152】剪断法、好ましくは剪断力を印加すると同
時に上下基板間に電界を印加する方法を用いた場合、液
晶相が層構造を有する場合は層法線方向に、層構造を持
たない場合は液晶の配向方向に着目し、それらを比較し
た場合に、それらがほぼ同一である配向状態を容易に造
り出すことができる。
【0153】相分離の状態に関し、液晶相が2種類の場
合、低速に応答する液晶相が高速に応答する液晶相の
「海」の中に「島」状に存在しているが、低速に応答す
る液晶相の各島の平均面積が4〜500μm2、好まし
くは6〜100μm2となることが望ましい。なお、こ
こでの平均面積は、画像処理により求めた値である。面
積2μm2未満の島が存在していたとしても、ノイズと
区別できないので、計算対象としない。
【0154】そして、低速に応答する液晶相の各島の少
なくとも一部は両基板間に柱状の形態で存在し、配向安
定性、耐衝撃性の向上に寄与している。
【0155】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はそれら実施例に限定されるものではな
い。
【0156】なお、相転移挙動を示す式中、Isoは等
方相を、SAはスメクチックA相を、SCはスメクチック
C相を、S * CはカイラルスメクチックC相を、N*はカ
イラルネマチック相を、glassはガラス状態を意味
する。
【0157】実施例1 下記の液晶材料を、Aを120mg、Bを50mg、C
を40mg、Dを20mg、Eを20mg秤量して、ジ
クロロメタン2mlに溶解させた。均一に溶解したこと
を確認した後、溶液を加熱して溶媒を除去し、下記組成
の液晶組成物を得た。
【0158】
【化42】 透明電極(ITO)付きガラス基板(厚さ1mm、20
mm□、うち電極は10mm□)にミクロスパーテル上
から直径3μmのシリカスペーサーを散布し、その後、
得られた液晶組成物をミクロスパーテルにて基板上に載
せ、100℃まで加熱した。目視により観察したとこ
ろ、液晶組成物は等方相に転移していた。もう1枚の透
明電極付きガラス基板を押しつけ、3μmの膜厚のセル
を得た。
【0159】セルを約3℃/分で冷却し、75〜63℃
の範囲で10Hz、±10Vの三角波を印加しながら上
下基板にズリをかけ液晶を配向させ、液晶表示素子
(1)とした(配向操作1)。偏光顕微鏡観察を行った
ところ、液晶組成物は図3に示すように、低分子液晶を
主成分とする液晶相5と高分子液晶を主成分とするの島
状の液晶相6とに相分離していた。
【0160】配向済のセルを2枚の直交偏光板ではさ
み、波形発生器により透明電極間に図4のa)の矩形波
(30V)を印加し、フォトマルの出力電圧より透過光
量を測定したところ、図4のb)のように透過光量が変
化した。
【0161】液晶材料としてAを120mg、Cを40
mg、Dを20mg、Eを20mg使用し(液晶表示素
子(1)に用いたA、C、D、Eと量比同じ)、配向さ
せるために電界を印加する温度範囲を67〜62℃とす
る以外は前記と同様の方法を実施し、配向させた液晶表
示素子(2)を得た。そして、前記と同様の方法で図4
のa)に示す矩形波を印加し、透過光量を測定したとこ
ろ、図5のa)のように透過光量が変化した。
【0162】液晶材料としてBを使用し、配向させるた
めに電界を印加する温度範囲を75〜67℃とする以外
は前記と同様の方法を実施し、配向させた液晶表示素子
(3)を得た。そして、前記と同様の方法で図4のa)
に示す矩形波を印加し、透過光量を測定したところ、図
5のb)のように透過光量が変化した。
【0163】図4のb)、図5のa)、図5のb)の比
較から、図4のb)の高速な応答をした領域(電界印加
方向逆転後の透過光量の急激な減少)は低分子液晶A、
C、D及びEを主成分とする液晶相であり、図4のb)
の低速な応答をした領域(透過光量の秒単位での緩やか
な増加)は高分子強誘電性液晶Bを主成分とする液晶相
であることがわかる。
【0164】上記液晶表示素子(1)のセルに図6の
a)のようなパルス電圧(30V、250μs)を印加
したところ、透過光量変化は図6のb)の通りになっ
た。図4のb)に見られる透過光量の秒単位での緩やか
な変化が認められないことから、短いパルス電圧に対し
ては高速応答する液晶相のみが応答していることがわか
る。
【0165】なお、この液晶表示素子(1)に図6の
a)と同様の形状を有する30V、15msのパルス電
圧を印加しても、専有面積の狭い液晶相は応答しなかっ
た。このことから、高速応答する液晶相の応答時間が、
低速応答する液晶相の応答時間の1/50以下であるこ
とがわかる。
【0166】このセルに高さ30cmから直径10mm
のゴム球を落下させ、その後、図6のa)記載のパルス
電圧を印加したところ、図6のb)と同様の透過光量の
変化が認められ、液晶の配向状態に変化がないことが確
認された。このセルのコントラスト比(明及び暗状態の
可視光の透過光強度の比、以下同じ)は30であった。
【0167】なお、透過光量の変化の測定は、すべて2
5℃で行った。
【0168】図4のa)記載のパルス電圧の印加によっ
て図4のb)と同様の透過光量の変化が認められること
を確認した後、このセルを−10℃に冷却し、次いで2
5℃に加熱し、図4のa)の電圧を印加したところ、図
6のb)と同様の応答が認められた。図4のb)との比
較から、低速に応答した領域はもはや応答しないことが
わかる。このセルのコントラスト比は29であった。
【0169】このセルの各液晶相中の液晶組成物の相転
移挙動、このセルを−10℃に冷却後昇温した場合の電
界応答時間(透過光量が10%〜90%に変化するのに
要する時間、t10-90)及び傾き角を以下に示す。 (低分子液晶A、C、D及びEを主成分とする液晶組成
物) Iso−(69℃)→Sc*−(−49℃)→glas
s (高分子強誘電性液晶Bを主成分とする液晶組成物) Iso−(77℃)→Sc*10-90=48μs(25℃、1kHz、±30V) 傾き角2θ=58゜(25℃) (0℃でのt10-90)/(40℃でのt10-90)=12
(±30V) また、配向操作までの操作は上記の液晶表示素子(1)
の作製と同じ操作で液晶表示素子を再度作製した。その
液晶表示素子に30Vの直流電圧を印加しながら−10
℃に冷却した後、25℃まで昇温し、25℃にて図4の
a)の電圧を印加したところ、図4のb)のような応答
は認められず、図6のb)と同様な応答となった。この
ことにより、高分子強誘電性液晶Bを主成分とする液晶
組成物が高次相に転移し、電界応答しなくなったことを
確認した。このセルのコントラスト比は48であった。
【0170】低速応答する液晶相の配向方向を高速応答
する液晶相がとる2つの配向方向の一方とほぼ揃えるこ
とにより、コントラストが向上することがわかった。
【0171】比較例1 実施例1に記載した、液晶材料としてA、C、D及びE
を使用した液晶表示素子(2)の液晶セルは、実施例1
に記載の通り、図4のa)に示す矩形波を印加すると、
図5のa)のような透過光量変化を示す。この液晶セル
に高さ30cmから直径10mmのゴム球を落下させ、
その後、図4のa)記載の矩形波を印加したところ、透
過光量の変化量が減少し、コントラスト比は3となっ
た。つまり、配向が乱れたことが確認された。
【0172】実施例2 実施例1記載の液晶材料Aを1.44g、Bを0.60
g、Cを0.48g、Dを0.24g、Eを0.24g
秤量し(液晶表示素子(1)に用いたA、B、C、D、
Eの量比と同じ)、2−ブタノンを加え30重量%溶液
とし、直径2.1μmのシリカスペーサーを3mg添加
した。得られた液晶溶液をマイクログラビアコーターを
用いて透明電極(ITO)付きの150mm幅のPES
基板(厚み100μm)に塗布した。溶媒を60℃にて
加熱乾燥させた後、もう1枚の透明電極付きのPES基
板をラミネートした。85℃にて30分間放置した後、
64℃にて10Hz、±40Vの矩形波を印加しなが
ら、図7に示されるように、得られた未配向液晶表示素
子7を3本の直径40mmのロール8の間に通して曲げ
変形を加えることにより、液晶を配向させ、配向済液晶
表示素子9を得た。
【0173】作製した配向済液晶表示素子9を偏光顕微
鏡により観察したところ、2種類の液晶相が観察され
た。そこに25℃にて実施例1の図6のa)に示すのと
同様の形状の30V、200μsのパルス電圧を印加
し、印加前後の液晶セルの状態を偏光顕微鏡で観察した
ところ、2種類の液晶相のうち専有面積が狭い液晶相
(実施例1の図3における島状の部分に相当)では明暗
のスイッチングが起こらず、つまり電界応答が認められ
なかった。一方、専有面積が広い液晶相(実施例1の図
3の海部分に相当)では明暗のスイッチングが認められ
た。即ち、電界に応答した。そのときの透過光量の変化
の様子は実施例1の図6のb)と同様であった。なお、
この表示素子に図6のa)と同様の形状の30V、10
msのパルス電圧を印加しても、専有面積の狭い液晶相
は応答しなかった。
【0174】実施例3 下記の組成を有する液晶組成物(実施例1の液晶表示素
子(1)の作製に用いた液晶材料をF135mg、B2
5mg、C45mg、D23mg、E23mgに変更し
た)を含有する液晶表示素子を、電界を印加しながら上
下基板にズリをかける温度域を78〜70℃とする以外
は実施例1の液晶表示素子(1)の製造方法(配向操作
1)と同様の方法で作製した。
【0175】
【化43】 作製した液晶表示素子を偏光顕微鏡により観察したとこ
ろ、2種類の液晶相が観察された。そこに25℃にて図
6のa)と同様の形状を有する30V、200μsのパ
ルス電圧を印加し、印加前後の液晶セルの状態を偏光顕
微鏡で観察したところ、2種類の液晶相のうち専有面積
が狭い液晶相(実施例1の図3における島状の部分に相
当)では明暗のスイッチングが起こらず、つまり電界応
答が認められなかった。一方、専有面積が広い液晶相
(実施例1の図3の海部分に相当)では明暗のスイッチ
ングが認められた。即ち、電界に応答した。液晶セルの
そのときの透過光量の変化の様子は、実施例1の図6の
b)と同様であった。このことから、2種類の液晶相の
うちの一方のみが電界に応答することを確認した。な
お、この液晶表示素子に図6のa)と同様の形状を有す
る30V、10msのパルス電圧を印加しても、専有面
積の狭い液晶相は応答しなかった。
【0176】このセルの各液晶相中の液晶組成物の相転
移挙動、このセルの電界応答時間(透過光量が10%〜
90%に変化するのに要する時間、t10-90)及び傾き
角を以下に示す。 (低分子液晶F、C、D及びEを主成分とする液晶組成
物) Iso−(76℃)→Sc*−(−48℃)→glas
s (高分子強誘電性液晶Bを主成分とする液晶組成物) Iso−(79℃)→Sc*10-90=30μs(25℃、1kHz、±30V) 傾き角2θ=57゜(25℃) (0℃でのt10-90)/(40℃でのt10-90)=13
(±30V) 実施例4 液晶材料としてAを75mg、Gを15mg、Hを50
mg、Cを30mg、Eを15mg、Iを15mg用
い、電界を印加しながら基板にズリをかける温度域を7
6〜71℃とする以外は実施例1の液晶表示素子(1)
の作製方法(配向操作1)と同様の方法で、下記の組成
を有する液晶組成物を含有する液晶表示素子を作製し
た。
【0177】
【化44】 作製した液晶表示素子を偏光顕微鏡により観察したとこ
ろ、2種類の液晶相が観察された。そこに25℃にて実
施例1の図6のa)と同様の形状の30V、200μs
のパルス電圧を印加し、印加前後の液晶セルの状態を偏
光顕微鏡で観察したところ、2種類の液晶相のうち専有
面積が狭い液晶相(実施例1の図3における島状の部分
に相当)では明暗のスイッチングが起こらず、つまり電
界応答が認められなかった。一方、専有面積が広い液晶
相(実施例1の図3の海部分に相当)では明暗のスイッ
チングが認められた。即ち、電界に応答した。液晶セル
のそのときの透過光量の変化の様子は、実施例1の図6
のb)と同様であった。このことから、2種類の液晶相
のうちの一方のみが電界に応答することを確認した。な
お、この液晶表示素子に図6のa)と同様の形状を有す
る30V、10msのパルス電圧を印加しても専有面積
の狭い液晶相は応答しなかった。
【0178】このセルの各液晶相中の液晶組成物の相転
移挙動、このセルの電界応答時間(透過光量が10%〜
90%に変化するのに要する時間、t10-90)及び傾き
角を以下に示す。 (低分子液晶A、G、C、E及びIを主成分とする液晶
組成物) Iso−(77℃)→Sc*−(−48℃)→glas
s (高分子強誘電性液晶Hを主成分とする液晶組成物) Iso−(78℃)→Sc*10-90=58μs(25℃、1kHz、±30V) 傾き角2θ=52゜(25℃) (0℃でのt10-90)/(40℃でのt10-90)=15
(±30V) 実施例5 液晶材料としてAを132mg、Jを60mg、Cを5
4mg、Dを27mg、Eを27mg用い、電界を印加
しながら基板にずりをかける温度域を70〜64℃とす
る以外は実施例1の液晶表示素子(1)の製造方法(配
向操作1)と同様の方法で、下記の組成を有する液晶組
成物を含有する液晶表示素子を作製した。
【0179】
【化45】 作製した液晶表示素子を偏光顕微鏡により観察したとこ
ろ、2種類の液晶相が観察された。そこに25℃にて実
施例1の図6のa)と同様の形状を有する30V、20
0μsのパルス電圧を印加し、印加前後の液晶セルの状
態を偏光顕微鏡で観察したところ、2種類の液晶相のう
ち専有面積が狭い液晶相(実施例1の図3における島状
の部分に相当)では明暗のスイッチングが起こらず、つ
まり電界応答が認められなかった。一方、専有面積が広
い液晶相(実施例1の図3の海部分に相当)では明暗の
スイッチングが認められた。即ち、電界に応答した。液
晶セルのそのときの透過光量の変化の様子は、実施例1
の図6のb)と同様であった。このことから、2種類の
液晶相のうちの一方のみが電界に応答することを確認し
た。なお、この液晶表示素子に図6のa)と同様の形状
を有する30V、10msのパルス電圧を印加しても専
有面積の狭い液晶相は応答しなかった。
【0180】このセルの各液晶相中の液晶組成物の相転
移挙動、このセルの電界応答時間(透過光量が10%〜
90%に変化するのに要する時間、t10-90)及び傾き
角を以下に示す。 (低分子液晶A、C、D及びEを主成分とする液晶組成
物) Iso−(69℃)→Sc*−(−50℃)→glas
s (高分子強誘電性液晶Jを主成分とする液晶組成物) Iso−(72℃)→Sc*10-90=45μs(25℃、1kHz、±30V) 傾き角2θ=53゜(25℃) (0℃でのt10-90)/(40℃でのt10-90)=13
(±30V) 実施例6 下記の組成を有する液晶組成物(実施例1の液晶表示素
子(1)の作製に用いた液晶組成物中、BがKに置き換
わっただけ)を含有する液晶表示素子を、電界を印加し
ながら上下基板にズリをかける温度域を65〜52℃と
する以外は実施例1の液晶表示素子(1)の製造方法
(配向操作1)と同様の方法で作製した。
【0181】
【化46】 作製した液晶表示素子を偏光顕微鏡により観察したとこ
ろ、2種類の液晶相が観察された。そこに25℃にて実
施例1の図6のa)と同様の形状を有する30V、20
0μSのパルス電圧を印加し、印加前後の液晶セルの状
態を偏光顕微鏡で観察したところ、2種類の液晶相のう
ち専有面積が狭い液晶相(実施例1の図3における島状
の部分に相当)では明暗のスイッチングが起こらず、つ
まり電界応答が認められなかった。一方、専有面積が広
い液晶相(実施例1の図3の海部分に相当)では明暗の
スイッチングが認められた。即ち、電界に応答した。液
晶セルのそのときの透過光量の変化の様子は、実施例1
の図6のb)と同様であった。このことから、2種類の
液晶相のうちの一方のみが電界に応答することを確認し
た。なお、この液晶表示素子に図6のa)と同様の形状
を有する30V、10msのパルス電圧を印加しても専
有面積の狭い液晶相は応答しなかった。
【0182】このセルの各液晶相中の液晶組成物の相転
移挙動、このセルの電界応答時間(透過光量が10%〜
90%に変化するのに要する時間、t10-90)及び傾き
角を以下に示す。 (低分子液晶A、C、D及びEを主成分とする液晶組成
物) Iso−(70℃)→Sc*−(−47℃)→glas
s (高分子液晶Kを主成分とする液晶組成物) Iso−(57℃)→N*10-90=50μs(25℃、1kHz、±30V) 傾き角2θ=58゜(25℃) (0℃でのt10-90)/(40℃でのt10-90)=17
(±30V) 実施例7 下記の組成を有する液晶組成物(実施例1の液晶表示素
子(1)の作製に用いた液晶組成物中、BがLに置き換
わっただけ)を含有する液晶表示素子を、電界を印加し
ながら上下基板にズリをかける温度域を75〜65℃と
する以外は実施例1の液晶表示素子(1)の製造方法
(配向操作1)と同様の方法で作製した。
【0183】
【化47】 作製した液晶表示素子を偏光顕微鏡により観察したとこ
ろ、2種類の液晶相が観察された。そこに25℃にて実
施例1の図6のa)と同様の形状を有する30V、20
0μsのパルス電圧を印加し、印加前後の液晶セルの状
態を偏光顕微鏡で観察したところ、2種類の液晶相のう
ち専有面積が狭い液晶相(実施例1の図3における島状
の部分に相当)では明暗のスイッチングが起こらず、つ
まり電界応答が認められなかった。一方、専有面積が広
い液晶相(実施例1の図3の海部分に相当)では明暗の
スイッチングが認められた。即ち、電界に応答した。液
晶セルのそのときの透過光量の変化の様子は、実施例1
の図6のb)と同様であった。このことから、2種類の
液晶相のうちの一方のみが電界に応答することを確認し
た。なお、この液晶表示素子に図6のa)と同様の形状
を有する30V、10msのパルス電圧を印加しても専
有面積の狭い液晶相は応答しなかった。
【0184】このセルの各液晶相中の液晶組成物の相転
移挙動、このセルの電界応答時間(透過光量が10%〜
90%に変化するのに要する時間、t10-90)及び傾き
角を以下に示す。 (低分子液晶A、C、D及びEを主成分とする液晶組成
物) Iso−(70℃)→SA−(64℃)→Sc*−(−4
9℃)→glass (高分子液晶Kを主成分とする液晶組成物) Iso−(80℃)→SA−(62℃)→Sc t10-90=120μs(25℃、1kHz、±30V) 傾き角2θ=55゜(25℃) (0℃でのt10-90)/(40℃でのt10-90)=11
(±30V) 実施例8 液晶材料としてMを108mg、Nを14mg、Cを3
6mg、Eを9mg、Iを27mg、Oを6mg用い、
電界を印加しながらズリをかける温度域を78〜70℃
とする以外は実施例1の液晶表示素子(1)の製造方法
(配向操作1)と同様の方法で、下記の組成を有する液
晶組成物を含有する液晶表示素子を作製した。
【0185】
【化48】 作製した液晶表示素子を偏光顕微鏡により観察したとこ
ろ、2種類の液晶相が観察された。そこに25℃にて実
施例1の図6のa)と同様の形状を有する30V、20
0μsのパルス電圧を印加し、印加前後の液晶セルの状
態を偏光顕微鏡で観察したところ、2種類の液晶相のう
ち専有面積が狭い液晶相(実施例1の図3における島状
の部分に相当)では明暗のスイッチングが起こらず、つ
まり電界応答が認められなかった。一方、専有面積が広
い液晶相(実施例1の図3の海部分に相当)では明暗の
スイッチングが認められた。即ち、電界に応答した。そ
のときの透過光量の変化の様子は実施例1の図6のb)
と同様であった。このことから2種類の液晶相のうちの
一方のみが電界に応答することを確認した。
【0186】なお、この液晶表示素子に図6のa)と同
様の形状を有する30V、10msのパルス電圧を印加
しても、専有面積の狭い液晶相は応答しなかった。この
ときのコントラスト比は30であった。
【0187】この液晶表示素子に60℃において、30
Vの電圧を5秒間印加した後に電界を切り、室温まで冷
却した。25℃にて図4のa)の電圧を印加したとこ
ろ、図4のb)のような応答は認められず、図6のb)
と同様な応答となった。このことにより、高分子強誘電
性液晶Nを主成分とする液晶相が高次相に転移し、電界
応答しなくなったことを確認した。
【0188】このときのコントラスト比は51であり、
低速応答する液晶相の配向方向を高速応答する液晶相が
とる2つの配向方向の一方とほぼ揃えることによりコン
トラストが向上することが明らかになった。
【0189】このセルの各液晶相中の液晶組成物の相転
移挙動、このセルの電界応答時間(透過光量が10%〜
90%に変化するのに要する時間、t10-90)及び傾き
角を以下に示す。 (高分子強誘電性液晶Nを主成分とする液晶組成物) Iso−(72℃)→Sc* (低分子強誘電性液晶M、低分子液晶C、E、I及び高
分子強誘電性液晶Oを主成分とする液晶組成物) Iso−(78℃)→Sc*−(−50℃)→glas
s t10-90=64μs(25℃、1kHz、±30V) 傾き角2θ=50゜(25℃) (0℃でのt10-90)/(40℃でのt10-90)=16
(±30V)
【0190】
【発明の効果】本発明により、配向安定性及び耐衝撃性
に優れるとともに高速応答性をも有し、しかも応答速度
の温度依存性が小さい液晶表示素子を得ることができ
る。
【0191】また、本発明の液晶表示素子の駆動方法に
よれば、上記本発明の液晶表示素子にその高速応答性を
十分に発揮させ、高精細、高品位の表示を行うことが可
能となる。また、本発明の液晶組成物は本発明の液晶表
示素子の製造に好適に用いられ、この液晶組成物を用い
て作製される液晶表示素子は、優れた配向安定性、耐衝
撃性、高速応答性を示し、応答速度の温度依存性も小さ
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】液晶表示素子の1画素内に2種類の液晶領域が
あり、各領域が別個に電界に応答する場合の応答挙動を
表すグラフ。
【図2】液晶表示素子内の高速に応答する液晶相の液晶
分子の配向状態及び低速に応答する液晶相の液晶分子の
液晶性側鎖の配向状態、並びに直交偏光板の偏光軸を表
す図。
【図3】液晶表示素子内で液晶組成物が相分離している
状態を表す図。
【図4】液晶表示素子に印加した電圧と透過光量との関
係を表すグラフ。
【図5】液晶表示素子の透過光量の変化を表すグラフ。
【図6】液晶表示素子に印加した電圧と透過光量との関
係を表すグラフ。
【図7】液晶表示素子の配向方法を説明する図。
【符号の説明】
A 最も高速に応答する液晶相 1 低分子強誘電性液晶の液晶分子 B 最も遅く応答する液晶相 2 高分子液晶の液晶性側鎖 3 偏光板の偏光軸 4 偏光板の偏光軸 5 低分子液晶を主成分とする液晶相 6 高分子液晶を主成分とする液晶相 7 未配向液晶表示素子 8 ロール 9 配向済液晶表示素子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09K 19/42 9279−4H 19/46 G02F 1/133 560 1/141

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明な一対の電極付き
    基板により液晶を挟持した液晶表示素子において、1画
    素内の液晶が少なくとも2種の液晶相からなり、各液晶
    相が層構造を有する場合は該液晶相の層法線方向に、層
    構造を持たない場合は該液晶相の配向方向に着目しそれ
    らを比較した場合に、全ての液晶相の該層法線又は該配
    向方向がほぼ同一であり、電界に最も高速に応答する液
    晶相の応答時間が最も遅く応答する液晶相の応答時間の
    1/50以下であることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 両基板間に、最も遅く応答する液晶相が
    両基板に垂直な方向に連続して存在する領域が存在する
    請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 最も高速に応答する液晶相が強誘電相で
    ある請求項1又は2記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 最も高速に応答する液晶相の主成分が低
    分子強誘電性液晶又は低分子強誘電性液晶組成物であ
    り、最も遅く応答する液晶相の主成分が重量平均分子量
    2000〜200000の高分子強誘電性液晶又は重量
    平均分子量2000〜200000の高分子強誘電性液
    晶を配合してなる高分子強誘電性液晶組成物である請求
    項1〜3いずれか記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 液晶表示素子の駆動時に、最も遅く応答
    する液晶相が電界応答しない高次のスメクチック相又は
    凍結されたガラス状態である請求項1〜4いずれか記載
    の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 液晶表示素子の駆動時に、最も遅く応答
    する液晶相が電界応答しない高次のスメクチック相又は
    凍結されたガラス状態にあり、その配向方向が、最も高
    速に応答する液晶相の駆動において実現する2つの配向
    方向の一方とほぼ同一である請求項4記載の液晶表示素
    子。
  7. 【請求項7】 1画素内の液晶が2種の液晶相からなる
    ものである請求項1〜6記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の液晶表示素子の製造法で
    あって、液晶相を配向後、電界を一方向に印加したまま
    又は電界を一方向に印加後電界を切り、冷却又は室温で
    放置することにより電界に最も遅く応答する液晶相を電
    界応答しない高次のスメクチック相へ転移させるか、又
    はガラス状態へ凍結させることを特徴とする請求項6記
    載の液晶表示素子の製造法。
  9. 【請求項9】 液晶表示素子の1画素内の液晶が2種の
    液晶相からなるものである請求項8記載の液晶表示素子
    の製造法。
  10. 【請求項10】 請求項3又は4記載の液晶表示素子の
    駆動方法であって、最も高速に応答する液晶相を駆動す
    るには十分な電圧及びパルス幅ではあるが、最も遅く応
    答する液晶相を駆動するには不十分であるようなパルス
    電圧を電極間に印加することを特徴とする液晶表示素子
    の駆動方法。
  11. 【請求項11】 請求項4記載の液晶表示素子の駆動方
    法であって、最も遅く応答する液晶相が応答するのに十
    分な電圧及びパルス幅のパルス電圧を電極間に印加し
    て、最も遅く応答する液晶の配向方向を、最も高速に応
    答する液晶相の駆動において実現する2つの配向方向の
    一方とほぼ同一とした後に、最も高速に応答する液晶相
    を駆動するには十分な電圧及びパルス幅であるが、最も
    遅く応答する液晶相を駆動するには不十分であるような
    パルス電圧を電極間に印加することを特徴とする液晶表
    示素子の駆動方法。
  12. 【請求項12】 液晶表示素子の1画素内の液晶が2種
    の液晶相からなるものである請求項10又は11記載の
    液晶表示素子の駆動方法。
  13. 【請求項13】 電界に対する応答速度が異なる2種以
    上の液晶相に相分離する液晶組成物であって、最も高速
    に応答する液晶相の該液晶組成物中での応答時間が、最
    も遅く応答する液晶相の該液晶組成物中での応答時間の
    1/50以下であることを特徴とする液晶組成物。
  14. 【請求項14】 電界に対する応答速度の異なる2つの
    液晶相に相分離し、高速応答する液晶相が、(1)両末
    端基のいずれにも分枝構造を有する低分子強誘電性液晶
    を、又は(2)両末端基のいずれにも分枝構造を有する
    光学活性な低分子化合物及び少なくとも一方の末端基に
    少なくとも1つの分枝構造を有する光学的に不活性なス
    メクチックC低分子液晶を合計して、60〜100重量
    %含有する低分子強誘電性液晶組成物を主成分とするも
    のであり、低速応答する液晶相が下記一般式(VII
    I) 【化1】 (式中、hは8〜10の整数、iは1又は2、jは1又
    は2、*は不斉炭素原子を表す。)で表される繰り返し
    単位を有する高分子強誘電性液晶を主成分とするもので
    ある請求項13記載の液晶組成物。
  15. 【請求項15】 電界に対する応答速度の異なる2つの
    液晶相に相分離し、高速応答する液晶相が下記一般式
    (I) 【化2】 (式中、s、tは2〜5の整数、aは4〜16の整数、
    bは0〜3の整数、cは1〜7の整数、*は不斉炭素原
    子を表す。)で表される化合物及び下記一般式(II
    b) 【化3】 (式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基、R2、R3
    は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基、xは1〜5の
    整数、yは3〜20の整数、R14は炭素数4〜10の光
    学活性アルキル基を表す。)で表される化合物から選ば
    れた少なくとも1種を含有し、下記一般式(III) 【化4】 (式中、R5は 【化5】 を表し、R6は炭素数4〜20の非光学活性なアルキル
    基、dは0〜10の整数、eは0〜10の整数、fは1
    〜10の整数、gは1〜20の整数、Yは単結合、−0
    −、−COO−又は−OCO−を表す。)で表されるス
    メクチックC相を有する化合物及び下記一般式(IV)
    〜(VII) 【化6】 (式中、R7は炭素数6〜15の非光学活性なアルキル
    基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシル
    オキシ基、R8は炭素数6〜12の非光学活性なアルキ
    ル基又はアルコキシ基、R9、R10は炭素数4〜14の
    非光学活性なアルキル基又はアルコキシ基、R11は炭素
    数4〜14の非光学活性なアルキル基、R 12は炭素数4
    〜14の非光学活性なアルキル基又はアルコキシ基、R
    13は炭素数6〜20の非光学活性なアルキル基又はアル
    コキシ基を表す。)で表されるスメクチックC相を有す
    る化合物からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有
    していてもよい液晶材料を主成分とするものであり、低
    速応答する液晶相が下記一般式(VIII) 【化7】 (式中、hは8〜10の整数、iは1又は2、jは1又
    は2、*は不斉炭素原子を表す。)で表される繰り返し
    単位を有する高分子強誘電性液晶を主成分とするもので
    ある請求項13又は14記載の液晶組成物。
  16. 【請求項16】液晶として請求項13、14及び15い
    ずれか記載の液晶組成物を用いる請求項1〜7記載の液
    晶表示素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009533720A (ja) * 2006-04-17 2009-09-17 ダウ・コーニング・コーポレイション 双安定型強誘電性液晶装置
JP2011500917A (ja) * 2007-10-19 2011-01-06 ダウ・コーニング・コーポレイション オリゴシロキサン変性液晶配合物およびそれを用いるデバイス

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JP2011500917A (ja) * 2007-10-19 2011-01-06 ダウ・コーニング・コーポレイション オリゴシロキサン変性液晶配合物およびそれを用いるデバイス

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