JP3677081B2 - シロキサン構造を有する液晶化合物及びそれを用いた強誘電性液晶組成物及び強誘電性液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、シロキサン構造を有する新規な液晶化合物に関する。更に詳しくは、本発明は、オプトエレクトロニクス分野で用いられる液晶素子の液晶材料、特に強誘電性液晶素子の液晶材料として好適に用いられる新規な液晶化合物に関する。また、本発明は、上記液晶化合物を含有する強誘電性液晶組成物及びその強誘電性液晶組成物を用いた強誘電性液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、TN(ツイストネマティック)型液晶表示方式に代わる応答速度のより速い液晶表示方式として、強誘電性液晶を利用した表示方式が注目されてきている(N.A.Clark et al., Appl. Phys. Lett., 1980, Vol. 36, 899)。
【0003】
強誘電性液晶表示素子においては、強誘電相、好ましくはカイラルスメクチックC相の双安定状態間を電界を印加することによりスイッチングし、明暗の表示の切り換えを行う。従って、強誘電性液晶表示素子に用いる液晶組成物は、印加する電界に対する応答が早いことが好ましい。
【0004】
また、単純マトリクス方式の強誘電性液晶表示素子の場合には、各ドットの明暗の表示の切り換えは、ある幅を持ったパルス状の電界を印加して双安定状態間をスイチッングすることによって行われる。この際、明確にスイッチングさせるためには、所定の電界を所定のパルス幅以上の時間印加する必要があり、それ以下の場合には双安定状態が保たれず、表示が不可能である。この双安定状態間を十分にスイッチングできる最小のパルス幅をここでは「最小パルス幅」と呼ぶ。この最小パルス幅は、液晶材料によってそれぞれ異なるが、一般に直流電界に対する応答時間(t10-90等)の数倍〜十数倍の値となる。従って、例えば強誘電性液晶表示素子に用いられる単純マトリクス方式の強誘電性液晶表示素子においてスクロール表示等、表示の切り換えを速く行うためには、用いる液晶組成物は直流電界に対する応答時間(t10-90等)が短いだけでなく、実用上、最小パルス幅が小さいことが必要である。
【0005】
また、強誘電性液晶表示素子は、実用上、用いる強誘電性液晶材料が室温付近の広い温度範囲で安定した強誘電性相、好ましくはカイラルスメクチックC相を示すことが必要である。特に、室外用の表示板、車載用表示盤等に使用する場合には、室温のみならず外気温度を含む十分広い温度域にわたって安定した強誘電相を示すことが必要である。また、表示駆動上、広い温度域にわたって安定した表示を得るためには、電界応答時間の温度依存性が小さい強誘電性液晶組成物を用いることが望ましい。
【0006】
更に、液晶素子を長期にわたって使用するためには、用いる液晶材料自身の安定性の高いことが要求される。
【0007】
室温付近で安定なカイラルスメクチックC相を示す液晶材料を提供する方法の一つとして、粘性の低いシロキサン鎖を液晶材料の分子構造中に導入する研究がなされている。シロキサン鎖に類似する構造を導入した液晶材料の例としては、例えば、特開平3−34987号公報及び特開平3−48688号公報には、シリル基を持つ安息香酸誘導体であって室温付近でスメクチックC相を発現する液晶材料が開示されている。しかし、この液晶材料がスメクチックC相を示す温度範囲は狭く、また強誘電性を示す液晶分子に関する記述や実施例は示されていない。
【0008】
また、特開平1−144491号公報、特開平1−268785号公報及びLiquid Crystals, 1993, Vol.13, 283には、スペーサー末端部にシロキサン鎖を有する強誘電性液晶材料として、下記一般式(ア)及び(イ)で表される材料が開示されている。
【0009】
【化3】
[式(ア)(イ)中、mは0〜5の整数、nは2〜10の整数を示し、ORは光学活性を有するアルコキシ基又はアラルキルオキシ基を示す。]
これらの一般式(ア)(イ)で示される材料は室温近傍でカイラルスメクチックC相を示すが、その温度域はまだ十分に広くはなく、特に0℃付近の低温域では結晶化が起こり、液晶の配向状態が破壊されて表示不能になる。また、強誘電性液晶表示には不適当なコレステリック相、スメクチックA相を示す温度域が広く、カイラルスメクチックC相の安定性が低い。
【0010】
また、先に本出願人は、特開平6−73179号公報において高分子液晶の原料モノマーとしてスペーサー末端部にシロキサン結合を有する一般式(ウ)で表される強誘電性液晶材料を開示している。
【0011】
【化4】
(式中、m、nは2〜5の整数、pは1又は2、aは4〜20の整数、bは0〜3の整数、cは1〜7の整数を表し、*は不斉炭素原子を表す。)
これらの一般式(ウ)で表される液晶材料は0℃を含む室温付近の実用上十分に広い温度範囲でカイラルスメクチックC相を示し、電界応答速度も速い。しかし、これらを用いた液晶組成物のパルス電圧に対する応答を測定したところ、最小パルス幅は電界応答時間(t10-90)の12〜15倍と長く、ドットマトリクス方式のようなパルス駆動の表示素子に用いるためには不利であることがわかった。
【0012】
また、これらは高分子液晶の合成にモノマーとして使用することを目的として開発されたため、ジオレフィン構造を含み、安定性が劣っているため、長期間のうちには物性が低下する。また、製造方法が複雑で収率も低く、また原料も高価であるという欠点がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、室温を含む実用上十分に広い温度域で安定なスメクチックC相又はカイラルスメクチックC相を示し、物性の安定性も高く、かつ容易に製造できる液晶材料を提供することを目的とする。更に本発明は、室温を含む実用上十分に広い温度域で安定なカイラルスメクチックC相を示し、印加電界に対する応答が速く、特にパルス幅の短い印加電圧に対しても十分に応答する強誘電性液晶組成物及びそれを用いた強誘電性液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のメゾーゲン基、シロキサン鎖及び末端アルキル鎖を有し、ジオレフィン構造を含まない化合物が室温を含む広い温度域で安定なスメクチックC相又はカイラルスメクチックC相を示し、化学的にも長期間安定であり、またヒドロシリル化反応によって容易かつ安価に製造できることを見出し、この知見に基づいて本発明の液晶化合物を完成するに至った。
【0015】
また、本発明者らは、上記の液晶化合物を用いた液晶組成物及び液晶素子が室温を含む実用上十分に広い温度域で安定はカイラルスメクチックC相を示し、印加電界に対する応答が速く、特にパルス幅の短い印加電圧に対しても十分に応答することを見いだし、この知見に基づいて本発明の強誘電性液晶組成物及び強誘電性液晶表示素子を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表される液晶化合物(以下、液晶化合物(I)と称することがある。)を提供するものである。
【0017】
【化5】
(式中、R1は炭素数1〜20の飽和アルキル基を示し、R2、R3は各々独立に炭素数1〜6の飽和アルキル基を示し、xは1〜5の整数を示し、yは3〜20の整数を示し、R4は炭素数1〜10の飽和アルキル基を示す。)
また、本発明は、本発明の上記一般式(I)で表される液晶化合物を含有する強誘電性液晶組成物を提供するものである。
【0018】
更に、本発明は、少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板とその基板間に挟持された液晶層からなる強誘電性液晶表示素子において、液晶層が本発明の強誘電性液晶組成物を用いて形成されたものである強誘電性液晶表示素子を提供するものである。
[液晶化合物]
一般式(I)で表される本発明の液晶化合物は、末端部に柔軟なアルキルシロキサン構造を有するために融点又はガラス転移温度が低く、室温を含む広い温度範囲でスメクチックC相を示す。特に、R4が光学活性基である場合は、カイラルスメクチックC相を示す。本発明の液晶化合物はR1、R2、R3及びR4の基に不飽和結合を含まないため、安定性に優れると共に、合成を容易かつ安価に行うことができる。
【0019】
また、本発明の液晶化合物を他の適当な液晶材料と組み合わせて液晶組成物とすることにより、室温付近の広い温度範囲で安定なカイラルスメクチックC相を示し、電界に対して高速で応答し、最小パルス幅も短く、また応答時間の温度依存性が小さい強誘電性液晶組成物を得ることができる。
【0020】
上記一般式(I)中、R1は炭素数1〜20の飽和アルキル基を示し、この飽和アルキル基は直鎖状又は分岐状であってよく、また、環構造を有していてもよい。このR1は好ましくは炭素数が1〜12の飽和アルキル基、更に好ましくは直鎖状飽和アルキル基であり、炭素数がこの範囲より大きいと、スメクチックC相又はカイラルスメクチックC相の温度域が狭くなる傾向がある。
【0021】
R1の飽和アルキル基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチル−1−ブチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−1−ペンチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3−メチル−3−ペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、4−ヘプチル基、3−エチル−3−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0022】
R2及びR3は各々炭素数1〜6の飽和アルキル基を示し、互いに同じであっても異なっていてもよく、またR1と同じであっても異なっていてもよい。また、R2及びR3が示す飽和アルキル基も直鎖状又は分岐状であってよく、また、環構造を有していてもよい。R2及びR3の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチル−1−ブチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−1−ペンチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3−メチル−3−ペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。特に、R2及びR3が共にメチル基であることが好ましい。R2及びR3が共にメチル基である液晶化合物を強誘電性液晶組成物の調製に用いると、最小パルス幅の小さい強誘電性液晶組成物をより容易に得ることができる。
【0023】
R4は炭素数1〜10の飽和アルキル基であり、直鎖状又は分岐状であってもよく、また、環構造を有していてもよい。また、R4は光学活性の飽和アルキル基であってもよく、あるいは非光学活性の飽和アルキル基であってもよい。
【0024】
R4で示される光学活性の飽和アルキル基の好適な具体例としては、(R)−1−メチルプロピル基、(S)−1−メチルプロピル基、(R)−1−メチルブチル基、(S)−1−メチルブチル基、(R)−2−メチルブチル基、(S)−2−メチルブチル基、(R)−1−メチルペンチル基、(S)−1−メチルペンチル基、(R)−1−メチルヘキシル基、(S)−1−メチルヘキシル基、(R)−1−メチルヘプチル基、(S)−1−メチルヘプチル基等が挙げられる。
【0025】
R4で示される非光学活性の飽和アルキル基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチル−1−ブチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−1−ペンチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3−メチル−3−ペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、4−ヘプチル基、3−エチル−3−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0026】
xは1〜5の整数を示す。
【0027】
yは3〜20の整数を示す。yは好ましくは6〜12の整数であり、この範囲より大きくても小さくても、スメクチックC相又はカイラルスメクチックC相の温度域が狭くなる傾向がある。yは特に好ましくは8〜11である。
【0028】
一般式(I)で表される本発明の液晶化合物は、例えば下記のようにして製造することができる。
【0029】
<一般式(I)の液晶化合物の製造方法(A)>
【0030】
【化6】
上記反応式に示されるように、一般式(I)の液晶化合物は、市販の、又は後述する方法により容易に製造できるシロキサン化合物(II)とオレフィン化合物(III)とを、溶媒中、白金触媒等の存在下でヒドロシリル化反応させることにより容易かつ安価に合成することができる。
【0031】
この反応に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジイソプロピルエーテル等の不活性なエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロフォルム、1,2−ジクロロエタン等の不活性なハロゲン化炭化水素系溶媒などが好適に用いられる。また、前記触媒としては、ヒドロシリル化活性を有するものが使用され、具体的には例えば、ビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金(O)錯体、塩化白金酸、プラチナム(II)アセチルアセトナート、ジシクロペンタジエニルプラチナムクロリド等の白金系触媒が好ましく用いられる。なお、触媒の添加法については単独で添加してもよいし、イソプロピルアルコール、THF、キシレン、2−プロパノール等の溶媒に溶解して添加してもよい。
【0032】
ヒドロシリル化反応は、通常、室温〜120℃、好ましくは60〜100℃の温度範囲で好適に行われる。反応時間は、通常、1〜30時間程度である。
【0033】
<一般式(I)の液晶化合物の製造方法(B)>
【0034】
【化7】
別法として、一般式(I)の液晶化合物は、上記反応式に示されるように、特開平5−141237号公報に開示されている、前記一般式(ウ)で表される化合物と同様な方法でも製造することができる。すなわち、オレフィン化合物(III)とジメチルクロロシランとのヒドロシリル化反応によりクロロシラン化合物を合成し、それを加水分解してシラノール化合物(IV)を得る。このシラノール化合物(IV)は縮合しやすく、中性で注意深く取扱う必要がある。次いでこのシラノール化合物(IV)とクロロシラン化合物(V)とを、溶媒中、ハロゲン化水素受容剤としての3級アミンの存在下でシロキサン結合させ、目的の液晶化合物(I)を得る。
【0035】
上記オレフィン化合物(III)とジメチルクロロシランとのヒドロシリル化反応の反応条件等は、先に製造方法(A)で説明したのと同様である。ヒドロシリル化反応によって得られるジメチルクロロシラン化合物は加水分解しやすいので、単離せず、反応液をそのまま次のシラノール化合物(IV)の合成反応に用いる。上記反応液に、ジメチルクロロシラン化合物と等モル量の水をTHF等の水と混合可能な溶媒に溶かして加える。反応温度は0〜80℃が好適である。ピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンをハロゲン化水素受容剤として加える。
【0036】
このようにして得られるシラノール化合物(IV)とクロロシラン化合物(V)との反応に用いられる上記溶媒としては、THF等の不活性なエーテル系溶媒、トルエン、ヘキサン等の不活性な炭化水素系溶媒、塩化メチレン等の不活性なハロゲン化炭素溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の不活性溶媒等が好適に用いられる。また上記3級アミンとしてはピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール等が好適に用いられる。また、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の脱ハロゲン化水素剤も好適に用いられる。反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、0℃〜室温で行う。反応性の低いときは20〜80℃の適当な温度に加熱してもよい。
【0037】
上記クロロシラン化合物(V)としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン等が好適に用いられる。
【0038】
上記の一般式(II)で表されるシロキサン化合物(II)及び一般式(III)で表されるオレフィン化合物は、例えば、下記のようにして製造することができる。
【0039】
<一般式(II)のシロキサン化合物の製造方法>
一般式(II)のシロキサン化合物としては、ペンタメチルジシロキサン等の一般に市販されているものを使用する他、以下の方法によって製造したものを用いることもできる。
(i)x=1の場合
【0040】
【化8】
上記反応式に示されるように、各種のトリアルキルクロロシラン(VI)を加水分解してシラノール化合物とし、このシラノール化合物をジメチルクロロシランと反応させてジシロキサン化合物(II′)を得る。この加水分解及びそれに続くシロキサン結合反応の反応条件は、上記の製造方法(B)で記載したと同様である。
【0041】
上記トリアルキルクロロシラン(VI)としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン等が好適に用いられる。
(ii)R2=R3=CH3の場合
【0042】
【化9】
(R1′−CH=CH2は、R1に対応するアルカンより水素が2原子少なく、末端に炭素−炭素二重結合を1つもつオレフィンである。)
上記反応式に示されるように、各種オレフィン(VII)とシロキサン化合物(VIII)とのヒドロシリル化反応により、シロキサン化合物(II″)を得る。このヒドロシリル化反応の条件も先に記載したと同様である。
【0043】
上記オレフィン(VII)としては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン等が好適に用いられる。また、上記シロキサン化合物(VIII)としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等が好適に用いられる。
【0044】
<一般式(III)のオレフィン化合物の製造方法>
【0045】
【化10】
上記反応式に示されるように、公知のエステル化反応によりエステル(IX)を得、次いでエステル(IX)とカルボン酸(X)とのエステル化反応によりオレフィン化合物(III)を得る。
【0046】
このようにして得られる一般式(I)で表される液晶化合物は、それ自体をスメクチックC液晶材料又はカイラルスメクチックC液晶材料として用いることもできるし、あるいは他の液晶化合物と混合した液晶組成物として用いることもできる。
【0047】
[強誘電性液晶組成物]
本発明の強誘電性液晶組成物は、上記本発明の液晶化合物(I)を含有するものである。本発明の強誘電性液晶組成物としては、例えば、
非強誘電性の液晶化合物(I)と強誘電性の液晶化合物(I)(R4が光学活性基であるもの)とからなる強誘電性液晶組成物:
非強誘電性の液晶化合物(I)と強誘電性の液晶化合物(I)(R4が光学活性基であるもの)と液晶化合物(I)以外の液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
非強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
非強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の強誘電性液晶化合物及び非強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の非強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の強誘電性液晶化合物及び非強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
などが挙げられる。
【0048】
本発明の強誘電性液晶組成物は、室温、外気温を含む広い温度域で安定なカイラルスメクチックC相を示し、電界に対して高速で応答すると共に、最小パルス幅も短く、応答速度の温度依存性も小さい。
【0049】
本発明の強誘電性液晶組成物としては、特に、本発明の液晶化合物(I)少なくとも1種と、一般式(I)で表される液晶化合物以外のスメクチック液晶化合物少なくとも1種を含有するものが好ましい。
【0050】
本発明で得られる一般式(I)で表される液晶化合物と混合するスメクチック液晶化合物については特に制限はなく、従来公知の液晶化合物の中から任意のものを1種以上選択して用いることができ、更には高分子液晶化合物であってもよい。なお、このような混合により強誘電性液晶組成物を調製する場合には、本発明の液晶化合物(I)として、R4が光学活性基であり、カイラルスメクチックC相を示す液晶化合物を少なくとも1種用い、それにスメクチック相、より好ましくはスメクチックC相又はカイラルスメクチックC相を示す液晶化合物を混合する方が、カイラルスメクチックC相の安定性がよい強誘電性液晶組成物が得られる。また、強誘電性液晶組成物の粘度を下げ、電界応答時間及び最小パルス幅を短くするという観点からは、低分子のスメクチックC液晶化合物を少なくとも1種用いることが好ましい。
【0051】
本発明の強誘電性液晶組成物に用いる液晶化合物(I)以外のスメクチック液晶化合物としては、例えば以下の構造を有し、スメクチック相を有する化合物が挙げられる。
【0052】
【化11】
【0053】
【化12】
(式中のR5及びR6は、それぞれ炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシルオキシ基であり、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。)
これらのスメクチック液晶化合物の具体例としては、
【0054】
【化13】
などが挙げられる。
【0055】
更に、下記一般式
【0056】
【化14】
で表されるフェニルピリミジン系液晶化合物なども特に好適に用いることができる。R7は炭素数6〜17の非光学活性のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシアルコキシ基、アルケニルカルボニルオキシアルコキシ基又はアシルオキシ基、R8は炭素数6〜12の非光学活性のアルキル基又はアルコキシ基である。また、R9及びR10は、それぞれ炭素数4〜14の非光学活性のアルキル基又はアルコキシ基であり、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。一方、R11は炭素数4〜14の非光学活性のアルキル基、R12は炭素数4〜14の非光学活性のアルキル基又はアルコキシ基である。R13は、炭素数6〜20の非光学活性のアルキル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニルオキシアルコキシ基である。R7、R13におけるメチレン基の一部は、エステル基、酸素原子に置換されていてもよい。ただし、エステル基や酸素原子が連続することはない。また、R7〜R13は直鎖でも分岐状であってもよい。
【0057】
これらのフェニルピリミジン系スメクチック液晶化合物の具体例としては、
【0058】
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
などが挙げられる。
【0061】
また、本発明の液晶化合物(I)と混合して用いることのできる高分子スメクチック液晶化合物の例としては、国際公開番号WO92/01731に記載されている強誘電性を示す液晶性共重合体(カイラルスメクチックC共重合体)、即ち、下記一般式で表される繰り返し単位
【0062】
【化18】
[式中、q及びrは2〜5の整数、sは0〜3の整数、dは1〜20の整数であり、R14は
【0063】
【化19】
である。ただし、R15は−COOR16、−OR16、−OCOR16であり、R16は
【0064】
【化20】
R17及びR18は−CH3又はハロゲン原子であり、e、gは0〜10の整数であり、fは0又は1である(R18が−CH3である場合は、gは0ではない。)。]
からなり、[XI]と[XII]のモル比がほぼ1:1である液晶性共重合体が挙げられる。
【0065】
更に、本発明の強誘電性液晶組成物に用いる上記スメクチック液晶化合物とし
ては、下記一般式
【0066】
【化21】
(式中、R7は非光学活性の炭素数6〜17のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシアルコキシ基、アルケニルカルボニルオキシアルコキシ基又はアシルオキシ基であり、R8は非光学活性の炭素数6〜12のアルキル基又はアルコキシ基を示す。)
で表されるフェニルピリミジン系スメクチックC液晶化合物を少なくとも1種含有するものが好ましい。これらのフェニルピリミジン系スメクチックC液晶化合物を含有する本発明の強誘電性液晶組成物は、粘度が下がり、電界応答時間及び最小パルス幅を短くでき、また電界応答時間の温度依存性も小さくなる。このようなフェニルピリミジン系スメクチックC液晶化合物の中でも、R7が非光学活性の炭素数6〜17のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアルキルカルボニルオキシアルコキシ基であるものが好ましい。
【0067】
このような好ましいR7の好適な具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0068】
非光学活性の炭素数6〜17のアルキル基としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。
【0069】
非光学活性の炭素数6〜17のアルコキシ基としては、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基などが挙げられる。
【0070】
非光学活性の炭素数6〜17のアルコキシカルボニル基としては、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、n−ウンデシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0071】
非光学活性の炭素数6〜17のアルキルカルボニルオキシアルコキシ基としては、8−(t−ブチルカルボニルオキシ)オクチルオキシ基、10−(t−ブチルカルボニルオキシ)デシルオキシ基、12−(t−ブチルカルボニルオキシ)ドデシルオキシ基、6−(イソブチルカルボニルオキシ)ヘキシルオキシ基、8−(イソブチルカルボニルオキシ)オクチルオキシ基、10−(イソブチルカルボニルオキシ)デシルオキシ基、12−(イソブチルカルボニルオキシ)ドデシルオキシ基、6−(3−ペンチルカルボニルオキシ)ヘキシルオキシ基、8−(3−ペンチルカルボニルオキシ)オクチルオキシ基、10−(3−ペンチルカルボニルオキシ)デシルオキシ基、12−(3−ペンチルカルボニルオキシ)ドデシルオキシ基などが挙げられる。
【0072】
また、R8の具体例として、非光学活性の炭素数6〜12のアルキル基としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられ、非光学活性の炭素数6〜12のアルコキシ基としては、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基などが挙げられる。
【0073】
このような特に好ましい強誘電性液晶組成物において、液晶化合物(I)の割合は、通常、強誘電性液晶組成物重量に対して20〜90重量%、好ましくは40〜80重量%の範囲が好適である。また、液晶化合物(I)中、R4が光学活性を有する炭素数4〜10の飽和アルキル基であるものの割合が、液晶化合物(I)全体重量に対して50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%であることが望ましい。強誘電性液晶組成物中の液晶化合物(I)の量が90重量%を超えると、強誘電性液晶組成物の粘度が高くなり、応答がかえって遅くなることがある。20重量%未満であると、カイラルスメクチックC相の温度域が狭くなることがある。また、液晶化合物(I)中のR4が光学活性基であるものの割合が50重量%未満であると、自発分極が低下し、応答が遅くなることがある。
【0074】
また、上記の特に好ましい強誘電性液晶組成物において、上記フェニルピリミジン系スメクチック液晶化合物の割合は、10〜80重量%、特に20〜60重量%であることが好ましい。フェニルピリミジン系スメクチック液晶化合物の割合が80重量%を超えると、自発分極が低下し、応答がかえって遅くなることがあり、また、強誘電性液晶組成物のカイラルスメクチックC相の温度域が狭くなることがある。フェニルピリミジン系スメクチック液晶化合物の割合が10重量%未満であると、強誘電性液晶組成物の粘度が高くなり、応答が遅くなることがあり、また、傾き角2θが大きくなり、液晶表示素子に用いた場合に、液晶パネルのコントラストが低下するおそれがある。
【0075】
[強誘電性液晶表示素子]
本発明の強誘電性液晶表示素子(以下、液晶表示素子と称することがある)は、上記本発明の強誘電性液晶組成物(以下、液晶組成物と称することがある)を少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板間に挟持してなるものである。
【0076】
本発明の液晶表示素子は、室温のみならず外気温度をも含む広い温度域にわたって強誘電性液晶表示素子としての駆動が可能であり、また、電界応答時間の温度依存性が小さく、室内室外において安定した表示を行うことができる。また、パルス電圧に対する応答性に優れ、強誘電性液晶の双安定性を利用した単純マトリクス表示等のパルス駆動に特に好適に使用することができる。
【0077】
図1は本発明の液晶表示素子の一態様の部分断面図であり、少なくとも一方が透明である一対の電極2付き基板1の間に、本発明の液晶組成物を用いて形成された液晶層3が基板1の電極面に接して挟持されている。
【0078】
本発明に用いられる基板としては、ガラス、プラスチック等、電極形成が可能なものであれば特に制限なく用いることができる。プラスチック基板の材料の例としては、一軸又は二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)などの結晶性ポリマー、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)などの非結晶性ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアリレート(PAr)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン等のポリアミドなどが挙げられる。液晶表示素子の生産性の高さから、プラスチックフィルムのような可撓性基板を用いることが好ましい。基板の厚さとしては、通常、100μm〜1mm、好ましくは100μm〜500μmが適当である。
【0079】
本発明において、上記2枚の電極付き基板は、互いに同じ材質のものであってもよく、また、相違する材質のものであってもよいが、少なくとも一方の基板を光学的に透明なものとし、光学的に透明又は半透明な電極を設けて使用する。
【0080】
この透明又は半透明な電極の具体例としては、例えば、NESA膜といわれる酸化スズ膜、酸化インジウム膜、酸化インジウムと酸化スズとの混合物からなるITO膜、金やチタンなどの蒸着膜、或は他の薄膜状のアルミニウム等の金属又は合金などを挙げることができる。これら電極の形状としては特に制限はなく、基板の所定の面上の全面にわたるものであってもよく、ストライプ状のものであってもよく、又は他の所望の形状のものであってもよい。
【0081】
液晶層の厚みは、通常、0.5〜10μm、好ましくは1〜3μm程度が好適である。
【0082】
図2は、本発明の液晶表示素子の他の一態様の例を示す部分断面図である。2枚の電極2付き基板1と液晶層3との間に、絶縁膜4が設けられている。液晶層3中には、電極間のセルギャップを一定に保ち、電極間の短絡を防止するためのスペーサー5が配置されている。
【0083】
スペーサーとしては、液晶表示素子に通常用いられるものであれば特に制限はなく、ガラス、シリカ又は耐溶剤性を有するプラスチック等からなるものが好適に用いられる。スペーサーとしては、球状のものが連続工程による液晶表示素子の製造方法に適しており、好適に用いられる。球状スペーサーの材質として好適なものの具体例としては、例えば、シリカ等の無機系材料、ジビニルベンゼン系やポリスチレン系のポリマービーズ等が挙げられる。球状スペーサーの粒径は、液晶素子のセル厚に応じて適宜選択可能であり、通常、1〜5μm程度が好ましい。なお、スペーサーを用いなくてもセルギャップを保持できる場合には、スペーサーを使用しなくてもよい。
【0084】
絶縁膜は、対向する電極間の短絡を防止するためのものであり、短絡するおそれのない場合は絶縁膜を設けなくてもよい。絶縁膜の材質としては、液晶表示素子に通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、SiOx等の無機蒸着膜、アクリル系、ナイロン系、エポキシ系等の種々の非液晶性高分子膜が挙げられる。
【0085】
さらに、本発明の液晶表示素子には、必要に応じ、配向膜が液晶層に接して設けられていてもよい。配向膜としては、通常液晶表示素子に用いられるものであれば特に制限はなく、ポリイミドやポリビニルアルコールなどの高分子膜を一方向にラビング処理したもの、酸化シリコンを斜方蒸着したものなど、種々の配向膜を用いることができる。基板としてプラスチック製の基板を用いる場合には、基板自体をラビング処理してもよい。液晶表示素子のたわみや、上下基板のずれなどによる液晶への剪断応力の印加、或は、剪断応力と電圧の印加による配向方法などで配向する場合には、配向膜は設けなくてもよい。
【0086】
このようにして水平配向した液晶層中の液晶は、電界印加によって配列が変わり、1枚或は2枚の偏光板を基板外側に配置することにより、明暗表示が可能となる。
【0087】
また、本発明の液晶表示素子は、液晶組成物が素子外に流出しないように封止することが好ましいが、液晶組成物が流出するおそれがなく、素子を安定に保つことができる場合には封止しなくてもよい。
【0088】
本発明の液晶表示素子の製造方法としては特に制限はないが、例えば下記のようにして製造することができる。
【0089】
少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板の間に本発明の液晶組成物を挟持し、液晶層中の液晶を水平配向させる。
【0090】
電極付き基板間に液晶組成物を挟持する方法としては、特に制限はなく、真空注入法、電極付き基板への塗布法など、液晶組成物の性状等に応じて適宜選択できる。通常は、液晶組成物自体、又は、液晶組成物を全成分の共通溶媒に溶解した塗工液を電極付き基板の少なくとも一方に塗布し、直ちに(塗工液を使用する場合は溶媒蒸発後直ちに)、両基板を貼り合わせてラミネートする方法が好適である。
【0091】
塗工液は、通常、粘度が1〜3cpになるような濃度に調製する。これは、塗工液中の液晶組成物濃度としては、重量百分率で大体20〜40重量%である。溶媒を蒸発させる乾燥工程では、通常、常圧において30〜150℃程度に加熱して行われる。
【0092】
塗工液の調製に用いられる溶媒としては、基板や必要に応じて設けられた絶縁膜や配向膜を溶解せず、液晶組成物を溶解するものであれば特に制限はない。通常、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、又はそれらの混合溶媒等が好適に用いられる。
【0093】
必要に応じ、液晶組成物を挟持する前に、絶縁層や配向膜を電極付き基板上に形成してもよい。また、上下基板間にスペーサーを配置する場合、スペーサーの配置方法としては、特に制限はなく、あらかじめ電極付き基板上又は両基板間に固定しておいてもよいし、液晶組成物又は上記の塗工液中に混合しておいて液晶層の形成時に同時に配置してもよい。或は、液晶組成物又はその塗工液を塗布した後に、塗布層上に配置して埋め込み、固定してもよい。
【0094】
液晶層中の液晶の水平配向処理の方法としては、通常の液晶素子を作製する場合と同様に、上下基板間のずり又は液晶素子のたわみ等による剪断応力による方法、電界の印加による方法、磁場配向法、温度勾配法、SiO斜方蒸着法、配向膜のラビング法、これらの組み合わせなど、水平配向が得られるならば特に制限はない。
【0095】
例えば、基板として可撓性のプラスチック基板を用いた場合には、液晶素子にたわみ変形を与えて剪断応力を印加して配向させる方法が好適に用いられる。たわみ変形を与える手段としては、少なくとも1本のロールを用い、液晶素子をロール面に沿ってたわませる方法が好適である。図3に、そのような手段の一態様を示す。図3の態様では、未配向の液晶表示素子6を、3本のロール7間を両面を交互にロール7に接触させるようにして移動させ、たわみ変形による剪断応力で液晶表示素子内の液晶を水平配向させ、配向済液晶表示素子8を得ている。剪断応力による配向を行う場合、より良い配向を得るため、液晶表示素子の上下電極間に電界を印加しながら剪断応力をかけてもよく、又加熱ロールの使用、或は装置系全体を恒温槽に入れるなどして、加熱しながら行ってもよい。
【0096】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0097】
なお、相転移挙動を示す式中、各記号は以下の意味を有する。
I:等方相液体、N:ネマチック相、SA:スメクチックA相、S * C:カイラルスメクチックC相、SC:スメクチックC相、SX:高次のスメクチック相、G:ガラス相、C:結晶相
相転移温度の測定、相の同定及び電界応答時間の測定は、下記のようにして行った。
【0098】
液晶化合物又は液晶組成物を2枚のITO電極付きガラス基板(電極面積0.2cm2、ITO膜厚1000オングストローム)の間に、3μmの球状シリカスペーサーを用いて均一膜厚に挟持し、測定セルとした。これを偏光顕微鏡下(倍率400倍)で観察し、等方相液体状態である温度から毎分3℃の速度で温度を下げ、相転移温度の観測及び相の同定を行った。この際、必要に応じて上下電極間に±30Vの電圧を印加した。
【0099】
続いて上記セルにそれぞれS * C温度域の上限温度より2〜5℃低い温度において上下基板間に剪断応力を数回かけて液晶を配向させた(剪断法による配向)。これに各測定温度において±30V、3Hzの矩形波状電圧を印加し、その際の透過光量変化(10→90%)に要した時間を測定し、その温度での電界応答時間(τ)とした。
【0100】
また、測定温度25℃において、30Vの矩形波電圧1パルスを透過光量が増加する方向にパルス幅を短いパルス幅から長いパルス幅へ変えながら印加し、その際パルス印加直後の透過光量が電界を切った後も95%以上保持されるために必要なパルス幅を求め、最小パルス幅(w)とした。
【0101】
実施例1 製造方法(A)による液晶化合物Iaの製造
▲1▼オレフィン化合物IIIaの製造
【0102】
【化22】
攪拌機及び塩化カルシウム管を備えたフラスコに、4−(9−デセニルオキシ)安息香酸5.53g(20ミリモル)、4−ヒドロキシビフェニル−4′−カルボン酸(S)−1−メチルブチル5.69g(20ミリモル)、4−ジメチルアミノピリジン0.24g(2ミリモル)を入れ、塩化メチレン60mlを加えた。この中にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)4.54g(22ミリモル)を加えて室温で4時間攪拌した。生じた不溶固体(ジシクロヘキシルカーボネート)を濾過により除き、濾液を希塩酸及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 塩化メチレン:n−ヘキサン=3:2)で精製した後に、エタノールより再結晶し、オレフィン化合物IIIa9.29gを得た(収率86%)。
【0103】
▲2▼液晶化合物Iaの製造
【0104】
【化23】
攪拌機及び塩化カルシウム管を備えたフラスコに、オレフィン化合物IIIa1.09g(2ミリモル)、ペンタメチルジシロキサン(IIa)[信越化学工業(株)製]0.45g(3ミリモル)を入れ、トルエン4mlを加えた。この中にビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金(O)錯体のキシレン溶液[チッソ(株)製]20μlを加えて80℃で5時間攪拌した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 塩化メチレン:n−ヘキサン=3:2)で精製した後、エタノール10mlを加えて加熱溶解し、室温まで冷却して目的物を再度沈殿させた。溶媒をデカンテーションして除去し、真空乾燥して目的とする液晶化合物Ia1.13gを得た(収率82%)。得られた液晶化合物Iaの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表1に、また1H−NMRのチャートを図1に示す。
【0105】
実施例2 製造方法(B)による液晶化合物Iaの製造
▲1▼シラノール化合物IVaの製造
【0106】
【化24】
オレフィン化合物IIIa5.43g(10.0ミリモル)及び0.1Mの塩化白金酸/2−プロパノール溶液0.1ml(0.1モル%)を無水トルエン10mlに加えた。この中にジメチルクロロシラン1.89g(20.0ミリモル)を加えて3時間80℃で加熱攪拌し、クロロシラン化合物を得た。アルゴン気流下に過剰のジメチルクロロシランを留去した後、室温に戻し、THF10mlを加えて希釈した。その中に激しく攪拌しながら水1.8g(100ミリモル)、トリエチルアミン2.02g(20ミリモル)のTHF10ml溶液を添加し、室温で2時間攪拌した。反応液に塩化メチレンを加えて希釈し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 塩化メチレンのみ)で精製して目的とするシラノール化合物IVa4.71gを得た(収率76%)。
【0107】
副生成物として下記シロキサン化合物(エ)が収率18%で得られた。また、シラノール化合物IVaは不安定であり、脱水縮合してシロキサン化合物(エ)になりやすいので取扱いに注意が必要である。
【0108】
【化25】
▲2▼液晶化合物Iaの製造
シラノール化合物IVa1.24g(2.0ミリモル)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)0.34g(5.0ミリモル)を塩化メチレン5mlに溶解した。この中にトリメチルクロロシラン0.33g(2.2ミリモル)の塩化メチレン2ml溶液を加えて室温で5時間攪拌した。水を加えて反応を停止し、塩化メチレンで抽出し、1N塩酸及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒をエバポレーターで留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 塩化メチレン:n−ヘキサン=3:2)で精製して粗生成物1.52gを得た。これにエタノール15mlを加えて加熱溶解し、室温まで冷却して目的物を再度沈殿させた。溶媒をデカンテーションして除去し、真空乾燥して目的とする液晶化合物Ia1.12gを得た(収率81%)。得られた化合物の分析値は実施例1で得たものと一致した。オレフィン化合物IIIaから2ステップでの収率は62%で、実施例1より低収率であった。
【0109】
実施例3 液晶化合物Ib〜Iiの製造
(1)シロキサン化合物IIb〜IIiの製造
【0110】
【化26】
▲1▼シロキサン化合物IIbの製造
水0.90g(50ミリモル)及びトリエチルアミン11.1g(110ミリモル)をTHF30ml中に入れ、氷水で冷却した。その中にn−ブチルジメチルクロロシラン7.54g(50ミリモル)のTHF10ml溶液を添加し、2時間攪拌した。次にクロロジメチルシラン4.73g(50ミリモル)のTHF10ml溶液を添加し、さらに2時間攪拌した。水を加えて反応を停止し、生成物をエーテルで抽出し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留し、シロキサン化合物IIb(1−n−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)6.19gを得た(収率65%)。
【0111】
▲2▼シロキサン化合物IIcの製造
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン13.4g(100ミリモル)にビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金(O)錯体のキシレン溶液[チッソ(株)製]50μlを加え、40℃に加熱し、その中に1−ヘキセン4.21g(50ミリモル)を30分かけて滴下した。過剰の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを常圧下に蒸留して回収した後、残渣を減圧下に蒸留し、シロキサン化合物IIc(1−n−ヘキシル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)7.54gを得た(収率69%)。
【0112】
▲3▼シロキサン化合物IId〜IIgの製造
実施例3の(1)の▲2▼において1−ヘキセンの代わりにそれぞれ1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン及び3,3−ジメチル−1−ブテンを用いた他は実施例3の(1)の▲2▼に記載したのと同様の操作を行い、シロキサン化合物(ジシロキサン)IId、IIe、IIf及びIIgを製造した。
【0113】
▲4▼シロキサン化合物IIh及びIIiの製造
実施例3の(1)の▲2▼において1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの代わりにそれぞれ1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン又は1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンを用いた他は実施例3の(1)の▲2▼に記載したのと同様の操作を行い、トリシロキサン化合物IIh及びテトラシロキサン化合物IIiを製造した。
【0114】
上記実施例3の(1)の▲1▼〜▲4▼において製造したシロキサン化合物IIb〜IIiの収率及び沸点を表3に記載した。
【0115】
(2)液晶化合物Ib〜Iiの製造
【0116】
【化27】
実施例1の▲2▼においてペンタメチルジシロキサンの代わりにそれぞれ実施例3で製造したシロキサンIIb〜IIiを用いた他は実施例1の▲2▼に記載したのと同様の操作を行い、液晶化合物Ib〜Iiを製造した。得られた液晶化合物Ib〜Iiの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表1に記載した。液晶化合物Ibの1H−NMRチャートを図2に示す。
【0117】
実施例4 液晶化合物Ij〜Imの製造
【0118】
【化28】
実施例2の▲2▼においてトリメチルクロロシランの代わりにそれぞれ市販のtert−ブチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチルクロロシラン及びトリ−n−ブチルクロロシランを用いた他は実施例2の▲2▼に記載したのと同様の操作を行い、液晶化合物Ij〜Imを製造した。得られた液晶化合物Ij〜Imの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表1に記載した。
【0119】
実施例5 液晶化合物In〜Itの製造
【0120】
【化29】
一般式(I)においてR1がn−ヘキシル基、R2及びR3がメチル基、x=1、y=8、10又は11であって、R4が上記の各種の光学活性基である液晶化合物In〜Itを、実施例1に記載した方法に従い製造した。得られた液晶化合物In〜Itの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表2に記載した。
【0121】
実施例6 液晶化合物Iu及びIvの製造
【0122】
【化30】
一般式(I)においてR1がn−ヘキシル基、R2及びR3がメチル基、x=1、y=10であって、R4がn−ブチル基又は3−メチル−1−ブチル基である非光学活性の液晶化合物Iu及びIvを、実施例1に記載した方法に従い製造した。得られた液晶化合物Iu及びIvの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表2に記載した。化合物Iuの1H−NMRのチャートを図3に示した。
【0123】
上記実施例1〜6で得られた化合物Ia〜Ivについて相転移挙動、及び25℃での電界応答時間(τ)と傾き角(2θ)を表4に示す。
【0124】
実施例7
本発明による液晶化合物Ib、Ic、Id、Ih、It、Iu及び特開平6−73179号公報記載の化合物(ク)[前記の一般式(ウ)においてm=3、n=3、p=1、a=10、b=0、c=2である化合物]を用い、それぞれ、公知である下記のフェニルピリミジン系液晶化合物(オ)(カ)(キ)と混合して液晶組成物A〜F及び比較例1を調製した。
【0125】
【化31】
各液晶組成物の組成比、相転移挙動、40℃、25℃、10℃、0℃における応答時間(τ)及び応答時間の温度依存性の指標としてのτ0/τ40(0℃での応答時間/40℃での応答時間の値)、25℃での最小パルス幅及び25℃での傾き角(2θ)を表5に示した。
【0126】
【化32】
本発明による液晶化合物を用いた液晶組成物A〜Fは広い温度域でカイラルスメクチックC相を示し、応答時間及び応答時間速度の温度依存性が小さく、特に比較例1よりも最小パルス幅が小さいことが示された。
【0127】
実施例8及び比較例2
本発明による液晶化合物Ib及び比較例2として特開平6−73179号公報に記載されている液晶モノマー化合物(ク)を用いてそれぞれ測定セルを作製し、50℃の乾燥機中で2か月間保存試験を行った。作製直後と2か月後のそれぞれの相転移挙動、25℃における応答時間(τ)と傾き角(2θ)を表6に示した。
【0128】
ジオレフィン構造を持つモノマー化合物(ク)がセル作製直後から2か月後にはカイラルスメクチックC相の温度域が全体に高温域にシフトすると共に応答時間も長くなり、著しい劣化が認められたのに対して、本発明による液晶化合物Ibはセル作製直後と2か月後の物性にほとんど変化が認められず、安定性が高いことが示された。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【0135】
【発明の効果】
本発明の液晶化合物は、容易かつ安価に合成することができる上に、室温を含む広い温度範囲で安定したスメクチックC相又はカイラルスメクチックC相を示す。また本発明の液晶化合物は末端アルキル基に不飽和結合を含まないため、安定性に優れ、優れた液晶物性を長期間保持する。
【0136】
また、このようなカイラルスメクチックC相を示す本発明の液晶化合物を他の適当な液晶材料と組み合わせて液晶組成物とすることにより得られる本発明の強誘電性液晶組成物は、室温付近の広い温度範囲で安定なカイラルスメクチックC相を示し、電界、特にパルス状の電界に対して高速で応答し、また応答時間の温度依存性が小さく、応答速度の速い強誘電性液晶表示に好適に用いることができる。
【0137】
本発明の強誘電性液晶表示素子は、上記強誘電性液晶組成物を液晶層に用いていることから、室温を含む広い温度域で安定した双安定式表示が可能であり、また、ドットマトリクス方式のようなパルス駆動の表示素子として特に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電性液晶表示素子の一態様を示す部分断面図。
【図2】本発明の強誘電性液晶表示素子の一態様を示す部分断面図。
【図3】液晶表示素子の配向方法を示す模式図。
【図4】実施例で製造した本発明の液晶化合物の1H−NMRチャート。
【図5】実施例で製造した本発明の液晶化合物の1H−NMRチャート。
【図6】実施例で製造した本発明の液晶化合物の1H−NMRチャート。
【符号の説明】
1 基板
2 電極
3 液晶層
4 絶縁膜
5 スペーサー
6 未配向液晶表示素子
7 ロール
8 配向済液晶表示素子
【産業上の利用分野】
本発明は、シロキサン構造を有する新規な液晶化合物に関する。更に詳しくは、本発明は、オプトエレクトロニクス分野で用いられる液晶素子の液晶材料、特に強誘電性液晶素子の液晶材料として好適に用いられる新規な液晶化合物に関する。また、本発明は、上記液晶化合物を含有する強誘電性液晶組成物及びその強誘電性液晶組成物を用いた強誘電性液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、TN(ツイストネマティック)型液晶表示方式に代わる応答速度のより速い液晶表示方式として、強誘電性液晶を利用した表示方式が注目されてきている(N.A.Clark et al., Appl. Phys. Lett., 1980, Vol. 36, 899)。
【0003】
強誘電性液晶表示素子においては、強誘電相、好ましくはカイラルスメクチックC相の双安定状態間を電界を印加することによりスイッチングし、明暗の表示の切り換えを行う。従って、強誘電性液晶表示素子に用いる液晶組成物は、印加する電界に対する応答が早いことが好ましい。
【0004】
また、単純マトリクス方式の強誘電性液晶表示素子の場合には、各ドットの明暗の表示の切り換えは、ある幅を持ったパルス状の電界を印加して双安定状態間をスイチッングすることによって行われる。この際、明確にスイッチングさせるためには、所定の電界を所定のパルス幅以上の時間印加する必要があり、それ以下の場合には双安定状態が保たれず、表示が不可能である。この双安定状態間を十分にスイッチングできる最小のパルス幅をここでは「最小パルス幅」と呼ぶ。この最小パルス幅は、液晶材料によってそれぞれ異なるが、一般に直流電界に対する応答時間(t10-90等)の数倍〜十数倍の値となる。従って、例えば強誘電性液晶表示素子に用いられる単純マトリクス方式の強誘電性液晶表示素子においてスクロール表示等、表示の切り換えを速く行うためには、用いる液晶組成物は直流電界に対する応答時間(t10-90等)が短いだけでなく、実用上、最小パルス幅が小さいことが必要である。
【0005】
また、強誘電性液晶表示素子は、実用上、用いる強誘電性液晶材料が室温付近の広い温度範囲で安定した強誘電性相、好ましくはカイラルスメクチックC相を示すことが必要である。特に、室外用の表示板、車載用表示盤等に使用する場合には、室温のみならず外気温度を含む十分広い温度域にわたって安定した強誘電相を示すことが必要である。また、表示駆動上、広い温度域にわたって安定した表示を得るためには、電界応答時間の温度依存性が小さい強誘電性液晶組成物を用いることが望ましい。
【0006】
更に、液晶素子を長期にわたって使用するためには、用いる液晶材料自身の安定性の高いことが要求される。
【0007】
室温付近で安定なカイラルスメクチックC相を示す液晶材料を提供する方法の一つとして、粘性の低いシロキサン鎖を液晶材料の分子構造中に導入する研究がなされている。シロキサン鎖に類似する構造を導入した液晶材料の例としては、例えば、特開平3−34987号公報及び特開平3−48688号公報には、シリル基を持つ安息香酸誘導体であって室温付近でスメクチックC相を発現する液晶材料が開示されている。しかし、この液晶材料がスメクチックC相を示す温度範囲は狭く、また強誘電性を示す液晶分子に関する記述や実施例は示されていない。
【0008】
また、特開平1−144491号公報、特開平1−268785号公報及びLiquid Crystals, 1993, Vol.13, 283には、スペーサー末端部にシロキサン鎖を有する強誘電性液晶材料として、下記一般式(ア)及び(イ)で表される材料が開示されている。
【0009】
【化3】
[式(ア)(イ)中、mは0〜5の整数、nは2〜10の整数を示し、ORは光学活性を有するアルコキシ基又はアラルキルオキシ基を示す。]
これらの一般式(ア)(イ)で示される材料は室温近傍でカイラルスメクチックC相を示すが、その温度域はまだ十分に広くはなく、特に0℃付近の低温域では結晶化が起こり、液晶の配向状態が破壊されて表示不能になる。また、強誘電性液晶表示には不適当なコレステリック相、スメクチックA相を示す温度域が広く、カイラルスメクチックC相の安定性が低い。
【0010】
また、先に本出願人は、特開平6−73179号公報において高分子液晶の原料モノマーとしてスペーサー末端部にシロキサン結合を有する一般式(ウ)で表される強誘電性液晶材料を開示している。
【0011】
【化4】
(式中、m、nは2〜5の整数、pは1又は2、aは4〜20の整数、bは0〜3の整数、cは1〜7の整数を表し、*は不斉炭素原子を表す。)
これらの一般式(ウ)で表される液晶材料は0℃を含む室温付近の実用上十分に広い温度範囲でカイラルスメクチックC相を示し、電界応答速度も速い。しかし、これらを用いた液晶組成物のパルス電圧に対する応答を測定したところ、最小パルス幅は電界応答時間(t10-90)の12〜15倍と長く、ドットマトリクス方式のようなパルス駆動の表示素子に用いるためには不利であることがわかった。
【0012】
また、これらは高分子液晶の合成にモノマーとして使用することを目的として開発されたため、ジオレフィン構造を含み、安定性が劣っているため、長期間のうちには物性が低下する。また、製造方法が複雑で収率も低く、また原料も高価であるという欠点がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、室温を含む実用上十分に広い温度域で安定なスメクチックC相又はカイラルスメクチックC相を示し、物性の安定性も高く、かつ容易に製造できる液晶材料を提供することを目的とする。更に本発明は、室温を含む実用上十分に広い温度域で安定なカイラルスメクチックC相を示し、印加電界に対する応答が速く、特にパルス幅の短い印加電圧に対しても十分に応答する強誘電性液晶組成物及びそれを用いた強誘電性液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のメゾーゲン基、シロキサン鎖及び末端アルキル鎖を有し、ジオレフィン構造を含まない化合物が室温を含む広い温度域で安定なスメクチックC相又はカイラルスメクチックC相を示し、化学的にも長期間安定であり、またヒドロシリル化反応によって容易かつ安価に製造できることを見出し、この知見に基づいて本発明の液晶化合物を完成するに至った。
【0015】
また、本発明者らは、上記の液晶化合物を用いた液晶組成物及び液晶素子が室温を含む実用上十分に広い温度域で安定はカイラルスメクチックC相を示し、印加電界に対する応答が速く、特にパルス幅の短い印加電圧に対しても十分に応答することを見いだし、この知見に基づいて本発明の強誘電性液晶組成物及び強誘電性液晶表示素子を完成するに至った。
【0016】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で表される液晶化合物(以下、液晶化合物(I)と称することがある。)を提供するものである。
【0017】
【化5】
(式中、R1は炭素数1〜20の飽和アルキル基を示し、R2、R3は各々独立に炭素数1〜6の飽和アルキル基を示し、xは1〜5の整数を示し、yは3〜20の整数を示し、R4は炭素数1〜10の飽和アルキル基を示す。)
また、本発明は、本発明の上記一般式(I)で表される液晶化合物を含有する強誘電性液晶組成物を提供するものである。
【0018】
更に、本発明は、少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板とその基板間に挟持された液晶層からなる強誘電性液晶表示素子において、液晶層が本発明の強誘電性液晶組成物を用いて形成されたものである強誘電性液晶表示素子を提供するものである。
[液晶化合物]
一般式(I)で表される本発明の液晶化合物は、末端部に柔軟なアルキルシロキサン構造を有するために融点又はガラス転移温度が低く、室温を含む広い温度範囲でスメクチックC相を示す。特に、R4が光学活性基である場合は、カイラルスメクチックC相を示す。本発明の液晶化合物はR1、R2、R3及びR4の基に不飽和結合を含まないため、安定性に優れると共に、合成を容易かつ安価に行うことができる。
【0019】
また、本発明の液晶化合物を他の適当な液晶材料と組み合わせて液晶組成物とすることにより、室温付近の広い温度範囲で安定なカイラルスメクチックC相を示し、電界に対して高速で応答し、最小パルス幅も短く、また応答時間の温度依存性が小さい強誘電性液晶組成物を得ることができる。
【0020】
上記一般式(I)中、R1は炭素数1〜20の飽和アルキル基を示し、この飽和アルキル基は直鎖状又は分岐状であってよく、また、環構造を有していてもよい。このR1は好ましくは炭素数が1〜12の飽和アルキル基、更に好ましくは直鎖状飽和アルキル基であり、炭素数がこの範囲より大きいと、スメクチックC相又はカイラルスメクチックC相の温度域が狭くなる傾向がある。
【0021】
R1の飽和アルキル基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチル−1−ブチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−1−ペンチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3−メチル−3−ペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、4−ヘプチル基、3−エチル−3−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
【0022】
R2及びR3は各々炭素数1〜6の飽和アルキル基を示し、互いに同じであっても異なっていてもよく、またR1と同じであっても異なっていてもよい。また、R2及びR3が示す飽和アルキル基も直鎖状又は分岐状であってよく、また、環構造を有していてもよい。R2及びR3の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチル−1−ブチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−1−ペンチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3−メチル−3−ペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。特に、R2及びR3が共にメチル基であることが好ましい。R2及びR3が共にメチル基である液晶化合物を強誘電性液晶組成物の調製に用いると、最小パルス幅の小さい強誘電性液晶組成物をより容易に得ることができる。
【0023】
R4は炭素数1〜10の飽和アルキル基であり、直鎖状又は分岐状であってもよく、また、環構造を有していてもよい。また、R4は光学活性の飽和アルキル基であってもよく、あるいは非光学活性の飽和アルキル基であってもよい。
【0024】
R4で示される光学活性の飽和アルキル基の好適な具体例としては、(R)−1−メチルプロピル基、(S)−1−メチルプロピル基、(R)−1−メチルブチル基、(S)−1−メチルブチル基、(R)−2−メチルブチル基、(S)−2−メチルブチル基、(R)−1−メチルペンチル基、(S)−1−メチルペンチル基、(R)−1−メチルヘキシル基、(S)−1−メチルヘキシル基、(R)−1−メチルヘプチル基、(S)−1−メチルヘプチル基等が挙げられる。
【0025】
R4で示される非光学活性の飽和アルキル基の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、3−メチル−1−ブチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、4−メチル−1−ペンチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、2−エチル−1−ブチル基、3−メチル−3−ペンチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、4−ヘプチル基、3−エチル−3−ペンチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0026】
xは1〜5の整数を示す。
【0027】
yは3〜20の整数を示す。yは好ましくは6〜12の整数であり、この範囲より大きくても小さくても、スメクチックC相又はカイラルスメクチックC相の温度域が狭くなる傾向がある。yは特に好ましくは8〜11である。
【0028】
一般式(I)で表される本発明の液晶化合物は、例えば下記のようにして製造することができる。
【0029】
<一般式(I)の液晶化合物の製造方法(A)>
【0030】
【化6】
上記反応式に示されるように、一般式(I)の液晶化合物は、市販の、又は後述する方法により容易に製造できるシロキサン化合物(II)とオレフィン化合物(III)とを、溶媒中、白金触媒等の存在下でヒドロシリル化反応させることにより容易かつ安価に合成することができる。
【0031】
この反応に用いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性芳香族炭化水素、テトラヒドロフラン(THF)、ジイソプロピルエーテル等の不活性なエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロフォルム、1,2−ジクロロエタン等の不活性なハロゲン化炭化水素系溶媒などが好適に用いられる。また、前記触媒としては、ヒドロシリル化活性を有するものが使用され、具体的には例えば、ビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金(O)錯体、塩化白金酸、プラチナム(II)アセチルアセトナート、ジシクロペンタジエニルプラチナムクロリド等の白金系触媒が好ましく用いられる。なお、触媒の添加法については単独で添加してもよいし、イソプロピルアルコール、THF、キシレン、2−プロパノール等の溶媒に溶解して添加してもよい。
【0032】
ヒドロシリル化反応は、通常、室温〜120℃、好ましくは60〜100℃の温度範囲で好適に行われる。反応時間は、通常、1〜30時間程度である。
【0033】
<一般式(I)の液晶化合物の製造方法(B)>
【0034】
【化7】
別法として、一般式(I)の液晶化合物は、上記反応式に示されるように、特開平5−141237号公報に開示されている、前記一般式(ウ)で表される化合物と同様な方法でも製造することができる。すなわち、オレフィン化合物(III)とジメチルクロロシランとのヒドロシリル化反応によりクロロシラン化合物を合成し、それを加水分解してシラノール化合物(IV)を得る。このシラノール化合物(IV)は縮合しやすく、中性で注意深く取扱う必要がある。次いでこのシラノール化合物(IV)とクロロシラン化合物(V)とを、溶媒中、ハロゲン化水素受容剤としての3級アミンの存在下でシロキサン結合させ、目的の液晶化合物(I)を得る。
【0035】
上記オレフィン化合物(III)とジメチルクロロシランとのヒドロシリル化反応の反応条件等は、先に製造方法(A)で説明したのと同様である。ヒドロシリル化反応によって得られるジメチルクロロシラン化合物は加水分解しやすいので、単離せず、反応液をそのまま次のシラノール化合物(IV)の合成反応に用いる。上記反応液に、ジメチルクロロシラン化合物と等モル量の水をTHF等の水と混合可能な溶媒に溶かして加える。反応温度は0〜80℃が好適である。ピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンをハロゲン化水素受容剤として加える。
【0036】
このようにして得られるシラノール化合物(IV)とクロロシラン化合物(V)との反応に用いられる上記溶媒としては、THF等の不活性なエーテル系溶媒、トルエン、ヘキサン等の不活性な炭化水素系溶媒、塩化メチレン等の不活性なハロゲン化炭素溶媒、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等の不活性溶媒等が好適に用いられる。また上記3級アミンとしてはピリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール等が好適に用いられる。また、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)等の脱ハロゲン化水素剤も好適に用いられる。反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、0℃〜室温で行う。反応性の低いときは20〜80℃の適当な温度に加熱してもよい。
【0037】
上記クロロシラン化合物(V)としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン等が好適に用いられる。
【0038】
上記の一般式(II)で表されるシロキサン化合物(II)及び一般式(III)で表されるオレフィン化合物は、例えば、下記のようにして製造することができる。
【0039】
<一般式(II)のシロキサン化合物の製造方法>
一般式(II)のシロキサン化合物としては、ペンタメチルジシロキサン等の一般に市販されているものを使用する他、以下の方法によって製造したものを用いることもできる。
(i)x=1の場合
【0040】
【化8】
上記反応式に示されるように、各種のトリアルキルクロロシラン(VI)を加水分解してシラノール化合物とし、このシラノール化合物をジメチルクロロシランと反応させてジシロキサン化合物(II′)を得る。この加水分解及びそれに続くシロキサン結合反応の反応条件は、上記の製造方法(B)で記載したと同様である。
【0041】
上記トリアルキルクロロシラン(VI)としては、例えば、トリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、n−ブチルジメチルクロロシラン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチルクロロシラン、トリ−n−ブチルクロロシラン等が好適に用いられる。
(ii)R2=R3=CH3の場合
【0042】
【化9】
(R1′−CH=CH2は、R1に対応するアルカンより水素が2原子少なく、末端に炭素−炭素二重結合を1つもつオレフィンである。)
上記反応式に示されるように、各種オレフィン(VII)とシロキサン化合物(VIII)とのヒドロシリル化反応により、シロキサン化合物(II″)を得る。このヒドロシリル化反応の条件も先に記載したと同様である。
【0043】
上記オレフィン(VII)としては、例えば、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、4−メチル−1−ペンテン、3,3−ジメチル−1−ブテン等が好適に用いられる。また、上記シロキサン化合物(VIII)としては、例えば、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサン等が好適に用いられる。
【0044】
<一般式(III)のオレフィン化合物の製造方法>
【0045】
【化10】
上記反応式に示されるように、公知のエステル化反応によりエステル(IX)を得、次いでエステル(IX)とカルボン酸(X)とのエステル化反応によりオレフィン化合物(III)を得る。
【0046】
このようにして得られる一般式(I)で表される液晶化合物は、それ自体をスメクチックC液晶材料又はカイラルスメクチックC液晶材料として用いることもできるし、あるいは他の液晶化合物と混合した液晶組成物として用いることもできる。
【0047】
[強誘電性液晶組成物]
本発明の強誘電性液晶組成物は、上記本発明の液晶化合物(I)を含有するものである。本発明の強誘電性液晶組成物としては、例えば、
非強誘電性の液晶化合物(I)と強誘電性の液晶化合物(I)(R4が光学活性基であるもの)とからなる強誘電性液晶組成物:
非強誘電性の液晶化合物(I)と強誘電性の液晶化合物(I)(R4が光学活性基であるもの)と液晶化合物(I)以外の液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
非強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
非強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の強誘電性液晶化合物及び非強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の非強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
強誘電性の液晶化合物(I)と液晶化合物(I)以外の強誘電性液晶化合物及び非強誘電性液晶化合物とからなる強誘電性液晶組成物:
などが挙げられる。
【0048】
本発明の強誘電性液晶組成物は、室温、外気温を含む広い温度域で安定なカイラルスメクチックC相を示し、電界に対して高速で応答すると共に、最小パルス幅も短く、応答速度の温度依存性も小さい。
【0049】
本発明の強誘電性液晶組成物としては、特に、本発明の液晶化合物(I)少なくとも1種と、一般式(I)で表される液晶化合物以外のスメクチック液晶化合物少なくとも1種を含有するものが好ましい。
【0050】
本発明で得られる一般式(I)で表される液晶化合物と混合するスメクチック液晶化合物については特に制限はなく、従来公知の液晶化合物の中から任意のものを1種以上選択して用いることができ、更には高分子液晶化合物であってもよい。なお、このような混合により強誘電性液晶組成物を調製する場合には、本発明の液晶化合物(I)として、R4が光学活性基であり、カイラルスメクチックC相を示す液晶化合物を少なくとも1種用い、それにスメクチック相、より好ましくはスメクチックC相又はカイラルスメクチックC相を示す液晶化合物を混合する方が、カイラルスメクチックC相の安定性がよい強誘電性液晶組成物が得られる。また、強誘電性液晶組成物の粘度を下げ、電界応答時間及び最小パルス幅を短くするという観点からは、低分子のスメクチックC液晶化合物を少なくとも1種用いることが好ましい。
【0051】
本発明の強誘電性液晶組成物に用いる液晶化合物(I)以外のスメクチック液晶化合物としては、例えば以下の構造を有し、スメクチック相を有する化合物が挙げられる。
【0052】
【化11】
【0053】
【化12】
(式中のR5及びR6は、それぞれ炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアシルオキシ基であり、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。)
これらのスメクチック液晶化合物の具体例としては、
【0054】
【化13】
などが挙げられる。
【0055】
更に、下記一般式
【0056】
【化14】
で表されるフェニルピリミジン系液晶化合物なども特に好適に用いることができる。R7は炭素数6〜17の非光学活性のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシアルコキシ基、アルケニルカルボニルオキシアルコキシ基又はアシルオキシ基、R8は炭素数6〜12の非光学活性のアルキル基又はアルコキシ基である。また、R9及びR10は、それぞれ炭素数4〜14の非光学活性のアルキル基又はアルコキシ基であり、それらは同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。一方、R11は炭素数4〜14の非光学活性のアルキル基、R12は炭素数4〜14の非光学活性のアルキル基又はアルコキシ基である。R13は、炭素数6〜20の非光学活性のアルキル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニルオキシアルコキシ基である。R7、R13におけるメチレン基の一部は、エステル基、酸素原子に置換されていてもよい。ただし、エステル基や酸素原子が連続することはない。また、R7〜R13は直鎖でも分岐状であってもよい。
【0057】
これらのフェニルピリミジン系スメクチック液晶化合物の具体例としては、
【0058】
【化15】
【0059】
【化16】
【0060】
【化17】
などが挙げられる。
【0061】
また、本発明の液晶化合物(I)と混合して用いることのできる高分子スメクチック液晶化合物の例としては、国際公開番号WO92/01731に記載されている強誘電性を示す液晶性共重合体(カイラルスメクチックC共重合体)、即ち、下記一般式で表される繰り返し単位
【0062】
【化18】
[式中、q及びrは2〜5の整数、sは0〜3の整数、dは1〜20の整数であり、R14は
【0063】
【化19】
である。ただし、R15は−COOR16、−OR16、−OCOR16であり、R16は
【0064】
【化20】
R17及びR18は−CH3又はハロゲン原子であり、e、gは0〜10の整数であり、fは0又は1である(R18が−CH3である場合は、gは0ではない。)。]
からなり、[XI]と[XII]のモル比がほぼ1:1である液晶性共重合体が挙げられる。
【0065】
更に、本発明の強誘電性液晶組成物に用いる上記スメクチック液晶化合物とし
ては、下記一般式
【0066】
【化21】
(式中、R7は非光学活性の炭素数6〜17のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシアルコキシ基、アルケニルカルボニルオキシアルコキシ基又はアシルオキシ基であり、R8は非光学活性の炭素数6〜12のアルキル基又はアルコキシ基を示す。)
で表されるフェニルピリミジン系スメクチックC液晶化合物を少なくとも1種含有するものが好ましい。これらのフェニルピリミジン系スメクチックC液晶化合物を含有する本発明の強誘電性液晶組成物は、粘度が下がり、電界応答時間及び最小パルス幅を短くでき、また電界応答時間の温度依存性も小さくなる。このようなフェニルピリミジン系スメクチックC液晶化合物の中でも、R7が非光学活性の炭素数6〜17のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基又はアルキルカルボニルオキシアルコキシ基であるものが好ましい。
【0067】
このような好ましいR7の好適な具体例としては、例えば以下のものが挙げられる。
【0068】
非光学活性の炭素数6〜17のアルキル基としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられる。
【0069】
非光学活性の炭素数6〜17のアルコキシ基としては、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基などが挙げられる。
【0070】
非光学活性の炭素数6〜17のアルコキシカルボニル基としては、n−ヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、n−ウンデシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基などが挙げられる。
【0071】
非光学活性の炭素数6〜17のアルキルカルボニルオキシアルコキシ基としては、8−(t−ブチルカルボニルオキシ)オクチルオキシ基、10−(t−ブチルカルボニルオキシ)デシルオキシ基、12−(t−ブチルカルボニルオキシ)ドデシルオキシ基、6−(イソブチルカルボニルオキシ)ヘキシルオキシ基、8−(イソブチルカルボニルオキシ)オクチルオキシ基、10−(イソブチルカルボニルオキシ)デシルオキシ基、12−(イソブチルカルボニルオキシ)ドデシルオキシ基、6−(3−ペンチルカルボニルオキシ)ヘキシルオキシ基、8−(3−ペンチルカルボニルオキシ)オクチルオキシ基、10−(3−ペンチルカルボニルオキシ)デシルオキシ基、12−(3−ペンチルカルボニルオキシ)ドデシルオキシ基などが挙げられる。
【0072】
また、R8の具体例として、非光学活性の炭素数6〜12のアルキル基としては、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基などが挙げられ、非光学活性の炭素数6〜12のアルコキシ基としては、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基などが挙げられる。
【0073】
このような特に好ましい強誘電性液晶組成物において、液晶化合物(I)の割合は、通常、強誘電性液晶組成物重量に対して20〜90重量%、好ましくは40〜80重量%の範囲が好適である。また、液晶化合物(I)中、R4が光学活性を有する炭素数4〜10の飽和アルキル基であるものの割合が、液晶化合物(I)全体重量に対して50〜100重量%、好ましくは80〜100重量%であることが望ましい。強誘電性液晶組成物中の液晶化合物(I)の量が90重量%を超えると、強誘電性液晶組成物の粘度が高くなり、応答がかえって遅くなることがある。20重量%未満であると、カイラルスメクチックC相の温度域が狭くなることがある。また、液晶化合物(I)中のR4が光学活性基であるものの割合が50重量%未満であると、自発分極が低下し、応答が遅くなることがある。
【0074】
また、上記の特に好ましい強誘電性液晶組成物において、上記フェニルピリミジン系スメクチック液晶化合物の割合は、10〜80重量%、特に20〜60重量%であることが好ましい。フェニルピリミジン系スメクチック液晶化合物の割合が80重量%を超えると、自発分極が低下し、応答がかえって遅くなることがあり、また、強誘電性液晶組成物のカイラルスメクチックC相の温度域が狭くなることがある。フェニルピリミジン系スメクチック液晶化合物の割合が10重量%未満であると、強誘電性液晶組成物の粘度が高くなり、応答が遅くなることがあり、また、傾き角2θが大きくなり、液晶表示素子に用いた場合に、液晶パネルのコントラストが低下するおそれがある。
【0075】
[強誘電性液晶表示素子]
本発明の強誘電性液晶表示素子(以下、液晶表示素子と称することがある)は、上記本発明の強誘電性液晶組成物(以下、液晶組成物と称することがある)を少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板間に挟持してなるものである。
【0076】
本発明の液晶表示素子は、室温のみならず外気温度をも含む広い温度域にわたって強誘電性液晶表示素子としての駆動が可能であり、また、電界応答時間の温度依存性が小さく、室内室外において安定した表示を行うことができる。また、パルス電圧に対する応答性に優れ、強誘電性液晶の双安定性を利用した単純マトリクス表示等のパルス駆動に特に好適に使用することができる。
【0077】
図1は本発明の液晶表示素子の一態様の部分断面図であり、少なくとも一方が透明である一対の電極2付き基板1の間に、本発明の液晶組成物を用いて形成された液晶層3が基板1の電極面に接して挟持されている。
【0078】
本発明に用いられる基板としては、ガラス、プラスチック等、電極形成が可能なものであれば特に制限なく用いることができる。プラスチック基板の材料の例としては、一軸又は二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)などの結晶性ポリマー、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)などの非結晶性ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアリレート(PAr)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン等のポリアミドなどが挙げられる。液晶表示素子の生産性の高さから、プラスチックフィルムのような可撓性基板を用いることが好ましい。基板の厚さとしては、通常、100μm〜1mm、好ましくは100μm〜500μmが適当である。
【0079】
本発明において、上記2枚の電極付き基板は、互いに同じ材質のものであってもよく、また、相違する材質のものであってもよいが、少なくとも一方の基板を光学的に透明なものとし、光学的に透明又は半透明な電極を設けて使用する。
【0080】
この透明又は半透明な電極の具体例としては、例えば、NESA膜といわれる酸化スズ膜、酸化インジウム膜、酸化インジウムと酸化スズとの混合物からなるITO膜、金やチタンなどの蒸着膜、或は他の薄膜状のアルミニウム等の金属又は合金などを挙げることができる。これら電極の形状としては特に制限はなく、基板の所定の面上の全面にわたるものであってもよく、ストライプ状のものであってもよく、又は他の所望の形状のものであってもよい。
【0081】
液晶層の厚みは、通常、0.5〜10μm、好ましくは1〜3μm程度が好適である。
【0082】
図2は、本発明の液晶表示素子の他の一態様の例を示す部分断面図である。2枚の電極2付き基板1と液晶層3との間に、絶縁膜4が設けられている。液晶層3中には、電極間のセルギャップを一定に保ち、電極間の短絡を防止するためのスペーサー5が配置されている。
【0083】
スペーサーとしては、液晶表示素子に通常用いられるものであれば特に制限はなく、ガラス、シリカ又は耐溶剤性を有するプラスチック等からなるものが好適に用いられる。スペーサーとしては、球状のものが連続工程による液晶表示素子の製造方法に適しており、好適に用いられる。球状スペーサーの材質として好適なものの具体例としては、例えば、シリカ等の無機系材料、ジビニルベンゼン系やポリスチレン系のポリマービーズ等が挙げられる。球状スペーサーの粒径は、液晶素子のセル厚に応じて適宜選択可能であり、通常、1〜5μm程度が好ましい。なお、スペーサーを用いなくてもセルギャップを保持できる場合には、スペーサーを使用しなくてもよい。
【0084】
絶縁膜は、対向する電極間の短絡を防止するためのものであり、短絡するおそれのない場合は絶縁膜を設けなくてもよい。絶縁膜の材質としては、液晶表示素子に通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、SiOx等の無機蒸着膜、アクリル系、ナイロン系、エポキシ系等の種々の非液晶性高分子膜が挙げられる。
【0085】
さらに、本発明の液晶表示素子には、必要に応じ、配向膜が液晶層に接して設けられていてもよい。配向膜としては、通常液晶表示素子に用いられるものであれば特に制限はなく、ポリイミドやポリビニルアルコールなどの高分子膜を一方向にラビング処理したもの、酸化シリコンを斜方蒸着したものなど、種々の配向膜を用いることができる。基板としてプラスチック製の基板を用いる場合には、基板自体をラビング処理してもよい。液晶表示素子のたわみや、上下基板のずれなどによる液晶への剪断応力の印加、或は、剪断応力と電圧の印加による配向方法などで配向する場合には、配向膜は設けなくてもよい。
【0086】
このようにして水平配向した液晶層中の液晶は、電界印加によって配列が変わり、1枚或は2枚の偏光板を基板外側に配置することにより、明暗表示が可能となる。
【0087】
また、本発明の液晶表示素子は、液晶組成物が素子外に流出しないように封止することが好ましいが、液晶組成物が流出するおそれがなく、素子を安定に保つことができる場合には封止しなくてもよい。
【0088】
本発明の液晶表示素子の製造方法としては特に制限はないが、例えば下記のようにして製造することができる。
【0089】
少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板の間に本発明の液晶組成物を挟持し、液晶層中の液晶を水平配向させる。
【0090】
電極付き基板間に液晶組成物を挟持する方法としては、特に制限はなく、真空注入法、電極付き基板への塗布法など、液晶組成物の性状等に応じて適宜選択できる。通常は、液晶組成物自体、又は、液晶組成物を全成分の共通溶媒に溶解した塗工液を電極付き基板の少なくとも一方に塗布し、直ちに(塗工液を使用する場合は溶媒蒸発後直ちに)、両基板を貼り合わせてラミネートする方法が好適である。
【0091】
塗工液は、通常、粘度が1〜3cpになるような濃度に調製する。これは、塗工液中の液晶組成物濃度としては、重量百分率で大体20〜40重量%である。溶媒を蒸発させる乾燥工程では、通常、常圧において30〜150℃程度に加熱して行われる。
【0092】
塗工液の調製に用いられる溶媒としては、基板や必要に応じて設けられた絶縁膜や配向膜を溶解せず、液晶組成物を溶解するものであれば特に制限はない。通常、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、又はそれらの混合溶媒等が好適に用いられる。
【0093】
必要に応じ、液晶組成物を挟持する前に、絶縁層や配向膜を電極付き基板上に形成してもよい。また、上下基板間にスペーサーを配置する場合、スペーサーの配置方法としては、特に制限はなく、あらかじめ電極付き基板上又は両基板間に固定しておいてもよいし、液晶組成物又は上記の塗工液中に混合しておいて液晶層の形成時に同時に配置してもよい。或は、液晶組成物又はその塗工液を塗布した後に、塗布層上に配置して埋め込み、固定してもよい。
【0094】
液晶層中の液晶の水平配向処理の方法としては、通常の液晶素子を作製する場合と同様に、上下基板間のずり又は液晶素子のたわみ等による剪断応力による方法、電界の印加による方法、磁場配向法、温度勾配法、SiO斜方蒸着法、配向膜のラビング法、これらの組み合わせなど、水平配向が得られるならば特に制限はない。
【0095】
例えば、基板として可撓性のプラスチック基板を用いた場合には、液晶素子にたわみ変形を与えて剪断応力を印加して配向させる方法が好適に用いられる。たわみ変形を与える手段としては、少なくとも1本のロールを用い、液晶素子をロール面に沿ってたわませる方法が好適である。図3に、そのような手段の一態様を示す。図3の態様では、未配向の液晶表示素子6を、3本のロール7間を両面を交互にロール7に接触させるようにして移動させ、たわみ変形による剪断応力で液晶表示素子内の液晶を水平配向させ、配向済液晶表示素子8を得ている。剪断応力による配向を行う場合、より良い配向を得るため、液晶表示素子の上下電極間に電界を印加しながら剪断応力をかけてもよく、又加熱ロールの使用、或は装置系全体を恒温槽に入れるなどして、加熱しながら行ってもよい。
【0096】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0097】
なお、相転移挙動を示す式中、各記号は以下の意味を有する。
I:等方相液体、N:ネマチック相、SA:スメクチックA相、S * C:カイラルスメクチックC相、SC:スメクチックC相、SX:高次のスメクチック相、G:ガラス相、C:結晶相
相転移温度の測定、相の同定及び電界応答時間の測定は、下記のようにして行った。
【0098】
液晶化合物又は液晶組成物を2枚のITO電極付きガラス基板(電極面積0.2cm2、ITO膜厚1000オングストローム)の間に、3μmの球状シリカスペーサーを用いて均一膜厚に挟持し、測定セルとした。これを偏光顕微鏡下(倍率400倍)で観察し、等方相液体状態である温度から毎分3℃の速度で温度を下げ、相転移温度の観測及び相の同定を行った。この際、必要に応じて上下電極間に±30Vの電圧を印加した。
【0099】
続いて上記セルにそれぞれS * C温度域の上限温度より2〜5℃低い温度において上下基板間に剪断応力を数回かけて液晶を配向させた(剪断法による配向)。これに各測定温度において±30V、3Hzの矩形波状電圧を印加し、その際の透過光量変化(10→90%)に要した時間を測定し、その温度での電界応答時間(τ)とした。
【0100】
また、測定温度25℃において、30Vの矩形波電圧1パルスを透過光量が増加する方向にパルス幅を短いパルス幅から長いパルス幅へ変えながら印加し、その際パルス印加直後の透過光量が電界を切った後も95%以上保持されるために必要なパルス幅を求め、最小パルス幅(w)とした。
【0101】
実施例1 製造方法(A)による液晶化合物Iaの製造
▲1▼オレフィン化合物IIIaの製造
【0102】
【化22】
攪拌機及び塩化カルシウム管を備えたフラスコに、4−(9−デセニルオキシ)安息香酸5.53g(20ミリモル)、4−ヒドロキシビフェニル−4′−カルボン酸(S)−1−メチルブチル5.69g(20ミリモル)、4−ジメチルアミノピリジン0.24g(2ミリモル)を入れ、塩化メチレン60mlを加えた。この中にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)4.54g(22ミリモル)を加えて室温で4時間攪拌した。生じた不溶固体(ジシクロヘキシルカーボネート)を濾過により除き、濾液を希塩酸及び食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 塩化メチレン:n−ヘキサン=3:2)で精製した後に、エタノールより再結晶し、オレフィン化合物IIIa9.29gを得た(収率86%)。
【0103】
▲2▼液晶化合物Iaの製造
【0104】
【化23】
攪拌機及び塩化カルシウム管を備えたフラスコに、オレフィン化合物IIIa1.09g(2ミリモル)、ペンタメチルジシロキサン(IIa)[信越化学工業(株)製]0.45g(3ミリモル)を入れ、トルエン4mlを加えた。この中にビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金(O)錯体のキシレン溶液[チッソ(株)製]20μlを加えて80℃で5時間攪拌した。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 塩化メチレン:n−ヘキサン=3:2)で精製した後、エタノール10mlを加えて加熱溶解し、室温まで冷却して目的物を再度沈殿させた。溶媒をデカンテーションして除去し、真空乾燥して目的とする液晶化合物Ia1.13gを得た(収率82%)。得られた液晶化合物Iaの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表1に、また1H−NMRのチャートを図1に示す。
【0105】
実施例2 製造方法(B)による液晶化合物Iaの製造
▲1▼シラノール化合物IVaの製造
【0106】
【化24】
オレフィン化合物IIIa5.43g(10.0ミリモル)及び0.1Mの塩化白金酸/2−プロパノール溶液0.1ml(0.1モル%)を無水トルエン10mlに加えた。この中にジメチルクロロシラン1.89g(20.0ミリモル)を加えて3時間80℃で加熱攪拌し、クロロシラン化合物を得た。アルゴン気流下に過剰のジメチルクロロシランを留去した後、室温に戻し、THF10mlを加えて希釈した。その中に激しく攪拌しながら水1.8g(100ミリモル)、トリエチルアミン2.02g(20ミリモル)のTHF10ml溶液を添加し、室温で2時間攪拌した。反応液に塩化メチレンを加えて希釈し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 塩化メチレンのみ)で精製して目的とするシラノール化合物IVa4.71gを得た(収率76%)。
【0107】
副生成物として下記シロキサン化合物(エ)が収率18%で得られた。また、シラノール化合物IVaは不安定であり、脱水縮合してシロキサン化合物(エ)になりやすいので取扱いに注意が必要である。
【0108】
【化25】
▲2▼液晶化合物Iaの製造
シラノール化合物IVa1.24g(2.0ミリモル)及び1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(DBU)0.34g(5.0ミリモル)を塩化メチレン5mlに溶解した。この中にトリメチルクロロシラン0.33g(2.2ミリモル)の塩化メチレン2ml溶液を加えて室温で5時間攪拌した。水を加えて反応を停止し、塩化メチレンで抽出し、1N塩酸及び飽和食塩水で洗浄した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒をエバポレーターで留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 塩化メチレン:n−ヘキサン=3:2)で精製して粗生成物1.52gを得た。これにエタノール15mlを加えて加熱溶解し、室温まで冷却して目的物を再度沈殿させた。溶媒をデカンテーションして除去し、真空乾燥して目的とする液晶化合物Ia1.12gを得た(収率81%)。得られた化合物の分析値は実施例1で得たものと一致した。オレフィン化合物IIIaから2ステップでの収率は62%で、実施例1より低収率であった。
【0109】
実施例3 液晶化合物Ib〜Iiの製造
(1)シロキサン化合物IIb〜IIiの製造
【0110】
【化26】
▲1▼シロキサン化合物IIbの製造
水0.90g(50ミリモル)及びトリエチルアミン11.1g(110ミリモル)をTHF30ml中に入れ、氷水で冷却した。その中にn−ブチルジメチルクロロシラン7.54g(50ミリモル)のTHF10ml溶液を添加し、2時間攪拌した。次にクロロジメチルシラン4.73g(50ミリモル)のTHF10ml溶液を添加し、さらに2時間攪拌した。水を加えて反応を停止し、生成物をエーテルで抽出し、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。残渣を減圧蒸留し、シロキサン化合物IIb(1−n−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)6.19gを得た(収率65%)。
【0111】
▲2▼シロキサン化合物IIcの製造
1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン13.4g(100ミリモル)にビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)白金(O)錯体のキシレン溶液[チッソ(株)製]50μlを加え、40℃に加熱し、その中に1−ヘキセン4.21g(50ミリモル)を30分かけて滴下した。過剰の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを常圧下に蒸留して回収した後、残渣を減圧下に蒸留し、シロキサン化合物IIc(1−n−ヘキシル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン)7.54gを得た(収率69%)。
【0112】
▲3▼シロキサン化合物IId〜IIgの製造
実施例3の(1)の▲2▼において1−ヘキセンの代わりにそれぞれ1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン及び3,3−ジメチル−1−ブテンを用いた他は実施例3の(1)の▲2▼に記載したのと同様の操作を行い、シロキサン化合物(ジシロキサン)IId、IIe、IIf及びIIgを製造した。
【0113】
▲4▼シロキサン化合物IIh及びIIiの製造
実施例3の(1)の▲2▼において1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンの代わりにそれぞれ1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン又は1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルテトラシロキサンを用いた他は実施例3の(1)の▲2▼に記載したのと同様の操作を行い、トリシロキサン化合物IIh及びテトラシロキサン化合物IIiを製造した。
【0114】
上記実施例3の(1)の▲1▼〜▲4▼において製造したシロキサン化合物IIb〜IIiの収率及び沸点を表3に記載した。
【0115】
(2)液晶化合物Ib〜Iiの製造
【0116】
【化27】
実施例1の▲2▼においてペンタメチルジシロキサンの代わりにそれぞれ実施例3で製造したシロキサンIIb〜IIiを用いた他は実施例1の▲2▼に記載したのと同様の操作を行い、液晶化合物Ib〜Iiを製造した。得られた液晶化合物Ib〜Iiの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表1に記載した。液晶化合物Ibの1H−NMRチャートを図2に示す。
【0117】
実施例4 液晶化合物Ij〜Imの製造
【0118】
【化28】
実施例2の▲2▼においてトリメチルクロロシランの代わりにそれぞれ市販のtert−ブチルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、ジ−n−ブチルメチルクロロシラン及びトリ−n−ブチルクロロシランを用いた他は実施例2の▲2▼に記載したのと同様の操作を行い、液晶化合物Ij〜Imを製造した。得られた液晶化合物Ij〜Imの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表1に記載した。
【0119】
実施例5 液晶化合物In〜Itの製造
【0120】
【化29】
一般式(I)においてR1がn−ヘキシル基、R2及びR3がメチル基、x=1、y=8、10又は11であって、R4が上記の各種の光学活性基である液晶化合物In〜Itを、実施例1に記載した方法に従い製造した。得られた液晶化合物In〜Itの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表2に記載した。
【0121】
実施例6 液晶化合物Iu及びIvの製造
【0122】
【化30】
一般式(I)においてR1がn−ヘキシル基、R2及びR3がメチル基、x=1、y=10であって、R4がn−ブチル基又は3−メチル−1−ブチル基である非光学活性の液晶化合物Iu及びIvを、実施例1に記載した方法に従い製造した。得られた液晶化合物Iu及びIvの分子式、分子量の計算値、収率及び分子量のFD−MSによる測定値を表2に記載した。化合物Iuの1H−NMRのチャートを図3に示した。
【0123】
上記実施例1〜6で得られた化合物Ia〜Ivについて相転移挙動、及び25℃での電界応答時間(τ)と傾き角(2θ)を表4に示す。
【0124】
実施例7
本発明による液晶化合物Ib、Ic、Id、Ih、It、Iu及び特開平6−73179号公報記載の化合物(ク)[前記の一般式(ウ)においてm=3、n=3、p=1、a=10、b=0、c=2である化合物]を用い、それぞれ、公知である下記のフェニルピリミジン系液晶化合物(オ)(カ)(キ)と混合して液晶組成物A〜F及び比較例1を調製した。
【0125】
【化31】
各液晶組成物の組成比、相転移挙動、40℃、25℃、10℃、0℃における応答時間(τ)及び応答時間の温度依存性の指標としてのτ0/τ40(0℃での応答時間/40℃での応答時間の値)、25℃での最小パルス幅及び25℃での傾き角(2θ)を表5に示した。
【0126】
【化32】
本発明による液晶化合物を用いた液晶組成物A〜Fは広い温度域でカイラルスメクチックC相を示し、応答時間及び応答時間速度の温度依存性が小さく、特に比較例1よりも最小パルス幅が小さいことが示された。
【0127】
実施例8及び比較例2
本発明による液晶化合物Ib及び比較例2として特開平6−73179号公報に記載されている液晶モノマー化合物(ク)を用いてそれぞれ測定セルを作製し、50℃の乾燥機中で2か月間保存試験を行った。作製直後と2か月後のそれぞれの相転移挙動、25℃における応答時間(τ)と傾き角(2θ)を表6に示した。
【0128】
ジオレフィン構造を持つモノマー化合物(ク)がセル作製直後から2か月後にはカイラルスメクチックC相の温度域が全体に高温域にシフトすると共に応答時間も長くなり、著しい劣化が認められたのに対して、本発明による液晶化合物Ibはセル作製直後と2か月後の物性にほとんど変化が認められず、安定性が高いことが示された。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【0135】
【発明の効果】
本発明の液晶化合物は、容易かつ安価に合成することができる上に、室温を含む広い温度範囲で安定したスメクチックC相又はカイラルスメクチックC相を示す。また本発明の液晶化合物は末端アルキル基に不飽和結合を含まないため、安定性に優れ、優れた液晶物性を長期間保持する。
【0136】
また、このようなカイラルスメクチックC相を示す本発明の液晶化合物を他の適当な液晶材料と組み合わせて液晶組成物とすることにより得られる本発明の強誘電性液晶組成物は、室温付近の広い温度範囲で安定なカイラルスメクチックC相を示し、電界、特にパルス状の電界に対して高速で応答し、また応答時間の温度依存性が小さく、応答速度の速い強誘電性液晶表示に好適に用いることができる。
【0137】
本発明の強誘電性液晶表示素子は、上記強誘電性液晶組成物を液晶層に用いていることから、室温を含む広い温度域で安定した双安定式表示が可能であり、また、ドットマトリクス方式のようなパルス駆動の表示素子として特に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電性液晶表示素子の一態様を示す部分断面図。
【図2】本発明の強誘電性液晶表示素子の一態様を示す部分断面図。
【図3】液晶表示素子の配向方法を示す模式図。
【図4】実施例で製造した本発明の液晶化合物の1H−NMRチャート。
【図5】実施例で製造した本発明の液晶化合物の1H−NMRチャート。
【図6】実施例で製造した本発明の液晶化合物の1H−NMRチャート。
【符号の説明】
1 基板
2 電極
3 液晶層
4 絶縁膜
5 スペーサー
6 未配向液晶表示素子
7 ロール
8 配向済液晶表示素子
Claims (12)
- R1が炭素数1〜12の飽和アルキル基であり、yが6〜12の整数である請求項1記載の液晶化合物。
- R1が炭素数1〜12の直鎖状の飽和アルキル基である請求項1又は2記載の液晶化合物。
- R2及びR3が共にメチル基である請求項1、2又は3記載の液晶化合物。
- R4が光学活性を有する炭素数4〜10の飽和アルキル基である請求項1、2、3又は4記載の液晶化合物。
- R4が(R)−1−メチルプロピル基、(S)−1−メチルプロピル基、(R)−1−メチルブチル基、(S)−1−メチルブチル基、(R)−2−メチルブチル基、(S)−2−メチルブチル基、(R)−1−メチルペンチル基、(S)−1−メチルペンチル基、(R)−1−メチルヘキシル基、(S)−1−メチルヘキシル基、(R)−1−メチルヘプチル基又は(S)−1−メチルヘプチル基である請求項5記載の液晶化合物。
- R1がメチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、4−メチル−1−ペンチル基、3,3−ジメチル−1−ブチル基、tert−ブチル基又はシクロヘキシル基であり、xが1〜3の整数であり、yが8、10又は11であり、R4が(R)−1−メチルブチル基、(S)−1−メチルブチル基、(R)−1−メチルペンチル基、(S)−1−メチルペンチル基、(R)−1−メチルヘキシル基又は(S)−1−メチルヘキシル基である請求項6記載の液晶化合物。
- R4が非光学活性の炭素数1〜10の飽和アルキル基である請求項1、2、3又は4記載の液晶化合物。
- R1がn−ヘキシル基であり、R2及びR3が共にメチル基であり、xが1であり、yが10であり、R4がn−ブチル基又は3−メチル−1−ブチル基である請求項8記載の液晶化合物。
- 請求項1記載の一般式(I)で表される液晶化合物を含有する強誘電性液晶組成物。
- 少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板とその基板間に挟持された液晶層からなる強誘電性液晶表示素子において、液晶層が請求項10又は11記載の強誘電性液晶組成物を用いて形成されたものである強誘電性液晶表示素子。
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