JP3677102B2 - 非光学活性低分子液晶化合物、それを含む液晶組成物及び液晶表示素子 - Google Patents

非光学活性低分子液晶化合物、それを含む液晶組成物及び液晶表示素子 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オプトエレクトロニクス分野の液晶材料として好適に用いられる非光学活性低分子液晶化合物、それを含有する液晶組成物、及びその液晶組成物を液晶材料として用いた液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
強誘電性高分子液晶は、それ自体がフィルム形成能を有し液晶層の形成が容易であること、液晶パネル化した際に押圧に対して高い強度を有するパネルが得られることなどから、大画面や屈曲画面の強誘電性液晶表示素子用の液晶材料などとして注目されている。しかしながら、強誘電性高分子液晶には、低分子の強誘電性液晶と比較して応答速度が遅いという難点がある。そこで、強誘電性高分子液晶の電界応答性を向上させるために、高分子液晶化合物に低分子液晶化合物を添加する方法がいくつか提案されている(特開昭63−284291号公報、特開昭63−289090号公報等)。しかし、一般に低分子液晶化合物と高分子液晶とは相溶性が悪く、20重量%以上の低分子液晶化合物を添加すると相分離が引き起こされることが多い。
【0003】
側鎖型の強誘電性高分子液晶との相溶性に優れる低分子液晶として、例えば特開平6−9503号公報及び特開平7−165672号公報に分子末端に下記の特殊な分岐アルキル基(II)又は(III)を導入した非光学活性低分子化合物が提案されている。
【0004】
【化3】
Figure 0003677102
[一般式(II)中、aは2〜20の整数、bは2〜20の整数であり、一般式(III)中、cは0〜10の整数であり、dは0〜10の整数であり、eは1〜20の整数である。]
しかし、それらの非光学活性低分子化合物には、単独での結晶化温度が高いものや、スメクチックC相を示す温度範囲が狭いものが多い。結晶化温度の高いものについては、強誘電性高分子液晶とその低分子化合物からなる組成物から低分子化合物が早期に析出してしまい安定性に欠けるという難点があり、また、スメクチックC相を示す温度範囲が狭かったりするものについては、結果的に、組成物のカイラルスメクチックC相温度範囲も狭くなってしまうという難点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、結晶化温度が低くかつスメクチックC相を示す温度範囲が広い非光学活性低分子液晶化合物であって、例えば強誘電性高分子液晶に添加することにより長期間安定な相溶系を保つ強誘電性液晶組成物を提供することのできる新規な非光学活性低分子液晶化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、その非光学活性低分子液晶化合物を含有する新規な液晶組成物と、その液晶組成物を液晶材料として含有する新規な液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために検討を重ねた結果、メソゲン基中にピリミジン環を有し分子末端に特定の分岐状アルケニル基を導入した化合物が広い温度範囲でスメクチックC相を示し、結晶化温度も低いことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、下記一般式(I)
【0008】
【化4】
Figure 0003677102
(式中、Rは各々独立にメチル基、エチル基又はプロピル基であり、mは1〜20の整数であり、nは3〜19の整数であり、Aは
【0009】
【化5】
Figure 0003677102
であり、Xは単結合又は−O−である。)
で表される構造を有する非光学活性低分子液晶化合物を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、上記の非光学活性低分子液晶化合物を少なくとも1種含む液晶組成物を提供するものである。
【0011】
更に本発明は、少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板間に上記の本発明の液晶組成物を挟持してなる液晶表示素子を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
[非光学活性低分子液晶化合物]
本発明の非光学活性低分子液晶化合物を表す上記一般式(I)において、Rは各々独立にメチル基、エチル基又はプロピル基であり、特にRがいずれもメチル基であることが好ましい。
【0013】
上記一般式(I)におけるmとnの値は、本発明の非光学活性低分子液晶化合物の熱挙動と大きく関わっている。m及びnの値が大きいと結晶化温度が高くなってしまい、逆に小さいと結晶化温度は低くなるが、スメクチックC相が発現しなくなってしまう。そこで、本発明において、mは1〜20の整数、好ましくは6〜12の整数、より好ましくは8〜12の整数であり、nは3〜19の整数、好ましくは5〜11の整数、より好ましくは6〜11の整数である。
【0014】
本発明の非光学活性低分子液晶化合物は、広い温度範囲でスメクチックC相を示すものであり、またその結晶化温度も高分子液晶との相溶性を示す従来の低分子液晶化合物に比べて低いものが多い。
【0015】
本発明の非光学活性高分子液晶化合物の具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0016】
【化6】
Figure 0003677102
本発明の非光学活性低分子液晶化合物は、高分子液晶との相溶性を有し、低い結晶化温度を有することから、特に高分子液晶を含有し、かつ応答速度にも優れる液晶組成物の調製に特に好適に用いられる。得られた液晶組成物は、液晶表示素子、液晶記憶素子、液晶音響素子、調光ガラス等の液晶材料としてオプトエレクトロニクスの分野で使用することができる。
【0017】
[液晶組成物]
本発明の液晶組成物は、本発明の非光学活性低分子液晶化合物を少なくとも1種類含むものであり、他の含有成分としては液晶組成物が液晶性を示す限り特に制限はない。例えば、本発明の液晶組成物としては、本発明の非光学活性低分子液晶化合物2種以上からなるもの、本発明の非光学活性低分子液晶化合物少なくとも1種とその他の低分子液晶化合物及び/又は高分子液晶、更に必要に応じて液晶性を示さない低分子化合物及び/又は高分子化合物からなるものなどが挙げられる。
【0018】
特に、上記本発明の非光学活性低分子液晶化合物は、強誘電性高分子液晶と相溶性を示し、しかもスメクチックC相を示す温度範囲が広く結晶化温度も低いことから、本発明の液晶組成物としては、本発明の非光学活性低分子液晶化合物少なくとも1種と強誘電性高分子液晶少なくとも1種を含有するものが好ましい。
【0019】
このような液晶組成物中の強誘電性高分子液晶としては、例えば下記に挙げられるような側鎖型強誘電性高分子液晶(A)〜(G)が好適に用いられる。
(A)ポリアクリレート主鎖を有する強誘電性高分子液晶
【0020】
【化7】
Figure 0003677102
(式中、gは11〜30の整数であり、R1
【0021】
【化8】
Figure 0003677102
2は−COOR3、−OCOR3、−OR3又は−R3であり、R3
【0022】
【化9】
Figure 0003677102
であり、R4はメチル基又はClであり、hは0〜10の整数であり、iは0〜10の整数であり、ただしR4がメチル基であるときはiは0ではない。)
例えば下記の強誘電性高分子液晶
【0023】
【化10】
Figure 0003677102
(B)ポリメタクリレート主鎖を有する強誘電性高分子液晶
例えば下記の強誘電性高分子液晶
【0024】
【化11】
Figure 0003677102
(C)ポリクロロアクリレート主鎖を有する強誘電性高分子液晶
例えば下記の強誘電性高分子液晶
【0025】
【化12】
Figure 0003677102
(D)ポリオキシラン主鎖を有する強誘電性高分子液晶
【0026】
【化13】
Figure 0003677102
(式中、jは1〜30の整数であり、R5
【0027】
【化14】
Figure 0003677102
であり、Yは−COO−又は−OCOであり、R6は−COOR7、−OCOR7又は−OR7であり、R7
【0028】
【化15】
Figure 0003677102
であり、R8及びR9はそれぞれメチル基、ハロゲン原子又はCNであり、k及びoはそれぞれ0〜10の整数であり、ただしR8がメチル基であるときにはoは0ではなく、lは0又は1であり、C*は不斉炭素原子である。)
例えば下記の強誘電性高分子液晶
【0029】
【化16】
Figure 0003677102
(E)ポリシロキサン主鎖を有する強誘電性高分子液晶
【0030】
【化17】
Figure 0003677102
(式中、R10はメチル基、エチル基等の低級アルキル基であり、pは3〜30の整数であり、R11
【0031】
【化18】
Figure 0003677102
12は−COOR13、−OCOR13又は−OR13であり、R13
【0032】
【化19】
Figure 0003677102
であり、R14はメチル基、Cl、Br又はCNであり、C*は不斉炭素原子であり、qは0〜5の整数であり、ただしqが0のときはR14はCl又はBrではなく、rは0〜5の整数であり、ただしrが0のときはR14はメチル基ではない。)
例えば下記の強誘電性高分子液晶
【0033】
【化20】
Figure 0003677102
(F)ポリエステル主鎖を有する強誘電性高分子液晶
【0034】
【化21】
Figure 0003677102
(式中、R19は水素原子、メチル基又はエチル基であり、sは1〜20の整数であり、xは1〜30の整数であり、Bは−O−又は−COO−であり、uは0又は1であり、R15
【0035】
【化22】
Figure 0003677102
Zは−COO−又は−OCO−であり、R16は−COOR17、−OCOR17、−OR17、−COR17又は−R17であり、R17
【0036】
【化23】
Figure 0003677102
であり、R18はメチル基、CN又はハロゲン原子であり、v及びwはそれぞれ0〜10の整数であるが、R18がメチル基であるときはwは0ではなく、C*は不斉炭素原子である。)
例えば下記の強誘電性高分子液晶
【0037】
【化24】
Figure 0003677102
【0038】
【化25】
Figure 0003677102
(式中、sは1〜20の整数であり、tは1〜20の整数であり、Bは−O−又は−COO−であり、uは0又は1であり、R15
【0039】
【化26】
Figure 0003677102
Zは−COO−又は−OCO−であり、R16は−COOR17、−OCOR17、−OR17、−COR17又は−R17であり、R17
【0040】
【化27】
Figure 0003677102
であり、R18はメチル基、Cl又はCNであり、v及びwはそれぞれ0〜10の整数であるが、R18がメチル基であるときはwは0ではなく、C*は不斉炭素原子である。)
例えば下記の強誘電性高分子液晶
【0041】
【化28】
Figure 0003677102
(G)ジエン化合物/シロキサン共重合体主鎖を有する強誘電性高分子液晶
【0042】
【化29】
Figure 0003677102
(式中、y及びzは2〜5の整数であり、Gは0〜3の整数であり、Fは1〜20の整数であり、R20
【0043】
【化30】
Figure 0003677102
であり、R21は−COOR22、−OR22又は−OCOR22であり、R22
【0044】
【化31】
Figure 0003677102
であり、R23及びR24はメチル基又はハロゲン原子であり、H、Jは0〜10の整数であり、Iは0又は1であり、ただしR24がメチル基であるときはJは0ではない。)
例えば下記の強誘電性高分子液晶
【0045】
【化32】
Figure 0003677102
これらの強誘電性高分子液晶は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0046】
本発明の非光学活性低分子液晶化合物との相溶性を考えると、側鎖感覚の広いポリオキシラン主鎖、ポリエステル主鎖、ジエン化合物/シロキサン共重合体主鎖を有する強誘電性高分子液晶が好ましい。
【0047】
本発明の非光学活性低分子液晶化合物と強誘電性高分子液晶の各々少なくとも1種類を含有する液晶組成物における本発明の非光学活性低分子液晶化合物の配合割合としては、本発明の非光学活性低分子液晶化合物は強誘電性高分子液晶に対して相溶性がよいので、液晶組成物中1〜99重量%までの広い範囲で添加可能である。しかし、液晶組成物の自発分極、チルト角、電界に対する応答速度等を考慮すると、5〜50重量%が好ましい。分子量分布等、強誘電性高分子液晶の特性にもよるが、本発明の非光学活性低分子液晶化合物の添加量が5重量%より少ないと、液晶組成物の自発分極が大きくなり過ぎたり、応答速度が遅かったりすることがある。また、本発明の非光学活性低分子液晶化合物の量が50重量%より多いと、液晶組成物を用いてパネルを製造した際のパネルの強度が十分ではなくなるおそれがある。
【0048】
このような液晶組成物の調製法としては特に制限はないが、通常、ジクロロメタン、トルエン、メチルエチルケトン等の共通溶媒に本発明の非光学活性低分子液晶化合物と強誘電性高分子液晶とを溶解し、均一溶液を調製し、その後、溶媒を留去して液晶組成物を得る方法が好適に用いられる。
【0049】
また、本発明の液晶組成物には、2色性色素を添加してもよい。2色性色素としては、アントラキノン系、アゾ系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、テトラジン系等の色素が挙げられる。
【0050】
[液晶表示素子]
本発明の液晶表示素子の一態様の部分断面図を図1に示す。図1に示されるように、本発明の液晶表示素子は、少なくとも一方が透明である一対の電極2付き基板1の間に、本発明の液晶組成物からなる液晶層が基板1の電極面に接して挟持されてなるものである。
【0051】
本発明の液晶表示素子においては、液晶層中の液晶は水平配向しており、電界印加によって配列が変わり、1枚或は2枚の偏光板を基板外側に配置することにより、明暗表示が可能となる。
【0052】
本発明に用いられる基板としては、ガラス、プラスチック等、電極形成が可能なものであれば特に制限なく用いることができる。プラスチック基板の材料の例としては、一軸又は二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)などの結晶性ポリマー、ポリスルホン(PS)、ポリエーテルスルホン(PES)などの非結晶性ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアリレート(PAr)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン等のポリアミドなどが挙げられる。液晶表示素子の生産性の高さから、プラスチックフィルムのような可撓性基板を用いることが好ましい。基板の厚さとしては、通常、100μm〜1mm、好ましくは100μm〜500μmが適当である。
【0053】
本発明において、上記2枚の電極付き基板は、互いに同じ材質のものであってもよく、また、相違する材質のものであってもよいが、少なくとも一方の基板を光学的に透明なものとし、光学的に透明又は半透明な電極を設けて使用する。
【0054】
この透明又は半透明な電極の具体例としては、例えば、NESA膜といわれる酸化スズ膜、酸化インジウム膜、酸化インジウムと酸化スズとの混合物からなるITO膜、金やチタンなどの蒸着膜、或は他の薄膜状のアルミニウム等の金属又は合金などを挙げることができる。これら電極の形状としては特に制限はなく、基板の所定の面上の全面にわたるものであってもよく、ストライプ状等の所望の形状のものであってもよく、液晶表示素子の表示方式や駆動方式にあわせて適宜選択できる。
【0055】
液晶層の厚みは、通常、0.5〜10μm程度の範囲とすることが可能であるが、表面安定化型強誘電性液晶表示素子の原理を利用する場合には、1〜5μmが好ましい。
【0056】
また、電極間の導通を防ぐために、液晶層と電極との間に絶縁膜を設けてもよい。また、電極間のセルギャップを一定に保ち、電極間の導通を防止するために、液晶層中にスペーサーを配置してもよい。
【0057】
図2は、本発明の液晶表示素子の一態様を示す部分断面図である。図2に示される液晶表示素子においては、2枚の電極2付き基板1と液晶層3との間に、絶縁膜4が設けられている。また、液晶層3中には、スペーサー5が配置されている。
【0058】
絶縁膜は、対向する電極間の短絡を防止するためのものであり、短絡するおそれのない場合は、絶縁膜を設けなくてもよい。絶縁膜の材質としては、液晶表示素子に通常用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、SiOx等の無機蒸着膜、アクリル系、ナイロン系、エポキシ系等の種々の非液晶性高分子膜が挙げられる。
【0059】
スペーサーとしては、液晶表示素子に通常用いられるものであれば特に制限はなく、ガラス、シリカ又は耐溶剤性を有するプラスチック等からなるものが好適に用いられる。スペーサーとしては、球状のものが連続工程による液晶表示素子の製造方法に適しており、好適に用いられる。球状スペーサーの材質として好適なものの具体例としては、例えば、シリカ等の無機系材料、ジビニルベンゼン系やポリスチレン系のポリマービーズ等が挙げられる。球状スペーサーの粒径は、液晶表示素子のセル厚に応じて適宜選択可能であり、通常、1〜5μm程度が好ましい。なお、スペーサーを用いなくてもセルギャップを保持できる場合には、スペーサーを使用しなくてもよい。
【0060】
更に、本発明の液晶表示素子には、必要に応じ、配向制御膜が液晶層に接して設けられていてもよい。配向制御膜としては、通常液晶表示素子に用いられるものであれば特に制限はなく、ポリイミドやポリビニルアルコールなどの高分子膜を一方向にラビング処理したもの、酸化シリコンを斜方蒸着したものなど、種々の配向制御膜を用いることができる。液晶表示素子のたわみや、上下基板のずれなどによる液晶組成物への剪断応力の印加、或は、剪断応力と電圧の印加による配向方法などで配向する場合には、配向制御膜は設けなくてもよい。
【0061】
また、本発明の液晶表示素子は、液晶組成物が素子外に流出しないように封止することが好ましいが、液晶組成物が流出するおそれがなく、液晶表示素子を安定に保つことができる場合には封止しなくてもよい。
【0062】
電極付き基板間に液晶組成物を挟持する方法としては特に制限はなく、真空注入法、電極付き基板への塗布法など、液晶組成物の性状等に応じて適宜選択できる。液晶組成物が本発明の非光学活性低分子液晶化合物少なくとも1種と高分子液晶少なくとも1種を含有する場合には、通常は、液晶組成物を全成分の共通溶媒に溶解して塗工液を調製し、それを電極付基板の少なくとも一方に塗布し、溶媒蒸発後、直ちに両基板を張り合せてラミネートする方法が好適である。配向制御膜や絶縁膜を設ける場合には、液晶層形成の前に予めそれらの膜を電極付き基板の電極面上に設けておく。
【0063】
液晶層形成に用いられる塗工液は、通常、粘度が1〜3cPになるような濃度に調製する。これは、塗工液中の液晶組成物濃度としては、重量百分率で大体20〜30重量%である。溶媒を蒸発させる乾燥工程では、通常、常圧において30〜150℃程度に加熱して行われる。
【0064】
塗工液の調製に用いられる溶媒としては、基板や必要に応じて設けられた絶縁膜や配向制御膜を溶解せず、液晶組成物を溶解するものであれば特に制限はない。通常、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、又はそれらの混合溶媒等が好適に用いられる。
【0065】
上下基板間にスペーサーを配置する場合、スペーサーの配置方法としては特に制限はなく、あらかじめ電極付き基板上又は両基板間に固定しておいてもよいし、液晶組成物又は上記の塗工液中に混合しておいて液晶層の形成時に同時に配置してもよい。或は、液晶組成物又はその塗工液を塗布した後に、塗布層上に配置して埋め込み、固定してもよい。
【0066】
液晶組成物の配向方法としては、剪断応力法、磁場配向法、温度勾配法、SiO斜方蒸着法、ラビング法、或はこれらの組み合わせなど、液晶組成物の水平配向が可能ならばどの方法を用いてもよい。
【0067】
例えば、基板として可撓性のプラスチック基板を用いた場合には、液晶表示素子にたわみ変形を与えて剪断応力を印加して配向させる方法が好適である。たわみ変形を与える手段としては、少なくとも1本のロールを用い、液晶表示素子をロール面に沿ってたわませる方法が好適である。図3にそのような手段の一態様を示す。図3の態様では、未配向の液晶表示素子6を、3本のロール7a、7b、7c間を両面を交互にロール7a、7b、7cに接触させるようにして移動させ、たわみ変形による剪断応力で液晶表示素子内の液晶組成物を水平配向させ、配向済液晶表示素子8を得ている。剪断応力による配向を行う場合、よりよい配向を得るため、液晶表示素子の上下電極間に電界を印加しながら剪断応力をかけてもよく、また、加熱ロールの使用、或は装置系全体を恒温槽に入れるなどして、加熱しながら行ってもよい。
【0068】
この配向処理後に、配向修復、液晶層の厚みむら解消のためなどに加熱処理を行ってもよい。また、この際電界を印加してもよい。
【0069】
【実施例】
以下、本発明の実施例及びその比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0070】
なお、本明細書中、化合物の相転移挙動を示す式において、Isoは等方相を、Nはネマチック相を、SmAはスメクチックA相を、SmCはスメクチックC相を、SmC*はカイラルスメクチックC相を、SmXはスメクチックC相より高次の未同定のスメクチック相を、Cryst.は結晶状態を、glassはガラス状態を意味する。
【0071】
実施例1
非光学活性低分子液晶化合物(1)の合成
下記に示す反応によって非光学活性低分子液晶化合物(1)を合成した。
【0072】
【化33】
Figure 0003677102
3,3−ジメチルアクリル酸0.400gとテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド5水和物0.724gを透明な液体になるまで室温で撹拌した後、DMF(ジメチルホルムアミド)8mlを加えた。次ぎに化合物(6)1.008gのDMF80ml溶液を加え、40℃で12時間反応させた。反応終了後、反応混合物を希塩酸水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥した後、濾過を行い、濾液から減圧で溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル充填、10%酢酸エチル/n−ヘキサン展開)により精製することで目的とする非光学活性低分子液晶化合物(1)0.821gを得た(収率78.5%)。
【0073】
なお、化合物(6)は、下記の反応によって合成される。
【0074】
【化34】
Figure 0003677102
DMF14mlに60%油性水素化ナトリウム1.50gを加え、更に、ヒドロキシフェニルピリミジン誘導体7.83gのDMF50ml溶液を室温で滴下する。そのまま室温で30分間攪拌した後、1,8−ジブロモオクタン20.40gのDMF50ml溶液を滴下し、更に8時間攪拌する。反応終了後、反応混合物を水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、瀘過を行い、瀘液を減圧で留去することにより残渣52.80gを得る。これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル充填、10%酢酸エチル/20%ジクロロメタン/n−ヘキサン展開)により精製することで、化合物(6)7.70gを得た(収率61%)。
【0075】
得られた非光学活性低分子液晶化合物(1)の1H−NMR(TMS/CDCl3)の分析結果(ppm)及びFD−MSによる分子量測定値を以下に示す。8.55(s,2H), 8.34(d,2H), 6.96(d,2H), 5.67(s,1H), 4.08(t,2H), 4.02(t,2H), 2.59(t,2H), 2.16(s,3H), 1.89(s,3H), 1.85−1.18(m,28H), 0.86(t,3H)
Figure 0003677102
また、偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子液晶化合物(1)の降温過程での相転移挙動は以下の通りであった。
【0076】
Figure 0003677102
実施例2
非光学活性低分子液晶化合物(2)の合成
下記に示す反応によって非光学活性低分子液晶化合物(2)を合成した。
【0077】
【化35】
Figure 0003677102
化合物(6)の代わりに(7)を用い、実施例1と同様な操作を行うことにより、化合物(7)1.360gから目的とする非光学活性低分子液晶化合物(2)1.035gを得た(収率74.0%)。
【0078】
得られた非光学活性低分子液晶化合物(2)の1H−NMR(TMS/CDCl3)の分析結果(ppm)及びFD−MSによる分子量測定値を以下に示す。8.62(s,2H), 8.48(d,2H), 8.15(d,2H), 7.33(d,2H), 6.98(d,2H), 5.67(s,1H), 4.06(m,4H), 2.63(t,2H), 2.15(s,3H), 1.88(s,3H), 1.85−1.19(m,36H), 0.86(t,3H)
Figure 0003677102
また、偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子液晶化合物(2)の降温過程での相転移挙動は以下の通りであった。
【0079】
Figure 0003677102
実施例3
非光学活性低分子液晶化合物(3)の合成
下記に示す反応によって非光学活性低分子液晶化合物(3)を合成した。
【0080】
【化36】
Figure 0003677102
化合物(6)の代わりに(8)を用い、実施例1と同様な操作を行うことにより、化合物(8)1.308gから目的とする非光学活性低分子液晶化合物(3)0.969gを得た(収率72.0%)。
【0081】
得られた非光学活性低分子液晶化合物(3)の1H−NMR(TMS/CDCl3)の分析結果(ppm)及びFD−MSによる分子量測定値を以下に示す。8.45(s,2H), 8.40(d,2H), 8.15(d,2H), 7.30(d,2H), 6.97(d,2H), 5.67(s,1H), 4.10(m,4H), 4.05(t,2H), 2.16(s,3H), 1.89(s,3H), 1.86−1.16(m,30H), 0.85(t,3H)
Figure 0003677102
また、偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子液晶化合物(3)の降温過程での相転移挙動は以下の通りであった。
【0082】
Figure 0003677102
実施例4
非光学活性低分子液晶化合物(4)の合成
下記に示す反応によって非光学活性低分子液晶化合物(4)を合成した。
【0083】
【化37】
Figure 0003677102
化合物(6)の代わりに(9)を用い、実施例1と同様な操作を行うことにより、化合物(9)1.248gから目的とする非光学活性低分子液晶化合物(4)0.919gを得た(収率71.5%)。
【0084】
得られた非光学活性低分子液晶化合物(4)の1H−NMR(TMS/CDCl3)の分析結果(ppm)及びFD−MSによる分子量測定値を以下に示す。8.62(s,2H), 8.48(d,2H), 8.15(d,2H), 7.33(d,2H), 6.98(d,2H), 5.67(s,1H), 4.06(m,4H), 2.63(t,2H), 2.15(s,3H), 1.88(s,3H), 1.85−1.18(m,28H), 0.87(t,3H)
Figure 0003677102
また、偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子液晶化合物(4)の降温過程での相転移挙動は以下の通りであった。
【0085】
Figure 0003677102
実施例5
非光学活性低分子液晶化合物(5)の合成
下記に示す反応によって非光学活性低分子液晶化合物(5)を合成した。
【0086】
【化38】
Figure 0003677102
化合物(6)の代わりに(10)を用い、実施例1と同様な操作を行うことにより、化合物(10)1.192gから目的とする非光学活性低分子液晶化合物(5)0.793gを得た(収率64.5%)。
【0087】
得られた非光学活性低分子液晶化合物(5)の1H−NMR(TMS/CDCl3)の分析結果(ppm)及びFD−MSによる分子量測定値を以下に示す。8.62(s,2H), 8.48(d,2H), 8.15(d,2H), 7.33(d,2H), 6.98(d,2H), 5.67(s,1H), 4.05(m,4H), 2.63(t,2H), 2.15(s,3H), 1.88(s,3H), 1.86−1.18(m,24H), 0.87(t,3H)
Figure 0003677102
また、偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子液晶化合物(5)の相転移挙動(降温過程)は以下の通りであった。
【0088】
Figure 0003677102
比較例1−4
特開平6−9503号公報記載の以下の2種類の非光学活性低分子化合物(11)及び(12)並びに特開平7−165672号公報記載の以下の2種類の非光学活性低分子化合物(13)及び(14)を合成し、それらの相転移挙動を実施例と同様にして測定し、実施例1で合成した本発明の非光学活性低分子液晶化合物(1)の相転移挙動と比較し、その結果を図4に示した。
【0089】
比較例1
非光学活性低分子化合物(11)の合成
下記に示す反応によって非光学活性低分子化合物(11)を合成した。
【0090】
【化39】
Figure 0003677102
トリメチル酢酸0.41gとテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド5水和物0.72gを透明な液体になるまで室温で撹拌した後、DMF8mlを加えた。化合物(6)1.01gのDMF80ml溶液を加え、40℃で12時間反応させた。反応終了後、反応混合物を希塩酸水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥した後、濾過を行い、濾液から減圧で溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル充填、10%酢酸エチル/20%ジクロロメタン/n−ヘキサン展開)により精製することで、非光学活性低分子化合物(11)0.91gを得た(収率87%)。
【0091】
偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子化合物(11)の相転移挙動(降温過程)は以下の通りであった。
【0092】
Figure 0003677102
比較例2
非光学活性低分子化合物(12)の合成
下記に示す反応によって非光学活性低分子化合物(12)を合成した。
【0093】
【化40】
Figure 0003677102
イソバレリックアシッド0.41gとテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド5水和物0.72gを透明な液体になるまで室温で撹拌した後、DMF8mlを加えた。化合物(6)1.01gのDMF80ml溶液を加え、40℃で12時間反応させた。反応終了後、反応混合物を希塩酸水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥した後、濾過を行い、濾液から減圧で溶媒を留去した。残渣を比較例1と同様のカラムクロマトグラフィーにより精製することで、非光学活性低分子化合物(12)0.93gを得た(収率89%)。
【0094】
偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子化合物(12)の相転移挙動(降温過程)は以下の通りであった。
【0095】
Figure 0003677102
比較例3
非光学活性低分子化合物(13)の合成
下記に示す反応によって、非光学活性低分子化合物(13)を合成した。
【0096】
【化41】
Figure 0003677102
(±)−2−エチルヘキサノイックアシッド0.576gとテトラメチルアンモニウムヒドロキサイド5水和物0.724gを透明な液体になるまで室温で撹拌した後、DMF4mlを加えた。これに化合物(6)1.008gのDMF40ml溶液を加え、40℃で12時間反応させた。反応終了後、反応混合物を希塩酸水溶液に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム(無水)で乾燥した後、濾過を行い、濾液から減圧で溶媒を留去した。残渣を実施例1と同様のカラムクロマトグラフィーにより精製することで、非光学活性低分子化合物(13)0.613gを得た(収率54.0%)。
【0097】
偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子化合物(13)の相転移挙動(降温過程)は以下の通りであった。
【0098】
Figure 0003677102
比較例4
非光学活性低分子化合物(14)の合成
下記に示す反応により非光学活性低分子化合物(14)を合成した。
【0099】
【化42】
Figure 0003677102
(±)−2−エチルヘキサノイックアシッドの代わりにジエチルアセチックアシッドを用い、比較例3と同様な操作を行うことにより、化合物(6)1.008gから非光学活性低分子化合物(14)0.758gを得た(収率70.5%)。
【0100】
偏光顕微鏡観察による非光学活性低分子化合物(14)の相転移挙動(降温過程)は以下の通りであった。
【0101】
Figure 0003677102
実施例1で合成した本発明の非光学活性低分子液晶化合物(1)と、上記比較例1〜4の非光学活性低分子化合物(11)〜(14)とは、分子末端の構造においてのみ異なっている。即ち、上記非光学活性低分子液晶化合物(1)は分子末端に
(CH32C=CH−COO−
のような分岐状アルケニル基を導入したことが特徴であるが、図4から、従来公知の非光学活性低分子化合物(11)〜(14)と比較して、本発明の非光学活性低分子液晶化合物(1)は結晶化温度が低く、スメクチックC相温度範囲が広いことがわかる。即ち、これは、分子末端に
(CH32C=CH−COO−
のような分岐状アルケニル基を導入することにより、結晶化温度を低下させることができ、かつ、広いスメクチックC相温度範囲の確保が可能であることを示している。
【0102】
実施例6
液晶組成物の調製
以下に示す反応により、下記の繰り返し単位を有する強誘電性高分子液晶(15)を合成した。
【0103】
【化43】
Figure 0003677102
【0104】
【化44】
Figure 0003677102
水素化ナトリウム0.18モルのTHF(テトラヒドロフラン)200ml溶液に、撹拌下、室温で、1,6ヘプタジエン−4−オール0.18モルを滴下し、次いで1,10−ジブロモデカン0.25モルを滴下した。15時間還流した後、反応液を濾過、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、エーテル体(a)48ミリモルを得た(収率27%)。
【0105】
【化45】
Figure 0003677102
[1]で得られたエーテル体(a)45ミリモル、4−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル54ミリモル及び炭酸カリウム160ミリモルの2−ブタノン100ml溶液を10時間還流した。反応液を濾過、濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、エステル体(b)を得た(収率75%)。
【0106】
【化46】
Figure 0003677102
[2]で得られたエステル体(b)32ミリモル、水酸化カリウム91ミリモル、メタノール30ml、水70mlを6時間還流した。反応液を水300mlに加え、濃硫酸でpH=1とした。析出した固形物を濾別し、水で洗浄した後、30℃で減圧乾燥し、化合物(c)を得た(収率96%)。
【0107】
【化47】
Figure 0003677102
[3]で得られた化合物(c)31ミリモルに塩化チオニル20mlを加え、60℃で3時間撹拌した。過剰の塩化チオニルを減圧下留去し、酸塩化物を得た。この酸塩化物をトルエン50mlに溶解し、ここに、4′−ヒドロキシビフェニル−4−カルボン酸1−メチルブチルエステル32ミリモル、ピリジン39ミリモルのトルエン100ml溶液を室温下、滴下し、さらに室温で15時間撹拌した。固形物を濾別した後、溶媒を減圧下留去した。残渣をアルミナさらにシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、ジエン化合物(d)を得た(収率78%)。
【0108】
−重付加反応−
[4]で得られたジエン化合物(d)1.6ミリモル、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン1.0ミリモル及びヘキサクロロ白金酸・6水和物2mgのトルエン8ml溶液をアルゴンガス雰囲気下、85℃で8時間撹拌した。反応液を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、強誘電性高分子液晶(15)を得た(転化率84%)。
【0109】
偏光顕微鏡観察による強誘電性高分子液晶(15)の降温過程での相転移挙動は以下の通りであった。
【0110】
Figure 0003677102
このようにして得られた強誘電性高分子液晶(15)に、実施例1で合成した本発明の非光学活性低分子液晶化合物(1)を45重量%添加した液晶組成物を調製した。
【0111】
具体的には、強誘電性高分子液晶(15)0.55gと非光学活性低分子液晶化合物(1)0.45gとをその総重量の1.5倍の重量のジクロロメタン1.5gに溶解して均一溶液とした後、溶媒を留去することによって調製した。
【0112】
更に、2枚のITO電極付きガラス基板間にこの液晶組成物を挟み、上下電極間に電界(30V/〜3μm:約3μmの厚みのセルに30Vの電界を印加したことを示す。)を印加しながら液晶組成物に剪断応力をかけ、セル厚約3μmの配向セルを作製した。配向セル内の液晶組成物の相転移挙動、チルト角(2θ)、電界応答時間(30V/〜3μmの電圧を印加し、その際に透過光量が10%〜90%に変化するのに要した時間:τ10-90)は以下の通りであった。
【0113】
Figure 0003677102
2θ=53°(25℃、電界印加時)
τ10-90=0.46ms(25℃)
また、得られた配向済の液晶セルを2℃で放置し、結晶析出の様子を顕微鏡で観察したところ、50日間経っても結晶の析出は確認できなかった。
【0114】
実施例7
液晶表示素子の作製
(1)液晶組成物塗布溶液の調製
強誘電性高分子液晶(15)、本発明の非光学活性低分子液晶化合物(1)を下記の割合で混合し、更に、これらにメチルエチルケトン(MEK)を加えて液晶組成物の30重量%MEK溶液を調製した。
強誘電性高分子液晶(15) 1.1g
非光学活性低分子液晶化合物(1) 0.9g
この溶液が完全な清澄溶液になっていることを目視で確認した後、0.45μmポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のメンブランフィルターで濾過し、あらかじめ粒径2.1μmの球状シリカスペーサー0.002gを入れておいたガラス容器に注ぎ、塗布溶液を調製した。
【0115】
(2)素子の作製
ITO電極付きポリエーテルスルホン(PES)基板(幅:14cm、長さ:70cm)2枚を用意し、各々の電極面上に絶縁性の膜[膜厚:0.05μm、膜種:エポキシ系接着剤(セメダイン社製セメダイン1590と油化シェルエポキシ社製エピコートYL−979の1:1重量割合混合物)]を塗布し十分に乾燥させた。このようにして得られた一方の基板の絶縁膜上に、先に調製した液晶組成物の30重量%MEK溶液を塗布し、次いで60℃に加熱して溶媒を蒸発させた。溶媒蒸発後、直ちに他方の基板を絶縁膜と液晶組成物の層が接するようにして貼り合わせてラミネートした。
【0116】
このようにして作製した素子の長さ30cm分を切り出し、これを更に室温で、交流±50V(矩形波、10Hz)の電界を印加しながら図3に示すような平行に配置した3本のロール(ロール材質:ステンレス、直径:3.6cm、ロール長さ:30cm、ロール間隔:0.4cm、を用いて一定方向のたわみ変形を与えて一軸水平配向処理を行った。このとき、素子の水平移動速度を1m/minとした。このようにして作製した液晶表示素子に、クロスニコル下、交流±30V(矩形波、10Hz)の電界を印加しながら、明暗表示のコントラストが最大となるように素子を回転させた。このときの最大コントラストは50程度であった。
【0117】
また、この液晶表示素子内の液晶組成物の相転移挙動、チルト角(2θ)、電界応答時間(30V/〜2μmの電圧を印加し、その際に透過光量が10%〜90%に変化するのに要した時間:τ10-90)は以下の通りであった。
【0118】
Figure 0003677102
2θ=52°(25℃、電界印加時)
τ10-90=0.40ms(25℃)
また、得られた配向済の液晶表示素子を2℃で放置し、結晶析出の様子を顕微鏡で観察したところ、50日間経っても結晶の析出は確認できなかった。
【0119】
比較例5、6、7、8
実施例6と同様に、非光学活性低分子液晶化合物(1)の代わりに非光学活性低分子化合物化合物(11)、(12)、(13)及び(14)を用いて強誘電性高分子液晶(15)との液晶組成物を調製した。更に、実施例6と同様にセル厚約3μmの配向セルを作製し、2℃での放置試験を行った。結果を表1に示す。
【0120】
【表1】
Figure 0003677102
実施例6と比較例5〜8の結果の比較から、本発明の非光学活性低分子液晶化合物を用いて得られる液晶組成物が、低温での長期安定性に優れていることがわかる。
【0121】
【発明の効果】
本発明の非光学活性低分子液晶化合物は、高分子液晶との相溶性を有し、かつ広い温度範囲でスメクチックC相を示す。また、本発明によれば、従来の非光学活性低分子液晶化合物と比較して結晶化温度の低い非光学活性低分子液晶化合物が得ることができる。本発明の液晶組成物はこの非光学活性低分子液晶化合物を含有するものであり、従って、特にこの非光学活性低分子液晶化合物を強誘電性高分子液晶に添加することにより、広い温度範囲でカイラルスメクチックC相を示すとともに、電界応答速度に優れ、長期間にわたって結晶の析出を起こさない安定な液晶組成物を得ることができる。また、本発明の液晶表示素子はこのようにして得られる液晶組成物を液晶層に用いたものであり、特にこの非光学活性低分子液晶化合物と強誘電性高分子液晶を含有する液晶組成物を液晶層に用いることにより、パネル強度及び電界応答速度に優れ、しかも長期間安定した表示が可能な強誘電性液晶表示素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の一態様を示す部分断面図である。
【図2】本発明の液晶表示素子の一態様を示す部分断面図である。
【図3】液晶表示素子の配向処理方法を示す模式図である。
【図4】本発明の非光学活性低分子液晶化合物及び従来公知の非光学活性低分子化合物の相転移挙動を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 電極
3 液晶層
4 絶縁膜
5 スペーサー
6 未配向の液晶表示素子
7a、7b、7c ロール
8 配向済液晶表示素子

Claims (5)

  1. 下記一般式(I)で表される構造を有する非光学活性低分子液晶化合物。
    Figure 0003677102
    (式中、Rは各々独立にメチル基、エチル基又はプロピル基であり、mは1〜20の整数であり、nは3〜19の整数であり、Aは
    Figure 0003677102
    であり、Xは単結合又は−O−である。)
  2. 一般式(I)中、Rが各々メチル基であり、mが6〜12の整数であり、nが5〜11の整数である請求項1記載の非光学活性低分子液晶化合物。
  3. 請求項1又は2記載の非光学活性低分子液晶化合物を少なくとも1種含む液晶組成物。
  4. 請求項1又は2記載の非光学活性低分子液晶化合物少なくとも1種と強誘電性高分子液晶少なくとも1種とを含み、強誘電性を示す請求項3記載の液晶組成物。
  5. 少なくとも一方が透明である一対の電極付き基板間に請求項3又は4記載の液晶組成物を挟持してなる液晶表示素子。
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