JP2880524B2 - 液晶化合物 - Google Patents

液晶化合物

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JP2880524B2
JP2880524B2 JP1143472A JP14347289A JP2880524B2 JP 2880524 B2 JP2880524 B2 JP 2880524B2 JP 1143472 A JP1143472 A JP 1143472A JP 14347289 A JP14347289 A JP 14347289A JP 2880524 B2 JP2880524 B2 JP 2880524B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、強誘電性カイラルスメクチック液晶化合物
を提供するものであり、該液晶化合物は電界への応答を
利用した表示素子や電気光学素子に使用される液晶化合
物に関するものである。
さらに、本発明は三つの安定した分子配向状態を示す
強誘電性液晶化合物に関する。該液晶化合物は電界への
応答を利用した表示素子や電気光学素子に使用されるも
のである。
〔従来技術〕
液晶を用いた電気光学装置としては、DSM形、TN形、
G−H形、STN形などのネマチック液晶を用いた電気光
学装置が開発され実用化されている。しかしながら、こ
のようなネマチック液晶を用いたものはいずれも応答速
度が数mから数十msecと極めて遅いという欠点を有する
ため、その応答分野に制約がある。ネマチック液晶を用
いた素子の応答速度がおそいのは分子を動かすトルクが
基本的に誘電率の異方性に基づいているため、その力が
あまり強くないためである。このような背景の中で、自
発分極(Ps)を持ち、トルクがPs×E(Eは印加電界)
に基づいているため、その力が強く、数μsecから数+
μsecの高速応答が可能な強誘電性液晶がMeyerらにより
開発され(Le Journal de Physique,36巻,1975,L−6
9)、又、特開昭63−307837号には、さらに新しい強誘
電性液晶が開示されているが後述する“三状態”につい
ての開示はない。
強誘電性液晶を用いた高速電気光学装置が既にいくつ
か提案されている。
代表例を挙げれば、壁面の力でねじれ構造を解き壁面
と平行となった2つの分子配向を印加電界の極性により
変化させるものである(例えば特開昭56−107216号参
照)。
前記のものは、第1図の電界応答波形に示すような理
想の二状態を呈する化合物の存在を前提にしたものであ
る。しかしながら、現実は前記の理想の二状態を呈する
化合物は発見されておらず、これまでに合成された二状
態液晶の電界応答波形は第2図のようになってしまい、
第1図のような応答波形は得られていない。第2図のよ
うな応答波形を示すものを例えば光のスイッチング回路
に利用しようとすると、印加電圧がから側に変化す
るにつれて徐々に透過率が変化する形であるため、単純
にON,OFFの印加電圧変化では充分目的を果すことができ
ないのが実状である。さらにこれまで合成されている二
状態液晶は無電界時のS*c相段階において理想の分子配
向状態であるモノドメイン状態をつくることが難しく、
デイスクリネーション(欠陥)を生じたり、ツイストと
よばれる分子配向の乱れを生ずる。そのため大面積で前
記理想の2状態配向を実現することは困難である。さら
に、閾値(輝度が所定値変化する電圧)が低いので、ダ
イナミック駆動を行った場合にコントラストが低下した
り、視野角範囲が狭くなったりする。また、これまでに
合成された二状態液晶は第1図のようなヒステリンスを
示すことができず、第2図のようなヒステリンスしか示
せないためメモリー効果がない。したがって、液晶に安
定なS*c相における応答を保持させるためには、第2図
のνの電圧を印加しつづけるか、あるいは高周波をか
けつづけておかなければならず、いずれにしてもエネル
ギーロスが大きい。
結局、強誘電性液晶で得られる印加電界と分子配向の
強い結合を効果的に利用した高速液晶電気光学装置が望
まれているものの、従来の強誘電性液晶電気光学装置で
は、まだ多くの問題が残されているのが実状である。
そこで、本発明では、無電界で明暗コントラストのは
っきりした安定な分子配向状態を実現し、明確な閾値特
性と第3図に示したような明確なヒステリシスを出現さ
せ、また容易にダイナミック駆動を実現し、さらに高速
応答を可能とした三状態を利用した液晶電気光学装置に
おいて使用できる新規液晶化合物を提供することを目的
とするものである。
〔目的〕
本発明の目的は、強誘電性液晶のなかでも、従来の双
安定状態相であるキラルスメクティックC相(S*c相)
とは異なる、全く新しい三状態を有する新規な強誘電性
液晶を提供する点にある。
前記「三状態を有する」とは第一の電極基板と所定の
間隙を隔てて配置されている第二の電極基板の間に強誘
電性液晶が挟まれてなる液晶電気光学装置において、前
記第一及び第二の電極基板に電界形成用の電庄が印加さ
れるよう構成されており、第4図Aで示される三角波と
して電圧を印加したとき、第4図Dのように前記強誘電
性液晶が、無電界時に分子配向が第一の安定状態(第4
図Dの)を有し、かつ、電界印加時に一方の電界方向
に対し分子配向が前記第一の安定状態とは異なる第二の
安定状態(第4図Dの)を有し、さらに他方の電界方
向に対し前記第一及び第二の安定状態とは異なる第三の
分子配向安定状態(第4図Dの)を有することを意味
する。なお、この三状態を利用する液晶電気光学装置に
ついては本出願人は特願昭63−70212号として出願して
いる。
これに対して、「市販のネマチック液晶」やこれまで
に合成された二状態液晶は、第4図B,Cでみられるとお
り、三つの安定状態を有していない。
この新しい三状態強誘電性液晶は従来のネマティック
型液晶と較べて液晶ディスプレイとしたとき画期的効果
を発揮する。
従来型は、駆動方式がアクティブマトリックス方式と
いう大へん複雑な構造をとる必要があったのに対し、三
状態強誘電性液晶は単純なマトリックス形表示ですむ。
このため従来型の場合は生産工程が複雑となり、画面の
大型化は困難であり、製造コストも高いものになるのに
対し、三状態強誘電性液晶の場合は生産工程が簡単であ
り、画面も大型化が可能となり、製造コストも安価にで
きるという画期的なものである。
本発明の目的は、この三状態強誘電性を示す新規な液
晶を提供する点にある。
〔本発明の構成〕
本発明は、4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシル
オキシカルボニル)フェニル4′−n−デシルオキシビ
フェニル−4−カルボキシレート、4−(1,1,1−トリ
フルオロ−2−デシルオキシカルボニル)フェニル4′
−n−ノニルオキシビフェニル−4−カルボキシレー
ト、4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカ
ルボニル)フェニル4′−n−ウンデシルオキシビフェ
ニル−4−カルボキシレート、4−(1,1,1−トリフル
オロ−2−デシルオキシカルボニル)フェニル4′−n
−ドデシルオキシビフェニル−4−カルボキシレート、
4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカルボ
ニル)フェニル4′−n−オクチルビフェニル−4−カ
ルボキシレート、4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デ
シルオキシカルボニル)フェニル4′−n−ノニルビフ
ェニル−4−カルボキシレート、4−(1,1,1−トリフ
ルオロ−2−デシルオキシカルボニル)フェニル4′−
n−デシルビフェニル−4−カルボキシレート、4−
(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカルボニ
ル)フェニル4′−n−ウンデシルビフェニル−4−カ
ルボキシレート、4−(1,1,1−トリフルオロ−2−オ
クチルオキシカルボニル)フェニル4′−n−ノニルビ
フェニル−4−カルボキシレート、4−(1,1,1−トリ
フルオロ−2−オクチルオキシカルボニル)フェニル
4′−n−デシルビフェニル−4−カルボキシレート、
4−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシカル
ボニル)フェニル4′−n−ウンデシルビフェニル−4
−カルボキシレート、4′−n−ドデシルオキシビフェ
ニル−(4)4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシル
オキシカルボニル)ベンゾエート、4′−(1,1,1−ト
リフルオロ−2−オクチルオキシカルボニル)ビフェニ
ル−(4)4−n−オクチルオキシベンゾエートおよび
4−n−オクチルオキシフェニル4′−(1,1,1−トリ
フルオロ−2−オクチルオキシカルボニル)ビフェニル
−4−カルボキシレート よりなる群から選ばれた液晶化合物を三状態において利
用することを特徴とする液晶電気光学素子に関する。
前記式中、Ra、Rbの炭素数は、アルキル、アルコキシ
いずれの場合も3〜16が好ましい。
本発明の前記一般式で示す液晶化合物のうち、三安定
状態を示すかどうかのカギは、つぎのとおりである。
(i)前記式中、X,Yのうち、そのエステル結合の方向
が同一であることが三安定状態の発現に望ましい。
(ii)前記式中の芳香族環は、一方がビフエニル基で、
他方がフェノール基である組合せが三安定状態の発現に
好ましい。
(iii)不斉炭素原子に結合しているZが、CF3であるこ
とがもっとも三安定状態の発現に寄与し、ZがCF3であ
れば、(i)のエステルの方向が異っても充分すぐれた
三安定状態を示す。
本発明の好ましい化合物には、例えば、以下のような
ものがある。
〔式中Rは炭素数3ないし16のアルキル基〕 本発明の化合物の合成例としては次のようなものがあ
る。
(1)4−ベンジルオキシ安息香酸クロライドと光学活
性な1,1,1−トリフルオロ−2−アルカノールとを反応
させて、4−ベンジルオキシ安息香酸1,1,1−トリフル
オロ−2−アルキルエステルを得、これを水添反応し
て、4−ヒドロキシ安息香酸1,1,1−トリフルオロ−2
−アルキルエステルを得た。得られたアルキルエステル
を4−n−アルキルオキシフェニル(又はビフェニル)
カルボン酸クロライドと反応させて目的化合物である光
学活性な4−(1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルオ
キシカルボニル)フェニル4−n−アルキルオキシベン
ゾエード(又はビフェニルカルボキシレート)を得る。
(2)テレフタル酸クロライドに光学活性な1,1,1−ト
リフルオロ−2−アルカノールを反応させて、1,1,1−
トリフルオロアルキルテレフタル酸モノエステルを得、
次にこれに4−アルキルオキシ−4′−ヒドロキシビフ
ェニルを反応させて、光学活性な4−アルキルオキシビ
フェニル4−(1,1,1−トリフルオロ−2−アルキルオ
キシカルボニル)ペンゾエートを得る。
〔実施例〕
以下に実施例により本発明の化合物につき説明する
が、これに限定されるものではない。
実施例1 1)1,1,1−トリフルオロ−2−デシル4−ベンジルオ
キシベンゾエートの合成 4−ベンジルオキシ安息香酸クロリド1.23gを塩化メ
チレン10mlに溶解させ、次いで光学活性な1,1,1−トリ
フルオロ−2−デカノール0.96gとジメチルアミノピリ
ジン0.55gとトリエチルアミン0.48gとを塩化メチレン20
mlに溶解した溶液を水冷下にて少量づつ加えた。
反応混合物を室温に戻し、一昼夜反応させ、反応液を
氷水に投入し、塩化メチレンにて抽出し塩化メチレン相
を希塩酸、水、1N炭酸ナトリウム水溶液、水にて順次洗
浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥して溶媒を留去
し、粗生成物を得た。これをトルエン−シリカゲルカラ
ムクロマトグラフで処理し、さらにエタノールにて再結
晶して目的物1.84gを得た。
2)1,1,1−トリフルオロ−2−デシル4−ヒドロキシ
ベンゾエートの合成 1)で得られた化合物をエタノール15mlに溶解し、10
%担持Pd−カーボン0.36gを加え、水素雰囲気下水添反
応を行ない、目的化合物1.43gを得た。
3)4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカ
ルボニル)フェニル4'−n−デシルオキシビフェニル−
4−カルボキシレートの合成 4−n−デシルオキシビフェニル−4−カルボン酸1.
20gを過剰の塩化チオニルと共に還流下に6時間加熱し
た後未反応の塩化チオニルを留去して4−n−デシルオ
キシジフェニルカルボン酸塩化物を得た。
酸塩化物を塩化メチレン12.0mlに溶解した溶液に、先
に合成した4−ヒドロキシ安息香酸1,1,1−トリフルオ
ロデシルエステル1.00g、トリエチルアミン0.32gおよび
ジメチルアミノピリジン0.37gを塩化メチレン30mlに溶
解したものを氷冷下徐々に加え室温にて一昼夜反応させ
た。
次いで、反応液を氷水に投入し、塩化メチレンにて抽
出し、塩化メチレン相を希塩酸、水、炭酸ナトリウム水
溶液、そして水の順に洗浄して、無水硫酸ナトリウムで
乾燥した後溶媒を留去して、粗生成物を得た。これをト
ルエン−シリカゲルカラムクロマトグラフ法により精製
して、光学活性な目的化合物1.53gを得た。
相転移点の測定等には該化合物を無水エタノールにて
再結晶して更に精製して用いた。
実施例2〜4 上記実施例1の3)で使用した4−n−デシルオキシ
ビフェニルカルボン酸の代りに 実施例2は4′−n−ノニルオキシビフェニルー4−カ
ルボン酸、 実施例3は4′−n−ウンデシルオキシビフェニル−4
−カルボン酸、 実施例4は4′−n−ドデシルオキシビフェニル−4−
カルボン酸、 を用いて、実施例1と全く同様にして次の光学性な目的
化合物を得た。
実施例2 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオ
キシカルボニル)フェニル4'−n−ノニルオキシビフェ
ニル−4−カルボキシレート 実施例3 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオ
キシカルボニル)フェニル4'−n−ウンデシルオキシビ
フェニル−4−カルボキシレート 実施例4 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオ
キシカルボニル)フェニル4'−n−ドデシルオキシビフ
ェニル−4−カルボキシレート 本発明の目的化合物の比旋光度▲〔α〕20 D▼および
相転移温度は次のとおりである。
相転移温度はDSCおよびホットステージによる顕微鏡
観察により求めた。ここでS(3)は三状態を示す相
である。
実施例5〜8 実施例1の3)で使用した4−n−デシルオキシビフ
ェニル−4−カルボン酸の代りに 実施例5は4′−n−オクチルビフェニル−4−カルボ
ン酸 実施例6は4′−n−ノニルビフェニル−4−カルボン
酸 実施例7は4′−n−デシルビフェニル−4−カルボン
酸 実施例8は4′−n−ウンデシルビフェニル−4−カル
ボン酸 を使用して、実施例1と全く同様にして次の光学活性な
目的化合物を得た。
実施例5 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオ
キシカルボニル)フェニル4′−n−オクチルビフェニ
ル−4−カルボキシレート 実施例6 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオ
キシカルボニル)フェニル4′−n−ノニルビフェニル
−4−カルボン酸 実施例7 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオ
キシカルボニル)フェニル4′−n−デシルビフェニル
−4−カルボキシレート 実施例8 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオ
キシカルボニル)フェニル4′−n−ウンデシルビフェ
ニル−4−カルボキシレート 本発明の目的化合物は比旋光度▲〔α〕20 D▼および
相転移温度は次のとおりである。
相転移温度はDSCおよびホットステージによる顕微鏡
観察により求めた。
実施例9〜11 実施例1の1)で使用した光学活性な1,1,1−トリフ
ルオロ−2−デカノールの代わりに光学活性な1,1,1−
トリフルオロ−2−オクタノールを使用し、実施例1の
3)で使用した4−n−デシルオキシビフェニル−4−
カルボン酸の代わりに実施例9は 4′−n−ノニルビ
フェニル−4−カルボン酸 実施例10は 4′−n−デシルビフェニル−4−カルボ
ン酸 実施例11は 4′−n−ウンデシルビフェニル−4−カ
ルボン酸 を使用して、実施例1と全く同様にして次の光学活性な
目的化合物を得た。
実施例9 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル
オキシカルボニル)フェニル4′−n−ノニルビフェニ
ル−4−カルボキシレート 実施例10 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル
オキシカルボニル)フェニル4′−n−デシルビフェニ
ル−4−カルボキシレート 実施例11 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチル
オキシカルボニル)フェニル4′−n−ウンデシルビフ
ェニル−4−カルボキシレート 本発明の目的化合物の比旋光度▲〔α〕20 D▼および
相転移温度は次のとおりである。
相転移温度はDSCおよびホットステージによる顕微鏡
観察により求めた。
実施例12 4′−n−ドデシルオキシビフェニル−(4)4−
(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカルボニ
ル)ベンゾエートの合成 1)1,1,1−トリフルオロ−2−デシルテレフタル酸モ
ノエステルの合成 テレフタル酸クロリド11.2gを塩化メチレン50mlに溶
解させ次いで光学活性な1,1,1−トリフルオロ−2−デ
カノール10.0gとピリジン13gとを氷冷下にて少量ずつ滴
下した。反応混合物を室温に戻し、一昼夜反応させ、反
応液を希塩酸、水、1N炭酸水素ナトリウム水溶液、水に
て順次洗浄して有機相を回収し、無水硫酸マグネシウム
にて乾燥後、溶媒を減圧留去して粗生成物を得た。これ
をトルエン−シリカゲルカラムクロマトグラフにより処
理して、更にエタノールにて再結晶して目的化合物3.3g
を得た。
2)4′−n−ドデシルオキシビフェニル−(4)4−
(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカルボニ
ル)ベンゾエート 1)で得られた化合物1,1,1−トリフルオロ−2−デ
シルテレフタル酸モノエステル3.3g、4−ドデシルオキ
シ−4′−ヒドロキシビフェニル3.9g、ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド3.19gおよびジメチルアミノピリジン
0.3gをテトラヒドロフラン溶媒100mlに投入し、室温に
て1昼夜反応させる。
次いで反応液中のテトラヒドロフラン溶媒を適当量減
圧留去し、冷水に投入し、塩化メチレンにて抽出し、塩
化メチレン相を1N炭酸水素ナトリウム水溶液、水、希塩
酸、水にて中性になるまでよく洗浄して、無水硫酸ナト
リウムで乾燥した後、溶媒を留去して粗生成物を得る。
これをトルエン−シリカゲルカラムクロマトグラフにて
処理し、更にエタノールにて再結晶をくり返して光学活
性な目的化合物1.3gを得る。
目的化合物の比旋光度は を示し、相転移温度(℃)はDSCとホットステージによ
る顕微鏡観察により、次のようである。
実施例13 4′−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシ
カルボニル)ビフェニル−(4) 4−n−オクチルオ
キシベンゾエート 4−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシカ
ルボニル)−4′−ヒドロキシビフェニル0.5gとn−4
−オクチルオキシ安息香酸0.33gとをジシクロカルボジ
イミド0.3gと数片のジメチルアミノピリジンとテトラヒ
ドロフラン30mlとの存在下で反応させ、粗目的化合物0.
4gを得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフ法
(ヘキサン:酢酸エチル=10:0.5)により精製し、更に
エタノールにより再結晶して光学活性な目的化合物0.4g
を得た。
上記目的化合物の比旋光度と相転移温度(℃)は次の
ようである。
実施例14 4−n−オクチルオキシフェニル 4′−(1,1,1−
トリフルオロ−2−オクチルオキシカルボニル)ビフェ
ニル−4−カルボキシレート 4,4′−ビフェニルジカルボン酸二塩化物1.3gと4−n
−オクトキシフェノール1.0gとを約40mlの塩化メチレン
に溶解する。その中へトリエチルアミン0.5gとジメチル
アミノピリジン0.032gとを加える。そして室温にて24時
間かきまぜる。反応混合物を水中に入れ、塩化メチレン
にて抽出する。希塩酸、水、希炭酸ナトリウム水溶液、
水にて洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥す
る。溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト(展開
液;ヘキサン:酢酸エチル=10:0.5)にて残査物を精製
する。さらに得られた結晶をエタノールにて再結晶す
る。目的物0.8gを得る。
目的物の比旋光度は を示し、相転移温度(℃)はDSCとホットステージによ
る顕微鏡観察により、次のようである。
実施例15 ラビング処理したポリイミド配向膜をITO電極基板上
に有するセル厚2.9μmの液晶セルに、実施例1で得ら
れた液晶化合物をIsotropic相において充填し、液晶薄
膜セルを作成した。
この薄膜セルを0.1〜1.0℃/1分間の温度勾配にて徐冷
し、SA相を配向させ、±30V、10Hzの矩形波を印加し、
フォトマルチプライヤー付偏光顕微鏡にて電気光学的応
答動作を検出したところ、第5図に示すように、SA相に
おいて印加電界(a)に対して光学応答するエレクトロ
クリニック効果(b)を観察した。他の実施例の化合物
においても同一の効果が観察された。
実施例16 実施例15と全く同様の方法にて作成した液晶セルを2
枚の偏光板を直交させたフォトマルチプライヤー付き偏
光顕微鏡に、マイナス電圧印加時の分子長軸方向と偏光
子が重なる状態に配置した。この液晶セルを0.1〜1.0℃
/1分間の温度勾配にてS(3)相まで徐冷した。さら
に冷却してゆき、95.0℃〜10.0℃の温度範囲において、
±30V、10Hzの三角波電圧(a)を印加した場合を第6
図に示した。印加電圧がマイナス域での暗状態、0ボル
ト域での中間状態、プラス域での明状態と光透過率が三
つの状態に変化(c)し、これに対応して分極反転電流
波形のピーク(b)もそれぞれ表れていることを観察
し、三つの安定な液晶分子の配向状態があることを確認
した。他の実施例の化合物においても同一の効果が観察
された。
〔効果〕
本発明の新規液晶はいずれも安定な三状態を示すの
で、三状態を利用した表示デバイス、スイッチングデバ
イスなど広い用途を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、現実には得られていない理想の二状態液晶の
ヒステリシスを、第2図は現実にこれまでに合成された
二状態液晶のヒステリシスを、第3図は本発明にかかる
三状態液晶のヒステリシスをそれぞれ示すものであり、
第1〜3図とも、横軸は印加電圧を、縦軸は透過率
(%)を示す。第4図はAが印加される三角波を、Bが
市販ネマチック液晶の、Cはこれまでに合成された二状
態液晶の、Dは三状態液晶の、それぞれの光学応答特性
を示す。 第5図はエレクトロクリニック効果を示したもので、図
中aは液晶電気光学素子に印加した交番電圧を、図中b
は図中aの交番電圧に対する光透過率の変化を示したも
のである。 第6図は、本発明の化合物の三状態スイッチングを示し
たもので、図中aは液晶電気光学素子に印加した三角波
電庄を、図中bは分極反転電流を、そして図中Cは図中
aの三角波電圧に対する光透過率の変化を示したもので
ある。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 69/94 C07C 69/94 (56)参考文献 特開 昭63−307837(JP,A) 特開 平1−139551(JP,A) 特開 平2−67253(JP,A) 特開 平3−5441(JP,A) 特開 平2−160748(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシル
    オキシカルボニル)フェニル4′−n−デシルオキシビ
    フェニル−4−カルボキシレート、4−(1,1,1−トリ
    フルオロ−2−デシルオキシカルボニル)フェニル4′
    −n−ノニルオキシビフェニル−4−カルボキシレー
    ト、4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカ
    ルボニル)フェニル4′−n−ウンデシルオキシビフェ
    ニル−4−カルボキシレート、4−(1,1,1−トリフル
    オロ−2−デシルオキシカルボニル)フェニル4′−n
    −ドデシルオキシビフェニル−4−カルボキシレート、
    4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカルボ
    ニル)フェニル4′−n−オクチルビフェニル−4−カ
    ルボキシレート、4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デ
    シルオキシカルボニル)フェニル4′−n−ノニルビフ
    ェニル−4−カルボキシレート、4−(1,1,1−トリフ
    ルオロ−2−デシルオキシカルボニル)フェニル4′−
    n−デシルビフェニル−4−カルボキシレート、4−
    (1,1,1−トリフルオロ−2−デシルオキシカルボニ
    ル)フェニル4′−n−ウンデシルビフェニル−4−カ
    ルボキシレート、4−(1,1,1−トリフルオロ−2−オ
    クチルオキシカルボニル)フェニル4′−n−ノニルビ
    フェニル−4−カルボキシレート、4−(1,1,1−トリ
    フルオロ−2−オクチルオキシカルボニル)フェニル
    4′−n−デシルビフェニル−4−カルボキシレート、
    4−(1,1,1−トリフルオロ−2−オクチルオキシカル
    ボニル)フェニル4′−n−ウンデシルビフェニル−4
    −カルボキシレート、4′−n−ドデシルオキシビフェ
    ニル−(4)4−(1,1,1−トリフルオロ−2−デシル
    オキシカルボニル)ベンゾエート、4′−(1,1,1−ト
    リフルオロ−2−オクチルオキシカルボニル)ビフェニ
    ル−(4)4−n−オクチルオキシベンゾエートおよび
    4−n−オクチルオキシフェニル4′(1,1,1−トリフ
    ルオロ−2−オクチルオキシカルボニル)ビフェニル−
    4−カルボキシレート よりなる群から選ばれた液晶化合物を三状態において利
    用することを特徴とする液晶電気光学素子。
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