JP5552028B2 - 半導電性樹脂組成物、成形物品、及び、半導電性樹脂組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
2)前記カーボンブラックが、アセチレンブラック及びオイルファーネスブラックからなる群より選ばれる少なくとも1種である前記の半導電性樹脂組成物。
3)体積固有抵抗が、1.0×107〜1.0×1013Ωcmであり、かつ、表面抵抗が、1.0×109〜1.0×1014Ω/□である前記の半導電性樹脂組成物。
4)グロス値が50〜80である前記の半導電性樹脂組成物。
5)0.1mm2以下のフィッシュアイが100個/600cm2以下である前記の半導電性樹脂組成物。
6)成形物品である前記の半導電性樹脂組成物。
7)該成形物品が、シート状成形物、チューブ状成形物、繊維状成形物、布帛、圧縮成形物、または射出成形物である前記の半導電性樹脂組成物。
本発明におけるPEEKは、以下の式(1)
で表わされる構造単位、及び/または下記式(3)
で表わされる構造単位を有する共重合体を使用することができる。共重合体中の式(2)及び式(3)で表わされる構造単位の割合は、通常50モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下である。
本発明で使用する導電性フィラーとしては、特に制限されず、例えば、導電性のカーボンブラック、黒鉛粉末、金属粉末、表面を導電処理した酸化金属ウィスカーなどが挙げられる。これらの中でも、体積固有抵抗及び/または表面抵抗の制御性や機械物性などの観点から、カーボンブラックが特に好ましい。
本発明の半導電性樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内において、その他の熱可塑性樹脂を配合することができる。その他の熱可塑性樹脂としては、高温において安定な熱可塑性樹脂が好ましく、具体例としては、例えば、ポリフェニレンスルフィドなどのポリアリーレンスルフィド樹脂;ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/へキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、プロピレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素樹脂;ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド、ポリアルキルアクリレート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニルを挙げることができる。これらの熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の半導電性樹脂組成物には、所望により各種充填剤を配合することができる。充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化珪素繊維、硼素繊維、チタン酸カリ繊維などの無機繊維状物;ステンレス、アルミニウム、チタン、鋼、真鍮等の金属繊維状物;ポリアミド、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂などの高融点の有機質繊維状物;等の繊維状充填剤が挙げられる。
本発明の半導電性樹脂組成物には、前記以外のその他の添加剤として、例えば、エチレングリシジルメタクリレートのような樹脂改良剤、ペンタエリスリトールテトラステアレートのような滑剤、熱硬化性樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ボロンナイトライドのような核剤、赤燐粉末のような難燃剤、染料や顔料等の着色剤を適宜添加することができるが、これらのものに限定されない。
本発明の半導電性樹脂組成物は、PEEK100重量部と、導電性フィラー5〜25重量部とを含有し、かつ、ジフェニルスルホンの含有量が400ppm以下である組成を備える限り、その形状を問わない。すなわち、粉末、粒子、またはペレットなどの通常、成形原料として用いられる形状のものでもよいし、これらを成形してなるシート状成形物(厚みが薄いフィルム状成形物を含む。以下、同じ。)、チューブ状成形物、繊維状成形物、布帛、圧縮成形物、または射出成形物などの成形物品の形態であってもよい。したがって、本発明の半導電性樹脂組成物は、成形物品である半導電性樹脂組成物を含むものである。
本発明の半導電性樹脂組成物を、画像形成装置における帯電ベルトや転写ベルトなどの電荷制御部材として用いる場合、最も好ましい組み合わせは、体積固有抵抗が、1.0×107〜1.0×1013Ωcmの範囲内であり、かつ、表面抵抗が、1.0×109〜1.0×1014Ω/□の範囲内である。
本発明の半導電性樹脂組成物は、ジフェニルスルホンの含有量が400ppm以下である。ジフェニルスルホンの含有量が400ppmを超えるものであると、1kVの電圧を24時間かけた後のチューブ状成形物の表面抵抗が、1.0×109Ω/□を下回り、電気抵抗が低下するので、画像形成装置における帯電ベルトや転写ベルトなどの電荷制御部材として用いる場合、長期間に亘って高い電圧を印加・放電すると、電気抵抗が低下して、半導電性が失われてしまう。本発明の半導電性樹脂組成物におけるジフェニルスルホンの含有量は、好ましくは350ppm以下、より好ましくは300ppm以下、更に好ましくは250ppm以下、特に好ましくは220ppm以下であり、場合によっては200ppm以下、100ppm以下、または50ppm以下とすることができ、最も好ましくは30ppm以下である。
本発明の半導電性樹脂組成物は、グロス値が50〜80の範囲であることが好ましい。グロス値は、より好ましくは52〜75、更に好ましくは53〜73、特に好ましくは55〜70の範囲である。
本発明の半導電性樹脂組成物は、0.1mm2以下のフィッシュアイが100個/600cm2以下であることが好ましい。
本発明の半導電性樹脂組成物は、任意の方法と設備を用いて調製し、製造することができるが、特に、有効な半導電性樹脂組成物の製造方法としては、例えば、以下の方法がある。
本発明の半導電性樹脂組成物の製造方法の特徴は、PEEK100重量部と導電性フィラー5〜25重量部とを含有し、更に所望により、その他の熱可塑性樹脂、充填剤及びその他の添加剤を含有する半導電性樹脂組成物の原料を、供給部、圧縮部及び計量部を備える押出機の供給部の供給孔から供給し、押出機のベント孔から不活性ガスを圧入しながら、圧縮部、計量部及びダイに至る間の該樹脂組成物の原料の温度を280〜410℃の範囲内、好ましくは290〜410℃、より好ましくは295〜405℃の範囲内に制御しながら、押出成形してペレット状樹脂組成物を製造するペレット製造工程を備えることにある。ペレット製造工程においては、ベント孔から不活性ガスを圧入することに加えて、更に、押出機の供給孔から不活性ガスを圧入してもよい。
本発明の半導電性樹脂組成物の製造方法においては、前記のペレット製造工程に加えて、ペレット製造工程で得られたペレット状樹脂組成物を、280〜410℃の温度で押出成形してペレット状樹脂組成物を製造する再ペレット操作を、1〜20回行う再ペレット化工程を備えることにより、フィッシュアイの個数を減少することができる。
また、本発明の半導電性樹脂組成物の製造方法としては、該ペレット製造工程に先だって、PEEKを、有機溶剤により、常温〜該溶剤の沸点の範囲の温度で、1〜72時間洗浄する、溶剤洗浄工程を備える方法も、ジフェニルスルホンの含有量を減少させるのに有効であり、これにより機械的特性、光学特性及び電気特性に優れた半導電性樹脂組成物を得ることができる。溶剤洗浄工程及びペレット製造工程に続いて、前記の再ペレット化工程を行ってもよい。
また、本発明の半導電性樹脂組成物の製造方法としては、該ペレット製造工程に先だって、PEEKを、PEEKのガラス転移点以上融点未満の温度で、1〜72時間加熱する、加熱浄化工程を備える方法も、ジフェニルスルホンの含有量を減少させるのに有効であり、これにより機械的特性、光学特性及び電気特性に優れた半導電性樹脂組成物を得ることができる。加熱浄化工程及びペレット製造工程に続いて、前記の再ペレット化工程を行ってもよい。
本発明の半導電性樹脂組成物の製造方法は、前記のペレット製造工程、または再ペレット化工程によって得られたペレット状樹脂組成物を半導電性樹脂組成物とすることができるが、更に、所望により、ペレット状樹脂組成物を成形物品とする成形工程によって得られた成形物品を半導電性樹脂組成物とすることもできる。
ここで成形物品とは、ペレット状樹脂組成物を成形して得られた成形物品全般を意味し、シート状成形物(厚みが薄いフィルム状成形物を含む。)、チューブ状成形物(シート状成形物またはフィルム状成形物を管状基材に巻き付けて得られたチューブ状成形物、及び、インフレーション成形によって環状ダイを用いて押出成形して得られたチューブ状成形物を含む。)、繊維状成形物(モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープルファイバー、トウ等を含む。)、布帛(織物、編物、不織布等を含む。)、圧縮成形物(ブロック状の成形品、シート状の成形品、異形の成形品、異種部材を一体成形した複合成形品等を含む。)、または射出成形物(異種部材を一体成形した複合成形品等を含む。)などがある。更に、成形物品としては、シート状成形物(厚みが薄いフィルム状成形物を含む。)やチューブ状成形物等を2次成形して得られた真空成形品、圧空成形品、ブロー成形品等を含むものである。
ジフェニルスルホンの含有量は、P&T−GC(加熱脱着サンプラー−ガスクロマトグラム)を用いて、試料量を約20mgとして測定した。
分析条件
<P&T装置>
加熱温度とパージ時間 330℃−15分
2次トラップパージ He 50ml/min
2次トラップ −40℃(ガラスウール吸着)
オーブン温度 200℃
2次吸着管加熱温度と時間 255℃−10秒
<GC装置>
カラム HP−5 30m×0.32mm i.d,df=0.25μm
温度 60℃(5min)−300℃(10min)、8℃/min上昇
キャリヤーガス He 1.85ml/min
スプリット比 1/22.6
注入口温度 310℃
検出器温度 310℃
シート状成形物の厚みは、ダイヤルゲージ(株式会社小野測器製DG−925)により測定した。
シート状成形物の体積固有抵抗及び表面抵抗は、三菱化学株式会社製ロレスターGP MCP−T610を使用して、JIS K7194に準拠して常温で測定した。プローブはURSを用い、印加電圧は直流500Vで、10秒値を用いた。
シート状成形物のグロス値は、JIS Z8741に準拠して、株式会社堀場製作所製ハンディ光沢計(グロスチェッカ)IG−320を用いて測定した。
フィッシュアイの個数は、半導電性樹脂組成物であるシート状成形物から切り出した試料(20cm×30cm=面積600cm2)について、フィッシュアイの個数を国立印刷局製造のきょう雑物測定図表における0.1mm2以下の大きさと対比して目視で観察することにより測定した。
シート状成形物を直径75mmの金属製サンプルロールに巻き付け、直径10mmの導電ゴムロールと回転接触させながら、直流1kVの電圧を24時間かけた。
ビクトレックス社製のPEEK(商品名450G)を凍結粉砕し、平均粒径約800μmのPEEK粉末を得た。
実施例1で示した再ペレット化操作を10回繰り返したこと、及び、押出機のベント孔のみに、窒素ガスを圧入したことを除いて、実施例1と同様の操作を行い、厚み80μmのシート状成形物を得た。
ペレット製造工程において、窒素ガスを流さないことを除いて、実施例1と同様にして、PEEK粉末100重量部とアセチレンブラック19重量部を、前記の45mm径の二軸押出機へ供給して、ペレット状のPEEK樹脂組成物を得た。次いで、実施例1と同様に、再ペレット化操作を15回繰り返し、ペレット状のPEEK樹脂組成物を得た。
実施例1で用いたPEEK粉末を、ソックスレー抽出器を使用してアセトンによる洗浄を、48℃で一昼夜(24時間)行った。洗浄済みのPEEK粉末を取り出し、一昼夜(24時間)自然乾燥したのち、真空乾燥機にてアセトンを除去し、PEEK粉末を調製した。
ペレット製造工程において、窒素ガスを流さないことを除いて、実施例1と同様にして、PEEK粉末100重量部とアセチレンブラック19重量部を配合して、前記の45mm径の二軸押出機へ供給し、ペレット状のPEEK樹脂組成を得た。
洗浄溶媒をエタノールとし、温度を70℃としたことを除いて、実施例3と同様の操作を行い、ペレット状のPEEK樹脂組成物を得、更に、厚み80μmのシート状成形物を得た。
実施例1で用いたPEEK粉末を、真空乾燥機内に置き、高減圧下で微量の窒素ガスを流しながら200℃にて8時間加熱処理を行った。
実施例1で用いたアセチレンブラック19重量部を、オイルファーネスブラックであるケッチェンブラック(ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製の商品名ケッチェンブラックEC300J)8重量部に代えたことを除いて、実施例1と同様にして操作を行い、厚み80mmのシート状成形物であるPEEK樹脂組成物を得た。
実施例4で得られたペレット状のPEEK樹脂組成物を、直径0.5mm×6ホールの紡糸ノズルを備えた単軸押出機へ供給したところ、半導電性であるモノフィラメントを安定的に成形することができた。
Claims (14)
- 前記導電性フィラーが、カーボンブラックである請求項1に記載の半導電性樹脂組成物。
- 前記カーボンブラックが、アセチレンブラック及びオイルファーネスブラックからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の半導電性樹脂組成物。
- 体積固有抵抗が、1.0×107〜1.0×1013Ωcmであり、かつ、表面抵抗が、1.0×109〜1.0×1014Ω/□である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物。
- グロス値が50〜80である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物。
- 0.1mm2以下のフィッシュアイが100個/600cm2以下である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物。
- 成形物品である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物。
- 前記成形物品が、シート状成形物、チューブ状成形物、繊維状成形物、布帛、圧縮成形物、または射出成形物である請求項7に記載の半導電性樹脂組成物。
- 以下の工程(i)〜(iii)を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
(i)ポリエーテルエーテルケトン100重量部と、導電性フィラー5〜25重量部とを含有する樹脂組成物を、押出機のベント孔から不活性ガスを圧入しながら、280〜410℃の温度で押出成形してペレット状樹脂組成物を製造するペレット製造工程;
(ii)ペレット製造工程で得られたペレット状樹脂組成物を、280〜410℃の温度で押出成形してペレット状樹脂組成物を製造する再ペレット操作を、1〜20回行う再ペレット化工程;及び
(iii)所望により、ペレット状樹脂組成物を成形物品とする成形工程。 - 以下の工程(I)〜(III)を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
(I)ポリエーテルエーテルケトンを、有機溶剤により、常温〜該溶剤の沸点の範囲の温度で、1〜72時間洗浄する、溶剤洗浄工程;
(II)溶剤洗浄工程で得られたポリエーテルエーテルケトン100重量部と、導電性フィラー5〜25重量部とを含有する樹脂組成物を、押出機のベント孔から不活性ガスを圧入しながら、280〜410℃の温度で押出成形してペレット状樹脂組成物を製造するペレット製造工程;及び
(III)所望により、ペレット状樹脂組成物を成形物品とする成形工程。 - 前記(II)のペレット製造工程に続いて、以下の(II’)の工程を含む請求項10に記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
(II’)ペレット製造工程で得られたペレット状樹脂組成物を、280〜410℃の温度で押出成形してペレット状樹脂組成物を製造する再ペレット操作を、1〜20回行う再ペレット化工程。 - 以下の工程(A)〜(C)を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
(A)ポリエーテルエーテルケトンを、ポリエーテルエーテルケトンのガラス転移点以上融点未満の範囲の温度で、1〜72時間、加熱処理を行う加熱浄化工程;
(B)加熱浄化工程で得られたポリエーテルエーテルケトン100重量部と、導電性フィラー5〜25重量部とを含有する樹脂組成物を、押出機のベント孔から不活性ガスを圧入しながら、280〜410℃の温度で押出成形してペレット状樹脂組成物を製造するペレット製造工程;及び
(C)所望により、ペレット状樹脂組成物を成形物品とする成形工程。 - 前記(B)のペレット製造工程に続いて、以下の(B’)の工程を含む請求項12に記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
(B’)ペレット製造工程で得られたペレット状樹脂組成物を、280〜410℃の温度で押出成形してペレット状樹脂組成物を製造する再ペレット操作を、1〜20回行う再ペレット化工程。 - 前記ペレット製造工程において、更に押出機の供給孔から不活性ガスを圧入する請求項9乃至13のいずれか1項に記載の半導電性樹脂組成物の製造方法。
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