JP3687536B2 - 成形部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性,寸法精度,耐屈曲性及び引張破断伸などの物性に優れた成形部材に関する。詳しくは、OA機器の構成部品,機能部材、自動車の外装部品及び内装材、家電機器の構成部材、フィルム及びこれらを成形するために用いる樹脂組成物ペレットなどをはじめ、エンジニアリングプラスチックに用いられる全ての用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からOA機器の構成部品,機能部材、自動車の外装部品,内装材、家電機器の構成部材などには各種熱可塑性樹脂が用いられてきた。
【0003】
これら熱可塑性樹脂の要求性能としては、弾性率が高く、耐屈曲性に優れ、耐薬品性に優れ、寸法精度が高く、また、用途によっては透明であることなどが挙げられる。
【0004】
また、一般的な知見として、熱可塑性樹脂は結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂に大別でき、結晶性熱可塑性樹脂は耐屈曲性や耐薬品性に優れるが成形収縮率が大きいので寸法安定性が悪く透明性を有さず、逆に非晶性熱可塑性樹脂は成形寸法安定性及び透明性に優れるが耐屈曲性が悪く耐薬品性が劣るなどの問題点を有しているとされてきた。
【0005】
しかしながら、多くの場合、耐屈曲性や耐薬品性及び成形寸法安定性全てに優れることが要求されている。
【0006】
これらの要求を満たすために、これまで結晶性熱可塑性樹脂と非晶性熱可塑性樹脂とのアロイ化による物性改良の検討が種々なされ、一定の成果があげられてきた。
【0007】
これらの研究では、例えば熱可塑性エステル系樹脂の分野においてはエステル交換反応(共重合化)を促進させることで結晶性エステル系樹脂と非晶性エステル系樹脂を微分散化できることが報告されている。しかしながら、これまでの技術ではエステル交換(共重合化)を促進させると、解重合による低分子量体発生が成形部材の発泡を伴ったり、分子鎖切断が進行して分子量低下による成形部材の機械物性低下(引張破断伸率が小さくなるなど)を伴う等の理由により事実上実用化されるには至っていなかった。
【0008】
実際にはエステル交換反応を抑制することで物性低下を防いだ成形部材が実用品として用いられてきた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐屈曲性や耐薬品性及び成形寸法安定性に優れ、溶融混合時の反応による物性劣化を抑えた成形部材を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の成形部材は、水酸基、カルボン酸基及びエステル結合の少なくとも1つを有する結晶性樹脂、水酸基、カルボン酸基及びエステル結合の少なくとも1つを有する非晶性樹脂並びに重合触媒及びキレーターと導電性物質を加熱混合し、成形してなり、該結晶性樹脂がPAT(ポリアルキレンテレフタレート)であり、該非晶性樹脂がPC(ポリカーボネート)、PAr(ポリアリレート)及びPMMA(ポリメチルメタクリレート)から選ばれる樹脂であり、該導電性物質がカーボンブラックであり、その含有量が3〜30重量%であり、重合触媒の量が全樹脂に対して10〜500ppmであり、キレーターの量が樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明者らは上記目的のため鋭意検討した結果、結晶性樹脂と非晶性樹脂と重合触媒を加熱混練した成形部材は、エステル交換反応などの反応を抑制するこれまでの手法で得た成形部材よりも、耐屈曲性などの物性が優れること、及び条件によっては透明性も有することを見いだし、本発明に到達した。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
【0013】
(結晶性樹脂)
本発明に用いる結晶性樹脂は、水酸基、カルボン酸基及びエステル結合の少なくとも1つを有するものであり、結晶化度が10%以上100%以下のPAT(ポリアルキレンテレフタレート)を用いる。
【0014】
PATのなかでもPBT(ポリブチレンテレフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)やPEN(ポリエチレンナフタレート)はより好ましく、PBTは結晶加速度が早いので成形条件による結晶化度の変化が少なく、一般に30%前後と結晶化度が安定しているので特に好ましい。
【0015】
また、本発明に用いる結晶性樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で共重合成分を導入することもできる。具体的な例としてエステル結合を主鎖とし、ポリメチレングリコールなどエステル結合を導入したものなどをあげることができる。
【0016】
本発明に用いる結晶性樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子量10,000〜100,000など一般的な分子量の樹脂を用いることができるが、引張破断伸など機械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。具体的には20,000以上が好ましく、25,000以上であればさらに好ましく、30,000以上であれば特に好ましい。
【0017】
(非晶性樹脂)
本発明に用いる非晶性樹脂は、エステル結合により高分子主鎖をなし、結晶化度が0%以上、10%未満の樹脂であり、PC(ポリカーボネート)やPAr(ポリアリレート)やPMMA(ポリメチルメタクリレート)を用いる。なかでもPCは特に好適に用いることができる。
【0019】
また、本発明に用いる非晶性樹脂は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で共重合成分を導入することができる。具体的な例としてエステル結合を主鎖とし、ポリメチレングリコールなどエステル結合を導入したものなどをあげることができる。
【0020】
本発明に用いる非晶性樹脂の分子量に特に制限はなく、例えば、重量平均分子量10,000〜100,000など一般的な分子量の樹脂を用いることができるが、引張破断伸など機械物性の高い要求がある場合には高分子量のものが好ましい。具体的には20,000以上が好ましく、25,000以上であればさらに好ましく、30,000以上であれば特に好ましい。
【0021】
(結晶性樹脂と非晶性樹脂の重量比)
本発明に用いる結晶性樹脂と非晶性樹脂の重量比に特に制限はない。ただし、一般に結晶性樹脂は耐薬品性,耐屈曲性に優れ、非晶性樹脂は成形寸法安定性に優れるので、使用目的に応じ、任意の比率を設定することができるが、なかでも、結晶性樹脂/非晶性樹脂の重量比が1/99〜99/1が好ましく、40/60〜97/3がより好ましく、60/40〜95/5がさらに好ましく、70/30〜90/10が特に好ましい。
【0022】
特に好ましい比率として結晶性樹脂の比率を多く選択しているのは、非晶性樹脂は少しの配合で十分に成形寸法安定性の改良効果が期待できること、非晶性樹脂のわずかな配合過多で塗装時の溶剤などの耐薬品性悪化の影響が顕著に出ることがあるなどの理由による。
【0023】
(結晶性樹脂と非晶性樹脂の粘度差)
両樹脂の粘度差が大きすぎると、製造条件を調整しても良好な分散が得られず、均一分散に至ることができなくなることがあるので、粘度差は小さい方が好ましい。
【0024】
具体的には両樹脂を同一条件でMFR測定し、値が1/20〜20/1程度の範囲に収まることが好ましく、1/10〜10/1の範囲となればさらに好ましい。
【0025】
測定方法としてはJIS K−7210に準拠し、測定温度条件は樹脂の加工温度に近い条件を選択することが好ましい。
【0026】
例えばPBTとPCを選択した場合、加工温度となる260℃を測定温度として設定し、両樹脂の粘度差を比較することが好ましい。また、荷重としては例えば2.16kgを選択することで好適に測定できる。
【0027】
(重合触媒)
重合触媒は、本発明に用いる結晶性樹脂及び非晶性樹脂を重合する能力を有していれば特に制限はない。
【0028】
有機酸と水酸基を縮合できる能力を有すれば特に制限はなく、ポリエステル系重合触媒を用いることができる。
【0029】
重合触媒のなかでもTi系重合触媒は好ましく、アルキルチタネートなどが好適に用いることができる。
【0030】
アルキルチタネートの中でもテトラブチルチタネート又はテトラキス(2−エチルヘキシル)オルソチタネートが好ましく、これらはTYZOR TOT(DuPont製)やTYZOR TBT(DuPont製)として市販品を容易に入手することができる。
【0031】
また、Ti系重合触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属含有化合物又は亜鉛含有化合物と組み合わせることで、より有効に作用するので好ましく、なかでもMg含有化合物を重合触媒として有することは特に好ましい。
【0032】
Mgを含む化合物として特に制限はないが有機酸Mg塩が特に好ましく、酢酸Mgが特に好ましい。
【0033】
重合触媒の含有量としては、少なすぎると有効に作用しないことがあるので、ある程度高い方が好ましく、具体的には重合触媒中の金属分の質量が全樹脂に対し10ppm以上とする。一方、エステル系樹脂は重金属の多量存在下により、解重合を起こすことがあると知られているので、ある程度は小さい方が好ましく、500ppm以下とする
【0034】
(キレーター)
本発明では重合触媒の活性が高すぎると、樹脂の解重合を促進して分子量低下による機械的物性低下,低分子量体発生に伴う発泡などが問題になることがある。
【0035】
本発明では、重合触媒中の金属にキレートする能力を有するキレーターが存在すると、解重合を抑制することができる。
【0036】
キレーターの種類としては特に制限はなく、公知のキレーターを用いることができる。
【0037】
例としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル、リン酸塩、ヒドラジン類を挙げることができ、これらは例えば、イルガホス168(日本チバガイギー(株)製)、PEP36(旭電化工業(株)製)、PEPQ(クラリアントジャパン(株)製)の亜リン酸エステル、IRGANOX MD1024(日本チバガイギー(株)製)、CDA−6(旭電化工業(株)製)のヒドラジン類などとして容易に市場から入手することができる。
【0038】
これらのキレーターの添加量は、本発明では成形条件の適正化により解重合及び低分子量体発生を抑制することもできるので、キレーター添加量0重量部とすることもできるが、解重合の抑制が必要な場合には0.001重量部以上添加することが好ましく、より効果を得るには0.01重量部以上添加することが好ましい。
【0039】
キレーターの量が多すぎると重合触媒が活性を失い良好な物性の成形部材を得られないことがあるので添加過多にはならない方が好ましく、樹脂100重量部に対し、10重量部以下が好ましく、5重量部以下であるとさらに好ましい。
【0040】
一般的にはキレーターの使い方としては0.1重量部以下の少量添加で使うことが好ましいとされるが、本発明でキレーターを使う場合には、特に好ましい使い方の例としては、重合触媒の添加量を50〜500ppmと多く添加し、キレーターも0.1〜3重量部、好ましくは0.3〜1重量部と常識より高い量を用いて、さらに成形部材を得るための成形条件(温度,滞留時間など)を適正化すると、結晶性樹脂と非晶性樹脂の化学結合生成及び分子量UPが促進しつつ、解重合を抑制でき、従来に無い物性の優れた成形部材を得ることができる。
【0041】
(導電性物質)
本発明において電気抵抗値を調整するために導電性物質を配合する。特に画像形成装置に用いられるシームレスベルトやエンドレスベルト等においては電気的にトナーや紙等を吸着、転写させるため、表面抵抗値や体積抵抗値を用途に合わせて調整する必要がある。
【0042】
配合する導電性物質としては、分散性に優れているカーボンブラックを用いる。
【0044】
カーボンブラックの種類としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどが好適に使用でき、この中でも不純物としての官能基が少なくカーボン凝集による外観不良を発生しにくいアセチレンブラックが特に好適に使用できる。さらに一次粒子径が10〜100nm、比表面積10〜200m/g,pH値3〜11のものがより好ましい。
【0045】
また、使用するカーボンブラックは1種類であっても2種類であっても良い。さらには、カーボンブラックには樹脂を被覆したカーボンブラックや、黒鉛化処理したカーボンブラックや、酸性処理したカーボンブラック等の公知の後処理工程を施したカーボンブラックを用いても何ら問題はない。
【0046】
また、導電性物質の分散性を向上させる目的でシラン系、アルミネート系、チタネート系、又はジルコネート系等のカップリング剤で処理したカーボンブラックを用いても良い。
【0047】
このようなカーボンブラックの配合量はベルト中の含有量で3〜30重量%とする。上記範囲内で特に好ましい範囲は、10〜25重量%である。上記範囲を超えると、製品の外観が悪くなり、また、材料強度が低下して好ましくない。
【0048】
(付加的配合材;任意成分)
本発明の成形部材には、各種目的に応じて任意の配合成分を配合することができる。
【0049】
具体的には、イルガホス168,イルガノックス1010,リン系酸化防止剤などの酸化防止剤、熱安定剤、各種可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤等の各種添加剤を添加することができる。
【0050】
更に、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、第2,第3成分として各種熱可塑性樹脂、各種エラストマー熱硬化性樹脂、フィラー等の配合材を配合することができる。
【0051】
熱可塑性樹脂としてはポリプロピレン、ポリエチレン(高密度,中密度,低密度,直鎖状低密度)、プロピレンエチレンブロック又はランダム共重合体、ゴム又はラテックス成分、例えばエチレン・プロピレン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエン・スチレンスチレンブロック共重合体又は、その水素添加誘導体、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、液晶性ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリビスアミドトリアゾール、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、アクリル、ポリフッ素化ビニリデン、ポリフッ素化ビニル、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレンテトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、アクリル酸アルキルエステル共重合体、ポリエステルエステル共重合体、ポリエーテルエステル共重合体、ポリエーテルアミド共重合体、ポリウレタン共重合体等の1種又はこれらの混合物からなるものが使用できる。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の1種又はこれらの混合物からなるものが使用できる。また、各種フィラーとしては、例えば炭酸カルシウム(重質、軽質)、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、ウオラストナイト、けいそう土、ガラス繊維、ガラスビーズ、ベントナイト、アスベスト、中空ガラス玉、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化チタン、炭素繊維、アルミニウム繊維、スチレンスチール繊維、黄銅繊維、アルミニウム粉末、木粉、もみ殻、金属粉、導電性金属酸化物、有機金属化合物、有機金属塩等のフィラーの他、添加剤として酸化防止剤(フェノール系、硫黄系、リン酸エステル系など)、滑剤、有機・無機の各種顔料、紫外線防止剤、帯電防止剤、分散剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、銅害防止剤、難燃剤、架橋剤、流れ性改良剤等をあげることができる。
【0052】
(加熱混練)
本発明においては、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練して樹脂組成物とした後に成形部材を成形することも、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練してそのまま成形部材を得ることもできる。
【0053】
この場合、樹脂組成物を得る段階での加熱混練か樹脂組成物を成形部材に成形する段階での加熱混練いずれかで結晶性樹脂と非晶性樹脂の結合が生成できるように条件を調節すれば良い。いずれの場合でも、加熱温度は溶融状態でないと十分な分散ができないので、ある程度は高い方が好ましく、具体的には結晶性樹脂の融点を目安に用いて、結晶性樹脂の融点以上とすることが好ましく、融点+10℃以上であるとさらに好ましい。また、加熱温度が高すぎると熱分解を引き起こして物性劣化を招くことがあるのである程度は低い方が好ましく、具体的には結晶性樹脂の融点を目安に用いて、結晶性樹脂の融点+80℃以下が好ましく、融点+60℃以下であることがさらに好ましい。
【0054】
また、加熱混練前には原料の乾燥をすることによりより良い物性の成形部材を得られることがあるので乾燥は施しておいた方が好ましい。
【0055】
また、場合によっては、加熱混練して樹脂組成物とした後に、融点以下で熱処理を施してエステル結合を生成させた後、成形部材に成形することもできる。
【0056】
本発明においては重合触媒が結晶性樹脂及び非晶性樹脂の反応を促して物性の優れた成形部材を得られると考えられる。促される反応は加熱混練時の温度、及び熱を受ける時間が重要となるので、得られる成形部材の分散形態を把握しつつ、加熱混練条件を設定することが必要になる。この反応時に副生成物として低分子量体が発生し、系中から除去できないとこれが分子量低下、成形品発泡を引き起こすので注意が必要である。一方、これらの製品発泡などが起きる直前がもっとも良好な反応状態であると考えられるので、例えば、滞留時間を種々検討し、発泡の生じる滞留時間を見極め、その時の時間より少し短くなるように滞留時間を設定すると、もっとも良好な加熱混練条件が得られるので好ましい。
【0057】
加熱混練の手段であるが、これにも特に制限はなく公知の技術を用いることができる。例えば、まず結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練して樹脂組成物とするのであれば、一軸押出機、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、プラストグラフ、ニーダーなどを用いることができる。また、こうして得た樹脂組成物から成形部材を得る場合でも公知の技術を用いることができる。例えば射出成形機,押し出し成形機などである。
【0058】
(結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合)
本発明においては、結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合を形成することにより、両樹脂間の親和性UP、形態の微分散化を促し、結晶性樹脂の高耐屈曲性、非晶性樹脂の寸法安定性、(条件によっては透明性)を併せ持つ成形部材を得ることができる。
【0059】
化学結合の存在比率としては特に制限は無いが、基本的には多い方が好ましく、具体的には結晶性樹脂の分子鎖と非晶性樹脂の分子鎖間の化学結合1molあたりの、結晶性樹脂と非晶性樹脂合計質量が、1,000,000g以下となることが好ましく、300,000g以下となることがさらに好ましく、100,000g以下となると特に好ましい。
【0060】
化学結合の量の測定方法に特に制限はないが、例えばNMRにより測定することができる。
【0061】
結晶性樹脂としてPBT、非晶性樹脂としてPCを用いた場合の測定例を次に示す。
【0062】
Figure 0003687536
この測定により、図1,2に示すチャートを得た。なお、図2は図1のII部分を拡大したものである。
【0063】
テレフタル酸(TPA)のベンゼン環水素はカルボン酸がブタンジオールと結合している場合とビスフェノールA(BPA)とで化学シフトが異なる。
【0064】
一般にPBT分子中のTPAベンゼン環水素(d)は、化1の通り4ヶとも等価であり、化学シフト8.07にシングレットピークを示す。
【0065】
【化1】
Figure 0003687536
【0066】
一方、化2の如くPCのBPAと結合したPBTのTPA中のベンゼン環水素は、化学シフトが変化し、水素(b)は8.25にダブレット,(c)は8.13にダブレットピークを示す。
【0067】
【化2】
Figure 0003687536
【0068】
(d):{(b)+(c)}の面積比により、PBT分子中のTPAと、PCと結合しているTPAの比を求めることができる。
【0069】
本例では面積比は(d):{(b)+(c)}=100:{0.4654+0.5635}≒99.01:0.99となるので、PBT構成単位100molあたり、0.99molのTPA(PBT由来)−BPA(PC由来)結合を有していることが解る。また、本樹脂組成物中には同量のブタンジオール(PBT由来)−炭素(PC)結合が存在することが容易に推測できるので、合計でPBT構成単位100molあたり1.98molのPBT−PC結合が存在することが解る。
【0070】
化3の通り、PBT構成単位(ブタンジオール+TPA)の式量は220なので、PBT22000(220×100mol)gあたり、1.98molのPBT−PC結合が存在する。
【0071】
PBT−PC結合1molあたりのPBTの質量は約11000(22000/1.98)と計算できる。
【0072】
本例ではPBTとPCの重量比が7/3なので、PBT−PC結合1molあたりの樹脂分(PBT質量+PC質量)は16000g(11000/0.7)と求めることができる。
【0073】
【化3】
Figure 0003687536
【0074】
(分子量)
本発明においては、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を加熱混練し、結晶性樹脂の分子鎖と、非晶性樹脂の分子鎖間に化学結合を生成し、且つ、樹脂組成物としての総合の分子量を維持あるいは増加させることで、得られる成形部材の物性向上が図れると考えられるので、分子量は高い方が好ましい。
【0075】
分子量の測定方法であるが、本発明のように共重合体が存在する場合には分子量の真値を求めることが難しい。
【0076】
そこで本発明では全ての樹脂をGPCにより同一条件で測定し、PS換算重量平均分子量として得た値を共通の代表値として用いることとした。
【0077】
測定条件としては、試料20mgを0.5mlの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールと0.2mlのクロロホルムで一晩溶解し、更に移動相の溶媒25mlを加え、0.22μmのフィルターにて濾過し、SEC測定溶液とした。移動相を加えてから測定終了まで12時間以内に行った。
【0078】
SEC測定条件
溶媒 クロロホルム/酢酸:99.5:0.5(vol/vol)
流速 1.0ml/分
注入量 0.02ml
カラム AD806M/S 2本(昭和電工社製)
カラム温度 30℃
検出器 UV 254nm
分子量500(A−500)から2,890,000(F−288)までの分子量の異なる単分散標準ポリスチレン(東ソー社製)12試料用い、較正曲線を作成し、ポリスチレン換算の分子量を計算した。
【0079】
本手法でした、結晶性樹脂と、非晶性樹脂と、重合触媒を加熱混練した後に得られる樹脂組成物のPS換算重量平均分子量(Mwとする)の値としては、具体的には、結晶性樹脂の配合比率をX重量部,ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量をMw、非晶性樹脂の配合比率をY重量部,PS換算重量平均分子量をMwとして、
【0080】
【数2】
Figure 0003687536
【0081】
であることが好ましく、
【0082】
【数3】
Figure 0003687536
【0083】
であるとさらに好ましく、
【0084】
【数4】
Figure 0003687536
【0085】
であると、十分に高い物性を得られるので特に好ましい。
【0086】
また、本発明においてはMwが加熱混合によりMwとMwの算術平均値よりも高くなっていることが重要で、初めから高いMwやMwの樹脂を用いても、加熱混合時に分子量低下していては最終的なMwが高くても良好な物性は期待できないと考えられるので、Mwの絶対値に特に制限はないが、それでも総合的観点からは高い方が好ましく、具体的にはPS換算重量平均分子量で130,000以上が好ましく、140,000以上であるとさらに好ましく、150,000以上であると特に好ましい。
【0087】
なお、重量平均分子量真値とPS換算重量平均分子量の相関の例を挙げると、重量平均分子量40,000のPBTを上記手法で測定するとPS換算重量平均分子量122,000の値が得られ、重量平均分子量28,000のPCを上記手法で測定するとPS換算重量平均分子量64,000の値が得られることがわかっている。
【0088】
(分散形態)
一般に2種類の熱可塑性樹脂を溶融混合しても完全には混じり合わず、流動構造をとることが知られている。両熱可塑性樹脂の体積分率に大きな差がある場合は体積分率の大きい方が海で体積分率が小さい方が島の構造をとりやすく、体積分率の差が小さい場合は溶融粘度差が海島構造に影響をあたえ、溶融粘度の小さい方が海に、大きい方が島になりやすいと言われている。
【0089】
一般的な溶融混合では分散粒径が100nm程度にまでしかならないが、本発明においては条件を適正化することにより分散粒径を数nm以下にまで微細化することが可能で、これにより事実上成形部材を透明化することができる。
【0090】
一般にPBTなどの結晶性樹脂を含む成形部材は透明性を有さないことで知られるが、本発明による手法を用いれば、驚くべきことに透明な成形部材を得ることもできるのである。
【0091】
分散状態の確認手法に特に制限はなく、RuOで染色後、超薄切片を作成しTEMで観察するなど公知の方法を用いることができる。
【0092】
(熱処理)
得られた成形部材を熱処理することにより、より物性の向上した成形部材とすることが可能となる。
【0093】
熱処理条件は用いる原料樹脂にもよるが、通常60〜200℃の温度、好ましくは70〜120℃の温度で5〜60分、好ましくは10〜30分程度である。
【0094】
特に後述するシームレスベルトとした場合等耐折回数や引張弾性率の向上が見られる。
【0095】
(本発明の成形部材の用途)
本発明の成形部材の用途に特に制限はなく、OA機器の構成部品,機能部材、自動車の外装部品,内装材、家電機器の構成部材、汎用フィルムなどとして幅広く用いることができる。
【0096】
なかでも寸法精度,耐屈曲性,引張破断伸など要求物性の厳しいOA機器分野、特に機能部材には好適に用いることができ、例えばシームレスベルト形状として、電子写真式複写機、レーザービームプリンター、ファクシミリ機等の画像形成装置に中間転写ベルト,搬送転写ベルト,感光体ベルトなどとして用いると、割れ,伸びなど不具合が少ないので好適である。
【0097】
(シームレスベルト)
本発明の成形部材の好適な使用例の一例としてシームレスベルトをあげることができる。
【0098】
シームレスベルトを得るには、結晶性樹脂、非晶性樹脂、重合触媒を例えば二軸混練押出機により混合し、ペレット化した後にシームレスベルトとなるように成形する手法が特に好ましく用いられる。
【0099】
成形方法については、特に限定されるものではなく、連続溶融押出成形法、射出成形法、ブロー成形法、あるいはインフレーション成形法など公知の方法を採用して得ることができるが、特に望ましいのは、連続溶融押出成形法である。特に押し出したチューブの内径を高精度で制御可能な下方押出方式の内部冷却マンドレル方式あるいはバキュームサイジング方式が好ましく、内部冷却マンドレル方式が最も好ましい。
【0100】
また、この成形時の温度,滞留時間適正化により、より良好な物性の成形部材を得ることができるので各配合にあわせて条件を調整することが好ましい。
【0101】
(シームレスベルトの物性)
本発明によれば、以下のような物性を有するシームレスベルトを得ることができる。
【0102】
・物性;耐折回数
本発明に用いるシームレスベルトを例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合には、耐屈曲性が悪いとクラックが発生して画像が得られなくなるので耐屈曲性の良好なシームレスベルトが好ましい。
【0103】
耐屈曲性の程度は、JIS P−8115の耐折回数の測定方法に従うことで定量的に評価でき、耐折回数の大きいシームレスベルトほどクラックが入りにくく、耐屈曲性に優れていると判断することができる。
【0104】
具体的な数値としては、500回以上あれば一応シームレスベルトとして機能を発揮して使用することができるが、実用的には5000回以上が好ましく、10000回以上であれば更に好ましく、30000回以上であれば、特にクラックが発生しにくくなるので特に好ましい。
【0105】
・引張弾性率
シームレスベルトの引張弾性率が低いと、例えば中間転写ベルトとして画像形成装置に用いる場合に張力により少し伸びが発生してしまい、色ズレなど不具合を発生することがあるので引張弾性率が高い方が好ましく、具体的には1,000MPa以上が好ましく、1,500MPa以上だとさらに好ましく、2,000MPa以上だとさらに好ましく、2,500MPa以上であれば色ズレなどの不具合を大幅に抑えることができるので特に好ましい。
【0106】
一般に柔らかいプラスチックは耐折回数が高いが引張弾性率が低くなりやすく、逆に硬いプラスチックは高い引張弾性率を得られるが脆くなりやすく耐折回数は低いものしか得られないことが多い。本発明ではPBTやPCの有する固有の高い引張弾性率の特性を維持したまま、高い耐折回数を得ることができる意味で有用であると言える。
【0107】
・物性;表面抵抗率
本発明に用いるシームレスベルトは必要に応じて導電性フィラーあるいは導電性を発現する物質を配合することにより導電性を得ることができる。
【0108】
抵抗領域は目的により異なるが、表面抵抗率1〜1×1016Ωの範囲から選定することが好ましい。
【0109】
更に好ましい範囲は用途により異なるが、例えば感光体ベルトとして用いる場合には必要に応じて外表面の電荷を内表面に逃がせるように1〜1×10Ωと低い表面抵抗率が好ましく、中間転写ベルトとして用いる場合には帯電−転写の容易にできる1×10〜1×1013Ωが好ましく、搬送転写ベルトとして用いる場合には帯電しやすく高電圧でも破損しにくい1×1010〜1×1016Ωと高い領域が好ましい。
【0110】
また、シームレスベルト1本中の表面抵抗率の分布は狭い方が好ましく、それぞれの好ましい表面抵抗率領域において、1本中の最大値と最小値の差が2桁以内であること(最大値が最小値の100倍以内であること)が好ましい。
【0111】
フィルムの表面抵抗率は例えばダイヤインスツルメント(株)製ハイレスタ,ロレスタやアドバンテスト(株)製R8340Aなどにより容易に測定することができる。
【0112】
・シームレスベルトの厚み
シームレスベルトの厚みは50〜1000μmが好ましく、80〜500μmが更に好ましく、100〜200μmであれば特に好ましい。
【0113】
・シームレスベルトの用途
このシームレスベルトの用途に特に制限はないが、例えば電子写真の中間転写ベルト,搬送転写ベルト,感光体ベルトなどとして好適に用いることができる。
【0114】
【実施例】
本発明を実施例、比較例を用いて、より具体的に説明する。
【0115】
Figure 0003687536
(加熱混練)
各原料を、二軸混練押出機(IKG(株)製 PMT32)を用いて材料ペレット化した。
【0116】
(シームレスベルトの成形方法)
この材料ペレットを乾燥し、直径φ180mm、リップ幅1mmの6条スパイラル型環状ダイ付き40mmφの押出機により、環状ダイ下方に溶融チューブ状態で押し出し、押し出した溶融チューブを、環状ダイと同一軸線上に支持棒を介して装着した外径170mmの冷却マンドレルの外表面に接しめて冷却固化させつつ、次に、シームレスベルトの中に設置されている中子と外側に設置されているロールにより、シームレスベルトを円筒形に保持した状態で引き取りつつ340mm長の長さで輪切りにして所定の厚み、各表記載の滞留時間となるよう押出量、引き取り速度を調整し、直径169mmの樹脂製シームレスベルトとした。なお、厚みは140μmを目標とし、±14μmを許容範囲とした。
【0117】
成形温度,滞留時間などの条件は各表1又は2の通りとした。
【0118】
(評価)
評価は必要に応じ、シームレスベルトを必要な大きさに切り開いて実施した。
・耐折回数
JISP−8115に準拠し、試験片を幅15mm、長さ100mmの大きさに切断し、MIT試験機にて折り曲げ速度175回/分、回転角度135°左右、引張り荷重1.5kgfの条件にて破壊回数を測定した。
【0119】
・引張り弾性率
ISO R1184−1970に準拠し、試験片を幅15mm、長さ150mmに切断し、引張り速度1mm/min、つかみ具間距離を100mmとした。
【0120】
・表面抵抗率 Ω
表面抵抗率は測定器により好適に測定できる領域が異なるので以下のように使い分けた。
【0121】
表面抵抗率
1〜1×10Ωとなるサンプル ダイヤインスツルメント(株)製 ロレスタを使用し、20mmピッチにてベルト円周方向を測定した。
【0122】
10〜1×1013Ωとなるサンプル ダイヤインスツルメント(株)製 ハイレスタ(HA端子)を使用し、500V、10秒の条件にて20mmピッチにてベルト円周方向を測定した。
【0123】
1013〜1×1016Ωとなるサンプル アドバンテスト(株) 微小電流測定器R8340A(JIS電極)を使用し、500V、10秒の条件にて100mmピッチにてベルト円周方向を測定した。
【0124】
測定時間 10秒値
・シームレスベルトとしての耐久性の評価
得られたシームレスベルトを中間転写ベルト、搬送転写ベルト、或いは感光体ベルトとして画像形成装置に搭載し、連続で画像出力をし、何枚出力した段階でシームレスベルトにクラックが発生するかを評価した。
【0125】
〔実施例1〕
PBT,PC,テトラブチルチタネート,酢酸マグネシウム,熱安定剤を事前に130℃程度で予備乾燥し、その後に加熱混練し、材料ペレットを得た。
【0126】
このときの加熱混練条件は、樹脂温度と混練機内での滞留時間を調節し、混練機内での反応は抑制するようにした。
【0127】
この材料ペレットを押出成形し、透明なフィルムを得ることができた。
【0128】
なお、この押出成形機内で反応が好ましい程度に促進し、透明な成形部材が得られるように、押出成形条件は、樹脂温度と滞留時間を調節した。
【0129】
表1にフィルムの形態、特性、外観を示す。
【0130】
更に得られたフィルムを80℃で10分間熱処理したところ引張弾性率が5%向上した。
【0131】
〔比較例1〕
重合触媒を削除した以外は実施例1と同じ条件で得た成形部材。
【0132】
PBTは不純物としての樹脂中の金属分の影響を除去するために一度溶剤に溶解してカラムを用いて濾過し、しかる後に溶剤を除去したものを用いた。
【0133】
実施例1と異なり、押出成形条件(成形温度,滞留時間)をいくら調整しても透明な成形部材は得られなかった。
【0134】
表1にフィルムの形態、特性、外観を示す。
【0135】
【表1】
Figure 0003687536
【0136】
〔実施例2〕
PBT,PC,テトラブチルチタネート,酢酸マグネシウム,熱安定剤,カーボンブラックを事前に予備乾燥し、その後に加熱混練し、材料ペレットを得た。
【0137】
その後、この材料ペレットを押出成形機にてシームレスベルトに成形した。
【0138】
表2の通り、得られた成形品は耐折回数が58,000回と著しく高く引張弾性率も高く良好な物性であった。
【0139】
表面抵抗率は1×1010Ωで体積抵抗率は1×1010Ω・cmと中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ良好に画像を得ることができた。また、この状態で10万枚画像出力してもクラックが発生することは無かった。
【0140】
本実施例では成形時の加熱混練で、適切な滞留時間と成形温度を設定することで、良好な物性の成形品を得ることができたと考えられる。
【0141】
更に得られたシームレスベルトを80℃で20分間熱処理したものは引張弾性率が8%向上した。
【0142】
〔実施例3〕
PBTとPCの重量比を変えた点、成形時に滞留時間を長くした点以外は実施例1と同じ条件でシームレスベルトを得た。この実施例3によっても、表2の通り実施例1同様良好な物性を得た。
【0143】
滞留時間を長くしたのは、PBT/PC比率を変えたことで系の適切な反応条件のポイントが変化したためと考えられる。
【0144】
更に得られたシームレスベルトを80℃で10分間熱処理したものは引張弾性率が5%向上した。
【0145】
〔実施例4〕
カーボン濃度を低くして表面抵抗率の高い、シームレスベルトを得た。表2の通り、本実施例4でも均一分散状態を得、物性が良好であった。このシームレスベルトを搬送転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ、良好な画像を得ることができた。
【0146】
〔実施例5〕
カーボン濃度を高くして表面抵抗率の低いシームレスベルトを得た。表2の通り、本実施例5でも均一分散状態を得、物性が良好であった。このシームレスベルトを感光体ベルトとして用い、その表面に感光層を設けて画像形成装置に搭載したところ、良好な画像を得ることができた。
【0147】
更に得られたシームレスベルトを80℃で10分間熱処理したものは引張弾性率が7%向上した。
【0148】
〔比較例2〕
重合触媒を削除した以外は実施例2と同じ条件でシームレスベルトを製造した。
【0149】
PBTは不純物としての樹脂中の金属分の影響を除去するために一度溶剤に溶解してカラムを用いて濾過し、しかる後に溶剤を除去したものを用いた。
【0150】
引張弾性率は実施例1とほぼ同等であったが、耐折回数が低かった。また形態観察したところ、PCが島となる2相分離構造をとっていることが分かった。中間転写ベルトとして画像形成装置に搭載したところ良好に画像を得ることができたが、この状態で画像出力を続けたところ、8000枚出力した時点でクラックが発生した。
【0151】
【表2】
Figure 0003687536
【0152】
【発明の効果】
以上の実施例及び比較例からも明らかな通り、本発明によると、耐屈曲性や耐薬品性及び成形寸法安定性に優れ、溶融混合時の反応による物性劣化を抑えた成形部材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】PBTとPCとの混合反応物のNMRチャートである。
【図2】図1のII部分の拡大図である。

Claims (10)

  1. 水酸基、カルボン酸基及びエステル結合の少なくとも1つを有する結晶性樹脂、水酸基、カルボン酸基及びエステル結合の少なくとも1つを有する非晶性樹脂並びに重合触媒及びキレーターと導電性物質を加熱混合し、成形してなり、
    該結晶性樹脂がPAT(ポリアルキレンテレフタレート)であり、
    該非晶性樹脂がPC(ポリカーボネート)、PAr(ポリアリレート)及びPMMA(ポリメチルメタクリレート)から選ばれる樹脂であり、
    該導電性物質がカーボンブラックであり、その含有量が3〜30重量%であり、
    重合触媒の量が全樹脂に対して10〜500ppmであり、
    キレーターの量が樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部であることを特徴とする成形部材。
  2. 該成形部材において、結晶性樹脂の分子鎖と、非晶性樹脂の分子鎖間に化学結合が存在することを特徴とする請求項1に記載の成形部材。
  3. 成分の重量比が下記条件を満たしていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形部材。
    結晶性樹脂/非晶性樹脂の重量比が、1/99〜99/1
    重合触媒中の金属が(結晶性樹脂+非晶性樹脂)の重量に対し、1ppm〜10000ppm
  4. 結晶性樹脂の配合比率をX重量部,ポリスチレン(PS)換算重量平均分子量をMw、非晶性樹脂の配合比率をY重量部,PS換算重量平均分子量をMw、結晶性樹脂、非晶性樹脂及び重合触媒を加熱混練した後に得られる樹脂組成物のPS換算重量平均分子量をMwとしたとき、下記関係を満たすことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の成形部材。
    Figure 0003687536
  5. PS換算重量平均分子量が130,000以上であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の成形部材。
  6. 該重合触媒がTiを含有することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の成形部材。
  7. 該重合触媒が、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び亜鉛よりなる群の少なくとも1種と、Tiとを含有することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の成形部材。
  8. 該群の元素がMgであることを特徴とする請求項に記載の成形部材。
  9. 結晶性樹脂がPBT(ポリブチレンテレフタレート)であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の成形部材。
  10. 非晶性樹脂がPC(ポリカーボネート)であることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の成形部材。
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