JP5547989B2 - ZnO系半導体素子の製造方法 - Google Patents

ZnO系半導体素子の製造方法 Download PDF

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本発明は、n型ZnO系半導体層を有するZnO系半導体素子の製造方法に関する。
酸化亜鉛(ZnO)は、室温で3.37eVのバンドギャップエネルギを持つ直接遷移型の半導体で、近年、紫外光や白色光等の発光ダイオード(LED)等への応用が期待されている。また、原材料が安価であるとともに、環境や人体への悪影響が少ないという特徴を有し、産業的有用性が高い。
発光素子等の作製に、n型導電型のZnO系半導体層が必要となる。例えばGa等のIII族元素が、n型ドーパントとして用いられている(例えば特許文献1参照)。n型ZnO系半導体層を得るための、多様な技術が望まれる。
なお、サファイア基板を使ってZnO系半導体素子を作製するとき、MgOバッファ層を介在させることにより、表面がZn極性面となるようにZnO系半導体層を成長させる技術が提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開2007−128936号公報 特開2005−197410号公報
本発明の一目的は、n型ZnO系半導体層を得るための新規な技術を提供することである。
本発明の一観点によれば、(a−1)基板上方に、第1のアンドープZnO系半導体層を、400℃以下で成長する工程と、(b−1)前記第1のアンドープZnO系半導体層を、800℃以上でアニールして、n型キャリア濃度が1×1016cm−3以上の第1のn型ZnO系半導体層とする工程と、(c)前記第1のn型ZnO系半導体層上方に、ZnO系半導体活性層を成長する工程と、(d)前記ZnO系半導体活性層上方に、p型ZnO系半導体層を成長する工程とを有し、前記第1のn型ZnO系半導体層、前記ZnO系半導体活性層、及び前記p型ZnO系半導体層の積層が、pn接合構造を形成し、前記工程(a−1)は、MBEで前記第1のアンドープZnO系半導体層を成長し、前記工程(b−1)は、前記第1のアンドープZnO系半導体層を成長したMBEの真空チャンバで、アニールを行うZnO系半導体素子の製造方法が提供される。
アンドープZnO系半導体層を、400℃以下の低温で成長させた後、800℃以上の高温でアニールすることにより、n型キャリア濃度を増加させて1×1016cm−3以上とすることができる。
図1は、MBE装置の例を示す概略断面図である。 図2は、第1実施例、第2実施例、第1比較例、第3比較例のサンプル構造を示す概略断面図である。 図3は、第1比較例のサンプルのRHEED像と微分干渉顕微鏡写真である。 図4A及び図4Bは、それぞれ、第1比較例のサンプルの、Ga濃度とn型キャリア濃度との関係を示すグラフと、Ga濃度とピット密度との関係を示すグラフである。 図5Aは、第3実施例、第4実施例、第2比較例、第4比較例、第5比較例の発光素子構造を示す概略断面図であり、図5Bは、変形例の活性層構造を示す概略断面図である。 図6A及び図6Bは、それぞれ、第2比較例の発光素子の、I−V特性を示すグラフと、Zn、Mg、Ga、Nの濃度を示すSIMSデプスプロファイルである。 図7は、第3比較例のサンプルのn型キャリア濃度の深さ方向分布を示すグラフである。 図8A及び図8Bは、それぞれ、第1実施例及び第3比較例の成長工程を概略的に表すタイムチャートである。 図9は、第1実施例のサンプルのRHEED像である。 図10は、第1実施例のサンプルのAFM像である。 図11A及び図11Bは、第1実施例のサンプルのn型キャリア濃度の深さ方向分布を示すグラフを示す。 図11C及び図11Dは、第1実施例のサンプルのn型キャリア濃度の深さ方向分布を示すグラフを示す。 図12は、第4比較例、第5比較例、及び第3実施例の発光素子表面を観察したAFM像である。 図13A〜図13Cは、それぞれ、第4比較例、第5比較例、及び第3実施例の発光素子のI−V特性を示すグラフである。 図14は、第3実施例、第4比較例、及び第5比較例の発光素子のELスペクトルである。 図15は、第4実施例の発光素子の、n型層の積層構造を示す概略断面図、及び厚さ方向のn型キャリア濃度を示すグラフである。 図16は、第5実施例の発光素子構造を示す概略断面図、及びn型層の厚さ方向のキャリア濃度を示すグラフである。
まず、本発明の実施例及び比較例によるZnO系半導体素子の作製に用いられる分子線エピタキシ(MBE)装置について説明する。
図1は、MBE装置の例を示す概略断面図である。真空チャンバ1が、亜鉛(Zn)ソースガン2、マグネシウム(Mg)ソースガン3、ガリウム(Ga)ソースガン4、酸素(O)ソースガン5、及び、窒素(N)ソースガン6を備える。
Znソースガン2、Mgソースガン3、Gaソースガン4は、それぞれ、Zn、Mg、及びGaの固体ソースを収容するクヌーセンセルを含み、Znビーム、Mgビーム、Gaビームを出射する。
Oソースガン5、Nソースガン6は、それぞれ、例えば13.56MHzのラジオ周波(RF)を用いた無電極放電管を含み、Oラジカルビーム、Nラジカルビームを出射する。Oボンベ5aからマスフローコントローラ5bを介して、O源となるOガスがOソースガン5に供給される。Nボンベ6aからマスフローコントローラ6bを介して、N源となるNガスがNソースガン6に供給される。
真空チャンバ1内に、基板ヒータを含む基板ホルダ7が配置され、基板ホルダ7が基板8を保持する。基板8上に、所望のタイミングで所望のビームを供給することにより、所望の組成のZnO系半導体層を成長させることができる。
真空チャンバ1内に、また、水晶振動子を用いた膜厚計9が備えられている。膜厚計9で測定される堆積速度から、Znビーム等のフラックス強度が求められる。なお、真空チャンバ1は、反射高速電子回折(RHEED)用のガン、及びRHEED像を映すスクリーンも備える。
ZnO系半導体は、少なくともZnとOとを含む。ZnOに、例えばMgを添加してMgZnOとすることで、バンドギャップを広げることができる。MgZnOを、Mg組成xを示してMgZn1−xOと表記することもある。ZnO系半導体に添加されるMgの上限組成xは、ZnOの六方晶系が維持されるように、(MBEのエピタキシャル成長において)0.6程度である。なお、Mg組成x=0も含めることにより、MgZn1−xOという表記にZnOを含めることもできる。
なお、ZnOに、Mgに替えて、例えばBeを添加してBeZnOとすることでも、バンドギャップを広げることができる。また例えば、ZnOにSを添加してZnOSとすることで、バンドギャップを狭めることもできる。
ZnO系半導体に、p型ドーパントとして例えばNを添加することができる。ZnO系半導体のn型導電性は、n型ドーパントを添加しないアンドープでも得ることは可能であるが、n型キャリア濃度(電子濃度)が低い。n型キャリア濃度を高めるために、n型ドーパントとして例えばGaを添加することができる。
しかしながら、以下に説明するように、本願発明者らの研究により、Gaの添加により生じる課題が明らかになってきた。本願発明者は、アンドープのZnO系半導体でも、高いn型キャリア濃度が得られる技術を提案する。
次に、本発明の第1実施例の説明に先立ち、第1〜第3比較例について説明する。まず、第1比較例について説明する。第1比較例として、Gaをドープしたn型MgZnO層の単膜を作製した。
図2は、第1比較例のサンプル構造を示す概略断面図である。まず、Zn面ZnO(0001)基板20上に、成長温度300℃で、厚さ30nmのZnOバッファ層21を成長した。ZnOバッファ層21の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wの条件で照射した。次に、ZnOバッファ層21を、950℃で10分アニールし、結晶性及び表面平坦性を改善した。
次に、ZnOバッファ層21上に、成長温度950℃で、厚さ1000nmのGaドープn型MgZnO層22を成長した。Gaドープn型MgZnO層22の成長において、Znビームは、堆積速度0.2nm/sの条件で、Mgビームは、堆積速度0.02nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量1sccm、RFパワー250Wの条件で照射した。
そして、Gaビームを、Gaセルの温度を340℃〜400℃の範囲で変えて照射して、複数のサンプルを作製した。Gaセル温度が高いほど、Gaビームのフラックス強度が高くなる。
Gaセル温度の異なる各サンプルについて、Gaドープn型MgZnO層22のRHEED像を観察し、微分干渉顕微鏡で表面を観察した。微分干渉顕微鏡による表面観察から、ピット密度を求めた。また、2次イオン質量分析(SIMS)でGa濃度を測定し、C−V測定でn型キャリア濃度を測定した。なお、Gaドープn型MgZnO層22のMg組成は0.35(Mg0.35Zn0.65O)であった。
図3は、Gaセル温度(TGa)が350℃、380℃、及び400℃のサンプルのRHEED像と微分干渉顕微鏡写真を示す。なお、併せて、アンドープのサンプルのRHEED像と微分干渉顕微鏡写真も示す。
(アンドープ及び)Gaセル温度が380℃までは、RHEED像がストリークパターンを示し、Gaドープn型MgZnO層は2次元成長した。しかし、Gaセル温度が400℃以上になると、RHEED像がスポットパターンを示し、Gaドープn型MgZnO層は3次元成長した。また、微分干渉顕微鏡観察より、Gaセル温度が高くなるほど、ピット密度が増加することがわかった。
Gaドープn型MgZnO層中のGa濃度は、Gaセル温度が380℃で6.2×1017cm−3であり、Gaセル温度が400℃で2.1×1018cm−3であった。Gaセル温度が高いほど、Ga濃度が増加する。
図4Aは、Ga濃度とn型キャリア濃度との関係を示すグラフである。Ga濃度が6.2×1017cm−3(Gaセル温度380℃)のサンプルまでは、Ga濃度とn型キャリア濃度とが一致しており、Gaの活性化率が1といえる。Ga濃度が2.1×1018cm−3(Gaセル温度400℃)に高くなったサンプルでは、Ga濃度よりもn型キャリア濃度がやや低くなり、活性化率の低下が見られる。
図4Bは、Ga濃度とピット密度との関係を示すグラフである。なお、図4Bにはアンドープのサンプルのピット密度も示すが、アンドープのサンプルのGa濃度の表示には意味がない。また、Gaセル温度400℃のサンプルは、ピット密度が多すぎて算出出来なかったため、プロットされていない。Ga濃度が1017cm−3程度を超えると、Ga濃度増加に伴うピット密度の増加が見られ、結晶性及び表面平坦性の悪化が示唆される。
次に、第2比較例について説明する。第2比較例として、Gaをドープしたn型MgZnO層をクラッド層に用いたダブルへテロ構造のZnO系半導体発光素子を作製した。
図5Aは、第2比較例の発光素子構造を示す概略断面図である。まず、Zn面ZnO(0001)基板30上に、成長温度300℃で、厚さ30nmのZnOバッファ層31を成長した。ZnOバッファ層31の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wの条件で照射した。次に、ZnOバッファ層31を、900℃で10分アニールし、結晶性及び表面平坦性を改善した。
次に、ZnOバッファ層31上に、成長温度900℃で、厚さ40nmのGaドープn型MgZnO層32を成長した。Gaドープn型MgZnO層32の成長において、Znビームは、堆積速度0.2nm/sの条件で、Mgビームは、堆積速度0.02nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量1sccm、RFパワー250Wの条件で、Gaビームは、Gaセル温度380℃の条件で照射した。
次に、Gaドープn型MgZnO層32の上に、活性層として、成長温度900℃で、厚さ10nmのアンドープZnO層33を成長した。アンドープZnO活性層33の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wの条件で照射した。
次に、アンドープZnO活性層33の上に、成長温度700℃で、厚さ20nmのNドープp型MgZnO層34を成長した。Nドープp型MgZnO層34の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Mgビームは、堆積速度0.03nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wの条件で、Nラジカルビームは、N流量0.5sccm、RFパワー90Wの条件で照射した。
さらに、ZnO基板30の裏面上にn側電極35を形成し、Nドープp型MgZnO層34上にp側透明電極36を形成し、p側透明電極36上にp側ボンディング電極37を形成して、第2比較例のZnO系半導体発光素子を作製した。
図6Aは、第2比較例の発光素子のI−V特性を示すグラフである。グラフは、順方向電圧2V以下で立ち上がり、ショットキーライクな特性を示している。また、この素子からエレクトロルミネセンス(EL)発光は見られなかった。
図6Bは、第2比較例の発光素子におけるZn、Mg、Ga、Nの濃度を示すSIMSデプスプロファイルである。Gaが、活性層及びp型層に拡散していることがわかる。Gaの拡散に起因して、Nドープp型MgZnO層がn型化されたことが、EL発光が得られなかった一因と推測される。
第2比較例で説明したように、ZnO系半導体発光素子にGaをドープすると、Gaの拡散に起因して、素子特性が悪化するという課題が明らかになった。また、第1比較例で説明したように、GaをドープしたZnO系半導体層は、Ga濃度の増加に伴い結晶性や表面平坦性の悪化が見られる。
次に、第3比較例について説明する。第3比較例として、アンドープのMgZnO層の単膜を作製した。
第1比較例で参照した図2を流用して参照し、第3比較例のサンプルの作製工程について説明する。まず、Zn面ZnO(0001)基板20上に、成長温度300℃で、厚さ30nmのZnOバッファ層21を成長した。ZnOバッファ層21の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wの条件で照射した。次に、ZnOバッファ層を、950℃で10分アニールし、結晶性及び表面平坦性を改善した。
次に、ZnOバッファ層21上に、成長温度950℃で、厚さ1000nmのアンドープMgZnO層22を成長した。アンドープMgZnO層22の成長において、Znビームは、堆積速度0.2nm/sの条件で、Mgビームは、堆積速度0.02nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量1sccm、RFパワー250Wの条件で照射した。900℃以上の高温で成長することにより、結晶性の良いMgZnO膜を成長することができる。
図7は、第3比較例のサンプルの、C−V測定により得られたn型キャリア濃度の深さ方向分布を示すグラフである。950℃の高温で成長させたアンドープMgZnO層は、n型キャリア濃度が1015cmにも達せず低いことがわかる。なお、深さ1μm辺りでキャリア濃度が増加しているのは、MgZnO/ZnO界面に発生した2次元電子ガスによるものと考えられる。
n型ZnO系半導体層を、アンドープで得られれば、上述のような、Gaドープに起因する不具合は生じない。しかし、第3比較例のように成長させたアンドープMgZnO層は、n型導電性を示すものの、n型キャリア濃度が低い。
本願発明者は、以下に説明するように、アンドープでも高いn型キャリア濃度のZnO系半導体層が得られる技術を見出した。
次に、第1実施例について説明する。第1実施例では、n型キャリア濃度を高めた、アンドープのMgZnO層の単膜を作製した。
第1、第3比較例で参照した図2を流用して参照し、第1実施例のサンプルの作製工程について説明する。まず、Zn面ZnO(0001)基板20上に、成長温度300℃で、厚さ30nmのZnOバッファ層21を成長した。ZnOバッファ層21の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wの条件で照射した。次に、ZnOバッファ層21を、900℃で10分アニールし、結晶性及び表面平坦性を改善した。
次に、基板温度を300℃まで下げ、ZnOバッファ層21上に、アンドープMgZnO層22を成長した。アンドープMgZnO層22の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Mgビームは、堆積速度0.03nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量1sccm、RFパワー250Wの条件で照射した。
次に、基板温度を950℃まで上げ、アンドープMgZnO層22のアニールを行った。成長させるアンドープMgZnO層22の膜厚を、50nm〜300nmの範囲で変えたサンプルを作製し、各膜厚のサンプルで、アニール時間を5分〜30分の範囲で変えた。なお、アンドープMgZnO層22のMg組成は0.3(Mg0.3Zn0.7O)であった。
なお、Znソースは純度7Nのもの、Mgソースは純度6Nのもの、Oガスは純度6Nのものを用いることができる。
図8A及び図8Bは、第1実施例及び第3比較例のアンドープMgZnO層の成長工程を概略的に表すタイムチャートである。なお、バッファ層の成長前に行なう基板のサーマルクリーニングも示している。
図8Bに示す第3比較例のタイムチャートでは、例えば900℃の高温でのサーマルクリーニングの後、例えば300℃の低温でZnOバッファ層を成長する。その後、バッファ層を、例えば950℃の高温でアニールする。そして、例えば950℃の高温のまま、バッファ層上に、アンドープのMgZnO層を成長する。
図8Aに示す第1実施例のタイムチャートでは、バッファ層のアニールまでは第3比較例と同様であるが、バッファ層のアニールの後、例えば300℃の低温で、アンドープのMgZnO層を成長する。そして、MgZnO層を、例えば950℃の高温でアニールする。
図9に、第1実施例の、膜厚及びアニール時間が様々に異なるアンドープMgZnO層のRHEED像を示す。膜厚50nm、100nm、200nm、及び300nmのサンプルについて、それぞれ、アニール時間0分(as−grown)、5分、15分、30分でのRHEED像を示す。なお、膜厚50nm、100nmのアニール時間15分のRHEED像は示されていない。
アニール時間0分(as−grown)では、どの膜厚のサンプルも、RHEED像がスポットパターンを示し、3次元成長している。しかし、その後のアニールにより、膜厚100nm以下のサンプルでは、アニール時間5分以内で、RHEED像が2次元成長を示すストリークパターンに変わり、表面平坦性が改善されている。
膜厚200nmのサンプルでは、15分以上のアニールで、ストリークパターンが得られている。膜厚300nmのサンプルでは、30分のアニールで、ストリークパターンが現れてはいるものの、ストリークパターンの上にスポットが残り、表面平坦性が充分には改善されていない。
図10に、30分アニール後の、膜厚50nm、100nm、及び200nmのアンドープMgZnO層を観察した原子間力顕微鏡(AFM)写真を示す。各膜厚に対し、観察範囲15μm角、5μm角、及び1μm角のAFM像を示す。
膜厚100nm以下のサンプルでは、ステップアンドテラス構造が観察され、二乗平均表面粗さ(RMS)が1nm以下の非常に平坦な表面が得られている。膜厚200nmのサンプルの表面は、比較的平坦であるものの、六角形状の凸部(島)と凹部(ピット)が存在している。これは、MgZnOエピ層とZnO基板との格子ミスマッチに起因しているものと思われる。
図11A〜図11Cは、膜厚200nmのサンプルの、C−V測定により得られたn型キャリア濃度の深さ方向分布を示すグラフである。図11A〜図11Cは、それぞれ、アニール時間0分(as−grown)、15分、及び30分でのn型キャリア濃度を示す。
アニール時間0分(as−grown)では、アンドープMgZnO層のn型キャリア濃度は1×1015cm−3よりも低く、空乏層がMgZnO/ZnO界面まで拡がり、界面で出来た2次元電子ガス層のキャリア濃度のデータしか得られなかった。
15分のアニールにより、アンドープMgZnO層のn型キャリア濃度は、4.5×1016cm−3に増加し、30分のアニールにより、さらに、1.2×1017cm−3に増加している。同一の膜厚であっても、アニール時間が長くなるほど、n型キャリア濃度が増加する傾向が見られる。
図11Dは、膜厚60nmでアニール時間30分のサンプルの、C−V測定により得られたn型キャリア濃度の深さ方向分布を示すグラフである。6.5×1017cm−3のn型キャリア濃度が得られている。
図11Cに示した膜厚200nmでアニール時間30分の結果(1.2×1017cm−3)と比べると、同じアニール時間でも、膜厚の薄い方が、n型キャリア濃度が高くなる傾向が見られる。なお、アニール時間30分で、膜厚50nmでは7.0×1017cm−3、膜厚100nmでは2.0×1017cm−3のn型キャリア濃度が得られている。
これらの結果に基づき、アンドープMgZnO層のアニール時間及び膜厚の少なくとも一方を調整することにより、n型キャリア濃度を調整することができる。
なお、さらに、同一膜厚、同一アニール時間の条件の下、アニール温度によってn型キャリア濃度を調整することもできる。例えば、膜厚200nm、アニール時間30分でのn型キャリア濃度は、アニール温度950℃では1.2×1017cm−3であったのに対し、アニール温度を900℃に下げたところ3.4×1016cm−3となった。同一膜厚、同一アニール時間でも、アニール温度の高い方が、n型キャリア濃度が高くなる傾向が見られる。
以上、第1実施例で説明したように、アンドープMgZnO層を、例えば300℃の低温で成長させた後、例えば950℃の高温でアニールすることにより、結晶性及び表面平坦性を改善できるとともに、n型キャリア濃度を(例えば1.0×1016cm−3以上に)高められる。
なお、アンドープMgZnO層の低温成長の温度は300℃に限定されず、200℃以上400℃以下の範囲であればよいと考える。成長温度が200℃より低くなると、エピタキシャル成長が困難となる。また、成長温度が400℃を超えると(400℃を超えて700℃程度まで)、成長中にピットが発生しやすくなり、アニールを施してもこのピットを除去することが難しく、表面平坦性を向上させることが難しくなる。
なお、アンドープMgZnO層のアニール温度は950℃に限定されず、800℃以上1100℃以下の範囲の高温であればよいと考える。アニール温度が800℃より低くなると、表面平坦性の向上が難しい。また、アニール温度が1100℃を超えると、MgZnOの蒸発が問題になると考えられる。n型キャリア濃度を高めやすくするという観点からは、アニール温度は900℃以上とすることが好ましい。
図9を参照して説明したように、アニールにより高い表面平坦性を得るためには、低温成長させるアンドープMgZnO層の膜厚は200nm以下とすることが好ましい。また、図10を参照して説明したように、さらに高い表面平坦性を得るためには、膜厚は100nm以下とすることが好ましい。なお、厚さ200nm以下の膜の低温成長及びアニール工程を複数回繰り返して積層することにより、厚い膜を得ることもできる。
なお、低温成長後のアニールにより、(例えば、第3比較例のように950℃の高温で成長したアンドープMgZnOに比べて)高いn型キャリア濃度のアンドープMgZnO層が得られる理由は明確でないが、例えば、アニールにより酸素が抜け、酸素空孔(あるいは格子間Zn)が形成してドナーとして働くことで、電子濃度が増加しているのではないかと思われる。
従って、Mgを添加したMgZnOに限らず、他のアンドープのZnO系半導体(例えば、ZnO、BeZnO等)についても、低温成長とアニールによるn型キャリア濃度増加を期待してもよいであろう。
次に、第2実施例について説明する。第1実施例では、アンドープMgZnO層のアニールを、MBE装置のチャンバ中で行った。以下に説明するように、第2実施例では、アンドープMgZnO層の低温成長後、基板をアニール炉に移してアニール工程を行う。
再び図2を参照する。まず、第1実施例と同様にして、ZnO基板20上に、ZnOバッファ層21を成長し、(900℃で)アニールを施した。
次に、基板温度を300℃まで下げ、ZnOバッファ層21上に、Znビーム、Mgビーム、及びOラジカルビームを、第1実施例と同様な照射条件で照射し、厚さ100nmのアンドープMgZnO層22を成長した。
次に、基板温度を室温まで下げて、サンプルを、MBE装置の真空チャンバから取り出した。次に、サンプルを、アニール炉内に入れ、大気中800℃で30分アニールした。
アニール炉でのアニールにより、真空チャンバでのアニールと同様に、アンドープMgZnO層の表面平坦性向上及びn型キャリア濃度増加が図られ、1.0×1017cm−3のn型キャリア濃度が得られた。
なお、ZnO系半導体は、赤外線を透過し、輻射による温度上昇が難しいため、真空中では加熱しにくい。よって、大気中の方が真空中よりも加熱が容易になり、アニール炉での加熱温度設定は、真空チャンバでの加熱温度設定に比べて低温にしやすい。ただし、後述のような発光素子等を作製するとき、アニール炉での処理の後、再び成膜用の真空チャンバに戻す手間が掛かる。
次に、第3実施例、及び、第4、第5比較例について説明する。第3実施例では、第1実施例のアンドープn型MgZnO層をクラッド層に応用したダブルへテロ構造のZnO系半導体発光素子を作製した。
第2比較例で参照した図5Aを流用して参照し、第3実施例の発光素子の作製工程について説明する。まず、第1実施例と同様にして、ZnO基板30上に、ZnOバッファ層31を成長し、(900℃で)アニールを施した。
次に、基板温度を300℃まで下げ、ZnOバッファ層31上に、Znビーム、Mgビーム、及びOラジカルビームを、第1実施例と同様な照射条件で照射し、厚さ50nmのアンドープMgZnO層32を成長した。次に、基板温度を950℃まで上げ、30分のアニールを行って、結晶性及び表面平坦性の改善とともに、n型キャリア濃度増加を図った。
次に、アンドープn型MgZnO層32の上に、活性層として、成長温度900℃で、厚さ10nmのアンドープZnO層33を成長した。アンドープZnO活性層33の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wの条件で照射した。
次に、アンドープZnO活性層33の上に、成長温度700℃で、厚さ40nmのNドープp型MgZnO層34を成長した。Nドープp型MgZnO層34の成長において、Znビームは、堆積速度0.11nm/sの条件で、Mgビームは、堆積速度0.03nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wの条件で、Nラジカルビームは、N流量0.5sccm、RFパワー90Wの条件で照射した。
さらに、ZnO基板30の裏面上にn側電極35を形成し、Nドープp型MgZnO層34上にp側透明電極36を形成し、p側透明電極36上にp側ボンディング電極37を形成して、第3実施例のZnO系半導体発光素子を作製した。
n側電極35は、例えば、厚さ2nm〜10nmのTi層に、厚さ300nm〜500nmのAl層を積層して形成する。p側透明電極36は、例えば、厚さ0.5nm〜5nmのNi層に、厚さ1nm〜20nmのAu層を積層して形成する。p側ボンディング電極37は、例えば、厚さ100nmのNi層に、厚さ1000nmのAu層を積層して形成する。なお、電極形成に、例えばレジスト膜等によるリフトオフを用いることができる。その後、例えば350℃の酸化性ガス雰囲気中で、電極合金化処理を行う。合金化処理時間は例えば30秒〜10分程度である。このようにして、第3実施例のZnO系半導体発光素子を作製した。
第4比較例では、第3比較例で作製したような高温成長アンドープMgZnO層を、n型クラッド層に用いたダブルへテロ構造のZnO系半導体発光素子を作製した。
第5比較例では、第2比較例と同様に、Gaドープn型MgZnO層をクラッド層に用いたダブルへテロ構造のZnO系半導体発光素子を作製した。
再び図5Aを参照して、第4、第5比較例の発光素子の作製工程について説明する。第4、第5比較例とも、まず、第3実施例と同様にして、ZnO基板30上に、ZnOバッファ層31を成長し、アニールを施した。
第4比較例では、次に、ZnOバッファ層31上に、成長温度900℃で、厚さ50nmの、アンドープMgZnO層32を成長した。アンドープMgZnO層32の成長において、Znビームは、堆積速度0.2nm/sの条件で、Mgビームは、堆積速度0.02nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量1sccm、RFパワー250Wの条件で照射した。
第5比較例では、次に、ZnOバッファ層31上に、成長温度900℃で、厚さ50nmのGaドープn型MgZnO層32を成長した。Gaドープn型MgZnO層32の成長において、Znビームは、堆積速度0.2nm/sの条件で、Mgビームは、堆積速度0.02nm/sの条件で、Oラジカルビームは、O流量1sccm、RFパワー250Wの条件で、Gaビームは、Gaセル温度380℃の条件で照射した。
次に、第4比較例では(高温成長)アンドープn型MgZnO層32の上に、第5比較例ではGaドープn型MgZnO層32の上に、第3実施例と同様にして、アンドープZnO活性層33を成長し、アンドープZnO活性層33上に、Nドープp型MgZnO層34を成長した。第4、第5比較例とも、さらに、第3実施例と同様にして、n側電極35、p側透明電極36、及びp側ボンディング電極37を形成した。このようにして、第4、第5比較例のZnO系半導体発光素子を作製した。
図12に、第4比較例、第5比較例、及び第3実施例の発光素子の、Nドープp型MgZnO層の表面を観察したAFM像を示す。各発光素子につき、観察範囲5μm角及び1μm角のAFM像を示す。
第4比較例(高温成長アンドープ)の発光素子は、若干ピットが見られるものの、ステップアンドテラス構造が観察され、1μm角における表面粗さRMSが0.35nmと、平坦な表面が得られている。
第5比較例(Gaドープ)の発光素子は、ピットが多く、1μm角における表面粗さRMSが1.95nmと、平坦性が低い。第1比較例で説明したような、Gaドープn型MgZnO層の結晶性及び表面平坦性の低さを引き継いだためと考えられる。
第3実施例の発光素子は、ピットが見られず、1μm角における表面粗さRMSが0.15nmと、非常に平坦な表面が得られている。このように、n型層形成に、アンドープMgZnO層の低温成長及びアニールを採用することにより、発光素子における表面モフォロジーの向上を図ることができる。
図13A〜図13Cは、それぞれ、第4比較例、第5比較例、及び第3実施例の発光素子のI−V特性を示すグラフである。
第4比較例(高温成長アンドープ)の発光素子は、閾値電圧が約4.5Vと高く、2mA以上の電流の通電で素子が破壊されてしまった。第5比較例(Gaドープ)の発光素子は、閾値電圧が約1.7Vと低く、ショットキーライクな特性を示している。第3実施例の発光素子は、閾値電圧が約3Vであり、ZnOのバンドギャップ(3.3V)から考えて、良好なI−V特性を示しているといえる。
図14は、第4比較例、第5比較例、及び第3実施例の発光素子の室温におけるELスペクトルである。
第5比較例(Gaドープ)の発光素子は、紫外発光を示さなかった。第4比較例(高温成長アンドープ)の発光素子は、波長380nm程度の紫外発光を示した。第3実施例の発光素子は、第4比較例よりも、波長380nm程度の紫外発光の強度が増加しており、発光効率向上が図られている。
以上第3実施例で説明したように、ZnO系半導体素子において、アンドープZnO系半導体層の低温成長及びアニールでn型層を形成することにより、素子の表面平坦性向上や、特性向上が図られる。Gaをドープしないことにより、Gaの拡散等による不具合が避けられる。
第3実施例の素子において、低温成長及びアニールによるアンドープn型ZnO系半導体層の上方に、活性層とp型ZnO系半導体層とが積層され、アンドープn型ZnO系半導体層、活性層、及びp型ZnO系半導体層の積層が、pn接合構造を形成している。
なお、上記実施例では、ZnO基板を用いたが、他の基板を用いることも可能である。例えば、サファイア基板(c面、a面、r面)や、GaN/サファイアテンプレート、MgZnO基板、MgZnO/ZnOテンプレート等を用いることも可能である。
ZnO以外の基板を用いるとき、基板とエピ層の格子不整や熱膨張係数差に起因した結晶欠陥・転位の発生を抑制するために、バッファ層が必要不可欠となる。一方、ZnO基板を用いるときは、ホモエピタキシーとなるが、基板表面の加工歪層や研磨剤等の残渣等に起因する結晶欠陥・転位が発生するので、バッファ層を用いるのが望ましい。このように、バッファ層は、基板/エピ層界面における結晶欠陥・転位を低減する。なお、MgZnOエピ層下方のバッファ層としてZnOを成長させる実施例を説明しているが、バッファ層をMgZnOとすることもできる。
なお、上記実施例では、バッファ層に対しても、低温成長及びアニールが行われているが、バッファ層は、結晶欠陥・転位を低減するために基板・エピ層間に形成されるものであり、pn接合構造を形成するものではない。
次に、第3実施例の変形例について説明する。第3実施例では、活性層を単層のZnO層としたダブルへテロ構造の発光素子を作製したが、活性層は、ダブルへテロ構造に限らない。
図5Bに示すように、活性層33は、例えば、MgZnO障壁層33bと、ZnO井戸層33wとが交互に積層された多重量子井戸構造とすることもできる。なお、MgZnO障壁層33bのMg組成は、n型クラッド層となるアンドープn型MgZnO層のMg組成、及びp型クラッド層となるp型MgZnO層のMg組成よりも低く(バンドギャップが狭く)設定され、また上限を0.5に抑えることが好ましい。
次に、第4実施例について説明する。図11を参照して説明したように、低温成長させる膜厚を異ならせることにより、同一のアニール時間及びアニール温度としても、アニール後のn型キャリア濃度を異ならせることができる。
従って、厚さの異なるアンドープMgZnO層を積層する(各層での低温成長及びアニール工程を繰り返す)ことにより、厚さ方向に、層ごとに段状にn型キャリア濃度が変わる傾斜を持った構造を作製することもできる。
なお、同一膜厚の各層のアニール時間またはアニール温度を変えて、n型キャリア濃度の傾斜を作ることもできる。つまり、層ごとに、膜厚、アニール時間、及びアニール温度の少なくとも1つを調整して、各層を所望のn型キャリア濃度とすることができる。
第4実施例では、このような傾斜構造を、第3実施例(図5A参照)のような発光素子の、アンドープn型MgZnO層32に応用する。
図15は、第4実施例の発光素子の、アンドープn型MgZnO層32の積層構造を示す概略断面図及び厚さ方向のn型キャリア濃度を示すグラフである。第4実施例のアンドープn型MgZnO層32は、n型キャリア濃度の異なるアンドープn型MgZnO層32a、32b・・・が積層されたものであり、n型キャリア濃度は、上方に行くほど(活性層に近いほど)低くなるように設定されている。なお、活性層近傍のn型キャリア濃度は、活性層上方に形成されるp型ZnO系半導体層のp型キャリア濃度とほぼ等しく形成されることが望ましい。
n型ZnO系半導体層を、活性層側ほどキャリア濃度が低くなるように形成することにより、n型ZnO系半導体層全体のキャリア濃度が低くても、厚さ方向に電流を流れやすくする効果が期待される。
次に、第5実施例について説明する。第5実施例も、第4実施例と同様に、キャリア濃度を傾斜させたアンドープn型MgZnO層を、発光素子に応用する。ただし、素子構造が、第3実施例のものと異なる。
第3実施例では、n型導電性を示すZnO基板を用い、基板裏面にn側電極を形成することができた。第5実施例は、絶縁性基板(例えばサファイア基板)を用いるので、電極構造が変わる。
図16は、第5実施例の発光素子構造を示す概略断面図である。c面(あるいはa面)サファイア基板40上に、厚さ3nm以上のMgOバッファ層41を成長し、MgOバッファ層41上に、ZnOバッファ層42を形成する。
サファイア基板上に直接ZnO層を成長させると、表面がO極性面のZnO層が成長する。MgOバッファ層を挿入することで、表面がZn極性面のZnO層を成長させることができる。なお、このような技術については、特開2005−197410号公報の「発明を実施するための最良の形態」の欄に説明されている。
次に、ZnOバッファ層42上に、アンドープn型MgZnO層43を成長する。アンドープn型MgZnO層43は、キャリア濃度の相対的に高い下側層43aと、キャリア濃度の相対的に低い上側層43bの積層で形成される。なお、上方側(活性層側)ほどキャリア濃度が低くなるようにして、キャリア濃度が異なる3層以上の積層としてもよい。
次に、アンドープn型MgZnO層43上に、ZnO活性層44及びp型MgZnO層45を形成する。なお、活性層44は、第3実施例の変形例で説明したように、多重量子井戸構造としてもよい。
次に、適宜マスクを用いて、n側電極形成領域を、p型MgZnO層45の上面から、アンドープn型MgZnO層43の下側層43aが露出する深さまでエッチングし、露出した下側層43a上に、n側電極46を形成する。そして、p型MgZnO層45上に、p側透明電極47を形成し、p側透明電極47上に、p側ボンディング電極48を形成する。
このようにして、第5実施例の発光素子が作製される。第5実施例の素子構造では、絶縁性基板を用いるため、n側、p側電極を基板に対して同じ側に配置する。これにより、面内方向に電流が流れる。
このような構造のZnO系半導体発光素子を形成したとき、n型層の比抵抗が大きいと、電流が、主にn側電極と活性層との最短距離部分を流れることとなり、電流広がりが不十分となる。n側電極に近いメサ構造の端に電流が集中すると、メサ外周部しか発光しなくなる。
第5実施例では、n側電極が接する下方側のn型層のキャリア濃度を高めたことにより、このような電流集中が抑制され、電流が面内方向に流れやすくなる効果が期待される。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
1 真空チャンバ
2 Znソースガン
3 Mgソースガン
4 Gaソースガン
5 Oソースガン
6 Nソースガン
7 基板ホルダ
8 基板
9 膜厚計
20 基板
21 バッファ層
22 MgZnO層
30 基板
31 バッファ層
32 n型MgZnO層
33 活性層
34 p型MgZnO層
35 n側電極
36 p側透明電極
37 p側ボンディング電極

Claims (7)

  1. (a−1)基板上方に、第1のアンドープZnO系半導体層を、400℃以下で成長する工程と、
    (b−1)前記第1のアンドープZnO系半導体層を、800℃以上でアニールして、n型キャリア濃度が1×1016cm−3以上の第1のn型ZnO系半導体層とする工程と、
    (c)前記第1のn型ZnO系半導体層上方に、ZnO系半導体活性層を成長する工程と、
    (d)前記ZnO系半導体活性層上方に、p型ZnO系半導体層を成長する工程と
    を有し、前記第1のn型ZnO系半導体層、前記ZnO系半導体活性層、及び前記p型ZnO系半導体層の積層が、pn接合構造を形成し、
    前記工程(a−1)は、MBEで前記第1のアンドープZnO系半導体層を成長し、前記工程(b−1)は、前記第1のアンドープZnO系半導体層を成長したMBEの真空チャンバで、アニールを行うZnO系半導体素子の製造方法。
  2. さらに、
    (a−2)前記第1のn型ZnO系半導体層の上に、第2のアンドープZnO系半導体層を、400℃以下で成長する工程と、
    (b−2)前記第2のアンドープZnO系半導体層を、800℃以上でアニールして、n型キャリア濃度が1×1016cm−3以上の第2のn型ZnO系半導体層とする工程と
    を有し、
    前記工程(c)は、前記第2のn型ZnO系半導体層上方に、ZnO系半導体活性層を成長し、
    前記第1及び第2のn型ZnO系半導体層、前記ZnO系半導体活性層、及び前記p型ZnO系半導体層の積層が、pn接合構造を形成し、
    前記工程(a−2)は、MBEで前記第2のアンドープZnO系半導体層を成長し、前記工程(b−2)は、前記第2のアンドープZnO系半導体層を成長したMBEの真空チャンバで、アニールを行う請求項1に記載のZnO系半導体素子の製造方法。
  3. 前記工程(a−1)で成長させる第1のアンドープZnO系半導体層と、前記工程(a−2)で成長させる第2のアンドープZnO系半導体層とで、膜厚を異ならせること、前記工程(b−1)と前記工程(b−2)で、前記第1、第2のアンドープZnO系半導体層のアニール時間を異ならせること、及び、前記工程(b−1)と前記工程(b−2)で、前記第1、第2のアンドープZnO系半導体層のアニール温度を異ならせること、の少なくとも1つを行って、前記第1、第2のn型ZnO系半導体層のn型キャリア濃度を異ならせる請求項2に記載のZnO系半導体素子の製造方法。
  4. 前記第1のn型ZnO系半導体層の方が、前記第2のn型ZnO系半導体層よりも、n型キャリア濃度が高い請求項2または3に記載のZnO系半導体素子の製造方法。
  5. 前記工程(a−1)で成長させる第1のアンドープZnO系半導体層の膜厚は、200nm以下とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のZnO系半導体素子の製造方法。
  6. 前記工程(a−1)で成長させる第1のアンドープZnO系半導体層は、MgZnO層である請求項1〜5のいずれか1項に記載のZnO系半導体素子の製造方法。
  7. さらに、(e)前記基板上方に、ZnO系半導体バッファ層を成長する工程を有し、前記工程(a−1)は、前記ZnO系半導体バッファ層の上方に、前記第1のアンドープZnO系半導体層を成長する請求項1〜6のいずれか1項に記載のZnO系半導体素子の製造方法。
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