JP4610870B2 - 酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法 - Google Patents

酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法 Download PDF

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Description

この出願の発明は、比較的地下資源に恵まれる亜鉛元素を含む、比較的安価に製造・販売されている半導体材料である酸化亜鉛半導体材料に関し、とくに酸化亜鉛半導体材料を電子素子形成のための基板材料として利用可能なウエファーとして提供するため、導電性と平坦表面を併せ持った酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
酸化亜鉛は、蒸気圧の高い元素である亜鉛を主成分とする化合物であり、溶融・固化プロセスによる単結晶製造が難しい材料である。したがって、酸化亜鉛単結晶を得るための手段としては、臨界状態の水から酸化亜鉛単結晶を析出させる水熱合成法、あるいは、気化させた酸化亜鉛蒸気を酸化亜鉛単結晶として再析出させる化学気相輸送法がその一般的な単結晶育成方法である。
化学気相輸送法により育成される単結晶は、清浄な雰囲気において育成を実施することにより、化学組成として高純度の結晶として得ることが可能である。しかし、一方で、単結晶中にモザイク構造を形成しやすく、X線回折測定によって示される単結晶の完全性において低品質な結晶となる場合が見られる。たとえば、特許文献1に見られるように、化学気相輸送法により育成される酸化亜鉛は、配向性の高いドメイン構造を持ったバルク体として得られ、その結晶格子の完全性に劣る。
特許文献2にみられるように、水熱合成法によって育成される単結晶は、リチウムやカリウムというアルカリ金属が存在する環境で得られる結晶であるため、これらのアルカリ金属を不純物として含む単結晶として育成される。一方、水熱合成酸化亜鉛単結晶はモザイク構造を持たず、X線回折測定によって示される単結晶の完全性において、高品質な結晶となりやすい。
リチウムに代表されるアルカリ金属は、酸化亜鉛中に存在した場合に、アクセプター準位を形成することが知られており、水熱合成された酸化亜鉛単結晶は、育成直後の状態にあっては、高い電気抵抗値を有する状態にある。酸化亜鉛単結晶を圧電体として利用する電気・電子素子においては、この高抵抗の状態は好ましく、そのため、水熱合成された酸化亜鉛単結晶を圧電体として利用する上では、低抵抗化の処理を施す必要がなかった。
特許文献3に示される酸化亜鉛電子素子を製造する上では、その素子の性能を高めるため、酸化亜鉛単結晶ウエファーを用いたホモエピタキシャル成長によって堆積された高品質の酸化亜鉛薄膜を利用することが有効である。このホモエピタキシャル基板としての酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造においては、素子の生産性向上、あるいは、素子の性能安定化のために、極めて平坦な酸化亜鉛単結晶ウエファー上に酸化亜鉛電子素子を構築する必要がある。さらに、その酸化亜鉛電子素子のうち、ホモエピタキシャル基板として提供される酸化亜鉛単結晶ウエファーが導電体となっていることが好ましい素子があり、導電性であり、かつ高い平坦性を有する酸化亜鉛単結晶ウエファーを利用した素子形成が有効となる。
高結晶性の水熱合成酸化亜鉛単結晶ウエファーを酸化亜鉛電子素子用ホモエピタキシャル基板として応用する際には、その酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面が平坦化され、かつ、その酸化亜鉛単結晶ウエファーに処理を施すことによってその電気抵抗率が低減された状態となることが望ましい。しかし、これまでに製造・販売されている一般的な水熱合成酸化亜鉛単結晶は、育成されたままの性状で、表面研磨を施した状態で提供されており、低抵抗であり、かつ、結晶性に優れ、表面が平坦である酸化亜鉛単結晶は、提供されていない。
酸化亜鉛結晶は、窒化ガリウム結晶とその格子定数が近い値をとることが一つの特徴であり、非特許文献1や特許文献4に見られるように、酸化亜鉛と窒化ガリウムとの格子整合性の高さから、酸化亜鉛は先の酸化亜鉛電子素子に加え、窒化ガリウム電子素子の基板としても有効な材料であり、とくに低抵抗で、平坦性と結晶性に優れた酸化亜鉛基板が窒化ガリウム薄膜の成長に有効である。
酸化亜鉛単結晶ウエファーを酸化亜鉛電子素子や窒化ガリウム電子素子に応用する上で必要な特性に、その発光特性がある。例として、窒化ガリウム基青色発光素子を挙げた場合、基板として利用する酸化亜鉛単結晶に欠陥が含まれ、その欠陥が可視光の発光中心となった場合、窒化ガリウム基発光素子から発せられた青色の光を酸化亜鉛が吸収し、素子が目的とする青色以外の発色をもたらす結果となる。したがって、酸化亜鉛単結晶ウエファーを酸化亜鉛電子素子や窒化ガリウム電子素子の基板として提供するには、可視発光を与えない酸化亜鉛単結晶ウエファーとして提供する必要がある。
非特許文献2に見られるように、酸化亜鉛中に適当なドナーとリチウムとが共存した場合、酸化亜鉛は、弱い黄色の発光をもたらす。このことは、すなわち、水熱合成酸化亜鉛単結晶をウエファーとして利用してゆく上で、熱処理による酸化亜鉛単結晶ウエファー中のリチウムの活性化による黄色発光を防ぎつつ、その電気抵抗率の調整と平坦化を満足しなければならない。
格子歪みをもった酸化亜鉛単結晶ウエファー上に酸化亜鉛薄膜を堆積した場合、基板となるウエファーの歪みが堆積させた薄膜に伝搬して酸化亜鉛薄膜の結晶性が低下してしまうことが知られている。すなわち、一般的に提供される酸化亜鉛基板には、機械的な格子歪みが残存しており、エピタキシャル基板として応用する上で、不適当な結晶性となっている。
特開平5−70286 特開平6−128088 特開2003−46081 特開平6−61527 応用物理、第72巻、6号、p.705−710、2003年 Japanese Journal of Applied Physics Part 2、第38巻、2A号、p.L113−115、1999年2月 Advanced Functional Materials、第13巻、第2号、p.139−144、2003年
この出願の発明が解決すべき課題は、水熱合成法で得られた酸化亜鉛単結晶を電子・電気素子を形成するための酸化亜鉛単結晶ウエファー基板として提供するために、その電気伝導性、表面の平坦性を電子・電子素子として適するものとし、かつ、欠陥に起因する可視発光の発光強度を低減させた酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することである。
この出願の発明が解決すべき課題は、水熱合成法で得られた酸化亜鉛単結晶の電気抵抗率を育成直後の値よりも低い値に変化させた酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法の提供である。すなわち、n型半導体である酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率を低下させるためには、ドナーの導入、あるいは、アクセプターの補償を実現する必要がある。これを実現するための手法として、熱処理が有効であり、この出願の発明は、水熱合成法で得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率を育成直後の値に比べて低下させるための熱処理技術に関するものである。
また、この出願の発明が解決すべき課題は、エピタキシャル基板として利用可能な平坦性を有する酸化亜鉛単結晶ウエファーの提供である。すなわち、研磨によって得られた平坦表面に対し、さらに処理を施すことによって、より平坦な表面を有する酸化亜鉛単結晶ウエファーを提供することであり、その実現には熱処理が有効である。すなわち、この出願の発明は、水熱合成法で得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理によって平坦化するための熱処理技術の提供である。
また、この出願の発明はフォトルミネッセンス特性において375〜385nmの範囲にある紫外発光ピークの相対強度が400〜800nmに見られる紫外発光ピークの相対強度に対して高い発光状態を持った酸化亜鉛ウエファーの提供である。すなわち、熱処理による酸化亜鉛ウエファー中の欠陥状態の変化による可視発光の発現を抑止しつつ、酸化亜鉛ウエファーの電気抵抗率の低下と表面平坦性の改善をもたらす、酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法の提供である。
またこの出願の発明の課題は、酸化亜鉛単結晶ウエファーをエピタキシャル薄膜成長に使用した際に、その酸化亜鉛単結晶ウエファーに残る残留応力、歪みが原因となり、その酸化亜鉛単結晶ウエファー上に形成された薄膜に格子歪み、格子欠陥が発生することを防止するために、残留応力、歪みを含んでいない酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法の提供である。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、水熱合成法によって育成された酸化亜鉛単結晶を、平坦表面を有する導電性単結晶ウエファーとして提供する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、ウエファー状に切り出された酸化亜鉛単結晶に対して、単結晶が育成された直後の状態でもつ電気抵抗率に比べて低抵抗の状態に至らしめ、かつ熱処理後の結晶のフォトルミネッセンス特性において375〜385nmの範囲にある紫外発光ピークの相対強度が400〜800nmに見られる紫外発光ピークの相対強度に対して高い発光状態に至らしめ、高抵抗性の原因となる欠陥と不純物が酸化亜鉛単結晶ウエファー外に脱離するに足る高温に置く低抵抗化のための前段熱処理と、次いで酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせず酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーとしての酸化ジルコニウム単結晶の間に酸化亜鉛単結晶を挟み込み、その状態で酸化亜鉛単結晶に対して行う、平坦化のための後段熱処理の、少なくとも2段階の熱処理工程を含むことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
第2には、この出願の発明は、第1の発明において、前記低抵抗化のための前段熱処理工程において、酸化亜鉛単結晶ウエファーを酸化亜鉛粉体中に埋包した状態あるいは1対の酸化亜鉛磁器の間隙に挟み込んだ状態で熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
第3には、第1または2の発明において、前記低抵抗化のための前段熱処理工程の終了時、あるいは前記平坦化のための後段熱処理工程の終了時に、熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率にあって、その値に面内分布が見られない状態が実現できることを条件として、低抵抗化のための前段熱処理の処理条件を決定することを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
第4には、第1ないし3いずれかの発明において、前記低抵抗化のための前段熱処理工程の終了時、あるいは前記平坦化のための後段熱処理工程の終了時に、熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンス強度またはカソードルミネッセンス強度にあって、その値に面内分布が見られない状態が実現できることを条件として、低抵抗化のための前段熱処理の処理条件を決定することを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
には、第1ないしいずれかの発明において、前記平坦化のための後段熱処理を実施するにあたり、工程中で表面平坦化を期待した熱処理を施した後に、走査型原子間力顕微鏡観察で得られ酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面凹凸図形において、酸化亜鉛結晶の格子定数、あるいは、その2倍の高さを段差とするステップが観測される表面状態が実現されることを条件として、平坦化のための後段熱処理の熱処理条件を決定することを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
には、水熱合成法によって育成された酸化亜鉛単結晶を、平坦表面を有する導電性単結晶ウエファーとして提供する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、ウエファー状に切り出された酸化亜鉛単結晶である酸化亜鉛単結晶ウエファーに対して、アルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種が気相を介して被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面に到達できる環境ので熱処理を施し、結果としてその酸化亜鉛単結晶ウエファー中にドナー準位を形成させる処理を含み、このドナー準位を形成し、低抵抗化のための前段熱処理とし、この前段熱処理の後の工程では、熱処理温度において酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせない、酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーとしての酸化ジルコニウム単結晶の間に、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーを挟み込み、その状態で酸化亜鉛単結晶ウエファーの平坦化のための後段熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
には、水熱合成法によって育成された酸化亜鉛単結晶を、平坦表面を有する導電性単結晶ウエファーとして提供する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、ウエファー状に切り出された酸化亜鉛単結晶である酸化亜鉛単結晶ウエファーに対して、アルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種を含む材質とその酸化亜鉛単結晶ウエファーとを接触させた状態で熱処理し、酸化亜鉛にドナー準位を形成させる処理を含み、このドナー準位を形成し、低抵抗化のための前段熱処理とし、この前段熱処理の後の工程では、熱処理温度において酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせず、酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーとしての酸化ジルコニウム単結晶の間に、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーを挟み込み、その状態で酸化亜鉛単結晶ウエファーの平坦化のための後段熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
には、第6または7の発明において、前記低抵抗化のための前段熱処理工程の終了時、あるいは前記平坦化のための後段熱処理工程の終了時に、熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率にあって、その値に面内分布が見られない状態が実現できることを条件として、前段の低抵抗化のための熱処理の処理条件を決定することを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
には、第1ないしいずれかの発明において、酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、純酸化亜鉛粉末を圧縮成型した錠剤状の酸化亜鉛塊を炉内の被処理物を設置すべき位置に設置して酸化亜鉛単結晶ウエファーに施す熱処理とおなじ熱処理条件での熱処理を施して得られる酸化亜鉛塊に関して、その熱処理済み酸化亜鉛塊に紫外線発生器で発生させた酸化亜鉛のバンド間遷移によって吸収されるに適当な波長の紫外線を照射し、紫外線照射下にあるその熱処理済み酸化亜鉛塊の発する光を分光器によって分光した発光スペクトルを計測した場合に、その熱処理済み酸化亜鉛が発する光のうち、波長370〜390nmの間にある紫外線発光の強度が、波長400〜800nmの可視発光ピークの強度に比べて高い強度となるように選択された炉壁材質、発熱体材質を使用した熱処理炉を用いて熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法を提供する。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法は、水熱合成法によって育成された酸化亜鉛単結晶を、平坦表面を有する導電性単結晶ウエファーとして提供する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、ウエファー状に切り出された酸化亜鉛単結晶に対して、単結晶が育成された直後の状態でもつ電気抵抗率に比べて低抵抗の状態に至らしめ、かつ熱処理後の結晶のフォトルミネッセンス特性において375〜385nmの範囲にある紫外発光ピークの相対強度が400〜800nmに見られる紫外発光ピークの相対強度に対して高い発光状態に至らしめる、低抵抗化のための前段熱処理と、次いで酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせず、酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーの間に酸化亜鉛単結晶を挟み込み、その状態で酸化亜鉛単結晶に対して行う、平坦化のための後段熱処理の、少なくとも2段階の熱処理工程を含むことを大きな特徴としている。
この出願の発明の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法において、低抵抗化のための前段熱処理は、結晶中に含まれる揮発性不純物を除去することが目的であり、酸化亜鉛単結晶を1対の熱処理用鞘ウエファーの間に挟み込むことで酸化亜鉛単結晶に蓋をしてしまうと、その揮発を阻害し熱処理の効果が損なわれてしまうため、酸化亜鉛単結晶を熱処理用鞘ウエファーに挟み込むといったことは行わない。一方、平坦化のための後段熱処理は必要以上の酸素、亜鉛成分の揮発を抑制することを目的としており、酸化亜鉛単結晶を熱処理用鞘ウエファーの間に挟み込む。このようにすることで、酸化亜鉛単結晶ウエファーの低抵抗化および平坦化が実現される。
水熱合成酸化亜鉛単結晶に、低抵抗性、平坦性、可視発光を与えない欠陥状態を付与するためには、未処理単結晶に含まれているアクセプター形成の原因となる不純物の除去乃至ドナー準位の形成、蒸発再析出による表面原子配列の再構成、欠陥発光の原因となる、ドナー、およびアクセプター準位の欠陥状態の制御、という課題を解決する必要があり、これらを熱処理によって解決する。
この場合、欠陥あるいは不純物の拡散現象を利用することが必須である。すなわち、高抵抗性の原因となる欠陥と不純物が酸化亜鉛単結晶ウエファー外に脱離するに足る高温に置いて熱処理すること、あるいは、低抵抗性の原因となる欠陥と不純物を酸化亜鉛単結晶ウエファーに導入することによって低抵抗化を実現する。このため、結晶内と結晶外との間の結晶表面を介した物質移動が必須であり、その酸化亜鉛単結晶ウエファーとの物質移動を阻害する原因となる材質に酸化亜鉛単結晶ウエファーを担持させずに、また、拡散が誘起されるに足る高温において熱処理を施す。一方、平坦化の処理にあたっては、その酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面拡散を誘起し、結晶本来が有する熱力学的性質である表面エネルギーを低減させるための表面原子配列の再配列を誘起する。ただし、表面原子の再配列が自由表面を有している場合には、酸化亜鉛単結晶ウエファーからの酸化亜鉛構成成分の気化蒸発、あるいは環境からの酸化亜鉛単結晶ウエファー表面への析出物の付着を未然に防止する必要があるため、その酸化亜鉛単結晶ウエファー表面を覆う鞘に納めた状態で熱処理する。低抵抗化の熱処理の処理時間を短縮して生産性を高めるためには、表面を介した物質移動を抑止することは不適切である。したがって、低抵抗化処理と平坦化処理は、おなじ熱処理でありながら、相反する原理に基づくものであるため、低抵抗化の熱処理を前投の熱処理とし、平坦化の熱処理を後段の熱処理とし、少なくとも2段階の熱処理を含む工程を利用することで、問題を解決する。
また、ドナー準位の原因となる不純物元素をその酸化亜鉛単結晶ウエファーに導入することなく低抵抗化を実現するためには、これを達するために実施する前段熱処理時に、アクセプターとなる元素を酸化亜鉛単結晶ウエファーから除去する熱処理を施す。この熱処理にあたっては、不純物の混入を避けるため、処理対象物である酸化亜鉛単結晶ウエファーを純酸化亜鉛粉末や純酸化亜鉛磁器にて覆った状態で熱処理を施す。
ドナー準位の原因となる不純物元素を酸化亜鉛単結晶ウエファーに導入することなく低抵抗化を実現するには、これを達するために実施する前段熱処理時の熱処理温度、熱処理時間の最適値を知る必要がある。最適値の決定には、熱処理後の酸化亜鉛単結晶ウエファーの面内の電気抵抗率分布、あるいは発光スペクトル波形の面内場所依存性を評価することによって、特に、熱処理時間が十分であったかを判断する。
平坦化処理にあたっては、これを実現するための後段熱処理において、酸化亜鉛単結晶ウエファーに覆いをかけた状態で熱処理を実施することにより、平坦化を誘起する。とくにこの平坦化処理にあたっては、研磨された固体であって、平坦化のための熱処理温度において酸化亜鉛との反応性のない材質を選択する。
平坦化処理において、酸化亜鉛と反応しない典型的な熱処理用鞘として、酸化ジルコニウム単結晶質を利用する。酸化ジルコニウムは、非特許文献3に示されるように、固相反応による薄膜結晶質の合成のための鞘として利用する。また、平坦化のための後段熱処理においては、走査型原子間力鋸微鏡の観察により、酸化亜鉛結晶の格子定数、あるいは、その2倍の高さを段差とするステップが観測される表面状態が実現されることを目安としてその熱処理時間と熱処理温度を決定する。
また一方で、酸化亜鉛単結晶ウエファーの低抵抗化のための前段熱処理において、酸化亜鉛中でドナー準位を形成する異元素を導入して低抵抗化をはかるためには、所定の熱処理温度において、アルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種が気相を介して被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面に到達できる環境ので熱処理を施すか、もしくはアルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種の蒸気を生じさせる材質と水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーとを隣接させた状態において熱処理し、気相から酸化亜鉛単結晶ウエファーに異元素を拡散することによって、低抵抗化を実現する。
この異元素導入による低抵抗化を施した後に、酸化亜鉛単結晶ウエファーを後段熱処理に提供し、その表面を平坦化する。
低抵抗化のための前段熱処理において、酸化亜鉛中でドナー準位を形成する異元素を導入して低抵抗化をはかるためには、所定の熱処理温度において、酸化亜鉛ウエファーと接触させておくことで、固相拡散によって、アルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種の元素を酸化亜鉛単結晶ウエファーに供給することが可能な材質を酸化亜鉛に接触させて、熱処理を施すことで、低抵抗化を実現する。この異元素導入による低抵抗化を施した後に、酸化亜鉛単結晶ウエファーを後段熱処理に供し、その表面を平坦化する。
平坦化処理において、酸化亜鉛と反応しない典型的な熱処理用鞘として、酸化ジルコニウム単結晶質を利用する。酸化ジルコニウムは、非特許文献3に示されるように、固相反応による薄膜結晶質の合成のための鞘として利用する。
異元素の導入によって低抵抗化をはかる場合に、その熱処理時間と熱処理温度を最適化するための目安として、その酸化亜鉛単結晶ウエファーの面内電気抵抗分布を計測し、その分布が消失し、面内抵抗が均一化することを目安にする。
酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造において、平坦化処理を施した後に、研磨剤を用いた切断を行うと、格子歪みを誘起し結晶性が低下することがあるため、これを行わない。
酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造のための熱処理工程において、熱処理に供する炉の構成素材、熱源からの不純物の混入は結果として、ウエファー抵抗の低抵抗化の阻害や、酸化亜鉛単結晶ウエファーが不純物由来の可視光発光を呈するようになるという好ましくない結果を与えるため、この出願の発明による熱処理過程において使用する熱処理用炉については、その炉の使用が原因となる不純物混入の可能性の有無を評価し、不純物混入の可能性が見られた場合には、炉壁材質を変更し、炉壁由来の不純物の混入を抑止する。
この出願の発明においては、炉由来の不純物の混入の可能性が無いことが認められた炉壁材料からなる熱処理炉において、熱処理を実施する。
この出願の発明の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法は、結晶性に優れた水熱合成酸化亜鉛単結晶体を導電性単結晶ウエファーとして電子・電機産業に応用できる平坦性の高い基板として応用可能な状態にならしめることを目的とした製造法であって、ウエファー状に切り出された酸化亜鉛単結晶に対して、ドナー準位を形成する異元素の導入を行うことなしに酸化亜鉛単結晶が育成された直後の状態でもつ電気抵抗率に比べて低抵抗の状態に至らしめることを特徴とし、かつ熱処理後の結晶のフォトルミネッセンス特性において375〜385nmの範囲にある紫外発光ピークの相対強度が400〜800nmに見られる紫外発光ピークの相対強度に対して高い発光状態に至らしめる、低抵抗化のための前段熱処理と、酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせない酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーの間に酸化亜鉛を挟み込んだ状態でその酸化亜鉛単結晶に対して行う、平坦化のための後投熱処理の、少なくとも2段階の熱処理工程を含む酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。その工程の一例を図1に示す。
この出願の発明は、光・電子素子として利用可能な可視発光を与えない酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することであり、その製造に供する水熱合成酸化亜鉛単結晶として、375〜385nmの範囲にある紫外発光ピークの相対強度が400〜800nmに見られる紫外発光ピークの相対強度に対して高い水熱合成酸化亜鉛単結晶体を用いる。前段熱処理は、酸化亜鉛単結晶ウエファー中のアクセプター濃度を低減して、電子濃度を増加させるための処理であり、ここで、不純物の混入があると、フォトルミネッセンス特性、ないしカソードルミネッセンス特性において375〜385nmの範囲にある紫外発光ピークの相対強度が400〜800nmに見られる紫外発光ピークの相対強度に対して高くなる特徴が損なわれる恐れがあるため、不純物の混入が発生しない熱処理炉を使用することが望ましい。
また、熱処理にあたっての雰囲気、温度、処理時間は特にこれを指定しないが、酸化亜鉛の昇華による単結晶ウエファーの消失の恐れがあるため、これが顕著に起こらない条件で熱処理することが必要である。前段熱処理、後段熱処理ともに、空気中で1200℃又は1300℃での熱処理が好ましい。酸素中では、酸化亜鉛の昇華が抑制されるため、より高温での処理が可能となり、酸素を含まない雰囲気での熱処理では、1000℃以上の高温では、特に昇華が活発になるため、酸素を含まない雰囲気での熱処理は好ましくない。また、窒素が酸化亜鉛に導入された場合、アクセプター準位を形成することが指摘されており、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーに結果として窒素添加をもたらす様な雰囲気、たとえば、アンモニアを含有する雰囲気での熱処理は、この出願の発明の前段熱処理として不適切である。
また、酸化亜鉛単結晶ウエファーの平坦性を高めるため、前段熱処理と後段熱処理の間の1回、あるいは前段熱処理の前と後段熱処理の前の2回、酸化亜鉛単結晶ウエファーに対して研磨を施さなければならない。研磨の方法は特に指定しないが、表面荒さが10nm、あるいはそれ以下に研磨されていることが望ましい。
平坦性を高めるための後段熱処理において使用する熱処理用鞘については、熱処理温度において軟化する材料は不適切であり、熱処理温度においても硬度のある材料を使用する。また、アルミニウム、リチウムを含有するような化合物を鞘として利用すると、リチウムが酸化亜鉛単結晶ウエファーに拡散して前段熱処理で得られた低抵抗性が損なわれることになるため使用すべきではない。さらに、アルミニウムナ質のように酸化亜鉛との反応が起こり、平坦化処理の熱処理中に鞘とウエファーとの反応が期待される材質は鞘として不適切である。
この出願の発明は、不純物添加を伴わない熱処理によって水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーを低抵抗化し、その後に熱処理用の鞘に収めた状態の酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する、少なくとも2段階の熱処理を施すことによって平坦化された表面を有する電気伝導性酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することであり、その前段熱処理である低抵抗化処理にあたって、酸化亜鉛単結晶ウエファーを酸化亜鉛粉体中に埋包した状態、あるいは、1対の酸化亜鉛磁器の間隙に挟み込んだ状態において、熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
ここで、純酸化亜鉛材質にウエファーを納めることには、2つの目的があり、1つは、不純物が外部から被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーに混入することを妨げるものであり、もう1つは、酸化亜鉛単結晶ウエファーの昇華を抑制するために、亜鉛蒸気圧を保つという目的である。熱処理に用いる熱処理炉が不純物の混入をもたらさない清浄な雰囲気を実現できる装置になっていて、また、酸化亜鉛の昇華を抑制できる熱処理条件が実現していれば、必ずしも、この純酸化亜鉛材質で被処理物を覆うという操作を行う必要はない。またとくに、この低抵抗化処理の後に研磨工程を実施する製造工程をとった場合、昇華によって酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面に凹凸が発生しても、後の研磨工程においてこれを取り除くことが可能であるため、昇華を防止するという目的で、酸化亜鉛材質で被処理物を覆うという工程は必須ではない。
また、清浄な炉内で熱処理を施す場合にも、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーから脱離した不純物成分が、熱処理を炉汚染する可能性があるため、この脱離物を捉えて、その拡散を防ぐための汚染防止の「鞘」という意味において、純酸化亜鉛材質で被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーを覆った状態で熱処理することは有効である。ここでは、酸化亜鉛基材質を覆いとして用いた低抵抗化熱処理によって一定の効果を示すことを示すものであり、必ずしも、低抵抗化熱処理の際に、純酸化亜鉛基材質で覆わなければいけないという限定を加えるものではない。低抵抗化熱処理に際して、水熱合成法に由来する酸化亜鉛単結晶ウエファー中の不純物がその酸化亜鉛単結晶ウエファーから脱離する際にその脱離を妨げない材質であり、また、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファー中へのドナーやアクセプター準位の形成をもたらす不純物の拡散を助長する材質ではなければ、酸化亜鉛材質以外の覆いを用いることは可能である。
被処理物を純酸化亜鉛材質で覆って熱処理する際の熱処理条件として、特にこれを指定しないが、酸化亜鉛の昇華による単結晶ウエファーの消失の恐れがあるため、これが顕著に起こらない条件で熱処理することが必要である。前段熱処理、後段熱処理共に、空気中で1200℃又は1300℃での熱処理が好ましい。酸素中では、酸化亜鉛の昇華が抑制されるため、より高温での処理が可能となり、また、酸素を含まない雰囲気での熱処理では、1000℃以上の高温では特に昇華が活発になるため、酸素を含まない雰囲気での熱処理は好ましくない。また、窒素が酸化亜鉛に導入された場合、アクセプター準位を形成することが指摘されており、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーに結果として窒素添加をもたらすような雰囲気、例えば、アンモニアを含有する雰囲気での熱処理は、この出願の発明の前段熱処理として不適切である。
この出願の発明は、不純物添加を伴わない熱処理によって水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーを低抵抗化し、その後に熱処理用の鞘に収めた状態の酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する、少なくとも2段階の熱処理を施すことによって平坦化された表面を有する電気伝導性酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することであり、特に、低抵抗化のために実施する前段の熱処理においてその熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率の面内分布を測定した際に、その面内分布が見られない状態が実現できるまでの長時間の前段熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
不純物添加をともなわない熱処理による低抵抗化のプロセスは、すなわち、アクセプターとなるアルカリ金属元素をウエファー外に導き出すことである。したがって、その製造工程における熱処理温度、熱処理時間は、取り除こうとするアクセプター種の拡散係数と濃度、また被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーの寸法に依存する。このため、適切な熱処理条件を求める必要がある。この際、目安として有効なのは、熱処理した後に既処理酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率の面内分布を計測して、その分布が見られない状態を実現する条件を求める必要がある。分布が認められた場合、熱処理温度を変えずに長時間処理を施すか、あるいは、処理温度を高温にして処理時間を保つか、あるいは、より高温で長時間の処理を施すか、何れかを選択することができる。その際、先に示した昇華、不純物の混入が発生しないことを念頭に、条件を定めなければならない。
後述での比較例に見られるように、電気抵抗率の均質性が実現されない熱処理条件において処理された元来リチウムを不純物として含む酸化亜鉛単結晶ウエファーにあっては、そのキャリアー濃度を評価するための手法である一般的なホール係数測定の結果において求められたホール係数の符号が負ではなく正となることが起こりえる。この出願の発明が目的とするのは、負のホール係数を示し、低抵抗化された酸化亜鉛単結晶ウエファーであり、ホール係数が正となることは、この出願の発明が目指すところではない。従って、この出願の発明の実施においては、熱処理の結果として得られる酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率の面内分布にあっては、その分布が無くなるような熱処理条件を決定した後に製造を実施することが推奨される。
ただし、この出願の発明による導電性を有し、かつ平坦性を有する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造を実施する際に、原材料として用いる酸化亜鉛単結晶ウエファーが元来不均質なものであった場合、この出願の発明の有効性が制限されることがある。すなわち、ウエファー上にスライスした酸化亜鉛単結晶中にクラックの存在が認められる場合、不純物濃度の極端な分布が認められる場合がこれにあたる。このように、元来、この出願の発明による酸化亜鉛単結晶ウエファー製造に不適切な酸化亜鉛単結晶を用いる場合、電気抵抗率の面内分布は熱処理時間を調整しても、そのウエファー内に電気抵抗率の分布が存在した状態から脱することは難しい。そのため、低抵抗のための前段熱処理を施す前に、概算か酸化亜鉛単結晶の電気抵抗率分布、クラックの有無、インクルージョンの有無を評価して、その均一性に問題がないことを確認した後に、この出願の発明による熱処理に取りかかることが望ましい。
またこの出願の発明は、不純物添加を伴わない熱処理によって水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーを低抵抗化し、その後に熱処理用の鞘に収めた状態の酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する、少なくとも2段階の熱処理を施すことによって平坦化された表面を有する電気伝導性酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することであり、熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンス強度の面内分布を測定した際に、その面内分布が見られない状態が実現できるまでの長時間の熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
不純物添加を伴わない熱処理による低抵抗化のプロセスは、すなわち、アクセプターとなるアルカリ金属元素を酸化亜鉛単結晶ウエファー外に導き出すことである。従って、その製造工程における熱処理温度、熱処理時間は・取り除こうとするアクセプター種の拡散係数と濃度、また、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーの寸法に依存する。このため、適切な熱処理条件を求める必要がある。この際、目安として有効なのは、熱処理した後に既処理酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンス強度、ないしカソードルミネッセンス強度の面内分布を計測して、その分布が見られない状態を実現する条件を求める必要がある。分布が認められた場合、熱処理温度を変えずに長時間処理を施すか、あるいは、処理温度を高温にして処理時間を保つか、あるいは、より高温で長時間の処理を施すか、何れかを選択することができる。その際・先に示した昇華、不純物の混入が発生しないことを念頭にして、条件を定めなければならない。
ただし、この出願の発明による導電性を有し、かつ、平坦性を有する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造を実施する際に、原材料として用いる酸化亜鉛単結晶ウエファーが元来不均質なものであった場合、この出願の発明の有効性が制限されることがある。すなわち、ウエファー上にスライスした酸化亜鉛単結晶中にインクルージョンの存在が認められる場合、不純物濃度の極端な分布が認められる場合がこれにあたる。このように元来、この出願の発明による酸化亜鉛単結晶ウエファー製造に不適切な酸化亜鉛単結晶を用いる場合、電気抵抗率の面内分布は熱処理時間を調整しても、そのウエファー内にカソードルミネッセンス強度ないしフォトルミネッセンス強度の分布が存在した状態から脱することは難しい。
さらにこの出願の発明は、不純物添加を伴わない熱処理によって、水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーを低抵抗化し、その後に熱処理用の鞘に収めた状態の酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する、少なくとも投階の熱処理を施すことによって平坦化された表面を有する電気伝導性酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することであり、平坦化のために、熱処理用の鞘に収めた状態の酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する際に、酸化亜鉛単結晶ウエファーを1対の研磨された酸化ジルコニウム単結晶を熱処理用鞘ウエファーとして使用し、その熱処理用鞘ウエファーに酸化亜鉛単結晶ウエファーを挟み込んだ状態で熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
このとき、酸化亜鉛単結晶ウエファーの平坦化処理において、研磨された酸化亜鉛単結晶と、研磨された酸化ジルコニウム単結晶とを空間を作らないように接触させ、酸化ジルコニウム単結晶にて酸化亜鉛単結晶をサンドイッチした状態を作り、この状態で平坦化熱処理を施すことによって、平坦な酸化亜鉛表面を実現する。
この際、薄膜材質の結晶化を誘起して高品質の薄膜を製造する方法である非特許文献3では、薄膜のエピタキシャルな成長を期待するものであるために、酸化ジルコニウム結晶の方位が規定される必要があるが、この出願の発明における酸化ジルコニウム結晶は、特に、酸化亜鉛と反応せず、平坦化熱処理後にあっても、容易に酸化ジルコニウムと酸化亜鉛とを取り外すことができる点に意義がある。
またこの出願の発明は、酸化ジルコニウム結晶を利用することによって一定の効果が得られることを示すものである。しかし、この出願の発明の実施において、酸化亜鉛との反応性が低く、酸化亜鉛に対してドナーやアクセプターを形成する不純物を導入する原因とならない材質であれば利用可能であり、平坦化熱処理用鞘ウエファーとして、酸化ジルコニウム結晶を使用せず、他の材質を使用することも可能である。例えば、イットリウム安定化酸化ジルコニウム単結晶を用いることができる。
この出願の発明は、不純物添加を伴わない熱処理によって、水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーを低抵抗化し、その後に熱処理用の鞘に収めた状態の酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する、少なくとも2段階の熱処理を施すことによって平坦化された表面を有する電気伝導性酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することも可能であり、後段熱処理を施した後に、走査型原子間力顕微鏡の観察により、酸化亜鉛結晶の格子定数、あるいはその2倍の高さを段差とするステップが観測される表面状態が実現されるまでの長時間の後投熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
生産性を高めた平坦化処理を行うにあたっては、その平坦性が十分に達成されたことを知り、必要かつ十分な熱処理温度、熱処理時間を知る必要がある。ここでは、一般的な走査型原子間力顕微鏡において、その平坦化処理後の酸化亜鉛単結晶ウエファー表面を観察することで、平坦性の確認が可能である。
特に、酸化亜鉛の表面では、その格子定数、あるいは格子定数の2倍を単位とするステップが観測されるようになった場合に、平坦化が完了したと判断できる。
ここで、単位格子を単位とするステップ上の段差の周期が、製造したウエファーによって異なる場合がある。これは、ウエファーを切り出す工程、あるいは、ウエファーを研磨する工程においてその表面が目的とする面方位に対してずれている可能性があるため、そのズレを確認する必要がある。また、平坦化処理を施した後に行う走査型原子間力顕微鏡による観察において、格子定数を単位とするステップではない、より大きな高低差が認められた場合、研磨から切断までの工程において発生した傷がそのまま残存している可能性が示唆されるため、研磨工程、切断工程における傷の発生の有無を検討しておく必要が生じる。
なお、この出願の発明は走査型原子間力顕微鏡による評価が、平坦化処理の熱処理条件の適正を判断する上で有用な情報を与えてくれるものであることを示すものであるが、走査型原子間力顕微鏡による観察は、必ずしも必須のものではなく、この出願の発明の実施にあたり、その評価方法を限定するものでもなく、また、この走査型原子力顕微鏡を用いた観察を行わなくとも、適当な処理条件で処理することにより平坦化は可能である。
またこの出願の発明は、熱処理温度においてアルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種の蒸気を生じさせる材質と水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーとを隣接させた状態において熱処理し、酸化亜鉛にドナー準位を形成させる処理を含む酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、このドナー準位を形成するための前段熱処理の後に、酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせない酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーの間に酸化亜鉛を挟み込んだ状態でその酸化亜鉛単結晶に対して平坦化のための後段熱処理を施すことを特徴とする、すなわち、少なくとも2段階の熱処理工程を含むことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
ここで、気相を介して酸化亜鉛単結晶ウエファーにドナー準位を形成するためのアルミニウム、ガリウム、インジウムのうちから選択される少なくとも1種の元素の供給方法は、特にこれを指定しない。例えば、酸化ガリウムを高温で加熱することによって生じさせたガリウム蒸気であることも可能であり、有機金属ガスを熱処理炉に導入することも可能である。何れの形態であっても、水熱合成酸化亜鉛単結晶ウエファーの熱処理中にドナー準位を形成する原因となる、アルミニウム、インジウム、ガリウムのうちの少なくとも1種を添加することが電気抵抗率を低下させる結果を導く。しかし、アルミニウム、ガリウム、インジウムのうちのいずれかの元素以外の元素が被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーに混入することがないように注意する必要がある。例えば、リチウムが混入した場合、その導電性の向上が混入したリチウムの濃度によって限定される場合がある。
またここで注意すべき点は、酸化亜鉛中のドナー濃度は、単純に添加した、アルミニウム、ガリウム、インジウムのうちの少なくとも1種の元素の濃度によって単純に決定されるものではなく、熱処理に際しての炉内の雰囲気に依存する。高い酸素分圧の環境下では、ドープされたアルミニウム、インジウム、ガリウムのうちの少なくとも1種、あるいはその組み合わせからなる添加元素を供給しても、導電性を付与できない場合がある。そのため、比較的低い酸素分圧で、酸化亜鉛の昇華が起こらない範囲の温度にて熱処理して、これらの異元素を被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファー中に拡散させて、電気抵抗率の低下を実現する。
さらに注意すべきこととして、酸化亜鉛中のキャリアー濃度が増加した場合、プラズマ周波数の効果が可視光の反射率に現れるようになり、被処理物である酸化亜鉛単結晶が、透明でなく、有色の材質として見えるように変化する。したがって、こうしたドナーを形成する不純物の拡散による低抵抗化においては、その不純物の添加量を制御して、目的の光透過率、および、光反射率が実現されるような熱処理条件、並びに、アルミニウム、ガリウム、インジウムの少なくとも1種、あるいは、その組み合わせからなる不純物の添加量を最適化しておく必要がある。
そして、この出願の発明は、製造工程の中に、熱処理温度においてアルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種を含む材質と水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーとを接触させた状態において熱処理し、酸化亜鉛にドナー準位を形成させる処理を含む酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、このドナー準位を形成するための前段熱処理の後に、酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせない酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーの間に酸化亜鉛を挟み込み、その状態でその酸化亜鉛単結晶に対して平坦化のための後段熱処理を施すことを特徴とする、すなわち、少なくとも2段階の熱処理工程を含むことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
ここで、酸化亜鉛単結晶ウエファーと接触することにより固相界面を介して供給する酸化亜鉛単結晶ウエファーにドナー準位を形成するためのアルミニウム、ガリウム、インジウムのうちから選択される少なくとも1種の元素の供給方法は、特にこれを指定しない。例えば、ガリウムを添加した酸化亜鉛磁器を接触させておくことも可能である。しかし、アルミニウム、ガリウム、インジウムのうちのいずれかの元素以外の元素が被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーに混入することがないように注意する必要がある。たとえば、リチウムが混入した場合、その導電性の向上が混入したリチウムの濃度によって限定される場合がある。
また、ここで注意すべき点は、酸化亜鉛中のドナー濃度は、単純に添加した、アルミニウム、ガリウム、インジウムのうちの少なくとも1種の元素の濃度によって単純に決定されるものではなく、熱処理に際しての炉内の雰囲気に依存する。高い酸素分圧の環境下では、ドープされたアルミニウム、インジウム、ガリウムのうちの少なくとも1種、あるいはその組み合わせからなる添加元素を供給しても、導電性を付与できない場合がある。そのため、比較的低い酸素分圧で、酸化亜鉛の昇華が起こらない範囲の温度にて熱処理して、これらの異元素を被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファー中に拡散させて、電気抵抗率の低下を実現する。
さらに注意すべきこととして、酸化亜鉛中のキャリアー濃度が増加した場合、プラズマ周波数の効果が可視光の反射率に現れるようになり、被処理物である酸化亜鉛単結晶が透明でなく、有色の材質として見えるように変化する。したがって、こうしたドナーを形成する不純物の拡散による低抵抗化においては、その不純物の添加量を制御して、目的の光透過率、および光反射率が実現されるような熱処理条件、並びに、アルミニウム、ガリウム、インジウムの少なくとも1種、あるいはその組み合わせからなる不純物の添加量を最適化しておく必要がある。
この出願の発明は、ドナー準位を形成する不純物である、アルミニウム、ジルコニウム、インジウムのうちの少なくとも1種を、水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーに熱処理によって導入することにより、酸化亜鉛単結晶ウエエファーを低抵抗化し、その後に熱処理用の鞘に収めた状態の酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する、少なくとも、2段階の熱処理を施すことによって平坦化された表面を有する電気伝導性酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することであり、平坦化のために酸化亜鉛単結晶ウエファーを鞘に収めた状態で熱処理する際に、その酸化亜鉛単結晶ウエファーを1対の研磨された酸化ジルコニウム単結晶を熱処理用鞘ウエファーとして使用し、その鞘ウエファーに酸化亜鉛単結晶ウエファーを挟み込んだ状態で熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
酸化亜鉛単結晶ウエファーの平坦化処理において、研磨された酸化亜鉛単結晶と、研磨された酸化ジルコニウム単結晶とを空間を作らないように接触させ、酸化ジルコニウム単結晶にて酸化亜鉛単結晶をサンドイッチした状態を作り、この状態で平坦化熱処理を施すことによって、平坦な酸化亜鉛表面を実現する。
この際、薄膜材質の結晶かを誘起して高品質の薄膜を製造する方法である非特許文献3では、薄膜のエピタキシャルな成長を期待するものであるために、酸化ジルコニウム結晶の方位が規定される必要があるが、この出願の発明の指す酸化ジルコニウム結晶は、特に、酸化亜鉛と反応せず、平坦化熱処理後にあっても、容易に酸化ジルコニウムと酸化亜鉛とを取り外すことができる点に意義がある。
また、この出願の発明は、酸化ジルコニウム結晶を利用することによって一定の効果が得られることを示すものである。しかし、この出願の発明の実施において、酸化亜鉛との反応性が低く、酸化亜鉛に対してドナーやアクセプターを形成する不純物を導入する原因とならない材質であれば利用可能であり、平坦化熱処理用鞘ウエファーとして、酸化ジルコニウムを使用せず、他の材質を使用することも可能である。例えば、イットリウム安定化酸化ジルコニウム単結晶を用いることができる。
また、この出願の発明の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法は、ドナー準位を形成する不純物である、アルミニウム、ジルコニウム、インジウムのうちの少なくとも1種を、水熱合成された酸化亜鉛単結晶ウエファーに熱処理によって導入することにより、酸化亜鉛単結晶ウエファーを低抵抗化し、その後に熱処理用の鞘に収めた状態の酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する、少なくとも、2段階の熱処理を施すことによって平坦化された表面を有する電気伝導性酸化亜鉛単結晶ウエファーを製造することであり、酸化亜鉛単結晶ウエファーを熱処理する際に、熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率の面内分布を測定した際に、その面内分布が見られない状態が実現できるまでの長時間の熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの熱処理を前段熱処理とすることを特徴とするものである。
不純物添加を伴う熱処理による低抵抗化のプロセスは、すなわち、ドナーとなる元素を酸化亜鉛単結晶ウエファー内に導入すること、あるいは、ドナーとなる元素の酸化亜鉛単結晶ウエファー内への導入とアクセプターとなるアルカリ金属元素を酸化亜鉛単結晶ウエファー外に導き出すこととを同時に実現することである。従って、その製造工程における熱処理温度、熱処理時間は、酸化亜鉛単結晶ウエファー内に導こうとするドナー種、あるいは、そのドナー種と取り除こうとするアクセプター種の拡散係数と濃度、また、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーの寸法に依存する。このため、適切な熱処理条件を求める必要がある。この際、目安として有効なのは、熱処理した後に既処理酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率の面内分布を計測して、その分布が見られない状態を実現する条件を求める必要がある。分布が認められた場合、熱処理温度を変えずに長時間処理を施すか、あるいは、処理温度を高温にして処理時間を保つか、あるいは、より高温で長時間の処理を施すか、何れかを選択することができる。その際、先に示した昇華、不純物の混入が発生しないことを念頭に、条件を定めなければならない。
ただし、この出願の発明による導電性を有し、かつ、平坦性を有する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造を実施する際に、原材料として用いる酸化亜鉛単結晶ウエファーが元来不均質なものであった場合、この出願の発明の有効性が制限されることがある。すなわち、ウエファー上にスライスした酸化亜鉛単結晶中にクラックの存在が認められる場合、不純物濃度の極端な分布が認められる場合がこれにあたる。このように、元来、この出願の発明による酸化亜鉛単結晶ウエファー製造に不適切な酸化亜鉛単結晶を用いる場合、電気抵抗率の面内分布は熱処理時間を調整しても、そのウエファー内に電気抵抗率の分布が存在した状態から脱することは難しい。そのため、低抵抗化のための前段熱処理を施す前に、概算か亜鉛単結晶の電気抵抗率分布、クラックの有無、インクルージョンの有無を評価して、その均一性に問題がないことを確認した後に、この出願の発明による熱処理に取りかかることが望ましい。
またこの出願の発明においては、すくなくとも、前段、後段の2段階からなる熱処理の後に、研削剤を利用した切断工程を含まないようにするといったことも可能である。研削剤を利用した切断工程は、その機械的な応力によって、酸化亜鉛単結晶ウエファーの組成変形を誘起し、この組成変形は、すなわち、結晶性の劣化であり、エピタキシャル基板として製造された酸化亜鉛単結晶ウエファーを利用する際に、そのエピタキシャル成長の完全性を阻害する要因となることがある。したがって、この出願の発明による、低抵抗化のための前投熱処理と、平坦化のための後段熱処理の少なくとも2段階の熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛ウエファーの製造において、後段の平坦化処理の後に機械的応力を伴う切断工程を実施することは、好ましくない。
さらにこの出願の発明においては、純酸化亜鉛粉末を圧縮成型した錠剤状の酸化亜鉛塊を炉内の被処理物を設置すべき位置に設置して酸化亜鉛単結晶ウエファーに施す熱処理とおなじ熱処理条件での熱処理を施して得られる酸化亜鉛塊に関して、熱処理済み酸化亜鉛塊に紫外線発生器で発生させた酸化亜鉛のバンド間違移によって吸収されるに適当な波長の紫外線を照射し、紫外線照射下にあるその熱処理済み酸化亜鉛塊の発する光を分光器によって分光した発光スペクトルを計測した場合に、その熱処理済み酸化亜鉛が発する光のうち、波長370〜390nmの間にある紫外線発光の強度が、波長400〜800nmの可視発光ピークの強度に比べて高い強度となることをよりどころとして選択された炉壁材質、発熱体材質を使用した熱処理炉を用いて熱処理を施すことも可能である。
この出願の発明において製造される酸化亜鉛単結晶ウエファーは、光学あるいは電子素子として利用されることを目的としたものであり、不意の不純物の混入による酸化亜鉛単結晶ウエファーの導電性の劣化、あるいは、その結晶性の劣化を避けて製造される必要がある。ここで示した発光特性による炉の状態の評価を実施することにより、不意の不純物混入の可能性を低減し、生産性を向上させることが可能である。しかし、本試験法によらない方法によって選択された炉を用いた酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造も可能である。すなわち、この出願の発明の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法は、所望の特性を有する酸化亜鉛単結晶が得られない状況が生じた際に実施することにより、その所望の特性が得られない原因として、炉を構成する構成要素に問題の起源があるか否かを判断するための有効な方法を与えるものである。
またこの出願の発明においては、純酸化亜鉛粉末を圧縮成型した錠剤状の酸化亜鉛塊を炉内の被処理物を設置すべき位置に設置して酸化亜鉛単結晶ウエファーに施す熱処理とおなじ熱処理条件での熱処理を施して得られる酸化亜鉛塊に関して、その熱処理済み酸化亜鉛塊に紫外線発生器で発生させた酸化亜鉛のバンド間違移によって吸収されるに適当な波長の紫外線を照射し、紫外線照射下にあるその熱処理済み酸化亜鉛塊の発する光を分光器によって分光した発光スペクトルを計測した場合に、その熱処理済み酸化亜鉛が発する光のうち、波長370〜390nmの間にある紫外線発光の強度が、波長400〜800nmの可視発光ピークの強度に比べて高い強度となることをよりどころとして選択された炉壁材質、発熱体材質を使用した熱処理炉を用いて熱処理を施す、低抵抗化のための前段処理と、平坦化のための後段処理の少なくとも2段階の工程からなる酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法である。
すなわち、この出願の発明による酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造を実施した場合において、この出願の発明の工程を実施したにもかかわらず、所望の特性を持たない酸化亜鉛単結晶ウエファーが製造された場合に、熱処理に供した炉からの不純物混入が原因となる場合が有る。この出願の発明による炉体からの不純物混入の有無の試験を実施し、問題となる炉構成要素の交換による炉の最適化を行った後に、この出願の発明による、低抵抗化のための前段熱処理と、平坦化のための後段熱処理との少なくとも2段階の熱処理からなる酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造を実施することにより、この出願の発明が本来目指す、低抵抗であり、かつ平坦表面を持った酸化亜鉛単化粧ウエファーの製造が実現される。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
<実施例1>
一般的な水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶体を、一般的な切断機によって、面内寸法10mm角で0.5mm厚のウエファーとして酸化亜鉛を切り出す。この切り出した酸化亜鉛に一般的なケミカルメカニカル研磨を施し、10mm角の表面を平坦化する。ここで得られた10mm角の酸化亜鉛単結晶体は、ホール係数による評価において、n型半導体であり、キャリアー濃度が1013cm-3、移動度が120cm2-1-1である、高抵抗の酸化亜鉛単結晶体である。また、この研磨された酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンススペクトルから得られる紫外発光ピーク強度は、相対的に、可視発光ピーク強度の10倍以上であった。この高抵抗の水熱合成酸化亜鉛単結晶ウエファーを、一般的な炊成法によって作成された1対の純酸化亜鉛焼結体に図4の左図の様にサンドイッチした状態で、一般的な電気炉中に設置する。ここで、純酸化亜鉛焼結体は、可視発光ピーク強度に比べて紫外発光ピーク強度が相対的に5倍以上強くなっている純酸化亜鉛焼結体であり、アルミニウム、ガリウム、インジウム、リチウム、ナトリウムの含有量が一般的な化学分析において検出限界以下となる純酸化亜鉛焼結体である。しかる後に、電気炉に電力を通じ、1200℃において、24時間加熱する。この熱処理の間、電気炉内の雰囲気は、空気に満たされた状態の雰囲気である。通電を中止し、室温まで温度が低下した電気炉より、熱処理された酸化亜鉛多結晶を取り出す。この時点で、酸化亜鉛単結晶ウエファーは、ホール係数による評価において、n型半導体であり、キャリアー濃度が1016cm-3、移動度が120cm2-1s-1である、低抵抗の酸化亜鉛単結晶体である。また、この低抵抗化された酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンススペクトルから得られる紫外発光ピーク強度は、可視発光ピーク強度に比べて相対的に高くなっており、また、顕著な面内場所依存性を示さない。この低抵抗化された酸化亜鉛単結晶に対し、ケミカルメカニカル研磨を施し、表面を平坦化しその時点での原子間力顕微鏡による表面凹凸観察において、図2にあるような像が得られ、表面荒さが0.1nmの状態となることがわかる。この研磨された酸化亜鉛単結晶ウエファーを、図4の右図の様に鏡面研磨された1対の酸化ジルコニウム単結晶の間にはさみ、一般的な電気炉内に設置する。しかる後に、電気炉に通電し、1200℃において、2時間の加熱処理を施す。炉温が室温まで下がるのを待ち、炉から熱処理を施した酸化亜鉛単結晶ウエファーを取り出す。この熱処理の後に、その酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面凹凸を原子間力顕微鏡により観察すると、図3の様に酸化亜鉛単位格子1個と2個に相当するステップと平坦表面となっているテラスとをもった、ステップandテラス構造をもった、平坦酸化亜鉛表面が得られていることが確認された。このプロセスにより、水熱合成酸化亜鉛単結晶の電気伝導率を1000倍高め、かつ、酸化亜鉛の単位格子を単位とするステップandテラス構造を呈する超平坦酸化亜鉛表面が実現される。予備的に実施したX線回折測定の結果において、一般的な水熱合成酸化亜鉛単結晶の熱処理前の時点での002指数のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅は0.007度、全ての熱処理を終えた酸化亜鉛単結晶の002X線回折ピークのロッキングカーブの半値幅も0.007度であり熱処理による結晶性の劣化は認められない。また、この平坦化処理された酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンススペクトルから得られる紫外発光ピーク強度は、相対的に、可視発光ピーク強度の10倍以上であった。
<実施例2>
一般的な水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶体を、一般的な切断機によって、面内寸法10mm角で0.5mm厚のウエファーとして酸化亜鉛を切り出す。この切り出した酸化亜鉛の10mm角の表面を一般的な研磨剤を利用して研磨する。ここで得られた10mm角の酸化亜鉛単結晶体は、ホール係数による評価において、n型半導体であり、キャリアー濃度が1013cm-3、移動度が140cm2-1s-1である、高抵抗の酸化亜鉛単結晶体である。この高抵抗の水熱合成酸化亜鉛単結晶ウエファーを、一般的なアルミナ質の炉心管を有する管状の電気炉に挿入する。しかる後に、電気炉に電力を通じ、1300℃において、炉心管内に酸素ガスを導きつつ、12時間加熱する。通電を中止し、室温まで温度が低下した電気炉より、熱処理された酸化亜鉛多結晶を取り出す。なお、ここで利用するアルミナ質の炉心管を有する管状電気炉に対して、純酸化亜鉛粉末を挿入しこれを1300℃で焼成した後に実施したフォトルミネッセンス測定において、炊成物が与える発光スペクトルでは、紫外発光ピーク強度に比べて可視発光ピーク強度が勝っており、また、予備的に実施した2次イオン質量分析質量分析によって、その焼成物からはアルミニウムの混入が認められた。すなわち、この実施例では、アルミナ質炉心管からのアルミの供給が起こり、この炉心管を利用した熱処理により、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーにアルミニウムが添加され、この混入したアルミニウムが酸化亜鉛中の亜鉛を置き換えることによって、ドナーが形成される。取り出したアルミニウムが添加された酸化亜鉛単結晶ウエファーに対して、ケミカルメカニカル研磨を施し、この時点で、酸化亜鉛単結晶ウエファーは、ホール係数による評価において、n型半導体であり、キャリアー濃度が1018cm-3、移動度が90cm2-1s-1である、低抵抗の酸化亜鉛単結晶体である。ここで見られるキャリアー移動度は、管状電気炉を用いた熱処理の前後で減少しているが、これはドナー準位の形成によりそのドナー準位が導電担体である電子の易動度の低下をもたらすためであり、酸化亜鉛単結晶ウエファーの品質の劣化を意味するものではない。原子間力顕微鏡による表面凹凸観察において、図2にあるような像が得られ、表面荒さが0.1nmの状態となることがわかる。この研磨された酸化亜鉛単結晶ウエファーを、鏡面研磨された1対のイットリウム安定化酸化ジルコニウム単結晶の間にはさみ、一般的な祐形電気炉内に設置する。ここで用いる祐形電気炉を用いて、純酸化亜鉛を焼成して得られた純酸化亜鉛炊成物が、可視発光ピーク強度に比べて紫外発光ピーク強度が相対的に5倍以上強くなっている純酸化亜鉛焼成物であり、アルミニウム、ガリウム、インジウム、リチウム、ナトリウムの含有量が一般的な化学分析において検出限界以下となる純酸化亜鉛焼成物となることが予め確かめられており、イットリウム安定化酸化ジルコニウム単結晶を用いた平坦加熱処理のための縮形電気炉は、酸化亜鉛単化粧ウエファー中のドナー、アクセプターの顕著な増加をもたらさない電気炉である。酸化ジルコニウム単結晶にサンドイッチした状態での被処理物を炉内に納めた後に、電気炉に通電し、1200℃において、2時間の加熱処理を施す。炉温が室温まで下がるのを待ち、炉から熱処理を施した酸化亜鉛単結晶ウエファーを取り出す。この熱処理の後に、その酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面凹凸を原子問力顕微鏡により観察すると、平坦酸化亜鉛表面が得られていることが確認された。このプロセスにより、水熱合成酸化亜鉛単結晶の電気伝導率を100000倍高め、かつ、原子のサイズのレベルで平坦な表面構造を呈する超平坦酸化亜鉛表面が実現される。
<比較例1>
一般的な水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶体を、一般的な切断機によって、面内寸法10mm角で0.5mm厚のウエファーとして酸化亜鉛を切り出す。この切り出した酸化亜鉛に一般的なケミカルメカニカル研磨を施し、10mm角の表面を平坦化する。ここで得られた10mm角の酸化亜鉛単結晶体は、ホール係数による評価において、n型半導体であり、キャリアー濃度が1013cm-3、移動度が120cm2-1-1である、高抵抗の酸化亜鉛単結晶体である。また、この研磨された酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンススペクトルから得られる紫外発光ピーク強度は、相対的に、可視発光ピーク強度の10倍以上であった。さらに、この研磨された酸化亜鉛単結晶の表面荒さは0.1nmの状態である。この高抵抗の水熱合成酸化亜鉛単結晶ウエファーを、鏡面研磨された1対の酸化ジルコニウム単結晶の間にはさみ、一般的な電気炉内に設置する。しかる後に、電気炉に通電し、1200℃において、2時間の加熱処理を施す。炉温が室温まで下がるのを待ち、炉から熱処理を施した酸化亜鉛単結晶ウエファーを取り出す。この熱処理の後に、図4に見られる電極配置にてホール係数測定を実施すると、酸化亜鉛単結晶ウエファーは、正のホール係数を示した。また、面内の電気抵抗率分布を計測したところ、その周辺部と中央部において、10倍以上の電気抵抗率の分布が認められた。一方、その酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面凹凸を原子間力顕微鏡により計測したところ、その表面は、平坦化されており、特に、そのステップ・テラス構造のテラス部分の表面荒さが0.07nmの状態になっている。以上から、本比較例による1段階の熱処理では、様面荒さの改善がもたらされたものの、導電性のウエファーを得るという目的は達せられておらず、この出願の発明の目的を達することができなかった。
<比較例2>
一般的な水熱合成法により得られた酸化亜鉛単結晶体を、一般的な切断機によって、面内寸法10mm角で0.5mm厚のウエファーとして酸化亜鉛を切り出す。この切り出した酸化亜鉛に−般的なケミカルメカニカル研磨を施し、10mm角の表面を平坦化する。ここで得られた10mm角の酸化亜鉛単結晶体は、ホール係数による評価において、n型半導体であり、キャリアー濃度が10-3cm-3、移動度が120cm2-1-1である、高抵抗の酸化亜鉛単結晶体である。
また、この研磨された酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンススペクトルから得られる紫外発光ピーク強度は、相対的に、可視発光ピーク強度の10倍以上であった。さらに、この研磨された酸化亜鉛単結晶の表面荒さは0・1nmの状態である。この高抵抗の水熱合成酸化亜鉛単結晶ウエファーを、一般的な電気炉内に設置する。しかる後に、電気炉に通電し、1200℃において、2時間の加熱処理を施す。
炉温が室温まで下がるのを待ち、炉から熱処理を施した酸化亜鉛単結晶ウエファーを取り出す。この熱処理の後に、図4に見られる電極配置にてホール係数測定を実施すると、酸化亜鉛単結晶ウエファーは、正のホール係数を示した。また、面内の電気抵抗率分布を計測したところ、その周辺部と中央部において、10倍以上の電気抵抗率の分布が認められた。一方、その酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面凹凸を原子間力顕微鏡により計測したところ・その表面は・平坦化されており、ステップ・テラス構造が認められ、特にそのテラス部分の表面荒さが0・07nmの状態になっている。以上から、本比較例による1投階の熱処理では、様面荒さの改善がもたらされたものの・導電性のウエファーを得るという目的は遺せられておらず、この出願の発明の目的を達することができなかった。
この出願の発明による酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法の一例を示す工程図である。 ケミカルメカニカル研磨を施した状態にあり、平坦化・および、低抵抗化のための熱処理を施していない一般的な水熱合成酸化亜鉛単結晶ウエファーの原子間力頼微鏡像である。 ケミカルメカニカル研磨を施したのちに、この出願の発明による平坦化・および・低抵抗化のための熱処理を施して製造された酸化亜鉛単結晶ウエファーの原子間力蹄微鏡像である。 低抵抗加熱処理、および、平坦加熱処理の際の被処理物であるウエファーとその被いの一例を示す配置図である。

Claims (9)

  1. 水熱合成法によって育成された酸化亜鉛単結晶を、平坦表面を有する導電性単結晶ウエファーとして提供する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、ウエファー状に切り出された酸化亜鉛単結晶に対して、単結晶が育成された直後の状態でもつ電気抵抗率に比べて低抵抗の状態に至らしめ、かつ熱処理後の結晶のフォトルミネッセンス特性において375〜385nmの範囲にある紫外発光ピークの相対強度が400〜800nmに見られる紫外発光ピークの相対強度に対して高い発光状態に至らしめ、高抵抗性の原因となる欠陥と不純物が酸化亜鉛単結晶ウエファー外に脱離するに足る高温に置く低抵抗化のための前段熱処理と、次いで酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせず、酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーとしての酸化ジルコニウム単結晶の間に酸化亜鉛単結晶を挟み込み、その状態で酸化亜鉛単結晶に対して行う、平坦化のための後段熱処理の、少なくとも2段階の熱処理工程を含むことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
  2. 前記低抵抗化のための前段熱処理工程において、酸化亜鉛単結晶ウエファーを酸化亜鉛粉体中に埋包した状態あるいは1対の酸化亜鉛磁器の間隙に挟み込んだ状態で熱処理を施すことを特徴とする請求項1記載の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
  3. 前記低抵抗化のための前段熱処理工程の終了時、あるいは前記平坦化のための後段熱処理工程の終了時に、熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率にあって、その値に面内分布が見られない状態が実現できることを条件として、低抵抗化のための前段熱処理の処理条件を決定することを特徴とする請求項1または2記載の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
  4. 前記低抵抗化のための前段熱処理工程の終了時、あるいは前記平坦化のための後段熱処理工程の終了時に、熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーのフォトルミネッセンス強度またはカソードルミネッセンス強度にあって、その値に面内分布が見られない状態が実現できることを条件として、低抵抗化のための前段熱処理の処理条件を決定することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
  5. 前記平坦化のための後段熱処理を実施するにあたり、工程中で表面平坦化を期待した熱処理を施した後に、走査型原子間力顕微鏡観察で得られ酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面凹凸図形において、酸化亜鉛結晶の格子定数、あるいは、その2倍の高さを段差とするステップが観測される表面状態が実現されることを条件として、平坦化のための後段熱処理の熱処理条件を決定することを特徴とする請求項1ないし4いずれかに記載の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
  6. 水熱合成法によって育成された酸化亜鉛単結晶を、平坦表面を有する導電性単結晶ウエファーとして提供する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、ウエファー状に切り出された酸化亜鉛単結晶である酸化亜鉛単結晶ウエファーに対して、アルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種が気相を介して被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーの表面に到達できる環境ので熱処理を施し、結果としてその酸化亜鉛単結晶ウエファー中にドナー準位を形成させる処理を含み、このドナー準位を形成し、低抵抗化のための前段熱処理とし、この前段熱処理の後の工程では、熱処理温度において酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせない、酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーとしての酸化ジルコニウム単結晶の間に、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーを挟み込み、その状態で酸化亜鉛単結晶ウエファーの平坦化のための後段熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
  7. 水熱合成法によって育成された酸化亜鉛単結晶を、平坦表面を有する導電性単結晶ウエファーとして提供する酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法であって、ウエファー状に切り出された酸化亜鉛単結晶である酸化亜鉛単結晶ウエファーに対して、アルミニウム、ガリウム、インジウムの3種の元素のうちの少なくとも1種を含む材質とその酸化亜鉛単結晶ウエファーとを接触させた状態で熱処理し、酸化亜鉛にドナー準位を形成させる処理を含み、このドナー準位を形成し、低抵抗化のための前段熱処理とし、この前段熱処理の後の工程では、熱処理温度において酸化亜鉛との間に反応生成物を生じさせず、酸化亜鉛に対して不活性でありかつ表面を平坦研磨された1対の熱処理用鞘ウエファーとしての酸化ジルコニウム単結晶の間に、被処理物である酸化亜鉛単結晶ウエファーを挟み込み、その状態で酸化亜鉛単結晶ウエファーの平坦化のための後段熱処理を施すことを特徴とする酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
  8. 前記低抵抗化のための前段熱処理工程の終了時、あるいは前記平坦化のための後段熱処理工程の終了時に、熱処理の結果として得られた酸化亜鉛単結晶ウエファーの電気抵抗率にあって、その値に面内分布が見られない状態が実現できることを条件として、前段の低抵抗化のための熱処理の処理条件を決定することを特徴とする請求項6または7記載の酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
  9. 純酸化亜鉛粉末を圧縮成型した錠剤状の酸化亜鉛塊を炉内の被処理物を設置すべき位置に設置して酸化亜鉛単結晶ウエファーに施す熱処理とおなじ熱処理条件での熱処理を施して得られる酸化亜鉛塊に関して、その熱処理済み酸化亜鉛塊に紫外線発生器で発生させた酸化亜鉛のバンド間遷移によって吸収されるに適当な波長の紫外線を照射し、紫外線照射下にあるその熱処理済み酸化亜鉛塊の発する光を分光器によって分光した発光スペクトルを計測した場合に、その熱処理済み酸化亜鉛が発する光のうち、波長370〜390nmの間にある紫外線発光の強度が、波長400〜800nmの可視発光ピークの強度に比べて高い強度となるように選択された炉壁材質、発熱体材質を使用した熱処理炉を用いて熱処理を施すことを特徴とする請求項1ないし8いずれかの酸化亜鉛単結晶ウエファーの製造法。
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