JP3785721B2 - ZnO紫外発光体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はZnOによる紫外発光体およびその製造方法に関する。Znは2−6族の半導体である。ZnO膜はエネルギーの高いレ−ザによって照射する事によって蛍光を発する。作製方法によって様々の波長の光を出す。大別すると3種類の異なる波長の蛍光を出す。一つは630nm〜690nm程度のピーク分布をもつ赤色である。もう一つは480nm〜510nm程度の広い分布を持つ緑色の発光である。最後の一つは380nm程度の紫外光である。
【0002】
ZnOの製造方法によってこれら異なる波長の蛍光が出る。380nmの紫外光はバンド端発光であって明確な起源を持っている。つまりレ−ザ光によって価電子帯から電子が伝導帯へ上げられこれが再び価電子帯に落ちる時に紫外光を出す。それ以外のより長波長の光がどのような機構によって発生するのか?という点は未だ明確でない。バンド間エネルギーよりも低いエネルギーの光であるから禁制帯にある準位間の遷移による蛍光であるに違いない。しかし禁制帯にある深い準位がなにによって生成しているのか?ということはいまだわからない。
【0003】
ZnOの製造方法によってバンド間に生成される準位が異なるので蛍光の波長が異なるのである。また半導体とは言ってもp型半導体ができないしpn接合ができないので電流注入による発光素子とすることができない。
電子ビームを当てて蛍光を出させるというのが一つの発光の方法である。もう一つはレ−ザを当てて蛍光を発生させるということである。このように光励起、電子ビーム励起しか、現在のところ、ZnOを発光させる手段はない。であるからZnOは発光素子とはいえず蛍光体と言うべきである。発光といわず蛍光と呼ぶべきであるが、ここでは発光という言葉を広義に用い、蛍光による光生成をも含むものとする。
【0004】
さらに波長について言えば、エネルギーの低い長波長の光は他にも発光素子がいくつも存在する。であるから長波長の光をZnOによって発生させる意義は薄い。
だから赤色橙色発光の材料としてはあまり期待されていない。緑色の蛍光はZnOに特徴的なものであり表示板などへの用途がありうる。これが現在ZnOの用途として最も脚光を浴びているものである。青緑の色を出す発光素子は他にも存在するがZnOもその波長の候補として考えられている。
【0005】
紫外発光はバンド間遷移によるものであり唯一明確な起源をもつものである。しかしこれは微弱であって、実用的な蛍光強度をうることができない。可視光でないので表示板などの応用は考えられない。紫外光はエネルギーの高い光であり表示以外に用途は存在する。しかしあまりに微弱であるから役に立たないと考えられる。であるから紫外光を出す材料としてもZnOは期待されていない。専ら緑色が注目されている。
【0006】
ZnOはウルツ鉱型の六方晶系の結晶を作る。さて結晶成長法であるが、SiやGaAsのような半導体と違って、ZnOはチョクラルスキー法やブリッジマン法によって大型の単結晶を成長させることはできない。酸化物であり融点が高い(1980℃)ので加熱溶融して液体にすることが難しい。単に加熱するだけでは分解してしまう。高圧を掛けた状態で加熱して初めて溶融する。であるから融液にしてこれを固化するような結晶成長法は適用できない。フラックス法で単結晶を製作する試みがなされているが成功しているとはいい難い。大型単結晶は現在のところ製造不可能である。
【0007】
スパッタリングによってZnOの薄膜を作ることはできる。しかしこれは酸素の抜けが多い欠陥のある多結晶の薄膜になる。現在最も普通に用いられているZnOの製造方法は焼結法である。ZnOの多結晶粉末をバインダと混ぜてもよいし、そのまま固めて圧力を加えながら加熱して塊とする。酸化物であるから焼結法は好適な方法である。型によって作るので様々の大きさの平板状、凹板状のZnO板を作ることができる。大型の焼結ZnO板を作ることができるので表示板などに利用できるのではないかと期待される。
【0008】
【従来の技術】
ZnOはふたつの光(赤橙色と緑色)を発生するので表示板としての用途がまず考えられる。
▲1▼ 特開平6−240250号「ZnO可視発光体」は同じ基板状に、橙色発光ZnO部と緑色発光ZnO部を作製し表示板とすることを提案している。石英基板にZnを真空蒸着し、空気雰囲気中で10℃/分の速度で540℃まで昇温する。540℃で1時間保持し酸化させてZnO薄膜を生成する。そしてマスクを使って一部のZnOを除去する。これをHe−Cdレ−ザによって照射するとマスクによって保護されていた部分は橙色の蛍光を、一部除去された部分は緑色の蛍光を発する。だから2色の表示板をZnOによって作製できる、というのである。
【0009】
これはZnOをスパッタリングによって薄膜とすると、橙色(680nm)の蛍光を出すものができ、ZnO粉末をプレスしAr雰囲気で900℃以上で焼結したものは、緑色(480nm)の蛍光を出すというところから出発する。10℃/分の昇温速度を与えZnを空気によって酸化して、スパッタリングによって作ったものと同じ薄膜を作る。表面だけ680nmの蛍光体になり、表面を削り取ると480nmの蛍光体になる。それで2色の表示板を作る事ができるという訳である。
【0010】
空気中でZnを加熱するので表面から酸素が拡散して次第に酸化されてゆく。表面は酸素が十分にあり680nmの橙色の蛍光体になるが、内部は酸素が不足しているので480nmの緑色蛍光体になる、と考えているようである。一部を削って内部を露呈する事によって緑色の蛍光を発するようになる、という。これは橙色も緑色発光もいずれも重視している。しかし紫外は問題にしていない。可視光でなく表示板には無益であるからであろう。Zn薄膜の加熱速度10℃/分が重要なパラメータであると主張している。
【0011】
▲2▼K. Vanheusden, W.L. Warren, C.H.seager, D.r.Tallant, J.A.Voigt,and B.E.Gnade, "Mechanisms behind green photoluminescence in ZnO phosphor powders",J. Appl. Phys. 79(10), 15 May 1996 p7983 (1996)は、ZnOの510nmの緑の蛍光について述べている。ZnOにおいて自由キャリヤ、酸素欠損(ベイカンシ)、緑蛍光には強い相関があると述べている。結晶粒の表面では酸素欠損はなく反磁性になる。内部では酸素欠損には電子が捕らえられる。だから一価のイオンを帯びる。それでイオン化された酸素欠損が緑発光の原因であると推論している。論文でZnOの粉末を酸化還元して酸素欠損の数や自由キャリヤの数をさまざまな範囲で変化させている。そしてバンハウデンは粉末粒子の外周部では酸素欠損は存在せず内部に酸素欠損が存在するという仮説を展開している。酸素欠損はドナー準位となる。n型半導体であるからフェルミ準位が禁制帯の半分より上にある。酸素欠損のドナーはフェルミ準位よりも高い。結晶粒の表面はポテンシャルが高いのでバンドが曲がり表面近くはドナーが空になり、正に帯電する。その分の電子は自由電子となって結晶内部に存在する。バンドが曲がって結晶の内部ではフェルミ準位よりもドナー準位が低くなる。この低くなったドナー準位から電子が価電子帯に落ちて緑の510nmの光を出すのである、と仮説を展開している。だから、自由キャリヤ密度、酸素欠損、緑発光は互いに正比例するのであると、結論している。緑発光の謎は酸素欠損によるもので、このドナーから電子が価電子帯に落ちるのはバンドの曲がりによってフェルミ準位よりもドナー準位が下がるからだというのである。
【0012】
▲3▼K. Vanheusden, C.H. Seager, W.L.Warren, D.R. Tallant and J.A. Voigt,"Correlation between photoluminescence and oxygen vacancies in ZnO phosphors", Appl. Phys. Lett. vol.68, No.3, 15 January 1996, p403 (1996) は常磁性共鳴、光吸収スペクトル、フォトルミネセンスの測定から、ZnOの酸素欠損、自由キャリヤ、510nmの緑発光の間に強い相関があるという。趣旨は▲2▼と同様である。酸素欠損があるとこれが自由電子を生ずるので自由キャリヤが増える。ドナー準位となるがフェルミ準位より下がるのでここから電子が落ちて510nm近傍の緑を生ずるのである、というわけである。
【0013】
▲2▼と▲3▼は測定の手段が違うだけで背後にある物理的な描像は同じである。しかしバンハウデンの推論には色々問題があると本発明者は考える。ZnO結晶粒の表面は酸素欠損は反磁性、内部では常磁性というがそれは内外でフェルミ準位との高下関係が逆転するからである。バンドの歪みによってそのようなドナー準位の高さが変わるものであろうか?結晶粒が大きいとそのようなことは起こりにくいはずで、これは結晶粒が小さくなくては成り立たないのではないか?しかも深い準位である酸素欠損が丁度内外でフェルミ準位を横切るというような好都合なことがあるものだろうか?バンハウデンの仮説によると、自由キャリヤが多いほど緑発光(蛍光)が有力である、という。自由キャリヤは酸素欠損からでるのであるが、酸素欠損が多いということは結晶が不完全ということである。だから不完全な結晶で酸素欠損が多く結晶粒が小さいほど緑蛍光が強くなるということになる。緑発光素子とするなら欠陥の多い多結晶を使うべきだという事になる。バンハウデンはしかし紫外光のことについては述べていない。
【0014】
このようにZnOに関する文献は少ない。少ない文献も、橙(680nm程度)発光、緑(480〜510nm)について述べているだけである。紫外の蛍光については述べるところがない。これはバンド間遷移(伝導帯〜価電子帯)であるということがわかっており素性がはっきりして学者の興味を引かないということが一つの理由であろうか。それと緑光と紫外光がでる試料では紫外光が余りに弱すぎて実用的な用途がないと考えれるからであろうか。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
ZnOの蛍光スペクトルに僅かに含まれる紫外光の割合を増大させる方法を提供する事が本発明の第1の目的である。ZnOを使った紫外発光素子を提供することが本発明の第2の目的である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のZnOの処理方法は、ZnO固体の表面を水素プラズマ処理する事である。本発明の紫外発光体は、水素プラズマ処理したZnOに電子ビーム、紫外レ−ザ、X線をあてて紫外光を発生させるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、ZnOの板を水素プラズマで処理して紫外発光の効率を飛躍的に増大させる。つぎに水素プラズマ処理ZnOの製造法と、蛍光スペクトルなどについて説明する。
【0018】
(a) 初めにフラックス法によってZnOの試料を作製した。ZnOの粉末と、PbF2 の粉末を混合した。PbF2 は溶媒である。これをPtのるつぼに入れて1040℃の温度に加熱し2時間保持する。その後5℃/hの割合で950℃までゆっくりと温度を下げる。こうして概略の大きさが10mm×10mm×0.3mmのZnO単結晶を得た。育成した単結晶は黄色味を帯びた透明であった。
【0019】
(b) これを酸素気流の中で加熱処理した。アニール温度は1000℃、アニール時間は6時間であった。酸素アニールは酸素欠陥(酸素欠損)を減少させるために行った。その後400℃まで100℃/hの割合で降温した。その後室温まで自然放冷した。
(c) つぎにこのZnO試料を、石英製のプラズマ処理室に収容した。プラズマ処理室に水素を10Torrになるように導入した。マグネトロンによって2.45GHz、300Wのマイクロ波を発生させ水素ガスをプラズマに励起した。試料は400℃に加熱し7分間水素プラズマに試料をさらした。表面が水素化される。水素化された試料はうっすら青みをおびた黄色になった。
【0020】
ここまでで3種類の試料ができたことになる。育成したZnO(a)、酸素アニールしたZnO(b)、水素プラズマ処理したZnO(c)である。これら3種類の試料(a)、(b)、(c)のカソードルミネセンスを測定した。カソードルミネセンスというのは電子線を試料にあてて生ずる発光(luminescence)のことをいう。測定というのは、これを分光器によって分光し波長毎(或いはエネルギー毎)の蛍光分布を求めることである。一般に試料に光、X線、電子線をあてると特定の波長分布を持つ光が生ずる。これが時間的な遅れがない場合蛍光(fluorescence) とよび、時間的な遅れがある場合燐光(phosphorescence )と呼ぶ。両者を含めてルミネセンス(lumminescence )というのである。ルミネセンスを起こさせるものはX線、光、電界、など様々である。ここでは電子ビームを試料に当てるのでカソードルミネセンスと呼ぶ。どのような物質でも電子線を当てると発光する。カソードルミネセンスで発光した(蛍光を発した)からといって発光素子になるというものではない。
【0021】
電子線の加速エネルギーは5kVであり、ビーム電流は60pA〜1.8nAの範囲で変化させた。全波長領域を0.8nm刻みの1040チャンネルのCCDによって検出した。
【0022】
図1は(a)育成したままのZnO、(b)酸素アニールZnO、(c)のカソードルミネセンス(CL)測定の結果を示す。横軸はホトン(光子)エネルギーであり、縦軸はCL強度(cps:1秒間のカウント数)である。電子線加速電圧は5kV、電流は1nAである。
【0023】
(a)育成したままのZnOは2.2eVに付近に広がったスペクトルをもつ。半値幅が0.5eVでピーク高さが750cps程度である。2.2eVは波長でいうと560nmにあたる。これは緑の発光である。さらに3.2eVの小さい発光も見られる。半値幅は狭く高さは300cpsであり微弱である。これが370nmの紫外発光である。
【0024】
(b)の酸素アニールしたものは、さらに緑のルミネセンスが有力になっている。ピーク高さが1500cpsで半値幅が0.8eVに広がっている。酸素アニールしたから酸素欠損は減っていると考えられるがそれによって緑のルミネセンスが2倍以上に増える。だから酸素欠損が緑の蛍光の原因であるとするバンハウデンの推論は誤りではないかと思う。しかしこれは本発明とは無関係のことであるのでこれ以上述べない。
【0025】
(c)水素プラズマ処理したものは、前者のスペクトルと全く違う。緑のスペクトルが完全に消失し、3.2eV(370nm)の蛍光だけが見られる。緑のスペクトルが消滅したというのが特に重要である。3.2eVの蛍光はバンド間遷移(エキシトン発光)によるものである。半値幅は0.15eV程度で極めて狭い。ピーク高さは4000cpsである。水素プラズマ処理したものは単色性に優れた紫外光を発するようになる。
【0026】
この測定結果から、2.2eVの発光と、3.2eVの発光は相補的なものである事がわかる。緑色の発光強度が減ればその分紫外の発光強度が増加する。つまり水素プラズマ処理によって、深い準位でのキャリヤ再結合を抑制し緑色の光が生ずるのを防ぐようになる。その結果バンド端での遷移が優越し、短波長の光が発生するようになる。水素プラズマは禁制帯の間に多数存在した深い準位をなくしてしまったのであろうと推定される。だから緑色の光が発生しないようになる。
【0027】
バンハウデンは酸素欠損が緑色のルミネセンスの原因であるとしている。緑色の発光を消去しようとすれば、酸素を強制的に補給し酸素欠損(ベイカンシ)をなくせば良いという結論になる。しかし初めに述べたように酸素アニールは緑色ルミネセンスを減らすようには働かない。むしろ酸素の補給は緑ルミネセンスを高揚する傾向がある。水素プラズマ処理すると水素が、発光中心となる欠陥と結合し、欠陥が不活性になったのであろう。
【0028】
水素プラズマ処理が本発明の新処理法である。水素プラズマ処理によって何が起こっているのか?まず水素プラズマ処理していない試料について、3.2eVと2.2eVのルミネセンスの温度に対する振る舞いの相違を調べた。図2は酸素アニールした試料(b)のCLの温度変化を調べたものである。電子加速電圧は5kV、電流は1.8nAである。温度は30K、80K、120K、160K、220K、280Kとしている。緑のルミネセンス(2.2eV)は温度が上がるにしたがって減衰し280Kでは30Kの場合の1/5になっている。温度上昇によってルミネセンスが減少するのは当然のことである。緑のルミネセンスは1/5にも減っている。ところが3.2eVのルミネセンス強度は約1/2に下がるだけである。ピーク位置3.36eV(30K)から3.26eV(280K)に変わるがこれはバンドギャップの温度変動そのものである。
【0029】
水素プラズマ処理した試料(c)のルミネセンスの温度依存性を測定したものが図3である。何れの温度でも緑のルミネセンスはない。紫外光のルミネセンスだけである。温度依存性は極めて大きく、30Kでは極めて大きい20000cpsに迫る強さのCLを観測できた。ところが285Kでは30Kの約1/100にも低下する。30Kでのピークエネルギーを厳密に測定すると3.350eVであった。これは束縛エキシトンでの電子正孔再結合のエネルギーである。
すなわち水素プラズマ処理すると、処理前と比して発光強度が2桁大きくなるので、さらに強い紫外光をだすことができる。
【0030】
このような紫外光のピーク高さの温度依存性を調べた。図4は、その結果を示す。横軸に温度の逆数(100/T)をとり、縦軸にはCL強度(cps)を取っている。温度が高いと3.2eVのCLが弱くなる。温度が低いとCLが強くなる。
【0031】
さて、そのようなZnOの単結晶、多結晶はいくつかの用途がある。電子ビーム照射又は紫外レ−ザ(例えばHe−Cdレ−ザ)照射によって強い紫外光を発生するからである。そこで単結晶ZnOを用いて紫外レ−ザを作製した。
【0032】
ZnO単結晶の両面を水素プラズマ処理した。水素圧力は10Torr、温度は400℃〜600℃である。これを矩形状に切り、出発試料とした。ストライプ構造を作るために、図5のように、ZnO単結晶1の上にSiN膜2を形成した。そして直線部分を残してSiN膜2を選択的に除去した。さらに塩酸系或いはリン酸系のエッチング液によって行う露呈したZnOを除去する。これが図6に示す状態である。この後マスクであるSiN膜2を除去する。ZnOのストライプ3が生成される。この表面は水素プラズマ処理された面である。両端に紫外光を反射する共振器5、6が形成される。残りの表面部分4は水素プラズマ処理していない部分である。
【0033】
ストライプ3に帯状に電子ビームを当てるとZnOでの3.2eVの発光が起こる。隆起した帯状の光路になっており屈折率のちがいによって紫外光がストライプに閉じ込められる。帯の長手方向に伝搬して共振器5、6で反射されるのでレ−ザ発振する。ストライプの方向に伝搬する強い紫外光が生ずる。
ストライプ3はここでは1本のものを示すが、複数本あってもよい。その場合は複数のレ−ザビームを得る事ができる。ストライプの全体に渡って帯状の電子ビームを当てる必要があるが、そのようなビームを生成するのが難しい場合は、電子ビームをストライプに沿って走査すれば十分である。
【0034】
【実施例】
図7にZnO紫外レ−ザの概略図をしめす。ZnO単結晶1に先ほどのSiNマスクの方法で複数本のストライプを作製する。ここでは4本しか図示していないが、例えば10本のストライプを平行に作製する。10本のストライプの全幅は例えば100μm程度とする。ストライプ状に隆起している部分の表面7だけが水素プラズマ処理した面である。その直下にSi、ダイヤモンドなどのフィールドエミッタ8を設ける。これは電子を発生させる機構である。フィールドエミッタ8とZnO1の間には電子を引き出すための電圧13が印加されている。フィールドエミッタから電子は放射状に出る。ストライプ3の長手方向をZ軸とする。ZnO面に直角な方向をY軸、ストライプと直角な方向をX軸とする。電子はY軸方向に広がって出射される。ストライプと平行な方向に延びる一対の磁極9、10を更に設ける。磁極はコの字型またはロの字型のコアでありX方向に延びる部分があってそれによって両磁極9、10は連結される。適当な部位にコイルが巻かれていて、それに交流電流が流される。X方向に磁力線が生ずるがこれが交流電流の為に周期変化する。X方向の磁力線によってY方向に進行する荷電粒子はZ方向に曲がる。その曲がりが周期変動するからビームがZ方向に振動する。だから電子ビームがストライプにそって振られる。実効的にストライプの全長に電子ビームが照射される。電子ビームはそれぞれの水素プラズマ処理面において紫外光を発生させる。紫外光は屈折率の違いによりストライプに閉じ込められる。両端の共振器によって反射されて増幅される。一部が、端面より放射される。これにより同時に複数本の紫外ビームが生成される。
【0035】
【発明の効果】
ZnOによって紫外光を発生させる素子を作ることができるので安価な紫外発光素子が得られる。ZnOは単結晶でなくても良い。粉末であっても良いから任意の形状のものを焼結によって製造できる。薄膜であっても良いので作製容易である。つまり形状の自由度が大きい。紫外光源となるのでより長い波長の光に変換できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】育成したままのZnO(a)、酸素アニールしたZnO(b)、水素プラズマ処理したZnO(c)のカソードルミネセンスの測定結果を示すグラフ。横軸はフォトンエネルギー、縦軸は1秒間のカウント数(cps)。
【図2】水素処理していないZnOのカソードルミネセンスの温度依存性を示すグラフ。横軸はフォトンエネルギー(eV)、縦軸は1秒間のフォトン入射数(cps)。
【図3】水素プラズマ処理したZnOのカソードルミネセンスの温度依存性を示すグラフ。横軸はフォトンエネルギー(eV)、縦軸は1秒間のフォトン入射数(cps)。
【図4】水素プラズマ処理したZnOのカソードルミネセンスの温度変化の測定結果を示すグラフ。
【図5】ZnO単結晶の表面を水素プラズマ処理し表面をSiNによって覆ったものを示す斜視図。
【図6】SiNマスクを帯状の部分を残して除去したものを示す斜視図。
【図7】4本のストライプのある紫外レ−ザの概略構成図。
【符号の説明】
1 ZnO単結晶
2 SiN膜
3 ZnOのストライプ
4 残りの表面部分
5 共振器
6 共振器
7 水素プラズマ処理をした面
8 フィールドエミッタ
9 磁極
10 磁極
11 磁力線
12 電子ビーム
13 電圧
Claims (2)
- ZnO固体の表面を水素プラズマ処理する事を特徴とするZnO紫外発光体の製造方法。
- 水素プラズマ処理したZnOに電子ビーム或いは紫外光を照射して紫外光を発生させることを特徴とするZnO紫外発光体。
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