JP4413558B2 - ウルツ鉱型iii−v族窒化物薄膜結晶の製造法 - Google Patents

ウルツ鉱型iii−v族窒化物薄膜結晶の製造法 Download PDF

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ウルツ鉱型であり、窒化ガリウムとの格子整合性に優れた酸化亜鉛をIII−V族窒化物薄膜結晶の基板として利用する際の窒化物薄膜の製造法を提供する。
これまで、酸化亜鉛単結晶は、窒化ガリウムをはじめとするIII−V族窒化物半導体の薄膜結晶を得るための単結晶基板材料として利用可能とされている。特に、その格子定数がIII−V族窒化物半導体と近くなっていることから、格子整合基板として有効であることが指摘されている。たとえば特許文献1には、同窒化物半導体の薄膜結晶を得て、これを、酸化亜鉛結晶のc軸に垂直な面、いわゆる亜鉛終端面であるc(+)面、および、酸素終端面であるc(−)面に当該窒化物半導体を形成することが可能であることが開示されている。また、非特許文献1には、酸化亜鉛のc(+)面、および、c(−)面に良好な窒化物半導体を形成しており、特に、c(−)面に窒化ガリウムを堆積した場合に平坦性に優れる窒化ガリウムが形成できることが開示されている。
しかし、より平坦性の高い、あるいは、発光効率の高い窒化物薄膜結晶を製造するためには、基板材質の平坦化、表面処理が必要である。特に、2次元電子ガスを利用したトランジスタの形成にあっては、極めて平坦性の高いIII−V族窒化物薄膜結晶の製造が求められている。
酸化亜鉛を基板として用いる場合、亜鉛蒸気圧が高いことから、高温にさらした場合、亜鉛が蒸発して基板の平坦性が損なわれる可能性が高い。そこで、たとえば、特許文献2においては、酸化亜鉛を高温での還元雰囲気に耐える材質で覆った状態においてIII−V族窒化物薄膜結晶を堆積することが提案されている。
しかしながら、この平坦化性の問題は依然として実際的には非解決である。
特に、水素を含むガス成分をキャリアーガスとして用いる薄膜堆積法では、酸化亜鉛の蒸発が問題となり、高い平坦性を持ったIII−V族窒化物薄膜結晶を堆積することが難しい。また、窒化物半導体を酸化物基板上に堆積させるためには、基板材質の表面が清浄となっていることが求められる。
特許3102647号公報 特開平6−61527号公報 F.Hamdani, M.Yeadon, D.J.Smith, H.Tang, W.Kim, A.Salvador, A.F.Batchkarev, J.M.Gibson, A.Y.Polyakov, M.Skowronski, H.Morkoc, Journal of Applied Physics, 83巻 2号 983頁 1998年
この出願の発明は、以上のような背景を踏まえてなされたものであって、酸化亜鉛基板の平坦性を高め、かつ、その表面の清浄性を高めることによって基板上にウルツ鉱型III−V族の高品質の窒化物薄膜を堆積することができる、改良された、新しいウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造法を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造法であって、酸化亜鉛単結晶のc面を研磨し、酸化亜鉛と反応しない鏡面研磨された1対の無機材質平板で挟み、この状態において大気圧で水素ガス気流および一酸化炭素ガス気流以外の雰囲気中、酸化亜鉛の揮発温度に近い温度で焼鈍処理を行い酸化亜鉛の表面原子配列を整え、熱処理の結果得られた酸化亜鉛単結晶基板のc面を原子間力顕微鏡によって観察した際に、酸化亜鉛の単位格子の大きさを単位とするステップ・テラス構造が確認される状態に達していることが確認される状態を実現し、しかる後に、この酸化亜鉛を減圧下で成膜するウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造装置内に導入し、800℃以下で水素ガスおよび一酸化炭素ガスを含まない減圧雰囲気で熱処理を加え、引き続き成膜原料を供給して、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を成膜することを特徴とするウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造方法を提供する。
そして、第2には、上記の製造法において、分子線エピタキシー法によってIII−V族窒化物薄膜結晶を成膜することを特徴とする上記のIII−V族窒化物薄膜結晶の製造法を提供し、第3には、酸化亜鉛単結晶は、水熱合成酸化亜鉛単結晶であることを特徴とするウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造法を提供する。
この出願の第1の発明において、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を製造するにあたって、酸化亜鉛単結晶のうちc面を研磨し、これに大気中、および、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造装置の装置内雰囲気で熱処理を加えた後にウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を成膜することにより、平坦性と、清浄性に優れた酸化亜鉛単結晶基板を利用した薄膜結晶の成長が可能となる。
また、研磨によってもたらされた有機物の表面吸着物があった場合、これが原因となって、エピタキシャル成長が阻害されることが有り、こうした吸着物を燃焼させて取り去ることも重要なことである。そこで、この出願の発明のように、熱処理による酸化亜鉛基板の平坦化において、酸化亜鉛と反応しない鏡面研磨された1対の無機材質平板に酸化亜鉛単結晶を挟み、この状態において酸化亜鉛単結晶に熱処理を加えることが有効である。特に、熱処理の結果得られた酸化亜鉛単結晶基板のc面を原子間力顕微鏡によって観察した際に、酸化亜鉛の単位格子の大きさを単位とするステップ・テラス構造が確認される状態に達している状況では、その基板上に堆積されるウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の品質の向上が期待される。
また、酸化亜鉛基板を清浄化するための熱処理として、不純物の吸着による表面の汚染が顕著ではない、真空中での熱処理を実施することが考慮されるが、真空中での熱処理は、酸化亜鉛の表面に凹凸をもたらすことが懸念されるため、この出願の発明のように、その凹凸が発生しない温度、および、処理時間に限定して、真空中での基板熱処理を施すことが有効である。
そして、揮発性の高い酸化亜鉛基板を利用した薄膜プロセスでは、酸化亜鉛の揮発性を促進する水素ガスの存在下で薄膜成長、あるいは、熱処理を施すことは得策でないことから、この出願の第の発明のように、酸化亜鉛を基板として用いるウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造では、少なくとも、酸化亜鉛基板に接する窒化物薄膜の堆積は、分子線エピタキシー法によって行うことが望ましい。
さらにまた、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の結晶品質を高めるためには、高い平坦性と基板表面の清浄性に加え、基板単結晶の結晶性が重要であり、高い結晶性を持った酸化亜鉛基板を利用することが望まれる。特に、気相成長で得られる酸化亜鉛単結晶は透明体として得られるものの、そのモザイク性が問題となることがあり得る。そこで、この出願の第の発明のように、モザイク性という視点で優れた水熱合成酸化亜鉛単結晶を利用することが有効となる。
この出願の発明は上記のような特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
前記のとおり、この出願の第1の発明は、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造法であって、酸化亜鉛単結晶のうちc面を研磨し、これに大気圧中、および、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造装置の装置内雰囲気で熱処理を加えた後にウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を成膜することを特徴とするウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造法である。すなわち、一般の研磨処理を施した状態の酸化亜鉛単結晶は、研磨による表面ダメージの影響を受けており、見かけ上極めて平坦な表面が得られていたとしても、そのダメージの影響によって、表面部の結晶性が損なわれていることがある。そこで、この出願の発明においては、そのダメージ層を焼鈍することで酸化亜鉛基板の表面原子配列を整然としたものにする。この焼鈍処理は、酸化亜鉛の揮発温度に近い温度で実施することが望ましく、その揮発を低減させるためには、真空中ではなく、大気圧中で熱処理を施す。ここで、大気圧中とは、特に減圧をしていない、積極的に酸化亜鉛の揮発を促進するものではない雰囲気を意味している。そのため、大気圧程度の圧力であっても、純水素の気流中や一酸化炭素気流中という条件は選択すべきではない。また、大気圧中の意味は、酸化亜鉛の揮発を低減するという意味での制限であり、必ずしも厳密に1気圧を意味するものではなく、たとえば、加圧した純酸素雰囲気もこの大気圧下の意味に包含されるものとする。また、酸化亜鉛を研磨する行程において、有機分子、あるいは、無機分子が酸化亜鉛表面に吸着させられていることがあり得る。こうした有機分子を取り除くためには、それを高温下で燃焼させることが有効であるため、大気圧熱処理においては、酸素を含む環境で熱処理することが望まれる。こうした熱処理を施した酸化亜鉛基板に対して、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を堆積することで、熱処理を施していない酸化亜鉛基板を用いた場合に比べて、品質に優れた薄膜結晶を得ることができる。
ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造装置の装置内雰囲気で熱処理とは、薄膜結晶の製造に用いられる装置を意味し、一般的な減圧下で薄膜結晶を製造するための装置の意味であり、分子線エピタキシー、化学気相蒸着をはじめとする減圧下で薄膜を製造するための装置である。こうした薄膜製造装置内は、減圧されているため、酸化亜鉛表面への不純物の吸着を低減できる環境にあることを前提としている。たとえば、ナトリウム、フッ素という酸化亜鉛の構成成分ではなく、かつ、III族でも、窒素でもない不純物が酸化亜鉛基板表面にもたらされることのない雰囲気を前提としている。
そして、この出願の第2の発明においては、たとえば図1にその概要を例示したように、酸化亜鉛と反応しない鏡面研磨された1対の無機材質平板(1)に酸化亜鉛単結晶(2)を挟み、この状態において酸化亜鉛単結晶に熱処理を加え、熱処理の結果得られた酸化亜鉛単結晶基板のc面を原子間力顕微鏡によって観察した際に、酸化亜鉛の単位格子の大きさを単位とするステップ・テラス構造が確認される状態に達していることが確認される状態を実現し、しかる後に、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶製造のための薄膜製造装置内に基板を導入し、装置内においてさらに熱処理を加えた後にウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を成膜することを特徴としている。
酸化亜鉛と反応しない鏡面研磨された1対の無機材質平板(1)としては、たとえば、イットリウムで安定化された立方晶ジルコニア単結晶が上げられる。立方晶ジルコニア基板が、酸化亜鉛基材質の熱処理をする上で、その揮発性を低減し、平坦な表面を形成するために有効な材質であることは知られている。
もちろん、この出願の発明を実施するにあたり、必ずしも、立方晶ジルコニアを利用する必要はない。熱処理温度の範囲内で、平坦性を保てる無機材質平板であればよい。
以上の熱処理については、その結果得られた酸化亜鉛単結晶基板のc面を原子間力顕微鏡によって観察した際に、酸化亜鉛の単位格子の大きさを単位とするステップ・テラス構造が確認される状態に達していることが確認される状態となっていることが望まれる。こうした原子状のステップが認められている場合には、しかる後に、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶製造のための薄膜製造装置内に基板を導入し、装置内においてさらに熱処理を加えた後にウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を成膜することによって、熱処理を施していない酸化亜鉛単結晶を基板として用いる場合に比べて、高い品質を持ったウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造が可能である。
なお、酸化亜鉛と反応しない鏡面研磨された無機材質平板で酸化亜鉛単結晶をはさんだ状態で熱処理する場合、酸化亜鉛を構成する酸素、亜鉛以外の不要な元素、すなわち、研磨剤から導入された表面の有機吸着物などを取り除くための所要時間が必要になることがある。
また、この出願の発明では、前記の大気圧中、および、製膜装置内での熱処理を加えた、酸化亜鉛単結晶基板を用いるウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の堆積にあたっては、分子線エピタキシー法によってIII−V族窒化物薄膜結晶を成膜することが好適なものとして考慮される。
水素ガスを含むキャリアーガスを利用した化学気相蒸着法では、高温下で酸化亜鉛が水素雰囲気に暴露されることになる。特に、水素を含む雰囲気では、酸化亜鉛の気化が促進されるため、水素を積極的に導入すること無しに薄膜の堆積が可能な、分子線エピタキシー法によってウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を製造することが望まれる。
そして、この出願の発明では、前記の大気圧中、および、製膜装置内での熱処理を加えた、酸化亜鉛単結晶基板を用いるウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造に際し、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造装置の装置内雰囲気での熱処理の温度、熱処理時間の決定に際して、酸化亜鉛の蒸発による顕著な基板表面の凹凸の発生が起こらない範囲の処理条件で熱処理を施すことが望ましい。減圧下での酸化亜鉛の揮発による表面凹凸構造の顕在化は、たとえば、1×10-5torrの窒素雰囲気の真空反応漕中において、800℃に酸化亜鉛を加熱したところから顕著に見られるようになる。従って、一般には800℃以下の温度で真空雰囲気熱処理を施すことが望ましい。いったん、真空漕内の雰囲気を酸素雰囲気、ないし、酸素ラジカルの照射雰囲気として熱処理を施すことで、より高温でも酸化亜鉛の凹凸構造の発生を抑制することは可能である。ただし、窒化物薄膜を成膜する真空槽中に酸素を導入した熱処理を施し、直ちに窒化物薄膜を製造した場合、窒化物薄膜中に酸素の不純物が取り込まれる恐れがある。そのため、酸素雰囲気での真空処理を施す真空槽と窒化物薄膜を堆積させるための真空槽とをバルブを介して分離し、酸化雰囲気での表面清浄化のための熱処理を施した後に、清浄化された基板表面を大気にさらすこと無しに、窒化物薄膜製造用の真空槽に導くような製造装置を利用することで、特に、高品質の窒化物薄膜結晶の製造が可能になるため、そうした製造設備を備えることが望ましい。
また、前記の大気圧中、および、製膜装置内での熱処理を加えた、酸化亜鉛単結晶基板を用いるウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造に際しては、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の結晶性は、基板材料である酸化亜鉛単結晶の結晶性によって大きく左右されることから、X線回折のロッキングカーブ方による評価においてモザイク性が認められない高結晶性の酸化亜鉛単結晶を用いることが望ましい。
そこで、以下に比較例とともに実施例を示し、さらに詳しく説明する。もちろん、以下の例によって発明が限定されることはない。
<実施例1>化学機械研磨した酸化亜鉛単結晶基板を準備する。この基板を大気中1100℃において、5時間熱処理し、しかる後に、当該基板を金属ガリウム、金属インジウムを供給する金属蒸発源と、活性窒素を導入する誘導プラズマ型窒素ラジカル銃とを備え、かつ、基板加熱機構を有する分子線エピタキシー型結晶成長装置に導入する。基板をいったん700℃まで加熱し、30分間保持して真空雰囲気熱処理を施した後に、窒素ラジカル中、および、金属蒸着源からの原料供給によって、酸化亜鉛単結晶基板上に、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を堆積させる。その結果得られたウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶のフォトルミネッセンススペクトルの評価を行ったところ図2に示すように、鋭い励起子発光ピーク21が認められ可視光域に欠陥発光が認められない良質のウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶が得られた。なお、発光ピーク22は、基板材質である酸化亜鉛の欠陥によるものである。
<実施例2>化学機械研磨した酸化亜鉛単結晶基板を準備する。この基板を大気中1200℃において、イットリウム添加立方晶ジルコニア単結晶で上下からはさんだ状態にある酸化亜鉛単結晶基板を5時間熱処理し、原子間力顕微鏡の観察によって、酸化亜鉛の単位格子のc軸長に対応する5ナノメートルの段差からなるステップandテラス構造が観察されることを確認した。しかる後に、当該基板を金属ガリウム、金属インジウムを供給する金属蒸発源と、活性窒素を導入する誘導プラズマ型窒素ラジカル銃とを備え、かつ、基板加熱機構を有する分子線エピタキシー型結晶成長装置に導入する。基板をいったん700℃まで加熱し、30分間保持して真空雰囲気熱処理を施した後に、窒素ラジカル中、および、金属蒸着源からの原料供給によって、酸化亜鉛単結晶基板上に、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を堆積させる。その結果得られたウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶のフォトルミネッセンススペクトルの評価を行ったところ、図2に示したものと同様に、可視光域に欠陥発光が認められない良質のウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶が得られた。当該窒化物薄膜を堆積させた状態にある酸化亜鉛単結晶基板を薄膜用のX線回折装置に導入し、酸化亜鉛基板の114回折線近傍の逆格子マップ評価を行った。その結果は図3に示すとおりであり、酸化亜鉛基板の回折ピーク31に顕著な広がりが認められず、また、窒化物薄膜からのX線回折スポット32もスポットとして明瞭に観察され、良質なウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶が得られたことが認められた。なお、図3においては、X線回折系のカウント数の対数について等高線を示している。
<比較例1>化学機械研磨した酸化亜鉛単結晶基板を準備する。この基板を特に熱処理すること無しに、当該基板を金属ガリウム、金属インジウムを供給する金属蒸発源と、活性窒素を導入する誘導プラズマ型窒素ラジカル銃とを備え、かつ、基板加熱機構を有する分子線エピタキシー型結晶成長装置に導入する。基板をいったん700℃まで加熱し、30分間保持して真空雰囲気熱処理を施した後に、窒素ラジカル中、および、金属蒸着源からの原料供給によって、酸化亜鉛単結晶基板上に、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を堆積させる。その結果得られたウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶のフォトルミネッセンススペクトルの評価を行ったところ図4に示すように、励起子発光ピーク41に加えて、欠陥形成を示唆する発光ピーク42が認められ、大気中熱処理を施すこと無しに基板として用いることによって、窒化物薄膜中に欠陥が導入されたことが示唆された。ここで、ピーク43は、基板である酸化亜鉛の欠陥発光である。また、当該窒化物薄膜を堆積させた状態にある酸化亜鉛単結晶基板を薄膜用のX線回折装置に導入し、酸化亜鉛基板の114回折線近傍の逆格子マップ評価を行った。その結果は図5に示すとおりであり、酸化亜鉛基板の回折スポット51に顕著な広がりが認めら、また、窒化物薄膜からのX線回折スポット52においても、回折パターンの広がりが認められており良質なウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶が得られなかった。なお、図5においては、X線回折系のカウント数の対数について等高線を示している。
この出願の発明によって、ウルツ鉱型であって、窒化ガリウムとの格子整合性に優れた酸化亜鉛を基板とした、高品質な窒化物薄膜が提供される。
酸化亜鉛と反応しない1対の無機材質平板(1)によって研磨した酸化亜鉛基板(2)を挟み込んで熱処理を施す形態を例示した概要断面図である。 実施例として、熱処理を施した酸化亜鉛基板にウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を堆積させた後に測定した、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶のフォトルミネッセンススペクトルを例示した図である。 実施例として、熱処理を施した酸化亜鉛基板にウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を堆積させた後に測定した、酸化亜鉛の114指数のX線回折ピーク付近の逆格子マップを例示した図である。 比較例として、大気中での熱処理を施していない酸化亜鉛単結晶を基板として用いて製造した、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶のフォトルミネッセンスを例示した図である。 大気中での熱処理を施していない酸化亜鉛基板にウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を堆積させた後に測定した、酸化亜鉛114X線回折ピーク付近の逆格子マップを例示した図である。

Claims (3)

  1. ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造法であって、酸化亜鉛単結晶のc面を研磨し、酸化亜鉛と反応しない鏡面研磨された1対の無機材質平板で挟み、
    この状態において大気圧で水素ガス気流および一酸化炭素ガス気流以外の雰囲気中、酸化亜鉛の揮発温度に近い温度で焼鈍処理を行い酸化亜鉛の表面原子配列を整え、熱処理の結果得られた酸化亜鉛単結晶基板のc面を原子間力顕微鏡によって観察した際に、酸化亜鉛の単位格子の大きさを単位とするステップ・テラス構造が確認される状態に達していることが確認される状態を実現し、
    しかる後に、この酸化亜鉛を減圧下で成膜するウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造装置内に導入し、800℃以下で水素ガスおよび一酸化炭素ガスを含まない減圧雰囲気で熱処理を加え
    引き続き成膜原料を供給して、ウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を成膜することを特徴とするウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造方法。
  2. 分子線エピタキシー法によってウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶を成膜することを特徴とする請求項1のウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造法。
  3. 酸化亜鉛単結晶は、水熱合成酸化亜鉛単結晶であることを特徴とする請求項1又は2のいずれかのウルツ鉱型III−V族窒化物薄膜結晶の製造法。
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