JP2002029896A - 窒化物半導体の結晶成長方法 - Google Patents

窒化物半導体の結晶成長方法

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JP2002029896A
JP2002029896A JP2000203793A JP2000203793A JP2002029896A JP 2002029896 A JP2002029896 A JP 2002029896A JP 2000203793 A JP2000203793 A JP 2000203793A JP 2000203793 A JP2000203793 A JP 2000203793A JP 2002029896 A JP2002029896 A JP 2002029896A
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substrate
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crystal
nitride semiconductor
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Seikan Cho
晟煥 趙
Hajime Okumura
元 奥村
Mitsutoshi Shimizu
三聡 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶中の格子欠陥、転移、および界面の荒さ
等を生じることなく、サファイア基板上にバッファ層お
よび窒化物半導体結晶を成長させること。 【解決手段】 本発明は、プラズマ法により生成し得た
原子状窒素をサファイア基板上に照射することにより該
サファイア基板表面上にAlN膜を形成するAlN膜成
長方法であって、前記サファイア基板を200℃以下に
保持して原子状窒素を照射することを特徴とするAlN
膜(バッファ層)の成長方法に関する。さらに、本発明
は、上記バッファ層を用いた窒化物半導体結晶の成長方
法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、青色発光デバイ
ス、高温高速電子デバイス等に用いられる窒化物半導体
結晶の成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】GaN、AlGaN、InGaN等の窒
化物半導体材料は、青色発光デバイスや青色半導体レー
ザ用の材料としてだけではなく、高温環境中でも安定に
動作することが可能である等の特徴を持つ電子デバイス
の材料、あるいは高出力や高周波での動作が可能である
等の特徴を持つ電子デバイスの材料としても脚光を浴び
ている。そして、このような光デバイスや電子デバイス
の特性を十分に引き出すためには組成等が異なる半導体
膜からなる多層構造体を高品質で作製する技術が重要で
ある。
【0003】このような高品質の半導体多層膜を作製す
るためには、有機金属気相成長法や分子線エピタキシー
法等の結晶成長技術が現在用いられている。これらの方
法では、厚さ300ミクロンから500ミクロン程度の
基板上に、光デバイスや電子デバイスの特性を十分に引
き出す様に設計された高品質な窒化物半導体多層膜構造
を成長する。そして成長された半導体多層膜の品質は、
用いる基板や結晶成長時の条件等に大きく左右されるた
め、基板の選択や結晶成長条件の最適化が非常に重要と
なってくる。
【0004】例えば、基板の選択では、一般的に、成長
しようとする窒化物半導体材料の格子定数に近いものを
選ぶ必要がある。最も理想的なものは、成長しようとす
る半導体材料そのものを基板に用いることである。よっ
て、この場合にはGaN基板が最も理想的であるが、数
百μm以上の厚さをもつ単結晶のGaN結晶を成長する
ことは現状としては困難である。また近い将来に可能で
あるとしても製造コストも高くなると考えられている。
よって現状では、GaNの格子定数に近く、かつ低価格
で入手可能なサファイア基板を用いるのが一般的な方法
となっている。
【0005】しかしながら、サファイア基板とGaNの
格子定数は約14%程度異なっており、そのためさまざ
まな困難が生じている。特に分子線エピタキシー法は、
ガリウムやアルミニウム、窒素等を高真空中で分子線状
にして供給する成長法であるため、成長させる膜の品質
が基板に左右されやすいという特徴があり、成長条件の
最適化が非常に重要となる。
【0006】上記のような基板への膜の品質の依存性を
低下させるために、サファイア基板上にまずバッファー
層と呼ばれる層を成長した後に、光デバイスや電子デバ
イスの作製に必要となる半導体多層膜構造を成長させる
ことが一般に行われている。
【0007】このようなバッファー層を用いる従来の方
法としては、まず成長温度500℃でGaNを成長させ
これをバッファー層とする方法がある(参考文献1:"H
ighQuality GaN Growth on (0001) Saphhire by Ion-Re
moved Electron CyclotronResonance Molecular Beam E
pitaxy and First Observation of (2×2) and (4×4)
Reflection High Energy Electron Diffraction Patter
ns", K. Iwata, H.Asahi, S. J. Yu, K. Asami, H. Fuj
ita, M. Fushida and S. Gonda, Jpn. J.Appl. Phys. v
ol. 35, Part 2, No. 3A, pp. L289-L292, 1996.)。こ
の方法では、まず10分間程度高真空中でサファイア基
板を温度800℃に熱し、熱的に表面の不純物等を蒸発
させて洗浄した後に、基板の温度が500℃でGaNを
成長し、これをバッファー層とする。その後に通常の成
長温度700℃〜750℃で、半導体素子等の作製に必
要となる半導体多層膜構造を作製する。この方法におい
ては、成長温度700℃〜750℃で、直接半導体素子
等の作製に必要な半導体多層膜構造を成長する方法に比
較すれば、平坦な表面が得られるという利点がある。G
aNをバッファー層として用いる例は他にもある(参考
文献2:"Gassource molecular beam epitaxiy of wurt
zite GaN on sapphire substrates using GaN buffer l
ayers", N. Grandjean, M. Leroux, M. La“t, and J.
Massies, Appl. Phys. Lett., vol. 71, No. 2, pp. 24
0-242, 1997.)。これらの方法は、400℃から600
℃程度の温度で、GaNを成長させてこれをバッファー
層とし、サファイア基板との間の格子定数の違いを緩和
する方法である。また成長温度500℃でAlNを成長
させ、これをバッファー層とする方法もある(参考文献
3:"Study on the initial stages of heteroepitaxia
l growthof hexagonal GaN on sapphire by plasma ass
isted MBE", K. Balakrishnan,H. Okumura, S. Yoshid
a, Journal of Crystal Growth, vol. 189/190, pp. 24
4-249, 1998.)。この方法においても、まず高真空中で
サファイア基板を約900℃に熱し、熱的に表面の不純
物等を蒸発させて洗浄した後に、基板の温度を400℃
〜500℃としてAlNを成長させ、これをバッファー
層とする。その他に、InN等をバッファー層に用いる
方法もあるが、いずれのバッファー層も温度400℃〜
600℃程度で成長される(参考文献4:"Essential C
hange in Crystal Qualities of GaN Films by Control
ling Lattice Polarity in Molecular Beam Epitaxy",
X. Shen, T. Ide, S. Cho, M. Shimizu, S. Hara, H. O
kumura, S. Sonoda and S. Shimizu, Jpn, J. Appl. Ph
ys. Part 2, No. 1A/B, vol.39, pp. L16-L18, 200
0.)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来法で述べた
バッファー層は、サファイア基板とGaNやAlGaN
等との格子定数の違いを緩和し、バッファー層上に成長
される半導体多層膜を高品質にすることを目的としたも
のである。
【0009】しかし、GaNやAlNをバッファー層と
して用いる上記の従来の方法により成長した結晶では、
走査型電子線顕微鏡等で観測される表面は決して完全な
平坦ではなく、結晶中には格子欠陥が存在する。
【0010】これは、上記の従来の方法では、窒化物半
導体結晶とサファイア基板との格子定数の違いによる影
響をバッファー層がきちんと緩和してないためであると
考えられる。その結果、バッファー層上に成長する半導
体層も、サファイア基板との格子定数の違いの影響を受
けてしまい、結晶表面が平坦にならず、結晶中には格子
欠陥等が存在することになる。
【0011】詳細に述べるならば、バッファ層がサファ
イア基板との格子定数の違いを完全に緩和しない場合に
は、バッファー層上に成長した半導体結晶中に歪みが生
じる。さらに、その歪みにより結晶中に転位等の欠陥
や、結晶方位のずれ等が生じる。このような結晶中の欠
陥や結晶方位のずれは、バッファー層上に成長した半導
体層の性質を劣下させる。例えば、電子の移動度や寿命
等の電気的な特性を劣下させる。また、このような欠陥
は、電子とホールが発光することなしに再結合する現象
つまり非発光再結合を促す。さらに、組成の異なる半導
体層をバッファー層上に作製した場合には、組成の異な
る半導体層間の界面が平坦でなくなり、電子の量子効果
を十分に引き出すことが出来なくなる。また、結晶中に
存在する転移等は、結晶の強度等を軟弱なものとし、素
子作製後の素子寿命等を劣下させることになる。
【0012】また一方で、電子デバイスや光デバイスの
作製においては、電子の量子効果等を十分に引き出すた
めに、数原子層以下の精度で、組成の異なる半導体同士
の界面の平坦性を制御する必要がある。さらに、発光デ
バイス等の効率をよくするためには、非発光再結合を極
力押さえることが不可欠である。そのため、結晶中の欠
陥や転移等は極力少なくする必要がある。よって、上記
の従来の方法は、光デバイスや電子デバイス等で必要と
される高品質の半導体多層膜結晶の作製のためには、完
全なものではなかった。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明では、上述のよう
な結晶中の格子欠陥、転移、および界面の荒さ等が生じ
ることなしに、窒化物半導体結晶とは格子定数の異なる
サファイア基板上に窒化物半導体結晶を成長させる方法
を開示する。特に、本発明は、上記のようなデバイスに
必要となる半導体多層膜構造を高品質で成長させるため
に用いられる、バッファー層に関するものである。
【0014】具体的には、本発明の第1は、プラズマ法
により生成した原子状窒素をサファイア基板上に照射す
ることにより該サファイア基板表面上にAlN膜を形成
するAlN膜成長方法であって、前記サファイア基板を
200℃以下に保持して原子状窒素を照射することを特
徴とするAlN膜の成長方法に関する。
【0015】さらに、本発明の第2は、プラズマ法によ
り生成した原子状窒素をサファイア基板上に照射するこ
とにより該サファイア基板表面上にAlN膜を形成させ
てバッファ層を形成し、該バッファ層上に窒化物半導体
結晶を成長させる窒化物半導体結晶の成長方法であっ
て、前記バッファ層の成長において、サファイア基板を
200℃以下に保持して原子状窒素を照射することを特
徴とする窒化物半導体結晶の成長方法に関する。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の窒化物半導体の成長方法
は、高真空中でサファイア基板を所定温度以下に保ち、
窒素プラズマ(以下、原子状窒素ともいう。)を用いて
この基板を窒化することにより、表面に極めて平坦なバ
ッファー層を形成する方法である。
【0017】窒素プラズマは、高周波の電磁波を用いた
プラズマ技術により窒素分子を分解し、原子状の窒素に
したものである。その生成された原子状の窒素は運動エ
ネルギーが高い。そのため、これをサファイア基板に照
射すると、サファイア基板の表面のアルミニウムや酸素
原子が除去される。即ち、サファイア基板の表面をエッ
チングすることが可能である。その効果はサファイア基
板の温度に依存しており、基板温度を高くすると基板の
表面の原子が削り取られ、表面の平坦性が失われる。し
かしサファイア基板の温度が低いとそのエッチングの効
果は小さい。そのため、サファイア基板の温度が低い場
合には、表面の平坦性を失うことなしに、窒素原子がサ
ファイア基板の表面の酸素原子と入れ替わってAl原子
と結合する。その結果、サファイア基板表面上に、極め
て薄い平坦なAlN膜が形成されることになる。本発明
の極めて平坦なAlN膜(バッファ層)は、このような
知見に基づいて初めて得られるものである。
【0018】このようにして形成したAlN膜は、高品
質の窒化物半導体多層膜成長のためのバッファー層とし
て用いることが可能であり、従来の方法により形成され
たバッファー層とは比較にならない程平坦な表面をも
つ。よって本発明の方法により形成されたAlNバッフ
ァー層上においては、光デバイスや電子デバイスの性能
を十分に引き出すために必要な高品質の半導体多層膜構
造の成長が可能となる。このような本発明の特徴は、本
発明の方法により初めて達成されるものである。
【0019】以下に本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】以下の説明においては、RFプラズマ装置
を備えた窒化物半導体成長用の分子線エピタキシー装置
において、サファイアを基板として、GaN、AlGa
N、InGaN等を成長する場合について述べる。しか
し、本発明はこれらに限定されず、種々の変更が可能で
あることは当業者に理解されるであろう。特に、基板
は、サファイア基板以外にもZnOのような基板を用い
ることができる。
【0021】ます始めに、分子エピタキシー装置につい
て説明する。
【0022】分子線エピタキシー装置は、高真空中でG
aN、AlGaN、InGaN等の窒化物半導体を成長
する装置である。基板は温度を制御できる基板ホルダー
上にIn等を用いて張り付けられており、成長室内は、
高真空に保つことが可能なように真空排気装置により制
御されている。また室内の酸素や水分等が成長室内に持
ち込まれない様に、必要に応じて、試料搬入用の真空槽
や、試料の水分を除去するヒーター等が備え付けられて
いることが好ましい。よって、分子エピタキシー装置
は、2〜3室以上の真空槽からなる場合もあるが、これ
は一般的によく知られた技術を用いて構成することがで
きる。
【0023】またGa、In、Al等の材料を供給する
場合や、半導体結晶中のキャリア密度を制御するための
MgやSi等の材料の供給が必要となる場合には、よく
知られた技術であるKセルを用いた材料の供給方法等を
適用することができる。また、原子状窒素はプラズマを
用いて発生させるが、その際に必要となる高純度の窒素
ガスは、例えば、99.99995%以上の純度のもの
を好適に使用することができる。この高純度窒素も一般
的に知られた供給方法により、プラズマ装置に供給すれ
ばよい。
【0024】次に、図1を参照して本発明の方法を各工
程に沿って説明する。なお、図1は、サファイア基板上
に半導体多層膜構造を成長するまでの手順を示してい
る。具体的には、工程S110からS116はサファイ
ア基板等の洗浄の工程であり、工程S118およびS1
20は、サファイア基板上でのAlN膜の成長の工程を
示す。
【0025】最初の工程(S110)は、サファイア基
板を洗浄およびエッチングする工程である。分子線エピ
タキシー装置に試料を搬入する前に、サファイア基板上
に付着した不純物や空気中の粉塵等を、アセトンやメチ
ルアルコール等の有機溶媒を用いた洗浄により除去する
必要がある。また、基板表面をさらに洗浄するために
は、数原子層程度をエッチングにより除去することが好
ましい。エッチングには、例えば硫酸とリン酸(例え
ば、硫酸濃度:96%、リン酸濃度:85%)を1:1
に混合し、160℃に保ったこの混合溶液中で約5分間
放置すれば、サファイア基板表面が軽く除去され、平坦
で清浄な表面が得られる。硫酸とリン酸の混合比は、
1:1から1:3の範囲で用いることが可能であり、さ
らに温度についても150℃から300℃の範囲で用い
ることが可能である。但し、混合比や温度を変えた場合
には、エッチングの強さが変わるため、その各々の場合
について最適な条件を前もって調べておく必要がある。
このような工程で清浄したサファイア基板を成長に用い
る。
【0026】次に、洗浄されたサファイア基板を真空層
へ搬入する(S112)。
【0027】上記工程(S110)で洗浄されたサファ
イア基板をインジウム等を用いて基板ホルダーに取り付
け、分子線エピタキシー装置の成長室に搬入する(S1
12)。この搬入に際して、必要に応じて、試料搬入専
用の真空槽や試料の水分除去用ヒーターの取り付けられ
た真空槽を介してサファイア基板の搬入を行なってもよ
い(S114)。例えば、基板温度400℃程度で20
分間程度加熱し、基板ホルダーに付着した水分等を除去
することができる。
【0028】その後、成長室に搬入されたサファイア基
板は、まず基板ホルダーの温度を上げることにより加熱
され、熱的に洗浄される(S116)。この洗浄は、例
えば、800℃で20分保持することにより行うことが
できる。これにより、サファイア基板上に付着した水分
や、その他の不純物、例えば不要な酸素やインジウム等
が除去される。その後、基板の温度を200℃以下に下
げる。例えば、基板の温度を150℃に設定する。本発
明においては、基板の温度は、200℃以下であること
が好ましく、50℃〜200℃がより好ましく、さらに
好ましくは、100℃〜150℃である。
【0029】その後、基板の温度を上記範囲に保持し、
RFプラズマ装置により原子状の窒素を発生させて、こ
れをサファイア基板に照射する(S118)。照射する
原子状窒素の流量、照射時間、プラズマパワー等は、プ
ラズマ装置に依存するため、個々の装置ごとに最適な条
件を見つける必要がある。例えば、日本真空技術株式会
社製の分子線結晶成長装置(MB95−1044)の装
置を用いた場合には、窒素の流量は例えば2sccm
で、プラズマパワーは250W程度とすればよい。
【0030】このようにしてプラズマ技術により生成さ
せた原子状窒素を照射する。この照射時間についても、
基板とプラズマ源との距離、窒素の流量等に依存するた
め、使用する装置などの条件に応じた最適な条件を見つ
ける必要がある。上記装置を用いた場合、2時間程度窒
素原子を照射することにより所望のAlN膜を形成する
ことができる。
【0031】原子状窒素は、高周波の電磁波を用いたプ
ラズマ技術により窒素分子を分解し、原子状の窒素にし
たものである。その生成された原子状の窒素は運動エネ
ルギーが高いため、これをサファイア基板に照射する
と、サファイア基板の表面のアルミニウムや酸素原子が
除去される。即ち、サファイア基板の表面をエッチング
することが可能である。その効果はサファイア基板の温
度に依存しており、サファイア基板の温度が低いとその
エッチングの効果は小さいため、サファイア基板の温度
が低い場合には、表面の平坦性を失うことなしに、窒素
原子がサファイア基板の表面の酸素原子と入れ替わって
Al原子と結合する。その結果、サファイア基板表面上
に、極めて薄い平坦なAlN膜が形成されることにな
る。
【0032】このようにして、サファイア基板表面に極
めて平坦なAlNバッファー層を形成することができ
る。
【0033】実際のデバイス構造で必要とされる半導体
多層膜を成長するには、この後、基板温度を実際にデバ
イス構造で必要とされる半導体多層膜を成長する時の温
度に設定し、所望の半導体多層膜結晶を成長すればよい
(S120)。例えば、本発明の場合、基板温度を70
0℃に保ち、窒素の流量を2sccmに設定し、この条
件の下にAl、Ga、In等の蒸気圧を制御することに
より半導体多層膜を成長させる。この成長条件について
も、最適条件は各々の装置で若干異なる。このため最適
な条件は、個々の装置適合した条件を見つける必要があ
る。また、所望とする半導体多層膜構造は、それを用い
て作製する電子デバイスや光デバイスの性能を十分に引
き出せるように設計すればよい。この設計には、よく知
られた構造を適用すればよい。
【0034】以上述べた方法により、極めて平坦な窒化
物半導体結晶をサファイア基板上に成長させることが可
能となる。
【0035】本発明によるAlNのバッファー層の形成
方法を用いれば、基板表面が極めて平坦であり、また組
成の異なる半導体の多層構造を作製した場合に、極めて
界面が平坦となる。
【0036】
【実施例】上記の本発明の方法を用いて、AlNバッフ
ァー層を作製し、その上にGaN、AlN層を成長した
場合の結晶品質の向上に関して実験した結果を述べる。
結晶品質の調査は、X線の回折強度の結晶方位依存性を
調べることにより行うことができる。半導体結晶の場合
には、ある特定の方位にX線が回折現象により回折され
る。そのため、成長した結晶にX線を照射している時
に、その成長した結晶の方向を動かしながら、回折され
たX線の強度を調べれば、ある結晶方位にX線が入射し
た時にのみ、X線が回折される現象がみられる。
【0037】一方、結晶の品質がよいほど、成長された
結晶の方位が一方向に均一に向いている。そのため、結
晶の角度に対して、回折されるX線の強度は極めて敏感
になる。一方結晶の品質が悪い場合には、多少結晶の方
位がずれた結晶が存在する。そのため、多少結晶の角度
が、回折条件を満たす角度からずれても、回折されたX
線がみられることになる。これは、回折ピークのブロー
ド化として観測される。
【0038】以下に実験方法および結果を示す。
【0039】(バッファ層の生成)サファイア基板(長
さ10mm×幅10mm×厚さ0.33mm)上に付着
した不純物や空気中の粉塵等を、アセトンやメチルアル
コール等の有機溶媒を用いて洗浄した。さらにこの基板
を、硫酸とリン酸(硫酸濃度:96%、リン酸濃度:8
5%)を1:1に混合し、160℃に保ったこの混合溶
液中で約5分間放置してエッチングし、表面が平坦で清
浄な表面のサファイア基板を得た。次にサファイア基板
をインジウムを用いて基板ホルダーに取り付け、これを
試料搬入専用の真空槽や試料の水分除去用ヒーターの取
り付けられた真空槽を介して成長室に導入した。この場
合、試料搬入用の専用の真空層で、基板温度を400℃
で20分間加熱した。
【0040】その後、成長室に搬入されたサファイア基
板を、800℃に20分保持することにより、サファイ
ア基板上に付着した水分や、インジウム、酸素等のその
他の不純物を除去した。その後、基板の温度を150℃
に下げ、この温度で、RFプラズマ装置により原子状の
窒素を発生させて、これをサファイア基板に照射した。
日本真空技術株式会社製の分子線結晶成長装置(MB9
5−1044)の装置を用いて、窒素の流量を2scc
mで、プラズマパワーは250Wで操作した。照射時間
は約2時間であった。
【0041】このようにして所望のバッファ層を形成し
た。
【0042】(窒化物半導体層の形成)窒化物半導体層
(GaNまたはAlN層)は、以下のように成長させ
た。基板温度を700℃に保ち、窒素の流量を2scc
mに設定し、この条件の下にAlまたはGa蒸気圧を制
御(Ga:1×10-6Torr、Al:4×10-7To
rr)することにより半導体多層膜を成長させた。
【0043】図2に、本発明の方法と従来の方法にした
がってサファイア基板上にGaNを成長させた時のX線
回折の測定結果を示す。X線回折の測定では、Kα1線
を用いて、スリット幅1mm×1mmで行った。このと
き分解能は18arcsecである。
【0044】図2の(a)は、従来の方法によるもので
あり、まずGaの蒸気圧が0.3× -6Torr、基板温
度400℃の条件で厚さ500ÅのGaNを成長させ
て、これをバッファー層とし、そのあとGaの蒸気圧が
1×10-6Torr、基板の温度700℃の条件で厚さ
1μmのGaNを成長した場合のサンプルの測定結果で
ある。
【0045】(b)は、本発明の方法によるもので、上
述のように窒素プラズマ(RF出力250W、窒素流量
2sccm)を用いて温度150℃で2時間かけて表面
を窒化することにより形成したAlNバッファー層上
に、GaNを同じくGaの蒸気圧が1×10-6Tor
r、基板の温度700℃の条件で厚さ1μm成長した場
合の測定結果である。ともに結晶方位の(0002)面
に対するX線回折のピークを示してた。(a)と(b)
の半値幅は、それぞれ231arcsec、28arc
secを示している。この半値幅が小さい程結晶の方位
性の乱れが小さい。したがって、本発明の方法を用いれ
ば、結晶方位が均一な良質の結晶が成長できることが分
かる。
【0046】さらに図3に、本発明の方法と従来の方法
にしたがってサファイア基板上にAlNを成長した時の
X線回折の測定結果を示す。(a)は、従来の方法によ
るものであり、まずAlの蒸気圧が1×10-7Tor
r、基板温度400℃の条件で厚さ500ÅのAlNを
成長させて、これをバッファー層とし、そのあとAlの
蒸気圧が4×10-7Torr、基板温度700℃の条件
で厚さ0.4μmのAlNを成長した場合のサンプルの
測定結果である。
【0047】(b)は、本発明の方法によるもので、上
記のように窒素プラズマ(RF出力250W、窒素流量
2sccm)を用いて温度150℃で2時間かけて表面
を窒化することにより形成したAlNバッファー層上
に、AlNを同じくAlの蒸気圧が4×10-7Tor
r、基板温度700℃の条件で0.4μm成長した場合
の測定結果である。ともに結晶方位の(0002)面に
対するX線回折のピークを示してある。X線回折の条件
は、上述の図2で説明したとおりである。
【0048】(a)と(b)の半値幅は、それぞれ25
min、50arcsecを示している。この半値幅が
小さい程結晶の方位性の乱れが小さい。したがって、本
発明の方法を用いれば、AlNを成長する場合において
も結晶方位が均一な良質の結晶が成長できることが分か
る。
【0049】またAFM(原子間力顕微鏡)を用いて表
面を観察したところ、本発明の方法を用いて形成させた
窒化物半導体結晶の場合には、表面の荒さは0.7nm
以下であった。従来の方法に従ったバッファ層を用いた
場合に比べ半分の数値を示していた。
【0050】以上から、本発明の方法は光デバイスや、
電子デバイス等の作製の際に必要となる高品質の窒化物
半導体結晶をサファイア基板上に成長するのによい方法
であることがわかる。
【0051】
【発明の効果】本発明の方法に従って形成したAlN膜
は、高品質の窒化物半導体多層膜成長のためのバッファ
ー層として用いることが可能であり、従来の方法により
形成されたバッファー層とは比較にならない程平坦な表
面をもつ。よって本発明の方法により形成されたAlN
バッファー層上においては、光デバイスや電子デバイス
の性能を十分に引き出すために必要な高品質の半導体多
層膜構造の成長が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を用いた窒化物半導体の成長方法
の工程を示すフローチャートである。
【図2】従来の方法と本発明方法を用いて成長したGa
N膜のX線回折による測定結果を示すグラフである。
(a)は、従来の方法によるGaN膜の測定結果であ
り、(b)は、本発明の方法によるGaN膜の測定結果
である。
【図3】従来の方法と本発明方法を用いて成長したAlN
膜のX線回折による測定結果である。(a)は、従来の
方法によるAlN膜の測定結果であり、(b)は、本発
明の方法によるAlN膜の測定結果である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G077 AA03 BE13 BE15 DB01 ED06 EF03 5F041 AA40 CA34 CA40 CA46 CA66 CA67 CA74 5F045 AA05 AA08 AB14 AC15 AD05 AD11 AE07 AE09 AF09 DA52 DA53 EH01 EM01 EM09 HA04

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマ法により生成した原子状窒素を
    サファイア基板上に照射することにより該サファイア基
    板表面上にAlN膜を形成するAlN膜成長方法であっ
    て、前記サファイア基板を200℃以下に保持して原子
    状窒素を照射することを特徴とするAlN膜の成長方
    法。
  2. 【請求項2】 プラズマ法により生成した原子状窒素を
    サファイア基板上に照射することにより該サファイア基
    板表面上にAlN膜を形成させてバッファ層を形成し、
    該バッファ層上に窒化物半導体結晶を成長させる窒化物
    半導体結晶の成長方法であって、前記バッファ層の成長
    において、サファイア基板を200℃以下に保持して原
    子状窒素を照射することを特徴とする窒化物半導体結晶
    の成長方法。
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