JP3430701B2 - 半導体基板の清浄化方法 - Google Patents
半導体基板の清浄化方法Info
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- JP3430701B2 JP3430701B2 JP08350895A JP8350895A JP3430701B2 JP 3430701 B2 JP3430701 B2 JP 3430701B2 JP 08350895 A JP08350895 A JP 08350895A JP 8350895 A JP8350895 A JP 8350895A JP 3430701 B2 JP3430701 B2 JP 3430701B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ZnS、ZnTe、C
dS、CdSe、CdTe、HgTe、HgSe、Hg
S及びこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体基板の表
面清浄化方法に関する。
dS、CdSe、CdTe、HgTe、HgSe、Hg
S及びこれらの混晶等のII-VI 族化合物半導体基板の表
面清浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、MBE法でII-VI 族化合物半導体
基板上にII-VI 族化合物半導体をエピタキシャル成長さ
せる際に、成長装置内で基板をクリーニングする方法に
は、例えば、ZnSe系基板の場合、加熱によるクリー
ニング、不活性ガスを用いたスパッタリングでのエッチ
ング、又は、反応性ガスを用いた反応性イオンエッチン
グ(RIE、Reactive Ion Etching)等が行われてい
た。
基板上にII-VI 族化合物半導体をエピタキシャル成長さ
せる際に、成長装置内で基板をクリーニングする方法に
は、例えば、ZnSe系基板の場合、加熱によるクリー
ニング、不活性ガスを用いたスパッタリングでのエッチ
ング、又は、反応性ガスを用いた反応性イオンエッチン
グ(RIE、Reactive Ion Etching)等が行われてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】II-VI 族化合物半導体
基板を使用してMBE法で成長を行うときに、加熱によ
るクリーニングを行う方法は、J. Cryst. Growth 86(19
88) p.342 〜347 に記載されている。この方法は、基板
を真空中に置いて温度を上げていくと、高速反射電子線
回折(RHEED)観察によりスポットパターンが観察
される。これは原子レベルで表面が荒れていることを示
しており、エピタキシャル成長に適した平坦性は得られ
ていない。しかも、最表面層には、数原子層の酸化膜や
炭素系の吸着物が残留しており、良好なエピタキシャル
成長を行うことができない。
基板を使用してMBE法で成長を行うときに、加熱によ
るクリーニングを行う方法は、J. Cryst. Growth 86(19
88) p.342 〜347 に記載されている。この方法は、基板
を真空中に置いて温度を上げていくと、高速反射電子線
回折(RHEED)観察によりスポットパターンが観察
される。これは原子レベルで表面が荒れていることを示
しており、エピタキシャル成長に適した平坦性は得られ
ていない。しかも、最表面層には、数原子層の酸化膜や
炭素系の吸着物が残留しており、良好なエピタキシャル
成長を行うことができない。
【0004】次に、Arガスでスパッタリングエッチン
グを行う方法は、J. Vac. Sci. Technol B3 (1985)p.
1637〜1640に記載されている。これは、II-VI 族半導体
では、GaAsにおける硫酸、過酸化水素系の混酸のよ
うな適切な化学エッチャントが見つかっていないため、
スパッタリングでエッチングを行う。この場合、Arイ
オンの運動エネルギーで表面をスパッタするため、研磨
時に残留した加工歪み層は除去できるが、スパッタリン
グによる新たな損傷層が形成され、表面モフォロジーも
荒れ、RHEED観察でもスポットパターンしか得られ
ず、良好なエピタキシャル成長を行うことはできない。
グを行う方法は、J. Vac. Sci. Technol B3 (1985)p.
1637〜1640に記載されている。これは、II-VI 族半導体
では、GaAsにおける硫酸、過酸化水素系の混酸のよ
うな適切な化学エッチャントが見つかっていないため、
スパッタリングでエッチングを行う。この場合、Arイ
オンの運動エネルギーで表面をスパッタするため、研磨
時に残留した加工歪み層は除去できるが、スパッタリン
グによる新たな損傷層が形成され、表面モフォロジーも
荒れ、RHEED観察でもスポットパターンしか得られ
ず、良好なエピタキシャル成長を行うことはできない。
【0005】また、RIEを行う方法は、J. Vac. Sci.
Technol B9 (1991)p.1934〜1938に記載されている。
これは、スパッタリングエッチングの欠点、即ちスパッ
タリングによる損傷の発生を極力抑制しようとするもの
で、反応性ガスにBCl3 を使用したプラズマから生ず
る活性種を利用し、表面を化学的にドライエッチングす
るものである。この場合、RHEED観察では原子レベ
ルでの平坦性を示すストリークパターンとなる。しか
し、イオンの運動エネルギーによる損傷が残留し、表面
モフォロジーは荒れる。
Technol B9 (1991)p.1934〜1938に記載されている。
これは、スパッタリングエッチングの欠点、即ちスパッ
タリングによる損傷の発生を極力抑制しようとするもの
で、反応性ガスにBCl3 を使用したプラズマから生ず
る活性種を利用し、表面を化学的にドライエッチングす
るものである。この場合、RHEED観察では原子レベ
ルでの平坦性を示すストリークパターンとなる。しか
し、イオンの運動エネルギーによる損傷が残留し、表面
モフォロジーは荒れる。
【0006】そこで、本発明は、上記の問題点を解消
し、エピタキシャル成長に適した損傷のない平坦性及び
表面モフォロジーの優れたII-VI 族化合物半導体基板を
得るための基板清浄化方法を提供しようとするものであ
る。
し、エピタキシャル成長に適した損傷のない平坦性及び
表面モフォロジーの優れたII-VI 族化合物半導体基板を
得るための基板清浄化方法を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、高エネルギー
状態に励起した水素ガスと基板を構成する元素又は該元
素を含有する化合物のビームを照射することにより、上
記の課題を解決したII-VI 族化合物半導体基板の清浄化
方法であり、詳細は以下のとおりである。
状態に励起した水素ガスと基板を構成する元素又は該元
素を含有する化合物のビームを照射することにより、上
記の課題を解決したII-VI 族化合物半導体基板の清浄化
方法であり、詳細は以下のとおりである。
【0008】(1)II−VI族化合物半導体基板を、
室温から前記化合物半導体の膜形成温度を超える温度に
昇温するとともに、前記半導体基板に対し、RF(Radi
o Frequency)放電、マイクロ波放電、ECR(Electro
n Cyclotron Resonance)放電、又は直流放電のいずれ
かにより励起された水素を照射した後、前記基板を構成
するII族またはVI族のいずれか一方の元素又は該元
素を含有する化合物のビームを照射することを特徴とす
るII−VI族化合物半導体基板の清浄化方法。
室温から前記化合物半導体の膜形成温度を超える温度に
昇温するとともに、前記半導体基板に対し、RF(Radi
o Frequency)放電、マイクロ波放電、ECR(Electro
n Cyclotron Resonance)放電、又は直流放電のいずれ
かにより励起された水素を照射した後、前記基板を構成
するII族またはVI族のいずれか一方の元素又は該元
素を含有する化合物のビームを照射することを特徴とす
るII−VI族化合物半導体基板の清浄化方法。
【0009】(2) 励起水素ガスの照射開始温度を室温乃
至700℃間の温度に調整することを特徴とする上記
(1) 記載のII-VI 族化合物半導体基板の表面清浄化方
法。
至700℃間の温度に調整することを特徴とする上記
(1) 記載のII-VI 族化合物半導体基板の表面清浄化方
法。
【0010】(3)基板を構成するII族またはVI族
のいずれか一方の元素又は該元素を含有する化合物のビ
ームを照射する照射開始温度を100〜700℃に調整
することを特徴とする上記(1)記載のII−VI族化
合物半導体基板の清浄化方法。
のいずれか一方の元素又は該元素を含有する化合物のビ
ームを照射する照射開始温度を100〜700℃に調整
することを特徴とする上記(1)記載のII−VI族化
合物半導体基板の清浄化方法。
【0011】(4) 前記II-VI 族化合物半導体基板は、II
族元素がZn、Cd及びHgから選択され、VI族元素が
S、Se及びTeから選択された2元以上の多元化合物
であることを特徴とする上記(1) 〜(3) のいずれか1つ
に記載のII-VI 族化合物半導体基板の清浄化方法。
族元素がZn、Cd及びHgから選択され、VI族元素が
S、Se及びTeから選択された2元以上の多元化合物
であることを特徴とする上記(1) 〜(3) のいずれか1つ
に記載のII-VI 族化合物半導体基板の清浄化方法。
【0012】
【作用】本発明は、水素ガスを放電させることによりプ
ラズマ状態を作り、水素を原子又は分子の高エネルギー
状態に励起し、II-VI 族化合物半導体基板に照射するこ
とにより、Zn−O等の酸素との結合を完全に還元して
酸化物を除去する。また、炭素系の残留物をC−H系の
炭化水素に変換して蒸発させる。これらの一連の反応
は、特に運動エネルギーを与えずに行うため、損傷層の
ない平坦な清浄表面を形成することができる。そして、
これらの一連のプロセス温度における基板からの構成元
素の蒸発を防止するため、構成元素からなるビームを照
射して表面の劣化を抑制する。
ラズマ状態を作り、水素を原子又は分子の高エネルギー
状態に励起し、II-VI 族化合物半導体基板に照射するこ
とにより、Zn−O等の酸素との結合を完全に還元して
酸化物を除去する。また、炭素系の残留物をC−H系の
炭化水素に変換して蒸発させる。これらの一連の反応
は、特に運動エネルギーを与えずに行うため、損傷層の
ない平坦な清浄表面を形成することができる。そして、
これらの一連のプロセス温度における基板からの構成元
素の蒸発を防止するため、構成元素からなるビームを照
射して表面の劣化を抑制する。
【0013】以下の実施例では、ZnSe基板について
説明するが、本発明はこれらに限定されることはなく、
ZnS、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、Hg
Te、HgSe、HgS及びこれらの混晶半導体基板に
ついても同様に有効である。また、以下の実施例では高
周波放電を用いたが、マイクロ波放電、ECR放電、直
流放電も同様に使用することができる。
説明するが、本発明はこれらに限定されることはなく、
ZnS、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、Hg
Te、HgSe、HgS及びこれらの混晶半導体基板に
ついても同様に有効である。また、以下の実施例では高
周波放電を用いたが、マイクロ波放電、ECR放電、直
流放電も同様に使用することができる。
【0014】
【実施例】13.56MHzの高周波放電により励起さ
れた水素をZnSe基板上に照射して表面を清浄化した
後、ZnSeをエピタキシャル成長させた。上記基板の
洗浄及びエピタキシャル成長は図1のMBE装置で行っ
た。このMBE装置は、超高真空チャンバ1の底部に、
原料蒸発用セル2と放電セル3を付設し、前記セルに対
応する位置に半導体基板をホルダー4に固定し、その背
面に設けた基板加熱ヒーター7で所定の温度まで加熱す
る。各セルにはそれぞれセルシャッター6を、基板表面
にはメインシャッター8を設けてビームの照射時間を調
節する。なお、放電セル3には水素ガス10の供給管を
接続し、超高真空チャンバ1の内壁近くに液体窒素シュ
ラウドを配置した。
れた水素をZnSe基板上に照射して表面を清浄化した
後、ZnSeをエピタキシャル成長させた。上記基板の
洗浄及びエピタキシャル成長は図1のMBE装置で行っ
た。このMBE装置は、超高真空チャンバ1の底部に、
原料蒸発用セル2と放電セル3を付設し、前記セルに対
応する位置に半導体基板をホルダー4に固定し、その背
面に設けた基板加熱ヒーター7で所定の温度まで加熱す
る。各セルにはそれぞれセルシャッター6を、基板表面
にはメインシャッター8を設けてビームの照射時間を調
節する。なお、放電セル3には水素ガス10の供給管を
接続し、超高真空チャンバ1の内壁近くに液体窒素シュ
ラウドを配置した。
【0015】基板は、ZnSe(100)ウエハを使用
した。このウエハは、研磨終了時の状態で第1結晶にG
e(400)非対称回折の2結晶回折測定でZnSe
(400)回折半値幅が約10秒を示し、基板の結晶性
が良く、研磨ダメージがないことが分かる。なお、完全
結晶では理論的な回折半値幅が8〜9秒程度になる。研
磨ダメージがある場合や基板の結晶性が悪い場合は回折
半値幅が20秒以上と大きくなる。
した。このウエハは、研磨終了時の状態で第1結晶にG
e(400)非対称回折の2結晶回折測定でZnSe
(400)回折半値幅が約10秒を示し、基板の結晶性
が良く、研磨ダメージがないことが分かる。なお、完全
結晶では理論的な回折半値幅が8〜9秒程度になる。研
磨ダメージがある場合や基板の結晶性が悪い場合は回折
半値幅が20秒以上と大きくなる。
【0016】このウエハをアセトン、トリクロロエチレ
ン及びイソプロピルアルコールによる有機洗浄で脱脂し
た後、化学的湿式エッチングを行わず上記MBE装置に
設置した。その後、RHEED観察で調べたところ、室
温でも1×1パターンが確認され、基板特性が良く、最
表面まで単結晶であることが分かった。なお、ウエハの
最表面が多結晶化又はアモルファス化してダメージが残
っている場合は、RHEEDではリング状又はハロー状
のパターンを示す。
ン及びイソプロピルアルコールによる有機洗浄で脱脂し
た後、化学的湿式エッチングを行わず上記MBE装置に
設置した。その後、RHEED観察で調べたところ、室
温でも1×1パターンが確認され、基板特性が良く、最
表面まで単結晶であることが分かった。なお、ウエハの
最表面が多結晶化又はアモルファス化してダメージが残
っている場合は、RHEEDではリング状又はハロー状
のパターンを示す。
【0017】次いで、Pd透過膜を通して純化した水素
ガスを1.0sccmの速度で高周波放電セルを介して
超高真空チャンバに導入した。この時のチャンバ内の到
達真空度は約1×10-6Torrであった。流量が安定
した状態で13.56MHzの高周波を100W印加し
てプラズマ放電を起こした。プラズマ分光の結果、水素
原子の発光が支配的であることが分かった。
ガスを1.0sccmの速度で高周波放電セルを介して
超高真空チャンバに導入した。この時のチャンバ内の到
達真空度は約1×10-6Torrであった。流量が安定
した状態で13.56MHzの高周波を100W印加し
てプラズマ放電を起こした。プラズマ分光の結果、水素
原子の発光が支配的であることが分かった。
【0018】プラズマ放電が安定した後、励起された水
素を上記の条件で流しながら、図2の温度プログラムに
より、基板温度を昇温速度10〜20℃/分で500℃
まで加熱した。なお、上記の基板温度はマニピュレータ
のヒーター近傍の温度である。温度上昇とともに1×1
パターンの強度が徐々に強くなり、450〜500℃で
C(2×)構造のZn安定化面がストリークパターンと
して観察された。図3は、加速電圧15kVの電子線を
エピタキシャル層の<100>及びそれと等価な3方向
の、合計4方向から入射したときに観察されたRHEE
Dパターンを写真撮影したものである。矢印で示した位
置の回折は、通常観察される1×1パターンの1/2の
位置に現れている。これと直交する<110>入射で
は、1×1パターンしか現れなかった。これは、<10
0>方向が、4回対称で通常の格子配置の2倍の長周期
構造を示しており、いわゆるC(2×2)構造が形成さ
れていることが分かる。
素を上記の条件で流しながら、図2の温度プログラムに
より、基板温度を昇温速度10〜20℃/分で500℃
まで加熱した。なお、上記の基板温度はマニピュレータ
のヒーター近傍の温度である。温度上昇とともに1×1
パターンの強度が徐々に強くなり、450〜500℃で
C(2×)構造のZn安定化面がストリークパターンと
して観察された。図3は、加速電圧15kVの電子線を
エピタキシャル層の<100>及びそれと等価な3方向
の、合計4方向から入射したときに観察されたRHEE
Dパターンを写真撮影したものである。矢印で示した位
置の回折は、通常観察される1×1パターンの1/2の
位置に現れている。これと直交する<110>入射で
は、1×1パターンしか現れなかった。これは、<10
0>方向が、4回対称で通常の格子配置の2倍の長周期
構造を示しており、いわゆるC(2×2)構造が形成さ
れていることが分かる。
【0019】チャンバからウエハを取り出さずに、表面
のX線電子分光(XPS)測定を行ったところ、Zn−
Oの結合や、炭素の信号が測定限界以下であった。この
ように、基板表面の酸素が除去された結果、この温度に
おける最も安定な再配列がなされ、Zn安定化状態にあ
ることを示していた。また、RHEEDの回折パターン
は、ウエハが平坦でない場合スポットになるが、平坦な
場合はスポットがつながってストリークパターンを示す
ので、上記のように、C(2×2)構造のストリークパ
ターンを示すということは、原子レベルで平坦であるこ
と示している。
のX線電子分光(XPS)測定を行ったところ、Zn−
Oの結合や、炭素の信号が測定限界以下であった。この
ように、基板表面の酸素が除去された結果、この温度に
おける最も安定な再配列がなされ、Zn安定化状態にあ
ることを示していた。また、RHEEDの回折パターン
は、ウエハが平坦でない場合スポットになるが、平坦な
場合はスポットがつながってストリークパターンを示す
ので、上記のように、C(2×2)構造のストリークパ
ターンを示すということは、原子レベルで平坦であるこ
と示している。
【0020】比較のために、水素を放電せずに流しなが
ら、実施例1と同様に図1の温度プログラムにより基板
の清浄化を行ったが、500℃を700℃まで温度を上
げても(他の条件は同じ)、図4の(1×1)パターン
が得られるだけで、C(2×2)パターン(図3)は得
られなかった。なお、図4は、電子線を<100>及び
<110>から入射したときに観察されたRHEEDパ
ターンを写真撮影したものである。この場合、いずれの
方向から入射しても1×1パターンしか観察されず、表
面再配列が生じていないことが分かった。また、700
℃以上に温度を上げると、表面からZnやSeの解離が
著しくなり、表面劣化のため基板として使用できなかっ
た。この状態で表面をin−situのXPS測定で調
べたところ、Zn−Oの結合や炭素の信号が認められ、
清浄表面が得られていないことが確認された。
ら、実施例1と同様に図1の温度プログラムにより基板
の清浄化を行ったが、500℃を700℃まで温度を上
げても(他の条件は同じ)、図4の(1×1)パターン
が得られるだけで、C(2×2)パターン(図3)は得
られなかった。なお、図4は、電子線を<100>及び
<110>から入射したときに観察されたRHEEDパ
ターンを写真撮影したものである。この場合、いずれの
方向から入射しても1×1パターンしか観察されず、表
面再配列が生じていないことが分かった。また、700
℃以上に温度を上げると、表面からZnやSeの解離が
著しくなり、表面劣化のため基板として使用できなかっ
た。この状態で表面をin−situのXPS測定で調
べたところ、Zn−Oの結合や炭素の信号が認められ、
清浄表面が得られていないことが確認された。
【0021】上記のように励起水素を照射し、加熱して
原子レベルで平坦で清浄な表面が得られた状態で、励起
水素の照射を停止し、直ちに基板の構成元素のうち、S
eの照射を開始した。この照射と同時に基板温度を10
℃/分の速度で成長温度の350℃まで降温させた。こ
れは、基板表面の酸化膜が除去された時点で、表面での
化学的量論比(stoichometry)のずれを抑
えるためである。図5は、電子線をエピタキシャル層の
<110>から入射したときに観察されたRHEEDパ
ターンを写真撮影したものである。矢印で示した位置の
回折は、通常観察される1×1パターンの1/2の位置
に現れている。また、これと直交する<100>入射及
び<110>入射では、1×1パターンしか現れなかっ
た。これは、<110>方向が、2回対称で通常の格子
配置の2倍の長周期構造を示しており、いわゆる(2×
1)構造が形成されていることが分かる。
原子レベルで平坦で清浄な表面が得られた状態で、励起
水素の照射を停止し、直ちに基板の構成元素のうち、S
eの照射を開始した。この照射と同時に基板温度を10
℃/分の速度で成長温度の350℃まで降温させた。こ
れは、基板表面の酸化膜が除去された時点で、表面での
化学的量論比(stoichometry)のずれを抑
えるためである。図5は、電子線をエピタキシャル層の
<110>から入射したときに観察されたRHEEDパ
ターンを写真撮影したものである。矢印で示した位置の
回折は、通常観察される1×1パターンの1/2の位置
に現れている。また、これと直交する<100>入射及
び<110>入射では、1×1パターンしか現れなかっ
た。これは、<110>方向が、2回対称で通常の格子
配置の2倍の長周期構造を示しており、いわゆる(2×
1)構造が形成されていることが分かる。
【0022】次に、上記のように調製した表面上にアン
ドープZnSeのエピタキシャル成長を行った。フラッ
クスはSeを2×10-6Torr、Znを1×10-6T
orrとした。Seの照射開始後2時間経過した後、Z
nを照射して前記エピタキシャル成長を開始した。成長
開始直後からストリークパターンとなり、初期段階から
2次元成長していることが分かった。成長中のRHEE
DパターンはSe安定化の2×1パターンを示した。3
時間成長後、基板を取り出したところ、エピタキシャル
層厚が1.5μmであった。
ドープZnSeのエピタキシャル成長を行った。フラッ
クスはSeを2×10-6Torr、Znを1×10-6T
orrとした。Seの照射開始後2時間経過した後、Z
nを照射して前記エピタキシャル成長を開始した。成長
開始直後からストリークパターンとなり、初期段階から
2次元成長していることが分かった。成長中のRHEE
DパターンはSe安定化の2×1パターンを示した。3
時間成長後、基板を取り出したところ、エピタキシャル
層厚が1.5μmであった。
【0023】フォトルミネッセンス法でHg−Cdレー
ザ光を照射して、4.2Kでの蛍光スペクトルを見る
と、フリーエキシトンの発光が支配的であり、GaAs
上のヘテロエピタキシャル成長で見られるような、歪み
によるフリーエキシトンピークの分離や、欠陥に起因す
るY発光は観察されなった。また、結晶性を調べるため
に、厚さ4μm程度のエピタキシャル成長を行い、上記
の2結晶X線回折測定を行ったところ、回折全半値が約
15秒と、基板と同等レベルのエピタキシャル結晶が形
成されていた。
ザ光を照射して、4.2Kでの蛍光スペクトルを見る
と、フリーエキシトンの発光が支配的であり、GaAs
上のヘテロエピタキシャル成長で見られるような、歪み
によるフリーエキシトンピークの分離や、欠陥に起因す
るY発光は観察されなった。また、結晶性を調べるため
に、厚さ4μm程度のエピタキシャル成長を行い、上記
の2結晶X線回折測定を行ったところ、回折全半値が約
15秒と、基板と同等レベルのエピタキシャル結晶が形
成されていた。
【0024】比較のため、励起水素クリーニングのみ行
い、Seビーム照射を行わずに上記と同様にエピタキシ
ャル成長を行った。励起水素照射により、RHEED観
察でC(2×2)の清浄なZn安定化面が現れた状態か
ら、マニピュレータ温度を成長温度の350℃まで10
℃/分の速度で降温した。この状態では、RHEED観
察でC(2×2)のZn安定化パターンのままであっ
た。
い、Seビーム照射を行わずに上記と同様にエピタキシ
ャル成長を行った。励起水素照射により、RHEED観
察でC(2×2)の清浄なZn安定化面が現れた状態か
ら、マニピュレータ温度を成長温度の350℃まで10
℃/分の速度で降温した。この状態では、RHEED観
察でC(2×2)のZn安定化パターンのままであっ
た。
【0025】成長開始の方法としては、Se、Znいず
れかを先に照射するか、同時に照射する3通りの方法が
あるが、いずれの方法でも、成長開始から、5nm程度
の成長ではRHEEDがスポットとなる3次元に成長
し、その後、ストリークパターンに移行した。成長後、
2結晶X線回折半値幅は20秒程度と、Se照射したも
のと同程度であったが、断面を透過型電子顕微鏡で観察
すると、成長界面での欠陥密度がSe照射した場合に比
べて1桁程度大きいことが分かった。
れかを先に照射するか、同時に照射する3通りの方法が
あるが、いずれの方法でも、成長開始から、5nm程度
の成長ではRHEEDがスポットとなる3次元に成長
し、その後、ストリークパターンに移行した。成長後、
2結晶X線回折半値幅は20秒程度と、Se照射したも
のと同程度であったが、断面を透過型電子顕微鏡で観察
すると、成長界面での欠陥密度がSe照射した場合に比
べて1桁程度大きいことが分かった。
【0026】また、励起水素を照射しない場合は、図4
に見るようにC(2×2)面が現れなかった。この面に
エピタキシャル成長を試みたところ、単結晶が成長する
ものの、初期は3次元で成長し、成長後の2結晶X線回
折半値幅は50秒程度で、界面の欠陥密度もSe照射を
行わない水素処理の場合より2桁程度大きいことが分か
り、上記の場合と比較しても結晶性で劣ることが判明し
た。
に見るようにC(2×2)面が現れなかった。この面に
エピタキシャル成長を試みたところ、単結晶が成長する
ものの、初期は3次元で成長し、成長後の2結晶X線回
折半値幅は50秒程度で、界面の欠陥密度もSe照射を
行わない水素処理の場合より2桁程度大きいことが分か
り、上記の場合と比較しても結晶性で劣ることが判明し
た。
【0027】
【発明の効果】本発明は、励起水素を照射して加熱する
ことにより基板表面を清浄化し、さらに、構成元素のビ
ームを照射することにより良好な成長界面を形成できる
ようになった。
ことにより基板表面を清浄化し、さらに、構成元素のビ
ームを照射することにより良好な成長界面を形成できる
ようになった。
【図1】実施例で使用したMBE装置の概念図である。
【図2】実施例の温度プログラムを示した図である。
【図3】励起水素照射後の基板のC(2×2)ストリー
クパターンを示したRHEED写真である。
クパターンを示したRHEED写真である。
【図4】励起水素を照射しない基板の(1×1)のスポ
ッティングパターンを示したRHEED写真である。
ッティングパターンを示したRHEED写真である。
【図5】成長前の(2×1)のストリークパターンを示
したRHEED写真である。
したRHEED写真である。
Claims (4)
- 【請求項1】 II−VI族化合物半導体基板を、室温
から前記化合物半導体の膜形成温度を超える温度に昇温
するとともに、前記半導体基板に対し、RF放電、マイ
クロ波放電、ECR放電、又は直流放電のいずれかによ
り励起された水素を照射した後、前記基板を構成するI
I族またはVI族のいずれか一方の元素又は該元素を含
有する化合物のビームを照射することを特徴とするII
−VI族化合物半導体基板の清浄化方法。 - 【請求項2】 励起水素ガスの照射開始温度を室温乃至
700℃の間の温度に調整することを特徴とする請求項
1記載のII−VI族化合物半導体基板の表面清浄化方
法。 - 【請求項3】 基板を構成するII族またはVI族のい
ずれか一方の元素又は該元素を含有する化合物のビーム
を照射する照射開始温度を100〜700℃に調整する
ことを特徴とする請求項1記載のII−VI族化合物半
導体基板の清浄化方法。 - 【請求項4】 前記II−VI族化合物半導体基板は、
II族元素がZn、Cd及びHgから選択され、VI族
元素がS、Se及びTeから選択された2元以上の多元
化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
1項に記載のII−VI族化合物半導体基板の清浄化方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08350895A JP3430701B2 (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 半導体基板の清浄化方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP08350895A JP3430701B2 (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 半導体基板の清浄化方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08255777A JPH08255777A (ja) | 1996-10-01 |
JP3430701B2 true JP3430701B2 (ja) | 2003-07-28 |
Family
ID=13804435
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP08350895A Expired - Fee Related JP3430701B2 (ja) | 1995-03-16 | 1995-03-16 | 半導体基板の清浄化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3430701B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4733729B2 (ja) * | 2008-10-03 | 2011-07-27 | Jx日鉱日石金属株式会社 | ZnTe系化合物半導体の表面処理方法および半導体装置の製造方法 |
CN102598223B (zh) * | 2009-11-09 | 2015-03-25 | 3M创新有限公司 | 用于半导体的各向异性蚀刻的工艺 |
-
1995
- 1995-03-16 JP JP08350895A patent/JP3430701B2/ja not_active Expired - Fee Related
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