JP2009283895A - Iii族窒化物半導体積層構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】サファイア基板上に、III族窒化物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層を積層してなるIII族窒化物半導体積層構造体において、該サファイア基板表面にシード層としてスパッタ法で堆積されたAlN結晶膜を有し、そのAlN結晶膜は、結晶粒界の間隔が200nm以上であることを特徴とするIII族窒化物半導体積層構造体。好適には、AlN結晶膜表面の算術平均表面粗さ(Ra)が2Å以下であるのが好適である。さらに、AlN結晶膜中の酸素含有量は5原子%以下である。
【選択図】図1
Description
(i)基板とエピタキシャル膜の中間的な物理定数をもつ材料を介して成長を行うことによりエピタキシャル膜の品質を向上することができる。すなわち、格子定数、化学的性質、熱膨張係数などが中間的な性質を持つ薄膜を間に挟む。その場合には、基板の単結晶の性質をできるだけそのまま単結晶で受け継ぎたいので単結晶薄膜を挿入する必要がある。
(ii)目的の単結晶薄膜と同じ物質の多結晶あるいは非晶質の膜を挟む。通常、それを成膜する方法は単結晶成長温度よりも低い温度で成膜することによって作製する(特公昭62-29397号公報)。SOS(サファイア基板上のシリコン)などのエピタキシャル成長で検討されたのが始めである。そして、サファイア基板上のGaNでは低温バッファー層として成功を収めた。その機構は、バッファー層上ではGaNの核発生密度が高く、その中で結晶方位が良く揃った結晶粒のみが選別的に成長・合体することで粒界の発生を抑え、横成長方向の成長がバッファー層上で速いことを利用して平坦化するものである(赤崎勇ら、日本結晶成長学界誌Vol.13, No.4 ,1986, pp218-225;Vol.15 No.3-4, 1988, pp334-342;および Vol.20, No.4, 1993, pp346-354等)。
I.サファイア基板をNH3、N2H2 、有機アミン等の窒素原料ガス雰囲気中で熱処理することにより基板表面を単結晶AlN化する方法(特公平7-54806号公報 )またはNH3、N2H2雰囲気中でAlを蒸着させる化学蒸着方法(特公昭59-48796 号公報)。
II.AlNの単結晶成長が可能な高温に保ったサファイア基板上に有機アルミニウム,ハロゲン化アルミニウムあるいは金属アルミニウム蒸気等のアルミニウム原料ガスと窒素原料ガスを供給し単結晶AlN層を堆積する方法(特開平9−64477号公報)であり、通常1300℃程度の高温が必要となる。
III.500〜1000℃の低温でアルミニウム原料ガスと窒素原料ガスを供給し、数100〜1000Åの多結晶もしくはアモルファスAlN層を堆積した後、これより高温でアニールすることにより単結晶化する方法(特公平4−15200号公報、特開平5−41541号公報)。
(1)サファイア基板上に、III族窒化物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層を積層してなるIII族窒化物半導体積層構造体において、該サファイア基板表面にシード層としてスパッター法で堆積されたAlN結晶膜を有し、該AlN結晶膜は結晶粒界の間隔が200nm以上であることを特徴とするIII族窒化物半導体積層構造体;
(2)AlN結晶膜表面の算術平均表面粗さ(Ra)が2Å以下である上記(1)に記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(3)AlN結晶膜の(0002)面と(10−10)のX線回折におけるロッキングカーブの半値幅がそれぞれ100arcsec以下および1.7度以下である上記(1)または(2)に記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(4)AlN結晶膜中の酸素含有量が5原子%以下である上記(1)〜(3)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(5)サファイア基板がC面サファイア基板である上記(1)〜(4)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(6)サファイア基板が0.1〜0.7度のオフ角を有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(7)スパッター法がRFスパッター法である上記(1)に記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(8)AlN結晶膜が、サファイア基板をプラズマ中に置いてスパッター法により堆積される上記(1)〜(7)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(9)サファイア基板表面をN2プラズマまたはO2プラズマ処理した後に、AlN結晶膜が該サファイア基板表面に堆積される上記(1)〜(8)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(10)AlN結晶膜がサファイア基板表面に堆積される際の基板温度が300〜800℃である上記(1)〜(9)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(11)AlN結晶膜の膜厚が10〜50nmである上記(1)〜(10)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(12)AlN結晶膜の膜厚が25〜35nmである上記(11)に記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(13)サファイア基板の直径が100mm以上である上記(1)〜(12)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(14)最終p型半導体層であるp−コンタクト層のロッキングカーブ半値幅が(0002)面と(10−10)面でそれぞれ60arcsec以下および250arcsec以下である上記(1)〜(13)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体;
(15)上記(1)〜(14)のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体を含む発光素子;
(16)n型半導体層上に負極を、p型半導体層上に正極をそれぞれ設けた上記(15)に記載の発光素子;
(17)上記(15)または(16)に記載の発光素子からなるランプ;
(18)上記(17)に記載のランプが組み込まれてなる電子機器;ならびに
(19)上記(18)に記載の電子機器が組み込まれてなる機械装置、
である。
(1)ベース圧力の真空度が低い。ベース圧力が10-4Paよりも真空度が高い場合は残っているガスはほとんどがH2OとH2である。H2Oはプラズマ中で分解してOを供給する。
(2)ベース圧力が十分低下しているときでもシールド表面にH2Oが付着しており、プラズマを発生させてシールドがプラズマに晒されたとき表面からH2Oがプラズマ中に放出される。プラズマに曝されるシールド類の脱ガス処理が不十分な場合に起こる。
(サファイア基板)
本発明においては、まずサファイア基板(11)表面(11a)を十分きれいに洗浄するのが好適である。洗浄に際しては、研磨剤の残りやサファイアの切りかすを代表例とするパーティクル;取扱時に付く表面傷、潜傷とよばれる非常になだらかな凹凸や微妙な組成変化;空気中に浮遊する有機物が表面についていく有機物の薄膜;ならびに工程で治具が接触することによって発生するパーティクルと環境に存在するゴミ、をできるだけ除去するのが好ましい。
(電圧の印加方法)
チャンバー内にプラズマを起こす方法は大きく分けると印加する電圧がDCかRFか、チャンバーをアースした場合電圧を印加する対象が、ターゲットか基板かで4種類に分類される。サファイア基板が絶縁性であること、ならびにターゲットの原子が飛び出すと基板表面についてしまう可能性があるので目的から外れてしまうこと、の2つの理由からサファイア基板の表面を成膜の直前に整える目的のためにはRF電圧を基板側に印加するのが望ましい。
(ガスの種類)
プラズマを発生させるガスの種類は特に制限されない。ただし、目的は表面の有機物を飛ばすことが主であり、サファイア基板表面の原子がたたき出されてしまうと表面のステップは乱れてしまうと考えられるので、反応性の高いガスの使用を避けるのが望ましい。また、不活性ガスであっても重い原子はやはり破壊力が勝ってしまうので望ましくない。He,H2が考えられるがプラズマ放電が安定しにくいという問題があり、安定するまでArを混ぜるとArの破壊力が問題になる。したがって、O2かN2が望ましい。しかし、O2はガスが微量でもチャンバー内に残ると次のAlNのスパッターのときに結晶成長を阻害するおそれもあるので、N2プラズマを使った処理が最も望ましい。もちろんプラズマを安定に保つ目的でAr等の希ガスを混合してもよい。
(印加パワー・ガス圧)
投入パワーは極力低い方がよく、プラズマが安定に保てる最低レベルでよい。本発明に用いるチャンバー・カソードのサイズでは投入パワーは10〜100W程度が最も適切な範囲である。ガス圧については高いと粒子は互いにぶつかり合って運動エネルギーを失なっていく。よって、ガス圧が低いと運動エネルギーの大きい粒子が基板表面を叩くことになるのでプラズマを安定に保てる範囲で高圧の方がよい。ただし、無理にガス圧を上げるとプラズマを安定に保つために大きいパワーが必要になる。パワーが100Wよりも高くなると表面を整える以上に欠陥を導入してしまうおそれがある。したがって、0.8〜1.5Paが最も適切な範囲である。
(温度)
サファイア基板の表面を整えるという目的のためには温度はあまり重要なパラメーターではない。室温から1000℃までのどの温度でも目的を達することができるが、好ましくは300〜950℃である。ただし、成膜の直前という観点からすると次の成膜と同じ温度が望ましい。800℃を超えるとダメージが大きくなりすぎる可能性もある。また、表面プラズマ処理を別のチャンバーで行うことも可能であり、スループットを上げられる、温度を別に設定できる、という利点を有するが、表面プラズマ処理から次の成膜までの時間を要し表面の汚染が起こる可能性があるという不利がある。
(ターゲットの種類・電圧・磁場印加方法)
チャンバー内にプラズマを起こす方法は大きく分けると印加する電圧がDCかRFか、チャンバーをアースした場合電圧をかける対象がターゲットか基板か、で4種類に分類される。AlNを成膜するためのターゲットとしては高純度AlNをターゲットとする場合と高純度AlをターゲットとしてガスにN2を入れてプラズマでN2を分解してAlとNとを反応させる場合とが考えられる。高純度AlN粉末を焼結しようとするとCeO2などの焼結助剤を入れる必要があり、高純度で緻密なAlNターゲットを得るのが難しいという問題がある。それに対して、高純度Alは6Nまで市販されている。本発明の目的のためには少なくとも5N以上の純度が好適である。DCで放電を起こす場合はターゲットが導電体であることが必須である。したがって、ターゲットに高純度AlNを選ぶと必然的に電圧の印加はRFでなければならない。ターゲットが高純度AlであればDCとRFの両方の可能性がある。ただし、Al表面でAlNができて絶縁化されてしまう場合があり、そうなると電荷が溜まって落雷現象が起こり得る。したがって、DCの場合はAlN膜が生成しないようにパルス印加が用いられ得る。DCとRFの利点・不利な点は以下の通りである。
DCの利点:電源が安価である。制御が楽である。カソードとアノードが明確であるのでプラズマで叩かれる場所と成膜する場所が決まる。不純物低減の設計がしやすい。
DCの不利な点:放電が安定する範囲が狭い。運動エネルギーの範囲が狭い。
RFの利点:放電が安定する範囲が広い。運動エネルギーの範囲が広い。
RFの不利な点:電源が高価である。マッチングボックスが必要で放電が形成されるまでの時間が遅い。カソードとアノードが明確ではないのでシールドのどこからでもプラズマにより粒子が叩き出される。不純物の低減の設計が困難である。
(ガスの種類)
プラズマを発生させるガスの種類は、ターゲットがAlNならばAr,Xe、Kr等の有効な質量を持つ希ガス(好ましくはAr)のみでも可能である(以下、希ガスとしてArについて説明する)が、ターゲットがAlの場合はArとN2が必要である。N2のみであるとAl原子が叩き出される前にAlNとなってしまってほとんど成膜速度が出てこない。Arのみであると金属Alの薄膜が成膜される。N2の量を増やしていくとAlNが形成されていくが、N2のガス分圧が低いとAlNのN2が不足し膜に色がついてしまう。Alで飛び出した原子を丁度窒素化するためには活性化したN2が叩き出されてくるAl原子の数にあっている必要がある。過剰にあるとAlN結晶膜に欠陥が大量に導入されて着色される。したがって、ArとN2とを適切な比率で混合したガスを用いるのが好適である。適切な比率はガス圧と印加パワーによっても変化する。Alが叩き出される速度は印加パワーには依存するが、ガス圧には依存しない。ところがN2の活性化率はガス圧が低い方が高い。したがって、ガス圧が低い場合にはArの比率を下げるのが好適あり、印加パワーが高い場合もArの比率を下げるのが好適である。ここで本発明に用いる窒素原料としては、一般に知られているNH3などの化合物を用いることができる。窒素ガスを窒素原料として用いた場合、装置が簡便で済む代わりに、N2は非常に安定で活性化しにくいので高い反応速度を得るのが難しい。本発明においてはサファイア基板をプラズマの中に置くことにより、N2が基板表面近傍で活性化することを利用するので、N2もアンモニアには劣るが利用可能な程度の成膜速度を得ることができる。
(ターゲットとサファイア基板の距離)
サファイア基板が直径100mmの場合、全面を均一に成膜するためにはターゲットの大きさは直径200mm程度が必要である。プラズマを安定にするために磁場をかけるのが一般的であるが、磁石を置く場所としてはターゲットの裏側になる。そうするとターゲット表面に磁場が集中するのでプラズマ密度もターゲット表面が高くなる。本発明では高エネルギーを持ったプラズマ粒子同士を基板表面で反応させるのが目的であるので、プラズマ密度ができるだけ高いところに基板を配置するのが好適である。ターゲットと基板の距離を離し過ぎると基板をプラズマ密度の高い所に置くことができなくなるので好ましくない。たとえば、直径200mmのターゲットに対してターゲットとサファイア基板の距離は40〜80mm程度が好適である。この距離は、本発明においては、サファイア基板をプラズマ中に置くことによりスパッター法によりAlN結晶膜が堆積されるので好ましい。
(プラズマの形状とプラズマを閉じ込める体積)
プラズマがチャンバーの壁面まで届いてしまうと壁面が汚れて其れを取り除くのは困難であるので、プラズマを閉じ込めるためにシールドを用いるのが一般的である。シールドはチャンバー壁面が汚れるのを防ぐためだけではなく、チャンバーにアースされていれば電極の働きをしており、プラズマの形状を規定する。真空度を上げるためには排気効率を良くする必要があり、そのためにはできるだけ小さいチャンバーの方がよい。しかしプラズマをあまり小さい所に閉じ込めるとシールドがプラズマで叩かれてシールドの成分が成膜される膜まで入ってしまう。特にシールド表面には必ず水分子が付いており、これがプラズマで叩かれて放出されると膜の中までOH,Oが入り込む。したがってターゲットに近接した寸法ではなく、ある程度離してシールドを配置するのが好ましく、少なくとも直径300mm程度以上が好ましい。
(ガス圧力・印加パワー)
ベース圧力が基本的には膜質を決めると考えられる。本発明では1×10-5Pa以下、好ましくは5×10-6Pa以下、の高真空が好適である。それより低真空度であると膜中に雰囲気から入る酸素などの不純物が成膜されたAlN中に入ってしまい、結晶に欠陥が導入されてしまうおそれがある。またベース圧力が十分下がっていてもプラズマを立てた時にシールド表面の水分などの不純物が叩き出されて膜質が低下することがある。
(成膜温度)
成膜時の基板温度は、300〜800℃であることが望ましい。300℃未満の温度では、原子が基板に到達して単結晶を作るために移動する距離が十分ではなくなるので全面を覆うことができず、ピットが生成し始めやすい。基板表面で本発明のシード層を作製するという観点ではAlNが分解し始める温度まで上げた方が有利であり、その温度は1200℃程度であるので、上限はもっと高い温度であるが、基板周りの固定ジグ、シールドも並行して温度が上がるためにそこからの脱ガスが多くなり不純物混入が増えてしまうので、あまり高い温度に設定しても結果は必ずしもよくならない。したがって、実際のプロセスでは800℃よりも上げない方がよい。ただし、より高温にしても高真空度が維持できる構造が達成できればより高い温度で成膜する方が結晶性を上げるのにさらに有利になると考えられる。
(n型半導体層)
n型コンタクト層(14b)およびn型クラッド層(14c)を含むn型半導体層(14)において、n型コンタクト層(14b)の下に下地層(14a)を設けることができる。下地層(14a)に用いる材料としては、即ちGaN系化合物半導体が用いられ、特に、AlGaN、又はGaNを好適に用いることができる。下地層の膜厚は0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も好ましい。
(発光層)
発光層(15)も特に制限されないが、障壁層(バリア層)(15a)となるn型GaN層と井戸層(15b)となるGalnN層を交互に積層させた多重量子井戸構造を有するのが好適である。
(p型半導体層)
p型クラッド層(16a)及びp型コンタクト層(16b)はp型半導体層(16)を構成する。p型クラッド層(16a)としては、そのバンドギャップエネルギーが発光層(15)のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層(15)へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されない。たとえばAlGaNが好適に使用される。p型クラッド層(16a)の膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmである。
(透明電極/正極ボンディングパッドおよび負極ボンディングパッドの作成)
このようにして得られた積層半導体層(20)のp型コンタクト層(16b)の上に、フォトリソグラフィー法を用いて透光性正極(17)を作製する。後述するように、透光性正極(17)上には正極ボンディングパッド(18)が形成される。
(1)AlN結晶膜シード層
直径100mm厚さ0.9mmのC面サファイア基板(11)を用意した。基板はオフ角0.35度で切り出してあり、表面(11a)はRa≦2Åであった。この基板を投入直前に純水を500rpmで回転している箇所にかけて洗浄し、その後2000rpmに回転数を上げて乾燥した。5Nの高純度Alのターゲットがついたスパッター機にセットしてシード層(12)を成膜した。ターゲット直径は200mmでターゲットとサファイア基板の距離(TS距離)は60mmである。表面プラズマ処理の印加方法としてはサファイア基板とチャンバーの間にRFパワーを印加した。AlNシード成膜の印加方法はターゲットとチャンバーの間にRFパワーを印加した。成膜条件は次のとおりであり、表面を整えるための表面プラズマ処理とAlN成膜のための処理の2段階になっている。
ヒーター温度 600℃、Ar流量 0sccm、N2流量 75sccm、印加パワー 30W,トータルガス圧 1.0Pa、ベース圧力 4×10-6Pa、TS距離 60mm、印加時間15秒
(AlN成膜)
ヒーター温度 600℃、Ar流量 25sccm、N2流量 75sccm、印加パワー 1500W,トータルガス圧 0.5Pa、ベース圧力 4×10-6Pa、TS距離 60mm、印加時間100秒
処理終了後、装置からウエハーを取り出し、XRD測定を行った。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
図3および図4は、それぞれ得られたAlN結晶膜のシード層(12)の縦断面TEM写真および平面TEM写真を示す。図3において見られる2つの層は、下層がサファイア基板、上層がAlN結晶膜シード層を示す。図3の視野は約60nmであるが、それをずらしながら4視野観察したが、格子像の濃淡は見られず結晶粒界は観察されなかった。図4においては50nm x 60nmの視野であるが、少しずつずらして200nm四方観察した結果、柱状結晶に対応する結晶粒界は観察できなかった。
(2)GaN系半導体積層構造体
次にMOCVD法によりGaN系半導体層(20)を成長させた。成長条件は次のとおりである。
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 1100℃;H2流量 30slm;N2流量 0slm;TMG流量 300sccm;NH3流量 7slm;SiH4流量 0sccm
(イ n−コンタクト層(14b)(n−GaN))
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 1100℃;H2流量 30slm;N2流量 0slm;TMG流量 300sccm;NH3流量 7slm;SiH4流量 120sccm
(ウ n−クラッド層(14c))
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 760℃;H2流量 0slm;N2流量 50slm;TMG流量 0sccm;TEG流量 250sccm;NH3流量 18slm;TMI流量 20sccm;SiH4流量 50sccm;Cp2Mg流量 0sccm
(エ 発光層(15))
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 760/980℃;H2流量 0slm;N2流量 50slm;TMG流量 0sccm;TEG流量 150sccm;NH3流量 18slm;TMI流量 120/0sccm;SiH4流量 0/30sccm;Cp2Mg流量 0sccm
(オ p−クラッド層(16a))
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 1040℃;H2流量 30slm;N2流量 0slm;TMG流量 180sccm;TEG流量 0sccm;NH3流量 21slm;TMA流量 50sccm;TMI流量 0sccm;SiH4流量 0sccm;Cp2Mg流量 130sccm
(カ p−コンタクト層(16b))
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 1040℃;H2流量 30slm;N2流量 0slm;TMG流量 180sccm;TEG流量 0sccm;NH3流量 21slm;TMI流量 0sccm;SiH4流量 0sccm;Cp2Mg流量 260sccm
なお、成長速度はいずれも2μm/hrであった。
(3)LEDチップ
上記のp型コンタクト層を備えたエピタキシャル積層構造体ウエハーを用いてLEDチップを作製した。先ず、p型コンタクト層上に、スパッタ法によってITOよりなる正極を形成した。以下の操作により、窒化ガリウム系化合物半導体上に、ITOよりなる導電性透光性酸化物電極層の形成を行った。
なお、直径100mmのウエハーから外観不良品を除いて約50000個のLEDが得られた。
(4)パッケージ
次に、トップビューパッケージ用のリードフレーム上チップをエポキシ接着剤でボンディングし、負極および正極を各々、金(Au)線でリードフレームと結線した。その後エポキシ樹脂の封止剤で封止した。
実施例2
実施例1と同様にして得られたAlNシード層(12)を用いて、GaN系半導体積層構造体を作製した。MOCVD法によるGaN系半導体層の成長条件は次のとおりである。
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 1100℃;H2流量 30slm;N2流量 0slm;TMG流量 300sccm;NH3流量 7slm;SiH4流量 0sccm
(イ n−コンタクト層(n−GaN))
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 1100℃;H2流量 30slm;N2流量 0slm;TMG流量 300sccm;NH3流量 7slm;SiH4流量 120sccm
(ウ n−クラッド層)
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 760℃;H2流量 0slm;N2流量 50slm;TMG流量 0sccm;TEG流量 250sccm;TMA流量 0sccm;NH3流量 18slm;TMI流量 20sccm;SiH4流量 50sccm;Cp2Mg流量 0sccm
(エ 発光層)
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 760/960℃;H2流量 0slm;N2流量 50slm;TMG流量 0sccm;TEG流量 150sccm;TMA流量 0sccm;NH3流量 18slm;TMI流量 480/0sccm;SiH4流量 0/30sccm;Cp2Mg流量 0sccm
(オ p−クラッド層)
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 1020℃;H2流量 30slm;N2流量 0slm;TMG流量 180sccm;TEG流量 0sccm;TMA流量 100sccm;NH3流量 21slm;TMI流量 0sccm;SiH4流量 0sccm;Cp2Mg流量 150sccm
(カ p−コンタクト層)
トータルガス圧力 400mbar;サセプター温度 1040℃;H2流量 30slm;N2流量 0slm;TMG流量 180sccm;TEG流量 0sccm;TMA流量 0sccm;NH3流量 21slm;TMI流量 0sccm;SiH4流量 0sccm;Cp2Mg流量 300sccm
なお、成長速度はいずれも2μm/hrであった。
実施例3
サファイア基板のプラズマ処理において、ヒーター温度を300℃とする以外は実施例1と同様な方法でLEDチップを作製した。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
p−GaNコンタクト層のロッキングカーブ半値幅は、(0002)面と(10−10)面でそれぞれ53arcsecおよび230arcsecであった。
実施例4
サファイア基板のプラズマ処理において、ヒーター温度を950℃とする以外は実施例1と同様な方法でLEDチップを作製した。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
p−GaNコンタクト層のロッキングカーブ半値幅は、(0002)面と(10−10)面でそれぞれ59arcsecおよび245arcsecであった。
実施例5
AlNシード層の成膜温度を400℃とする以外は実施例1と同様な方法でLEDチップを作製した。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
p−GaNコンタクト層のロッキングカーブ半値幅は、(0002)面と(10−10)面でそれぞれ45arcsecおよび223arcsecであった。
実施例6
AlNシード層の成膜温度を800℃とする以外は実施例1と同様な方法でLEDチップを作製した。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
p−GaNコンタクト層のロッキングカーブ半値幅は、(0002)面と(10−10)面でそれぞれ46arcsecおよび233arcsecであった。
実施例7
TS距離を80mmとする以外は実施例1と同様な方法でLEDチップを作製した。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
p−GaNコンタクト層のロッキングカーブ半値幅は、(0002)面と(10−10)面でそれぞれ48arcsecおよび225arcsecであった。
実施例8
成膜時間を150秒とする以外は実施例1と同様な方法でLEDチップを作製した。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
p−GaNコンタクト層のロッキングカーブ半値幅は、(0002)面と(10−10)面でそれぞれ50arcsecおよび240arcsecであった。
実施例9
基板は研磨仕上げから7日以内であったので、基板洗浄を行わないこと以外は実施例1と同様な方法でLEDチップを作製した。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
p−GaNコンタクト層のロッキングカーブ半値幅は、(0002)面と(10−10)面でそれぞれ46arcsecおよび218arcsecであった。
比較例1
AlN成長条件においてベース圧力を4×10-4Paとすること以外は実施例1と同様な方法でLEDチップを作製した。得られたAlNシード膜の特性は次のとおりであった。
p−GaNコンタクト層のロッキングカーブ半値幅は、(0002)面と(10−10)面でそれぞれ72arcsecおよび312arcsecであった。
図5および図6は、それぞれ得られたAlN結晶膜シード層の縦断面TEM写真および平面TEM写真を示す。図5において見られる3つの層は下からそれぞれサファイア基板、AlN結晶膜シード層およびGaN下地層を示す。図3および図4と同様にして、それぞれの視野をずらして観察した。その結果、200nm観察視野において、そして200nm四方観察視野において、それぞれ結晶粒界が観察された。すなわち、縦断面TEM写真においては柱状結晶に特徴的な格子像の濃淡が見られた。一方、平面TEM写真においては、六角形状の粒界が見られ、柱状結晶が観察された。
10 III族窒化物半導体積層構造体
11 サファイア基板
12 シード層
14 n型半導体層
15 発光層
16 p型半導体層
17 透光性正極
18 正極ボンディングパッド
19 負極ボンディングパッド
20 III族窒化物半導体層
Claims (19)
- サファイア基板上に、III族窒化物半導体からなる、n型半導体層、発光層およびp型半導体層を積層してなるIII族窒化物半導体積層構造体において、該サファイア基板表面にシード層としてスパッター法で堆積されたAlN結晶膜を有し、該AlN結晶膜は結晶粒界の間隔が200nm以上であることを特徴とするIII族窒化物半導体積層構造体。
- AlN結晶膜表面の算術平均表面粗さ(Ra)が2Å以下である請求項1に記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- AlN結晶膜の(0002)面と(10−10)のX線回折におけるロッキングカーブの半値幅がそれぞれ100arcsec以下および1.7度以下である請求項1または2に記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- AlN結晶膜中の酸素含有量が5原子%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- サファイア基板がC面サファイア基板である請求項1〜4のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- サファイア基板が0.1〜0.7度のオフ角を有する請求項1〜5のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- スパッター法がRFスパッター法である請求項1に記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- AlN結晶膜が、サファイア基板をプラズマ中に置いてスパッター法により堆積される請求項1〜7のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- サファイア基板表面をN2プラズマまたはO2プラズマ処理した後に、AlN結晶膜が該サファイア基板表面に堆積される請求項1〜8のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- AlN結晶膜がサファイア基板表面に堆積される際の基板温度が300〜800℃である請求項1〜9のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- AlN結晶膜の膜厚が10〜50nmである請求項1〜10のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- AlN結晶膜の膜厚が25〜35nmである請求項11に記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- サファイア基板の直径が100mm以上である請求項1〜12のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- 最終p型半導体層であるp−コンタクト層のロッキングカーブ半値幅が(0002)面と(10−10)面でそれぞれ60arcsec以下および250arcsec以下である請求項1〜13のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体。
- 請求項1〜14のいずれかに記載のIII族窒化物半導体積層構造体を含む発光素子。
- n型半導体層上に負極を、p型半導体層上に正極をそれぞれ設けた請求項15に記載の発光素子。
- 請求項15または16に記載の発光素子からなるランプ。
- 請求項17に記載のランプが組み込まれてなる電子機器。
- 請求項18に記載の電子機器が組み込まれてなる機械装置。
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