JP2015160995A - AlNOバッファ層の製造方法および窒化物半導体素子の製造方法 - Google Patents

AlNOバッファ層の製造方法および窒化物半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】劣化のない良好なGaN層を形成できるAlNOバッファ層を高スループットに形成する。【解決手段】次工程でその上に形成される窒化物半導体下地層3の結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が結晶性の基準値(本実施形態1では35arcsec)よりも小さくなるように、基板1の表面に、窒素および酸素を用いた反応性スパッタ法により、成膜条件として、窒素および酸素の合計流量のうちの、成膜速度に応じた所定の酸素流量比にしてAlNOバッファ層2を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程を有している。【選択図】図1

Description

本発明は、所定の基板上に窒化物半導体バッファ層を形成する窒化物半導体バッファ層としてのAlNOバッファ層の製造方法、そのAlNOバッファ層上に窒化物半導体層を積層して所定の素子構造を形成する発光素子や受光素子などの窒化物半導体素子の製造方法に関する。
従来の窒化物半導体素子の製造には、サイズやコストの関係から、窒化物半導体との格子定数差および熱膨張係数差が大きいサファイア基板や炭化珪素(SiC)基板などが用いられている。この場合、基板とIII族窒化物半導体との間に、基板とIII族窒化物半導体との間の格子定数差を解消させるための所謂バッファ層を形成することが一般的に行われている。例えば特許文献1として、サファイア基板上に酸窒化アルミニウムのAlNOバッファ層を反応性スパッタ法によって形成した後に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法によってAlxGa1-xNからなるIII族窒化物半導体をエピタキシャル成長させる方法が記載されている。
図11は、特許文献1において、AlNOバッファ層の各種の成膜条件に応じたAlNOバッファ層およびその上のGaN層の特性を示す図である。
図11に示すように、基板上に形成されるAlNOバッファ層の成膜条件の欄に示される様々な条件でサンプル1〜6のAlNOバッファ層の形成を行い、サンプル1〜6のAlNOバッファ層のX線半値幅[arcsec]、酸素濃度[原子パーセント]および屈折率をそれぞれ測定すると共に、サンプル1〜6のAlNOバッファ層上にそれぞれ形成されるGaN層のX線半値幅[arcsec]をそれぞれ測定している。
X線半値幅[arcsec]は、X線回折測定によって検出されるロッキングカーブについてAlN結晶の(002)面、GaN結晶の(004)面およびGaN結晶の(102)面をそれぞれ反射面としたときに対応するピークの半値幅を測定することにより算出している。半値幅の値が小さいほど転位の少ない良好な結晶であると考えられるため、この数値を、結晶性を評価する尺度としている。
なお、酸素濃度[原子パーセント]は、XPS(X-ray photoelectron spectroscopy)により測定し、屈折率は、波長450nmの光に対する屈折率を、分光エリプソメータにより測定している。
国際公開第2011/108422号
上記特許文献1では、AlNOバッファ層を形成する工程において、酸素ガスがない場合(サンプル1)はGaNバッファ層の結晶性が良好ではなく、逆に酸素ガスを導入し過ぎた場合(サンプル6)にもGaNバッファ層の結晶性が良好ではなくなる。酸素ガスの適切な流量比としては、AlNOバッファ層は、窒素ガスと酸素ガスとを連続的に導入して排気する雰囲気中においてアルミニウムをターゲットとした反応性スパッタ法で形成され、窒素ガスの流量と酸素ガスの流量の合計に対する酸素ガスの流量の比が0.5パーセント以下である。
ところが、基板上に形成されるAlNOバッファ層の成膜速度が例えば0.025nm/secの場合にAlNOバッファ層が所定の膜厚に達するのに所定時間かかっていたが、AlNOバッファ層の製造効率(処理能力)を上げるために、酸素流量を変えずに、単純にAlNOバッファ層の成膜速度を上げると、その上に積層されるGaN層の転位が増えて結晶面が不連続になりGaN特性が劣化するという問題があった。
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、劣化のない良好な窒化物半導体層を形成できるバッファ層を高スループットに形成することができる窒化物半導体バッファ層としてのAlNOバッファ層の製造方法および、これを用いて窒化物半導体素子を製造する窒化物半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明のAlNOバッファ層の製造方法は、アルミニウムと窒素と酸素とを少なくとも含有するAlNOバッファ層の製造方法において、成膜条件として、該窒素および該酸素の合計流量に対する酸素流量比を、該AlNOバッファ層の成膜速度に応じた所定の酸素流量比とし、基板の表面に、該アルミウムをターゲットとした反応性スパッタ法により該AlNOバッファ層を形成するAlNOバッファ層形成工程を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明のAlNOバッファ層の製造方法において、前記成膜速度に応じた所定の酸素流量比における、前記AlNOバッファ層上に形成される窒化物半導体層の結晶性の所定基準領域は、前記成膜条件の成膜速度X(nm/sec)として、下側の酸素流量比Y=0.2X−0.005の直線式と、上側の酸素流量比Y=0.2X+0.001の直線式とで上下で挟まれた領域内である。
さらに、好ましくは、本発明のAlNOバッファ層の製造方法において、前記成膜速度に応じた所定の酸素流量比における、前記AlNOバッファ層上に形成される窒化物半導体層の結晶性の所定基準領域は、前記成膜条件の成膜速度X(nm/sec)として該酸素流量比Y=aX+bとし、該a=0.2、該bは+0.001〜−0.005の範囲である。
さらに、好ましくは、本発明のAlNOバッファ層の製造方法において、前記所定の酸素流量比は、前記AlNOバッファ層上に形成される窒化物半導体層の結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が結晶性の所定基準値以下になるように設定され、該結晶性の所定基準値の範囲は、60[arcsec]または35[arcsec]以下である。
本発明の窒化物半導体素子の製造方法は、本発明の上記AlNOバッファ層の製造方法を用いて製造された該AlNOバッファ層上に、前記窒化物半導体層を積層した後にその上に所定の素子構造の各窒化物半導体層を順次形成する素子構造形成工程を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法は、後工程でその上に形成される窒化物半導体層の結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が結晶性の所定基準値以下になるように、基板の表面に、窒素および酸素を用いた反応性スパッタ法により、成膜条件として、窒素および酸素の合計流量のうちの、成膜速度に応じた所定の酸素流量比にして窒化物半導体バッファ層を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
また、好ましくは、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法において、前記成膜速度に応じた所定の酸素流量比における前記窒化物半導体層の結晶性の所定基準領域は、前記窒化物半導体バッファ層の成膜条件を成膜速度X(nm/sec)として、下側の酸素流量比Y=0.2X−0.005の直線式と、上側の酸素流量比Y=0.2X+0.001の直線式とで上下で挟まれた領域内である。
さらに、好ましくは、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法において、前記成膜速度に応じた所定の酸素流量比における前記窒化物半導体層の結晶性の所定基準領域は、前記窒化物半導体バッファ層の成膜条件を成膜速度X(nm/sec)として、窒素流量と酸素流量との合計流量に対する酸素流量比Y=aX+bとし、該a=0.2、該bは+0.001〜−0.005の範囲である。
さらに、好ましくは、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法における結晶性の所定基準値は、窒化物半導体層の結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が60[arcsec]または35[arcsec]以下である。
さらに、好ましくは、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法における窒化物半導体バッファ層の膜厚は5nm以上100nm以下とする。
さらに、好ましくは、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法における窒化物半導体バッファ層の成膜速度は、0.01nm/sec以上1nm/sec以下とする。
さらに、好ましくは、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法における基板の温度が、摂氏300度以上摂氏1000度以下で前記窒化物半導体バッファ層が形成される。
さらに、好ましくは、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法における窒化物半導体バッファ層を形成する反応性スパッタ装置のチャンバの内部圧力は、0.2Pa以上2Pa以下の雰囲気下で該窒化物半導体バッファ層が形成される。
さらに、好ましくは、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法における窒化物半導体バッファ層を形成する反応性スパッタ装置のチャンバ内に前記基板が収容されて、該基板の成長面をターゲットの表面に向かい合うように所定の距離dを開けて配置され、該距離dは、該ターゲットの表面の中心と、該基板の成長面との間の最短距離が100mm以上250mm以下である。
本発明の窒化物半導体素子の製造方法は、本発明の上記窒化物半導体バッファ層の製造方法を用いて製造された該窒化物半導体バッファ層上に、前記窒化物半導体層を積層した後にその上に所定の素子構造の各窒化物半導体層を順次形成する素子構造形成工程を有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
本発明においては、後工程でその上に形成される窒化物半導体層の結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が結晶性の所定基準値以下になるように、基板の表面に、窒素および酸素を用いた反応性スパッタ法により、成膜条件として、窒素および酸素の合計流量のうちの、成膜速度に応じた所定の酸素流量比にして窒化物半導体バッファ層を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程を有している。
これによって、劣化のない良好な窒化物半導体層を形成できるバッファ層を高スループットに形成することが可能となる。
以上により、本発明によれば、後工程でその上に形成される窒化物半導体層の結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が結晶性の所定基準値以下になるように、基板の表面に、窒素および酸素を用いた反応性スパッタ法により、成膜条件として、窒素および酸素の合計流量のうちの、成膜速度に応じた所定の酸素流量比にして窒化物半導体バッファ層を形成するため、劣化のない良好な窒化物半導体層を形成できるバッファ層を高スループットに形成することができる。
(a)は、本発明の実施形態1における窒化物半導体バッファ層の製造方法を説明するためのバッファ層を含む積層構成例を示す縦断面図であり、(b)は、(a)のバッファ層上に窒化物半導体層が形成された積層構成例を示す縦断面図である。 (a)は、図1(a)の基板の表面上にAlNOバッファ層を積層するのに用いられるDCマグネトロンスパッタ装置の一構成例を示す模式図であり、(b)は、(a)のDCマグネトロンスパッタ装置における基板の成長面に対してAlターゲットを傾けて配置した場合の一構成例を示す模式図である。 本発明の実施形態2における窒化物半導体バッファ層の製造方法において、AlNOバッファ層の各種の成膜条件に応じたAlNOバッファ層およびその上のGaN層の特性を示す図である。 図3のXRC強度比(パーセント)を説明するための積層断面図である。 X線の結晶面との為す角度ωに対するXRC強度を示す図である。 図3の成膜速度に対するAlNOバッファ層の酸素流量比の関係を示す図である。 本発明の実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法における窒化物半導体層積層工程の一例を模式的に示す縦断面図である。 本発明の実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法における電極の形成工程の一例を模式的に示す縦断面図である。 本発明の実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の別の一例を模式的に示す縦断面図である。 本発明の実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子を用いた発光装置の一構成例を模式的に示す縦断面図である。 特許文献1において、AlNOバッファ層の各種の成膜条件に応じたAlNOバッファ層およびその上のGaN層の特性を示す図である。
以下に、本発明の窒化物半導体バッファ層の製造方法をAlNOバッファ層の製造方法に適用した場合の実施形態1、2および、このAlNOバッファ層の製造方法の実施形態1、2を窒化物半導体素子の製造方法の実施形態3に適用させた場合について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図における構成部材のそれぞれの厚みや長さなどは図面作成上の観点から、図示する構成に限定されるものではない。
(実施形態1)
図1(a)は、本発明の実施形態1における窒化物半導体バッファ層の製造方法を説明するためのバッファ層を含む積層構成例を示す縦断面図であり、図1(b)は、図1(a)のバッファ層上に窒化物半導体層が形成された積層構成例を示す縦断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態1の窒化物半導体バッファ層の製造方法としてのAlNOバッファ層の製造方法は、基板1の表面に、成膜速度に応じた所定の酸素流量比にして酸素およびアルミニウムを含有する窒化物半導体(以下「酸窒化アルミニウム」または「AlNO」という。)バッファ層2を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程を有している。次に、図1(b)に示すように、本実施形態1の窒化物半導体素子の製造方法は、AlNOバッファ層2上に窒化物半導体層として窒化物半導体下地層3を積層した後に、後述するが、その上に各種の窒化物半導体層を積層して発光素子や受光素子などの所定の素子構造を形成する素子構造形成工程を有している。
AlNOバッファ層2の成膜条件は、成膜速度が増えれば酸素流量比を増加させればよい。例えば後述する図3に示すように、成膜速度が0.026nm/secで窒素ガスと酸素ガスの合計ガス流量のうちの酸素流量比が0.32パーセントのところ、成膜速度が0.033nm/secに増えれば窒素ガスと酸素ガスの合計ガス流量のうちの酸素流量比が0.50パーセントに増やし、成膜速度が0.041nm/secに増えれば窒素ガスと酸素ガスの合計ガス流量のうちの酸素流量比が0.62パーセントに増やし、さらに成膜速度が0.055nm/secに増えれば窒素ガスと酸素ガスの合計ガス流量のうちの酸素流量比が0.94パーセントに増やすと、劣化のない良好な窒化物半導体層としての窒化物半導体下地層3(GaN層)を形成できるAlNOバッファ層2を高スループットに形成することができる。
よって、本実施形態1の窒化物半導体バッファ層の製造方法は、後工程でその上に形成される窒化物半導体層の結晶(004)面としてのGaN結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が35arcsec以下になるように、窒素ガスおよび酸素ガスを用いた反応性スパッタ法により、基板1の表面に、成膜条件として、窒素ガスおよび酸素ガスの合計ガス流量のうちの、成膜速度(nm/sec)に応じた所定の酸素流量比(パーセント)にして窒素および酸素を含有する窒化物半導体バッファ層としてのAlNOバッファ層2を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程を有している。
基板1は、例えば、a面、c面、m面またはr面などの露出面を有するサファイア(Al23)単結晶、スピネル(MgAl24)単結晶、ZnO単結晶、LiAlO2単結晶、LiGaO2単結晶、MgO単結晶、Si単結晶、SiC単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶またはZrB2などのホウ化物単結晶などからなる基板を用いることができる。なお、基板1の成長面の面方位は特に限定されるものではなく、ジャスト基板やオフ角を付与した基板などを適宜用いることができるが、なかでも、基板1としてサファイア単結晶からなるサファイア基板を用い、サファイア基板のc面(六角柱結晶を水平に切った平面)上に後述するAlNOバッファ層2を形成した場合には、結晶粒の揃った柱状結晶の集合体からなる良好な結晶性のAlNOバッファ層2を積層することができる傾向が大きくなる点で好ましい。
AlNOバッファ層2は、基板1とターゲット(アルミニウム)との間にDC−continuous方式により電圧を印加して行なわれるDCマグネトロンスパッタ法によって形成される。なお、AlNOバッファ層2の形成方法は、DC−continuous方式により電圧を印加して行なわれるDCマグネトロンスパッタ法に限定されず、例えば、RFスパッタ法、ECRスパッタ法またはその他の反応性スパッタ法を用いることができる。DC−continuous放電は、パルス放電に対する直流放電である。
AlNOバッファ層2は、酸素と窒素とアルミニウムとを含有するものであればよく、例えば、Alx0Ga1-x0y01-y0(0<x0≦1、0<y0<1)の式で表わされる窒化物半導体からなる窒化物半導体層を積層することができる。なかでも、基板1の表面(成長面;c面)法線方向に伸長する結晶粒の揃った柱状結晶の集合体からなる良好な結晶性のAlNOバッファ層2を得る観点からは、AlNy01-y0(0<y0<1)の式で表わされる窒化物半導体からなる窒化物半導体層をAlNOバッファ層2として積層することが好ましい。
ここで、窒化物半導体バッファ層の製造方法を実行するためのDCマグネトロンスパッタ装置について図2(a)および図2(b)を用いて説明する。
図2(a)は、図1(a)の基板1の表面上にAlNOバッファ層2を積層するのに用いられるDCマグネトロンスパッタ装置の一構成例を示す模式図であり、図2(b)は、図2(a)のDCマグネトロンスパッタ装置における基板1の成長面に対してAlターゲットを傾けて配置した場合の一構成例を示す模式図である。
図2(a)に示すように、DCマグネトロンスパッタ装置20は、結晶成長面を上にして基板1を内部に設置可能とする箱体のチャンバ21と、チャンバ21の内部の下方側に設置されその平坦面上に基板1が載置されるヒータ部22と、ヒータ部22と向かい合うように上側に配設されたカソード部23と、チャンバ21の内部のガスをチャンバ21の外部に放出するための排気口24とを備えている。
チャンバ21には、チャンバ21の内部にアルゴンガスを供給するためのマスフローコントローラ25と、チャンバ21の内部に窒素ガスを供給するためのマスフローコントローラ26と、チャンバ21の内部に酸素ガスを供給するためのマスフローコントローラ27とが接続されている。
ヒータ部22はヒータ支持材221によって支持されている。また、カソード部23は、アルミニウムからなるAlターゲット231と、マグネット支持材232に支持されたマグネット233とを有している。
上記構成により、以下、その動作について説明する。
まず、図2(a)に示すように、DCマグネトロンスパッタ装置20のチャンバ21内部におけるヒータ部22上に基板1を設置する。基板1は、基板1の成長面(上面)をAlターゲット231の表面に向かい合うように所定の距離dを開けて配置される。距離dは、Alターゲット231の表面の中心と、基板1の成長面との間の最短距離(例えばターゲット基板間距離100mm以上250mm以下など)を意味する。
次に、図2(b)に示すように、AlNOバッファ層2の成膜工程を基板1の成長面に対してAlターゲット231を傾けて行う場合について説明する。
この場合、Alターゲット231は、基板1の成長面の法線方向に対して所定角度θだけ傾けて配置されている。ここで、結晶性に優れたAlNOバッファ層2を積層する観点からは、所定角度θは10°以上45°以下であることが好ましい。
このように、基板1とAlターゲット231との間に所定間隔dを開けて基板1の成長面に対してAlターゲット231を所定角度θだけ傾けて配置した状態で、基板1とAlターゲット231との間にDC−continuous方式により電圧を印加してDCマグネトロンスパッタ法によって基板1上にAlNOバッファ層2を積層する。即ち、基板1とAlターゲット231との間にDC−continuous方式により直流電圧を印加することによって基板1とAlターゲット231との間に、窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスのプラズマを発生させる。
これにより、Alターゲット231のスパッタが行われ、後工程でその上に形成される窒化物半導体下地層3におけるGaN結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が35arcsec以下になるように、基板1の表面に、成膜条件として、窒素および酸素の合計流量のうちの、成膜速度(nm/sec)に応じた所定の酸素流量比(パーセント)にしてアルミニウムと窒素と酸素との化合物からなるAlNOバッファ層2を積層することができる。
このように、基板1の成長面に対してAlターゲット231を所定角度θだけ傾けて配置した場合に、AlNOバッファ層2の積層時に基板1に供給される高エネルギの反応種による基板1の成長面へのダメージを低減することができる。このため、結晶性に優れたAlNOバッファ層2を積層することができる。さらに、AlNOバッファ層2の結晶性および層厚を基板1の面内で均一にすることができる。
よって、基板1上に、結晶性に優れたAlNOバッファ層2を所定膜厚で積層することができる。
(AlNOバッファ層2の膜厚)
基板1の成長面上に積層されるAlNOバッファ層2の膜厚は5nm以上100nm以下とすることが好ましい。さらに、AlNOバッファ層2の膜厚は、30nm±10nmとすることがより好ましい。AlNOバッファ層2の膜厚が5nm未満である場合には、AlNOバッファ層2がバッファ層としての機能を十分に発揮しない虞がある。また、AlNOバッファ層2の厚さが100nmを超える場合にはバッファ層としての機能が向上することなく、AlNOバッファ層2の形成時間だけが長くなる虞がある。また、AlNOバッファ層2のバッファ層としての機能を面内において均一に発揮させる観点からは、AlNOバッファ層2の厚さを10nm以上50nm以下とすることがより好ましい。
(X線半値幅[arcsec])
AlNOバッファ層2のAlN結晶(002)面のX線半値幅[arcsec]は、図3の説明で詳細に後述するが、290以上330[arcsec]以下である。また、AlNOバッファ層2上に形成される窒化物半導体下地層3のGaN結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]は、図3の説明で詳細に後述するが、60[arcsec]以下であり、より好ましくは、35[arcsec]以下である。これらのX線半値幅[arcsec]は、X線回折測定によって検出されるロッキングカーブについてAlN結晶の(002)面、GaN結晶の(004)面およびGaN結晶の(102)面をそれぞれ反射面としたときに対応するピーク値の半値幅を測定することにより算出している。X線半値幅の値が小さいほど転位の少ない良好な結晶であると考えられるため、この数値を、結晶性を評価する尺度としている。因みに、3600[arcsec]が1°に対応している。
(成膜速度)
AlNOバッファ層2の成膜速度は、0.01nm/sec以上1nm/sec以下とする。また、その成膜速度は、0.02nm/sec以上0.06nm/sec以下がより好ましく、さらに、その成膜速度は、0.026nm/sec以上0.055nm/sec以下がより好ましい。AlNOバッファ層2の形成速度が0.01nm/sec未満である場合にはAlNOバッファ層2が基板1の成長面上に均一に広がって成長せずに島状に成長して基板1の成長面を均一にAlNOバッファ層2が覆うことができず、基板1の成長面がAlNOバッファ層2から露出する虞がある。また、AlNOバッファ層2の形成速度が1nm/秒を超える場合には、AlNOバッファ層2が非晶質となって、AlNOバッファ層2上に転位密度が小さく優れた結晶性を有する窒化物半導体層を成長させることができなくなる虞がある。
(基板温度)
AlNOバッファ層2は、基板1の温度が、摂氏300度以上摂氏1000度以下で形成される。また、AlNOバッファ層2は、基板1の温度が、摂氏400度以上摂氏550度以下で形成される方が結晶性の観点からより好ましい。基板1の温度が摂氏300度未満であれば、AlNOバッファ層2が基板1の成長面を十分に覆うことができず、基板1の成長面がAlNOバッファ層2から多く露出する虞がある。また、基板1の温度が摂氏1000度を超えれば、基板1の成長面での原料のマイグレーションが活発になり過ぎて、柱状結晶の集合体というよりはむしろ単結晶の膜に近いAlNOバッファ層2が形成されてしまい、AlNOバッファ層2のバッファ層としての機能が低下する虞がある。
(チャンバ圧力)
AlNOバッファ層2は、チャンバ21の内部圧力が、0.2Pa以上2Pa以下の雰囲気下で形成される。チャンバ21の内部圧力が0.2Pa未満であれば、チャンバ21の内部における窒素量が少なくなって、Alターゲット231からスパッタされたアルミニウム材料が窒化物とならない状態で基板1の成長面上に付着する虞がある。また、チャンバ21の内部圧力の上限は特に限定されず、チャンバ21の内部にプラズマを発生させることができる程度の圧力であればよいが、内部圧力が高過ぎると放電異常が発生する虞がある。
以上により、本実施形態1によれば、後工程でその上に形成される窒化物半導体下地層3の結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が結晶性の基準値(本実施形態1では35arcsec)以下になるように、基板1の表面に、窒素および酸素を用いた反応性スパッタ法により、成膜条件として、窒素および酸素の合計流量のうちの、成膜速度に応じた所定の酸素流量比にしてAlNOバッファ層2を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程を有している。
これによって、劣化のない良好な半導体層を形成できるバッファ層を高スループット形成することができる。
なお、本実施形態1では、窒化物半導体バッファ層としてのAlNOバッファ層2の製造方法として、基板1の表面に、成膜速度に応じて酸素流量比を変化させた所定の酸素流量比にして窒素、酸素およびアルミニウムを含有するAlNOバッファ層2を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程について説明したが、次の実施形態2では、成膜速度に応じた所定の酸素流量比についてその具体例を更に詳細に説明する。
(実施形態2)
図3は、本発明の実施形態2における窒化物半導体バッファ層の製造方法において、AlNOバッファ層2の各種の成膜条件に応じたAlNOバッファ層2およびその上の窒化物半導体層(GaN層)の特性を示す図である。
図3に示すように、基板1上に形成されるAlNOバッファ層2の成膜条件の欄に示される全ガス流量(窒素ガスと酸素ガス)に対する酸素ガス流量(パーセント)および成膜速度(nm/sec)の様々な条件でサンプル1〜14のAlNOバッファ層2の形成を行い、サンプル1〜14のAlNOバッファ層2のX線半値幅[arcsec]およびXRC強度比(パーセント)をそれぞれ測定すると共に、サンプル1〜14のAlNOバッファ層2上にそれぞれ形成される窒化物半導体下地層3(GaN層)のX線半値幅[arcsec]をそれぞれ測定している。
X線半値幅[arcsec]は、X線回折測定によって検出されるロッキングカーブについてAlN結晶の(002)面、GaN結晶の(004)面およびGaN結晶の(102)面をそれぞれ反射面としたときに対応するピークの半値幅を測定することにより算出している。半値幅の値が小さいほど転位の少ない良好な結晶であると考えられるため、この数値を、結晶性を評価する尺度としている。
窒化物半導体下地層3(GaN層)のGaN結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]Aについて、このX線半値幅[arcsec]Aが35arcsec以下のときに窒化物半導体下地層3(GaN層)が良好な結晶性を有するものとし、35arcsecよりも大きく、かつ60arcsec以下のときに窒化物半導体下地層3(GaN層)がやや良好な結晶性を有するものとし、のX線半値幅[arcsec]Aが60arcsecよりも大きいときに窒化物半導体下地層3(GaN層)の結晶性を不良とする。
AlNOバッファ層2の成膜条件として、例えば、窒素ガスと酸素ガスのうちの酸素流量比が0.32パーセントで成膜速度0.026nm/sec、酸素流量比が0.50パーセント(または0.45パーセントまたは0.55パーセント)で成膜速度0.033nm/sec、酸素流量比が0.62パーセントで成膜速度0.041nm/sec、酸素流量比が0.94パーセントで成膜速度0.055nm/secの各関係のときに、良好な結晶性(○;X線半値幅が35arcsec以下の窒化物半導体下地層3(GaN層)を形成可能とするAlNOバッファ層2を高スループットに形成することができる。
また、AlNOバッファ層2の成膜条件として、例えば、窒素ガスと酸素ガスのうちの酸素流量比が0.32パーセントで成膜速度0.043nm/sec、酸素流量比が0.62パーセントで成膜速度0.025nm/sec、酸素流量比が0.74でパーセントで成膜速度0.030nm/sec、酸素流量比が1.01パーセントで成膜速度0.040nm/secのときに、やや良好な結晶性(△;X線半値幅が35arcsecよりも大きく、かつ60arcsec以下)の窒化物半導体下地層3(GaN層)を形成可能とするAlNOバッファ層2となる。
さらに、AlNOバッファ層2の成膜条件として、例えば、窒素ガスと酸素ガスのうちの酸素流量比が0.20パーセントで成膜速度0.040nm/sec、酸素流量比が0.74パーセントで成膜速度0.025nm/sec、酸素流量比が1.11でパーセントで成膜速度0.041nm/sec、酸素流量比が0.050パーセントで成膜速度0.056nm/secのときに、結晶性が不良(×;X線半値幅が60arcsecよりも大)の窒化物半導体下地層3(GaN層)が形成されるAlNOバッファ層2となってしまう。
次に、このXRC強度比(パーセント)について図4〜図6を用いて説明する。
図4は、図3のXRC強度比(パーセント)を説明するための積層断面図である。図5は、X線の結晶面との為す角度ωに対するXRC強度を示す図である。
図4に示すように、基板1では結晶面が斜め方向に形成されており、ここでは点線で1原子層の結晶面を示している。基板1上にはAlNOバッファ層2が所定膜厚で形成されている。このとき、実線で基板表面1a、さらにその上に基板表面1aに平行なAlNOバッファ層表面2aが示されている。X線をAlNOバッファ層2の結晶面との為す角度ωで入射させてその反射光のX線回折強度を測定する。
図5に示すように、結晶面に対して対称に反射したX線強度のピーク値が高く出てくるほどAlNOバッファ層2の結晶性はよいが、元々、AlNOバッファ層2は窒化物半導体下地層3(GaN層)との間の格子定数が異なることから、AlNOバッファ層2の結晶性が良過ぎると、AlNOバッファ層2はその格子定数に沿った格子定数になってしまうため、その上に形成される窒化物半導体下地層3(GaN層)の格子定数と差が出てその結晶性が劣化する。
X線の結晶面との為す角度ωを変化させると、X線回折強度がピーク値aを有し、XRC強度比(パーセント)としては、そのピーク値のすそ野のXRC強度b、cを加算した値を、ピーク値aを2倍した値で割った値である。即ち、XRC強度比=(b+c)/2×aである。このXRC強度比(パーセント)が低いほど結晶性が良好で、XRC強度比が高くなると結晶性が悪くなる。図3の窒化物半導体下地層3(GaN層)の良好な結晶性(○;X線半値幅が35arcsec以下)のものは、XRC強度比(パーセント)が7〜9パーセント程度である。また、図3の窒化物半導体下地層3(GaN層)の結晶性が不良(×;X線半値幅が60arcsecよりも大)のものは、XRC強度比(パーセント)が6パーセントまたは10〜12パーセントである。このXRC強度比(パーセント)が6パーセントと低過ぎても、10〜12パーセントと高過ぎても結晶性は劣化している。
なお、AlNOバッファ層2の成膜速度は、0.01nm/sec以上1nm/sec以下の範囲であり、好ましくは、成膜速度は、0.02nm/sec以上0.060nm/sec以下の範囲である。
図6は、図3の成膜速度に対する酸素流量比(パーセント)の関係を示す図である。
図6に示すように、窒化物半導体下地層3(GaN層)の良好な結晶性(○;X線半値幅が35arcsec以下)を示す領域は、やや良好な結晶性(△;X線半値幅が35arcsecよりも大きく、かつ60arcsec以下)の上側と下側の点線に挟まれた領域である。やや良好な結晶性(△;X線半値幅が35arcsecよりも大きく、かつ60arcsec以下範囲)の上側の点線よりも更に上側領域と下側の点線よりも更に下側領域に、結晶性が不良(×;X線半値幅が60arcsecよりも大)の領域が存在している。
窒化物半導体下地層3(GaN層)の良好な結晶性(○;X線半値幅が35arcsec以下)を示す領域は、AlNOバッファ層2の成膜条件の成膜速度X(nm/sec)として、下側の点線で示す酸素流量比Y=0.2X−0.005の直線と、上側の点線で示す酸素流量比Y=0.2X+0.001の直線とで囲まれたその中間領域である。
一方、本実施形態2の窒化物半導体バッファ層の製造方法は、窒素ガスと酸素ガスを用いた反応性スパッタによって基板1上にAlNOバッファ層2を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程を有し、AlNOバッファ層2の成膜条件の成膜速度X(nm/sec)、として、窒素流量と酸素流量との合計流量に対する酸素流量比Y=0.2X+bとする。ここで、bは+0.001〜−0.005である。酸素流量比Y=0.2X+b(b;+0.001〜−0.005)の範囲内において、成膜速度(nm/sec)に対する酸素流量比(パーセント)の関係が成立すれば、窒化物半導体下地層3(GaN層)の良好な結晶性(○;X線半値幅が35arcsec以下)を得ることができる。この範囲内の成膜速度X(nm/sec)と酸素流量比Y(パーセント)との関係を満足すること、即ち、成膜速度X(nm/sec)を上げたときに、この範囲内の酸素流量比Y(パーセント)を選択すれば、劣化のない良好な窒化物半導体下地層3(GaN層)を形成できるAlNOバッファ層2を高スループットに形成することができる。
窒化物半導体下地層3(GaN層)の良好な結晶性(○;X線半値幅が35arcsec以下)を示す領域において、下側の点線で示す酸素流量比Y=0.2X−0.005と、上側の点線で示す酸素流量比Y=0.2X+0.001との中心を通る式は、実線で示す酸素流量比Y=0.2X−0.002であり、これを中心とした良好な結晶性を得る領域は、酸素流量比Y=0.2X−0.002±0.003である。
その直線の傾きの範囲について説明すると、例えばX軸(X軸を含まない)の0.010付近から所定傾きで直線(または直線式)が立ち上がるとして、上側の2点鎖線で示すように直線(または直線式)の傾きを0.3(Xの範囲は0.010〜0.050)に設定してもよいし、下側の2点鎖線で示すように直線(または直線式)の傾きを0.16(Xの範囲は0.010〜0.060)に設定してもよく、その結晶性の良好な基準領域内であれば、その直線式の傾きは種々に選択可能である。要するに、窒化物半導体下地層3(GaN層)の良好な結晶性(○;X線半値幅が35arcsec以下)を示す結晶性の基準領域内であれば、成膜速度X(nm/sec)を上げたときに酸素流量比Y(パーセント)も上げればよいが、これに限らず、成膜速度(nm/sec)を上げたときに酸素流量比(パーセント)を下げてもよい。
以上により、本実施形態2によれば、成膜速度X(nm/sec)に応じた所定の酸素流量比Y(パーセント)における窒化物半導体下地層3(GaN層)の結晶性の良好な所定基準領域は、成膜条件の成膜速度X(nm/sec)として、下側の酸素流量比Y=0.2X−0.005の直線式と、上側の酸素流量比Y=0.2X+0.001の直線式とで上下で挟まれた領域内であるかまたは、成膜速度X(nm/sec)に応じた所定の酸素流量比Y(パーセント)における窒化物半導体下地層3(GaN層)の結晶性の良好な所定基準領域は、その成膜条件の成膜速度X(nm/sec)として該酸素流量比Y=aX+bとし、a=0.2±例えば0.1、bとしては+0.001〜−0.005の範囲である。
これによって、劣化のない良好な半導体層を形成できるバッファ層を高スループット形成することができる。
なお、本実施形態2では、窒化物半導体バッファ層の製造方法において、窒化物半導体下地層3(GaN層)の良好な結晶性(○;X線半値幅が35arcsec以下)を示す領域は、下側の点線で示す酸素流量比Y=0.2X−0.005と、上側の点線で示す酸素流量比Y=0.2X+0.001とに囲まれた領域内であり、その中心を通る式を中心して、酸素流量比Y=0.2X−0.002±0.003であるときに、基板1の表面に、成膜速度Xに応じて酸素流量比を変化させた所定の酸素流量比Yにして窒素、酸素およびアルミニウムを含有するAlNOバッファ層2を形成する窒化物半導体バッファ層形成工程について具体的に説明したが、次の実施形態3では、基板1上のAlNOバッファ層2上に窒化物半導体層を積層した後に所定の素子構造の各窒化物半導体層を順次形成する場合について詳細に説明する。
なお、本実施形態2では、結晶性の所定基準値(X線半値幅)は、60[arcsec]または35[arcsec]としたが、これに限らず、結晶性の所定基準値は、0を含まず60[arcsec]または35[arcsec]以下である。
(実施形態3)
図7は、本発明の実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法における素子構造の窒化物半導体層積層工程の一例を模式的に示す縦断面図である。
図7に示すように、窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法は、MOCVD法によって、AlNOバッファ層2上の窒化物半導体下地層3上に、n型窒化物半導体コンタクト層4、n型窒化物半導体クラッド層5、窒化物半導体活性層6、p型窒化物半導体クラッド層7およびp型窒化物半導体コンタクト層8をこの順に窒化物半導体層を積層する素子構造の窒化物半導体層積層工程を有する。
図8は、本発明の実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法における電極の形成工程の一例を模式的に示す縦断面図である。
図8に示すように、窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法は、p型窒化物半導体コンタクト層8の表面上にたとえばITO(Indium Tin Oxide)、ZnOまたはIZO(Indium Zinc Oxide)からなる透光性電極層9を形成した後に、透光性電極層9の表面上にp側電極10を形成する。その後、p側電極10の形成後の積層体の一部をエッチングにより除去することによって、n型窒化物半導体コンタクト層4の表面の一部を露出させる。
その後、n型窒化物半導体コンタクト層4の露出した表面上にn側電極11を形成することによって、本実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子12を作製することができる。
図9は、本発明の実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子の製造方法の別の一例を模式的に示す縦断面図である。なお、図7および図8と同一の作用効果を奏する部材には同一の符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように、窒化物半導体発光ダイオード素子1Aの製造方法は、表面が凹凸状に加工されたサファイア基板1A上に、上記AlNOバッファ層2Aが形成され、さらに、そのAlNOバッファ層2A上に窒化物半導体下地層3Aが形成され、その上に各窒化物半導体層を順次積層して所定の素子構造を形成する。
これによって、他の本実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子12Aを作製することができる。
サファイア基板1には窒化物半導体下地層3の結晶品質の向上および界面における光散乱を目的として凹凸形状が形成されている。この凹凸形状の深さは、AlNOバッファ層2の厚さよりも十分深いことが好ましい。また、窒化物半導体下地層3も凹凸形状に沿って形成されることが好ましいため、凹凸の深さは0.3μm以上3μm以下であることが好ましい。また、凸部と凸部の間隔は0.2μm以上5μm以下であることが好ましい。凸部の断面形状は三角形状であってもよいが、凸部の上部が丸みを帯びた形状であってもよい。
これによって、凹凸のある場合、光の取り出し効率が良く、結晶欠陥が表面に現れにくい、という利点がある。
以上により、本実施形態3によれば、基板1または1A上のAlNOバッファ層2または2Aの表面上に積層された窒化物半導体下地層3または3A(GaN層)については転位密度が低くなり優れた結晶性を有しているため、このような優れた結晶性を有するGaN層から形成された窒化物半導体発光ダイオード素子12または12Aは、動作電圧が低く、発光出力の高い素子とすることができる。
図10は、本実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子12(または12A)を用いた発光装置の一構成例を模式的に示す縦断面図である。
図10において、本実施形態3の発光装置13は、窒化物半導体発光ダイオード素子12(または12A)を第1のリードフレーム131上に設置し、窒化物半導体発光ダイオード素子12(または12A)のp側電極10と第1のリードフレーム131とが第1のワイヤ134で電気的に接続され、かつそのn側電極11と第2のリードフレーム132とが第2のワイヤ135で電気的に接続されている。さらに、透明なモールド樹脂133で窒化物半導体発光ダイオード素子12(または12A)がモールドされて発光装置13が形状とされている。
したがって、本実施形態3の窒化物半導体発光ダイオード素子12(または12A)を用いていることから、動作電圧が低く、発光出力の高い発光装置とすることができる。
なお、上記実施形態1,2では、チャンバ21の内部に窒素ガスと酸素ガスとを供給する場合について説明したが、これに限らず、たとえば窒素ガスの少なくとも一部をアルゴンガス(Ar)置き換えてもよく、それにより反応性スパッタ時に発生する放電状態を調整することができる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態1〜3を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1〜3に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1〜3の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、所定の基板上に窒化物半導体バッファ層を形成する窒化物半導体バッファ層の製造方法としてのAlNOバッファ層の製造方法、そのAlNOバッファ層上にIII族窒化物半導体層を積層して所定の素子構造を形成する発光素子や受光素子などの窒化物半導体素子の製造方法の分野において、劣化のない良好なGaN層を形成できるAlNOバッファ層を高スループットに形成することができる。
1、1A 基板
1a 基板表面
2、2A AlNOバッファ層(窒化物半導体バッファ層)
2a AlNOバッファ層表面
3、3A 窒化物半導体下地層(窒化物半導体層)
4 n型窒化物半導体コンタクト層
5 n型窒化物半導体クラッド層
6 窒化物半導体活性層
7 p型窒化物半導体クラッド層
8 p型窒化物半導体コンタクト層
9 透光性電極層
10 p側電極
11 n側電極
12、12A 窒化物半導体発光ダイオード素子
13 発光装置
131 第1のリードフレーム
132 第2のリードフレーム
133 モールド樹脂
134 第1のワイヤ
135 第2のワイヤ
20 DCマグネトロンスパッタ装置
21 チャンバ
22 ヒータ部
23 カソード部
24 排気口
25 アルゴン用のマスフローコントローラ
26 窒素用のマスフローコントローラ
27 酸素用のマスフローコントローラ

Claims (5)

  1. アルミニウムと窒素と酸素とを少なくとも含有するAlNOバッファ層の製造方法において、
    成膜条件として、該窒素および該酸素の合計流量に対する酸素流量比を、該AlNOバッファ層の成膜速度に応じた所定の酸素流量比とし、
    基板の表面に、該アルミウムをターゲットとした反応性スパッタ法により該AlNOバッファ層を形成するAlNOバッファ層形成工程を有するAlNOバッファ層の製造方法。
  2. 前記成膜速度に応じた所定の酸素流量比における、前記AlNOバッファ層上に形成される窒化物半導体層の結晶性の所定基準領域は、前記成膜条件の成膜速度X(nm/sec)として、下側の酸素流量比Y=0.2X−0.005の直線式と、上側の酸素流量比Y=0.2X+0.001の直線式とで上下で挟まれた領域内である請求項1に記載のAlNOバッファ層の製造方法。
  3. 前記成膜速度に応じた所定の酸素流量比における、前記AlNOバッファ層上に形成される窒化物半導体層の結晶性の所定基準領域は、前記成膜条件の成膜速度X(nm/sec)として該酸素流量比Y=aX+bとし、該a=0.2、該bは+0.001〜−0.005の範囲である請求項1または2に記載のAlNOバッファ層の製造方法。
  4. 前記所定の酸素流量比は、前記AlNOバッファ層上に形成される窒化物半導体層の結晶(004)面のX線半値幅[arcsec]が結晶性の所定基準値以下になるように設定され、
    該結晶性の所定基準値の範囲は、60[arcsec]または35[arcsec]以下である請求項1〜3のいずれかに記載のAlNOバッファ層の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のAlNOバッファ層の製造方法を用いて製造された該AlNOバッファ層上に、前記窒化物半導体層を積層した後にその上に所定の素子構造の各窒化物半導体層を順次形成する素子構造形成工程を有する窒化物半導体素子の製造方法。
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