JP2007251027A - ZnO系化合物半導体、それを用いた発光素子及びそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 発光デバイスとして適した半導体発光素子を作製するため、活性化率と結晶性の双方を向上させるZnO系化合物半導体、それを用いた半導体発光素子及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】
基板上に、n型不純物をドープしたn型ZnO系化合物半導体層を+c軸方向へ結晶成長させる。n型ZnO系化合物半導体層にアニール処理を施し、n型不純物の活性化率を向上させる。
【選択図】
図2
【解決手段】
基板上に、n型不純物をドープしたn型ZnO系化合物半導体層を+c軸方向へ結晶成長させる。n型ZnO系化合物半導体層にアニール処理を施し、n型不純物の活性化率を向上させる。
【選択図】
図2
Description
本発明は、化合物半導体、それを用いた発光素子及びそれらの製造方法に関し、特にZnO系化合物半導体、それを用いた発光素子及びそれらの製造方法に関する。なお、ここでZnO系化合物とは、組成式Zn1−(x+y+z)MgxBeyCdzO1−(α+β+γ)SαSeβTeγ(0≦x+y+z≦0.5、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5、0≦z≦0.5、0≦α+β+γ≦0.5、0≦α≦0.5、0≦β≦0.5、0≦γ≦0.5)で表される、ZnOをベースとして任意にMg、ベリリウム(Be)、カドミウム(Cd)がZnサイト位置に入り、硫黄(S)、セレン(Se)、テルル(Te)がOサイト位置に入った混晶をも含む化合物を指す。より好ましくは、ZnOをベースとした組成式Zn1−(x+y)MgxCdyO(0≦x+y≦0.5、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5)で表される混晶を任意に含む化合物である。
酸化亜鉛(ZnO)は室温で3.37eVのバンドギャップを有している直接遷移型の半導体で、励起子の束縛エネルギーが60meVと従来の半導体に比べて大きく、高効率な発光素子として期待されている。発明者らはZnO薄膜を成長させる際、格子不整合を無くして高品質なエピタキシャル膜を得るために、ZnO基板を用いて成長させている。
高品質なエピタキシャル膜を得る成長方法として、例えば13.56MHzの高周波を用い、無電極放電管内でラジカル化した酸素ラジカルビームと、Kセルからの亜鉛ビームとを、成長温度まで昇温されている基板に同時照射し、基板上でZnOの成長を行う分子線エピタキシ(MBE)が一般的に用いられる。
ZnOエピタキシャル膜は、基板の結晶軸と揃った結晶が成長した膜であり、適切な酸素(O)/亜鉛(Zn)のフラックス比の選定により得ることができる。
ZnOのc軸は、Zn極性面(+c)とO極性面(−c)の2つの極性面を有している。(11−20)面(a面)、あるいは(0001)面(c面)サファイア基板上にZnO系化合物半導体薄膜を成長させると、通常−c軸方向(O極性面)で成長する。O極性面は半導体装置作製の観点からは、結晶特性が良くない。
Zn極性面を持つZnO基板や、ガリウム(Ga)面の露出したガリウムナイトライド(GaN)面をテンプレートとして有する基板(GaN/サファイアなど)、サファイア基板上における岩塩構造のMgOなどを用いれば、比較的結晶特性の良い+c軸方向(Zn極性面)のZnO層の成長が可能であるが、活性化率が良くない。
Znのフラックス強度をJZnとし、Oラジカルのフラックス強度をJOとする。また、ZnO結晶のO終端面へのZnの付着し易さを示す係数(Znの付着係数)をkZnとし、ZnO結晶のZn終端面へのOの付着し易さを示す係数(Oの付着係数)をkOとする。このとき、Znの付着係数KZnとフラックス強度JZnとの積KZnJZnは、ZnO基板上の単位面積に、単位時間当たりに付着するZn原子の個数に対応する。また、Oの付着係数KOとフラックス強度JOとの積KOJOが、ZnO基板上の単位面積に、単位時間当たりに付着するO原子の個数に対応する。積KZnJZnとKOJOとが等しい条件をストイキオメトリ条件と呼ぶ。
KOJO/KZnJZnを、フラックス比と定義する。ストイキオメトリ条件よりもフラックス比が大きい条件(KOJO/KZnJZn>1)をOリッチ条件と呼ぶ。また、ストイキオメトリ条件よりもフラックス比が小さい条件(KOJO/KZnJZn<1)をZnリッチ条件と呼ぶ。
「J.Crystal Growth 265(2004)p375―381」に、フラックス比が5.6と極端にOリッチ条件のときに、ZnOが2次元成長し、エピタキシャル膜が得られると記載されている。
J.Crystal Growth 265(2004)p375―381
J.Crystal Growth 265(2004)p375―381
「J.Crystal Growth 265(2004)p375―381」に記載の方法では、ZnO結晶の成長温度が700℃と比較的高い場合、キャリアの活性化率が低下する。また、成長温度を比較的低い450℃とすると、結晶性が低下する。
本発明の目的は、発光デバイスとして適した半導体発光素子を作製するため、活性化率と結晶性の双方を向上させるZnO系化合物半導体、それを用いた発光素子及びそれらの製造方法を提供することである。
本発明の一観点によれば、基板上方に、n型不純物をドープしたn型ZnO系化合物半導体層を+c軸方向へ結晶成長させる工程と、前記n型ZnO系化合物半導体層にアニール処理を施し、前記n型不純物の活性化率を向上させる工程とを含むZnO系化合物半導体の製造方法が提供される。
本発明の他の観点によれば、基板を準備する工程と、前記基板上方に、n型不純物をドープしたn型ZnO系化合物半導体層を+c軸方向へ結晶成長させる工程と、前記n型ZnO系化合物半導体層上に活性層を形成する工程と、前記活性層上にp型ZnO系化合物半導体層を形成する工程と、前記p型ZnO系化合物半導体層の少なくとも一部の領域に第1の電極を形成する工程と、前記n型ZnO系化合物半導体層の一部の領域を露出する工程と、前記n型ZnO系化合物半導体層の一部の露出領域に第2の電極を形成する工程とを含むZnO系化合物半導体発光素子の製造方法であって、前記n型ZnO系化合物半導体層にアニール処理を施す工程を含むZnO系化合物半導体発光素子の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の観点によれば、基板を準備する工程と、前記基板上方に、n型不純物をドープしたn型ZnO系化合物半導体層を+c軸方向へ結晶成長させる工程と、前記n型ZnO系化合物半導体層上に活性層を形成する工程と、前記活性層上にp型ZnO系化合物半導体層を形成する工程と、前記p型ZnO系化合物半導体層の少なくとも一部の領域に第1の電極を形成する工程と、前記基板のn型ZnO系化合物半導体層の形成される側の面とは反対側の面上に第2の電極を形成する工程とを含むZnO系化合物半導体発光素子の製造方法であって、前記n型ZnO系化合物半導体層にアニール処理を施す工程を含むZnO系化合物半導体発光素子の製造方法が提供される。
本発明のさらに他の観点によれば、+c軸方向へ結晶成長したn型ZnO系化合物半導体層であって、n型不純物として濃度が5.5×1017cm−3〜2.0×1019cm−3のGaがドープされ、活性化率が0.5以上であるn型ZnO系化合物半導体層が提供される。
本発明のさらに他の観点によれば、基板と、前記基板上方に、n型不純物をドープして+c軸方向へ結晶成長させたn型ZnO系化合物半導体層と、前記n型ZnO系化合物半導体層上に形成した活性層と、前記活性層上に形成したp型ZnO系化合物半導体層と、前記p型ZnO系化合物半導体層の少なくとも一部の領域に形成した第1の電極と、前記n型ZnO系化合物半導体層の一部の露出領域、または、前記基板のn型ZnO系化合物半導体層の形成される側の面とは反対側の面上に形成した第2の電極とを含むZnO系化合物半導体発光素子であって、前記n型ZnO系化合物半導体層は、n型不純物として濃度が5.5×1017cm−3〜2.0×1019cm−3のGaがドープされ、活性化率が0.5以上であるZnO系化合物半導体発光素子が提供される。
ZnO系化合物半導体またはそれを用いた発光素子のn型不純物の活性化率が向上する。加えて、結晶性も向上する。
図1、図2を参照して、本発明の実施例によるZnO系化合物半導体、その発光素子及びそれらの製造方法について説明する。図1に、ZnO系化合物半導体の結晶製造装置の概略図を示す。
図1に示すように、結晶製造装置は、超高真空容器1内にステージ2を保持する。ステージ2上には基板3を載置する。基板3には例えばZnOを用いるが、Zn極性のZnOの結晶を成長できる単結晶基板であれば他のものでも良いと思われる。例えばサファイア基板、ZnO基板、GaN基板、ガリウムナイトライドテンプレート(GaN/Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)基板でも良いと思われる。
また、超高真空容器1には、超高真空容器1から排気ポンプPによってガスを排出するための排気口E、Kセルから亜鉛ビームを出射する亜鉛ソースガン4、酸素をラジカル化して得られたラジカルビームを出射する酸素ビームガン5、Kセルからのガリウム(Ga)ビームを出射するガリウムソースガン6、窒素(N)をラジカル化して得られたラジカルビームを出射する窒素ソースガン7、Kセルからのマグネシウム(Mg)ビームを出射するマグネシウムソースガン8が備えられている。各ソースガンからのビームは、基板3上にZnO結晶が形成されるように、基板3に同時に照射して供給することができる。また、反射高エネルギ電子回折(RHEED)像が観察できるように、RHEEDガン9及びRHEEDスクリーン10が備えられている。
次に、この結晶製造装置を用いたZnO系化合物半導体及びその発光素子の製造方法を説明する。図2に、ZnO系化合物半導体及びその発光素子の製造方法を表した概略断面図を示す。
まず、基板11(基板3と同様の材質)を結晶製造装置内のステージ2上に保持する。基板11にサーマルアニール処理を施し、基板11表面の洗浄を行う。サーマルアニール処理中の基板ヒーター温度Thは800℃〜900℃である。そして、洗浄した基板11上に、必要に応じて各ソースガンからビーム照射し、分子線エピタキシ(MBE)により気相成長で成膜を行う。
次に、図2(A)に示すように、洗浄した基板11上にZnOバッファ層12を形成する。厚さは10nm〜30nm程度が望ましく、基板ヒーター温度Thは300℃〜500℃で成長させる。その後、基板ヒーター温度800℃〜1020℃でZnOバッファ層12をアニール処理する。
図2(A)に示すように、形成したZnOバッファ層12の表面上に、n型ZnO層13を+c軸方向に成長させる。フラックス条件は、Oのフラックス強度をJO=1.0×1015atoms/(cm2・s)、Znのフラックス強度をJZn=2.0×1014atoms/(cm2・s)とOリッチ条件にしている。添加する物質はここではGaである。添加するGaの濃度は5.5×1017cm−3〜2.0×1019cm−3である。添加物質としてアルミニウム(Al)やインジウム(In)などのIII族元素を用いても良い。厚さは1〜2μmで、基板ヒーターの温度Thは500℃以下で成長させる。その後、基板ヒーター温度Thを800℃〜1020℃にして1時間アニールを行う。
続いて、図2(A)に示すように、n型ZnO層13表面上に、n型ZnMgO層14をZnOバッファ層12形成時の基板ヒーター温度Thと同等かそれより低い温度で、厚さ100nm〜600nmまで成長させる。その後、基板ヒーター温度Thを800℃〜1020℃にしてn型ZnMgO層14をアニール処理する。クラッド層であるn型ZnMgO層14は、その上に形成する活性層材料よりバンドギャップが0.2eV程大きな材料で構成される。
上記のように、n型ZnO系化合物半導体層は、少なくとも1層から形成され、複数層を取りうる。n型ZnO系化合物半導体層のアニール処理は、各層ごとに行っても、複数層を同時に行っても良い。
図2(A)に示すように、n型ZnMgO層14の表面上に、活性層としてZnO/ZnMgO量子井戸層15を形成する。基板ヒーター温度Thは500℃〜900℃であり、不純物は添加しない。ZnO/ZnMgO量子井戸層15は、図2(B)に示すように、ZnOで形成されるウェル層15wの表面上に、ZnMgOで形成されるバリア層15bが積層した構造を有する。また、ZnO/ZnMgO量子井戸層15は、図2(C)に示すように、ウェル層15wとバリア層15bの積層構造が複数表れる多重量子井戸構造であっても良い。なお、活性層に用いる材料は(Zn、Mg、Cd)(O、S、Se、Te)混晶でも良い。
図2(A)に示すように、ZnO/ZnMgO量子井戸層15の表面上に、クラッド層として窒素を添加したp型ZnMgO層16を形成する。p型ZnMgO層16は、活性層材料よりバンドギャップが0.2eV程大きな材料で構成される。厚さは100nm〜300nmで、窒素の濃度は1×1018cm−3以上である。基板ヒーターの温度Thは500〜1000℃で成長させる。
さらに、図2(A)に示すように、p型ZnMgO層16の表面上に、窒素を1×1019cm−3以上添加したp型ZnO層17を、基板ヒーター温度Thは500℃〜1000℃で、厚さ100nm〜200nmまで成長させる。
続いて、形成したZnO系化合物半導体に電極を作製する。ZnOバッファ層12からp型ZnO層17までの各層が積層された基板11を、結晶製造装置から取り出し、レジスト膜もしくは保護膜等を設けて、所定のパターンの開口を有するエッチングマスクを形成する。その後、例えばウェットエッチングやアクティブイオンエッチングで、開口をn型ZnO層13が露出するまでエッチングする。その後、エッチングマスクは除去する。
図2(D)に示すように、露出したn型ZnO層13表面に、例えば厚さ2nm〜10nmのチタン層上に300nm〜500nmのアルミニウム層が積層したn型電極18を作製する。
次に、図2(D)に示すように、p型ZnO層17表面に、例えば厚さ0.3nm〜3nmのニッケル層上に、厚さ10nmの金層が積層したp型電極19を作製する。
更に、p型電極19上に、例えば厚さ500nmの金で形成されたp型ボンディング電極20を作製する。なお、これらの電極やボンディング電極の形成にはリフトオフ法などを用いる。
この後、例えば400℃〜800℃の酸素雰囲気中で、電極合金化処理を行う。合金化処理時間は30秒〜5分である。以上のようにして、ZnO系化合物半導体発光素子を作製する。
図3〜図5を参照して、実施例によりZnO系化合物半導体またはそれを用いた発光素子を作製する効果について説明する。図3に、Ga濃度とキャリア濃度との関係をアニールの有無で比較したグラフを示す。サンプルとしてZnOバッファ層12とn型ZnO層13を形成した基板11を用いている。横軸は、n型ZnO層13に添加するGa濃度[Ga](cm−3)であり、縦軸はn型ZnO層13のキャリア濃度n(cm−3)である。Ga濃度[Ga]は2次イオン質量分析(SIMS)、キャリア濃度nはHall効果測定により求めた。図3中△のプロットはn型ZnO層13を900℃で1時間アニール処理した場合のデータであり、●印のプロットはアニールしない場合のデータである。ここで、活性化率をn/[Ga]と定義する。図3に示すように、アニールを行わない場合は、活性化率が0.3程度であるが、アニールを行う場合、活性化率が1程度まで向上する。
図4に、アニール工程の有無で比較したn型ZnO層13のX線ロッキングカーブを示す。サンプルとしてZnOバッファ層12とn型ZnO層13を形成した基板11を用いている。測定面は(10−10)面及び(0002)面である。横軸に走査角度(度)をとり、縦軸にX線回折強度(任意単位)をとっている。図4に示すように、アニール工程を行った方が、(10−10)面、(0002)面の両方の面においてX線ロッキングカーブの半値幅が狭くなっている。従って、アニール工程を行った方が結晶性が向上する。
図5に、アニールの有無で比較したn型ZnO層13のフォトルミネッセンス(PL)の発光スペクトルを示す。サンプルとしてZnOバッファ層12とn型ZnO層13を形成した基板11を用いている。横軸にフォトンエネルギー(eV)を、縦軸にPL強度(任意単位)をとっている。D0Xは中性ドナーに束縛された励起子の発光である。図5における太線がアニールを行った場合のPL強度、細線がアニールを行わない場合のPL強度を示している。図5に示すように、アニール工程を行った結果は、アニールを行っていない結果と比べてD0Xの強度が高くなり、中性ドナーに束縛された励起子の量が多くなったと考えられる。従って、アニール工程を行うことにより、結晶性が向上したと考えられる。
なお、ZnOバッファ層12が無い場合でも、n型ZnO層13をアニール処理することにより、活性化率を向上させることができる。ただし、結晶性の観点から、ZnOバッファ層12はあったほうがよく、好ましくはZnOバッファ層12とn型ZnO層13の両方をアニールすることにより、活性化率及び結晶性の向上の効果が大きくなる。
ここで、n型ZnO層13形成過程における各種形成条件について検討する。まず、n型ZnO層13を成長させる際の温度範囲であるが、基板表面温度Tsの下限値は、ZnO結晶が2次元成長する最小限の温度である250℃(基板ヒーター温度Th250℃)である。基板表面温度Tsの上限値は、添加するn型不純物が酸化して、Znサイトに置き換わらなくなる手前の温度であり、480℃(基板ヒーター温度500℃)程度である。
なお、基板表面温度Tsと基板ヒーター温度Thとの換算には、設定する基板ヒーター温度Thに対して基板表面温度Tsを放射温度計にて測定した実測値を用いている。
次に、図6を参照して、アニール工程における基板ヒーター温度Th及び基板11の表面温度Tsの範囲について検討する。図6に基板表面温度TsとZnOの再蒸発速度RZnOとの関係を示す。横軸に基板表面温度Ts(℃)、縦軸に再蒸発速度RZnO(nm/h)をとっている。アニールのための温度は、高くなるほど固相中の原子を動かす熱エネルギーが大きくなるので結晶性向上には好ましい。しかし、図6に示すように、基板表面温度Tsが大きくなると、再蒸発速度RZnOが増加し、膜質が損なわれる。従って、基板表面温度Tsには再蒸発速度RZnOとのバランスによる上限値が存在する。再蒸発速度RZnOの上限値が10nm/hとすると、基板表面温度Tsは860℃以下が望ましい。これを基板ヒーター温度Thに換算すると1020℃以下となる。
アニール工程における基板ヒーター温度Th及び基板表面温度Tsの下限値であるが、基板ヒーター温度が800℃で30分のアニールを行った結果、活性化率及び結晶性の向上が確認できた。先述のように、アニールは高温であるほど良いが、少なくとも基板ヒーター温度Thは800℃以上であることが好ましいことが判った。これを基板表面温度Tsに換算すると700℃以上となる。
図7を参照して、アニール処理の時間について検討する。図7に、n型ZnO層13成長直後から基板ヒーター温度Thが900℃でアニール処理を60分行った際のn型ZnO層13のRHEED像を示す。図7(A)がn型ZnO層13成長直後、図7(B)がアニール開始15分後、図7(C)がアニール開始30分後、図7(D)がアニール開始60分後におけるn型ZnO層13のRHEED像である。図7(A)に示すように、成長直後のRHEED像は、ストリークであるが、中心のライン上の発光点がぼやけ、集中した発光になっていないので、n型ZnO層13の平坦性は高くない。図7(B)に示すように、アニール開始15分後のRHEED像も、発光点が集中した発光になっていないので、n型ZnO層13の平坦性は改善されていない。図7(C)、(D)に示すように、アニールを開始して30分以上後のRHEED像では、発光点が中心に集中した発光であるので、n型ZnO層13の平坦性が改善され、結晶性が回復していると考えられる。
以上の検討から、n型ZnO層13を成長させる際の基板表面温度Tsは250℃〜480℃、n型ZnO層13のアニール処理工程における好ましい基板表面温度Tsの範囲は700℃〜860℃である。また、好ましいアニール処理時間の範囲は30分以上である。
さらに、先述のように、n型ZnO層13に添加するn型不純物の濃度は、低抵抗率と結晶性の兼ね合いを考慮して、5.5×1017cm−3〜2.0×1019cm−3が好ましい。
このような条件で作製したZnO系化合物半導体またはその発光素子のn型不純物の活性化率は0.5以上となる。
図8を参照して、本発明の実施例の変型例1を説明する。図8に、変型例1によるZnO系化合物半導体発光素子の概略断面図を示す。図8に示したZnO系化合物半導体発光素子は、所謂フリップチップ構造である。フリップチップ構造のZnO系化合物半導体発光素子を作製するにあたっては、上記実施例において、p型電極19を取り付けるまでは同じ工程を行う。次に、基板11側を上にして、サブマウント21に設置する。サブマウント21には、絶縁膜22を介してカソード引き出し電極23、アノード引き出し電極24が形成されている。このカソード引き出し電極23とn型電極18を、アノード引き出し電極24とp型電極19をそれぞれ共晶電極25を介して熱圧着することでフリップチップ構造のZnO系化合物半導体発光素子が完成する。
フリップチップ構造のZnO系化合物半導体発光素子では基板11側から光を取り出すが、このような場合であっても、活性化率や結晶性向上の効果が期待できる。
図9を参照して、本発明の実施例の変型例2を説明する。図9に、変型例2によるZnO系化合物半導体発光素子の概略断面図を示す。図9に示したZnO系化合物半導体発光素子は、電極がp型ZnO層17上と、基板11下側に形成された構造である。このような構造のZnO系化合物半導体素子を作製するにあたっては、上記実施例において、p型ZnO層17を積層するまでは同じ工程を行う。その後、p型ZnO層17上にp型電極19を形成し、さらに基板11裏側にn型電極18を形成することでZnO系化合物半導体発光素子が完成する。なお、変型例2の場合、基板11には導電性のn型ZnO基板、n型GaNバルク基板、SiC基板などを用いる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、基板11上にZnOの結晶を成長させると記載したが、他に「技術分野」の項で記載したZnO系化合物を成長させることも可能である。
また、上述の構造を用いて、短波長(紫外線〜青色の波長)の発光素子(LED)及びその応用製品(例えば、各インジケータ、LEDディスプレイ)や、白色LED及びその応用製品(例えば照明器具、各インジケータ、ディスプレイ、各表示器のバックライト)などを作成することができる。
その他、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
1 超高真空容器
2 ステージ
3、11 基板
4 亜鉛ソースガン
5 酸素ビームガン
6 ガリウムソースガン
7 窒素ソースガン
8 マグネシウムソースガン
9 RHEEDガン
10 RHEEDスクリーン
12 ZnOバッファ層
13 n型ZnO層
14 n型ZnMgO層
15 ZnO/ZnMgO量子井戸層
15b バリア層
15w ウェル層
16 p型ZnMgO層
17 p型ZnO層
18 n型電極
19 p型電極
20 p型ボンディング電極
21 サブマウント
22 絶縁膜
23 カソード引き出し電極
24 アノード引き出し電極
25 共晶電極
E 排気口
P 排気ポンプ
2 ステージ
3、11 基板
4 亜鉛ソースガン
5 酸素ビームガン
6 ガリウムソースガン
7 窒素ソースガン
8 マグネシウムソースガン
9 RHEEDガン
10 RHEEDスクリーン
12 ZnOバッファ層
13 n型ZnO層
14 n型ZnMgO層
15 ZnO/ZnMgO量子井戸層
15b バリア層
15w ウェル層
16 p型ZnMgO層
17 p型ZnO層
18 n型電極
19 p型電極
20 p型ボンディング電極
21 サブマウント
22 絶縁膜
23 カソード引き出し電極
24 アノード引き出し電極
25 共晶電極
E 排気口
P 排気ポンプ
Claims (12)
- (a)基板上方に、n型不純物をドープしたn型ZnO系化合物半導体層を+c軸方向へ結晶成長させる工程と、
(b)前記n型ZnO系化合物半導体層にアニール処理を施し、前記n型不純物の活性化率を向上させる工程と
を含むZnO系化合物半導体の製造方法。 - 前記n型不純物は、III族元素である請求項1に記載のZnO系化合物半導体の製造方法。
- 前記n型不純物はGaであり、前記n型ZnO系化合物半導体層におけるGaの濃度が5.5×1017cm−3〜2.0×1019cm−3である請求項1または2に記載のZnO系化合物半導体の製造方法。
- 前記工程(a)において、前記n型ZnO系化合物半導体層を結晶成長させる際の基板表面温度が250℃〜480℃である請求項1から3のいずれか1項に記載のZnO系化合物半導体の製造方法。
- 前記工程(b)において、前記アニール処理の際の基板表面温度が700℃〜860℃である請求項1から4のいずれか1項に記載のZnO系化合物半導体の製造方法。
- 前記工程(b)において、前記アニール処理の時間が30分以上である請求項1から5のいずれか1項に記載のZnO系化合物半導体の製造方法。
- (a)基板を準備する工程と、
(b)前記基板上方に、n型不純物をドープしたn型ZnO系化合物半導体層を+c軸方向へ結晶成長させる工程と、
(c)前記n型ZnO系化合物半導体層上に活性層を形成する工程と、
(d)前記活性層上にp型ZnO系化合物半導体層を形成する工程と、
(e)前記p型ZnO系化合物半導体層の少なくとも一部の領域に第1の電極を形成する工程と、
(f)前記n型ZnO系化合物半導体層の一部の領域を露出する工程と、
(g)前記n型ZnO系化合物半導体層の一部の露出領域に第2の電極を形成する工程と
を含むZnO系化合物半導体発光素子の製造方法であって、
前記n型ZnO系化合物半導体層にアニール処理を施す工程を含むZnO系化合物半導体発光素子の製造方法。 - (a)基板を準備する工程と、
(b)前記基板上方に、n型不純物をドープしたn型ZnO系化合物半導体層を+c軸方向へ結晶成長させる工程と、
(c)前記n型ZnO系化合物半導体層上に活性層を形成する工程と、
(d)前記活性層上にp型ZnO系化合物半導体層を形成する工程と、
(e)前記p型ZnO系化合物半導体層の少なくとも一部の領域に第1の電極を形成する工程と、
(f)前記基板のn型ZnO系化合物半導体層の形成される側の面とは反対側の面上に第2の電極を形成する工程と
を含むZnO系化合物半導体発光素子の製造方法であって、
前記n型ZnO系化合物半導体層にアニール処理を施す工程を含むZnO系化合物半導体発光素子の製造方法。 - 前記n型不純物はGaで、前記n型ZnO系化合物半導体層におけるGaの濃度が5.5×1017cm−3〜2.0×1019cm−3であり、
前記工程(b)において、前記n型ZnO系化合物半導体層を結晶成長させる際の基板表面温度が250℃〜480℃である請求項7または8に記載のZnO系化合物半導体発光素子の製造方法。 - 前記アニール処理の際の基板表面温度が700℃〜860℃である請求項7から9のいずれか1項に記載のZnO系化合物半導体発光素子の製造方法。
- +c軸方向へ結晶成長したn型ZnO系化合物半導体層であって、
n型不純物として濃度が5.5×1017cm−3〜2.0×1019cm−3のGaがドープされ、活性化率が0.5以上であるn型ZnO系化合物半導体層。 - 基板と、
前記基板上方に、n型不純物をドープして+c軸方向へ結晶成長させたn型ZnO系化合物半導体層と、
前記n型ZnO系化合物半導体層上に形成した活性層と、
前記活性層上に形成したp型ZnO系化合物半導体層と、
前記p型ZnO系化合物半導体層の少なくとも一部の領域に形成した第1の電極と、
前記n型ZnO系化合物半導体層の一部の露出領域、または、前記基板のn型ZnO系化合物半導体層の形成される側の面とは反対側の面上に形成した第2の電極と
を含むZnO系化合物半導体発光素子であって、
前記n型ZnO系化合物半導体層は、n型不純物として濃度が5.5×1017cm−3〜2.0×1019cm−3のGaがドープされ、活性化率が0.5以上であるZnO系化合物半導体発光素子。
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