JP2013046023A - ZnO系半導体層の製造方法及びZnO系半導体発光素子の製造方法 - Google Patents

ZnO系半導体層の製造方法及びZnO系半導体発光素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】NとTeがコドーピングされたZnO系半導体層の新規な製造方法を提供することである。
【解決手段】
ZnO系半導体層の製造方法は、(a)下地層上方に、少なくともZn、O、N、及びTeを供給して、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体膜を形成する工程と、(b)ZnO系半導体膜にOラジカルを照射して、ZnO系半導体膜の結晶性を向上させる工程とを有する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ZnO系半導体層の製造方法及びZnO系半導体発光素子の製造方法に関する。
酸化亜鉛(ZnO)は、室温で3.37eVのバンドギャップエネルギーを持つ直接遷移型の半導体であり、励起子の結合エネルギーが60meVと他の半導体と比較して非常に大きい。この値は、室温のエネルギーである25meVに比べても十分に大きく、室温でも励起子が解離しないことから、励起子発光を用いた高効率な発光素子材料としての研究が進められている。
また、ZnOは、現在広く普及しているGaN系発光素子の屈折率2.4と比較して、屈折率が2.0と小さいため、発光素子を作製した場合の光取り出し効率がGaN系発光素子より高くなるというメリットも有する。さらに、原材料自体が安価であるとともに、環境や人体への悪影響が少ないという特徴も有する。
ZnO系化合物半導体の伝導性制御について、特にp型化に関し、特許文献や論文による発表が数多くなされている(例えば特許文献1参照)。しかし、ZnO系化合物半導体のp型伝導性は、再現性や安定性を向上させることが難しい。
ZnOのp型化の新規な方法として、NとTeをコドーピングする方法が発表されている(非特許文献1参照)。非特許文献1は、MBEにより、ZnO基板上に成長され、NとTeがコドーピングされたZnO膜において、キャリア密度4×1016cm−3、抵抗率13Ω/cmのp型伝導性が得られたと報告している。
特開2005−197410号公報 Appl. Phys. Express 3 (2010) 031103
本発明の一目的は、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体層の新規な製造方法、及び、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体層を用いたZnO系半導体発光素子の新規な製造方法を提供することである。
本発明の一観点によれば、(a)下地層上方に、少なくともZn、O、N、及びTeを供給して、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体膜を形成する工程と、(b)前記ZnO系半導体膜にOラジカルを照射して、前記ZnO系半導体膜の結晶性を向上させる工程とを有するZnO系半導体層の製造方法が提供される。
Oラジカル照射により、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体層の結晶性向上等が図られる。
図1は、MBE装置の例を示す概略断面図である。 図2は、第1比較例(第2比較例、第1実施例、第2実施例)のサンプルの構造を示す概略断面図である。 図3A及び図3Bは、それぞれ、第1比較例によるZnO:[N+Te]層のRHEED像及びAFM像であり、図3Cは、第1比較例によるZnO:[N+Te]層の、X線回折(10−10)面のロッキングカーブ測定結果である。 図4は、第1実施例によるZnO:[N+Te]層の成長方法を示すタイミングチャートである。 図5A及び図5Bは、それぞれ、第1実施例によるZnO:[N+Te]層のRHEED像及びAFM像であり、図5Cは、第1実施例によるZnO:[N+Te]層の、X線回折(10−10)面のロッキングカーブ測定結果である。 図6Aは、第2比較例によるZnO:[N+Te]層の成長方法を示すタイミングチャートであり、図6B及び図6Cは、それぞれ、第2比較例によるZnO:[N+Te]層のRHEED像及びAFM像である。 図7は、第2実施例、第1実施例、及び第1比較例によるサンプルに対する、X線回折(10−10)面のロッキングカーブ測定における半値全幅を、Oラジカルビーム照射時間に対してプロットしたグラフである。 図8A及び図8Bは、それぞれ、第3比較例及び第3実施例による発光素子のEL発光時の写真である。 図9Aは、第4実施例による発光素子の概略断面図であり、図9B及び図9Cは、変形例による、量子井戸構造の活性層を示す概略断面図である。
まず、ZnO系半導体層の成長に用いられる結晶製造装置について説明する。結晶製造方法として、以下に説明する比較例や実施例では、分子線エピタキシ(MBE)を用いる。ここで、ZnO系半導体は、少なくともZnとOとを含む。
図1は、MBE装置の例を示す概略断面図である。真空チャンバ101が、Znソースガン102、Mgソースガン103、Teソースガン104、Oソースガン105、及び、Nソースガン106を備える。
Znソースガン102、Mgソースガン103、Teソースガン104は、それぞれ、Zn固体ソース(例えば純度7N)、Mg固体ソース(例えば純度6N)、及びTe固体ソース(例えば純度6N)を収容するクヌーセンセルを含み、Znビーム、Mgビーム、Teビームを出射する。
Oソースガン105、Nソースガン106は、それぞれ、例えば13.56MHzのラジオ周波(RF)を用いた無電極放電管を含み、Oガス(例えば純度6N)、Nガス(例えば純度6N)をプラズマ化して、Oラジカルビーム、Nラジカルビームを出射する。
なお、N源は、N元素を含むものであればNに限らない。Nの他、例えば、NO、NO、N+O、NHなどの種々のN源を用いることも可能である。
真空チャンバ101内に、ヒータを含むステージ107が配置され、ステージ107が、基板108を保持する。各ソースガン102〜106はシャッタを備え、シャッタの開閉を切り替えることにより、各ソースガンからビームが基板108に向けて照射される状態と照射されない状態とが切り替えられる。基板108上に、所望のビームを供給することにより、所望の結晶層を成長させることができる。
本MBE装置は、反射高速電子回折(RHEED)用のガン109、及びRHEED像を映すスクリーン110を備える。RHEED像から、成長した結晶層の結晶性を評価できる。単結晶が2次元的に成長し表面が平坦である場合は、RHEED像がストリークパターンを示し、単結晶が3次元的に成長し表面が平坦でない場合は、RHEED像がスポットパターンを示す。
ZnOにMgを添加することにより、バンドギャップを広げることができる。ただし、ZnOはウルツ鉱構造(六方晶)で、MgOは岩塩構造(立方晶)であるため、Mg組成が高すぎると相分離を起こしてしまう。MgZnOのMg組成をxと明示したMgZn1−xOにおいて、Mg組成xは、ウルツ鉱構造を保つため0.6以下とするのが好ましい。なお、Mg組成x=0も含めることにより、MgZn1−xOという表記に、Mgの添加されていないZnOも含める。
なお、ZnOにBe、Ca等を添加することにより、バンドギャップを広げることもできる。必要に応じて、MBE装置にBeソースガン、Caソースガン等を追加することができる。
ZnOに例えばS、Se、Cd等を添加することにより、バンドギャップを狭めることができる。必要に応じて、MBE装置にSソースガン、Seソースガン、Cdソースガン等を追加することができる。
ZnO系半導体のn型伝導性は、n型不純物を添加しなくても得ることができる。n型キャリア濃度を高めるために、Al、Ga、In等を添加することもできる。必要に応じて、MBE装置にAlソースガン、Gaソースガン、Inソースガン等を追加することができる。
ZnO系半導体のp型伝導性を得るために、N及びTeを同時に添加(NとTeをコドーピング)することができる。
ZnO系化合物半導体素子の作製に用いられる基板には、酸化亜鉛(ZnO)基板、 サファイア(Al)基板、炭化珪素(SiC)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、六方晶系MgZn1−xO基板(0<x≦0.5)、立方晶系MgZn1−xO基板(0.5<x≦1)、 シリコン(Si)基板などがある。
結晶性の良いZnO系半導体層を得るためには、格子不整合度の小さい基板ほど良く、特に好ましいのはZnO基板である。また発光素子を作製する場合は、基板が活性層からの放射光を吸収してしまうことで、素子からの放射光の取り出し効率が落ちてしまうのを抑制するために、ZnOに比べてバンドギャップが大きいMgZnO基板を用いるのも好ましい。
基板は、+c面、−c面、a面、m面など種々の面を用いて、その上にZnO系化合物半導体層を成長させることができる。
さらに例えば、+c面基板について、m方向やa方向などにオフ角をつけた種々の基板を用いることもできる。
また、上記の基板上に、MgZnO膜、ZnO膜、GaN膜などを厚さ1μm以上形成したテンプレートを用いても良い。
次に、第1比較例による、NとTeとがコドーピングされたZnO層(ZnO:[N+Te]層)の製造方法について説明する。
図2は、第1比較例によるサンプルの構造を示す概略断面図である。洗浄された+c面ZnO基板1上に、Znビーム及びOラジカルビームを同時照射して、アンドープZnO緩衝層(バッファ層)2を、およそ30nm程度の厚さ形成した。成長温度は350℃とし、Znビームは、フラックスを0.12nm/sとして照射し、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wとして照射した。次に、バッファ層2を高品質化させるためにアニールを行った。例えば、アニール温度は900℃で、アニール時間は20分である。
次に、バッファ層2の上に、Znビーム及びOラジカルビームを同時照射して、アンドープZnO層3を、およそ100nm程度の厚さ形成した。成長温度は900℃とし、Znビームは、フラックスを0.12nm/sとして照射し、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wとして照射した。
次に、アンドープZnO層3上に、Znビーム、Oラジカルビーム、Nラジカルビーム、及びTeビームを同時照射して、ZnO:[N+Te]層4Caを、およそ200nm程度の厚さ形成した。
成長温度は500℃とし、Znビームは、フラックスを0.12nm/sとして照射し、Oラジカルビームは、O流量2sccm、RFパワー300Wとして照射し、Nラジカルビームは、N流量1sccm、RFパワー100Wとして照射し、Teビームは、フラックスを0.003nm/sとして照射した。
次に、第1比較例によるZnO:[N+Te]層4Caの課題について説明する。
図3A及び図3Bは、それぞれ、第1比較例によるZnO:[N+Te]層4CaのRHEED像及び原子間力顕微鏡(AFM)像である。RHEED像は、[11−20]方向、[1−100]方向から電子線を入射した像を並べて示す。AFM像は、1μm×1μmサイズの観察領域を示す。
[11−20]方向及び[1−100]方向のRHEED像は、共にスポットパターンを示し、ZnO:[N+Te]膜4Caが3次元的に成長していることを示している。
AFM像は表面に粒状の凹凸が見られ、平坦性は悪い。AFM像から算出された二乗平均平方根(Root mean square,Rms)粗さ(以下、表面粗さRmsと呼ぶ)は、2.432nmであった。
なお、1μm×1μmサイズのAFM像により算出された表面粗さRmsについて、1nm以下の表面粗さRmsが2次元成長の目安であり、1nmより大きい表面粗さRmsが3次元成長の目安であるということができる。
図3Cは、第1比較例によるZnO:[N+Te]層4Caの、X線回折(10−10)面のロッキングカーブ測定結果である。半値全幅は、3085秒と非常に広がっており、第1比較例の方法で作製されたZnO:[N+Te]層4Caは、多量の刃状転位を内包することがわかった。
このように、第1比較例の方法で形成されたZnO:[N+Te]層は、3次元成長し表面平坦性が良くなく、また、結晶性も良くないことがわかった。
次に、第1実施例によるZnO:[N+Te]層の製造方法について説明する。
図2を流用し、再び参照して説明を続ける。図2は、第1実施例によるサンプルの構造を示す概略断面図である。
第1比較例と同様にして、+c面ZnO基板1上にアンドープZnOバッファ層2を形成し、バッファ層2のアニールを行い、バッファ層2上にアンドープZnO層3を形成した。次に、アンドープZnO層3上に、第1実施例の方法により、ZnO:[N+Te]層4を形成した。
図4は、第1実施例によるZnO:[N+Te]層4の成長方法を示すタイミングチャートである。Znソースガン、Teソースガン、Oソースガン、及びNソースガンのシャッタの開(on)閉(off)状態を示す。
第1実施例のZnO:[N+Te]層成長方法は、Znビーム、Teビーム、Oラジカルビーム、及びNラジカルビームを同時照射してZnO:[N+Te]膜を形成する工程と、Znビーム、Teビーム、及びNラジカルビームの照射は中断して、ZnO:[N+Te]膜にOラジカルビームを照射する工程とを1セットとした工程を繰り返す。
実験では、Znビームフラックスを0.12nm/sとし、 Teビームフラックスを0.003nm/sとし、OソースガンはO流量を2sccm、RFパワーを300Wとし、NソースガンはN流量を1sccm、RFパワーを100Wとした。成長温度は、500℃とした。
1セット当たり、ZnO:[N+Te]膜をおよそ1nm(約4原子層)成長させる毎に、5秒間のOラジカルビーム照射を行い、このようなセットを200回繰り返して、厚さ200nm程度のZnO:[N+Te]層4を形成した。なお、1回当たりの(厚さおよそ1nmの)ZnO:[N+Te]膜形成工程に要する時間は、約20秒であった。
図5A及び図5Bは、それぞれ、第1実施例によるZnO:[N+Te]層4のRHEED像及びAFM像である。RHEED像は、[11−20]方向、[1−100]方向から電子線を入射した像を並べて示す。AFM像は、1μm×1μmサイズの観察領域を示す。
[11−20]方向及び[1−100]方向のRHEED像は、共にストリークパターンを示し、ZnO:[N+Te]膜4が2次元的に成長していることを示している。
AFM像より、第1実施例のZnO:[N+Te]膜4は、第1比較例のZnO:[N+Te]膜4Caに比べて表面平坦性が向上していることがわかる。表面粗さRmsは、0.560nmと小さい。
図5Cは、第1実施例によるZnO:[N+Te]層4の、X線回折(10−10)面のロッキングカーブ測定結果である。第1比較例のZnO:[N+Te]層4Caに比べて、半値全幅が139秒と大幅に小さくなり、刃状転位密度が非常に少なくなっていることがわかる。
このように、実施例の方法により、結晶性等の向上したZnO:[N+Te]層を得ることが可能になる。
次に、第2比較例によるZnO:[N+Te]層の製造方法について説明する。
図2を流用し、再び参照して説明を続ける。図2は、第2比較例によるサンプルの構造を示す概略断面図である。
第1比較例及び第1実施例と同様にして、+c面ZnO基板1上にアンドープZnOバッファ層2を形成し、バッファ層2のアニールを行い、バッファ層2上にアンドープZnO層3を形成した。次に、アンドープZnO層3上に、第2比較例の方法により、ZnO:[N+Te]層4Cbを形成した。
図6Aは、第2比較例によるZnO:[N+Te]層4Cbの成長方法を示すタイミングチャートである。Znソースガン、Teソースガン、Oソースガン、及びNソースガンのシャッタの開(on)閉(off)状態を示す。
第2比較例のZnO:[N+Te]層成長方法は、Znビーム、Teビーム、Oラジカルビーム、及びNラジカルビームを同時照射してZnO:[N+Te]膜を形成する工程と、Znビーム、Teビーム、Oラジカルビーム、及びNラジカルビームの照射を中断してアニールを行う工程とを1セットとした工程を繰り返す。
ビームフラックス条件は第1実施例と同様とし、成長温度は500℃とした。1セット当たり、ZnO:[N+Te]膜をおよそ1nm(約4原子層)成長させる毎に、5秒間のアニール(温度を500℃としたままで、全てのビームフラックス供給の中断)を行い、このようなセットを200回繰り返して、厚さ200nm程度のZnO:[N+Te]層4Cbを形成した。
図6B及び図6Cは、それぞれ、第2比較例によるZnO:[N+Te]層4CbのRHEED像及びAFM像である。RHEED像は、[11−20]方向、[1−100]方向から電子線を入射した像を並べて示す。AFM像は、5μm×5μmサイズの観察領域を示す。
[11−20]方向及び[1−100]方向のRHEED像は共にストリークパターンを示し、ZnO:[N+Te]膜4Cbの成長モードは2次元的であることがわかる。
ただし、AFM測定により表面モフォロジーを見ると、ピットが多数観察される。この理由は、例えば以下のようなものと考えられる。アニールによって成長モードは2次元とすることができるが、第1実施例のようにはOラジカルを供給していないために、ZnO:[N+Te]膜表面から原子が再蒸発をおこしてしまい、その結果ピットが形成されるのではないかと推察される。表面粗さRmsは、1.094nmであった。
第2比較例より、ZnO:[N+Te]膜の結晶性を向上させ且つ、表面の平坦性を保つ(ピットなどを発生させない)ためには、第1実施例のようなOラジカル照射が有効であるということがわかった。
以上説明した第1実施例、第1比較例、及び第2比較例を踏まえると、ZnO:[N+Te]膜にOラジカルビームを照射する工程は、ZnO:[N+Te]膜の結晶性を向上させる工程、あるいは、表面平坦性を向上させる工程と捉えることができる。
Oラジカルビーム照射工程によるZnO:[N+Te]膜の結晶性向上は、例えば、X線回折(10−10)面のロッキングカーブ測定による半値全幅が、Oラジカル照射工程なしの場合に比べ小さくなることで判定できる。また例えば、AFM像に観察されるピット数の減少によっても判定することができる。
Oラジカルビーム照射工程によるZnO:[N+Te]膜の表面平坦性向上は、例えば、表面粗さRmsが、Oラジカル照射工程なしの場合に比べ小さくなることで判定できる。
次に、第2実施例について説明する。第2実施例では、ZnO:[N+Te]層形成における1回当たりのOラジカル照射時間を、第1実施例に対して変化させた。成長条件(ビームフラックス条件)は、第1実施例と同様とした。
1セット当たり、ZnO:[N+Te]膜をおよそ1nm(約4原子層)成長させる毎に、12秒間のOラジカルビーム照射を行って、総厚さ200nm程度のZnO:[N+Te]層を積層したサンプルと、1セット当たり、ZnO:[N+Te]膜をおよそ1nm(約4原子層)成長させる毎に、20秒間のOラジカルビーム照射を行って、総厚さ200nm程度のZnO:[N+Te]層を積層したサンプルとを作製した。
図7は、第2実施例、第1実施例、及び第1比較例によるサンプルに対する、X線回折(10−10)面のロッキングカーブ測定における半値全幅の値を、Oラジカルビーム照射時間に対してプロットしたグラフである。
Oラジカル照射を行った(実施例による)サンプルの半値全幅は全て、Oラジカル照射を行わなかった(比較例による)サンプルに比べて、格段に小さくなっている。少しでもOラジカル照射を行えば、結晶性等の改善効果が得られるといえる。Oラジカル照射を行った3つのサンプルの半値全幅は、ほぼ等しくなっている。
なお、詳細に考察すると、Oラジカル照射5秒、12秒、20秒では、それぞれ、(10−10)ωの半値全幅は139秒、151秒、184秒となっており、Oラジカル照射時間の増加と共に、わずかに半値全幅が広がっていく。ただし、このような半値全幅のずれは、Oラジカル照射を行わない場合の半値全幅と比較して、十分に小さい。
Oソースガンの制御性の観点からは、1回当たりのOラジカル照射の最短時間は、例えば0.5秒程度と見積もられる。一方、製造工程の短時間化の観点から、1回当たりのOラジカル照射時間は長すぎない方が好ましく、例えば20秒以下とすることが好ましい。従って、例えば、1回当たりのOラジカル照射時間は、0.5秒以上20秒以下の範囲である。
なお、上記実施例では、Oラジカルビームフラックス条件は、ZnO:[N+Te]膜形成工程と、Oラジカルビーム照射工程とで一定としたが、ZnO:[N+Te]膜形成工程とOラジカルビーム照射工程とで、Oラジカルビームフラックス条件を変化させることもできよう。
大まかには、例えば、以下のような推測をしてもよいであろう。例えば、上述の実験条件に対し、Oラジカルビーム照射工程でのOラジカルビームフラックスを1/4とし、1回当たりのOラジカルビーム照射時間を20秒(5秒の4倍)とした場合、1回当たりのOラジカルビーム照射総量としては、上述の実験における1回当たりOラジカルビーム照射時間5秒の場合と等しくなり、1回当たりOラジカルビーム照射時間5秒の場合と同程度の効果は期待してよいように思われる。
次に、第3実施例について説明する。第3実施例では、第1実施例の方法で作製したサンプルに電極を形成して、ZnO系半導体発光素子を作製した。
ZnO基板1の裏面に厚さ0.5nmのTi層を堆積し、Ti層上に厚さ400nmのAl層を堆積して、n側電極を形成した。ZnO:[N+Te]層4上に厚さ1nmのNi層を堆積し、Ni層上に厚さ10nmのAu層を堆積して、p側透光性電極を形成した。電極用の各金属層の堆積には、EB蒸着を用いた。この後、300℃の酸素ガス雰囲気中で、電極の合金化処理を行った。合金処理時間は30秒である。
このようにして、第3実施例による発光素子を形成した。さらに、同様にして、第1比較例の方法で作製したサンプルに電極を形成し、第3比較例によるZnO系半導体発光素子を形成した。
図8A及び図8Bは、それぞれ、第3比較例及び第3実施例による発光素子の、エレクトロルミネセンス(EL)発光時の写真である。p側透光性電極にプローブ端子を接触させて電流を印加した。印加電流は20mAである。
これらのサンプルはどちらもhomo接合であり、放出される紫外光は半導体内部で自己吸収されてしまうため、ZnOのバンド端発光である紫外光は観察されていない。ディープレベルによる可視光の発光が観察されている。
第3比較例のサンプルでは、p側透光性電極の一部のみがスポット的に光っているのに対し、第3実施例のサンプルでは、p側透光性電極が均一に発光している。第1実施例の方法により形成されたZnO:[N+Te]層は、第1比較例の方法で形成されたZnO:[N+Te]層に比べ高い結晶性を有し、p型半導体層として良質であるので、発光特性が改善されたものと考えられる。
なお、上述の実施例では、ZnO:[N+Te]膜を厚さ1nm成長させるごとにOラジカル照射を行った。一方、実施例に用いた成長条件と同条件で、Oラジカル照射を行わないZnO:[N+Te]膜を成長させた場合、約20nm程度までの厚さであれば、2次元的な成長ができることがわかっている。従って、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体の1回当たりに成長させる膜厚は、20nm以下とすることが好ましい。
なお、上述の実施例では、ZnO:[N+Te]膜形成工程と、Oラジカルビーム照射工程とを、500℃で行ったが、工程の温度は500℃に限定されず、300℃〜700℃の範囲とすることができる。
なお、上述の実施例では、ZnO:[N+Te]層形成時にOラジカルビーム照射を行うことにより、結晶性向上効果等が得られることを説明したが、Mgの添加されたMgZn1−xO:[N+Te](0<x≦0.6)層形成においても、Oラジカルビーム照射による同様な効果が期待される。
さらにその他の、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体、例えば、CdZn1−aO:[N+Te]、 BeZn1−aO:[N+Te]、 CaZn1−aO:[N+Te] (ともに、0<a<1 )や、ZnO1−b:[N+Te]、 ZnO1−bSe:[N+Te] (ともに0<b<1)などといった種々のZnO系多元混晶への適用も期待できよう。
次に、第4実施例によるZnO系半導体発光素子について説明する。
図9Aは、第4実施例による発光素子の概略断面図である。洗浄された+cZnO基板11上に、Znビーム及びOラジカルビームを同時照射して、ZnO緩衝層(バッファ層)12を形成する。バッファ層12は、10nm〜30nm程度の厚さが望ましく、200℃〜400℃で成長させる。
次に、バッファ層12を高品質化させるためにアニールを行う。アニール温度は500℃〜1000℃で、アニール時間は3分〜30分である。
次に、バッファ層12上に、Znビーム、(必要に応じて)Mgビーム、Oラジカルビーム、及びAlビームを同時照射して、Alをドーピングしたn型MgZn1−xO (0≦x≦0.6)層13を形成する。n型MgZn1−xO (0≦x≦0.6)層13は、5nm〜200nmの厚さが好ましく、Al濃度は1×1017cm−3以上が好まく、700℃〜1000℃で成長させる。
n型MgZn1−xO (0≦x≦0.6)層13上に、Znビーム、(必要に応じて)Mgビーム、及びOラジカルビームを同時照射して、アンドープMgZn1−yO (0≦y≦0.6)活性層14を形成する。成長温度は、500℃〜1000℃である。
なお、図9B及び図9Cに示すように、活性層は単一層に限らず、変形例として、例えば、MgZn1−aO (0≦a≦0.6)障壁層14bとMgZn1−bO (0≦b≦0.6、b<a)井戸層14wとを交互に積層した量子井戸構造とすることもできる。図9Bは、一重量子井戸(SQW)構造を示す概略断面図、図9Cは多重量子井戸(MQW)構造を示す概略断面図である。
活性層14上に、実施例の方法により、N及びTeをコドーピングしたp型MgZn1−zO:[N+Te](0≦z≦0.6)層15を形成する。つまり、Znビーム、(必要に応じて)Mgビーム、Oラジカルビーム、Nラジカルビーム、及びTeビームを同時照射して、MgZn1−zO:[N+Te](0≦z≦0.6)膜を数原子層分積層するごとに、Oラジカルビームを照射することを繰り返す。p型MgZn1−zO:[N+Te](0≦z≦0.6)層15は、積層された総厚さが例えば5nm〜200nmで、300℃〜700℃で成長させる。
さらに、ZnO基板11の裏面に、例えば、Ti層を厚さ2nm〜10nm堆積し、Ti層上にAl層を厚さ300nm〜500nm堆積して、n側電極16nを形成する。p型MgZn1−zO:[N+Te](0≦z≦0.6)層15上に、例えば、Ni層を厚さ0.5nm〜5nm堆積し、Ni層上にAu層を厚さ1nm〜20nm堆積して、p側透光性電極16pを形成する。p側透光性電極16p上に、例えば、Ni層を厚さ100nm堆積し、Ni層上に厚さAu層を1000nm堆積して、ボンディング用パッド電極17を形成する。電極のパターニングには、例えば、レジストパターンを用いたリフトオフ等を用いることができる。
この後、例えば300℃〜700℃の酸化性ガス雰囲気中で、電極合金化処理を行う。合金処理時間は例えば30秒〜10分程度である。以上のようにして、第4実施例の発光素子が形成される。
なお、第4実施例では、n型導電性を有する+c面ZnO基板を用いる例を示したが、基板として、例えばサファイア(Al)などの絶縁性基板を用いることもできる。この場合には、基板裏面側から電極を取ることができないため、素子上方からドライエッチングなどでn型半導体層を露出させて、露出部にn側電極を作製することができる。
なお、第4実施例の発光素子ではn型半導体層にAlをドーピングしたが、n型半導体層は、1×1017cm−3程度のn型キャリア密度を有すれば、アンドープでも構わないし、例えばGaやInなど、Al以外のその他のドナー元素をドーピングしても構わない。また、2つ以上のドナー元素を同時にドーピングしてn型半導体層を作製することも可能である。
なお、上述の実施例では、MBEによる結晶成長例を示したが、他の結晶成長方法への応用も可能であると考えられる。例えばパルスレーザ堆積(PLD)等など他のエピタキシャル成長法に適用することができると思われる。NとTeをコドーピングしたZnO系半導体層を形成できるPLD装置において、Oラジカルガンを備え、また、真空度をプラズマ生成が可能な程度に高めることにより、実施例で説明したような成長表面へのOラジカル照射工程を行えると考えられる。
実施例の方法で得られる、NとTeをコドーピングしたZnO系半導体は、例えば、短波長(紫外〜青)の発光ダイオード(LED)やレーザダイオード(LD)に利用でき、また、これらの応用製品(各種インジケータ、LEDディスプレイ等)に利用できる。また、白色LEDやその応用製品(照明器具、各種インジケータ、ディスプレイ、各種表示器のバックライト等)に利用できる。また、ZnO系トランジスタ等の電子デバイスやその応用製品に利用でき、ZnO系センサ(湿度センサ、紫外センサ等)やその応用製品に利用できる。
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
101 真空チャンバ
102 Znソースガン
103 Mgソースガン
104 Teソースガン
105 Oソースガン
106 Nソースガン
107 ステージ
108 基板
109 RHEED用ガン
110 スクリーン
1 ZnO基板
2 ZnOバッファ層
3 アンドープZnO層
4 実施例によるZnO:[N+Te]層
4Ca 第1比較例によるZnO:[N+Te]層
4Cb 第2比較例によるZnO:[N+Te]層
11 ZnO基板
12 ZnOバッファ層
13 n型MgZn1−xO (0≦x≦0.6)層
14 アンドープMgZn1−yO (0≦y≦0.6)活性層
15 p型MgZn1−zO:[N+Te](0≦z≦0.6)層
16n n側電極
16p p側透光性電極
17 ボンディング用パッド電極

Claims (6)

  1. (a)下地層上方に、少なくともZn、O、N、及びTeを供給して、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体膜を形成する工程と、
    (b)前記ZnO系半導体膜にOラジカルを照射して、前記ZnO系半導体膜の結晶性を向上させる工程と
    を有するZnO系半導体層の製造方法。
  2. 前記工程(a)及び前記工程(b)を交互に繰り返して、N及びTeがコドーピングされたZnO系半導体膜を積層する請求項1に記載のZnO系半導体層の製造方法。
  3. 前記工程(a)は、厚さ20nm以下のZnO系半導体膜を形成する請求項1または2に記載のZnO系半導体層の製造方法。
  4. 前記工程(a)は、Mgも供給して、MgZn1−xO:[N+Te](0<x≦0.6)膜を形成する請求項1〜3のいずれか1項に記載のZnO系半導体層の製造方法。
  5. 前記工程(a)及び前記工程(b)は、MBE装置により行われる請求項1〜4のいずれか1項に記載のZnO系半導体層の製造方法。
  6. (a)基板上方に、n型ZnO系半導体層を形成する工程と、
    (b)前記n型ZnO系半導体層の上方に、p型ZnO系半導体層を形成する工程と
    を有し、前記工程(b)は、
    (b−1)少なくともZn、O、N、及びTeを供給して、NとTeがコドーピングされたZnO系半導体膜を形成する工程と、
    (b−2)前記ZnO系半導体膜にOラジカルを照射して、前記ZnO系半導体膜の結晶性を向上させる工程と
    を有するZnO系半導体発光素子の製造方法。
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