JP5543374B2 - 細胞培養製品およびスクリーニング - Google Patents

細胞培養製品およびスクリーニング Download PDF

Info

Publication number
JP5543374B2
JP5543374B2 JP2010545020A JP2010545020A JP5543374B2 JP 5543374 B2 JP5543374 B2 JP 5543374B2 JP 2010545020 A JP2010545020 A JP 2010545020A JP 2010545020 A JP2010545020 A JP 2010545020A JP 5543374 B2 JP5543374 B2 JP 5543374B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
monomer
meth
cells
solvent
coating
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2010545020A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011514145A5 (ja
JP2011514145A (ja
Inventor
ジェーマン,ジェニファー
ダブリュ マーティン,アーサー
メルコウミアン,ザラ
ビー ショグボン,クリストファー
エム ウェーバー,デイヴィッド
ヂョウ,ユエ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Geron Corp
Original Assignee
Geron Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Geron Corp filed Critical Geron Corp
Publication of JP2011514145A publication Critical patent/JP2011514145A/ja
Publication of JP2011514145A5 publication Critical patent/JP2011514145A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5543374B2 publication Critical patent/JP5543374B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/0068General culture methods using substrates
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N5/00Undifferentiated human, animal or plant cells, e.g. cell lines; Tissues; Cultivation or maintenance thereof; Culture media therefor
    • C12N5/06Animal cells or tissues; Human cells or tissues
    • C12N5/0602Vertebrate cells
    • C12N5/0603Embryonic cells ; Embryoid bodies
    • C12N5/0606Pluripotent embryonic cells, e.g. embryonic stem cells [ES]
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2533/00Supports or coatings for cell culture, characterised by material
    • C12N2533/30Synthetic polymers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2533/00Supports or coatings for cell culture, characterised by material
    • C12N2533/50Proteins
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2537/00Supports and/or coatings for cell culture characterised by physical or chemical treatment
    • C12N2537/10Cross-linking

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Reproductive Health (AREA)
  • Gynecology & Obstetrics (AREA)
  • Developmental Biology & Embryology (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

関連出願の相互参照
本願は、「化学的に定義された培地において未分化の幹細胞を培養するための合成表面(Synthetic Surfaces for Culturing Undifferentiated Stem Cells in Chemically Defined Media)」という発明の名称で2008年1月30日に出願した米国仮特許出願第61/062,890号および「幹細胞製品およびスクリーニング(Stem Cell Article and Screening)という発明の名称で、2008年1月30日に出願した米国仮特許出願第61/062,937号の利益を主張する。
本開示は、細胞培養製品およびその上に表面を生成する方法に関し、さらに具体的には、幹細胞の付着および増殖を含めた、細胞培養のための表面の生成方法に関する。
ヒト胚性幹細胞(hESCs)などの多能性の細胞は、3つの胚葉のいずれかに分化する能力を有し、人体に任意の成熟細胞型を生じさせる。この特異的性質は、糖尿病、脊髄損傷、心臓病など、多くの深刻な細胞変性疾患のための新しい治療法の開発の可能性を提供する。加えて、hESCsに由来する細胞は、創薬および毒性研究に利用することができる。いくつかのグループはすでに、異なる細胞型へのhESCsの分化を実証している。しかしながら、このようなhESC系の治療法の開発における重大な障害として、(i)細胞および組織の培養において適切な数の未分化hESCsを確保し、維持すること、および(ii)特定の細胞型を生じさせるためにそれらの分化を制御することが挙げられる。hESC細胞の培養など、幹細胞の培養は、典型的には、細胞バンクまたはストックから得られる少数の細胞を播種し、次に、所定の治療用途のために分化が要求されるまでは、未分化の状態で増幅させる。これを達成するための現行法の1つは、栄養補給層、ウシ胎児血清、またはBD Biosciences社(米国カリフォルニア州サンホセ所在)から市販されるMATRIGEL(商標)などの動物由来成分を含む表面および培地の存在下でhESCsまたはそれらの分化した細胞を培養することである。培養環境へのこれらの添加は、細胞を、患者に運ばれうる有害なウイルスまたは他の感染因子にさらすか、または未分化のhESCの一般的な培養および維持を危険にさらす可能性がある。加えて、それらの生物学的培養製品は、バッチによるばらつき、免疫反応、および保管寿命の制限を生じやすい。
合成表面は、上記の懸案事項を回避する大きな利益をもたらす可能性を有する。しかしながら、幹細胞、特にhESCsの挙動における合成表面の影響は、詳細には研究されていない。hESC培養用途のための高スループット・スクリーニングを行うために、アレイ化した合成バイオ材料のナノリットル規模での合成が提案されている。しかしながらこのような小規模培養は幾つかの問題を提示する。例えば、アレイにおける各スポットの大きさに起因して、各スポット内の細胞数は制限され、対応する細胞応答には疑問が生じる。
このようなスクリーニング系を、従来の細胞培養ガラス製品またはプラスチック製品など、大規模で行うことに関してもまた、問題が存在する。例えば、確実な培養およびスクリーニングのための均一の、毒性のない表面を入手することは、特に高粘度を有するポリマー混合物を用いる場合には、困難でありうる。例えば、高粘度は、表面の生成しうる速度を低下させ、したがって、高スループット・スクリーニングにとって、あまりに非効率的な場合がある。さらに高粘度の流体は、広い表面積に不均一のコーティングを生じ、細胞応答を確実に判断するための能力の妨げとなる。
本開示は、とりわけ、(i)幹細胞培養のための合成表面の高スループット・スクリーニングを可能にし、(ii)合成表面に対する細胞応答を確実に検出するための均一な表面を提供する、コーティング方法を提示する。加えて、本開示は、大規模な細胞培養のための適切な表面をもたらすコーティング方法を提供する。
1つの実施の形態では、細胞と共にインキュベートするための合成ポリマー層を有する細胞培養製品の製造方法が記載される。本方法は、1種類以上の(メタ)アクリレート・モノマーを溶媒で希釈し、前記希釈モノマーを細胞培養製品の表面に分散する、各工程を有してなる。溶媒の約80%以上は、例えば蒸発によって除去される。本方法はさらに、溶媒の約80%以上を除去した後に製品の表面上でモノマーを重合し、製品の表面に付着した合成ポリマー層を形成する工程(その場重合)も有してなる。
1つの実施の形態では、細胞−合成ポリマー層間の相互作用をスクリーニングするための方法が記載される。本方法は、1種類以上の(メタ)アクリレート・モノマー部材を含めた選択部材ライブラリを溶媒で希釈し、前記希釈した選択部材を1つ以上の細胞培養製品のウェル内に分散する、各工程を有してなる。部材は、所定の希釈した選択部材が所定のウェル内に分散されるように分散される。本方法はまた、前記ウェルから溶媒の約80%以上を除去し、その後、ウェル内で選択部材のモノマーを重合して合成ポリマー層を形成する、各工程を有してなる。本方法はまた、細胞培養培地において合成ポリマー層をウェル内で細胞と共にインキュベートし、細胞と共にインキュベートされる各合成ポリマー層について所定の細胞(たとえば幹細胞)の挙動を特性化する、各工程を有してなる。
本明細書に提示するさまざまな実施の形態の1つ以上は、それらが細胞の培養を支持する能力について、合成表面をスクリーニングするための従前に提案された方法と比較して1つ以上の利点を提供する。例えば、合成表面の生産方法における溶媒の使用は、モノマーの粘度を低減し、自動化設備の使用を可能にし、時間および労力を節約する。また、モノマーの拡散を促進して、薄い、またはより均一なコーティングを達成し、モノマーの消費を低減し、その表面が選択された細胞の培養を支持するのに適切か否かの判断の信頼性を高める。さらには、溶媒の使用は、基板からのコーティングした表面の層間剥離の可能性を低減する傾向がある。エタノールまたは2−プロパノールなどの特定の選択された溶媒の使用は、低毒性、多くのモノマーおよび細胞培養製品との適合性、フリーラジカル重合との適合性などを含みうる、幾つかの利点も提供する。加えて、その場重合の利用は、層間剥離に対して耐性であり、かつ、細胞培養を受け入れる表面を提供しうる、相互侵入網目構造ではない、高分子網目構造を形成する。これらおよび他の利点は、添付の図面と併せて読むことで、以下の詳細な説明から容易に理解されよう。
図面は必ずしも縮尺どおりではない。図中の同様の数字は、同様の要素、工程などを表わしている。しかしながら、所定の図面におけるある要素を称するために数字を使用することは、同一の数字で標識された別の図面におけるその要素を制限することを意図していないことが理解されよう。加えて、要素を称するために異なる数字を使用することは、異なる番号が付された要素が同一または同様ではありえないことを示唆することを意図してはいない。
合成ポリマー層でコーティングした製品の側面の概略図。 マルチウェル細胞培養プレートの上面の概略図。 図2Aに示すマルチウェルプレートの線2B−2Bに沿った断面の側面概略図。図2Bに示すウェルは非コーティングである。 図2Aに示すマルチウェルプレートの線2B−2Bに沿った断面の側面概略図。図2Cに示すウェルは合成ポリマーでコーティングされている。 合成ポリマー層を有する細胞培養製品の生産の代表的な方法のフローチャート。 合成ポリマー層を用いた、細胞相互作用をスクリーニングするための代表的な方法のフローチャート。 Fusion UVコンベヤベルトシステム(A)およびキセノン・パルス紫外線システム(B)を使用した、組織培養処理した(TCT)ポリスチレン96ウェル細胞培養プレートのウェル上で硬化したテトラ(エチレングリコール)ジアクリラートの位相差顕微鏡画像。 ポリスチレン基板上の(メタ)アクリルコーティング(トリ(エチレングリコール)ジメタクリラート)の断面の共焦点ラマン顕微鏡画像、および、基板およびコーティングポリマーの対応するラマンスペクトル。 環状オレフィン共重合体基板上の(メタ)アクリルコーティング(トリ(エチレングリコール)ジメタクリラート)の断面の共焦点ラマン顕微鏡画像、および、基板およびコーティングポリマーの対応するラマンスペクトル。 異なる紫外線硬化パラメータ;Fusion UVコンベヤベルトシステム(A)およびキセノン・パルス紫外線システム(B)を使用して、基板上に形成した合成ポリマー層のMRC5細胞増殖(Cell Titer(Promega社製))アッセイの結果を示す棒グラフ。 1/1(A)または9/1(B)のエタノール/モノマー処理を使用して、(エチレングリコール)ジアクリラートから重合した(メタ)アクリルコーティングの位相差顕微鏡画像。 1/1(A)または9/1(B)エタノール/モノマー処理を使用して、グリセロール1,3−ジグリセロレート・ジアクリラートから重合した(メタ)アクリルコーティングポリマーの位相差顕微鏡画像。 エタノール処理を使用した、(メタ)アクリル表面のMRC5細胞増殖(Cell Titer(Promega社製))アッセイの結果を示す棒グラフ。コーティングは、主成分および微量成分が、それぞれ50:50、70:30、および90:10である、2種類の異なるモノマーの混合物から重合した。 (メタ)アクリレート表面に付着した、クリスタルバイオレット染色したMRC5細胞の画像。(A)(メタ)アクリルポリマーでコーティングした6−ウェルプレート。(メタ)アクリルポリマーのモノマー組成は、(1)グリセロールジメタクリラート;(2)トリエチレングリコールジメタクリラート;(3)1,4−ブタンジオールジメタクリラート;(4)ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート;(5)トリエチレングリコールジメタクリラート(70%),グリセロールジメタクリラート(30%);(6)テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート(70%),グリセロールジメタクリラート(30%)である。(B)TCT対照表面。 異なる基板上におけるH1ヒト胚性幹細胞系のアルカリホスファターゼ発現から得られた結果の棒グラフ。 異なる溶媒を使用してコーティングしたポリマー層上でのMRC5細胞増殖アッセイの結果を示す棒グラフ。 MRC−5細胞を用いて培養し、クリスタルバイオレットで染色した後のコーティングした表面の顕微鏡画像。コーティングは、溶媒にエタノール(a,c,e)またはDMF(b,d,f)を使用し、モノマー:TEGDA(a,b)、GDMA(c,d)、BDMA(e,f)から形成した。 膨潤性の(メタ)アクリレート表面を調製する過程において、溶媒にエタノール(a)、2−ブタノール(b)、水(c)、およびDMF(d)を使用した、96ウェルプレートのウェルにおけるクリスタルバイオレット染色した膨潤性の(メタ)アクリレート層の顕微鏡画像。 異なる溶媒を用いて調製し、ペプチドLysGlyGlyAsnGlyGluProArgGlyAspThrTyrArgAlaTyr(配列番号:1)(BSPペプチド)と共役させた膨潤性の(メタ)アクリレート基板上、化学的に定義された培地で48時間培養した、未分化のH7 hESCのAttoPhos蛍光強度を示す棒グラフ。結果を、「MATRIGEL」(MG)表面上で、hESCのAttoPhos蛍光強度に対して正規化した。
以下の詳細な説明では、本明細書の一部を構成し、装置、システム、および方法の幾つかの特定の実施の形態を例証する目的で示す、添付の図面について述べる。他の実施の形態が意図されており、本開示の範囲または精神から逸脱することなくなされうるものと理解されるべきである。したがって、以下の詳細な説明は限定的に判断されるべきではない。
本明細書で用いられるすべての科学用語および技術用語は、他に特に規定がなければ、当技術分野で通常用いられる意味を有する。本明細書に提示される定義は、本明細書で頻繁に用いられる特定の用語の理解を容易にするためであって、本開示の範囲を制限することは意味しない。
本明細書および添付の特許請求の範囲では、「または」という語句は、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、一般に、「および/または」を含む意味で用いられる。
本明細書では「モノマー」は、もう1つのモノマーと重合化する能力のある化合物を意味し、(「モノマー」がもう一方のモノマーと同一化合物であるか異なる化合物であるかにかかわらず)、その化合物は約1000未満の分子量を有する。多くの場合、モノマーは約400未満の分子量を有する。
「ハイドロゲル」という用語は、細胞培養表面を説明するために用いられている。「ハイドロゲル」は、30%以上または乾燥重量の10,000%までの量の水を吸収することができるゲルまたはゼラチンを含むように、さまざまに定義されている。ハイドロゲルは、水と接触すると膨張するが溶解はしない。「ハイドロゲル」という用語は非常に幅広い用語であり、広範な水膨潤および水吸収特性を有する、広範な材料を説明するものである。
本明細書では「膨潤性の(メタ)アクリレート」または「SA」は、少なくとも1種類のエチレン性不飽和モノマー(アクリレートまたはメタクリレートモノマー)から作られる、少なくともある程度の架橋結合を有し、かつ水吸収または水膨潤特性も有する合成ポリマー層を意味する。膨潤性の(メタ)アクリレートは合成品であって差し支えない。換言すれば、それらは、動物または動物抽出物に由来する成分を含まない。膨潤性の(メタ)アクリレートは、ペプチドまたはタンパク質と共役しうる(「膨潤性の(メタ)アクリレート−ペプチド」または「SAP」)。ペプチドまたはタンパク質は、合成の動物由来ではない材料を産生する、遺伝子組換え技術を通じて合成または入手してもよい。このSAおよびSAP材料は、細胞培養に適切な表面を称するのに、層、コーティング、表面、材料、または当技術分野で知られている任意の他の用語で呼ばれる場合がある。特定のペプチド配列は、さらに識別されうる。例えば、SAP表面はBSPまたはビトロネクチンのペプチド配列と共役し、SAP−BSPまたはSAP−VNとして識別されうる。本開示の実施の形態では、「膨潤性の(メタ)アクリレート」という用語は、水を吸収し、水に膨潤するが、水には溶解しない、さまざまな架橋したアクリレートまたはメタクリレート材料を表す。この水吸収特性は、式1に示す平衡含水率(EWC)によって説明および測定することができる:
式1:EWC(%)=(Wgel−Wdry)/(Wgel×100)
本開示の膨潤性の(メタ)アクリレートの実施の形態のEWCは、水中、5%〜70%の範囲であり、pH依存性でありうる。EWCはまた、緩衝液(例えばリン酸緩衝液,pH7.4)などの他の液体に曝露した後に測定することもできる。さまざまな実施の形態では、本開示のSAのEWC(水中)は、水中、5%〜70%、5%〜50%、5%〜40%、10%〜40%、5%〜35%、10%〜35%、または15%〜35%の範囲でありうる。一部の実施の形態では、膨潤性の(メタ)アクリレートがペプチドと共役(SAP)した後、本開示のSAPの実施の形態のEWCは、例えば、水中、10〜40%でありうる。
細胞培養では、調製した表面を、長時間、水性環境に曝露する。大量の水を吸収する表面、非常にハイドロゲル状の表面は、水性環境への曝露時に、基板からの剥離が生じやすい傾向にある。これは、特に、これらの材料を5日間以上の細胞培養など、長時間、水性環境に曝露する際にその傾向が強い。したがって、剥離の可能性を低減するため、低いEWCの測定値を有し、したがって大量の水を吸収しない、SA層およびSAP層が望ましいであろう。例えば、40%未満のEWCを有するSA表面は、特に、培養におけるhES細胞を支持するのに適切でありうる。
本明細書では「環状オレフィン共重合体」は、2種類以上のモノマー種から形成されるポリマーであることを意味し、ここで、モノマー種の少なくとも1種類は環状オレフィンモノマーであり、他のモノマー種のうち少なくとも1種類は環状オレフィンモノマー種ではない。多くの実施の形態では、環状オレフィン共重合体は、エチレンおよびノルボルネンモノマーから形成される。環状オレフィン共重合体樹脂は、TOPAS(登録商標)という商品名でBoedeker Plastics,Inc.社から市販されている。
他に記載されない限り、溶液などの組成物における化合物の比は、体積基準で表わす。
本明細書では「有する」、「含む」、「備える」などの語句は、限定しない意味で用いられ、一般に、「含むが、限定はしない」ことを意味する。
本開示は、とりわけ、培養細胞のための製品、培養細胞のための製品の生産方法、および培養した細胞を支持する能力について表面をスクリーニングする方法について記載する。本明細書に提示されるさまざまな実施の形態は、培養した細胞との好ましい相互作用をもたらす合成のコーティングを識別する高スループット・スクリーニング用途のための、均一で毒性のない合成ポリマーコーティングの生産能力を提供する。
1.細胞培養製品
図1を参照すると、培養細胞のための製品100の概略図が示されている。製品100は、表面15を有する細胞培養基板またはベース材料基板10を備えている。合成ポリマーコーティング層20は細胞培養基板またはベース材料10の表面15の上に配置される。図示しないが、合成ポリマーコーティング20は、細胞培養基板またはベース材料10の一部に配置されうることが理解されよう。細胞培養基板またはベース材料10は培養細胞に適切な任意の材料であって差し支えなく、セラミック物質、ガラス、プラスチック、ポリマーまたは共重合体、それらの任意の組合せ、または、1つの材料の、もう1つの材料の上へのコーティングが挙げられる。これらのベース材料10としては、ソーダ石灰ガラス、パイレックス(登録商標)・ガラス、バイコールガラス、石英ガラスなどのガラス材料;ケイ素;ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル−無水マレイン酸)、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレート、環状オレフィンポリマー、フッ化炭素ポリマー、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンイミンなどの樹枝状ポリマーを含めたプラスチックまたはポリマー;ポリ(酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体)、ポリ(スチレン−無水マレイン酸共重合体),ポリ(エチレン−アクリル酸共重合体)またはこれらの誘導体などの共重合体が挙げられる。
細胞培養に適切な製品100の例としては、単一ウェルプレートおよび6,12,96,384,および1536ウェルプレートなどのマルチウェルプレート、広口瓶、ペトリ皿、フラスコ、多層フラスコ、cell tack(登録商標)、ビーカー、プレート、ローラーボトル、チャンバー化および複数チャンバー化した培養スライドなどのスライド、管、カバーガラス、袋、膜、中空糸、ビーズおよびマイクロキャリア、カップ、スピナーボトル、潅流チャンバー、バイオリアクター、および発酵槽などが挙げられる。
合成ポリマーコーティング20は、細胞を培養またはスクリーニングしうる表面25を提供する。合成ポリマーコーティングは、合成ポリマー層、合成ポリマーコーティング、合成ポリマー表面、または任意の他の適切な用語で称されうる。非常に多くの実施の形態では、合成ポリマー表面20は、重合した(メタ)アクリレート・モノマーから形成される。当然ながら、合成ポリマー表面20は、ポリアミド、ポリホスファゼン、ポリプロピルフマレート、合成のポリ(アミノ酸)、ポリエーテル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリ酸無水物、ポリ(オルトエステル)、ポリヒドロキシ酸、ポリエステル、エチレン−酢酸ビニルポリマー、アセチルセルロース、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(フッ化ビニル)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリ(ビニルアルコール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、およびそれらの組合せまたはそれらとポリ(メタ)アクリレートとの組合せなど、任意の他の適切な種類の生体適合性のポリマーから形成されてもよい。さまざまな実施の形態では、合成ポリマー層20は、膨潤性の(メタ)アクリレート層である。一部の実施の形態では、膨潤性の(メタ)アクリレート層は、親水性モノマー、カルボキシル基含有モノマー、および架橋モノマーから形成される。膨潤性の(メタ)アクリレート層の1つの例は、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、およびテトラ(エチレングリコール)ジメタクリラートから形成されうる。例えば、膨潤性の(メタ)アクリレートは、次のモノマーの一定分量の液体(体積による)を用いて製剤化されうる:ヒドロキシエチルメタクリレート(70〜90)、2−カルボキシエチルアクリレート(10〜30)、およびテトラ(エチレングリコール)ジメタクリラート(1〜10)。適切な膨潤性の(メタ)アクリレート層に関する追加の詳細は、Zhouらを発明者として「化学的に定義された培地において未分化幹細胞を培養するための合成表面合成表面(Synthetic Surfaces for Culturing Undifferentiated Stem Cells in Chemically Defined Media)」という発明の名称で本願と同日に出願された米国特許出願第12/362,924号明細書に記載されており、本開示に抵触しない限り、その全体を参照することによって本明細書に援用される。
図1Bに示すように、中間層30は、細胞培養基板またはベース材料10の表面15と合成ポリマーコーティング20との間に配置されうる。中間層30は、コーティング20の基板10への結合を向上させるように構成され、モノマーの拡散を促進し、細胞培養表面またはベース材料10のコーティングされていない非付着性の部分を、コーティングした領域の細胞増殖を促し、モノマーまたは溶媒に適合する基板を提供するようにし、ここで、モノマーまたは溶媒はベース材料10に不適合であり、必要に応じて、例えばパターン印刷などを通じて、地形的特徴を提供する。例えば、基板10がガラス基板の場合には、ガラス基板の表面をエポキシコーティングで処理することが望ましいであろう。さまざまなポリマーベース材料10では、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリ(メタ)アクリレートの中間層30を提供することが望ましいであろう。図には示していないが、合成ポリマーコーティング20は、中間層30の一部に配置されうることが理解されよう。中間層30はベース材料10の一部に配置されうることも理解されよう。
図1Cを参照すると、ポリペプチド70などの他の材料は、合成ポリマー表面20に取り込まれるか、あるいは共役して、例えば生体模倣表面を生成して差し支えない。ポリペプチド70が合成ポリマー表面20と共役するさまざまな実施の形態では、合成ポリマー表面20は、ハイドロゲル層または膨潤性の(メタ)アクリレート層である。繰り返しのポリエチレングリコールリンカーまたは任意の他の適切なリンカーなど、リンカーまたはスペーサ80を用いて、ポリペプチド70から合成ポリマー層20の表面25までの距離を増大させてもよい。ポリペプチド70のすべてまたは一部が、リンカー80を介して合成ポリマー層20と共役するか、あるいは、ポリペプチド70のいずれも合成ポリマー層20と共役しなくてもよい。
ポリペプチド70は、合成ポリマー層20と任意の密度、好ましくは所望の目的のための細胞の培養を支持するのに適切な密度で共役して差し支えない。例えば、ポリペプチド70は、約1pmol/mm2〜約50pmol/mm2の合成ポリマー層20の表面25の密度で、合成ポリマー層20と共役して差し支えなく、この密度は、合成ポリマー層20で均一にコーティングされた実施の形態における、コーティングされたベース材料基板10の表面15の領域によって評価することができる。例えば、ポリペプチドは、合成ポリマー層20の表面が、5pmol/mm2を超える、6pmol/mm2を超える、7pmol/mm2を超える、8pmol/mm2を超える、9pmol/mm2を超える、10pmol/mm2を超える、12pmol/mm2を超える、15pmol/mm2を超える、または20pmol/mm2を超える密度で存在しうる。存在するポリペプチド70の量は、合成ポリマー層20の組成、合成ポリマー層20の厚さ、およびポリペプチド70自体の性質に応じて非常に変化しうることも理解されよう。
さまざまな実施の形態では、ベース材料10の表面15は、表面15に望ましい特性または特徴を与えるように、物理的または化学的に処理される。例えばおよび以下に論述するように、表面15はコロナ処理またはプラズマ処理されうる。真空プラズマまたは大気圧プラズマの例としては、高周波RFおよび1次および2次の両方のマイクロ波プラズマ、誘電体バリア放電、および、空気、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、酸化窒素、または水蒸気を含めた分子ガスまたは混合ガス中で発生するコロナ放電が挙げられる。
合成ポリマーコーティング層20は、中間層30またはベース材料10に配置されるか否かにかかわらず、下地基板を均一にコーティングすることが好ましい。「均一にコーティングする」とは、例えば培養プレートのウェル表面など、所定の領域における層20が、約5nm以上の厚さで、その領域を完全にコーティングすることを意味する。複数の実施の形態では、均一にコーティングした表面の厚さは表面上で変化しうるが、下地層(中間層30またはベース材料10のいずれか)が曝露される均一にコーティングした表面領域は存在しない。均一ではない表面上での細胞応答は、均一な表面上での細胞応答よりも変化し易い傾向にある。
合成ポリマーコーティング層20は、任意の所望の厚さを有していて差し支えない。しかしながら、例えば約10μmよりも厚いコーティングなど、コーティングが厚くなると、表面張力に起因して、コーティングの周辺にむらを生じやすくなることが判明した。さまざまな実施の形態では、コーティング層20の厚さは約10μm未満である。例えば、厚さは約5μm未満、約2μm未満、約1μm未満、約0.5μm未満、または約0.1未満でありうる。
合成ポリマー層20を形成するポリマー材料は、任意の適切な程度に架橋されうる。架橋の程度が低いと、合成ポリマー層のある程度または完全な溶解、および低い重合反応効率を生じる結果となりうる。さまざまな実施の形態では、合成ポリマー層20の架橋密度は約0.9%〜約9%である。
非常に多くの実施の形態において、製品100は、ペトリ皿、マルチウェルプレート、スライド、フラスコ、多層フラスコ、ビーズ、バイオリアクター、袋およびビーカーまたは細胞培養に適切な表面を有する他の製品など、従来の細胞培養製品である。図2を参照すると、ベース材料10から形成される製品100は、1つ以上のウェル50を含みうる。ウェル50は、側壁55および表面15を備える。合成ポリマーコーティング20は、表面15上に配置されうる(もしくは、図1に関して上述したように、1つ以上の中間層30が表面15および合成ポリマーコーティング20の間に配置されてもよい)。図には示していないが、側壁55は、合成ポリマー層20でコーティングされて差し支えないことが理解されよう。ウェルは、例証する目的で図2に示されているが、合成ポリマー層20は細胞培養に適切な任意の表面上に存在して差し支えないことが理解されよう。
さまざまな実施の形態では、製品100は、約5mm2を超える面積の表面25を有する、均一にコーティングされた層20を備える。当然ながら、表面25は、任意の適切な大きさでありうる。しかしながら、表面15の面積が小さすぎる場合には、確実な細胞応答は容易に観察できない可能性がある。胚性幹細胞などの一部の細胞は、細胞のコロニーまたは集団(例えば、直径約0.5mm)として播種され、定量的な細胞応答を生成するのに十分な数のコロニーの付着を確実にするためには、適正な表面積が望ましい。非常に多くの実施の形態では、製品100は均一にコーティングした表面15を有するウェル50を有し、ここで、表面15は、約0.1cm2を超える、約0.3cm2を超える、約0.9cm2を超える、または約1cm2を超える、表面積を有する。
製品100がスクリーニングの目的で用いられる場合;例えば下記に更に詳細に記載されるように、製品100は、複数のウェル50を含むことが好ましい。異なるウェル50は、異なる層20に対する細胞の応答のスクリーニングを容易にするため、異なるモノマーまたはモノマーの組合せなどから形成される、異なる厚さを有する合成ポリマーコーティング層20を備えていて差し支えない。当然ながら、一部のウェル50は、合成ポリマー層20を含まなくてもよく、あるいは、「MATRIGEL」など、負の制御または正の制御としての役割をする、細胞培養のための他の基板を含みうる。
複数の実施の形態では、合成ポリマー層は膨潤性の(メタ)アクリレート(SA)層でありうる。さまざまな実施の形態では、合成ポリマー層は細胞培養製品の表面に付着しうる。本開示の目的では、「付着する」とは、合成ポリマー層が、水性培地への曝露を含めた正常な細胞培養条件に曝露する際にベース材料から剥離しないように、ベース材料または基板上にコーティングまたは積層することを意味する。合成ポリマー層は、共有結合性または非共有結合性の相互作用を介して基板に付着させて差し支えない。合成のSA表面を基板と結び付けうる非共有結合性の相互作用の例としては、化学吸着、水素結合、表面の相互浸透、イオン結合、ファン・デル・ワールス力、疎水性相互作用、双極子間相互作用、機械的インターロック、およびそれらの組合せが挙げられる。
2.合成ポリマー層のコーティング
以下の説明は、図1〜2に関して上述するように、製品100およびその要素についての言及である。しかしながら、以下の本方法に関しては、任意の適切な製品を使用して差し支えないことが理解されよう。
図3を参照すると、細胞培養製品の生産方法のフローチャートが示されている。本方法は、(1000)溶媒中に1種類以上のモノマーを希釈し、(1010)前記希釈モノマーを細胞培養製品100の表面15上に分散する、各工程を有してなる。次いで、工程(1020)において、溶媒の約80%以上を除去する。溶媒の除去後、工程(1030)において、モノマーを製品100の表面15上にその場(in situ)重合した。一部の実施の形態では、モノマーを重合する前に、約90%以上、約95%以上、約99%以上、実質的にすべて、または本質的にすべての溶媒が除去される。
図3に示す方法には、任意の適切な溶媒を使用して差し支えない。さまざまな実施の形態では、溶媒は揮発性溶媒である。本明細書では、揮発性溶媒は、約120℃未満、約100℃未満、約90℃未満、または約85℃未満の沸点を有する溶媒である。例えば、揮発性溶媒は、約34℃〜約120℃、約50℃〜約100℃、または約70℃〜約85℃の沸点を有しうる。揮発性溶媒の例としては、アセトン、メタノール、酢酸エチル、エタノール、ブタノン、アセトニトリル、2−プロパノール,および2−ブタノールが挙げられる。揮発性溶媒は、室温で容易に蒸発でき、合成ポリマー表面の生成に用いるモノマーに適合可能であり、フリーラジカル重合を妨げず、かつ、培養する細胞に対して非毒性であることが好ましい。揮発性溶媒は、ジメチルホルムアミドまたはジメチルスルホキシドなど、非揮発性成分を含んでいてもよい。揮発性溶媒が非揮発性成分を含む場合には、非揮発性成分は約10重量%未満の量に抑えることが好ましい。本明細書に記載される方法に従って用いられる溶媒は、培養製品100のベース材料10に対して貧溶媒であることが好ましい。
適切な種類の揮発性溶媒の代表的な例は、エタノール溶媒である。本明細書では「エタノール溶媒」とは、約75%を超えるエタノールを有する溶媒を意味する。例えば、エタノール溶媒は、80%を超える、90%を超える、95%を超える、97%を超える、または99%を超える、エタノールを含みうる。さまざまな実施の形態では、エタノール溶媒は、実質的にエタノールからなる。一部の実施の形態では、エタノール溶媒は、実質的に、エタノールおよび水からなる。エタノール溶媒の使用は、溶媒を使用しない場合よりも、1つ以上の利点をもたらしうる。例えば、エタノール溶媒の使用は、モノマーの粘度を低減し、製剤過程における自動計装の使用を可能にする。効率は、溶媒を使用しない場合と比較して10倍も増大しており、高スループット材料スクリーニングを可能にした。エタノール溶媒の使用は、モノマーの拡散を促進し、自動化液体操作機器を使用して、小さいまたは大きい表面積のための、薄く、均一なコーティングを達成し、コーティング効率を向上させる。エタノール溶媒の使用はまた、コーティング方法に使用するモノマーの量も軽減し、最終的なコーティング厚さを低下させる。これは、モノマーの消費を軽減することによって、費用も軽減できると同時に、培養培地と接触した後、重合および膨潤する間のコーティングにおける応力も軽減し、最終的にはコーティングの剥離を低減する。エタノール溶媒は生物医学的および薬学的方法に用いられていることから、他の溶媒と比較して、エタノール溶媒は、治療用の細胞または組織のための細胞培養製品の製造にとって安全である可能性が高い。さらには、エタノール溶媒は、米国薬局方の規格グレードで市販されており、極真空または加熱などの厳しい条件を用いずに、コーティング処理の間に蒸発または別の方法で除去し易く、大多数の(メタ)アクリレート・モノマーにとって良好な溶媒であると同時に、細胞培養製品のベース材料に用いられる多くのポリマーにとって貧溶媒である。加えて、エタノールはフリーラジカル重合の際に比較的不活性であるように思われる。したがって、コーティングのその後の重合におけるエタノール溶媒の副次的な悪影響は最小限に抑えられることが分かっている。2−プロパノール溶媒はエタノール溶媒の上記利点の多くを共有する。
モノマーは、所望の粘度およびモノマー濃度を達成するのに適切な任意の量の溶媒で希釈して差し支えない。一般に、本明細書に提示される教示に従って用いられるモノマー組成物は、約0.1%〜約99%のモノマーを含有する。例として、モノマーは、約0.1%〜約50%のモノマー、約0.01体積%〜約10体積%のモノマー、約0.1体積%〜約5体積%のモノマー、または約0.1体積%〜約1体積%のモノマーを有する組成物を提供するように、エタノール溶媒で希釈されうる。モノマーは、ポリマー層20が所望の厚さを達成するように、溶媒で希釈されて差し支えない。上述のように、堆積したモノマーが厚すぎる場合には、均一ではない表面を生じる場合があり、コーティングは水性培地と接触した後に剥離する可能性が高いであろう。実施例においてさらに詳細に述べるように、均一でない表面は、モノマー−溶媒組成物が表面15の平方センチメートルあたり約8μlを超える体積でウェル50の表面15上に堆積する場合に認められうる。さまざまな実施の形態では、モノマー−溶媒組成物は、表面15の平方センチメートルあたり約15μl以下の体積でウェル50の表面15上に堆積する。例えば、モノマー−溶媒組成物は、表面15の平方センチメートルあたり約7μl以下、または表面15の平方センチメートルあたり約3μl以下の体積で、ウェル50の表面15に堆積しうる。
さまざまな実施の形態では、合成ポリマー表面20は、ベース材料10の表面15上に1種類以上のモノマーを堆積することによって生成され、次いで、1種類以上のモノマーをその場(in situ)重合する。これらの実施の形態では、ベース材料10は、本明細書では「基板」と称され、その上に合成ポリマー材料20が堆積する。合成ポリマー表面20は、共有結合性または非共有結合性の相互作用を介してベース材料表面15と結合しうる。合成ポリマー表面を基板と結合しうる非共有結合性の相互作用の例としては、化学吸着、水素結合、表面の相互浸透、イオン結合、ファン・デル・ワールス力、疎水性相互作用、双極子間相互作用、機械的インターロック、およびそれらの組合せが挙げられる。
さまざまな実施の形態では、合成ポリマー表面20は、直接または1つ以上の追加の中間層(図示せず)を介して、共有結合性または非共有結合性の相互作用を介してベース材料10と結合する中間層30の表面上に堆積する。これらの実施の形態では、中間層30は、本明細書では、その上に合成ポリマー表面20が堆積する「基板」と称されよう。
さまざまな実施の形態では、ベース材料10の表面15は処理を受ける。表面15は、合成ポリマー表面10のベース材料表面15への結合の向上、ベース材料表面15上におけるモノマーの拡散の促進などを目的として、処理されうる。当然ながら、ベース材料10も、中間層30と同様の目的で処理されうる。さまざまな実施の形態では、表面は、コロナ処理またはプラズマ処理される。これらの処理から得られる高い表面エネルギーは、モノマーの拡散および均一コーティングを促進しうる。
プラズマ処理は、環状オレフィン共重合体から形成される基板のコロナ処理と比較して、モノマーの拡散を促進する、より良好な湿潤性をモノマーに生じさせることが判明した(表1参照)。加えて、プラズマ処理の湿潤性の効果は、コロナ処理したものよりも持続することが見出された(データは示さず)。例えば、プラズマ処理した表面は、処理後、2週間以上使用することができるが、コロナ処理した表面は、一般に、処理後すぐに使用しない限り、効果がない。
Figure 0005543374
表1に提示するデータでは、環状オレフィン表面を、下記実施例1に記載するように、真空プラズマ処理した(TEGDA:テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート;GDM:グリセロールジメタクリラート;トリEGDM:トリエチレングリコールジメタクリラート;BDM:1,4−ブタンジオールジメタクリラート;PEGDA:ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート,Mn〜258)。
合成ポリマー表面を形成するためには、1種類以上のモノマーを、その場(in situ)重合して差し支えない。1種類のモノマーを用いる場合には、ポリマーは、モノマーのホモポリマーと称される。2種類以上の異なるモノマーを用いる場合には、ポリマーはモノマーの共重合体と称される。用いるモノマーは、単官能性、二官能性、またはさらに多くの官能性であってもよい。2種類以上のモノマーを用いる場合には、モノマーの比を変化させて差し支えない。さまざまな実施の形態では、2種類のモノマーが用いられ、第1のモノマーの第2のモノマーに対する体積比は、約5:95〜約95:5の範囲である。例えば、第1のモノマーの第2のモノマーに対する比は、約10:90〜約90:10、約20:80〜約80:20、約30:70〜約70:30の範囲である。一部の実施の形態では、第1のモノマーの第2のモノマーに対する比は約50:50、30:70、または10:90である。1種類以上のモノマーが室温で液体ではない場合、上記比は重量基準で用いてもよい。
ポリマー層を形成するモノマーに加えて、層を形成する組成物としては、界面活性剤、湿潤剤、光重合開始剤、熱重合開始剤、触媒、活性剤、および架橋剤などの1つ以上の追加の化合物が挙げられる。
非常に多くの実施の形態では、合成ポリマー表面20はポリ(メタ)アクリレート表面である。任意の適切な(メタ)アクリレート・モノマー、またはモノマーの組合せを用いてポリ(メタ)アクリレートを形成し、合成層20を形成して差し支えない。本明細書では「(メタ)アクリレート・モノマー」とは、少なくとも1種類のエチレン性不飽和部分(アクリレート部分またはメタクリレート部分)を有する化合物を意味する。「ポリ(メタ)アクリレート」は、本明細書では、少なくとも1種類の(メタ)アクリレート・モノマーを含む、1種類以上のモノマーから形成されるポリマーを意味する。ポリ(メタ)アクリレートを形成するために使用されうるモノマーの例としては、表2に記載されるものが挙げられる。
Figure 0005543374
Figure 0005543374
Figure 0005543374
当然ながら、任意の他の適切な(メタ)アクリレート・モノマーも使用して差し支えない。合成ポリマー層を形成するために、1種類以上の(メタ)アクリレート・モノマーが用いられる。多くの(メタ)アクリレートポリマーは、例えば、Polysciences,Inc.社、シグマ−アルドリッチ社、およびSartomer,Inc.社から市販されている。
さまざまな実施の形態では、合成層は、1種類以上の(メタ)アクリレート・モノマーを含む組成物から形成され、ここで、1種類以上のモノマーのうち少なくとも1つは、グリセロールジメタクリラートである。
使用するモノマーにかかわらず、得られたポリマーの特性を調整して差し支えない。例えば、エステルおよびエーテル基は、異なる度合いで、得られるポリマーの親水性に寄与し、したがって、これらの基の量を変更して、親水性を変化させることができる。加えて、アミノ、チオ、または含酸素基の使用は、所望の量で用いることにより、得られるポリマーの電子密度を変化させうる。さらには、モノマーにおけるエーテル基の数、およびエステル結合間の距離を変化させることにより、ポリマーの電子密度は容易に適合されうる。分岐モノマーも、より多くのエーテル基を特定の長さに適合可能にすることにより、または得られるポリマーの充填密度を変化させることによって、電子密度を変化させる。環状部分および芳香族部分の使用も、電子密度に影響を与える。加えて、ポリマーの架橋密度は、二官能性または三官能性などの多官能性のモノマーの、単官能性のモノマーに対する比を変化させることによって調整されうる。
ポリマーの分子量は、ストック溶液中のモノマーの濃度または、二官能性またはさらに多くの官能性のモノマーの、単官能性のモノマーに対する比を変化させることによって調節されうる。二官能性またはさらに多くの官能性のモノマーの濃度を増大させると、鎖における架橋度が増大するであろう。単官能性のモノマーは、それらをリンカー鎖と反応させることによって、二官能性のモノマーを形成するように改質されうる。適切なリンカーおよび化学反応は、当業者にとって明白であろう。例えば、ジカルボン酸は、アルコール、アミン、およびアミドを含む、幅広いさまざまな官能基と反応し、通常、ビニルモノマー内に取り込まれる。
本明細書で説明するように、揮発性溶媒を用いることが好ましい。揮発性溶媒を使用する場合、連鎖重合によって重合するモノマーは、段階重合によって重合するモノマーに比べて好ましい。しかしながら、段階重合モノマーは、さまざまな実施の形態に用いられうる。
(メタ)アクリレートなど、連鎖重合を経て重合するモノマーでは、任意の適切な開始剤を用いて、モノマー混合物に添加して差し支えない。当業者は、例えばラジカル開始剤、アニオン開始剤、またはカチオン開始剤など、合成ポリマー基板を形成するのに用いられるモノマーに基づいて、適切な開始剤を容易に選択することができよう。(メタ)アクリレートには、ラジカル開始剤またはカチオン開始剤が使用されうる。さまざまな実施の形態では、連鎖重合を開始させるため、UV光を用いてフリーラジカルモノマーを発生させる。
任意の適切な開始剤を使用して差し支えない。重合開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ニトロソ化合物、ハロゲン化アシル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、イミダゾール、クロロトリアジン、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ジケトン、フェノン、またはそれらの混合物が挙げられる。適切な市販の紫外線活性化型および可視光活性化型の光重合開始剤の例としては、Ciba Specialty Chemicals社(米国ニューヨーク州タリタウン所在)から市販される、IRGACURE651、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE819、DAROCUR4265、およびDAROCUR1173、ならびに、BASF(米国ノースカロライナ州シャーロット所在)から市販されるLUCIRIN TPOおよびLUCIRIN TPO−Lなどの商品名を有するものである。
光増感剤もまた、適切な開始剤系に含めてもよい。代表的な光増感剤は、カルボニル基または第3級アミノ基またはそれらの混合物を有する。カルボニル基を有する光増感剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、キサントン、チオキサントン、9,10−アントラキノン、および他の芳香族ケトンが挙げられる。第3級アミンを有する光増感剤としては、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニルメチル−エタノールアミン、および安息香酸ジメチルアミノエチルが挙げられる。市販の光増感剤としては、Biddle Sawyer Corp.社から市販されるQUANTICURE ITX、QUANTICURE QTX、QUANTICURE PTX、QUANTICURE EPDが挙げられる。
一般に、光増感剤または光重合開始剤系の量は、約0.01〜10重量%まで変更して差し支えない。
カチオン開始剤の例としては、アリールスルホニウム塩などのオニウムカチオンの塩、ならびにイオンアレーン系などの有機金属塩が挙げられる。
選択したモノマーの希釈後、希釈したモノマーを基板上に堆積して差し支えない。高スループット・スクリーニングを行う場合には、希釈モノマーを基板上に堆積させるために自動工程を使用することが望ましいであろう。適切な自動ディスペンサの例は、BioTek PRECISION(商標)マイクロプレートピペッティングシステム(BioTek Instruments,Inc.社製)である。希釈モノマーのストック組成物を調製した後、それらをロボット液体処理装置の別個の容器に充填してもよい。
自動工程および装置を使用するか否かにかかわらず、結果として生じる合成ポリマー層の厚さを調節するために、基板表面に施用する希釈モノマー組成物の量および濃度が調節されうることは、理解されよう。さらには、希釈を通じてモノマーの粘度を低減させることにより、均一性を有する薄層を生成してモノマー材料のより少ない使用を可能にすることもまた、理解されよう。
基板表面上のモノマーの堆積に続いて、重合する前に溶媒を除去して差し支えない。溶媒は、任意の適切な機構または方法によって除去されうる。好ましくは、溶媒は蒸発によって除去されることが好ましい。さまざまな実施の形態では、溶媒は、室温および周囲圧力で、空気または窒素下において蒸発させることによって除去される。約80℃以下の沸点を有する揮発性溶媒では、典型的に、このような条件下、約1時間またはそれ以上で、十分な量の溶媒を除去することができる。一部の実施の形態では、穏やかな減圧または高温を用いて蒸発過程を速めてもよい。一部の実施の形態では、例えば蒸発を待つことが望ましくない場合、硬化前に溶媒を除去する追加の工程は省いてもよい。このような状況では、一部の溶媒は硬化工程の際に蒸発されうる。
硬化前に実質的にすべての溶媒を除去することにより、硬化速度および転化したモノマーの量を、より良好に制御することができる。一般に、溶媒の約80%以上の除去は、硬化をより良好に制御するのに十分でなければならない。一部の実施の形態では、約90%以上、約95%以上、または約99%以上の溶媒が硬化前に除去される。モノマーの転換速度が増大すると、廃棄物の発生および細胞毒性が低減される。
さまざまな実施の形態では、モノマーは基板表面上に噴霧される。噴霧は、当技術分野で一般に知られている空気圧噴霧器または電子噴霧器を使用して行って差し支えない。噴霧は、溶媒のより急速な蒸発を可能にし、均一の薄い合成ポリマー表面を提供しうる。さらなる実施の形態では、モノマーは、液体の施用、ディップコーティングまたはスピンコーティングによって、基板表面に施用されうる。
実質的にすべての溶媒の除去に続いて、モノマーは、適切な開始メカニズムを経て重合される。例えば、温度を上昇させて、熱重合開始剤を活性化して差し支えなく、光重合開始剤適切な波長の光などに曝露することによって活性化されうる。非常に多くの実施の形態によれば、モノマーまたはモノマー混合物は、UV光を使用して硬化させる。硬化は、窒素保護など、不活性ガス保護下で行い、酸素阻害を防ぐことが好ましい。適切なUV光を、ガス保護と組み合わせることにより、ポリマーの転化を増大し、コーティングの完全性を確実にし、細胞毒性を低減しうる。UV光は、5〜100mW/cm2の出力で>0.2J/cm2の放射線量、および10秒よりも長い時間が、UV光重合開始剤を(メタ)アクリレート・モノマーと一緒に使用する場合の適切な硬化条件の一例である。硬化する光の出力が高すぎるか低すぎると、コーティングの均一性または硬化の転換に影響を与えうる。穏やかな硬化工程は、重合の際に、基板が感受性でありうる熱を低減する。さまざまな実施の形態では、UV光はパルス状の光源を使用するか、または、UV光源を制御された時間間隔でオンとオフに切り替えることによって、パルス状になる。例えば、窒素保護下、13mW/cm2の出力で0.8J/cm2の放射線量を供給するパルス状のUV光の使用は、3秒間で1.4J/cm2を供給する高出力の紫外線系の使用と比較して細胞毒性が低い、より均一なコーティングを提供する(実施例を参照のこと)。さまざまな実施の形態では、例えば約10mW/cm2など、約5mW/cm2〜約100mW/cm2の出力で、約0.5J/cm2〜約1.1J/cm2の放射線量のパルス状の紫外線照射が供給される。他の実施の形態では、合成ポリマー層20を硬化させるために、5〜100mW/cmの出力で、>0.2J/cm2の放射線量のUV光源を、10秒よりも長い時間が用いられる。
硬化した合成ポリマー層20は、溶媒で1回以上洗浄し、未反応のモノマーまたは低分子量ポリマー種などの不純物を除去して構わない。さまざまな実施の形態では、層20は、エタノール溶媒、例えば約70%を超えるエタノール、約90%を超えるエタノールまたは約99%を超えるエタノールで洗浄される。エタノール溶媒を用いた洗浄は、細胞毒性でありうる不純物を除去する役割だけでなく、細胞を培養する前に表面を殺菌する役割も果たすことができる。
ポリペプチドは、任意の適切な技法を介して合成ポリマー層20に共役させて差し支えない。ポリペプチドは、アミノ末端アミノ酸、カルボキシ末端アミノ酸、または内部アミノ酸を介して合成ポリマー層20に共役されうる。ポリペプチドを合成ポリマー層に共役させるための適切な技法の1つは、一般に当技術分野で知られているように、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)/N−ヒドロキシコハク酸イミド(NHS)の化学を包含する。EDCおよびNHSまたはN−ヒドロキシスルホコハク酸イミド(スルホ−NHS)は、ハイドロゲルまたは膨潤性の(メタ)アクリレート層のカルボキシル基と反応して、アミン反応性のNHSエステルを生成することができる。EDCは、膨潤性の(メタ)アクリレート層または合成ポリマー層20のカルボキシル基と反応して、加水分解の影響を受けやすいアミン−反応性のO−アクリルイソウレア中間体を生成する。NHSまたはスルホ−NHSの添加は、アミン反応性のNHSまたはスルホ−NHSエステルに転換することにより、アミン−反応性のO−アクリルイソウレア中間体を安定化し、2段階法を可能にする。合成ポリマー層20の活性化の後、ポリペプチド70を添加し、ポリペプチド70のアミノ−末端アミンをアミン反応性のエステルと反応させて、安定なアミド結合を形成し、したがって、ポリペプチド70を合成ポリマー層20に共役させることができる。EDC/NHSの化学を用いてポリペプチド20を合成ポリマー層20に共役させる場合には、N−末端アミノ酸は、リジン、ホモリジン、オルニチン、ジアミノ酪酸、またはジアミノプロピオン酸などのアミン含有アミノ酸であることが好ましい。加えて、N−末端アミンがキャップ化されていない場合には、ポリペプチドのN−末端αアミンを用いて、カルボキシル基に共役させてもよい。当然ながら、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドロキシルなど、任意の許容される求核試薬を使用して差し支えない。
EDC/NHSの化学は、ポリペプチド70の、合成ポリマー層20へのゼロ長の架橋を生じる結果となる。末端アミンを有するポリエチレングリコールリンカー(例えば、Quanta Biodesign,Ltd.社から市販される)など、リンカー80またはスペーサをペプチド70のN−末端アミノ酸に加えてもよい。N−末端アミノ酸にリンカーを加える場合、リンカーはN−PG−アミド−PEGX−酸が好ましく、ここで、PGは、Fmoc基、BOC基、CBZ基またはペプチド合成に従う他の任意の基など、保護基であり、Xは、2、4、6、8、12、24または任意の他の利用可能な別個のPEGである。
さまざまな実施の形態では、溶液、懸濁液など、1μM〜2500μMのポリペプチド流体組成物を、活性化した合成ポリマー層と接触させて、ポリペプチドを共役させる。例えばポリペプチド濃度は、約100μM〜約2000μM、約500μM〜約1500μM、または約1000μMでありうる。ポリペプチド組成物の体積および濃度は、合成ポリマー層と共役したポリペプチドの所望の密度を達成するように変化させて差し支えないことが理解されよう。
ポリペプチドは環化されているか、または環状部を含んでいてもよい。環状ポリペプチドを形成するための任意の適切な方法が用いられうる。例えば、アミド結合は、適切なアミノ酸側鎖上の遊離のアミノ官能基と適切なアミノ酸側鎖の遊離のカルボキシル基を環化することによって生じうる。あるいは、ジスルフィド結合は、ペプチド配列における適切なアミノ酸の側鎖の遊離のスルフヒドリル基の間に生じうる。任意の適切な技法を用いて、環状ポリペプチド(またはそれらの部分)を形成してもよい。例として、例えば、国際公開第1989/005150号パンフレットに記載される方法を用いて、環状ポリペプチドを形成して差し支えない。さまざまな実施の形態では、ポリペプチドは、ペプチドデンドリマーを有する多抗原性ポリペプチドである。
ポリ(エチレンオキシド)リンカーなどのリンカーまたはスペーサを、ポリペプチド内に取り込まれるように共役させて、任意の適切なリンカーおよび任意の適切な技法を使用して、ポリペプチドを表面から突出させてもよい。
さまざまな実施の形態では、ポリペプチドは、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチンなどの自然発生的な細胞付着性ポリペプチドに由来する。一部の実施の形態では、ポリペプチドはRGDアミノ酸配列を含む。一部の適切なRGD−含有ポリペプチドの例は、発明者としてのZhouらの名の下、「化学的に定義された培地における培養未分化の幹細胞のための合成表面(Synthetic Surfaces for Culturing Undifferentiated Stem Cells in Chemically Defined Media)」という発明の名称で本願と同日に出願された、米国特許出願第12/362,924号明細書に記載されている。
3.望ましい細胞相互作用のための合成ポリマー層のスクリーニング
下記の詳解は、図1〜2に関して上述した製品100およびその構成要素について言及するものである。しかしながら、下記の方法に関しては、任意の適切な製品を使用して差し支えないことは理解されよう。
図4を参照すると、スクリーニング方法のフローチャートが図示されている。示される方法は、多くの点で、上述の図3に示される方法と類似している。本方法は、溶媒中のモノマーライブラリの選択部材を希釈する工程(2000)を有してなる。複数の実施の形態では、溶媒は、エタノール溶媒のような揮発性溶媒でありうる。本方法は、細胞培養のための製品100の基板上に希釈した選択部材を分散する工程(2010)を含む。本明細書では「モノマーライブラリの選択部材の希釈」などの語句は、単一の組成物、または、別個の組成物として希釈された選択部材の1種類以上の異なるモノマーを有する複数の組成物のいずれかとしての、溶媒中の1種類以上のモノマーを希釈することを意味する。ライブラリの部材は、単一のモノマーを含むか、または2種類以上のモノマーを含んでいて差し支えない。1種類以上の選択部材を、別個の組成物として溶媒中で別個に希釈する場合、その別個の組成物は、基板上に分散する際または基板上に分散する前に、合わせてもよい。溶媒中で希釈された個々のモノマーのストック組成物を生成し、その後に基板上のストック組成物を合わせるか、または基板上に分散する前が望ましいであろう。例えば、スクリーニングに有用なマルチウェルプレートにおけるアレイを生成するために自動化設備を用いる場合に、これらのストック溶液は有利であろう。
図4は(メタ)アクリレート・モノマーライブラリを示すものであるが、任意の他の適切なモノマーのライブラリもまた使用して差し支えないことが理解されよう。
図4に示す方法は、選択ライブラリの部材を基板上に分散した後、溶媒の約80%以上を除去する工程(2020)を有してなる。一部の実施の形態では、実質的にすべての溶媒が除去される。本明細書では「実質的にすべての溶媒の除去」などの語句は、モノマーの重合を可能にするのに十分な量の溶媒を除去することを意味する。薄い、均一のコーティングを可能にするために、モノマーを、例えば1%のモノマー(体積による)に対して約99%の溶媒など、高度に希釈する場合には、十分に高いモノマー濃度を提供し、十分な重合を可能にするためには十分な量の溶媒を除去することが望ましいであろう。換言すれば、モノマー濃度が高くなると、モノマーは隣接したモノマーへとさらに接近し、さらなる重合を可能にする。残留溶媒はまた、近くのフリーラジカルのほうへのモノマーの移動を促進しうるが、これが重合の完了を促し、最終的な転換を増大させる。
本発明の実施の形態は、細胞−合成ポリマー層間の相互作用をスクリーニングするための方法であって、
溶媒中の1種類以上の(メタ)アクリレート・モノマーを希釈して溶液を形成し;
前記溶液を、細胞培養基板の1つ以上の表面上に分散し;
溶媒の約80%以上を前記分散溶液から除去し;
溶媒の約80%以上を除去した後に、前記(メタ)アクリレート・モノマーを重合化して、前記1つ以上の表面上に合成ポリマー層を形成し;
細胞培養培地において、前記合成ポリマー層を、細胞と共にインキュベートし;
前記細胞がインキュベートされる各合成ポリマー層についての所定の細胞の挙動を特性化する、
各工程を有してなる方法を提供する。複数の実施の形態では、溶媒を除去する工程は、1つ以上の表面から溶媒を蒸発させる工程を含む。複数の実施の形態では、細胞は、任意の細胞型であって差し支えなく、幹細胞、ヒト胚性幹細胞、多能性の細胞、または成熟幹細胞でありうる。実施の形態では、溶液を分散する前に、基板または表面をプラズマ処理して差し支えない。複数の実施の形態では、モノマーを重合する工程は、モノマーを、パルス状の紫外線照射を含めた、紫外線照射に曝露することを含む。複数の実施の形態では、パルス状の紫外線照射は、約5mW/cm2〜約100mW/cmの出力で、約0.5J/cm2〜約1.1J/cm2の放射線量で供給される。複数の実施の形態では、モノマーを紫外線照射に曝露する工程は、モノマーを窒素下で照射に曝露することを含む。複数の実施の形態では、モノマーを1つ以上の表面上で重合して合成ポリマー層を形成する工程は、膨潤性の(メタ)アクリレート層を形成することを含む。複数の実施の形態では、本方法はさらに、ポリペプチドを、膨潤性の(メタ)アクリレート層に共役する工程を有してなる。複数の実施の形態では、選択されたモノマーのうち少なくとも1種類はグリセロールジメタクリラートである。
図4に示す方法はさらに、溶媒の約80%以上を除去した後に、基板上に分散したモノマーを重合して、たとえば上述のような合成ポリマー層を生成する工程(2030)を有してなる。次に、幹細胞などの細胞を、工程(2040)において、合成ポリマー層と共にインキュベートし、工程(2050)において、細胞がインキュベートされる各合成ポリマー層20について、細胞の所定の挙動を特性化して差し支えない。
A.合成ポリマー層上での細胞のインキュベート
上述のように合成ポリマー層20でコーティングした基板に細胞を播種して差し支えない。細胞は、任意の細胞型でありうる。例えば、細胞は、上皮および内皮細胞、肝細胞、骨または平滑筋細胞、心筋細胞、腸細胞、腎細胞、または他の臓器に由来する細胞などの結合組織細胞、幹細胞、島細胞、血管細胞、リンパ球、癌細胞などでありうる。細胞は、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞でありうるが、細菌、酵母、または植物細胞などの非哺乳動物細胞であってもよい。
非常に多くの実施の形態において、細胞は幹細胞である。本明細書では「幹細胞」とは、継続的に分割する(自己再生)能力および、さまざまな特殊化した細胞型へと分化する能力を有する細胞を意味する。一部の実施の形態では、幹細胞は、多能性、分化全能性、または多分化能性の幹細胞でありうる。幹細胞は被験体の臓器または組織に存在しうる。このような細胞は、完全に分化した、または成熟した細胞型を生じさせる能力がある。幹細胞は、骨髄由来の幹細胞、自己幹細胞または他の、神経幹細胞、または胚幹細胞でありうる。幹細胞はネスチン陽性であってもよい。幹細胞は造血幹細胞であってもよい。幹細胞は、上皮および脂肪組織、臍帯血、肝臓、脳または他の臓器に由来する、多分化細胞でありうる。
ヒト胚性幹細胞(hESC)は、培養において、未分化の状態で、継続的に増殖する能力を有することから、本発明に使用するためのhESCは、確立された細胞系から入手して構わない。確立されているヒト胚性幹細胞系の例としては、限定はしないが、H1、H7、H9、H13またはH14(ウィスコンシン大学によって確立されたWiCellから入手可能)(Thompson(1998)Science 282:1145);hESBGN−01、hESBGN−02、hESBGN−03(BresaGen,Inc.社(米国ジョージア州アセンズ所在)製);HES−1、HES−2、HES−3、HES−4、HES−5、HES−6(ES Cell International,Inc.社(シンガポール所在));HSF−1、HSF−6(カリフォルニア大学(米国カリフォルニア州サンフランシスコ所在));I3、I3.2、I3.3、I4、I6、I6.2、J3、J3.2(テクニオン−イスラエル工科大学(イスラエル国ハイファ所在));UCSF−1およびUCSF−2(Genbacevら,Fertil.Steril.83(5):1517−29,2005);細胞系HUES1−17(Cowanら,NEJM 350(13):1353−56,2004);および細胞系ACT−14(Klimanskayaら,Lancet,365(9471):1636−41,2005)が挙げられる。本発明に用いられる胚幹細胞もまた、初期胚組織から直接入手して差し支えない。典型的には、これは、インビトロで凍結した、そうでなければ廃棄されるであろう胚盤胞期の受精卵を使用して行う。
他の適切な幹細胞としては、霊長類の多能性の幹(iPS)細胞を誘発して分化させうる、本発明に従って誘発した霊長類の多能性の(iPS)幹細胞OPCが挙げられる。iPS細胞とは、例えば、1つ以上の適切なベクターを用いてトランスフェクションすることによって遺伝子操作し、hESCなどの多能性の幹細胞の表現型を獲得するように再プログラミングされた、幼若期または成熟期のヒトなどの哺乳動物から入手される細胞のことをいう。これらの再プログラミングされた細胞によって獲得する表現型形質としては、胚盤胞から単離される、形態が類似した幹細胞、ならびに、表面抗原発現、遺伝子発現およびテロメラーゼ活性が類似した、胚幹細胞に由来する胚盤胞が挙げられる。iPS細胞は、典型的には、初期胚葉:外胚葉、内胚葉および中胚葉のそれぞれから少なくとも1種類の細胞型へと分化する能力を有し、したがって、いろいろな細胞型への分化に適している。hESCのようなiPS細胞はまた、例えばSCIDマウスなどの免疫不全マウスに注入すると奇形腫を形成する(Takahashiら,(2007)細胞131(5):861;Yuら,(2007)Science318:5858)。
細胞を播種する前に、細胞を採取し、増殖培地などの適切な培地に懸濁して差し支えなく、ここで、細胞は、表面に播種された後に培養されるものである。例えば、細胞は、血清含有培地、馴化培地、または化学的に定義された培地に懸濁され、培養されて差し支えない。本明細書では「化学的に定義された培地」とは、未知の組成物の構成成分を含まない、細胞培養培地を意味する。化学的に定義された培地は、さまざまな実施の形態において、未知の組成物のタンパク質、加水分解物、またはペプチドを含まないであろう。一部の実施の形態では、化学的に定義された培地は、遺伝子組換え成長ホルモンなど、既知の組成物のポリペプチドまたはタンパク質を含む。化学的に定義された培地のすべての構成成分は既知の化学構造を有することから、培養条件の変動性を低減し、したがって細胞応答を低減することができ、再現性を向上する。加えて、汚染の可能性が低減される。さらには、少なくともある程度は、上述の要因に起因して、規模拡大の能力を容易に発揮できるようにする。化学的に定義された細胞培養培地は、例えば、ヒト胚性幹細胞(hESCs)の増殖および拡大のために特別に調合された、完全に定義された、血清およびフィーダーを含まない培地(SFM)である、StemPro(登録商標)としてInvitrogen社(Invitrogen Corporation(米国カリフォルニア州カールズバッド、1600Faraday Avenue所在))から、また、ヒト胚性幹細胞のためのmTeSR(商標)1維持培地としてStemCell Technologies,Inc社から、さらには、増殖因子が補充されうるXVivo−10はLonza社から、それぞれ市販されている。
1つ以上の増殖因子または他の因子を、細胞が合成ポリマー層20と共にインキュベートされる培地に加えてもよい。因子は、細胞の増殖、付着、自己再生、分化などを促進しうる。培地に添加するか、または含めて差し支えない因子の例としては、筋肉形態形成因子(MMP)、血管内皮増殖因子(VEGF)、αまたはβ形質転換増殖因子(TGF)、インターロイキン、神経成長因子(NGF)、エリスロポエチン、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、Activin AなどのアクチビンA(ACT)、造血成長因子、レチノイン酸(RA)、インターフェロン、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)などの線維芽細胞増殖因子(FGF)、骨形成タンパク質(BMP)、ペプチド増殖因子、ヘパリン結合性増殖因子(HBGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、腫瘍壊死因子(TNF)、インスリン様増殖因子(IGF)IおよびII、形質転換増殖因子−β1(TGFβ1)などの形質転換増殖因子(TGF)、およびコロニー刺激因子が挙げられる。
細胞は、任意の適切な濃度で播種して差し支えない。典型的には、細胞は、基板に、約10,000細胞/cm2〜約500,000細胞/cm2の濃度で播種される。例えば、細胞は、基板に、約40,000細胞/cm2〜約150,000細胞/cm2の濃度で播種される。しかしながら、これより高い濃度および低い濃度も用いて差し支えない。温度、CO2およびO2レベル、増殖培地など、培養時間および条件は、培養される細胞の性質によって決まり、容易に変更することができる。細胞を表面上でインキュベートする時間量は、調査する細胞応答または所望の細胞応答に応じて変化しうる。
B.所定の挙動の特性化
細胞の相互作用および合成表面に関する望ましい情報を生じることができる任意の細胞の挙動は、特性化されうる。例えば、細胞形態または、(i)細胞付着;(ii)増殖;(iii)分化;(iv)多分化能、(v)活動レベル、代謝状態、DNA合成、アポトーシス、収縮、有糸分裂、エクソサイトーシス、合成、エンドサイトーシス、および遊走などの代謝挙動;(vi)遺伝子発現;または(vii)タンパク質発現の程度または量について調査し、細胞と合成の基板の相互作用の性質を決定して差し支えない。
任意の適切なアッセイを、細胞の所定の挙動の特性化のために使用してもよい。例えば、当技術分野で知られている、任意の細胞系のアッセイを用いて、合成ポリマー層20と所定の細胞型の望ましい相互作用のためのスクリーニングを行って差し支えない。それらをアッセイする際、細胞は固定されるか、または生きていてもよい。典型的には、生きている細胞におけるアッセイは、蛍光または化学発光法による標識を含む。あるいは、または加えて、分子標的を使用する、分子レベルで相互作用をスクリーニングする分子系のアッセイもまた、使用して差し支えない。
さまざまなタンパク質マーカーを用いて、合成ポリマー層20と共にインキュベートされる細胞のタイプまたは挙動を決定してもよい。例えば、ネスチンおよびGFAPは、神経細胞として分化する細胞の識別に有用なタンパク質マーカーであり、サイトケラチンは表皮細胞のマーカーであり、デスミンは筋細胞のためのマーカーである。Oct3/4、Tra−1−60、SSEA4、アルカリホスファターゼ、および他の幹細胞特異的なマーカーを用いて、未分化状態の幹細胞を評価してもよい。当然ながら、任意の他の既知の、またはさらに識別されるタンパク質マーカーを使用して、細胞のタイプまたは挙動を識別して構わない。あるいは、または加えて、特定の細胞型または細胞挙動に関連する遺伝マーカーを使用して、合成ポリマー層20と共にインキュベートされる細胞を特性化してもよい。
細胞の所定の挙動を特性化するために使用されうる細胞系のアッセイの例としては、位相差顕微鏡および蛍光顕微鏡検査などの顕微鏡検査、または、特定の細胞応答または酵素活性の光学濃度、蛍光またはルミネセンス測定用の自動または手動装置を用いた測定または観察など、細胞の挙動を定量的または定性的に評価するための任意の他の方法の使用を包含するアッセイが挙げられる。顕微鏡検査は、単独で、または、例えば、細胞染色;蛍光標識した抗体を用いた細胞化学、免疫細胞化学;核酸の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH);蛍光または化学発光法によるレポータータンパク質をコードする融合プロモーター/レポーター配列を包含する遺伝子発現アッセイ;蛍光標識したオリゴヌクレオチドプライマーを用いたin situ PCR;2種類以上の分子標識の近さを探査する蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)系のアッセイ;および、対象タンパク質の細胞の局在化を可能にする融合遺伝子アッセイと組み合わせて、行って差し支えない。これらの細胞系のアッセイの実施に包含される工程は、当技術分野で周知である。明確にするという目的のみであって、限定するためではないが、これらの細胞系のアッセイの一部の特定の特徴および実施態様を、以下の段落においてさらに詳細に検討する。
非常に多くの実施の形態では、各合成ポリマー層20についての細胞系のアッセイを分析するために、自動化装置が用いられる。自動化装置は、手動または自動で操作して差し支えない。
さまざまな実施の形態において、合成ポリマー層20に付着し、増殖する未分化の幹細胞の能力を決定する。未分化の幹細胞が培養液に存在するか否かを判断するためのアッセイの1つは、アルカリホスファターゼ(AP)アッセイである。アルカリホスファターゼ(AP)は未分化のhESCsのためのマーカーである。APの発現は、細胞が分化すると、消失するか、または著しく低下する。適切なアルカリホスファターゼアッセイの1つは、細胞を、所望の時間(例えば、約48時間)、実験用の表面上でインキュベートした後に固定し、前記固定細胞を、例えばAttoPhos(登録商標)基板(2’−[2−ベンゾチアゾイル]−6’−ヒドロキシベンゾチアゾールリン酸エステル[BBTP])など、可溶性のアルカリホスファターゼ基板と共にインキュベートし、Perklin Elmer社から市販されるVictor 3 マイクロプレートリーダーなどの適切なプレートリーダーを使用して485/535nmにおけるAttoPhos蛍光強度を得る、各工程を有してなる。実験用の表面のAttoPhos蛍光強度は、「MATRIGEL」対照の%など、陽性対照の%として表すことができる。
未分化の幹細胞が合成ポリマー層20上の培養液中に存在するか否かを判断するための別の方法は、合成ポリマー層20上で培養されたhESCsの形態を、「MATRIGEL」など、未分化のhESCを増殖させる既知の表面上で培養されたhESCsと比較する工程を含む。形態を比較するのに適した染色剤の一例では、アルカリホスファターゼ基質である、BCIP/NPT(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)/ニトロブルーテトラゾリウム(NBT))を沈殿させる。細胞を固定した後、それらをBCIP/NPTで染色し、形態を比較することができる。
以下に、上述の製品および方法のさまざまな実施の形態を説明する、非限定的な例を提示する。
実施例1:穏やかな紫外線硬化および環状オレフィン基板による層の均一性の増大および毒性の低減
序論:
この実施例では、モノマーを、処理したポリマー基板上に堆積させて、重合し、殆どまたは全く細胞毒性を有しない、均一のコーティングを得る。コーティング基板は、細胞培養に適切であり、コーティングモノマーと接触したときに安定な、ポリマーでできた細胞培養容器である。基板表面を酸素で真空プラズマ処理し、モノマーの拡散を促進した。(メタ)アクリレートホモポリマーおよび共重合体を使用して、培養容器の表面上に合成のポリマーコーティング層を生成した。不活性ガスの保護下でモノマーを硬化し、酸素阻害を防止した。合成ポリマー層の均一性および、結果として得られた層の細胞毒性について試験した。
材料、方法および結果:
テトラ(エチレングリコール)ジアクリラートのホモポリマー層を、組織培養処理した(TCT)ポリスチレン(Corning,Inc.社製)上にコーティングした。簡潔に説明すると、最初に、テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート(シグマ−アルドリッチ社製)を1%(w/w)の光重合開始剤であるIrgacure819(Ciba Specialty Chemicals,Inc.社製)と混合した。次に、5μlの調製した製剤(光重合開始剤を加えたモノマー)を、Matrix(登録商標)マルチチャンネルピペッターを用いて、TCT処理した96ウェルのポリスチレンプレートの各ウェル内に堆積させた。プレートを、30分間、水平に平らに設置し、製剤を拡散させた。コンベヤベルト、Fusion UVコンベヤベルト硬化システム(ベルト速度10m/分、N2吹き込み)を用いて、3つの通路の合計1.4J/cm2で、コーティングを硬化させた。得られた層の写真を図5Aに示す。
テトラ(エチレングリコール)ジアクリラートのホモポリマー層を、TCTポリスチレン上にコーティングした。簡潔に述べると、最初に、テトラ(エチレングリコール)ジアクリラートを、1%(w/w)の光重合開始剤Irgacure819と混合した。次に、「Matrix」マルチチャンネルピペッターを用いて、5μlの調製製剤(光重合開始剤を加えたモノマー)を、TCT処理した96ウェルのポリスチレンプレートの各ウェル内に堆積させた。プレートを、30分間、水平に平らに設置し、製剤を拡散させた。コーティングを、N2パージボックス(溶融シリカ窓付き)内で、13mW/cm2のパルス状(100Hz)のUV光(キセノンRC−700)で1分間、硬化させた。得られた層の写真を図5Bに示す。ポリスチレン基板の安定性を環状オレフィン共重合体と比較するため、トリ(エチレングリコール)ジメタクリラートのホモポリマー層を、TCT処理したポリスチレンおよび真空プラズマ処理した環状オレフィン共重合体(「TOPAS」)の基板上にコーティングした。簡潔に述べると、環状オレフィン共重合体基板を、MARCH PLASMOD(March Instruments,Inc社製)を使用して、50ワットで1分間、53.33Pa(0.4torr)のO2で処理した。最初に、トリ(エチレングリコール)ジメタクリラート(Sartomer Company,Inc.社製)を、1%(w/w)の光重合開始剤Irgacure819と混合した。次に、製剤(光重合開始剤を加えたモノマー)を、TCT処理したポリスチレンおよび真空プラズマ処理した環状オレフィン共重合体(「TOPAS」)の基板上に堆積させて、コーティングを形成した。その後、コーティングを、13mW/cm2のパルス状(100Hz)のUV光(キセノン)で1分間、N2パージボックス(溶融シリカ窓付き)内で硬化させた。共焦点ラマン顕微鏡(WITEC Wissenschaftliche Instrumente und Technololgie GmbH社製,CRM200)を使用して、サンプルを切断することなく、コーティングの断面のスペクトル画像を得た。図6Aおよび6Bは、それぞれ、ポリスチレンおよび環状オレフィン共重合体上のコーティングの対応するスペクトル画像である。図6Aでは、表面から得たスペクトル(黒矢印のスペクトル)は、ポリスチレン基板およびポリマーコーティング(グレーの純粋な対照のスペクトル)の両方を表わすピークの組合せである。これは、モノマーが、重合前にポリスチレン基板を溶解したことを示唆する。よって、表面スペクトル画像の視覚化では、コーティングと基板の明確な境界は示されていない。図6Bでは、表面上の異なる深さにおけるスペクトルを入手し、これらが、ポリ・トリ(エチレングリコール)ジメタクリラートおよび環状オレフィン基板の対照とまったく一致していることが判明した。これらのスペクトルの視覚化では、コーティングと環状オレフィン基板の明確な境界が示されており、基板がモノマーによる溶解に耐性であることを示唆している。
細胞毒性の研究では、UV Fusion UVシステムを使用して硬化させた、5種類の異なる(メタ)アクリルフォトポリマーのコーティングを、下記のように調製した。簡潔に述べると、最初に、5種類の異なるモノマー:テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート(TEGDA)(シグマ−アルドリッチ社製);グリセロールジメタクリラート(GDM)(シグマ−アルドリッチ社製);トリエチレングリコールジメタクリラート(トリEGDM)(Sartomer Company,Inc.社製);1,4−ブタンジオールジメタクリラート(BDM)(シグマ−アルドリッチ社製);およびポリ(エチレングリコール)ジアクリラート,Mn〜258(PEGDA)(シグマ−アルドリッチ社製)を、1%(w/w)の光重合開始剤Irgacure819と混合した。次に、「Matrix」マルチチャンネルピペッターを使用して、5μlの製剤(光重合開始剤を加えたモノマー)を、TCT処理した96ウェルのポリスチレンプレートの各ウェル内に堆積させた。各製剤を、1つのプレート内の6つの反復ウェルにコーティングした。プレートを、30分間、水平に平らに設置し、製剤を拡散させた。コンベヤベルト、Fusion UV硬化システム(ベルト速度10m/分、N2吹き込み)を用いて、3つの通路の合計1.4J/cm2で、コーティングを硬化させた。
細胞毒性の研究では、キセノン・パルス紫外線システムを用いて硬化させた、5種類の異なる(メタ)アクリルホモポリマーのコーティングを、以下のように調製した。簡潔に述べると、最初に、5種類の異なるモノマー:テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート(TEGDA);グリセロールジメタクリラート(GDM);トリエチレングリコールジメタクリラート(トリEGDM);1,4−ブタンジオールジメタクリラート(BDM);およびポリ(エチレングリコール)ジアクリラート MW〜258(PEGDA)を、1%(w/w)の光重合開始剤Irgacure819と混合した。次に、「Matrix」マルチチャンネルピペッターを用いて、5μlの製剤(光重合開始剤を加えたモノマー)を、プラズマ処理した96ウェル環状オレフィンプレートの各ウェル内に堆積させた。96ウェル環状オレフィンプレートは、Corningライフサイエンス内部開発グループから入手した。コーティングの前に、環状オレフィン共重合体プレートを、MARCH PLASMOD(March Instruments,Inc社製)を用いて、50ワットで1分間、53.33Pa(0.4torr)のO2で処理した。各製剤を、1つのプレート内の6つの反復ウェルにコーティングした。プレートを、30分間、水平に平らに設置し、製剤を拡散させた。コーティングは、13mW/cmのパルス状(100Hz)のUV光(キセノンRC−700)で1分間、N2パージボックス(溶融シリカ窓付き)内で硬化させた。
細胞の細胞毒性分析の前に、すべての96ウェルプレートを25〜35kGyガンマ照射で殺菌した。ヒト肺線維芽細胞(MRC5,ATCC# CCL−171)を、標準的な細胞培養条件において、10%ウシ胎児血清を追加したイスコフ改変ダルベッコ培地において密集度に至るまで増殖させた。細胞を、0.05%のトリプシン/EDTAを用いて採取し、15,000細胞/ウェルの密度で播種した。細胞を、標準的な細胞培養条件(5%のCO2,37℃)で増殖した。CellTiter96(登録商標)AQueous One Solution細胞増殖アッセイ(G3581,Promega Corporation社製)を用いて、培養72時間後の各表面上の生きている細胞の相対数を決定した。製造業者のプロトコルに従って、アッセイを行った。簡潔に述べると、培養培地の吸引の後、リン酸緩衝食塩水中、MTSテトラゾリウム試薬の1:5希釈を、直接細胞に添加した。37℃および5%のCO2で1時間のインキュベーションの後、490nmにおける吸収を記録した。Corning Ultra Low Attachment(ULA(登録商標))およびコーティングしていないTCT表面を、それぞれ、陰性および陽性の対照表面として使用した。このデータを、(メタ)アクリル製剤の細胞毒性を判定するために使用した。図7に示すように、Fusion UV硬化方法では、高度の細胞毒性層を生じる結果を生じたのに対し、キセノン・パルス紫外線硬化システムを使用して調製したコーティングでは、市販のTCT処理したポリスチレン表面の陽性対照と同様の細胞の生存能力を有していた。
考察:
(メタ)アクリレート・モノマーを硬化させるための高出力のUV光は、重合のより高度の転換に有益であると考えられる(Decker,C.(1998)。“The use of UV irradiation in polymerization.” Polymer International 45(2):133−141)。しかしながら、モノマーコーティングを、別のポリマー表面上で高密度のUV光と共に硬化させた場合、それらは、制御されていない重合および不完全な硬化に由来する低分子量の断片(図7Aおよび7B)に起因して、低い均一性(図5Aおよび5B)および高い細胞毒性を有することが判明した。この問題は、細胞の付着および増殖を著しく妨げる。
細胞培養製品に幅広く用いられているポリスチレンは、ポリマーコーティングの特徴および細胞スクリーニングの信頼性に影響を与え、結果として対応するコーティングにも影響を与えるであろう、多くのモノマーに溶解しうる。それに対し、環状オレフィン基板は、いろいろなモノマーに接触後、より安定であることが判明した。試験したすべてのモノマーにおいて、モノマー製剤と基板の相互作用は観察されなかった。環状オレフィン共重合体はまた、非常に良好なUV透過性を有し、薬学的製品のための容器として幅広く利用されている。したがって、本発明の実施の形態では、ポリマーコーティング方法およびさまざまな細胞スクリーニングアッセイのための適切な材料を提供すべきである。
本明細書で提示するデータは、適切な出力および曝露の長さを伴ったパルス状の紫外線硬化が細胞培養にとって著しい細胞毒性のない、均一のコーティングを提供することを示している。硬化工程はまた、重合の間の加熱を低減するが、これは熱可塑性ポリマー基板にとって重要である。このコーティングおよび硬化工程は、いろいろな光重合可能なモノマーに適用することができる。したがって、さまざまな細胞培養および生物医学的用途の要求を満たす、さまざまなモノマーに由来する多様な材料特性を提供することが可能である。
結論:
適切な出力および曝露の長さを伴うパルス状または連続的なUV光システムは、コーティングの硬化に使用することができる。これは、多くのポリマー基板が感受性である、熱を低減する。それは、硬化速度のより良好な制御、より高度の転換、およびより低い収縮も提供し、さらに均一で毒性の少ないコーティング表面をもたらす。硬化は、窒素保護下で生じ、酸素阻害を妨げ、ポリマーの転化をさらに増大しうる。両方の条件(UV調節および窒素保護)を合わせると、得られる(メタ)アクリルコーティングの細胞毒性を低減することが見出された。
より高度の転換は、余分な洗浄工程の排除を可能にし、これにより製造工程を単純化することができ、洗浄工程の間の廃棄物の発生を軽減する。
環状オレフィンはコーティング基板としての適切な細胞培養容器を提供することができる。それは、さまざまなモノマーに曝露したときに安定であり、いろいろなUV−蛍光バイオアッセイ、ならびに紫外線硬化に適している。
選択する硬化工程は、モノマー構造に対して感受性ではない。これは、さまざまな細胞培養用途のための多様なバイオ材料コーティングを効果的に生成するためのプラットフォームを提供する。
実施例2:細胞培養のための高スループット・スクリーニング・フォトポリマー法
この実施例は、広面積の細胞培養製品に適用可能な非常に多様なモノマーから合成ポリマー表面を生成するための高効率の溶媒系の工程の基礎を提供する。
材料,方法,および結果:
テトラ(エチレングリコール)ジアクリラートのホモポリマー層を、異なるエタノール処理を用いて、96ウェル環状オレフィン共重合体プレートにコーティングした。簡潔に述べると、最初に、テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート(シグマ−アルドリッチ社製)を、実験設計に応じて、1%w/v(光重合開始剤/モノマー)の光重合開始剤Irgacure819(Ciba Specialty Chemicals,Inc.社製)および1/1または9/1(エタノール[体積]/モノマー[体積])のエタノールを混合した。次に、5μlの調製製剤(モノマー,光重合開始剤およびエタノール)を、BioTek Precisionマイクロプレートピペッティングシステムを用いて、プラズマ処理した96ウェル環状オレフィン共重合体プレートの各ウェルに堆積した。製剤溶液をすぐに拡散し、プレートを3時間、ドラフト内に水平に平らに設置して、エタノールを蒸発させた。これにより、>99%のエタノールを除去することができた。次いで、コーティングを、13mW/cmのパルス状(100Hz)UV光(キセノンRC−801)で1分間、N2パージボックス(溶融シリカ窓付き)内で硬化させた。得られた層のヘリの位相差顕微鏡写真を図8A(1/1エタノール処理)および図8B(9/1エタノール処理)に示す。厚いコーティング(1/1エタノール処理)は、製剤の表面張力によるメニスカス効果に起因して、ウェルの周辺部にモノマー製剤の蓄積を生じさせる。薄いコーティング(9/1エタノール処理)は、ウェル全体に平らなコーティング(メニスカス効果なし)を生じた。接触角もまた、両方の方法において、設計した(メタ)アクリルコーティングでウェルが完全に覆われたことを裏付けた。
グリセロール1,3−ジグリセロレート・ジアクリラートのホモポリマー層を、上述の1/1または9/1エタノール処理を用いて、96ウェル環状オレフィン共重合体プレートにコーティングした。
硬化後、200μlの水をプレートの各ウェルに加え、次に、プレートを37℃で一晩、インキュベートした。最後に、水を除去し、コーティング層の位相差顕微鏡画像を撮影した。得られた層の中心の位相差顕微鏡写真を図9A(1/1エタノール処理)および図9B(9/1エタノール処理)に示す。図9Aに示す厚いコーティングにおけるシワ(高濃度の1/1エタノール処理を使用)は、水性培地と接触した後の層間剥離を示唆している。一方、図9Bに示す、希釈された9/1エタノール処理から得られる薄いコーティングには層間剥離は見られなかった。
エタノール処理で生成した96ウェルフォーマットにおける(メタ)アクリル表面の細胞毒性を判定した。簡潔に述べると、2種類の異なるモノマーの混合物から、上述のホモポリマーとして、共重合体を調製した。モノマーを表3に示す。90:10、70:30、および50:50の3つの体積比の主要成分と微量成分の組合せをそれぞれ合わせ、1%w/v(光重合開始剤/全モノマー)の光重合開始剤Irgacure819および9/1(v/v)エタノールと混合した。次に、5μlの調製製剤(モノマー、光重合開始剤およびエタノール)を、BioTek Precisionマイクロプレートピペッティングシステムを用いて、プラズマ処理した96ウェル環状オレフィン共重合体プレートの各ウェルに堆積した。製剤溶液をすぐに拡散し、プレートを3時間、ドラフト内に水平に平らに設置して、エタノールを蒸発させた。次に、コーティングを、13mW/cmのパルス状(100Hz)UV光(キセノンRC−801)で1分間、N2パージボックス(溶融シリカ窓付き)内で硬化させた。硬化後、洗浄工程を行った。簡潔に述べると、96ウェルプレートの各ウェルの表面を、200μLの>99%エタノーで1時間、次いで、200μLの水で一晩、インキュベートし、可能性のある抽出物を除去した。最後に、殺菌する前に、表面を風乾した。
Figure 0005543374
すべての96ウェルプレートを、25〜35kGyのガンマ照射した細胞の細胞毒性分析の前に、殺菌した。ヒト肺線維芽細胞(MRC5,ATCC# CCL−171)は、標準的な細胞培養条件で、10%のウシ胎児血清を補充したイスコフ改変ダルベッコ培地において、密集度に至るまで増殖させた。0.05%トリプシン/EDTAを用いて細胞を採取し、15,000細胞/ウェルの密度で播種した。標準的な細胞培養条件で細胞を増殖した(5%のCO2,37℃)。「CellTiter96」AQueous One Solution細胞増殖アッセイ(G3581,Promega Corporation)を用いて、培養72時間後の各表面上の生きている細胞の相対数を決定した。製造業者のプロトコルに従って、アッセイを行った。簡潔に述べると、培養培地の吸引の後、リン酸緩衝食塩水中、MTSテトラゾリウム試薬の1:5希釈を、直接細胞に添加した。37℃および5%のCO2で1時間のインキュベーションの後、490nmにおける吸収を記録した。図10に示すように、このデータを(メタ)アクリル製剤の細胞毒性の判断に使用した。
エタノール処理によって生じた6ウェルフォーマットにおける(メタ)アクリル表面の細胞毒性を判定した。プラズマ処理した環状オレフィン共重合体プレート(6ウェル)を使用した。上述のように、2種類の異なるモノマーの混合物からホモポリマーおよび共重合体を調製した。それらポリマーのモノマー組成物を以下に記載する。1.グリセロールジメタクリラート;2.トリエチレングリコールジメタクリラート;3.1,4−ブタンジオールジメタクリラート;4.ポリ(エチレングリコール)ジアクリラート;5.トリエチレングリコールジメタクリラート(70%),グリセロールジメタクリラート(30%);6.テトラ(エチレングリコール)ジアクリラート(70%),グリセロールジメタクリラート(30%)。すべての製剤について1/0.01/9の比の、モノマー[体積]/光重合開始剤[重量]/エタノール[体積]を調製した。80μlの製剤を各ウェルに加えた。製剤の1分間の拡散を開始し、プレートをドラフト内に、3時間、水平に平らに設置して、エタノールを蒸発させた。これにより、>99%のエタノールを除去することができた。次に、コーティングを、13mW/cmのパルス状(100Hz)UV光(キセノンRC−801)で1分間、N2パージボックス(溶融シリカ窓付き)内で硬化させた。硬化後、洗浄工程を行った。簡潔に述べると、6−ウェルプレートの各ウェルの表面を、4mlの>99%エタノールで1時間、その後、4mlの水で一晩インキュベートし、可能性のある抽出物を除去した。最後に、殺菌する前に、表面を風乾した。
25〜35kGyのガンマ照射細胞の細胞毒性分析の前に、すべての6−ウェルプレートを殺菌した。ヒト肺線維芽細胞(MRC5,ATCC# CCL−171)を、標準的な細胞培養条件で、10%のウシ胎児血清を補充したイスコフ改変ダルベッコ培地において、密集度に至るまで増殖させた。0.05%トリプシン/EDTAを用いて細胞を採取し、100,000細胞/ウェルの密度で播種した。標準的な細胞培養条件で細胞を増殖した(5%のCO2,37℃)。「CellTiter96」AQueous One Solution細胞増殖アッセイ(G3581,Promega Corporation社製)を用いて、培養72時間後の各表面上の生きている細胞の相対数を決定した。製造業者のプロトコルに従って、アッセイを行った。簡潔に述べると、培養培地の吸引の後、リン酸緩衝食塩水中、MTSテトラゾリウム試薬の1:5希釈を、直接細胞に添加した。37℃および5%のCO2で1時間のインキュベーションの後、490nmにおける吸収を記録した。CellTiterアッセイを通じて、6ウェルフォーマットにおけるすべての(メタ)アクリル表面に、毒性のないことが判明した。さらには、細胞形態または均一の細胞付着における変化をより良好に視覚化するため、MTS試薬をウェルから吸引し、1mlの1:5希釈のクリスタルバイオレット染色剤−水を加えた。5分間の染色後、各ウェルを水で3回洗浄した。プレートを乾燥し、図11A〜Bに示すように、代表的な写真を撮影した。図11A〜B:6ウェルフォーマットの(メタ)アクリル表面の、TCT処理した対照表面に対するクリスタルバイオレットアッセイ。(メタ)アクリルコーティング表面とTCT対照表面には、細胞拡散または形態における干渉は確認されなかった。
考察:
非常に粘性のモノマーは、製剤またはコーティングの間、自動化された液体の操作を困難にしうる。高粘度はまた、コーティング工程の間のモノマーの拡散を妨げる。これらの問題は、広面積の細胞培養製品のための薄い均一のコーティングの高スループット材料スクリーニングを妨げる可能性がある。これらの問題への解決法は、溶媒の取り込みである。しかしながらほとんどのポリマーにとっての正常な溶媒は、通常、細胞に対して毒性であり、除去が困難な場合がある。我々の基板がポリマーであることを考慮すると、基板は、コーティング工程の間も同様に溶媒に溶解するであろう。この実施例では、モノマー製剤およびコーティングの間、モノマーのための溶媒としてエタノールを使用した。次に、硬化工程の前にエタノールを除去した。これにより、より薄いコーティングの理由から、モノマーの消費もまた軽減され、大規模な材料ライブラリのスクリーニングがさらに効率的になる。
本方法は、製剤の効率を向上する。本方法を行う前に、重量に基づいた、24種類のモノマーから得られる2成分混合物の576種類の製剤ライブラリが作られるであろう。全体の工程には1人で40〜50時間はかかるであろう。本方法にエタノールを使用することにより、混合は、体積に基づいた液体処理用機器を使用して行うことができる。同一の576種類の製剤を、1人で約4時間で製剤化することができ、10倍の効率の向上となる。
本方法は、コーティング効率を向上する。エタノールは、モノマーの粘度を低減し、コーティング工程の間のモノマーの拡散を促進する。これは、コーティング工程における自動計装の適用も可能にする。モノマーのみの使用では50時間以上かかるのに対し、エタノール処理を使用すると2〜3時間で、512種類のさまざまな表面ライブラリを96ウェルマイクロプレートにコーティングすることができる。コーティングにおけるエタノールの適用は、さらに、スクリーニング系における高スループットを促進する。
本方法はまた、コーティングの均一性を改善し、コーティングの剥離の可能性を低減する。先の実験は、モノマーの粘度が、コーティング工程の間のモノマー製剤の拡散を決定する主な要因であることを示した。したがって、同一表面積上に、より大きい体積のモノマーをコーティングしなければならず、これがより厚いコーティングを生じさせる。例えば、溶媒なしでは、コーティングは約20〜50μMであった。厚いコーティングは、図8Aに示すようにメニスカス効果に起因する不均一性の増大、および図9Aに示すように水性溶液または細胞培養培地と接触後の層間剥離の原因であることが判明した。加えて、表面の完全な被服を確実にするためには、しばしば手動の拡散を必要とした。エタノールを使用することにより、製剤の粘性は低くなり、速やかに拡散する。エタノール中のモノマーの濃度を低下させることにより、同一の表面積を被覆するのに使用するモノマーを低減することができる。コーティングの厚さは、<10μMの範囲で見られた。コーティング均一性および層間剥離の問題は、図8Bおよび図9Bに示すように、著しく改善することができる。
本方法を用いて生成した多様な化学構造を有するアクリル表面を、72時間の細胞生存能力アッセイで細胞毒性について評価し、非毒性であることが判明した(図10,グラフ)。加えて、細胞拡散または形態(クリスタルバイオレット染色剤を利用)における干渉は確認されなかった(図11,プレート画像)。さらには、このエタノール処理は、より大規模な6−ウェルプレートフォーマットにおいて、均一の細胞拡散および増殖と共に、(メタ)アクリル−コーティングのコンシステンシーを維持する。
エタノールは本方法に幾つかの利益をもたらす。(1)エタノールは、モノマーの粘度を低減し、製剤過程における自動計装の使用を可能にし、効率を最大で10倍向上させる。これは、高スループット材料スクリーニングの実施を可能にする。(2)エタノールは、モノマーの拡散を促進して、自動化液体処理用機器を使用して、小さいまたは大きい表面積に、薄い、均一のコーティングを達成し、かつ、コーティング効率を向上させる。(3)エタノールは、コーティング工程に使用するモノマーの量、および最終的なコーティングの厚さを軽減する。これは、モノマーの消費を低減することにより、コストを低減すると同時に、重合および培養培地と接触後の膨潤の際のコーティングにおける応力を軽減し、最終的に、コーティングの剥離を低減する。
他の溶媒と比較して、エタノールは追加の利益ももたらしうる:(1)エタノールは生物医学的または薬学的方法に用いられ、したがって、治療用の細胞または組織のための細胞培養製品の製造にとって、安全なはずである;(2)エタノールは米国薬局方の規格グレードで市販される;(3)蒸発し易く、コーティング工程の後、真空または加熱などの厳しい条件を用いずに除去されうる;(4)廃棄物管理または安全保護のための懸案事項が最小限しか存在しない;(5)大多数の(メタ)アクリルモノマーにとって良好な溶媒であるが、細胞培養製品に基板として用いられるほとんどのポリマーにとっては貧溶媒である;(6)硬化前に容易に除去することができ、フリーラジカル重合の際に不活性であり、したがって、その後のコーティングの重合における副次的な悪影響が最小限に抑えられるはずである。
実施例3:ヒト胚性幹細胞のスクリーニング
材料および方法:
エタノールを溶媒として使用して調製したアクリレート表面を、ヒト胚性幹細胞の付着および増殖についてスクリーニングした。簡潔に述べると、表4に示す主要および微量のモノマーを、70:30の体積比にしたがって混合し、1%w/v(光重合開始剤/全モノマー)の光重合開始剤Irgacure819および9/1(エタノール[体積]/全モノマー[体積])のエタノールと混合した。次に、BioTek(登録商標)Precisionマイクロプレートピペッティングシステムを使用して、5μlの調製製剤(モノマー,光重合開始剤およびエタノール)を、プラズマ処理した96ウェル環状オレフィン共重合体プレートの各ウェルに堆積した。製剤をすぐに拡散し、プレートを3時間、ドラフト内に水平に平らに設置して、エタノールを蒸発させた。次に、コーティングを、13mW/cmのパルス状(100Hz)のUV光(キセノンRC−801)で1分間、N2パージボックス(溶融シリカ窓付き)内で硬化させた。硬化後、洗浄工程を行った。簡潔に述べると、96ウェルプレートの各ウェルの表面を、200μLの>99%エタノールと共に1時間、続いて200μLの水で一晩、インキュベートし、可能性のある抽出物を除去した。最後に、殺菌する前に、表面を風乾した。
Figure 0005543374
すべての96ウェルプレートを、細胞培養の前に、25〜35kGyのガンマ照射によって殺菌した。「MATRIGEL」でコーティングしたウェルを陽性対照として使用した。H1hES細胞(Geron Corporation社製)を、Geronのプロトコルに従って培養した。簡潔に述べると、細胞を、化学的に定義された培地(Geron Corp.社から市販される、ヒト遺伝子組換え増殖因子を補充したX−Vivo10基礎培地)において、「MATRIGEL」でコーティングしたTCTフラスコまたは6−ウェルプレート上で培養した。細胞を、Geronのサブ培養の手法(コラゲナーゼIV、続いてDPBSで洗浄し、廃棄し、化学的に定義された培養培地に再懸濁する)を用いて、6−ウェルプレートに0.5−1×10細胞/ウェルの播種密度(〜50,000〜100,000細胞/cm)で、5日毎に継代した。
実験のため、細胞を、MultidropCombi(ThermoFisher社製)自動化ディスペンサを使用して、35,000/ウェルの密度(116,000細胞/cm)で、96ウェルプレートの実験用の表面に、または陽性対照として「MATRIGEL」でコーティングしたウェルに、播種した。細胞を、標準的な細胞培養条件下(37℃,5%のCO2)で48時間培養し、以下に述べるAttoPhosアッセイのための処理をした。
AttoPhos定量アッセイを使用して、各ウェル内のアルカリホスファターゼ−陽性(未分化)コロニーの数を試験した。アルカリホスファターゼ(AP)は、未分化hES細胞のためのマーカーである。APの発現は、細胞が分化すると消失するか、または著しく低下する。
培養時間の終了時点で、細胞を150μlのダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)ですすぎ、4%のパラホルムアルデヒドで10分間、R/T(70μl/ウェルの96ウェルプレート)で固定した。細胞を、150μlのDPBSで1回洗浄し、光から保護した100μlのAttoPhos蛍光基質(DPBSで1:3希釈したもの)を用いて、10分間処理した。Victor3マイクロプレートリーダー(Perklin Elmer社製)を使用して、485/535nmにおけるAttoPhos蛍光強度を得た。
結果および考察:
この実施例では、H1hES細胞の短期間の増殖を、エタノールコーティング方法を用いて生成した、さまざまな実施の形態の(メタ)アクリル表面、合成ポリマー表面上でスクリーニングした。血清含有培地Xvivo10(20%FBS+80ng/mlのbFGF+0.5ng/mlのTGFβ1を用いた)を使用して、細胞を、35,000/ウェルの密度で、(メタ)アクリルポリマーまたは陽性対照としての「MATRIGEL」でコーティングした96ウェルプレート内に播種した。48時間後、細胞を固定し、未分化(アルカリホスファターゼ−陽性)hES細胞の存在について試験するための材料および方法に記載したように、AttoPhos染色のための処理をした。血清含有培地条件では、表面53−3、53−4、53−7、53−9、53−10についてのAttoPhos蛍光は、「MATRIGEL」対照のものと非常に類似していた(図12)。これらの表面上の正常な未分化の幹細胞コロニー形態を確認するため、BCIP染色を行った(データは示さず)。合成ポリマーコーティングと共役したペプチドの不存在下、血清を含まない培地条件は、H1細胞の増殖を支持しなかった(データは示さず)。これらのデータは、エタノールのコーティング方法を使用して生成した表面が、血清含有培地条件における未分化hES細胞の付着および短期間の増殖のスクリーニングに使用できる可能性があることを示唆している。言い換えれば、これは、hES細胞培養のための表面および培地の最適化のための強力なスクリーニングのプラットフォームを提供することができる。
実施例4:溶媒の変更による適切なコーティングの生成
上記実施例では、我々は、細胞培養のための材料ライブラリの高スループットコーティングを可能にするだけでなく、高度に架橋した硬質ポリマーから膨潤性の(メタ)アクリレートポリマーに至るまで、さまざまな物理的性質を有する材料へのアクセスをもたらす、エタノールを使用した溶媒プロセスについて説明した。上記プロセスから得られる表面を使用して、我々は、ペプチドなどの生物活性分子の共役を可能にし、および初めて、化学的に定義された培地において未分化のヒト幹細胞培養を支持する合成ポリマー表面を提供する。この実施例では、我々は、試験のため、表5に記載するように、溶媒の選択を拡大した。
Figure 0005543374
重合後にさまざまな物理的性質をもたらす、さまざまなモノマーを対照とするように、一連のモノマー製剤を選択した。高度に架橋したポリマーのための製剤には、TEGDA、GDMA、およびBDMAを含めた。膨潤性の(メタ)アクリレートポリマーのための製剤はSA02であった。これらの製剤を表6に示す。12種類の選択溶媒における4つの製剤の溶解性を表7に記載する。結果は、ヘキサンおよび水は、高度に架橋した(メタ)アクリルポリマーとなる製剤にとって適切ではないが、一方、エチルエーテルおよびヘキサンは膨潤性の(メタ)アクリレート製剤にとって適切ではないことを示唆した。ヘキサンを除くすべての溶媒はまた細胞培養容器のベース材料として用いられる環状オレフィン共重合体に関して不活性であった。
高度に架橋したポリマーコーティングを調製するため、1mlの対応するモノマー(TEGDA、GDMAまたはBDMA)を、ストック製剤としての30μlの光重合開始剤Irgacure2022と混合した。次に、250μlのストック製剤を、表5のに示す250μlの選択溶媒に溶解し、50%の製剤溶液を調製した。混和性の問題の理由から、この試験では、ヘキサンおよび水は選択しなかった。次に、2μlの50%製剤溶液を、96ウェル環状オレフィンプレートの各ウェル内に堆積させた。製剤の堆積前に、プレートを真空プラズマで処理した。具体的には、真空プラズマ処理は、CorningのCellBind(登録商標)処理であった。その後、溶媒を、窒素などの乾燥した環境で3時間蒸発させて、溶媒の大部分を除去し、コーティング表面における湿気の凝縮を防止した。最後に、キセノン800パルス状紫外線硬化システムを使用し、酸素阻害を防止するため、窒素雰囲気下、60秒間、10〜15mW/cmの放射線量でプレートを硬化させた。表6のすべての製剤は、30μlのIrgacure2022(80%DAROCUR1173,20%Irgacure819)を光重合開始剤として含む。
Figure 0005543374
Figure 0005543374
従来の溶液重合と比較する目的で、375μlのストック製剤を125μlのDMFに溶解し、75:25の製剤溶液を得た。次に、2μlの製剤溶液を、96ウェル環状オレフィンプレートの各ウェル内に堆積させた。プレートを、上述の「CellBind」処理−真空プラズマ処理を用いて処理した。溶媒を蒸発させずに、キセノンRC−800パルス状の紫外線硬化を使用して、フリーラジカル重合に対する酸素阻害を防止するために窒素雰囲気下で、60秒間、10〜15mW/cm2の放射線量でプレートを速やかに硬化させた。
選択したコーティングおよび方法から得られた抽出可能物を評価するため、200μlのエタノールを各ウェルに満たし、HPLC分析用にエタノールを回収する前に、プレートを室温で1時間振とうした。HPLCシステムは、96Watersフォトダイオード・アレイ検出器およびNova Pak C18(4μ)カラムを備えたWaters Alliance2695クロマトグラフィーシステムであった。流量は1mL/分であった。アセトニトリルと水の勾配流を用いた。勾配は95/05 水/アセトニトリルから開始し、45分間かけて、0/100 水/アセトニトリルに至るまで進めた。カラム温度は35℃に維持した。すべてのデータは215nmで分析した。最終結果を表8に記載した。試験した溶媒すべてにおいて、DMFのみがバルクまたは溶液重合方法、特に溶液重合を検出することができた。このような溶液重合方法またはDMFにおいて溶媒を除去するためには、大々的な洗浄または長い真空時間などの余分な工程が必要とされうる。対照的に、ジエチルエーテル,アセトン、メタノール、酢酸エチル、エタノール、ブタノン、アセトニトリル、2−プロパノール、2−ブタノールなどの比較的低い沸点を有する他の溶媒の使用では、残留溶媒は懸案事項ではないはずである。
Figure 0005543374
細胞の細胞毒性分析の前に、すべての96ウェルプレートを、25〜35kGyのガンマ照射によって殺菌した。ヒト肺線維芽細胞(MRC5,ATCC# CCL−171)を、標準的な細胞培養条件で、10%のウシ胎児血清を補充したイスコフ改変ダルベッコ培地において、密集度に至るまで増殖させた。0.05%トリプシン/EDTAを用いて細胞を採取し、15,000細胞/ウェルの密度で播種した。標準的な細胞培養条件で細胞を増殖した(5%のCO2,37℃)。「CellTiter96」AQueous One Solution細胞増殖アッセイ(G3581,Promega Corporation社製)を用いて、培養72時間後の各表面上の生きている細胞の相対数を決定した。製造業者のプロトコルに従って、アッセイを行った。簡潔に述べると、培養培地の吸引の後、リン酸緩衝食塩水中、MTSテトラゾリウム試薬の1:5希釈を、直接細胞に添加した。37℃および5%のCO2で1時間のインキュベーションの後、490nmにおける吸収を記録した。「CellBind」処理した「TOPAS」表面を、コーティングしていない基板対照として使用した。このデータを、図13に示すように、(メタ)アクリル製剤の細胞毒性の判定に用いた。80%以上の正規化吸収を有する表面を、非毒性とみなした。結果に基づいて、すべての試験表面を、非毒性とみなした。その後、試験表面をクリスタルバイオレットで染色し、図14に示すように、光学顕微鏡画像を撮影した。コーティングは、溶媒としてエタノール(a,c,e)またはDMF(B,d,f)を使用し、モノマー:TEGDA(a,b),GDMA(c,d),BDMA(e,f)から形成した。クリスタルバイオレット染色した画像は、DMF溶液重合では、製剤GDMAおよびBDMAに亀裂が生じたことを示した(表6参照)。
架橋度の低い膨潤性の(メタ)アクリレートコーティングを調製するため、100μlの表6に記載するストック製剤SA02を、表3に記載する選択溶媒9.9mlに溶解し、約1%の製剤溶液を得た。混和性の問題の理由から、この試験には、エチルエーテルおよびヘキサンは選択しなかった。次に、1μlの溶液を、96ウェル環状オレフィンプレートの各ウェル内に堆積させた。製剤を堆積させる前に、プレートを、真空プラズマで処理した。具体的には、真空プラズマ処理は、Corning「CellBind」処理であった。その後、溶媒を窒素雰囲気下で3時間蒸発させて、溶媒の大部分を除去し、コーティング表面における湿気の凝縮を防止した。最後に、キセノンRC−800パルス状紫外線硬化システムを使用して、10〜15mW/cmの放射線量を用いて、フリーラジカル重合の酸素阻害を防止するために窒素雰囲気下で、60秒間、プレートを硬化させた。比較として製剤SA02も、コーティングのため、DMF中に1%溶解させた。1μlの製剤を各ウェルに分配した。次に、コーティングを、溶液重合を行うための乾燥工程を行わずに、同一の放射線量でキセノンRC−800パルス状UV光に曝露した。プレートの反復の1つを、クリスタルバイオレットで染色した。顕微鏡下で濃淡をもたらすために、膨潤性の(メタ)アクリレートの負電荷基にクリスタルバイオレットを結合させた。
図15は、膨潤性の(メタ)アクリレート表面を調製する工程において、エタノール(A)、2−ブタノール(B)、水(c)、およびDMF(d)を溶媒として使用した、96ウェルプレートのウェルにおける、クリスタルバイオレット染色した膨潤性の(メタ)アクリレート層の顕微鏡画像を示している。クリスタルバイオレット染色は、アセトン、メタノール、酢酸エチル、エタノール、ブタノン、アセトニトリル、2−プロパノール、2−ブタノールの溶媒としての使用が、図15のエタノールおよび2−ブタノールの実施例に示すように、均一の膨潤性の(メタ)アクリレートコーティングをもたらすことができることを示した。対照的に、水およびDMFは、広面積の基板の潜在的曝露を示した。DMFの溶液重合から得られるコーティングは、クリスタルバイオレット染色を示さなかった。これは、コーティングが失敗したか、または洗い流されたことを示唆する。
重合後、ペプチドLysGlyGlyAsnGlyGluProArgGlyAspThrTyrArgAlaTyr(配列番号:1)を、EDC/NHS法を用いて、膨潤性の(メタ)アクリレートコーティング表面(SA02)に共役した。簡潔に述べると、DMF中、50μlの0.1mM EDCおよび0.05mM NHS溶液を各ウェルに分配し、1.5時間反応させた。次に、25mMリン酸緩衝液pH7.4中、50μlの1mM ペプチド溶液をウェルに分配し、1.5時間反応させた。その後、ペプチド溶液を、pH8.0〜8.5に調整した1M エタノールアミン溶液と交換した。最後にウェルをリン酸緩衝液および水で洗浄した。
幹細胞培養を試験するため、すべての実験用のプレートを、70%ETOHを用いて噴霧することによって細胞播種の前に殺菌し、ドラフト内で乾燥し、200μlのダルベッコリン酸緩衝食塩水(DPBS)で2回洗浄した。100μlの化学的に定義された培地[(Lonza社製Xvivo10),80ng/ml塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF),0.5ng/ml形質転換増殖因子−β1(TGFβ1)(R&D Systems社製)]において、H7 hES細胞を、35,000細胞/ウェル(96ウェルプレート)の密度で、ペプチドと共役した膨潤性の(メタ)アクリレート表面に播種した。「MATRIGEL」でコーティングしたウェルを、未分化hES細胞の付着および増殖のための陽性対照として使用した。細胞を、標準的な細胞培養条件(37℃,5%のCO2)下で48時間培養し、次いで固定し、AttoPhosアッセイ用に処理して、未分化hES細胞のための既知のマーカーであるアルカリホスファターゼ活性を測定した。
AttoPhosアッセイを次のように行った:簡潔に述べると、培養時間の終了時に、細胞を150μlのDPBSですすぎ、4%パラホルムアルデヒドを用いて室温で10分間固定した(70μl/ウェルの96ウェルプレート)。細胞を150μlのDPBSで1回洗浄し、光から保護したアルカリホスファターゼ(Promega社製)(DPBSで1:3希釈したもの)について、100μlのAttoPhos蛍光基質で10分間処理した。Victor 3 マイクロプレートリーダー(Perklin Elmer社製)を使用して、485/535nmにおけるAttoPhos蛍光強度を得た。実験用の表面のAttoPhos蛍光強度を、「MATRIGEL」対照の細胞培養の%蛍光強度として表した。
AttoPhosの結果を図16に示す。溶媒:アセトン、メタノール、酢酸エチル、エタノール、ブタノン、アセトニトリル、2−プロパノール、2−ブタノールで処理した、ペプチドと共役した膨潤性の(メタ)アクリレートSA02コーティングは、未分化の幹細胞培養の支持において、「MATRIGEL」と同様もしくはより有用であった。これらの表面上の正常な未分化の幹細胞のコロニー形態を確認するため、BCIP染色を行った(データは示さず)。対照的に、水およびDMFを用いて処理したコーティングでは、hESC培養についての支持は低かった。
結果および考察:
本明細書に記載のバルク相重合(その場重合)法には、エタノールに加えて、さまざまな溶媒を使用することができる。複数の実施の形態では、選択する基板に対して不活性な製剤および溶媒における組成物に対して良好な溶解性を提供する溶媒は、重合にとっても良好な特性を提供する。溶媒の低い表面エネルギーは、製剤の拡散を補助する。低沸点の溶媒は、重合前に、完全に、またはほぼ完全に除去することができる。本明細書に記載する結果が示すように、溶液重合は、高度に架橋したコーティングにとって、コーティングの亀裂につながる可能性があり、基板上に、コーティングされていない斑点を生じうる。本明細書に記載される方法と共に使用するのに適した溶媒の例としては、限定はしないが、アセトン、メタノール、酢酸エチル、エタノール、ブタノン、アセトニトリル、2−プロパノール、2−ブタノールが挙げられる。使用する溶媒は、約34℃〜約120、約50℃〜約100℃、または約70℃〜約85℃の沸点を有することが好ましい。エタノールおよび2−プロパノールは、それらの、モノマーとの溶解性、可塑性樹脂との適合性、低い表面エネルギー、有害廃棄物管理、および安全上の懸案事項の理由から、商業生産のための良好な候補である。
このように、細胞培養製品およびスクリーニングの実施の形態を開示する。当業者は、本明細書に記載するアレイ、組成物、キットおよび方法が、開示した以外の実施の形態で実施することができることを認識するであろう。開示される実施の形態は、例証の目的で提示するものであり、限定のためではない。

Claims (6)

  1. 合成ポリマー層を有する細胞培養製品の生産方法であって、
    1種類以上の(メタ)アクリレート・モノマーを溶媒に希釈し、
    前記希釈したモノマーを細胞培養基板の表面に分散し、
    前記溶媒の0%以上を除去し、
    前記溶媒の0%以上を除去した後に、前記モノマーを前記細胞培養基板の表面で重合して、前記細胞培養基板の表面に付着した前記合成ポリマー層を形成する、
    各工程を有してなり、
    前記溶媒が、アセトン、メタノール、酢酸エチル、エタノール、ブタノン、アセトニトリル、2−プロパノール、および2−ブタノールからなる群より選択される、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記細胞培養基板が、環状オレフィン共重合体を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 前記モノマーを重合する工程が、前記モノマーを紫外線照射に曝露することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 前記モノマーを紫外線照射に曝露する工程が、前記モノマーを、窒素保護条件下で紫外線照射に曝露することを含むことを特徴とする請求項記載の方法。
  5. 前記細胞培養基板の表面で前記モノマーを重合し、前記合成ポリマー層を形成する工程が、膨潤性の(メタ)アクリレート層を形成することを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
  6. ポリペプチドを、膨潤性の(メタ)アクリレート層と共役させることを特徴とする請求項記載の方法。
JP2010545020A 2008-01-30 2009-01-30 細胞培養製品およびスクリーニング Expired - Fee Related JP5543374B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US6293708P 2008-01-30 2008-01-30
US6289008P 2008-01-30 2008-01-30
US61/062,937 2008-01-30
US61/062,890 2008-01-30
PCT/US2009/000589 WO2009099552A2 (en) 2008-01-30 2009-01-30 Cell culture article and screening

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2011514145A JP2011514145A (ja) 2011-05-06
JP2011514145A5 JP2011514145A5 (ja) 2012-11-08
JP5543374B2 true JP5543374B2 (ja) 2014-07-09

Family

ID=40899640

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010545022A Expired - Fee Related JP5501981B2 (ja) 2008-01-30 2009-01-30 既知組成培地中で細胞を培養するための合成表面
JP2010545020A Expired - Fee Related JP5543374B2 (ja) 2008-01-30 2009-01-30 細胞培養製品およびスクリーニング

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010545022A Expired - Fee Related JP5501981B2 (ja) 2008-01-30 2009-01-30 既知組成培地中で細胞を培養するための合成表面

Country Status (12)

Country Link
US (3) US8354274B2 (ja)
EP (3) EP2247716B1 (ja)
JP (2) JP5501981B2 (ja)
KR (2) KR20110007600A (ja)
CN (2) CN102137924A (ja)
AT (1) ATE555191T1 (ja)
AU (2) AU2009210765A1 (ja)
BR (2) BRPI0906724A2 (ja)
CA (2) CA2713754A1 (ja)
DK (1) DK2247716T3 (ja)
IL (2) IL207296A (ja)
WO (2) WO2009099552A2 (ja)

Families Citing this family (83)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101529317B1 (ko) * 2005-06-22 2015-06-16 아스테리아스 바이오세라퓨틱스, 인크. 영장류 다능성 줄기 세포의 심근세포 계통 세포로의 분화
US8329469B2 (en) * 2008-01-30 2012-12-11 Geron Corporation Swellable (meth)acrylate surfaces for culturing cells in chemically defined media
BRPI0906724A2 (pt) * 2008-01-30 2019-05-07 Geron Corp artigo de cultura celular e triagem
CN101939362A (zh) 2008-01-30 2011-01-05 杰龙公司 用于培养干细胞衍生的少突胶质细胞前体细胞的合成表面
US8241907B2 (en) 2008-01-30 2012-08-14 Geron Corporation Synthetic surfaces for culturing stem cell derived cardiomyocytes
CA2728363C (en) 2008-06-26 2019-02-19 Orphazyme Aps Use of hsp70 as a regulator of enzymatic activity
US8603820B2 (en) * 2009-05-21 2013-12-10 Corning Incorporated Derivatized peptide-conjugated (meth) acrylate cell culture surface and methods of making
EP2435490A1 (en) * 2009-05-28 2012-04-04 Corning Incorporated Swellable synthetic microcarriers for culturing cells
EP2459701A1 (en) 2009-07-28 2012-06-06 Corning Inc. Synthetic microcarriers for culturing cells
EP2361968B1 (en) 2010-02-26 2014-11-19 Corning Incorporated Synthetic polysaccharide microcarriers for culturing cells
US20110183418A1 (en) * 2009-07-29 2011-07-28 Arthur Winston Martin Peptide-Polymer Cell Culture Articles and Methods of Making
US20110027888A1 (en) * 2009-07-29 2011-02-03 Beltzer James P Coated Fibers for Culturing Cells
US20110186165A1 (en) * 2009-10-05 2011-08-04 Borenstein Jeffrey T Three-dimensional microfluidic platforms and methods of use and manufacture thereof
EP4166652A1 (en) 2009-11-12 2023-04-19 Technion Research & Development Foundation Ltd. Culture media, cell cultures and methods of culturing pluripotent stem cells in an undifferentiated state
US20110207216A1 (en) * 2010-02-25 2011-08-25 Arthur Winston Martin Synthetic Peptide (Meth) Acrylate Microcarriers
US9029145B2 (en) 2010-04-08 2015-05-12 The University Court Of The University Of Edinburgh Chondrogenic progenitor cells, protocol for derivation of cells and uses thereof
US9029150B2 (en) 2010-05-11 2015-05-12 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Cell culture substrate and cell culture method using same
EP2412798A1 (en) * 2010-07-27 2012-02-01 Gambro Lundia AB Biomimetic membrane for cell expansion
JP5681285B2 (ja) * 2010-07-28 2015-03-04 コーニング インコーポレイテッド 細胞培養コーティングのためのプレポリマー調製品
WO2012027218A2 (en) * 2010-08-27 2012-03-01 Corning Incorporated Peptide-modified surfaces for cell culture
US20120071575A1 (en) * 2010-08-27 2012-03-22 Derosa Michael Edward Microporous Thermoplastic Article
US20120052579A1 (en) * 2010-08-27 2012-03-01 Simon Kelly Shannon Peptide-modified microcarriers for cell culture
EP2625263B1 (en) 2010-10-08 2020-03-11 Terumo BCT, Inc. Configurable methods and systems of growing and harvesting cells in a hollow fiber bioreactor system
DK2646044T3 (da) * 2010-11-30 2019-11-25 Orphazyme As Metoder til at øge den intracellulære aktivitet af Hsp70
WO2012158235A2 (en) * 2011-03-17 2012-11-22 Corning Incorporated Synthetic coating for cell culture
CA2829804A1 (en) 2011-03-29 2012-10-04 Geron Corporation Enriched populations of cardiomyocyte lineage cells from pluripotent stem cells
JP5900491B2 (ja) * 2011-04-21 2016-04-06 ニプロ株式会社 細胞培養方法及び細胞培養キット
WO2012150475A1 (en) * 2011-05-05 2012-11-08 Corning Incorporated Synthetic composition and coating for cell culture.
US9376655B2 (en) * 2011-09-29 2016-06-28 Life Technologies Corporation Filter systems for separating microcarriers from cell culture solutions
US20140336074A1 (en) * 2011-12-06 2014-11-13 Singapore Health Services Pte Ltd Method for preparing improved cardiomycocyte-like cells
CN103146572B (zh) * 2011-12-07 2016-01-06 清华大学 一种实现细胞集落均质性生长的装置和方法
JP5731421B2 (ja) * 2012-02-15 2015-06-10 株式会社島津製作所 細胞培養デバイス
KR101461133B1 (ko) * 2012-05-29 2014-11-13 광주과학기술원 헤파린 기반 수화젤을 포함하는 줄기세포 배양기판 및 그 제조방법
CA2877757A1 (en) * 2012-06-29 2014-01-03 Polymers Crc Ltd. Process for modifying a polymeric surface
TWI512103B (zh) * 2012-11-12 2015-12-11 Ind Tech Res Inst 細胞培養系統、以及無血清細胞培養方法
US20140141503A1 (en) * 2012-11-20 2014-05-22 Corning Incorporated Cell culture substrate having uniform surface coating
CN103087916B (zh) * 2013-01-17 2014-04-16 黑龙江省重生生物科技有限公司 一种涂覆有Matrigel的细胞培养板及其制备方法和应用
GB201316815D0 (en) * 2013-09-23 2013-11-06 Renishaw Plc Additive manufacturing apparatus and method
TWI601817B (zh) 2013-10-02 2017-10-11 國立中央大學 細胞培養製品及其製造方法
JP6633522B2 (ja) 2013-11-16 2020-01-22 テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド バイオリアクターにおける細胞増殖
EP3080246A4 (en) 2013-12-11 2017-05-24 The Regents of The University of California Compositions and methods for producing and administering brown adipocytes
WO2015127183A2 (en) * 2014-02-21 2015-08-27 Massachusetts Institute Of Technology Expansion microscopy
US11008547B2 (en) 2014-03-25 2021-05-18 Terumo Bct, Inc. Passive replacement of media
JP6357006B2 (ja) * 2014-04-18 2018-07-11 東京応化工業株式会社 細胞培養基材形成用の感光性樹脂組成物
KR20240028540A (ko) 2014-09-15 2024-03-05 제브라 덴마크 에이/에스 아리모클로몰 제제
JP6830059B2 (ja) 2014-09-26 2021-02-17 テルモ ビーシーティー、インコーポレーテッド スケジュール化された細胞フィーディング
EP3263692A4 (en) 2015-02-25 2018-10-17 Ebara Jitsugyo Co. Ltd. Substrate for carrying cells and method for producing same
JP6414918B2 (ja) * 2015-03-31 2018-10-31 三井化学株式会社 医療器具、フッ素含有環状オレフィンポリマー、フッ素含有環状オレフィンポリマー組成物、および細胞培養方法
US10526649B2 (en) 2015-04-14 2020-01-07 Massachusetts Institute Of Technology Augmenting in situ nucleic acid sequencing of expanded biological samples with in vitro sequence information
US10059990B2 (en) 2015-04-14 2018-08-28 Massachusetts Institute Of Technology In situ nucleic acid sequencing of expanded biological samples
US11408890B2 (en) 2015-04-14 2022-08-09 Massachusetts Institute Of Technology Iterative expansion microscopy
WO2016205678A1 (en) 2015-06-19 2016-12-22 Emory University Methods of measuring cell purity for making quality control determinations and related compositions
WO2017004592A1 (en) 2015-07-02 2017-01-05 Terumo Bct, Inc. Cell growth with mechanical stimuli
CN108474029B (zh) 2015-08-07 2021-07-23 麻省理工学院 通过扩展显微法的蛋白质和核酸的纳米级成像
CN108139408B (zh) 2015-08-07 2020-08-28 麻省理工学院 蛋白质保持扩展显微法
WO2017036533A1 (en) 2015-09-03 2017-03-09 Ecole Polytechnique Federale De Lausanne (Epfl) Three-dimensional hydrogels for culturing adult epithelial stem cells and organoids
WO2017110923A1 (ja) 2015-12-24 2017-06-29 旭硝子株式会社 樹脂組成物、基材および細胞培養方法
CN107227297A (zh) * 2016-03-23 2017-10-03 中国科学院沈阳自动化研究所 一种快速无掩模的细胞二维图形化制作方法
EP3442530A1 (en) 2016-04-13 2019-02-20 Orphazyme A/S Heat shock proteins and cholesterol homeostasis
EP3782624A1 (en) 2016-04-29 2021-02-24 Orphazyme A/S Arimoclomol for treating glucocerebrosidase associated disorders
EP3464565A4 (en) 2016-05-25 2020-01-01 Terumo BCT, Inc. CELL EXPANSION
US11685883B2 (en) 2016-06-07 2023-06-27 Terumo Bct, Inc. Methods and systems for coating a cell growth surface
US11104874B2 (en) 2016-06-07 2021-08-31 Terumo Bct, Inc. Coating a bioreactor
EP3290510A1 (en) * 2016-08-31 2018-03-07 Rheinisch-Westfälische Technische Hochschule (RWTH) Aachen Model kit for suspension cell lines
US11873508B2 (en) * 2017-01-20 2024-01-16 Agency For Science, Technology And Research Thermoresponsive microcarrier system and uses thereof
US10995361B2 (en) 2017-01-23 2021-05-04 Massachusetts Institute Of Technology Multiplexed signal amplified FISH via splinted ligation amplification and sequencing
JP6721881B2 (ja) * 2017-02-23 2020-07-15 日本電信電話株式会社 細胞足場材料、細胞モデル、及び細胞足場材料の製造方法
WO2018157048A1 (en) 2017-02-24 2018-08-30 Massachusetts Institute Of Technology Methods for examining podocyte foot processes in human renal samples using conventional optical microscopy
US11624046B2 (en) 2017-03-31 2023-04-11 Terumo Bct, Inc. Cell expansion
CN117247899A (zh) 2017-03-31 2023-12-19 泰尔茂比司特公司 细胞扩增
US11180804B2 (en) 2017-07-25 2021-11-23 Massachusetts Institute Of Technology In situ ATAC sequencing
US11873374B2 (en) 2018-02-06 2024-01-16 Massachusetts Institute Of Technology Swellable and structurally homogenous hydrogels and methods of use thereof
CN108047455B (zh) * 2018-02-09 2020-12-25 中国人民解放军陆军军医大学 用于抗原载体的两亲性超支化聚合物及其制备方法和应用
CN108329483B (zh) * 2018-02-09 2020-12-29 中国人民解放军陆军军医大学 两亲性超支化聚合物及其制备方法和应用
JP7315652B2 (ja) 2018-08-16 2023-07-26 テルモ株式会社 細胞培養基材
JP7319349B2 (ja) * 2018-08-16 2023-08-01 テルモ株式会社 細胞培養基材
CN109187943B (zh) * 2018-08-24 2021-07-30 四川新健康成生物股份有限公司 一种抗干扰试剂杯以及试剂杯内抗干扰涂层的制备方法
JP2020115787A (ja) * 2019-01-24 2020-08-06 住友ゴム工業株式会社 細胞培養装置及び細胞培養方法
US11802822B2 (en) 2019-12-05 2023-10-31 Massachusetts Institute Of Technology Multiplexed expansion (MultiExM) pathology
CN112079930B (zh) * 2020-07-11 2022-09-09 兰州大学 具有良好支持人诱导多能干细胞生长性能的非天然多肽
US20230416224A1 (en) 2020-11-19 2023-12-28 Zevra Denmark A/S Processes for preparing arimoclomol citrate and intermediates thereof
CN114214266B (zh) * 2021-11-18 2022-09-02 创芯国际生物科技(广州)有限公司 一种凝胶组合物、生物支架凝胶及其制备方法和应用
WO2023127778A1 (ja) * 2021-12-27 2023-07-06 積水化学工業株式会社 細胞培養用足場材料

Family Cites Families (75)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3502545A (en) * 1968-09-27 1970-03-24 Monsanto Co Process for the separation of water-soluble polymeric materials from unbound protein or peptide using semiporous gel
AR208398A1 (es) * 1974-03-29 1976-12-27 Smith & Nephew Res Un copolimero hidrogel ligeramente entrelazado
JPS58146280A (ja) 1982-02-26 1983-08-31 Japan Atom Energy Res Inst 増殖能を有する酵母固定化物の製造方法
US4661111A (en) 1982-08-04 1987-04-28 La Jolla Cancer Research Foundation Polypeptide
US4578079A (en) * 1982-08-04 1986-03-25 La Jolla Cancer Research Foundation Tetrapeptide
US4792525A (en) 1982-08-04 1988-12-20 La Jolla Cancer Research Foundation Tetrapeptide
US5695997A (en) 1982-08-04 1997-12-09 La Jolla Cancer Research Foundation Tetrapeptide
US5916875A (en) * 1983-11-22 1999-06-29 La Jolla Cancer Research Foundation Tetrapeptide
US4908236A (en) 1986-12-04 1990-03-13 Millipore Corporation Transparent porous membrane having hydrophilic surface and process
JPH02504221A (ja) * 1987-04-22 1990-12-06 ベイ ミカエル 細胞培養法、培養物及び培養製品
DE3855458T2 (de) 1987-12-10 1996-12-05 Jolla Cancer Res Found Verfahren zur herstellung von conformationnell stabilisierten zelladhäsionspeptiden
JPH01309682A (ja) 1988-06-03 1989-12-14 Sanyo Chem Ind Ltd 動物細胞培養用基体
US5278063A (en) * 1989-09-28 1994-01-11 Board Of Regents The University Of Texas System Chemical modification of promote animal cell adhesion on surfaces
US5330911A (en) * 1989-09-28 1994-07-19 Board Of Regents, The University Of Texas System Surfaces having desirable cell adhesive effects
EP0488258B1 (en) * 1990-11-27 1996-04-17 Fuji Photo Film Co., Ltd. Propenamide derivatives, polymers, copolymers and use thereof
EP0627911B1 (en) 1992-02-28 2000-10-25 Board Of Regents The University Of Texas System Photopolymerizable biodegradable hydrogels as tissue contacting materials and controlled-release carriers
EP0567886A3 (en) 1992-04-21 1994-11-02 Kurashiki Boseki Kk Composition for a layer for culturing animal adhesive cells and method for culturing cells in a serum-free medium.
US5480953A (en) 1992-09-29 1996-01-02 Toray Industries, Inc. Hydrophilic material and semipermeable membrane made therefrom
US5523226A (en) * 1993-05-14 1996-06-04 Biotechnology Research And Development Corp. Transgenic swine compositions and methods
JPH078273A (ja) * 1993-06-14 1995-01-13 Kurabo Ind Ltd 接着性動物細胞の無血清培養法
US6284503B1 (en) 1993-08-20 2001-09-04 University Of Utah Research Foundation Composition and method for regulating the adhesion of cells and biomolecules to hydrophobic surfaces
US6074614A (en) * 1995-06-07 2000-06-13 Molecular Devices Corporation Multi-assay plate cover for elimination of meniscus
US6121027A (en) * 1997-08-15 2000-09-19 Surmodics, Inc. Polybifunctional reagent having a polymeric backbone and photoreactive moieties and bioactive groups
US6316522B1 (en) 1997-08-18 2001-11-13 Scimed Life Systems, Inc. Bioresorbable hydrogel compositions for implantable prostheses
JP2001523572A (ja) * 1997-11-20 2001-11-27 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー 被塗物の多層塗装法
US6610836B1 (en) * 1999-01-29 2003-08-26 Genome Therapeutics Corporation Nucleic acid amino acid sequences relating to Klebsiella pneumoniae for diagnostics and therapeutics
JP4907824B2 (ja) 2000-01-05 2012-04-04 ノバルティス アーゲー ヒドロゲル
WO2002006373A1 (en) 2000-07-17 2002-01-24 University Of Utah Research Foundation Hydrogel films and methods of making and using therefor
JP2002191353A (ja) 2000-10-17 2002-07-09 Sanyo Chem Ind Ltd 細胞培養支持体及びその製造方法
US7575939B2 (en) * 2000-10-30 2009-08-18 Sru Biosystems, Inc. Optical detection of label-free biomolecular interactions using microreplicated plastic sensor elements
ATE419333T1 (de) 2001-02-06 2009-01-15 Massachusetts Inst Technology Peptidgerüstverkapselung von gewebszellen und verwendungen davon
US20050276858A1 (en) * 2001-04-23 2005-12-15 Kao Weiyuan J Bifunctional-modified hydrogels
US7615593B2 (en) * 2001-04-23 2009-11-10 Wisconsin Alumni Research Foundation Bifunctional-modified hydrogels
US6844028B2 (en) 2001-06-26 2005-01-18 Accelr8 Technology Corporation Functional surface coating
US6598586B2 (en) 2001-07-17 2003-07-29 Murray, Inc. Dual arm choke and throttle control
US20030113812A1 (en) 2001-10-02 2003-06-19 Hemperly John J. Proliferation and differentiation of stem cells using extracellular matrix and other molecules
WO2003053216A2 (en) * 2001-12-06 2003-07-03 University Of Washington Biodegradable, porous structures useful for growing living tissue, and methods of manufacture
US8298606B2 (en) * 2002-03-08 2012-10-30 The Regents Of The University Of California Methods and compositions for stabilizing the myocardium
CA2482884A1 (en) * 2002-04-19 2003-10-30 Pamgene B.V. Substrate plate, method and apparatus for manufacturing such a substrate plate, and system for conducting biossays comprising such a substrate plate
ES2449017T3 (es) 2002-06-21 2014-03-17 The University Of Utah Research Foundation Compuestos reticulados, y métodos de preparación y uso de los mismos
US20050019747A1 (en) * 2002-08-07 2005-01-27 Anderson Daniel G. Nanoliter-scale synthesis of arrayed biomaterials and screening thereof
WO2004014969A1 (en) 2002-08-09 2004-02-19 Ottawa Health Research Institute Bio-synthetic matrix and uses thereof
US7569222B2 (en) * 2002-11-18 2009-08-04 Woerly Stephane Hydrogel membrane composition and use thereof
US20060127878A1 (en) 2002-12-18 2006-06-15 Salomon David H Hydrogel preparation and process of manufacture thereof
WO2004085606A1 (ja) 2003-03-24 2004-10-07 National Institute For Environmental Studies 細胞培養基質および細胞接着蛋白質またはペプチドの固相化標品
US20040197557A1 (en) * 2003-03-27 2004-10-07 Eshraghi Ray R Process for manufacturing hollow fibers
AR046076A1 (es) * 2003-07-18 2005-11-23 Otsuka Pharma Co Ltd Procedimiento para obtener una poblacion homogenea de celulas precursoras de oligodendrocitos y poblacion obtenida
US7270881B2 (en) 2003-08-06 2007-09-18 The Procter & Gamble Company Coated water-swellable material
US7074615B2 (en) 2003-08-15 2006-07-11 Becton, Dickinson And Company Peptides for enhanced cell attachment and cell growth
WO2005021580A2 (en) * 2003-08-28 2005-03-10 Arizona Board Of Regents Hydrogels for modulating cell migration and matrix deposition
WO2005028619A2 (en) * 2003-09-15 2005-03-31 Massachusetts Institute Of Technology Nanoliter-scale synthesis of arrayed biomaterials and screening thereof
US20050136536A1 (en) 2003-09-15 2005-06-23 Anderson Daniel G. Embryonic epithelial cells
US20050059150A1 (en) * 2003-09-17 2005-03-17 Becton, Dickinson And Company Environments that maintain function of primary liver cells
US7384984B2 (en) 2003-12-10 2008-06-10 3M Innovative Properties Company Reactive hydrophilic oligomers
JP2007536935A (ja) 2004-05-14 2007-12-20 ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー 間葉幹細胞の無血清増殖のための細胞培養環境
WO2005115490A2 (en) 2004-05-25 2005-12-08 Surmodics, Inc. Natural biodegradable polysaccharide coatings for meical articles
JP2006042794A (ja) 2004-06-28 2006-02-16 Sanyo Chem Ind Ltd 細胞培養用樹脂ビーズ
JP2006174826A (ja) 2004-11-24 2006-07-06 Sanyo Chem Ind Ltd 細胞培養用感温膨潤性樹脂ビーズ
JPWO2006087809A1 (ja) * 2005-02-18 2008-07-03 シーシーアイ株式会社 熱媒体液組成物
US20060228386A1 (en) * 2005-02-22 2006-10-12 University Of Tennessee Research Foundation Polymeric microstructures
CA2603116A1 (en) 2005-03-29 2006-10-05 The Regents Of The University Of California Controlling stem cell destiny with tunable network
US8932620B2 (en) * 2005-06-17 2015-01-13 Drexel University Three-dimensional scaffolds for tissue engineering made by processing complex extracts of natural extracellular matrices
WO2007012050A2 (en) * 2005-07-20 2007-01-25 Surmodics, Inc. Polymer coated nanofibrillar structures and methods for cell maintenance and differentiation
CA2616863A1 (en) * 2005-07-29 2007-02-01 Australian Stem Cell Centre Limited Compositions and methods for growth of pluripotent cells
US20070029924A1 (en) 2005-08-03 2007-02-08 Nobuyuki Ushifusa Image display device
JP2009529589A (ja) 2006-03-15 2009-08-20 ザ・ユニバーシティ・オブ・シドニー 生体分子に結合する活性化ポリマー
US8241908B2 (en) 2006-05-16 2012-08-14 Becton, Dickinson And Company Extracellular matrix coated surface for culturing cells
EP2104846A2 (en) * 2006-12-29 2009-09-30 The University of Washington Dual-functional nonfouling surfaces and materials
KR101107875B1 (ko) * 2007-02-09 2012-01-25 미츠비시 레이온 가부시키가이샤 투명 성형체 및 이것을 이용한 반사 방지 물품
WO2008118392A2 (en) 2007-03-22 2008-10-02 The Regents Of The University Of California Synthetic cell platforms and methods of use thereof
US8574906B2 (en) 2007-08-09 2013-11-05 Corning Incorporated Cell culture surfaces having hydrogel supported proteins
EP2183289A2 (en) * 2007-08-31 2010-05-12 Corning Incorporated Reactive surface on a polymeric substrate
US20090110907A1 (en) * 2007-10-29 2009-04-30 Jiang Dayue D Membranes Based On Poly (Vinyl Alcohol-Co-Vinylamine)
BRPI0906724A2 (pt) * 2008-01-30 2019-05-07 Geron Corp artigo de cultura celular e triagem
EP2435490A1 (en) * 2009-05-28 2012-04-04 Corning Incorporated Swellable synthetic microcarriers for culturing cells

Also Published As

Publication number Publication date
IL207296A (en) 2013-08-29
KR20100131992A (ko) 2010-12-16
US20100248366A1 (en) 2010-09-30
CN102159704B (zh) 2013-12-25
AU2009210837A1 (en) 2009-08-13
US20090203065A1 (en) 2009-08-13
US20090191627A1 (en) 2009-07-30
ATE555191T1 (de) 2012-05-15
BRPI0906726A2 (pt) 2015-07-07
CA2714297A1 (en) 2009-08-13
WO2009099555A2 (en) 2009-08-13
US8168433B2 (en) 2012-05-01
EP2420564A3 (en) 2013-12-25
CN102137924A (zh) 2011-07-27
CN102159704A (zh) 2011-08-17
EP2247747A2 (en) 2010-11-10
WO2009099552A3 (en) 2010-01-14
WO2009099552A2 (en) 2009-08-13
US8354274B2 (en) 2013-01-15
WO2009099555A3 (en) 2010-01-21
EP2247716A2 (en) 2010-11-10
DK2247716T3 (da) 2012-05-29
EP2247716B1 (en) 2012-04-25
IL207326A0 (en) 2010-12-30
JP2011510655A (ja) 2011-04-07
BRPI0906724A2 (pt) 2019-05-07
KR20110007600A (ko) 2011-01-24
JP5501981B2 (ja) 2014-05-28
IL207296A0 (en) 2010-12-30
CA2713754A1 (en) 2009-08-13
AU2009210765A1 (en) 2009-08-13
EP2247747B1 (en) 2018-03-21
EP2420564A2 (en) 2012-02-22
JP2011514145A (ja) 2011-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5543374B2 (ja) 細胞培養製品およびスクリーニング
JP6596381B2 (ja) 幹細胞由来心筋細胞を培養するための合成表面
US8329469B2 (en) Swellable (meth)acrylate surfaces for culturing cells in chemically defined media
JP6080777B2 (ja) 細胞培養のための合成被覆
JP6366521B2 (ja) 幹細胞由来オリゴデンドロサイト前駆細胞を培養するための合成表面

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120130

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120130

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120904

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130917

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20131217

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20131225

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20140117

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140124

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20140217

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20140224

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140317

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140408

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140508

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5543374

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees