JP6080777B2 - 細胞培養のための合成被覆 - Google Patents

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Description

関連出願
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2011年3月17日に出願された米国仮特許出願第61/453654号の米国法典第35編第119条の下での優先権の恩恵を主張するものである。
本開示は、細胞培養に関し、より詳しくは、合成の既知組成被覆または表面、およびそのような被覆または表面を調製する方法に関する。
足場依存性細胞は、典型的に、細胞の表面に対する付着を促進させるために、支持細胞層、血清、コラーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、Matrigel(商標)などの動物由来成分を含有する表面または培地の存在下で培養される。
多くの動物由来の生物学的被覆の利点の1つは、特別な扱いにくい機器を使用せずに実施できる単純なプロトコルを使用して調製できる能力である。例えば、細胞接着タンパク質から製造された被覆は、適切な濃度とpHでタンパク質を水に溶解させ、被覆すべき物品の表面に適切な容量を施し、十分な時間と温度でインキュベーションし、濯いで未結合材料を洗い流すことによって、調製される。典型的に、化学架橋工程は必要ない。これにより、物品の表面上に細胞接着タンパク質を安定に固定化するための特別な化学的プロセスまたは物理的プロセスを使用することが避けられる。
しかしながら、培養環境に動物由来のものを加えると、細胞が潜在的に有害なウイルスまたは他の病原菌に曝露され、これにより、細胞の一般培養と維持が損なわれ、その細胞または細胞の製品を治療目的に使用すべき場合には、患者に移る可能性がある。その上、そのような生物学的製品は、バッチ間のばらつき、免疫応答および限られた貯蔵寿命を受けやすい。
したがって、既知組成または無血清の培地中で細胞を支持できる合成細胞培養表面を製造する方法が望ましい。このことは、三胚葉のいずれかに分化して、成熟細胞タイプを生じる能力を有する、多能性幹細胞などの、治療目的で患者に使用できる細胞にとって特に当てはまる。
汚染の恐れとバッチ間のばらつきを克服するために、細胞接着特性を有する組換えタンパク質が提案されてきた。しかしながら、そのような技法は、たいてい複雑であり、大規模な精製を必要とし、費用がかかる。細胞接着ポリペプチドがグラフトできるモノマーから膨潤性ポリマーをその場形成することが提案されてきた。しかしながら、そのような技法では、均質表面を製造するためにモノマーの注型および溶媒の蒸発の注意深い制御、UV硬化のための複雑な機器、およびポリペプチドグラフトのための複雑な化学的性質が必要とされる。
生物学的被覆について遭遇する問題を解決するための別の手法には、細胞培養物品の表面上に水不溶性ポリマーおよび関連する細胞接着ポリペプチドまたはリガンドを被覆することがある。このポリマーおよび関連する細胞接着ポリペプチドは、水性細胞培養培地の存在下で放出されたり、溶解したりしないように水不溶性である。しかしながら、ポリマー・ポリペプチド/リガンドポリマーは水不溶性であるので、それらは、生物学的接着因子に通常行われるようには、水溶液からの被覆に使用することができない。その上、そのようなプロセスは、分配と溶媒蒸発を注意深く制御しないと、不均質な被覆を生成する傾向にあり、大型容器またはマルチウェルプレートからの小さいウェルなどの様々なフォーマットには、そのような異なるフォーマット内で生じる変わりやすい蒸発速度のために、実施できないかもしれない。
潜在的な異種汚染およびバッチ間のばらつきを防ぐために合成ポリマーを使用する簡単な被覆プロセスであって、動物由来の生物学的接着因子に通常行われるように簡単に行える被覆プロセスが、依然として必要とされている。
特に、本開示は、細胞培養物品を、接続(conjugated)ポリペプチドを有する合成ポリマーを含有する水溶液に接触させ、被覆された物品を熱または電磁放射線に曝露して、細胞接着表面を有する細胞接着物品を製造することによって、細胞培養物品を製造する方法を記載するものである。ここに記載された合成ポリマーおよび接続ポリペプチドは、低温または室温の水に可溶性であるが、熱またはUV光などの電磁放射線に曝露されると、基体にしっかりと接着される。このポリマーは、多くの実施の形態において、架橋剤を含まないが、水溶液から基体に堆積された合成ポリマーの接着強度は、緩衝液または界面活性剤水溶液による厳しい洗浄に耐えるのに十分に強く、エタノール消毒中の剥離にも耐えるであろう。ここに記載された合成組成物および方法は、水性であるので、多くの実施の形態において、バッチ間の変動が少なく、生体異物汚染の可能性が減少して、動物由来の被覆表面と類似の均質な被覆表面を生成する。
ここに記載された様々な実施の形態において、細胞培養物品の表面を被覆する方法は、共有結合したポリペプチドを有するポリマーを水溶液中に溶解させて、ポリマー溶液を生成する工程を含む。このポリマーは、二価以上の官能性を有するモノマーからは作られない。ポリペプチドに接続したポリマーに対するポリペプチドの質量百分率は、ポリペプチドに接続したポリマーを水溶性にするほど十分に高い。この水溶液は有機溶媒を実質的に含まない。この方法は、(i)細胞培養物品の表面にポリマー溶液を配置して、被覆物品を製造する工程、および(ii)その被覆物品に、ポリペプチドに接続したポリマーを細胞培養物品の表面に結合させるのに十分な熱または電磁放射線を施す工程をさらに含む。
ここに記載された細胞培養物品、組成物、または方法の1つ以上の実施の形態は、従来の細胞培養物品、組成物、または被覆細胞培養物品を製造する方法に勝る1つ以上の利点を提供する。例えば、その被覆は完全に合成であるので、バッチ間のばらつき、免疫応答、限られた貯蔵寿命、および潜在的に有害なウイルスまたは患者に移り得る他の病原菌への細胞の曝露の恐れを被らない。被覆プロセスは、実施するのが簡単であり、動物由来の生物学的接着因子に行われるプロトコルに匹敵し、合成被覆を使用する他のプロセスのように複雑ではない。さらに、その被覆プロセスでは、不活性ガスブランケットまたはパージを適用するのに必要な機器などの、高価で扱いにくい機器を使用する必要がない。このプロセスは、水性であり、それゆえ、有機溶媒を必要とするプロセスよりも、安く、使いやすく、環境に優しい。この組成物および方法により、幅広い容器のフォーマットを被覆することができ、そのフォーマットは低コストで高い均一性で被覆できる。ビーズや多孔質3D材料などの複雑な3D形状の基体でさえも、ここに記載された組成物および方法を使用して被覆することができるが、その場の重合プロセスを使用するプロセスではそうではない。その場の重合プロセスに勝る別の利点には、被覆の組成物が常に同じであることを確実にするために、被覆前に、ポリマーの品質管理点検を行う能力がある。その上、単純化された被覆プロセスのために、組成物は、ほとんどどのよう実験室の設定においても、末端ユーザによる被覆に使用するためのキットとして提供できる。これらと他の利点は、添付図面と共に読んだときに、以下の詳細な説明から容易に理解されよう。
接続した細胞接着ポリペプチドを有するポリ(MMA−PEG4−VN)ホモポリマーを製造するための反応スキーム 接続した細胞接着ポリペプチドを有するポリ(HEMA−co−MMA−PEG4−VN)コポリマーを製造するための反応スキーム 被覆物品の側面図 被覆物品の側面図 未被覆表面および側壁を備えたウェルを有する細胞培養物品の断面図 被覆表面および側壁を備えたウェルを有する細胞培養物品の断面図 被覆表面および被覆側壁を備えたウェルを有する細胞培養物品の断面図 コロイド金全タンパク質染色によって測定した様々な基体上の固定化コポリマーの量を示す棒グラフ ここに提示された教示にしたがって被覆された、非処理、TCT処理、CellBIND(登録商標)処理およびULA処理6ウェルポリスチレンプレートに関する、BCAにより定量された固定化ペプチドの量(ピコモル/mm2)を示す棒グラフ UV光曝露などの、ポリマーを固定化するための様々な方法を使用し、それぞれ、15分間に亘り80℃、または6時間に亘り37℃で加熱した、TCT基体上の固定化コポリマーの量を示す棒グラフ ここに提供された教示にしたがって被覆され、6時間に亘り37℃、または15分間に亘り80℃でインキュベーションされたか、または40〜50℃で30J/cm2のVU−Aに曝露された、TCT処理された6ウェルポリスチレンプレートに関する固定化ペプチドの量(ピコモル/mm2)を示す棒グラフ ここに提示された教示にしたがって被覆されたT−75フラスコ(B)、CellStack層(A)および6ウェルプレート(C)のコロイド金染色(カリフォルニア州、ハーキュリーズ所在のBio-Rad社から市販されているColloidal Gold Total Protein Stain試薬)を示す写真 ここに提示された教示にしたがって被覆された96ウェルプレートのコロイド金染色を示す写真 図10からの96ウェルプレートのコロイド金染色の定量化を示すグラフ 「Matrigel」被覆6ウェルプレート(a)およびここに記載された実施の形態にしたがう被覆により被覆されたプレート(b)上の、播種(mTeSR1(登録商標)中)から3日後に形成されたBG01v hESCコロニーを示す顕微鏡写真 Corning Synthemax(商標)、Mesencult(商標)接着基体およびここに提示された実施の形態による被覆上で培養されたhMSCに関する細胞生存率および増殖倍率データを示す表 ここに記載された実施の形態による被覆(a〜b)および「MesenCult」接着基体生物学的被覆(c〜d)上の、播種から2日後および4日後の、骨髄由来hMSCの形態を示す顕微鏡写真 ここに提示された教示にしたがって被覆された、非処理ポリスチレン(d)、TCT処理ポリスチレン(a)、「CellBIND」処理ポリスチレン(b)およびULA処理ポリスチレン(c)のプレート上の、単細胞播種から1日後に形成されたESD3 mESCコロニーの顕微鏡写真 単細胞播種から1日後に形成されたESD3 mESCコロニーの形態を示す顕微鏡写真:(a)エタノール消毒を使用せずに播種した細胞;(b)70%エタノールで1時間消毒した後に播種した細胞 図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれていない。図面に使用した同様の数字は、同様の構成要素、工程などを称する。しかしながら、所定の図面におけるある構成要素を称するためにある数字を使用することは、同じ数字が付された別の図面の構成要素を制限することを意図していない。その上、構成要素を称するために異なる数字を使用することは、異なる数字の構成要素が同じまたは類似であり得ないことを示すことは意図されていない。
以下の詳細な説明において、その一部を形成し、例として、デバイス、システムおよび方法のいくつかの特別な実施の形態が示されている、添付図面を参照する。他の実施の形態が考えられ、本開示の範囲または精神から逸脱せずに、作製されるであろうことが理解されよう。したがって、以下の詳細な説明は、制限を意味するものと解釈すべきではない。
ここに使用した全ての科学用語と技術用語は、別記しない限り、当該技術分野に一般に使用されている意味を有する。ここに提供された定義は、ここに頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするものであり、本開示の範囲を制限することは意味しない。
本明細書および付随の特許請求の範囲に使用されているように、単数形は、そうではないと明白に示されていない限り、複数の対象を有する実施の形態を包含する。本明細書および付随の特許請求の範囲に使用されているように、「または」という用語は、そうではないと明白に示されていない限り、「および/または」を含む意味で一般に使用される。
ここに用いたように、「有する(have, having)」、「含む(include, including, comprise, comprising)」などの用語は、範囲を制限しない意味で使用されており、一般に、「含む(including)が、制限されない」ことを意味する。「から実質的になる」、「からなる」などの用語は、「含む(comprising)」などに包含されることが理解されよう。
ここに用いたように、「接続した(conjugated)」は、モノマーまたはポリマーおよびポリペプチドに関するように、ポリペプチドが、ポリマーまたはモノマーに直接的または間接的(例えば、スペーサを介して)に共有結合していることを意味する。
ここに用いたように、「モノマー」は、別のモノマーと重合できる化合物を意味する(「モノマー」が、他のモノマーと同じまたは異なる化合物であるか否かにかかわらず)。
ここに用いたように、「(メタ)アクリレートモノマー」は、メタクリレートモノマーまたはアクリレートモノマーを意味する。ここに用いたように、「(メタ)アクリルアミドモノマー」は、メタクリルアミドモノマーまたはアクリルアミドモノマーを意味する。(メタ)アクリレートモノマーおよび(メタ)アクリルアミドモノマーは、少なくとも1つのエチレン性不飽和部分を有する。「ポリ(メタ)アクリレート」は、ここに用いたように、少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーを含む1種類以上のモノマーから形成されたポリマーを意味する。「ポリ(メタ)アクリルアミド」は、ここに用いたように、少なくとも1つの(メタ)アクリルアミドモノマーを含む1種類以上のモノマーから形成されたポリマーを意味する。
ここに用いたように、ポリペプチドに接続したポリマーに「実質的に類似の」、接続したポリペプチドを持たないポリマーは、ポリペプチドが含まれていないことを除いて、ポリペプチドに接続したポリマーと同じ様式で形成されたポリマーである。例えば、ポリペプチドは、ポリマーが形成された後に、グラフトによってポリマーに接続されてもよい。そのような場合、ポリペプチドに接続していない実質的に類似のポリマーは、グラフトされていないポリマーである。さらに別の例として、モノマーはポリペプチドで誘導体化されてよく、そのポリペプチドは、そのモノマーが重合または共重合されるときに、ポリマーに取り込まれてもよい。そのような場合、ポリペプチドに接続していない実質的に類似のポリマーは、そのモノマーがポリペプチドに誘導体化されていないことを除いて、ポリペプチドに接続したポリマーと同じ反応条件下で形成されたポリマーである。
ポリペプチド配列は、ここでは、1文字のアミノ酸コードまたは3文字のアミノ酸コードにより称される。これらのコードは交換可能に使用してよい。
ここに用いたように、「ペプチド」および「ポリペプチド」は、化学合成されても、または組換え由来であってもよいが、動物源から完全なタンパク質として単離されない、アミノ酸の配列を意味する。本開示の目的に関して、ペプチドおよびポリペプチドは総タンパク質ではない。ペプチドおよびポリペプチドは、タンパク質の断片であるアミノ酸配列を含んでよい。例えば、ペプチドおよびポリペプチドは、RGDなどの細胞接着配列として知られている配列を含んでもよい。ポリペプチドは、長さが3と30の間のアミノ酸などの、任意の適切な長さのものであってよい。ポリペプチドは、それらが、例えば、エクソペプチダーゼにより分解されるのを防ぐために、アセチル化(例えば、Ac−LysGlyGly)またはアミド化(例えば、SerLysSer−NH2)されていてもよい。これらの修飾は、ある配列が開示された場合に考えられることが理解されよう。
本開示は、特に、細胞培養物品を、接続したポリペプチドを有する合成ポリマーを含有する水溶液と接触させ、被覆された物品を熱または電磁放射線に曝露して、細胞接着表面を有する細胞培養物品を製造することによって、細胞培養物品を被覆するための組成物および方法を記載する。ここに記載された合成ポリマーおよび接続したポリペプチドは、低温(例えば、20℃未満)または室温(25℃)の水中に可溶性であるが、熱またはUV光などの電磁放射線に曝露されると、基体にしっかりと接着される。多くの実施の形態において、ポリマーが架橋剤を含まないにもかかわらず、それらのポリマーは、緩衝液または界面活性剤水溶液による厳しい洗浄に耐えるのに十分な強度で基体に接着し、エタノール消毒中の剥離にも耐えるであろう。ここに記載された合成組成物および方法は、水性であるので、動物由来の細胞接着因子と類似の均質な被覆表面を生成するが、バッチ間のばらつきが少なく、生体異物汚染の可能性が減少している。
ポリマー
ここに記載されたポリペプチドに接続したポリマーは、室温で水溶性である。しかしながら、多くの実施の形態において、ポリペプチドに接続していない実質的に類似のポリマーは、室温で水溶性ではない。そのような実施の形態において、ポリペプチドは、ポリペプチドに接続したポリマーを水溶性にする働きをする。ポリペプチドに接続していない実質的に類似のポリマーは、典型的に37℃である細胞培養温度で水溶性ではないことが好ましい。細胞培養のための適切なモジュラスを提供するために、ポリマーが、37℃で水中において膨潤性であることも望ましい。
ポリペプチドに接続したポリマーは、どのような適切なモノマーを使用してどのような適切なプロセスによって形成してもよい。多くの実施の形態において、ポリマーを形成するために使用される1種類以上のモノマーは単官能性であり、ポリマーを形成するために、二官能性以上のモノマーは使用されない。ここに用いたように、「官能性」は、モノマーに関するように、重合できる反応性基を称する。したがって、ポリマー反応混合物中に二官能性以上のモノマーが含まれないことは、ポリマーが実質的に架橋を含まないことを意味する。
多くの実施の形態において、ポリマーを形成するために使用されるモノマーは、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、マレイミド、フマル酸基、ビニルスルホンなどのエチレン性不飽和基を含有する。ポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。モノマーは、ポリマーが37℃で水に不溶性であるように選択してもよいが、ポリペプチドに接続されたときに、4℃から25℃の範囲で水溶性である。
様々な実施の形態において、使用されるモノマーは、式(I):
の(メタ)アクリレートモノマーであり、式中、AはHまたはメチルであり、BはH、C1〜C6直鎖または分岐鎖アルコールまたはエーテル、もしくはカルボキシル基(−COOH)で置換されたC1〜C6直鎖または分岐鎖アルキルである。いくつかの実施の形態において、BはC1〜C4直鎖または分岐鎖アルコールである。いくつかの実施の形態において、Bはカルボキシル基で置換された直鎖または分岐鎖C1〜C3である。一例として、2−カルボキシエチルメタクリレート、2−カルボキシエチルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートなどを使用してよい。
様々な実施の形態において、使用されるモノマーは、式(II):
の(メタ)アクリルアミドモノマーであり、式中、Aは水素またはメチルであり、BはH、C1〜C6直鎖または分岐鎖アルコールまたはエーテル、もしくはカルボキシル基(−COOH)で置換されたC1〜C6直鎖または分岐鎖アルキルである。いくつかの実施の形態において、Bはカルボキシル基で置換された直鎖または分岐鎖C1〜C3である。いくつかの実施の形態において、BはC1〜C4直鎖または分岐鎖アルコールである。一例として、2−カルボキシエチルアクリルアミド、アクリルアミドグリコール酸、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミド、3−アクリロイルアミド−1−プロパノール、N−アクリルアミド−エトキシエタノール、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドなどを使用してよい。
ポリマーを形成するために使用される1つまたは複数のモノマーは、所望の特徴(例えば、モジュラス、膨潤性、水溶性)を有するポリマーを達成するように選択してよい。例えば、複数のモノマーから形成されたコポリマーは、モノマーの任意の1つから形成されたホモポリマーよりも程度の大きい膨潤性を有するであろう。一般に、より長い鎖のアルキル基を有するモノマーは、接続したポリペプチドが、ポリマー・ポリペプチドを適切な温度で水溶性にできなくするほど、そのポリマーを水不溶性にする傾向にある。その上、水素結合を支援する部分、または選択されたpHレベルで荷電される部分を有するモノマーは、そのポリマーをより水溶性にする傾向があるであろう。当業者には、所望の特徴を有するポリマーを調製するために適切なモノマーおよびモノマー比を選択することが、容易にできるであろう。
適切な量の適切なモノマーが一旦選択されたら、重合反応によりポリマーを形成してよい。ポリマーを形成するモノマーに加えて、その組成物は、界面活性剤、湿潤剤、光開始剤、熱開始剤、触媒、および活性化剤などの1種類以上の追加の化合物を含んでもよい。
どのような適切な重合開始剤を使用してもよい。当業者には、そのモノマーに使用するのに適した適切な開始剤、例えば、ラジカル開始剤またはカチオン開始剤を選択することが容易にできるであろう。様々な実施の形態において、連鎖重合を開始するためのフリーラジカルモノマーを生成するために、UV光が使用される。重合開始剤の例としては、有機過酸化物、アゾ化合物、キノン、ニトロソ化合物、ハロゲン化アシル、ヒドラゾン、メルカプト化合物、ピリリウム化合物、イミダゾール、クロロトリアジン、ベンゾイン、ベンゾイルアルキルエーテル、ジケトン、フェノン、またはそれらの混合物が挙げられる。適切な市販の紫外線活性化光開始剤および可視光活性化光開始剤の例には、ニューヨーク州、タリタウン所在のCiba Specialty Chemicals社から市販されている、IRGACURE 651、IRGACURE 184、IRGACURE 369、IRGACURE 819、DAROCUR 4265およびDAROCUR 1173、並びにBASF社(ノースカロライナ州、シャーロット所在)から市販されているLUCIRIN TPO−Lなどの商標名がある。
光増感剤が適切な開始剤系に含まれてもよい。代表的な光増感剤は、カルボニル基または第3アミノ基もしくはその両方を有する。カルボニル基を有する光増感剤としては、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンジル、ベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、キサントン、チオキサントン、9,10−アントラキノン、および他の芳香族ケトンが挙げられる。第3アミノ基を有する光増感剤としては、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、フェニルメチルエタノールアミン、および安息香酸ジメチルアミノエチルが挙げられる。市販の光増感剤としては、Biddle Sawyer Corp.からのQUANTICURE ITX、QUANTICURE QTX、QUANTICURE PTX、QUANTICURE EPDが挙げられる。
概して、光増感剤系または光開始剤系の量は、約0.01から10質量%まで様々であってよい。
使用してよいカチオン開始剤の例としては、アリールスルホニウム塩などのオニウムカチオンの塩、並びにイオンアレーン系などの有機金属塩が挙げられる。
使用してよいフリーラジカル開始剤の例としては、2,2’−アゾビス(ジメチル−バレロニトリル)、アゾビス(イソブチロニトリル)、アゾビス(シクロヘキサン−ニトリル)、アゾビス(メチル−ブチロニトリル)などのアゾタイプの開始剤、並びにベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、イソプロピルペルオキシカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイル)ヘキサン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、重硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、重硫酸ナトリウムなどの組合せなどの過酸化物開始剤、およびそれらの混合物が挙げられる。もちろん、どのような他の適切なフリーラジカル開始剤を使用してもよい。開始剤の効果的な量は、一般に、反応混合物の0.1質量パーセントから約10質量パーセントまたは約0.1質量パーセントから約8質量パーセントなどの、反応混合物の約0.1質量パーセントから約15質量パーセントの範囲内にある。
様々な実施の形態において、1種類以上のモノマーは、重合を行う前に、希釈される。
重合反応から生じるポリマーは、どのような適切な分子量を有してもよい。様々な実施の形態において、そのポリマーは、10,000と250,000ダルトンの間などの、10,000と1,000,000ダルトンの間の平均分子量(Mw)を有する。当業者には、結果として生じたポリマーの分子量を調節するために、開始剤の量、反応時間、反応温度などを変えてもよいことが理解されよう。
(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミドモノマー、または他の適切なモノマーは、当該技術分野に公知のように合成しても、Polysciences, Inc.、Sigma Aldrich, Inc.、およびSartomer, Inc.などの製造供給元から得てもよい。
ポリペプチドの取込み
ポリペプチドは、どのような適切な様式でポリマーに接続してもよい。いくつかの実施の形態において、モノマーは、ポリペプチドを含むように誘導体化されており、それゆえ、ポリペプチドは、ポリマーが形成されているときにポリマーに取り込まれる。いくつかの実施の形態において、ポリペプチドは、ポリマーが形成された後にポリマーにグラフトされる。
ここで、図1〜2を参照すると、ポリマーが形成されているときに、ポリマーにポリペプチドを取り込む反応スキームの例が示されている。図1において、ビトロネクチンポリペプチド(VN)が、繰り返しのポリエチレングリコール(PEG4)スペーサを介してメタクリレート(MAA)に接続されている。ホモポリマーは、適切な条件下で、ポリペプチド(VN)に接続したモノマー(MAA)を重合させることによって、生成される。図示された実施の形態において、エタノールは溶媒であり、2,2’−アゾジ(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)は熱開始剤であり、反応温度は68℃であり、反応はアルゴン雰囲気下で行われる。
ここに提示された実施例1に記載されたような、どのような適切なプロセスを使用して、ポリペプチドを含ませるためにモノマーを誘導体化してもよい。ポリペプチド・モノマーを調製するための周知のプロセスが、発明者としてKizilel, S.等を挙げている、2007年8月16日に公開された米国特許出願公開第2007/0190036号に記載されている。もちろん、モノマーをポリペプチドで誘導体化する他の方法を使用してもよい。
図2に示された実施の形態において、先の図1に関して記載された反応条件と類似の反応条件下で、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)およびMMA−PEG4−VNからコポリマーが形成される。ポリマーを製造するために多数のモノマーを使用することにより、ポリマーが形成されるときに、ポリペプチドがポリマーに取り込まれるか否かにかかわらず、結果として得られるポリマーの性質を所望のように、より容易に調節することができる。
様々な実施の形態において、ポリペプチドは、既に形成されたポリマーにグラフトされる。ポリペプチドが、ポリマーのペンダント反応性基に接続できるアミノ酸を含むことが好ましい。ポリマーがポリペプチドとの反応のために有することのある反応性基の例としては、マレイミド、グリシジル、イソシアネート、イソチオシアネート、活性化エステル、活性化カーボネート、無水物などが挙げられる。一例として、例えば、アミド結合の形成により、求核付加反応を可能にする官能基を有する任意の天然アミノ酸またはバイオミメティックアミノ酸が、適切な反応性基を有するポリペプチドに接続する目的のために、ポリペプチドに含まれてもよい。リシン、ホモリシン、オルニチン、ジアミノプロピオン酸、およびジアミノブタン酸が、カルボキシル基などの、ポリマーの反応性基に接続するための適切な性質を有するアミノ酸の例である。その上、N末端アミンがキャッピングされていない場合、カルボキシル基に接続するために、ポリペプチドのN末端アルファアミンを使用してもよい。様々な実施の形態において、マイクロキャリアと接続するポリペプチドのアミノ酸は、ポリペプチドのカルボキシル末端位置またはアミノ末端位置にある。
ポリペプチドは、どのような適切な技法によりポリマーに接続されてもよい。ポリペプチドは、アミノ末端のアミノ酸、カルボキシル末端のアミノ酸、または内部のアミノ酸によりポリマーに接続されてもよい。適切な技法の1つには、当該技術分野に一般に知られているような、1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)/N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)化学反応がある。EDCおよびNHSまたはN−ヒドロキシスルホスクシンイミド(スルホ−NHS)が、ポリマーの自由なカルボキシル基と反応して、アミン反応性NHSエステルを生成できる。EDCはポリマーのカルボキシル基と反応して、加水分解を受けやすいアミン反応性O−アシルイソウレア中間体を生成する。NHSまたはスルホ−NHSの付加は、アミン反応性O−アシルイソウレア中間体をアミン反応性NHSまたはスルホ−NHSエステルに転化して、二段階工程を可能にすることによって、アミン反応性O−アシルイソウレア中間体を安定化させる。ポリマーの活性化後、次いで、ポリペプチドが加えられ、ポリペプチドの末端アミンがアミン反応性エステルと反応して、安定したアミド結合を形成し、それゆえ、ポリペプチドをポリマー層に接続することができる。ポリペプチドをポリマーに接続するために、EDC/NHS化学反応が使用される場合、N末端アミノ酸は、リシン、オルニチン、ジアミノ酪酸、またはジアミノプロピオン酸などのアミン含有アミノ酸であることが好ましい。もちろん、ヒドロキシルアミン、ヒドラジン、ヒドロキシルなどの、許容されるどのような求核試薬を使用してもよい。
EDC/NHS化学反応により、マイクロキャリアへのポリペプチドのゼロ長架橋が生じる。末端アミンを有するポリ(エチレングリコール)リンカー(例えば、Quanta BioDesign, Ltd.から市販されている)などのリンカーまたはスペーサをポリペプチドのN末端アミノ酸に加えてもよい。N末端アミノ酸にリンカーを加える場合、そのリンカーはN−PG−アミド−PEGX−酸であることが好ましく、式中、PGは、Fmoc基、BOC基、CBZ基またはペプチド合成を受けやすい任意の他の基などの保護基であり、Xは、2、4、6、8、12、24または任意の他の個別の利用できるPEGである。
もちろん、ポリペプチドをポリマーにグラフトするためのどのような他の適切な機構を使用してもよい。その上、どのような適切なスペーサを使用してもよい。ポリペプチドからポリマーの表面までの距離を増加させるために、繰り返しポリ(エチレングリコール)リンカーまたは任意の他の適切なリンカーなどのリンカーまたはスペーサを使用してもよい。そのリンカーはどのような適切な長さのものであってもよい。例えば、リンカーが繰り返しポリ(エチレングリコール)リンカーである場合、そのリンカーは、2と10の間の繰り返しエチレングリコール単位を含有してよい。いくつかの実施の形態において、リンカーは、約4の繰り返しエチレングリコール単位を有する繰り返しポリ(エチレングリコール)リンカーである。ポリペプチドの全て、またはいくらかがリンカーを介してポリマーに接続していても、全くしていなくてもよい。使用してよい他の潜在的なリンカーとしては、ポリ(グリシン)またはポリ(β−アラニン)などのポリペプチドリンカーが挙げられる。
リンカーは、細胞培養に使用される場合、ポリペプチドの細胞に対する接近可能性をよりよくするように働くであろう。その上、ポリペプチドがモノマーに接続されている実施の形態において、リンカーを使用すると、ホモポリマーまたはコポリマーへのモノマーの重合の効率が増加するであろう。
ポリペプチドは、環化されていても、環状部分を含んでもよい。環状ポリペプチドを形成するどのような適切な方法を使用してもよい。例えば、適切なアミノ酸側鎖の自由なアミノ基および適切なアミノ酸側鎖の自由なカルボキシル基を環化させることによって、アミド結合を形成してもよい。また、ペプチド配列における適切なアミノ酸側鎖の自由なスルフヒドリル基の間でジスルフィド結合を形成してもよい。環状ポリペプチド(またはその部分)を形成するために、どのような適切な技法を使用してもよい。一例として、例えば、国際公開第1989/005150号パンフレットに記載されている方法を使用して、環状ポリペプチドを形成してもよい。ポリペプチドがカルボキシル末端とアミノ末端との間にアミド結合を有する、頭−尾結合環状ポリペプチドを使用してもよい。ジスルフィド結合の代わりは、例えば、Koide et al, 1993, Chem. Pharm. Bull. 41(3):502-6; Koide et al.,1993, Chem. Pharm. Bull. 41(9):1596-1600; またはBesse and Moroder, 1997, Journal of Peptide Science, vol. 3, 442-453に記載されているような、2つのセレノシステインを使用したジセレニド結合または混合セレニド/スルフィド結合であってもよい。
ポリペプチドは、当該技術分野に公知のように合成しても(あるいは分子生物学技法により産生しても)、またはAmerican Peptide Company、CEM Corporation、またはGenScript Corporationなどの製造供給元から得てもよい。リンカーは、当該技術分野に公知のように合成しても、またはQuanta BioDesign, Ltd.から市販されている個別ポリエチレングリコール(dPEG(登録商標))リンカーなどのように、製造供給元から得てもよい。
様々な実施の形態において、ポリペプチドまたはその一部は、細胞接着活性を有する;すなわち、ポリペプチドがポリマーに接続される場合、そのポリペプチドにより、細胞がペプチド含有ポリマーの表面に接着することができる。一例として、ポリペプチドは、インテグリン・ファミリーからのタンパク質により認識される、または細胞接着を維持できる細胞分子との相互作用をもたらす、アミノ酸配列、またはその細胞接着部分を含んでよい。例えば、ポリペプチドは、コラーゲン、ケラチン、ゼラチン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、骨シアロタンパク質(BSP)など、またはその部分に由来するアミノ酸配列を含んでよい。様々な実施の形態において、ポリペプチドは、ArgGlyAsp(RGD)のアミノ酸配列を含む。
ここに論じられたポリペプチドのいずれについても、具体的に特定されたアミノ酸または公知のアミノ酸を保存アミノ酸で置き換えてもよいことが理解されよう。「保存アミノ酸」は、ここに用いたように、第2のアミノ酸と機能的に類似のアミノ酸を称する。そのようなアミノ酸は、公知の技法により、ポリペプチドの構造または機能への妨害を最小にして、ポリペプチドにおいて互いに置き換えられてもよい。以下の5種類の基の各々は、互いに保存置換基であるアミノ酸を含有する:脂肪族:グリシン(G)、アラニン(A)、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I);芳香族:フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);硫黄含有:メチオニン(M)、システイン(C);塩基性:アルギニン(R)、リシン(K)、ヒスチジン(H);酸性:アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、アスパラギン(N)、グルタミン(Q)。
1つ以上のポリペプチドが、グラフトされるか、またはポリマー形成中に含まれるかにかかわらず、任意の適切な量でポリマーに接続されてもよい。ポリペプチドの質量パーセントは、ポリペプチドに接続したポリマーを水溶性にするほど十分に高いことが好ましい。様々な実施の形態において、ポリペプチドに接続したポリマーに対するポリペプチドの質量パーセントは、60%以上などの40%以上である。そのような質量パーセントは、1500ダルトン以上の分子量を有するポリペプチドについて、良好な水溶性、良好な固定化効率、および許容される細胞接着を達成するように決定される。
ここに記載されたポリマーは、任意の適切な接着性ポリペプチドまたはポリペプチドの組合せが接続される合成表面を提供し、未知の成分を有する生物学的基質または血清の代替物を提供する。現行の細胞培養の実施において、ある細胞タイプは、細胞が培養表面に接着し、持続可能に培養されるために、培養表面上に生物学的ポリペプチドまたはペプチドの組合せが存在する必要があることが知られている。例えば、HepG2/C3A肝細胞は、血清の存在下でプラスチック製培養物品に結合できる。血清は、プラスチック製培養物品に接着して、特定の細胞が付着できる表面を提供するポリペプチドを提供できることも知られている。しかしながら、生物学的に誘導された基質および血清は未知の成分を含有する。細胞の付着を生じる血清または生物学的に誘導された基質の特定の成分または成分(ペプチド)の組合せが公知である場合の細胞について、それらの公知のポリペプチドを合成し、ここに記載したようにポリマーに施して、細胞を、未知の起源または組成の成分がないかまたは非常に少ない合成表面上で培養することができる。
被覆組成物
ポリペプチドに接続したポリマーは、細胞培養物品を被覆するのに使用するために、水溶液中に溶解されていてもよい。この水溶液は、有機溶媒を含まない、または実質的に含まない。いくらかの少量の有機溶媒が、例えば、重合後のポリマー中に残留するいくらかの有機溶媒の結果として、水溶液中に存在するかもしれないと理解されるであろう。ここに用いたように、「実質的に含まない」は、水溶液中の有機溶媒に関するように、水溶液が有機溶媒を2質量%未満しか含まないことを意味する。多くの実施の形態において、水溶液は、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、または0.1%未満しか有機溶媒を含有しない。水溶液が含まない有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノール、オクタノール、ヘキサン、ヘプタン、アセトン、酢酸アセチル、酢酸エチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。
ポリペプチドに接続したポリマーは、被覆の目的のためにどのような適切な濃度で水溶液中に溶解してもよい。例えば、水溶液は、0.2mg/mlと0.3mg/mlの間のポリペプチドに接続したポリマー、または約0.25mg/mlのポリペプチドに接続したポリマーなどの、0.1mg/mlと0.5mg/mlの間のポリペプチドに接続したポリマーを含有してもよい。
多くの実施の形態において、水溶液は、水および溶解した、ポリペプチドに接続したポリマーから実質的になる、またはからなる。もちろん、その溶液は、リン酸緩衝溶液などのpH緩衝溶液であってよく、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムなどのモル浸透圧濃度調節剤を含有してもよく、界面活性剤または他の適切な試薬を含んでもよい。
この水溶液は、架橋剤を含まないまたは実質的に含まないことが好ましい。ここに用いたように、「架橋剤」は、ポリマー・ポリペプチドのポリマー部分において架橋を含ませられる薬剤、またはそのポリマー部分を架橋できる薬剤を称する。ここに用いたように、「実質的に含まない」は、架橋剤に関するように、微量の架橋剤が存在した結果としての、ポリマー中に感知できるほどの架橋が生じないことを意味する。ポリマー部分が実質的に含まない架橋剤の例としては、「Bioconjugate Techniques, Second Edition by Greg T. Hermanson」に記載されているものなどの、同一多官能性または異種多官能性架橋剤を含む周知の架橋剤が挙げられる。前記組成物は、相互貫入網目構造または半相互貫入網目構造の形成をもたらし得る多官能性オリゴマーまたはポリマーを「実質的に含まない」。
被覆プロセス
ポリペプチドに接続したポリマーは、どのような適切な様式で細胞培養物品に被覆してもよい。一般に、先に記載したような、ポリペプチドに接続したポリマーを含有する水溶液は、細胞培養物品の表面上に配置される。その水溶液は、その物品の表面に吹き付けても、または物品の表面に注ぐなどしてもよい。いくつかの実施の形態において、その物品は、水溶液に沈められ、そこから取り出される。
水溶液が一旦、物品の表面に配置されたら、被覆物品に、ポリペプチドに接続したポリマーを物品の表面に結合させるのに十分な熱または電磁放射線を施す。このポリマーを物品の表面に共有結合させることもできるが、そのポリマーは、典型的に、非共有相互作用により物品に結合する。ポリマーを基体に取り付ける非共有相互作用の例としては、化学吸着、水素結合、表面相互貫入、イオン結合、ファンデルワールス力、疎水性相互作用、双極子間相互作用、機械的連結、およびそれらの組合せが挙げられる。ポリマーは、37℃での細胞培養培地の存在下などの、細胞培養条件中に剥離したり、溶解したりしないように物品の表面に結合していることが好ましい。様々な実施の形態において、被覆物品は、ポリマー・ポリペプチドの90%超が、37℃での1週間に亘る水中のインキュベーション後に表面に結合したままであるように、ポリマーを細胞培養物品の表面に結合させるのに十分な量の熱または電磁放射線に施される。ポリマー・ポリペプチドの95%超、または99%超が結合したままであることが好ましい。
どのような適切な量の熱または電磁放射線を使用してもよい。例えば、細胞培養物品は、数分間から数時間までの期間に亘り、室温から約80℃の温度でインキュベーションしてよい。例えば、15分間に亘り80℃で、または6時間に亘り37℃でインキュベーションされた被覆細胞培養物品が、ポリマーの物品の表面への良好な結合を示したことが分かった。代わりに、または加えて、被覆細胞培養物品は、UV光などの電磁放エネルギーに曝露してもよい。周囲雰囲気下でUV光を照射した被覆物品が良好な結合を示すことが分かった。一例として、「D」バルブを備えたフュージョンランプ(fusion lamp)を、約40℃から約50℃の温度において、20から30J/cm2UVAの線量で使用してもよい。高エネルギーの低波長照射によるポリペプチドの劣化を避けるために、光源と被覆組成物との間に、300nm未満の波長を遮蔽するフィルタを配置してもよい。ポリスチレン製ウェルプレートの場合、潜在的に有害な低波長照射を遮断する有効なフィルタとして、蓋板または底板を都合よく使用することができる。
どの特定の理論にも拘束することを意図するものではないが、ポリマーに対するポリペプチドの高い百分率が、水溶液からの適切な基体上のポリマーの意外な吸着および吸着後の非水溶性に役立つと考えられる。高いポリペプチド含有量は、ポリペプチド間に高密度の水素結合をもたらし、物理的架橋または凝集を誘発するかもしれない。これは、天然に生じるタンパク質と類似の挙動である。いくつかの特定のポリペプチドが、転移温度未満で水溶液中に可溶性であるが、温度が遷移温度より高く昇温されると、それらポリペプチドは疎水的に壊れ、凝集することもよく知られている。そのような疎水性破壊は、加熱が施されるポリペプチドに接続したポリマーの吸着において役割を果たすであろう。いずれにせよ、熱または電磁放射線への曝露により、細胞培養物品の表面へのポリマー・ポリペプチドの良好な吸着が生じる。
ポリペプチドに接続したポリマーで被覆される細胞培養物品の表面は、どのような適切な材料から形成されてもよい。例えば、細胞培養物品の表面は、セラミック物質、ガラス、プラスチック、ポリマーまたはコポリマー、それらの任意の組合せ、またはある材料の別の材料上の被覆から形成されてもよい。そのような基礎材料としては、ソーダ石灰ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、バイコール(登録商標)ガラス、石英ガラスなどのガラス材料;シリコン;ポリ(塩化ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(メタクリル酸メチル)、酢酸ビニル・無水マレイン酸の共重合体、ポリ(ジメチルシロキサン)モノメタクリレート、環状オレフィンポリマー、フルオロカーボンポリマー、ポリスチレン、ボルプロピレン、ポリエチレンイミンなどの樹枝状ポリマーを含むプラスチックまたはポリマー;酢酸ビニル・無水マレイン酸の共重合体、スチレン・無水マレイン酸の共重合体、エチレン・アクリル酸の共重合体、またはこれらの誘導体などのコポリマーが挙げられる。
基体が12°と85°の間の水接触角(液滴測定)を示すときに、細胞培養物品の表面へのポリマー・ポリペプチドの良好な結合が達成されることが分かった。基体の接触角が、30°と60°の間などの25°と70°の間であることが好ましい。基体が適切な接触角を示すように、その基体を処理してよいことが理解されよう。例えば、基体は、コロナ処理またはプラズマ処理してもよい。真空または大気圧プラズマの例としては、一次と二次の両方のRFおよびマイクロ波プラズマ、誘電体バリア放電、および空気、酸素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、亜酸化窒素、または水蒸気を含む分子または混合ガス中に生成されるコロナ放電が挙げられる。一例として、TCTポリスチレンまたは「CellBIND」処理ポリスチレンなどのプラズマ処理ポリスチレンが、ポリマー・ポリペプチド結合のための良好な基体を提供する。天然に生じる動物由来の生物学的接着性タンパク質も、そのような表面に対して良好な結合を示す。したがって、天然に生じるタンパク質が容易に結合する表面も、ポリマー・ポリペプチド結合のための良好な基体を提供するであろう。
細胞培養物品
ここに記載されたポリペプチドに接続したポリマーは、6,12,96,384および1536ウェルプレートなどのシングルおよびマルチウェルプレート、瓶、ペトリ皿、フラスコ、ビーカー、プレート、ローラーボトル、区画および多区画培養スライドなどのスライド、試験管、カバースリップ、バッグ、膜、中空繊維、ビーズおよびマイクロキャリア、カップ、スピナーボトル、潅流チャンバ、バイオリアクタ、CellSTACK(登録商標)および発酵槽などの任意の適切な細胞培養物品の表面に結合させてもよい。
図3Aを参照すると、細胞を培養するための物品100の側面図が示されている。この物品100は、表面15を有する基材からなる基板10を備えている。ポリペプチド70に接続したポリマー20が、基板10の表面15に配置されている。図示したように、ポリペプチド70は、先に記載したように、直接的に、またはリンカー80を介して間接的に、ポリマー20に接続しているか、または共有結合していてよい。図示されていないが、ポリペプチド70に接続したポリマー20は、基板10の一部に配置されてもよいことが理解されよう。基板10は、上述した材料などの、細胞を培養するのに適したどのような材料であってもよい。
図3Bに示されるように、基板10の表面15と、ポリペプチド70に接続した被覆ポリマー20との間に、中間層30が配置されている。中間層30は、ポリペプチド70に接続した被覆ポリマー20の基板10への結合を改善するため、ポリペプチドに接続したポリマーを含有する水溶液の延展を促進するため、被覆区域上の細胞増殖を促進するように表面15の未被覆部分を細胞非親和性にするため、所望であれば、例えば、パターンの形成された印刷により、立体的特徴構造を提供するためなどに、構成されてもよい。例えば、基板10がガラス基板である場合、ガラス基板の表面をエポキシ被覆またはシラン被覆で処理することが望ましいであろう。様々なポリマー系基板10について、ポリアミド、ポリイミド、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリアクリレートの中間層30を提供することが望ましいであろう。図示されていないが、ポリペプチド70に接続した被覆ポリマー20を中間層30の一部分に配置してもよいことが理解されよう。さらに、中間層30を基板10の一部分に配置してもよいことが理解されよう。
数多くの実施の形態において、物品100は、ペトリ皿、マルチウェルプレート、フラスコ、ビーカーまたはウェルを有する他の容器などのウェルを有する細胞培養物品である。ここで図4Aを参照すると、基材10から形成された物品は、1つ以上のウェル50を含んでよい。ウェル50は、側壁55および表面15を備えている。
図4B〜Cを参照すると、ポリペプチド70に接続したポリマー20が表面15または側壁55またはその一部に配置されてもよい(または、図1に関して先に論じたように、表面15または側壁55とポリペプチド70に接続した被覆ポリマー20との間に、1つ以上の中間層30が配置されてもよい)。図4Cに示されるように、側壁55が、ポリペプチド70に接続したポリマー20により被覆されてもよい。
様々な実施の形態において、基材10の表面15は、表面15に所望の性質または特徴を与えるために、物理的または化学的のいずれかで、処理されている。例えば、上述したように、表面15は、コロナ処理またはプラズマ処理されていてもよい。
ポリペプチド70に接続した被覆ポリマー20は、中間層30または基板10に配置されているか否かにかかわらず、下の基体を均一に被覆することが好ましい。「均一に被覆された」は、所定の区域、例えば、培養プレートのウェルの表面の層20が、約5nm以上の厚さで、その区域を完全に被覆していることを意味する。均一に被覆された表面の厚さは、表面に亘り様々であってよいが、下の層(中間層30または基板10のいずれか)が曝露される、均一に被覆された表面のない区域がある。不均一な表面に亘る細胞応答は、均一な表面に亘る細胞応答よりもばらつきがある傾向にある。
様々な実施の形態において、物品100は、約5mm2超の面積を有する表面25を備えた均一に被覆された層20を含む。表面25の面積が小さすぎる場合、ヒト胚幹細胞などのいくつかの細胞が、細胞のコロニーまたは群集(例えば、約0.5mmの直径を有する)として播種され、定量的な細胞応答を生成するのに十分な数のコロニーの結合を確実にするために適切な表面が望ましいので、信頼できる細胞応答が容易に観察できないであろう。数多くの実施の形態において、物品100は、均一に被覆された表面15を有するウェル50を有し、ここで、表面15は、約0.1cm2超、約0.3cm2超、約0.9cm2超、または約1cm2超の面積を有する。
接続したポリペプチドを含有する合成ポリマー上の細胞のインキュベーション
上述したような接続したポリペプチドを含有するポリマーを有する細胞培養物品に細胞を播種してよい。細胞はどのような細胞タイプのものであってもよい。例えば、細胞は、上皮細胞、内皮細胞、骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、腸細胞、肝細胞、または他の臓器からの細胞、幹細胞、島細胞、血管細胞、白血球、癌細胞などの結合組織細胞であってよい。細胞は、哺乳類細胞、好ましくはヒト細胞であってよいが、細菌、酵母、または植物細胞などの非哺乳類細胞であってもよい。
数多くの実施の形態において、細胞は、当該技術分野で一般に理解されているように、連続的に分裂する(自己再生)能力を有し、多種多様な特殊な細胞に分化できる細胞を称する幹細胞である。いくつかの実施の形態において、幹細胞は、検体の臓器または組織から単離される多能性(multipotent)、全能性、または多能性(pluripotent)幹細胞である。そのような細胞は、完全に分化したまたは成熟した細胞タイプを生じることができる。幹細胞は、自己またはそうではない骨髄由来幹細胞、神経幹細胞、または胚幹細胞であってよい。幹細胞はネスチン陽性であってよい。幹細胞は造血幹細胞であってよい。幹細胞は、上皮組織、脂肪組織、臍帯血液、肝臓、脳または他の臓器に由来する多分化能細胞であってよい。様々な実施の形態において、幹細胞は、未分化胚幹細胞などの未分化幹細胞である。
細胞を播種する前に、細胞を収穫し、細胞を表面に一旦播種したらその中で培養すべき増殖培地などの、適切な培地中に懸濁させてよい。例えば、細胞は、血清含有培地、ならし培地、または既知組成培地中に懸濁させ、培養してもよい。ここに用いたように、「既知組成培地」は、未知の組成の成分を含有しない細胞培養培地を意味する。既知組成培地は、様々な実施の形態において、未知の組成のタンパク質、加水分解物、またはペプチドを含有しない。いくつかの実施の形態において、ならし培地は、組換え成長ホルモンなどの、既知の組成のポリペプチドまたはタンパク質を含有する。既知組成培地の全成分は既知の化学構造を有するので、培養条件におけるばらつき、それゆえ、細胞応答を減少させ、再現性を増加させることができる。その上、汚染の可能性が減少する。さらに、拡大する能力が、少なくとも一部には、上述した要因のために、容易になる。既知組成培地は、胚幹細胞の成長と増殖から特別に配合された完全無血清のフィーダーフリー培地(SFM)である、STEM PROとしてInvitrogen(カリフォルニア州92008、カールズバッド、PO Box6482、1600ファラデーアベニュー、Invitrogen社)から、またヒト胚幹細胞のためのmTeSR(商標)1維持培地として、STEMCELL Technologies, Inc.から市販されている。別の既知組成培地は、ヒト間葉幹細胞(MSC)の培養のための、標準化された、異種成分を含まない無血清培地である、MesenCult(登録商標)−XF Mediumである。「MesenCult」−XF Mediumは、STEMCELL Technologies, Inc.から市販されている。
その中で細胞が合成ヒドロゲル層と共にインキュベーションされる培地に、1種類以上の成長因子または他の因子を加えてもよい。これらの因子は、細胞増殖、接着、自己再生、分化などを促進させるものであってよい。培地に加えてよいまたは含ませてよい因子の例としては、筋肉形成因子(MMP)、血管内皮成長因子(VEGF)、インターロイキン、神経成長因子(NGF)、エリスロポエチン、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、アクチビンA(ACT)、造血成長因子、レチノイン酸(RA)、インターフェロン、塩基性線維芽細胞成長因子(bFGF)などの線維芽細胞成長因子、骨形成タンパク質(BMP)、ペプチド成長因子、ヘパリン結合性増殖因子(HBGF)、肝細胞増殖因子、腫瘍壊死因子、インスリン様成長因子(IGF)IおよびII、形質転換成長因子−β1(TGFβ1)などの形質転換成長因子、およびコロニー刺激因子が挙げられる。
細胞は、どのような適切な濃度で播種してもよい。典型的には、細胞は、基体1cm2当たり約10,000細胞/cm2から約500,000細胞/cm2の濃度で播種される。例えば、細胞は、基体1cm2当たり約50,000細胞/cm2から約150,000細胞/cm2の濃度で播種してよい。しかしながら、これよりも高濃度および低濃度で難なく使用できる。インキュベーションの時間および、温度、CO2レベルとO2レベル、成長培地などの条件は、培養されている細胞の性質に応じて決まり、容易に変更することができる。細胞を前記表面上でインキュベーションする期間は、所望の細胞応答に応じて変わりうる。
培養される細胞は、(i)調査研究または治療用途の開発に使用するために、既知組成培地の合成表面上で培養される十分な量の未分化の幹細胞の入手、(ii)培養される細胞の調査研究、(iii)治療用途の開発、および(iv)治療目的を含む、どのような適切な目的に使用してもよい。
本開示の態様の概要
第1の態様において、細胞培養物品の表面を被覆する方法は、共有結合したポリペプチドを有するポリマーを水溶液中に溶解させて、ポリマー溶液を生成する工程を含む。このポリマーは、二価以上の官能性を有するモノマーからは作られない。ポリペプチドに接続したポリマーに対するポリペプチドの質量百分率は、ポリペプチドに接続したポリマーを水溶性にするほど十分に高い。この水溶液は有機溶媒を実質的に含まない。この方法は、(i)細胞培養物品の表面にポリマー溶液を配置して、被覆物品を製造する工程、および(ii)被覆物品に、ポリペプチドに接続したポリマーを細胞培養物品の表面に結合させるのに十分な熱または電磁放射線を施す工程をさらに含む。
第2の態様は、ポリペプチドに接続されていない実質的に同様のポリマーが25℃で水中に不溶性である、第1の態様の方法である。
第3の態様は、ポリペプチドに接続したポリマーに対するポリペプチドの質量百分率が40%より大きい、第1または第2の態様の方法である。
第4の態様は、ポリペプチドに接続したポリマーに対するポリペプチドの質量百分率が60%より大きい、第1または第2の態様の方法である。
第5の態様は、ポリペプチドが細胞接着ポリペプチドである、最初の4つの態様のいずれかの方法である。
第6の態様は、ポリペプチドがRGD配列を含む、最初の4つの態様のいずれかの方法である。
第7の態様は、ポリペプチドが、ビトロネクチンポリペプチド、コラーゲンポリペプチド、ラミニンポリペプチド、骨シアロタンパク質ポリペプチド、およびフィブロネクチンポリペプチドからなる群より選択される、最初の4つの態様のいずれかの方法である。
第8の態様は、ポリペプチドがビトロネクチンポリペプチドである、最初の4つの態様のいずれかの方法である。
第9の態様は、ポリマーが、接続されたポリペプチドを含む少なくとも1種類のモノマーから形成される、前述の態様のいずれかの方法である。
第10の態様は、接続されたポリペプチドを含む少なくとも1種類のモノマーがメタクリル酸である、第9の態様の方法である。
第11の態様は、ポリマーが、(i)ポリペプチドに接続したメタクリル酸と、(ii)ヒドロキシエチルメタクリレートとの重合により形成される、前述の態様のいずれかの方法である。
第12の態様は、ポリマーが、(i)メタクリル酸官能基を含むモノマーと、(ii)ヒドロキシエチルメタクリレートとの重合により形成される、最初の10の態様のいずれかの方法である。
第13の態様は、ポリペプチドに接続したポリマーが、10キロダルトンと1000キロダルトンの間の分子量を有する、前述の態様のいずれかの方法である。
第14の態様は、ポリマー溶液が0.1mg/mlと0.5mg/mlの間のポリペプチドに接続したポリマーを含む、前述の態様のいずれかの方法である。
第15の態様は、ポリマー溶液が0.2mg/mlと0.3mg/mlの間のポリペプチドに接続したポリマーを含む、前述の態様のいずれかの方法である。
第16の態様は、被覆物品に十分な熱または電磁放射線を施す工程が、37℃以上の温度で被覆物品をインキュベーションする工程を含む、前述の態様のいずれかの方法である。
第17の態様は、被覆物品に十分な熱または電磁放射線を施す工程が、60℃以上の温度で被覆物品をインキュベーションする工程を含む、前述の態様のいずれかの方法である。
第18の態様は、被覆物品に十分な熱または電磁放射線を施す工程が、被覆物品に紫外線を施す工程を含む、前述の態様のいずれかの方法である。
第19の態様は、基体の表面が12°と85°の間の水接触角を有する、前述の態様のいずれかの方法である。
第20の態様は、基体の表面が25°と70°の間の水接触角を有する、前述の態様のいずれかの方法である。
第21の態様は、基体の表面が30°と60°の間の水接触角を有する、前述の態様のいずれかの方法である。
第22の態様は、基体の表面がプラズマ処理ポリスチレン表面である、前述の態様のいずれかの方法である。
第23の態様は、前述の態様のいずれかの方法により製造された細胞培養物品である。
第24の態様は、水溶液およびこの水溶液中に溶解したポリペプチドに接続したポリマーを含む組成物である。このポリマーは、二価以上の官能性を有するモノマーからは作られない。ポリペプチドに接続されていない実質的に同様のポリマーが37℃で水中に不溶性である。ポリペプチドに接続したポリマーに対するポリペプチドの質量百分率は、ポリペプチドに接続したポリマーを水溶性にするほど十分に高い。この組成物は有機溶媒を実質的に含まない。
第25の態様は、ポリマーが、(i)ポリペプチドに接続したメタクリル酸と、(ii)ヒドロキシエチルメタクリレートとの重合により形成される、第24の態様の組成物である。
以下において、先に論じた物品および方法の様々な実施の形態を記載する、非限定的実施例が提示される。
実施例1: (MAA−PEG4−VN)の調製
メタクリル酸−(ポリエチレングリコール)4−ビトロネクチン(MAA−PEG4−VN)は、カリフォルニア州サニーベール所在のAmerican Peptide社により提供され、以下のように合成された。VNポリペプチド配列は、KGGPQVTRGDVFTMP(配列番号1)であった。
手短に言うと、ポリペプチドモノマーを、Fmoc成分を通じて1ミリモルのFmoc−Rinkアミド樹脂上に合成した。アミノ酸に使用した保護基は:AspおよびThrには、t−ブチル基、GlnにはTrt基、ArgにはPbf、LysにはBocである。Fmoc保護アミノ酸は、EMD Biosciences社から購入した;Fmoc−PEG4−OHは、Quanta Biodesign社から購入した。カップリング試薬および開裂試薬は、Aldrich社から購入した。溶媒は、Fisher Scientific社から購入した。Fmoc保護基の除去および保護されたアミノ酸のカップリングの繰返しにより、ペプチド鎖を樹脂上に作り上げた。カップリング試薬としてHBTUとHOBtを使用し、塩基としてNMMを使用した。脱−Fmoc−試薬として、DMF中20%のピペリジンを使用した。Fmoc保護基を除去した後、PEG4のアミノ基にメタクリル酸(MAA)をカップリングさせた。最後のカップリング後、開裂と側鎖保護基の除去のために、樹脂をTFA/TIS/H2O(95:3:2、v/v/v)で処理した。粗製ポリペプチドモノマーを、冷たいエーテルから沈殿させ、濾過により収集した。粗製ポリペプチドモノマーを逆相HPLCにより精製した。90%超の純度を有する収集分画をプールし、凍結乾燥させた。最終生成物の収量は1.035g(精製収率25.9%)であった。生成物は、90%以上の純度でAmerican Peptide社により提供され、さらに精製せずに使用された。
実施例2: 官能化細胞接着ポリマーの調製
撹拌子を備えた琥珀色のフラスコ内の7.5mlのエタノールに、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、60mg(0.46ミリモル)およびMAA−PEO4−VN、100mg(0.05ミリモル)を加えた。次いで、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)、9mgを加え、完全に溶解するまで撹拌した。1分間に亘るアルゴンのパージにより、この溶液から酸素を除去した。次いで、密封したフラスコを、混合しながら68℃で24時間に亘り加熱し、光から守った。室温に冷却した後、酢酸エチル中に粗製反応媒質を注ぎ入れることによって、ポリ(HEMA−co−MAA−PEO4−VN)を単離した。得られた白色固体をジイソプロピルエーテルで3回洗浄し、凍結乾燥した。
ポリ(HEMA−co−MAA−PEO4−VN)ポリマーの分子量を、屈折率検出器、光散乱検出器、光ダイオードアレイ検出器および粘度計検出器と一体となったサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定した。移動相は、トリフルオロエタノール+トリフルオロ酢酸カリウムであった。平均Mwは80,000から100,000であり、平均Mnは25,000から33,000であり、PDIは2.8であった。
ここでは精製を行わずに使用したが、未反応モノマーまたはモノマーペプチドは、連続または不連続ダイアフィルトレーションプロセスなどの周知のプロセスによって、ポリ(HEMA−co−MAA−PEO4−VN)ポリマーから容易に除去することができる。特に効率的な未反応ペプチドの除去は、例えば、5,000MWCO Corning Spin−X濃縮カラムを使用して行うことができる。
精製の実施にかかわらず、結果として得られたポリマーは、数ヶ月に亘り4℃で貯蔵できる。
HEMAモノマーを省いたことを除いて、同じプロトコルにしたがって、MAA−PEO4−VNのホモポリマーを調製することができる。
実施例3: 被覆組成物の調製
10mlの脱イオン(DI)水中に2.5mgのポリ(HEMA−co−MAA−PEO4−VN)ポリマーを溶解させることによって、被覆組成物を調製した。この溶液は、使用前に4℃で貯蔵することができる。
実施例4: 被覆された細胞培養物品の調製
超低接着表面(ULA)処理し、組織培養処理(TCT)し、「CellBIND」処理したポリスチレン(PS)プレートについて、6ウェルプレートの各ウェル内に、800μlの被覆組成物を分配した。非処理ポリスチレンプレートの場合、6ウェルプレートの各ウェル内に、2mlの被覆組成物を分配した。次いで、これらのプレートを、6時間に亘り37℃のインキュベータ内、または15分間に亘り80℃のオーブン内に配置した、もしくはフュージョン「D」バルブにより与えられる30J/cm2のUV光線量に曝露した。次いで、過剰の被覆組成物を吸引した。これらのプレートを、1%のドデシル硫酸ナトリウム(SDS)水溶液で1時間に亘り洗浄し、その後、DI水で濯ぎ、乾燥空気流で乾燥させた。これらのプレートは、消毒または殺菌の準備ができていた。
6mlおよび40mlの被覆組成物を、それぞれ、T−フラスコおよび「CellStack」の各々に分配したことを除いて、T−フラスコおよび「CellStack」部品を、同じプロトコルを使用して被覆した。
固定化されたペプチド密度は、Uptima社からのBCAタンパク質定量キットを使用したビシンコニン酸(BCA)によって決定した。標準は、PBS中のVNペプチド(KGGPQVTRGDVFTMP、配列番号1)を使用して調製した。Biotek(登録商標)Synergy 4により吸光度を読んだ。
固定化されたペプチドポリマーの被覆の均一性の評価および定量化は、Bio-Rad Laboratories社から入手できるColloidal Gold Total Protein Stain試薬(カタログ170−6527)を使用してコロイド金染色によって行い、吸光度を「Biotek」Synergy 4により565nmで読んだ。
図5は、コロイド金全タンパク質染色により測定された様々な基体上に固定化されたコポリマーの量を示している。試験した基体には、非処理ポリスチレン(PS)、TCT処理、「CellBIND」処理およびULA処理の6ウェルポリスチレンプレートがある。TCT処理プレートおよび「CellBIND」処理プレート上に、より多量のポリ(HEMA−co−MAA−PEO4−VN)ポリマーが固定化された。
図6は、BCAアッセイからの結果を示している。図6において、固定化されたペプチドの量(ピコモル/mm2)に相関する、562nmでの吸光度が、非処理(PS)、TCT処理、「CellBIND」処理およびULA処理の6ウェルポリスチレンプレートについて示されている。この定量化により、図5に示されたコロイド金アッセイの結果が再現されている:TCT処理プレートおよび「CellBIND」処理プレート上に、より多量のポリ(HEMA−co−MAA−PEO4−VN)ポリマーが固定化された。
図7は、UV光曝露(30J/cm2)、および15分間に亘る80℃の加熱、6時間に亘る37℃での加熱、または加熱せず(室温で2分間)などの、ポリマーを固定化するための様々な方法を使用して、TCT基体上に固定化されたコポリマーの量を示している。固定化されたコポリマーの量は、コロイド金全タンパク質染色により決定した。図7に提示された結果は、熱またはUV線に曝露された基体上に、より多量のポリペプチドポリマーが固定化され、熱処理またはUV処理を省いた場合、ずっと少量になったことを示している。
図8は、上述したように被覆し、6時間に亘り37℃で、15分間に亘り80℃でインキュベーションしたか、または40〜50℃で30J/cm2のUV−Aに曝露したか、もしくは処理無し(室温で2分間)の、TCT処理6ウェルポリスチレンプレートについてのBCAアッセイによる固定化されたペプチドの量(ピコモル/mm2)を示している。図8に提示された結果は、熱またはUV線に曝露された基体上に、より多量のポリペプチドポリマーが固定化され、熱処理またはUV処理を省いた場合、ずっと少量になり、加熱処理またはUV処理により同様の結果が得られることを示している。
図9A〜Cは、上述したように被覆されたT−75フラスコ、CellStack層および6ウェルプレートのコロイド金染色(カリフォルニア州、ハーキュリーズ所在のBio-Rad社から市販されているColloidal Gold Total Protein Stain試薬)を示す写真である。図10は、ここに記載されたように被覆された96ウェルプレートのコロイド金染色を示す写真である。図9〜10の写真は、ここに記載された被覆が、多種多様な細胞培養物品に効果的に適用できることを示している。その上、これらの写真は、小さい容量の容器(図10)および様々な形状の容器(図9A〜C)における被覆の高い均一性を示す。
図11は、図10からの96ウェルプレートのコロイド金染色の定量化を示すグラフである。光学密度を565nmで測定した。これらのデータにより、被覆の並外れて良好な均一性が確認される。
実施例5: ヒト胚幹細胞:BG01v hESCの培養
1×106のBG01vヒト胚幹細胞(hESC)、35継代を、6ウェルプレートの3つのウェルの各々に播種し、37℃でインキュベーションした。1つのプレートは上述したように被覆されたウェルを含み、別のプレートは、製造業者の使用説明書にしたがって、「Matrigel」被覆:BD「Matrigel」ロット番号A5628(BD Bioscienceカタログ#356231)で被覆された。これらのプレートを、播種前に、水中70%v/vのエタノールとインキュベーションすることによって消毒した。細胞は既知組成培地:「mTeSR1」培地(StemCell Technologiesカタログ#05850)において、ウェル当たり4ml、1回の播種(2日間)で培養した。
細胞を3日目に2つのウェルから収穫し、計数した。9.09×106の細胞が、上述したように被覆されたプレートから収集され、9.59×106の細胞が、「Matrigel」被覆プレートから収集された。増殖倍率は、上述したポリマーポリペプチド被覆表面および「Matrigel」について、それぞれ、4.54および4.79であった。両方の場合、細胞の収穫は、0.05%トリプシン−EDTA溶液(Gibco/Invitrogen、カタログ#25300)を使用した酵素消化によって、5分未満で容易に行われた。
図12は、「Matrigel」比較プレート(a)およびここに記載されたように調製されたポリマーポリペプチド被覆プレート上での播種から3日後のBG01v hESCコロニーを示している。このポリマーポリペプチド被覆プレートを、600μlの0.25mg/mlのペプチドコポリマー水溶液を分配することによって調製し、播種前に1時間に亘り70%エタノールで消毒した。ポリマーの固定化は、プレートを40〜50℃で30J/cm2のUV−Aに曝露することによって行った。コロニーは、合成ポリマーポリペプチド表面および「Matrigel」生物学的被覆の両方で同様の形態を有する。この実験は、ここに記載された合成被覆は、既知組成培地中で「Matrigel」に匹敵するhESC培養を可能にでき、ここに記載された合成ポリマーポリペプチド被覆がエタノール消毒に耐えられることを示している。
実施例6: 骨髄由来hMSCの培養
70,000の骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(hMSC)(StemCell Technologiesカタログ#MSC−001F)、4継代を、6ウェルプレートの各ウェルに播種し、37℃でインキュベーションした。1つのプレートは、上述したようにポリマーポリペプチドに被覆された(UV、30J/cm2)ウェルを含み、別のプレートは、製造業者の使用説明書にしたがって、「MesenCult」−XF Attachment Substrate(StemCell Technologiesカタログ#05424−1:1×DPBS中の28希釈)で被覆され、さらに別のプレートは、コーニング社の「Synthemax」合成基体で被覆された。細胞は既知組成培地:「MesenCult」−XF培地(StemCell Technologiesカタログ#05420)において、ウェル当たり3ml、1回の播種(2日間)で培養した。細胞は、0.05%トリプシン−EDTA溶液(Gibco/Invitrogen、カタログ#25300)による酵素消化により4日目に収穫し、計数した。
図13は、細胞生存率および増殖倍率が、「Mesencult」接着基体生物学的被覆および「Synthemax」により達成されたものに匹敵することを示している。この実験は、許容される細胞生存率および細胞増殖率で、異種成分を含まない培地中におけるここに記載された合成ポリマーポリペプチド基体上でhMSCを培養できることを示す。これらのデータは、生存率は、生物学的「MesenCult」接着基体に匹敵し、一方で、増殖倍率は、わずかに低いが、入手可能な最良の合成表面と考えられる「Synthemax」に匹敵することも示す。
図14の顕微鏡写真は、先に記載されたポリマーポリペプチド被覆(a〜b)および「MesenCult」接着基体生物学的被覆(c〜d)上の、播種から2日後および4日後の、骨髄由来hMSCの形態を示している。両方の基体上で、細胞形態は非常に類似に見える。
実施例7: マウス胚幹細胞の培養
ES−D3細胞(ATCC# CRL−11632)を、カリフォルニア州カールズバッド所在のATCCにより推奨されるように、15%のFBSおよび0.1mMのベータ−メルカプトエタノールを補った、カリフォルニア州カールズバッド所在のLife Technologies社のダルベッコ改変イーグル培地中で増殖させた。細胞をトリプシン処理し、それらが飽和密度に到達する前に、希釈した。次いで、細胞を計数し、D−PBS中で洗浄し、「mTeSR1」合成培地(カナダ国、ブリティッシュコロンビア州バンクーバー所在のStem Cell Technologies社)中に再懸濁させた。次いで、ウェル当たり7×105の細胞を、6ウェルプレートのフォーマットで2mlの「mTeSR1」中に単細胞として播種し、37℃でインキュベーションした。
図15A〜Dは、ここに提示された教示にしたがって被覆された、非処理ポリスチレン(d)、TCT処理ポリスチレン(a)、「CellBIND」処理ポリスチレン(b)およびULA処理ポリスチレン(c)のプレート上の、単細胞播種から1日後に形成されたESD3 mESCコロニーの顕微鏡写真である。ULA処理ポリスチレン被覆プレートおよび非処理ポリスチレン被覆プレートよりも、TCT処理ポリスチレン被覆プレートおよび「CellBIND」処理ポリスチレン被覆プレートのほうが、数の多いコロニーが形成され、このことは、BCAにより決定された固定化ペプチドの量(図6)と良好に一致する。
図16は、単細胞の播種により、培養の1日後に形成された微細なmESCコロニーおよびここに記載された合成ポリマーポリペプチド被覆をもたらすこと、およびそれらの被覆がエタノール消毒に耐えることを示している。図16aは、エタノール殺菌されなかった被覆上に播種された細胞を示している。図16bは、エタノール殺菌された(70%エタノールによる1時間の消毒)被覆上に播種された細胞を示している。図16は、非殺菌被覆と殺菌被覆の両方で、コロニーは類似に見えることを示しており、被覆がエタノール消毒に耐えることを示している。プレートは、700μlの0.25mg/mlのペプチド−コポリマー水溶液を分配することによって調製した。ポリマーの固定化は、プレートを15分間に亘り80℃でインキュベーションすることによって行った。
それゆえ、細胞培養のための合成被覆の実施の形態が開示されている。ここに記載された被覆、物品、組成物および方法は、開示された実施の形態以外の実施の形態により実施できることが、当業者により認識される。開示の実施の形態は、制限ではなく、説明の目的で提示される。
10 基板または基材
15 表面
20 ポリマー
30 中間層
50 ウェル
55 側壁
70 ポリペプチド
80 リンカー
100 細胞培養物品

Claims (5)

  1. 細胞培養物品の表面を被覆する方法において、
    共有結合したポリペプチドを有するポリマーを、有機溶媒を実質的に含まない水溶液中に溶解させて、ポリマー溶液を生成する工程であって、前記ポリマーは、(i)前記ポリペプチドに結合したメタクリル酸と(ii)ヒドロキシエチルメタクリレートとの重合により形成されたものであり、かつ架橋を含まず、前記ポリペプチドに結合したポリマーに対するポリペプチドの質量百分率が40%以上である工程、
    細胞培養物品の表面に前記ポリマー溶液を配置して、被覆物品を製造する工程、および
    前記被覆物品を室温から80℃の温度でインキュベーションして、または電磁放射線を施して、前記ポリペプチドに結合したポリマーを前記細胞培養物品の表面に結合させる工程、
    を有してなる方法。
  2. 被覆された細胞培養物品であって、該細胞培養物品の表面に結合した、共有結合したポリペプチドを有するポリマーを含み、
    前記ポリマーは、(i)前記ポリペプチドに結合したメタクリル酸と(ii)ヒドロキシエチルメタクリレートとの重合体であり、かつ架橋を含まず、
    前記ポリペプチドに結合したポリマーに対する前記ポリペプチドの質量百分率が40%以上である、細胞培養物品。
  3. 細胞培養物品の表面を被覆するための組成物であって、
    共有結合したポリペプチドを有するポリマーを含み、
    前記ポリマーが、(i)前記ポリペプチドに結合したメタクリル酸と(ii)ヒドロキシエチルメタクリレートとの重合体であり、かつ架橋を含まず、
    前記ポリペプチドに結合したポリマーに対する前記ポリペプチドの質量百分率が40%以上である、組成物。
  4. 水溶液をさらに含み、前記ポリマーが該水溶液中に溶解している、請求項3記載の組成物
  5. 有機溶媒を実質的に含まない、請求項4記載の組成物
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