以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ(インクジェット記録装置)を模式的に示す図である。図1に示すように、プリンタ100は、プリンタの構造材をなすフレーム上に記録ヘッド101〜104を備える。記録ヘッド101〜104はそれぞれ、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出するための複数のノズルをx方向に沿って記録用紙106の幅に対応した範囲に配列した、いわゆるフルラインタイプのものである。それぞれのインク色のノズル列のノズル配置の解像度は1200dpiである。
記録媒体としての記録用紙106は、搬送ローラ105(および他の不図示のローラ)がモータ(不図示)の駆動力によって回転することにより、図中矢印y方向に搬送される。そして、記録用紙106が搬送される間に、記録ヘッド101〜104それぞれの複数のノズルから記録データに応じてインクが吐出される。これにより、それぞれの記録ヘッドのノズル列に対応した1ラスタ分の画像が順次記録される。このような、搬送される記録用紙に対する各記録ヘッドからのインク吐出動作を繰り返すことにより、例えば、一頁分の画像を記録することができる。なお、本発明を適用可能な記録装置は、以上説明したフルラインタイプの装置に限られない。例えば、記録ヘッドを記録用紙の搬送方向と交差する方向に走査して記録を行う、いわゆるシリアルタイプの記録装置にも本発明を適用できることは、以下の説明からも明らかである。
図2は、本発明の一実施形態に係る記録システムの構成を示すブロック図である。同図に示すように、この記録システムは、図1に示したプリンタ100と、そのホスト装置としてのパーソナルコンピュータ(PC)300を有して構成されるものである。
ホストPC300は、主に以下の要素を有して構成されるものである。CPU301は、HDD303やRAM302に保持されているプログラムに従った処理を実行する。RAM302は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。また、HDD303は、不揮発性のストレージであり、同じくプログラムやデータを保持する。データ転送I/F(インターフェース)304はプリンタ100との間におけるデータの送受信を制御する。このデータ送受信の接続方式としては、USB、IEEE1394、LAN等を用いることができる。キーボード・マウスI/F305は、キーボードやマウス等のHID(Human Interface Device)を制御するI/Fであり、ユーザは、このI/Fを介して入力をすることができる。ディスプレイI/F306は、ディスプレイ(不図示)における表示を制御する。
一方、プリンタ100は、主に以下の要素を有して構成されるものである。CPU311は、ROM313やRAM312に保持されているプログラムに従い、図4以降で後述する各実施形態の処理を実行する。RAM312は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。また、ROM313は不揮発性のストレージであり、図4以降で後述する各実施形態の処理で作成されるテーブルデータやプログラムを保持することができる。
データ転送I/F314はPC300との間におけるデータの送受信を制御する。ヘッドコントローラ315は、図1に示したそれぞれの記録ヘッド101〜104に対して記録データを供給するとともに、記録ヘッドの吐出動作を制御する。具体的には、ヘッドコントローラ315は、RAM312の所定のアドレスから制御パラメータと記録データを読み込む構成とすることができる。そして、CPU311が、制御パラメータと記録データをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、ヘッドコントローラ315により処理が起動され、記録ヘッドからのインク吐出が行われる。画像処理アクセラレータ316は、ハードウェアによって構成され、CPU311よりも高速に画像処理を実行するものである。具体的には、画像処理アクセラレータ316は、RAM312の所定のアドレスから画像処理に必要なパラメータとデータを読み込む構成とすることができる。そして、CPU311が上記パラメータとデータをRAM312の上記所定のアドレスに書き込むと、画像処理アクセラレータ316が起動され、所定の画像処理が行われる。本実施形態では、図4以降の各実施形態で後述されるMCS処理部で用いるテーブルのパラメータの作成する処理をCPU311によるソフトウェアによって行う。一方、MCS処理部の処理を含む記録の際の画像処理を画像処理アクセラレータ316によるハードウェア処理によって行う。なお、画像処理アクセラレータ316は必ずしも必要な要素ではく、プリンタの仕様などに応じて、CPU311による処理のみで上記のテーブルパラメータの作成処理および画像処理を実行してもよいことはもちろんである。
以上説明した記録システムにおいて、複数種類のインクを用いて画像を記録する場合の、複数のノズル間の吐出量のばらつきに起因して生じる色ずれを低減するためのいくつかの実施形態を以下に説明する。前述したように、複数の異なる種類のインクのデータについて個別に補正を行う従来のヘッドシェーディング技術では、複数の異なる種類のインクを重ねてある色を表現しようとする場合に、その色が本来の色と異なってしまう、いわゆる色ずれが生じることがある。
図3(a)〜(c)は、この色ずれの発生を説明する図である。図3(a)において、102はシアンインクを吐出する記録ヘッド、103はマゼンタインクを吐出する記録ヘッドをそれぞれ示している。同図では、説明および図示の簡略化のためそれぞれの記録ヘッドにおける複数のノズルのうち8つのノズルのみが示され、また、一例として、シアンおよびマゼンタインクによってブルーを記録する場合の色ずれを説明するため2つの記録ヘッドのみが示されている。
ここで、シアンインクの記録ヘッド102の8つのノズル10211、10221は総て標準的な吐出量のものである。一方、マゼンタの記録ヘッド103の8つのノズルのうち、図中左側の4つのノズル10311は標準的な吐出量であるが、右側の4つのノズル10321はそれぞれ標準よりも多い吐出量のものである。なお、図3(a)に示すマゼンタインクの記録ヘッド103における右側の4つのノズルを左側より大きいサイズで示してあるが、これは吐出量の違いを分かり易くするためであり、実際のノズルサイズの関係を示しているわけでない。
このような吐出量特性を有する記録ヘッドを用いる場合に、従来のヘッドシェーディングによって画像データの補正を行うと、最終的にノズルに対応した2値データ(ドットデータ)が得られる。このシアンおよびマゼンタのドットデータは、仮に、このデータに基づいて記録用紙106に重ねないで個別に記録した場合、図3(b)に示すものとして表される。なお、図3(b)に示す例は、ベタ画像、すなわちシアンおよびマゼンタのいずれも100%デューティーの画像データに対してヘッドシェーディングの処理を行い、その後2値化処理が行われて記録されたドットを示している。
図3(b)は、シアンインクの記録ヘッド102のノズルに対応したシアンドット10611、10621、およびマゼンタインクの記録ヘッド103のノズルに対応したマゼンタドット10612、10622を示している。このうち、マゼンタインクの吐出量が多い4つのノズル10321に対応した領域のドット10622は、ヘッドシェーディングによって、上記対応した領域の画像データが補正された結果、ドットの数が減少したものとなる。図に示す例は、吐出量が多いマゼンタインクのノズル10321から吐出されるインクによって形成されるドットの面積が標準の吐出量のときのドット面積の2倍である例を示している。この場合、ヘッドシェーディングによる補正によって、ドットの数が1/2(4ドット→2ドット)とされる。なお、ドット面積が2倍となるときにドットの数を1/2とするのは説明を簡潔にするためである。実際は、吐出量のばらつきによってドット面積が増す(減少する)ことによる濃度の増加(減少)を抑制して標準の濃度となるようにドットデータの数を定めることはもちろんである。
図3(c)は、以上のようにして得られたドットデータに基づき、それぞれの記録ヘッドから記録用紙106上にシアンおよびマゼンタのインクを吐出してブルーの画像を記録した例を示している。図3(c)において、記録用紙106における図中左側の領域には、シアンインクとマゼンタインクが重なって形成される、標準のサイズのブルーのドット10613が記録される。一方、図中右側のマゼンタの吐出量が多い4つのノズル10321に対応する領域には、標準のサイズのシアンドット10623と、シアンインクとマゼンタインクが重なって形成されるブルーのエリア10624とその周囲のマゼンタのエリア10625からなるドットが記録される。
このように、図中右側の吐出量が多いマゼンタのノズル10321に対応する、ブルー(のベタ画像)を記録する領域は、次の3種類のドットないしエリアによって構成されることになる。
2つの標準サイズのシアンエリア(ドット)10623
標準よりも大きなマゼンタドット中に形成された標準サイズのシアンドットによる、2つのブルーエリア10624
標準サイズのブルーエリア10624の廻りに存在する、2つのマゼンタエリア10625
ここで、上述したように従来のヘッドシェーディングでは、シアンおよびマゼンタの画像データがそれぞれ個別に補正されることによりそれぞれのドットの数が調整される。その結果、2つのシアンエリア(ドット)10623の面積=2つのブルーエリア10624の面積=2つのマゼンタエリア10625の面積となっている。この場合仮に、シアンエリア10623の光吸収特性とマゼンタエリア10625の光吸収特性によって全体として観察される色が、ブルーエリア10624の光吸収特性によって観察される色と同じであれば、この領域全体はブルーエリア10624と同じ色となる。
しかしながら、ブルーエリア10624のように、異なる種類の複数のインクが重ねて形成される場合、そのエリアの光吸収特性によって観察される色は、複数のインクそれぞれのエリアの光吸収特性を合せて全体として観察される色と異なることが多い。その結果、その領域全体は目標とする標準の色からの色ずれを生じ、結果として、記録用紙106において図中左側半分の領域のブルー画像と、右側半分の領域のブルー画像は異なる色に見えることになる。
以上のような色ずれを補正する場合、例えば、シアンインクとマゼンタインクによる二次色のパッチなど、複数のインクを重ねてパッチを記録することが考えられる。そして、これらのパッチの色ないし濃度を測色器やスキャナなどを用いて測定し、その測定結果に基づいて色ずれを補正する補正データを作成することが考えられる。
しかしながら、例えば、色むらを測色器で測色する場合、測色誤差が生じるおそれがある。例えば、分光測色器は一定のスポット径内の反射光を読み込むことによって測色を行う。しかし、スポット径より範囲が小さい色むらの場合、測色器はその周囲の領域まで読み取ってしまうため、色むらを正確に測定することができない。また、スキャナのような画像入力機器では、センサーの精度によってメタメリズムが生じたり、入力画像を作成する際のビット数によっては色差が識別できないなど、人間の見た目の精度を再現できないことがある。
そこで、本発明は色むら補正値が異なる複数のパッチないしパターンを候補として記録し、その中から最も色むらを生じている部分の色や位置を人間が目視によって検知し、それをインターフェースを介して特定することにより補正値を決定する。そして、その際に、この色むらの補正を効率よく短時間に、かつ低コストで行うようにするものである。
すなわち、記録ヘッドのノズル列におけるノズルの位置に応じて色むらの発生の仕方が異なる場合がある。例えば、複数のチップで記録ヘッドが構成されている場合、チップとチップのつなぎ目とそれ以外の部分で色むらの発生の程度が異なることがある。この場合に、ノズル位置にかかわらず候補となるパッチの数を一律に定めると、色むら補正のための処理に時間やコストを要したり補正精度が低下したりするという問題が生じる。具体的には、生じる色むらの程度が大きい場合を想定して候補となるパッチの数を一律に比較的多く設定しこれを記録するとパッチの記録枚数が増加する。その結果、もともと発生している色むらの程度が小さいノズルの位置に対する補正では、不要なパッチが記録されることになりそれだけ不要な処理時間やコストを生じていることになる。本発明は、このような課題を解決するために、記録ヘッドのノズル列におけるノズル位置に応じて候補となるパッチの数を決定するものである。
なお、上記色ずれの説明はドットを記録する/記録しない、の2値記録の場合を例にとったものだがこの例に限られないことはもちろんである。例えば、大、中、小の3段階のドットによって記録を行う4値の記録装置など、ドットの大きさを可変とできる多値の記録装置でも、ノズル間の吐出量のばらつきによってそれぞれのサイズのドットの大きさにばらつきを生じることがある。この場合も、従来のヘッドシェーディングによる補正を施しても、上述と同様の理由によって色ずれを生じることがある。従って、2値の記録装置に限らず3値以上の多値記録装置にも本発明を適用することができる。
以下で説明する本発明の各実施形態は、量子化前の、複数の色信号の組からなる画像データに対する補正処理によって、以上のような色ずれを低減するものである。
(第1実施形態)
図4(a)は、本発明の第一の実施形態にかかる、インクジェットプリンタにおける画像処理部の構成を示すブロック図である。すなわち、本実施形態は、図2に示したプリンタ100の制御、処理のための各要素によって画像処理部を構成する。なお、本発明の適用はこの形態に限られないことはもちろんである。例えば、図2に示したPC300において画像処理部が構成されてもよく、あるいは画像処理部の一部がPC300において構成され、その他の部分がプリンタ100において構成されてもよい。
図4(a)に示すように、入力部401はホストPC300から送信された画像データを入力し、画像処理部402へ渡す。この画像処理部402は、入力色変換処理部403、MCS(Multi Color Shading)処理部404、インク色変換処理部405、HS(Head Shading)処理部406、TRC(Tone Reproduction Curve)処理部407、量子化処理部408を有して構成される。
画像処理部402において、先ず、入力色変換処理部403は、入力部401からの入力画像データを、プリンタの色再現域に対応した画像データに変換する。入力する画像データは、本実施形態では、モニタの表現色であるsRGB等の色空間座標中の色座標(R,G,B)を示すデータである。入力色変換処理部403は、この各8ビットの入力画像データR,G,Bを、マトリクス演算処理や三次元ルックアップテーブルを用いた処理等、既知の手法によって、3要素から構成される色信号である、プリンタの色再現域の画像データ(R’,G’,B’)に変換する。本実施形態では、三次元ルックアップテーブルを用い、これに補間演算を併用して変換処理を行う。なお、画像処理部402において扱われる8ビットの画像データの解像度は600dpiであり、量子化処理部408の量子化によって得られる2値データの解像度は後述のように1200dpiである。
MCS(Multi Color Shading)処理部404は、入力色変換処理部403によって変換された画像データに対して補正処理を行う。この処理も後述するように、三次元ルックアップテーブルを用いて行う。この補正処理によって、出力部409における記録ヘッドのノズル間で吐出量のばらつきがあっても、それによる上述した色ずれを低減することができる。このMCS処理部404具体的なテーブルの内容およびそれを用いた補正処理については後述する。
インク色変換処理部405は、MCS処理部404によって処理されたR、G、B各8ビットの画像データをプリンタで用いるインクの色信号データによる画像データに変換する。本実施形態のプリンタ100はブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを用いることから、RGB信号の画像データは、K、C、M、Yの各8ビットの色信号からなる画像データに変換される。この色変換も、上述の入力色変換処理部と同様、三次元ルックアップテーブルに補間演算を併用して行う。なお、他の変換の手法として、上述と同様、マトリクス演算処理等の手法を用いることもできる。
HS(Head Shading)処理部406は、インク色信号の画像データを入力して、インク色ごとにそれぞれ8ビットデータを、記録ヘッドを構成する各ノズルの吐出量に応じたインク色信号の画像データに変換する処理を行う。すなわち、本処理は、前述した従来のヘッドシェーディング処理と同様の処理である。本実施形態では、一次元ルックアップテーブルを用いて本HS処理を行う。なお、本発明を適用する上で、特にことわらない限りこのHS処理部を設けなくてもよい。すなわち、プリンタの仕様などによってはMCS処理部による補正処理の精度がメモリ容量との関連で十分な場合があり、そのような場合には、HS処理部による補正を合せて反映させることができるからである。
TRC(Tone Reproduction Curve)処理部407は、HS処理された各8ビットのインク色信号からなる画像データに対して、インク色毎に、出力部409で記録されるドットの数を調整するための補正を行う。すなわち、記録媒体に記録されるドットの数と、その数のドットによって実現される明度との関係が線形にならないことがあり、TRC処理部407は、この関係を線形にすべく各8ビットの画像データを補正して、記録媒体に記録されるドットの数を調整する。
量子化処理部408は、TRC処理部407で処理された各8ビット256値のインク色の画像データに対して、量子化処理を行い、1ビットの2値データを得る処理である。この際、本実施形態では、先ず、「0」〜「4」の3ビット5値のインク色ごとのインデックスデータに変換する。このインデックスデータ「0」〜「4」は、0〜4個のドットを1200dpiの解像度の2画素×2画素に配置するパターンに対応している。なお、本発明を適用する上で、量子化408の形態はこの例に限られないことはもちろんである。例えば、8ビットの画像データを、2値化し直接2値データ(ドットデータ)を得る形態でもよい。また、量子化処理方法として、本実施形態は誤差拡散法を用いるが、ディザ法など他の疑似中間調処理を用いてもよい。
出力部409は、量子化によって得られたドットデータに基づいて、記録ヘッドを駆動し記録媒体に各色のインクを吐出して記録を行う。出力部409は、具体的には、図1に示した、記録ヘッド101〜104を備えた記録機構によって構成される。
図5は、図4(a)に示したMCS処理部404で用いるテーブルのパラメータを生成する処理と、記録データを生成する際の画像処理における、上記テーブルを用いたMCS処理部404の処理を示すフローチャートである。
図5において、ステップS501〜S507は、MCS処理部404で用いる三次元ルックテーブルのパラメータを生成する処理である。本実施形態では、このテーブルパラメータを生成する処理は、プリンタの製造時やプリンタを所定期間使用したときあるいは所定量の記録を行ったときに実行される処理である。すなわち、このテーブルパラメータ生成処理はいわゆるキャリブレーションとしても行うことができ、これにより、ルックアップテーブルの内容であるテーブルパラメータが更新される。一方、ステップS508は、MCS処理部404による、上記処理によって生成されるテーブルを用いた処理を含む、図4(a)に示す画像処理部402による記録データ生成のための処理およびその記録データに基づく記録処理である。なお、本発明を適用する上で、テーブルパラメータの生成処理を実行するタイミングは上記の例に限られないことは明らかである。例えば、記録を行うための処理S508を実行する際に、その直前に実行するようにしてもよい。
ステップS501〜S507のテーブルパラメータを生成する処理では、一つの二次色を表す色信号を補正値の候補(候補補正値値)によって補正したパッチを、上記候補補正値を異ならせて複数記録する。そして、記録したパッチの中から最も色むらが目立たないパッチの候補補正値を補正値とし、この補正値で上記色信号を補正した値をテーブルパラメータとする。その際、ノズル列において色むらが生じている位置をユーザが特定し、また、色むらの最も目立たないパッチをユーザが選択する。さらに、本実施形態では、上記候補補正値ごとのパッチの数を、色むらが生じているノズルの位置に応じて異ならせるようにする。
最初に、本実施形態では、HS処理部406のテーブルパラメータの作成を行った後に、MCS処理部のテーブルパラメータを作成する。このため、本処理が起動されるステップS501の時点で既にHS処理部のテーブルパラメータは既に生成(更新)されている。例えば、マゼンタインクの記録ヘッド103に図3(a)に示すノズル間の吐出量ばらつきがあるとすると、HS処理部のテーブルパラメータの生成では、図3(b)に示すように、右半分の4つのノズル10321に対応する領域のドットの数を、左半分の4つのノズル10311に対応する領域のドットの数の半分にする補正をするようなパラメータとする。また、シアンインクの記録ヘッド102が図3(a)に示す各ノズルの吐出量特性のとき、すなわち、総てのノズルが標準の吐出量であるとき、HS処理部のテーブルパラメータは、画像データをそのままのデータとして変換するようなパラメータとなる。以上のように、本実施形態では、MCS処理部のテーブルパラメータを生成ないし更新するときは、その前にHS処理部のテーブルパラメータを生成する。これにより、その生成のときに生じているノズル間ばらつきによる色ずれを、MCS処理部とHS処理部のトータルの処理によって適切に低減することができる。
また、本実施形態では、上述したように、MCS処理部404がRGB信号値を入力し、RGB信号値を出力する系として説明される。これに対し、テーブルパラメータを求める処理では、後述されるように、記録媒体に記録される色を扱う処理が存在する。その際に、RGB信号値をL*a*b*値、あるいはCMYK値に変換するLUTなど、標準的な吐出量のときの記録媒体上の色を再現できるパラメータを記録媒体毎に持つことが望ましい。あるいは、RGB信号値を記録媒体上でL*a*b*値に変換する変換式を保持しておいてもよい。これにより、本実施形態において記録媒体上で所望の色を表現するための、入力値の変換値を推定することが可能となる。特に、後述するステップS504の処理において、記録媒体上の色を基準に色変換処理をすることができる。このため、図5に示す処理の前に、記録媒体毎のプリンタプロファイル、もしくはインク色変換処理部405で使用されるLUTを、MCS処理部404で保持しておくことが望ましい。
そこで、図5に示す処理の前に、ホストPC300からMCS処理のテーブルパラメータを生成する際に用いる記録媒体を指定する。そして、それに応じてプリンタ本体100のROM313から記録媒体ごとのプリンタプロファイル、もしくはインク色変換処理部405で使用されるLUTを、ホストPC300のRAM302にコピーしておく。記録媒体の指定は、予め用意された記録媒体のリストの中からユーザが手動で選択してもよいし、プリンタ本体100で記録媒体を自動検知し、その結果をホストPC300に転送してもよい。
図5に示す処理において、最初に、ステップS501では、色むらを生じているノズルの位置を特定するためのパッチを記録で用いる第1の画像データを作成する。すなわち、図1に示した記録ヘッド101〜104のノズル列によって記録される色のパッチで、少なくとも二次色を含む複数色のパッチをレイアウトした画像データを作成する。この際、例えばRGBそれぞれ256階調で1677万色のパッチを作成すると膨大なコストを有するので、R、G、Bそれぞれについて、信号値0〜255を、例えば17等分し、17×17×17通りの組合せ(格子点)についてパッチを記録する。あるいは、色むらが生じ易いノズルが予め分かっているときは、そのノズルを含むノズルの組合せによって記録される色のパッチだけを記録してもよい。つまり、上記格子点のうち、ノズルの吐出特性によって色むらが特に大きく変化しやすい格子点を選択し、これらの格子点に対応するR、G、Bの組についてのみ、パッチを記録してもよい。以上のように定められる子点の1つに、例えば、図3にて説明した、色むらを生じているブルー画像に対応した、(R、G、B)=(0、0、255)が含まれる。また、パッチの画像データには、パッチを記録する領域の近傍にそのパッチを記録したノズルのノズル位置を表す識別子が記録されるようデータが含まれる。この識別子としては、例えば数字や目盛りなどの既知のものを用いることができる。
なお、RGB格子点ではなく、上述したプリンタプロファイルやインク色変換処理部405で使用されるLUTを用いて、均等色空間内でパッチが等間隔になるよう画像を作成してもよい。
次に、ステップS502では、ステップS501で作成した第1の画像データをプリント(記録)する。これを以下では第1のテストプリントともいう。
図6(a)は、この第1のテストプリントで記録されるパッチの一例を示す図である。この第1のテストプリントでは、パッチを記録するための、選択された数組の画像データ(R、G、B)は、入力色変換処理部403の処理を施された画像データ(以下、デバイス色画像データD[X]という)として、MCS処理部404の処理を経ずに、インク色変換処理部405に入力する。この経路は、図4(a)においてバイパス経路として破線410で示されるものである。バイパス経路による処理は、例えば入力値=出力値となるようなテーブルを用意し、デバイス色画像データD[X]がMCS処理部404に入力されるが、Xの値にかかわらず入力値のまま出力されるようにしてもよい。その後、HS処理部406、TRC処理部407、量子化処理部408にて、通常の記録時のデータ処理と同様の処理を施し、出力部409で、記録用紙106に図6(a)に示す配置のパッチを記録する。
なお、図5に示す処理を行う前にMCS処理部404で用いるテーブルパラメータが既に作成されている場合は、ステップS501で作成された画像データは、MCS処理部404の処理を経て、インク色変換処理部405に入力される。ここで、MCS処理部404で用いられるテーブルパラメータは、本処理に入る前に作成ないし更新されたテーブルパラメータである。このようにテーブルパラメータが既に存在し、それを更新する場合は、図4(a)に示すバイパス経路410を介さずに、MCS処理部404の処理を行うようにしてもよい。
以上の処理過程で、(R、G、B)で表されるパッチの画像データは、インク色変換処理部405によってインクの色信号による画像データ(C、M、Y、K)に変換される。この際、ステップS501で作成したパッチの画像データに、(R、G、B)=(0、0、255)が含まれるとき、その信号値は、(K、C、M、Y)=(0、255、255、0)、すなわち、シアンおよびマゼンタが100%ずつ記録されるデータに変換される。その後、HS処理部406およびそれ以降の処理によって、(K、C、M、Y)=(0、255、255、0)の画像データは、ノズル位置に応じて図3(b)に示すドットデータとなり、また、図3(c)に示すように記録される。以下の説明では、説明を簡略化するため、ブルー画像に色むらが生じている場合で、このブルーのパッチの画像データを示す格子点に対応したテーブルパラメータのみについてその作成処理を説明する。
デバイス色画像データD[X]において、Xは、測定用画像データにおける、600dpiの解像度の画素を特定する値である。換言すれば、Xは、図1に示す各インク色の記録ヘッドのノズル配列において連続する4つのノズルに対応して規定される画素領域(以下、エリアという)を300dpiの一単位として特定する値である。従って、記録されるドットの解像度がノズルの配列解像度に対応して1200dpiであるから、600dpiの解像度の画像データD[X]に係る画素の2つ分が、上記エリアの1つに対応してXで特定される。このデバイス色画像データD[X]は、上述したように、インク色変換処理部405以降の処理が施されて、出力部409でそのデータの測定用画像が記録される。
図7(a)および(b)は、図6(a)に示すパッチの記録を説明する図である。図7(a)および(b)において、図3(a)〜(c)に示した要素と同様の要素には同じ符号を付してその説明は省略する。
図7(a)は、図3(a)に示した例と同様、マゼンタの記録ヘッド103のノズルのうち図中右側の4つのノズルが標準より多い吐出量となっている例を示している。この場合、HS処理が施されることによって、図7(b)に示すブルーのパッチが記録される。すなわち、同図中右側の領域に色ずれを生じ、そのブルーが同左側の領域のブルーとは異なるパッチが記録される。
図5において、次のステップS503では、ステップS502で記録したパッチをユーザが目視することによって特定される、色むらが発生しているノズルの色および位置の入力を受け付ける。すなわち、ユーザは、図6(a)に示すパッチの記録状態を目視することにより、第1のテストプリントから何色の、どのノズル位置に色むらが発生しているかを検知する。例えば、図6(a)において、「色2」の「ノズル位置3〜4」に色むらが発生していること検知する。そして、ユーザが、第1のテストプリントにおいて色むらを確認した色とノズル位置を、例えば、プリンタ100が備えるディスプレイ(不図示)に表示されるインターフェースで指定する。
図6(b)は、本処理を行うアプリケーションのユーザインターフェイスを示す図である。図6(a)に示した第1のテストプリントで「色2」の「ノズル位置3〜4」に色むらの発生を検知した場合、図6(b)に示すインターフェース上で対応する色むらの位置を指定する。例えば、図6(b)のように表示された「色2」のパッチ上で、色むらの両端位置(ノズル位置3、4)をカーソルで指定する。なお、色むらの中に濃度勾配がある場合は、色むらが最も強く現れる位置、すなわち、色むらが最大となる位置を、インターフェースにおけるパッチ上で選択するようにしてもよい。この場合の処理として、後述のステップS504で行う色補正を、色むら最大値の位置に近いほど補正度合いを大きく、色むらの両端位置に近いほど補正度合いを小さくする。これにより、色むらの中に濃度勾配があっても、色補正処理をノズル位置に応じて変えていくことができる。なお、色むらの色とノズル位置を指定する際に、図6(b)に示すようなカーソルではなく、色とノズル位置に番号を振り、その番号によって色とノズル位置を指定するようにしてもよい。
図5において、次のステップS504では、ステップS503で指定入力された色とノズル位置に対して色補正処理を行う。すなわち、ステップS503で指定された色のパッチで、指定されたノズル位置Xに対応する画像データ(X)について複数の候補補正値それぞれによって補正した画像データ(X)による複数のパッチを作成し、それらをレイアウトした第2の画像データを作成する。この際、後述されるように、ステップS503で指定されたノズル位置に応じて、作成するパッチの数、すなわち、候補補正値の数が定められる。
図8(a)は、次のステップ505で、上記第2画像データに基づいて記録されるパッチを示す図であり、ノズル位置(X=3、4)に対する3つの候補補正値による候補パッチを示している。
以下では、この候補パッチの画像データの作成について説明する。
ステップS503で指定された色のデバイス色画像データD[X]が(R、G、B)=(0、0、255)つまりブルーであり、この色のパッチを記録するシアンおよびマゼンタのノズル列において指定された位置が第3および第4エリア(X=3、4)であるとする。この場合、デバイス色画像データD[X=3]およびD[X=4]について、以下の処理が行われる。換言すれば、MCS処理部404で用いるテーブルパラメータのうち、(R、G、B)=(0、0、255)で表される格子点について、第3および第4エリア(X=3、4)それぞれについてテーブルパラメータを求める。つまり、本実施形態ではノズル位置に対応したエリアごとにテーブル(パラメータ)が規定され、本例では、X=3、4で示されるそれぞれのエリアごとにテーブルパラメータを求める。
一般化して指定されたエリアがX=nであるとすると、このエリア[n]に対応した画像データの補正は次のように行われる。R、G、Bそれぞれの成分の組み合わせからなる候補補正値Zi[n]について、そのR、G、B成分の組合せが異なるm(i=1〜m)個の候補補正値Zi[n]を作成する。そして、上記格子点の画像データにm個の候補補正値それぞれを加算してm個の補正後の画像データを得、この補正画像データに基づいてm個のパッチを記録する。本実施形態では、補正後画像データないし候補補正値の数mを、後述するように、ノズルの位置に応じて異ならせる。
以上の補正を式で表すと、指定された格子点の画像データD[n]に対して、下記式に従って色補正値Zi[n]を加算し、色補正後のデバイス色画像データDi[X](第2の色信号)を得る。すなわち、第1の色信号D[X]と第2の色信号Di[X]の関係は以下のようになる。
色補正後のデバイス色画像データDi[n]=D[n]+Zi[n]
以上のようにして作成されたm個のパッチを画像中に並列にレイアウトして、第2の画像データを作成する。
なお、色むらが存在していないとして指定されていないエリアについては、色補正処理は行わない。従って、本ステップの処理によって、X=n以外のエリアに係る画像データD[X]は変化しない。
また、上記例では、RGB値を基準に色補正を行うものとして説明したが、例えば、均等色空間(L*、a*、b*)に変換して、その中で等間隔になるようm個の色補正されたパッチを作成してもよい。つまり、上述したプリンタプロファイルやインク色変換処理部405で使用されるLUTを用いて、第1の色信号D[X]や第2の色信号Di[X]や色補正値Zi[n]をL*a*b*値やCMYK値に変換して処理を行う。その工程では、まず第1の色信号D[X]のRGB値をプリンタプロファイルでL*a*b*値に変換する。次に、L*a*b*値で表された色補正値Zi[n]を加算し、第2の色信号Di[X]を得る。最後に、プリンタプロファイルを用いて逆演算による補間処理を行えば、L*a*b*値に基づいた色補正を行うことができる。
次に、上述したm個の候補補正値を決定する処理の詳細について説明する。
本実施形態では、色空間の位置に応じた、主に人間の視覚特性に基づいて色補正値Zi[n]を定める。すなわち、m個の候補補正値を定めるにあたり、例えば、人間の視覚で色の違いが高精度に識別できるグレー近辺では、m個の候補補正値をより小さい間隔で変化させることが望ましく、これにより、視覚特性に適合して高精度で補正値を決定することができる。一方、明度の低い領域や彩度の高い領域などは色むらの識別がグレー近辺に比べて高精度ではない。このため、m個の候補補正値Zi[n]をより大きい間隔で変化させても、人間の視覚特性に適合して高精度で補正値を決定することができる。これに対し、m個の候補補正値を色にかかわらず固定値とする場合は、人間の視覚特性とm個の候補補正値Zi[n]の変化する間隔が適合していない場合を生じ、結果として、高精度の候補補正値の決定ができないことがある。そこで、本実施形態は、m個の候補補正値を決定するにあたって、候補補正値のR、G、B各成分を小さな値から順次小さな幅で変化させるとともに、そのように変化させて得られる補正値が人間の視覚特性に基づく識別の閾値を超えた場合にその補正値を候補補正値とする。
図9は、ステップS504における候補補正値ないし候補パッチデータの決定処理の手順を示すフローチャートである。
補正値Zi[n]のR成分加算値をAr、G成分加算値をAg、B成分加算値をAbとするとき、先ず、ステップS1601で初期化を行い、Ar=Ag=Ab=0とする。次に、ステップS1602で、加算値Ar、Ag、Abについて、補正される格子点の色D[n]からの補正値Zi[n]の距離を小さい値から順に変化するように設定し、設定された加算値Ar、Ag、Abを格子点の色D[n]のR、G、B成分に対して加算する。具体的には、変化させる加算値Ar、Ag、Abのステップ数を1とする。すなわち、加算値Ar、Ag、Abを+1、−1、+2、−2、+3、−3、…と変化させる。このとき、格子点の色D[n]からの距離は、1、√2、√3、…と変化する。
この場合、ステップS1602では、最初に上記距離が1の場合について、(Ar、Ag、Ab)=(1、0、0)の値が加算される。その後、後述するステップS1603〜S1605の処理を経てステップS1602に戻るときは、(Ar、Ag、Ab)=(0、1、0)の値が加算される。その後、同様にステップS1602に戻るときは、順次(Ar、Ag、Ab)=(0、0、1)、(−1、0、0)、(0、−1、0)、(0、0、−1)が加(減)算される。そして、次に、ステップS1602に戻るときは、上記距離が√2となる補正値であり、戻るごとに順次(Ar、Ag、Ab)=(1、1、0)、(0、1、1)、(1、0、1)、(−1、1、0)、(0、−1、1)、(−1、0、1)、(1、−1、0)、(0、1、−1)、(1、0、−1)、(−1、−1、0)、(0、−1、−1)、(−1、0、−1)の値が加(減)算される。以降、同様にステップS1602に戻るときは、上記距離√((Ar^2)+(Ag^2)+(Ab^2))が小さい値から順次大きい値に変化するよう、加算値Ar、Ag、Abを+2、−2、+3、−3、…と変化させて加算値を設定する。
なお、加算値Ar、Ag、Abを変化させる順序は、上例では、Ar、Ag、Abの順序であるがこれに限られないことはもちろんである。格子点の色D[n]からの距離が1の組合せについて総て終了してから次の距離√2の組合せの処理に移るという規則が遵守されれば、どのような順序であってもよい。
次に、ステップS1603では、上記のように求めた加算値を成分として有する補正値Zi[Ar、Ag、Ab]によって補正対象である格子点の色D[n]を補正した結果である、Di[n]=D[n]+Zi[Ar、Ag、Ab]を均等色空間(L*、a*、b*)に変換する。なお、RGB空間からL*、a*、b*空間への変換は公知の技術であるためその説明は省略する。
次に、ステップSS1604で、D[n]とDi[n]の均等色空間上での差分値(ΔE)を算出する。ここで、差値ΔEは、√(ΔL^2)+(Δa^2)+(Δb^2)と表すことができ、また、Di[n]のLab値を(L1,a1,b1)、D[n]のLab値を(L2,a2,b2)とするとき、
ΔL=ΔL1−ΔL2
Δa=Δa1−Δa2
Δb=Δb1−Δb2
である。
そして、ステップS1605で、上記のように求めたΔEが予め設定した閾値TH1よりも小さいか否かを判断する。ここ閾値TH1は、色差を識別できるか否かを示す閾値であり、人間の視覚特性に基づいて設定する。例えば、特開2000−301807号公報の記載によれば、JISや様々な団体での規定では、0.8〜1.6で「隣接比較で色差を感じられる」とされていることから、本実施形態では閾値TH1を1.6とする。
ステップS1605で色差ΔEが閾値よりも小さいと判断された場合は、人間の視覚には同一色として視認されるため、その色差に対応する補正値で補正する意味が無いとして候補補正値とせずにステップS1602に戻る。そして、上述したように、加算値Ar、Ag、Abを変化させてステップS1602〜1605の処理を繰り返す。一方、ステップS1605で、色差ΔEが閾値TH1以上であると判断されたときは、異なる色に視認されることから、ステップS1606で、その色差に対応する補正値を候補補正値とし、この補正値で補正したDi[n]を候補パッチ(候補色)のデータとして登録する。
最後に、ステップS1607では、iの値を予め設定した候補色数mと比較し、iの値がmとなるまでステップS1602〜S1606の処理を繰返す。
なお、上述のΔEの算出はCIE1976色差モデルを前提に説明したが、修正したCIE1994色差モデルや、より視覚特性に忠実なCIE2000色差モデルで算出するようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態は、基本的に、色むらが存在するとして指定されたエリアについてm個の候補補正値ないし候補パッチデータを定めるが、このmの値を、指定されたエリアがノズル列におけるどのノズル位置に対応するものであるかに応じて異ならせる。
すなわち、記録ヘッドのノズル列におけるノズル位置によって色むらの発生の仕方が異なる場合がある。例えば、複数のチップでヘッドが構成されている場合、チップとチップのつなぎ目とそれ以外の部分で色むらの発生の程度が異なることがある。この場合に、生じる色むらの程度が大きい場合を想定してmの値を一律に大きく設定するとパッチの記録枚数が増加する。そして、その結果として、もともと発生している色むらの程度が小さいノズルのエリアに対する補正では、不要なパッチが記録されることになりそれだけ不要な処理時間やコストを生じていることになることは前述したとおりである。
そこで本実施形態では、ノズル列におけるノズル位置に応じて、候補補正値ないし候補パッチの数mを定めるようにする。
図10は、ノズル列におけるノズル位置情報Xに基づいて候補補正値の数m[X]を決定する処理を示すフローチャートである。
最初に、ステップS601で、図5に示したステップS503で指定された、色むらが発生している色およびノズル位置に関するエリア情報[X]を得る。そして、ステップS602で指定された色情報に関係するインク色に対応する記録ヘッドないしノズル列において、上記エリア情報[X]に対応したノズル位置を示す座標情報を得る。なお、色むらが発生しているとして指定される色は異なるインク色を混合したものであり、従って、基本的には、上記異なるインク色に対応するそれぞれの記録ヘッドないしノズル列が特定され、それらにおいてノズル座標の情報が求められることはもちろんである。
次に、ステップS603で、テーブルを参照して、エリア[X]に対応して得られたノズル座標に基づいて候補補正値ないし候補パッチの数を求める。
テーブルの一例を、図10のステップS603に関連させて示す。このテーブルによれば、エリア[X]に対応するノズル位置0は、吐出量などの吐出特性の変動の影響が小さく変化方向も一定であり、候補補正値の数を3としている。また、ノズル位置kは、吐出特性の変動の影響が小さいが変化方向が定まっていない場合に該当し、候補補正値の数を6としている。さらに、ノズル位置nは、吐出特性の変動の影響が大きい場合に該当し、候補補正値の数を12としている。
図11(a)および(b)は、上述したノズル位置に対応した候補補正値の数の定め方の一例を説明する図である。このうち、図11(a)は、図1に示したブラック(K)のインクを吐出する記録ヘッド101の詳細を示しており、記録ヘッド101がそれぞれ複数のノズル列が設けられた複数のヘッドチップを千鳥状に配して構成されることを表している。なお、図1に示したシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを吐出する記録ヘッド102〜104も同様の構成を有しており、以下では、記録ヘッド101に関してのみ説明する。
図11(a)において、111〜126は、それぞれ複数のノズル列が設けられたチップを示している。これらのチップは、隣接するチップとの間に相互のノズルによる記録領域が重なるつなぎ部が設けられている。
図11(b)は、複数のチップの配列およびチップにおけるノズル位置に応じたノズル使用頻度を説明する図である。同図に示すように、複数のチップ112〜115それぞれには、図1にて上述したように、Kインクを吐出する8本のノズル列が設けられる。これらのノズル列は、それぞれのノズル配列のピッチの1/8ずらして相互に配列されている。また、複数のチップ112〜115はそれぞれ隣接するチップとつなぎ部121を介した位置関係で配列する。すなわち、つなぎ部121は隣接する2つのチップ間で記録(吐出)する位置が共通であるノズルによって構成される。
図11(b)の使用頻度を示すグラフから分かるように、各ヘッドチップにおけるつなぎ部以外(非つなぎ部)では、ある共通の記録領域に対して8本のノズル列におけるそれぞれのノズルを交互に用いることから、1つのノズル列あたり使用頻度は1/L(1/8)となる。一方、つなぎ部121においては、2×L(8)個のノズルを使用することが可能となるが、このつなぎ部では、次のように各ノズルの使用を制御する。すなわち、つなぎ部121の中央では、このつなぎ部を介して隣接するヘッドチップそれぞれにおけるL/2本のノズル列のノズルを使用するように制御する。すなわち、この中央部では1つのノズル列あたり使用頻度は1/2L(1/16)となる。また、この中央部から非重なり部との境界までの間は、ヘッドチップ113、114それぞれのL本のノズル列を使用するとともに、その使用頻度の変化が非つなぎ部の1/Lと滑らかにつながるような使用頻度とする。なお、以上のノズルの使用制御において、マスクパターンを用いて使用、不使用のノズルが固定もしくは偏らないようにすることが望ましい。
以上のように、図11(a)に示す、いわゆるつなぎヘッドでは、つなぎ部の使用頻度は相対的に低くなり、使用頻度によって吐出特性の変化は発生しにくくなる。従って、そのような使用頻度の低い部分では、候補補正値の数m[X]が小さくてもよい。上例の場合、上記mを使用頻度に比例させる場合は、つなぎ部のmの値は非つなぎ部の1/2でよいことになる。
候補補正値mの数を定める他の要因として記録に用いる記録媒体の幅がある。すなわち、ノズルの使用状態は、記録媒体の幅に対するノズル位置に応じて異なる。
図12は、記録紙の紙幅サイズとノズルの位置関係を示す模式図である。詳しくは、ノズルの位置に応じてそのノズルが使用される紙幅サイズの記録紙の数を示している。図12に示すように、大、中、小3種類のサイズの紙幅を記録紙をセンター基準で記録に用いる場合、図のAの部分は大サイズの記録紙を用いるときのみに使用される。また、Bの部分は大および中サイズの記録紙を用いるときに使用され、Cの部分は大、中、小総てのサイズの記録紙を用いるときに使用される。このように、色むらがあると指定されたエリア[X]に対応するノズル位置に応じて、その使用頻度情報から候補補正値の数m[X]を決定することができる。本礼の場合、Cの部分が最も使用される確立が高く、mの値を大きくする。なお、境界部分は使用/不使用の段差が発生するため、候補補正値の数m[X]を大きい方にあわせるようにしてもよい。
候補補正値mの数を定めるさらに他の要因として記録時のノズル列における温度分布がある。すなわち、図13に示すように、ノズル列は、一例として、その端部では熱が逃げやすく中央部では熱が溜まりやすくなり、ノズル列の中央部ほど高い温度となる温度分布を持つ。これは、記録動作に伴いノズルごとにインク吐出に用いられるヒータからの熱はインクとともに排出されるが一部はヘッドチップ内に蓄熱されることから上記のような温度分布を生じる。そして温度変化が大きい場合には吐出量変動も大きくなることから、図13に示す温度分布の例では中央部のノズルに対応したエリア[X]は候補補正値の数m[X]を多くする。
なお、温度が高い状態で使用されるとヒータに焦げが発生しやすくなり、その結果吐出量変動が大きくなることもある。また、複数のチップ間でもその位置関係により相互に影響を与え合うため、異なる温度特性を示す。さらに、インクとヘッドチップ周辺の温度が異なる場合、温度差により熱交換が行われるため、インクの供給流路構成により温度特性が異なることがある。このような温度特性に基づいて、候補補正値の数m[X]を決定することもできる。
以上の例に示したように、候補補正値の数を決定する要因に関連付けられたノズルの位置情報に基づいて候補補正値の数m[X]を定めることができる。この場合に、以上説明した要因のいずれか、あるいは上記要因の任意の組合せに基づいて、ノズル位置と候補補正値との間の、図10に示したような対応関係を定めることができる。
図5に示すステップS504で、上述したように、候補補正値に基づく複数の候補パッチデータが作成され、それらを配置した第2の画像データが作成される。なお、上記第2画像のパッチの中に、第1のテストプリントで用いた色むらの補正処理なしのパッチを同時に配置してもよい。これにより、ユーザは候補補正値によって色むらの補正がなされたパッチを色むら補正処理なしパッチと比べることができ、その効果を確認することができる。また、後述されるように、ステップS506で複数のパッチの中から少なくとも1つのパッチを選択するが、色むらの強度と色補正値Zi[n]の大きさによっては、色むら補正処理なしのパッチが最も色むらが目立たないこともありうる。その場合の選択肢として、色むら補正処理なしのパッチを配置しておけば、より誤差を最小に抑えた選択を行うことができる。さらには、プリント試行の差を排除するという効果もある。例えば、第1のテストプリントの色むら補正処理なしのパッチを用いて、複数の色むら補正処理を行ったパッチと比較することもできるが、プリント試行や用紙が異なるとパッチの色が異なってしまう場合がある。これを解決する方法として、色むら補正処理なしのパッチを同時にプリントする方法が有効になる。
図5を再び参照すると、次のステップS505では、ステップS504で作成された第2の画像データを記録(プリント)する。以下では、これを第2のテストプリントと呼ぶ。すなわち、補正すべき色を複数の候補補正値でそれぞれ補正して得られる複数の候補色のパッチを、上記ノズル位置情報に対応するノズル以外の、記録媒体の同じ領域に異なる色のインクを吐出する複数のノズルによって記録されるべき色とそれぞれ対比できるように記録させるパッチ記録制御を行う。この第2のテストプリントは、一例として図8(a)に示すものであり、ユーザは、ステップS503で指定した位置の色むらの色が、複数の候補パッチごとに変化していることを確認することができる。
次に、ステップS506で、第2のテストプリントの複数あるパッチの中から最も色むらが低減されたものをユーザが目視で判断しその色補正番号を指定しその指定情報を受け付ける。
図8(b)は、このステップS506で用いるユーザインターフェイスを示す図である。図8(b)に示すように、例えば、図8(a)におけるm個の候補パッチのうち、m個の色が対応付けられて示されるパッチのうち、「補正3」の色むらが最も低減されている場合は、図8(b)に示すインターフェースにおいて「補正3」の「ノズル位置3〜4」をカーソルで選択する。あるいは、図8(b)に示すようなカーソルではなく、色補正と位置に番号を振り、その番号で指定してもよい。なお、色むら低減の度合いが同程度のものが2つあれば、それら2つを指定してもよい。
なお、どの候補パッチも色むらが低減できなかった場合は、色補正パッチの中から最も効果があったものを少なくとも1つ選択する。そして、そのパッチを基準に第2のテストプリントを再度行う。すなわち、ステップS504に戻って、再度第2の画像データを作成する。これを第3の画像データとし、このプリントを第3のテストプリントと呼ぶ。このとき選択された候補パッチは、他の色補正パッチに比べて色むらが少なくとも低減されていることになる。言い換えれば、選択されなかった他の色補正パッチは、候補補正値Zi[n]の大きさが大き過ぎたことになる。そこで、第3の画像データを作成する際は、第2の画像データに比べて候補補正値Zi[n]を小さくすればよい。例えば、第2の画像データで作成された候補補正値Zi[n]の大きさを半分にする。これにより、第3の画像データの中で、色むら低減を選択する範囲を狭めていく。すなわち、本処理を収束させて、色むらが低減できる候補パッチを絞って行くことができる。また、第3のテストプリントでも色むらが低減できなかった場合は、上記処理を繰り返して、第4以降のテストプリントを行うようにすることができる。
ところで、上記では第2のテストプリントで候補補正値Zi[n]が大きいために、色むらが低減できない場合の処理を説明した。しかし、発生した色むらの強度が大きいために、第2のテストプリントの色補正値Zi[n]が小さくて色むらが補正できない場合もある。その場合は、逆に第3のテストプリントで色補正値Zi[n]を大きくする。その際、第3のテストプリントを行うときにユーザインターフェイス上で色補正値Zi[n]の大きさを指定できるようにする。この値に基づき第3のテストプリントの画像を作成することにより、効率的に色むらを低減できる候補パッチを作ることができる。
次に、ステップS507では、ステップS506で指定された補正処理を指定されたノズル位置のエリア[X]について施す。具体的には、補正値Zi[X]を、MCS処理部404におけるエリア[X]のテーブルパラメータとして決定する。
なお、ステップS506の第2のテストプリントで複数の候補パッチが指定された場合は、例えばそれらの候補補正値の平均を取った補正値をテーブルパラメータとする。例えば、複数指定されたパッチのうち、1つ目のパッチの候補補正値は補正対象の格子点のRGB値を(0、0、10)だけ補正する処理であり、2つ目のパッチについては(0、10、0)だけ補正する処理とする。その場合、最終的に決定する色補正処理は、RGB値を平均化した(0、5、5)としてもよいし、これら2つのベクトルを取って(0、10、10)としてもよい。図8(a)に示すような有限の数の候補パッチで色むらを精度よく低減するには、このように複数の色補正パッチを同時に指定する加算的な方法を行うことが有効となる。
以上のようにステップS508では、新しく作成されたテーブルパラメータが、MSC処理部404のテーブルに格納される。詳しくは、各格子点のテーブルパラメータは、ノズル位置に対応したエリア[X]ごとに補正対象の格子点に対応させてメモリに記憶される。この時格納されるメモリは、本実施形態ではホストPCのHDD303とするが、プリンタ本体に用意された不揮発性のメモリであってもよい。いずれにしても、作成したテーブルパラメータが、電源OFFしたタイミング等で失われたりしないように取り扱われるのが好ましい。
図5のステップS508の処理は、前述したように、以上説明したステップS501〜S507の処理とは異なるタイミングである、記録動作に伴う画像処理として行われる。すなわち、通常の記録動作の際に、図4(a)に示す一連の画像処理に従って画像処理アクセレータ316が行う工程の一部として行われ、図4(a)においては、MCS処理部404にて実行される工程が相当する。
最初に、画像処理アクセレータ316は、エリア[X]のデバイス色画像データD[X]に対し、以上のようにして作成したテーブルパラメータを用いて補正を行う。続いて、画像処理アクセレータ316は、補正されたデバイス色画像データDm[X]に対し、インク色変換処理部405、HS処理部406、TRC処理部407、量子化処理部408による、処理を施す。そして得られた2値データに従って、出力部409によって記録用紙106にドットを記録する。
図14(a)および(b)は、図5のステップS508で記録された画像を説明する図である。図14(a)は、図7(a)と同様、シアンおよびマゼンタの記録ヘッド102、103におけるノズルの吐出量特性示している。これに対して、MCS処理による補正が行われると、図14(b)の右側のエリアのマゼンタドット10626のように、シアンドットが重ならないドットが存在する。すなわち、マゼンタドット10626は、図7(b)に示すHS処理のみを施した記録結果ではシアンドットも記録されていた個所であるが、画像データが補正によってシアン色が減少した結果、シアンのドット数が減ったことを示している。
以上説明したように、本実施形態は、色ずれの傾向が大きく変化する色(R、G、Bの組)について記録媒体にパッチ(測定用画像)を記録し、ユーザが目視で色むらが生じている色とノズル位置を指定し、その結果に基づいてテーブルパラメータを求めるものである。一般に、色むら傾向とは、(1)記録する色そのもの、および(2)記録媒体に対する各色インクの記録特性、の両方に依存する。(1)については、例えば、同じように吐出量のばらつきがあっても、レッドよりもブルーの色むらの方が目立ちやすい、というようなことがある。また、(2)各インク色の記録特性としては、これまで説明してきた吐出量の他、ドットの形状やインクの浸透率、記録媒体の種類等、ドット径に影響を与える要素が考えられる。また、色ずれ量は、その色を記録するのに用いられるインク色の記録特性の組み合わせに依存し、用いられないインク色の記録特性には依存しないことは明らかである。従って、注目画素の色に応じて、関連するインク色の種類と数は異なることになり、色によっては1つのインク色しか関連せず、色ずれ量が発生しない場合もある。
また、以上では、同一のエリアに含まれるマゼンタの4つのノズルが総て標準より大きな吐出量である場合を例に説明したが、1つのエリアの中で各ノズルの吐出特性がばらつくことがある。このような場合であっても、同一エリアにおける平均の色ずれを取得し、この色むらを4つのノズルの総てによって補正するような処理を行えば、上述した効果を得ることができる。
なお、特に色ずれの傾向が大きい色が限定されないような場合には、例えば、図15に示すように、RGB空間において等間隔に座標を取った27個の格子点それぞれについて、補正値を求める形態であってもよい。すなわち、上記格子点それぞれについて複数の候補補正値を定めてそれらのパッチを記録し、そのパッチから得られる補正値をもとにそれぞれの格子点のテーブルパラメータを作成する。
また、図5などを参照して上述したテーブルパラメータの作成処理は、プリンタ100のCPU311によって行うものとしたが、この処理を図2に示すホストPC300で行ってもよい。
ここで、上述したように、本実施形態は、MCS処理部404においてRGB信号値で入出力を行う。このようにRGB信号値で制御を行うことによるインクジェットプリンタ固有の利点が3つあり、以下にそれらを説明する。
1つ目の利点は、データ容量を縮小できる点である。インク色信号で処理を行った場合、少なくともCMYKの4つの信号値が必要になる。一般的にインクジェットプリンタではその他にCより薄いライトシアン(Lc)、Mより薄いライトマゼンタ(Lm)などを用いることがある。このように6色のインク、すなわち6つの信号値が必要になる。さらには、インクジェットプリンタによってはグレー(Gr)、レッド(R)、グリーン(G)などのインクを用いることがあり、これらを合わせると全部で9色のインクが存在することになる。上述したとおり、MCS処理部404ではLUTで処理を行っているため、インク色信号で処理を行うとその組み合わせ、すなわちデータ容量が増える。インクジェットプリンタはインクの浸透によって発色が異なるので、その発色特性は非線形となる。そのため、三次元LUTの格子点間隔も細かくする必要があり、その結果格子点数が増す。上記のように、色数(次数)が増えると、格子点数(すなわちデータ容量)が指数関数的に増える。加えて、MCS処理部404ではノズル位置に対応したエリアごとにテーブルパラメータを保持するため、システム負荷がさらに増える。例えば、8bit(1Byte)信号値のLUTを考える。1色に対して17格子点を用意した場合、RGBのLUTは17の3乗で4913点の格子点が必要になるため、1Byte×3信号値×4913点=約15kByteのLUTとなる。ところが、CMYKの4色の場合は、LUTは17の4乗で83521点の格子点が必要となり、1Byte×4信号値×83512点=約334kByteが必要となる。つまり、色数が1つ増えるだけで、上記の例では約22倍のデータ容量となる。ちなみに、仮にノズル位置に対応したエリアが100あるとすると、CMYKの4次元LUTは最終的に約33MByteのデータ容量となる。このように本実施形態では、データ容量を縮小するという利点を考慮して、MCS処理部404をRGBの3つの信号値で行う。
2つ目の利点は、インク量飽和による不測の事態を回避できる点である。インク色信号のLUTを本処理で変更すると、記録媒体に対するインクの浸透に影響が及ぶ。インクジェットプリンタは、記録媒体に応じてインクの打ち込み量が決まっている。しかし、ステップS505で第2のテストプリントを行う場合など、パッチによってはインク色信号値が従来値より大きく変更されてしまい、インク量が記録媒体の飽和量をオーバーすることがある。その結果、プリントされた記録媒体上のインクが通常よりも乾燥せずにプリンタから出力されてしまうことになる。そのため、インクの吐出量を制御するCMYK信号値よりも、それとは独立したRGB信号値を制御することで、こうした課題を回避することができる。
3つ目の利点は、記録される画像の粒状感を低減できる点である。一例として、シアンの色相における濃度値0からシアン濃度最大値へのグラデーション(薄いシアンから濃いシアン)のインク使用量を考える。図16において、Lcインクの打ち込み曲線を「Lcインク曲線1」、Cインクの打ち込み曲線を「Cインク曲線」とする。濃度が0の状態からLcインクの打ち込み始まり、その量を徐々に増やしていく。続いて、Lcインクの打ち込み量を減らしていき、その分Cインクの打ち込み量を増やして行く。こうして、シアンのグラデーションを再現することができる。このとき、Lcインクの打ち込み量が打ち込み限界(飽和量)に達した状態、すなわちLcインクでシアン色を濃くした状態でCインクを打ち込めば、粒状感を低減することができる。こうしたインクジェットプリンタの特性から、Lcインク使用量を多くするほど粒状感の低減に効果がある。ここで、本実施形態では、ステップS505の第2のテストプリントで、ステップS503で指定された色のパッチに対して、濃度を変化させたパッチを記録する。しかしその際、ステップS503で指定された色のパッチが図16に示す点Aの場合、それより濃度の高いパッチをCMYK信号値で作成するには、Lcインク打ち込み量を「Lcインク曲線1」から「Lcインク曲線2」に変更する必要がある。そして、この時点で打ち込み限界を超えてしまうことになる。逆に、インクの打ち込み量を変動させつつ、打ち込み量の飽和を防ぐためには、Lcインク打ち込み量は予め下げる必要がある。すなわち、「Lcインク曲線3」に変更する必要がある。ところが「Lcインク曲線3」はLcインク使用量が少なく、粒状感が目立ってしまうことになる。ここで本実施形態の利点として、粒状感低減の利点を考慮して、CMYK値ではなくRGB信号値で、「Lcインク曲線1」を用いて第2のテストプリントを作成する。色補正パッチを作成する際に、例えば点Aを点Bに変換することで、インク打ち込み条件を変えることなく第2のテストプリントを作成することができる。
(第1変形例)
図4(b)は、第1変形例に係る、インクジェットプリンタにおける画像処理部の構成を示すブロック図である。図4(b)において、符号401、405〜409で示す各部は、図4(a)において同じ符号で示すそれぞれの部と同じであるためそれらの説明を省略する。本変形例が、図4(a)に示す構成と異なる点は、入力色変換処理部とMCS処理部による処理を一体の処理部として構成した点である。
具体的には、入力色変換処理&MCS処理部411は、入力色変換処理部のテーブルとMCS処理部のテーブルを合成した1つのテーブルを用いる。これにより、入力部401からの入力画像データに対して、直接色ずれの補正処理を行い、色ずれを低減したデバイス色画像データを出力することができる。
図17は、入力色変換処理&MCS処理部411で用いるテーブルのパラメータを生成する処理と、記録データを生成する際の画像処理における、上記テーブルを用いたMCS処理をそれぞれ示すフローチャートである。
図17は、CPU311が実行する、LUTのパラメータを生成する処理である。図5に示す処理と異なる点は、ステップS1402、S1405およびS1407の処理である。
ステップS1402の処理では、入力色変換処理&MCS処理部411のうち、入力色変換処理部に相当する部分だけが機能するようにし、破線410のバイパス処理経路で、MCS処理をスキップする。具体的には、入力色変換処理&MCS処理部411は、2つのテーブルを切り替えて用いることができるよう構成されている。すなわち、入力画像データI[X]に対して、入力色変換処理とMCS処理部の処理を合成した、以下で説明する色変換W’をテーブルパラメータとして有するテーブルと、入力色変換処理のみのテーブルパラメータを有するテーブルとが、切り替えて用いる。そして、測定用画像を記録する際は、入力色変換処理のみのテーブルに切り替えて用いる。この処理の後は、第1の実施形態と同様に、インク色変換処理部405、HS処理部406、TRC処理部407、量子化処理部408を経て出力部409で、パッチが記録用紙106に記録される。ステップS1305も同様に、入力色変換処理&MCS処理部411で用いるテーブルを上記のように切り替えて用いる。また、ステップS1407では、合体したLUTのテーブルパラメータが決定される。
以上説明した変形例1によれば、入力色変換処理&MCS処理部411で合算したLUTを用いて第1の実施形態と同じ処理を行うので、第1の実施形態と同様に色むらを低減することができる。そして、1つのLUTで一括して変換しているので、第1の実施形態よりもLUTのために用意する領域を削減したり、処理速度を向上させたりすることが可能となる。
(第2変形例)
図4(c)は、本実施形態の第2変形例に係る画像処理部の構成を示すブロック図である。本変形例のMCS処理部のテーブルパラメータの生成およびMCS処理部の処理は、図5に示す処理と同じであり、異なるのはMCS処理部404の処理を、入力色変換処理部403の処理の前に実施することである。これにより、モジュールの独立性が向上する。例えば、MCS処理部を非搭載の画像処理部に対する拡張機能として提供できるようになる。また、ホストPC側に処理を移すことも可能となる。
(第3変形例)
図4(d)は、第3変形例に係る画像処理部の構成を示すブロック図である。同図に示すように、本変形例は、図4(a)〜(c)では用意したHS処理部406を省いた形態に関するものである。
本変形例のMCS処理部のテーブルパラメータの生成およびMCS処理部の処理は、図5に示す処理と同じであり、異なるのはHS処理部におけるヘッドシェーディングを実施しない点である。すなわち、本変形例では、MCS処理部のテーブルパラメータは、上記実施形態や変形例のように、HS処理後のデータを基に作成されるものではない。本変形例においては、図5で示した処理に従って、MCS処理部のテーブルのパラメータを生成したり、画像処理を行ったりすることができる。
図18(a)および(b)は、本変形例におけるパッチの記録状態を説明するための図である。図18(a)は、図3(a)に示した例と同様、マゼンタの記録ヘッド103のノズルのうち第2エリアに相当する4つのノズルが標準より多い吐出量となっている例を示している。本変形例では、ブルーを示す画像データ(K、C、M、Y)=(0、255、255、0)に、HS処理が施されていないので、図18(b)に示すようなブルーのパッチが記録される。すなわち、吐出量が標準より多いノズルを含む第2エリアであっても、マゼンタドットとシアンドットは同じ数だけ記録されるその結果、第2エリアにおいて、マゼンタよりの色ずれが生じる。
このようなパッチに基づき、本変形例のMCS処理部404のテーブルパラメータは、マゼンタ色を減少させるような補正値が生成される。このような補正を行うことにより、HS処理部を含まない本変形例においても、ブルーデータを記録する際に、図14(b)に示すような記録状態を得ることが可能となり、色ずれを低減することが可能となる。
また、HS処理部を設けない本変形例においては、HS処理用のテーブルを用意する必要がなくなり、HS処理のための「パターン記録」、「測色」、「補正パラメータ演算」などの処理が必要なくなる。その結果、メモリを低減しHS処理に係るタイムコストを低減することが可能となる。
なお、以上説明した第1の実施形態およびその第1〜第3変形例は、一例を示しており、本発明の効果である色むらの低減が実現できる構成であれば、どのような構成をも用いることができる。例えば、エリア間の相対的な色むらを低減することができれば、本発明が課題とするような色むらは目立たなくなるので、必ずしも全ての色むらを、周囲の色むらでない領域に近づけるような補正を行わなくても良い。
また、以上の実施形態では、4つのノズルによって規定されるノズル位置に対応した領域を1つのエリアとし、MCS処理を行う最小単位として設定したが、本発明はこのような単位に限定されるものではない。より多くのノズルで規定される領域を一単位としてもよいし、1ノズルずつMCS補正が行なわれるようにしても構わない。さらに、個々のエリアに含まれるノズル数は必ずしも同数でなくても良く、個々のエリアに含まれるノズル数をデバイスの特性に応じて適宜設定してもよい。
また、上記実施形態では、RGB形式で入力された画像データに対しMCS処理などを行った後、記録装置で用いるインク色に対応したCMYK形式の画像データに変換する例で説明したが、無論本発明はこのような形式限定されるものではない。MCS処理の対象となる画像データは、RGB形式のほか、L*a*b*、Luv、LCbCr、LCHなど、いずれの形式であっても構わない。
(第4変形例)
図19は、第4変形例に係る複数の候補補正値の決定処理の手順を示すフローチャートであり、第1実施形態に係る図9に示す候補補正値を決定する処理と同様の処理を示している。
本変形例が図9に示す処理と異なる点は、ステップS1705の判断で用いる閾値を、色むらが生じている色に応じて異ならせる点である。すなわち、本処理で用いるCIELab色空間は均等色空間であるが、視覚特性上は色の弁別域に偏りがある。この点に関する、MacAdamの偏差楕円やNickersonの色差式は、例えば、「新編 色彩ハンドブック、第二版(日本色彩学会編:東京大学出版会)」において知られているところである。
図19のステップS1705に示すように、色むらが発生している色D[n]に応じて等色と知覚される弁別閾値TH1[D[n]]が設定される。すなわち、ステップS1705において、算出したΔEを予め設定した閾値TH1と比較するのではなく、色D[n]に応じた閾値TH1[D[n]]と比較して等色に見える範囲か否かを判断する。
本変形例によれば、実験的に色ごとの閾値を設定できるので、視覚的に色差に敏感となる無彩色近辺を細かく設定し、鈍感となる高彩度部を粗く設定することができる。なお、このTH1[D[n]]は、予めLUT(ルックアップテーブル)として設定しておく。
(第5変形例)
図20は、第5変形例に係る複数の候補補正値の決定処理の手順を示すフローチャートであり、第1実施形態に係る図9に示す候補補正値を決定する処理と同様の処理を示している。
本変形例が図9に示す処理と異なる点は、ステップS1804の候補補正値による候補色の色差を求める処理である。図9に示す実施形態では、補正対象の色D[n]と、人間の視覚特性に基づく所定の閾値以上の色差がある色を候補色として設定した。これに対し、本変形例は、候補色同士の色差も所定値以上離れた色を候補色として設定する。すなわち、ステップS1804では、Di[n]とD[n]の差分、すなわち、ステップS1602で求めた候補補正値Zi、および、この候補補正値で補正された候補色Di[n]と既に登録された各候補色との差分を各々算出する。そして、その中から差分(色差)の最小値(ΔEmin)を決定する。そして、次のS1805では、ΔEminとTH1とを比較して等色内か否かを判断する。
図9に示す処理では、補正対象である色むらが生じている色とは異なる候補色を設定するが、候補色同士を比較するとそれぞれが等色内の色であることがある。すなわち、似た色が候補色として存在しているため、ユーザが選択に迷うことも考えられる。本変形例では、候補色総てが相互に所定の色差を有して登録されているために、より効率的な候補色の設定が可能になる。
(第6変形例)
図21は、第6変形例に係る複数の候補補正値の決定処理の手順を示すフローチャートであり、第1実施形態に係る図9に示す候補補正値を決定する処理と同様の処理を示している。
本変形例が図9に示す処理と異なる点は、ステップS1907の処理である。すなわち、図9に示す処理では、所定数の候補色が登録されると処理を終了していたが、本変形例では、候補色の数で判断するのではなく、予め設定していた候補色の範囲をカバーできたか否かによって判断する。
図21のステップS1907では、色むらの生じている色D[n]および登録した候補色Di[n]をそれぞれ中心とした半径TH1の球体の体積を算出し、総てを加算(但し重なり部は除去)した総体積が所定値以上か否かを判断する。この総体積は、使用者が候補色の中から選択可能な色の領域に相当する。ある一定以上の体積を占めた場合には補正可能と判定して本処理を終了する。
(第7変形例)
図21は、第6変形例に係る複数の候補補正値の決定処理の手順を示すフローチャートであり、第1実施形態に係る図9に示す候補補正値を決定する処理と同様の処理を示している。
本変形例が図9に示す処理と異なる点は、ステップS2005の処理である。本変形例は、補正する位置ごとに発生している色むらの乖離度合いの強弱を指定できる例に関するものである。
図22のステップS2005では、候補補正値に係るΔEと閾値との比較をするが、本変形例では、この閾値TH1[H]を指定された色むらの強弱に応じて異ならせる。すなわち、視覚的な弁別閾値に基づいてΔEが所定値以内の候補色(候補パッチ)を数多く増加させることは効率的ではない。色むらの強弱において、例えば「強」と指定された色むらに関してΔEが1.6前後の「かすかな違い」に相当する候補色を多数記録しても非効率である。この点から、「強」と指定された色むらに関してはTH1[H]を3.0程度に大きくすることにより、先ず粗い間隔で候補色の出力が可能になる。
また、乖離度合いを使用者が登録する方式も有効である。すなわち、乖離度合いは感覚量であるため、ユーザごとに異なることが多い。画像処理装置を使用するユーザが常に同一者であれば乖離度合いをカスタマイズして設定しておくことが有効である。
(第8変形例)
以上述べた実施形態およびその変形例では、Ar、Ag、Abを絶対値の小さい順に加減算してΔEを算出するものとしたが、本発明はこの方法以外にも適用できることはもちろんである。
例えば、Lab空間上でD[n]から所定の距離を設定し、所定座標に位置する値(仮に、L1、a1、b1とおく)をRGB空間の値に変換して、変換値に最も近いRGB値を探索していく方法も有効である。この方法では、所定座標の取り方に自由度を持たせることができる。すなわち、前述した実施形態では視覚特性に基づき候補色(パッチの色)と補正対象の色とのΔEを閾値と比較をすることにより候補色として設定するか否かを判断するものである。すなわち、色空間において上記補正対象の色D[n]からの距離が一定の球内に含まれるか否かで判断するものである。これに対し、本変形例では、D[n]からの距離を、D[n]に依存して自由に設定できるために非球体にすることが可能となる。
すなわち、人間の知覚特性として、Lab空間でLの変化量がabの変化量に比べて敏感である。すなわち、ΔEが1.6以内であってもΔLが0.4以上であれば視覚的に色むらとして知覚されることがある。本変形例では、自由に座標を設定できることから、L軸方向の間隔を狭く設定し、a軸、b軸の間隔をL軸に比較して粗く設定しておくことも可能となる。
(第2実施形態)
本発明の第2の実施形態は、ノズル位置によって異なるノズル使用履歴に応じて候補補正値ないし候補色(候補パッチ)の数mを異ならせる形態に関する。
色むらがノズルの使用履歴による吐出特性の変動に起因している場合、使用履歴は記録する画像の内容によって異なる。このため、ノズル列の各ノズルについて予め予測した使用状況とは異なることがある。
図23は、本発明の第2の実施形態に係る候補補正値の数を決定する処理を示すフローチャートである。
ステップS701で、色むらを生じている色およびノズル位置が、図5のステップS503で説明したように指定され、これを受け付け、ステップS702で、指定されたノズル位置情報(エリア情報)X(=n)を得る。そして、ステップS703で、指定されたノズル位置のノズルの使用履歴を判断する。
具体的には、カウンタによって、ノズルごとにそのノズルのヒート(吐出)回数をカウントする。あるいは、ノズルごとにカウンタを備えることがシステム的に困難な場合は、複数のノズルからなるノズル群についてカウンタを備えるようにしてもよい。その場合、補正を行うノズル群、すなわちエリアごとにカウンタを備えることがさらに好ましい。
図24は、ノズル位置ごとの使用回数(カウント値)の一例を示す図である。図24の横軸はノズル位置Xの情報を、縦軸はヒートカウント値を示している。
ステップS703では、ステップS702で得られたノズル位置情報に基づいて、図24に示すノズル位置とカウント値との関係に従い、使用履歴(ヒートカウント値)を求める。
さらに、ステップS704で、吐出頻度(本例の場合、カウント値)に対する吐出特性変化の度合いの関係を示すテーブルを、ステップS703で求めたカウント値で参照して、候補補正値の数m[X]を決定する。このように、ノズルの使用履歴よって吐出特性の変化を判断することにより、補正に必要な候補色を定める候補補正値の数mを効率的に求めることができる。例えば、カウント値が高い場合は、そのノズルは使用回数が多く吐出量などの特性の変化が大きい可能性があるため、候補補正値の数を多くする。
なお、ノズルの使用履歴を求める形態は上例に限られない。例えば、記録に用いた記録媒体の紙幅や商材の履歴を使用することもできる。図12を参照して説明すると、あるノズル列を用いて大サイズの記録紙をL枚、中サイズの記録紙をM枚、小サイズの記録紙をS枚記録したとする。この場合、ノズル列におけるA領域はL枚、B領域は(L+M)枚、C領域は(L+M+S)枚の記録に使用されたことになる。そして、このように求めたノズル位置Xに応じた枚数情報によって、予め作成しておいた枚数情報とノズルの吐出特性変化のテーブルを参照して、候補補正値の数m[X]を決定する。これにより、ノズルまたはノズル群のヒート数のカウンタを持つことなく補正に必要な候補色を定める候補補正値の数を効率的に求めることができる。この場合、枚数が多いノズル位置ほど候補補正値の数を多くする。
さらに、ノズルの使用回数を求める他の形態として、ノズル位置に対して使用回数を分散させた状態において使用回数を求め、それに応じて候補補正値の数を定めるものがある。
図25(a)および(b)は、ある記録紙幅に対して記録ヘッド(ノズル列)の位置を所定の間隔で移動させて使用した状態およびその状態での使用回数を示す図である。ここで、所定の間隔とは、本例では、時間、記録枚数、ヒートカウント値のいずれかまたはそれらの組合せをいう。
図25(a)に示すように、上記所定間隔で5種類の相対位置を設定すると、図25(b)に示すように、ノズル位置に対して使用回数が分散される。その結果、ノズル位置に対するノズルの吐出特性変化の度合いも分散され、ノズル位置に応じた使用による吐出特性差が少なくなる。
この場合でも、中央付近のノズルは使用回数が多く、階段状に使用回数が少なくなる。この情報を元に候補補正値の数m[X]を決定することができる。これにより、ノズルの使用頻度による特性差を分散する効果と分散された状態における補正に必要な候補色を含む候補補正値の数を効率的に求めることが可能となる。
さらに他の形態として、C、M、Y、Kなど吐出するインクの種類に対応した記録ヘッドごとに上述してきた使用回数を判断してもよい。そして、指定された色情報に基づいて候補補正値の数m[X]を決定することもできる。この場合、補正対象とする色に使用しているインク色の割合に応じて、候補補正値を定めることができる。これにより、2次色以上の色の調整を行う場合に補正に必要な候補色を定める候補補正値の数m[X]を効率的に求めることができる。
以上説明した、第1の実施形態および第2の実施形態と、それらの変形例の可能なあらゆる組み合わせは本発明に含まれるものである。
(他の実施形態)
以上説明した実施形態は、プリンタにおいてテーブルパラメータを作成する例に関するものであるが、この形態に限られないことはもちろんである。例えば、パーソナルコンピュータなどのホスト装置においてテーブルパラメータを作成してもよい。