JP5538685B2 - 毛髪化粧料 - Google Patents

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Description

本発明は、ヘアオイル等の毛髪化粧料に関する。特に、損傷により親水化した毛髪になじみが良く、毛髪に滑らかさを付与すると同時にサラサラ感が得られる毛髪化粧料に関する。
ヘアオイルは、毛髪に油分を補い、光沢、なめらかさ、柔軟性等を与えることを目的として使用される毛髪化粧料の一種であり、従来から、ツバキ油、オリーブ油等の植物油や、流動パラフィン等の鉱物油を主成分とするものが用いられてきた。
近年、カラーリングやパーマネント処理による損傷により毛髪が親水化し、パサつき、まとまりにくさなどが生ずる場合が増加しており、湿潤時から乾燥時まで良好な滑り性、柔軟性、光沢等を付与できる毛髪化粧料が求められている。中でもトリートメント効果の高いヘアオイルの需要が高まっている。
しかしながら、従来のヘアオイルは親水化した損傷毛に対してなじみが悪く、使用感としては油っぽくべたつくタイプとパサついてしまうタイプに二分される。
油っぽくべたつくタイプとしては、従来のヘアオイル、即ち、実質的にオイルのみからなるもの、例えば、ツバキ油のみからなる「大島椿」(大島椿本舗)等が挙げられる。非特許文献1にもオリーブ油と流動パラフィンが全体の99%を占める(残部は香料)ヘアオイルの処方例が挙げられているが、「ヘアオイルは(中略)、使用感が油っぽいためか最近では減少の傾向にある」とも記載されている。
特許文献1には、グリセリド脂肪エステル(第一油性成分)と平均炭素鎖長が炭素原子20個以上の炭化水素油(第二油性成分)とのブレンドを含むヘアオイルが開示され、ヤシ油と同じレベルのコンディショニング効果を持ちながらべたつきが減少したことが記載されている。しかしながら、このヘアオイルは使用感が重く、滑らかさに欠けるものであった。
一方、パサついてしまうタイプの例としては、特許文献2に記載された毛髪化粧料(ヘアオイル)が挙げられる。この毛髪化粧料は、(A)ジメチコノール、(B)ブロック共重合型のポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体、(C)揮発性シリコーン、(D)植物油を含有することを特徴としており、被膜形成成分の作用によって髪をストレートにする効果に優れるとされている。しかしながら、この毛髪化粧料を用いると、髪がパサついてまとまりにくく、ごわつくという欠点を有していた。
そのため、塗布時における伸びがよく滑らかさを有し、塗布後の毛髪に対してもしっとりとした滑らかさを与え、かつべたつきのないサラサラな使用感を両立したものが求められている。
「新化粧品学 第2版」、光井武夫編、南山堂、2001年、第462頁 特表2004−503480号公報 特開2007−51078号公報
よって本発明は、毛髪に優れた光沢を与え、滑らかな感触を付与し、なおかつしっとりとサラサラした感触を与えるという背反する使用感を同時に実現する毛髪化粧料を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、毛髪化粧料に、所定量の植物油と、揮発性油分と、高分子量ジメチルポリシロキサンと、ヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基及び/又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンを含有せしめることにより、上記の課題を解決するこができることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、(A)植物油を1〜15質量%、(B)揮発性油分、(C)高分子量ジメチルポリシロキサン、及び(D)ヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基及び/又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンを含有することを特徴とする毛髪化粧料を提供する。
一般に、毛髪は損傷を受けると親水化し、疎水的な油分との馴染みが劣化するが、本発明の毛髪化粧料を構成する成分(A)〜(D)を組み合わせることにより、塗布時になじみが良く、塗布後にはしっとりとサラサラの背反する使用感が達成される。特に、成分(D)としてジメチコノールガムおよびジメチコンPEGブロックポリマーを同時に配合することにより上記の効果が更に高まり、軽い使用感ながら、なじみが良く、髪のまとまりも良くなる。
上記したように、本発明の毛髪化粧料は、(A)植物油を1〜15質量%、(B)揮発性油分、(C)高分子量ジメチルポリシロキサン、及び(D)ヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンを含有することを特徴としている。なお、本明細書における配合量(%)は、特に断らない限り質量%を表す。
本発明の毛髪化粧料で用いられる植物油(成分(A))は、従来からヘアオイル等に使用されている植物油でよく、例えば、ツバキ油、オリーブ油、アボガド油、米胚芽油、紅花油、マカデミアナッツ油、ホホバ油、パーム油、ヤシ油、大豆油、コムギ胚芽油、ヒマワリ油、ゴマ油、茶実油等が挙げられる。これらの中でも、毛髪保護などの点から、ツバキ油、オリーブ油、ユチャ油、茶実油、アボガド油、紅花油、マカデミアナッツ油、ホホバ油などが好ましい。ツバキ油、オリーブ油、ユチャ油、茶実油は特に好ましい。
本発明の毛髪化粧料における植物油は1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は1〜15質量%、好ましくは1〜10質量%である。配合量が1%未満ではしっとり感の効果が発揮されにくく、15質量%を超えると重くべたつきが生じることがある。
本発明の毛髪化粧料で用いられる揮発性油分(成分B)は、室温(25℃)で揮発性を有する油分を意味する。本発明において用いることができる揮発性油分は、本発明の目的を達成できる限り特に限定はされないが、例えば、低沸点(常圧における沸点260℃以下)のイソパラフィン系炭化水素油 や、低沸点シリコーン油等が好ましく用いられる。
揮発性炭化水素油としては、例えば、軽質流動パラフィン(IPソルベント2028MU、出光興産株式会社)、アイソパーA、同C、同E、同G、同H、同K、同L、同M(以上、いずれもエクソン社)、シェルゾール71(シェル社)、ソルトロール100、同130、同220(以上、いずれもフィリップ社)等として市販されており、商業的に入手可能である。
揮発性シリコーンとしては、好適にはメチルトリメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルトリシロキサンおよびデカメチルテトラシロキサン等が挙げられる。信越化学工業株式会社のKF−96A−1cs、KF−96A−1.5cs、KF−995、TMF−1.5、東レ・ダウコーニング株式会社のSH244、SH344、SH245、DC345、DC246、SH200C−1cs、SH200C−1.5cs、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ株式会社のTSF404、TSF405、TSF4045、TSF451−1A、TSF451−1.5A等の市販品を用いることもできる。
本発明の毛髪化粧料における揮発性油分は1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は70%以上とするのが好ましい。配合量が70%未満であると、十分なサラサラ感が得られない場合がある。
本発明の毛髪化粧料における高分子量ジメチルポリシロキサン(成分C)としては、例えば、特開昭63−183517号公報に記載されているような高分子量シリコーンが好適に用いられる。具体的には、下記式1:
(R及びRはメチル基又はフェニル基を表し、nは3,000〜20,000の整数を表す)で表されるジメチルポリシロキサン又はメチルフェニルポリシロキサンであり、好ましくは、その平均重合度が7,000以上のものである。特に、高分子量シリコーン20%イソパラフィン溶液(上記式1においてR=R=メチル基であり、平均重合度が約7000程度のもの)が好ましく用いられる。
本発明の毛髪化粧料における高分子量ジメチルシロキサンは1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよく、その配合量は(純分として)、好ましくは0.2〜8質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。配合量が0.2%未満では髪のまとまりが得られにくく、8質量%を超えるとべたつきがでることがある。
本発明の毛髪化粧料で用いられるヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基、及び/又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサン(成分(D))としては、好ましくは主鎖又は末端にヒドロキシル基、オキシアルキレン基を有するジメチルポリシロキサン類が挙げられる。
例えば、末端にヒドロキシル基を有するジメチルポリシロキサンとして、下記式2:
(nは3,000〜20,000の整数)で表されるジメチコノールガムが好ましく用いられる。しかしながら、分子内に少なくとも1つのヒドロキシル基を有していれば、上記式2における主鎖のメチル基がヒドロキシル基に置換され、末端ヒドロキシル基がメチル基又はフェニル基等に置換されたもの、あるいは主鎖か分枝したものを用いることもでき、本明細書における「ジメチコノールガム」は、それらの変形例も含むものとする。
本発明で用いられるジメチコノールガムは、平均重合度が3,000〜20,000、好ましくは7,000以上のものである。このようなジメチコノールガムの市販品としては、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ株式会社のXF49−C2070、XF49−C2497、信越化学工業株式会社のX21−5666、X21−5661、東レ・ダウコーニング株式会社の1501 FLUID、1503 FLUID等が挙げられる。
また、本発明の毛髪化粧料で用いられるヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基、及び/又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンは、下記式3:
(Rはアルキル基、a及びbは0〜50の整数、mは5〜300の整数、nは1〜40の整数を表す)で表されるブロック共重合型のポリエーテル変性シリコーンであってもよい。これらのポリエーテル変性シリコーンは種々の改変がなされていてもよく、具体的には、上記式3におけるメチル基の一部がフェニル基で置換されていても、エチレン基がブチレン基等の他のアルキレン基に置換されていてもよい。化合物名としては、ポリオキシエチレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリシリコーン−13等が含まれる。本明細書においては、これらの改変物も含めて「ジメチコンPEGブロックポリマー」と呼称する。ジメチコンPEGブロックポリマーの市販品としては、ブロック共重合型ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体、FZ−2250、FZ−2233(東レ・ダウコーニング株式会社)等が挙げられる。
本発明の毛髪化粧料にあっては、上記成分(D)であるヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基、及び/又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンとして、ジメチコノール及び/又はジメチコンPEGブロックポリマーを用いるのが好ましい。特に、ジメチコノールとジメチコンPEGブロックポリマーとを共存させるのが好ましい。
従って、本発明は、(A)植物油を1〜15質量%、(B)揮発性油分、(C)高分子量ジメチルポリシロキサン、及び(D)ジメチコノールガムおよび/またはジメチコンPEGブロックポリマーを含有することを特徴とする毛髪化粧料、並びに、当該化粧料において、ジメチコノールガムおよびジメチコンPEGブロックポリマーをともに含有することを特徴とする毛髪化粧料を提供する。
本発明の毛髪化粧料においては、ヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基、及び/又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンは1種でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、ジメチコノールガム及びジメチコンPEGブロックポリマーを用いる場合、それらの配合量は(純分として)、好ましくは0.2〜8質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。ジメチコノールガムが0.2%未満ではサラサラ感が得られにくく、8質量%を超えるとまとまりが得られない場合があり、ジメチコンPEGブロックポリマーが0.2質量%未満ではなじみの良さが得られにくく、8質量%を越えるとべたつく場合がある。
本発明の毛髪化粧料は、上記の必須成分(A)〜(D)に加えて、ヘアオイル等の毛髪化粧料に通常使用される他の成分を含有していてもよい。他の成分の具体例としては、流動パラフィン、スクワラン、ワセリンなどの炭化水素油、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油、不揮発性液状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、脂肪酸変性ポリシロキサン、脂肪族アルコール変性ポリシロキサンなどのシリコーン油、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート剤、防腐剤、植物抽出物、生薬、ビタミン等の薬剤、香料、及び色剤等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、これらにより本発明の技術的範囲が限定解釈されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜5)
下記表1に記載した組成のヘアオイル(実施例1〜4及び比較例1〜5)を調製し、その性能を評価した。性能の評価は、20cmに切りそろえた100本の毛髪の束を、シャンプー処理してタオルドライした後、当該束に各化粧料を塗布し、触感及び観察を行うことにより実施した。評価項目として、サラサラ感、しっとり感、毛髪のまとまり、毛髪へのなじみを選択し、各項目について以下の基準に従って官能的評価を行った。
・「さらさら感」及び「しっとり感」
◎:とても感じる;○:感じる;△:あまり感じない;×:感じない
・「まとまり」
◎:とてもまとまる;○:まとまる;△:あまりまとまらない;×:まとまらない
・「なじみ」
◎:とてもなじみが良い;○:なじみが良い;△:あまりなじみが良くない;
×:なじみが良くない
各毛髪化粧料について得られた結果を下記の表1にまとめた。
a) IPソルベント2028MU、出光興産株式会社
b)高分子量シリコーン20%イソパラフィン溶液(式1においてR,R=メチル基、n=約7000)
c) XF49-C2070、シリコーン純分20%水添ポリブテン溶液、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ株式会社
d) DOW CORNINIG TORAY FZ-2250,東レ・ダウコーニング株式会社
(処方例1)ヘアオイル
下記成分(1)〜(5)を撹拌溶解、混合して液状ヘアオイルを得た。
配合成分 質量%
(1)軽質流動イソパラフィン
(IPソルベント2028MU、出光興産株式会社) 残余
(2)ツバキ油 10.0
(3)高分子量シリコーン20%軽質流動イソパラフィン溶液
(式1においてR,R=メチル基、n=約7000) 5.0
(4)ジメチコノールガム
(XF49−C2070、シリコーン純分20%
モメンディブ・パフォーマンス・マテリアルズ株式会社) 5.0
(5)香料 適量
(処方例2)ヘアオイル
下記成分(1)〜(9)を撹拌溶解、混合して液状ヘアオイルを得た。
配合成分 質量%
(1)イソドデカン 残余
(2)オリーブ油 5.0
(3)高分子量シリコーン20%軽質流動イソパラフィン溶液
(式1においてR=R=メチル基、n=約7000) 20.0
(4)ジメチコノールガム
(XF49−C2497、シリコーン純分35%
モメンディブ・パフォーマンス・マテリアルズ株式会社) 10.0
(5)スクワラン 5.0
(6)ジメチルポリシロキサン(20cs) 10.0
(7)大豆レシチン 1.0
(8)酢酸トコフェロール 0.1
(9)香 料 適量
(処方例3)ヘアオイル
下記成分(1)〜(9)を攪拌溶解、混合し、液状オイルを得た。
配合成分 質量%
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 残余
(2)茶実油 1.0
(3)高分子量ジメチルポリシロキサン 20.0
デカメチルシクロペンタシロキサン溶液
(式1においてR=R=メチル基、n=約7000)
(4)ジメチコンPEGブロックポリマー
(FZ-2250、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社) 5.0
(5)ジメチルポリシロキサン(20cs) 10.0
(6)架橋型メチルポリシロキサン
(KSG−15、信越化学工業株式会社) 5.0
(7)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 1.0
(8)t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン 0.1
(9)香料 適量
(処方例4)ヘアオイル
下記成分(1)〜(9)を攪拌溶解、混合し、液状オイルを得た。
配合成分 質量%
(1)デカメチルシクロペンタシロキサン 残余
(2)ツバキ油 0.5
(3)ホホバ油 0.5
(4)高分子量ジメチルポリシロキサン 20.0
デカメチルシクロペンタシロキサン溶液
(式1においてR=R=メチル基、n=約7000)
(5)ジメチコンPEGブロックポリマー
(FZ-2233、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社) 5.0
(6)アミノ変性高分子量シリコーン10%
デカメチルペンタシロキサン溶液 5.0
(7)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 1.0
(8)t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン 1.1
(9)香料 適量

Claims (3)

  1. (A)植物油を1〜15質量%、
    (B)揮発性油分、
    (C)下記式:
    (R1及びR2はメチル基又はフェニル基を表し、nは3,000〜20,000の整数
    を表す)で表される高分子量ジメチルポリシロキサン、及び
    (D)ジメチコノールガムおよび/またはジメチコンPEGブロックポリマーを含有することを特徴とする髪化粧料。
  2. ジメチコノールガムおよびジメチコンPEGブロックポリマーをともに含有することを特徴とする、請求項に記載の毛髪化粧料。
  3. 毛髪化粧料がヘアオイルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の毛髪化粧料。
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