JP5535468B2 - 木質系建物の高剛性耐力壁装置 - Google Patents
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Description
図3(A),(B)は、実施の形態1の耐力壁装置1を示し、この耐力壁装置1の耐力壁2は、パネル状で剛性の高い構造用集成材で造られている。このような構造用集成材で造られる耐力壁2は、木質の成形軸材を複数枚、例えばレゾルシノール樹脂接着剤(アイカ工業株式会社製)を使用して接着し、かつ特殊な手締めの圧締により構成される。脚部3は、土台としての役割を担うものであり(集成土台)、同形状のものが1対設けられる。接着剤としての前記レゾルシノール樹脂接着剤は一例であり、耐力壁2と脚部3を接着して固定できるものであれば、ほかの接着剤を用いてもよい。脚部3の構成の方法は、耐力壁2に準じ、何枚かの成形軸材を前記接着剤で接着して積層し、かつ該材の上に重量物を置いて圧締する。これにより、耐力壁2と同じように剛性の高い構造用集成材からなる脚部3が造られる。
(1)耐力壁2と脚部3の寸法(長さ)を切断装置で正寸カットする。耐力壁2の寸法は、一例を挙げれば、例えば縦が2800mm、横が900mmで、厚みが90mm程度である。また、脚部3の寸法は、一例を挙げれば、例えば縦が360mm、横が1230mmで、厚みが90mm程度である。縦横の巾・厚みのみ仕上げは、梁成が大きいため大型ハンドソーで手切りする。
(2)耐力壁2の上部の両サイドにボルト孔11をドリルで開ける。一方、脚部3の両サイドにもボルト孔12をドリルで開ける。
(3)耐力壁2の下部に脚部3の位置基準の墨付けをする。一方、脚部3にも両サイドのはみ出し部の位置決めとして墨付けをする。
(4)耐力壁2に脚部3の位置基準の墨付け部分から下の表裏に湿気硬化型ウレタン系接着剤(三木理研工業株式会社製)を塗布ローラで手塗りする。
(5)耐力壁2と脚部3を基準墨位置に合わせ、ズレないように釘で仮止めする。
(6)脚部3の上にあて板を置き、G型シャコマンで約250mm間隔で締める。又は、8fのラミナのバンドルを上に載せ、圧締する。
また、耐力壁2の下部両壁面と脚部3の両内壁面が接着剤で強固に接着固定されるため、従来の金具を用いたものに比し、部材同士のガタをなくして接合部に生ずる変形をより小さくすることができる。
図5(A),(B)に示す実施の形態2においては、脚部3と2階床梁6を一側(右側)のみ配置し、実施の形態1から左側の脚部と2階床梁を省略した点で、実施の形態1と相違し、そのほかの構成は同様である。したがって、同様の部材には同一の符号を付して説明を省略にする。
このような一側のみ脚部3と2階床梁6を配置した耐力壁装置1でも、実施の形態1と同様な作用効果が期待できる。すなわち、実施の形態1の場合ほどの抵抗力を求められないところには、このような一側のみの耐力壁装置1でもよい。
図6(A),(B)に示す実施の形態3においては、脚部21が基礎4の上面に1個配置されている点では、実施の形態2の脚部3と同じであるが、その配置位置が基礎4の上面の幅方向中央部である点で、実施の形態2の脚部3と相違する。すなわち、脚部21が、基礎4の上面の幅方向中央部に配置され、その略下半分が、厚さが耐力壁23の厚さとほぼ等しい厚さに形成され、略上半分の厚さが耐力壁23の厚さの1/3程度の厚さに形成されており、この薄い厚さの略上半分が凸部22に形成されている。一方、耐力壁23の下端面には凸部22を受け入れる凹部24が形成されている。そして、これら凹部24と凸部22の両内側面には接着剤が塗布されて接着固定部分Aとなり、嵌合されると接着されることになる。そのほかの構成は前記実施の形態と同様であるので、同様の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
このような基礎4上の幅方向中央部に配置された脚部21と2階床梁6を配置した耐力壁装置1でも、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。すなわち、この実施の形態3においては、耐力壁23の下端面は実施の形態1,2のように浮いた状態にはならず脚部21の上端面に当接しているが、上端面が2階床15の下面より大きく離れた状態になるため、損傷を防ぐことが可能である。
なお、この実施の形態3では脚部21に凸部22を形成し、耐力壁23に凹部24を形成したが、凸部22と凹部24の配置は前記逆でもよい。
図7(A),(B)に示す実施の形態4においては、2階床梁6を一側(右側)のみ配置し、左側の2階床梁を省略した点で、実施の形態3と相違し、そのほかの構成は同様である。したがって、同様の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
このような2階床梁6を一側(右側)のみ配置した耐力壁装置1でも、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図8(A),(B)に示す実施の形態5においては、耐力壁25の構成を、実施の形態1〜4で示した剛性の高い構造用集成材から剛性の高い構造用合板(厚さ24mm以上)に代えた点で相違し、その他の構成はほぼ同様である。このような構造用合板からなる耐力壁25はベニヤからなる単板を複数枚直交積層して造られる。その他の構成は実施の形態1と同様である。したがって、同様の部材には同一の符号を付して説明を省略する。
このような構造用合板からなる耐力壁25を用いた耐力壁装置1でも、前記各実施の形態と変わることがなく、同様な作用効果が期待できる。
図9(A),(B)に示す実施の形態6においては、脚部3と2階床梁6を一側(右側)のみ配置し、実施の形態5から左側の脚部と2階床梁を省略した点で、実施の形態5と相違し、そのほかの構成は同様である。したがって、同様の部材には同一の符号を付して説明を簡略にする。
このような一側のみ脚部3と2階床梁6を配置した耐力壁装置1でも、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図10(A),(B)は、実施の形態7の耐力壁装置1を示し、この実施の形態7の耐力壁装置1においては、図3に示した実施の形態1の脚部3が設置される基礎4中のアンカーボルト13の外周に制震部材としての制震ゴム27を取り付けたものである。制震ゴム27はゴム材であれば特に材質を問わないが、アンカーボルト13の外径とほぼ同径の内径を有するパイプ状のものからなり、アンカーボルト13を基礎4に埋設する際に予めその埋設される部分に嵌挿して取り付けられる。そのほかの構成は実施の形態1と同様である。したがって、同様の部材には同一の符号を付して説明を省略にする。
前記のような耐力壁装置1でも、勿論、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図12(A),(B)に示す実施の形態8においては、実施の形態7の基礎4中のアンカーボルト13の外周に嵌挿して取り付けた制震ゴム27に代え、制震ゴム29をアンカーボルト13の脚部3の上端面から突出した端部にナット14で押さえて配設したものである。制震ゴム29は、ある程度の厚さのある単一部材から造ってもよいし、あるいは複数の部材を積層等して造ってもよい。このような制震ゴム29を用いれば前記制震ゴム27のように予め基礎4を造るときに埋設するような作業が不要になるので、その取り付けが迅速で、かつ容易に行える。そのほかの構成は実施の形態7と同様である。
前記のような耐力壁装置1でも、勿論、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図13(A),(B)に示す実施の形態9においては、図5に示した実施の形態2の脚部3が設置される基礎4中のアンカーボルト13の外周に制震部材としての制震ゴム27を嵌挿して取り付けたものである。そのほかの構成は実施の形態2と同様である。
このように基礎4中のアンカーボルト13の外周に制震ゴム27を嵌挿して取り付けると、地震時の負荷が耐力壁2から脚部3を介して基礎4に伝わってもアンカーボルト13の傾きを該ゴムで吸収して、耐力壁2の水平方向の変形を抑止することができる。
前記のような耐力壁装置1でも、勿論、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図14(A),(B)に示す実施の形態10においては、図5に示した実施の形態2の基礎4中のアンカーボルト13の外周に嵌挿して取り付けた制震ゴム27に代え、制震ゴム29をアンカーボルト13の脚部3の上端面から突出した端部にナット14で押さえて配設したものである。そのほかの構成は実施の形態9と同様である。
前記のような耐力壁装置1でも、勿論、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図15(A)〜(C)に示す実施の形態11においては、(A)では、図6に示した実施の形態3の脚部21が設置される基礎4中のアンカーボルト13の外周に制震部材としての制震ゴム27を嵌挿して取り付けたものである。同(C)では、制震ゴム29をアンカーボルト13の脚部21の上端面から突出した端部にナット14で押さえて配設したものである。そのほかの構成は実施の形態3と同様である。
前記のような耐力壁装置1でも、勿論、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図16(A)〜(C)に示す実施の形態12においては、(A)では、図7に示した実施の形態4の脚部21が設置される基礎4中のアンカーボルト13の外周に制震部材としての制震ゴム27を嵌挿して取り付けたものである。同(C)では、制震ゴム29をアンカーボルト13の脚部21の上端面から突出した端部にナット14で押さえて配設したものである。そのほかの構成は実施の形態4と同様である。
前記のような耐力壁装置1でも、勿論、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図17(A),(B)に示す実施の形態13においては、耐力壁25の構成を、実施の形態7〜12で示す剛性の高い構造用集成材から剛性の高い構造用合板(厚さ24mm以上)に代えた点、脚部3が設置される基礎4中のアンカーボルト13の外周に制震部材としての制震ゴム27を嵌挿して取り付けた点で相違し、その他の構成はほぼ同様である。
前記のような構造用合板からなる耐力壁25を用いた耐力壁装置1でも、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図18(A),(B)に示す実施の形態14においては、制震ゴム29をアンカーボルト13の脚部3の上端面から突出した端部にナット14で押さえて配設した点で、前記実施の形態13と相違し、その他の構成はほぼ同様である。
このような制震ゴム29を用いた耐力壁装置1でも、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図19(A),(B)に示す実施の形態15においては、図9に示した実施の形態6の脚部3が設置される基礎4中のアンカーボルト13の外周に制震部材としての制震ゴム27を嵌挿して取り付けたものである。そのほかの構成は実施の形態6と同様である。
このような耐力壁装置1でも、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
図20(A),(B)に示す実施の形態16においては、制震ゴム29をアンカーボルト13の脚部3の上端面から突出した端部にナット14で押さえて配設した点で、前記実施の形態15と相違し、その他の構成はほぼ同様である。
このような制震ゴム29を用いた耐力壁装置1でも、前記各実施の形態と同様な作用効果が期待できる。
このように金属金具32,35,38,41を用いた耐力壁2(25)と2階の床梁6又は小屋梁53との取り付けには種々のパターンが考えられ、前記各実施の形態においてはいずれのパターンを使用してもよい。
このような金属金具でない接合部材45を用いてもよい。
2,23,25,51,52 耐力壁
3,21 脚部
4 基礎
5 土台
6 2階床梁
7 1階床面
8 2階床面
13 アンカーボルト
14 ナット
15 2階床
17 ボルト
18 1階床
19 1階天井
22 凸部
24 凹部
27 制震ゴム(制震部材)
29 制震ゴム(制震部材)
32,35,38,41 金属金具
33,34,36,37,39,40,42,43 ボルト又はドリフトピン等接合材
50 1,2階通し耐力壁装置
53 小屋梁
55 2階床
A 接着固定部分
Claims (8)
- 下部が基礎上に固定され、上部が梁等の固定部材に固定され、地震等によって前記固定部材にかかる一方向の水平力に対して抵抗するものとして木質系建物に用いられる耐力壁装置であって、
剛性の高い木質パネル状の耐力壁と、この耐力壁の下端面に突き合わされる上端面を有し前記基礎上に固定される脚部とを具え、前記脚部の上端面には凸部又は凹部が形成され、前記耐力壁の下端面には前記凸部又は凹部に嵌合されたうえ接着固定される凹部又は凸部が形成されていることを特徴とする木質系建物の高剛性耐力壁装置。 - 請求項1に記載の木質系建物の高剛性耐力壁装置において、耐力壁が、構造用集成材、構造用合板、LVL、PSL、又はクロスラミナパネル、のいずれかからなることを特徴とする木質系建物の高剛性耐力壁装置。
- 請求項1又は2に記載の木質系建物の高剛性耐力壁装置において、脚部が、剛性の高い木質の構造用集成材から形成される集成土台であることを特徴とする木質系建物の高剛性耐力壁装置。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の木質系建物の高剛性耐力壁装置において、耐力壁が、平面上でX軸方向、Y軸方向にバランスよく配置されることを特徴とする木質系建物の高剛性耐力壁装置。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の木質系建物の高剛性耐力壁装置において、耐力壁が、1,2階通して1枚ものとして配置される長さからなることを特徴とする木質系建物の高剛性耐力壁装置。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の木質系建物の高剛性耐力壁装置において、脚部が、基礎上にアンカーボルトにより固定され、該アンカーボルトに制震部材が配設されていることを特徴とする木質系建物の高剛性耐力壁装置。
- 請求項6に記載の木質系建物の高剛性耐力壁装置において、制震部材が、アンカーボルトの基礎に埋設された部分に嵌挿して取り付けられているか、又はアンカーボルトの脚部の上面から突出する部分に介装されたうえナットにより止められていることを特徴とする木質系建物の高剛性耐力壁装置。
- 請求項6又は7に記載の木質系建物の高剛性耐力壁装置において、制震部材が、制震ゴムであることを特徴とする木質系建物の高剛性耐力壁装置。
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