JP5534106B2 - 固体電解コンデンサの製造方法および固体電解コンデンサ - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解コンデンサの製造方法に関する。また、本発明は、かかる固体電解コンデンサの製造方法により製造可能な固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサにも関する。
固体電解コンデンサは、電気電子機器の小型薄型化に伴って、小型大容量化が求められており、更に、製品安全性の点から、漏れ電流を小さくすることが求められている。
小型大容量化の要請に応える1つのものとして、積層型固体電解コンデンサが知られている。従来、かかる固体電解コンデンサの製造方法として、複数の固体電解コンデンサ素子をシート状に一体的に作製し、これにより得られるシートを複数積層した後に切断して、固体電解コンデンサ素子の積層体チップを得る方法が知られている(特許文献1を参照のこと)。より詳細には、まず、固体電解コンデンサ素子に相当する矩形の領域を複数備えた弁作用金属基体(表面が粗面化処理に付されていないもの)を準備し、この複数の矩形の領域の少なくとも3つの辺の近傍を覆うようにレジスト層を形成し、弁作用金属基体のレジスト層から露出した領域を粗面化処理に付すことにより多孔質化し、多孔質化された領域の表面上に誘電体皮膜を形成し、次いで陰極材料層として固体電解質層を形成し、これにより、複数の固体電解コンデンサ素子が一体的に作製されたシートを得る。このシートを複数作製し、これら複数のシートを積層固着して積層体を形成し、この積層体を固体電解コンデンサ素子に相当する矩形の領域に沿って切断して、固体電解コンデンサ素子の積層体チップを得ている。
特開2007−318056号公報
上述のような従来の固体電解コンデンサの製造方法では、弁作用金属基体のレジスト層から露出した領域においては、表面が多孔質化された弁作用金属基体と、その表面上に形成された誘電体皮膜と、更に固体電解質層とが積み重なった状態となる。このような状態のシートが複数積層固着された積層体を切断するには、比較的大きな負荷を加える必要がある。大きな負荷が誘電体皮膜に加わることにより、誘電体皮膜に欠陥が生じ易く、この結果、漏れ電流が増大する可能性がある。漏れ電流が増大すると、場合によってはショートに至るおそれがあるため、漏れ電流はできるだけ小さいことが好ましい。また、上述のような従来の固体電解コンデンサの製造方法では、表面が多孔質化されていない弁作用金属基体を準備し、この弁作用金属基体の所定の領域にレジスト層を形成した後、レジスト層から露出した領域を粗面化処理に付すことにより多孔質化している。このため、弁作用金属基体として、表面が多孔質化されていないものを準備する必要があり、既に表面が多孔質化されている市販の弁作用金属基体を使用することはできない。
本発明の目的は、漏れ電流の増大をもたらし得る誘電体皮膜における欠陥発生を低減することができ、かつ、使用する弁作用金属基体に対する制約が緩和された、新規な固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。本発明の更なる目的は、かかる固体電解コンデンサの製造方法によって製造可能な固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサを提供することにある。
本発明の1つの要旨においては、
(a)多孔質の表面部分(porous surface part)と非多孔質の本体部分(non-porous body part)とを有する弁作用金属基体の両主面に溝を設けて溝の底部を非多孔質とし、弁作用金属基体の両主面を溝により複数の単位領域に仕切り、単位領域毎に多孔質の表面部分に陰極層形成部を規定する工程、
(b)弁作用金属基体の陰極層形成部および陰極層形成部間の溝の表面上に誘電体皮膜を形成する工程、
(c)弁作用金属基体の陰極層形成部に形成された誘電体皮膜の表面上に固体電解質層および陰極引出層を順次形成し、これにより、複数の単位領域に対応する複数の固体電解コンデンサ素子が溝を介して一体的に作製されたシートを得る工程、
(d)前記シートを弁作用金属基体の溝にて切断する工程、および
(e)弁作用金属基体の陰極層形成部の周囲に位置する切断面に誘電体皮膜を形成する工程
を含む、固体電解コンデンサの製造方法(以下、第1の製造方法と言う)が提供される。
従来の固体電解コンデンサの製造方法では、複数の固体電解コンデンサ素子が一体的に作製されたシートは、表面が多孔質化された弁作用金属基体と、その表面上に形成された誘電体皮膜と、更に固体電解質層とが積み重なった状態で切断されている。これに対して、本発明の固体電解コンデンサの第1の製造方法によれば、複数の固体電解コンデンサ素子が一体的に作製されたシートを弁作用金属基体の溝にて切断しており、溝の切断部に相当する領域には固体電解質層は実質的に形成されていない。このため、切断部の厚さは、固体電解質層の厚さに相当するぶん薄くなっているので、従来の製造方法よりも小さい負荷でシートを切断することができる。そして、このように切断の際に誘電体皮膜に加わる負荷を小さくすることにより、誘電体皮膜における欠陥発生を低減することができ、ひいては、漏れ電流を低減することが可能となる。更に、本発明の固体電解コンデンサの第1の製造方法によれば、多孔質の表面部分と非多孔質の本体部分とを有する弁作用金属基体を用い、弁作用金属基体の両主面に溝を設けることにより複数の単位領域に仕切っているので、かかる弁作用金属基体として、既に表面が多孔質化されている市販の弁作用金属基体を使用することができ、従来の製造方法に比べて、使用する弁作用金属基体に対する制約が緩和され、製造方法の自由度が上がる。
本発明の1つの態様において、固体電解コンデンサの第1の製造方法は、複数の弁作用金属基体のそれぞれに対して工程(a)〜(c)を実施し、これにより得られる複数の前記シートを積層し、工程(d)にて、積層された前記シートを弁作用金属基体の溝にて切断するものであってよい。
従来の固体電解コンデンサの製造方法では、複数の固体電解コンデンサ素子が一体的に作製されたシートを複数積層固着しており、積層固着されたシートは、シート間に隙間のない状態で(各シートに着目すれば、上述の通り、表面が多孔質化された弁作用金属基体と、その表面上に形成された誘電体皮膜と、更に固体電解質層とが積み重なった状態で)切断されており、このため、一枚のシートを切断する場合に比べて、シートを積層すればするほど、積層固着されたシートを切断するためにより大きな負荷を要することとなる。これに対して、本発明の固体電解コンデンサの上記態様によれば、複数のシートは溝の部分に隙間を有しつつ積層されることとなり、積層されたシートをこの溝にて切断しているので(更に、各シートに着目すれば、上述の通り、この切断部の厚さは、固体電解質層の厚さに相当するぶん薄くなっているので)、従来の製造方法よりも小さい負荷で積層されたシートを切断することができる。また、この態様によれば、固体電解コンデンサ素子が積層されて成る積層体チップを一度に複数得ることができ、これにより、積層体チップを含んで成る積層型固体電解コンデンサを効率的に製造することができる。
しかしながら、本発明の固体電解コンデンサの第1の製造方法は、上記態様に限定されず、例えば、1枚の弁作用金属基体に対して工程(a)〜(c)を実施し、これにより得られる前記シートを単独で、工程(d)にて、弁作用金属基体の溝にて切断するものであってもよい。かかる態様によっても、上述の通り、溝の切断部に相当する領域には固体電解質層は実質的に形成されていないので、より小さい負荷でシートを切断することができる。また、この態様によれば、個々に分割された固体電解コンデンサ素子を一度に複数得ることができ、これにより、固体電解コンデンサ素子を含んで成る固体電解コンデンサを効率的に製造することができる。なお、この態様において、本発明の固体電解コンデンサの第1の製造方法は、固体電解コンデンサ素子の製造方法としても理解され得る。
本発明のもう1つの要旨においては、
(a)多孔質の表面部分と非多孔質の本体部分とを有する弁作用金属基体の両主面に溝を設けて溝の底部を非多孔質とし、弁作用金属基体の両主面を溝により複数の単位領域に仕切り、単位領域毎に多孔質の表面部分に陰極層形成部を規定する工程、
(b)弁作用金属基体の陰極層形成部および陰極層形成部間の溝の表面上に誘電体皮膜を形成する工程、
(p)複数の弁作用金属基体のそれぞれに対して工程(a)〜(b)を実施し、これにより得られる誘電体皮膜が形成された複数の弁作用金属基体を積層して積層体を得る工程、
(q)積層体において隣接する弁作用金属基体を互いに接合して接合積層体を得る工程、
(r)固体電解質層を、接合積層体において隣接する弁作用金属基体の陰極層形成部の表面上に形成されている誘電体皮膜間の隙間を充填し、かつ接合積層体の外表面を陰極層形成部において被覆するように、連続層として形成する工程、
(s)固体電解質層が形成された接合積層体を弁作用金属基体の溝にて切断する工程、および
(t)弁作用金属基体の陰極層形成部の周囲に位置する切断面に誘電体皮膜を形成する工程
を含む、固体電解コンデンサの製造方法(以下、第2の製造方法と言う)が提供される。
従来の固体電解コンデンサの製造方法では、弁作用金属基体の多孔質化された領域の表面上に誘電体皮膜および固体電解質層を順次形成したシートを作製し、このシートを複数積層し、その後、切断している。これに対して、本発明の上記第2の製造方法では、弁作用金属基体の接合積層体を作製した後に、この接合積層体に対して固体電解質層を連続層として形成し、その後、弁作用金属基体の溝にて切断している。よって、本発明の固体電解コンデンサの第2の製造方法によれば、固体電解質層を連続層として一度に形成することができ、個々のシートに固体電解質層を形成している従来の製造方法に比べて、固体電解コンデンサをより効率的に製造することができる。更に、本発明の固体電解コンデンサの第2の製造方法では、第1の製造方法と同様に、溝の切断部に相当する領域には固体電解質層は実質的に形成されていない。よって、本発明の固体電解コンデンサの第2の製造方法によれば、固体電解質層が形成された接合積層体は溝の部分に隙間を有することとなり、固体電解質層が形成された接合積層体をこの溝にて切断しているので、従来の製造方法よりも小さい負荷でシートを切断することができる。そして、このように切断の際に誘電体皮膜に加わる負荷を小さくすることにより、誘電体皮膜における欠陥発生を低減することができ、ひいては、漏れ電流を低減することが可能となる。更に、本発明の固体電解コンデンサの第2の製造方法によれば、多孔質の表面部分と非多孔質の本体部分とを有する弁作用金属基体を用い、弁作用金属基体の両主面に溝を設けることにより複数の単位領域に仕切っているので、かかる弁作用金属基体として、既に表面が多孔質化されている市販の弁作用金属基体を使用することができ、従来の製造方法に比べて、使用する弁作用金属基体に対する制約が緩和され、製造方法の自由度が上がる。
固体電解コンデンサの第1および第2の製造方法のいずれについても、工程(a)を実施する方法は、溝の底部が非多孔質の弁作用金属基体で構成される限り、特に限定されない。本発明の1つの態様においては、工程(a)にて、弁作用金属基体の溝は、弁作用金属基体を厚さ方向に押圧することによって設けられるものであってよい。あるいは、本発明の別の態様においては、工程(a)にて、弁作用金属基体の溝は、弁作用金属基体から多孔質の表面部分を除去することによって設けられるものであってよい。
また、固体電解コンデンサの第1および第2の製造方法のいずれについても、工程(b)を変更することが可能である。本発明の1つの態様においては、工程(b)に代えて、
(b’)溝の底部にレジスト層を形成し、弁作用金属基体の陰極層形成部の表面上に誘電体皮膜を形成する工程
を実施してよい。かかる態様によれば、弁作用金属基体の溝の底部は、レジスト層で被覆されている。レジスト層は一般的に絶縁性であり、これにより、レジスト層が形成された切断部およびその近傍では電荷が蓄積されないので、切断部およびその近傍での漏れ電流の低減効果を高めることができる。
本発明のもう1つの要旨においては、
多孔質の表面部分と、非多孔質の本体部分と、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分の拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分に陰極層形成部を有する弁作用金属基体と、
弁作用金属基体の陰極層形成部の表面および陰極層形成部に接する本体部分の拡張部の表面を被覆する誘電体皮膜と、
弁作用金属基体の陰極層形成部において、誘電体皮膜の表面上に順次形成された固体電解質層および陰極引出層と
を含む、固体電解コンデンサ素子が提供される。かかる固体電解コンデンサ素子は、本発明の固体電解コンデンサの上記第1の製造方法により製造可能であり、これと同様の効果を奏する。固体電解コンデンサ素子をこのようにして製造する場合、弁作用金属基体の本体部分の拡張部は、弁作用金属基体の両主面に設けた溝に由来するものであり、この拡張部の端面が、溝を切断することによって生じた切断面に対応する。よって、かかる固体電解コンデンサ素子によれば、弁作用金属基体の本体部分の拡張部の端面、換言すれば、欠陥が生じやすい弁作用金属基体の切断面が、固体電解質層から離間しているので、漏れ電流を効果的に抑制することができる。
本発明のもう1つの要旨においては、
多孔質の表面部分と、非多孔質の本体部分と、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分の拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分に陰極層形成部を有し、更に、陽極リード部を有する弁作用金属基体と、
弁作用金属基体の本体部分の拡張部の主面に略平行な表面を被覆するレジスト層と、
弁作用金属基体の陰極層形成部の表面および陰極層形成部に接する本体部分の拡張部の端面を被覆する誘電体皮膜と、
弁作用金属基体の陰極層形成部において、誘電体皮膜の表面上に順次形成された固体電解質層および陰極引出層と
を含む、固体電解コンデンサ素子が提供される。かかる固体電解コンデンサ素子は、本発明の固体電解コンデンサの上記第1の製造方法を工程(b’)により改変した上述の態様により製造可能であり、これと同様の効果を奏する。固体電解コンデンサ素子をこのようにして製造する場合、弁作用金属基体の本体部分の拡張部は、弁作用金属基体の両主面に設けた溝に由来するものであり、この拡張部の端面が、溝を切断することによって生じた切断面に対応し、この拡張部の主面に略平行な表面が、溝の底部に対応する。よって、かかる固体電解コンデンサ素子によれば、弁作用金属基体の本体部分の拡張部の端面、換言すれば、欠陥が生じやすい弁作用金属基体の切断面が、固体電解質層から離間している上、拡張部の主面に略平行な表面、換言すれば、溝の底部がレジスト層で被覆されている。レジスト層は一般的に絶縁性であり、これにより、レジスト層が形成された切断部およびその近傍では電荷が蓄積されないので、切断部およびその近傍における漏れ電流を一層効果的に抑制することができる。
本発明の上記固体電解コンデンサ素子は、単独または複数で、固体電解コンデンサに含まれ得る。よって、本発明のもう1つの要旨においては、上記固体電解コンデンサ素子を1つまたは2つ以上含んで成る、固体電解コンデンサが提供される。
本発明のもう1つの要旨においては、
陰極層形成部を有する弁作用金属基体が複数積層され、隣接する弁作用金属基体が互いに接合されて成る接合積層体であって、少なくとも陰極層形成部において弁作用金属基体の表面が誘電体皮膜で被覆されている接合積層体と、
弁作用金属基体の陰極層形成部において、弁作用金属基体を被覆する誘電体皮膜間の隙間を充填し、かつ接合積層体の外表面を被覆する固体電解質層の連続層と
を含む固体電解コンデンサであって、
前記弁作用金属基体の各々は、多孔質の表面部分と、非多孔質の本体部分と、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分の拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分に前記陰極層形成部を有し、
前記誘電体皮膜は、弁作用金属基体の陰極層形成部の表面に加えて、陰極層形成部に接する本体部分の拡張部の表面を被覆する、固体電解コンデンサが提供される。かかる固体電解コンデンサは、本発明の固体電解コンデンサの上記第2の製造方法により製造可能であり、これと同様の効果を奏する。加えて、かかる固体電解コンデンサによれば、接合積層体を構成する弁作用金属基体間の隙間に陰極引出層が存在しないため、コンデンサの低背化が可能となる。
本発明のもう1つの要旨においては、
陰極層形成部を有する弁作用金属基体が複数積層され、隣接する弁作用金属基体が互いに接合されて成る接合積層体であって、少なくとも陰極層形成部において弁作用金属基体の表面が誘電体皮膜で被覆されている接合積層体と、
弁作用金属基体の陰極層形成部において、弁作用金属基体を被覆する誘電体皮膜間の隙間を充填し、かつ接合積層体の外表面を被覆する固体電解質層の連続層と
を含む固体電解コンデンサであって、
前記弁作用金属基体の各々は、多孔質の表面部分と、非多孔質の本体部分と、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分の拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分に前記陰極層形成部を有し、
前記弁作用金属基体の本体部分の拡張部の主面に略平行な表面がレジスト層で被覆され、
前記誘電体皮膜は、弁作用金属基体の陰極層形成部の表面に加えて、陰極層形成部に接する本体部分の拡張部の端面を被覆する、固体電解コンデンサが提供される。かかる固体電解コンデンサは、本発明の固体電解コンデンサの上記第2の製造方法を工程(b’)により改変した上述の態様により製造可能であり、これと同様の効果を奏する。固体電解コンデンサをこのようにして製造する場合、弁作用金属基体の本体部分の拡張部は、弁作用金属基体の両主面に設けた溝に由来するものであり、この拡張部の端面が、溝を切断することによって生じた切断面に対応し、この拡張部の主面に略平行な表面が、溝の底部に対応する。よって、かかる固体電解コンデンサによれば、弁作用金属基体の本体部分の拡張部の端面、換言すれば、欠陥が生じやすい弁作用金属基体の切断面が、固体電解質層から離間している上、拡張部の主面に略平行な表面、換言すれば、溝の底部がレジスト層で被覆されている。レジスト層は一般的に絶縁性であり、これにより、レジスト層が形成された切断部およびその近傍では電荷が蓄積されないので、切断部およびその近傍における漏れ電流を一層効果的に抑制することができる。加えて、かかる固体電解コンデンサによれば、接合積層体を構成する弁作用金属基体間の隙間に陰極引出層が存在しないため、コンデンサの低背化が可能となる。
本発明によれば、漏れ電流の増大をもたらし得る誘電体皮膜における欠陥発生を低減することができ、かつ、使用する弁作用金属基体に対する制約が緩和された、新規な固体電解コンデンサの製造方法が提供される。また、本発明によれば、かかる固体電解コンデンサの製造方法により製造可能な固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサも提供される。
本発明の実施形態1における固体電解コンデンサの第1の製造方法の前半部分を説明する概略断面工程図である。なお、図1A(b)は、図2A(a)および図2B(a)のX−X線にて弁作用金属基体を仮想的に切断して見た概略断面工程図である。 本発明の実施形態1における固体電解コンデンサの第1の製造方法の後半部分を説明する概略断面工程図である。なお、図1B(b)は、図3A(a)および図3B(a)のX−X線にて弁作用金属基体を仮想的に切断して見た概略断面工程図である。 本発明の実施形態1における固体電解コンデンサの第1の製造方法を説明する図であって、(a)は、図1A(b)の1つの例における概略上面図であり、(b)は、(a)にレジスト層を形成した概略上面図である。 本発明の実施形態1における固体電解コンデンサの第1の製造方法を説明する図であって、(a)は、図1A(b)のもう1つの例における概略上面図であり、(b)は、(a)にレジスト層を形成した概略上面図である。 本発明の実施形態1における固体電解コンデンサの第1の製造方法を説明する図であって、(a)および(b)は、図2Aに示した例の場合において、それぞれ切断後および誘電体皮膜形成後に得られる固体電解コンデンサ素子の概略斜視図である。 本発明の実施形態1における固体電解コンデンサの第1の製造方法を説明する図であって、(a)および(b)は、図2Bに示した例の場合において、それぞれ切断後および誘電体皮膜形成後に得られる固体電解コンデンサ素子の概略斜視図である。 本発明の実施形態1およびその改変例である実施形態2における固体電解コンデンサの第1の製造方法によって製造される固体電解コンデンサを示す概略断面図である。 本発明の実施形態2における固体電解コンデンサの第1の製造方法を説明する図であって、図1Bに対応する概略断面工程図である。 本発明の実施形態1のもう1つの改変例である実施形態3における固体電解コンデンサの第1の製造方法を説明する図であって、(a)は、図2A(a)に対応する概略上面図であり、(b)は、(a)にレジスト層を形成した概略上面図である。 本発明の実施形態3における固体電解コンデンサの第1の製造方法を説明する図であって、(a)および(b)は、それぞれ切断後および誘電体皮膜形成後に得られる固体電解コンデンサ素子の概略斜視図である。 本発明の実施形態3における固体電解コンデンサの第1の製造方法によって製造される固体電解コンデンサを示す概略断面図である。 本発明の実施形態1のもう1つの改変例である実施形態4における固体電解コンデンサの第1の製造方法の前半部分を説明する概略断面工程図である。 本発明の実施形態4における固体電解コンデンサの第1の製造方法の後半部分を説明する概略断面工程図である。 本発明の実施形態4およびその改変例である実施形態5における固体電解コンデンサの第1の製造方法によって製造される固体電解コンデンサを示す概略断面図である。 本発明の実施形態5における固体電解コンデンサの第1の製造方法を説明する図であって、図9Bに対応する概略断面工程図である。 本発明の実施形態6における固体電解コンデンサの第2の製造方法の前半部分を説明する概略断面工程図である。なお、図12A(b)は、図13(a)のX−X線にて弁作用金属基体を仮想的に切断して見た概略断面工程図である。 本発明の実施形態6における固体電解コンデンサの第2の製造方法の後半部分を説明する概略断面工程図である。 本発明の実施形態6における固体電解コンデンサの第2の製造方法を説明する図であって、(a)は、接合部P、Qの形成位置を示す概略上面図であり、(b)は、接合部P、P、Qの形成位置を示す概略上面図である。 本発明の実施形態6における固体電解コンデンサの第2の製造方法によって製造される固体電解コンデンサを示す概略断面図である。 本発明の実施形態7における固体電解コンデンサの第2の製造方法の前半部分を説明する概略断面工程図である。 本発明の実施形態7における固体電解コンデンサの第2の製造方法の後半部分を説明する概略断面工程図である。 本発明の実施形態7における固体電解コンデンサの第2の製造方法によって製造される固体電解コンデンサを示す概略断面図である。
本発明の種々の実施形態について、図面を参照しながら以下に詳述する。図中、同様の部材には同じ符号を付し、特に断りのない限り、同様の説明が当て嵌まる。なお、添付の図面は、本発明を理解し易いように模式的に示したものであり、必ずしも一定の縮尺で示されていないことに留意されたい。
(実施形態1)
本実施形態は、本発明の1つの実施形態における固体電解コンデンサの第1の製造方法に関する。以下、かかる製造方法、それによって製造される固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサについて説明する。
まず、図1A(a)に示すように、多孔質の表面部分1aと非多孔質の本体部分1bとを有する弁作用金属基体1を準備する。より詳細には、弁作用金属基体1は、その厚さ方向において、多孔質の表面部分1aにより非多孔質の本体部分1bが挟まれた構造を有する。
弁作用金属基体1は、いわゆる弁作用を示す金属材料から実質的に構成される。かかる金属材料は、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、およびこれらの2種以上の合金からなる群より選択され、好ましくは、アルミニウムまたはアルミニウムを含む合金である。
弁作用金属基体1は、シート状(または平板状、例えば箔など)の形態を有し得る。弁作用金属基体1の厚さは、特に限定されないが、例えば50〜200μm、好ましくは90〜130μmである。弁作用金属基体1の幅および長さは、製造する固体電解コンデンサ(または固体電解コンデンサ素子)のサイズに応じて適宜選択され得る。
具体的には、多孔質の表面部分1aと非多孔質の本体部分1bとを有する弁作用金属基体1は、上記弁作用を示す金属材料から成る金属母材(非多孔質のもの)を予め粗面化処理に付すことにより得ることができる。粗面化処理は、一般的に、エッチング処理により実施される。エッチング液と接触してエッチング作用を受けた金属母材の表面部分が多孔質の表面部分1aとなり、エッチング液と接触せずにエッチング作用を受けなかった金属母材の本体部分(または内部)は非多孔質の本体部分1bとなる。エッチング処理の条件、例えばエッチング液、エッチングの温度および時間などは、使用する弁作用金属基体の金属材料や、所望される電気特性(実効面積を含む)などに応じて適宜選択され得る。例えば、エッチング液には、塩酸などが用いられ得る。
多孔質の表面部分1aの片側厚さ(片側表面からの深さ)は、特に限定されるものではないが、例えば10〜100μm、好ましくは20〜60μmである。非多孔質の本体部分(芯部分)1bの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば10〜60μm、好ましくは20〜40μmである。しかし、これらは単なる例示であり、多孔質の表面部分1aおよび非多孔質の本体部分1bの厚さは、使用する金属母材の厚さおよびエッチング処理の条件などにより様々であり得る。
弁作用金属基体1が多孔質の表面部分1aを有することにより、弁作用金属基体1の表面積が大きくなる。弁作用金属基体1は、固体電解コンデンサにおいて陽極として機能するため、同じ占有面積であっても、弁作用金属基体1の表面積、すなわち実効面積が大きいほど、コンデンサの静電容量を大きくすることができる。
なお、かかる弁作用金属基体1に関し、弁作用金属母材をエッチング処理により粗面化したものが、固体電解コンデンサ向けに市販されている。弁作用金属基体1として、このような市販のものを切断して使用してもよい。
次に、図1A(b)に示すように、多孔質の表面部分1aと非多孔質の本体部分1bとを有する弁作用金属基体1の両主面(弁作用金属基体1の上面および下面であって、図1Aの紙面に対して垂直な面である)に溝2を設ける。このとき、溝2の底部が非多孔質となるように、弁作用金属基体1に溝2を形成する。
具体的には、弁作用金属基体1の溝2は、弁作用金属基体1を厚さ方向に押圧することによって設けることができる。かかる押圧は、例えば、弁作用金属基体1を中空で保持したまま、その上下から、溝2を形成すべき領域にて押圧(プレス)することによって実施できる。押圧力は、特に限定されないが、例えば100〜500MPaに設定し得る。押圧後、弁作用金属基体1の両主面に溝2が形成され、溝2の底部は、元々存在していた非多孔質の本体部分1bに、その表面に存在していた多孔質の表面部分1aが押し付けられる(圧壊する)ことにより、非多孔質となる(図示せず)。なお、この場合、対向する溝2の間に存在する弁作用金属基体1の部分は、もとの本体部分(非多孔質)に、表面部分の圧壊分(非多孔質)が付加されたものとなるが、本明細書では説明を簡素化するため、圧壊分を含めて、単に、非多孔質の本体部分1と言うものとする。
あるいは、弁作用金属基体1の溝2は、弁作用金属基体から多孔質の表面部分を除去することによって設けることもできる。かかる除去は、例えば、レーザ照射などによって行うことができる。除去後、弁作用金属1の両主面に溝2が形成され、溝2の底部は、元々存在していた非多孔質の本体部分1bが露出することにより、非多孔質となる(図1A(b)参照)。なお、この場合、対向する溝2の間に存在する弁作用金属基体1の部分は、もとの表面部分(多孔質)に加えて、もとの本体部分が部分的に除去されていてよいが、本明細書では説明を簡素化するため、単に、非多孔質の本体部分1と言うものとする。
溝2は、弁作用金属基体1の両主面を複数の単位領域Uに仕切るように形成される。例えば、図2A(a)に示すように、一列に並んだ複数の単位領域Uが、単位領域Uの周囲を取り囲む溝2で互いに仕切られて配置されていてよい。また、例えば、図2B(a)に示すように、行列状に並んだ複数の単位領域Uが、格子状の溝2で互いに仕切られて配置されていてよい。溝2の幅および単位領域Uの寸法は適宜設定され得る。
弁作用金属基体1について、複数の単位領域U毎に、多孔質の表面部分1aに陰極層形成部Aが規定される。また、本実施形態において、複数の単位領域U毎に、多孔質の表面部分1aに、陽極リード部B、および陰極層形成部Aと陽極リード部Bとを離間する離間部Cが更に規定される。
なお、本実施形態において、単位領域Uは両主面において矩形を有するものとして図示し、溝2は矩形の単位領域Uの周囲の四辺に形成しているが、本発明はこれに限定されない。単位領域Uは、任意の適切な形状を有し得る。また、溝2は、後述する工程において溝2にて切断することにより、複数の単位領域Uを個々に分割し得る限り、任意の適切な位置に設けられ得る。
次に、図1A(c)に示すように、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける陰極層形成部Aと、互いに隣接する陰極層形成部Aの間に位置する溝2の部分との表面上に誘電体皮膜3を形成する。誘電体皮膜3は、例えば図2A(b)および図2B(b)に示すように、弁作用金属基体1の陽極リード部Bおよび離間部Cを、これらに隣接する溝2の部分と共に、レジスト層4で被覆して、弁作用金属基体1を電解液に浸漬して陽極酸化処理(化成処理とも言われ、以下も同様である)に付すことによって形成された酸化皮膜であってよい。この場合、誘電体皮膜(酸化皮膜)3は、レジスト層4で被覆されていない弁作用金属基体1の表面部分に形成される。陽極酸化処理の条件、例えば電解液、陽極酸化の温度、時間、電流密度および電圧などは、使用する弁作用金属基体の金属材料や、所望される電気特性などに応じて適宜選択され得る。例えば、電解液には、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、それらのナトリウム塩およびアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種を含む水溶液などが用いられ得る。レジスト層4は、陽極酸化処理後に除去する。
次に、図1A(d)および(e)に示すように、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける陰極層形成部Aに形成された誘電体皮膜3の表面上に、固体電解質層5および陰極引出層7を順次形成する。
具体的には、まず、上記のようにして得られた誘電体皮膜3が形成された弁作用金属基体1に対し、絶縁部9を、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける離間部Cを被覆するように形成する(図3A(a)および図3B(a)に示す絶縁部9を参照のこと)。
絶縁部9は、絶縁性樹脂を塗布して硬化させることにより形成できる。具体例としては、ポリフェニルスルホン(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、シアン酸エステル樹脂、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体等)、低分子量ポリイミド、ならびにそれらの誘導体および前駆体などが挙げられ、特に低分子量ポリイミド、ポリエーテルスルホン、フッ素樹脂およびそれらの前駆体が挙げられる。
その後、固体電解質層5を形成する。図2Aに示した例の場合には、固体電解質層5は、弁作用金属基体1の陽極リード部B側を保持して吊り下げた状態で、陰極層形成部A側を導電性高分子の前駆体溶液(原料溶液)に、絶縁部9の手前まで浸漬し、陰極層形成部Aの表面上に形成された誘電体皮膜3の表面に導電性高分子の前駆体溶液を塗布し、乾燥させることによって形成できる。また、図2Bに示した例の場合には、固体電解質層5は、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aが位置する部分および陰極層形成部A間の溝にて、それらの表面上に形成された誘電体皮膜3の表面に導電性高分子の前駆体溶液を塗布し、乾燥させることによって形成できる。
このとき、固体電解質層5は、図1A(d)に示すように、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aに形成された誘電体皮膜3の表面に形成され、溝2の底部、より詳細には、後述する切断部に相当する領域には実質的に形成されない。陰極層形成部Aは、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aを構成しており、陰極層形成部Aの表面上に誘電体皮膜3を形成した後も多孔質を保持している。これに対して、溝2の底部は非多孔質であり、陰極層形成部A間の溝2の表面上に誘電体皮膜3を形成した後も非多孔質を保持している。このような状況下、導電性高分子の前駆体溶液は、毛細管現象により、多孔質である陰極層形成部Aに選択的に浸透する。このため、非多孔質である溝2の底部において、陰極層形成部Aから離間した領域(少なくとも、後述する切断部に相当する領域)の表面に固体電解質層5は実質的に形成されない。
固体電解質層5を成す導電性高分子としては、例えば、チオフェン骨格を有する化合物、多環状スルフィド骨格を有する化合物、ピロール骨格を有する化合物、フラン骨格を有する化合物、アニリン骨格を有する化合物等で示される構造を繰り返し単位として含むものなどが挙げられるが、これらに限定されない。
導電性高分子の前駆体溶液(原料溶液)には、任意の適切な溶液が用いられ得る。例えば、モノマーを含む溶液と、重合酸化剤および必要に応じて別途用いられるドーパントを含む溶液との2種を用いてよく、誘電体皮膜3で被覆された陰極層形成部Aを、これら溶液に順次浸漬したり、これら溶液を順次塗布してよく、一連の浸漬または塗布の操作は、必要に応じて繰り返して実施してよい。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、モノマー、重合酸化剤および使用する場合にはドーパントを含む1種の溶液を用いてもよい。
その後、図1A(e)に示すように、固体電解質層5の表面上に陰極引出層7を形成する。陰極引出層7は、一般的に、固体電解質層5の外表面を被覆するようにカーボンペーストを塗布および乾燥させてカーボン含有層7aを形成し、そして、カーボン含有層7aの外表面を被覆するように銀ペーストを塗布および乾燥させて銀含有層7bを形成することによって形成され得る。
この結果、弁作用金属基体1の陽極リード部Bが、絶縁部9によって固体電解質層5および陰極引出層7から電気的に絶縁された状態で、固体電解質層5および陰極引出層7の外部に露出する。
以上により、複数の単位領域Uに対応する複数の固体電解コンデンサ素子10が溝2を介して一体的に作製されたシート11が得られる(図1A(e)参照)。
次に、上記のようにして得られたシート11を、図1B(a)に示すように、弁作用金属基体1の溝2にて切断する(図中、切断を一点鎖線矢印にて模式的に示す)。溝2の切断部には、弁作用金属基体1および誘電体皮膜3が存在し、他方、固体電解質層5は存在しない。かかる切断は、例えばダイシング、ディスクカッター、押し切りなどによって行うことができる。
切断後、図1B(b)に示すように、固体電解コンデンサ素子10が個々に分割された状態となる(図中、分割された1つの固体電解コンデンサ素子10を示す)。
分割された固体電解コンデンサ素子10に含まれる弁作用金属基体1は、少なくとも一対の対向する側部に、本実施形態においては図3A(a)および図3B(a)に示すように矩形の単位領域Uの周囲の四辺に位置する側部に、非多孔質の本体部分1bの拡張部(または凸部)を有する。この本体部分1bの拡張部は、溝2に存在していた非多孔質の本体部分1bの切断後の残部であり、多孔質の表面部分1aの端部よりも突出した部分である。
切断によって生じる切断面において、弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する(図1B(b)参照)。図2Aに示した例の場合(一列に並んだ複数の単位領域Uが、単位領域Uの周囲を取り囲む溝2で互いに仕切られて配置される場合)には、図3A(a)に示すように、直線YおよびYを含む面ならびに直線YおよびYを含む面が切断面となり、これら2つの切断面において弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する。また、図2Bに示した例の場合(行列状に並んだ複数の単位領域Uが、格子状の溝2で互いに仕切られて配置される場合)には、図3B(a)に示すように、直線YおよびYを含む面、直線YおよびYを含む面、直線YおよびYを含む面、ならびに直線YおよびYを含む面が切断面となり、これら4つの切断面において弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する。
次に、図1B(c)に示すように、上記切断面に誘電体皮膜13を形成する。この誘電体皮膜13は、図3A(b)および図3B(b)に示すように、上記切断面のうち、少なくとも弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの周囲に位置する切断面に形成されればよい。かかる誘電体皮膜13は、分割された固体電解コンデンサ素子10の少なくとも陰極層形成部Aの部分を電解液に浸漬して陽極酸化処理に付すことによって形成された酸化皮膜であってよい。かかる追加の陽極酸化処理の条件は、誘電体皮膜3について上述した陽極酸化処理の条件と同様とし得る。
上記誘電体皮膜3および13によって、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面および陰極層形成部Aに接する本体部分1bの拡張部の表面が被覆される。
以上より、本実施形態の第1の製造方法に従って、図1B(c)、図3A(b)および図3B(b)に示すような、固体電解コンデンサ素子10が作製される。かかる固体電解コンデンサ素子10は、
多孔質の表面部分1aと、非多孔質の本体部分1bと、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分1bの拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分1aに陰極層形成部Aを有する弁作用金属基体1と、
弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面および陰極層形成部Aに接する本体部分1bの拡張部の表面を被覆する誘電体皮膜3および13と、
弁作用金属基体1の陰極層形成部Aにおいて、誘電体皮膜3の表面上に順次形成された固体電解質層5および陰極引出層7と
を含む。
固体電解コンデンサ素子10において、弁作用金属基体1の本体部分1bの拡張部は、弁作用金属基体1の両主面に設けた溝2に由来するものであり、この拡張部の端面が、溝2を切断することによって生じた切断面に対応する。本体部分1bの拡張部は、最初に準備した図1A(a)に示す弁作用金属基体1の非多孔質の本体部分1bと同じであっても、溝2の形成方法に応じて異なっていてもよい。かかる固体電解コンデンサ素子10によれば、弁作用金属基体1の本体部分1bの拡張部の端面、換言すれば、欠陥が生じやすい弁作用金属基体1の切断面が、固体電解質層5から離間しているので、漏れ電流を効果的に抑制することができる。
かかる固体電解コンデンサ素子10は、単独または複数で、固体電解コンデンサに含まれ得る。
上記固体電解コンデンサ素子10を単独で用いる場合には、例えば、弁作用金属基体1の陽極リード部Bを陽極端子に接続し、他方、陰極引出層7を陰極端子に接続して、これら陽極端子および陰極端子(例えばリードフレームなど)の少なくとも一部を露出した状態で、固体電解コンデンサ素子をエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂にて封止することにより、固体電解コンデンサを得ることができる。
上記固体電解コンデンサ素子10を複数で用いる場合には、例えば図4に示すように、固体電解コンデンサ素子10を複数積層して積層体チップ12(図中、例示的に3つの固体電解コンデンサ素子10から成る固体電解コンデンサ素子の積層体チップ12を示す)とし、弁作用金属基体1の陽極リード部Bを陽極端子15に接続し、他方、陰極引出層7を陰極端子17に接続して、これら陽極端子15および陰極端子17(例えばリードフレームなど)の少なくとも一部を露出した状態で、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂19にて封止することにより、積層型の固体電解コンデンサ30を得ることができる。
以上より、本実施形態の第1の製造方法に従って、上記固体電解コンデンサ素子を1つまたは2つ以上含んで成る固体電解コンデンサが製造される。
本実施形態によれば、溝2の切断部に相当する領域には固体電解質層5は実質的に形成されないので、従来の製造方法よりも小さい負荷でシート11を切断することができ、これにより、誘電体皮膜3における欠陥発生を低減することができ、ひいては、漏れ電流を低減することが可能となる。更に、本実施形態によれば、弁作用金属基体1として、既に表面が多孔質化されている市販の弁作用金属基体を使用することができ、従来の製造方法に比べて、使用する弁作用金属基体に対する制約が緩和される。
(実施形態2)
本実施形態は、実施形態1にて上述した固体電解コンデンサの第1の製造方法の1つの改変例に関する。以下、かかる改変例の製造方法、それによって製造される固体電解コンデンサについて説明する。
まず、実施形態1にて図1A(a)〜(e)を参照して説明したのと同様にして、複数の単位領域Uに対応する複数の固体電解コンデンサ素子10が溝2を介して一体的に作製されたシート11を複数作製する。
次に、上記のようにして得られた複数のシート11を、図5(a)に示すように、各シート11の単位領域Uが厚さ方向に整列するように積層し(図中、例示的に3枚のシート11を積層した状態を示すが、これに限定されない)、積層された複数のシート11を弁作用金属基体1の溝2にて切断する(図中、切断を一点鎖線矢印にて模式的に示す)。溝2の切断部には、弁作用金属基体1および誘電体皮膜3が存在し、他方、固体電解質層5は存在しない。かかる切断は、実施形態1と同様にして実施できる。
切断後、図5(b)に示すように、積層された固体電解コンデンサ素子10が単位領域U毎に分割された状態となる(図中、例示的に3つの固体電解コンデンサ素子10から成る固体電解コンデンサ素子の積層体チップ12であって、分割された1つの積層体チップ12を示す)。
分割された積層体チップ12において、各固体電解コンデンサ素子10に含まれる弁作用金属基体1は、少なくとも一対の対向する側部に、本実施形態においては、実施形態1と同様に、矩形の単位領域Uの周囲の四辺に位置する側部に、非多孔質の本体部分1bの拡張部(または凸部)を有する。この本体部分1bの拡張部は、溝2に存在していた非多孔質の本体部分1bの切断後の残部であり、多孔質の表面部分1aの端部よりも突出した部分である。
本実施形態においても、実施形態1と同様に、切断によって生じる切断面において、弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する(図5(b)参照)。
次に、図5(c)に示すように、上記切断面のうち、少なくとも弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの周囲に位置する切断面に、誘電体皮膜13を形成する。誘電体皮膜13は、分割された積層体チップ12における固体電解コンデンサ素子10の少なくとも陰極層形成部Aの部分を電解液に浸漬して陽極酸化処理に付すことによって形成された酸化皮膜であってよい。
次に、図4に示すように、各弁作用金属基体1の陽極リード部Bを陽極端子15に接続し、他方、陰極引出層7を陰極端子17に接続して、これら陽極端子15および陰極端子17(例えばリードフレームなど)の少なくとも一部を露出した状態で、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂19にて封止することにより、積層型の固体電解コンデンサ30を得ることができる。
以上より、本実施形態の第1の製造方法の1つの改変例に従って、図4に示すような固体電解コンデンサ30が製造される。
本実施形態によれば、溝2の底部には固体電解質層5は実質的に形成されず、複数のシート11が溝2の部分に隙間を有しつつ積層されることとなり(図5(a)参照)、従来の製造方法よりも小さい負荷で積層されたシート11を切断することができる。また、本実施形態によれば、固体電解コンデンサ素子10が積層されて成る積層体チップ12を一度に複数得ることができ、これにより、積層体チップ12を含んで成る積層型固体電解コンデンサ30を効率的に製造することができる。
(実施形態3)
本実施形態は、実施形態1にて上述した固体電解コンデンサの第1の製造方法のもう1つの改変例に関する。以下、かかる改変例の製造方法、それによって製造される固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサについて説明する。
まず、実施形態1にて図1A(a)および(b)を参照して説明したのと同様にして、多孔質の表面部分1aと非多孔質の本体部分1bとを有する弁作用金属基体1の両主面に溝2を設ける。溝2は、実施形態1と同様に、弁作用金属基体1の両主面を複数の単位領域Uに仕切るように形成されるが、本実施形態においては、図6(a)に示すように、一列に並んだ複数の単位領域Uが、帯状の溝2で互いに仕切られて配置される。
次に、実施形態1にて図1A(c)を参照して説明したのと同様にして、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける陰極層形成部Aと、隣接する陰極層形成部Aの間に位置する溝2の部分との表面上に誘電体皮膜3を形成する。誘電体皮膜3は、実施形態1と同様に形成され得るが、本実施形態においては、図6(b)に示すように、弁作用金属基体1の陽極リード部Bおよび離間部Cを、これらに隣接する溝2の部分と共に、レジスト層4で被覆して、弁作用金属基体1を電解液に浸漬して陽極酸化処理に付すことによって形成された酸化皮膜とする。
次に、実施形態1にて図1A(d)および(e)を参照して説明したのと同様にして、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける陰極層形成部Aの表面上に形成された誘電体皮膜3の表面上に、固体電解質層5および陰極引出層7を順次形成する。これにより、複数の単位領域Uに対応する複数の固体電解コンデンサ素子10が溝2を介して一体的に作製されたシート11が得られる(図1A(e)参照)。
次に、上記のようにして得られたシート11を、実施形態1にて図1B(a)を参照して説明したのと同様にして、弁作用金属基体1の溝2にて切断する。
切断後、実施形態1にて図1B(b)を参照して説明したように、固体電解コンデンサ素子10が個々に分割された状態となるが、分割された固体電解コンデンサ素子10に含まれる弁作用金属基体1は、本実施形態においては図7(a)に示すように矩形の単位領域Uの一対の対向する側部のみに、非多孔質の本体部分1bの拡張部(または凸部)を有することとなる。
そして、本実施形態においては、図7(a)に示すように、直線YおよびYを含む面ならびに直線YおよびYを含む面が切断面となり、これら2つの切断面において弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する。
その後、実施形態1にて図1B(c)を参照して説明したのと同様にして、上記切断面に誘電体皮膜13を形成する。この誘電体皮膜13は、本実施形態においても、図7(b)に示すように、上記切断面のうち、少なくとも弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの周囲に位置する切断面に形成されればよい。
以上より、本実施形態の第1の製造方法のもう1つの改変例に従って、図7(b)に示すような、固体電解コンデンサ素子10が作製される。
かかる固体電解コンデンサ素子10も、単独または複数で、固体電解コンデンサに含まれ得る。
上記固体電解コンデンサ素子10を複数で用いる場合には、例えば図8に示すように、固体電解コンデンサ素子10を複数積層して積層体チップ12(図中、例示的に3つの固体電解コンデンサ素子10から成る固体電解コンデンサ素子の積層体チップ12を示す)とし、弁作用金属基体1の陽極リード部Bを陽極端子15に接続し、他方、陰極引出層7を陰極端子17に接続して、これら陽極端子15および陰極端子17(例えばリードフレームなど)の少なくとも一部を露出した状態で、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂19にて封止することにより、積層型の固体電解コンデンサ31を得ることができる。
本実施形態の固体電解コンデンサ素子10は、陰極側の端部(図7(a)に示す直線YおよびYを含む面と略平行な端部)において、非多孔質の本体部分1bの拡張部を有しておらず、陰極側の端部の全体が陰極引出層7で被覆されているので、図8に示すように、各固体電解コンデンサ素子10の陰極引出層7と陰極端子17との接続が容易に行える。
(実施形態4)
本実施形態は、実施形態1にて上述した固体電解コンデンサの第1の製造方法のもう1つの改変例に関する。以下、かかる改変例の製造方法、それによって製造される固体電解コンデンサ素子および固体電解コンデンサについて説明する。
まず、図9A(a)および(b)に示すように、実施形態1にて図1A(a)および(b)を参照して説明したのと同様にして、多孔質の表面部分1aと非多孔質の本体部分1bとを有する弁作用金属基体1の両主面に溝2を設ける。
次に、図9A(c)に示すように、溝2の底部にレジスト層14を形成する。かかるレジスト層14は、一般的に絶縁性樹脂から成り、例えばスクリーン印刷により形成できる。レジスト層14は、溝2の底部のうち、少なくとも互いに隣接する陰極層形成部Aの間に位置する部分に形成されればよく、好ましくは、溝2の底部の全部に形成される。レジスト層14の高さは、溝2の深さ以下である(すなわち、溝2から突出しない)限り、適宜設定され得る。
次に、図9A(d)に示すように、実施形態1にて図1A(c)を参照して説明したのと同様にして、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける陰極層形成部Aの表面上に誘電体皮膜3を形成する。本実施形態においては、溝2の底部(より詳細には、少なくとも互いに隣接する陰極層形成部Aの間に位置する溝2の部分、以下も同様である)にレジスト層14が存在しているため、このレジスト層14の表面上には誘電体皮膜は形成されない。
次に、図9A(e)および(f)に示すように、実施形態1にて図1A(d)および(e)を参照して説明したのと同様にして、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける陰極層形成部Aの表面上に形成された誘電体皮膜3の表面上に、固体電解質層5および陰極引出層7を順次形成する。
本実施形態において、固体電解質層5は、図9A(e)に示すように、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aに形成された誘電体皮膜3の表面に形成され、溝2の底部には実質的に形成されない。これは、本実施形態においては、溝2の底部がレジスト層14で被覆されているため、導電性高分子の前駆体溶液はレジスト層14により溝2の底部に浸透して行くことができないためである。このような状況下、導電性高分子の前駆体溶液は、毛細管現象により、多孔質である陰極層形成部Aに選択的に浸透する。このため、レジスト層14の表面において、陰極層形成部Aから離間した領域(少なくとも、後述する切断部に相当する領域)の表面に固体電解質層5は実質的に形成されない。
以上により、複数の単位領域Uに対応する複数の固体電解コンデンサ素子10が溝2を介して一体的に作製されたシート11が得られる(図9A(f)参照)。
次に、上記のようにして得られたシート11を、図9B(a)に示すように、実施形態1にて図1B(a)を参照して説明したのと同様にして、弁作用金属基体1の溝2にて切断する(図中、切断を一点鎖線矢印にて模式的に示す)。溝2の切断部には、弁作用金属基体1およびレジスト層14が存在し、他方、固体電解質層5および誘電体皮膜3は存在しない。
切断後、図9B(b)に示すように、固体電解コンデンサ素子10が個々に分割された状態となる(図中、分割された1つの固体電解コンデンサ素子10を示す)。
分割された固体電解コンデンサ素子10に含まれる弁作用金属基体1は、少なくとも一対の対向する側部に、非多孔質の本体部分1bの拡張部(または凸部)を有する。この本体部分1bの拡張部は、溝2に存在していた非多孔質の本体部分1bの切断後の残部であり、多孔質の表面部分1aの端部よりも突出した部分である。
更に、本実施形態の固体電解コンデンサ素子10は、非多孔質の本体部分1bの上記拡張部の主面に略平行な表面を被覆するレジスト層14(図9B(b)を参照のこと)を有している。このレジスト層14は、溝2に存在していたレジスト層14の切断後の残部である。
本実施形態においても、切断によって生じる切断面において、弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する(図9B(b)参照)。
次に、図9B(c)に示すように、実施形態1にて図1B(c)を参照して説明したのと同様にして、上記切断面に誘電体皮膜13を形成する。この誘電体皮膜13は、上記切断面のうち、少なくとも弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの周囲に位置する切断面に形成されればよい。
上記誘電体皮膜3および13によって、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面および陰極層形成部Aに接する本体部分1bの拡張部の端面(図示する例では、主面に略垂直な表面として示すが、これに限定されない)が被覆される。
以上より、本実施形態の第1の製造方法のもう1つの改変例に従って、図9B(c)に示すような、固体電解コンデンサ素子10が作製される。かかる固体電解コンデンサ素子10は、
多孔質の表面部分1aと、非多孔質の本体部分1bと、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分1bの拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分1aに陰極層形成部Aを有し、更に、陽極リード部Bを有する弁作用金属基体1と、
弁作用金属基体1の本体部分1bの拡張部の主面に略平行な表面を被覆するレジスト層14と、
弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面および陰極層形成部Aに接する本体部分1bの拡張部の端面を被覆する誘電体皮膜3および13と、
弁作用金属基体1の陰極層形成部Aにおいて、誘電体皮膜3の表面上に順次形成された固体電解質層5および陰極引出層7と
を含む。
固体電解コンデンサ素子10において、弁作用金属基体1の本体部分1bの拡張部は、弁作用金属基体1の両主面に設けた溝2に由来するものであり、この拡張部の端面が、溝2を切断することによって生じた切断面に対応し、この拡張部の主面に略平行な表面が、溝2の底部に対応する。本体部分1bの拡張部は、最初に準備した図9A(a)に示す弁作用金属基体1の非多孔質の本体部分1bと同じであっても、溝2の形成方法に応じて異なっていてもよい。かかる固体電解コンデンサ素子10によれば、弁作用金属基体1の本体部分1bの拡張部の端面、換言すれば、欠陥が生じやすい弁作用金属基体1の切断面が、固体電解質層5から離間している上、拡張部の主面に略平行な表面、換言すれば、溝2の底部がレジスト層14で被覆されている。レジスト層14が形成された切断部およびその近傍では電荷が蓄積されないので、切断部およびその近傍での漏れ電流の発生を一層効果的に抑制することができる。
かかる固体電解コンデンサ素子10は、単独または複数で、固体電解コンデンサに含まれ得る。固体電解コンデンサ素子10の固体電解コンデンサへの用い方は、実施形態1と同様である。上記固体電解コンデンサ素子10を複数で用いる場合には、例えば図10に示すような積層型の固体電解コンデンサ32(図中、例示的に3つの固体電解コンデンサ素子10から成る固体電解コンデンサ素子の積層体チップ12を示す)を得ることができる。
以上より、本実施形態の第1の製造方法のもう1つの改変例に従って、上記固体電解コンデンサ素子を1つまたは2つ以上含んで成る固体電解コンデンサが製造される。
本実施形態によれば、溝2の底部には固体電解質層5のみならず誘電体皮膜3も形成されないので、従来の製造方法よりも小さい負荷でシート11を切断することができるうえ、溝2にて切断する際の負荷が誘電体皮膜3に加わらないので、これにより、誘電体皮膜3における欠陥発生を防止することができ、ひいては、漏れ電流を効果的に低減することが可能となる。更に、本実施形態によれば、弁作用金属基体1として、既に表面が多孔質化されている市販の弁作用金属基体を使用することができ、従来の製造方法に比べて、使用する弁作用金属基体に対する制約が緩和される。
(実施形態5)
本実施形態は実施形態4にて上述した固体電解コンデンサの第1の製造方法の1つの改変例に関する。以下、かかる改変例の製造方法、それによって製造される固体電解コンデンサについて説明する。
まず、実施形態4にて図9A(a)〜(f)を参照して説明したのと同様にして、複数の単位領域Uに対応する複数の固体電解コンデンサ素子10が溝2を介して一体的に作製されたシート11を複数作製する。
次に、上記のようにして得られた複数のシート11を、図11(a)に示すように、各シート11の単位領域Uが厚さ方向に整列するように積層し(図中、例示的に3枚のシート11を積層した状態を示すが、これに限定されない)、積層された複数のシート11を弁作用金属基体1の溝2にて切断する(図中、切断を一点鎖線矢印にて模式的に示す)。溝2の切断部には、弁作用金属基体1およびレジスト層14が存在し、他方、固体電解質層5は存在しない。
切断後、図11(b)に示すように、積層された固体電解コンデンサ素子10が単位領域U毎に分割された状態となる(図中、例示的に3つの固体電解コンデンサ素子10から成る固体電解コンデンサ素子の積層体チップ12であって、分割された1つの積層体チップ12を示す)。
分割された積層体チップ12において、各固体電解コンデンサ素子10に含まれる弁作用金属基体1は、少なくとも一対の対向する側部に、本実施形態においては、実施形態1と同様に、矩形の単位領域Uの周囲の四辺に位置する側部に、非多孔質の本体部分1bの拡張部(または凸部)を有する。この本体部分1bの拡張部は、溝2に存在していた非多孔質の本体部分1bの切断後の残部であり、多孔質の表面部分1aの端部よりも突出した部分である。
本実施形態においても、実施形態1と同様に、切断によって生じる切断面において、弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する(図11(b)参照)。
次に、図11(c)に示すように、上記切断面のうち、少なくとも弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの周囲に位置する切断面に、誘電体皮膜13を形成する。誘電体皮膜13は、分割された積層体チップ12における固体電解コンデンサ素子10の少なくとも陰極層形成部Aの部分を電解液に浸漬して陽極酸化処理に付すことによって形成された酸化皮膜であってよい。
次に、図10に示すように、各弁作用金属基体1の陽極リード部Bを陽極端子15に接続し、他方、陰極引出層7を陰極端子17に接続して、これら陽極端子15および陰極端子17(例えばリードフレームなど)の少なくとも一部を露出した状態で、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂19にて封止することにより、積層型の固体電解コンデンサ32を得ることができる。
以上より、本実施形態の第1の製造方法に従って、図10に示すような固体電解コンデンサ32が製造される。
本実施形態によれば、溝2の底部には固体電解質層5のみならず誘電体皮膜3も形成されず、複数のシート11が溝2の部分に隙間を有しつつ積層されることとなり(図11(a)参照)、従来の製造方法よりも小さい負荷で積層されたシート11を切断することができる。また、本実施形態によれば、固体電解コンデンサ素子10が積層されて成る積層体チップ12を一度に複数得ることができ、これにより、積層体チップ12を含んで成る積層型固体電解コンデンサ32を効率的に製造することができる。
(実施形態6)
本実施形態は、本発明の1つの実施形態における固体電解コンデンサの第2の製造方法に関する。以下、かかる製造方法、それによって製造される固体電解コンデンサについて説明する。
まず、実施形態1にて図1A(a)〜(c)を参照して説明したのと同様にして、多孔質の表面部分1aと非多孔質の本体部分1bとを有する弁作用金属基体1の両主面に溝2を設けて溝2の底部を非多孔質とし、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける陰極層形成部Aと、互いに隣接する陰極層形成部Aの間に位置する溝2の部分との表面上に誘電体皮膜3を形成する。かかる誘電体皮膜3が形成された弁作用金属基体1を複数作製する。
本実施形態においても、溝2は、弁作用金属基体1の両主面を複数の単位領域Uに仕切るように形成され、弁作用金属基体1について、複数の単位領域U毎に、多孔質の表面部分1bに陰極層形成部Aが規定され、陽極リード部Bおよび離間部Cが更に規定され得る。
次に、上記のようにして得られた誘電体皮膜3が形成された複数の弁作用金属基体1を、図12A(a)に示すように、各弁作用金属基体1の単位領域Uが厚さ方向に整列するように積層して積層体21を得る(図中、例示的に、誘電体皮膜3が各々形成された3枚の弁作用金属基体1を積層した状態を示すが、これに限定されない)。
図12A(a)に示すように、隣接する弁作用金属基体1の誘電体皮膜3間には隙間が生じる。かかる隙間は、後述の工程において固体電解質層5を成す導電性高分子の前駆体溶液(原料溶液)が浸入し得る大きさであればよい。弁作用金属基体1の表面部分1aは多孔質であり、その表面上に誘電体皮膜3を形成した後も多孔質を保持しているので、誘電体皮膜3が形成された弁作用金属基体1を複数積み重ねるだけで、誘電体皮膜3間に隙間が自然に形成される。
また、誘電体皮膜3が形成された弁作用金属基体1を複数積み重ねる前に、絶縁部9を、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける離間部Cを被覆するように形成することが好ましい。かかる絶縁部9が弁作用金属基体1間に位置することによっても、誘電体皮膜3間に隙間が自然に形成される。更にこの場合、絶縁部9を利用して、複数の弁作用金属基体1を相互に固定(後の工程において接合部を形成する前に仮固定)することができる。より詳細には、弁作用金属基体1のそれぞれに絶縁性樹脂を別個に塗布し、これらを積み重ね、絶縁性樹脂を加熱などによって固化または硬化させて絶縁部9を形成し、この絶縁部9により複数の弁作用金属基体1を相互に固定することができる。
次に、図12A(b)および図13(a)に示すように、積層体21において厚さ方向に隣接する弁作用金属基体1を接合部P、Qにて互いに接合して接合積層体23を得る。なお、図13は、上記実施形態1にて図2Aに示した例(一列に並んだ複数の単位領域Uが、単位領域Uの周囲を取り囲む溝2で互いに仕切られて配置される場合)に対応するものであるが、図2Bに示した例(行列状に並んだ複数の単位領域Uが、格子状の溝2で互いに仕切られて配置される場合)についても同様の説明が当て嵌まる。
接合積層体23において、弁作用金属基体1同士が接合部P、Qを介して電気的に接合されている。図示する例においては、1つの接合部Pが、弁作用金属基体の陰極層形成部Aの領域に形成され、別の1つの接合部Qが、弁作用金属基体1の陽極リード部Bの領域に形成される。接合部P、Qの位置および数は特に限定されず、製造する固体電解コンデンサに求められる要件に応じて適宜設定してよいが、少なくとも1つの接合部が弁作用金属基体の陰極層形成部Aに存在することが好ましい。接合部P、Qは、円形、楕円形、矩形、正方形など、任意の適切な断面形状を有し得る。
より詳細には、上記積層体21を任意の適切な処理に付して、所定領域の弁作用金属基体1(多孔質の表面部分1aおよび非多孔質の本体部分1b)を溶融させ、これにより、隣接する弁作用金属基体1に由来する溶融金属同士が直接接触し、表面張力などにより一体化し、その後、溶融金属が一体化した状態で固化することによって、接合部P、Qが形成される。この所定領域において、誘電体皮膜3は予め開口していて(すなわち、弁作用金属基体1が露出していて)よいが、これに限定されない。
上記接合部を形成するための処理は、弁作用金属基体1を溶融させ得る限り特に限定されず、例えば加熱などであってもよいが、隣接する弁作用金属基体1同士を電気的かつ機械的に接合できる溶接によって行うことが好ましい。溶接は、例えば、抵抗溶接、レーザー溶接、超音波溶接などのいずれか1種を単独で、またはそれらの2種以上を併用して、実施することができる。
本実施形態においては、2つの接合部P、Qが形成される。2つ以上の接合部を形成する場合、その形成箇所は適宜配置され得るが、弁作用金属基体1が、それらの箇所においてほぼ均等な力で接合されるように配置されることが好ましい。
接合部Qは、弁作用金属基体1の陽極リード部Bに形成される。陽極リード部Bに接合部を形成する場合、接合部Qは、図13(a)に示すように、陽極リード部Bの幅を二等分する線(図中に二点鎖線にて示す)上またはその近傍に形成することが、誘電体被覆弁作用金属シート全体への応力を均等化でき、より電気的かつ機械的に安定した固体電解コンデンサを作製できるので好ましい。具体的には、この接合部Qの面積は、陽極リード部Bと陰極層形成部Aとの面積比にもよるが、陽極リード部Bの面積の好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上である。接合部Qの面積が、陽極リード部Bの面積の0.1%以上であれば、必要かつ十分な機械的接合強度と電気伝導性(導通)を得ることができる。陽極リード部Bに2つ以上の接合部を形成する場合、これら接合部の各々の面積が、陽極リード部Bの面積の好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上である。
他方、接合部Pは、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aに形成される。陰極層形成部Aに接合部Pを形成する場合、接合部Pは、例えば図13(a)に示すように、陰極層形成部Aの幅を二等分する線(図中に二点鎖線にて示す)上またはその近傍に形成してよく、かかる接合部の配置は、接合部を抵抗溶接により形成する場合に適する。本実施形態では、弁作用金属基体1が、複数の接合部P、Qにおいてほぼ均等な力で接合されるように、接合部Pは、図13(a)に示すように、陰極層形成部Aの長さ方向中央部から陽極リード部Bに対して遠位側にずれて配置されている。あるいは、本実施形態の改変例として、一対の接合部PおよびPを、例えば図13(b)に示すように、陰極層形成部Aの中心(図中に×印にて示す)から略点対称の位置に形成してもよく、かかる接合部の配置は、接合部をレーザー溶接により形成する場合に適する。これらの配置は、いずれも、誘電体被覆弁作用金属シート全体への応力を均等化でき、より電気的かつ機械的に安定した固体電解コンデンサを作製でき、かつ、等価直列抵抗(ESR)の増大を防止できるので好ましい。陰極層形成部Aに接合部を形成する場合、かかる部分に接合部を形成しない場合に比べて、接合部に相当する分の静電容量が失われる。特に、接合部もエッチングにより粗面化されて実効面積が増大している場合と比較すると、接合部を形成することによって凹凸がなくなる(多孔質の表面部分1aが潰れる)ので、同じ接合面積であってもより多くの静電容量が失われることになる。よって、接合部の面積は、電気的な接続を確保しつつも、極力小さくすることがより好ましい。具体的には、この接合部Pの面積は、陰極層形成部Aの面積の好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上であり、および好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。接合部Pの面積が、陰極層形成部Aの面積の1%以上であれば、隣接する弁作用金属基体1同士を電気的かつ機械的に安定して接合することができ、よって、電気的接続を確保しつつ、後の工程において陰極層である固体電解質層を形成する際に接合部が離れることを回避できる。他方、接合部Pの面積が、陰極層形成部Aの面積の30%以下であれば、固体電解コンデンサの静電容量を過度に失うことがなく、よって、静電容量の損失分を補償するために弁作用金属基体1の積層枚数を増やさなくてよい。陰極層形成部Aに2つ以上の接合部(例えば図13(b)に示す接合部PおよびP)を形成する場合、これら接合部の各々の面積が、陰極層形成部Aの面積の好ましくは1%以上、より好ましくは5%以上であり、および、これら接合部の合計の面積が、陰極層形成部Aの面積の好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。
接合後、弁作用金属基体1の接合部の表面が誘電体皮膜3で被覆されている場合には、これにより弁作用金属基体1の接合部は、固体電解質層5(これは後の工程で形成される)から電気的に絶縁されるが、接合部の表面において弁作用金属基体1が露出している場合には、別途、この接合部を固体電解質層5から電気的に絶縁するための操作を実施する。例えば、接合後、接合積層体23の両主面(すなわち上面および下面)および弁作用金属基体1間の隙間において弁作用金属基体1が露出していることがある。特に弁作用金属基体1の陰極層形成部Aにおいて、露出した弁作用金属基体1と固体電解質層5が接触すると固体電解コンデンサがショートする可能性があるため、露出した弁作用金属基体1の陰極層形成部Aを誘電体皮膜で被覆し、固体電解質層5から絶縁されるように、接合積層体23の形成後に少なくとも陰極層形成部Aを陽極酸化処理に付すことが好ましい。かかる追加の陽極酸化処理の条件は、上述した陽極酸化処理の条件と同様とし得る。
以上のようにして、積層体21から、該積層体21において隣接する弁作用金属基体1同士が接合された接合積層体23が得られる。
次に、図12A(c)に示すように、固体電解質層5を、接合積層体23において隣接する弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面上に形成されている誘電体皮膜3間の隙間を充填し、かつ接合積層体23の外表面を陰極層形成部Aにおいて被覆するように、連続層として形成する。弁作用金属基体1の陽極リード部Bは固体電解質層5により充填および被覆されずに露出したまま残される。かかる固体電解質層5は、単位領域Uと溝2の配置に応じて、実施形態1とほぼ同様にして形成できる。
このとき、固体電解質層5は、実施形態1と同様に、図12A(c)に示すように、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aに形成された誘電体皮膜3の表面に形成され、溝2の切断部に相当する領域には実質的に形成されない。
なお、微視的に見た場合、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面上に形成されている誘電体被覆3間の隙間が固体電解質層5で完全に充填されていない部分や、接合積層体23の外表面が被覆されていない部分が不可避的に存在することがあるが、固体電解コンデンサの電気的および機械的な特性が許容可能なレベルにある限り、固体電解質層5にこのような部分が存在していても問題ない。
次に、図12A(c)に示すように、固体電解質層5が形成された接合積層体23を弁作用金属基体1の溝2にて切断する(図中、切断を一点鎖線矢印にて模式的に示す)。溝2の切断部には、実施形態1と同様に、弁作用金属基体1および誘電体皮膜3が存在し、他方、固体電解質層5は存在しない。かかる切断は、実施形態1と同様にして実施できる。
切断後、図12B(a)に示すように、固体電解質層5が形成された接合積層体23が個々に分割された状態となる(図中、固体電解質層5が形成され、その後、分割された1つの接合積層体23を示す)。
固体電解質層5が形成され、その後、分割された接合積層体23において、各弁作用金属基体1は、少なくとも一対の対向する側部に、本実施形態においては、実施形態1と同様に、矩形の単位領域Uの周囲の四辺に位置する側部に、非多孔質の本体部分1bの拡張部(または凸部)を有する。この本体部分1bの拡張部は、溝2に存在していた非多孔質の本体部分1bの切断後の残部であり、多孔質の表面部分1aの端部よりも突出した部分である。
本実施形態においても、実施形態1と同様に、切断によって生じる切断面において、弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する(図12B(a)参照)。
次に、図12B(b)に示すように、上記切断面のうち、少なくとも弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの周囲に位置する切断面に、誘電体皮膜13を形成する。誘電体皮膜13は、分割された接合積層体23における少なくとも陰極層形成部Aの部分を電解液に浸漬して陽極酸化処理に付すことによって形成された酸化皮膜であってよい。
次に、図12B(c)に示すように、固体電解質5の表面上に陰極引出層7を形成する。陰極引出層7は、実施形態1と同様に、カーボン含有層7aおよび銀含有層7bを形成することによって形成され得る。
次に、図14に示すように、少なくとも1つの弁作用金属基体1の陽極リード部Bを陽極端子15に接続し、他方、陰極引出層7を陰極端子17に接続して、これら陽極端子15および陰極端子17(例えばリードフレームなど)の少なくとも一部を露出した状態で、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂19にて封止することにより、積層型の固体電解コンデンサ33を得ることができる。
以上より、本実施形態の第2の製造方法に従って、図14に示すような固体電解コンデンサ33が製造される。かかる固体電解コンデンサ33は、
陰極層形成部Aを有する弁作用金属基体1が複数積層され、隣接する弁作用金属基体1が互いに接合されて成る接合積層体23であって、少なくとも陰極層形成部Aにおいて弁作用金属基体Aの表面が誘電体皮膜3および13で被覆されている接合積層体23と、
弁作用金属基体1の陰極層形成部Aにおいて、弁作用金属基体1を被覆する誘電体皮膜3間の隙間を充填し、かつ接合積層体23の外表面を被覆する固体電解質層5の連続層と
を含む固体電解コンデンサであって、
上記弁作用金属基体1の各々は、多孔質の表面部分1aと、非多孔質の本体部分1bと、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分1bの拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分1bに上記陰極層形成部Aを有し、
上記誘電体皮膜3および13は、弁作用金属基体の陰極層形成部Aの表面に加えて、陰極層形成部Aに接する本体部分1bの拡張部の表面を被覆する。
本実施形態によれば、接合積層体23に対して固体電解質層5を連続層として一度に充填および被覆することができる。かかる固体電解コンデンサ33によれば、接合積層体23を構成する弁作用金属基体1間の隙間に陰極引出層7が存在しないため、コンデンサの低背化が可能となる。
(実施形態7)
本実施形態は、本発明のもう1つの実施形態における固体電解コンデンサの第2の製造方法に関する。以下、かかる製造方法、それによって製造される固体電解コンデンサについて説明する。
まず、実施形態4にて図9A(a)〜(d)を参照して説明したのと同様にして、多孔質の表面部分1aと非多孔質の本体部分1bとを有する弁作用金属基体1の両主面に溝2を設けて溝2の底部を非多孔質とし、溝2の底部(より詳細には、少なくとも互いに隣接する陰極層形成部Aの間に位置する溝2の部分、以下も同様である)にレジスト層14を形成し、弁作用金属基体1の多孔質の表面部分1aにおける陰極層形成部Aの表面上に誘電体皮膜3を形成する。かかるレジスト層14および誘電体皮膜3が形成された弁作用金属基体1を複数作製する。
本実施形態においても、溝2は、弁作用金属基体1の両主面を複数の単位領域Uに仕切るように形成され、弁作用金属基体1について、複数の単位領域U毎に、多孔質の表面部分1bに陰極層形成部Aが規定され、陽極リード部Bおよび離間部Cが更に規定され得る。
次に、上記のようにして得られたレジスト層14および誘電体皮膜3が形成された複数の弁作用金属基体1を、図15A(a)に示すように、実施形態6にて図12A(a)を参照して説明したのと同様にして、各弁作用金属基体1の単位領域Uが厚さ方向に整列するように積層して積層体21を得る(図中、例示的に、誘電体皮膜3が各々形成された3枚の弁作用金属基体1を積層した状態を示すが、これに限定されない)。
次に、図15A(b)に示すように、実施形態6にて図12A(a)および図13(a)を参照して説明したのと同様にして、積層体21において厚さ方向に隣接する弁作用金属基体1を接合部P、Qにて互いに接合して接合積層体23を得る。
次に、図15A(c)に示すように、実施形態6にて図12A(c)を参照して説明したのと同様にして、固体電解質層5を、接合積層体23において隣接する弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面上に形成されている誘電体皮膜3間の隙間を充填し、かつ接合積層体23の外表面を陰極層形成部Aにおいて被覆するように、連続層として形成する。
このとき、本実施形態においても、固体電解質層5は、実施形態4と同様に、図15A(c)に示すように、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aに形成された誘電体皮膜3の表面に形成され、溝2の底部には実質的に形成されない。本実施形態においては、溝2の底部はレジスト層14で被覆されているので、導電性高分子の前駆体溶液は溝2の底部には浸透して行くことができない。このような状況下、導電性高分子の前駆体溶液は、毛細管現象により、多孔質である陰極層形成部Aに選択的に浸透する。このため、レジスト層14の表面において、陰極層形成部Aから離間した領域(少なくとも、後述する切断部に相当する領域)の表面に固体電解質層5は実質的に形成されない。
次に、図15A(c)に示すように、固体電解質層5が形成された接合積層体23を弁作用金属基体1の溝2にて切断する(図中、切断を一点鎖線矢印にて模式的に示す)。溝2の切断部には、実施形態4と同様に、弁作用金属基体1および誘電体皮膜3が存在し、他方、固体電解質層5は存在しない。かかる切断は、実施形態4と同様にして実施できる。
切断後、図15B(a)に示すように、固体電解質層5が形成された接合積層体23が個々に分割された状態となる(図中、固体電解質層5が形成され、その後、分割された1つの接合積層体23を示す)。
固体電解質層5が形成され、その後、分割された接合積層体23において、各弁作用金属基体1は、少なくとも一対の対向する側部に、本実施形態においては、実施形態6と同様に、矩形の単位領域Uの周囲の四辺に位置する側部に、非多孔質の本体部分1bの拡張部(または凸部)を有する。この本体部分1bの拡張部は、溝2に存在していた非多孔質の本体部分1bの切断後の残部であり、多孔質の表面部分1aの端部よりも突出した部分である。
更に、本実施形態に従って分割された接合積層体23は、非多孔質の本体部分1bの上記拡張部の主面に略平行な表面を被覆するレジスト層14(図15B(a)を参照のこと)を有している。このレジスト層14は、溝2に存在していたレジスト層14の切断後の残部である。
本実施形態においても、切断によって生じる切断面において、弁作用金属基体1の本体部分1bが誘電体皮膜3から露出する(図15B(a)参照)。
次に、図15B(b)に示すように、実施形態6にて図12B(b)を参照して説明したのと同様にして、上記切断面に誘電体皮膜13を形成する。この誘電体皮膜13は、上記切断面のうち、少なくとも弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの周囲に位置する切断面に形成されればよい。
上記誘電体皮膜3および13によって、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面および陰極層形成部Aに接する本体部分1bの拡張部の端面(図示する例では、主面に略垂直な表面として示すが、これに限定されない)が被覆される。
次に、図15B(c)に示すように、実施形態6にて図12B(c)を参照して説明したのと同様にして、固体電解質5の表面上に陰極引出層7を形成する。陰極引出層7は、実施形態1と同様に、カーボン含有層7aおよび銀含有層7bを形成することによって形成され得る。
次に、図16に示すように、少なくとも1つの弁作用金属基体1の陽極リード部Bを陽極端子15に接続し、他方、陰極引出層7を陰極端子17に接続して、これら陽極端子15および陰極端子17(例えばリードフレームなど)の少なくとも一部を露出した状態で、エポキシ樹脂等の絶縁性樹脂19にて封止することにより、積層型の固体電解コンデンサ34を得ることができる。
以上より、本実施形態の第2の製造方法に従って、図16に示すような固体電解コンデンサ34が製造される。かかる固体電解コンデンサ34は、
陰極層形成部Aを有する弁作用金属基体1が複数積層され、隣接する弁作用金属基体1が互いに接合されて成る接合積層体23であって、少なくとも陰極層形成部Aにおいて弁作用金属基体1の表面が誘電体皮膜3および13で被覆されている接合積層体と、
弁作用金属基体1の陰極層形成部Aにおいて、弁作用金属基体1を被覆する誘電体皮膜3間の隙間を充填し、かつ接合積層体23の外表面を被覆する固体電解質層5の連続層と
を含む固体電解コンデンサであって、
上記弁作用金属基体1の各々は、多孔質の表面部分1aと、非多孔質の本体部分1bと、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分1bの拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分1aに上記陰極層形成部Aを有し、
上記弁作用金属基体1の本体部分1bの拡張部の主面に略平行な表面がレジスト層14で被覆され、
上記誘電体皮膜3および13は、弁作用金属基体1の陰極層形成部Aの表面に加えて、陰極層形成部Aに接する本体部分1bの拡張部の端面を被覆する。
固体電解コンデンサ34において、弁作用金属基体1の本体部分1bの拡張部は、弁作用金属基体1の両主面に設けた溝2に由来するものであり、この拡張部の端面が、溝2を切断することによって生じた切断面に対応し、この拡張部の主面に略平行な表面が、溝2の底部に対応する。本体部分1bの拡張部は、最初に準備した図9A(a)に示す弁作用金属基体1の非多孔質の本体部分1bと同じであっても、溝2の形成方法に応じて異なっていてもよい。かかる固体電解コンデンサ34によれば、弁作用金属基体1の本体部分1bの拡張部の端面、換言すれば、欠陥が生じやすい弁作用金属基体1の切断面が、固体電解質層5から離間している上、拡張部の主面に略平行な表面、換言すれば、溝2の底部がレジスト層14で被覆されている。これにより、レジスト層14が形成された切断部およびその近傍では電荷が蓄積されないので、切断部およびその近傍での漏れ電流の発生を一層効果的に抑制することができる。加えて、本実施形態によれば、接合積層体23に対して固体電解質層5を連続層として一度に充填および被覆することができる。かかる固体電解コンデンサ34によれば、接合積層体23を構成する弁作用金属基体1間の隙間に陰極引出層7が存在しないため、コンデンサの低背化が可能となる。
以上、本発明の実施形態1〜7について説明したが、これら実施形態は種々の改変が可能である。例えば、実施形態3に対しても、実施形態1に対する実施形態2と同様の改変を行い得る。また例えば、実施形態4〜7に対しても、実施形態1に対する実施形態3と同様の改変を行い得る。
本発明は、積層型固体電解コンデンサを製造するために利用され得るが、これに限定されるものではない。
1 弁作用金属基体
1a 多孔質の表面部分
1b 非多孔質の本体部分
2 溝
3 誘電体皮膜
4 レジスト層
5 固体電解質層
7 陰極引出層
7a カーボン含有層
7b 銀含有層
9 絶縁部
10 固体電解コンデンサ素子
11 シート
12 (固体電解コンデンサ素子の)積層体チップ
13 誘電体皮膜
14 レジスト層
15 陽極端子
17 陰極端子
19 絶縁性樹脂
21 (誘電体皮膜が形成された弁作用金属基体の)積層体
23 (誘電体皮膜が形成された弁作用金属基体の)接合積層体
30、31、32、33、34 固体電解コンデンサ
A 陰極層形成部
B 陽極リード部
C 離間部
U 単位領域
P、P、P、Q 接合部

Claims (11)

  1. (a)多孔質の表面部分と非多孔質の本体部分とを有する弁作用金属基体の両主面に溝を設けて溝の底部を非多孔質とし、弁作用金属基体の両主面を溝により複数の単位領域に仕切り、単位領域毎に多孔質の表面部分に陰極層形成部を規定する工程、
    (b)弁作用金属基体の陰極層形成部および陰極層形成部間の溝の表面上に誘電体皮膜を形成する工程、
    (c)弁作用金属基体の陰極層形成部に形成された誘電体皮膜の表面上に固体電解質層および陰極引出層を順次形成し、これにより、複数の単位領域に対応する複数の固体電解コンデンサ素子が溝を介して一体的に作製されたシートを得る工程、
    (d)前記シートを弁作用金属基体の溝にて切断する工程、および
    (e)弁作用金属基体の陰極層形成部の周囲に位置する切断面に誘電体皮膜を形成する工程
    を含む、固体電解コンデンサの製造方法。
  2. 複数の弁作用金属基体のそれぞれに対して工程(a)〜(c)を実施し、これにより得られる複数の前記シートを積層し、工程(d)にて、積層された前記シートを弁作用金属基体の溝にて切断する、請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  3. (a)多孔質の表面部分と非多孔質の本体部分とを有する弁作用金属基体の両主面に溝を設けて溝の底部を非多孔質とし、弁作用金属基体の両主面を溝により複数の単位領域に仕切り、単位領域毎に多孔質の表面部分に陰極層形成部を規定する工程、
    (b)弁作用金属基体の陰極層形成部および陰極層形成部間の溝の表面上に誘電体皮膜を形成する工程、
    (p)複数の弁作用金属基体のそれぞれに対して工程(a)〜(b)を実施し、これにより得られる誘電体皮膜が形成された複数の弁作用金属基体を積層して積層体を得る工程、
    (q)積層体において隣接する弁作用金属基体を互いに接合して接合積層体を得る工程、
    (r)固体電解質層を、接合積層体において隣接する弁作用金属基体の陰極層形成部の表面上に形成されている誘電体皮膜間の隙間を充填し、かつ接合積層体の外表面を陰極層形成部において被覆するように、連続層として形成する工程、
    (s)固体電解質層が形成された接合積層体を弁作用金属基体の溝にて切断する工程、および
    (t)弁作用金属基体の陰極層形成部の周囲に位置する切断面に誘電体皮膜を形成する工程
    を含む、固体電解コンデンサの製造方法。
  4. 工程(a)にて、弁作用金属基体の溝は、弁作用金属基体を厚さ方向に押圧することによって設けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  5. 工程(a)にて、弁作用金属基体の溝は、弁作用金属基体から多孔質の表面部分を除去することによって設けられる、請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 工程(b)に代えて、
    (b’)溝の底部にレジスト層を形成し、弁作用金属基体の陰極層形成部の表面上に誘電体皮膜を形成する工程
    を実施する、請求項1〜5のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 多孔質の表面部分と、非多孔質の本体部分と、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分の拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分に陰極層形成部を有する弁作用金属基体と、
    弁作用金属基体の陰極層形成部の表面および陰極層形成部に接する本体部分の拡張部の表面を被覆する誘電体皮膜と、
    弁作用金属基体の陰極層形成部において、誘電体皮膜の表面上に順次形成された固体電解質層および陰極引出層と
    を含む、固体電解コンデンサ素子。
  8. 多孔質の表面部分と、非多孔質の本体部分と、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分の拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分に陰極層形成部を有し、更に、陽極リード部を有する弁作用金属基体と、
    弁作用金属基体の本体部分の拡張部の主面に略平行な表面を被覆するレジスト層と、
    弁作用金属基体の陰極層形成部の表面および陰極層形成部に接する本体部分の拡張部の端面を被覆する誘電体皮膜と、
    弁作用金属基体の陰極層形成部において、誘電体皮膜の表面上に順次形成された固体電解質層および陰極引出層と
    を含む、固体電解コンデンサ素子。
  9. 請求項7または8に記載の固体電解コンデンサ素子を1つまたは2つ以上含んで成る、固体電解コンデンサ。
  10. 陰極層形成部を有する弁作用金属基体が複数積層され、隣接する弁作用金属基体が互いに接合されて成る接合積層体であって、少なくとも陰極層形成部において弁作用金属基体の表面が誘電体皮膜で被覆されている接合積層体と、
    弁作用金属基体の陰極層形成部において、弁作用金属基体を被覆する誘電体皮膜間の隙間を充填し、かつ接合積層体の外表面を被覆する固体電解質層の連続層と
    を含む固体電解コンデンサであって、
    前記弁作用金属基体の各々は、多孔質の表面部分と、非多孔質の本体部分と、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分の拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分に前記陰極層形成部を有し、
    前記誘電体皮膜は、弁作用金属基体の陰極層形成部の表面に加えて、陰極層形成部に接する本体部分の拡張部の表面を被覆する、固体電解コンデンサ。
  11. 陰極層形成部を有する弁作用金属基体が複数積層され、隣接する弁作用金属基体が互いに接合されて成る接合積層体であって、少なくとも陰極層形成部において弁作用金属基体の表面が誘電体皮膜で被覆されている接合積層体と、
    弁作用金属基体の陰極層形成部において、弁作用金属基体を被覆する誘電体皮膜間の隙間を充填し、かつ接合積層体の外表面を被覆する固体電解質層の連続層と
    を含む固体電解コンデンサであって、
    前記弁作用金属基体の各々は、多孔質の表面部分と、非多孔質の本体部分と、少なくとも一対の対向する側部において非多孔質の本体部分の拡張部とを有し、かつ、多孔質の表面部分に前記陰極層形成部を有し、
    前記弁作用金属基体の本体部分の拡張部の主面に略平行な表面がレジスト層で被覆され、
    前記誘電体皮膜は、弁作用金属基体の陰極層形成部の表面に加えて、陰極層形成部に接する本体部分の拡張部の端面を被覆する、固体電解コンデンサ。
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