JP5641150B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関するもので、特に、固体電解コンデンサにおける容量形成に寄与する領域の比率を高めるための改良に関するものである。
この発明にとって興味ある固体電解コンデンサが、たとえば特開2010−28139号公報(特許文献1)に記載されている。特許文献1には、その図8に図示されかつ段落[0029]で説明されるように、表面をエッチングした弁作用金属基体としてのアルミニウム箔を備え、このアルミニウム箔の中間部に、ポリイミド樹脂からなる周回状の絶縁層を設け、絶縁層の一方側を陽極部、他方側を陰極部に二分した、固体電解コンデンサが記載されている。
上記陰極部には、誘電体酸化皮膜を介して、導電性高分子層、カーボンペースト層および銀ペースト層からなる陰極層が形成されている。陰極層となる導電性高分子層、カーボンペースト層および銀ペースト層の各々は、アルミニウム箔を液状またはペースト状の各原料溶液に浸漬することによって形成される。上記はちまき状の絶縁層は、導電性高分子層、カーボンペースト層および銀ペースト層からなる陰極層を形成するための各原料溶液がアルミニウム箔に沿って陽極部に這い上がることを防止し、この這い上がりによって発生し得るショート不良を防止する作用を有している。
しかしながら、特許文献1に記載の固体電解コンデンサのような従来の固体電解コンデンサには、次のような解決されるべき課題がある。図24は、この課題を説明するためのもので、従来の固体電解コンデンサ1を断面図で示している。
図24に示すように、固体電解コンデンサ1は、弁作用金属基体2と、弁作用金属基体2の表面にその一部を残して形成された誘電体皮膜3と、誘電体皮膜3上に形成された陰極層4とを備えている。
弁作用金属基体2は、たとえばアルミニウム箔からなり、エッチング処理を施すことによって表面が粗面化され、それによって、芯部5とその表面に沿って形成される粗面部6とを有している。誘電体皮膜3は、たとえば、弁作用金属基体2の表面を酸化することによって形成される。陰極層4は、図示を省略するが、導電性高分子層、カーボンペースト層および銀ペースト層からなり、これらの層は各々対応の原料溶液(「陰極原料溶液」と総称することがある。)を付与することによって形成される。
弁作用金属基体2の中間部には、たとえばポリイミド樹脂からなるはちまき状の絶縁層7が設けられる。図24では、絶縁層7が、粗面部6を横切りかつ芯部5との境界部分にまで達した状態で図示されているが、これは、絶縁層7を構成する樹脂が弁作用金属基体2の表面に付与されたとき、この樹脂が粗面部6の内部にまで浸透したためである。
弁作用金属基体2における陰極層4が形成された部分が陰極部8となり、弁作用金属基体2における陰極層4が形成されておらず、かつ絶縁層7が形成されていない部分が陽極部9となる。絶縁層7は、陰極部8と陽極部9との境界を与えるものであり、前述した陰極原料溶液が陽極部9となるべき領域に入らないように遮断する機能を有している。
図示の固体電解コンデンサ1では、上述のように陰極層4および絶縁層7が形成された3個の弁作用金属基体2がそれぞれコンデンサユニット10を構成し、これら3個のコンデンサユニット10が積み重ねられ、互いに接合材11によって接合されることによって、積層体12が構成される。
積層体12における陰極部8には、陰極外部端子13が接続される。他方、積層体12における陽極部9では、3個の弁作用金属基体2の各端部が1箇所に集まるように曲げられる。そして、陽極部9には、陽極外部端子14が接続される。また、積層体12を覆うように、外装樹脂15(その輪郭を想像線で示す。)が成形される。
特開2010−28139号公報
固体電解コンデンサにあっては、さらなる高容量化あるいはさらなる小型化が要求されている。しかしながら、図24に示した固体電解コンデンサ1では、弁作用金属基体2における絶縁層7が形成された部分と陽極部9とが静電容量の形成に寄与しない部分となっており、このような静電容量の形成に寄与しない部分が固体電解コンデンサ1において比較的大きな体積を占めている。このことは、固体電解コンデンサのさらなる高容量化あるいはさらなる小型化を阻害する原因となる。
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決し得る、すなわち、容量形成に寄与する領域の比率を高めることができる、固体電解コンデンサおよびその製造方法を提供しようとすることである。
この発明は、弁作用金属基体と、弁作用金属基体の表面にその一部を残して形成された誘電体皮膜と、誘電体皮膜上に形成された、陰極部を与える陰極層とを備え、陰極層は、当該陰極層となるべき陰極原料溶液を弁作用金属基体に付与することによって形成されるものであり、弁作用金属基体における陰極層が形成されていない部分によって陽極部が与えられる、固体電解コンデンサにまず向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
すなわち、弁作用金属基体における陽極部には、陽極を引き出す機能と陰極原料溶液が陽極部となるべき領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えた、引出し兼遮断部材が設けられていることを特徴としている。
好ましくは、弁作用金属基体は、芯部とその表面に沿って形成される粗面部とを有し、引出し兼遮断部材は、粗面部の厚み方向の少なくとも一部に嵌合されている状態で配置される。これによって、陰極原料溶液が粗面部を通して浸透することによって陽極部となるべき領域に入ることを抑制することができる。
固体電解コンデンサは、より大容量を得るため、複数の弁作用金属基体を備え、複数の弁作用金属基体は積み重ねられることによって積層体を構成していることが好ましい。この場合、引出し兼遮断部材の最表面は、弁作用金属基体上の陰極層の最表面に比べて、より突出した位置にあり、積層体において、複数の弁作用金属基体の各々に設けられた引出し兼遮断部材が互いに接する状態とされることが好ましい。このように構成することにより、引出し兼遮断部材をスペーサとして機能させることができ、積層体にかかる応力を低減することができる。
引出し兼遮断部材は、表面に酸化皮膜が形成された弁作用金属部材からなることが好ましい。これによって、引出し兼遮断部材の耐熱性を高めることができ、後述する製造方法において、熱処理を問題なく実施することができるようになる。
上述のように、引出し兼遮断部材が、表面に酸化皮膜が形成された弁作用金属部材からなるとき、好ましい実施態様では、引出し兼遮断部材は、弁作用金属基体の一方端部に配置され、陰極層は、弁作用金属基体上の、引出し兼遮断部材が配置された箇所を除く領域に形成され、引出し兼遮断部材における陰極層側に向く第1の面およびそれに連なる第2の面の少なくとも一部に酸化皮膜が形成され、第1の面に対向する第3の面には酸化皮膜が形成されないようにされる。これによって、引出し兼遮断部材が、陽極を引き出す機能と陰極原料溶液が陽極部となるべき領域に入らないように遮断する機能とを確実に発揮するようにすることができる。
引出し兼遮断部材は、弁作用金属基体と同種金属からなることが好ましい。これによって、弁作用金属基体と引出し兼遮断部材との接合性を高めることができ、そのため、固体電解コンデンサの等価直列抵抗(ESR)の上昇を抑制することができる。
この発明は、また、固体電解コンデンサの製造方法にも向けられる。
この発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第1の実施態様では、
(1)誘電体皮膜が形成された弁作用金属基体を準備する、弁作用金属基体準備工程と、
(2)陽極を引き出す機能と陰極層となるべき陰極原料溶液が陽極部予定領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えた引出し兼遮断部材を準備する、引出し兼遮断部材準備工程と、
(3)引出し兼遮断部材を弁作用金属基体に接合する、接合工程と、
(4)引出し兼遮断部材によって形成領域が制限された状態で、誘電体皮膜上に、陰極原料溶液を用いて陰極層を形成する、陰極層形成工程と
を備えることを特徴としている。
なお、(1)弁作用金属基体準備工程において準備される弁作用金属基体に対して誘電体皮膜を形成する時点は、(3)接合工程を実施した後でもよい。
上記第1の実施態様において、弁作用金属基体準備工程で準備される弁作用金属基体は、芯部とその表面に沿って形成される粗面部とを有し、接合工程は、弁作用金属基体の粗面部に凹部を形成する工程と、凹部に嵌合させた状態で引出し兼遮断部材を弁作用金属基体に接合する工程とを含むことが好ましい。これによって、引出し兼遮断部材を、粗面部の厚み方向の少なくとも一部に嵌合されている状態で配置することができ、そのため、陰極原料溶液が粗面部を通して浸透することによって陽極部となるべき領域に入ることを抑制することができる。
また、上記と同様の効果を得るため、第1の実施態様において、弁作用金属基体準備工程で準備される弁作用金属基体は、芯部とその表面に沿って形成される粗面部とを有し、接合工程は、引出し兼遮断部材を弁作用金属基体の粗面部に向かって押圧することによって、引出し兼遮断部材の少なくとも一部を粗面部に埋め込む工程と、粗面部に埋め込まれた状態で引出し兼遮断部材を弁作用金属基体に接合する工程とを含んでいてもよい。
第1の実施態様において、好ましくは、弁作用金属基体準備工程で準備される弁作用金属基体は、後で切断されることによって複数の弁作用金属基体を取り出すことができるマザー金属箔の状態にあり、接合工程は、マザー金属箔の状態で実施され、接合工程の後に実施される工程であって、マザー金属箔を、弁作用金属基体となるべき複数の櫛歯状部分を有する櫛形に打ち抜く、打抜き工程と、櫛形のマザー金属箔から複数の櫛歯状部分を切り離すことによって、複数の弁作用金属基体を取り出す、切離し工程とをさらに備え、陰極層形成工程は、打抜き工程の後であって、切離し工程の前に実施される。これによって、引出し兼遮断部材および陰極層が設けられた複数の弁作用金属基体を能率的に製造することができる。
この発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第2の実施態様では、
(1)誘電体皮膜が形成され、複数の弁作用金属基体を後で切断されることによって取り出すことができるマザー金属箔を準備する、マザー金属箔準備工程と、
(2)陽極を引き出す機能と陰極層となるべき陰極原料溶液が陽極部予定領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えた引出し兼遮断部材を準備する、引出し兼遮断部材準備工程と、
(3)マザー金属箔の一部に複数の貫通部を形成する、貫通部形成工程と、
(4)引出し兼遮断部材を各貫通部に嵌合させた状態でマザー金属箔に固定する、固定工程と、
(5)マザー金属箔を、弁作用金属基体となるべき複数の櫛歯状部分を有する櫛形に打ち抜く、打抜き工程と、
(6)引出し兼遮断部材によって形成領域が制限された状態で、誘電体皮膜上に、陰極原料溶液を用いて陰極層を形成する、陰極層形成工程と、
(7)櫛形のマザー金属箔から複数の櫛歯状部分を切り離すことによって、複数の弁作用金属基体を取り出す、切離し工程と
を備えることを特徴としている。
(1)マザー金属箔準備工程において準備されるマザー金属箔に対して誘電体皮膜を形成する時点は、(4)固定工程を実施した後でもよい。
この発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第3の実施態様では、
(1)誘電体皮膜が形成され、複数の弁作用金属基体を後で切断されることによって取り出すことができるマザー金属箔を準備する、マザー金属箔準備工程と、
(2)陽極を引き出す機能と陰極層となるべき陰極原料溶液が陽極部予定領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えた引出し兼遮断部材を準備する、引出し兼遮断部材準備工程と、
(3)引出し兼遮断部材をマザー金属箔に向かって押圧しながらマザー金属箔に貫通させるとともに、この状態で引出し兼遮断部材をマザー金属箔に固定する、固定工程と、
(4)マザー金属箔を、弁作用金属基体となるべき複数の櫛歯状部分を有する櫛形に打ち抜く、打抜き工程と、
(5)引出し兼遮断部材によって形成領域が制限された状態で、誘電体皮膜上に、陰極原料溶液を用いて陰極層を形成する、陰極層形成工程と、
(6)櫛形のマザー金属箔から複数の櫛歯状部分を切り離すことによって、複数の弁作用金属基体を取り出す、切離し工程と
を備えることを特徴としている。
(1)マザー金属箔準備工程において準備されるマザー金属箔に対して誘電体皮膜を形成する時点は、(3)固定工程を実施した後でもよい。
この発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、第4の実施態様では、
(1)弁作用金属基体を準備する、弁作用金属基体準備工程と、
(2)弁作用金属基体の表面に誘電体皮膜を形成する、誘電体皮膜形成工程と、
(3)陽極を引き出す機能と陰極層となるべき陰極原料溶液を遮断する機能とを兼ね備えた引出し兼遮断部材を準備する、引出し兼遮断部材準備工程と、
(4)引出し兼遮断部材を弁作用金属基体の端面に接合する、接合工程と、
(5)引出し兼遮断部材によって形成領域が制限された状態で、誘電体皮膜上に、陰極原料溶液を用いて陰極層を形成する、陰極層形成工程と
を備えることを特徴としている。
上記(2)誘電体皮膜形成工程を実施する時点と(4)接合工程を実施する時点との先後関係は問わない。
この発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、より大容量を得るため、陰極層が形成された複数の弁作用金属基体を積み重ねて積層体を作製する工程をさらに備えることが好ましい。この場合、引出し兼遮断部材の最表面は、弁作用金属基体上の陰極層の最表面に比べて、より突出した位置にあり、積層体を作製する工程において、複数の弁作用金属基体の各々に設けられた引出し兼遮断部材が互いに接する状態とされることが好ましい。このように製造方法を進めることにより、引出し兼遮断部材をスペーサとして機能させることができ、積層体にかかる応力を低減することができる。
この発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、引出し兼遮断部材準備工程で準備される引出し兼遮断部材は、弁作用金属部材からなり、弁作用金属部材からなる引出し兼遮断部材の表面に酸化皮膜を形成する工程をさらに備えることが好ましい。これによって、引出し兼遮断部材の耐熱性を高めることができる。
上記のように、引出し兼遮断部材の耐熱性が高められると、引出し兼遮断部材の表面に酸化皮膜を形成する工程が陽極酸化処理工程を含み、陽極酸化処理工程の後、熱処理工程をさらに備える場合において、このような熱処理を問題なく実施することができる。
この発明に係る固体電解コンデンサの製造方法において、引出し兼遮断部材は、弁作用金属基体と同種金属からなることが好ましい。これによって、弁作用金属基体と引出し兼遮断部材との接合性を高めることができ、そのため、固体電解コンデンサのESRの上昇を抑制することができる。また、上述した陽極酸化処理工程が実施される場合には、弁作用金属基体と引出し兼遮断部材との間で酸化条件が同じであるので、引出し兼遮断部材の表面に酸化皮膜を形成すると同時に、弁作用金属基体の表面にも酸化皮膜すなわち誘電体皮膜を形成することができる。
この発明によれば、陰極原料溶液が陽極部となるべき領域に入らないように遮断するための手段が、陽極を引き出す機能をも有する引出し兼遮断部材によって実現されるので、固体電解コンデンサにおける容量形成に寄与する領域の比率を高めることができる。したがって、固体電解コンデンサの製品寸法を維持したまま、さらなる高容量化を図ったり、固体電解コンデンサの静電容量を維持したまま、さらなる小型化を図ったりすることができる。
この発明の第1の実施形態による固体電解コンデンサ20を示す断面図である。 図1の部分Cを拡大して示す断面図である。 図1の部分Dを拡大して示す断面図である。 図1に示した固体電解コンデンサ20の製造方法についての第1の例を説明するためのもので、複数の弁作用金属基体24を取り出すことができるマザー金属箔45を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)の線B−Bに沿う断面図である。 図4に示したマザー金属箔45の粗面部28に凹部46を形成した状態を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)の線B−Bに沿う断面図である。 図5に示したマザー金属箔45の凹部46に引出し兼遮断部材34を嵌合させた状態を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)の線B−Bに沿う断面図である。 図6に示したマザー金属箔45を、弁作用金属基体24となるべき複数の櫛歯状部分47を有する櫛形に打ち抜いた状態を示す正面図である。 図7に示した櫛形のマザー金属箔45に対して陽極酸化処理工程を実施している状態を示す正面図である。 図8に示した陽極酸化処理後の櫛形のマザー金属箔45に対して導電性高分子層29を形成する工程を実施している状態を示す正面図である。 図9に示した導電性高分子層29の形成後の櫛形のマザー金属箔45に対してカーボンペースト層30を形成する工程を実施している状態を示す正面図である。 図10に示したカーボンペースト層30の形成後の櫛形のマザー金属箔45に対して銀ペースト層31を形成する工程を実施している状態を示す正面図である。 図11に示した工程を終えて陰極層26が形成された櫛形のマザー金属箔45を示す正面図である。 図12に示した櫛形のマザー金属箔45から複数の櫛歯状部分47を切り離すことによって、陰極層26および引出し兼遮断部材34が設けられた複数の弁作用金属基体24からなるコンデンサユニット21を取り出した状態を示す正面図である。 図13に示したコンデンサユニット21を積み重ねる工程を説明するための断面図である。 図14に示した積重ね工程を経て得られた積層体23を示す断面図である。 図1に示した固体電解コンデンサ20の製造方法についての第2の例を説明するためのもので、図5(B)または図6(B)に対応する図である。 この発明の第2の実施形態による固体電解コンデンサ20aを示す断面図である。 図17に示した固体電解コンデンサ20aの製造方法についての第1の例を説明するためのもので、複数の弁作用金属基体24を取り出すことができるマザー金属箔45に貫通部61を形成した状態を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)の線B−Bに沿う断面図である。 図18に示した貫通部62に引出し兼遮断部材34aを嵌合させた状態を示し、(A)は正面図であり、(B)は(A)の線B−Bに沿う断面図である。 図17に示した固体電解コンデンサ20aの製造方法についての第2の例を説明するためのもので、複数の弁作用金属基体24を取り出すことができるマザー金属箔45に向かって引出し兼遮断部材34aを押圧して貫通させる工程を示す断面図である。 図17に示した固体電解コンデンサ20aの製造方法についての第3の例を説明するためのもので、複数の弁作用金属基体24を取り出すことができるマザー金属箔45の端面に引出し兼遮断部材34aを接合した状態を示す断面図である。 この発明の第3の実施形態による固体電解コンデンサ20bを示す断面図である。 図22に示した固体電解コンデンサ20bの製造方法の一例を説明するためのもので、複数の弁作用金属基体24を取り出すことができるマザー金属箔45に引出し兼遮断部材34bを接合した状態を示す断面図である。 従来の固体電解コンデンサ1を示す断面図である。
[第1の実施形態]
図1ないし図3を参照して、この発明の第1の実施形態による固体電解コンデンサ20について説明する。
図1に示すように、固体電解コンデンサ20は、3個のコンデンサユニット21が積み重ねられ、かつ互いに接合材22によって接合されて構成された積層体23を備えている。3個のコンデンサユニット21の各々の構成は共通している。
各コンデンサユニット21は、弁作用金属基体24と、弁作用金属基体24の表面にその一部を残して形成された誘電体皮膜25(図1において、太線で示す。)と、誘電体皮膜25上に形成された陰極層26とを備えている。
弁作用金属基体24は、たとえばアルミニウム箔からなり、エッチング処理を施すことによって表面が粗面化され、それによって、芯部27とその表面に沿って形成される粗面部28とを有している。誘電体皮膜25は、たとえば、弁作用金属基体24の表面を酸化することによって形成される。
陰極層26は、図2に示されるように、導電性高分子層29、その上のカーボンペースト層30およびその上の銀ペースト層31からなる。これらの層29〜31は、後で詳細に説明するように、各々対応の原料溶液を付与することによって形成される。
弁作用金属基体24における陰極層26が形成された部分が陰極部32となり、弁作用金属基体24における陰極層26が形成されていない部分が陽極部33となる。
弁作用金属基体24の一方端部、すなわち陽極部33には、引出し兼遮断部材34が設けられる。引出し兼遮断部材34は、陽極を引き出す機能と陰極原料溶液が弁作用金属基体24における陽極部33となるべき領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えている。
この実施形態では、引出し兼遮断部材34は、その一部が弁作用金属基体24の粗面部28の内部に埋め込まれた状態で配置されている。すなわち、引出し兼遮断部材34は、弁作用金属基体24の粗面部28の厚み方向の少なくとも一部を通しての陰極原料溶液の浸透を遮断する状態で配置されている。これによって、陰極原料溶液が粗面部28を通して浸透することによって陽極部33となるべき領域に入ることを抑制することができる。
引出し兼遮断部材34は、たとえばアルミニウム箔のような弁作用金属部材からなることが好ましい。これによって、引出し兼遮断部材34の耐熱性を高めることができ、後述する製造方法において、熱処理を問題なく実施することができるようになる。
また、図3によく示されているように、引出し兼遮断部材34における陰極層26側に向く第1の面35およびそれに連なる第2の面36の少なくとも一部には、酸化皮膜37が形成される。酸化皮膜37は、電気絶縁性を有するとともに、特に表面が平滑である場合には、陰極原料溶液に対して良好な撥水性を有する。したがって、引出し兼遮断部材34は、陰極原料溶液が陽極部33となるべき領域に入らないように遮断する機能を確実に発揮し得るとともに、陰極部32と陽極部33との間で生じ得るショート不良を防止する。なお、酸化皮膜37に代えて、電気絶縁性の樹脂からなる膜が形成されてもよい。
また、引出し兼遮断部材34の第1の面35に対向する第3の面38には酸化皮膜が形成されない。したがって、引出し兼遮断部材34の第3の面38は、弁作用金属基体24の陽極部32側の端面39とともに、陽極を引き出す機能を確実に発揮し得る。
引出し兼遮断部材34は、弁作用金属基体24と同種金属からなることが好ましい。これによって、弁作用金属基体24と引出し兼遮断部材34との接合性を高めることができ、そのため、固体電解コンデンサ20のESRの上昇を抑制することができる。
また、引出し兼遮断部材34の最表面は、弁作用金属基体24上の陰極層26の最表面に比べて、より突出した位置にあり、積層体23において、複数の弁作用金属基体24の各々に設けられた引出し兼遮断部材34が互いに接する状態とされる。このように構成することにより、引出し兼遮断部材34をスペーサとして機能させることができ、積層体23にかかる応力を低減することができる。
積層体23における陰極部32には、より特定的には陰極層26における銀ペースト層31には、陰極外部端子40が接続される。他方、積層体23における陽極部33には、より特定的には引出し兼遮断部材34の第3の面38および弁作用金属基体24の端面39には、陽極外部端子41が接続される。また、積層体23を覆うように、たとえばエポキシ樹脂からなる外装樹脂42(図1において、その輪郭を想像線で示す。)が成形される。
図1と従来の固体電解コンデンサ1を示す図24とを比較すれば理解しやすいように、以上説明した固体電解コンデンサ20によれば、陰極原料溶液が陽極部33となるべき領域に入らないように遮断するための手段が、陽極を引き出す機能をも有する引出し兼遮断部材34によって実現されるので、容量形成に寄与する領域、すなわち、陰極層26が形成され得る領域の比率を高めることができる。
次に、上述した固体電解コンデンサ20の製造方法について説明する。図4ないし図15には、製造方法についての第1の例が示されている。図4ないし図15において、図1ないし図3に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付している。
まず、図4に示すように、マザー金属箔45が準備される。マザー金属箔45は、これを後で切断することによって、複数の弁作用金属基体24を取り出すことができる。マザー金属箔45は、たとえば、100μmの厚みを有するアルミニウム箔からなり、前述したように、エッチング処理を施すことによって表面が粗面化され、それによって、芯部27とその表面に沿って形成される粗面部28とを有している。また、マザー金属箔45の表面は酸化され、それによって、たとえば酸化アルミニウムからなる誘電体皮膜25(図1ないし図3参照)が形成されている。
次に、図5に示すように、マザー金属箔45の粗面部28に凹部46が形成される。凹部46は、たとえば、粗面部28の一部を切削等により除去したり、凸部を有する金型をマザー金属箔45に押し付けたりすることによって形成される。凹部46は、マザー金属箔45から取り出される弁作用金属基体24における陽極部33とすることが予定された陽極部予定領域に相当する領域に位置している。
次に、図6に示すように、引出し兼遮断部材34が準備され、引出し兼遮断部材34が上記凹部46に嵌合させた状態でマザー金属箔45に接合される。引出し兼遮断部材34としては、たとえば、厚み25〜100μm程度の表面が平滑な(エッチング処理されていない)アルミニウム箔が用いられる。また、引出し兼遮断部材34とマザー金属箔45との接合には、たとえば溶接が適用される。
この実施形態のように、引出し兼遮断部材34とマザー金属箔45とが同種金属から構成されると、引出し兼遮断部材34とマザー金属箔45との接合性を高めることができる。したがって、弁作用金属基体24と引出し兼遮断部材34との接合性を高めることができ、そのため、固体電解コンデンサ20のESRの上昇を抑制することができる。
次に、図7に示すように、マザー金属箔45が、弁作用金属基体24となるべき複数の櫛歯状部分47を有する櫛形に打ち抜かれる。櫛歯状部分47には、引出し兼遮断部材34の一部が位置している。マザー金属箔45には、打抜き工程の結果、誘電体皮膜(酸化皮膜)が形成されていない切断面48が現れる。
次に、図8に示すように、陽極酸化処理が実施される。すなわち、電解槽49内に電解液50が収容され、この電解液50内に、引出し兼遮断部材34とともに櫛歯状部分47が配置され、かつ陰極51が配置される。引出し兼遮断部材34は、櫛形のマザー金属箔45を介して陽極側に接続されながら、陽極酸化処理される。陽極酸化処理の結果、引出し兼遮断部材34の表面に酸化皮膜37(図3参照)が形成される。この酸化皮膜37は、後述する陰極層26の形成工程において、陰極層26となるべき陰極原料溶液が引出し兼遮断部材34の第2の面36(図3参照)上にまで這い上がってきたとしても、最悪の電気的短絡は避けられるように作用する。
また、マザー金属箔45と引出し兼遮断部材34とは同種金属からなり、したがって、両者は酸化条件が互いに同じであるので、上述の陽極酸化処理の結果、前述した打抜き工程によって現れた櫛形のマザー金属箔45の切断面にも誘電体皮膜(酸化皮膜)が形成されることになる。このことからわかるように、打抜き工程前のマザー金属箔45の表面に予め誘電体皮膜25(図1ないし図3参照)を形成しておくのではなく、この陽極酸化処理工程において、櫛形のマザー金属箔45の表面に誘電体皮膜25を形成するようにしてもよい。
一例として、マザー金属箔45および引出し兼遮断部材34がアルミニウム箔からなるとき、電解液50としてアジピン酸アンモニウム水溶液を用いながら、マザー金属箔45と陰極51との間に3.5Vの電圧を印加することによって、電解液50中のマザー金属箔45および引出し兼遮断部材34の各表面に酸化アルミニウムが形成される。
陽極酸化処理工程を終えた後、好ましくは、熱処理工程が実施される。熱処理工程では、たとえば、300℃、30分の条件が適用される。熱処理は、陽極酸化皮膜を強化する、より具体的には、陽極酸化皮膜の欠陥部を低減するのに効果的である。陽極酸化皮膜の欠陥部の低減は、固体電解コンデンサ20の漏れ電流の低減に寄与する。なお、このような熱処理の条件設定は、熱処理対象の構成材の耐熱性によって制約を受けるが、引出し兼遮断部材34を構成する材料として、従来用いられていたポリイミド樹脂より耐熱性の高いアルミニウムのような弁作用金属を用いることにより、熱処理条件設定の自由度を高めることができる。
次に、図9に示すように、マザー金属箔45の櫛歯状部分47が、導電性高分子溶液槽52に収容された導電性高分子原料溶液53内に浸漬される。このとき、引出し兼遮断部材34によって、導電性高分子原料溶液53の付与領域が制限される。その後、櫛歯状部分47が導電性高分子原料溶液53から引き上げられ、必要に応じて乾燥される。このようにして、導電性高分子層29(図2参照)が櫛歯状部分47上に形成される。
導電性高分子層の形成工程の一具体例を以下に記載すると、上記のように、酸化アルミニウムが形成されたアルミニウム箔からなるマザー金属箔45および引出し兼遮断部材34を、導電性高分子原料溶液53としての3,4−エチレンジオキシチオフェンを含むイソプロパノール溶液に浸漬した後に、過硫酸アンモニウムとアントラキノン2スルホン酸ナトリウムの混合溶液に浸漬する操作を20回繰り返すことにより、上記酸化アルミニウムの表面に、ポリエチレンジオキシチオフェンからなる導電性高分子層が形成される。
次に、図10に示すように、導電性高分子層が形成されたマザー金属箔45の櫛歯状部分47が、カーボンペースト槽54に収容されたカーボンペースト55内に浸漬される。このとき、引出し兼遮断部材34によって、カーボンペースト55の付与領域が制限される。その後、櫛歯状部分47がカーボンペースト55から引き上げられ、必要に応じて乾燥される。このようにして、カーボンペースト層30(図2参照)が導電性高分子層29上に形成される。
次に、図11に示すように、導電性高分子層およびカーボンペースト層が形成されたマザー金属箔45の櫛歯状部分47が、銀ペースト槽56に収容された銀ペースト57内に浸漬される。このとき、引出し兼遮断部材34によって、銀ペースト57の付与領域が制限される。その後、櫛歯状部分47が銀ペースト57から引き上げられ、必要に応じて乾燥される。このようにして、銀ペースト層31(図2参照)がカーボンペースト層30上に形成される。
図12には、上述のように、銀ペースト57から引き上げられた櫛形のマザー金属箔45が示されている。マザー金属箔45の櫛歯状部分47上には、上述した導電性高分子層、カーボンペースト層および銀ペースト層からなる陰極層26が、引出し兼遮断部材34によって制限された状態で形成されている。
次に、図13に示すように櫛形のマザー金属箔45から複数の櫛歯状部分47が切り離され、それによって、各々、弁作用金属基体24を備える複数のコンデンサユニット21が取り出される。この切離し工程で生じた切断面58は、図3に示した第3の面38および端面39を与える。したがって、切断面58には、酸化皮膜が形成されておらず、陽極を引き出す機能を確実に発揮する。なお、切断面58には不可避的に自然酸化膜が形成され得るが、このような自然酸化膜は、陽極を引き出す機能を損なわせるものではない。
次に、図14に示すように、陰極層26が形成された複数の弁作用金属基体24、すなわち複数のコンデンサユニット21を積み重ねる工程が実施される。複数のコンデンサユニット21の積み重ねにあたっては、下方のコンデンサユニット21の陰極層26上に接合材22を付与した後、その上にもう1つのコンデンサユニット21を矢印59で示すように積み重ねることが繰り返される。ここで、接合材22としては低応力樹脂を用いることが好ましい。なお、接合材22は、導電性であっても、非導電性であってもよい。
上述のように積み重ねを終えた後、接合材22を硬化させるための熱処理等が実施され、それによって、図15に示した積層体23が得られる。
なお、接合材22として、非導電性のものを用いた場合には、積層体23における陰極部側の端面または/および側面に導電材を塗布する必要がある。
その後、図1に示すように、積層体23における陰極層26と電気的に接続されるように、陰極外部端子40が接合され、他方、積層体23における引出し兼遮断部材34の第3の面38および弁作用金属基体24の端面39(図3参照)と電気的に接続されるように、陽極外部端子41が接合される。好ましくは、陰極外部端子40の接合にあたっては、導電性ペーストが用いられ、陽極外部端子41の接合にあたっては、レーザ溶接が用いられる。
そして、外装樹脂42が成形され、固体電解コンデンサ20が完成される。
図16には、図1に示した固体電解コンデンサ20の製造方法についての第2の例が示されている。上述した第1の例では、図5に示すように、粗面部28に凹部46を予め形成した後、凹部46に嵌合させた状態で引出し兼遮断部材34をマザー金属箔45に接合するようにした。これに対して、図16に示した第2の例では、引出し兼遮断部材34を粗面部28に向かって、矢印60で示すように、押圧することによって、引出し兼遮断部材34の一部が粗面部28に埋め込まれた、図6に示すような状態を得るようにしている。その後、粗面部28に埋め込まれた状態で引出し兼遮断部材34がマザー金属箔45に接合される。
第2の例におけるその他の工程は、第1の例の場合と実質的に同様である。
[第2の実施形態]
次に、図17を参照して、この発明の第2の実施形態による固体電解コンデンサ20aについて説明する。図17において、図1に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図17に示した固体電解コンデンサ20aでは、引出し兼遮断部材34aは、粗面部28だけでなく、弁作用金属基体24の全厚みにわたって貫通するように設けられている。このような構成によれば、粗面部28を通しての陰極原料溶液の浸透を遮断するといった引出し兼遮断部材34aの機能のより完璧化を図ることができる。
次に、上述した固体電解コンデンサ20aの製造方法について説明する。図18および図19には、固体電解コンデンサ20aの製造方法についての第1の例が示されている。図18および図19は、前述の図5および図6に対応する図である。したがって、図18および図19において、図5または図6に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
まず、前述の図4に示すように、マザー金属箔45が準備される。
次に、図18に示すように、マザー金属箔45の一部に複数の貫通部61が形成される。貫通部61は、マザー金属箔45から取り出される弁作用金属基体24における陽極部33とすることが予定された陽極部予定領域に相当する領域に位置している。
次に、図19に示すように、引出し兼遮断部材34aが準備され、引出し兼遮断部材34aが、上記貫通部61に嵌合させた状態でマザー金属箔45に固定される。引出し兼遮断部材34aとしては、表面が平滑な(エッチング処理されていない)アルミニウム箔が用いられる。また、引出し兼遮断部材34aをマザー金属箔45に固定するため、たとえば溶接が適用される。
この実施形態の場合にも、引出し兼遮断部材34aとマザー金属箔45とが同種金属から構成されると、引出し兼遮断部材34aとマザー金属箔45との接合性を高めることができる。したがって、弁作用金属基体24と引出し兼遮断部材34aとの接合性を高めることができ、そのため、固体電解コンデンサ20aのESRの上昇を抑制することができる。
その後、前述した図7ないし図15に示したのと実質的に同様の工程が実施されることによって、図17に示した積層体23aが得られ、その後、陰極外部端子40および陽極外部端子41が接合される。ここで、陽極外部端子41は、引出し兼遮断部材34aの第3の面38に接合される。
そして、外装樹脂42が成形され、固体電解コンデンサ20aが完成される。
図20には、図17に示した固体電解コンデンサ20aの製造方法についての第2の例が示されている。上述した第1の例では、図18に示すように、マザー金属箔45に貫通部61を予め形成した後、引出し兼遮断部材34aを貫通部61に嵌合させるようにした。これに対して、図20に示した第2の例では、引出し兼遮断部材34aをマザー金属箔45に向かって、矢印62で示すように、押圧することによって、引出し兼遮断部材34aがマザー金属箔45を貫通する状態を得るようにしている。
第2の例におけるその他の工程は、第1の例の場合と実質的に同様である。
図21には、図17に示した固体電解コンデンサ20aの製造方法についての第3の例が示されている。第3の例では、引出し兼遮断部材34aが弁作用金属基体24の端面に接合される。
好ましくは、弁作用金属基体24は、上述した製造方法についてのいくつかの例の場合と同様、後で切断されることによって複数の弁作用金属基体24を取り出すことができるマザー金属箔45の状態で用意される。この場合には、その後、前述した図7ないし図15に示したのと実質的に同様の工程が実施される。
第3の例におけるその他の工程は、第1の例の場合と実質的に同様である。
[第3の実施形態]
次に、図22を参照して、この発明の第3の実施形態による固体電解コンデンサ20bについて説明する。図22において、図1に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図22に示した固体電解コンデンサ20bでは、引出し兼遮断部材34bが、弁作用金属基体24の平坦な(すなわち、凹部等が形成されていない)表面に接合されている。
次に、上述した固体電解コンデンサ20bの製造方法について説明する。図23には、固体電解コンデンサ20bの製造方法の一例が示されている。図23は、前述の図5および図6に対応する図である。したがって、図23において、図5または図6に示す要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
図23に示すように、引出し兼遮断部材34bは、たとえば溶接を適用して、マザー金属箔45に接合される。このとき、引出し兼遮断部材34bとしては、たとえば、厚み25〜100μm程度の表面が平滑な(エッチング処理されていない)アルミニウム箔が用いられる。
その後、前述した図7ないし図15に示したのと実質的に同様の工程が実施されることによって、図22に示した積層体23bが得られ、その後、陰極外部端子40および陽極外部端子41が接合される。ここで、陽極外部端子41は、引出し兼遮断部材34aの第3の面38および弁作用金属基体24の端面39に接合される。
そして、外装樹脂42が成形され、固体電解コンデンサ20bが完成される。
20,20a,20b 固体電解コンデンサ
23,23a,23b 積層体
24 弁作用金属基体
25 誘電体皮膜
26 陰極層
27 芯部
28 粗面部
29 導電性高分子層
30 カーボンペースト層
31 銀ペースト層
32 陰極部
33 陽極部
34,34a,34b 引出し兼遮断部材
37 酸化皮膜
45 マザー金属箔
46 凹部
47 櫛歯状部分
49 電解液
53 導電性高分子原料溶液
55 カーボンペースト
57 銀ペースト
61 貫通部

Claims (19)

  1. 弁作用金属基体と、
    前記弁作用金属基体の表面にその一部を残して形成された誘電体皮膜と、
    前記誘電体皮膜上に形成された、陰極部を与える陰極層と
    を備え、
    前記陰極層は、当該陰極層となるべき陰極原料溶液を前記弁作用金属基体に付与することによって形成されるものであり、
    前記弁作用金属基体における前記陰極層が形成されていない部分によって陽極部が与えられる、固体電解コンデンサであって、
    前記弁作用金属基体における前記陽極部には、陽極を引き出す機能と前記陰極原料溶液が前記陽極部となるべき領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えた、引出し兼遮断部材が設けられていることを特徴とする、固体電解コンデンサ。
  2. 前記弁作用金属基体は、芯部とその表面に沿って形成される粗面部とを有し、前記引出し兼遮断部材は、前記粗面部の厚み方向の少なくとも一部に嵌合されている状態で配置される、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 複数の前記弁作用金属基体を備え、前記複数の弁作用金属基体は積み重ねられることによって積層体を構成している、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記引出し兼遮断部材の最表面は、前記弁作用金属基体上の陰極層の最表面に比べて、より突出した位置にあり、前記積層体において、複数の前記弁作用金属基体の各々に設けられた前記引出し兼遮断部材が互いに接する状態とされる、請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記引出し兼遮断部材は、表面に酸化皮膜が形成された弁作用金属部材からなる、請求項1ないし4のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記引出し兼遮断部材は、前記弁作用金属基体の一方端部に配置され、前記陰極層は、前記弁作用金属基体上の、前記引出し兼遮断部材が配置された箇所を除く領域に形成され、前記引出し兼遮断部材における前記陰極層側に向く第1の面およびそれに連なる第2の面の少なくとも一部に前記酸化皮膜が形成され、前記第1の面に対向する第3の面には前記酸化皮膜が形成されない、請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 前記引出し兼遮断部材は、前記弁作用金属基体と同種金属からなる、請求項1ないし6のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  8. 誘電体皮膜が形成された弁作用金属基体を準備する、弁作用金属基体準備工程と、
    陽極を引き出す機能と陰極層となるべき陰極原料溶液が陽極部予定領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えた引出し兼遮断部材を準備する、引出し兼遮断部材準備工程と、
    前記引出し兼遮断部材を前記弁作用金属基体に接合する、接合工程と、
    前記引出し兼遮断部材によって形成領域が制限された状態で、前記誘電体皮膜上に、前記陰極原料溶液を用いて陰極層を形成する、陰極層形成工程と
    を備える、固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 前記弁作用金属基体準備工程で準備される前記弁作用金属基体は、芯部とその表面に沿って形成される粗面部とを有し、
    前記接合工程は、前記弁作用金属基体の前記粗面部に凹部を形成する工程と、前記凹部に嵌合させた状態で前記引出し兼遮断部材を前記弁作用金属基体に接合する工程とを含む、
    請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  10. 前記弁作用金属基体準備工程で準備される前記弁作用金属基体は、芯部とその表面に沿って形成される粗面部とを有し、
    前記接合工程は、前記引出し兼遮断部材を前記弁作用金属基体の前記粗面部に向かって押圧することによって、前記引出し兼遮断部材の少なくとも一部を前記粗面部に埋め込む工程と、前記粗面部に埋め込まれた状態で前記引出し兼遮断部材を前記弁作用金属基体に接合する工程とを含む、
    請求項8に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  11. 前記弁作用金属基体準備工程で準備される前記弁作用金属基体は、後で切断されることによって複数の前記弁作用金属基体を取り出すことができるマザー金属箔の状態にあり、
    前記接合工程は、前記マザー金属箔の状態で実施され、
    前記接合工程の後に実施される工程であって、前記マザー金属箔を、前記弁作用金属基体となるべき複数の櫛歯状部分を有する櫛形に打ち抜く、打抜き工程と、前記櫛形のマザー金属箔から複数の前記櫛歯状部分を切り離すことによって、複数の前記弁作用金属基体を取り出す、切離し工程とをさらに備え、
    前記陰極層形成工程は、前記打抜き工程の後であって、前記切離し工程の前に実施される、
    請求項8ないし10のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  12. 誘電体皮膜が形成され、複数の弁作用金属基体を後で切断されることによって取り出すことができるマザー金属箔を準備する、マザー金属箔準備工程と、
    陽極を引き出す機能と陰極層となるべき陰極原料溶液が陽極部予定領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えた引出し兼遮断部材を準備する、引出し兼遮断部材準備工程と、
    前記マザー金属箔の一部に複数の貫通部を形成する、貫通部形成工程と、
    前記引出し兼遮断部材を各前記貫通部に嵌合させた状態で前記マザー金属箔に固定する、固定工程と、
    前記マザー金属箔を、前記弁作用金属基体となるべき複数の櫛歯状部分を有する櫛形に打ち抜く、打抜き工程と、
    前記引出し兼遮断部材によって形成領域が制限された状態で、前記誘電体皮膜上に、前記陰極原料溶液を用いて陰極層を形成する、陰極層形成工程と、
    前記櫛形のマザー金属箔から複数の前記櫛歯状部分を切り離すことによって、複数の前記弁作用金属基体を取り出す、切離し工程と
    を備える、固体電解コンデンサの製造方法。
  13. 誘電体皮膜が形成され、複数の弁作用金属基体を後で切断されることによって取り出すことができるマザー金属箔を準備する、マザー金属箔準備工程と、
    陽極を引き出す機能と陰極層となるべき陰極原料溶液が陽極部予定領域に入らないように遮断する機能とを兼ね備えた引出し兼遮断部材を準備する、引出し兼遮断部材準備工程と、
    前記引出し兼遮断部材を前記マザー金属箔に向かって押圧しながら前記マザー金属箔に貫通させるとともに、この状態で前記引出し兼遮断部材を前記マザー金属箔に固定する、固定工程と、
    前記マザー金属箔を、前記弁作用金属基体となるべき複数の櫛歯状部分を有する櫛形に打ち抜く、打抜き工程と、
    前記引出し兼遮断部材によって形成領域が制限された状態で、前記誘電体皮膜上に、前記陰極原料溶液を用いて陰極層を形成する、陰極層形成工程と、
    前記櫛形のマザー金属箔から複数の前記櫛歯状部分を切り離すことによって、複数の前記弁作用金属基体を取り出す、切離し工程と
    を備える、固体電解コンデンサの製造方法。
  14. 弁作用金属基体を準備する、弁作用金属基体準備工程と、
    前記弁作用金属基体の表面に誘電体皮膜を形成する、誘電体皮膜形成工程と、
    陽極を引き出す機能と陰極層となるべき陰極原料溶液を遮断する機能とを兼ね備えた引出し兼遮断部材を準備する、引出し兼遮断部材準備工程と、
    前記引出し兼遮断部材を前記弁作用金属基体の端面に接合する、接合工程と、
    前記引出し兼遮断部材によって形成領域が制限された状態で、前記誘電体皮膜上に、前記陰極原料溶液を用いて陰極層を形成する、陰極層形成工程と
    を備える、固体電解コンデンサの製造方法。
  15. 前記陰極層が形成された複数の前記弁作用金属基体を積み重ねて積層体を作製する工程をさらに備える、請求項8ないし14のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  16. 前記引出し兼遮断部材の最表面は、前記弁作用金属基体上の陰極層の最表面に比べて、より突出した位置にあり、前記積層体を作製する工程において、複数の前記弁作用金属基体の各々に設けられた前記引出し兼遮断部材が互いに接する状態とされる、請求項15に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  17. 前記引出し兼遮断部材準備工程で準備される前記引出し兼遮断部材は、弁作用金属部材からなり、前記弁作用金属部材からなる前記引出し兼遮断部材の表面に酸化皮膜を形成する工程をさらに備える、請求項8ないし16のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  18. 前記引出し兼遮断部材の表面に酸化皮膜を形成する工程は陽極酸化処理工程を含み、前記陽極酸化処理工程の後、熱処理工程をさらに備える、請求項17に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  19. 前記引出し兼遮断部材は、前記弁作用金属基体と同種金属からなる、請求項8ないし18のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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