JP5530024B1 - 表皮蒸散生鮮魚の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】生鮮魚原料あるいは凍結魚原料を使用して、本来の鮮度や外観や味が維持され食味・食感に優れる表皮蒸散生鮮魚を衛生的に容易に高歩留まりで製造する方法の提供。
【解決手段】表皮の下部の真皮が損なわれず、前記表皮のみが蒸散されており、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚の製造方法であって、下記工程(1)〜(4)を少なくとも含むことを特徴とする表皮蒸散生鮮魚の製造方法によって課題を解決できる。
(1)生鮮魚原料あるいは凍結魚原料を使用し、生鮮魚原料の場合はそのまま、凍結魚原料の場合は解凍した解凍魚を原料とし、これらの魚原料をフィーレ加工および/または骨取り加工して加工品を調製する工程。(2)工程(1)で調製した加工品を原料移動装置に載置し、移動する前記加工品に、レーザー光照射装置のスキャナによって、移動方向と交差する方向にスキャンしながら水分吸収性に優れる選択波長のレーザー光をその表皮全面に制御して連続的にスポット照射することによって表皮全面に順次均一に所定の熱エネルギーを供給し、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散する工程。(3)工程(2)で前記表皮のみを蒸散した製品を製品取出し装置により取り出す工程。(4)取り出した製品を必要に応じて冷凍し、真空包装する工程。
【選択図】図1

Description

本発明は、表皮蒸散生鮮魚の製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、表皮の下部の真皮が損なわれず、前記表皮のみが蒸散されており、生食することもできる表皮蒸散生鮮魚を衛生的に、高歩留まりで、容易に製造できる表皮蒸散生鮮魚の製造方法に関するものである。
図16は、生鮮魚原料(フィーレ加工および/または骨取り加工した切り身)あるいは凍結魚原料(以下、生鮮魚原料と称す場合がある)の断面説明図である。生鮮魚原料1は、大別すると、表皮2、真皮3、脂肪層4および筋肉層5からなっている。
魚を生で食す場合(例えば、刺身、塩しめ、酢しめなど)、その表皮を噛み切ることができないため、大抵は剥皮が必要とされる。しかし剥皮により真皮の外観(魚の模様)が損なわれてしまうことが多く、歩留まりも低下してしまう問題がある。例えば、大西洋サバは外観を維持したまま剥皮することが非常に難しいことが判っている。
そこで、従来、表皮2を除去する必要が生じた際には、図17に示すように、生鮮魚原料1の表皮2と真皮3の間に包丁6を入れて身を壊さぬように表皮2を剥いだり、図18に示すように、生鮮魚原料1を容器7中に収容した液体の食用用薬品8(化学処理用等)に浸し、その後、人為的に表皮2を剥いだり、図19に示すように、赤外線ヒーター9等の熱源を表皮2面に向けて置いて加熱して表皮2を焼損して人為的に皮を除去することなどが行われていた。
一方、レーザー光、超音波、風圧、水圧などを利用して食品などに傷マークを付ける提案(特許文献1参照)や、魚の切り身の搬送経路上に光を照射する位置決め光照射手段を備えた魚体処理装置が提案(特許文献2参照)されている。
国際公開公報WO2013/062093 特開2005−229913号公報
しかし、図17に示した従来のやり方は、人の手により行なうため、高度な技術が必要である一方、不衛生であり、身の損壊が生じやすく歩留まりが低下する問題があり、図18に示した従来の化学処理のやり方は、生鮮魚原料1全体を液体の食用用薬品8に漬け込むため、鮮度や本来の味が失われるという問題があり、図19に示した赤外線ヒーター9による加熱のやり方は、熱加減の調整が難しく、表皮2を除去できたとしても、放射熱が筋肉層5まで到達するため、製品に生感がなく、パサパサして焦げ臭が残り、食感も悪い等の問題があったなどの他、どの従来のやり方も多くの時間と手間が掛かるというさらなる問題があった。
本発明の目的は、生鮮魚原料あるいは凍結魚原料を使用し、生鮮魚原料の場合はそのまま、凍結魚原料の場合は解凍した解凍魚を原料とし、衛生的に、表皮の下部の真皮が損なわれず、前記表皮のみが蒸散されており、生鮮魚原料本来の外観や鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れる、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚を、衛生的に、高歩留まりで、容易に製造できる製造方法を提供することである。
上記課題を解消するための本発明の請求項1記載の発明は、表皮の下部の真皮が損なわれず、前記表皮のみが蒸散されており、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚の製造方法であって、下記工程(1)〜(4)を少なくとも含むことを特徴とする表皮蒸散生鮮魚の製造方法である。
(1)生鮮魚原料あるいは凍結魚原料を使用し、生鮮魚原料の場合はそのまま、凍結魚原料の場合は解凍した解凍魚を原料とし、これらの魚原料をフィーレ加工および/または骨取り加工して加工品を調製する工程。
(2)工程(1)で調製した加工品を原料移動装置に載置し、移動する前記加工品に、レーザー光照射装置のスキャナによって、移動方向と交差する方向にスキャンしながら水分吸収性に優れる選択波長のレーザー光をその表皮全面に制御して連続的にスポット照射することによって表皮全面に順次均一に所定の熱エネルギーを供給し、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散する工程。
(3)工程(2)で前記表皮のみを蒸散した製品を製品取出し装置により取り出す工程。
(4)取り出した製品を必要に応じて冷凍し、真空包装する工程。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法において、前記工程(2)において、表皮の食感が無くなる最小限の熱エネルギーを供給して処理するか、あるいは焦げる一歩手前の最大限の熱エネルギーを供給して処理するか、あるいは前記最小限の熱エネルギーを超え前記最大限の熱エネルギー未満の範囲の熱エネルギーを供給して、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散することを特徴とする。
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法において、前記工程(2)において、エネルギー密度が0.036〜0.109(W/mm)の範囲の熱エネルギーを供給して、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散することを特徴とする。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法において、前記選択波長のレーザー光が、波長3〜15μmのレーザー光であることを特徴とする。
本発明の請求項1記載の発明は、表皮の下部の真皮が損なわれず、前記表皮のみが蒸散されており、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚の製造方法であって、前記工程(1)〜(4)を少なくとも含むことを特徴とする表皮蒸散生鮮魚の製造方法であり、
生鮮魚原料あるいは凍結魚原料を使用し、表皮の下部の真皮が損なわれず、前記表皮のみが蒸散されており、生鮮魚原料本来の外観や鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れる、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚を、衛生的に、高歩留まりで、容易に製造できるという、顕著な効果を奏する。
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法において、前記工程(2)において、表皮の食感が無くなる最小限の熱エネルギーを供給して処理するか、あるいは焦げる一歩手前の最大限の熱エネルギーを供給して処理するか、あるいは前記最小限の熱エネルギーを超え前記最大限の熱エネルギー未満の範囲の熱エネルギーを供給して、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散することを特徴とするものであり、
より確実に、生鮮魚原料本来の外観や鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れる、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚を、衛生的に、高歩留まりで、容易に製造できるという、さらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1あるいは請求項2記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法において、
前記工程(2)において、エネルギー密度が0.036〜0.109(W/mm)の範囲の熱エネルギーを供給して、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散することを特徴とするものであり、
しめ鯖、塩鯖、鯖刺身、しめサンマ、塩サンマ、サンマ刺身、しめアジ、塩アジ、アジ刺身などを含む魚種の場合、前記エネルギー密度範囲内でより確実に、生鮮魚原料本来の外観や鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れる、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚を、衛生的に、高歩留まりで、容易に製造できるという、さらなる顕著な効果を奏する。
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法において、
前記選択波長のレーザー光が、波長3〜15μmのレーザー光であることを特徴とするものであり、
波長3〜15μmのレーザー光は水分吸収性に優れる代表的なレーザー光であるのでそのレーザー光発生装置なども容易に経済的に入手し易く、前記波長範囲内のレーザー光を用いて、より確実に、生鮮魚原料本来の外観や鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れる、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚を、衛生的に、高歩留まりで、容易に経済的に製造できるという、さらなる顕著な効果を奏する。
図1は、本発明で用いる製造装置の一例を説明する説明図である。 図2は、レーザー光を表皮にスポット照射する際の一例を説明する断面説明図である。 図3(a)〜(c)は、レーザー光を表皮にスポット照射するとその熱エネルギーによりもたられる作用を説明する断面説明図である。 図4は、移動する生鮮魚原料に、移動方向と交差する方向にスキャンしながら水分吸収性に優れる選択波長のレーザー光を、生鮮魚原料の表皮全面に制御して連続的にスポット照射する状況を上方から見た説明図である。 図5は、本発明で製造された表皮蒸散生鮮魚の断面説明図である。 図6(a)、(b)は、破断荷重測定機を使用して破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)を測定する方法を説明する説明図である。 図7は、冷凍西洋サバを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(しめサバ)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図8は、冷凍西洋サバを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(塩サバ)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図9は、冷凍西洋サバを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(サバ刺身)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図10は、国産冷凍サンマを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(しめサンマ)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図11は、国産冷凍サンマを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(塩サンマ)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図12は、国産冷凍サンマを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(サンマ刺身)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図13は、国産生アジを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(しめアジ)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図14は、国産生アジを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(塩アジ)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図15は、国産生アジを用いて本発明の表皮蒸散生鮮魚(アジ刺身)を製造する工程の1例を示す説明図である。 図16は、生鮮魚原料あるいは凍結魚原料の断面説明図である。 図17は、生鮮魚原料の表皮を剥ぐ従来の方法の一例を説明する説明図である。 図18は、生鮮魚原料の表皮を剥ぐ従来の他の方法の例を説明する説明図である。 図19は、生鮮魚原料の表皮を剥ぐ従来の他の方法の例を説明する説明図である。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明で用いる製造装置の一例を説明する説明図である。
図1において、10は本発明で用いる製造装置を示し、11は供給された生鮮魚原料1を載置して矢印方向へ移動させる原料移動装置を示し、12はレーザー光発生装置、13はレーザー光発生装置12で発生したレーザー光14を、移動方向と交差する方向にスキャンしながら生鮮魚原料1の表皮全面に制御されて連続的にスポット照射するスキャナユニット、15は生鮮魚原料をレーザー光14を照射前に非接触で検出するための原料検出手段、16は、これらの装置を制御するための制御装置である。17は製品取出し装置、18は真空包装装置、19は真空包装された表皮蒸散生鮮魚を示す。
原料検出手段15から生鮮魚原料1が所定の位置にきた信号が制御装置16に送られると、制御装置16からレーザー光発生装置12に、予め実験などにより設定された波長、出力などのレーザー光を発生するように信号が送られ、制御装置16からスキャナユニット13に予め実験などにより設定されたスキャナの速度および揺れ角度などで、レーザー光発生装置12から移送されたレーザー光を移動方向と交差する方向にスキャンしながら生鮮魚原料1の表皮全面に制御されて連続的にスポット照射する信号が送られ、そして制御装置16のタイマー回路に予め実験など(例えば下記のような実験評価例により)により設定された一定の時間、レーザー・スキャナー動作が生鮮魚原料1に対して行なわれようになっており、表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚が得られる。
原料検知手段15(検知センサー)に次の生鮮魚原料1の信号が入らない場合はこれで停止の信号が送られるが、次の生鮮魚原料1が、上記動作中に原料検知手段15(検知センサー)で検出された場合は、タイマー時間がリセットされ、再度上記動作が一定時間繰り返される。
図2は、図示しない製造装置10のスキャナユニット13からレーザー光14を生鮮魚原料1の表皮2にスポット照射する状態の一例を説明する説明図である。3は真皮、4は脂肪層および5は筋肉層を示す。
(実験評価例)
表皮面にレーザーの痕(焦げ目)がついた場合は、表皮2の下部の真皮3が損なわれたと判定する。
表皮面に焦げなどがなく、薄っすらレーザーの痕が見える場合は、表皮2の下部の真皮3が損なわれなかったと判定する。さらに、口に入れ感などの官能試験にて確認する。
このような実験評価により、その魚種において、表皮2の食感が無くなる最小限の熱エネルギーを確定するとともに、焦げる一歩手前の最大限の熱エネルギーを確定することができる。
上記のような実験評価にしたがって評価し、外観・食感などがよければ、その魚種に関しては、表皮2の食感が無くなる最小限の熱エネルギーを供給して処理するか、あるいは焦げる一歩手前の最大限の熱エネルギーを供給して処理するか、あるいは前記最小限の熱エネルギーを超え前記最大限の熱エネルギー未満の熱エネルギーを供給して処理すると、表皮2の下部の真皮3が損なわれず、表皮2のみが蒸散されており、生鮮魚原料本来の外観や鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れる、生のままでも食することができるような表皮蒸散生鮮魚を得ることができる。
また、後述する実施例1に記載した測定法で測定して得られたエネルギー密度が0.036〜0.109(W/mm)の範囲の熱エネルギーを供給して表皮のみを蒸散すると、しめ鯖、塩鯖、鯖刺身、しめサンマ、塩サンマ、サンマ刺身、しめアジ、塩アジ、アジ刺身などを含む魚種の場合、確実に、生鮮魚原料本来の鮮度や外観が維持され、食味・食感に優れる、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚を、衛生的に、高歩留まりで、容易に製造できる。
エネルギー密度0.036(W/mm)は表皮2の食感が無くなる最小限の熱エネルギーに相当し、エネルギー密度0.109(W/mm)は焦げる一歩手前の最大限の熱エネルギーに相当する。
図3(a)〜(c)は、レーザー光14を表皮2にスポット照射するとその熱エネルギーによりもたられる作用を説明する断面説明図である。
図3(a)に示したように、本発明で用いる製造装置10のスキャナユニット13からレーザー光14を生鮮魚原料1の表皮2にスポット照射すると、図3(b)に示したように、その照射熱エネルギーにより表皮2の細胞破壊が生じたり、熱収縮が発生したりするとともに下部の真皮3を損なわず、矢印で示したように真皮3のみの蒸散が良好に行なわれる状態が生じる。
しかし、図3(c)に示したように、レーザー光14のエネルギーが強すぎたり、長時間照射し過ぎたりすると、水蒸気などの揮発性ガスによる内圧力効果などの作用もあって、下部の真皮3や脂肪層4なども損なわれてしまい、表皮2のみを蒸散することができない。
図4は、移動する生鮮魚原料1に、レーザー光を、矢印で示した移動方向と交差する方向にスキャンしながら横移動させて、生鮮魚原料1の表皮2全面に制御して連続的にスポット照射する状況を、上方から見た際の説明図である。
レーザー光を横移動させるので、原料移動装置12の例えばベルトコンベアを横移動させる必要がない。
図5は、本発明で製造した表皮蒸散生鮮魚の断面説明図である。レーザー光14のスポット径、スキャン幅、スキャン速度、選択波長、照射時間、パワー密度、作動距離などを制御して照射エネルギーを制御して供給して、生鮮魚原料1の表皮2にスポット照射して所定の熱エネルギーを供給すると、図5に示したように、表皮2の下部の真皮3が損なわれず、表皮2のみを蒸散した表皮蒸散生鮮魚20が得られる。
レーザー光は例えば炭酸ガスレーザーやYAGレーザーなどでもよく、連続波でもパルス波でもよいが、波長が、水分吸収性が優れている波長群から選択される選択波長であることが必要である。選択波長であればよく、特に限定されないが、波長3〜15μmのレーザー光は好ましく使用できる。
波長3〜15μmのレーザー光は水分吸収性に優れる代表的なレーザー光であるのでそのレーザー光発生装置なども容易に経済的に入手し易く、前記波長範囲内のレーザー光を用いて、より確実に、鮮度や本来の外観が維持され、食味・食感に優れる、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚を、衛生的に、高歩留まりで、容易に製造できるからである。波長3μm未満および15μmを超えると水分吸収性が劣り照射時間が長くなり不経済となる恐れがある。
得られた表皮蒸散生鮮魚は、パネリスト10人により食して食味・食感などのテスト結果、食感判定では歯触り、噛んだ時の肉離れ、などが格段に増し、食味にも優れるという好結果を得た。
本発明で使用する製造装置10は原料移動装置11のライン上に流れる生鮮魚原料1が所定位置に移送されたかを、原料検出手段15によりレーザー光14の照射前に非接触で検出し、それによって制御装置16からの信号によってレーザー光発生装置12およびスキャナユニット13の制御を行うため、人的な接触がなく、安全な状態で加工を完了することができる。
本発明で使用する生鮮魚原料の原料移動装置11は、特に限定されず、ベルトコンベアなど公知の装置・方法を用いることができる。市販の装置・方法を用いることもできる。
以上、レーザー光の選択波長、出力、照射時間、パワー密度、スポット径、スキャン幅、作動距離(レーザー光照射元から魚表面までの距離)、スキャンニング速度などについて記載したが、これらは、魚種、大きさ、水分含有率、季節、捕獲場所などによって異なるので、短時間に効率良く、表皮のみを蒸散できる条件を予めテストにより決めておくことが好ましい。
本発明で使用する製品取出し装置17や真空包装装置18は、特に限定されず公知の装置・方法を用いることができる。市販の装置・方法を用いることもできる。
次に、本発明の表皮蒸散生鮮魚の製造方法について説明する。
本発明の表皮蒸散生鮮魚の製造方法は、下記(1)〜(4)を少なくとも含むことを特徴とするものである。
工程(1)は、生鮮魚原料あるいは凍結魚原料を使用し、生鮮魚原料の場合はそのまま、凍結魚原料の場合は解凍した解凍魚を原料とし、これらの魚原料をフィーレ加工および/または骨取り加工して加工品を調製する工程である。
本発明で使用する魚類としては、サバ、アジ、サンマ、ニシン、ブリ、カジキ、マダラ、スケソウダラ、シロイトダラ、ホキ、メルルーサ、サケ、トラウト、コガネガレイ、カラスガレイ、ヒラメ、アカウオ、キンメダイ、メバル、シルバー、メロ、ホッケ、クロムツ、タイ、イトヨリダイ、アマダイ、ナイルパーチ、タチウオ、サワラ、イサキ、キャットフィッシュ、ティラピア、なども挙げることができる。
原料魚は頭や内臓を除去し、分割される。冷凍品の場合は常法により解凍し、頭、腹肉や内臓を除去し、3枚におろした左右肉2枚を得る。
生鮮魚原料の場合はそのまま使用するが、凍結魚原料の場合は解凍して解凍魚原料として使用する。
工程(2)は、工程(1)で調製した加工品を原料移動装置に載置し、移動する前記加工品に、レーザー光照射装置のスキャナによって、移動方向と交差する方向にスキャンしながら水分吸収性に優れる選択波長のレーザー光をその表皮全面に制御して連続的にスポット照射することによって表皮全面に順次均一に所定の熱エネルギーを供給し、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散する工程である。
原料検出手段15から生鮮魚原料1が所定の位置にきた信号が制御装置16に送られると、制御装置16からレーザー光発生装置12に、予め実験などにより設定された出力のレーザー光を発生するように信号が送られ、制御装置16からスキャナユニット13に予め実験などにより設定されたスキャナの速度で、レーザー光発生装置12から移送されたレーザー光を移動方向と交差する方向にスキャンしながら生鮮魚原料1の表皮全面に制御されて連続的にスポット照射する信号が送られ、制御装置16のタイマー回路に予め実験などにより設定された一定の時間、レーザー・スキャナー動作が、生鮮魚原料1に対して行なわれ、表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚が得られる。
原料検知手段15(検知センサー)に次の生鮮魚原料1の信号が入らない場合はこれで停止の信号が送られるが、次の生鮮魚原料1が、上記動作中に原料検知手段15(検知センサー)で検出された場合は、タイマー時間がリセットされ、再度上記動作が一定時間繰り返される。
レーザー光照射条件の1例:
1.出力:30W
2.選択波長:10.57〜10.63μm
3.照射時間:5〜15秒
4.エネルギー密度:0.036〜0.109W/mm
工程(3)は、製品取出し装置により製品を取り出す工程である。
工程(4)は、必要に応じて冷凍し、真空包装する工程である。
上記実施の形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
以下に記載の%は質量%を示す。
(実施例1)
下記のレーザー光照射装置を用いて、冷凍西洋サバを用いて図7に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(しめサバ)を製造した。
すなわち、原料冷凍西洋サバを塩水に1時間程浸漬して、解凍し、3枚に下ろした後、飽和塩水に2時間浸漬して塩じめし、調味酢に3時間浸漬して酢じめした。
そして、下記のエネルギー密度の測定法に記載の条件で、表皮の蒸散を行なう際に、3試料を用いて、表皮の食感が無くなる最小限処理をした(エネルギー密度0.036W/mm)場合の破断荷重(g)、表皮が破断するまでの破断荷重測定機のプランジャーの浸入距離(mm)、およびジェリー強度(g・cm)を、図6に示した測定法により測定して求めるとともに、焦げる一歩手前の最大限処理をした(エネルギー密0.055W/mm)場合の破断荷重(g)、破断荷重測定機のプランジャーのサバ内部への浸入距離(mm)、およびジェリー強度(g・cm)を同様にして求め、それぞれ平均値および標準偏差を計算し、結果を表1に示した。
なお、ジェリー強度(g・cm)は破断する時の荷重(破断荷重)(g)×破断するまでの浸入距離(cm)である。
図7中の剥皮の欄の記載(表皮を手で剥ぐorレーザー照射)について説明する。
実施例1においては(表皮をレーザー照射)して表皮を蒸散して前記破断荷重(g)、浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)および歩留まり(%)の測定を行い、結果を表1に示したが、表1中の比較のための試料(未処理)については生鮮魚原料そのままで、すなわち表皮がついたまま前記破断荷重(g)、浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)の測定を行い、結果を表1に示した。
そして、実施例1において測定した歩留まりについては、表2に示すとともに、レーザー光照射処理を行わず、表皮を(手で剥いだ)場合の留まりも測定し、その結果を、表2の、処理なし(剥皮)の項に示した。
以上のように(表皮を手で剥ぐorレーザー照射)とは、実施例1ではレーザー照射処理を行い、比較のために(表皮を手で剥ぐ)場合についてもテストしたことを示す。
他の図8〜15についても同様である。
そして、腹骨やピンボーンを抜く骨取りをした後、真空包装し、冷凍庫中で1晩凍結させた。
解凍して、パネリスト10人により食して食味・食感などのテストを行なった結果、食感判定では歯触り、噛んだ時の肉離れ、などが格段に増し、食味にも優れるという好結果を得た。
なお、表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されていることは、試料を目視および顕微鏡観察をすること、およびパネリスト10人により食して食味・食感などの前記テストを行なって、食感、食味、噛んだ時の肉離れなどを判定する際に同時に真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されているかどうかを判定した。
(レーザー光照射装置)
レーザー種 炭酸ガスレーザー (空冷)
使用選択波長 CO 10.64μm
モード種 連続波動作(デューティ可変)
出力 30W (最大値)
光学スキャナ 掃引周波数 100Hz (最大)
スキャン幅 凡そ200mm (最大)
作動距離(レーザー光照射元から魚表面までの距離) 約200mm
照射ビーム径(スポット径) Φ3〜10mm
パワー密度 実射 Φ3mmで 424W/cm (最大値)
Φ5mmで 153W/cm (最大値)
Φ10mmで 38W/cm (最大値)
(エネルギー密度の測定法)
前記レーザー光照射装置(出力:30W)を使用し、
1.照射ビーム径(スポット径):Φ3mm
2.魚の搬送速度:10±Xmm/sec(但し、Xは、表皮の食感が無くなる最小限処理をする場合と、焦げる一歩手前の最大限処理をする場合とでは異なる)
3.レーザー光スキャン幅:5cm
4.レーザー光スキャン速度:スキャン幅5cmを20往復/sec
5.魚表面のレーザー光照射面積:5cm×(10±Xmm/sec)
6.魚が搬送速度10±Xmm/secで移動している間にレーザー光照射面積5cm×(10±Xmm)に照射されたレーザー光のエネルギー密度(W/mm)を算出する。
例えば、前記レーザー光照射装置(出力:30W)を使用し、魚の搬送速度5cm/sec、レーザー光スキャン幅5cm、スキャン速度:スキャン幅5cmを20往復/secであると、エネルギー密度=30W/2500mm=0.012(W/mm)となる。
破断荷重測定機:最大荷重500gの英弘精機株式会社製テキスチャーアナライザーを使用し、プランジャーはKnife Edge Slotted Insert(HDP/BS)を使用して破断荷重(g)、表皮が破断するまでの破断荷重測定機のプランジャーの浸入距離(mm)を測定した。
図6(a)、(b)は、破断荷重測定機を使用して破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)を測定する方法を説明する説明図である。
図6(a)は、試料24を得るためにフィーレ21を切断するための説明図である。図6(a)に示したように、フィレ21の頭側22から5cmの箇所から連続して1cm幅に3枚切り取り試料とした。そして、図6(b)は、試料24を測定する状態を説明する説明図である。図6(b)に示したように、図示しない破断荷重測定機のプランジャー23を測定する試料24の方向に降下させて測定した。測定温度20℃、プランジャー23の下降速度2mm/secの条件で行なった。
なお、破断荷重は破断するに要する力(噛み切る際に必要な力)、プランジャーの浸入距離は破断するまでの(噛み切れるまでの)変形の度合い、ジェリー強度(g・cm)は破断する時の荷重(破断荷重)(g)×破断するまでの浸入距離(cm)であり、歯ごたえの強さと対応するものである。
前記のように、破断荷重(g)、浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)の結果を表1に示し、歩留まりを求めた結果を表2に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表1から実施例1の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.036〜0.055W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表2から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表1から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表2から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
(実施例2)
冷凍西洋サバを用いて図8に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(塩サバ)を製造した以外は実施例1と同様にして破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)、および歩留まりを求めた。
なお、表皮の剥離を手作業で行なった比較のための試料についても同様にして測定した。
それぞれの結果を表3および歩留まりの結果を表4に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表3から実施例2の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.047〜0.055W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表4から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表3から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表4から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
(実施例3)
冷凍西洋サバを用いて図9に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(サバ刺身)を製造した以外は実施例1と同様にして破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)、および歩留まりを求めた。
なお、表皮の剥離を手作業で行なった比較のための試料についても同様にして測定した。
それぞれの結果を表5および歩留まりの結果を表6に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表5から実施例3の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.065〜0.073W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表6から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表5から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表6から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
(実施例4)
国産冷凍サンマを用いて図10に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(しめサンマ)を製造した以外は実施例1と同様にして破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)、および歩留まりを求めた。
なお、表皮の剥離を手作業で行なった比較のための試料についても同様にして測定した。
それぞれの結果を表7および歩留まりの結果を表8に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表7から実施例4の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.036〜0.058W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表8から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表7から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表8から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
(実施例5)
国産冷凍サンマを用いて図11に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(塩サンマ)を製造した以外は実施例1と同様にして破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)、および歩留まりを求めた。
なお、表皮の剥離を手作業で行なった比較のための試料についても同様にして測定した。
それぞれの結果を表9および歩留まりの結果を表10に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表9から実施例5の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.044〜0.058W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表10から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表9から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表10から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
(実施例6)
国産冷凍サンマを用いて図12に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(サンマ刺身)を製造した以外は実施例1と同様にして破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)、および歩留まりを求めた。
なお、表皮の剥離を手作業で行なった比較のための試料についても同様にして測定した。
それぞれの結果を表11および歩留まりの結果を表12に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表11から実施例6の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.055〜0.076W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表12から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表11から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表12から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
(実施例7)
国産生アジを用いて図13に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(しめアジ)を製造した以外は実施例1と同様にして破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)、および歩留まりを求めた。
なお、表皮の剥離を手作業で行なった比較のための試料についても同様にして測定した。
それぞれの結果を表13および歩留まりの結果を表14に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表13から実施例7の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.062〜0.087W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表14から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表13から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表14から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
(実施例8)
国産生アジを用いて図14に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(塩アジ)を製造した以外は実施例1と同様にして破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)、および歩留まりを求めた。
なお、表皮の剥離を手作業で行なった比較のための試料についても同様にして測定した。
それぞれの結果を表15および歩留まりの結果を表16に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表15から実施例8の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.084〜0.087W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表16から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表15から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表16から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
(実施例9)
国産生アジを用いて図15に示した工程で表皮蒸散生鮮魚(アジ刺身)を製造した以外は実施例1と同様にして破断荷重(g)、プランジャーの浸入距離(mm)、ジェリー強度(g・cm)、および歩留まりを求めた。
なお、表皮の剥離を手作業で行なった比較のための試料についても同様にして測定した。
それぞれの結果を表17および歩留まりの結果を表18に示す。
Figure 0005530024
Figure 0005530024
表17から実施例9の表皮蒸散生鮮魚は、エネルギー密度(0.109〜0.109W/mm)で表皮の下部の真皮が損なわれず、表皮のみが蒸散されており、噛み切る際に必要な力および噛み切れるまでの変形の度合い、および歯ごたえが適当であり、生のままでも食することができ、食すると鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れており、しかも表18から歩留まりが高いことが判った。
それに対して比較の試料は、表17から表皮がついたままであるので、表皮を噛み切ることができず、しかも表18から表皮を手で剥いだ比較のための試料については歩留まりが低いことが判った。
本発明の製造方法を用いて、生鮮魚原料あるいは凍結魚原料を使用し、表皮の下部の真皮が損なわれず、前記表皮のみが蒸散されており、生鮮魚原料本来の外観や鮮度や本来の味が維持され食味・食感に優れる、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚を、衛生的に、高歩留まりで、容易に製造できるという、顕著な効果を奏するので産業上の利用価値が高い。
1 生鮮魚原料
2 表皮
3 真皮
4 脂肪層
5 筋肉層
6 包丁
7 容器
8 食用用薬品
9 赤外線ヒーター
10 製造装置
11 原料移動装置
12 レーザー光発生装置
13 スキャナユニット
14 レーザー光
15 原料検出手段
16 制御装置
17 製品取出し装置
18 真空包装装置
19 真空包装された表皮蒸散生鮮魚
20 表皮蒸散生鮮魚
21 フィーレ
22 頭側
23 プランジャー
24 試料

Claims (4)

  1. 表皮の下部の真皮が損なわれず、前記表皮のみが蒸散されており、生のままでも食することができる表皮蒸散生鮮魚の製造方法であって、下記工程(1)〜(4)を少なくとも含むことを特徴とする表皮蒸散生鮮魚の製造方法。
    (1)生鮮魚原料あるいは凍結魚原料を使用し、生鮮魚原料の場合はそのまま、凍結魚原料の場合は解凍した解凍魚を原料とし、これらの魚原料をフィーレ加工および/または骨取り加工して加工品を調製する工程。
    (2)工程(1)で調製した加工品を原料移動装置に載置し、移動する前記加工品に、レーザー光照射装置のスキャナによって、移動方向と交差する方向にスキャンしながら水分吸収性に優れる選択波長のレーザー光をその表皮全面に制御して連続的にスポット照射することによって表皮全面に順次均一に所定の熱エネルギーを供給し、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散する工程。
    (3)工程(2)で前記表皮のみを蒸散した製品を製品取出し装置により取り出す工程。
    (4)取り出した製品を必要に応じて冷凍し、真空包装する工程。
  2. 前記工程(2)において、表皮の食感が無くなる最小限の熱エネルギーを供給して処理するか、あるいは焦げる一歩手前の最大限の熱エネルギーを供給して処理するか、あるいは前記最小限の熱エネルギーを超え前記最大限の熱エネルギー未満の範囲の熱エネルギーを供給して、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散することを特徴とする請求項1記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法。
  3. 前記工程(2)において、エネルギー密度が0.036〜0.109(W/mm)の範囲の熱エネルギーを供給して、前記表皮の下部の真皮を損なわずに、前記表皮のみを蒸散することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法。
  4. 前記選択波長のレーザー光が、波長3〜15μmのレーザー光であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表皮蒸散生鮮魚の製造方法。
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