JP5528862B2 - リアクトル接地配電系統の後備地絡保護装置 - Google Patents

リアクトル接地配電系統の後備地絡保護装置 Download PDF

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Description

本発明は、リアクトル接地配電系統の地絡保護装置に関する。
6.6kV等の配電系統の多くでは、従来から中性点接地方式として非接地方式が採用されている。当該非接地方式では、地絡保護システムとして、接地変圧器(又は接地形計器用変圧器、Earthed Voltage Transformer:略称EVT)によって検出される零相電圧と、零相変流器(Zero-phase-sequence Current Transformer:略称ZCT)からの零相電流とで地絡方向を判定して動作する地絡方向継電器(Directional Ground Relay:略称DGR)が用いられる。
ところで、都市部では、景観の改善や災害時の安全面等に配慮して、架空電線路が地中化される範囲が拡大される傾向にある。地中電線路は、架空電線路と比較すると、対地静電容量が数10倍程度大きく、充電電流は大きな値となる。この充電電流の増大により地絡事故時に事故点に流れる地絡電流が大きくなると、公衆の感電事故防止として関係法令に規定されているB種接地抵抗を規制値以下に確保する接地工事が困難になる。
この対策として、補償リアクトル(Neutral Grounding Reactor:略称NGL)を設置して地絡電流を低減させ、B種接地抵抗の規制値を大きくすることができる補償リアクトル接地方式が採用されることがある(以下に示す特許文献1を参照)。また、補償リアクトルを設置する方式としては、各電線路に分散して設置する分散リアクトル接地方式と、変電所内の母線に一括して設置する集中リアクトル接地方式とがある。
しかし、これらのリアクトル接地方式は、配電系統が負荷の増加に伴う線路強化、あるいは負荷シフト等により系統構成が時々変化することが原因で、地絡保護継電器の誤不動作が発生し易く採用が難しい状況にある。
特開2005−77316号公報
リアクトル接地方式の場合、補償リアクトルの補償容量は配電系統の対地静電容量に応じて適正な値に設定する。しかしながら、配電系統は負荷の増減に応じた線路増強、あるいは負荷シフト等のため、系統構成が時々変化することがある。このため、過補償あるいは不足補償になる状態が発生すると、変電所や電線路に設置された地絡方向継電器が適正感度で動作せず、動作すべきときに動作しない誤不動作による事故電線路の遮断不能が生じる虞があった。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、主保護システムとして用いられる地絡方向継電器の誤不動作を検出し、地絡方向継電器が動作すべき電線路の遮断器を正しく遮断させることができる、後備保護として機能する地絡保護装置を提供することである。
上記課題を解決するための主たる本発明は、複数の地絡方向継電器から出力される遮断信号に応じてそれぞれ遮断される複数の遮断器を介して、複数の電線路がそれぞれ変電所変圧器の二次側母線に接続された電力系統における後備地絡保護装置であって、一端が大地に接続され、前記複数の電線路のいずれかで地絡事故が発生した場合の地絡電流が流れる補償リアクトルを、前記電力系統から解列又は前記電力系統へ投入するスイッチと、前記スイッチの開閉を制御するとともに、前記複数の遮断器の遮断又は投入を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記二次側母線の零相電圧に基づいて前記地絡事故が発生したと判定した場合に、前記複数の地絡方向継電器の動作状況に応じて前記複数の地絡方向継電器がいずれも動作しない誤不動作であるか否かを判定し、前記誤不動作であると判定したときには、前記補償リアクトルを前記電力系統から解列することによる前記複数の電線路のそれぞれの零相電流の変化に基づいて前記複数の電線路のうち前記地絡事故が発生した事故電線路を特定しつつ、前記複数の遮断器のうち前記事故電線路の遮断器を遮断させることを特徴とする。

その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
本発明によれば、充電電流の増大により、B種接地抵抗値を規制値以下に確保することが困難になった非接地配電系統を、確実に地絡保護ができるリアクトル接地配電系統にすることで、B種接地抵抗値を確保し、公衆の感電事故を防ぐための安全性の向上を図るとともに地絡保護を確実に行うことができる。
本発明の実施の形態に係る後備地絡保護装置を備えたリアクトル接地配電系統の全体構成を示した図である。 図1に示したリアクトル接地配電系統の単線図において1線地絡事故が発生した場合の地絡電流の流れを示した図である。 図2に示した1線地絡事故の事例において地絡方向継電器DGR1が誤不動作となる場合のベクトル線図の一例である。 本発明の実施の形態に係る後備地絡保護装置の制御部が地絡方向継電器の誤不動作を検出する場合の処理の流れを説明するためのフローチャートである。 図3に示したベクトル線図の状態から補償リアクトルを解列した場合のベクトル線図である。
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
<<<リアクトル接地配電系統の全体構成>>>
図1は、本発明の実施の形態に係る後備地絡保護装置を備えたリアクトル接地配電系統の全体構成を示した図である。当該電力系統は、例えば6.6kV等の配電系統であり、中性点接地方式として補償リアクトル接地方式が採用され、特に、補償リアクトルが変電所内の母線に一括して設置される、集中リアクトル接地方式が採用されている。尚、以下では、角括弧[]で囲まれた記号はベクトル量を表している。
図1において、配電用変電所の構内にある変電所変圧器10は、例えばY−Y−Δ結線方式が採用され、3相(a相、b相、c相)の一次側母線2と3相(a相、b相、c相)の二次側母線4との間に設けられている。つまり、変電所変圧器10の一次側のY巻線12の各接続端子には一次側母線2の各相が接続され、変電所変圧器10の二次側のY巻線14には二次側母線4が接続される。尚、変電所変圧器10は、Y−Y−Δ結線に限定されず、例えばY−Y結線、Y−Δ結線であってもよい。
二次側母線4には、地絡事故時に発生する零相電圧V0を検出する接地変圧器EVTが接続される。接地変圧器EVTの一次側のY巻線42の各接続端子には二次側母線4の各相が接続される。尚、一次側のY巻線42の中性点は直接接地される。接地変圧器EVTの二次側のオープンデルタ44の開放端には、二次側母線4の各相電圧ベクトル[Ea]、[Eb]、[Ec]の和“[Ea]+[Eb]+[Ec]”が現れる。接地変圧器EVTは、この電圧ベクトル“[Ea]+[Eb]+[Ec]”を零相電圧ベクトル[V0]として検出する。
地絡事故の発生しない健全な電線路の場合、各相の電圧ベクトルは理想的には120°ずつ位相がずれた同じ大きさのベクトルとなるため、それらのベクトル和はゼロベクトル[0]となる。一方、地絡事故の発生した事故電線路の場合、各相の電圧ベクトルの対称性が崩れるため、ゼロベクトル[0]とはならない。従って、接地変圧器EVTにより検出される零相電圧ベクトル[V0]が所定の閾値(整定値)以上であるか否かを判定することにより、地絡事故の発生を検出することが可能となる。
接地変圧器EVTのオープンデルタ44側には、地絡過電圧継電器OVGR(Ground Over Voltage Relay)が接続される。地絡過電圧継電器OVGRは、接地変圧器EVTにより検出された零相電圧ベクトル[V0]が所定の閾値(整定値)以上となる場合に動作し、遮断器CB1〜CB3を対象として遮断信号TR0を出力する。しかしながら、地絡過電圧継電器OVGR単体では、地絡事故の発生した事故電線路を特定することができないため、後述の地絡方向継電器DGR1〜DGR3等との組み合わせで用いられる。
二次側母線4の負荷側には、各負荷に配電する複数の電線路(フィーダ)が遮断器CB1〜CB3を介して接続される。同図に示す場合、3本の電線路L1〜L3が遮断器CB1〜CB3を介して二次側母線4と接続される例を示している。
電線路L1〜L3は、負荷に至る経路の途中で地中にケーブルを施設する地中化が図られている。このため、電線路L1〜L3の各相には大きな対地静電容量が存在する。例えば、電線路L1では、a相には対地静電容量C1aが存在し、b相には対地静電容量C1bが存在し、c相には対地静電容量C1cが存在している。尚、電線路L1の3相分を合成した合成対地静電容量C1は、各相の対地静電容量の和“C1a+C1b+C1c”により表すことができる。電線路L2、L3の合成対地静電容量C2、C3についても、電線路L1の合成対地静電容量C1と同様に、“C2a+C2b+C2c”、“C3a+C3b+C3c”により表すことができる。
遮断器CB1〜CB3の負荷側の電線路L1〜L3には、零相変流器ZCT1〜ZCT3が設けられる。零相変流器ZCT1〜ZCT3は、電線路L1〜L3の各相に流れる電流をベクトル合成した電流を、電線路L1〜L3の零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]として、2次側巻線より取り出すことができる。尚、零相変流器ZCT1〜ZCT3は、二次側母線4から負荷に向かう方向を正方向として、零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]を検出する。電線路L1の零相電流ベクトル[I01]は、a相電流ベクトル[Ia1]、b相電流ベクトル[Ib1]、c相電流ベクトル[Ic1]の和“[Ia1]+[Ib1]+[Ic1]”により表すことができる。電線路L2、L3の零相電流ベクトル[I02]、[I03]についても、電線路L1の零相電流ベクトル[I01]と同様に、“[Ia2]+[Ib2]+[Ic2]”、“[Ia3]+[Ib3]+[Ic3]”により表すことができる。
地絡事故の発生しない健全な電線路の場合、各相の電流ベクトルは理想的には120°ずつ位相がずれた同じ大きさのベクトルとなるため、それらをベクトル合成した結果はゼロベクトル[0]となる。一方、地絡事故の発生した場合、各相の電流ベクトルの対称性が崩れるため、ゼロベクトル[0]とはならない。従って、零相変流器ZCT1〜ZCT3により検出される零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]が整定値以上であるか否かを判定することで、地絡事故の発生を検出することができる。かかる地絡事故の判定を行うために、地絡電流の大きさのみならずその方向を判定可能な地絡方向継電器DGRが採用される。
地絡方向継電器DGR1〜DGR3は、零相変流器ZCT1〜ZCT3の二次側に設けられ、接地変圧器EVTにより検出された零相電圧ベクトル[V0]と、零相変流器ZCT1〜ZCT3により検出された零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]と、が入力される。そして、地絡方向継電器DGR1〜DGR3は、零相電圧ベクトル[V0]並びに零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]の大きさが所定の閾値(整定値)以上であり、且つ零相電圧ベクトル[V0]の位相を基準とした零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]の位相が所定の整定値範囲内である場合に動作する。この動作の結果、地絡方向継電器DGR1〜DGR3は、それぞれの制御対象である遮断器CB1〜CB3に向けて遮断信号TR1〜TR3を出力する。
ANDリレー50a〜50cは、地絡方向継電器DGR1〜DGR3から出力される遮断信号TR1〜TR3と、地絡過電圧継電器OVGRより出力される遮断信号TR0と、の論理積をそれぞれ演算し、遮断器CB1〜CB3に向けて出力する。遮断器CB1〜CB3は、ANDリレー50a〜50cの出力が、地絡方向継電器DGR1〜DGR3が動作し且つ地絡過電圧継電器OVGRが動作したことを示すHighレベルの場合に遮断される。
さらに、二次側母線4には、Y巻線22及びオープンデルタ24により構成される変圧器が接続される。当該変圧器の一次側のY巻線22の各接続端子には二次側母線4の各相が接続され、中性点は直接接地されている。また、二次側のオープンデルタ24の一方の開放端は直接接地され、他方の開放端には、スイッチ26及び一端が接地された補償リアクトル28の直列回路が接続されている。尚、当該変圧器は、地絡事故時に補償リアクトル28に流れ込む地絡電流に対して、十分な容量(例えば50kVA)を有している。そして、スイッチ26は、制御部100から出力される切替信号CLによって制御される。
補償リアクトル28は、NGLと略称される油絶縁形等のリアクトルであって、地絡電流の低減化を図る目的で設けられる。
スイッチ26は、半導体スイッチや負荷開閉器等を採用することができ、制御部100からの切替信号CLによって開閉する。尚、スイッチ26の具体的な開閉手順の内容については、後述のフローチャートを用いて説明するため、ここでは説明を省略する。
制御部100は、CPU101、メモリ102、スイッチ26の開閉用の電磁リレー及び電磁タイマ(不図示)、アナログデジタル変換器(不図示)を少なくとも具備したデジタル保護継電器として機能する。また、デジタル保護継電器の態様に限定されず、上記の機能全てを電磁リレーや電磁タイマによるシーケンス回路で構成したアナログ保護継電器として実現してもよいが、以下ではデジタル保護継電器による構成を前提に説明する。
補償リアクトル28は、スイッチ26を介して当該電力系統に投入されることによって、1線地絡事故の際に地絡電流中の充電電流を低減する機能(以下、電流低減機能と呼ぶ。)を有する。さらに、地絡方向継電器DGR1〜DGR3が当該電力系統の主保護システムとして用いられているのに対して、後備地絡保護装置20の制御部100は、1線地絡事故が発生しているにも関わらず事故電線路に設けられた地絡方向継電器の誤不動作による当該事故電線路の遮断不能を防止する機能を具備しており、制御部100は、全体として後備地絡保護として機能する。
本実施形態において、制御部100は、上記の電流低減機能並びに上記の後備地絡保護機能を、メモリ102に格納されたプログラムをCPU101が実行することで実現する。尚、スイッチ26を実際に開閉する場合には、上記のとおりスイッチ26の開閉用の電磁リレーや電磁タイマが作動することで行われる。
制御部100は、各電線路L1〜L3に設けられる零相変流器ZCT1〜ZCT3により検出された零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]と、接地変圧器EVTにより検出された零相電圧ベクトル[V0]と、地絡過電圧継電器OVGRから出力される遮断信号TR0と、地絡方向継電器DGR1〜DGR3から出力される遮断信号TR1〜TR3と、が入力される。制御部100は、電流低減機能及び後備地絡保護機能を実現すべく、これらの入力に基づいて、スイッチ26に対して後述の開閉手順に従った切替信号CLを出力するとともに、地絡方向継電器DGR1〜DGR3の誤不動作を検出する。そして、制御部100は、地絡方向継電器DGR1〜DGR3の誤不動作を検出した場合には、地絡方向継電器が動作すべき電線路の遮断器を正しく遮断させるべく、遮断器CB1〜CB3に対して、遮断信号TR0、TR1〜TR3より優先的な制御信号CN1〜CN3を出力する。
<<<後備地絡保護装置の動作>>>
===1線地絡事故の事例===
図2は、図1に複線図として示したリアクトル接地配電系統を単線図として示し、且つ電線路L1に1線地絡事故が発生した場合の地絡電流の流れを示した図である。
同図に示す電線路L1の地絡事故点O(例えば、c相)に1線地絡事故が発生した場合、地絡事故点Oより大地に向けて地絡電流Igが流れる。地絡電流Igは、大地を経由して電線路L1、L2、L3の対地静電容量C1、C2、C3、接地変圧器EVTのY巻線42の中性点、補償リアクトル28の接地変圧器のY巻線22の中性点に流れ込む。
地絡電流Igのうち電線路L1の対地静電容量C1に流れ込んだ地絡電流IC1は、地絡点Oに向かって流れる。地絡電流Igのうち電線路L2の対地静電容量C2に流れ込んだ地絡電流I02は、図1に示した充電電流IC2とは逆向き(180°位相が異なる)、つまり変電所の二次側母線4に向かう流れとなる。そして、地絡電流I02は、零相変流器ZCT2を通過するため、零相変流器ZCT2によって零相電流ベクトル−[I02]として検出される。尚、マイナス極性として検出される理由は、零相変流器ZCT1〜ZCT3は、二次側母線4から負荷に向かう方向を正方向としているからである。零相電流ベクトル−[I02]は、零相電圧ベクトル[V0]を基準として略90°位相が進む。
地絡電流Igのうち電線路L3の対地静電容量C3に流れ込んだ地絡電流I03は、図1に示した充電電流IC3とは逆向き(180°位相が異なる)、つまり変電所の二次側母線4に向かう流れとなる。地絡電流I03もまた、零相変流器ZCT3を通過するため、零相電流ベクトル−[I02]と同様に、零相変流器ZCT3によって零相電流ベクトル−[I03]として検出される。零相電流ベクトル−[I03]は、零相電圧ベクトル[V0]を基準として略90°位相が進む。
地絡電流Igのうち接地変圧器EVTのY巻線42の中性点に流れ込んだ地絡電流Inは、Y巻線42を介して二次側母線4に流れ込む。尚、地絡電流ベクトル[In]は、零相電圧検出のため、オープンデルタに接続された制限抵抗46のため、零相電圧ベクトル[V0]を基準として略同相となる。
地絡電流Igのうち補償リアクトル28の接地変圧器のY巻線22の中性点に流れ込んだ地絡電流は、電流ILとして二次側母線4に流れ込む。尚、当該変圧器の角変位が十分に小さいものとすると、地絡電流ベクトル[IL]は、補償リアクトル28の誘導性によって零相電圧ベクトル[V0]を基準として略90°位相が遅れる。
以上のように、二次側母線4に流れ込んだ地絡電流I02、I03、In、ILは、変電所変圧器10の二次巻線14を経由して電線路L1の地絡事故点Oに向かって流れる地絡電流I01となり、零相変流器ZCT1を通過する。電線路L1を流れる地絡電流I01は、地絡事故点Oより大地に向けて流れる地絡電流Igとなるため、次式が成立することになる。
[Ig]=[I01]+[IC1]
[I01]=−[I02]−[I03]+[In]+[IL] ・・・式(1)
尚、零相変流器ZCT1は、地絡電流I01を地絡電流ベクトル[I01]として検出する。地絡方向継電器DGR1は、零相変流器ZCT1により検出された地絡電流ベクトル[I01]と、接地変圧器EVTにより検出された零相電圧ベクトル[V0]と、に基づいて、零相電圧ベクトル[V0]並びに零相電流ベクトル[I01]の大きさが所定の閾値以上であり、且つ零相電流ベクトル[I01]の位相が所定の位相範囲内である場合に、遮断器CB1を遮断させる遮断信号TR1を出力する。
ところで、制御部100は、上記のとおり、後備地絡保護機能として、地絡方向継電器DGR1〜DGR3の誤不動作を検出する機能を具備している。このため、制御部100は、零相電圧ベクトル[V0]により、1線地絡事故が生じたか否かを判定した結果と、遮断信号TR0、TR1〜TR3により、電線路L1〜L3にそれぞれ配置された遮断器CB1〜CB3の状態(遮断されているか否か)を判別した結果と、を照合することになる。
例えば、電線路L1〜L3のいずれかで1線地絡事故が生じたことを判定したにも関わらず、遮断器CB1〜CB3がいずれも投入状態となっていることを判別した場合、制御部100は、地絡方向継電器DGR1〜DGR3のいずれかが誤って動作しなかったこと(誤不動作)を検出する。
===地絡方向継電器の誤不動作の検出1===
ここで、図2に示した1線地絡事故の事例において、地絡方向継電器DGR1が誤不動作となる場合のベクトル線図の一例を図3に示す。
図3に示すベクトル線図の円では、図面中心から図面右水平方向に向かう零相電圧ベクトル[V0]を基準として、反時計廻りの方向が位相進み方向を表しており、時計廻りの方向が位相遅れ方向を表している。また、位相遅れθa°から位相進みθb°までの範囲が、地絡方向継電器DGR1を動作させる零相電流ベクトル[I01]の位相の範囲を表している。また、円周の位相点θaから位相点θbまでを結ぶ直線は、地絡方向継電器DGR1の動作線Mを表しており、地絡方向継電器DGR1を動作させる零相電流ベクトル[I01]の大きさを考慮に入れている。
従って、動作線Mと円弧によって囲まれる動作線Mの斜線側の領域が、地絡方向継電器DGR1を動作させる動作領域を表しており、動作線Mと円弧によって囲まれる動作線Mの斜線とは反対側の領域が、地絡方向継電器DGR1を動作させない不動作領域を表している。
電線路L1に流れる地絡電流ベクトル[I01]は、他の電線路L2、L3に流れる地絡電流ベクトル−[I02]、−[I03]、補償リアクトル28を流れる地絡電流ベクトル[IL]のベクトル和として表すことができる。尚、接地変圧器EVTのY巻線42の中性点に流れ込む地絡電流ベクトル[In]は、他の地絡電流ベクトルに対して十分に小さいものとし、説明の簡略化のためにここでは考慮に入れていない。
図3において、式(1)により求められた地絡電流ベクトル[I01]は、ベクトル線図の円内の不動作領域に含まれているため、地絡方向継電器DGR1は、1線地絡事故が発生しているにも関わらず停止状態、すなわち、誤不動作となっており、事故電線路L1は、遮断器CB1によって正しく遮断されない。
本実施形態では、制御部100が、1線地絡事故電線路における地絡方向継電器の誤不動作を検出し、さらに、当該事故電線路を特定し、そして、特定された事故電線路の遮断器を遮断させることによって、前述した後備地絡保護機能を実現している。
図4は、制御部100が1線地絡事故電線路における地絡方向継電器の誤不動作を検出する場合の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
まず、制御部100から閉操作を指示する切替信号CLによって、スイッチ26は、開始時において閉状態である(S300)。つまり、補償リアクトル28が、スイッチ26を介して電力系統に投入された状態となっている。
制御部100は、以上の状態で、零相変流器ZCT1〜ZCT3により検出される零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]、接地変圧器EVTにより検出される零相電圧ベクトル[V0]、地絡過電圧継電器OVGRより出力される遮断信号TR0、地絡方向継電器DGR1〜DGR3から出力される遮断信号TR1〜TR3を常時監視している。
制御部100は、零相電圧ベクトル[V0]により、1線地絡事故が生じたか否かを判定することができる。例えば、本実施形態では、当該零相電圧ベクトルが整定値未満であるか否かを判定し(S301)、整定値未満である場合(S301:YES)には、電線路L1〜L3全てに1線地絡事故が発生していないことを判定し、S301のステップを繰り返し行う。
一方、上記零相電圧ベクトルが整定値以上の場合(S301:NO)には、電線路L1〜L3のいずれかで1線地絡事故が生じたことを判定し、S302のステップに移行する。
次に、制御部100は、遮断信号TR0、TR1〜TR3により、電線路L1〜L3にそれぞれ配置された遮断器CB1〜CB3の状態を判別し、当該遮断器CB1〜CB3の状態によって、地絡方向継電器DGR1〜DGR3の誤不動作を検出する(S302)。
前述したように、S301のステップにおいて、電線路L1〜L3のいずれかで1線地絡事故が生じたことを判定しているため、遮断器CB1〜CB3のうちのいずれか1つのみが遮断状態となっている場合(S302:=1)には、地絡方向継電器DGR1〜DGR3はいずれも正動作又は正不動作となっており、誤不動作は検出されない。この場合、遮断器CB1〜CB3のいずれかによって、事故電線路(図2の事例においてはL1)のみが正しく遮断されているため、制御部100によって遮断器CB1〜CB3を制御する必要はない(S330)。
一方、遮断器CB1〜CB3がいずれも投入状態となっている場合、すなわち、いずれも遮断状態となっていない場合(S302:=0)には、地絡方向継電器DGR1〜DGR3のいずれかが誤不動作となっており、S311aのステップに移行して誤不動作時の処理を行う。
次に、制御部100は、スイッチ26に対して開操作を指示する切替信号CLを出力する(S311a)。この結果、電力系統は、補償リアクトル28が解列された状態となり、式(1)により求められる地絡電流ベクトル[I01]のうち、補償リアクトル28を流れる地絡電流ベクトル[IL]の成分がなくなるため、図3に示したベクトル線図は、図5のように変化する。
次に、制御部100は、補償リアクトル28が解列される前後の零相電流ベクトル[I01]、[I02]、[I03]の変化に基づいて、事故電線路を特定する(S312a)。前述したように、地絡電流ベクトル[IL]は、零相電圧ベクトル[V0]を基準として略90°位相が遅れているため、補償リアクトル28が解列されることによって、零相電流ベクトル[I01]は、零相電圧ベクトル[V0]を基準として略90°位相が進んでいる電流成分が増加する。従って、制御部100は、零相電流I01、I02、I03のうち、補償リアクトル28が解列されることによって進み無効電流成分が増加した零相電流に対応する電線路を、事故電線路として特定することができる。例えば図2の事例においては、図3及び図5に示したように、零相電流I01は、補償リアクトル28が解列されることによって進み無効電流成分が増加するが、零相電流I02、I03は、ほとんど変化しないため、制御部100は、電線路L1を事故電線路として特定することができる。
次に、制御部100は、事故電線路として特定された電線路に配置されている遮断器に対して、当該遮断器を遮断させるための制御信号(遮断制御信号)を出力する(S313a)。例えば図2の事例においては、制御部100は、事故電線路として特定された電線路L1に配置されている遮断器CB1に対して、当該遮断器CB1を遮断させるための遮断制御信号CN1を出力する。
最後に、制御部100は、スイッチ26に対して閉操作を指示する切替信号CLを出力することで補償リアクトル28を電力系統に再投入し(S314a)、誤不動作時の処理を終了する(S330)。
このようにして、制御部100は、1線地絡事故電線路における地絡方向継電器の誤不動作を検出した場合に、補償リアクトル28を電力系統から解列することによって、当該解列前後の零相電流の変化に基づいて事故電線路を特定することができ、さらに、当該事故電線路の遮断器を遮断させることができる。以上のように、制御部100は、主保護システムとして用いられる地絡方向継電器の誤不動作時に、後備地絡保護として機能する。
以上、リアクトル接地配電系統が系統変更されて、補償リアクトル28の補償容量が過補償あるいは不足補償の状態になり、主保護システムとして用いられる地絡方向継電器DGR1〜DGR3が誤不動作となった場合でも、事故電線路の遮断器を正しく遮断させることができる。この結果、電力系統の地絡保護の精度の向上化を図ることができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、上記の実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
2 一次側母線
4 二次側母線
10 変電所変圧器
12、14 Y巻線
20 後備地絡保護装置
22 Y巻線
24 オープンデルタ
26 スイッチ
28 補償リアクトル
42 Y巻線
44 オープンデルタ
46 制限抵抗
50a〜50c ANDリレー
100 制御部
101 CPU
102 メモリ
L1〜L3 電線路
CB1〜CB3 遮断器
ZCT1〜ZCT3 零相変流器
DGR1〜DGR3 地絡方向継電器
EVT 接地変圧器
OVGR 地絡過電圧継電器

Claims (3)

  1. 複数の地絡方向継電器から出力される遮断信号に応じてそれぞれ遮断される複数の遮断器を介して、複数の電線路がそれぞれ変電所変圧器の二次側母線に接続された電力系統における後備地絡保護装置であって、
    一端が大地に接続され、前記複数の電線路のいずれかで地絡事故が発生した場合の地絡電流が流れる補償リアクトルを、前記電力系統から解列又は前記電力系統へ投入するスイッチと、
    前記スイッチの開閉を制御するとともに、前記複数の遮断器の遮断又は投入を制御する制御部と、
    を有し、
    前記制御部は、前記二次側母線の零相電圧に基づいて前記地絡事故が発生したと判定した場合に、前記複数の地絡方向継電器の動作状況に応じて前記複数の地絡方向継電器がいずれも動作しない誤不動作であるか否かを判定し、前記誤不動作であると判定したときには、前記補償リアクトルを前記電力系統から解列することによる前記複数の電線路のそれぞれの零相電流の変化に基づいて前記複数の電線路のうち前記地絡事故が発生した事故電線路を特定しつつ、前記複数の遮断器のうち前記事故電線路の遮断器を遮断させることを特徴とするリアクトル接地配電系統の後備地絡保護装置。
  2. 前記制御部は、前記誤不動作を検出した場合に、前記補償リアクトルを前記電力系統から解列することによって前記零相電流の進み無効電流成分が増加した電線路を前記事故電線路として特定することを特徴とする請求項1に記載のリアクトル接地配電系統の後備地絡保護装置。
  3. 前記制御部は、前記地絡事故が発生したと判定し、且つ前記複数の遮断器がいずれも遮断されていない場合に、前記複数の地絡方向継電器のいずれかの誤不動作を検出しつつ、前記複数の遮断器のうち前記事故電線路の遮断器を遮断させることを特徴とする請求項2に記載のリアクトル接地配電系統の後備地絡保護装置。
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