JPH0759250A - 補償リアクトル転送遮断装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、故障相遮断の後の健全相遮断を行
うときに補償リアクトルによる直流分電流を速やかに除
去し、確実に健全相遮断ができる補償リアクトル転送遮
断装置を提供することを目的とする。 【構成】 本発明の補償リアクトル転送遮断装置は、故
障相遮断後の再閉路失敗時間後に補償リアクトルを設置
する変電所に転送遮断信号（再閉路失敗信号）を送信す
る手段と、この転送遮断信号に基づいて補償リアクトル
を解列させる解列手段とを備える。また、再閉路失敗後
の健全相遮断を一定時間引き延ばす限時手段を備える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、架空送電線と地下ケー
ブル送電線とを連係した電力系整において、地下ケーブ
ル送電線に接続される補償リアクトルを系統故障時に解
列させる補償リアクトル転送遮断装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、基幹系統において、都市部の送電
ルートを地下ケーブル送電線とし、その外郭部の送電ル
ートを架空送電線とする電力系統の構成が増加しつつあ
る。架空送電線と地下ケーブル送電線とを連係して構成
される電力系統においては、地下ケーブルの静電容量を
補償するために、ケーブル静電容量に相当する補償リア
クトル（以下、ＳＨＲという。）が設置され、接続され
ている。また、近年のこの地下ケーブルの恒長増加に伴
い、益々大容量のＳＨＲが必要となっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この架
空送電線と地下ケーブル送電線とを連係した電力系統に
おいて、送電線路に短絡故障あるいは地絡故障が発生し
た場合は、線路電圧が変動しＳＨＲに励磁突入電流が流
れる。そして、この励磁突入電流中の交流分の一部はケ
ーブル充電電流により打ち消されるが、合成電流として
直流分（零点推移電流）が残ることになる。この直流分
は、遮断器にて一旦遮断しても、急激な極間電圧上昇に
より再点弧するため、数アンペアの直流電流でも開放で
きない場合が生じてしまう。これは架空送電線の故障
時、故障相遮断後の健全相遮断を行うとき、つまり故障
相のみ遮断する単相遮断方式のとき著しく生じる現象で
ある。

【０００４】次に、この故障相遮断後の健全相の遮断に
ついて、図３を用いて説明する。図３において、地上変
電所Ａと地下変電所Ｂ１とはそれぞれしゃ断器を介して
３相の架空送電線Ｊ、Ｋ、Ｌで連系され、地下変電所Ｂ
１と地下変電所Ｂ２とはそれぞれしゃ断器を介して３相
の地下ケーブル送電線Ｐ，Ｑ，Ｒで連系されている。そ
して、地下変電所Ｂ１においては、３相の地下ケーブル
送電線それぞれにＳＨＲが接続されている。

【０００５】このような電力系統構成において、架空送
電線ＬのＭ地点に一線地絡故障が発生したとする。単相
遮断方式により、この故障検出によって故障相しゃ断器
ＧおよびＨが瞬時遮断し、その後再閉路装置（図示せ
ず）が起動する。ここで、再閉路が成功すればそのまま
運転継続となるが、一方再閉路失敗あるいは不成立のと
きは、送電線解列事故への移行あるいは移行防止のた
め、健全相の架空送電線ＪおよびＫのしゃ断器Ｃ，Ｄお
よびＥ，Ｆを遮断しなければならない。

【０００６】しかしながら、前述したとおり、再閉路失
敗あるいは不成立時には健全相の架空送電線Ｊ，Ｋに直
流分電流が流れることになり（負荷電流がＳＨＲ電流以
下となる場合、直流分電流のみとなる。）、しゃ断器
Ｃ，ＤおよびＥ，Ｆを遮断（開放）できなくなることが
生じてしまうことがあった。また、経験的にこの直流分
電流（零点推移電流）は２〜10秒連続するので、この直
流分電流の自然的消滅後に遮断しようとすると、遮断ま
でに多くの時間が掛かってしまう。

【０００７】よって、本発明は上記課題を解決するため
になされたものであり、故障相遮断の後の健全相遮断を
行うときに補償リアクトルによる直流分電流を速やかに
除去し、確実に健全相遮断ができる補償リアクトル転送
遮断装置を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の補償リアクトル
転送遮断装置は、故障相遮断後の再閉路が失敗したとき
に補償リアクトルを設置する変電所に転送遮断信号（再
閉路失敗信号）を送信する手段と、この転送遮断信号に
基づいて補償リアクトルを解列させる解列手段とを備え
る。また、再閉路失敗後の健全相遮断を一定時間引き延
ばす限時手段を備える。

【０００９】

【作用】架空送電線の線路故障発生時、まず故障相を遮
断し、その後健全相を遮断するような場合において、健
全相を遮断する前に地下ケーブルに接続されている補償
リアクトルを解列させ、直流分電流を除去する。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。図１は本発明の補償リアクトル転送遮断装置の適
用系統図である。電力系統構成は図３と同様である。地
上変電所に架空送電線９の線路故障を検出する線路故障
検出継電器13と、再閉路失敗後に地下変電所に転送遮断
信号を送信する転送手段と、再閉路失敗後の所定時間を
計時する限時手段（あるいは後記の健全相遮断手段の遮
断指令を所定時間引き延ばす限時手段）と、再閉路失敗
後に健全相のしゃ断器を遮断させる健全相遮断手段とを
備える補償リアクトル転送遮断装置１を設ける。

【００１１】また、地下変電所に自端の故障を検出する
故障検出継電器14と、地上変電所からの転送遮断信号を
受信しこの転送遮断信号および故障検出継電器14の出力
がともに成立したとき補償リアクトルを解列させる解列
手段とを備える補償リアクトル転送遮断装置２を設け
る。

【００１２】以上の構成により、架空送電線９に一線地
絡故障が発生すると、まず地上変電所の線路故障検出継
電器13が動作し、故障相のしゃ断器３を開放する。その
後、再閉路装置（図示せず）が起動し、再閉路成功すれ
ばそのまま運転継続となるが、再閉路失敗時には健全相
（残相）遮断の処理に移行する。

【００１３】健全相（残相）遮断の処理として、補償リ
アクトル転送遮断装置１においては、まず転送手段が地
下変電所の補償リアクトル転送遮断装置２に信号伝送路
15を介して転送遮断信号を送信する。そして、補償リア
クトル転送遮断装置２においては、この転送遮断信号に
基づいて、つまり解列手段がこの転送遮断信号と自端の
故障検出継電器14の出力がともに成立することを条件に
補償リアクトル８のしゃ断器７に遮断指令12を出力し補
償リアクトルを解列させる。これにより、補償リアクト
ルが地下ケーブルから解列されれば、直流分電流が消滅
し、架空送電線の健全相しゃ断が可能となる。

【００１４】次に、補償リアクトル転送遮断装置１の限
時手段は、補償リアクトルが解列され健全相しゃ断が可
能となる所定時間（例えば約100 ミリ秒）、再閉路失敗
後をカウントし（あるいは健全相遮断手段からの遮断指
令を引き延ばし）、その後健全相遮断手段からの遮断指
令により健全相のしゃ断器が開放される。

【００１５】図２は、本発明の補償リアクトル転送遮断
装置の動作を示すシーケンスブロック図である。以上の
ように、送電線路に短絡あるいは地絡故障が発生した場
合の故障相遮断後の健全相遮断に際し、事前に補償リア
クトルを転送遮断し、直流分電流消滅時間を積極的に短
縮させるので、短時間かつ確実に健全相遮断を行うこと
ができる。これにより、しゃ断器を始めとする線路機器
の保護、および線路遮断器の系統復帰時間が大幅に短縮
できる。

【００１６】

【発明の効果】よって、本発明によれば送電線路に短絡
あるいは地絡故障が発生した場合の故障相遮断後の健全
相遮断に際し、事前に補償リアクトルを転送遮断させる
ので、短時間、確実に健全相遮断を行うことができる補
償リアクトル転送遮断装置を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の補償リアクトル転送遮断装置の適用系
統図

【図２】本発明の補償リアクトル転送遮断装置のシーケ
ンスブロック図

【図３】架空送電線と地下ケーブル送電線を連系する電
力系統図

【符号の説明】

１，２…補償リアクトル転送遮断装置、３，４，７，Ｃ
〜Ｈ…しゃ断器、８…補償リアクトル（ＳＨＲ）、９，
Ｊ〜Ｌ…架空送電線、11…地下ケーブル、12…ＳＨＲ遮
断指令、13，14…線路故障検出継電器、15…信号伝送
路、Ａ…地上変電所、Ｂ１，Ｂ２…地下変電所、Ｐ，
Ｑ，Ｒ…地下ケーブル送電線。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 架空送電線と補償リアクトルが接続され
   る地下ケーブル送電線とを連係した電力系統に設置され
   る補償リアクトル転送遮断装置であって、前記架空送電
   線に故障が発生し故障相を遮断した後の再閉路が失敗し
   たとき前記補償リアクトルを解列させるための転送遮断
   信号を出力する送信手段と、この転送遮断信号に基づい
   て前記地下ケーブル送電線に前記補償リアクトルを接続
   するしゃ断器に遮断指令を出力し解列させる解列手段と
   を具備することを特徴とする補償リアクトル転送遮断装
   置。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記再閉路の失敗後
   所定時間を計時する限時手段と、この限時手段が所定時
   間計時後に健全相を遮断する健全相遮断手段とを備えた
   ことを特徴とする請求項１記載の補償リアクトル転送遮
   断装置。
3. 【請求項３】 請求項１において、前記解列手段を、補
   償リアクトルが接続される地下ケーブル送電線側に設置
   される故障検出継電器の出力と前記転送遮断信号がとも
   に成立したことを条件に、前記地下ケーブル送電線に前
   記補償リアクトルを接続するしゃ断器に遮断指令を出力
   し解列させる解列手段とすることを特徴とする請求項１
   記載の補償リアクトル転送遮断装置。
4. 【請求項４】 架空送電線と補償リアクトルが接続され
   る地下ケーブル送電線とを連係した電力系統の架空送電
   線側の電気所に設置される補償リアクトル転送遮断装置
   には、前記送信手段と、前記限時手段と、前記健全相遮
   断手段とを備えたことを特徴とする補償リアクトル転送
   遮断装置。
5. 【請求項５】 架空送電線と補償リアクトルが接続され
   る地下ケーブル送電線とを連係した電力系統の補償リア
   クトルが地下ケーブル送電線に接続される側の電気所に
   設置される補償リアクトル転送遮断装置には、前記請求
   項１記載の解列手段あるいは前記請求項３記載の解列手
   段を備えたことを特徴とする補償リアクトル転送遮断装
   置。