図1及び図2において、ディスク装置1は、本体ケース2を備え、その前面にベゼル3が取り付けられている。このベゼル3には、ディスクD1を挿入するスロット3aと、ディスクD1のイジェクトを指示するための押し釦4と、ディスク装置1の動作状態を表示するためのインジケータ5とが設けられている。ディスクD1は、チャッキングのための中心孔D1aが形成されている。
ベゼル3には、緊急時に手動によりディスクD1を強制排出するためのエマージェンシ孔3bが形成されている。図2に示すように、エマージェンシ孔3bに挿入した操作部材(操作ピン)70の押し込み操作により、ディスクD1は、チャッキングヘッド13(図3参照)によるチャッキングが解除され、操作ピン70の引き抜き操作により強制排出時のイジェクト位置へ排出される。
本体ケース2には、天板9が取り付けられている。この天板9のほぼ中央には、ディスクD1のチャッキング時にチャッキングヘッド13が僅か入り込むための開口9aが形成されている。また、開口9aの周囲には、本体ケース2の内壁に突出部を形成するための凹部9bが設けられている。この本体ケース2の突出部は、チャッキングヘッド13がディスクD1の中心孔D1aに挿入するときに、ディスクD1を受け止める。
図3及び図4において、本体ケース2を上下に仕切るように、ベースパネル6が固定されている。このベースパネル6には、中央から斜め方向に延びた開口6aが形成されている。この開口6a内には、昇降フレーム7が配置され、周知の緩衝支持構造8により複数箇所でベースパネル6に取り付けられている。ディスクD1を本体ケース2へ搬入または搬出するときに、昇降フレーム7は、ベゼル3側を支軸とし、装置中央に位置する先端部が上下方向に揺動する。また、昇降フレーム7には、中央から斜め方向に延びた開口7aが形成されている。
昇降フレーム7の先端には、ドライブユニット10が取り付けられている。このドライブユニット10は、スピンドルモータ11、ターンテーブル12、チャッキングヘッド13を備えている。スピンドルモータ11は、昇降フレーム7の背面に固定され、その駆動軸にターンテーブル12が固定されている。チャッキングヘッド13は、ターンテーブル12と一体に形成されており、昇降フレーム7が上昇したときに、チャッキング位置にあるディスクD1の中心孔D1aに入り込む。チャッキングヘッド13には、バネで付勢された複数のチャッキング爪13aが設けられており、ディスクD1を着脱可能に係止する。チャッキング解除ピン14は、昇降フレーム7が下降するときに、ディスクD1を受け止めてチャッキングヘッド13から外す。
また、昇降フレーム7にはヘッドユニット17が取り付けられている。このヘッドユニット17は、昇降フレーム7の開口7aから露出したキャリッジ18と、これに保持されたピックアップヘッド19とから構成されている。情報の記録/再生時には、キャリッジ18が開口7aに沿って移動する。
ベースパネル6上には、ディスクD1の搬入及び搬出を行うためのディスク支持アーム20と、スロット3aから挿入されたディスクD1を本体ケース2内へ搬入するための誘引アーム21とが配置されている。このディスク支持アーム20は、ホルダ20aでディスクD1の前端部を保持し、軸22を中心にして揺動する。誘引アーム21は、フランジ付ローラ21aでディスクD1の後端部を保持し、軸23を中心にして揺動する。この誘引アーム21を揺動させるために、リンクレバー24が連結されている。このリンクレバー24は、ピン24aがカム溝25に沿って移動する。
なお、図4には、ディスクD1が自動搬出時のイジェクト位置にある場合、ディスクD1が自動搬入の開始位置にある場合、ディスクD1がチャッキング完了後の記録/再生位置にある場合がそれぞれ示されている。
図5において、ピックアップヘッド19を保持したキャリッジ18は、ガイドシャフト26,27に支持されている。これらのガイドシャフト26,27は、その両端が昇降フレーム7の背面に固定されている。スレッドモータ28の回転は、ギアトレイン29を介して、スクリュシャフト30に伝達される。このスクリュシャフト30の回転により、キャリッジ18が前進/後退する。
ベースパネル6の背面には、ウォームギア31aを有するローディングモータ31が配置され、このローディングモータ31の回転が、伝達ギア機構32を介してディスク搬送機構33に伝達され、ディスクD1の搬入又は搬出が行われる。ディスク搬送機構33の主要部は、ローディングスライダ34、ディスク支持アーム20、誘引アーム21である。
ローディングスライダ34は、ラックギア34aと、フック状のバネ掛け部34b(図8参照)と、リンクレバー24のピン24aを押すためのカム溝34cと、リンクレバー36を作動させるためのカム溝34dとが設けられている。カム溝34cは横方向に延びており、ピン24aをローディングスライダ34の移動方向に押すことにより、ピン24aをカム溝25に沿って移動させる。
リンクレバー36は、ピン36aがローディングスライダ34のカム溝34dに嵌合しており、ローディングスライダ34が移動するときに、軸37を中心にして回転する。このリンクレバー36は、リンクアーム38を介してベース部20bと連結されている。このベース部20bは、ベースパネル6の表面に配置されたディスク支持アーム20と、軸22で一体的に連結されている。ベース部20bの周囲に、スイッチ39が配置されており、ディスクD1の押し込みでディスク支持アーム20が回転されたときにONする。このスイッチ39からの信号で、制御回路(図示せず)はローディングモータ31を回転させ、ディスクD1の自動搬入を開始する。
前記リンクアーム38は、第1アーム38aと、この第1アーム38aに対してスライド可能に連結された第2アーム38bと、これらのアーム38a,38bを最短状態に保つためのバネ38cとから構成されている。このスライド可能なリンクアーム38により、ディスクD1がユーザによって本体ケース2内に押し込まれている間、すなわち自動搬入が開始されるまで、リンクレバー36を作動させることなく、ディスク支持アーム20が揺動可能となる。ローディングスライダ34が後方に移動されているときには、バネ38cは、ローディングスライダ34を前方に付勢する。
図6に示すように、ローディングスライダ34の側面には、カム溝34eが形成されている。このカム溝34eは、昇降フレーム7の昇降ピン7bが挿入され、昇降フレーム7を昇降動させる。カム溝34eは、昇降フレーム7を下降位置に保つための低位部34f、昇降フレーム7を上昇または降下させるための傾斜部34g、昇降フレーム7を記録/再生位置に保つための高位部34hが連続して形成されている。
図7(A)に示すように、昇降フレーム7の昇降ピン7bがカム溝34eの低位部34fに位置するときには、昇降フレーム7が下降位置にセットされる。昇降ピン7bがカム溝34eの傾斜部34gに沿って移動すると、図7(B)に示すように、昇降フレーム7が上昇して、チャッキングヘッド13がディスクD1の中心孔D1aに入り込む。図7(C)に示すように、昇降ピン7bが傾斜部34gの最上部まで移動すると、昇降フレーム7がディスク装着位置にセットされ、ディスクD1がチャッキング爪13aで係止される。図7(D)に示すように、昇降ピン7bがカム溝34eの高位部34hに入ると、昇降フレーム7がディスク装着位置から僅か下がった記録/再生位置にセットされる。この記録/再生位置では、昇降フレーム7がほぼ平行となっている。
図8に示すように、バネ掛け部34bには、コイルバネ35の一端が掛けられ、このコイルバネ35の他端は、ベースパネル6の背面に設けられたフック状のバネ掛け部6bに掛けられている。ローディングスライダ34は、コイルバネ35により前方に付勢されている。
図8〜図11に示すように、伝達ギア機構32は、第1伝達ギア41、第2伝達ギア42及び第3伝達ギア43から構成されている。第1伝達ギア41は、ベースパネル6に固定されたピン46に回転自在で、かつ上下方向に移動可能に取り付けられている。第2,第3伝達ギア42,43は、ベースパネル6に固定されたピン47,48に回転自在に取り付けられている。
第1伝達ギア41は、小径ギア41aと、この小径ギア41aの下側に一体に形成された大径ギア41bとから構成されている。同様に、第2伝達ギア42は、一体に形成された大径ギア42aと小径ギア42bとから構成され、第3伝達ギア43は、一体に形成された小径ギア43aと大径ギア43bとから構成されている。
ローディングモータ31の回転軸には、ウォームギア31aが固定されており、このウォームギア31aが、第1伝達ギア41の大径ギア41bに噛合している。小径ギア41aは、大径ギア42aに噛合しており、小径ギア42bは、大径ギア43bに噛合している。
ローディングスライダ34は、図8に示すイジェクト位置と、図9に示すディスク装填位置との間で、前後方向に移動可能に設けられている。ローディングスライダ34のラックギア34aは、小径ギア43aに噛合している。ローディングモータ31の回転は、大径ギア41b、小径ギア41a、大径ギア42a、小径ギア42b、大径ギア43b、小径ギア43aを介して、ラックギア34aに伝達され、ローディングスライダ34が移動される。
ローディングスライダ34が、ベゼル3から離れる方向である後方に移動するときに、ディスクD1が本体ケース2内に搬入され、ローディングスライダ34がベゼル3に近付く方向である前方に移動するときに、ディスクD1がイジェクト位置に向かって本体ケース2から搬出される。
第1伝達ギア41の下方には、第1排出操作レバー51が配されている。この第1排出操作レバー51には、第2排出操作レバー52が載せられている。各排出操作レバー51,52は、前後方向に移動可能に、本体ケース2に取り付けられている。また、ベースパネル6の背面であって、第2排出操作レバー52の上方には、小径ギア41aと大径ギア42aとの噛合を強制的に解除するための噛合解除レバー53が配されている。なお、第1,第2排出操作レバー51,52を一体に形成してもよい。
第1排出操作レバー51は、操作ピン70を受ける受け部51aと、バネ掛け部51bと、第2排出操作レバー52を押すための突起51cと、長孔状のガイド孔51dとが形成されている。この第1排出操作レバー51は、薄い金属板で構成され、各部51a〜51cは、第1排出操作レバー51から起立するように、曲げ加工により形成されている。受け部51aは、その前面には操作ピン70が挿入される凹部が形成され、後面にはローディングスライダ34を受け止める凸部が形成されている。バネ掛け部51bには、コイルバネ55の一端が掛けられ、このコイルバネ55の他端は、本体ケース2に設けられたフック状のバネ掛け部2aに掛けられている。第1排出操作レバー51は、コイルバネ55により、前方に付勢されている。ガイド孔51dには、本体ケース2に形成された固定ピン57が挿入されている。
第2排出操作レバー52は、ピン46が挿通される挿通孔52aと、バネ掛け部52bと、突起51cが挿入される開口52cとが形成されている。また、第2排出操作レバー52は、第1伝達ギア41を、第2伝達ギア42と噛合する噛合位置まで押し上げるクラッチ突起52dと、噛合解除レバー53を揺動させるためのボス52eと、大径ギア43bに噛合するラックギア52fとが形成されている。バネ掛け部52bには、第2排出操作レバー52を前方へ付勢するためのコイルバネ56の一端が掛けられ、このコイルバネ56の他端は、本体ケース2に設けられたフック状のバネ掛け部2bに掛けられている。第2排出操作レバー52は、開口52cの幅と突起51cの板厚の差だけ、コイルバネ56に抗してピン46を中心に揺動可能となっている。なお、図10では、コイルバネ35,55,56の図示が省略されている。
図19及び図20に示すように、コイルバネ56は、第2排出操作レバー52を時計方向に付勢し、ラックギア52fが大径ギア43bに噛合するような回転力を付与している。また、開口52cは、第2排出操作レバー52の移動方向と直交する方向(左右方向)において、第2排出操作レバー52の揺動中心であるピン46を中心に、コイルバネ56と反対側に形成されている。これにより、突起51cが開口52cの後端を押して第2排出操作レバー52を前方に移動させるときには、第2排出操作レバー52には、時計方向の回転力が作用しているため、ラックギア52fと大径ギア43bとの噛合状態が維持される。
ラックギア52fの各歯は、垂直な面と傾斜した面とを備え、鋸歯のごとき形状をしている。第2排出操作レバー52が後方へ移動するときには、ラックギア52fの垂直な歯面が大径ギア43bの歯面に当たって、これを時計方向に回転させる。他方、第2排出操作レバー52が前方へ移動するときは、ラックギア52fは、その傾斜した歯面が大径ギア43bの歯面に当たりながら、コイルバネ56の付勢に抗して第2排出操作レバー52が少し回転することにより、大径ギア43bを反時計方向に回転させることなく、大径ギア43bを通過する。
図12及び図13に示すように、クラッチ突起52dは、第2排出操作レバー52が後方へ移動するときに、大径ギア41bの下から抜け出て、第1伝達ギア41の下降を可能にする。この第1伝達ギア41が下降すると、小径ギア41aと大径ギア42aとの噛合が解除される。逆に、第2排出操作レバー52が前方へ移動すると、クラッチ突起52dは大径ギア41bの下に入り込んで、第1伝達ギア41を上昇させる。クラッチ突起52dは、大径ギア41bの下に入り易くするため、傾斜面を有し、ほぼ三角形をしている。
噛合解除レバー53は、ベースパネル6に固定された矩形状の支持板59に取り付けられ、この支持板59を中心とする揺動に対して、復元力(バネ力)を備えている。噛合解除レバー53は、支持板59が挿入される矩形状の取付孔53aと、ボス52eに当接するリブ53bと、第1伝達ギア41を非噛合位置まで強制的に押し下げるテーパ状の押下突起53cとが形成されている。リブ53bは、ボス52eの押圧によって噛合解除レバー53を反時計方向に揺動させる第1傾斜部53dと、時計方向の揺動(戻り)を阻止する第2傾斜部53eとを備える。押下突起53cは、第2排出操作レバー52のクラッチ突起52dが大径ギア41bの下から抜け出た直後に、大径ギア41bの上に入り込むようになっている。
図21は、伝達ギア機構32が、モータ側とディスク搬送機構側とに切り離された状態でのディスク排出負荷を示すものである。曲線81はローディングスライダ34のディスク排出負荷を表し、直線82はコイルバネ35の駆動力(蓄勢力)を表している。ローディングスライダ34がディスク装填位置にセットされている場合は、昇降フレーム7が図7(D)に示す記録/再生位置にある。ローディングスライダ34がディスク装填位置から前方に移動すると、先ずディスク支持アーム20及び誘引アーム21が少し回転してディスクD1を保持する。次に昇降フレーム7が図7(C)に示すチャッキング完了位置(最上昇位置)に向かって上昇する。これに伴ってディスク排出負荷が徐々に増大する。そして、昇降フレーム7がチャッキング完了位置に達すると、ディスクD1が天板9に強く押し付けられるため、ディスク排出負荷が最大となる。
昇降フレーム7がチャッキング完了位置から下降を開始すると、ディスク排出負荷が徐々に小さくなる。そして、昇降フレーム7が図7(B)を通過した直後に、ディスクD1の下面がチャッキング解除ピン14で受け止められる。この後は、ディスクD1の下降が阻止された状態で、昇降フレーム7だけがチャッキング解除位置(ディスク抜出位置)に向かって下降し、ディスクD1の中心孔D1aからチャッキングヘッド13の抜き出し動作が開始される。この抜き出し動作中には、ディスク排出負荷が徐々に大きくなる。抜き出し動作が終了すると、昇降フレーム7が図7(A)に示す下降位置に向かって移動する。この区間では、ディスク排出負荷が減少する。
昇降フレーム7が下降位置に到達すると、ディスク支持アーム20及び誘引アーム21が回転して、ディスクD1をイジェクト位置に向けて移動する。この区間では、ディスク支持アーム20及び誘引アーム21が回転するだけであるから、ディスク排出負荷が小さく、そして緩やかに減少する。
図21から分かるように、ディスク排出負荷がコイルバネ35の駆動力よりも小さい場合には、コイルバネ35によってローディングスライダ34が前方に移動する。しかし、ディスク排出負荷がコイルバネ35の駆動力よりも大きい場合には、コイルバネ35の駆動力を受けても、ローディングスライダ34が停止している。このローディングスライダ34が停止している区間は、第2排出操作レバー52のラックギア52fで第3伝達ギア43を回転すれば、ローディングスライダ34が前方に移動する。
コイルバネ35の駆動力が直線82の場合には、ローディングスライダ34の停止区間が2個であるから、操作ピン70の2回の押し込み操作で、ディスクD1のチャッキングを完全に解除して、ローディングスライダ34をイジェクト位置に戻すことができる。なお、操作ピン70の1回の押し込み操作では、1個の停止区間を通過できない場合には、操作ピン70を複数回往復動させて、第3伝達ギア43を小刻みに回転させる。
また、直線91に示すように、コイルバネ35の駆動力を強くすれば、ローディングスライダ34の停止区間が1個となるから、操作ピン70の1回の押し込み操作で、ディスクD1のチャッキングを完全に解除して、ローディングスライダ34をイジェクト位置に戻すことが可能となる。
次に、上記実施形態の作用について説明する。ディスクD1の挿入前には、図8に示すように、ローディングスライダ34は、イジェクト位置に移動しており、また、各排出操作レバー51,52は、コイルバネ55,56により前方に移動している。この状態では、図12に示すように、第1伝達ギア41はクラッチ突起52dにより噛合位置まで押し上げられているから、小径ギア41aは大径ギア42aに噛合している。
ディスクD1がベゼル3のスロット3aから挿入されると、図4に示すように、ディスクD1の先端側がディスク支持アーム20のホルダ20aに支持される。このディスクD1の押込みに応じて、図5に示すように、バネ38cに抗してリンクアーム38を伸長しながらディスク支持アーム20がベース部20bとともに、軸22を中心にして図5において時計方向に回転する。
ディスク支持アーム20が、更に押し込まれると、ベース部20bがスイッチ39をONにする。このスイッチ39の信号に基づいて、ローディングモータ31が回転を開始する。このローディングモータ31の回転は、第1伝達ギア41、第2伝達ギア42及び第3伝達ギア43を介して、ローディングスライダ34に伝達され、ローディングスライダ34は後方に移動する。
ローディングスライダ34が後方に移動すると、カム溝34cによってリンクレバー24のピン24aが押されるため、このピン24aがカム溝25に沿って移動する。これにより、リンクレバー24が移動するため、誘引アーム21が軸23を支点にして図4において時計方向に揺動する。この誘引アーム21は、その先端に取り付けたフランジ付ローラ21aがディスクD1の後端部を押す。
また、ローディングスライダ34は、カム溝34dによってリンクレバー36を図4において時計方向に回転する。このリンクレバー36の回転は、リンクアーム38を介してベース部20bに伝達され、ディスク支持アーム20を図5において時計方向に回転させる。これにより、ディスクD1は、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とで保持されて、本体ケース2内に搬入される。
ディスクD1が、チャッキング位置に搬入されると、図7(A)に示すように、ディスクD1の中心孔D1aがチャッキングヘッド13と一致する。この時点では、昇降フレーム7の昇降ピン7bが、ローディングスライダ34のカム溝34eの傾斜部34gに到達する。その後は、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とが停止した状態で、ローディングスライダ34に連動して昇降ピン7bが傾斜部34gに沿って移動するから、昇降フレーム7が図7(A)に示す下降位置から上昇する。
図7(B)に示すように、昇降フレーム7が上昇すると、チャッキングヘッド13がディスクD1の中心孔D1aに少し入り込む。ディスクD1が、チャッキングヘッド13で更に押し上げられると、図7(C)に示すように、天板9の凹部9bにより形成された本体ケース2内壁の突出部で受け止められるから、チャッキングヘッド13が中心孔D1aに充分入り込み、チャッキング爪13aで係止される。図7(D)に示すように、チャッキング後に、ディスクD1が天板9から離れるように、昇降フレーム7が僅かに下降して、昇降ピン7bがカム溝34eの高位部34hに入る。これにより、昇降フレーム7がディスク装着位置から僅か下がった記録/再生位置に位置決めされる。
チャッキング動作中は、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とが停止しているが、チャッキングが完了すると、ローディングスライダ34の最後のストロークでディスクD1から離れてその保持を解除する。このディスク支持アーム20と誘引アーム21とがディスクD1の保持を解除するタイミングで、ローディングスライダ34がスイッチ(図示せず)をONにするから、ローディングモータ31が停止してディスクD1の搬入が終了する。ディスクD1の装填後は、ディスクD1を高速回転させてから、ヘッドユニット17を駆動させて、ディスクD1の記録/再生が行われる。
ディスクD1を本体ケース2から自動搬出する場合は、ベゼル3の押し釦4を操作するか、または情報機器からの指令がディスク装置1に送られる。ディスク装置1の制御回路(図示せず)は、まずスピンドルモータ11を停止させ、次にローディングモータ31を逆転させる。このローディングモータ31の逆転により、ローディングスライダ34が前方に移動する。
また、ローディングスライダ34の前方への移動が開始されると、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とが少し揺動して、ディスクD1の外周を保持する。次に、昇降フレーム7は、図7(D)から図7(A)に向かって移動する。先ず、昇降フレーム7が、記録/再生位置から僅かに上昇した後に下降する。そして、昇降フレーム7が下降位置まで下降する。この下降中に、ディスクD1がチャッキング解除ピン14で受け止められるから、ディスクD1がチャッキングヘッド13から抜き出される。昇降フレーム7の下降後に、ディスク支持アーム20と誘引アーム21とが再び揺動をし、図5に示す自動搬出時のイジェクト位置までディスクD1を搬出する。
自動搬出時には、ローディングモータ31によって、ローディングスライダ34が移動されるから、図8に示すように、ディスクD1が本体ケース2外に搬出された状態では、ローディングスライダ34が第1排出操作レバー51にほぼ当接している。これにより、ディスクD1が本体ケース2外に搬出されたときに、エマージェンシ孔3bに操作ピン70を挿入する誤操作が行われたときにも、第1排出操作レバー51が移動することがなく、誤操作により第1排出操作レバー51や第2排出操作レバー52等が破損することがない。
ディスク装置1の動作中に、電池切れ、電源の遮断、故障などによって、ローディングモータ31が動作しなくなり、本体ケース2内に装填されたディスクD1の自動搬出が行えないことがある。この場合、図14〜図20に示すように、エマージェンシ孔3bに操作ピン70を挿入して、ディスクD1を強制排出する。ここでは、コイルバネ35の駆動力が図21に示す直線82の場合を例に説明する。
図14に示すように、操作ピン70が押し込まれると、第1排出操作レバー51が、コイルバネ55の付勢に抗して後方に移動する。第1排出操作レバー51が2mm程度(遊び区間)移動すると、突起51cが、第2排出操作レバー52の開口52cの後端に当接する。この後は、第2排出操作レバー52は、第1排出操作レバー51と一緒に移動する。
操作ピン70を更に押して、各排出操作レバー51,52が更に2mm程度後方に移動すると、図13に示すように、クラッチ突起52dが第1伝達ギア41の下面から離れ、第1伝達ギア41は自重で下方向に移動可能となる。これと同時または直後に、ボス52eがリブ53bの第1傾斜部53d、第2傾斜部53eを順に押圧する。ボス52eが第1傾斜部53dを押圧すると、噛合解除レバー53は、支持板59を支点に反時計方向に揺動する。この揺動により、押下突起53cが第1伝達ギア41の大径ギア41bの上面に入り込むから、第1伝達ギア41が噛合位置に止まっている場合でも、非噛合位置まで押し下げることができる。なお、クラッチ突起52dが大径ギア41bの下面から離れてから、押下突起53cが大径ギア41bの上面に入り込むから、クラッチ突起52dと押下突起53cとが第1伝達ギア41に干渉して破損することがなく、また、第1伝達ギア41を押し下げて、第2伝達ギア42との噛合を確実に解除する。
ボス52eは、第1傾斜部53dを押しながら揺動すると、噛合解除レバー53の揺動でほぼ垂直となった第2傾斜部53eに当接する。この第2傾斜部53eがボス52eで受け止められるから、噛合解除レバー53は、それ自身のバネ力で戻ることなく、その位置に保たれる。
第1伝達ギア41が非噛合位置まで押し下げられると、伝達ギア機構32は、モータ側とディスク搬送機構側とに切り離される。本実施形態では、モータ側のギアは、第1伝達ギア41であり、ディスク搬送機構側のギアは、第2伝達ギア42、第3伝達ギア43である。
伝達ギア機構32が、モータ側とディスク搬送機構側とに切り離されると、ウォームギア31aの大きな回転負荷がなくなるので、第3伝達ギア43が回転可能となる。これにより、コイルバネ35の蓄勢力により、ローディングスライダ34が第3伝達ギア43を回転させながら前方へ移動して、ディスクD1の排出動作が開始される。
ローディングスライダ34が、ディスク装填位置から移動を開始すると、図21の曲線81に示すように、ディスク排出負荷が徐々に大きくなり、直線82で示すコイルバネ35の駆動力と一致する。この時点でローディングスライダ34の前進力がなくなるから、第1排出位置で停止する。
図15に示すように、操作ピン70を更に押して各排出操作レバー51,52が2mm程度後方に移動すると、ラックギア52fと大径ギア43bとが噛合する。この状態で、各排出操作レバー51,52が更に後方に2mm程度移動すると、ラックギア52fと噛合している第3伝達ギア43が時計方向に回転する。
第3伝達ギア43が時計方向に回転すると、ローディングスライダ34が、最上昇位置を超えて第2排出位置(図21参照)まで移動する。この時点では、コイルバネ35の駆動力はディスク排出負荷よりも大きいので、ローディングスライダ34が前方に移動しようとするが、図19に示すように、開口52cは突起51cで受け止められているから、第2排出操作レバー52が反時計方向に回転しない。したがって、ラックギア52fと大径ギア43bとの噛合は解除されず、第3伝達ギア43は回転できないから、ローディングスライダ34も前方に移動しない。
ローディングスライダ34が第2排出位置に停止している状態で、操作ピン70を前方に引くと、各排出操作レバー51,52がコイルバネ55,56によって前方へ戻る。この際に、大径ギア43bの歯は、ラックギア52fの傾斜した歯面に当たるとともに、開口52c内で突起51cが下がるため、図20に示すように、第2排出操作レバー52が、コイルバネ56に抗してピン46を中心に反時計方向に僅かに揺動しながら、ラックギア52fが大径ギア43bを通過する。ラックギア52fが戻って大径ギア43bとの噛合が解除されると、大径ギア43bが回転可能となる。この時点では、コイルバネ35による駆動力はディスク排出負荷よりも大きいので、図16に示すように、ローディングスライダ34が前方に移動する。しかし、ディスク排出負荷が大きい第3排出位置まで移動すると、ローディングスライダ34が再び停止する。
操作ピン70をエマージェンシ孔3bから引き抜くと、第2排出操作レバー52が前方に移動する。これにより、ボス52eによる噛合解除レバー53の押圧が解除され、図17に示すように、噛合解除レバー53は元の位置に戻る。噛合解除レバー53が戻ると、押下突起53cが第1伝達ギア41の上面から離れ、第1伝達ギア41は上方向に移動可能となる。この後、図12に示すように、クラッチ突起52dが第1伝達ギア41の下面に当接して、第1伝達ギア41はクラッチ突起52dにより噛合位置まで押し上げられ、第1伝達ギア41が第2伝達ギア42に噛合する。
そして、再度操作ピン70を押して、各排出操作レバー51,52を後方に移動させれば、第1伝達ギア41と第2伝達ギア42との噛合が解除された後、ラックギア52fと大径ギア43bとが噛合し、ラックギア52fにより第3伝達ギア43が回転する。これにより、ローディングスライダ34が、ディスク抜出位置を超えて第4排出位置まで移動し、ディスクD1はチャッキングヘッド13から抜き出される。これ以降は、ディスク排出負荷が、コイルバネ35の駆動力よりも小さくなるため、ローディングスライダ34は、コイルバネ35により前方に移動可能となる。
なお、操作ピン70を僅か戻してから再び押し込めば、第1伝達ギア41と第2伝達ギア42との噛合が解除された状態で、ラックギア52fが再び大径ギア43bに噛合し、第3伝達ギア43を再び回転させることができる。
ローディングスライダ34が第4排出位置に停止している状態で、操作ピン70を引き抜くと、各排出操作レバー51,52がコイルバネ55,56によって前方へ移動して、ラックギア52fと大径ギア43bとの噛合が解除される。ラックギア52fが大径ギア43bから外れると、コイルバネ35によるローディングスライダ34の前方への移動が開始される。ディスク排出負荷が小さいので、ローディングスライダ34が速く前進し、ディスクD1をイジェクト位置に向けて排出する。
操作ピン70の引き抜き操作に追従して、第2排出操作レバー52が前方に移動すると、第1伝達ギア41が第2伝達ギア42に噛合する。第1伝達ギア41が第2伝達ギア42に噛合すると、ウォームギア31aによる大きな負荷が加わるために、ローディングスライダ34の前進が停止する。このときには、ディスク支持アーム20及び誘引アーム21により、ディスクD1は、図2に示す強制排出時のイジェクト位置まで排出されている。
第1伝達ギア41と第2伝達ギア42との噛合が完了した後、第2排出操作レバー52の前進が停止する。その後は、第1排出操作レバー51だけが更に前進する。このため、ディスクD1の強制排出では、ローディングスライダ34の先端は、図18に示すように、第1排出操作レバー51の受け部51aから少し離れている。
操作ピン70を速く引き抜くことにより、第1,第2排出操作レバー51,52が速く戻ると、ローディングスライダ34が第4排出位置から少し移動した時点で、第1伝達ギア41が第2伝達ギア42に噛合してローディングスライダ34の移動が停止することがある。この状態では、ディスクD1がスロット3aから全く出ていないか、あるいは僅かしか出ていない。この場合には、操作ピン70を再度押し込み、第1伝達ギア41と第2伝達ギア42との噛合を解除すれば、コイルバネ35の駆動力でローディングスライダ34が前進して、ディスクD1をスロット3aから排出する。
操作ピン70を速く引き抜いてもローディングスライダ34が途中で停止しないようにするには、ローディングスライダ34の前進速度に比べて、第2排出操作レバー52の戻り速度を遅くすればよい。これは、コイルバネ55,56としてバネ力が弱いものを使用したり、あるいは第1排出操作レバー51と第2排出操作レバー52との間にグリースを塗布して、第2排出操作レバー52の摩擦を大きくしたり、第2排出操作レバー52に減速機構を設ければよい。
また、ローディングスライダ34が第4排出位置に停止している状態で、操作ピン70をゆっくり引くと、ローディングスライダ34が僅か前進しただけで、その先端面が第1排出操作レバー51の受け部51aで受け止められることになる。ローディングスライダ34が途中で止まると、ディスクD1が、ベゼル3から20mm程度突出した位置で止まる。そして、操作ピン70の引き抜き操作に追従して、ローディングスライダ34がイジェクト位置に移動すると、ディスクD1は、イジェクト位置まで排出される。
なお、上記実施形態では、各排出操作レバー51,52が後方に移動したときに、第1伝達ギア41と第2伝達ギア42との噛合を解除しているが、第2伝達ギア42と第3伝達ギア43との噛合を解除してもよい。
また、噛合解除レバー53の代わりに、第1伝達ギア41を非噛合位置に向けて付勢するバネを設けてもよい。
さらに、突起51cを第2排出操作レバー52に設け、開口52cを第1排出操作レバー51に設けるようにしてもよい。