JP3855239B2 - トレイ脱落防止機構を備えたディスク装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はCD、DVD、MD等の光ディスクや光磁気ディスクを再生・記録する為の装置であって、ディスク交換位置にあるトレイが装置本体から脱落しないようにした脱落防止機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
CD、DVD等のディスクを再生する為のディスク装置は、ディスクを載せて出し入れするトレイ、ディスクを回転させる駆動部、そしてピックアップ及び該ピックアップを移動させる送り装置等から成っている。これら各構成部の動きに必要なモータが備わって制御され、各モータを介してそれぞれ必要な動作を行なうことが出来る。
【0003】
ディスクを載置して装置本体から搬出・搬入するトレイの場合も同じく、該トレイはモータにて駆動されるが、その為にトレイの側部に設けているラックにはギアが噛み合い、ギアはモータにて回転駆動されている。そこで、ディスク交換位置にあるトレイを装置内へ搬入する場合、操作ボタンをONすることで上記モータを駆動したり、又はトレイの先端を押して僅かに後退させることによりスイッチがONされてモータが駆動する。
【0004】
そして、該トレイが搬出される際には所定の位置にて停止し、装置本体から外れて脱落しないようにストッパーが設けられている。特開2003−196907号に係る「ディスク装置」は、フック状のトレイ押えが形成されていると共に、トレイを装置本体に装着する際に、フック状のトレイ押えが横方向に撓んでトレイが装着可能なように構成されている。トレイの溝部及び装置本体のレールのうち、トレイを引き出した時に係合する部分をテーパ形状に形成することによって、テーパ形状のレールとテーパ形状の溝部との摩擦力により、トレイを引き出し端で停止させることが出来る。
【0005】
従って、トレイ側に設けているテーパ形状の溝部と装置本体側に設けたテーパ形状のレールとの摩擦力により、トレイを引き出し端で減速させながら安定して停止できる。そして、装置本体側に設けたフック状の押えを押し広げながらトレイを垂直方向から容易に取り付けることが出来、テーパ形状の溝部とレールとの係合により、ディスク交換位置にあるトレイの抜け/外れを防止できる。
【0006】
ところで、上記構造ではトレイ取付けは装置本体の垂直方向から容易に行えるが、一度トレイを取付けてしまうと取外しが困難である為、修理/メンテナンス時における作業性が悪い。よって、トレイ取付け時においてフック状押えを押し広げる作業やトレイ取外し時の難しさから、装置の組み立て/分解時の作業に時間がかかると共に、フック状押えを押し広げながら強引にトレイを取付ける為に、フック状押えを変形/破損させる虞があり、装置不良の要因となる。
【0007】
そして、モータの動力によってテーパ形状の溝部とレールとを押込み/引き離す動作を繰り返し行うことから、動力の伝達を行うギアやラックに過大な負荷がかかり、歯の欠損や部品の破損などを起因させ、ディスク装置全体の寿命を著しく低下させることになる。さらに、テーパ形状の溝部とレールとの係合のタイミング及び位置を一定にする為に、部品成形時で高い寸法精度が必要と成り、量産時の生産性が低下する。
【0008】
図6は従来のトレイ脱落防止機構を備えたディスク装置を示している。トレイ(イ)の後方側部にはフック部(ロ)が形成され、装置本体側にはストッパー(ハ)が設けられている。そこで、トレイ(イ)がディスク交換位置へ搬出されたところで引っ張っても外れ落ちないように、フック部(ロ)はストッパー(ハ)に当接する。
【0009】
図7は上記フック部(ロ)とストッパー(ハ)を示す拡大図であり、トレイ(イ)を引っ張るならばフック部(ロ)の当り面(ニ)がストッパー(ハ)に当接することが出来る。ところが、フック部(ロ)がストッパー(ハ)に当る際の衝撃でアーム(ホ)が撓み変形してストッパー(ハ)から離脱してしまう。一方、トレイ(イ)の後方片側にのみフック部(ロ)を設けることで、トレイ(イ)はフック部(ロ)がストッパー(ハ)に当って停止する際の力のバランスが崩れて捩れることになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来のディスク装置におけるトレイの脱落防止機構には上記のごとき問題がある。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、至って簡単な機構でトレイの取付け/取外しを短時間で容易に行なうことが出来、又トレイの取付け時の変形/破損を防止することが出来、さらにトレイ搬送に伴う駆動系部品の負荷を軽減してディスク装置の寿命を向上し、一方においては量産時の生産性を向上できるトレイ脱落防止機構を備えたディスク装置を提供する。
【0011】
【課題を解決する為の手段】
本発明のトレイ脱落防止機構を備えたディスク装置は、トレイが搬出された際に装置本体から脱落しないようにストッパーを設けたものであり、そしてトレイの取付け・取外し操作が簡単に行い得るように構成している。そこで、トレイ後部の左右両側には空間を設け、該空間の中にフック部を先端に備えた弾性変形可能なアームをトレイと一体的に形成している。
【0012】
そしてトレイのフック部には、トレイの移動方向に対してほぼ垂直な当り面を有し、フック部からはボスを上方へ起立している。一方のディスク装置本体には該トレイの収納部分に該トレイのフック部が当るストッパー、トレイ両端上部を押える押え部、トレイをガイドするガイド部を設け、トレイはモータにて回転駆動されるピニオンギアと噛み合うラックギアを設けている。
【0013】
トレイはピニオンギアの回転にてディスク交換位置まで搬出されるが、トレイに設けた上記フック部は装置本体に設けているストッパーに接する手前で停止する。しかし、該トレイを引いた場合には、フック部がストッパーに当ることで装置本体から外れて脱落することはない。以下、本発明にかかる実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】
【実施例】
図1は本発明のディスク装置の一部を示している平面図であり、トレイ1が搬出されて開いている状態を示している。トレイ1の上面には円形の浅い溝2a,2bが形成されていて、該溝2a,2bにディスクが嵌ってセットされる。又下面側にはラックギア3が前後方向に設けられ、該ラックギア3に沿って概略L型のガイド溝4を設けている。そしてラックギア3にはピニオンギア5が噛み合い、ガイド溝4にはカムロッドボス6が遊嵌している。
【0015】
上記のピニオンギア5はモータ7にて回転駆動され、該ピニオンギア5が回転することでラックギア3及びトレイ1は後退して装置内へ搬入される。該トレイ1は定められた距離を前進・後退動することで開閉することになるが、概略L型のガイド溝4はラックギア3と平行を成す縦ガイド溝8と、ラックギア3に対して垂直を成す横ガイド溝9、及び縦ガイド溝8と横ガイド溝9の間に形成されるコーナーガイド溝10から成っている。又、縦ガイド溝8の後方端部は湾曲して延びている。
【0016】
従って、トレイ1が搬出されて開く為に前進する場合、縦ガイド溝8に遊嵌しているカムロッドボス6が湾曲部に差し掛かることで該トレイ1は停止する。又トレイ1が搬入されて閉じる為に後退する場合、縦ガイド溝8に遊嵌しているカムロッドボス6がコーナーガイド溝10に差し掛かることで該トレイ1は停止する。すなわち、ガイド溝4に沿ってカムロッドボス6が動くことで、本体と成るカムロッドが移動し、この動きをスイッチ21により検出することでトレイ1が停止するように成っている。
【0017】
トレイ1はフロントパネルに設けているイジェクトボタンを押すことで、モータ7が起動してピニオンギア5が回転し、ラックギア3を送り出すと共にトレイ1が搬出されてディスク交換位置にて停止する。ところで、トレイ1は装置本体から外れ落ちないようにストッパーが設けられていて、該ストッパーにトレイ1に設けているフック部が係止することが出来る。勿論、ディスク交換位置では上記フック部はストッパーに当ることなく僅かな隙間を残してトレイ1は停止し、何らかの引張外力が作用した際に外れ落ちないように該ストッパーに係止する。
【0018】
図2は前記図1におけるモータ7やピニオンギア5を除去して表した場合であり、トレイ1の後部両側にはフック部11,11を設け、該フック部11,11は装置本体側に設けているストッパー12,12に係止した状態である。従って、トレイ1は該ストッパー12,12に係止することで、これ以上搬出されて装置本体から外れ落ちることはない。しかし、本発明の上記フック部11,11はトレイ1を装置本体に取付ける作業性も考慮された構造と成っている。
【0019】
図3は図2におけるA部拡大図を示しているが、トレイ1には空間13が設けられ、該空間13の後方端14からアーム15を延ばし、該アーム先端に上記フック部11を形成している。該フック部11はトレイ1のスライド方向に対してほぼ垂直を成す当り面16を有していて、又フック部11にはボス17が上方へ起立している。
【0020】
そして、装置本体にはストッパー12が設けられ、該ストッパー12の先端にはフック部11の当り面16が当接している。すなわち、トレイ1を引っ張るならば、フック部11がストッパー12に係止することで、装置本体から外れることはない。ところで、フック部11がストッパー12に当ることで反力Pが発生し、この反力Pはアーム15を湾曲させるモーメントMを誘発する。
【0021】
図4はアーム15にモーメントMが発生して湾曲した場合である。このようにアーム15が弓形に湾曲するならば、該アーム15は内側へ張出して空間13の側面18に当り、それ以上の湾曲変形が抑制される。アーム15が湾曲変形することで、フック部11は傾き、当り面16は傾斜してストッパー12の角に当接する。そこで、湾曲したアーム15が側面18に当らないならば、ストッパー12の角に当る傾斜した当り面16は滑って該ストッパー12から外れてしまう。本発明では、フック部11を先端に形成したアーム15を上記空間13内に設けていることで、該フック部11がストッパー12から離脱することはない。
【0022】
ところで、トレイ1を装置本体から取外す場合には、フック部11の上方へ起立しているボス17を摘んで内側へアーム15を撓ませる。この際、フック部11から先端方向へ突片部19を延ばしていて、この突片部19が側面18に当接する。すなわち、突片部19が側面18に当るまでボス17を内方向へ押し寄せることが出来,該突片部19が側面18に当ることでアーム15の撓み変形が抑制される。すなわち、撓みによってアーム15が破損することはない。
【0023】
このように、アーム15を内方向へ撓ますことでフック部11はストッパー12から外れてトレイ1は装置本体から取外すことが出来る。逆に、トレイ1を装置本体に取付ける場合には、該トレイ収納空間へ差し込むことでフック部11の傾斜面20はストッパー12に接するが、該傾斜面20はストッパー12になじんでアーム15を撓ませながらトレイ1は収納される。そして、一旦収納されるならば、フック部11がストッパー12に係止して外れないようになる。
【0024】
図5はトレイ脱落防止機構を分り易くする為に、立体的に表示した場合であり、トレイ1の側部に形成した空間13内に後方端14からアーム15が延び、該アーム先端に形成しているフック部11がストッパー12に当接している。そして該フック部11にはボス17が起立しているが、トレイから上方へ大きく突出しないように後方端14の下方位置にアーム15を設けている。
【0025】
以上述べたように、本発明のトレイ脱落防止機構は、トレイにはアーム先端にフック部を設け、該フック部がストッパーに係止可能としたものであり、次のような効果を得ることが出来る。
【0026】
【発明の効果】
本発明では、トレイの後方両側部に設けた空間内にアームを設けると共に該アーム先端にはフック部を形成している為に、このフック部が装置本体側に設けているストッパーに係止することが出来て、トレイは外れ落ちることはない。この場合、アームは空間内に設けている為に,アームの撓み変形が空間側面に当って規制され、フック部がストッパーから離脱することはなく、トレイは装置本体から外れ落ちない。
【0027】
そして、装置本体から外す際には、フック部から上方へ起立しているボスを摘んで撓ませることでフック部はストッパーから離脱することが可能となる。逆に、トレイを装置本体へ取付ける場合には、装置本体のトレイ収納空間へ押し入れることでフック部は何ら支障なくストッパーを通過して取付けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トレイが搬出された場合のディスク装置の一部。
【図2】トレイが搬出された場合のディスク装置の一部。
【図3】トレイの脱落防止機構を示す実施例。
【図4】フック部がストッパーに当ってアームが湾曲変形している場合。
【図5】トレイ脱落防止機構を示す立体図。
【図6】従来のトレイ脱落防止機構を備えたディスク装置。
【図7】従来のトレイ脱落防止機構。
【符号の説明】
1 トレイ
2 溝
3 ラックギア
4 ガイド溝
5 ピニオンギア
6 カムロッドボス
7 モータ
8 縦ガイド溝
9 横ガイド溝
10 コーナーガイド溝
11 フック部
12 ストッパー
13 空間
14 後方端
15 アーム
16 当り面
17 ボス
18 側面
19 突片部
20 傾斜面
21 スイッチ

Claims (2)

  1. ディスクを載置して本体内の再生位置とディスクの着脱を行う交換位置との間を移動するトレイを備えたディスク装置であって、トレイの後方両側には空間を設けると共に該空間の後方端から弾性変形可能なアームを延ばし、このアーム先端にはフック部を形成し、フック部には上方へ起立するボスを突出し、そして装置本体側にはフック部の当り面が係止するストッパーを設けたことを特徴とするトレイ脱落防止機構を備えたディスク装置。
  2. 上記フック部から先端側へ突出片を延ばした請求項1記載のトレイ脱落防止機構を備えたディスク装置。
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