JP5523780B2 - 助手席用エアバッグ - Google Patents

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Description

本発明は、助手席用エアバッグに関する。
助手席用エアバッグは、車両前面衝突時にエアバッグのチャンバが膨張展開して、助手席に搭乗した乗員の胸部中央部と頭部とを乗員の前方から拘束することで、乗員に対する安全性の確保を行うことを目的として用いられている。助手席用エアバッグとしては、一つのチャンバが膨張展開するシングルチャンバ型のエアバッグ装置や、二つのチャンバが膨張展開して、シングルチャンバ型よりも乗員をソフトに拘束することができるツインチャンバ型のエアバッグ装置が提案されている。
ツインチャンバ型のエアバッグ装置では、乗員に対向したエアバッグの後方側の左右両側に、二つのチャンバが並設された状態で膨張展開を行い、二つのチャンバが隆起するように構成されている。そして、隆起した二つのチャンバで乗員の左右両肩付近をそれぞれ拘束するとともに、隆起した二つのチャンバ間の収納凹部内に乗員の頭部を侵入させて受け止める構成となっている。
乗員の頭部を侵入させて受け止める収納凹部を形成したツインチャンバ型のエアバッグ装置としては、溝付きエアバッグ(特許文献1参照。)や助手席用エアバッグ装置(特許文献2参照。)などが提案されている。特許文献1に記載された溝付きエアバッグでは、乗員の頭部を侵入させて受け止める収納凹部を形成するため、次のように構成されている。
即ち、乗員に当接したときのクッション部分となる外面パネルと、外面パネルの左右両側縁に連接した左右の側部パネルと、外面パネルの中央部に形成した上下方向の開口を乗員の頭部を侵入させる収納凹部として形成するため、開口の上辺及び下辺に両端部が連接した中心溝パネルと、中心溝パネルの両側縁と前記開口の両側縁との間をそれぞれ連接する右パネル及び左パネルと、を備えた構成となっている。
そして、エアバッグ膨張時に、右パネルと中心溝パネルと左パネルとによって構成された収納凹部が、主パネルの外部表面を越えて膨出してしまうのを防止するため、即ち、中心溝パネルが収納凹部の底面を維持するように、中心溝パネルをエアバッグの内側に繋ぎとめておくテザーベルト(特許文献1では、つなぎ部分と称している。)が、エアバッグ内に設けられている。
特許文献2に記載された助手席用エアバッグ装置では、二つのチャンバを、一対の蝶の羽根のように形成した第1基布と、二枚の第2基布とによって構成している。そして、二つのチャンバ同士が構成されるように、二枚の第2基布をそれぞれ一対の蝶のような羽根の部分の外周に縫製している。また、二つのチャンバ同士を連通させるため、羽根の付け根部分側における二枚の第2基布同士を縫製して連接し、連通孔を構成している。更に、エアバッグの膨張時に、二つのチャンバ間の間隔が広がらないように規制するため、二つのチャンバ間を連結部材によって連結している。
特開2007−112427号公報 特開2007−38812号公報
特許文献1に記載された溝付きエアバッグでは、収納凹部を形成するため、左右パネルと中心溝パネルとを必要とする構成となっている。そのため、エアバッグを構成する各パネルの部品点数が多数となるばかりでなく、各パネルを縫製によって組み付ける作業が煩雑となる。その結果として、助手席用エアバッグの製造コストを低下させることが難しいものとなっている。
また、特許文献2に記載された助手席用エアバッグ装置では、第1基布と第2基布とによって独立した二つのチャンバが構成されている。そして、エアバッグの膨張時に二つのチャンバ間の間隔が広がらないようにするため、連結部材を設けておかなければならない。しかも、連結部材が、乗員の首部付近に対して、狭い面積で部分的に強く押圧しないようにするため、連結部材の取り付け位置、取り付け構成に工夫を凝らしておかなければならない。
本願発明は、このような問題点を解決することができ、ツインチャンバ型のエアバッグ装置として助手席用エアバッグを提供するのにあたり、助手席用エアバッグを構成するパネルの部品点数を減らし、しかも、二つのチャンバを最初から独立したチャンバとして構成しておかなくても、簡単な構成で乗員の頭部を侵入させて受け止める収納凹部を形成することができ、結果として、製造コストを低下させることができる助手席用エアバッグを提供することにある。
本願発明の課題は、請求項1〜3に記載された各発明により達成することができる。
即ち、本願発明は、上面パネルと下面パネルと乗員面パネルとを有する助手席用エアバ
ッグであって、左右幅方向の中央部に上下方向の開口部を形成して、上面パネルと下面パネルとが連接され、前記開口部が、前記乗員面パネルによって塞がれ、前記乗員面パネルは左右から幅方向中央に向けて内側に折り畳まれた複数の縦方向の襞を有してなり、前記乗員面パネル、エアバッグの膨張時に、上下両端部における横幅寸法よりも上下方向の中央部側における横幅寸法が広くなるように、前記開口部に取り付けられ、前記乗員面パネルの左右方向における中央部の外側面に、外側ベルトが上下方向に沿って添設され、前記外側ベルトの上下方向における両端部が、前記助手席用エアバッグに取り付けられ、エアバッグ膨張時に前記乗員パネルの上下方向における中央部側の部位が、前記外側ベルトの左右両側縁からそれぞれ膨出することを最も主要な特徴としている。
また本発明にあって、好適には、前記乗員面パネルが縦方向に折り畳まれて、前記開口部に取り付けられ、更には前記外側ベルトの上下両端部はそれぞれ上面パネルと下面パネルとに取り付けられ、前記外側ベルトの中央部は乗員面パネルに取り付けられてなることが望ましい。
本願発明では、上面パネルと下面パネルとの間に形成した開口部を塞ぐ乗員面パネルには、縦方向の襞(ひだ)を複数形成している。尚、襞とは、襞折りした時の折れ線の部分である。しかも、乗員面パネルの左右方向における中央部の外側面には、外側ベルトを上下方向に沿って配している。そして、外側ベルトの両端部を、助手席用エアバッグに取り付けた構成としている。
即ち、乗員面パネルの上下両端縁は、襞とともに上面パネルと下面パネルとに連接されており、乗員面パネルの左右両端縁は、襞の部分が縫い合わされないようにして、上面パネルと下面パネルとに連接されている。そして、上面パネルと下面パネルとの間に形成した開口部の周縁に乗員面パネルを連接することによって、前記開口部を乗員面パネルによって塞いでいる。
このように構成されているので、エアバッグの膨張時には、乗員面パネルの上下両端部における横幅寸法よりも上下方向の中央部側における横幅寸法を広く形成することができる。即ち、エアバッグの膨張時には、乗員面パネルは上面パネルと下面パネルとの間に形成した開口部から膨出するように膨らみ、特に、上下方向の中央部側が大きく膨らむことになる。
しかし、乗員面パネルの上下方向における中央部側が大きく膨らもうとしても、乗員面パネルの外側面には、外側ベルトが上下方向に沿って配されているので、乗員面パネルの中央部側における膨らみは、外側ベルトによって規制されることになる。また、前記開口部における上辺と下辺との間隔は、外側ベルトによって規制されることになるので、前記開口部から膨出した乗員面パネルの中央部側における膨らみは、外側ベルトの両側縁からそれぞれ膨出することになる。
そして、本願発明では、外側ベルトの両側縁からそれぞれ膨出させた乗員面パネルによって、二つのチャンバを構成している。外側ベルトの両側縁からそれぞれ膨出させた乗員面パネルによる二つのチャンバによって、助手席に搭乗した乗員の左右肩部を拘束することができ、外側ベルトの規制によって形成された二つのチャンバ間の凹部を、乗員の頭部を侵入させて受け止める収納凹部として構成することができる。
しかも、外側ベルトの両側縁からそれぞれ膨出させる膨出量は、乗員面パネルに形成した縦方向の襞(ひだ)の本数や襞によって重なり合う部分の幅を設定することで、適宜調整することができる。また、乗員の頭部を侵入させて受け止める収納凹部の深さや収納凹部における左右方向の幅に関しても、外側ベルトの幅や長さを調整することや外側ベルトの上下方向における横幅形状を調整すること、又は、外側ベルトの両側縁からそれぞれ膨出させる乗員面パネルの膨出量を調整すること、あるいはこれらの調整を適宜組み合わせて行なうことによって、所望の状態となるように調整することができる。
乗員面パネルに形成する縦方向の襞(ひだ)としては、エアバッグの上下方向に形成した襞に限定されるものではなく、エアバッグの上下方向に対して斜め方向に形成した襞も本願発明に包含されるものである。そして、本願発明における乗員面パネルに形成した縦方向の襞(ひだ)としては、エアバッグが膨張展開したときの乗員面パネルの膨張量として、上面パネルと下面パネルとの間に形成した開口部の上辺及び下辺における膨張量よりも、前記開口部の上下方向における中央部側における膨張量の方が、大きくなるように構成できるものであれば良い。
即ち、本願発明における乗員面パネルに形成した縦方向の襞(ひだ)としては、上述したような構成のものも包含している。また、襞の形状としては、直線状の襞に限定されるものではなく、曲線状の襞、多角辺に屈曲した襞も、本願発明に包含されるものである。
乗員面パネルの上下方向における中央部側における横幅寸法を大きく構成すると、外側ベルトの両側縁から膨出する乗員面パネルの膨出量を大きくすることができる。このように、車両レイアウトやエアバッグの大きさに応じて、外側ベルトの両側縁からそれぞれ膨出させて形成する二つのチャンバの形状を適宜設定することができる。
本願発明における外側ベルトは、エアバッグの外側を縫製等の連接によって規制する構成であるのに対して、特許文献1におけるテザーベルトは、エアバッグの内側から中心溝パネルを引き込む構成となっている。このため、本願発明における外側ベルトは、特許文献1におけるテザーベルトに比べて、エアバッグへの取り付けも容易になり、特許文献1のテザーベルトのように剛性を高く構成しておく必要がない。
特許文献1におけるテザーベルトも特許文献2における連結部材も、縫製によるエアバッグへの取り付ける方法だけが示されているが、本願発明における外側ベルトをエアバッグに取り付ける方法に関しては、縫製によって行うことも、接着剤による貼着で行うことも、縫製と接着剤による貼着とを併せて行うこともできる。
外側ベルトは、外側ベルトの中央部側を乗員面パネルの上に連接するとともに、外側ベルトの上下両端を上下面パネルにそれぞれ連接しておくことができる。このとき、乗員面パネルの上に連接する外側ベルトの中央部側の部位が、乗員面パネルの襞の部分と重ならないようにして連接することが必要である。外側ベルトの取り付け方法としては、外側ベルトの中央部側を乗員面パネルの上に連接することなく、外側ベルトの上下両端を上下面パネルにそれぞれ連接しておくこともできる。
外側ベルトの幅形状としては、乗員頭部の横幅寸法と同程度となるように構成しておくことも、必要に応じて適宜の幅形状に設定しておくこともできる。外側ベルトの長さは、外側ベルトと外側ベルトの両側縁から膨出した乗員面パネルの膨出部とによって形成される収納凹部の位置に応じて、適宜設定することができる。
このように、収納凹部は、凹部とその側面とがしっかりと形状保持された状態で構成することができるので、乗員の頭部が収納凹部内に入り込む際に、乗員の頭部が収納凹部の側面と擦れることがない。しかも、収納凹部を簡単な構成で形成することができる。しかも、助手席用エアバッグの製造作業が複雑にならず、結果として、助手席用エアバッグの製造コストを低減させることができる。
本願発明では、乗員面パネルを縦方向に折り畳んだ状態で、上面パネルと下面パネルとの間に形成した開口部に取り付けておくことができるので、エアバッグの膨張時には、外側ベルトの両側縁から乗員面パネルの膨出部を速やかに膨出展開させることができる。
助手席用エアバッグの展開組み立て図である。(実施例) 膨張時の助手席用エアバッグを示す斜視図、上面図、断面図である。(実施例) 膨張途中の助手席用エアバッグの要部を示す斜視図である。(実施例) 膨張展開した助手席用エアバッグと乗員との配置関係を示す斜視図である。(実施例) 助手席用エアバッグの展開組み立て前の状態を示す斜視図及び乗員面パネルの他の折り畳の例を示す断面図である。(実施例) 助手席用エアバッグの展開組み立て図である。(参考例) 膨張時の助手席用エアバッグを示す斜視図、上面図、断面図である。(参考例)
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明に係わる助手席用エアバッグの構成としては、以下で説明する形状、構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、構成であれば、それらの形状、構成を採用することができるものである。このため、本願発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
図1(a)には、助手席用エアバッグ1を構成する上面パネル2、乗員面パネル3、下面パネル4の展開図を示している。図1(b)には、上面パネル2、乗員面パネル3、下面パネル4を組み立てる前の斜視図を示し、図1(c)は、上面パネル2、乗員面パネル3、下面パネル4を組み立てた状態と、これに添設する外側ベルト5を示した斜視図である。図1(d)は、助手席用エアバッグ1を膨張展開させたときに、膨出した左右一対の右チャンバ11と左チャンバ12及び乗員の頭部を侵入させて受け止める収納凹部とを示した斜視図である。
図2(a)には、図1(d)に示したのと同じ斜視図を示しており、図2(b)には、助手席用エアバッグ1の上面図を示している。図2(c)には、図2(a)におけるA−A断面図を示している。
助手席用エアバッグ1は、車両の助手席前方のインスツルメントパネル内に、折り畳まれて収納されており、車両の前面衝突時あるいは衝突を予知した時に、図示せぬインフレータから噴射されたガスによって車両の後方側、即ち、助手席に搭乗している乗員の前面側において全面を覆うように膨張展開され、乗員を前方から拘束することができる。
助手席用エアバッグ1は、図1に示すように、上面パネル2、乗員面パネル3、下面パネル4と、乗員の頭部を侵入させて受け止める収納凹部を形成するための外側ベルト5とを備えた構成となっている。
図1(a)に示すように、上面パネル2は、下面パネル4と連接する後端縁2aと、上面パネル2と下面パネル4との間に形成する開口部6の側縁の一部となる側縁部2bと、開口部6の上辺となる上辺部2cとによって囲まれた形状によって構成されている。また、エアバッグの膨張形成時に余剰の膨張用ガスを排気するベントホール7を左右の側部に開口した構成となっている。
下面パネル4は、上面パネル4の後端縁2aと連接する後端縁4aと、上面パネル2と下面パネル4との間に形成する開口部6の側縁の一部となる側縁部4bと、開口部6の下辺となる下辺部4cとによって囲まれた形状によって構成されている。また、エアバッグ内に図示せぬインフレータからのガスを導入するガス導入口8を中央部の後端縁4a側に開口した構成となっている。
尚、上面パネル2及び下面パネル4によって、左右側面のパネル部を構成している構成例を図示しているが、上面パネル2及び下面パネル4から左右の側面パネルを別々に構成しておくこともできる。
乗員面パネル3は、上面パネル2の後端縁2aと下面パネル4の後端縁4aとを連接させたときに、上面パネル2と下面パネル4との間に形成される開口部6を塞ぐパネルとして構成されている。開口部6を形成するときには、上辺部2cの左右両端からの屈折部を対向する側縁部2bに連接させるとともに、下辺部4cの左右両端からの屈折部を対向する側縁部4bに連接させている。
乗員面パネル3の上端縁3a及び下端縁3cにおける幅寸法は、上辺部2c及び下辺部4cにおける幅寸法よりも広く構成されている。また、乗員面パネル3の側端縁3b間の間隔は、上端縁3a及び下端縁3cにおける幅寸法よりも広く構成されている。尚、乗員面パネル3の側端縁3b間の間隔と、上端縁3a及び下端縁3cにおける幅寸法とを同じ寸法として構成しておくこともできる。
そして、図1(b)に示すように、乗員面パネル3は、縦方向の襞16aによって重なり合った部分16を形成することによって、乗員面パネル3の横幅寸法を短くして、開口部6を塞ぐように上面パネル2及び下面パネル4に連接されている。尚、襞16aとは、襞折りした時の折れ線の部分である。
即ち、図1(c)に示しているように、襞16aによって重なり合った部分16を形成することによって、乗員面パネル3を上面パネル2と下面パネル4との間の開口部6に連接させることができる。このとき、乗員面パネル3の上端縁3a及び下端縁3cでは、襞16aによって重なり合った部分16の上から上面パネル2の上辺部2c及び下面パネル4の下辺部4cにそれぞれ連接することになる。また、乗員面パネル3の各側端縁3bは、上面パネル2の側縁部2bと下面パネル4の側縁部4bとによって構成される開口部6の左右側縁部にそれぞれ連接されることになる。
そして、乗員面パネル3の各側端縁3bを開口部6の左右側縁部にそれぞれ連接させるときには、乗員面パネル3に形成した襞が開口部6の左右側縁部に縫い合わされないように連接することになる。
このように構成することによって、助手席用エアバッグ1を膨張展開させたときには、乗員面パネル3を開口部6から膨出させることができる。
図1(c)に示すように、上面パネル2、乗員面パネル3、下面パネル4間での連接は、縫製によって行われている。図1(c)では、縫製部15を点線で示している。また、ベントホール7の周囲は、図示せぬ補強部材が縫製部15によって取り付けられている。ガス導入口の周囲は、図示せぬ補強部材がリベット等の固定手段によって取り付けられた構成を示しているが、ガス導入口の周囲に図示せぬ補強部材を縫製部15によって取り付けた構成としておくこともできる。
図1(c)に示すように、助手席用エアバッグ1を膨張展開させたときには、乗員面パネル3によって、右チャンバ11と左チャンバ12の二つのチャンバを形成するため、乗員面パネル3の左右方向における中央部の外側面には、上下方向に沿って外側ベルト5が配されるように構成されている。
外側ベルト5の上端側の端部5a及び下端側の端部5bは、それぞれ上面パネル2及び下面パネル4にそれぞれ連接されている。また、外側ベルト5の中央部5cは、乗員面パネル3に形成した襞16aの部分を一緒に連接しないようにして、乗員面パネル3に連接されている。
外側ベルト5を上面パネル2、下面パネル4及び乗員面パネル3に連接する方法としては、縫製による連接方法も、接着剤を用いた貼着による連接方法も、縫製と接着剤を用いた貼着との両方を用いた連接方法を行うこともできる。図1(d)では、外側ベルト5の中央部5cを縫製部15によって、乗員面パネル3に連接した状態を示している。
外側ベルト5の両端部5a、5bによって、外側ベルト5の長さ寸法が規定されているので、助手席用エアバッグ1の膨張展開時に、開口部6から膨出した乗員面パネル3は、外側ベルト5によって規制されながら、外側ベルト5の左右両側から外部に膨出することができる。そして、図2(a)に示すように、外側ベルト5の左右両側から膨出した乗員面パネル3によって、乗員の左右の肩部を支える右チャンバ11及び左チャンバ12を形成することができる。
しかも、図2(b)、(c)に示すように、右チャンバ11と左チャンバ12との間には、乗員の頭部を侵入させて受け止める収納凹部13を形成することができる。収納凹部13の幅は、外側ベルト5の幅によって調整することができ、乗員の頭部が収納凹部13内に入り込む際に、乗員の頭部が収納凹部13の側面13a、13bとの間で擦れることがないように構成することができる。
即ち、図3に示すように、助手席用エアバッグ1が膨張展開している時には、外側ベルト5の左右両側から膨出した乗員面パネル3が更に膨らみながら、外側ベルト5の左右両側に右チャンバ11と左チャンバ12とを形成していくことができる。このとき、外側ベルト5の両端部5a、5bは、それぞれ上面パネル2と下面パネル4とに取り付けられており、開口部6が上下方向に広がるのを外側ベルト5によって規制しておくことができる。
また、外側ベルト5の中央部5cは、乗員面パネル3に取り付けられているので、乗員面パネル3が外側ベルト5の片側だけから膨出してしまうのを防止しておくことができる。これによって、膨張した乗員面パネル3は、外側ベルト5の両側からそれぞれ膨出することができ、右チャンバ11と左チャンバ12とを形成することができる。
このように、本願発明は構成されているので、図4に示すように、助手席用エアバッグ1が膨張展開することで、助手席用エアバッグ1を収納していたインスツルメントパネル内から飛び出し、インスツルメントパネル上面とウインドシールド23との間を塞ぐように、上方へ突出するとともに、座席21に着座している乗員20側へ突出して、背もたれ21aとの間で乗員20を保護することになる。
座席21に着座している乗員20の左右肩は、右肩拘束部分11a及び左肩拘束部分12aによって支えられ、乗員20の頭部は、右肩拘束部分11aと左肩拘束部分12aとの間に形成された収納凹部13内で受け止めることができる。
上面パネル2 と下面パネル4 とによって形成される開口部6 を塞ぐ乗員面パネル3 は、図5(a)に示すように、乗員面パネル3 の上下方向の中央部に襞16a によって重なり合った部分16を一つ形成した構成となっている。この重なり合った部分16は、図5(b)に示すように、助手席用エアバッグ1 の内側を向くように配設する
また、乗員面パネル3 の上下方向の中央部に形成する襞16a の本数としては、図5(b)のように4本として形成することも、図5(c)のように8本とすることもできる。尚、図5(b)〜図5(c)は、図5(a)におけるB−B断面図を示している。
更には、任意の偶数倍の本数となるように襞16aの本数を形成しておくこともできる。襞16aの本数として、任意の偶数倍の本数とした場合にも、襞16aによって重なり合った部分16が助手席用エアバッグ1の内側を向くように配設することも、助手席用エアバッグ1の外側を向くように配設することもできる。
本願発明の助手席用エアバッグ1は、乗員面パネル3が開口部6から膨出していない状態では、図1(c)に示すように、シングルチャンバ型のエアバッグ装置と同様な形状になっている。即ち、乗員面パネル3が開口部6から膨出していない状態では、二つのチャンバが構成されていない。このように、特許文献1、2に示されているように、助手席用エアバッグを膨張させる前から二つのチャンバが構成されている発明とは異なる発明となっている。
本願発明の助手席用エアバッグ1における構成は、シングルチャンバ型のエアバッグ装置の構成とは似た構成ではあるが、基本的な構成は大きく相違している。そこで、本願発明の助手席用エアバッグ1における構成とシングルチャンバ型のエアバッグ装置との違いに関して、より詳細な説明を行うため、図6、図7に参考例として示すシングルチャンバ型の助手席用エアバッグにおける構成を用いて、以下においてその相違を説明する。
図6(a)に示すように、上面パネル42は、乗員面パネルの上面パネル42側の部位となる乗員面パネル部42aを備えた形状に構成されている。そして、下面パネル43と連接する後端縁47aと、乗員面パネル部42aの側縁部47cと、乗員面パネル部42aの側縁部47cに連接される側縁部47bと、乗員面パネルの下面パネル43側の部位となる乗員面パネル部43aと連接される前端縁部47dとによって囲まれた形状によって構成されている。また、エアバッグの膨張形成時に余剰の膨張用ガスを排気するベントホール44を左右の側部に開口した構成となっている。
下面パネル43は、上面パネル42の後端縁47aと連接する後端縁48aと、乗員面パネル部43aの側縁部48cと、乗員面パネル部43aの側縁部48cに連接される側縁部48bと、上面パネル42側の乗員面パネル部42aと連接される前端縁部48dとによって囲まれた形状によって構成されている。また、エアバッグ内に図示せぬインフレータからのガスを導入するガス導入口46を中央部の後端縁48a側に開口した構成となっている。
図6(b)に示すように、乗員面パネル部42aの側縁部47cと側縁部47b同士を連接し、乗員面パネル部43aの側縁部48cと側縁部48b同士を連接するとともに、上面パネル42の後端縁47a及び乗員面パネル部42aの前端縁部47dをそれぞれ下面パネル43の後端縁48a及び乗員面パネル部43aの前端縁部48dに連接することによって、図6(c)に示すようなシングルチャンバ型の助手席用エアバッグ41を構成することができる。
図6(c)では、上面パネル42及び下面パネル43における連接構成として、点線で示した縫製部49による連接構成を示している。図6(c)に示した助手席用エアバッグ41に関して、図7を用いて更に説明する。図7(a)は、図6(c)と同じ図を用いている。図7(b)には図7(a)の上面図を示しており、図7(c)には、図7(a)におけるC−C断面図を示している。
本願発明に係わる図1(c)と参考例として用いた図6(c)とを比較してみると、本願発明に係わる乗員面パネル3が開口部6から膨出していない状態では、両方の助手席用エアバッグ1、41における外観形状は、同じような外観形状を呈している。本願発明に係わる乗員面パネル3が開口部6から膨出した状態を示している図2(a)〜(c)と参考例として用いた図7(a)〜(c)とを比較すると、エアバッグの膨張時には、本願発明では、外側ベルト5の左右から乗員面パネル3が膨出して、右チャンバ11と左チャンバ12とを形成して、ツインチャンバ型のエアバッグとなることができる。
しかも、図2(c)と図7(c)とを比較すると、シングルチャンバ型の助手席用エアバッグ41では、乗員を拘束する乗員面パネル42a(43a)の横幅としては、L1の生地幅で乗員を拘束するのに対して、本願発明に係わる乗員面パネル3の横幅は、L2の生地幅で乗員を拘束することになる。このように本願発明は構成されているので、参考例として示したシングルチャンバ型の助手席用エアバッグ41に比べて、乗員を易しく拘束することができる。しかも、シングルチャンバ型の助手席用エアバッグ41のように、乗員の顔面を乗員面パネル42a(43a)の面で拘束してしまうことがなく、右チャンバ11と左チャンバ12との間の収納凹部13内に乗員の頭部を挿入させて拘束することができる。
このように構成されているので、乗員の顔面を面で拘束したときには、乗員の鼻を拘束した面によって損傷を与えてしまう危険性が生じるが、収納凹部13内に乗員の頭部を挿入させて拘束することができる場合には、乗員の鼻に対する損傷を与えることがない。
このように、本願発明の助手席用エアバッグは、シングルチャンバ型の助手席用エアバッグを製造すると同様に、簡単に構成することができ、しかも、ツインチャンバ型の助手席用エアバッグを製造することができる。
本願発明は、エアバッグ装置に対して好適に適用することができる。
1・・・助手席用エアバッグ、2・・・上面パネル、3・・・乗員面パネル、4・・・下面パネル、5・・・外側ベルト、6・・・開口部、11・・・右チャンバ、12・・・左チャンバ、13・・・収納凹部、16a・・・襞、41・・・助手席用エアバッグ(シングルチャンバ型)、42・・・上面パネル、42a・・・乗員面パネル部、43・・・下面パネル、43a・・・乗員面パネル部。

Claims (3)

  1. 上面パネルと下面パネルと乗員面パネルとを有する助手席用エアバッグであって、
    左右幅方向の中央部に上下方向の開口部を形成して、上面パネルと下面パネルとが連接され、
    前記開口部が、前記乗員面パネルによって塞がれ、
    前記乗員面パネルは左右から幅方向中央に向けて内側に折り畳まれた複数の縦方向の襞を有してなり、
    前記乗員面パネル、エアバッグの膨張時に、上下両端部における横幅寸法よりも上下方向の中央部側における横幅寸法が広くなるように、前記開口部に取り付けられ、
    前記乗員面パネルの左右方向における中央部の外側面に、外側ベルトが上下方向に沿って添設され、
    前記外側ベルトの上下方向における両端部が、前記助手席用エアバッグに取り付けられ、
    エアバッグ膨張時に前記乗員パネルの上下方向における中央部側の部位が、前記外側ベルトの左右両側縁からそれぞれ膨出することを特徴とする助手席用エアバッグ。
  2. 前記乗員面パネルが縦方向に折り畳まれて、前記開口部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の助手席用エアバッグ。
  3. 前記外側ベルトの上下両端部はそれぞれ上面パネルと下面パネルとに取り付けられ、前記外側ベルトの中央部は乗員面パネルに取り付けられてなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の助手席用エアバッグ。
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