JP5521980B2 - 補給用キャリアおよび補給用二成分現像剤 - Google Patents

補給用キャリアおよび補給用二成分現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、いわゆるトリクル現像方式を採用した電子写真画像形成方法に用いられる補給用キャリアおよび補給用二成分現像剤に関する。
近年、電子写真複写機やプリンターはプリント速度の高速化により、従来のオフィス用途にとどまらず、プロダクションプリント分野において使用される機会が増加している。
このプロダクションプリント分野においては、高速かつ大量に印刷が行われるため、大量に連続印刷を行っても画像品質の劣化のない現像剤が求められている。画像品質の劣化を低減するためには、キャリアへのトナー付着を抑制する方法が考えられる。キャリアへのトナー付着を抑制する方法は、多数提案されているが、いずれは寿命を迎えるため、現像剤の交換が必要となる。
この現像剤の交換回数を出来るだけ少なくするために、余剰の現像剤が徐々に排出され、排出された分のトナーおよびキャリアが補給される、いわゆるトリクル現像方式を採用した画像形成方法が提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
このトリクル現像方式においては、余剰の現像剤が徐々に現像装置から排出され、排出された現像剤の分量に応じたキャリア、および、画像形成により消費された分量に加えて排出された現像剤に含有された分量のトナーが補給される。このようなトリクル現像方式を採用することにより、劣化した現像剤が徐々に新しいものに交換されるため、現像剤の過度な劣化が抑制され、その結果、長期間にわたって画像品質の劣化が低減される。
しかしながら、このようなトリクル現像方式を採用した画像形成方法であっても、長期間にわたる使用において画像濃度の低下やカブリなどの画像品質の劣化やトナー飛散などの機内汚染が発生するという問題がある。
特開2001−330985号公報 特開2004−287269号公報 特開2007−079578号公報
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、いわゆるトリクル現像方式において補給されるものであって、長期間にわたって使用した場合であっても画像品質の劣化が低減される補給用キャリアおよび補給用二成分現像剤を提供することにある。
本発明の補給用キャリアは、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、外添剤として少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなるトナー、および、キャリアよりなる二成分現像剤により顕像化する現像プロセスにおいて、余剰の二成分現像剤が排出されると共に新たなトナーおよびキャリアが補給される現像方式における補給用キャリアであって、
当該補給用キャリアが、当該補給用キャリア表面1平方μm当たりに粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が1〜7個付着されてなるものであることを特徴とする。
本発明の補給用キャリアは、当該補給用キャリアが、磁性体よりなるコア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるものにより構成されていることが好ましい。
本発明の補給用二成分現像剤は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、外添剤として少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなるトナー、および、キャリアよりなる二成分現像剤により顕像化する現像プロセスにおいて、余剰の二成分現像剤が排出されると共に新たなトナーおよびキャリアが補給される現像方式における補給用二成分現像剤であって、
上記の補給用キャリアと、外添剤として少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなる補給用トナーとからなることを特徴とする。
本発明の補給用キャリアによれば、いわゆるトリクル現像方式において、当該補給用キャリアが特定範囲の粒径を有するシリカ微粒子を予め外添させたものであることにより、当該補給用キャリアが現像装置に補給された場合においても、当該補給用キャリアと、既に現像装置内に収容されているキャリア(以下、「収容キャリア」ともいう。)との現像装置内に収容されているトナー(以下、「収容トナー」ともいう。)に対する帯電付与能の差が小さいことから、収容トナーの帯電量分布がシャープとなり、長期間にわたって使用した場合であっても画像品質の劣化が低減される。
このような効果が奏される理由は、以下のように考えられる。
すなわち、従来、収容トナーおよび収容キャリアは、現像装置内の撹拌・混合作用により、当該収容キャリアは、収容トナーの外添剤が移行されたものとされており、これにより、当該収容キャリアは所期の帯電付与能を有する補給前の補給用キャリアに比して帯電性が低く、収容トナーに対する帯電付与能も低下したものとなる。従って、収容キャリアと補給用キャリアとは、収容トナーに対する帯電付与能の差が大きいため、このような補給用キャリアが現像装置に補給された場合においては、収容トナーの帯電量分布がブロードとなり、その結果、画像濃度の低下やカブリ、トナー飛散などが発生していたと考えられる。
そこで、本発明においては、特定範囲の粒径を有するシリカ微粒子を予め外添させた補給用キャリアを用いることにより、当該補給用キャリアと収容キャリアとの収容トナーに対する帯電付与能の差が小さくなり、当該補給用キャリアが現像装置に補給された場合においても、収容トナーの帯電量分布がシャープとなり、長期間にわたって使用した場合であっても画像品質の劣化が低減されると考えられる。
本発明の補給用二成分現像剤によれば、いわゆるトリクル現像方式において、当該補給用二成分現像剤を構成する補給用キャリアが、上記の補給用キャリアであるために、当該補給用二成分現像剤が現像装置に補給された場合においても、当該補給用キャリアと収容キャリアとの収容トナー対する帯電付与能の差が小さいことから、収容トナーの帯電量分布がシャープとなり、長期間にわたって使用した場合であっても画像品質の劣化が低減される。
本発明に係るキャリア粒子の製造方法に用いられる高速撹拌混合装置の一例を示す概略図である 図1の高速撹拌混合装置における水平方向回転体の平面図である。 図1の高速撹拌混合装置における水平方向回転体の正面図である。 本発明に係る電子写真画像形成方法に用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。 本発明に係るトリクル現像方式による現像プロセスにおいて用いられる現像装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の補給用キャリアおよび補給用二成分現像剤は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、外添剤として少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなるトナー、および、キャリアよりなる二成分現像剤により顕像化する現像プロセスにおいて、余剰の二成分現像剤が排出されると共に新たなトナーおよびキャリアが補給される現像方式、いわゆるトリクル現像方式(以下、「特定のトリクル現像方式」ともいう。)において用いられる補給用のものである。
なお、本発明の補給用キャリアは、特定のトリクル現像方式において補給されるものであれば、補給用トナーと別個独立で補給される補給形態の現像プロセスに供されるものであっても、補給用トナーと混合して補給用二成分現像剤として補給される補給形態の現像プロセスに供されるものであってもよい。
<補給用キャリア>
本発明の補給用キャリアは、磁性体よりなるキャリア粒子に対して、外添剤としてシリカ微粒子(以下、「キャリア用シリカ微粒子」ともいう。)が添加されてなるものであって、当該補給用キャリア表面1平方μm当たりに粒径が60〜200nmであるキャリア用シリカ微粒子(以下、「特定粒径シリカ微粒子」ともいう。)が1〜7個付着されてなるものである。
〔キャリア用シリカ微粒子〕
本発明の補給用キャリアは、当該補給用キャリア表面1平方μm当たりに特定粒径シリカ微粒子が1〜7個、より好ましくは2〜5個付着されてなるものである。
補給用キャリア表面における特定粒径シリカ微粒子の付着数が上記範囲内であることにより、長期間にわたって使用した場合であっても画像品質の劣化が低減される。
補給用キャリア表面における特定粒径シリカ微粒子の付着数が7個を超える場合においては、補給用キャリアの収容トナーに対する帯電付与能が低くなり過ぎることから、収容トナーの帯電量分布がブロードとなり、長期間にわたって使用した場合に画像品質の劣化が十分に低減されない。
補給用キャリア表面における特定粒径シリカ微粒子の付着数は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM−7401F」(日本電子社製)を用いて、補給用キャリア表面を1万倍に拡大し、6μm×6μmの正方形領域中に存在する粒径60〜200nmの特定粒径シリカ微粒子の個数をカウントする。これを1個の補給用キャリア粒子につき100視野行い、その1平方μm当たりの平均値を補給用キャリア表面における特定粒径シリカ微粒子の付着数とする。
なお、補給用キャリア表面における特定粒径シリカ微粒子の付着数を測定する場合において、試料として補給用二成分現像剤から補給用キャリアを分離して用いるときは、分離方法として、以下のような作業を行う。
まず、80mm×40mm×1mmの2枚のアルミニウム板電極を電極間距離0.5mmとして上下に配置した平行平板方式のトナー帯電量測定器の下側のアルミニウム板電極上に補給用二成分現像剤50mgを均一にして乗せ、両電極間にDCバイアスおよびACバイアスを印加する。負帯電性二成分現像剤の場合においては、上側のアルミニウム板電極にDCバイアスを+1.0kV(正帯電性二成分現像剤の場合においては、上側のアルミニウム板電極に、DCバイアスを−1.0kV)、ACバイアスを4.0kV、2.0kHzの条件にて、トナーを上側のアルミニウム板電極に現像(付着)させる。下側のアルミニウム板電極上に残ったキャリアを採取する。
本発明の補給用キャリアにおいて外添剤として用いられるキャリア用シリカ微粒子は、平均粒径が60〜200nmのものである。
このキャリア用シリカ微粒子の平均粒径は、以下のように測定されるものである。
すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM−7401F」(日本電子社製)を用いて、3万倍に拡大したSEM写真をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置「LUZEX AP」(ニレコ社製)にて、当該SEM写真画像のキャリア用シリカ微粒子について2値化処理し、キャリア用シリカ微粒子100個についての水平方向のフェレ径を算出し、その平均値を平均粒径とする。
キャリア用シリカ微粒子は、当該キャリア用シリカ微粒子の粒度分布における標準偏差が、「体積平均一次粒径D50×0.22」以下であることが好ましい。この標準偏差は、キャリア用シリカ微粒子の分散度を示す指標である。
このキャリア用シリカ微粒子の粒度分布における標準偏差は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−750」(堀場製作所社製)により測定される体積平均一次粒径D50の粒度分布より算出され、測定時に表示される。
キャリア用シリカ微粒子は、疎水化処理が施された疎水性のものであることが好ましく、具体的な市販品としては「X24」(信越化学工業社製)などが挙げられる。
〔キャリア粒子〕
本発明の補給用キャリアを構成するキャリア粒子は、磁性体よりなるものとされるが、磁性体よりなるコア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなる樹脂被覆型のキャリア粒子、または、樹脂中に磁性体微粉末が分散されてなる樹脂分散型のキャリア粒子などにより構成することもでき、感光体へのキャリア付着を抑制する観点から、樹脂被覆型のキャリア粒子により構成されることが好ましい。
このキャリア粒子は、必要に応じて抵抗調整剤などの内添剤を含有するものであってもよい。
(磁性体)
本発明に係るキャリア粒子を構成する磁性体としては、磁場によってその方向に強く磁化する物質、例えば、鉄、式(a):MO・Fe2 3 で表わされるフェライト、式(b):MFe2 4 で表わされるマグネタイトをはじめとする鉄、ニッケルおよびコバルトなどの強磁性を示す金属、またはこれらの金属を含む合金もしくは化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金(例えば、マンガン−銅−アルミニウムおよびマンガン−銅−錫などのホイスラー合金、二酸化クロムなど)などが挙げられる。
なお、上記式(a)および式(b)において、Mは、Mn、Fe、Ni、Co、Cu、Mg、Zn、Cd、Liなどの1価または2価の金属であり、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
(コア粒子)
本発明に係るキャリア粒子が樹脂被覆型のキャリア粒子により構成される場合において、当該キャリア粒子を構成するコア粒子としては、比重が鉄やニッケルなどの金属よりも小さく軽量化が図られるので現像装置内における撹拌の衝撃力を小さくすることができることから、各種のフェライトであることが好ましい。
コア粒子の飽和磁化は、20〜80Am2 /kgであることが好ましい。
このコア粒子の飽和磁化は、直流磁化特性自動記録装置「3257−35」(横河電機社製)により測定されるものである。
(被覆用樹脂)
本発明に係るキャリア粒子が樹脂被覆型のキャリア粒子により構成される場合において、当該キャリア粒子を構成するコア粒子の表面に樹脂被覆を形成する樹脂(以下、「被覆用樹脂」ともいう。)は、ビニル系モノマーなどの重合性単量体を重合して得られた樹脂であることが好ましく、このようなビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン系、アクリル酸系、メタクリル酸系、アクリル酸アルキル系、メタクリル酸アルキル系などが挙げられる。
ビニル系モノマーの具体例としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンまたはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのハロゲン系ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などが挙げられる。これらのビニル系モノマーは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
被覆用樹脂のガラス転移点は、特に限定されないが、95〜120℃であることが好ましい。被覆用樹脂のガラス転移点が上記範囲内であることにより、優れた製膜性が発揮されるので緻密な被覆層が形成される。
この被覆用樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー社製)により測定されるものである。
具体的には、試料(被覆用樹脂)4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、サンプルホルダーにセットする。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/min、降温速度10℃/minにて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行う。ガラス転移点は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点の値とする。
被覆用樹脂の質量平均分子量は、20万〜50万であることが好ましい。被覆用樹脂の質量平均分子量が上記範囲内であることにより、優れた製膜性が発揮されるので緻密な被覆層が形成される。
この被覆用樹脂の質量平均分子量は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるものである。
GPCによる分子量測定は、具体的には以下のように行われる。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度50mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
本発明の補給用キャリアを構成するキャリア粒子の粒径は、体積平均粒径で20〜100μmであることが好ましく、より好ましくは25〜80μmである。
このキャリア粒子の体積平均粒径は、湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定されるものである。
〔補給用キャリアの製造方法〕
本発明の補給用キャリアの製造方法は、特に限定されないが、例えば下記工程(a)〜工程(c)を経る方法が挙げられる。
工程(a):キャリア用シリカ微粒子を作製する工程。
工程(b):キャリア粒子を作製する工程。
工程(c):キャリア粒子にキャリア用シリカ微粒子を添加する工程。
(工程(a):シリカ微粒子作製工程)
この工程(a)においては、公知のシリカ微粒子の作製方法を採用することができ、例えば、加水分解工程、縮重合工程、疎水化処理工程、必要に応じて乾燥工程などを経るゾル−ゲル法が挙げられる。
なお、キャリア用シリカ微粒子の平均粒径は、上記加水分解工程および縮重合工程において、原材料(アルコキシシラン化合物、アンモニアや酸などの触媒、アルコールなどの有機溶媒、水)の質量比、反応温度、撹拌速度、供給速度などを調整することにより制御することができる。
シリカ微粒子の作製方法として、例えばゾル−ゲル法を採用する場合について、以下具体的に説明する。
まず、アルコキシシランを水およびアルコールの存在下において、触媒を加えて加温しながら滴下、撹拌してシリカゾル懸濁液を得る。次に、このシリカゾル混濁液を遠心分離し、湿潤シリカゲル、アルコールおよび水に分離する。湿潤シリカゲルに溶剤を加えて再度シリカゾルの状態にして、疎水化処理剤を加えて疎水化処理して疎水化処理シリカゾルを得る。または、シリカゾルを乾燥した後、疎水化処理剤を加えて疎水化処理して疎水化処理シリカゾルを得る。この疎水化処理シリカゾルから溶媒を除去、乾燥することによりシリカ微粒子が得られる。さらに、このシリカ微粒子に対して再度疎水化処理を行ってもよい。
疎水化処理剤としては、例えば、シラン化合物、シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸金属塩などが挙げられる。
疎水化処理剤として用いられるシラン化合物は、例えば水溶性のものが挙げられる。このような水溶性のシラン化合物としては、例えば下記一般式(1)に示すシラン化合物を用いることができる。
一般式(1): RSiX4 −a
〔一般式(1)において、aは0〜3の整数を示し、Rは水素原子、アルキル基およびアルケニル基などの有機基を示し、Xは塩素原子、メトキシ基およびエトキシ基などの加水分解性基を示す。〕
上記一般式(1)に示すシラン化合物としては、例えば、クロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤などが挙げられる。具体的には、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−ビス(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
これらのうち、特に好ましいものとしては、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランなどが挙げられる。
疎水化処理剤として用いられるシリコーンオイルとしては、例えば、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンなどの環状化合物、直鎖状または分岐状のオルガノシロキサンなどが挙げられる。また、側鎖または、片末端、両末端、側鎖片末端および側鎖両末端などに変性基を導入した反応性の高い少なくとも末端を変性したシリコーンオイルを用いてよい。変性基としては、アルコキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、高級脂肪酸変性、フェノール基、エポキシ基、メタクリル基、アミノ基などが挙げられる。また例えば、アミノ/アルコキシ変性などの2種以上の変性基を有するシリコーンオイルを用いることもできる。
また、ジメチルシリコーンオイルとこれらの変性シリコーンオイル、さらには他の疎水化処理剤とを併用することもできる。併用する疎水化処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、各種シリコーンオイル、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物、ロジン酸などが挙げられる。
シリコーンオイルの動粘度は、シリカ微粒子表面に均一に付着させやすいことから、5cm2 /s以下であることが好ましく、より好ましくは3cm2 /s以下であり、特に好ましくは2cm2 /s以下である。
(工程(b):キャリア粒子作製工程)
この工程(b)において、発明に係るキャリア粒子が樹脂被覆型のキャリア粒子により構成される場合において、このような樹脂被覆型のキャリア粒子の作製方法としては、コア粒子、被覆用樹脂および必要に応じて抵抗調整剤などの内添剤を混合し、機械的衝撃力を付与することにより得られる方法が好ましく、具体的には、以下の工程(1)〜(3)を経る方法が好ましい。
・工程(1):コア粒子、被覆用樹脂の粒子(以下、「被覆用樹脂粒子」ともいう。)および抵抗調整剤を室温で混合し、コア粒子表面に被覆用樹脂粒子および抵抗調整剤を均一な層状に付着させてキャリア中間粒子を形成する工程。
・工程(2):キャリア中間粒子を被覆用樹脂のガラス転移点以上の温度に加熱しながら機械的衝撃力を付与してコア粒子表面に樹脂被覆を施しキャリア粒子を形成する工程。
・工程(3):キャリア粒子を室温まで冷却する工程。
なお、必要に応じて上記工程(1)〜(3)を複数回繰り返して、所望の層厚の樹脂被覆層を形成することもできる。
上記工程(1)〜(3)を経る方法においては、有機溶媒を使用しないことから樹脂被覆層に有機溶媒に起因する穴を形成することなく緻密かつ強固となり、コア粒子との接着性の高い樹脂被覆層を有するキャリア粒子を形成することができる。
・工程(1):キャリア中間粒子形成工程
この工程(1)において用いられる被覆用樹脂粒子は、粒度分布および分子量の観点から、乳化重合法、ミニエマルション重合法により製造することが好ましい。
また、被覆用樹脂粒子の粒径は、体積平均粒径で50〜500nmであることが好ましく、より好ましくは80〜150nmである。
この被覆用樹脂粒子の体積平均粒径は、「MICROTRAC UPA−150」(日機装社製)により測定されるものである。
この工程(1)においては、被覆用樹脂粒子の添加量は、コア粒子100質量部に対して0.5〜7.0質量部であることが好ましい。また、抵抗調整剤の添加量は、被覆用樹脂粒子100質量部に対して1〜60質量部であることが好ましい。
・工程(2):キャリア粒子形成工程
この工程(2)において、機械的衝撃力を付与するとは、機械的衝撃力を付与することのできる装置を用いることをいい、このような装置としては、例えば、ターボミル、ピンミル、クリプトロンなどのローターとライナーを有する摩砕装置、または撹拌羽根を有する高速撹拌混合装置などが挙げられる。これらのうち、均一な樹脂被覆層を形成することができることから、撹拌羽根を有する高速撹拌混合装置を用いることが好ましい。
機械的衝撃力を付与する時間は、使用する装置によっても異なるが、通常、10〜60分間とされる。
また、機械的衝撃力の大きさは、通常、周速3〜20m/secとされ、好ましくは4〜15m/secとされる。機械的衝撃力の大きさが周速3m/sec未満である場合においては、ブロッキングが発生するおそれがあり、一方、機械的衝撃力の大きさが周速20m/secを超える場合においては、樹脂被覆層が破壊されるおそれがあり、また、コア粒子自体が破壊されるおそれもある。
この工程(2)における加熱温度は、(被覆用樹脂のガラス転移点+5℃)〜(被覆用樹脂のガラス転移点+20℃)であることが好ましい。
・工程(3):冷却工程
この工程(3)においては、公知の冷却処理が行われる。
以下に、樹脂被覆型のキャリア粒子の作製方法として、図1に示す高速撹拌混合機を用いた方法について具体的に説明する。
図1に示すように、この高速撹拌混合装置は、混合撹拌槽30を備え、その上蓋31に、投入弁33が設置された原料投入口32と、フィルター34と、点検口35とが設けられており、混合撹拌槽30内の底部には、モーター22により駆動される水平方向回転体38が設けられている。
この水平方向回転体38は、図2に示されるように、矢印方向に回転される中心部38dと、この中心部38dから互いに均等な位置に設けられた長片体よりなる3つの回転翼38a,38b,38cとを備えてなり、これらの回転翼38a,38b,38cは、図3に示されるように、各々、上蓋31に向かう斜面が形成されるよう、長片体の一側辺が混合撹拌槽30の底部30aに近接すると共に、他側辺が混合撹拌槽30の底部30aから斜め上方に例えば角度120°で立ち上がった位置に設置されている。
図1において、37は、例えば原料の撹拌時には加熱手段として機能し、原料の撹拌終了後には冷却手段として機能するジャケットであり、36は、品温計である。
また、39は、必要に応じて設けられる、矢印方向に回転して原料の撹拌を促進し、その凝集を防止するための、2枚の回転翼よりなる垂直方向回転体である。
さらに、40は、排出弁21が設置された製品排出口である。
この高速撹拌混合装置においては、まず、予備混合工程として、コア粒子、被覆用樹脂粒子および抵抗調整剤を原料投入口32から投入し、ジャケット37に10℃〜15℃の冷却水を通して、撹拌羽根38a,38b,38cを1m/sec以下の周速で回転させ、混合撹拌槽30内の温度を被覆用樹脂のガラス転移点未満として、投入された原料を1〜2分間撹拌・混合する。
次に、キャリア中間粒子形成工程として、ジャケット37に10℃〜15℃の冷却水を通して、撹拌羽根38a,38b,38cを10m/sec以下の周速で回転させ、混合撹拌槽30内の温度を被覆用樹脂のガラス転移点未満として、予備混合された原料を10〜20分間撹拌・混合し、コア粒子の表面に被覆用樹脂粒子および抵抗調整剤を付着させてキャリア中間粒子を形成する。
そして、キャリア粒子形成工程として、ジャケット37に温水または蒸気を通して、上記のキャリア中間粒子形成工程と同じか、またはそれ以上の周速で撹拌羽根38a,38b,38cを回転させることにより機械的衝撃力を付与して、混合撹拌槽20内の温度を被覆用樹脂のガラス転移点以上として、5〜20分間撹拌し、コア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子を形成する。
その後、冷却工程として、ジャケット37に10〜15℃の冷水を通して、上記のキャリア粒子形成工程と同じか、またはそれ以下の周速で撹拌羽根38a,38b,38cを回転させ、被覆用樹脂のガラス転移点以下となったら、排出弁21を開き、製品排出口40から取り出す。
(工程(c):キャリア用シリカ微粒子添加工程)
この工程(c)において、キャリア用シリカ微粒子の添加方法は、キャリア粒子表面にキャリア用シリカ微粒子が付着される方法であれば、特に限定されないが、通常のトナーにおける外添剤の外添方法と同様の方法を採用することができる。例えば乾燥済みのトナー粒子に外添剤を粉体で添加して混合する乾式法などが挙げられる。この乾式法において用いられる混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置が挙げられる。
キャリア用シリカ微粒子の添加量は、キャリア粒子100質量部に対して0.7〜3.0質量部であることが好ましい。
キャリア用シリカ微粒子の添加量が上記範囲内であることにより、補給用キャリア表面における特定粒径シリカ微粒子の付着数を最適に制御することができる。
キャリア用シリカ微粒子の添加量が0.7質量部未満である場合においては、補給用キャリア表面における特定粒径シリカ微粒子の付着数が少なくなるおそれがあり、一方、キャリア用シリカ微粒子の添加量が3.0質量部を超える場合においては、補給用キャリア表面における特定粒径シリカ微粒子の付着数が多くなり過ぎるおそれがある。
以上のような補給用キャリアによれば、特定のトリクル現像方式において、当該補給用キャリアが特定粒径シリカ微粒子を予め外添させたものであることにより、当該補給用キャリアが現像装置に補給された場合においても、当該補給用キャリアと、収容キャリアとの収容トナーに対する帯電付与能の差が小さいことから、収容トナーの帯電量分布がシャープとなり、長期間にわたって使用した場合であっても画像品質の劣化が低減される。
<補給用二成分現像剤>
本発明の補給用二成分現像剤は、特定のトリクル現像方式における補給用のものであって、上記の補給用キャリアと、後述する補給用トナーとにより構成される。
本発明の補給用二成分現像剤は、補給用キャリアと補給用トナーとを、タービュラーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を用いて混合することにより得られる。
補給用キャリアと補給用トナーとの混合比は、補給用キャリア100質量部に対して補給用トナー700〜1000質量部であることが好ましい。
以上のような補給用二成分現像剤によれば、特定のトリクル現像方式において、当該補給用二成分現像剤を構成する補給用キャリアが、本発明の補給用キャリアであるために、当該補給用二成分現像剤が現像装置に補給された場合においても、当該補給用キャリアと収容キャリアとの収容トナー対する帯電付与能の差が小さいことから、収容トナーの帯電量分布がシャープとなり、長期間にわたって使用した場合であっても画像品質の劣化が低減される。
<補給用トナー>
本発明の補給用二成分現像剤を構成する補給用トナーは、少なくとも樹脂(以下、「トナー用樹脂」ともいう。)および着色剤を含有するトナー粒子に対して、少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子(以下、「トナー用シリカ微粒子」ともいう。)を含む外添剤が添加されてなるものである。
〔トナー粒子〕
本発明に係る補給用トナーを構成するトナー粒子は、少なくともトナー用樹脂および着色剤を含有するものである。
このトナー粒子には、必要に応じて離型剤などの内添剤を含有することもできる。
(トナー用樹脂)
本発明に係る補給用トナーが粉砕法、乳化分散法などにより製造される場合においては、トナー粒子を構成するトナー用樹脂として、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルホン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂などの公知の樹脂が挙げられる。
また、補給用トナーが懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、乳化重合会合法などにより製造される場合においては、トナー粒子を構成するトナー用樹脂を得るための重合性単量体として、例えば、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸エステル誘導体、アクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系モノマーが挙げられる。これらのビニル系モノマーは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、重合性単量体として、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などのイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。さらに、重合性単量体として、多官能性ビニル系モノマーを用いて架橋構造のトナー用樹脂を用いることもできる。
トナー用樹脂のガラス転移点は、90〜110℃であること好ましい。
このトナー用樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー社製)により測定されるものである。
具体的には、試料(トナー用樹脂)4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、サンプルホルダーにセットする。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/min、降温速度10℃/minにて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行う。ガラス転移点は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線との交点の値とする。
(着色剤)
本発明に係るトナー粒子を構成する着色剤としては、例えば、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などが挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。
磁性体としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性体金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金(例えば、マンガン−銅−アルミニウムおよびマンガン−銅−錫などのホイスラー合金、二酸化クロムなど)などが挙げられる。
染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
着色剤の含有量は、トナー用樹脂100質量部に対して4〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜8質量部である。
(離型剤)
本発明に係るトナー粒子に内添剤として離型剤が含有される場合においては、離型剤としては、公知のワックスを用いることができ、例えば、低分子量ポリエチレンワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックスなどの炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ペンタエリスリトールベヘン酸エステル、ベヘン酸ベヘニル、クエン酸ベヘニルなどのエステルワックスなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
離型剤の含有量は、トナー用樹脂100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜10質量部である。
離型剤の融点は、補給用トナーの低温定着性および離型性の観点から、50〜95℃であることが好ましい。
この離型剤の融点は、示差走査熱量計「DSC−7」(パーキンエルマー社製)により測定されるものである。
本発明に係る補給用トナーを構成するトナー粒子の粒径は、体積基準のメディアン径(D50)で5.0〜8.0μmであることが好ましく、より好ましくは5.2〜6.7μmである。
このトナー粒子の体積基準のメディアン径(D50)は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。
具体的には、試料(トナー粒子)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散処理を1分間行い、トナー粒子の分散液を調製し、このトナー粒子の分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5%〜10%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径を体積基準のメディアン径(D50)とする。
トナー粒子は、体積基準のメディアン径(D50)の粒度分布における変動係数(CV値)が10〜25%のものが好ましく、より好ましくは12〜18%のものである。
トナー粒子の変動係数(CV値)が上記範囲であることにより、トナー粒子の大きさが揃った状態となって微細なドット画像や細線をより高精度で再現することが可能となる。
この体積基準のメディアン径(D50)の粒度分布における変動係数(CV値)は、下記の数式(2)により算出されるものである。このCV値が小さくなるほど粒度分布がシャープであることを示し、従ってトナー粒子の大きさが揃っていることを意味する。
数式(2):CV値(%)=粒度分布における標準偏差/粒度分布におけるメディアン径(D50)×100
トナー粒子の平均円形度は、0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
このトナー粒子の平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により測定されるものである。
具体的には、試料(トナー粒子)を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出する。
式(T):平均円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
〔外添剤〕
本発明に係る補給用トナーに用いられる外添剤は、少なくともトナー用シリカ微粒子を含み、その他の外添剤が含有されていてもよい。
(トナー用シリカ微粒子)
本発明に係る補給用トナーの外添剤として用いられるトナー用シリカ微粒子は、平均粒径が60〜200nmのもの、好ましくは70〜150nmのものである。
このトナー用シリカ微粒子の平均粒径は、上述したキャリア用シリカ微粒子の平均粒径の測定方法と同様に測定されるものである。
トナー用シリカ微粒子としては、特に限定されず、上述したキャリア用シリカ微粒子と同様のものを用いることができる。
(その他の外添剤)
本発明に係る補給用トナーの外添剤として用いられるその他の外添剤としては、補給用トナーの流動性または帯電性を制御する観点から、例えば、シリカ微粒子(平均粒径が60nm未満のシリカ微粒子)、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、チタン酸亜鉛微粒子などの無機チタン酸化合物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。このような無機微粒子については、シランカップリング剤またはチタンカップリング剤などにより疎水化処理されていることが好ましい。
その他の外添剤としては、無機微粒子の他、有機微粒子、有機無機複合微粒子などを用いることもできる。このような有機微粒子は、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などから構成され、平均粒径が10〜2000nmであることが好ましい。なお、この有機微粒子の平均粒径は、上述したキャリア用シリカ微粒子の平均粒径の測定方法において試料を有機微粒子に変更することの他は同様に測定されるものである。
本発明に係る補給用トナーにおいて、流動性を付与する目的でその他の外添剤を添加する場合においては、当該外添剤の平均粒径は、トナー用シリカ微粒子の平均粒径よりも小さい粒径であることが好ましく、例えば5〜30nmとされる。
その他の外添剤の平均粒径は、上述したキャリア用シリカ微粒子の平均粒径の測定方法において試料をその他の外添剤に変更することの他は同様に測定されるものである。
〔補給用トナーの製造方法〕
本発明に係る補給用トナーの製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の製造方法を採用することができる。具体的には、混練、粉砕、分級工程を経て製造するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させながら形状や粒径を制御して粒子形成を行ういわゆる重合法などが挙げられる。このような重合法による製造方法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、ポリエステル伸長法、乳化重合会合法などが挙げられる。これらのなかでも、形状や粒径の揃ったトナーが得られることから、乳化重合法により作成したトナー用樹脂の粒子を凝集、会合させる工程を経る乳化重合会合法が好ましい。
本発明に係る補給用トナーの製造方法として、乳化重合会合法を用いる場合の一例を以下に示す。
工程(A):水系媒体中に着色剤の粒子(以下、「着色剤粒子」ともいう。)が分散されてなる分散液を調製する工程。
工程(B):水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有したトナー用樹脂の粒子(以下、「トナー用樹脂粒子」ともいう。)が分散されてなる分散液を調製する工程。
工程(C):着色剤粒子の分散液とトナー用樹脂粒子の分散液とを混合して凝集会合分散液を調製し、着色剤粒子およびトナー用樹脂粒子を凝集、会合、融着させてトナー粒子を形成する工程。
工程(D):トナー粒子の分散系(水系媒体)からトナー粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程。
工程(E):トナー粒子を乾燥する工程。
工程(F):トナー粒子に外添剤を添加する工程。
なお、水系媒体とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
(工程(A):着色剤粒子分散液調製工程)
この工程(A)において、着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散処理することにより調製することができる。この分散処理においては、着色剤粒子が分散液中に均一に分散されることから、水系媒体中の界面活性剤の濃度を臨界ミセル濃度以上の状態で行うことが好ましい。また、分散処理において用いられる分散機としては、公知のものを用いることができる。
また、この工程(A)において用いられる界面活性剤としては、公知のものを用いることができる。
着色剤粒子の粒径は、体積平均粒径で10〜200nmであることが好ましい。
この着色剤粒子の体積平均粒径は、「MICROTRAC UPA−150」(日機装社製)により測定されるものである。
(工程(B):トナー用樹脂粒子分散液調製工程)
この工程(B)において、トナー用樹脂粒子は、乳化重合法により製造され、この乳化重合法においては、トナー用樹脂を形成するべき重合性単量体を水系媒体中に分散させて乳化粒子(油滴)を形成した後、重合開始剤を投入して重合性単量体を重合させることにより形成される。
工程(B)において用いられる重合開始剤としては、水溶性の重合開始剤であれば特に限定されるものではない。重合開始剤の具体例としては、例えば、過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩など)、パーオキシド化合物などが挙げられる。
工程(B)においては、トナー用樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではないが、例えば、2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタンおよびスチレンダイマーなどが挙げられる。
トナー用樹脂粒子の粒径は、体積基準のメディアン径(D50)で100〜250nmであることが好ましい。
このトナー用樹脂粒子の体積基準のメディアン径(D50)は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置「LA−750」(堀場製作所社製)により測定されるものである。
(工程(C):凝集・会合・融着工程)
この工程(C)においては、凝集会合分散液に臨界凝集濃度以上の量の凝集剤を加え、塩析させると共に、撹拌し、トナー用樹脂のガラス転移点以上の温度で加熱し、融着させて会合粒子を形成し、徐々に粒径を成長させて目的の粒径となったところで水を多量に加えて成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御する。
工程(C)において用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好ましく、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの1価の金属の塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの2価の金属の塩;鉄、アルミニウムなどの3価の金属の塩などが挙げられる。具体的には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、凝集速度の観点から、2価の金属の塩を用いることが好ましい。
工程(C)においては、凝集剤を添加した後に放置する時間(加熱を開始するまでの時間)をできるだけ短時間にすることが好ましい。すなわち、凝集剤を添加した後、凝集会合分散液の加熱をできるだけ速やかに開始し、トナー用樹脂のガラス転移点以上の温度とすることが好ましい。この理由は明確ではないが、放置時間の経過により凝集粒子の凝集状態が変動して、得られるトナー粒子の粒度分布がブロードとなるおそれや、トナー粒子の表面が平滑面とならないおそれがあるからである。
放置時間は、通常30分間以内とされ、好ましくは10分間以内とされる。
また、工程(C)においては、加熱により速やかに昇温させることが好ましく、昇温速度は1℃/min以上とすることが好ましい。昇温速度の上限は特に限定されないが、急速な融着の進行による粗大なトナー粒子の発生を抑制する観点から、15℃/min以下とすることが好ましい。さらに、凝集会合分散液がガラス転移点以上の温度に到達した後、当該凝集会合分散液の温度を一定時間保持することにより、融着を継続させることが好ましい。これにより、粒子成長と融着とを効率的に進行させることができ、最終的に得られるトナー粒子が高い耐久性を有するものとなる。
(工程(D):洗浄工程)
この工程(D)においては、得られたトナー粒子の分散液を冷却し、この冷却されたトナー粒子の分散液からトナー粒子を固液分離してトナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。具体的な固液分離の方法としては、例えば、遠心分離法、ヌッチェなどを用いる減圧濾過法、フィルタープレスなどを用いる濾過法などが挙げられる。
(工程(E):乾燥工程)
この工程(E)においては、乾燥処理が施される。乾燥処理で用いられる乾燥機としては、例えば、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などが挙げられる。
(工程(F):外添剤添加工程)
この工程(F)においては、乾燥済みのトナー粒子に少なくともトナー用シリカ微粒子を含有する外添剤を粉体で添加して混合する乾式法により添加される。混合装置としては、例えば、ヘンシェルミキサー、コーヒーミルなどの機械式の混合装置が挙げられる。
乳化重合会合法により補給用トナーを製造する場合においては、乳化重合法によって得られるトナー用樹脂粒子は、組成の異なるトナー用樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよく、このような構成のトナー用樹脂粒子は、例えば2層構造を有するものは、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)によって樹脂粒子の分散液を調製し、この分散液に重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する手法によって得ることができる。
また、乳化重合会合法によってはコア−シェル構造を有する補給用トナーを得ることもでき、具体的には、コア−シェル構造を有する補給用トナーは、先ず、コア粒子用の樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。
<電子写真画像形成方法>
本発明の補給用キャリアおよび補給用二成分現像剤は、静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなるトナー、および、キャリアよりなる二成分現像剤により顕像化する現像プロセスにおいて、余剰の二成分現像剤が排出されると共に新たなトナーおよびキャリアが補給される特定のトリクル現像方式を採用した電子写真画像形成方法において用いられるものである。
このような電子写真画像形成方法において、本発明に係る特定のトリクル現像方式における現像プロセスに供されるトナー、すなわち、例えば新たに画像形成装置を設置するなどの画像形成動作を行う前に予め現像装置内に充填するべきトナーは、外添剤として少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなるものであれば、特に限定されず、公知のものを用いることができ、上述した補給用トナーと同様のものを用いることができる。
また、本発明に係る特定のトリクル現像方式における現像プロセスに供されるキャリア、すなわち、例えば新たに画像形成装置を設置するなどの画像形成動作を行う前に予め現像装置内に充填するべきキャリアは、特に限定されず公知のものを用いることができる。
〔画像形成装置〕
以下、本発明に係るトリクル現像方式を採用した電子写真画像形成方法について、具体的に説明する。
図4は、本発明に係る電子写真画像形成方法に用いられる画像形成装置の一例を示す概略図である。この画像形成装置は、カラー画像形成装置であって、4組の画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kが中間転写体である中間転写ベルト17に沿って設けられた構成のタンデム方式のカラー画像形成装置である。
各画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kは、ローラ17a、17b、17d、17fに外接して張架された中間転写ベルト17に従動し、導電層が接地された状態で反時計方向に回転される、静電潜像担持体である感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kと、スコロトロン帯電器よりなる、感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kの移動方向に対して直交する方向に配設されてトナーと同極性のコロナ放電によって、当該感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kの表面に一様な電位を与える帯電手段11Y、11M、11C、11Kと、例えばポリゴンミラーなどによって感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kの回転軸と平行に走査を行い、一様に帯電された感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kの表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電潜像を形成させる露光手段12Y、12M、12C、12Kと、トナーを感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kの表面に搬送して前記静電潜像を顕像化する現像装置13Y、13M、13C、13Kとを有する。
そして、この現像装置13Y、13M、13C、13Kは、補給用トナーおよび補給用キャリアが補給用ホッパ42Y、42M、42C、42Kから徐々に補給され、さらに余剰の二成分現像剤が回収ボックス46Y、46M、46C、46Kに徐々に排出される、いわゆるトリクル現像方式のものである。
感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kは、駆動源(図示せず)によりローラ17aの回転駆動による中間転写ベルト17の矢印で示す方向への駆動と、各画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kにおける現像装置13Y、13M、13C、13Kの下流側でありかつ静電潜像が一次転写手段14Y、14M、14C、14Kによって一次転写される一次転写領域の上流側に、中間転写ベルト17の内側に配設された、例えばウレタンゴムなどよりなるブレードにより形成された押圧弾性板17y、17m、17c、17kにより中間転写ベルト17が感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kに押圧されることにより、中間転写ベルト17に従動して回転される。
感光体ドラム10Y、10M、10C、10Kは、アルミ材よりなる円筒状の金属基体の外周面上に、オーバーコート層(保護層)を設けた有機感光体層(OPC)が形成されたものであり、例えばその外径は100mmとされる。
また、中間転写ベルト17は、例えば体積抵抗率1012〜1015Ω・cmの無端状のベルトであり、具体的には、例えば変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイなどのエンジニアリングプラスチックに導電性材料を分散させた、厚さ0.1〜1.0mmの半導電性フィルムよりなる基体の外側に、好ましくはトナーフィルミング防止層として厚さ5〜50μmのフッ素コーティングを行った、2層構成のものであることが好ましい。
中間転写ベルト17を構成する基体としては、上記に挙げた半導電性フィルムよりなる基体の他に、シリコンゴム、ウレタンゴムなどに導電性材料を分散させた厚さ0.5〜2.0mmの半導電性ゴムよりなる基体を挙げることもできる。
なお、図4において、15Y、15M、15C、15Kは、好ましくはコロナ放電器により構成され、一次転写手段14Y、14M、14C、14Kにより帯電された中間転写ベルト17を除電する除電手段であり、16Y、16M、16C、16Kは、一次転写後に感光体ドラム10Y、10M、10C、10K上に残留した残留トナーを回収するクリーニング装置である。
ここで、画像形成ユニット100Yによれば黄色のトナー像が形成され、画像形成ユニット100Mによればマゼンタ色のトナー像が形成され、画像形成ユニット100Cによればシアン色のトナー像が形成され、画像形成ユニット100Kによれば黒色のトナー像が形成される。
このような画像形成装置においては、各画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kの感光体ドラム10Y、10M、10C、10K上に形成された各色のトナー像が、循環移動する中間転写ベルト17上に、例えばコロナ放電器よりなる一次転写手段14Y、14M、14C、14Kにより順次転写されて重ね合わせられることにより、カラートナー像が形成され、二次転写手段18において、給紙トレイ47から搬送された画像支持体P上に一括して転写され、分離手段19によって中間転写ベルト17から分離され、加熱ローラ20bおよび加圧ローラ20aが圧接されて構成される定着装置20において定着され、最終的に、排出口41から機外に排出される。
〔現像装置〕
以下、本発明に係るトリクル現像方式による現像プロセスついて具体的に説明する。
図4に示される4組の画像形成ユニット100Y、100M、100C、100Kにおける現像装置13Y、13M、13C、13Kは、充填されるトナーの色が互いに異なること以外は同じ構成を有する。以下においては、代表して現像装置13Kについて説明する。図5は、本発明に係るトリクル現像方式による現像プロセスにおいて用いられる現像装置の一例を示す概略図である。
この現像装置13Kは、現像装置13K内の余剰の二成分現像剤の一部が継続的または断続的に少しずつ排出されると共に、補給用トナーと補給用キャリアとが別個独立に継続的または断続的に補給される補給形態を有すものである。
この現像装置13Kにおいて、当該現像装置13Kのハウジング51内で撹拌・混合されてトナー像の顕像化に供される二成分現像剤は、トナー濃度が1〜15質量%とされることが好ましい。
そして、補給用トナーの補給量は、現像プロセスにより消費されるトナーの量に対応した量であり、補給用キャリアの補給量は、現像装置13Kのハウジング51内において二成分現像剤が実質的に同じトナー濃度となる量とされる。
この現像装置13Kは、ハウジング51内に、黒色に係る二成分現像剤が充填されているものであり、図5に示されるように、感光体ドラム10Kの周面に対し、所定の間隙、例えば100〜500μmを介して、現像領域Rにおいて当該感光体ドラム10Kと同方向に移動されるよう、矢印で示すように時計方向に回転される現像スリーブ52を有し、現像スリーブ52に対して直流電圧または直流電圧と交流電圧とが重畳された現像バイアスが印加されることにより、当該現像スリーブ52の外周面上に担持された二成分現像剤が磁気ブラシとされて非接触式の反転現像が行われ、感光体ドラム10K上の静電潜像が顕像化されて黒色のトナー像が形成されるものである。
現像スリーブ52は、例えば厚み0.5〜1mm、外径15〜25mmの、例えばステンレス、アルミニウムなどの非磁性材からなる円筒状体により形成されているものである。
現像スリーブ52内には、マグネットロール53が設けられており、このマグネットロール53は、複数の磁極N1、S1、N2、S2、N3、N4、S3を備えた円柱状の磁石体からなり、現像スリーブ52に内包された状態において同心に固定され、現像スリーブ52の外周面に磁力を作用させている。マグネットロール53を構成する磁極の磁力は、現像スリーブ52の表面において500〜1200ガウスであることが好ましく、さらに好ましくは700〜1000ガウスとされる。なお、現像スリーブ52の表面における磁力はガウスメーターにより求めることができる。
図5において、55A、55Bは、互いに相反する方向に等速で回転し、現像装置13Kのハウジング51内の二成分現像剤を撹拌・混合し、所定割合のトナーおよびキャリアを均等に有し、かつ、摩擦帯電がなされた二成分現像剤を得るための撹拌スクリューであり、57は、搬送供給ローラであり、この搬送供給ローラ57は、除去板56により剥ぎ取られた二成分現像剤を撹拌スクリュー55A、55Bに搬送すると共に、撹拌スクリュー55A、55Bによりの撹拌・混合された二成分現像剤を現像スリーブ52ヘと供給するものである。
この搬送供給ローラ57は、円柱状の軸部材の外周面に例えば4つの平板状の羽根部材57a、57a、57a、57aの各々が軸部材の外周面における周方向に互いに等間隔毎に離間した位置において径方向外方に延びるよう設けられた十字パドル形状を有するものである。
また、図5において、58は、現像スリーブ52の外周面上に形成されるべき現像剤層の厚みを所定の大きさに規制するための、現像スリーブ52と所定の間隙を介して配置される例えば棒状あるいは板状の磁性材からなる層厚規制部材であり、59は、非磁性材からなり、層厚規制部材58によって規制された現像剤層を安定した状態とする受け部材、56は、マグネットロール53の磁極N2と対向して設けられ、磁極N2、N3の反発磁界と背面に設けられた磁石板56aとの作用により現像スリーブ52上の現像剤を剥ぎ取る除去板である。
そして、この現像装置13Kにおいては、ハウジング51の天面板51aにおける撹拌スクリュー55B上の位置に、ハウジング51内に補給用トナーを補給するためのトナー補給口49aおよび補給用キャリアを補給するためのキャリア補給口49bが形成されている。
以上のような現像装置13Kにおいては、以下のように現像プロセスが行われる。
すなわち、ハウジング51内に充填された二成分現像剤が、撹拌スクリュー55A、55Bによって撹拌・混合され、搬送供給ローラ57によって現像スリーブ52の外周面に運ばれた後、磁力により現像スリーブ52の外周面に付着され、さらに層厚規制部材58によってその厚みが規制されて磁気ブラシによる現像剤層が形成され、これが現像領域Rに搬送され、当該現像領域Rにおいて、現像スリーブ52と感光体ドラム10Kとの間に直流(DC)電圧に必要に応じて交流(AC)電圧が重畳された現像バイアス電圧が印加されることによって、非接触式の反転現像が行われて感光体ドラム10K上の静電潜像が顕像化される。
一方、静電潜像を顕像化しなかった二成分現像剤は、磁極N2、N3の反発磁界と除去板56の磁石板56aとの作用により現像スリーブ52から剥ぎ取られ、搬送供給ローラ57により再度撹拌スクリュー55A、55Bへと搬送される。
このような現像プロセスにおいて、トナー補給口49aから補給された補給用トナーおよびキャリア補給口49bから補給された補給用キャリアは、撹拌スクリュー55A、55Bによって撹拌・混合されて現像に供される。
具体的には、トナー補給口49aから補給された補給用トナーおよびキャリア補給口49bから補給された補給用キャリアは、撹拌スクリュー55A、55Bにより、ハウジング51内に充填されているトナーおよびキャリアと撹拌・混合されて均質なトナー濃度を有する二成分現像剤とされる。
このような現像装置13Kへの補給用トナーおよび補給用キャリアの補給は、例えば、ハウジング51内における下部に設けられたトナー濃度検知センサー54によってハウジング51内のトナー濃度が所定のトナー濃度より低下したことが検知されることにより、行われる。
具体的には、補給用トナーホッパ421Kに供給された補給用トナーが、補給用トナーホッパ421Kの下端に設けられた供給ローラ43Kの回転によりトナー補給路441Kを通ってトナー補給口49aからハウジング51内へ補給される。また、補給用キャリアホッパ422Kに供給された補給用キャリアが、補給用キャリアホッパ422Kの下端に設けられた供給ローラ43Kの回転によりキャリア補給路442Kを通ってキャリア補給口49bからハウジング51内へ補給される。
一方、現像装置13Kからの二成分現像剤の排出は、例えば、補給用トナーおよび補給用キャリアの補給によってハウジング51内の二成分現像剤の量が増量したこと、すなわち、ハウジング51内の二成分現像剤の界面レベルが上昇したことが、図示しない界面レベル検知手段によって検知されることにより、行われる。
具体的には、撹拌スクリュー55A、55Bが通常の撹拌・混合時とは逆回転駆動されることにより、二成分現像剤がハウジング51から排出され、撹拌スクリュー55A、55Bの逆回転駆動と同時に回転が開始される搬送スクリュー45Kによって画像形成装置の下部に設けられた回収ボックス46Kに回収される。
このような動作によってハウジング51内の二成分現像剤の排出が行われ、界面レベル検知手段によってハウジング51内の二成分現像剤が標準レベルまで減量したことが検知されることにより、撹拌スクリュー55A、55Bの逆回転駆動が停止されて二成分現像剤の排出が停止される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<補給用キャリアの製造例1>
(1)キャリア粒子作製工程
コア粒子としてマンガンフェライト粒子(平均粒径:35μm、飽和磁化:70Am2 /kg)100質量部、および、被覆用樹脂としてメチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート共重合体(質量比:50/50)の被覆用樹脂粒子(体積平均粒径:100nm、ガラス転移点:110℃、質量平均分子量:34万)4質量部を図1に示す高速撹拌混合装置に投入し、コア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるキャリア粒子〔1〕を作製した。このキャリア粒子〔1〕の粒径は、体積平均粒径で37μmであった。
(2)外添剤添加工程
キャリア粒子〔1〕100質量部に外添剤として平均粒径が60nmであるシリカ微粒子5質量部を添加し、振とう器「Model−YGG」(ヤヨイ社製)により10分間混合し、補給用キャリア〔1〕を得た。この補給用キャリア〔1〕においては、当該補給用キャリア〔1〕表面1平方μm当たりに粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が4個存在した。
なお、補給用キャリア〔1〕について、外添剤の添加によっては、その粒径は変化しなかった。
<補給用キャリアの製造例2〜9>
補給用キャリアの製造例1において、(2)外添剤添加工程における外添剤として「平均粒径が60nmであるシリカ微粒子5質量部」を、表1に示す平均粒径を有するシリカ微粒子および添加量に変更したことの他は同様にして補給用キャリア〔2〕〜〔9〕を得た。補給用キャリア〔2〕〜〔9〕表面における粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子の付着数を表1に示す。
<補給用トナーの製造例1>
〔コア用樹脂粒子の分散液調製工程〕
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部とイオン交換水3000質量部とを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、液温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記単量体よりなる混合液を1時間かけて滴下した後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1H〕の分散液(以下、「樹脂粒子分散液〔1H〕」という。)を調製した。
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチルメルカプタン 16質量部
(2)第2段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシ(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部とイオン交換水800質量部とを仕込み、98℃に加熱後、樹脂粒子分散液〔1H〕260質量部(固形分換算)と、下記単量体および離型剤よりなる溶液を90℃にて溶解させた溶液とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。次いで、この分散液に過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、液温を82℃とし、1時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂粒子〔1HM〕の分散液(以下、「樹脂粒子分散液〔1HM〕」という。)を調製した。
スチレン 245質量部
n−ブチルアクリレート 120質量部
n−オクチルメルカプタン 1.5質量部
エステルワックス(融点70℃) 190質量部
(3)第3段重合
樹脂粒子分散液〔1HM〕に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、82℃にて下記単量体よりなる混合液を1時間かけて滴下した。滴下した後、2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合を行い、28℃まで冷却し、コア用樹脂粒子〔A〕の分散液(以下、「コア用樹脂粒子分散液〔A〕」という。)を調製した。
スチレン 435質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 33質量部
n−オクチルメルカプタン 8質量部
〔シェル用樹脂粒子の分散液調製工程〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム2.3質量部とイオン交換水3000質量部とを仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、液温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、再度液温を80℃とし、下記単量体よりなる混合液を1時間かけて滴下した後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、シェル用樹脂粒子〔B〕の分散液(以下、「シェル用樹脂粒子分散液〔B〕」という。)を調製した。
スチレン 520質量部
n−ブチルアクリレート 210質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチルメルカプタン 4質量部
〔着色剤粒子の分散液調製工程〕
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1590質量部に投入し撹拌した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)420質量部を徐々に添加し、「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により分散し、着色剤粒子〔1〕の分散液(以下、「着色剤粒子分散液〔1〕」という。)を調製した。この着色剤粒子〔1〕の粒径は、体積平均粒径で117nmであった。
〔凝集・会合・融着工程〕
(1)コア粒子の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、コア用樹脂粒子分散液〔A〕300質量部(固形分換算)と、イオン交換水1400質量部と、着色剤粒子分散液〔1〕120質量部と、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解させた溶液とを仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35質量部をイオン交換水35質量部に溶解させた溶液を撹拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで加熱し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)により会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメディアン径(D50)で5.5μmとなった時点で、塩化ナトリウム30質量部を添加して粒子成長を停止し、さらに、熟成工程として液温90℃にて1時間にわたり加熱、撹拌することにより粒子間の融着を進行させてコア粒子〔1〕を形成した。
(2)シェル層の形成
次いで、シェル用樹脂粒子分散液〔B〕45質量部(固形分換算)を添加し、液温90℃にて2時間にわたり撹拌を継続し、シェル用樹脂粒子〔B〕をコア粒子〔1〕の表面に融着させてシェル層を形成し、トナー粒子〔1〕を作製した。その後、塩化ナトリウム120質量部をイオン交換水480質量部に溶解させた溶液を添加し、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により円形度を測定し、円形度0.965となるまで液温90℃にて加熱、撹拌した。その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、撹拌を停止した。
〔洗浄・乾燥工程〕
トナー粒子〔1〕をバスケット型遠心分離機で固液分離し、ウェットケーキを形成し、バスケット型遠心分離機で濾液の電機伝導度が5μS/cmとなるまで35℃のイオン交換水で洗浄し、「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥した。このトナー粒子〔1〕の粒径は、体積基準のメディアン径(D50)で6.4μmであった。
〔外添剤添加工程〕
洗浄・乾燥されたトナー粒子〔1〕に外添剤として疎水性シリカ微粒子(平均粒径:12nm)1質量%、疎水性チタニア微粒子(平均粒径:20nm)0.3質量%、および、平均粒径が50nmであるシリカ微粒子1.0質量%を添加し、マルチパーパスミキサ「MP型」(日本コークス工業社製)により混合し、補給用トナー〔1〕を得た。
なお、補給用トナー〔1〕について、外添剤の添加によっては、その粒径および平均円形度は変化しなかった。
<補給用トナーの製造例2〜5>
補給用トナーの製造例1において、外添剤添加工程における外添剤として「平均粒径が50nmであるシリカ微粒子」を表2に示す平均粒径を有するシリカ微粒子に変更したことの他は同様にして補給用トナー〔2〕〜〔5〕を得た。
<補給用トナーの製造例6>
補給用トナー製造例1において、凝集・会合・融合工程における(2)シェル層の形成の「シェル用樹脂粒子分散液〔B〕45質量部(固形分換算)」を「下記に示すポリエステル樹脂粒子分散液〔1〕65質量部(固形分換算)」に変更し、外添剤添加工程における外添剤として「平均粒径が50nmであるシリカ微粒子」を表2に示す平均粒径を有するシリカ微粒子に変更したことの他は同様にして補給用トナー〔6〕を得た。
〔ポリエステル樹脂粒子の分散液調製工程〕
(1)ポリエステル樹脂の合成
撹拌装置、窒素導入管、温度制御装置、精留塔を備えたフラスコに、下記多価カルボン酸および多価アルコールを投入し反応液を調製した。この反応液を1時間かけて190℃まで昇温し、反応系内が均一に撹拌されていることを確認した後、触媒としてチタンテトラブトキシド(Ti(OBu)4 )を多価カルボン酸成分の全量に対して0.003質量%の量を投入した。生成される水を留去しながら、同温度から6時間かけて240℃まで昇温し、240℃にてさらに6時間、脱水縮合反応を継続して重合を行い、ポリエステル樹脂を得た。
・多価カルボン酸
テレフタル酸 12.50質量部
フマル酸 13.90質量部
イソフタル酸 0.55質量部
トリメリット酸 5.20質量部
・多価アルコール
ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
76質量部
ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
24質量部
(2)ポリエステル樹脂粒子の分散液の調製
得られたポリエステル樹脂100質量部を400質量部の酢酸エチルに溶解し、予め作製した0.26質量%濃度のラウリル硫酸ナトリウム溶液638質量部と混合し、撹拌しながら超音波ホモジナイザー「US−150T」(日本精機製作所社製)により「V−LEVEL 300μA」で30分間分散した後、40℃に加温した状態でダイヤフラム真空ポンプ「V−700」(BUCHI社製)により、減圧下で3時間撹拌しながら酢酸エチルを完全に除去して、ポリエステル樹脂粒子〔1〕の分散液(ポリエステル樹脂粒子分散液〔1〕)を調製した。このポリエステル樹脂粒子〔1〕の粒径は、体積基準のメディアン径(D50)で160nmであった。
<補給用二成分現像剤の作製例1〜10>
補給用トナー〔1〕〜〔6〕および補給用キャリア〔1〕〜〔9〕を表3に示す組み合わせに従って、振とう器「Model−YGG」(ヤヨイ社製)により5分間混合し、補給用二成分現像剤〔1〕〜〔10〕を作製した。
<実施例1〜6、比較例1〜4>
画像形成装置「bizuhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を、トリクル現像方式が採用される現像装置に改造し、さらに、補給形態として、補給用トナーと補給用キャリアとを予め混合した補給用二成分現像剤が補給される形態に改造したものを用い、当該補給用二成分現像剤を表4に従って画像形成装置内の補給用ホッパに供給した。常温常湿環境下(温度23℃、湿度55%RH)において、印字率5%の文字画像をA4上質紙(64g/m2 )上に形成し、これを30万枚行った。印刷初期および30万枚印刷後に、それぞれ白ベタ画像および黒ベタ画像をA4上質紙(64g/m2 )上に形成した。得られた印刷物について、下記に示す画像濃度およびカブリの評価を行った。
<実施例7〜9、比較例5>
画像形成装置「bizuhub PRO C6500」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)を、トリクル現像方式が採用される図5に示す現像装置に改造したものを用い、補給用トナーおよび補給用キャリアとして表4に示すものを画像形成装置内の補給用ホッパ(421K、422K)にそれぞれ供給した。常温常湿環境下(温度23℃、湿度55%RH)において、印字率5%の文字画像をA4上質紙(64g/m2 )上に形成し、これを30万枚行った。印刷初期および30万枚印刷後に、それぞれ白ベタ画像および黒ベタ画像をA4上質紙(64g/m2 )上に形成した。得られた印刷物について下記に示す画像濃度およびカブリの評価を行った。
なお、この実施例1〜9および比較例1〜5においては、現像装置(13K)のハウジング(51)内に予め充填するトナーは、それぞれ、補給用トナーとして用いられるものと同様のものを用い、また、現像装置(13K)のハウジング(51)内に予め充填するキャリアは、補給用キャリアの製造例1における(1)キャリア粒子作製工程において作製されたキャリア粒子〔1〕(外添剤の添加を行っていないもの)を用いた。また、現像装置(13K)のハウジング(51)内の二成分現像剤のトナー濃度が7.5質量%となるようした。
〔画像濃度の評価〕
画像濃度の評価は、以下のように行った。
まず、無印字のA4上質紙(64g/m2 )について、マクベス反射濃度計「RD−918」(グレタグマクベス社製)により20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均値を算出し、これを白紙濃度とした。次に、印刷初期および30万枚印刷後のそれぞれの黒ベタ画像についても同様に、20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均値を算出し、この平均値から白紙濃度を差し引きした値を画像濃度として評価した。画像濃度が1.30以上であれば実用上問題がない。
〔カブリの評価〕
カブリの評価は、以下のように行った。
まず、無印字のA4上質紙(64g/m2 )について、マクベス反射濃度計「RD−918」(グレタグマクベス社製)により20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均値を算出し、これを白紙濃度とした。次に、印刷初期および30万枚印刷後のそれぞれの白ベタ画像についても同様に、20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均値を算出し、この平均値から白紙濃度を差し引きした値をカブリ濃度として評価した。カブリ濃度が0.010未満であれば実用上問題がない。
10Y、10M、10C、10K 感光体ドラム
11Y、11M、11C、11K 帯電手段
12Y、12M、12C、12K 露光手段
13Y、13M、13C、13K 現像装置
14Y、14M、14C、14K 一次転写手段
15Y、15M、15C、15K 除電手段
16Y、16M、16C、16K クリーニング装置
17 中間転写ベルト
17a、17b、17d、17f ローラ
17y、17m、17c、17k 押圧弾性板
18 二次転写手段
19 分離手段
20 定着装置
20a 加圧ローラ
20b 加熱ローラ
21 排出弁
22 モーター
30 混合撹拌槽
30a 底部
31 上蓋
32 原料投入口
33 投入弁
34 フィルター
35 点検口
36 品温計
37 ジャケット
38 水平方向回転体
38a,38b,38c 回転翼
38d 中心部
39 垂直方向回転体
40 製品排出口
41 排出口
42Y、42M、42C、42K 補給用ホッパ
421K 補給用トナーホッパ
422K 補給用キャリアホッパ
43K 供給ローラ
441K トナー補給路
442K キャリア補給路
45K 搬送スクリュー
46Y、46M、46C、46K 回収ボックス
47 給紙トレイ
49a トナー補給口
49b キャリア補給口
51 ハウジング
51a 天面板
52 現像スリーブ
53 マグネットロール
54 トナー濃度検知センサー
55A、55B 撹拌スクリュー
56 除去板
56a 磁石板
57 搬送供給ローラ
57a 羽根部材
58 層厚規制部材
59 受け部材
100Y、100M、100C、100K 画像形成ユニット
P 画像支持体
R 現像領域

Claims (3)

  1. 静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、外添剤として少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなるトナー、および、キャリアよりなる二成分現像剤により顕像化する現像プロセスにおいて、余剰の二成分現像剤が排出されると共に新たなトナーおよびキャリアが補給される現像方式における補給用キャリアであって、
    当該補給用キャリアが、当該補給用キャリア表面1平方μm当たりに粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が1〜7個付着されてなるものであることを特徴とする補給用キャリア。
  2. 当該補給用キャリアが、磁性体よりなるコア粒子の表面に樹脂被覆が施されてなるものにより構成されていることを特徴とする請求項1に記載の補給用キャリア。
  3. 静電潜像担持体上に形成された静電潜像を、外添剤として少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなるトナー、および、キャリアよりなる二成分現像剤により顕像化する現像プロセスにおいて、余剰の二成分現像剤が排出されると共に新たなトナーおよびキャリアが補給される現像方式における補給用二成分現像剤であって、
    請求項1または請求項2に記載の補給用キャリアと、外添剤として少なくとも平均粒径が60〜200nmであるシリカ微粒子が含有されてなる補給用トナーとからなることを特徴とする補給用二成分現像剤。
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