JP2012230222A - 二成分現像剤、画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オンデマンド印刷等のトナー消費量の多い画像形成を行ったときに、樹脂コートキャリアが所定レベルのトナー帯電を安定して行える二成分現像剤を提供する。
【解決手段】樹脂コートキャリアとトナーより構成される二成分現像剤で、該トナーはビッカース硬度が13以上30以下でキャリア樹脂コート層と同じ組成の樹脂微粒子を遊離可能な状態で外添剤として含有している。
【選択図】なし
【解決手段】樹脂コートキャリアとトナーより構成される二成分現像剤で、該トナーはビッカース硬度が13以上30以下でキャリア樹脂コート層と同じ組成の樹脂微粒子を遊離可能な状態で外添剤として含有している。
【選択図】なし
Description
本発明は、トナーとキャリアより構成される二成分現像剤に関し、磁性芯材粒子表面に樹脂を被覆した樹脂コートキャリアと呼ばれるキャリアとトナー母体粒子表面に外添剤を添加したトナーより構成される二成分現像剤に関する。
電子写真方式の複写機やプリンタ等の画像形成装置に使用される現像剤には、トナーのみから構成される一成分現像剤と、キャリアと呼ばれる磁性粉体とトナーより構成される二成分現像剤がある。二成分現像剤による画像形成は、キャリアの存在により迅速なトナー帯電が行えることから、高速あるいはトナー消費量の多いプリント作成を行う上で有利な方式である。
二成分現像剤で使用されるキャリアは、前述した様にトナーを帯電するもので、トナー帯電に繰り返し使用されても長期にわたり安定した帯電付与性能を有することが求められる。キャリアは、芯材(コア)と呼ばれる磁性粒子より構成され、芯材をそのままキャリアに用いる形態の他、芯材表面を熱可塑性樹脂で被覆した構造の樹脂コートキャリアと呼ばれる形態がある。
樹脂コートキャリアは、芯材粒子表面が樹脂で被覆された構造を有することから良好な耐久性と安定した摩擦帯電性を有し、また、有機溶媒を使用せずに樹脂の被覆が行える技術も確率されている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1の製造方法は、回転羽根の回転による撹拌作用で樹脂粒子の芯材粒子表面への均一かつ強固な固着を実現しており、均一で十分な厚みの樹脂層を有し、良好な耐久性と安定した摩擦帯電付与性能を付与する樹脂コートキャリアの提供を可能にしている。
ところで、電子写真方式の画像形成分野におかれては、短波長半導体レーザ露光技術やトナーの小径化技術の進展に伴い、従来印刷分野でしか作成できなかったグラビア写真の様な精細で高い解像度の要求される様な画像も形成される様になってきた。そして、最近では、オンデマンド印刷と呼ばれる印刷市場が表れ、電子写真方式の画像形成装置により、版を起こす手間をかけずに数百枚から数千枚レベルのプリント物の作成をスピーディに行える様にしている。
オンデマンド印刷市場で行われる数百枚から数千枚レベルの連続プリントは、従来のオフィスで使用されるケースに比べるとトナー消費量がはるかに大きなものになった。また、オンデマンド印刷市場ではフルカラープリント物を作成する機会も多く、フルカラーのプリント物は背景部をカラートナーで着色する等、トナー消費量がモノクロ画像に比べて多い傾向があった。
この様な背景から、二成分現像剤には短時間で所定量の電荷をトナーに付与する性能がこれまで以上に求められる様になり、たとえば、トナーに使用される外添剤に着目して、キャリアの帯電付与性能の低下防止あるいは維持向上をねらう技術が検討されていた(たとえば、特許文献2、3参照)。
特許文献2には、鉄粉との摩擦帯電特性が着色粒子と逆極性で、帯電量の絶対値が50〜300μC/g、体積平均粒径が50〜1000nmとなる有機粒子を外添剤として着色粒子表面へ固定化する技術が開示されている。そして、特許文献2では、外添剤に上記構成の有機粒子を用いることで、固定化しにくい有機粒子を静電引力の作用でトナー表面に強く担持させ、キャリア表面への脱離外添剤の付着による帯電付与性能低下を防止している。
また、特許文献3は、帯電特性がトナーと逆極で数平均1次粒径が80〜500nmのチタン酸化合物等の無機粒子を外添剤として用いたトナーを含有する二成分現像剤に関する技術である。そして、特許文献3には、トナー片の付着等により帯電付与性能が低下したキャリア表面へ当該無機粒子を付着させることで、キャリア表面を本来の極性に戻して帯電性を維持させ、トナーへの安定した帯電付与が行えることが開示されている。
しかしながら、特許文献2、3に開示された技術では、オンデマンド印刷等のトナー消費量が多いプリント作製を行ったとき、キャリアの帯電付与性能低下を防止することができないものであることが分かった。すなわち、特許文献2では逆極性の有機粒子がトナー粒子表面に固定されてキャリアへ移行しにくくなっているため、トナー消費量の多い画像形成を行ったとき、キャリアの帯電付与性能低下を防止することができなかった。また、特許文献3は逆極性の無機粒子がキャリアへ移行できるのでキャリアの帯電付与性能維持が可能なものとみられたが、天候変化の様に画像形成環境が変動すると帯電付与性能を一定レベルに維持しにくくなることが分かった。これは、有機物であるキャリアコート樹脂と無機粒子とでは環境から受ける影響に差があることや無機粒子は樹脂に比べて帯電保持性が劣ること等に起因するものと考えられた。したがって、温度や湿度が管理された良好な作業環境下であればトナー消費量の多い画像形成を行っていてもキャリアの帯電付与性能を安定維持できるが、温度や湿度の変動を受け易い作業環境下では安定したトナー帯電を行える保証はなかった。
この様に、オンデマンド印刷等のトナー消費量の多いプリント作製を行うケースでトナーの外添剤を利用してキャリアの帯電付与性能を一定レベルに安定維持する技術はまだ確立されてはいなかったものといえる。
上述した様に、樹脂コートキャリアを用いた二成分現像剤の分野におかれてはオンデマンド印刷の様なトナー消費量の多い画像形成環境下でキャリアの帯電付与性能を安定維持させることが求められていた。本発明は、オンデマンド印刷に代表されるトナー消費量の多い画像形成を行っても、樹脂コートキャリアが所定レベルのトナー帯電を安定して行える二成分現像剤を提供することを目的とする。具体的には、温湿度変動を受け易い作業環境下でトナー消費量の多いプリント作成を行っても、カブリの発生が見られず所定濃度を有するプリント物が安定して得られ、機内汚染のない良好なプリント作成が行える二成分現像剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題が以下に記載のいずれかの構成により解消されるものであることを見出した。すなわち、請求項1に記載の発明は、
『少なくとも、樹脂と着色剤及びワックスを含有するトナー母体粒子と外添剤よりなるトナーと、磁性芯材粒子表面に樹脂コート層を被覆してなる樹脂コートキャリアを有する二成分現像剤であって、
前記トナーは、少なくとも、
ビッカース硬度が13以上30以下であり、前記樹脂コートキャリアの樹脂コート層に含有される樹脂と同じ組成の樹脂微粒子を外添剤として含有するものであり、
前記樹脂微粒子はトナー粒子表面より遊離可能な状態で前記トナーに含有されるものであることを特徴とする二成分現像剤。』というものである。
『少なくとも、樹脂と着色剤及びワックスを含有するトナー母体粒子と外添剤よりなるトナーと、磁性芯材粒子表面に樹脂コート層を被覆してなる樹脂コートキャリアを有する二成分現像剤であって、
前記トナーは、少なくとも、
ビッカース硬度が13以上30以下であり、前記樹脂コートキャリアの樹脂コート層に含有される樹脂と同じ組成の樹脂微粒子を外添剤として含有するものであり、
前記樹脂微粒子はトナー粒子表面より遊離可能な状態で前記トナーに含有されるものであることを特徴とする二成分現像剤。』というものである。
請求項2に記載の発明は、
『前記樹脂微粒子は、少なくともメタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成された共重合体樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤。』というものである。
『前記樹脂微粒子は、少なくともメタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成された共重合体樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤。』というものである。
請求項3に記載の発明は、
『前記樹脂微粒子は、個数平均1次粒径が50nm以上500nm以下のものであることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分現像剤。』というものである。
『前記樹脂微粒子は、個数平均1次粒径が50nm以上500nm以下のものであることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分現像剤。』というものである。
請求項4に記載の発明は、
『前記樹脂コートキャリアは、少なくとも、
芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程と、
前記樹脂粒子を付着させた前記芯材粒子を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱しながら機械的衝撃力を加えて、前記芯材粒子表面へ樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程を経て作製されるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二成分現像剤。』というものである。
『前記樹脂コートキャリアは、少なくとも、
芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程と、
前記樹脂粒子を付着させた前記芯材粒子を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱しながら機械的衝撃力を加えて、前記芯材粒子表面へ樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程を経て作製されるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二成分現像剤。』というものである。
請求項5に記載の発明は、
『 少なくとも、
感光体を露光して静電潜像を形成する工程と、
静電潜像が形成された前記感光体にトナーを供給してトナー画像を形成する工程と、
前記感光体に形成されたトナー画像を画像支持体に転写する工程と、
前記画像支持体に転写されたトナー画像を定着する工程を有する画像形成方法であり、 前記画像形成方法は、
少なくとも、樹脂と着色剤及びワックスを含有するトナー母体粒子と外添剤よりなるトナーと磁性芯材粒子表面に樹脂コート層を被覆してなる樹脂コートキャリアを有する二成分現像剤を用いて、画像支持体へ少なくともトナー被覆率が5%以上30%以下の画像を形成するものであり、
前記トナーは、少なくとも、
ビッカース硬度が13以上30以下であり、前記樹脂コートキャリアの樹脂コート層に含有される樹脂と同じ組成の樹脂微粒子を外添剤として含有するものであり、
前記樹脂微粒子はトナー粒子表面より遊離可能な状態で前記トナーに含有されるものであることを特徴とする画像形成方法。』というものである。
『 少なくとも、
感光体を露光して静電潜像を形成する工程と、
静電潜像が形成された前記感光体にトナーを供給してトナー画像を形成する工程と、
前記感光体に形成されたトナー画像を画像支持体に転写する工程と、
前記画像支持体に転写されたトナー画像を定着する工程を有する画像形成方法であり、 前記画像形成方法は、
少なくとも、樹脂と着色剤及びワックスを含有するトナー母体粒子と外添剤よりなるトナーと磁性芯材粒子表面に樹脂コート層を被覆してなる樹脂コートキャリアを有する二成分現像剤を用いて、画像支持体へ少なくともトナー被覆率が5%以上30%以下の画像を形成するものであり、
前記トナーは、少なくとも、
ビッカース硬度が13以上30以下であり、前記樹脂コートキャリアの樹脂コート層に含有される樹脂と同じ組成の樹脂微粒子を外添剤として含有するものであり、
前記樹脂微粒子はトナー粒子表面より遊離可能な状態で前記トナーに含有されるものであることを特徴とする画像形成方法。』というものである。
請求項6に記載の発明は、
『前記樹脂微粒子は、少なくともメタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成された共重合体樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。』というものである。
『前記樹脂微粒子は、少なくともメタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成された共重合体樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。』というものである。
請求項7に記載の発明は、
『前記樹脂微粒子は、個数平均1次粒径が50nm以上500nm以下のものであることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成方法。』というものである。
『前記樹脂微粒子は、個数平均1次粒径が50nm以上500nm以下のものであることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成方法。』というものである。
請求項8に記載の発明は、
『前記樹脂コートキャリアは、少なくとも、
芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程と、
前記樹脂粒子を付着させた前記芯材粒子を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱しながら機械的衝撃力を加えて、前記芯材粒子表面へ樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程を経て作製されるものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。』というものである。
『前記樹脂コートキャリアは、少なくとも、
芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程と、
前記樹脂粒子を付着させた前記芯材粒子を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱しながら機械的衝撃力を加えて、前記芯材粒子表面へ樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程を経て作製されるものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。』というものである。
本発明によれば、樹脂コートキャリアを含有する二成分現像剤を用いてオンデマンド印刷に代表されるトナー消費量の多い画像形成環境下でも、樹脂コートキャリアが所定レベルのトナー帯電を安定して行える二成分現像剤の提供を可能にした。具体的には、温湿度変動を受け易い作業環境下でトナー消費量の多いプリント作成を行っても、カブリの発生が見られず所定濃度を有するプリント物の作成が安定的に行え、機内汚染のない良好なプリント作成が行える二成分現像剤の提供を可能にした。
本発明は、磁性芯材粒子表面に樹脂を被覆した樹脂コートキャリアと呼ばれるキャリアとトナー母体粒子表面に外添剤を添加したトナーより構成される二成分現像剤に関する。
オンデマンド印刷の分野では、数百枚から数千枚レベルのプリント作成を行うことが多く、この様なトナー消費量の多い画像形成に対して短時間で所定レベルの電荷を付与できるトナー帯電が求められていた。すなわち、トナー消費量の多い画像形成環境は、キャリアによる摩擦帯電をトナーに行う現像装置内へのトナーの滞留時間が短いものになるので、短時間で所定レベルの帯電付与が行えることが求められ、キャリアには安定した帯電付与性能が求められていた。
また、画像支持体上へのトナー被覆率(画素率)は、文字画像で構成されるもので概ね5%程度であるが、背景もカラートナーでムラなく着色した仕上がりのプリント物を作成する場合にはトナー被覆率が30%を超えるものもある。この様なプリント物を連続作成しても、短時間で所定レベルの電荷をトナーに付与する二成分現像剤が求められていた。
本発明は、トナー粒子より遊離可能な状態の上記樹脂微粒子を外添剤に用いたトナーと樹脂コートキャリアを組み合わせることにより、オンデマンド印刷に代表されるトナー消費量の多い画像形成環境下で樹脂コートキャリアの帯電付与性能を維持できる様にした。本発明では、外添剤に使用される前記樹脂微粒子の組成をキャリアの樹脂コート層を構成する樹脂と同じにして、当該樹脂微粒子が樹脂コートキャリア表面へ付着し易い様にしている。また、樹脂微粒子は現像装置内での撹拌で受けるストレスで変形するレベルの硬度を有するものとし、樹脂コートキャリア表面に付着した後は変形してキャリア表面を十分被覆する様にしている。
この様に、本発明では画像形成時にトナー粒子表面より遊離した樹脂微粒子を樹脂コートキャリア表面へ付着させ、外力により延展させてキャリア表面を被覆することにより樹脂コートキャリア表面を初期状態に戻してキャリアの帯電付与性能を維持させている。すなわち、本発明はトナーの外添剤をキャリア樹脂コート層表面に積極的に付着させてキャリア表面を被覆することにより、樹脂コートキャリアの帯電付与性能を所定レベルに維持させることを考えたものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
最初に、本発明に係る二成分現像剤を構成するトナーに外添剤として用いられる樹脂微粒子について説明する。本発明に係る二成分現像剤を構成するトナーに外添剤として用いられる樹脂微粒子は、当該二成分現像剤を構成する樹脂コートキャリアの樹脂コート層に含有される樹脂と同じ組成を有するものである。当該樹脂微粒子は、トナー粒子より遊離可能な状態で含有されているもので、画像形成時にはトナー粒子表面より遊離して樹脂コートキャリア表面へ付着する様に用いられている。この様に樹脂コート層と同じ組成の樹脂微粒子が樹脂コートキャリア表面へ供給、付着するもので、トナー消費量が多くなると現像装置内へのトナー供給量が増大するので、樹脂コートキャリア表面への樹脂微粒子の供給、付着量も増大するものである。
また、上記樹脂微粒子はビッカース硬度が13以上30以下のものであり、ビッカース硬度が上記範囲とすることで、当該樹脂微粒子は樹脂コートキャリア表面へ付着後、外力の作用で変形し樹脂コート層表面に延展し易くなっている。そして、樹脂コートキャリア表面は供給され延展した樹脂微粒子により被覆されることになる。
この様に、本発明ではキャリア表面に樹脂コート層と同じ組成の樹脂微粒子が供給され、供給された樹脂微粒子が外力の作用で変形、延展してキャリア表面を被覆することを可能にしている。したがって、樹脂コートキャリア表面は初期状態が維持されることになり、いつでもトナー粒子に対して所定量の電荷を安定的に付与することができる。そして、トナー消費量の多い画像形成環境下では、現像装置内へのトナー供給量が増大することにより、樹脂コートキャリア表面への樹脂微粒子供給量も増大するので、樹脂微粒子によるキャリアの被覆が促進されてトナーに対し安定した帯電付与が行える。
本発明で用いられる樹脂微粒子は、キャリアの樹脂コート層を形成する樹脂と同じ組成を有するもので、キャリアの樹脂コート層を形成することが可能な公知の熱可塑性樹脂で形成されるものである。これら熱可塑性樹脂としては、たとえば、ビニル系モノマーを用いてラジカル重合等を行うことにより形成されるビニル系樹脂が代表的なものであり、その他に多価カルボン酸化合物と多価アルコール化合物の重縮合により形成されるポリエステル樹脂等がある。
ビニル系樹脂を形成するビニル系モノマーには、たとえば、以下に示すスチレン系単量体、メタクリル酸系単量体、アクリル酸系単量体の他に、オレフィン系単量体やビニルエステル系単量体等がある。本発明では、これらビニル系モノマーを使用して形成されるビニル系樹脂の中でもアクリル系樹脂と呼ばれる樹脂を含有するものが好ましく、この樹脂は後述するアクリル酸系単量体あるいはメタクリル酸系単量体を用いて形成されるものである。そして、アクリル系樹脂の中でもメタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成された共重合体樹脂がより好ましく、これら単量体に公知の架橋性モノマーを加えて形成された共重合体樹脂が特に好ましい。
さらに、メタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成される共重合体樹脂を用いる場合、共重合体を構成するメタクリル酸シクロヘキシルのモノマー比率を40%以上とすることが好ましい。そして、メタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルの比率を等量にした共重合体樹脂が特に好ましい。
以下に、本発明でトナーに外添剤として添加される樹脂微粒子を形成することが可能な上記ビニル系モノマーの具体例を示すが、当該樹脂微粒子の形成に使用可能なビニル系モノマーは以下のものに限定されるものではない。
(1)スチレン系単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸系単量体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸系単量体
アクリル酸メチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
また、樹脂を構成する重合性単量体として多官能性ビニル類を併用して架橋構造の樹脂を形成することも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に挙げる。すなわち、
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等がある。
(1)スチレン系単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸系単量体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸系単量体
アクリル酸メチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
また、樹脂を構成する重合性単量体として多官能性ビニル類を併用して架橋構造の樹脂を形成することも可能である。多官能性ビニル類の具体例を以下に挙げる。すなわち、
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等がある。
また、本発明でトナーの外添剤として使用される樹脂微粒子は、前述した様に、ビッカース硬度が13以上30以下のものである。ここで、ビッカース硬度とは、物質の硬さを表す尺度の1つで、試料に対して対面角が約136°の正四角錐のダイヤモンド圧子を押し込んだときの荷重と押し込みにより生ずるくぼみの表面積の比から定義される硬さのことである。本発明で用いられる樹脂微粒子のビッカース硬度は、市販の測定装置を用いて測定することが可能で、押し込みにより生ずるくぼみはミクロン(μm)単位のものになるので顕微鏡を用いてビッカース硬度を測定することができる。
本発明では、ビッカース硬度が13以上30以下の樹脂微粒子を用いることにより、画像形成時に樹脂微粒子がキャリア表面へ付着した後、外力の作用で延展されてキャリア表面の被覆を行うことができる。したがって、ビッカース硬度が13よりも小さな樹脂微粒子では軟らかすぎて、外添剤として添加したときにトナー粒子表面へ強固に固着して遊離させることができなくなるおそれがある。また、ビッカース硬度が30よりも大きな樹脂微粒子ではキャリア表面に付着するものの外力により延展させて樹脂コートキャリアを被覆することができず、キャリア表面の初期状態維持が困難になる。
なお、本発明で使用される樹脂微粒子のビッカース硬度は、公知の方法により制御が可能で、具体的には、樹脂微粒子を形成する際に使用する架橋性の重合性単量体や重合開始剤、連鎖移動剤の添加量を制御することにより制御が可能である。たとえば、樹脂微粒子を形成するときに架橋性の重合性単量体の添加量を多くすると、分子構造中に架橋構造が多く形成され、その分、ビッカース硬度の高い樹脂が形成されることが後述する実施例でも確認されている。
また、本発明でトナーの外添剤として使用される樹脂微粒子は、個数平均1次粒径で50nm以上500nm以下が好ましく、80nm以上300nm以下がより好ましい。樹脂微粒子の粒径を前述の範囲とすることにより、画像形成時にトナー粒子表面からの遊離が安定的に行えるとともに、遊離したものは樹脂コートキャリア表面へ付着し、延展、被覆が行い易いメリットがある。また、外添剤として大きめの粒径を有することから、トナー粒子同士の表面での衝突を回避してトナー粒子表面に添加される小径外添剤の埋没を防ぐスペーサ効果の発現も可能なので、トナーの帯電性や流動性を維持する観点からも好ましいものである。なお、本発明で使用される樹脂微粒子の粒径は、公知の方法で制御が可能であり、たとえば、水系媒体中で樹脂微粒子を形成する際、水系媒体に添加する界面活性剤の量を制御することで上記範囲の個数平均1次粒径を有する樹脂微粒子を作製することが可能である。
この様に、本発明では上記樹脂微粒子を外添剤としてトナーに遊離可能な状態で含有させ、画像形成時には遊離した当該樹脂微粒子がキャリア表面へ付着し外力の作用で延展してキャリア表面を被覆し、樹脂コートキャリアの初期状態を維持することを可能にしている。したがって、本発明によればオンデマンド印刷に代表されるトナー消費量の多い画像形成環境下におかれても、樹脂コートキャリアは初期の帯電付与性能を発現して所定画質のプリント物を安定作成することが可能である。なお、本発明で用いられるトナーを構成するトナー母体粒子についての具体的な説明は後述する。
次に、本発明に係る二成分現像剤を構成する樹脂コートキャリアについて説明する。前述した様に、本発明に係る二成分現像剤で使用されるキャリアは、芯材(コア)と呼ばれる磁性粒子表面を熱可塑性樹脂で被覆した構造を有する樹脂コートキャリアと呼ばれるものである。
本発明で用いられる樹脂コートキャリアは、たとえば、芯材粒子と樹脂粒子が供給される混合槽内部に回転羽根に代表される撹拌手段が設けられた装置を用いて作製することが可能である。また、本発明で用いられるキャリアは、少なくとも、芯材粒子と樹脂粒子を撹拌して芯材粒子表面に樹脂粒子を静電的に付着させる工程と、樹脂粒子が静電付着した芯材粒子にストレスを加えて芯材粒子表面に樹脂粒子を固着させる工程を経て作製されるものである。
本発明で用いられる樹脂コートキャリアは、たとえば、図1に示すキャリア製造装置を用いて作製することが可能である。図1に示すキャリア製造装置1は、混合槽である容器本体10を有し、容器本体10の周面には、ほぼ3/4の高さまで加熱手段である調温用ジャケット17が配置されている。容器本体10の底部(容器底部ともいう)10aには、撹拌手段である回転羽根18、作製した樹脂コートキャリアを取り出す製品取出口20を有し、製品取出口20には排出弁21が配置されている。また、容器本体10の上面には本体上蓋11が設けられ、本体上蓋11には投入弁13が設置された原料投入口12、フィルタ14、点検口15が設けられ、フィルタ14と容器上蓋11の間には排出弁24が配置され、フィルタ14の先に容器内排出口が設けられている。
樹脂コートキャリアを作製する際の原料である芯材粒子と樹脂粒子は、上記原料投入口12より容器本体10内部に供給される。なお、樹脂コートキャリア作製を実際に行う容器本体10内部をチャンバーといい、チャンバーの温度を測定する温度計16が容器本体10の周面に配置されている。
前述の回転羽根18は、駆動手段であるモータ22により回転し、芯材粒子と樹脂粒子を撹拌するもので、回転羽根18の中心部18dには互いに120°の角度間隔で撹拌羽根18a、18b及び18cが結合している。これら撹拌羽根は、底部10aの面に対して傾斜させて取り付けられており、撹拌羽根18a、18b及び18cを高速回転させると前述の芯材粒子や樹脂粒子といった原料は上方へ掻き上げられ、本体容器10の上部内壁に衝突して落下する。
撹拌手段である回転羽根18を回転させるモータ22は、コンピュータに代表される制御手段40に接続し、制御手段40は記憶されているプログラムによりモータ22の作動を制御する。
図1のキャリア製造装置1は、前述した回転羽根18等の作動を制御することで、たとえば、芯材粒子表面への樹脂粒子の静電付着を行う操作と、静電付着した樹脂粒子を芯材粒子表面に強く固着させる操作を段階的に行うことができる。すなわち、図1のキャリア製造装置は、少なくとも、下記工程を経て樹脂コートキャリアを作製することができる。
(1)芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程
(2)樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱しながら機械的衝撃力を加え、心材粒子表面に樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程
(3)チャンバーを室温まで冷却する工程
上記(1)〜(3)の工程を少なくとも経ることにより、芯材粒子表面を樹脂でコートした構造の樹脂コートキャリアを作製することができる。また、上記(1)〜(3)の工程は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。このうち、上記(1)の工程は以下の様な手順で行われる。
(1)芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程
(2)樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱しながら機械的衝撃力を加え、心材粒子表面に樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程
(3)チャンバーを室温まで冷却する工程
上記(1)〜(3)の工程を少なくとも経ることにより、芯材粒子表面を樹脂でコートした構造の樹脂コートキャリアを作製することができる。また、上記(1)〜(3)の工程は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。このうち、上記(1)の工程は以下の様な手順で行われる。
上記(1)の芯材粒子表面に樹脂粒子を静電的に付着させる工程は、粉体技術分野で一般に「オーダードミクスチャ(Ordered Mixture;OM)」と呼ばれる方法で、芯材粒子表面に樹脂粒子を静電引力等の作用により付着させるものである。芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程では、供給された樹脂粒子同士が撹拌により擦れ合い、この擦れ合いにより樹脂粒子は摩擦帯電し、摩擦帯電した樹脂粒子は静電引力の作用で芯材粒子表面に付着し易くなるものと考えられる。したがって、摩擦帯電した樹脂粒子近くに芯材粒子が存在すれば、樹脂粒子は芯材粒子表面に付着することになる。
また、この工程では、回転羽根18の回転により撹拌を行うが、撹拌により樹脂粒子や芯材粒子が衝突して発生する摩擦熱の作用で容器本体10内部の温度が上昇しない程度に撹拌を行うことが好ましい。また、容器本体10の周面ほぼ3/4の高さまで覆っている調温用ジャケット17に冷水を通過させた状態で撹拌を行うこともチャンバーの温度を室温に維持する上で好ましい。
次に上記(2)の樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱しながら機械的衝撃力を加え、心材粒子表面に樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程について説明する。この工程は、芯材粒子表面に付着させた樹脂粒子に機械的衝撃力を付与して芯材粒子表面に樹脂を層状に被覆させるもので、メカノフュージョンと呼ばれる方法の1つである。図1のキャリア製造装置1は、芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる(1)の工程を経た後、樹脂粒子のガラス転移温度以上にチャンバーを加熱し、同時に回転羽根18を作動させて樹脂粒子を付着させた芯材粒子を撹拌して機械的衝撃力を付与する。
すなわち、回転羽根18の作動による撹拌で樹脂粒子を付着させた芯材粒子同士が衝突し、衝突により発生する摩擦熱の作用で容器本体10内部の温度を上昇させることができる。これに加えて、容器本体10の周面ほぼ3/4の高さまで覆っている調温用ジャケット17により加熱の調整が可能で、これらの作用で容器本体内部(チャンバー)は樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度環境になり、芯材粒子表面の樹脂粒子は衝撃を受けて変形、延展し易い状態におかれている。なお、調温用ジャケット17は、熱水を通過させることにより容器本体10内部の加熱促進が可能で、また、撹拌が強くなり発生する摩擦熱が大きくなる場合には冷水を通過させて容器本体10内部の温度上昇を抑制することも可能である。
回転羽根18がモータ22の駆動力により回転すると、容器底部10a付近の樹脂粒子を付着した芯材粒子は容器本体10上方に掻き上げられ、掻き上げられた芯材粒子は本体容器10の上部内壁に衝突する。芯材粒子表面の樹脂粒子は、衝突による衝撃で変形して芯材粒子表面に沿って延展していく。また、容器本体10上方に掻き上げられた芯材粒子は上部内壁に衝突後、重力の作用で落下して容器底部10aに衝突する。そして、容器底部10aに衝突したときにも樹脂粒子が延展し芯材粒子表面の被覆が進行する。
この様に、容器本体10内部(チャンバー)では、掻き上げによる上部内壁への衝突と落下による容器底部10aへの衝突が繰り返され、芯材粒子表面に付着した樹脂粒子の延展が継続され、芯材粒子表面への樹脂の被覆が行われる。
この工程では、容器本体内部の温度環境を樹脂粒子のガラス転移温度以上にしているが、具体的には、樹脂のガラス転移温度に対して5℃から20℃高い温度範囲とすることが好ましい。なお、容器本体10内部の温度は前述の温度計16により測定が可能である。
また、回転羽根18による機械的衝撃力の大きさは、芯材粒子と樹脂被覆層との間に良好な密着性を得る観点から、撹拌羽根18a、18b及び18cの周速が3m/秒から20m/秒となる強度が好ましく、6m/秒から10m/秒となる強度がより好ましい。すなわち、上記範囲の周速による撹拌で樹脂粒子を付着させた芯材粒子同士が衝突して適度な摩擦熱が得られる様になり、樹脂粒子の軟化と延展を促進させて芯材粒子と樹脂被覆層との間に良好な密着性を確保し易くなる。良好な密着性が確保されることにより、形成されたキャリアは、画像形成時に衝撃を受けても芯材粒子が破壊せず、芯材粒子の破壊に起因する芯材粒子破片の樹脂被覆層表面への付着によるキャリアの帯電付与性能低下を起こすおそれがない。また、上記範囲の周速で撹拌することにより、ブロッキングの発生や形成した樹脂コート層を破壊するおそれがない。また、樹脂粒子のガラス転移温度以上の温度環境下で回転羽根18による機械的衝撃力を付与する時間は、特に限定されるものではないが、5分から40分が好ましい。
以上の様に、混合槽である容器本体10内部の温度環境及び撹拌手段である回転羽根18の作動条件を制御して、樹脂粒子を付着させた芯材粒子の撹拌を行って機械的衝撃力を付与することにより、芯材粒子表面に樹脂を延展、被覆させることができる。すなわち、上記工程では、少なくとも混合槽の内部を樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱するとともに撹拌手段を作動させ、樹脂粒子を芯材粒子表面に延展、被覆させて樹脂コート層を形成している。
次に、上記(3)の容器本体内部(チャンバー)を冷却する工程について説明する。樹脂粒子を付着させた芯材粒子は、前述した様に、樹脂粒子のガラス転移温度以上にした温度環境下で機械的衝撃力を受けることにより、樹脂が延展して被覆される。芯材粒子表面に樹脂コート層が形成された後、容器本体10内部(チャンバー)は室温まで冷却される。容器本体10内部の冷却は、たとえば、容器本体10の周面ほぼ3/4の高さまで覆っている調温用ジャケット17に冷却水の通過により実現することが可能である。また、調温用ジャケット17への冷水通過による冷却を行っているときに、撹拌羽根18を摩擦熱が発生しない程度にゆっくり回転させると冷却効果をより向上させることが可能である。
以上の方法で樹脂コート層が形成された芯材粒子は室温まで冷却され、作製された樹脂コートキャリアは、排出弁21を開放して製品取出口20より取り出される。
以上の様に、図1に示すキャリア製造装置1により、また、前述した手順により、芯材粒子表面に樹脂を被覆した構造の樹脂コートキャリアを作製することが可能である。そして、上記手順により芯材粒子表面に形成される樹脂コート層の厚さは0.5μm以上とすることが好ましく、0.5μm以上3.5μm以下とすることがより好ましい。
なお、樹脂コート層の厚さは、たとえば、以下の方法により求めることが可能である。
(1)集束イオンビーム試料作製装置「SMI2050」(エスアイアイナノテクノロジー(株)製)を用いてキャリア粒子の中心を通る面でキャリア粒子を切断して測定試料を作製する。
(2)作製した測定試料を透過型電子顕微鏡「JEM−2010F」(日本電子(株)製)にて5000倍の視野で観察し、その視野における最大膜厚となる部分と最小膜厚となる部分の平均値を「樹脂コート層の厚さ」とする。
(3)なお、測定数は50個とし、写真1視野で足りない場合には、測定数50になるまで視野数を増加させるものとする。
(1)集束イオンビーム試料作製装置「SMI2050」(エスアイアイナノテクノロジー(株)製)を用いてキャリア粒子の中心を通る面でキャリア粒子を切断して測定試料を作製する。
(2)作製した測定試料を透過型電子顕微鏡「JEM−2010F」(日本電子(株)製)にて5000倍の視野で観察し、その視野における最大膜厚となる部分と最小膜厚となる部分の平均値を「樹脂コート層の厚さ」とする。
(3)なお、測定数は50個とし、写真1視野で足りない場合には、測定数50になるまで視野数を増加させるものとする。
前述した様に、本発明では、混合槽内部で芯材粒子と樹脂粒子を室温環境下で撹拌して芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させ、次に、芯材粒子表面に付着させた樹脂粒子を加熱環境下で延展することにより樹脂コート層の形成を行っている。この様に、芯材粒子表面を被覆する樹脂は、たとえば、100nmから1000nm程度の粒子の形態でキャリア製造装置に供給され、芯材粒子表面の被覆に使用されている。
本発明で使用される樹脂粒子の作製方法は、特に限定されるものではないが、たとえば、重合性単量体を水系媒体中で分散させて油滴状態にし、油滴状態に分散させた重合性単量体を重合反応することにより粒子形状の樹脂を作製する方法等がある。
具体的には、界面活性剤を臨界ミセル濃度以下に溶解させた水系媒体中に重合性単量体を添加し、機械的エネルギーを利用して重合性単量体を油滴分散させた分散液を調製する。そして、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して油滴内でラジカル重合による重合反応を行うことで樹脂粒子を作製することが可能である。なお、この重合反応の場合、重合性単量体の溶液中に油溶性のラジカル重合開始剤を添加してもよい。
前述の機械的エネルギーを付与して油滴分散を行う分散装置には、特に限定されるものではないが、たとえば、「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)の様な高速回転用のローターを有する撹拌装置がある。その他に、超音波分散機、機械式ホモジナイザ、マントンゴーリン及び圧力式ホモジナイザ等がある。この様な分散処理により粒子径が100nmから1000nm程度の油滴が形成される。なお、油滴の粒径は、前述の100nmから1000nmが好ましく、150nmから1000nmがより好ましく、200nmから800nmがさらに好ましい。
上記の油滴分散処理を経て樹脂粒子を作製する方法は、たとえば、以下の工程を含むものである。すなわち、
(1)界面活性剤を含有する水系媒体中に重合性単量体を添加し、当該重合性単量体を機械的に分散させて重合性単量体の油滴分散液を調製する工程
(2)油滴状態に分散させた重合性単量体を重合して樹脂粒子を作製する工程
(3)樹脂粒子の分散液を冷却する工程
(4)冷却した樹脂粒子の分散液より樹脂粒子を固液分離するとともに洗浄処理を行い、樹脂粒子より界面活性剤等を除去する工程
(5)洗浄処理した樹脂粒子を乾燥する工程。
(1)界面活性剤を含有する水系媒体中に重合性単量体を添加し、当該重合性単量体を機械的に分散させて重合性単量体の油滴分散液を調製する工程
(2)油滴状態に分散させた重合性単量体を重合して樹脂粒子を作製する工程
(3)樹脂粒子の分散液を冷却する工程
(4)冷却した樹脂粒子の分散液より樹脂粒子を固液分離するとともに洗浄処理を行い、樹脂粒子より界面活性剤等を除去する工程
(5)洗浄処理した樹脂粒子を乾燥する工程。
また、上記の油滴分散処理を経て作製される樹脂粒子のガラス転移温度は、特に限定されるものではないが、良好な製膜性を有し緻密な樹脂コート層を形成する観点から、たとえば、60℃から150℃の範囲が好ましい。さらに、樹脂粒子の重量平均分子量は、たとえば、50,000から1,000,000が好ましく、400,000から600,000がより好ましい。
樹脂粒子の形成に使用可能な重合性単量体は、特に限定されるものではなく、たとえば、ビニル系樹脂を形成するビニル系モノマーがその代表的なもので、他にポリエステル樹脂の形成が可能な多価カルボン酸化合物と多価アルコール化合物等がある。ビニル系モノマーには、たとえば、以下に示すスチレン系単量体、メタクリル酸系単量体、アクリル酸系単量体の他に、オレフィン系単量体やビニルエステル系単量体等がある。
以下、上記ビニル系モノマーの具体例を示すが、樹脂コート層を形成する樹脂の作製が可能なビニル系モノマーは以下のものに限定されるものではない。
(1)スチレン系単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸系単量体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシル等
(3)アクリル酸系単量体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)その他ビニル系モノマー
(a)オレフィン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(b)ビニルエステル系単量体;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(c)ビニルエーテル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(d)ビニルケトン系単量体;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(e)N−ビニル化合物系単量体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(f)その他ビニル化合物系単量体;ビニルナフタレン、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等
これらビニル系モノマーは単独あるいは組み合わせて使用することが可能である。
(1)スチレン系単量体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸系単量体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸シクロヘキシル等
(3)アクリル酸系単量体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)その他ビニル系モノマー
(a)オレフィン系単量体;エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(b)ビニルエステル系単量体;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(c)ビニルエーテル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(d)ビニルケトン系単量体;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(e)N−ビニル化合物系単量体;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(f)その他ビニル化合物系単量体;ビニルナフタレン、ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等
これらビニル系モノマーは単独あるいは組み合わせて使用することが可能である。
上記ビニル系単量体を用いて形成される樹脂の中でも、メタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成した共重合体樹脂が好ましく、共重合体を構成するメタクリル酸シクロヘキシルのモノマー比率が40%以上のものが好ましい。また、トナーへの電荷付与性能の観点から、前述のメタクリル酸シクロヘキシルとともにメタクリル酸メチルを用いた共重合体樹脂がより好ましい。
次に、本発明で使用可能な芯材粒子は、磁場の存在によりその方向に強く磁化する物質(磁性体)で、たとえば、鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、マグネタイトやフェライト、これらを含む合金や化合物、これらを樹脂中に分散させたもの等がある。
フェライトは、式:MO・Fe2O3で示されるもので、また、マグネタイトは、式:MFe2O4で示されるものである。式中のMは、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、リチウム(Li)等の2価あるいは1価の金属原子で、これらを単独または複数種類組み合わせて使用可能である。
これら磁性体の中でも、比重が鉄やニッケル等の金属より小さいマグネタイトやフェライトが好ましい。そして、フェライトの中でもMが銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトや、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のいずれかを含有する軽金属フェライトがより好ましい。さらには、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のいずれかを含有する軽金属フェライトが特に好ましい。軽金属フェライトは、廃棄物や環境に与える負荷が他のものに比べて少ないことに加えて、キャリア自体をより軽量化することが可能で画像形成時にトナーに与えるストレスを軽減させるメリットを有している。
また、強磁性金属を含有しないものの適度な熱処理により強磁性を示すマンガン−銅−アルミニウムやマンガン−銅−スズ等のホイスラー合金と呼ばれる合金、二酸化クロム等も芯材粒子として使用することが可能である。
さらに、バインダ樹脂中に磁性粉を分散させた樹脂分散型コアを使用することも可能であり、磁性粉としては、たとえば、粒径が0.1〜3.0μm程度の鉄、フェライト、マグネタイト等が用いられる。また、バインダ樹脂としては、たとえば、ポリエステル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル系樹脂、アクリル系樹脂、フェノール系樹脂等が用いられる。
芯材粒子の径は、体積平均粒径で10〜100μmが好ましく、20〜80μmがより好ましい。また、芯材粒子自体が有する磁化特性は、飽和磁化で2.5×10−5〜10.0×10−5Wb・m/kgが好ましい。なお、芯材粒子の体積平均粒径は、湿式分散器を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパテック社製)により体積基準の平均粒径として測定が可能である。また、飽和磁化は、「直流磁化特性自動記録装置3257−35」(横河電機株式会社製)により測定が可能である。
本発明に係る二成分現像剤は、樹脂コートキャリアと当該樹脂コートキャリアを構成する樹脂と同じ組成の樹脂粒子を外添剤として含有するトナーより構成されるものである。
二成分現像剤を構成するキャリアとトナーの混合比率は、トナー濃度が1質量%から10質量%となる範囲にすることが好ましい。また、使用可能なトナーは、特に限定されるものではなく、以下に説明する様に従来公知のトナーを使用することが可能である。
次に、本発明に係る二成分現像剤に含有されるトナーを構成するトナー母体粒子について説明する。本発明で用いられるトナー母体粒子、すなわち、外添剤を添加する前の段階の粒子は、公知のトナー製造方法により製造が可能である。すなわち、混練、粉砕、分級工程を経てトナー母体粒子を作製するいわゆる粉砕法や、重合性単量体を重合させ、同時に、形状や大きさを制御しながら粒子形成を行ういわゆる重合法によるトナー製造方法が挙げられる。
この中でも、重合法によるトナー製造方法は、大きさや形状を揃えて粒子形成を行えるので、微細なドット画像や細線画像の様な高画質画像形成用のトナーの作製に有利な方法といえる。重合法によるトナー製造方法は、たとえば、懸濁重合や乳化重合等の重合反応により樹脂粒子を形成する工程を経てトナー母体粒子を作製するものである。そして、重合法の中でも、重合反応によりたとえば100nm程度の樹脂微粒子を作製し、この樹脂微粒子を凝集、融着させてトナー母体粒子を作製する会合工程を有する重合法のトナー製造方法が特に好ましい。この会合工程を設けることにより、たとえば、低温定着に寄与するガラス転移温度が低い樹脂微粒子を凝集させてコア粒子を作製し、次に、当該コア粒子表面にガラス転移温度が高い樹脂粒子を付着、凝集させることにより、コアシェル構造のトナーを作製することも可能である。
次に、本発明で使用可能なトナー母体粒子の形成に使用される樹脂やワックス、着色剤等について、具体例を挙げて説明する。
先ず、本発明で使用されるトナー母体粒子を形成する樹脂は、特に限定されるものではないが、下記に記載されるビニル系単量体と呼ばれる重合性単量体を重合して形成される重合体がその代表的なものである。また、本発明で使用可能な樹脂を構成する重合体は、少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られる重合体を構成成分とするものであり、これらビニル系単量体を単独あるいは複数種類組み合わせて作製した重合体である。
以下に、ビニル系の重合性単量体の具体例を示す。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
(1)スチレンあるいはスチレン誘導体
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン等
(2)メタクリル酸エステル誘導体
メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等
(3)アクリル酸エステル誘導体
アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等
(4)オレフィン類
エチレン、プロピレン、イソブチレン等
(5)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(6)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(7)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(8)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(9)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等。
また、本発明で使用されるトナー母体粒子を構成するビニル系の重合性単量体には、以下に示すイオン性解離基を有するものも使用可能である。たとえば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の官能基を単量体の側鎖に有するものがあり、具体的には、以下のものがある。
先ず、カルボキシル基を有するものとしては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等がある。また、スルフォン酸基を有するものとしては、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸等があり、リン酸基を有するものとしてはアシドホスホオキシエチルメタクリレート等がある。
また、以下に示す多官能性ビニル類を使用することにより、架橋構造の樹脂を作製することも可能である。以下に、多官能性ビニル類の具体例を示す。すなわち、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等。
また、トナー母体粒子に使用可能な着色剤としては、たとえば、以下のものがある。具体的な着色剤を以下に示す。
黒色トナー用の着色剤としては、カーボンブラックが用いられ、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック等がある。
また、カラートナー用の着色剤は、有機化合物からなる顔料あるいは染料が用いられ、以下に記載のものがある。
マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド1、同2、同3、同5、同6、同7、同15、同16、同48:1、同53:1、同57:1、同60、同63、同64、同68、同81、同83、同87、同88、同89、同90、同112、同114、同122、同123、同139、同144、同149、同150、同163、同166、同170、同177、同178、同184、同202、同206、同207、同209、同222、同238、同269等がある。
また、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー12、同14、同15、同17、同74、同83、同93、同94、同138、同155、同162、同180、同185等がある。
さらに、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー2、同3、同15、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同17、同60、同62、同66、C.I.ピグメントグリーン7等がある。
また、染料としては、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー2、同6、同14、同15、同16、同19、同21、同33、同44、同56、同61、同77、同79、同80、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等がある。
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することも可能である。また、着色剤の添加量はトナー母体粒子全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのがよい。
次に、本発明で使用されるトナー母体粒子に含有されるワックスとしては、以下に示すものがある。
(1)ポリオレフィン系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等
(2)長鎖炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、サゾールワックス等
(3)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(4)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(5)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等。
(1)ポリオレフィン系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等
(2)長鎖炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、サゾールワックス等
(3)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトン等
(4)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等
(5)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等。
ワックスの融点は、通常40〜125℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保存性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。また、トナー中のワックス含有量は、1質量%〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは5質量%〜20質量%である。
図2は、本発明に係る二成分現像剤を使用してトナー画像を形成することが可能な画像形成装置の一例を示す概略図で、本発明でいう下記工程を有する画像形成方法が行えるものである。すなわち、少なくとも、
(1)感光体を露光して静電潜像を形成する工程、
(2)静電潜像が形成された感光体にトナーを供給してトナー画像を形成する工程、
(3)感光体に形成されたトナー画像を画像支持体に転写する工程、
(4)画像支持体に転写されたトナー画像を定着する工程
を経てプリント物を作成するものである。
(1)感光体を露光して静電潜像を形成する工程、
(2)静電潜像が形成された感光体にトナーを供給してトナー画像を形成する工程、
(3)感光体に形成されたトナー画像を画像支持体に転写する工程、
(4)画像支持体に転写されたトナー画像を定着する工程
を経てプリント物を作成するものである。
図2において、31Y、31M、31C、31Bkは感光体、34Y、34M、34C、34Bkは現像手段、35Y、35M、35C、35Bkは1次転写手段としての1次転写ロール、35Aは2次転写手段としての2次転写ロール、36Y、36M、36C、36Bkはクリーニング手段、37は中間転写体ユニット、38は熱ロール式定着装置、370は中間転写体を示す。
この画像形成装置3は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部30Y、30M、30C、30Bkと、転写部としての無端ベルト状中間転写体ユニット37と、記録部材Pを搬送する無端ベルト状の給紙搬送手段41及び定着手段としての熱ロール式定着装置50とを有する。画像形成装置の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
各感光体に形成される異なる色のトナー像の1つとして、イエロー色の画像を形成する画像形成部30Yは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体31Y、該感光体31Yの周囲に配置された帯電手段32Y、露光手段33Y、現像手段34Y、1次転写手段としての1次転写ロール35Y、クリーニング手段36Yを有する。また、別の異なる色のトナー像の1つとして、マゼンタ色の画像を形成する画像形成部30Mは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体31M、該感光体31Mの周囲に配置された帯電手段32M、露光手段33M、現像手段34M、1次転写手段としての1次転写ロール35M、クリーニング手段36Mを有する。
また、さらに別の異なる色のトナー像の1つとして、シアン色の画像を形成する画像形成部30Cは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体31C、該感光体31Cの周囲に配置された帯電手段32C、露光手段33C、現像手段34C、1次転写手段としての1次転写ロール35C、クリーニング手段36Cを有する。また、さらに他の異なる色のトナー像の1つとして、黒色画像を形成する画像形成部30Bkは、第1の像担持体としてのドラム状の感光体31Bk、該感光体31Bkの周囲に配置された帯電手段32Bk、露光手段33Bk、現像手段34Bk、1次転写手段としての1次転写ロール35Bk、クリーニング手段36Bkを有する。
無端ベルト状中間転写体ユニット37は、複数のロールにより巻回され、回動可能に支持された中間転写エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状中間転写体370を有する。
画像形成部30Y、30M、30C、30Bkより形成された各色の画像は、1次転写ロール35Y、35M、35C、35Bkにより、回動する無端ベルト状中間転写体370上に逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。給紙カセット40内に収容された転写材として用紙等の画像支持体Pは、給紙搬送手段41により給紙され、複数の中間ロール42A、42B、42C、42D、レジストロール43を経て、2次転写手段としての2次転写ロール45Aに搬送され、記録部材P上にカラー画像が一括転写される。カラー画像が転写された記録部材Pは、熱ロール式定着装置50により定着処理され、排紙ロール25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
一方、2次転写ロール35Aにより記録部材Pにカラー画像を転写した後、記録部材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体370は、クリーニング手段36Aにより残留トナーが除去される。
画像形成処理中、1次転写ロール35Bkは常時、感光体31Bkに圧接している。他の1次転写ロール35Y、35M、35Cはカラー画像形成時にのみ、それぞれ対応する感光体31Y、31M、31Cに圧接する。
2次転写ロール35Aは、ここを記録部材Pが通過して2次転写が行われるときにのみ、無端ベルト状中間転写体370に圧接する。
画像形成部30Y、30M、30C、30Bkは、垂直方向に縦列配置されている。感光体31Y、31M、31C、31Bkの図示左側方には無端ベルト状中間転写体ユニット37が配置されている。無端ベルト状中間転写体ユニット37は、ロール371、372、373、374、376を巻回して回動可能な無端ベルト状中間転写体370、1次転写ロール35Y、35M、35C、35Bk及びクリーニング手段36Aとからなる。
このように感光体31Y、31M、31C、31Bk上に帯電、露光、現像によりトナー像を形成し、無端ベルト状中間転写体370上で各色のトナー像を重ね合わせ、一括して記録部材Pに転写し、定着装置50で加圧及び加熱により固定して定着する。トナー像を記録部材Pに転移させた後の感光体31Y、31M、31C、31Bkは、クリーニング装置36Aで転写時に感光体に残されたトナーを清掃した後、上記の帯電、露光、現像のサイクルに入り、次の画像形成が行われる。
以下、実施例を挙げて本発明の実施態様を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.「樹脂微粒子1〜11」の作製
下記手順で外添剤用の「樹脂微粒子1〜11」を作製した。
下記手順で外添剤用の「樹脂微粒子1〜11」を作製した。
(1)「樹脂微粒子1」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.4質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を用意した。次に、
メタクリル酸メチル 47.5質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 47.5質量部
エチレングリコールジメタクリレート 5質量部
よりなる重合性単量体混合液を前記界面活性剤溶液中に添加して、「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて24000rpmで撹拌処理を行い、個数平均1次粒径100nmの単量体粒子(油滴)を分散させた乳化液を調整した。ここで、単量体粒子の個数平均1次粒径は動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定した。
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器にドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.4質量部をイオン交換水500質量部に溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を用意した。次に、
メタクリル酸メチル 47.5質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 47.5質量部
エチレングリコールジメタクリレート 5質量部
よりなる重合性単量体混合液を前記界面活性剤溶液中に添加して、「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて24000rpmで撹拌処理を行い、個数平均1次粒径100nmの単量体粒子(油滴)を分散させた乳化液を調整した。ここで、単量体粒子の個数平均1次粒径は動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定した。
次に、この乳化液に重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.8質量部をイオン交換水40質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃で3時間加熱、撹拌して重合反応を行い、重合反応後室温まで冷却した。この様にして、共重合比が5/5のメタクリル酸メチル/メタクリル酸シクロヘキシル共重合体樹脂からなる「樹脂微粒子1」の分散液を作製した。作製された「樹脂微粒子1」の個数平均1次粒径を前述の動的光散乱式粒度分析計「マイクロトラックUPA150」(日機装(株)製)を用いて測定したところ100nmであった。
作製した「樹脂微粒子1」分散液を前述の手順で固液分離、水洗処理した後、スプレードライヤで乾燥処理して、個数平均1次粒径100nmの「樹脂微粒子1」を得た。なお、作製した「樹脂微粒子1」は、ビッカース硬度13のものであった。
(2)「樹脂微粒子2」の作製
前記「樹脂微粒子1」の作製で使用した重合性単量体の種類と添加量を以下の様に変更した。すなわち、
メタクリル酸メチル 45質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 45質量部
エチレングリコールジメタクリレート 10質量部
その他は「樹脂微粒子1」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径100nmでビッカース硬度20の「樹脂微粒子2」を作製した。
前記「樹脂微粒子1」の作製で使用した重合性単量体の種類と添加量を以下の様に変更した。すなわち、
メタクリル酸メチル 45質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 45質量部
エチレングリコールジメタクリレート 10質量部
その他は「樹脂微粒子1」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径100nmでビッカース硬度20の「樹脂微粒子2」を作製した。
(3)「樹脂微粒子3」の作製
前記「樹脂微粒子2」の作製で使用した重合性単量体の種類と添加量を以下の様に変更した。すなわち、
メタクリル酸メチル 42.5質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 42.5質量部
エチレングリコールジアクリレート 15質量部
その他は「樹脂微粒子1」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径100nmでビッカース硬度24の「樹脂微粒子3」を作製した。
前記「樹脂微粒子2」の作製で使用した重合性単量体の種類と添加量を以下の様に変更した。すなわち、
メタクリル酸メチル 42.5質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 42.5質量部
エチレングリコールジアクリレート 15質量部
その他は「樹脂微粒子1」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径100nmでビッカース硬度24の「樹脂微粒子3」を作製した。
(4)「樹脂微粒子4」の作製
前記「樹脂微粒子1」の作製で使用した重合性単量体の添加量を以下の様に変更した。すなわち、
メタクリル酸メチル 40質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 40質量部
エチレングリコールジメタクリレート 20質量部
その他は「樹脂微粒子1」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径が100nmでビッカース硬度30の「樹脂微粒子4」を作製した。
前記「樹脂微粒子1」の作製で使用した重合性単量体の添加量を以下の様に変更した。すなわち、
メタクリル酸メチル 40質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 40質量部
エチレングリコールジメタクリレート 20質量部
その他は「樹脂微粒子1」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径が100nmでビッカース硬度30の「樹脂微粒子4」を作製した。
(5)「樹脂微粒子5〜9」の作製
前記「樹脂微粒子1」の作製で、重合性単量体の乳化液粒子(油滴)を調製するために行う撹拌処理の回転数を12,000rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径300nmの「樹脂微粒子5」を作製した。また、撹拌処理の回転数を8,500rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径500nmの「樹脂微粒子6」を作製した。
前記「樹脂微粒子1」の作製で、重合性単量体の乳化液粒子(油滴)を調製するために行う撹拌処理の回転数を12,000rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径300nmの「樹脂微粒子5」を作製した。また、撹拌処理の回転数を8,500rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径500nmの「樹脂微粒子6」を作製した。
また、前記「樹脂微粒子3」の作製で、重合性単量体の乳化液粒子(油滴)を調製するために行う撹拌処理の回転数を18,000rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径200nmの「樹脂微粒子7」を作製した。また、撹拌処理の回転数を25,500rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径80nmの「樹脂微粒子8」を作製した。
さらに、前記「樹脂微粒子4」の作製で、重合性単量体の乳化液粒子(油滴)を調製するために行う撹拌処理の回転数を30,000rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより個数平均1次粒径50nmの「樹脂微粒子9」を作製した。
(6)「樹脂微粒子10」の作製
前記「樹脂微粒子1」の作製で、前記重合性単量体混合液を調製する際、エチレングリコールジメタクリレートを添加せず、
メタクリル酸メチル 50質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 50質量部
として、重合性単量体混合液を調製した。また、重合に使用する開始剤溶液は過硫酸カリウム(KPS)1.2質量部をイオン交換水40質量部に溶解させたものに変更した。その他は「樹脂微粒子1」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径100nmでビッカース硬度10の「樹脂微粒子10」を作製した。
前記「樹脂微粒子1」の作製で、前記重合性単量体混合液を調製する際、エチレングリコールジメタクリレートを添加せず、
メタクリル酸メチル 50質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 50質量部
として、重合性単量体混合液を調製した。また、重合に使用する開始剤溶液は過硫酸カリウム(KPS)1.2質量部をイオン交換水40質量部に溶解させたものに変更した。その他は「樹脂微粒子1」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径100nmでビッカース硬度10の「樹脂微粒子10」を作製した。
(7)「樹脂微粒子11」の作製
前記「樹脂微粒子4」の作製で使用した重合性単量体の添加量を以下の様に変更した。すなわち、
メタクリル酸メチル 35質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 35質量部
エチレングリコールジメタクリレート 30質量部
その他は「樹脂微粒子4」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径100nmでビッカース硬度35の「樹脂微粒子11」を作製した。
前記「樹脂微粒子4」の作製で使用した重合性単量体の添加量を以下の様に変更した。すなわち、
メタクリル酸メチル 35質量部
メタクリル酸シクロヘキシル 35質量部
エチレングリコールジメタクリレート 30質量部
その他は「樹脂微粒子4」の作製と同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径100nmでビッカース硬度35の「樹脂微粒子11」を作製した。
上記手順で作製した「樹脂微粒子1〜11」の個数平均1次粒径とビッカース硬度、及び、樹脂微粒子作製時におけるエチレングリコールジメタクリレートの質量比を表1に示す。
2.「トナー粒子1〜11」の作製
2−1.「トナー母体粒子C」の作製
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を調製し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、上記界面活性剤溶液に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とした後、下記化合物を含有する重合性単量体混合液を1時間かけて滴下した。
2−1.「トナー母体粒子C」の作製
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた界面活性剤溶液を調製し、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら内温を80℃に昇温させた。昇温後、上記界面活性剤溶液に、過硫酸カリウム(KPS)10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、再度液温を80℃とした後、下記化合物を含有する重合性単量体混合液を1時間かけて滴下した。
スチレン 480質量部
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチル−3−メルカププトプロピオネート 16質量部
滴下後、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い「樹脂粒子1h」を含有する「樹脂粒子分散液1h」を作製した。
n−ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部
n−オクチル−3−メルカププトプロピオネート 16質量部
滴下後、この系を80℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い「樹脂粒子1h」を含有する「樹脂粒子分散液1h」を作製した。
(2)第2段重合
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱した。この界面活性剤溶液に、前記「樹脂粒子1h」を固形分換算で260質量部と下記化合物を含有する重合性単量体混合液を添加した。すなわち、
スチレン 245質量部
n−ブチルアクリレート 120質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5質量部
ワックス「HNP−11(日本精鑞社製)」 67質量部
添加後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて1時間混合分散処理を行うことにより乳化粒子を含む分散液を調製した。
一方、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水800質量部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱した。この界面活性剤溶液に、前記「樹脂粒子1h」を固形分換算で260質量部と下記化合物を含有する重合性単量体混合液を添加した。すなわち、
スチレン 245質量部
n−ブチルアクリレート 120質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1.5質量部
ワックス「HNP−11(日本精鑞社製)」 67質量部
添加後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)を用いて1時間混合分散処理を行うことにより乳化粒子を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、この系を82℃で1時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、「樹脂粒子1HM」を含有する「樹脂粒子分散液1HM」を作製した。
(3)第3段重合
上記「樹脂粒子分散液1HM」に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃にした後、下記化合物を含有する重合性単量体混合液を1時間かけて滴下した。すなわち、
スチレン 435質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 33質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、「樹脂粒子a」を含有する「樹脂粒子分散液A」を作製した。上記「樹脂粒子分散液A」に含有される「樹脂粒子A」の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ、体積基準メディアン径で150nmであった。また、公知の方法でガラス転移温度を測定したところ45℃であった。
上記「樹脂粒子分散液1HM」に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、液温を80℃にした後、下記化合物を含有する重合性単量体混合液を1時間かけて滴下した。すなわち、
スチレン 435質量部
n−ブチルアクリレート 130質量部
メタクリル酸 33質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 8質量部
滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、「樹脂粒子a」を含有する「樹脂粒子分散液A」を作製した。上記「樹脂粒子分散液A」に含有される「樹脂粒子A」の粒子径を電気泳動光散乱光度計「ELS−800(大塚電子社製)」を用いて測定したところ、体積基準メディアン径で150nmであった。また、公知の方法でガラス転移温度を測定したところ45℃であった。
(4)「着色剤粒子分散液C」の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解させた溶液を撹拌しながら、
C.I.ピグメントブルー15:3(東洋インキ工業(株)製)」
420質量部
を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより、「着色剤粒子分散液C」を調製した。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に溶解させた溶液を撹拌しながら、
C.I.ピグメントブルー15:3(東洋インキ工業(株)製)」
420質量部
を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックス(エム・テクニック社製)」を用いて分散処理を行うことにより、「着色剤粒子分散液C」を調製した。
(5)「トナー母体粒子C」の作製
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「樹脂粒子分散液A」 300質量部(固形分換算)
イオン交換水 1400質量部
「着色剤粒子分散液C」 120質量部(固形分換算)
を投入した。さらに、ポリオキシエチレン−2−ドデシル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解した溶液を添加し、液温を30℃にした後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
撹拌装置、温度センサ、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、
「樹脂粒子分散液A」 300質量部(固形分換算)
イオン交換水 1400質量部
「着色剤粒子分散液C」 120質量部(固形分換算)
を投入した。さらに、ポリオキシエチレン−2−ドデシル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水120質量部に溶解した溶液を添加し、液温を30℃にした後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・6水和物35質量部をイオン交換水35質量部に溶解した水溶液を、撹拌状態の下で30℃にて10分間かけて添加して3分間保持してから昇温を開始した。昇温は60分かけて90℃まで行い、90℃に保持した状態で上記粒子の凝集、融着を行った。この状態で「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」を用いて反応容器内で成長する粒子の粒径測定を行い、体積基準メディアン径が6.5μmになったときに塩化ナトリウム150質量部をイオン交換水600質量部に溶解した水溶液を添加して粒子の成長を停止させた。さらに、熟成処理として液温を98℃にして加熱撹拌を行い、「FPIA−2100(シスメックス社製)」による測定で平均円形度が0.965になるまで粒子の融着を進行させた。
その後、液温を30℃まで冷却し、塩酸を使用して液のpHを2に調整して撹拌を停止した。この様にして「トナー母体粒子分散液C」を作製した。
上記工程を経て作製した「トナー母体粒子分散液C」をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40(松本機械(株)製)」で固液分離し、「トナー母体粒子C」のウェットケーキを形成した。
このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機でろ液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤ(セイシン企業(株)製)」に移し、水分量が0.5質量%になるまで乾燥処理を行うことによりシアン色の「トナー母体粒子C」を作製した。
(6)「トナー粒子1」の作製
作製した「トナー母体粒子C」100質量部に対して、下記外添剤
「樹脂微粒子1(個数平均1次粒径100nm)」 1.5質量部
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(個数平均1次粒径12nm)
0.5質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(個数平均1次粒径20nm)
0.5質量部
を添加し、ヘンシェルミキサ「FM10B(三井三池化工(株)製)」の撹拌羽根周速を30m/秒、処理温度30℃、処理時間25分に設定して外添処理を行った。外添処理後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、「樹脂微粒子1」を遊離可能な状態に添加させた「トナー粒子1」を作製した。
作製した「トナー母体粒子C」100質量部に対して、下記外添剤
「樹脂微粒子1(個数平均1次粒径100nm)」 1.5質量部
ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(個数平均1次粒径12nm)
0.5質量部
n−オクチルシラン処理した二酸化チタン(個数平均1次粒径20nm)
0.5質量部
を添加し、ヘンシェルミキサ「FM10B(三井三池化工(株)製)」の撹拌羽根周速を30m/秒、処理温度30℃、処理時間25分に設定して外添処理を行った。外添処理後、目開き90μmのふるいを用いて粗大粒子を除去することにより、「樹脂微粒子1」を遊離可能な状態に添加させた「トナー粒子1」を作製した。
2−2.「トナー粒子2〜11」の作製
前記「トナー粒子1」の作製で、外添剤として用いた「樹脂微粒子1」に代えて「樹脂微粒子2〜11」を各々用いた他は同じ手順を採ることにより、「樹脂微粒子2〜11」を遊離可能な状態に添加させた「トナー粒子2〜11」を作製した。
前記「トナー粒子1」の作製で、外添剤として用いた「樹脂微粒子1」に代えて「樹脂微粒子2〜11」を各々用いた他は同じ手順を採ることにより、「樹脂微粒子2〜11」を遊離可能な状態に添加させた「トナー粒子2〜11」を作製した。
3.「樹脂コートキャリア1〜6」の作製
3−1.「樹脂コートキャリア1」の作製
(1)「樹脂粒子1」の作製
前記「樹脂微粒子1」の作製で、重合性単量体の乳化液粒子(油滴)を調製するために行う撹拌処理の回転数を7,500rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径600nmの「樹脂粒子1」を作製した。
3−1.「樹脂コートキャリア1」の作製
(1)「樹脂粒子1」の作製
前記「樹脂微粒子1」の作製で、重合性単量体の乳化液粒子(油滴)を調製するために行う撹拌処理の回転数を7,500rpmに変更した他は同じ手順を採ることにより、個数平均1次粒径600nmの「樹脂粒子1」を作製した。
(2)「樹脂コートキャリア1」の作製
図1に示すキャリア製造装置に、
体積平均粒径35μmのMn−Mgフェライト粒子 100質量部
「樹脂粒子1」 5質量部
を投入した。なお、上記Mn−Mgフェライト粒子は飽和磁化が10.7×10−5Wb・m/kg、形状係数SF−1が130のものであった。
図1に示すキャリア製造装置に、
体積平均粒径35μmのMn−Mgフェライト粒子 100質量部
「樹脂粒子1」 5質量部
を投入した。なお、上記Mn−Mgフェライト粒子は飽和磁化が10.7×10−5Wb・m/kg、形状係数SF−1が130のものであった。
次に、チャンバーの温度を25℃に設定し、チャンバーの温度を上昇させないレベルの撹拌を行うため、回転羽根の回転数を200rpm(周速1m/sに相当)、回転羽根の作動時間を10分間に設定した。この設定条件の下で、磁性芯材粒子である上記Mn−Mgフェライト粒子表面に「樹脂粒子1」を静電的に付着させるオーダードミクスチャの操作を行った。そして、樹脂粒子1を静電付着した上記磁性芯材粒子をチャンバー底部に移動させることにより、オーダードミクスチャの操作(静電付着操作)を完了させた。
次に、ジャケットに熱水を供給しながら、回転羽根の回転数を1000rpm(周速8m/sに相当)に設定して25分間作動させ、チャンバーの温度を120℃に上昇させた。次に、チャンバーの温度を120℃に維持させながら、引き続き、前記回転数で回転羽根を60分間作動させて撹拌を継続し、機械的衝撃力の作用で樹脂粒子1を軟化、延展させ、上記磁性芯材粒子表面に樹脂コート層を形成した。
その後、回転羽根の回転数を400rpm(周速約3m/s)にして、撹拌を行いながら冷却処理を行い、チャンバーの温度を25℃に戻した。以上の手順を経ることにより、「樹脂コートキャリア1」を作製した。「樹脂コートキャリア1」の樹脂コート層の厚さを前述の方法で測定したところ1.0μmであった。
3−2.「樹脂コートキャリア2〜6」の作製
(1)「樹脂粒子2〜6」の作製
前記「トナー粒子2」用の「樹脂微粒子2」を作製する際、重合性単量体の乳化液粒子を調製するための撹拌処理時の回転数を「樹脂粒子1」のときと同様、7,500rpmに変更し、他は同じ手順で個数平均1次粒径600nmの「樹脂粒子2」を作製した。
(1)「樹脂粒子2〜6」の作製
前記「トナー粒子2」用の「樹脂微粒子2」を作製する際、重合性単量体の乳化液粒子を調製するための撹拌処理時の回転数を「樹脂粒子1」のときと同様、7,500rpmに変更し、他は同じ手順で個数平均1次粒径600nmの「樹脂粒子2」を作製した。
また、前記「樹脂微粒子3」を作製する際、重合性単量体の乳化液粒子を調製するための撹拌処理時の回転数を上記の様に変更した他は同じ手順で個数平均1次粒径600nmの「樹脂粒子3」を作製した。また、前記「樹脂微粒子4」を作製する際、重合性単量体の乳化液粒子を調製するための撹拌処理時の回転数を上記の様に変更した他は同じ手順で個数平均1次粒径600nmの「樹脂粒子4」を作製した。
また、前記「樹脂微粒子10」を作製する際、重合性単量体の乳化液粒子を調製するための撹拌処理時の回転数を上記の様に変更した他は同じ手順で個数平均1次粒径600nmの「樹脂粒子5」を作製した。さらに、前記「樹脂微粒子11」を作製する際、重合性単量体の乳化液粒子を調製するための撹拌処理時の回転数を上記の様に変更した他は同じ手順で個数平均1次粒径600nmの「樹脂粒子6」を作製した。
(2)「樹脂コートキャリア2〜6」の作製
前記「樹脂コートキャリア1」の作製で、図1に示すキャリア製造装置へ投入する「樹脂粒子1」を前記「樹脂粒子2〜6」に変更した他は同じ手順を採ることにより「樹脂コートキャリア2〜6」を作製した。
前記「樹脂コートキャリア1」の作製で、図1に示すキャリア製造装置へ投入する「樹脂粒子1」を前記「樹脂粒子2〜6」に変更した他は同じ手順を採ることにより「樹脂コートキャリア2〜6」を作製した。
4.「現像剤1〜18」の作製
前述した「トナー粒子1〜11」と上記「樹脂コートキャリア1〜6」を下記表2に示す様に組み合わせて二成分の「現像剤1〜18」を作製した。現像剤の作製は、配合比をキャリア100質量部に対してトナー8質量部とし、常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)環境下で、Vブレンダを用いてトナーとキャリアを混合することにより行った。Vブレンダの回転数を20rpm、撹拌時間を20分にして処理を行い、さらに、混合物を目開き125μmのメッシュで篩い分けて作製した。
前述した「トナー粒子1〜11」と上記「樹脂コートキャリア1〜6」を下記表2に示す様に組み合わせて二成分の「現像剤1〜18」を作製した。現像剤の作製は、配合比をキャリア100質量部に対してトナー8質量部とし、常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)環境下で、Vブレンダを用いてトナーとキャリアを混合することにより行った。Vブレンダの回転数を20rpm、撹拌時間を20分にして処理を行い、さらに、混合物を目開き125μmのメッシュで篩い分けて作製した。
5.評価実験
市販のデジタルカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に、「現像剤1〜18」を搭載し、温度30℃、相対湿度80%RHの高温高湿環境下で、図3に示すプリント物を作成して評価を行った。ここで、本発明の構成を有する「現像剤1〜14」を用いて評価したものを「実施例1〜14」、本発明の構成を有さない「現像剤15〜18」を用いて評価したものを「比較例1〜4」とする。
市販のデジタルカラー複合機「bizhub PRO C6500(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)製)」に、「現像剤1〜18」を搭載し、温度30℃、相対湿度80%RHの高温高湿環境下で、図3に示すプリント物を作成して評価を行った。ここで、本発明の構成を有する「現像剤1〜14」を用いて評価したものを「実施例1〜14」、本発明の構成を有さない「現像剤15〜18」を用いて評価したものを「比較例1〜4」とする。
評価は、現像剤1種類につき、トナー被覆率が5%、10%、20%、30%となるA4サイズの画像をそれぞれ連続で5000枚出力し、各連続プリント開始時と終了時に出力したプリント物のカブリとベタ画像濃度を測定して行った。評価用プリント物Sは、図3のハッチングで示される帯状のベタ画像部Sbと白地画像Swで構成され、トナー被覆率はA4のプリント物Sに占めるベタ画像Sbの面積比で規定した。また、ベタ画像は、連続プリント開始時に出力したプリント物をマクベス濃度計で測定したとき、相対反射濃度が1.3となる様に調整した。
〈ベタ画像濃度変動〉
マクベス社製反射濃度計「RD−918」を用い、評価用プリントの白地画像部分の反射濃度を「0」とし、評価用プリント上のベタ画像の相対反射濃度を測定した。測定はトナー被覆率5%の試料ではベタ画像上の5点を、10%のものは10点、20%のものは20点、30%のものは30点を測定し、平均値を算出して評価を行った。連続プリント終了後もベタ画像濃度が1.0以上のものを合格とし、その中でも1.2以上が維持されたものを特に優れているものとした。
マクベス社製反射濃度計「RD−918」を用い、評価用プリントの白地画像部分の反射濃度を「0」とし、評価用プリント上のベタ画像の相対反射濃度を測定した。測定はトナー被覆率5%の試料ではベタ画像上の5点を、10%のものは10点、20%のものは20点、30%のものは30点を測定し、平均値を算出して評価を行った。連続プリント終了後もベタ画像濃度が1.0以上のものを合格とし、その中でも1.2以上が維持されたものを特に優れているものとした。
〈トナーの帯電量変動〉
連続プリント開始時と終了時に上記デジタルカラー複合機の現像装置内より現像剤をサンプリングし、図4に示す帯電量測定装置60を用いてサンプリングしたトナーTに含有されるトナーの帯電量を測定した。帯電量測定の手順は、先ず、サンプリングしたトナー(T)50mgを帯電量測定装置60のアルミニウム製平行平板電極61、62間に配置する。次に、電極間ギャップ0.5mm、DCバイアス1.0kV、ACバイアス4.0kV、AC周波数2.0kHzの条件に設定して現像剤Dを現像(帯電)する。そして、現像(帯電)されたトナーTの電荷量と質量を測定し、単位質量あたりの電荷量Q/m(μC/g)を算出し、算出値をトナーの帯電量とした。連続プリント終了時におけるトナー帯電量が35μC/g以上のものを合格とした。
連続プリント開始時と終了時に上記デジタルカラー複合機の現像装置内より現像剤をサンプリングし、図4に示す帯電量測定装置60を用いてサンプリングしたトナーTに含有されるトナーの帯電量を測定した。帯電量測定の手順は、先ず、サンプリングしたトナー(T)50mgを帯電量測定装置60のアルミニウム製平行平板電極61、62間に配置する。次に、電極間ギャップ0.5mm、DCバイアス1.0kV、ACバイアス4.0kV、AC周波数2.0kHzの条件に設定して現像剤Dを現像(帯電)する。そして、現像(帯電)されたトナーTの電荷量と質量を測定し、単位質量あたりの電荷量Q/m(μC/g)を算出し、算出値をトナーの帯電量とした。連続プリント終了時におけるトナー帯電量が35μC/g以上のものを合格とした。
なお、図4に示す帯電量測定装置60は、Japan Hardcopy 2004 Fall Meeting論文集の17頁に記載されているもので、平行平板電極61と62の間における荷電粒子の運動に伴う誘導電荷をとらえるための装置である。帯電量測定装置60では、平行平板電極61、62間における静電容量と可変容量コンデンサ63の静電容量が等しくなる様に可変容量コンデンサ63を調整することにより、差動アンプに入力される電位差が荷電粒子の運動に伴う電流に比例する。そして、値が既知で等しい2つの抵抗64、65の値で電位差を除することにより荷電粒子の移動に伴う電流値を測定することができ、その電流値を積算することで電極61から62へ移動した粒子の総電荷量が算出される。さらに、算出した総電荷量を使用した粒子の質量で除することで帯電量が得られる。上述した電極間ギャップ、DCバイアス、ACバイアス、AC周波数の下で形成された電界の印加により、電極間に配置された現像剤を構成するトナーとキャリアは、それぞれ別の電極に付着、分離される。
〈カブリ濃度〉
マクベス社製反射濃度計「RD−918」を用いて、評価用プリントに使用したA4サイズ中性紙上の任意20個所における反射濃度を測定しその平均値を白紙濃度とした。次に、評価用プリント上の白地画像の任意20個所における反射濃度を測定し、その平均濃度より前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。カブリ濃度が0.01未満となるものを合格とし、その中でもカブリ濃度が0.005未満のものを良好とした。
マクベス社製反射濃度計「RD−918」を用いて、評価用プリントに使用したA4サイズ中性紙上の任意20個所における反射濃度を測定しその平均値を白紙濃度とした。次に、評価用プリント上の白地画像の任意20個所における反射濃度を測定し、その平均濃度より前記白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。カブリ濃度が0.01未満となるものを合格とし、その中でもカブリ濃度が0.005未満のものを良好とした。
〈トナー及びキャリアの飛散状況〉
連続プリント終了後に、現像装置周辺を目視観察して、トナーとキャリアの飛散による機内汚染状況を評価し、トナーとキャリアの飛散による機内汚染がみられなかったものを合格とした。
連続プリント終了後に、現像装置周辺を目視観察して、トナーとキャリアの飛散による機内汚染状況を評価し、トナーとキャリアの飛散による機内汚染がみられなかったものを合格とした。
以上の結果を下記表3〜表6に示す。
表3〜表6に示す様に、本発明の構成を有する二成分現像剤を用いた「実施例1〜14」では、トナー被覆率が5%から30%の連続プリントを行ったとき、いずれも所定レベルの濃度を有するベタ画像形成が可能で、カブリや機内汚染が発生しなかった。一方、「比較例1〜4」は、トナー被覆率が5%や10%のときはベタ画像の濃度低下やカブリ発生がほとんどなかったが、トナー被覆率が20%や30%のプリント作成ではベタ画像の濃度低下やカブリ発生、機内汚染が顕著に現れた。この結果から、本発明の構成を有する二成分現像剤を用いた「実施例1〜14」では、オンデマンド印刷対応のプリント作成を安定して行えるものであることが見出された。
1 キャリア製造装置
10 容器本体(混合槽)(チャンバー)
11 容器上蓋
12 原料投入口
13 投入弁
14 フィルタ
17 調温用ジャケット(加熱手段)
18 回転羽根(撹拌手段)
18a、18b、18c 撹拌羽根
20 製品取出口
22 モータ(駆動手段)
3 画像形成装置
30(30Y、30M、30C、30Bk) 画像形成部
31(31Y、31M、31C、31Bk) 感光体
32(32Y、32M、32C、32Bk) 帯電手段
33(33Y、33M、33C、33Bk) 露光手段
35(35Y、35M、35C、35Bk) 1次転写ロール
36(36Y、36M、36C、36Bk) クリーニング装置
37 無端ベルト状中間転写体ユニット
50 定着装置
60 帯電量測定装置
S 評価用プリント物
Sb ベタ画像
Sw 白地画像
10 容器本体(混合槽)(チャンバー)
11 容器上蓋
12 原料投入口
13 投入弁
14 フィルタ
17 調温用ジャケット(加熱手段)
18 回転羽根(撹拌手段)
18a、18b、18c 撹拌羽根
20 製品取出口
22 モータ(駆動手段)
3 画像形成装置
30(30Y、30M、30C、30Bk) 画像形成部
31(31Y、31M、31C、31Bk) 感光体
32(32Y、32M、32C、32Bk) 帯電手段
33(33Y、33M、33C、33Bk) 露光手段
35(35Y、35M、35C、35Bk) 1次転写ロール
36(36Y、36M、36C、36Bk) クリーニング装置
37 無端ベルト状中間転写体ユニット
50 定着装置
60 帯電量測定装置
S 評価用プリント物
Sb ベタ画像
Sw 白地画像
Claims (8)
- 少なくとも、樹脂と着色剤及びワックスを含有するトナー母体粒子と外添剤よりなるトナーと、磁性芯材粒子表面に樹脂コート層を被覆してなる樹脂コートキャリアを有する二成分現像剤であって、
前記トナーは、少なくとも、
ビッカース硬度が13以上30以下であり、前記樹脂コートキャリアの樹脂コート層に含有される樹脂と同じ組成の樹脂微粒子を外添剤として含有するものであり、
前記樹脂微粒子はトナー粒子表面より遊離可能な状態で前記トナーに含有されるものであることを特徴とする二成分現像剤。 - 前記樹脂微粒子は、少なくともメタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成された共重合体樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項1に記載の二成分現像剤。
- 前記樹脂微粒子は、個数平均1次粒径が50nm以上500nm以下のものであることを特徴とする請求項1または2に記載の二成分現像剤。
- 前記樹脂コートキャリアは、少なくとも、
芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程と、
前記樹脂粒子を付着させた前記芯材粒子を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱しながら機械的衝撃力を加えて、前記芯材粒子表面へ樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程を経て作製されるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の二成分現像剤。 - 少なくとも、
感光体を露光して静電潜像を形成する工程と、
静電潜像が形成された前記感光体にトナーを供給してトナー画像を形成する工程と、
前記感光体に形成されたトナー画像を画像支持体に転写する工程と、
前記画像支持体に転写されたトナー画像を定着する工程を有する画像形成方法であり、 前記画像形成方法は、
少なくとも、樹脂と着色剤及びワックスを含有するトナー母体粒子と外添剤よりなるトナーと磁性芯材粒子表面に樹脂コート層を被覆してなる樹脂コートキャリアを有する二成分現像剤を用いて、画像支持体へ少なくともトナー被覆率が5%以上30%以下の画像を形成するものであり、
前記トナーは、少なくとも、
ビッカース硬度が13以上30以下であり、前記樹脂コートキャリアの樹脂コート層に含有される樹脂と同じ組成の樹脂微粒子を外添剤として含有するものであり、
前記樹脂微粒子はトナー粒子表面より遊離可能な状態で前記トナーに含有されるものであることを特徴とする画像形成方法。 - 前記樹脂微粒子は、少なくともメタクリル酸メチルとメタクリル酸シクロヘキシルを用いて形成された共重合体樹脂を含有するものであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
- 前記樹脂微粒子は、個数平均1次粒径が50nm以上500nm以下のものであることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成方法。
- 前記樹脂コートキャリアは、少なくとも、
芯材粒子と樹脂粒子を室温下で撹拌、混合して、静電気の作用で芯材粒子表面に樹脂粒子を付着させる工程と、
前記樹脂粒子を付着させた前記芯材粒子を前記樹脂粒子のガラス転移温度以上に加熱しながら機械的衝撃力を加えて、前記芯材粒子表面へ樹脂粒子を延展、被覆させて樹脂コート層を形成する工程を経て作製されるものであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の画像形成方法。
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