JP2010197558A - 2成分現像剤、画像形成方法、画像形成装置 - Google Patents

2成分現像剤、画像形成方法、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱保管性に優れ、長期に渡り安定した帯電量をトナーに付与し、所定画像のトナー画像を作製出来るトリクル現像方式用のコア・シェル型トナーとキャリアとを有する2成分現像剤、それを用いた画像形成方法、及び画像形成装置の提供。
【解決手段】トリクル現像方式の画像形成法に用いられるトナーとキャリアとを有する2成分現像剤において、トナーがコア・シェル型のトナー粒子で、シェルの8点平均膜厚が100から300nmであり、シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとした時に、Hmax/Hminが1.00から1.50であり、コアを構成している樹脂のガラス転移温度Tg1が、30℃≦Tg1≦40℃、シェルを構成している樹脂のガラス転移温度Tg2が、45℃≦Tg2≦55℃であり、キャリアは体積平均粒径が20μmから40μmの樹脂被覆型のキャリア粒子で構成されていることを特徴とする2成分現像剤。
【選択図】図1

Description

本発明は複写機やプリンターなどの電子写真方式の現像方法に用いられるトリクル現像方式の画像形成法に用いられる2成分現像剤と、それを用いた画像形成方法及び画像形成装置に関するものである。
電子写真法など静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、複写機やプリンター等、現在様々な分野で利用されている。電子写真法においては、帯電、露光工程により感光体(潜像担持体)表面に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像を現像し、転写、定着工程を経て画像が可視化される。ここで用いられる現像剤としては、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、磁性トナー又は非磁性トナーを単独で用いる1成分現像剤とが知られており、2成分現像剤を使用した2成分現像法は優れた現像法として広く用いられている。
2成分現像法では、トナーはキャリア表面の樹脂との摩擦により適度に帯電するが、長期に渡り現像を繰り返すと、現像剤中のキャリア表面の樹脂コート層が摩耗剥離し、或いはキャリア表面にトナー構成成分が付着凝集して、キャリアの帯電付与能力が低下してくるという問題がある。しかしながら、実際の現像においては現像電極電位が一定な状況で現像を続けるため、徐々に現像剤のキャリア表面におけるトナー被覆率が減少してくる。そのため、特にフルカラー画像においては画像濃度が変動したり、現像スリーブと感光体間の相対速度差に起因するベタ画像後端部の抜けや、ハーフトーンとベタ画像が混在する時に、ベタ画像先端とハーフトーン境界部におけるハーフトーン画像後端抜け等が発生してしまう。
そこで、これらの対応として、特公平2−21591号公報に、現像により消費されるトナーに対応してトナーを補給すると共に、キャリアを補給し、現像器内のキャリアを少しずつ入れ替えることにより帯電量の変化を抑制して、現像濃度を安定化する現像方式(所謂、トリクル現像方式)が提案されている。
一方、省エネルギー化が進む中で、電子写真技術においては、消費電力低減や高速印刷のために、定着装置の低エネルギー化(低温定着化)が近年図られている。しかし、低温定着化に伴いトナーの熱的安定性が低下し、保管時及び輸送時の耐熱保管性の改良が充分ではなかった。一方、着色剤や離型剤などの成分がトナー表面から露出することにより安定した帯電性を長期に渡り維持することも不充分であった。
これらの課題を解決するために、特開2004−191618号公報、特開2004−271638号公報にトナー表面を樹脂で被覆した構造を有する、所謂、コア・シェル構造にてトナー性能向上を図る技術が記載されている。
しかし、コア・シェル構造にて耐熱保管性を確保するためには、低軟化点化したコア樹脂が熱により流出しない様にシェル層を厚くする必要があった。しかし、逆にコア樹脂が流出しにくくなり、低温定着性が低下してしまうという問題があった。
そこで、低Tgのコアをシェル層により薄膜、且つ、均一に被覆することにより、低温定着性を低下させることなく、耐熱保管性を確保したコア・シェル構造トナーが提案されている。
しかし、コア・シェル構造を取るトナーでは、表層が樹脂単独となるために、荷電能力が低く、帯電量が低下する傾向にあり、画像カブリ、トナー飛散が悪化するという問題があった。
このコア・シェル型のトナーをトリクル現像方式に用いて画像形成を繰り返し行っていると、トナーの帯電量にバラツキが生じてトナー飛散による画像形成機内の汚染やカブリの発生が顕著に現れる様になった。トリクル現像方式の場合は、従来より、トナー粒子の表面の外添剤(例えば、流動化剤、クリーニング助剤等)が新しく供給されたキャリアの表面に移行して、移行した外添剤の影響で充分な摩擦帯電が行えなくなり、トナーの帯電量の低下を招くことがあることが知られていた。
この対策として、例えば、低温定着対応のトナーを使用したトリクル現像方式において、トナー消費量の多い条件にて画像形成を続けても、トナー帯電量の変動が小さく、画像カブリ、画像ムラのない画像を得ることが出来るトリクル現像方式に用いる現像剤として、着色粒子に第1の無機微粒子が付着してなる体積メディアン径が3から8μmのトナーと、磁性粒子に第1の無機微粒子を含む第2の無機微粒子を付着し、第2の無機微粒子中の第1の無機微粒子での被覆する面積比率が、0.5から3.0面積%である、質量平均粒子径(D4)が20から40μmのキャリアとを有する2成分型の現像剤が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、特許文献1に記載の低温定着対応のトナーを用いた2分型の現像剤は、外添剤のキャリアへの移行は制御されるものの、次の問題点があることが判った。
1.現像装置内で長時間攪拌による摩擦帯電時にトナーの破砕が生じる場合がある。
2.その結果、破砕されたトナーの破砕片が、補給されたキャリアの表面に付着して新たに補給されたキャリアの帯電付与性能を低下させる。
3.現像装置中に新しい現像剤が補充された時、現像装置中の新旧のトナーとの間に帯電性に差が出るため、画像安定性に欠ける。
この様な状況から、トリクル現像方式に低温定着対応のコア・シェル型トナーとキャリアとを有する2成分現像剤を用いた時に、耐熱保管性に優れ、長期に渡り安定した帯電量をトナーに付与し、所定画像のトナー画像を安定して作製することが出来るトリクル現像方式用の2成分現像剤、及び、それを用いた画像形成方法、及び画像形成装置の開発が望まれている。
特開2007−298977号公報
本発明は、上記状況を鑑みなされたものであり、その目的は、耐熱保管性に優れ、長期に渡り安定した帯電量をトナーに付与し、所定画像のトナー画像を安定して作製することが出来るトリクル現像方式用のコア・シェル型トナーとキャリアとを有する2成分現像剤、及び、それを用いた画像形成方法、及び画像形成装置を提供することである。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成された。
1.トナーとキャリアとを有する2成分現像剤を使用し、現像により消費されるトナーに対応してトナーを補給すると共に、キャリアを補給するトリクル現像方式の画像形成法に用いられる2成分現像剤において、
前記トナーがコアの表面にシェルを有するコア・シェル型のトナー粒子で構成され、
前記シェルの8点平均膜厚が100nmから300nmであり、
前記シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとした時に、Hmax/Hminが1.00から1.50であり、
前記コアを構成している樹脂のガラス転移温度Tg1が、30℃≦Tg1≦40℃、
前記シェルを構成している樹脂のガラス転移温度Tg2が、45℃≦Tg2≦55℃であり、
前記キャリアは芯材の表面を樹脂で被覆された体積平均粒径が20μmから40μmの樹脂被覆型のキャリア粒子で構成されていることを特徴とする2成分現像剤。
2.前記コア・シェル型のトナー粒子の体積基準メディアン粒径が3.0μmから8.0μmであることを特徴とする前記1に記載の2成分現像剤。
3.前記コアを構成している樹脂のガラス転移温度Tg1と、シェルを構成している樹脂のガラス転移温度Tg2との関係が、25℃≧Tg2−Tg1≧10℃あることを特徴とする前記1又は2に記載の2成分現像剤。
4.前記2成分現像剤を構成するキャリアが、芯材と樹脂被覆層から構成されてなり、且つ、該芯材又は該樹脂被覆層の少なくとも一方に窒素含有樹脂を含有することを特徴とする前記1から3の何れか1項に記載の2成分現像剤。
5.少なくとも樹脂と着色剤を含むトナーとキャリアとを現像器中に補給するトリクル現像方式により画像を形成する画像形成方法において、前記1から4の何れか1項に記載の2成分現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
6.前記5に記載の画像形成方法により画像形成することを特徴とする画像形成装置。
長期に渡り安定した帯電量をトナーに付与し、所定画像のトナー画像を安定して作製することが出来るトリクル現像方式用のコア・シェル型トナーとキャリアとを有する2成分現像剤、及び、それを用いた画像形成方法、及び画像形成装置を提供することが出来た。
トリクル現像方式に使用する現像器の拡大概略断面図である。 2成分現像剤のトナーを構成しているコア・シェル型のトナー粒子の概略図である。 キャリア粒子の概略断面図である。 本発明の2成分現像剤を用いた図1に示す現像器を使用した画像形成装置の一例を示す模式図である。
本発明の実施の形態を図1から図4を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1は、トリクル現像方式に使用する現像器の拡大概略断面図である。尚、図1における図示の矢印は各ローラーの回転方向を示し、二重矢印は現像剤の搬送方向を示す。
図中、1は現像器を示す。現像器1は、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤Dを収容する現像剤収容部である現像器ハウジング101と、内部に固定の磁極を有する磁界発生手段であるマグネットロール103を有する現像剤搬送体である現像スリーブ102と、現像スリーブ102上の現像剤層厚を所定量に規制する磁性材からなる層厚規制手段である層厚規制部材104と、非磁性材からなる現像剤の受け部材105と、背面に磁石板106aを有する現像剤の除去板106と、2成分現像剤Dを現像スリーブ102に供給する搬送供給ローラー107と、一対の撹拌スクリュー108、109とを有している。
現像剤搬送体である現像スリーブ102は、例えばステンレス材を用いた外形8mmから60mmの非磁性の円筒状の部材からなり、感光体ドラムAの周面に対し、現像スリーブ102の両端に設けられた突当コロ(不図示)により所定の間隙を保って感光体ドラムAの回転(図中の矢印方向(時計方向回転))に対し逆方向に回転される。外径が8mm以下であると、画像形成に必要な磁極N1、S1、N2、S2、N3からなる少なくとも5極の磁極を有するマグネットロール103を形成することが不可能であり、又現像スリーブ102の外径が60mmを越えると、現像器1が大型化する。特に、複数組の現像器406(図4参照)を有した複数組のプロセスユニット402Yから402K(図4参照)を有するカラー画像形成装置4(図4参照)においては、現像器の占める容積が大きくなり、感光体ドラムAの外径が増大化したり、感光体ドラムAの大型化により画像形成装置が大型化になってしまう。
マグネットロール103は、現像スリーブ102に内包され、複数個の磁極N1、N2、N3、S1、S2を交互に配し、現像スリーブ102と同心に固定されていて、非磁性のスリーブ周面に磁力を作用させる。
層厚規制手段である層厚規制部材104は、マグネットロール103の磁極N3と対向し、現像スリーブ102と所定の間隙で配置される例えば棒状或いは板状の磁性ステンレス材よりなり、現像スリーブ102の周面上の2成分現像剤の層厚を規制する。
受け部材105は、例えばABS樹脂等の樹脂部材を用いた非磁性部材からなり、現像スリーブ102の回転方向下流側に現像スリーブ102と所定の間隙で配置され、層厚規制部材104の端面に隣接し、例えば層厚規制部材104に接着剤により固着されて一体となって形成されており、層厚規制部材104により規制される現像剤層よりのトナーがこぼれるのを防止し、2成分現像剤Dの現像剤層を安定して現像スリーブ102の周面上に保つ。受け部材105は現像器ハウジング101により形成され、層厚規制部材104の端面に隣接して設けられてもよい。
2成分現像剤Dの除去板106は、マグネットロール103の磁極N2と対向して設けられ、磁極N2、N3の反撥磁界と除去板106の背面に設けられる磁石板106aとの作用により現像スリーブ102上の2成分現像剤Dを剥ぎ取る。
搬送供給ローラー107は、除去板106により剥ぎ取られた2成分現像剤Dを撹拌スクリュー108に搬送すると共に、撹拌スクリュー108によりの撹拌された2成分現像剤を層厚規制部材104へと供給する。107aは搬送供給ローラー107に設けられ、2成分現像剤を搬送するための羽根部である。
撹拌スクリュー108及び109は、互いに相反する方向に等速で回転し、現像器1内のトナーと磁性キャリアとを撹拌、混合し、所定のトナー成分を均等に含有する2成分現像剤Dとする。
撹拌スクリュー109の上部で現像器ハウジング101の上部の天板101aに開口する2成分現像剤補給口101bから現像器ハウジング101内に補給された2成分現像剤は、互いに相反する方向に等速で回転する撹拌スクリュー108、109により現像器ハウジング101内に収容された2成分現像剤と撹拌、混合されて均一なトナー濃度の2成分現像剤となり、この2成分現像剤が回転する搬送供給ローラー107により搬送され、層厚規制部材104により所定の層厚とされ、受け部材105により2成分現像剤の現像剤層が安定して現像スリーブ102の外周面上に供給される。
現像スリーブ102の外周面上に供給された、2成分現像剤を構成しているトナーは、感光体ドラムA上に形成された潜像に合わせ現像スリーブ102から脱離し感光体ドラムA上に静電吸着する。
感光体ドラムA上の潜像を現像した後の現像スリーブ102上の2成分現像剤は、磁極N2、N3の反撥磁界と除去板106の背面に設けられる磁石板106aとの作用により剥ぎ取られ、搬送供給ローラー107により再度撹拌スクリュー108へと搬送される。感光体ドラムA上の静電潜像が直流(DC)バイアスE1に必要により交流(AC)バイアスAC1が重畳される現像バイアス電圧の印加による非接触現像法により非接触の状態で反転現像される。
現像器1に対しては、トナー濃度検知センサー101cによって現像器ハウジング101内のトナー濃度が所定のトナー濃度より低下したと検知されると2成分現像剤Dの補給が行われる。トナー濃度とは、2成分現像剤を構成しているトナーの割合を示す。現像器ハウジング101内の2成分現像剤の内、トナーは現像によって消費されるがキャリアについては消費されないので、現像時間が長くなるに従って2成分現像剤を構成しているトナーの割合が減少する。消費されたトナーは逐次補給される。この際、トナーと同時にキャリアも補給する構成である。補給用のトナー中にはキャリアが10質量%から30質量%含有されているとよい。又、本校性では二成分現像剤を使用に従い、逐次廃棄する構成としており、一定量以上の容量を超える二成分現像剤は逐次現像器より廃棄されていく。
この様に、現像により消費されるトナーに対応してトナーを補給すると共に、キャリアを補給し、更に、現像器内の二成分現像剤を逐次廃棄し、現像器内のキャリアを少しずつ入れ替えることにより帯電量の変化を抑制して、現像濃度を安定化する現像方式をトリクル現像方式と言う。
補給される2成分現像剤Dは、供給手段であるホッパー406b(図4参照)から2成分現像剤補給口101bを経て現像器1内に補給される。現像器1内に補給された2成分現像剤は、撹拌スクリュー108、109による循環搬送過程において、充分に撹拌され、トナーも撹拌によって帯電し、現像スリーブ102へと搬送され供給が行われる。
2成分現像剤Dの補給によって現像器ハウジング101内の2成分現像剤の量は増量することとなる。これに対応して、現像器ハウジング101内の2成分現像剤Dの規定量に相当する界面近傍に過剰となって界面レベルが上昇した2成分現像剤Dは、図示しない界面レベル検知手段によって2成分現像剤が増量状態にあることを検知し、撹拌スクリュー108、109が通常現像時とは逆転するよう搬送駆動のモータの切り換えが行われ、現像器ハウジング101に設けられたスクリューモータ等の排出手段(不図示)により排出される。
排出された現像剤は撹拌スクリュー109の逆転と同時に回転を開始した排出手段(不図示)によって回収容器406c(図4参照)に搬送されて回収が行われる。係る動作によって現像器ハウジング101内の現像剤の排出が行われ、界面レベル検知手段が現像剤が標準レベルまで減量したことを検知すると、撹拌スクリュー108、109は逆転動作を停止し、停止後正転に復帰する。
本発明は、本図に示すトリクル現像方式に用いる2成分現像剤、この2成分現像剤を用いた画像形成方法と画像形成装置に関するものである。
次に本発明の2成分現像剤を構成しているトナーと樹脂被覆型キャリア(以下、単にキャリアとも言う)に付き説明する。
本発明の2成分現像剤を構成しているトナーはコアとシェルを有するコア・シェル型のトナー粒子を有しているが、種々の成分を含有する構成及び構造を採り得る。好ましい態様としては、着色剤、ワックス、等を含有する構成態様である。又、これらの態様に限定されるものではない。以下、コア・シェル型のトナー粒子を有する2成分現像剤用のトナーの各構成要素等について詳細な説明をする。
図2は2成分現像剤のトナーを構成しているコア・シェル型のトナー粒子の概略図である。図1(a)は2成分現像剤のトナーを構成しているコア・シェル型のトナー粒子の概略断面図である。図1(b)はコア・シェル型のトナー粒子のシェルの8点平均膜厚の測定状態を示す概略図である。
図中、2はコア・シェル型のトナー粒子を示す。トナー粒子2は、コア201と、コア201の表面を被覆するシェル202とを有している。トナー粒子2は、コア201が樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて形成され、シェル202がコア201の表面に樹脂を被覆して形成されたコア・シェル型の構成をしている。コア201を構成している樹脂のガラス転移温度Tg1は、シェルの膜厚均一性、低温定着性と耐ドキュメントオフセット性等を考慮し、30℃≦Tg1≦40℃である。シェル202を構成している樹脂のガラス転移温度Tg2は、シェルの膜厚均一性、耐熱保管性等を考慮し、45℃≦Tg2≦55℃である。
又、ガラス転移温度Tg2とガラス転移温度Tg1との関係は、低温定着性と耐ドキュメントオフセット性、耐熱保管性等を考慮し、25℃≧Tg2−Tg1≧10℃であることが好ましい。
コア201を構成する樹脂及びシェル202を構成する樹脂のガラス転移温度は、使用する樹脂を構成する重合性単量体の種類、量及び分子量を適宜選択することにより、調整することが可能である。ガラス転移温度を調整する方法は、例えばシェルを構成する樹脂とコアを構成する樹脂の重合単量体の種類を後述する化合物から選定し、両者のガラス転移温度を上記の範囲になる様に比率と分子量を調整することで可能となる。
ガラス転移温度は、DSC−7示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)を用いて測定することが出来る。
測定手順として、試料5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。
リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0から200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、昇温−降温−昇温の繰り返しの温度制御を行い、その2回目の昇温におけるデータをもとに解析を行った。
ガラス転移温度は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
更に、樹脂の組成から高分子化学の理論計算でガラス転移温度を算出してもよい。
コア・シェル型トナー粒子の体積基準メディアン粒径は、キャリアとの混合性、帯電安定性等を考慮し、3.0μmから8.0μmが好ましい。
体積基準メディアン粒径は、マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)で測定した値を示す。
トナー粒子2の耐熱指数は、耐熱保管性を考慮し、20%以下が好ましい。
耐熱指数とは、トナー100gを、温度55℃、相対湿度90%RHの条件下に24時間放置した後、目開き45μmのフルイで篩い、フルイ上に残った凝集物の量(割合:質量%)を言う。従って、耐熱指数が低いほど、即ち、凝集物が少ないほど、耐熱保管性が良好となる。耐熱指数の調整は、前述のようにシェルの厚さ及び均一性を制御することにより行う。
コアの円形度は、シェル膜厚の均一性を考慮し、0.900以上であることが好ましい。より好ましくは、0.900から0.930である。即ち、このコア粒子の形状の範囲とすることで、シェル化を行う際に均一な薄い膜を形成することが出来る。この範囲以下である場合には、コアの形状が不均一となり、均一なシェル化が困難となってしまう場合がある。
円形度は、FPIA−2100(シスメックス社製)を用いて測定した値である。具体的には、コア粒子を界面活性剤入り水溶液にてなじませ、超音波分散を1分行い分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000から10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。円形度は下記式にて定義された値である。
円形度=(粒子投影像と同じ面積を有する円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
又、平均円形度は、各粒子の円形度を足し合わせ、全粒子数でわり算して算出した値である。
トナー粒子2のシェル202の8点平均膜厚は、コア粒子の耐熱依存性、低温定着性、シェルの膜厚均一性等を考慮し、100nmから300nmである。且つ、シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとした時に、耐熱保管性、帯電安定性等を考慮し、Hmax/Hminが1.00から1.50である。好ましくは、1.05から1.50であり、より好ましくは1.05から1.40である。
Hmax/Hminとは、トナー粒子100個におけるHmax/Hminの平均値を示す。又、トナー粒子100個において80個数%以上のトナー粒子のHmax/Hminが1.50未満であることが好ましい。
図1(b)を参照しながらシェルの8点平均膜厚の測定方法を説明する。トナー粒子におけるシェルの膜厚は、トナー粒子の断面層を透過型電子顕微鏡により撮影した写真より計測されるものである。透過型電子顕微鏡としては、例えば、LEM−2000型(トプコン社製)、JEM−2000FX(日本電子社製)等が用いられる。
具体的には、先ずトナー粒子を常温硬化性のエポキシ樹脂中に充分分散させた後、包埋し、粒径100nm程度のスチレン微粉末に分散させた後加圧成形する。必要により得られたブロックを四三酸化ルテニウム、又は、四三酸化オスミウムを併用し染色を施した後、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用い薄片状のサンプルを切り出し透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、トナー1個の断面が視野に入る倍率(約10000倍)にて写真撮影する。次に、上記写真において、着色剤やワックス等の存在領域を目視観察により確認しつつ、トナー粒子のコアとシェルとの界面となる境界線を明らかにする。次に、図2(b)に示す如く、トナー粒子1の重心Rから45°間隔で表面に向かって直線を引き、各直線がコア201の表面と交わる点をP、シェルの表面と交わる点をQとし、PQ間の距離(即ち、シェルの厚さ)を8点測定し、その8点の平均値をトナー粒子1個のシェルの膜厚とする。8点平均膜厚とは、トナー粒子100個について8点平均膜厚の平均値として示されるものである。
トナー粒子2の軟化点は、低温定着性、耐熱保管性等を考慮し、90℃から110℃が好ましい。
軟化点の測定方法について説明する。
温度:20±1℃、相対湿度:50±5%RH環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れて平らにならし、12時間以上放置した後、成型器SSP−A(島津製作所製)にて3.75×10Paの力で30秒間加圧し、直径1cmの円中型の成型サンプルを作製する。
温度:24±5℃、相対湿度:50±20%RH環境下において、フローテスタCFT−500D(島津製作所製)により、上記成型サンプルを荷重196N、開始温度60℃、予熱時間300秒、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの孔に(1mm×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetを、トナーの軟化点とした。
本図に示されるトナー粒子は次の特徴を有している。
1)シェルの厚さが均一で薄い
2)コアを形成している樹脂のガラス転移温度が低い
3)シェルを形成している樹脂のガラス転移温度が低い
これらの特徴から定着ローラーの温度を150℃以下、好ましくは130℃以下の温度にする画像形成方法に適用することが可能となる。
本図に示されるトナー粒子を有するトナーをトリクル現像方式に使用することで、薄膜、且つ、厚みムラのない均一なシェル層を形成することで、低Tgのコア粒子であっても耐熱保管性の確保することが出来、低温定着性を低下させることなく、長期に安定したトナー帯電性能を得ることが出来る。
次に、本図に示されるトナー粒子2の製造方法について説明する。本図に示されるトナー粒子2の製造方法としては、種々の態様の製造方法を採ることが出来るが、樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させて、コアを作製する工程と、コアの表面に樹脂微粒子を添加して、シェルを形成する工程を経て、コア・シェル構造の静電荷像現像用トナーを製造する態様の方法が好ましい。
本図に示されるトナー粒子2を製造する工程の一例を挙げ、トナー粒子2を製造する方法を説明する。工程としては、以下に示す(1)から(9)の工程が挙げられる。
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)樹脂微粒子の分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中で樹脂微粒子と着色剤粒子を凝集、融着させてコア粒子(会合粒子)を得る凝集・融着工程
(4)会合粒子を熱エネルギーにより熟成して形状を調整する第1の熟成工程
(5)コア粒子分散液中に、シェル用の樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル用粒子を凝集、融着させてコア・シェル構造の着色粒子を形成するシェル化工程
(6)コア・シェル構造の着色粒子を熱エネルギーにより熟成して、コア・シェル構造の着色粒子の形状を調整する第2の熟成工程
(7)冷却された着色粒子分散液から着色粒子を固液分離し、当該着色粒子から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(8)洗浄処理された着色粒子を乾燥する乾工程
又、必要に応じて乾燥工程の後に、
(9)乾燥処理された着色粒子に外添剤を添加する工程
を有する場合もある。上記工程については、後で詳述する。
本図に示されるトナー粒子2を製造する場合、先ず、樹脂粒子と着色剤とを会合融着させてコアとなる粒子(以下「コア粒子」と言う。)を作製する。次に、コア粒子分散液中にコア粒子表面を被覆しシェルを形成する樹脂粒子を添加して、コア粒子表面にこの樹脂粒子を凝集、融着させることにより、コア・シェル型の構造を有するトナー粒子(この場合は着色粒子)を作製することが出来る。
コア粒子は、樹脂微粒子と着色剤粒子とを凝集、融着させる製法により作製される。コア粒子の形状は、例えば、凝集・融着工程の加熱温度、第1の熟成工程の加熱温度と時間を制御することにより制御される。
この中で、第1の熟成工程における温度と時間の制御が最も効果的である。熟成工程は、この温度と時間を制御することにより、コア粒子の円形度を0.900以上の円形度とすることが出来る。以下、シェルの形成方法について詳細な説明をする。
〔均一なシェルの形成方法〕
均一なシェルを形成する具体的な方法、即ち、シェルの形成を制御する因子としては、以下のものが挙げられる。
(1)コア及びシェルを構成する樹脂のガラス転移温度と溶解度パラメーター
(2)コア粒子の円形度
この内、コア及びシェルを構成する樹脂のガラス転移温度と溶解度パラメーターについては、コアとシェルがお互いに相溶しにくい構造を形成することが好ましい。即ち、コアを形成する樹脂とシェルを形成する樹脂とを選択することにより、コアとシェルとが相分離した構造を有するトナーが得られ、シェルの膜厚が薄くてもコア領域がトナー表面に露出することのない耐熱保管性に優れたトナーの作製が可能になる。
相溶しにくい樹脂の選択とは、相互に樹脂組成が異なっていることを示す。具体的には溶解度パラメーターで設計可能であるが、基本的に樹脂組成を変更し、同一の樹脂組成を使用しないことがよい。
以下、本発明に係わるトナーの各製造工程について詳細に説明する。
(1)溶解/分散工程
この工程では、ラジカル重合性単量体に離型剤化合物を溶解させて、離型剤化合物を混合したラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
(2)重合工程
この重合工程の好適な一例においては、臨界ミセル濃度(CMC)以下の界面活性剤を含有した水系媒体中に、ワックスを溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤を添加し、当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記液滴中に油溶性重合開始剤が含有されていてもよい。この様な重合工程においては、機械的エネルギーを付与して強制的に乳化(液滴の形成)処理が必須となる。係る機械的エネルギーの付与手段としては、ホモミキサー、超音波、マントンゴーリンなどの強い撹拌又は超音波振動エネルギーの付与手段を挙げることが出来る。
この重合工程により、ワックスと結着樹脂とを含有する樹脂微粒子が得られる。係る樹脂微粒子は、着色された微粒子であってもよく、着色されていない微粒子であってもよい。着色された樹脂微粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂微粒子を使用する場合には、後述する凝集・融着工程において、樹脂微粒子の分散液に、着色剤微粒子の分散液を添加し、樹脂微粒子と着色剤微粒子とを融着させることで着色粒子とすることが出来る。
(3)凝集・融着工程
前記融着工程における凝集、融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂微粒子(着色又は非着色の樹脂微粒子)を用いた塩析/融着法が好ましい。又、当該凝集・融着工程においては、樹脂微粒子や着色剤微粒子とともに、離型剤微粒子や荷電制御剤などの内添剤微粒子を凝集、融着させることが出来る。
尚、ここで言う「塩析/融着」とは、凝集と融着を並行して進め、所望の粒子径まで成長したところで、凝集停止剤を添加して粒子成長を停止させ、更に、必要に応じて粒子形状を制御するための加熱を継続して行うことを言う。
前記凝集・融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものを言う。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることが出来、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
着色剤微粒子は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することが出来る。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。又、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることが出来る。尚、着色剤(微粒子)は表面改質されていてもよい。着色剤の表面改質法は、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させる。反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥することにより、表面改質剤で処理された着色剤(顔料)が得られる。
好ましい凝集、融着方法である塩析/融着法は、樹脂微粒子と着色剤微粒子とが存在している水中に、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩及び3価の塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂微粒子のガラス転移点以上であって、且つ前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱することで塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。ここで、塩析剤であるアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩は、アルカリ金属として、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属として、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが挙げられる。
凝集、融着を塩析/融着で行う場合、塩析剤を添加した後に放置する時間を出来るだけ短くすることが好ましい。この理由として明確ではないが、塩析した後の放置時間によって、粒子の凝集状態が変動し、粒径分布が不安定になったり、融着させたトナーの表面性が変動したりする問題が発生する。又、塩析剤を添加する温度としては少なくとも樹脂微粒子のガラス転移温度以下であることが必要である。この理由としては、塩析剤を添加する温度が樹脂微粒子のガラス転移温度以上であると樹脂微粒子の塩析/融着は速やかに進行するものの、粒径の制御を行うことが出来ず、大粒径の粒子が発生したりする問題が発生する。この添加温度の範囲としては樹脂のガラス転移温度以下であればよいが、一般的には5℃から55℃、好ましくは10℃から45℃である。
又、塩析剤を樹脂微粒子のガラス転移温度以下で加え、その後に出来るだけ速やかに昇温し、樹脂微粒子のガラス転移温度以上であって、且つ、前記混合物の融解ピーク温度(℃)以上の温度に加熱する。この昇温までの時間としては1時間未満が好ましい。更に、昇温を速やかに行う必要があるが、昇温速度としては、0.25℃/分以上が好ましい。上限としては特に明確ではないが、瞬時に温度を上げると塩析が急激に進行するため、粒径制御がやりにくいという問題があり、5℃/分以下が好ましい。この融着工程により、樹脂微粒子及び任意の微粒子が塩析/融着されてなる会合粒子(コア粒子)の分散液が得られる。
(4)第1の熟成工程
そして、凝集・融着工程の加熱温度や特に第1の熟成工程の加熱温度と時間の制御することにより、粒径が一定で分布が狭く形成したコア粒子表面が平滑だが均一な形状を有するものになるように制御する。具体的には、凝集・融着工程で加熱温度を低めにして樹脂粒子同士の融着の進行を抑制させて均一化を促進させ、第1の熟成工程で加熱温度を低めに、且つ、時間を長くしてコア粒子の表面が均一な形状のものに制御する。
(5)シェル化工程
シェル化工程では、コア粒子分散液中にシェル用の樹脂粒子分散液を添加してコア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を凝集、融着させ、コア粒子表面にシェル用の樹脂粒子を被覆させて着色粒子を形成する。
具体的には、コア粒子分散液は上記凝集・融着工程及び第1の熟成工程での温度を維持した状態でシェル用樹脂粒子の分散液を添加し、加熱撹拌を継続しながら数時間かけてゆっくりとシェル用樹脂粒子をコア粒子表面に被覆させて着色粒子を形成する。加熱撹拌時間は、1時間から7時間が好ましく、3時間から5時間が特に好ましい。
(6)第2の熟成工程
シェル化により着色粒子が所定の粒径になった段階で塩化ナトリウムなどの停止剤を添加して粒子成長を停止させ、その後もコア粒子に付着させたシェル用樹脂粒子を融着させるために数時間加熱撹拌を継続する。そして、シェル化工程ではコア粒子表面に厚さが100から300nmのシェルを形成する。この様にして、コア粒子表面に樹脂粒子を固着させてシェルを形成し、丸みを帯び、しかも形状の揃った着色粒子が形成される。
本発明では、第2の熟成工程の時間を長めに設定したり、熟成温度を高めに設定することで着色粒子の形状を真球方向に制御することが可能である。
(7)冷却工程・固液分離・洗浄工程
この工程は、前記着色粒子の分散液を冷却処理(急冷処理)する工程である。冷却処理条件としては、1から20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することが出来る。
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却された着色粒子の分散液から当該着色粒子を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウエット状態にある着色粒子をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
(8)乾燥工程
この工程は、洗浄処理されたケーキを乾燥処理し、乾燥された着色粒子を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることが出来、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥された着色粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理された着色粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することが出来る。
(9)外添処理工程
この工程は、乾燥された着色粒子に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することが出来る。
複合樹脂粒子の体積平均粒径(分散粒子径)は、10から1000nmの範囲にあることが好ましく、更に好ましくは30から300nmの範囲とされる。
この体積平均粒径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定された値である。
次にキャリアに付き説明する。
図3はキャリア粒子の概略断面図である。
図中、3はキャリア粒子を示す。キャリア粒子3は芯材301と、芯材301の表面を被覆する樹脂302とを有している。キャリア粒子3の体積平均粒径は20μmから40μmである。最も望ましくは23から35μmである。
20μm未満では、粒子1個あたりの磁化が低くなるためキャリア付着が発生し易くなるため好ましくない。
40μmを超える場合は、比表面積が減り、トナーとの接触摩擦面積が減るため、画質が劣化し易くなるため好ましくない。更に、トナーと同時にキャリアを補給する際、粒子径が大きい場合には不均一混合状態となり、現像性を不安定化してしまう場合がある。
キャリアの体積基準平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することが可能である。
Sは芯材301の表面から被覆した樹脂の表面までの厚さを示す。厚さSは、電荷のリーク、画像欠陥、電気抵抗値、電荷の蓄積、流動性、画像品質等を考慮し、0.01μmから7μmが好ましい。好ましくは、0.05μmから5μmである。更に好ましくは0.1μmから3.5μmである。
樹脂層の平均厚さSは、以下の方法により算出される値である。
集束イオンビーム試料作製装置(SMI2050 エスアイアイ ナノテクノロジー(株)製)にてキャリア薄片を作製し、その後、その薄片の断面を透過型電子顕微鏡(JEM−2010F 日本電子(株)製)にて5000倍の視野で観察し、その視野における最大膜厚となる部分と最小膜厚となる部分の平均値を樹脂層の平均厚さSとした。
この樹脂の被覆量は、樹脂注入後のキャリアに対して0.01質量%から10.0質量%が好ましく、0.3質量%から7.0質量%が更に好ましい。最も好ましくは0.5質量%から5.0質量%である。被覆量が0.01質量%未満ではキャリア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、又10.0質量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性或いは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
キャリアの磁化は、キャリア付着、磁気ブラシの穂立ち、画質等を考慮し、20emu/g(A・m/kg)から90emu/g(A・m/kg)が好ましい。、好ましくは25emu/g(A・m/kg)から75emu/g(A・m/kg)、更に好ましくは30emu/g(A・m/kg)から70emu/g(A・m/kg)である。
残留磁化は、15emu/g(A・m/kg)以下であることが望ましい。
磁化及び残留磁化は、飽和磁化は、「直流磁化特性自動記録装置3257−35」(横河電気株式会社製)により測定した値を示す。
キャリアの電気抵抗は、電荷リーク、画像欠陥、画像濃度等を考慮し、10Ω、から1015Ωが好ましい。好ましくは10Ωから1014Ωであり、更に好ましくは10Ωから1013Ωである。
本発明のトナー粒子を有するトナーと、キャリア粒子を有するキャリアとを有する2成分現像剤をトリクル現像方式に使用することで次の効果が挙げられる。
1.キャリア粒径を20から40μmとしキャリアの表面積を大きくすることで、キャリア表面への汚染(外添剤の付着凝集物、トナースペント等)や摩擦減耗に対して効果的で、長期に渡り安定したトナーの帯電付与能を有することが出来る。
2.現像器内に初期から残るキャリア(劣化キャリア)と補給キャリア(新キャリア)の間の帯電付与能力差を低減し、トナーの帯電量が安定し、長期に渡って安定した画像を形成することが出来る。
本図に示すキャリア2の製造方法を以下に示す。
〈樹脂被覆キャリアの製造方法〉
芯材に樹脂を被覆したキャリア、即ち樹脂被覆キャリアを製造する方法としては、様々な方法が使用出来る。
その被覆方法としては、例えば乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリードライ方式、万能攪拌機等による液浸乾燥法等が挙げられる。これらの被覆方法は、使用する芯材、樹脂によって適当な方法が選択される。本発明においては、次のような乾式法が、特に好ましい。被覆しようとする粒子の表面に樹脂粒子を被着させ、その後機械的衝撃力を加えて、被覆しようとする粒子表面に被着した樹脂粒子を溶融或いは軟化させて固着し被覆層を作製する方法である。即ち、キャリア芯材、樹脂及び低抵抗微粒子等を非加熱下、若しくは加熱下で機械的衝撃力が付与出来る高速撹拌混合機を用い、高速撹拌して当該混合物に衝撃力を繰り返して付与し、磁性体粒子の表面に溶解或いは軟化させて固着したキャリアを作製する態様の方法である。尚、加熱する場合には、60℃から130℃が好ましい。加熱温度が過大になるとキャリア粒子同士の凝集が発生し易くなるためである。
具体的には。例えば、芯材粒子と被覆用樹脂微粒子を撹拌羽根付き高速混合機に投入し、60℃から130℃で撹拌混合を行うことにより機械的衝撃力を付与して当該芯材粒子表面に被覆層を形成させる。樹脂を被覆させた後、必要に応じて各種の方式によって加熱し、被覆した樹脂を芯材に密着させる。加熱方式としては、外部加熱方式又は内部加熱方式の何れでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、若しくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。温度は、注入被覆する樹脂によって異なるが、融点又はガラス転移温度以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げることにより、衝撃に対して強いキャリアを得ることが出来る。又、樹脂の被覆と加熱を同時に行ってもよい。
又、芯材に樹脂を被覆した後に、上述したような樹脂を更に被覆して作製した2層構成のキャリアも用いることが出来る。樹脂を更に被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリードライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することが出来る。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。
被覆を行った後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式の何れでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、若しくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移温度以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
図2に示すコア・シェル型トナー粒子と、図3に示すキャリア粒子とを有する2成分現像剤を図1に示すトリクル現像器に使用することで次の効果が挙げられる。
1.シェルとコアを構成する樹脂のガラス転移温度を規定することによりトナー粒子表面における強度を制御して、キャリアへの摩擦帯電時の衝撃に対してトナー粒子表面から樹脂が摩耗剥離することのない充分な強度を得ることが可能となった。
2.コア・シェル型トナーのシェルの膜厚を規定することによりトナー粒子表面の凹凸が制御されてトナー粒子表面で均一な帯電が行える様になった。
3.トナー粒子に良好な表面性能と機械的強度が付与されて安定したトリクル現像が行うことが可能になり、長期的に帯電量が安定し、安定した画像を得ることが可能となった。
次に、図2に示すコア・シェル型トナー粒子と、図3に示すキャリア粒子とを有する2成分現像剤を使用した図1に示す現像器を用いた画像形成装置に付き説明する。
図4は本発明の2成分現像剤を用いた図1に示す現像器を使用した画像形成装置の一例を示す模式図である。尚、本図は、画像形成装置としてタンデム方式のカラー画像形成装置の場合を示している。
図中、4はタンデム方式のカラー画像形成装置を示す。カラー画像形成装置4は、複数の像形成体を並列配置し、その構成と機能は次に記す通りである。中間転写体である転写ベルト401の周縁部にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)からなる4組のプロセスユニット402Y、402M、402C、402Kが設けられていて、各プロセスユニット402Y、402M、402C、402Kよって形成された単色のY、M、C、Kのトナー像が転写ベルト401上で重ね合わせて転写され、転写されたカラートナー像は、転写材である記録紙P上に一括転写され、定着されて機外に排出される構成となっている。
403は像形成体である感光体ドラムを示し、各色Y、M、C、K毎に配設されている。感光体ドラム403の周囲には、帯電手段であるスコロトロン帯電器404、画像書込手段である露光光学系405、現像器406、感光体ドラム403のクリーニング手段であるクリーニング装置407が配設されている。これらは各色Y、M、C、K毎に配設されている感光体ドラムの周囲に配設されている。
各色Y、M、C、K毎の像形成体である感光体ドラム403は、例えばアルミニウムによって形成される円筒状の金属基体の外周に、表面にオーバーコート層(保護層)を設けた有機感光体層(OPC)を、金属基体の外周に形成したものであり、当接状態とされる転写ベルト401の移動により転写ベルト401からの駆動力を受けて従動回転され、接地した状態で図の矢印で示す方向に各色毎の感光体ドラム403が回転される。
各色毎の帯電手段であるスコロトロン帯電器404は、それぞれ所定の電位に保持された制御グリッドとコロナ放電電極による使用されるトナー(現像時のトナー)と同極性(本実施形態においてはマイナス極性)のコロナ放電とによって帯電作用(本実施形態においてはマイナス帯電)を行い、感光体ドラム403に対し一様な電位を与える。スコロトロン帯電器404のコロナ放電電極としては、その他鋸歯状電極や針状電極を用いることも可能である。
各色Y、M、C、K毎の画像書込手段である露光光学系405は、感光体ドラム403上での露光位置が、各色Y、M、C、K毎のスコロトロン帯電器404に対して感光体ドラム403の回転方向下流側に位置するようにして感光体ドラム403の周辺に配置される。露光光学系405は、別体の画像読取り装置によって読み取られメモリに記憶された各Y、M、C、K毎の色の画像データに従って感光体ドラム403の感光体層を像露光し、各色毎の感光体ドラム403上に静電潜像を形成する。
各色Y、M、C、K毎の現像手段である現像器406は、図1で説明したように感光体ドラム403の周面に対し所定の間隙を保ち、感光体ドラム403の回転方向と順方向に回転する例えば厚み0.5から1mm、外径15から25mmの円筒状の非磁性のステンレス或いはアルミニウムで形成された現像スリーブ406aを有し、内部に各色Y、M、C、K毎の現像色に従いイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色(K)の2成分現像剤を収容している。現像器406は不図示の突き当てコロにより感光体ドラム403と所定の間隙、例えば100から500μmに保たれており、現像スリーブ406aに対して直流電圧又は直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアスを印加することにより、周面に担持した現像剤を穂立状態として接触の反転現像を行い、感光体ドラム403上にトナー像を形成することが可能となっている。
現像器406は、2成分現像剤を補給するホッパー406bと、現像器406から排出された2成分現像剤の回収容器406cを有している。ホッパー及び回収容器は各色Y、M、C、K毎の現像器に設けられている。図1の現像器で説明した如く、2成分現像剤は現像が進むに従って減少する現像器中の2成分現像剤を構成しているトナーの濃度を現像器に配設されたトナー濃度検知センサー101c(図1参照)で検知し、情報に従ってホッパーから補給管406b1を介して現像器406に補給される。
補給される2成分現像剤を構成しているトナーとキャリアとの比率は、定常状態の現像器中のトナーとキャリアとの比率になるように混合されており、通常はトナーがキャリアに比べ多くなっている。
補給された2成分現像剤は現像器中で古い2成分現像剤と混合攪拌され。補給された2成分現像剤の過剰部分は現像器に配設された界面レベル検知手段(付図示)によって2成分現像剤が増量状態にあることを検知し系外にスクリューポンプ等の排出手段で排出する様になっている、この様に補給、排出を繰り返すことで現像器中の2成分現像剤の性能を安定することが可能となっている。
スコロトロン帯電器404によって一様帯電した感光体ドラム403上には、露光光学系405によって像露光が行われて静電潜像を形成し、現像器406によって現像がなされてトナー像が形成される。このトナー像は転写位置において転写ベルト401上に転写がなされる。転写を終えてドラム上に残留した転写残トナーは、静電的に回収を行うクリーニング装置407によって清掃が行われる。
各プロセスユニット402Y、402M、402C、402Kが並列して対向する転写ベルト401は体積抵抗率1012Ω・cmから1015Ω・cmの無端ベルトであり、例えば変性ポリイミド、熱硬化ポリイミド、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、ナイロンアロイ等のエンジニアリングプラスチックに導電材料を分散した、厚さ0.1mmから1.0mmの半導電性フィルム基体の外側に、好ましくはトナーフィルミング防止層として厚さ5から50μmのフッ素コーティングを行った、2層構成のシームレスベルトである。転写ベルト401の基体としては、この他に、シリコーンゴム或いはウレタンゴム等に導電材料を分散した厚さ0.5mmから2.0mmの半導電性ゴムベルトを使用することも出来る。転写ベルト401は、駆動ローラー401a、従動ローラー401b、テンションローラー401c及びバックアップローラー401dに外接して張架され、画像形成時には、不図示の駆動モータよりの駆動を受けて駆動ローラー401aが回転され、各色毎の転写位置の上流側に配設される押圧弾性板401eにより感光体ドラム403に転写ベルト401が押圧され、転写ベルト401が図の矢印で示す方向に回転される。この際、転写ベルト401の移動に従動して転写ベルト401の駆動力を受けて感光体ドラム403が従動回転される。
各色毎の転写手段である1次転写器401fは、好ましくはコロナ放電器により構成され、転写ベルト401を挟んで各色毎の感光体ドラム403に対向して設けられ、転写ベルト401と各色Y、M、C、K毎の感光体ドラム403との間に各色毎の転写域(符号なし)を形成する。各色毎の1次転写器401fにはトナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流電圧を印加し、転写域に転写電界を形成することにより、各色毎の感光体ドラム403上のトナー像を転写ベルト401上に転写する。
各色毎の除電手段である除電器401gは、好ましくはコロナ放電器により構成され、1次転写器401fにより帯電された転写ベルト401を除電する。
転写ベルトの押圧手段である押圧弾性板401eは、ウレタン等のゴムブレードにより形成され、各色毎の転写位置の上流側に配設され、画像形成時に転写ベルト401を感光体ドラム403に押圧し、転写ベルト401の移動に従動して感光体ドラム403を回転させる。
画像記録のスタートにより不図示の感光体駆動モータの始動により、各色Y、M、C、K毎の感光体ドラム403上に形成されたトナー像が順次転写ベルト401上に転写されK、C、M及びYの重ね合わせカラートナー像が形成される。
転写ベルト401上の重ね合わせカラートナー像形成と同期して転写材収納手段である給紙カセット408から、転写材給送手段としてのタイミングローラー409を経て記録紙Pが第2の転写手段である2次転写器401hの転写域(符号なし)へと搬送され、トナーと反対極性(本実施形態においてはプラス極性)の直流電圧が印加される2次転写器401hにより、転写ベルト401上の重ね合わせカラートナー像が記録紙P上に一括して転写される。
転写後の各色Y、M、C、K毎の感光体ドラム403の周面上に残った転写残トナーは、各色毎の像形成体のクリーニング手段であるクリーニング装置407によりクリーニングされる。
カラートナー像が転写された記録紙Pは、鋸歯状電極板からなる分離手段である除電電極410により除電され、定着装置411へと搬送され、定着ローラー411aと圧着ローラー411bとの間で熱と圧力とを加えられることにより記録紙P上のトナー像が定着された後、装置外部のトレイへ排出される。
転写後の転写ベルト401の周面上に残った転写残トナーは、転写ベルト401を挟んで従動ローラー401bに対向して設けられる転写ベルトのクリーニング手段であるクリーニング装置412によりクリーニングされる。
記録紙Pは、トナー画像を保持する支持体で、通常画像支持体、転写材或いは転写紙と通常呼ばれるものである。具体的には薄紙から厚紙までの普通紙、アート紙やコート紙等の塗工された印刷用紙、市販されている和紙や葉書用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布等の各種転写材を挙げることが出来るが、これらに限定されるものではない。
以下、本発明の2成分現像剤に係わるトナー粒子を構成している材料に付き説明する。
(樹脂)
コアを構成する樹脂及びシェルを構成する樹脂としては、スチレンーアクリル系共重合樹脂が好ましい。
コア部を構成する共重合樹脂を作製する単量体には、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等の共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)を引き下げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
シェルを構成する樹脂を作製する単量体には、スチレン、メチルメタクリレート、メタクリル酸等の共重合樹脂のガラス転移温度(Tg)を引き上げる重合性単量体を共重合することが好ましい。
コアやシェルの構成に各々用いられる樹脂としては、下記のような重合性単量体を重合して得られた重合体を用いることが出来る。
樹脂は少なくとも1種の重合性単量体を重合して得られた重合体を構成成分として含むものであるが、前記重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独或いは組み合わせて使用することが出来る。
又、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが更に好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
更に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることも出来る。
本発明の静電荷像現像用トナーでは、側鎖に少なくとも2つ以上のカルボン酸成分(カルボキシル基)を含有する重合性単量体である、多価カルボン酸成分を有するラジカル重合性単量体を重合して形成されるビニル系重合体等の重合体をコアを形成する樹脂の一部として含有させることも好ましい。
尚、コアを形成する重合性単量体組成物における多価カルボン酸成分を有するラジカル重合性単量体の含有割合は、3質量%から20質量%であることが好ましく、更に好ましくは5質量%から10質量%である。
(着色剤)
トナーに使用する着色剤としてはカーボンブラック、磁性体、染料、顔料等を任意に使用することが出来、カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等が使用される。
磁性体としては鉄、ニッケル、コバルト等の強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイト等の強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金、例えばマンガン−銅−アルミニウム、マンガン−銅−錫等のホイスラー合金と呼ばれる種類の合金、二酸化クロム等を用いることが出来る。
染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることが出来、又これらの混合物も用いることが出来る。顔料としてはC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同93、同94、同138、同156、同158、同180、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同60等を用いることが出来、これらの混合物も用いることが出来る。数平均一次粒子径は種類により多様であるが、概ね10から200nm程度が好ましい。
着色剤の添加方法としては、樹脂微粒子を凝集剤の添加にて凝集させる段階で添加し重合体を着色する。尚、着色剤は表面をカップリング剤等で処理して使用することが出来る。
(ワックス(離型剤))
トナーに使用可能なワックスとしては、従来公知のものが挙げられる。具体的には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
ワックスの融点は、通常40から160℃であり、好ましくは50から120℃、更に好ましくは60から90℃である。融点を上記範囲内にすることにより、トナーの耐熱保管性が確保されるとともに、低温で定着を行う場合でもコールドオフセットなどを起こさずに安定したトナー画像形成が行える。又、トナー中のワックス含有量は、1質量%から30質量%が好ましく、更に好ましくは5質量%から20質量%である。
(荷電制御剤)
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することが出来る。荷電制御剤としては、例えば、特開2003−330227号公報に記載の化合物を用いることが出来る。
(外添剤)
トナーには、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、所謂、後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤(「外部添加剤」とも言う。)を添加してもよい。
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、或いは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることが出来る。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
又、外添剤として、数平均一次粒子径が10から2000nm程度の球形の有機微粒子を使用することも出来る。この様な有機微粒子としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などの重合体を使用することが出来る。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05から5質量部、好ましくは0.1から3質量部とされる。又、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
上記トナー粒子の製造方法で使用可能な重合開始剤、連鎖移動剤、分散安定剤、界面活性剤、及び凝集剤について説明する。
(重合開始剤)
本発明の2成分現像剤に係わるトナー粒子を構成するコアやシェルを構成する樹脂は、前述の重合性単量体を重合して生成されるが、使用可能な重合開始剤としてはラジカル重合開始剤が好ましく以下のものが挙げられる。具体的には、油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げられる。
又、乳化重合法で樹脂粒子を形成する場合は水溶性ラジカル重合開始剤が使用可能である。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等を挙げることが出来る。
(連鎖移動剤)
複合樹脂粒子を構成する樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることが出来る。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素及びα−メチルスチレンダイマー等が使用される。
(分散安定剤)
反応系中に重合性単量体等を適度に分散させておくために分散安定剤を使用することも可能である。分散安定剤としては、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタケイ酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナ等を挙げることが出来る。更に、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、エチレンオキサイド付加物、高級アルコール硫酸ナトリウム等の界面活性剤として一般的に使用されているものを分散安定剤として使用することが出来る。
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行う必要がある。この際に使用することの出来る界面活性剤としては特に限定されるものではないが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることが出来る。
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
又、ノニオン性界面活性剤も使用することが出来る。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることが出来る。
(凝集剤)
凝集・融着工程においては凝集剤が使用され、この凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることが出来る。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらの内、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
以下、本発明の2成分現像剤に係わるキャリア粒子を構成している材料に付き説明する。本発明に係るキャリアの実施態様としては、キャリアの芯材部分又は樹脂被覆層の少なくとも一方に含窒素化合物を含有する態様であることが好ましい。以下、本発明に係る静電荷像現像用キャリアの構成要素等について詳細な説明をする。
(芯材)
キャリア粒子を構成している芯材としては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性粒子を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。更に、一般式(MO)x(Fe)y(ここでyは30mol%から95mol%)で示されるものが更に好ましい。ここでMはFe、Mn、Mg、Sr、Ca、Ti、Cu、Zn、Ni、Li、Al、Si、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が好ましく用いられる。
ここで、MをFeとした場合は、鉄フェライト、即ちマグネタイトを意味している。マグネタイトに比べて、フェライトは高次の酸化物であり、ストレスによって特性が変化しにくい。又、低比重化が図り易い。Feが30mol%未満であると、所望の磁化を得ることが困難であり、キャリア付着が生じ易い。特に特定の金属酸化物を原料としたフェライトは、粒子間の組成ばらつきが少なく、所望の特性を得易い。又、上述の元素を用いた場合、他の元素に比べて、理由は明確ではないが、樹脂により被覆することが容易である。
又、近年の廃棄物規制を始めとする環境負荷低減の流れを考慮すると、Cu、Zn、Niの重金属を実質的に含まないことが好ましい。
上述の理由から、MはMn、Mg、Sr、Ca、Ti、Li、Al、Si、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、Mn、Mg、Sr、Ca、Li、Zr、Biから選ばれる1種又は2種以上が特に好ましい。
(被覆に用いられる樹脂)
キャリア粒子の被覆に用いられる樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択出来る。樹脂は、トナー帯電性能を考慮し、窒素含有樹脂が好ましい。
本発明で窒素含有樹脂とは、構造中に窒素分子を含む樹脂、窒素化合物を微粒子状にし、窒素を含有しない樹脂中に分散した樹脂及び含窒素重合開始剤を用いて重合反応を行い、分子鎖末端に含窒素化合物を配置させた樹脂を含めて言う。
キャリア粒子の被覆に用いられる樹脂としては、上記窒素含有樹脂の中から2種以上を組み合わせて使用してもよい。又、窒素含有樹脂と窒素を含有しない樹脂とを組み合わせて使用してもよい。
構造中に窒素分子を含む樹脂としては、例えばジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアクリルアミド、アクリロニトリル等を含むアクリル系樹脂、ウレア、ウレタン、メラミン、グアナミン、アニリン等を含むアミノ樹脂、アミド樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
窒素化合物としては、尿素、チオ尿素、メラミン、グアニジン、グアナミン、ジシアンジアミド及びシアヌル酸、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、例えば、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリフェニレンポリフェニルポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類、イミダゾール類、4級アンモニウム塩、アクリロニトリル等が挙げられる。
含窒素重合開始剤としては、例えば2,2−アゾビスブチロニトリルに代表されるアゾビス系の重合開始剤が挙げられる。
窒素化合物を分散させる樹脂としては特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、或いはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。
(帯電制御剤)
又、上記樹脂中にはキャリアの抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に帯電制御剤を含有させることが出来る。帯電制御剤の例としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。その他、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被覆によって樹脂の被覆量が比較的多くなるように制御した場合、電気抵抗が比較的高くなり、帯電能力(現像能力)が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロール出来るためである。使用出来る帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
しかし帯電制御剤はそれ自身の持つ抵抗が被覆樹脂や芯材としてのフェライトに比べ低抵抗であるため、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こすので、添加量は樹脂の固形分に対し0.25質量%から20.0質量%であり、好ましくは0.5質量%から15.0質量%、特に好ましくは1.0質量%から10.0質量%である。
この樹脂の被覆量は、樹脂注入後のキャリアに対して0.01から10.0質量%が好ましく、0.3から7.0質量%が更に好ましい。最も好ましくは0.5から5.0質量%である。被覆量が0.01質量%未満ではキャリア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、又10.0質量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性或いは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1(請求項1対応)
以下に示す方法でコアの表面にシェルを有するコア・シェル型のトナー粒子を作製した。
(コア用樹脂粒子の作製)
表1に示す様にガラス転移温度が異なる樹脂から構成されるコア用樹脂粒子を以下に示す方法で作製し本発明用コア用樹脂粒子1から3、比較用コア用樹脂粒子1、2とした。尚、ガラス転移温度(Tg1)は示差走査熱量計「DSC−200」(セイコー電子社製)を用い、測定する試料10mgを精密に秤量して、これをアルミニウムパンに入れ、リファレンスとしてアルミナをアルミニウムパンに入れたものを用い、昇温速度30℃/minで常温から200℃まで昇温させた後、これを冷却し、昇温速度10℃/minで10から120℃の間で測定を行い、この昇温過程で20から90℃の範囲におけるメイン吸熱ピークのショルダー値をガラス転移点とした。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー「807−1T型」(日本分光工業社製)を用いて測定した。カラム温度を40℃に保ちながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを1kg/cmで流し、測定する試料30mgをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、この溶液0.5mgを上記のキャリア溶媒とともに装置内に導入して、ポリスチレン換算により求めた。
体積基準メディアン粒径はマルチサイザー3(ベックマンコールター社製)で測定した値を示す。
Figure 2010197558
(本発明用コア用樹脂粒子2の調製)
下記のように、第1段重合、第2段重合、次いで、第3段重合を行い、多層構造を有する「本発明用コア用樹脂粒子2」を調製した。
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に下記で示されるアニオン系界面活性剤(構造式1)4部をイオン交換水3040部に溶解させた界面活性剤溶液を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
(構造式1) C1021(OCHCHSONa
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)10部をイオン交換水400部に溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン532部、n−ブチルアクリレート200部、メタクリル酸68部、n−オクチルメルカプタン16.4部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間に渡り加熱、撹拌することによって重合(第1段重合)を行い樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子A1」とする。第1段重合で調製した「樹脂粒子A1」の重量平均分子量(Mw)は18,000であった。
(2)第2段重合(中間層の形成)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン106.2部、n−ブチルアクリレート57.2部、メタクリル酸12.3部、n−オクチルメルカプタン1.6部からなる単量体混合液に、離型剤として、パラフィンワックス「HNP−57」(日本精鑞社製)94.0部を添加し、90℃に加温して溶解させて単量体溶液を調製した。
一方、アニオン系界面活性剤(構造式1)3部をイオン交換水1560部に溶解させた界面活性剤溶液を98℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、樹脂粒子A1の分散液である「樹脂粒子A1」を固形分換算で32.8部添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック社製)により、前記ワックスの単量体溶液を8時間混合分散させ、分散粒子径340nmを有する乳化粒子を含む分散液を調製した。
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6部をイオン交換水200部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を98℃にて12時間に渡り加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い樹脂粒子を得た。この樹脂粒子を「樹脂粒子A2」とする。第2段重合で調製した「樹脂粒子A2」の重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
(3)第3段重合(外層の形成)
上記のようにして得られた「樹脂粒子A2」に、過硫酸カリウム5.45部をイオン交換水220部に溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン313.5部、n−ブチルアクリレート134.4部、n−オクチルメルカプタン8部からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間に渡り加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却し、「樹脂粒子子A3」を得た。第3段重合で調製した「樹脂粒子A3」の重量平均分子量(Mw)は27,800であった。尚、樹脂粒子A3を本発明用コア用樹脂粒子2とした。
「本発明用コア用樹脂粒子2」を構成する複合樹脂粒子(樹脂粒子)の質量平均粒径は120nmであった。又、この樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は35.0℃、溶解性パラメーターの値(SP値)は10.12であった。
(本発明用コア用樹脂粒子1の調製)
本発明用コア用樹脂粒子2の調製において、第2段重合(外層形成)に用いた、スチレンを101.3部、n−ブチルアクリレートを62.1部に変更し、第3段重合(外層形成)に用いた、スチレンを313.5部、n−ブチルアクリレート147.0部に変更した以外は同様にして、「本発明用コア用樹脂粒子1」を調製した。
(本発明用コア用樹脂粒子3の調製)
本発明用コア用樹脂粒子2の調製において、第2段重合(外層形成)に用いた、スチレンを111部、n−ブチルアクリレートを52.3部に変更し、第3段重合(外層形成)に用いた、スチレンを326.1部、n−ブチルアクリレート121.8部に変更した以外は同様にして、「本発明用コア用樹脂粒子3」を調製した。
(比較用コア用樹脂粒子1の調製)
本発明用コア用樹脂粒子2の調製において、第2段重合(外層形成)に用いた、スチレンを96.6部、n−ブチルアクリレートを66.7部に変更し、第3段重合(外層形成)に用いた、スチレンを288.9部、n−ブチルアクリレート159部に変更した以外は同様にして、比較用コア用樹脂粒子1を調製した。
(比較用コア用樹脂粒子2の調製)
本発明用コア用樹脂粒子2の調製において、第2段重合(外層形成)に用いた、スチレンを116部、n−ブチルアクリレートを47.4部に変更し、第3段重合(外層形成)に用いた、スチレンを338.2部、n−ブチルアクリレート109.7部に変更した以外は同様にして、比較用コア用樹脂粒子2を調製した。
(シェル用樹脂粒子の作製)
表2に示す様にガラス転移温度が異なる樹脂から構成されるシェル用樹脂粒子を以下に示す方法で作製し、本発明用シェル用樹脂粒子1から3とし、比較用シェル用樹脂粒子1、2とした。尚、ガラス転移点温度Tg2、重量平均分子量(Mw)、体積基準メディアン径はコア用樹脂粒子のガラス転移点温度Tg1、重量平均分子量(Mw)、体積基準メディアン径と同じ方法で測定した。
Figure 2010197558
《シェル用樹脂粒子の調製》
(本発明本発明用シェル用樹脂粒子2の調製)
上記、本発明用コア用樹脂粒子2の第1段重合において、スチレンを552部、n−ブチルアクリレートアクリレートを192部、メタクリル酸を56部、n−オクチルメルカプタンを16.0部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、本発明用シェル用樹脂粒子2を調製した。
(比較用シェル用樹脂粒子1の調製)
本発明用シェル用樹脂粒子2の調製において、スチレンを544部、2−エチルヘキシルアクリレートを200部、メタクリル酸を56部、n−オクチルメルカプタンを16.5部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、比較用シェル用樹脂粒子1を調製した。
(本発明用シェル用樹脂粒子1の調製)
本発明用シェル用樹脂粒子2の調製において、スチレンを476部、2−エチヘキシルアクリレートを180部、メタクリル酸を144部、n−オクチルメルカプタンを17.0部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、本発明用シェル用樹脂粒子1を調製した。
(本発明用シェル用樹脂粒子3の調製)
本発明用シェル用樹脂粒子2の調製において、スチレンを492部、2−エチルヘキシルアクリレートを164部、メタクリル酸を144部、n−オクチルメルカプタンを16.5部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、本発明用シェル用樹脂粒子3を調製した。
(比較用シェル用樹脂粒子2の調製)
本発明用シェル用樹脂粒子2の調製において、スチレンを624部、2−エチヘキシルアクリレートを120部、メタクリル酸を56部、n−オクチルメルカプタンを16部に変更した単量体混合液を用いた以外は同様にして、重合反応及び反応後の処理を行い、比較用シェル用樹脂粒子2を調製した。
(コア・シェル型のトナー粒子の作製)
作製した表1に示す本発明用コア用樹脂粒子1から3と、比較用コア用樹脂粒子1、2と、作製した表2に示す本発明用シェル用樹脂粒子1から3と、比較用シェル用樹脂粒子1、2とを、表3、表4に示す様に、シェルの8点平均膜厚と、シェルの最大膜厚Hmaxとシェルの最小膜厚Hminとの比Hmax/Hminを変化した体積基準メディアン粒径が5.5μmのコア・シェル型のトナー粒子(以下、単にトナー粒子と言う)を以下に示す製造方法で製造し、本発明用トナー粒子1から33と、比較用トナー粒子1から14とした。
(着色剤粒子の分散液1の作製)
本発明用コア用樹脂粒子1の作製の第1段重合に使用したアニオン系界面活性剤(構造式1)90部をイオン交換水1600部に撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)400部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理を行い、「着色剤粒子分散液1」を調製した。
この「着色剤粒子分散液1」における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱計(ELS−800:大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
420.7部(固形分換算)の本発明用コア用樹脂粒子1と、イオン交換水900部と、「着色剤粒子分散液1」200部とを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8から11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温した。その状態で、コールターカウンターTA−II(コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、粒子の体積基準メディアン粒径(D50)が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させ、更に、熟成処理として液温度70℃にて1時間に渡り加熱撹拌することにより融着を継続させ、コア1を形成した。コア1の円形度を「FPIA2000」(システックス社製)にて測定したところ0.900であった。
(シェルの形成(シェリング操作))
次いで、65℃において本発明用シェル用樹脂粒子2を96部添加し、更に塩化マグネシウム・6水和物2部をイオン交換水1000部に溶解した水溶液を、10分間かけて添加した後、70℃(シェル化温度)まで昇温し、1時間に渡り撹拌を継続し、「コア1」の表面に、「本発明用シェル用樹脂粒子2」の粒子を融着させた後、75℃で20分熟成処理を行い、シェルを形成させた。ここで、塩化ナトリウム40.2部を加え、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、生成した融着粒子を濾過し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄し、その後、40℃の温風で乾燥することにより、コア表面にシェルを有する本発明用トナー粒子1から33を得た。上記と同様な方法で表4に示す比較用トナー粒子1から14を作製した。
シェルの8点平均膜厚は、透過型電子顕微鏡としてJEM−2000FX(日本電子社製)により撮影した写真より計測した値を示す。詳細は明細書本文中に記載の方法で測定した値を示す。
シェルの最大膜厚Hmaxは、シェルの8点平均膜厚を測定する際、得られた最大膜厚Hmaxの値を示し、シェルの最小膜厚Hminは、シェルの8点平均膜厚を測定する際、得られた最小膜厚Hminの値を示す。
体積基準メディアン粒径は、マルチサイザー3(ベックマンコールター社製)で測定した値を示す。
Figure 2010197558
Figure 2010197558
《外添処理工程》
上記で得られたコア・シェル型のトナー粒子に疎水性シリカ(数平均一次粒径=12nm、疎水化度=68)を1質量%及び疎水性酸化チタン(数平均一次粒径=20nm、疎水化度=63)を1.2質量%添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して作製した本発明用トナー粒子1から33及び比較用トナー粒子1から14を処理した。
(キャリア粒子の作製)
以下に示す作製方法で表5に示す体積平均粒径が異なるキャリア粒子を作製し、本発明用キャリア粒子1から4、比較用キャリア粒子1、2、とした。
アクリル系樹脂として、シクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレートの質量比で50:50の共重合体を使用した。含窒素化合物アクリル樹脂として、この樹脂に対してアミノシランカップリング剤(KBE−903:信越化学工業)を0.5%反応させて得られた窒素変性アクリル樹脂を使用した。
Figure 2010197558
(本発明用キャリア粒子2の作製)
(樹脂による芯材の被覆)
前記アクリル樹脂を固形分換算で5.5質量部をトルエン1000質量部に溶解させ注入被覆樹脂溶液を得た。Mn・Mgフェタイト芯材100質量部を、一軸式間接加熱型の乾燥機に入れ、75℃に保持し撹拌ながら、上述の樹脂溶液を滴下した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、撹拌を続けながら150℃まで昇温し、2時間保持した。その後、乾燥機から取り出し、凝集した粒子を解し、粒度調整を行った。その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、本発明用キャリア粒子2を作製した。
粒度調整することを除いては、本発明用キャリア粒子2と同じ方で比較用キャリア粒子1、本発明用キャリア粒子1、本発明用キャリア粒子3、比較用キャリア粒子2を作製した。
本発明用キャリア粒子4の作製
本発明用キャリア粒子4に使用するキャリアに関しては、上記本発明用キャリア粒子2の製造例を、以下の通り変更してキャリアを得た。窒素変性アクリル樹脂を固形分換算で5.5質量部、トルエン1000質量部に溶解させ注入被覆樹脂溶液を得た。上記で作製した「芯材」100質量部を、一軸式間接加熱型の乾燥機に入れ、75℃に保持し撹拌ながら、上述の樹脂溶液を滴下した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、撹拌を続けながら150℃まで昇温し、2時間保持した。その後、乾燥機から取り出し、凝集した粒子を解し、粒度調整を行った。その後磁力選鉱により低磁力品を分別し、「本発明用キャリア粒子4」を作製した。
(2成分現像剤の作製)
作製した本発明用トナー粒子1から33及び比較用トナー粒子1から14と、作製した表4に示す比較用キャリア粒子1、2及び本発明用キャリア粒子1から4とを表5に示す様に組み合わせ2成分現像剤を作製し実施例1から46、比較例1から29とした。尚、現像器内に初めに収容する2成分現像剤のトナー濃度は7.5%とし、ホッパーから補充する2成分現像剤のキャリア濃度は10%とした。
評価
作製した2成分現像剤の実施例1から42、比較例1から33に付き、以下に示す方法で画像安定性、耐熱保管性、低温定着性を評価し、以下に示す方法に従って評価した結果を表6、表7に示す。
画像安定性の評価方法
フルカラー複合機bizhub Pro C353(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)社製)をトリクル現像方式に改造して使用し、温度25℃、相対湿度50%RHの環境において、A4ペーパーにベタ画像が1/2あるトナー粒子の消費量の多い画像を、連続して10万枚画像形成を行い、カブリ濃度を測定し、画像安定性の代用特性とした。カブリ濃度の測定は、先ず印字されていない白紙について、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、白紙濃度とする。次に評価形成画像10万枚目の白地部分について、同様に20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、この平均濃度から白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。カブリ濃度が0.005以下であれば、カブリは実用的に使用可能であると言える。
耐熱保管性の評価方法
耐熱保管性は、上記で作製した各トナー粒子100gを、55℃、90%RHの条件下に24時間放置した後、目開き45μmのフルイで篩い、フルイ上に残った凝集物の量(割合:質量%)で評価した。20質量%未満であると実用的に使用可能なレベルである。
低温定着性(コールドオフセット性)の評価法
低温定着性は、画像安定性の評価方法と同様に画像安定性の評価方法に使用したフルカラー複合機bizhub Pro C353(コニカミノルタビジネステクノロジーズ(株)社製)の定着装置を改造して行った。尚、上記画像評価装置の定着装置に搭載される加熱ローラーの表面材質、表面温度は以下の様にした。
定着速度:230mm/sec
加熱ローラーの表面材質:ポリテトラフロオロエチレン(PTFE)
加熱ローラーの表面温度(ローラーの中心部で温度センサーにより測定)を90℃から180℃の範囲で5℃刻みで変化させ、それぞれの表面温度の際に、Aサイズの「PODグラスコート紙(王子製紙社製)」に、搬送方向に対して垂直方向に全面ベタ黒帯状の画像を形成させた。
更に、各温度で得られたベタ黒画像部について定着率を測定した。定着率は、下記のメンディングテープ剥離法による定着強度の測定を行って定着率を算出した。
定着率が85%以上であると実用的に問題無いと判断出来るレベルであることから、定着率が85%以上となる温度を評価した。
(メンディングテープ剥離法)
1)ベタ黒画像における絶対反射濃度D0を測定する。
2)メンディングテープ(No.810−3−12 住友3M(株)製)をベタ黒画像に軽く貼り付ける。
3)1kPaの圧力でメンディングテープの上を3回から5回往復擦り付ける。
4)角度180°、200gの力でメンディングテープを剥がす。
5)剥離後のベタ黒画像部分の絶対反射濃度D1を測定する。
6)下記式に基づいて定着率を算出する。
定着率(%)=D1/D0×100
尚、絶対反射濃度の測定には、反射濃度(RD−918 マクベス社製)を使用した。この85%の定着率を得る定着温度が140℃未満であると低温定着性が良好であると言える。
Figure 2010197558
Figure 2010197558
本発明の実施例では、トリクル現像方式に使用した結果、画像安定性、耐熱保管性、低温定着性共に優れた性能を有することを確認した。
1、406 現像器
101 現像器ハウジング
101b 2成分現像剤補給口
102、406a 現像スリーブ
103 マグネットロール
107 搬送供給ローラー
108、109 撹拌スクリュー
2 トナー粒子
201 コア
202 シェル
3 キャリア粒子
301 芯材
302 樹脂
403、A 感光体ドラム
4 カラー画像形成装置
402Y、402M、402C、402K プロセスユニット
406b ホッパー
406b1 補給管
406c 回収容器
D 2成分現像剤

Claims (6)

  1. トナーとキャリアとを有する2成分現像剤を使用し、現像により消費されるトナーに対応してトナーを補給すると共に、キャリアを補給するトリクル現像方式の画像形成法に用いられる2成分現像剤において、
    前記トナーがコアの表面にシェルを有するコア・シェル型のトナー粒子で構成され、
    前記シェルの8点平均膜厚が100nmから300nmであり、
    前記シェルの最大膜厚をHmax、最小膜厚をHminとした時に、Hmax/Hminが1.00から1.50であり、
    前記コアを構成している樹脂のガラス転移温度Tg1が、30℃≦Tg1≦40℃、
    前記シェルを構成している樹脂のガラス転移温度Tg2が、45℃≦Tg2≦55℃であり、
    前記キャリアは芯材の表面を樹脂で被覆された体積平均粒径が20μmから40μmの樹脂被覆型のキャリア粒子で構成されていることを特徴とする2成分現像剤。
  2. 前記コア・シェル型のトナー粒子の体積基準メディアン粒径が3.0μmから8.0μmであることを特徴とする請求項1に記載の2成分現像剤。
  3. 前記コアを構成している樹脂のガラス転移温度Tg1と、シェルを構成している樹脂のガラス転移温度Tg2との関係が、25℃≧Tg2−Tg1≧10℃あることを特徴とする請求項1又は2に記載の2成分現像剤。
  4. 前記2成分現像剤を構成するキャリアが、芯材と樹脂被覆層から構成されてなり、且つ、該芯材又は該樹脂被覆層の少なくとも一方に窒素含有樹脂を含有することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の2成分現像剤。
  5. 少なくとも樹脂と着色剤を含むトナーとキャリアとを現像器中に補給するトリクル現像方式により画像を形成する画像形成方法において、請求項1から4の何れか1項に記載の2成分現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
  6. 請求項5に記載の画像形成方法により画像形成することを特徴とする画像形成装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015081937A (ja) * 2013-10-21 2015-04-27 シャープ株式会社 画像形成装置及び画像形成装置の設計方法
JP2015087604A (ja) * 2013-10-31 2015-05-07 シャープ株式会社 トナー定着方法および画像形成装置
JP2015169776A (ja) * 2014-03-06 2015-09-28 三菱化学株式会社 2成分現像剤

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