JP4313006B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば電子写真法などによる画像形成方法としては、例えば静電荷潜像担持体上に形成された静電潜像を現像することによって得られたトナー像を画像形成支持体に転写し、このトナー像が形成された画像形成支持体を定着装置によって定着する手法が知られている。
【0003】
定着装置としては、例えばハロゲンヒーターを加熱源として内部に有する加熱定着ローラと当該加熱定着ローラに圧接する加圧ローラとの間に、その表面にトナー像が形成された画像形成支持体を通過させる構成を有するヒートローラ方式のものが広く用いられているが、このようなヒートローラ方式の定着装置においては、所望の定着性を得るために必要な定着ニップ部を形成するため、加熱定着ローラおよび加圧ローラとして大径のものが用いられており、これらのローラの熱容量が大きいことから、定着処理に大きなエネルギーが必要となっている。
【0004】
而して、定着装置として、ヒートローラ方式のものに比して定着処理に大きなエネルギーを必要としない、加熱ローラと定着ローラとの間に張架された定着ベルトと、当該定着ベルトを介して定着ローラに圧接する加圧ローラとの間に、その表面にトナー像が形成された画像形成支持体を通過させる構成を有するベルト式の定着装置が開発実用化されている(特開2002−6662号公報、特開平11−133776号公報、特開2001−242732号公報等参照)。
【0005】
このようなベルト式の定着装置によれば、定着ニップ部が定着ベルトと加圧ローラとの間に形成され、また定着ベルトが可撓性を有するものであるため、定着装置を構成するローラとして小径のものを用いても所望の定着ニップ部を形成することができると共に、ヒートローラ方式の定着装置のように、画像形成支持体の表面に形成されたトナー像が直接接触する部材の表面に変形可能な厚い弾性層を設けなくとも定着処理を行った画像形成支持体を確実に分離することができることから、定着ベルトとして熱容量の小さい薄肉のものを好適に用いることができる。従って、このようなベルト式の定着装置は、定着ベルトの温度立ち上がりが速く、また当該定着ベルト表面への熱伝達が速くて高い熱追従性が得られ、これにより、定着装置自体の小型化および低熱容量化を図ることができ、また、ウォームアップ時間の短縮や待機時間中における温度の低温化を達成することができることから優れたエネルギー効率が得られる。
【0006】
しかしながら、ベルト式の定着装置を備えてなる画像形成装置を用いる画像形成方法においては、当該定着装置の定着ベルトの熱容量が小さいため、定着ベルトと接触する部材が存在する場合においては、その接触する部材を通じて熱が奪われやすく、定着ベルト上の温度制御が困難となり、結果としてトナーによる汚れが蓄積したり定着性にバラツキが出たりする問題を発生しやすい。
一方、汚れの蓄積などを防止するため、離型剤を付与するためのシリコンオイル塗布機構を付与した定着装置においてもオイルを塗布する部材が熱を奪うため、定着ベルト上の温度制御が困難となり、当該定着ベルト上の温度のバラツキに起因するトナー汚れや定着性のバラツキ、更に画像の光沢ムラ等の問題を発生しやすくなり、結局、安定して高い品質を有する画像を得ることができない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、ベルト定着方式により、安定して高い品質を有する画像を得ることのできる画像形成方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像形成方法は、少なくとも加熱ローラと定着ローラとの間に張架された定着ベルトと、当該定着ベルトを介して定着ローラに圧接する加圧ローラとの間に、その表面にトナー像が形成された画像形成支持体を通過させることによって当該トナー像を定着する工程を含む画像形成方法において、
前記定着ベルトが、金属あるいは樹脂よりなるベルト基材の表面に、熱伝導率が0.1〜5W/m・Kのゴム層およびフッ素樹脂層が設けられてなり、
前記トナー像を構成するトナーが、重合性単量体中に離型剤を溶解させ、この離型剤を含有した重合性単量体を重合せしめる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることによって得られた、少なくとも樹脂と着色剤と離型剤とを含有する、個数平均粒径が4.5〜8.5μmのトナー粒子であって、下記(1)のトナー粒子からなることを特徴とする。このトナーは、下記(2)〜(4)のいずれかのトナー粒子からなることが好ましい。
【0009】
(1)樹脂に由来する樹脂成分よりなる連続相中に、離型剤に由来する離型剤成分よりなる少なくとも2個以上の孤立した島状の相が存在する海島構造を有し、当該離型剤成分よりなる島状の相間の最近接壁間距離の平均値が100〜1060nmであり、最近接壁間距離が1300nm以上である島状の相の割合が10個数%以下であるトナー粒子。
【0010】
(2)個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子。
【0011】
(3)角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子。
【0012】
(4)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子。
【0015】
【作用】
本発明の画像形成方法においては、トナー像を形成するトナーとして、樹脂と着色剤と離型剤とを含有してなる特定の構成を有するトナーを用いるため、加熱ローラと定着ローラとの間に張架された定着ベルトと、当該定着ベルトを介して定着ローラに圧接する加圧ローラとの間に、その表面にトナー像が形成された画像形成支持体を通過させることによって当該トナー像を定着するベルト定着方式によって行われる定着処理中において定着ベルトを介してトナーに与えられる熱量が小さくとも、離型剤自体が有する離型性が十分発揮されることにより長期間にわたる連続使用中においてオフセット現象の発生が抑制され、これにより、得られる画像に画像汚れの発生が発生すること、および定着性が低下することを抑制することができる。
従って、本発明の画像形成方法によれば、ベルト定着方式により、安定して高い品質を有する画像を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、少なくとも加熱ローラと定着ローラとの間に張架された定着ベルトと、当該定着ベルトを介して定着ローラに圧接する加圧ローラとの間に、その表面にトナー像が形成された画像形成支持体を通過させることによって当該トナー像を定着する工程を含み、当該トナー像を構成するトナーとして、少なくとも樹脂と着色剤と離型剤とを含有するトナーであり、少なくとも下記(1)〜(4)のいずれかの構成を有するものを用いてなることを特徴とする。
【0017】
(1)樹脂に由来する樹脂成分よりなる連続相中に、離型剤に由来する離型剤成分よりなる少なくとも2個以上の孤立した島状の相が存在する海島構造を有し、当該離型剤成分よりなる島状の相間の最近接壁間距離の平均値が100〜1060nmであり、最近接壁間距離が1300nm以上である島状の相の割合が10個数%以下であるトナー粒子よりなる構成
(2)個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子よりなる構成
(3)角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子よりなる構成
(4)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子よりなる構成
【0018】
ここに、本発明に係るトナーは、少なくとも上記(1)〜(4)のいずれかの構成を有するものであればよく、上記(1)〜(4)の構成(以下、「特定の構成」ともいう。)のうちの複数を満たすものであってもよい。
本発明の画像形成方法に好適なトナーとしては、特定構成をすべて満たす構成を有するもの、具体的には、(a)樹脂に由来する樹脂成分よりなる連続相中に、離型剤に由来する離型剤成分よりなる少なくとも2個以上の孤立した島状の相が存在する海島構造を有し、(b)離型剤成分よりなる島状の相間の最近接壁間距離の平均値が100〜1060nmであり、(c)最近接壁間距離が1300nm以上である島状の相の割合が10個数%以下であり、(d)個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であり、(e)形状係数の変動係数が16%以下であり、(f)角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、(g)形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であるナー粒子から構成されるトナーが好適に用いられる。
【0019】
<トナー粒子の海島構造>
トナー粒子における海島構造は、透過型電子顕微鏡で撮影されたトナー粒子の断面写真により、トナー粒子が輝度の異なる領域を有しているものであることにより確認することができる。すなわち、本発明に係るトナーを構成するトナー粒子においては、上記透過型電子顕微鏡により、図1に示すように、連続相中(樹脂の相)に、輝度の異なる粒状の島(離型剤の相)が存在することが確認される。図1において、1はトナー粒子、2は連続相、3は島を示す。
更に、透過型電子顕微鏡の観察結果より得られた結果に基づいて、トナー粒子中の島の個数、島の形状係数、島の最近接壁間距離等のトナー粒子中の海島構造を特定する因子が数値として得られる。
【0020】
ここに、透過電子顕微鏡写真における輝度とは、トナー粒子を構成する各要素、すなわち樹脂、着色剤および離型剤の結晶状態の差に起因して発生する電子線透過率の差を可視化することにより生ずるものであり、一般的に着色剤は樹脂よりも電子線の透過率が低いため低輝度に撮影され、離型剤は樹脂よりも高輝度に撮影される。
【0021】
透過型電子顕微鏡写真において、一般的に低輝度とは画素(ピクセル)の輝度信号を256階調に分割した場合における0〜99階調の範囲を示し、また中輝度とは80〜160階調の範囲を示し、更に高輝度とは127〜255階調の範囲を示すが、本発明において輝度の大きさとは、上記の範囲に限定されるものではなく相対的なものを示し、トナー粒子の構成要素を透過型電子顕微鏡写真によりそれぞれ判別することができればよい。
【0022】
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子の構造を観察するための透過型電子顕微鏡装置としては、通常、当業者の間でよく知られた機種、例えば「LEM−2000型」(トプコン社製)などを用いることができる。
本発明においては、透過型電子顕微鏡装置として「LEM−2000型」を用い、1000個以上のトナー粒子の投影面を10,000倍の倍率で撮影した透過型電子顕微鏡写真に基づいて得られる値により、トナー粒子における島の個数、最近接壁間距離およびその平均値等を算出した。
【0023】
本発明において、透過型電子顕微鏡写真の撮影は、トナー粒子を測定する際に行う通常知られる方法で行われる。
具体的には、(イ)常温硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分に分散させて包埋し硬化させた撮影用試料、または、(ロ)粒径100nm程度のスチレン微粉末にトナー粒子を分散させた混合粉末を加圧成形してブロックを得、その後、必要に応じて得られたブロックに対して四三酸化ルテニウムまたは四三酸化オスミウムを併用した染色を施した撮影用試料からダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて薄片状のサンプルを切り出し、このサンプルを用い、透過型電子顕微鏡(TEM)によってトナー粒子の断層形態を撮影した。
【0024】
このようにして撮影した透過型電子顕微鏡写真を用いてトナー粒子中における結晶性物質の領域の形状を目視で確認すると共に、透過型電子顕微鏡装置に備えられている画像処理装置「ルーゼックスF」(ニレコ(株)社製)により、当該写真の画像情報を演算処理してトナー粒子中における島の個数、最近接壁間距離およびその平均値等が得られる。
【0025】
以上のようにして、本発明においては、透過型電子顕微鏡装置に設置されている画像解析装置により、トナー粒子中の各構成要素の輝度の情報を目視によって識別可能なイメージ情報に変換することによって得られた透過型電子顕微鏡写真から海(連続相)と島とを判定して識別する。
【0026】
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子は、その内部に、樹脂に由来する樹脂成分よりなる連続相中に、離型剤に由来する離型剤成分よりなる少なくとも2個以上の孤立した島状の相が存在する海島構造を有するものである。
【0027】
トナー粒子が離型剤成分を島とする海島構造を有するものであることにより、定着処理において離型剤を適度に溶融させることができ、当該離型剤自体の有する離型性を最大限に発揮させることができる。
【0028】
また、トナー粒子が2個以上の島が存在する海島構造を有するものであることにより、弊害を伴わずに当該島を構成する離型剤の本来有する離型性が十分に発揮され、その結果、画像形成装置の構成要素のトナー汚れおよび画像汚れの発生を抑制することができる。この理由は明確ではないが、トナー粒子中に1個の島のみが存在する場合には、定着処理中において当該島を構成する離型剤のトナー粒子表面への露出に大きな加熱時間を要するため、この加熱時間中にトナー粒子を構成する樹脂の溶融が促進されて溶融粘度が低下してしまうことから、オフセット現象の発生を十分に抑制することができないと考えられる。
【0029】
本発明に係るトナーにおける最近接壁間距離の平均値は100〜1060nmであり、好ましくは260〜820nmである。
【0030】
ここに、「最近接壁間距離」とは、トナー粒子中において隣接し合う島同士の界面間の距離である。図1においては、各島の最近接壁間距離が、各々、矢印で示されている。
【0031】
最近接壁間距離の平均値が100nm未満である場合には、得られる画像における画像汚れの発生を十分に抑制することができない。この理由は、定着処理中において、各島を構成する離型剤が溶融する際に複数の島が合体してしまい、これにより、トナー粒子中における離型剤の存在状態が不均一なものとなるためと考えられる。
一方、最近接壁間距離の平均値が1060nmを超える場合には、離型剤自体の有する離型性は発揮されるが、トナーが機械的ストレスを受けることによって、例えばキャリアなどに融着して帯電性の低下を招き、その結果、十分な耐久性が得られない。
【0032】
更に、本発明に係るトナーを構成するトナー粒子中においては、最近接壁間距離が1300nm以上となる島の割合が10個数%以下であることが必要とされ、この割合が4個数%以下であることが好ましい。
【0033】
ここに、「最近接壁間距離が1300nm以上となる島の割合」とは、例えば1個のトナー粒子中において、1組の島よりなる最近接壁間距離が1300nm以上である場合には2個と数え、このトナー粒子中に存在するすべての島の個数に対する当該1300nm以上の最近接壁間距離を構成する島の個数の割合を示す。
【0034】
最近接壁間距離が1300nm以上となる島の割合が10個数%を超える場合には、得られる画像における画像汚れの発生を十分に抑制することができない。この理由は明確ではないが、定着処理中における島を構成する離型剤のトナー粒子表面への露出が不均一になるためと考えられる。
【0035】
また、本発明に係るトナーにおいては、最近接壁間距離が1300nm以上となる島の割合が0個数%となるものであってもよい。すなわち、最近接壁間距離が1300nm以上となる島の割合が0個数%とは、トナー粒子中で島がまさに短い距離間をもって完全にムラのない状態で微分散していることを意味するものである。
【0036】
<トナーの個数変動係数>
本発明に係るトナーにおける個数粒度分布および個数変動係数はコールターカウンターTA−IIあるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)で測定されるものである。
本発明においてはコールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。
前記コールターマルチサイザーにおいて使用するアパーチャーとしては100μmのものを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
【0037】
個数粒度分布とは、粒子径に対するトナー粒子の相対度数を表すものであり、個数平均粒径とは、個数粒度分布におけるメジアン径(累積50%の径:Dn50)を表すものである。トナーの「個数粒度分布における個数変動係数」は、下記式から算出される。
【0038】
【数1】
【0039】
〔式中、S1 は個数粒度分布における標準偏差を示し、Dnは個数平均粒径(μm)を示す。〕
【0040】
本発明に係るトナーにおける個数変動係数は27%以下であり、好ましくは25%以下である。
個数粒度分布における個数変動係数27%を超える場合には、トナーを構成するトナー粒子の粒径のむらが大きくなり、その結果、定着性が低下し、オフセット現象の発生に起因する画像汚れが発生してしまう。
【0041】
本発明に係るトナーにおける個数変動係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を風力により分級する方法も使用できるが、個数変動係数をより小さくするためには液中での分級が効果的である。この液中で分級する方法としては、遠心分離機を用い、回転数を制御してトナー粒子径の違いにより生じる沈降速度差に応じてトナー粒子を分別回収し調製する方法がある。
【0042】
<トナーの形状係数>
本発明に係るトナーの「形状係数」は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0043】
【数2】
【0044】
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。
本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用した。
【0045】
本発明に係るトナーにおいては、この形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を65個数%以上とすることが必要であり、好ましくは、70個数%以上である。
形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%未満である場合には、トナー粒子間において定着性にばらつきを生じてしまい、その結果、定着性が低下し、オフセット現象の発生に起因する画像汚れが生じてしまう。
また、トナーを構成する半数以上のトナー粒子を、形状係数が1.2〜1.6の範囲と、その形状をある程度不定形化することにより、トナー粒子の熱伝達効率を大きくすることができる。この理由は明確ではないが、トナー粒子の定着ベルトとの接触点が大きくなって均一な溶融状態とすることができるためと考えられる。
【0046】
この形状係数を制御する方法は特に限定されるものではない。例えば、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、トナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、トナーを溶解しない溶媒中に添加し旋回流を付与する方法等により、形状係数を1.2〜1.6の範囲にしたトナー粒子を調製し、これを通常のトナー中に添加して調整する方法がある。また、いわゆる重合法トナーを調製する段階で全体の形状を制御し、形状係数を1.2〜1.6の範囲に調整したトナー粒子を同様に通常のトナーへ添加して調整する方法がある。
上記方法の中では重合法トナーが製造方法として簡便である点と、粉砕トナーに比較して表面の均質性に優れる点等で好ましい。
【0047】
<トナーの形状係数の変動係数>
本発明に係るトナーにおける「形状係数の変動係数」は下記式から算出される。
【0048】
【数3】
【0049】
〔式中、S2 は100個のトナー粒子の形状係数の標準偏差を示し、Kは形状係数の平均値を示す。〕
【0050】
本発明に係るトナーにおいて、この形状係数の変動係数は16%以下であり、好ましくは14%以下である。
形状係数の変動係数が16%を超える場合には、トナーを構成するトナー粒子の形状の均一性が低下し、その結果、定着性が低下し、オフセット現象の発生に起因する画像汚れが生じてしまう。
【0051】
このトナーにおける形状係数および形状係数の変動係数を、極めてロットのバラツキなく均一に制御するために、塩析/融着工程および熟成処理において、形成されつつあるトナー粒子(着色粒子)の特性をモニタリングしながら適正な工程終了時期を決めてもよい。
【0052】
「モニタリングする」とは、インラインに測定装置を組み込みその測定結果に基づいて、工程条件の制御をするという意味である。すなわち、形状などの測定をインラインに組み込んで、例えば樹脂粒子を水系媒体中で会合あるいは融着させることで形成する重合法トナーでは、融着などの工程で逐次サンプリングを実施しながら形状や粒径を測定し、所望の形状になった時点で反応を停止する。
モニタリング方法としては、特に限定されるものではないが、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(東亜医用電子社製)を使用することができる。本装置は試料液を通過させつつリアルタイムで画像処理を行うことで形状をモニタリングできるため好適である。すなわち、反応場よりポンプなどを使用し、常時モニターし、形状などを測定することを行い、所望の形状などになった時点で反応を停止するものである。
【0053】
<角がないトナー粒子の割合>
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子中、角がないトナー粒子の割合は50個数%以上であることが必要とされ、この割合が70個数%以上であることが好ましい。
【0054】
角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であることにより、トナーを構成するトナー粒子の溶融状態を均一化することができる。
その理由は、角のあるトナー粒子においてはその角部分から溶融が促進されてその部分における当該トナー粒子を構成する樹脂の溶融粘度が低下することとなり、このような一部分において溶融の度合いが大きくなるトナー粒子の存在が一定以上となるとオフセット現象が発生すると考えられる。
【0055】
ここに、「角がないトナー粒子」とは、突部を実質的に有しないトナー粒子を言い、具体的には以下のトナー粒子を角がないトナー粒子という。すなわち、図2(a)に示すように、トナー粒子Tの長径をLとするときに、半径(L/10)の円Cで、トナー粒子Tの周囲線に対し1点で内側に接しつつ内側をころがした場合に、当該円CがトナーTの外側に実質的にはみださない場合を「角がないトナー粒子」という。「実質的にはみ出さない場合」とは、はみ出す円が存在する突起が1箇所以下である場合をいう。
また、「トナー粒子の長径」とは、当該トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。
なお、図2(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示している。
【0056】
本発明において、角がないトナー粒子の割合の測定は次のようにして行った。先ず、走査型電子顕微鏡によりトナー粒子を拡大した写真を撮影し、さらに拡大して15,000倍の写真像を得る。次いでこの写真像について前記の角の有無を測定する。この測定を1000個のトナー粒子について行った。
【0057】
角がないトナー粒子を得る方法は特に限定されるものではない。例えば、形状係数を制御する方法として前述したように、トナー粒子を熱気流中に噴霧する方法、またはトナー粒子を気相中において衝撃力による機械的エネルギーを繰り返して付与する方法、あるいはトナーを溶解しない溶媒中に添加し、旋回流を付与することによって得ることができる。
【0058】
本発明に係るトナー粒子の粒径は、個数平均粒径で3〜9μm、特に4.5〜8.5μm、更に5〜8μmのものが好ましい。
個数平均粒径が3μm未満である場合には、トナー粒子の熱容量が小さくなるため、定着処理中に過度な溶融が進み、オフセット現象が発生するおそれがある。一方、個数平均粒径が9μmを超える場合には、トナー粒子の熱容量が大きくなるため、ベルト定着方式による定着処理において十分な定着性が得られないおそれがある。
【0059】
本発明に係るトナーは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定される分子量分布で100,000〜1,000,000の領域と、1,000〜50,000の領域とにピークまたはショルダーを有するものであること、特に100,000〜1,000,000の領域と、25,000〜150,000の領域と、1,000〜50,000の領域とにピークまたはショルダーを有するものであることが好ましい。
【0060】
ここに、GPCによる樹脂の分子量の測定方法としては、測定試料0.5〜5.0mg(具体的には1mg)に対してテトラヒドロフラン(THF)を1ml加え、マグネチックスターラーなどを用いて室温にて攪拌を行って十分に溶解させる。次いで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後にGPCへ注入する。
GPCの測定条件としては、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801,802,803,804,805,806,807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H,G2000H,G3000H,G4000H,G5000H,G6000H,G7000H,TSK guard columnの組合せなどを挙げることができる。また、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)またはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0061】
本発明に係るトナーは、樹脂粒子と着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着する工程を経ることによって製造されてなるものであることが好ましく、例えば重合性単量体を懸濁重合法により重合して樹脂粒子を調製し、あるいは、必要な添加剤の乳化液を加えた液中(水系媒体中)にて単量体を乳化重合、あるいは後述するミニエマルジョン法に係る重合を行って微粒の樹脂粒子を調製し、必要に応じて荷電制御性樹脂粒子を添加した後、有機溶媒、塩類などの凝集剤等を添加して当該樹脂粒子を凝集、融着する方法で製造されるものである。
この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数以上会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、攪拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、本発明に係るトナーを形成することができる。なお、凝集剤と同時に水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0062】
樹脂粒子としては、100,000〜1,000,000の領域にピークもしくはショルダーを有する高分子量成分と、1,000〜50,000未満の領域にピークもしくはショルダーを有する低分子量成分の両成分を少なくとも含有する樹脂よりなるものが好ましく、更に好ましくは、15,000〜100,000の部分にピークまたはショルダーを有する中間分子量体の樹脂を含有する樹脂よりなるものであることが好ましい。
また、樹脂粒子のガラス転移温度は、45〜70℃であることが好ましく、更に好ましくは50〜65℃であり、更に、樹脂粒子の軟化点は、90〜140℃であることが好ましい。
【0063】
樹脂粒子は、重合性単量体を、水系媒体中において、例えば乳化重合法等の造粒重合法などによって重合処理することによって調製することができるが、樹脂粒子を得るために使用する重合性単量体としては、ラジカル重合性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体(架橋剤)を使用することができる。また、以下の酸性極性基を有するラジカル重合性単量体または塩基性極性基を有するラジカル重合性単量体を少なくとも1種類含有させることが好ましい。
【0064】
(1)ラジカル重合性単量体:
ラジカル重合性単量体としては、特に限定されるものではなく、従来公知のラジカル重合性単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
具体的には、芳香族系ビニル単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0065】
芳香族系ビニル単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0066】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0067】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0068】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0069】
(2)架橋性単量体:
架橋性単量体としては、最終的に得られるトナーの特性を改良するために、ラジカル重合性架橋剤を添加してもよい。ラジカル重合性架橋剤としては、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0070】
(3)酸性極性基を有するラジカル重合性単量体:
酸性極性基を有するラジカル重合性単量体としては、カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物、スルホン酸基(−S3 OH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
【0071】
カルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのナトリウム(Na)、亜鉛(Zn)等の金属塩類などが挙げられる。
【0072】
スルホン酸基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物としては、例えばスルホン化スチレン、およびそのナトリウム塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、およびこれらのナトリウム塩等が挙げられる。
【0073】
(4)塩基性極性基を有するラジカル重合性単量体:
塩基性極性基を有するラジカル重合性単量体としては、(a)アミン基あるいは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(b)(メタ)アクリル酸アミドあるいは、随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノまたはジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミド、(c)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物、(d)N,N−ジアリル−アルキルアミンあるいはその四級アンモニウム塩を例示することができ、これらの中において(a)のアミン基あるいは4級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有する単量体が好ましい。
【0074】
(a)アミン基あるいは4級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4個の化合物の4級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0075】
(b)(メタ)アクリル酸アミドあるいはN上で随意モノまたはジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、例えばアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0076】
(c)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、例えばビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリドなどが挙げられる。
(d)N,N−ジアリル−アルキルアミンとしては、例えばN,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0077】
樹脂粒子の分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。
連鎖移動剤としては、特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有するメルカプト化合物が用いられ、特に、加熱定着時の臭気を抑制し、分子量分布がシャープであるトナー得られ、保存性、定着強度および耐オフセット性に優れることから分子鎖が短いメルカプト化合物が好ましく用いられる。
具体的に、連鎖移動剤として好ましいものとしては、例えばチオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸オクチル、メルカプトプロピオン酸n−オクチルエステル、オクチルメルカプタンが挙げられる。
【0078】
本発明において、ラジカル重合開始剤としては、水溶性であれば適宜のものを使用することが可能である。例えば、過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸およびその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
更に上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とすることが可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇するので重合温度の低下を図ることができ、更に重合時間の短縮が期待できる。
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればいずれの温度を選択してもよいが、例えば50℃〜90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる場合には、室温またはそれ以上の温度で重合することも可能である。
【0079】
前述のラジカル重合性単量体を使用して重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。ここに使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、下記のイオン性界面活性剤を好適なものの例として挙げることができる。
【0080】
イオン性界面活性剤としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0081】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等を挙げることができる。
【0082】
離型剤としては、特に限定されるものではなく、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロシュワックス、エステルワックスなどの融点を有する有機化合物を用いることができるが、下記一般式(イ)で示されエステル系化合物が好ましく用いられる。
【0083】
【化1】
【0084】
〔式中、R1 およびR2 は、各々、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、pは1〜4の整数を示す。〕
【0085】
一般式(イ)において、R1 およびR2 は、各々、置換基を有していてもよい炭化水素基であり、炭化水素基R1 の炭素数は1〜40とされ、好ましくは1〜20、更に好ましくは2〜5とされる。また、炭化水素基R2 の炭素数は1〜40とされ、好ましくは16〜30、更に好ましくは18〜26とされる。
そして、炭化水素基R1 および炭化水素基R2 は、各々、同一であっても、異なっていてもよい。
また、一般式(イ)において、pは1〜4の整数とされ、好ましくは2〜4、更に好ましくは3〜4、特に好ましくは4とされる。
【0086】
具体例としては、下記式(W1)〜(W22)に示す化合物を例示することができる。
【0087】
【化2】
【0088】
【化3】
【0089】
離型剤の含有割合は、トナー全体において、通常1〜30質量%とされ、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%とされる。
【0090】
本発明においては、塩析/融着時に離型剤粒子を添加する手法によって離型剤を含有する樹脂粒子を得ることもできるが、少なくとも重合性単量体中に離型剤を溶解させ、この離型剤を含有した重合性単量体を重合せしめる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることによって得えられたものであることが好ましい。このような手法によって得られた離型剤を含有する樹脂粒子においては、離型剤の存在状態を均一化することができるとともに、トナー間での離型剤存在状態の差をなくすことができる。
【0091】
離型剤を含有する樹脂粒子を得るための好ましい重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、離型剤を重合性単量体中に溶解してなる単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴(10〜1,000nm)を形成して分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、ラジカル重合させる方法(以下、この明細書において「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができる。このミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、重合性単量体に溶解させた離型剤の脱離が少なく、形成される樹脂粒子中に十分な量の離型剤を導入することができる。
なお、水溶性重合開始剤を添加することに代えて、または、当該水溶性重合開始剤を添加するとともに、油溶性の重合開始剤を前記単量体溶液中に添加してもよい。
【0092】
ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、高速回転するローターを備えた撹拌装置である機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。
【0093】
また、分散粒子径は、数平均一次粒子径で10〜1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に好ましくは30〜300nmである。
分散粒子径を単分散化することで、トナー粒子中における離型剤相分離構造を均一にすることができると共に、かつ最近接壁間距離を制御することができる。
【0094】
着色剤としては、例えばマグネタイト、フェライト等の磁性粉、無機顔料、有機顔料、染料などを使用することができ、無機顔料、有機顔料および染料としては、従来公知のものを用いることができる。
【0095】
黒色の無機顔料としては、例えばファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラックが挙げられる。
【0096】
これらの無機顔料は、必要に応じて1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
また、無機顔料の添加量は、重合体(樹脂粒子)に対して2〜20質量%、好ましくは3〜15質量%とされる。
【0097】
マゼンタまたはレッド用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0098】
オレンジまたはイエロー用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0099】
グリーンまたはシアン用の有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0100】
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0101】
これらの有機顔料および染料は、必要に応じて1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
また、有機顔料の添加量は、重合体(樹脂粒子)に対して2〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。
【0102】
着色剤は表面改質されたものを使用することもできる。その表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤などを好ましく用いることができる。
【0103】
シランカップリング剤としては、例えばメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0104】
チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。
【0105】
アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
【0106】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0107】
また、着色剤の表面改質法としては、溶媒中に着色剤を分散させ、その分散液中に表面改質剤を添加し、この系を昇温することにより反応させ、この反応終了後、着色剤を濾別し、同一の溶媒で洗浄濾過を繰り返した後、乾燥する手法を用いることができる。
【0108】
本発明に係るトナーを製造する方法の一例としては、
(1)離型剤を重合性単量体中に溶解して単量体溶液を調製する溶解工程、
(2)得られる単量体溶液を水系媒体中に分散する分散工程、
(3)得られる単量体溶液の水系分散系を重合処理することにより、離型剤を含有する樹脂粒子の分散液(ラテックス)を調製する重合工程、
(4)得られる樹脂粒子と、前記着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させてトナー粒子を得る塩析/融着工程、
(5)得られるトナー粒子を水系媒体中より濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを洗浄除去する濾過・洗浄工程、
(6)洗浄処理されたトナー粒子の乾燥工程
から構成され、
(7)乾燥処理されたトナー粒子に外部添加剤を添加する外部添加剤添加工程
が含まれていてもよい。
【0109】
(1)溶解工程;
離型剤を重合性単量体中に溶解する方法としては特に限定されるものではない。
なお、この単量体溶液中に、油溶性重合開始剤および他の油溶性の成分を添加することもできる。
【0110】
(2)分散工程;
単量体溶液を水系媒体中に分散させる方法としては、特に限定されるものではないが、機械的エネルギーにより分散させる方法が好ましく、特に、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、機械的エネルギーを利用して単量体溶液を油滴分散させることが好ましく、これは、ミニエマルジョン法においては必須の態様である。
ここに、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではないが、例えば「クレアミックス」、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは30〜300nmとされる。
【0111】
(3)重合工程;
重合工程においては、基本的には乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法等の造粒重合法を採用することができるが、好ましい重合法の一例としては、ミニエマルジョン法を挙げることができる。
【0112】
(4)塩析/融着工程;
塩析/融着工程においては、上記の重合工程により得られる樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を添加し、前記樹脂粒子と、前記着色剤粒子とを水系媒体中で塩析/融着させる。
また、当該塩析/融着工程においては、樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(質量平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)なども融着させることもできる。
【0113】
ここに、「塩析/融着」とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
【0114】
塩析/融着工程における「水系媒体」とは、主成分(50質量%以上)が水からなるものをいう。ここに、水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらのうち、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が特に好ましい。
【0115】
塩析/融着工程に使用される樹脂粒子の分散液は、樹脂粒子の粒子径である質量平均一次粒子径の分散度が粒度分布の広がりを示すCV値(標準偏差を平均粒径で割った変動係数)で20%以下であることが好ましい。このような分散性を得るためには、例えば機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機による機械的分散でエネルギーを均一化させ、繰り返し分散する手法を用いることができる。なお、樹脂粒子に係る質量平均一次粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される樹脂粒子の粒子径である。
【0116】
塩析/融着工程に使用される着色剤粒子の分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、水中で界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われる。
着色剤の分散処理に使用する分散機は特に限定されないが、好ましくは、攪拌室を区画形成するスクリーンと当該攪拌室内において高速回転するロータとにより剪断力を生じて、その剪断力の作用(更に、衝突力・圧力変動・キャビテーション・ポテンシャルコアの作用)により、着色剤を界面活性剤を含有する水系媒体中に微分散させて微粒子を得るもの、具体的には、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。また、使用される界面活性剤としては、前述の界面活性剤と同様のものを挙げることができる。
【0117】
着色剤粒子の質量平均粒子径(分散粒子径)は、30〜500nmとされ、好ましくは50〜300nmとされる。
着色剤微粒子の質量平均粒子径が30nm未満の場合には、水系媒体中での着色剤の浮遊が激しくなるために、また、質量平均粒子径が500nmを超えると着色剤粒子が水系媒体中に適度に分散されずに沈降し易くなるために、着色剤をトナー粒子中に導入することが困難となるおそれがある。この様な条件下では、着色剤粒子はトナー粒子中に取り込まれることなく水系媒体中で遊離したままとなり好ましくない。なお、着色剤微粒子の質量平均粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される。
【0118】
塩析/融着法は、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水系媒体中に、金属塩等からなる塩析剤を臨界凝集濃度以上の凝集剤として添加し、次いで、前記樹脂粒子のガラス転移点以上に加熱することにより、塩析を進行させると同時に融着を行う工程である。この工程では、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0119】
凝集剤としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属(1価の金属)よりなる金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類、マンガン、銅等の2価の金属よりなる金属塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属よりなる金属塩などが挙げられるが、1価の金属よりなる金属塩と比較して、2価および3価の金属よりなる金属塩は臨界凝集濃度(凝析値あるいは凝析点)が小さいことから、2価あるいは3価の金属よりなる金属塩を用いることが好ましい。
これらの金属塩は1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0120】
凝集剤の具体例としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、塩化アルミニウム、塩化鉄などが挙げられる。
【0121】
凝集剤の添加量は、臨界凝集濃度以上であればよいが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは、1.5倍以上添加することが好ましい。
なお、樹脂粒子と着色剤粒子とが存在している水系媒体中に金属塩を直接加えるか、あるいは水溶液として加えるかは任意に選択されるが、水溶液として加える場合には、当該水系媒体の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が臨界凝集濃度以上となることが必要である。
【0122】
ここに、「臨界凝集濃度」とは、水性分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加して凝集が発生する濃度を示すものである。
この臨界凝集濃度は、乳化された成分および分散剤自体によって大きく変化するものである。例えば、岡村誠三他著「高分子化学17,601(1960)日本高分子学会編」等に記述されている手法により、詳細な臨界凝集濃度を求めることができる。また、別な手法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のξ(ゼータ)電位を測定し、この値が変化する塩濃度を臨界凝集濃度として求めることもできる。
【0123】
さらに、前記水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等が挙げられるが、炭素数が3以下のメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールのアルコールが好ましく、特に、2−プロパノールが好ましい。
【0124】
塩析/融着工程において、塩析/融着おける好適な温度範囲は、樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度をTgとすると、(Tg+10℃)〜(Tg+50℃)の範囲とされ、特に好ましくは(Tg+15℃)〜(Tg+40℃)の範囲とされる。なお、塩析/融着工程の系に水に無限溶解する有機溶媒を添加することにより、融着を効果的に行なわせることができる。
また、本発明においては樹脂粒子と着色剤粒子を水系媒体中において塩析/融着させることによって得られた着色粒子(本発明におけるトナー粒子)の水系媒体からの分離は、水系媒体中に存在している界面活性剤のクラフト点以上の温度で行うことが好ましく、クラフト点〜(クラフト点+20℃)の温度範囲で行うことが更に好ましい。
【0125】
ここに、「クラフト点」とは、界面活性剤を含有した水溶液が白濁化しはじめる温度であり、塩析、凝集、融着する工程(本発明における塩析/融着工程)で用いる水系媒体すなわち界面活性剤溶液に、実際に使用する量の凝集剤を加えた溶液を調製し、得られた溶液を1℃で5日間貯蔵した後、この溶液を攪拌しながら透明になるまで徐々に加熱することによって測定される。
【0126】
また、塩析/融着工程においては、樹脂粒子および着色剤粒子の分散液が前記ガラス転移温度以上の温度に到達した後、当該分散液の温度を一定時間保持することにより、塩析/融着を継続させることが肝要である。これにより、トナー粒子の成長(樹脂粒子および着色剤粒子の凝集)と、融着(粒子間の界面の消失)とを効果的に進行させることができ、最終的に得られるトナーの耐久性を向上することができる。
【0127】
更に、会合粒子の成長を停止させた後に、加熱による融着を継続させて熟成処理を行うことが好ましい。
この熟成処理とは、会合粒子の成長を停止させた系の温度を会合粒子の最表層を構成する樹脂のガラス転移温度よりも10〜40℃高い温度に保ち、一定の強度で撹拌を継続する処理であり、この熟成処理により、トナー粒子における樹脂粒子の接着を高めることができる。
そして、熟成処理に要する時間および熟成処理における温度条件の少なくとも一方を制御することにより、得られるトナー粒子を特定構成を有するものとすることができる。
【0128】
(5)濾過・洗浄工程;
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散液から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法などがあり、特に限定されるものではない。
【0129】
(6)乾燥工程;
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。
この工程で使用される乾燥機としては、フラッシュジェットドライヤー、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
【0130】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0131】
(7)外部添加剤の添加工程;
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に外部添加剤を添加する工程である。
外部添加剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0132】
本発明に係るトナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用材料として種々の機能を付与することのできる材料が加えられたものであってもよい。具体的には荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は、前述の融着段階で樹脂粒子および着色剤粒子と同時に添加し、トナー粒子中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
荷電制御剤も同様に種々の公知のもので、かつ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0133】
本発明に係るトナーには、流動性、帯電性の改良およびクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外部添加剤を添加して使用することができる。これら外部添加剤としては特に限定されるものではなく、種々の無機微粒子、有機微粒子および滑剤を使用することができるが、平均一次粒子径30〜500nmの無機微粒子よりなる外部添加剤を用いることが好ましい。
【0134】
本発明の画像形成方法においては、以上のようなトナーを、0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させてなる磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用することもできる。
このトナーを非磁性一成分トナーとして使用する場合には、薄層形成を行うためのトナー層規制部材がトナー担持体に抑圧された構成を有する現像器を使用し、接触あるいは非接触で現像する。
【0135】
また、二成分現像剤として使用する場合には、当該二成分現像剤を構成するキャリアとして、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。
キャリアの体積平均粒径としては15〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは25〜80μmとされる。キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0136】
好ましいキャリアとしては、磁性粒子の表面が樹脂により被覆されている樹脂被覆キャリア、樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアを挙げることができる。
樹脂被覆キャリアを構成する樹脂としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン/アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂あるいはフッ素含有重合体系樹脂などが用いられる。
また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン/アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
【0137】
このような二成分現像剤において適用される現像方法としては特に限定されず、接触現像方式および非接触現像方式のいずれに対しても好適に使用することができる。
【0138】
本発明の画像形成方法は、例えば静電荷潜像担持体上に形成された静電潜像を現像剤によって現像し、可視化した後に転写材にトナーを転写し、そして、トナー像が形成された転写材を、定着装置を構成する定着ベルトと加圧ローラとの間に通過させて定着することによって可視画像を得るものであり、特に、例えば後述する画像形成装置を用いたカラー画像を形成するために好適に用いられる。
【0139】
図3は、本発明において使用する画像形成装置の構成の一例を示す説明用概略図であり、図4は、図3の画像形成装置における定着装置の構成を示す説明図である。
この画像形成装置は、4つのトナー像形成ユニットの各々により形成される各色トナー像を中間転写体に順次に転写することにより、当該中間転写体上で各色トナー像を重ね合わせ、ここに形成されたカラートナー像(一次転写トナー像)を、例えば転写紙など画像形成支持体(以下「記録部材」ともいう。)上に一括して転写することにより、記録部材上にカラートナー像(二次転写トナー像)を形成し、定着装置において定着することにより可視画像を形成するものである。
【0140】
具体的に説明すると、このカラー画像形成装置においては、中間転写体である無端状の中間転写ベルト10を備えており、この中間転写ベルト10におけるトナー像形成ユニット配置領域においては、中間転写ベルト10の移動方向に対して、4つのトナー像形成ユニット20Y、20M、20Cおよび20Kがこの順に設けられている。
そして、中間転写ベルト10は、トナー像形成ユニット20Y、20M、20Cおよび20Kの各々に対応して設けられた一次転写ローラ11によって、トナー像形成ユニット20Y、20M、20C、20Kにおける静電潜像担持体(以下、単に「像担持体」ともいう。)21、21、21、21の各々に対接されながら循環移動されるよう、例えば駆動ローラ12、テンションローラ13および従動ローラ15よりなる支持ローラ群に張架された状態で配設されている。
【0141】
第1のトナー像形成ユニット20Yにおいては、回転されるドラム状の像担持体21を備え、この像担持体21の外周面領域において、像担持体21の回転方向に対して、帯電手段22、画像書き込み手段である露光手段23、イエロートナーを含む現像剤により現像を行う現像装置24とが動作順に並ぶよう配設されている。
【0142】
像担持体21の回転方向における現像領域より下流の位置には、適宜の転写電界を作用させることにより、像担持体21上に形成されたトナー像を中間転写ベルト10に転写する一次転写ローラ11が設けられている。
そして、像担持体21の回転方向における一次転写領域T1Yより下流の位置には、像担持体クリーニング装置29が設けられている。
【0143】
像担持体21は、ドラム状の金属基体の外周面に感光層が形成されたものよりなり、中間転写ベルト10の幅方向(図2において、紙面に対して垂直な方向)に伸びるよう配設されている。
感光層は、例えば無機感光層、有機光導電性化合物よりなる有機感光層などにより構成することができる。
【0144】
帯電手段22は、例えばスコロトロン帯電器よりなり、像担持体21の回転軸方向に伸びるよう、像担持体21と対向して配置されている。
露光手段23は、デジタル化された画像データを光信号に変換して像担持体21を露光するデジタル光学系、例えばレーザ照射装置により構成されており、像担持体21の表面に対して選択的に照射され、これにより、像担持体21上に静電潜像が形成される。
【0145】
現像装置24は、像担持体21と現像領域において間隔を介して対向するよう配置された現像剤搬送部材である現像スリーブ241を備えており、この現像スリーブ241の内部には、例えば複数の磁極を有する柱状の複数の磁石体からなる現像マグネットが固定して設けられていると共に、現像バイアス電圧を印加するための、現像バイアス電源が接続されている。
また、現像スリーブ241の回転方向において、現像領域より上流の位置に、現像スリーブ241上に形成される現像剤層の厚さを規制する磁性ブレードが設けられている。
【0146】
像担持体クリーニング装置29は、先端エッジが像担持体21の表面に当接する状態で、像担持体21の軸方向に伸びるよう配置された弾性体よりなる板状の像担持体クリーニングブレード291(クリーニング部材)を有するブレードクリーニング機構を備えている。
なお、像担持体クリーニング装置29は、像担持体クリーニングブレード291により掻き取られた像担持体21上の未転写トナーを回収ローラ292によって回収し、現像装置24に搬送するためのトナーリサイクル機構を有するものであってもよい。
【0147】
他のトナー像形成ユニット20M、20Cおよび20Kの各々についても、イエロートナー像に係る第1のトナー像形成ユニット20Yと同様の構成とされており、それぞれ、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーを含む現像剤により現像を行う現像装置24と、一次転写ローラ11と、像担持体クリーニング装置29とが、像担持体21の回転方向に対して動作順に並ぶよう配置されている。
【0148】
中間転写ベルト10の移動方向におけるトナー像形成ユニット配置領域より下流の位置には、二次転写手段である二次転写ローラ41が中間転写ベルト10を介して駆動ローラ12に押圧されて二次転写領域T2を形成するよう設けられており、この二次転写ローラ41に接続されたバイアス電圧印加手段42によって適宜の転写バイアス電圧が印加されることにより、当該中間転写ベルト10上の一次転写トナー像が、タイミングローラ43によりこのトナー像と同期がとられた状態で搬送路44に沿って搬送されてきた記録部材S上に転写される、接触転写方式の二次転写機構が構成されている。
【0149】
中間転写ベルト10の移動方向における二次転写領域T2より下流の位置には、先端エッジが中間転写ベルト10の表面に当接する状態で、中間転写ベルト10の幅方向に伸びるよう配置された弾性体よりなる板状の中間転写体クリーニングブレード46を有するブレードクリーニング機構を備えた中間転写体クリーニング装置45が設けられている。
【0150】
図3において、30は定着装置、47は、記録部材Sが載置される給紙カセット、48は、給紙カセット47に載置された記録部材Sを搬送路44に供給する給紙ローラである。
【0151】
定着装置30は、オイルレス定着方式の定着装置であって、図4における矢印a方向に回転駆動可能に設けられた駆動ローラよりなる定着ローラ31と熱源が内蔵された加熱ローラ33と、定着ローラ31と加熱ローラ33との間に張り渡されて走行する定着ベルト34と、定着ベルト34を介して定着ローラ31に圧接する加圧ローラ35とを備えている。
図4において、36は分離上ガイド、37は分離下ガイド、38は定着前ガイドである。
【0152】
加圧ローラ35と定着ローラ31の間で形成される定着ニップ部におけるニップ幅は6〜15mm、特に7〜13mmであることが好ましい。
ニップ幅が6mm未満である場合には、定着処理に係るエネルギーが不足して十分な定着性を得ることが困難となるおそれがあり、また、ニップ幅が15mm以上である場合には、トナーに対して過度なエネルギーが加わるため、定着性自体は良好となるものの、オフセット現象が発生しやすくなるおそれがある。
【0153】
定着ローラ31は、その片端に図示しない駆動ギアが固定され、この駆動ギアに接続された図示されていないモーターなどの駆動源により矢印aの方向に回転駆動され、定着ベルト34の裏面に接触して当該定着ベルト34を、図4における矢印b方向に移動させる構成を有するものである。
定着ローラ31の外周面は、摩擦係数の大きな材料(例えばシリコンゴム等)で被覆されており、これにより、定着ベルト34との間でのスリップの発生が抑制されて定着ベルト34を確実に移動させることができる。
【0154】
定着ローラ31の外周面を被覆する材料としては、比較的硬度の低い材料を使用することが好ましく、このような材料を用いることにより、所望の定着ニップ部を形成することができる。
具体的に、定着ローラ31に係る被覆材料としては、アスカーC硬度が10〜50°、好ましくは20〜40°のシリコンゴムが好適に用いられる。
【0155】
加圧ローラ35としては、その表面にフッ素樹脂でコーティングあるいはフッ素樹脂チューブで被覆されたシリコンゴムローラを使用することが好ましい。
【0156】
加熱ローラ33は、中空の金属ローラよりなるものであって、その中心軸上には、例えばハロゲンヒータランプ32などの加熱源が配置されている。
加熱ローラ33としては、定着ベルト34に熱を効率的に供給する観点から、例えばアルミニウムや銅、鉄などの高い熱伝導性を有する素材を使用することが好ましい。
図の例においては、加熱源として、1 本のハロゲンヒータランプが用いられているが、これに限定されずに複数のハロゲンヒータランプを用いてもよく、また、加熱源としては、誘導加熱方式の加熱源や抵抗発熱体などを用いることもできる。
【0157】
そして、定着ベルト34は、図5に示すように、金属あるいは樹脂よりなるベルト基材層341の表面に、熱伝導率が0.1〜5W/m・Kのゴム層342と、フッ素樹脂層343とがこの順に積層されてなる多層構造を有するものであることが好ましい。
ベルト基材層341は、加圧ローラ35に接する面と、ゴム層342と接する面を有し、例えば厚さが20〜100μmの炭素鋼、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属あるいは、ポリイミド樹脂などの耐熱性樹脂から選択される材料で構成される。
ベルト基材層341の材料としては、加熱ローラ33からの加熱源の伝達の観点および強度の観点から、ニッケルが好ましく使用される。
【0158】
ゴム層342は、0.1〜5W/m・Kのシリコンゴムにより構成されており、定着ニップ部における定着ベルト34の弾性を維持すると共に、熱の蓄熱および伝達の機能を有している。
ゴム層342が特定の熱伝導率を有するものであることにより、定着処理における温度制御が容易となり、かつ安定した熱供給が可能となる。従って、定着処理によって定着ベルトの下層域の温度が低温となり再加熱時に多量の熱が必要となることを抑制することができる。
【0159】
フッ素樹脂層343は、その厚さが10〜50μm、特に15〜40μmであることが好ましい。
フッ素樹脂層343を構成するフッ素樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)およびPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)などが挙げられる。
【0160】
本発明において、定着処理中における加圧ローラの表面温度の温度は特に限定されないが、120〜200℃であることが好ましい。
【0161】
以上のような画像形成方法は、トナー像を形成するトナーとして、樹脂と着色剤と離型剤とを含有してなり、トナー粒子中における離型剤の存在状態、トナーにおける粒径分布あるいはトナー粒子の形状が制御されてなる特定の構成を有するトナーを用いるため、加熱ローラと定着ローラとの間に張架された定着ベルトと、当該定着ベルトを介して定着ローラに圧接する加圧ローラとの間に、その表面にトナー像が形成された画像形成支持体を通過させることによって当該トナー像を定着するベルト定着方式によって行われる定着処理中において定着ベルトを介してトナーに与えられる熱量が小さくとも、離型剤自体が有する離型性が十分発揮されることにより、長期間にわたる連続使用中においてオフセット現象の発生が抑制され、これにより、得られる画像に画像汚れの発生が発生すること、および定着性が低下することを抑制することができる。
従って、ベルト定着方式により、安定して高い品質を有する画像を得ることができる。
実際上、この画像形成方法によれば、形成すべき画像に必要とされるトナー量が多く、また、異なる色の複種のトナーが用いられるフルカラー画像を形成する場合においても、各色のトナー間で定着性を均一にすることができることから高い品質を有するフルカラー画像を得ることができる。
【0162】
また、定着装置を構成する定着ベルトとして、特定の熱伝導性のゴム層342を有するものを用いることにより、定着ベルトの温度制御を容易に行うことができると共に、トナーに対して安定してエネルギーを供給することができるため、一層安定して高い品質を有する画像を得ることができる。
【0163】
図6は、本発明において使用する画像形成装置の構成の他の例を示す説明用概略図である。
この画像形成装置は、記録部材に画像を形成する画像形成装置本体60と、この画像形成装置本体60の上部に設けられた原稿の画像を読み取るための画像読取部631とにより構成されている。
【0164】
画像形成装置本体60には、図6において時計周り方向(矢印方向)に回転する像担持体(静電潜像担持体)601が備えられており、この像担持体601の外周面領域において、当該像担持体601の表面を所定の電位に均一に帯電するための帯電手段61と、一様に帯電した像担持体601に対して形成すべき画像情報に基づいて、レーザービームによって走査露光を行うことにより当該像担持体601の表面に静電荷像を形成する露光手段を構成するレーザー装置63と、像担持体601の表面に形成された静電荷像を現像してトナー像を形成する、当該像担持体601の回転方向に沿って設けられた現像装置65C、65M、65Y、65Kと、現像装置65C、65M、65Y、65Kの各々により形成されたトナー像を記録部材に転写する転写領域T3を形成する転写ドラム66とが、像担持体601の回転方向に沿ってこの順番で配設されている。
【0165】
ここで、上記現像装置65C、65M、65Y、65Kの各々は、二成分現像方式のものとされ、また、そのそれぞれの下部には、その内部におけるトナーの濃度を一定に保つために、トナー濃度を検出するためのATDC(Auto Toner Density Control)センサ(図示せず)が設けられている。以上において、62は、像担持体601上に残留した残留トナーを除去するためのクリーニング手段、64は、像担持体601上に残留した電荷を消去するためのメインイレーサ、662は、像担持体601および転写フィルム661を回転駆動させる駆動源である。
【0166】
転写ドラム66の外周面上には、図6において反時計周り方向(矢印方向)に回転駆動される無端状の転写フィルム661が配設されており、この転写フィルム661を挟んで対向し、当該転写フィルム661の外表面に記録部材を静電的に吸着保持させる作用を有する静電吸着手段71および吸着ローラ67と、転写フィルム661を挟んで像担持体601と対向する転写手段70と、転写フィルム661の表面から記録部材を分離させるための一対の分離手段76と、転写フィルム661の外表面に付着したトナー等を除去するためのファーブラシ74を備えたクリーニング手段75と、転写フィルム661に残留した残留電荷を除去するための除電手段73とが、当該転写フィルム661の回転方向に沿ってこの順番に配設されている。
ここで、72は、転写フィルム661をその内方から押圧するよう設けられた吸着バックアップ手段である。
【0167】
記録部材の搬送方向において、前記分離手段76より下流の位置においては、加熱ローラおよび定着ローラとの間に張り渡されて走行する定着ベルトと、当該定着ベルトを介して定着ローラと圧接する加圧ローラとを備えてなるオイルレス定着方式の定着装置77が設けられている。
【0168】
図6において、632は、原稿が載置される原稿台、633は、読み取られた画像情報を処理するための画像信号処理部、721、722、723は、記録部材である記録紙を収容するための給紙トレイ、821、822、823は、給紙トレイ721、722、723の各々から記録部材を供給する給紙ローラ、82は記録部材の搬送路、68は、像担持体601において形成されるトナー像と同期して記録部材を供給するための一対のタイミングローラ、78は、定着装置77からの記録部材を排出トレイ791に搬送する搬送ローラ、79は、定着装置77から排出された記録部材を記録部材反転ユニット80または排出トレイ791に導くための爪、801は、一面に画像が形成された記録部材を反転させるための反転搬送路である。
【0169】
以上のような画像形成装置においては、次のようにしてトナー像形成動作が実行される。すなわち、図6においては、時計周り方向像担持体601の表面が、帯電手段61により所定の極性に帯電され、この状態において像担持体601の表面にレーザー装置63により選択的に光が照射されることにより、照射箇所(露光領域)の電位が低下して原稿画像における各色に対応した静電潜像が形成される。
【0170】
例えばシアン色に対応した静電潜像が像担持体601上に形成され、形成された静電潜像が現像装置65Cにより現像されて、シアン色のトナー像が形成され、このシアン色のトナー像は、転写領域T3において、転写フィルム661の外周面に吸着保持されている記録部材の一面(像担持体601に対向した面)に転写される。
【0171】
このシアン色のトナー像が形成された記録部材は、転写フィルム661に保持された状態が維持されて、再度、転写領域T3へ供給される。一方、像担持体601においてはマゼンタ色に対応した静電潜像が形成されると共に、現像装置65Mにより現像されてマゼンタ色のトナー像が形成されており、当該トナー像が、記録部材のシアン色のトナー像に重ねて転写される。
このようなプロセスが複数回(図6に示す例においては4回)繰り返されることによりカラートナー像が記録部材上に形成される。
【0172】
カラートナー像が形成された記録部材は、分離手段76により転写フィルム661から分離されて定着装置77へ搬送され、当該定着装置77においてカラートナー像が加熱定着されて排出トレイ791へ排出される。
ここで、当該記録部材の他面側にも画像を形成する必要がある場合には、爪79の作用により記録部材が反転搬送路801へ導入され、これにより、当該記録部材の他面が像担持体601と対向する態様で、再度、転写領域T3へ搬送されて、適宜の画像の形成が実行される。
【0173】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0174】
〔樹脂粒子の調製例1〕
攪拌装置を取り付けたフラスコにて、上記式(W19)で表される化合物(以下、「例示化合物(W19)」という。)72.0gを、スチレン115.1g、n−ブチルアクリレート42.0gおよびメタクリル酸10.9gからなる単量体混合液に添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
一方、撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、アニオン系界面活性剤(ドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08gをイオン交換水2760gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下に230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
【0175】
次いで、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)により、前記界面活性剤溶液(80℃)中に、前記単量体溶液(80℃)を混合分散させ、均一な分散粒子径を有する乳化粒子(油滴)が分散された乳化液を調製した。
次いで、この分散液に、重合開始剤(過硫酸カリウム:KPS)0.84gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱・攪拌することにより重合反応を行った。得られた反応溶液に、重合開始剤(KPS)7.73gをイオン交換水240mlに溶解させた溶液を添加し、15分後、温度を80℃とした後、スチレン383.6g、n−ブチルアクリレート140.0g、メタクリル酸36.4gおよびn−オクチルメルカプタン12gからなる混合液を126分間かけて滴下し、この系を80℃で60分間にわたり加熱・撹拌させた後、この系を40℃まで冷却することにより、例示化合物(W19)を含有する樹脂粒子の分散液(以下、「ラテックス(1)」ともいう。)を調製した。
【0176】
〔着色剤分散液の調製例1〕
n−ドデシル硫酸ナトリウム9.2gをイオン交換水160mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、着色剤としてカーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)20gを徐々に添加し、次いで、機械式分散機「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(1)」という。)を調製した。
得られた着色剤分散液(1)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で112nmであった。
【0177】
〔着色剤分散液の調製例2〕
着色剤分散液の調製例1において、カーボンブラック20gに代えて顔料「C.I.ピグメントイエロー185」20gを用いたこと以外は着色剤分散液の調製例1と同様にして着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(2)」という。)を調製した。
得られた着色剤分散液(2)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で112nmであった。
【0178】
〔着色剤分散液の調製例3〕
着色剤分散液の調製例1において、カーボンブラック20gに代えてキナクリドン系マゼンタ顔料「C.I.ピグメントレッド122」20gを用いたこと以外は着色剤分散液の調製例1と同様にして着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(3)」という。)を調製した。
得られた着色剤分散液(3)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で112nmであった。
【0179】
〔着色剤分散液の調製例4〕
着色剤分散液の調製例1において、カーボンブラック20gに代えてフタロシアニン系シアン顔料「C.I.ピグメントブルー15:3」20gを用いたこと以外は着色剤分散液の調製例1と同様にして着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(4)」という。)を調製した。
得られた着色剤分散液(4)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で112nmであった。
【0180】
〔トナーの製造例K1〕
温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置(撹拌翼を2枚有し、交差角が20°)、形状モニタリング装置を取り付けた5リットルの反応容器(四つ口フラスコ)に、ラテックス(1)1250g(固形分換算)と、イオン交換水2000mlと、着色剤分散液(1)全量とを仕込み、内温を30℃に調整した後、この分散液混合溶液に5mol/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10.0に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物52.6gをイオン交換水72mlに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6分間かけて90℃まで昇温(昇温速度10℃/分)した。
【0181】
その状態で「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、個数平均粒径が5.3μmになった時点で、塩化ナトリウム115gをイオン交換水700mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、液温度90℃にて8時間にわたり加熱撹拌(撹拌回転数:120rpm)することにより、融着を継続させて熟成処理を行った後、この系を6℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。
生成した粒子を濾過し、イオン交換水で繰り返し洗浄して遠心分離装置によって液中分級処理し、その後、フラッシュジェットドライヤーを用いて乾燥して含水率が1.0%の着色粒子よりなるトナー(以下、「トナー(K1)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(K1)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。
【0182】
〔トナーの製造例K2〜K4〕
トナーの製造例K1において、各々、個数平均粒径が表2に示す大きさとなった時点で粒子成長を停止させ、熟成処理における撹拌回転数、液温度および加熱撹拌時間を表1に示す条件としたこと以外はトナーの製造例K1と同様にして着色粒子よりなるトナー(以下、「トナー(K2)〜(K4)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(K2)〜(K4)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。
【0183】
〔トナーの製造例Y1〜Y4〕
トナーの製造例K1において、着色剤分散液(1)全量に代えて着色剤分散液(2)全量を用い、各々、個数平均粒径が表2に示す大きさとなった時点で粒子成長を停止させ、熟成処理における撹拌回転数、液温度および加熱撹拌時間を表1に示す条件としたこと以外はトナーの製造例K1と同様にして着色粒子よりなるトナー(以下、「トナー(Y1)〜(Y4)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(Y1)〜(Y4)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。
【0184】
〔トナーの製造例M1〜M4〕
トナーの製造例K1において、着色剤分散液(1)全量に代えて着色剤分散液(3)全量を用い、各々、個数平均粒径が表2に示す大きさとなった時点で粒子成長を停止させ、熟成処理における撹拌回転数、液温度および加熱撹拌時間を表1に示す条件としたこと以外はトナーの製造例K1と同様にして着色粒子よりなるトナー(以下、「トナー(M1)〜(M4)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(M1)〜(M4)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。
【0185】
〔トナーの製造例C1〜C4〕
トナーの製造例K1において、着色剤分散液(1)全量に代えて着色剤分散液(4)全量を用い、各々、個数平均粒径が表2に示す大きさとなった時点で粒子成長を停止させ、熟成処理における撹拌回転数、液温度および加熱撹拌時間を表1に示す条件としたこと以外はトナーの製造例K1と同様にして着色粒子よりなるトナー(以下、「トナー(C1)〜(C4)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(C1)〜(C4)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。
【0186】
【表1】
【0187】
〔トナーの製造例K5:比較用トナーの製造例〕
スチレン−n−ブチルアクリレート共重合体樹脂100kgと、カーボンブラック「リーガル330R」(キャボット社製)10kgと、ポリプロピレン4kgとからなるトナー原料をヘンシェルミキサーによって予備混合した後に二軸押出機にて溶融混練し、得られた溶融混練をハンマーミルにて粗粉砕した後にジェット式粉砕機にて粉砕することによって得られた粉体を風力分級機を用いて目的の粒径分布となるまで繰り返し分級処理することにより、表2に示す個数平均粒径を有する着色粒子を得た。
得られた着色粒子100質量部に、シリカ微粒子1質量部を添加し、ヘンシェルミキサーを用いて混合することにより、粉砕法によるトナー(以下、「トナー(K5)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(K5)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。なお、着色粒子にシリカ微粒子を添加処理したトナー(K5)の個数平均粒径を測定したところ、当該着色粒子の値と同一であった。
【0188】
〔トナーの製造例Y5:比較用トナーの製造例〕
トナーの製造例K5において、カーボンブラック10kgに代えて顔料「C.I.ピグメントイエロー185」10kgを用いたこと以外はトナーの製造例K5と同様にして表2に示す個数平均粒径を有する着色粒子を得、この着色粒子を用いたこと以外はトナーの製造例K5と同様にして粉砕法によるトナー(以下、「トナー(Y5)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(Y5)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。なお、着色粒子にシリカ微粒子を添加処理したトナー(Y5)の個数平均粒径を測定したところ、当該着色粒子の値と同一であった。
【0189】
〔トナーの製造例M5:比較用トナーの製造例〕
トナーの製造例K5において、カーボンブラック10kgに代えてキナクリドン系マゼンタ顔料「C.I.ピグメントレッド122」10kgを用いたこと以外はトナーの製造例K5と同様にして表2に示す個数平均粒径を有する着色粒子を得、この着色粒子を用いたこと以外はトナーの製造例K5と同様にして粉砕法によるトナー(以下、「トナー(M5)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(M5)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。なお、着色粒子にシリカ微粒子を添加処理したトナー(M5)の個数平均粒径を測定したところ、当該着色粒子の値と同一であった。
【0190】
〔トナーの製造例C5:比較用トナーの製造例〕
トナーの製造例K5において、カーボンブラック10kgに代えてフタロシアニン系シアン顔料「C.I.ピグメントブルー15:3」10kgを用いたこと以外はトナーの製造例K5と同様にして表2に示す個数平均粒径を有する着色粒子を得、この着色粒子を用いたこと以外はトナーの製造例K5と同様にして粉砕法によるトナー(以下、「トナー(C5)」ともいう。)を得た。
得られたトナー(C5)の特性を確認した。結果を表2および表3に示す。なお、着色粒子にシリカ微粒子を添加処理したトナー(C5)の個数平均粒径を測定したところ、当該着色粒子の値と同一であった。
【0191】
【表2】
【0192】
表2において、「特定形状係数のトナー粒子の割合」とは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合を示す。
【0193】
【表3】
【0194】
表2において、「特定最近接壁間距離のトナー粒子の割合」とは、最近接壁間距離が1300nm以上である島状の相の割合を示す。
【0195】
〔現像剤の製造例〕
トナー(K1)〜(C5)の各々と、体積平均粒径が40μmのリチウムフェライトに対して機械的衝撃力によってスチレンアクリル樹脂を2質量%乾式コーティングしたキャリアとを混合することにより、トナー濃度が8質量%である表4に示す現像剤(K1)〜(C5)を調製した。
【0196】
【表4】
【0197】
〔実写テスト1〕
表5に示す4色の現像剤を用い、図3の構成を有し、厚さ35μmのニッケル電鋳ベルトよりなる基材の表面に、熱伝導率0.05W/m・Kのシリコンゴムよりなるゴム層と、厚さ30μmのPFA製のチューブよりなるフッ素樹脂層とがこの順に積層されてなる定着ベルトを備えてなる図4の構成を有する現像装置が設けられ、下記の仕様を有する画像形成装置を用い、温度10℃、相対湿度15%RHの環境下において、画素率が30%、紙の反射濃度を「0」としたときの相対反射濃度が1.3のフルカラー画像を連続して3万枚形成し、形成された3万枚目の画像について、下記の手法により定着率を測定した。
更に、3万枚の画像形成処理を行った画像形成装置を24時間休止させた後、温度10℃、相対湿度15%RHの環境下において、画素率が30%のフルカラー画像を連続して10枚形成し、形成された10枚の画像について目視して画像汚れの有無を確認した。結果を表5に示す。
【0198】
ここに、表5における画像汚れの有無の評価は、画像汚れがない場合を「A」、画像汚れが僅かに認められるが実用上問題のない場合を「B」、画像汚れがあり実用上問題がある場合を「C」と評価した。
【0199】
(画像形成装置の仕様)
定着ローラ:外径30mmで低硬度のシリコンゴム層が被覆を有するもの
加圧ローラ:外径35mmで芯金表面にシリコンゴムとPFA製チューブよりなる被覆層が形成されてなるもの
加熱ローラ:外径30mmのアルミニウム製のシリンダーであって、加熱源として1本のハロゲンヒーターを備えたもの。
ニップ幅:9mm
加圧ローラの表面の設定温度:175℃
【0200】
(定着性の測定)
形成された画像をサラシ布を巻いた1kgの重りで擦った後の画像の画像濃度(相対反射濃度)を測定し、この測定値に基づいて下記式によって擦り定着率を測定した。
なお、この定着性の測定における下記の式中の「擦り前の画像濃度」は1.3である。
【0201】
【数4】
【0202】
〔実写テスト2〜5および9〕
実写テスト1において、表5に示す4色の現像剤を用い、熱伝導率0.2W/m・Kのシリコンゴムよりなるゴム層を有する定着ベルトを備えてなる現像装置を用いたこと以外は実写テスト1と同様にして定着率の測定および画像欠陥の有無を確認した。結果を表5に示す。
【0203】
〔実写テスト6〕
実写テスト1において、表5に示す4色の現像剤を用い、熱伝導率0.5W/m・Kのシリコンゴムよりなるゴム層を有する定着ベルトを備えてなる現像装置を用いたこと以外は実写テスト1と同様にして定着率の測定および画像欠陥の有無を確認した。結果を表5に示す。
【0204】
〔実写テスト7〕
実写テスト1において、表5に示す4色の現像剤を用い、熱伝導率3.0W/m・Kのシリコンゴムよりなるゴム層を有する定着ベルトを備えてなる現像装置を用いたこと以外は実写テスト1と同様にして定着率の測定および画像欠陥の有無を確認した。結果を表5に示す。
【0205】
〔実写テスト8〕
実写テスト1において、表5に示す4色の現像剤を用い、熱伝導率10.0W/m・Kのシリコンゴムよりなるゴム層を有する定着ベルトを備えてなる現像装置を用いたこと以外は実写テスト1と同様にして定着率の測定および画像欠陥の有無を確認した。結果を表5に示す。
【0206】
【表5】
【0207】
以上の結果から、実写テスト1〜8においては、用いた現像剤を構成するトナーが特定構成をすべて満たす構成を有するものであることから、ベルト定着方式により、安定して高い品質を有する画像を得ることができることが確認された。また、実写テスト2〜7においては、用いた現像装置を構成する定着ベルトが特定のシリコンゴムよりなるゴム層を有するものであることから、一層安定して高い品質を有する画像を得ることができることが確認された。
一方、実写テスト9においては、用いた現像剤を構成するトナーが特定構成を満たす構成を有するものでないため、定着率が小さく、画像汚れが発生している。
【0208】
【発明の効果】
本発明の画像形成方法においては、トナー像を形成するトナーとして、樹脂と着色剤と離型剤とを含有してなる特定の構成を有するトナーを用いるため、加熱ローラと定着ローラとの間に張架された定着ベルトと、当該定着ベルトを介して定着ローラに圧接する加圧ローラとの間に、その表面にトナー像が形成された画像形成支持体を通過させることによって当該トナー像を定着するベルト定着方式によって行われる定着処理中において定着ベルトを介してトナーに与えられる熱量が小さくとも、離型剤自体が有する離型性が十分発揮されることにより長期間にわたる連続使用中においてオフセット現象の発生が抑制され、これにより、得られる画像に画像汚れの発生が発生すること、および定着性が低下することを抑制することができる。
従って、本発明の画像形成方法によれば、ベルト定着方式により、安定して高い品質を有する画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナー粒子の構成を断面において示す模式図である。
【図2】(a)は、角のないトナー粒子の投影像を示す説明図であり、(b)および(c)は、それぞれ角のあるトナー粒子の投影像を示す説明図である。
【図3】本発明において使用する画像形成装置の構成の一例を示す説明用概略図である。
【図4】図3の画像形成装置における定着装置の構成を示す説明図である。
【図5】図4の定着装置における定着ベルトの断面形状を示す説明図である。
【図6】 本発明において使用する画像形成装置の構成の他の例を示す説明用概略図である。
【符号の説明】
1 トナー粒子
2 連続相
3 島
10 中間転写ベルト
11 一次転写ローラ
12 駆動ローラ
13 テンションローラ
15 従動ローラ
20Y、20M、20C、20K トナー像形成ユニット
21 静電潜像担持体
22 帯電手段
23 露光手段
24 現像装置
241 現像スリーブ
29 像担持体クリーニング装置
291 像担持体クリーニングブレード
292 回収ローラ
30 定着装置
31 定着ローラ
32 ハロゲンヒータランプ
33 加熱ローラ
34 定着ベルト
341 ベルト基材層
342 ゴム層
343 フッ素樹脂層
35 加圧ベルト
36 分離上ガイド
37 分離下ガイド
38 定着前ガイド
41 二次転写ローラ
42 バイアス電圧印加手段
43 タイミングローラ
44 搬送路
45 中間転写体クリーニング装置
46 中間転写体クリーニングブレード
47 給紙カセット
48 給紙ローラ
60 画像形成装置本体
601 静電潜像担持体
61 帯電手段
62 クリーニング手段
63 レーザー装置
631 画像読取部
632 原稿台
633 画像信号処理部
64 メインイレーサ
65C、65M、65Y、65K 現像装置
66 転写ドラム
661 転写フィルム
662 駆動源
67 吸着ローラ
68 タイミングローラ
69 支持ローラ
70 転写手段
71 静電吸着手段
72 吸着バックアップ手段
721、722、723 給紙トレイ
73 除電手段
74 ファーブラシ
75 クリーニング手段
76 分離手段
77 定着装置
78 搬送ローラ
79 爪
791 排出トレイ
80 記録部材反転ユニット
801 反転搬送路
82 搬送路
821、822、823 給紙ローラ
T3 転写領域
Claims (4)
- 少なくとも加熱ローラと定着ローラとの間に張架された定着ベルトと、当該定着ベルトを介して定着ローラに圧接する加圧ローラとの間に、その表面にトナー像が形成された画像形成支持体を通過させることによって当該トナー像を定着する工程を含む画像形成方法において、
前記定着ベルトが、金属あるいは樹脂よりなるベルト基材の表面に、熱伝導率が0.1〜5W/m・Kのゴム層およびフッ素樹脂層が設けられてなり、
前記トナー像を構成するトナーが、重合性単量体中に離型剤を溶解させ、この離型剤を含有した重合性単量体を重合せしめる工程を経て形成した複合樹脂微粒子と着色剤粒子とを塩析/融着させることによって得られた、少なくとも樹脂と着色剤と離型剤とを含有する、個数平均粒径が4.5〜8.5μmのトナー粒子であって、樹脂に由来する樹脂成分よりなる連続相中に、離型剤に由来する離型剤成分よりなる少なくとも2個以上の孤立した島状の相が存在する海島構造を有し、当該離型剤成分よりなる島状の相間の最近接壁間距離の平均値が100〜1060nmであり、最近接壁間距離が1300nm以上である島状の相の割合が10個数%以下であるトナー粒子からなることを特徴とする画像形成方法。 - 前記トナーは、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記トナーは、角がないトナー粒子の割合が50個数%以上であり、個数粒度分布における個数変動係数が27%以下であるトナー粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記トナーは、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子の割合が65個数%以上であり、形状係数の変動係数が16%以下であるトナー粒子からなることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
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