JP5518377B2 - 樹脂組成物、該樹脂組成物を用いたフィルム及び多層フィルム、及び該多層フィルムを用いた医療用包装袋とその製造方法 - Google Patents
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Description
ところで、医療用の容器では内容液の確認が確実に可能であることが求められている。
そこで、ポリプロピレン系重合体とスチレン系熱可塑性エラストマーとの重合体組成物からなり、450nmの波長の水中透過率が80%を超える医療用包装袋が提案されている(特許文献1参照。)。
また、環状オレフィン系樹脂層とプロピレン組成物層とからなる、透明性に優れたフィルムが知られ(特許文献2参照。)、このフィルムを医療用包装袋として用いることができる。
医療現場では、医薬品の投与量や残量を確認する必要があるが、このように液界面の確認が困難な容器においては、その確認作業に注意を払う必要があり、多忙な医療現場においては、不便を感じることが多かった。
本発明の樹脂組成物は、前記非晶性シクロオレフィンコポリマー及び前記非晶性シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度が150℃以下であることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、非晶性シクロオレフィンコポリマーは、ガラス転移温度が70〜85℃である非晶性シクロオレフィンコポリマーを50質量%以上、ガラス転移温度が100〜150℃である非晶性シクロオレフィンコポリマーを50質量%未満含有することが好ましい。
本発明の多層フィルムは、表面層と、内面層と、該表面層および内面層の間に設けられた接着柔軟層とを有する多層フィルムであって、前記内面層が請求項1又は2に記載の樹脂組成物を含有する層であり、前記接着柔軟層がエラストマーまたは酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有する層であることを特徴とする。
本発明の医療用包装袋は、前記多層フィルムから作製され、前記内面層が最内となるように配置されたものであることを特徴とする。
前記内面層を、シクロオレフィン系樹脂混合物100質量部と、低密度ポリエチレン7〜30質量部とを含有し、前記シクロオレフィン系樹脂混合物が、ノルボルネン系モノマーとエチレンモノマーの共重合体である非晶性シクロオレフィンコポリマー65〜92質量%と、ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素化した変性体である非晶性シクロオレフィンホモポリマー8〜35質量%とからなる樹脂組成物を含有する層とし、
前記接着柔軟層を、エラストマーまたは酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有する層とすることを特徴とする。
本発明の医療用包装袋によれば、液界面を目視により容易に確認でき、かつ内容液を目視により確認できる。
本発明の医療用包装袋の製造方法によれば、上記医療用包装袋を容易に製造できる。
[樹脂組成物]
本発明の多層フィルム及び医療用包装袋に用いる樹脂組成物は、非晶性シクロオレフィンコポリマー及び非晶性シクロオレフィンポリマーからなるシクロオレフィン系樹脂混合物と、低密度ポリエチレンとを含有することを特徴とする。
ノルボルネン系モノマーとは、分子骨格中にノルボルネン骨格を有するものであり、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
非晶性シクロオレフィンコポリマーを用いることにより、透明性、薬剤吸着抑制性、水蒸気バリアー性、臭いバリアー性等を付与することができる。
非晶性シクロオレフィンコポリマーのガラス転移温度が150℃を超えた場合、加工温度が高すぎるため低密度ポリエチレンとの相溶性が悪くなり、フィッシュアイが発生し易い傾向にある。また、非晶性シクロオレフィンコポリマーのガラス転移温度が65℃未満の場合、非晶性シクロオレフィンポリマーや低密度ポリエチレンとの流動性の差が大きく、これらとの混合物が均一化せずムラのある状態になり易い。
なお、ガラス転移温度とはISO11357−1,2,3にて測定される値を示す。
ガラス転移温度が65〜85℃の範囲である非晶性シクロオレフィンコポリマーを50質量%以上含有していると、非晶性シクロオレフィンポリマーや低密度ポリエチレンと均一化しやすく、且つ低密度ポリエチレンとの相溶性も優れるため、優れたフィルムを得やすい傾向にある。
非晶性シクロオレフィンコポリマーの市販品としては、ポリプラスチック社製の「TOPAS(登録商標)」、三井化学(株)製の「アペル(登録商標)」等が挙げられる。
ノルボルネン系モノマーとしては、非晶性シクロオレフィンコポリマーを構成するノルボルネン系モノマーと同様のものが挙げられる。
非晶性シクロオレフィンポリマーを用いることにより、透明性、薬剤吸着抑制性、水蒸気バリアー性、臭いバリアー性を付与することができる。
非晶性シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度が150℃を超えた場合、加工性が悪く、未溶融ゲルの発生が見られる。非晶性シクロオレフィンポリマーのガラス転移温度が90℃未満の場合、非晶性シクロオレフィンコポリマーや低密度ポリエチレンとの流動性の差が大きく、これらとの混合物が均一化せずムラのある状態になり易い。
このような、非晶性シクロオレフィンポリマーの市販品としては、日本ゼオン(株)製の「ゼオノア(登録商標)」、「ゼオネックス(登録商標)」などが挙げられる。
一方、非晶性シクロオレフィンポリマーの含有量は8〜35質量%であり、10〜25質量%であると好ましく、10〜15質量%であるとより好ましい。
このように非晶性シクロオレフィンコポリマーの含有量が65〜92質量%の範囲内であるとき(非晶性シクロオレフィンポリマーの含有量が8〜35質量%の範囲内であるとき)、本発明の樹脂組成物からなるフィルムの表面には微細な凹凸が成形される。この微細な凹凸が成形されたフィルムを薬剤容器包装袋に用いると、薬剤容器包装体の内容液の確認性および液界面の確認性を向上させることができる。
しかし、非晶性シクロオレフィンコポリマーの含有量が65質量%未満であると(非晶性シクロオレフィンポリマーの含有量が35質量%を超える)、本発明の樹脂組成物からなるフィルムの表面の凹凸が大きくなり、ムラが発生しやすい。更に、このようなフィルムを用いた薬剤容器包装袋は、内容液の確認が困難なものとなる。
また、非晶性シクロオレフィンコポリマーの含有量が92質量%を超えると(非晶性シクロオレフィンポリマーの含有量が8質量%未満)、本発明の樹脂組成物からなるフィルムの表面に微細な凹凸を成形しにくい。更に、このようなフィルムを用いた薬剤容器包装袋は、液界面の確認が困難なものとなる。
本発明で用いる低密度ポリエチレンとは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)のことを示す。中でも、メタロセン系触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレンを用いることが好ましい。メタロセン触媒を用いて得られた直鎖状低密度ポリエチレンを用いると、他の樹脂組成物との接着性、成形性、柔軟性、流動性等を付与することができる傾向にある。
具体的には、日本ポリエチレン(株)のハーモレックス、カーネル、ノバテックや、東ソー(株)のペトロセン、ニポロン、住友化学(株)のエクセレン、スミカセン(いずれも登録商標)等が挙げられ、中でも、メタロセン触媒系のカーネルを用いると好ましい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
低密度ポリエチレンの融点が130℃以下であれば、製膜性が良好で、フィッシュアイやピンホール等が発生し難い傾向にある。一方、融点が80℃未満の場合、製膜性が低下し、フィッシュアイやピンホールが発生しやすくなる傾向にある。
低密度ポリエチレンの含有量が7質量部未満であると、樹脂組成物の成形性が低下し、フィルムの成形を行う際に、異物、フィッシュアイ及びピンホールなどが多発する傾向にある。このようなフィルムを用いた薬剤容器包装袋は、内容液の確認が困難になる。一方、低密度ポリエチレンの含有量が30質量部を越えると、フィルムの成形を行う際に、フィルムに微細な凹凸を成形しにくい。このようなフィルムを用いた薬剤容器包装袋は、液界面の確認が困難になる。
具体的には、イージーピール性を付与するためにポリプロピレン系樹脂を用いることが可能である。更に、オレフィン系熱可塑性エラストマーやスチレン系熱可塑性エラストマー等を用いることもできる。
本発明のフィルムは、本発明の樹脂組成物を用いて得たフィルムである。該フィルムは、インフレーション法、Tダイ法等の公知の方法で成形することができる。
なかでも、押出機にて溶融させた樹脂組成物を筒状に吐出させ、吐出させた筒状の樹脂組成物を鉛直方向に移動させながら空気圧で膨らませて筒状フィルムにし、その筒状フィルムを水冷しながらロールではさんで扁平化するインフレーション法によってフィルムを成形することが好ましい。
本発明の樹脂組成物はインフレーション法で成形するだけで、表面に微細な凹凸を成形し、すりガラスのような外観を有するフィルムとなる。特に下向水冷方式のインフレーション装置を使用すると、微細な凹凸を成形する際に冷却ロールに接することがなく、微細な凹凸が成形しやすい傾向にあり好ましい。
また、Tダイ法を用いる場合、通常は微細な凹凸を付けるため別途加工する必要があるが、本発明の樹脂組成物を用いた場合、加工をせずに表面に微細な凹凸成形することができる。
フィルムの厚みが15μm以上であれば、フィルムの強度を保持することができ、ヒートシール時に層切れなどが起こり難い。更に30μm以上であれば、フィッシュアイ等の影響を受けにくくなる。
一方、フィルムの厚みが300μm以下であれば、フィルムの柔軟性を保持することができ、医療用包装袋等に用いた際の内容液の排出性が良好となる。
本発明の多層フィルムを図1に示す。本発明の多層フィルム10は、表面層13、内面層11、および、表面層13と内面層11との間に少なくとも接着柔軟層12を有しており、内面層11が本発明の樹脂組成物を用いた層であることを特徴とする。
表面層13の厚さは10〜100μmであると好ましく、20〜80μmであるとより好ましく、30〜50μmであると特に好ましい。
表面層13の厚さが10μm以上であれば、ヒートシール時のエッジ切れが減少する傾向にある。一方、表面層13の厚さが100μm以下であれば柔軟性に富む傾向にある。
エラストマーの中でも、シクロオレフィン系樹脂混合物を含有している内面層との接着性を有し、更に柔軟性を付与することができることから、スチレン系熱可塑性エラストマーや、オレフィン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
スチレン系熱可塑性エラストマー及びオレフィン系熱可塑性エラストマーとして具体的には、JSR(株)のダイナロン、クラレハイブラー、三菱化学(株)のゼラス(いずれも登録商標)等が挙げられ、中でも透明性の高いダイナロンを用いると好ましい。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
前記ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリプロピレン、プロピレン−αオレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸及びこれらの塩が挙げられる。また、不飽和カルボン酸として、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸なども用いることができる。
オレフィンと不飽和カルボン酸との共重合体としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
酸変性ポリオレフィン系樹脂の中でも、多層フィルムに耐熱性を付与するためには、酸変性ポリプロピレン系樹脂が好ましい。
接着柔軟層12の厚さが30μm以上であれば、層間接着性が充分になる傾向にある。一方、接着柔軟層12の厚さが500μm以下であれば、透明性を阻害しない。
内面層11の厚さは10〜100μmであると好ましく、20〜80μmであるとより好ましく、30〜50μmであると特に好ましい。
内面層11の厚さが10μm以上であれば、フィルムの強度を保持することができ、ヒートシール時に層切れなどが起こり難い。一方、内面層11の厚さが100μm以下であれば、透明性を維持できる傾向にある。
なかでも、押出機にて溶融させた樹脂組成物を筒状に吐出させ、下向方式の水冷インフレーション装置を用いて、吐出させた筒状の樹脂組成物を鉛直方向に移動させながら空気圧で膨らませて筒状フィルムにし、その筒状フィルムを水冷しながらロールではさんで扁平化するインフレーション法が好ましい。
本発明の樹脂組成物はインフレーション法で成形すると、内面層11のみが微細な凹凸を有するフィルムとなる。特に下向水冷方式のインフレーション装置を使用すると、微細な凹凸を成形する際に冷却ロールに接することがなく、微細な凹凸が成形しやすい傾向にあり好ましい。
また、Tダイ法を用いる場合、通常は微細な凹凸を付けるため別途加工する必要があるが、本発明の樹脂組成物を用いた場合、加工をせずに内面層11の表面に微細な凹凸成形することができる。
本発明の医療用包装袋は、上記多層フィルム10から作製され、内面層11が最内となるように配置されたものであることを特徴とする。
本発明の医療用包装袋の一例を図2に示す。本例の医療用包装袋20は、内面層が最内面に配置された筒状の多層フィルムの周縁部24がヒートシールにより接着され、かつ、口部材25がヒートシールにより取り付けられたものである。ここで、ヒートシールとは、熱による熱圧着のことである。
(A):ポリプロピレン(ゼラスMC715、三菱化学社製)
<接着柔軟層>
(B1):ポリプロピレン系熱可組成エラストマー(ゼラスMC719、三菱化学社製)
(B2):酸変性ポリプロピレン系樹脂(融点:155℃、MFR:3.5g/10min、密度0.89kg/m3、ゼラスMC721AP、三菱化学社製)
<内面層>
(C1):非晶性シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度:78℃、メルトボリュームフローレート(MVR):12mL/10min、密度:1.02kg/m3、TOPAS8007、ポリプラスチック社製)
(C2):非晶性シクロオレフィンコポリマー(ガラス転移温度:140℃、メルトボリュームフローレート(MVR):14mL/10min、密度:1.02kg/m3、TOPAS6013、ポリプラスチック社製)
(D):非晶性シクロオレフィンポリマー(ガラス転移温度:102℃、MVR:20mL/10min、密度:1.01kg/m3、ゼオノア1020R、日本ゼオン社製)
(E1):直鎖状低密度ポリエチレン(融点:108℃、メルトインデックス(MI):3.2g/10min、密度0.921kg/m3)
(E2):直鎖状低密度ポリエチレン(融点:121℃、メルトインデックス(MI):2.0g/10min、密度0.912kg/m3)
表面層として樹脂(A)を100質量部、接着柔軟層として樹脂(B1)を100質量部、内面層として、樹脂(C1)を85質量部、樹脂(D)を15質量部及び樹脂(E1)を20質量部混合した樹脂組成物を用い、押出機を用いて溶融させた。その後、押出機にて溶融させた樹脂組成物を筒状に吐出させ、下向方式の水冷インフレーション装置を用いて、吐出させた筒状の樹脂組成物を鉛直方向に移動させながら空気圧で膨らませて筒状フィルムを成形した。次いで、得られた筒状フィルムを水冷しながらロールではさんで扁平化して、表面層の厚さが50μm、接着柔軟層の厚さが150μm、内面層の厚さが30μmである多層フィルムを得た。
その後、充填口を除く部分を、温度190℃、圧力1.0kgf/cm2、3秒の条件でヒートシールし、更に充填口より蒸留水を100mL充填し、充填口を上記と同条件でヒートシールさせることで容積100mLの医療用包装袋を製袋した。得られた医療用包装袋について以下の各評価を行った。結果を表1に示す。
透過率計(日本分光社製、紫外可視近赤外分光光度計V−570)を用い、450nmの波長の空気中での透過率を求めた。
透過率計を用い、450nmの波長の水中での透過率を求めた。
得られた医薬用包装袋に充填された蒸留水を目視で観察し、以下の評価を行った。
○:多層フィルムに異常が無く、内部透過率が80%以上であり、蒸留水が確認可能である。
×:多層フィルムに異常がある、又は内部透過率が80%未満である、いずれかの理由により蒸留水が確認しづらい。
得られた医薬用包装袋に充填された蒸留水の液界面について以下の評価を行った。
◎:医薬用包装袋内面に微細な凹凸が多数成形されているため、外部透過率と内部透過率の差が25%以上であり、液界面を明瞭に確認できる。
○:医薬用包装袋内面に微細な凹凸が成形されているため、外部透過率と内部透過率の差が10%以上であり、液界面を確認できる。
×:医薬用包装袋内面に微細な凹凸が成形されず、外部透過率と内部透過率の差が10%未満であり、液界面を確認しづらい。
―:フィッシュアイ等が生じており、容器として不適。
表面層、接着柔軟層及び内面層に用いた樹脂の配合割合を表1に示すものとした他は、実施例1と同様にして、各層の厚さが、表面層50μm、接着柔軟層150μm、内面層30μmである多層フィルムを成形した。
更に、得られた多層フィルムを用いて、実施例1と同様にして、容積100mLの医療用包装袋を製袋し、実施例1と同様の各評価を行った。結果を表1に示す。
さらに、実施例7においては、製袋時のヒートシール温度を110〜190℃の範囲とすると、温度に応じた接着強度を付与できるため、イージーピール性を有する袋を製造でき、多室袋の隔壁用シールに適している。
対して、比較例1で得られた医療用包装袋においては、多層フィルムの内面層の非晶性シクロオレフィンコポリマー(樹脂(C1))の含有量が多い(非晶性シクロオレフィンポリマー(樹脂(D))の含有量が少ない)ため、微細な凹凸が成形されず、内部透過率と外部透過率に差がないものとなり、液界面の確認性に劣っていた。
比較例2で得られた医療用包装袋においては、多層フィルムの内面層の非晶性シクロオレフィンコポリマー(樹脂(C1))の含有量が少ない(非晶性シクロオレフィンポリマー(樹脂(D))の含有量が多い)ため、医療用包装袋内面にムラが生じ、内部透過率が得られず、内容液の確認性に劣っていた。
比較例3で得られた医療用包装袋においては、多層フィルムの内面層のポリエチレン(樹脂E1)の含有量が多いため、微細な凹凸が成形されず、内部透過率と外部透過率に差がないものとなり、液界面の確認性に劣っていた。
比較例4で得られた医療用包装袋においては、多層フィルムの内面層のポリエチレン(樹脂E1)の含有量が少ないため、フィッシュアイが多発し、内容液を確認することができなかった。
表面層として樹脂(A)を100質量部、接着柔軟層として樹脂(B1)を100質量部、内面層として、樹脂(C1)を85質量部、樹脂(D)を15質量部及び樹脂(E1)を20質量部混合した樹脂組成物を、多層押出機に取り付けたTダイから吐出させることより押出成形して、多層フィルムを得た。次いで、得られた多層フィルムを冷却しながら、鏡面キャストロールに、鏡面に内面層が接するように多層フィルムを巻き取った。なお、多層フィルムにおける各層の厚さは、表面層30μm、接着柔軟層140μm、内面層30μmとした。
その後、充填口を除く部分を、温度190℃、圧力1.0kgf/cm2、3秒の条件でヒートシールし、更に充填口より蒸留水を100mL充填し、充填口を上記と同条件でヒートシールさせることで容積100mLの医療用包装袋を製袋した。得られた医療用包装袋について、実施例1と同様の各評価を行った。結果を表2に示す。
表面層、接着柔軟層及び内面層に用いた樹脂の配合割合を表2に示すものとした他は、実施例8と同様にして、各層の厚さが、表面層30μm、接着柔軟層140μm、内面層30μmである多層フィルムを成形した。
更に、得られた多層フィルムを用いて、実施例8と同様にして、容積100mLの医療用包装袋を製袋し、実施例8と同様の各評価を行った。結果を表2に示す。
さらに、実施例14においては、製袋時のヒートシール温度を110〜190℃の範囲とすると、温度に応じた接着強度を付与できるため、イージーピール性を有する袋を製造でき、多室袋の隔壁用シールに適している。
対して、比較例5で得られた医療用包装袋においては、多層フィルムの内面層の非晶性シクロオレフィンコポリマー(樹脂(C1))の含有量が多い(非晶性シクロオレフィンポリマー(樹脂(D))の含有量が少ない)ため、微細な凹凸が成形されず、内部透過率と外部透過率に差がないものとなり、液界面の確認性に劣っていた。
比較例6で得られた医療用包装袋においては、多層フィルムの内面層の非晶性シクロオレフィンコポリマー(樹脂(C1))の含有量が少ない(非晶性シクロオレフィンポリマー(樹脂(D))の含有量が多い)ため、医療用包装袋内面にムラが生じ、内部透過率が得られず、内容液の確認性に劣っていた。
比較例7で得られた医療用包装袋においては、多層フィルムの内面層のポリエチレン(樹脂E1)の含有量が多いため、微細な凹凸が成形されず、内部透過率と外部透過率に差がないものとなり、液界面の確認性に劣っていた。
比較例8で得られた医療用包装袋においては、多層フィルムの内面層のポリエチレン(樹脂E1)の含有量が少ないため、フィッシュアイが多発し、内容液を確認することができなかった。
20:医療用包装袋
Claims (7)
- ノルボルネン系モノマーとエチレンモノマーの共重合体である非晶性シクロオレフィンコポリマー65〜92質量%と、ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素化した変性体である非晶性シクロオレフィンホモポリマー8〜35質量%とからなるシクロオレフィン系樹脂混合物100質量部と、
低密度ポリエチレン7〜30質量部とを含有する樹脂組成物。 - 前記非晶性シクロオレフィンコポリマー及び前記非晶性シクロオレフィンホモポリマーのガラス転移温度が150℃以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 非晶性シクロオレフィンコポリマーは、ガラス転移温度が65〜85℃である非晶性シクロオレフィンコポリマーを50質量%以上、ガラス転移温度が100〜150℃である非晶性シクロオレフィンコポリマーを50質量%未満含有する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなるフィルム。
- 表面層と、内面層と、該表面層および内面層の間に設けられた接着柔軟層とを有する多層フィルムであって、
前記内面層が請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物を含有する層であり、前記接着柔軟層がエラストマーまたは酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有する層である多層フィルム。 - 請求項5に記載の多層フィルムから作製され、前記内面層が最内となるように配置された医療用包装袋。
- インフレーション法により、表面層と内面層と該表面層および内面層の間に設けられた接着柔軟層とを有する筒状の多層フィルムを成形し、該筒状の多層フィルムを扁平化し、袋状になるようにヒートシールして医療用包装袋を製造する方法であって、
前記内面層を、シクロオレフィン系樹脂混合物100質量部と、低密度ポリエチレン7〜30質量部とを含有し、前記シクロオレフィン系樹脂混合物が、ノルボルネン系モノマーとエチレンモノマーの共重合体である非晶性シクロオレフィンコポリマー65〜92質量%と、ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素化した変性体である非晶性シクロオレフィンホモポリマー8〜35質量%とからなる樹脂組成物を含有する層とし、
前記接着柔軟層を、エラストマーまたは酸変性ポリオレフィン系樹脂を含有する層とする医療用包装袋の製造方法。
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