JP5514653B2 - 新幹線車両用ブレーキシステム - Google Patents

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Description

本発明は、新幹線車両用ブレーキシステムに関する。特に地震発生時に早期に新幹線車両を停止させるものに関する。
従来、車軸又は車輪に対応して設けられたアクチュエータ(ブレーキシリンダ)に圧力流体を供給する常用・非常用ブレーキ制御装置を備えたブレーキシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特に、新幹線車両用のブレーキシステムにおいては、ブレーキシリンダとして、空気圧を油圧に変換して、当該油圧によりブレーキ力を作用させる増圧シリンダが用いられている(例えば、特許文献2参照)。
特開平4−19259号公報 特開2000−118386号公報
上記特許文献1に開示されるブレーキ制御システムは、ブレーキ指令器から作動指令が送出されると、常用・非常用ブレーキ制御装置が応答し、圧力流体がアクチュエータ(ブレーキシリンダ)に供給され、ブレーキ作動状態となる。この際、常用・非常用ブレーキ制御装置は、上記作動指令に応じた数段階の常用ブレーキや車両重量に応じて調整される最も強いブレーキ力である非常ブレーキ力に対応した、常用ブレーキ圧力や非常ブレーキ圧力を発生させる。
ところが、上記特許文献1に示されるような従来のブレーキ制御装置は、非常ブレーキ圧力を発生させても、圧力流体として圧縮空気を用いる場合、空気は圧縮性流体であるため、ブレーキシリンダ内の圧力が所定の圧力まで高まって実際にブレーキが効き始めるまでにタイムラグが発生する。ブレーキ指令の入力時を基準として、実際にブレーキが効き始めるまでのタイムラグを空走時間といい、この空走時間の間に車両が走行する距離を空走距離というが、地震発生時においては、高速走行する新幹線車両を即座に停止させるため、空走時間を少しでも短縮することで、空走距離を短くする必要がある。
本発明の目的は、空走距離を短くすべく、空走時間を短縮することが可能な新幹線車両用ブレーキシステムを提供することである。
一の局面に係る新幹線車両用ブレーキシステムは、常用ブレーキ指令又は非常ブレーキ指令を受信して、当該受信した常用ブレーキ指令又は非常ブレーキ指令に応じた大きさの第1空気圧を発生させる第1圧力発生部と、第1圧力発生部とは別個に設けられ、空気源圧力を予め定められた大きさの第2空気圧に調整する圧力調整部、及び、非常ブレーキ指令に応じて圧力調整部で調整された第2空気圧を出力するか否かを選択する選択部、を有する第2圧力発生部と、第1空気圧と第2空気圧とが入力され、当該入力された第1空気圧と第2空気圧との高い方の圧力を選択的に流通させる複式逆止弁と、複式逆止弁により選択された空気圧を油圧に変換する増圧シリンダとを備え、第2圧力発生部から複式逆止弁までの配管長が、第1圧力発生部から複式逆止弁までの配管長よりも短い。
上記構成によれば、第2圧力発生部から複式逆止弁までの配管長が第1圧力発生部から複式逆止弁までの配管長よりも短く、且つ、第2圧力発生部が予め定められた大きさの空気圧を発生させる簡単な構成であるので、第2圧力発生部から即座にブレーキ力を供給することができる。このため、非常ブレーキ時において、ブレーキ力の立ち上がり初期では、第2圧力発生部からの第2空気圧が増圧シリンダに供給され、その後、第1圧力発生部からの第1空気圧が第2圧力発生部からの第2空気圧よりも高くなったときに、第1圧力発生部からの第1空気圧が増圧シリンダに供給されるように切り替わる。その結果、空走時間を短縮することができる。
上記した新幹線車両用ブレーキシステムにおいて、車輪の滑走を検知したときに第1空気圧を低下させる滑走防止部をさらに備え、複式逆止弁は、滑走防止部よりも増圧シリンダ側に配置されている。
上記構成によれば、第2圧力発生部と増圧シリンダとの間の配管長を短くすることができるので、空走時間をより短くすることができる。
上記した新幹線車両用ブレーキシステムにおいて、選択部は、非常ブレーキ指令に応じて圧力調整部で調整された第2空気圧を複式逆止弁に出力するか否かを選択する出力制御弁から構成される。
上記構成によれば、第2圧力発生部を圧力調整部と出力制御弁とで構成することができるので、部品構成を少なくすることができる。その結果、第2圧力発生部の小型化、ひいては、新幹線車両用ブレーキシステムの小型化を図ることができる。
上記した新幹線車両用ブレーキシステムにおいて、選択部は、パイロット圧力に基づいて空気源圧力を容量増幅して出力する中継弁と、非常ブレーキ指令に応じて圧力調整部で調整された第2空気圧をパイロット圧力として中継弁に供給するか否かを選択する電磁弁とから構成される。
上記構成によれば、中継弁を設けることにより、容量増幅された第2空気圧を出力することができる。その結果、増圧シリンダによるブレーキ力の立ち上がりがより早くなるので、空走時間をより短くすることができる。
上記した新幹線車両用ブレーキシステムにおいて、圧力調整部で調整される第2空気圧は、空車時における非常ブレーキ指令に応じた大きさの第1空気圧よりも低く設定されている。
上記構成によれば、空走時間を短縮しながら、過度に強いブレーキ力が発生するのを回避することができる。
本発明に係る新幹線車両用ブレーキシステムによれば、空走時間を短縮することができる。
本発明の第1実施形態に係る新幹線車両用ブレーキシステムのブロック図である。 ブレーキ指令とブレーキ制御装置から出力される第1空気圧P1との関係を示した図である。 第1空気圧P1及び第2空気圧P2の時間変化を示したグラフである。 図1に示した新幹線車両用ブレーキシステムの空走時間短縮装置のブロック図である。 本発明の第2実施形態に係る新幹線車両用ブレーキシステムの空走時間短縮装置のブロック図である。 本発明の第3実施形態に係る新幹線車両用ブレーキシステムの空走時間短縮装置のブロック図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る新幹線車両用ブレーキシステムについて図面を参照しながら説明する。
<新幹線車両用ブレーキシステムの全体構成>
新幹線車両用ブレーキシステム100は、図1に示すように、ブレーキパッド101をディスク102に押し付けることによってブレーキ力を発生させるものであって、上位システムから送信される常用ブレーキ指令NB及び非常ブレーキ指令EBを受信するブレーキ制御装置200と、非常ブレーキ指令EBのみを受信する空走時間短縮装置300と、車輪の滑走を防止するための滑走防止弁400と、ブレーキパッド101をディスク102に押し付ける増圧シリンダ500と、を備えている。
<ブレーキ制御装置>
ブレーキ制御装置200は、常用ブレーキ指令NB又は非常ブレーキ指令EBを受信して、受信した当該常用ブレーキ指令NB又は非常ブレーキ指令EBに応じた大きさの第1空気圧P1を発生させる。具体的には、ブレーキ制御装置200は、図示しない応荷重弁から出力される車両荷重に対応した応荷重圧力を、受信したブレーキ指令NB又はEB及び車両速度に基づいて、増圧シリンダ500に出力する第1空気圧P1の大きさを調整して、目標の減速度になるようにフィードバック制御を行う。上記した常用ブレーキ指令NBは、ブレーキ制御装置200から出力される空気圧の大きさに応じて複数段(例えば、8段階)に区分された複数の指令を含んでいる。また、非常ブレーキ指令EBは、ブレーキ制御装置200から車両重量に対応した最も大きい空気圧を出力させる指令である。
図2に示すように、ブレーキ制御装置200がブレーキ指令NB又はEBを受信してから、増圧シリンダ500を介して車輪にブレーキが効き始めるまでには、空気の圧縮性により生じるタイムラグがある。以下、このタイムラグは空走時間と呼ばれる。この空走時間は、ブレーキ制御装置200がブレーキ指令NB又はEBを受信してから増圧シリンダ500内の圧力が立ち上がり始めるまでの時間(以下、無駄時間とする)と、増圧シリンダ500内の圧力が立ち上がってから増圧シリンダ500の圧力が所定の値(図2中:第1空気圧P1の定常値の約63%)に到達するまでの時間(以下、時定数とする)と、からなる。
<空走時間短縮装置>
そこで、空走時間を短縮するために、空走時間短縮装置300を設けている。ブレーキ指令NB,EBを受信して、これに応じて応荷重圧力を第1空気圧P1の大きさを調整するブレーキ制御装置200と比較して、空走時間短縮装置300は、非常ブレーキ指令EBのみを受信して、予め定められた大きさの第2空気圧P2を発生させる。なお、予め定められた大きさの第2空気圧P2の定常値は、図3に示すように、空車時における非常ブレーキ指令EBに応じた大きさの第1空気圧P1の定常値よりも低く設定されている。この空走時間短縮装置300は、図1に示すように、後述する滑走防止弁400の下流側(増圧シリンダ500側)に配置されている。1つの車両又は台車に1つだけ設けられるブレーキ制御装置200と異なり、台車毎又は車軸毎に空走時間短縮装置300が設けられているので、当該空走時間短縮装置300を増圧シリンダ500に近い位置に配置することが可能となる。
図4に示すように、空走時間短縮装置300は、予め定められた大きさの第2空気圧P2を出力する圧力発生部310と、複式逆止弁320とを含んでいる。この圧力発生部310は、空気源Tから供給される空気圧を減圧して予め定められた大きさの第2空気圧P2に調整する圧力調整弁311と、非常ブレーキ指令EBに応じて圧力調整弁311で生成された第2空気圧P2を複式逆止弁320に供給するか否かを選択する電磁弁312とを有している。そして、複式逆止弁320は、ブレーキ制御装置200から出力される第1空気圧P1と、圧力発生部310から出力される第2空気圧P2とが入力されるように構成されており、当該入力された第1空気圧P1と第2空気圧P2との高い方の圧力を選択的に流通させて、下流側の増圧シリンダ500に供給する。
上記した空走時間短縮装置300において、圧力調整弁311と電磁弁312とは、配管L1で接続されていると共に、電磁弁312と複式逆止弁320とは、配管L2で接続されている。また、複式逆止弁320は、滑走防止弁400と配管L3で接続されていると共に、増圧シリンダ500と配管L4で接続されている。なお、滑走防止弁400とブレーキ制御装置200とは、配管L5で接続されている。ここで、本実施形態では、圧力発生部310から複式逆止弁320までの配管長が、ブレーキ制御装置200から複式逆止弁320までの配管長よりもかなり短くなっている。すなわち、電磁弁312から複式逆止弁320までの配管L2の長さが、ブレーキ制御装置200から複式逆止弁320までの配管L5及び配管L3の長さよりも短くなっている。
<滑走防止弁>
上記したブレーキ制御装置200の下流側で且つ空走時間短縮装置300の上流側には、滑走防止弁400が設けられている。この滑走防止弁400は、車輪を回転させる車軸毎に設けられており、車輪が滑走したときに、当該滑走を防止するために、ブレーキ制御装置200から出力される第1空気圧P1を低下させる。
<増圧シリンダ>
図4に示すように、上記した複式逆止弁320の下流側には、増圧シリンダ500が設けられている。この増圧シリンダ500は、複式逆止弁320により選択された第1空気圧P1又は第2空気圧P2を油圧に増圧変換する。そして、この油圧によりブレーキパッド101をディスク102に押し付けることにより新幹線用車両のブレーキ力を発生させる。
<非常ブレーキ作動時における動作説明>
次に、図4を参照して、非常ブレーキ作動時におけるブレーキ力の発生について詳細に説明する。図示しないブレーキレバーの操作によって、上位システムから非常ブレーキ指令EBが送信されると、ブレーキ制御装置200は、当該非常ブレーキ指令EB及び車両速度に従い、応荷重圧に応じた非常ブレーキに係る第1空気圧P1を発生させる。この第1空気圧P1は、配管L5を通過して、滑走防止弁400に出力されて、当該滑走防止弁400を通過した第1空気圧P1は、配管L3を通過して、複式逆止弁320に出力される。
一方、空走時間短縮装置300において、空気源Tから供給される空気源圧力が、圧力調整弁311によって予め定められた大きさの第2空気圧P2に調整されている。この第2空気圧P2は、配管L1を通過して、電磁弁312に出力されている。そして、上記システムから非常ブレーキ指令EBが送信されると、電磁弁312は、入力された第2空気圧P2を出力する。そして、第2空気圧P2は、配管L2を通過して、複式逆止弁320に出力される。
複式逆止弁320では、第1空気圧P1と第2空気圧P2とが入力され、当該入力された第1空気圧P1と第2空気圧P2との高い方の圧力を選択的に流通させる。図3(a)に示すように、第2空気圧P2が第1空気圧P1に比べて立ち上がりが早いので、ブレーキ力の立ち上がり初期では、複式逆止弁320を介して第2空気圧P2が増圧シリンダ500に出力される。その後、第1空気圧P1が第2空気圧P2より高くなったときに(図3中の「時間t」参照)、第1空気圧P1が増圧シリンダ500に供給されるように切り替わる。すなわち、非常ブレーキの作動時には、図3(b)に示された曲線のように増圧シリンダ500に空気圧が供給される。このようにして、増圧シリンダ500に第2空気圧P2及び第1空気圧P1がこの順に供給されることによって、ブレーキパッド101がディスク102に押し当てられて、新幹線車両のブレーキ力が発生する。そして、図3(a)に示すように、空走時間短縮装置300から出力される第2空気圧P2に係る空走時間がt1、ブレーキ制御装置200から出力される第1空気圧P1に係る空走時間がt2とした場合において、ブレーキ制御装置200のみの場合に比べて、空走時間短縮装置300を設けることにより、(t2−t1)時間だけ空走時間を短縮することができる。
(本実施形態における効果)
本実施形態に係る新幹線車両用ブレーキシステム100では、圧力発生部310から複式逆止弁320までの配管長がブレーキ制御装置200から複式逆止弁320までの配管長よりもかなり短く、且つ、圧力発生部310が予め定められた大きさの第2空気圧P2を発生させる簡単な構成であるので、圧力発生部310から即座にブレーキ力を供給することができる。このため、非常ブレーキ時において、ブレーキ力の立ち上がり初期では、圧力発生部310からの第2空気圧P2が増圧シリンダ500に供給され、その後、ブレーキ制御装置200からの第1空気圧P1が第2空気圧P2よりも高くなったときに、ブレーキ制御装置200からの第1空気圧P1が増圧シリンダ500に供給されるように切り替わる。すなわち、非常ブレーキ指令EBの直後に、ブレーキ力を供給することができるので、空走時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、空走時間短縮装置300を滑走防止弁400よりも増圧シリンダ500側に配置することによって、そうでない場合に比べ、空走時間短縮装置300と増圧シリンダ500との間の配管長を更に短くすることができるので、空走時間をより短くすることができる。
また、本実施形態では、圧力発生部310を圧力調整弁311と電磁弁312とで構成することができるので、部品構成を少なくすることができる。その結果、空走時間短縮装置300の小型化、ひいては、新幹線車両用ブレーキシステム100の小型化を図ることができる。
また、本実施形態では、図3に示すように、圧力調整弁311で調整される第2空気圧P2の定常値を空車時における非常ブレーキ指令EBに応じた大きさの第1空気圧P1の定常値よりも低く設定することによって、空走時間を短縮しながら、過度に強いブレーキ力が発生するのを回避することができる。
(請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係)
上記実施形態においては、新幹線車両用ブレーキシステム100が「新幹線車両用ブレーキシステム」に相当し、ブレーキ制御装置200が「第1圧力発生部」に相当し、圧力発生部310が「第2圧力発生部」に相当し、常用ブレーキ指令NBが「常用ブレーキ指令」に相当し、非常ブレーキ指令EBが「非常ブレーキ指令」に相当し、第1空気圧P1が「第1空気圧」に相当し、第2空気圧P2が「第2空気圧」に相当し、圧力調整弁311が「圧力調整部」に相当し、電磁弁312が「選択部」及び「出力制御弁」に相当し、複式逆止弁320が「複式逆止弁」に相当し、滑走防止弁400が「滑走防止部」に相当し、増圧シリンダ500が「増圧シリンダ」に相当する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る新幹線車両用ブレーキシステムについて、図5を参照しながら説明する。上記第1実施形態の空走時間短縮装置300は、通気容量に限界がある電磁弁312から増圧シリンダ500に第2空気圧P2を供給する構成であるから、増圧シリンダ500への供給容量を大きくしようとすると、特殊な電磁弁を用いる必要がありコストがかかる。そこで、この第2実施形態では、複式逆止弁320aへの第2空気圧P2の供給容量を大きくするために、中継弁312aを設け、当該中継弁312aから増圧シリンダ500に第2空気圧P2を供給している。以下、具体的に説明する。なお、この第2実施形態では、空走時間短縮装置300a以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を適宜割愛する。
図5に示すように、空走時間短縮装置300aは、予め定められた大きさの第2空気圧P2を出力する圧力発生部310aと、複式逆止弁320aとを含んでいる。この圧力発生部310aは、空気源Tから供給される空気圧を減圧して予め定められた大きさの第2空気圧P2に調整する圧力調整弁311aと、パイロット圧力に基づいて空気源Tから供給される空気圧を容量増圧して出力する中継弁312aと、非常ブレーキ指令EBに応じて圧力調整弁311aで生成された第2空気圧P2をパイロット圧として中継弁312aに供給するか否かを選択する電磁弁313aとを有している。圧力調整弁311a及び中継弁312aの一次側には、空気源Tが接続されている。また、中継弁312aのパイロット室には、電磁弁313aが接続されていると共に、中継弁312aの2次側には、複式逆止弁320aが接続されている。そして、複式逆止弁320aは、ブレーキ制御装置200から出力される第1空気圧P1と圧力発生部310aから出力される第2空気圧P2とが入力されるように構成されており、当該入力された第1空気圧P1と第2空気圧P2との高い方の圧力を選択的に流通させて、下流側の増圧シリンダ500に供給する。
空走時間短縮装置300aにおいて、圧力調整弁311aと電磁弁313aとは、配管L1aで接続されていると共に、電磁弁313aと中継弁312aとは、配管L2aで接続されている。また、中継弁312aと複式逆止弁320aとは、配管L3aで接続されている。複式逆止弁320aは、滑走防止弁400と配管L4aで接続されていると共に、増圧シリンダ500と配管L5aで接続されている。なお、滑走防止弁400とブレーキ制御装置200とは、配管L6aで接続されている。ここで、本実施形態では、圧力発生部310aから複式逆止弁320aまでの配管長が、ブレーキ制御装置200から複式逆止弁320aまでの配管長よりもかなり短くなっている。すなわち、中継弁312aから複式逆止弁320aまでの配管L3aの長さが、ブレーキ制御装置200から複式逆止弁320までの配管L6a及び配管L4aの長さよりもかなり短くなっている。
(本実施形態における効果)
第2実施形態に係る空走時間短縮装置300aを備えた新幹線車両用ブレーキシステムは、空走時間を短縮することができる効果の他に、中継弁312aを設けることにより、容量増幅された第2空気圧P2を増圧シリンダ500に出力することができる。その結果、ブレーキ力の立ち上がりがより早くなるので、空走時間をさらに短くすることができる。
(請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係)
上記実施形態においては、圧力発生部310aが「第2圧力発生部」に相当し、圧力調整弁311aが「圧力調整部」に相当し、中継弁312aが「中継弁」に相当し、電磁弁313aが「電磁弁」に相当し、複式逆止弁320aが「複式逆止弁」に相当する。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る新幹線車両用ブレーキシステムについて、図6を参照しながら説明する。上記第1実施形態では、システムの小型化を図ることができるものの供給容量が小さい。これに対して、上記第2実施形態では、供給容量が大きいものの中継弁312aを設けることによりシステムが大型化する。そこで、この第3実施形態では、システムの大型化を抑制しつつ、増圧シリンダ500への供給容量をある程度確保するために、入力遮断弁312bを設け、当該入力遮断弁312bから増圧シリンダ500に第2空気圧P2を供給している。以下、具体的に説明する。なお、この第3実施形態では、空走時間短縮装置300b以外の構成は、第1実施形態と同様であるので、第1実施形態と同じ符号を付し、その説明を適宜割愛する。
図6に示すように、空走時間短縮装置300bは、予め定められた大きさの第2空気圧P2を出力する圧力発生部310bと、複式逆止弁320bとを含んでいる。この圧力発生部310bは、空気源Tから供給される空気圧を減圧して予め定められた大きさの第2空気圧P2に調整する圧力調整弁311bと、非常ブレーキ指令EBに応じて圧力調整弁311bで生成された第2空気圧P2を複式逆止弁320bに供給するか否かを選択する入力遮断弁312bとを有している。この入力遮断弁312bは、パイロット圧に基づいて圧力調整弁311bで調整される第2空気圧P2を所定の容量で出力する中継弁313bと、非常ブレーキ指令EBに応じて圧力調整弁311bで生成された第2空気圧P2をパイロット圧として中継弁313bに供給するか否かを選択する電磁弁314bとを有している。圧力調整弁311bの1次側には、空気源Tが接続されると共に、圧力調整弁311bの2次側には、入力遮断弁312b(中継弁313b及び電磁弁314bの各々)が接続されている。また、中継弁313bのパイロット室には、電磁弁314bが接続されていると共に、中継弁313bの2次側には、複式逆止弁320bが接続されている。そして、複式逆止弁320bは、ブレーキ制御装置200から出力される第1空気圧P1と圧力発生部310bから出力される第2空気圧P2とが入力されるように構成されており、当該入力された第1空気圧P1と第2空気圧P2との高い方の圧力を選択的に流通させて、下流側の増圧シリンダ500に供給する。
空走時間短縮装置300bにおいて、圧力調整弁311bと電磁弁314bとは、配管L1bで接続されていると共に、圧力調整弁311bと中継弁313bとは、配管L2bで接続されている。また、電磁弁314bと中継弁313bとは、配管L3bで接続されている。また、中継弁313bと複式逆止弁320bとは、配管L4bで接続されている。複式逆止弁320bは、滑走防止弁400と配管L5bで接続されていると共に、増圧シリンダ500と配管L6bで接続されている。なお、滑走防止弁400とブレーキ制御装置200とは、配管L7bで接続されている。ここで、圧力発生部310bから複式逆止弁320bまでの配管長が、ブレーキ制御装置200から複式逆止弁320bまでの配管長よりもかなり短くなっている。すなわち、中継弁313bから複式逆止弁320bまでの配管L4bの長さが、ブレーキ制御装置200から複式逆止弁320までの配管L7b及び配管L5bの長さよりもかなり短くなっている。
(本実施形態における効果)
第3実施形態に係る空走時間短縮装置300bを備えた新幹線車両用ブレーキシステムは、空走時間を短縮することができる効果の他に、圧力発生部310bを圧力調整弁311bと入力遮断弁312bとで構成することができるので、システムの大型化を抑制しつつ、増圧シリンダ500への供給容量を十分に確保することができる。
(請求項の各構成要素と上記実施形態の各部との対応関係)
上記実施形態においては、圧力発生部310bが「第2圧力発生部」に相当し、圧力調整弁311bが「圧力調整部」に相当し、入力遮断弁312bが「選択部」及び「出力制御弁」に相当し、複式逆止弁320bが「複式逆止弁」に相当する。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでない。
例えば、上記実施形態では、滑走防止弁400と増圧シリンダ500との間に空走時間短縮装置300,300a,300bを配置する例について説明したが、本発明はこれに限らず、滑走防止弁400の上流側に空走時間短縮装置300,300a,300bを配置しても良い。本実施例では、いずれも滑走制御できないが、このように構成すれば、空走時間短縮装置300,300a,300bが滑走防止弁400の1次側に配置されることになるので、当該空走時間短縮装置300,300a,300bの作動時でも滑走防止制御が可能となる。
また、上記実施形態では、空走時間短縮装置300,300a,300bを車両の台車毎に配置する例について説明したが、本発明はこれに限らず、1両に1つだけ空走時間短縮装置300,300a,300bを配置しても良い。
100 新幹線車両用ブレーキシステム
200 ブレーキ制御装置
300 空走時間短縮装置
310,310a,310b 圧力発生部
311,311a,311b 圧力調整弁
312,313a 電磁弁
312a 中継弁
312b 入力遮断弁
320,320a,320b 複式逆止弁
400 滑走防止弁
500 増圧シリンダ

Claims (4)

  1. 常用ブレーキ指令又は非常ブレーキ指令を受信して、当該受信した常用ブレーキ指令又は非常ブレーキ指令に応じた大きさの第1空気圧を発生させる第1圧力発生部と、
    前記第1圧力発生部とは別個に設けられ、空気源圧力を予め定められた大きさの第2空気圧に調整する圧力調整部、及び、前記非常ブレーキ指令に応じて前記圧力調整部で調整された前記第2空気圧を出力するか否かを選択する選択部、を有する第2圧力発生部と、
    前記第1空気圧と前記第2空気圧とが入力され、当該入力された第1空気圧と第2空気圧との高い方の圧力を選択的に流通させる複式逆止弁と、
    前記複式逆止弁により選択された空気圧を油圧に変換する増圧シリンダとを備え、
    前記選択部は、パイロット圧力に基づいて前記空気源圧力を容量増幅して出力する中継弁と、前記非常ブレーキ指令に応じて前記圧力調整部で調整された前記第2空気圧を前記パイロット圧力として前記中継弁に供給するか否かを選択する電磁弁とから構成され、
    前記第2圧力発生部から前記複式逆止弁までの配管長が、前記第1圧力発生部から前記複式逆止弁までの配管長よりも短いことを特徴とする、新幹線車両用ブレーキシステム。
  2. 車輪の滑走を検知したときに前記第1空気圧を低下させる滑走防止部をさらに備え、
    前記複式逆止弁は、前記滑走防止部よりも前記増圧シリンダ側に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の新幹線車両用ブレーキシステム。
  3. 前記選択部は、前記非常ブレーキ指令に応じて前記圧力調整部で調整された前記第2空気圧を前記複式逆止弁に出力するか否かを選択する出力制御弁から構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の新幹線車両用ブレーキシステム。
  4. 前記圧力調整部で調整される前記第2空気圧は、空車時における前記非常ブレーキ指令に応じた大きさの前記第1空気圧よりも低く設定されていることを特徴とする、請求項3記載の新幹線車両用ブレーキシステム。
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