JP5506435B2 - 焙煎豆およびその製造方法、ならびに飲料 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は下記に関する。
[1]コーヒー豆とカカオ生豆とを混合して焙煎する工程を含み、アルカリ処理を行わない、焙煎豆の製造方法であって、
前記焙煎を豆温度が160〜250℃に到達するまで行い、
カカオ豆の焙煎時間がコーヒー豆の焙煎時間よりも短いことを特徴とする、焙煎豆の製造方法。
[2]焙煎コーヒー豆と焙煎カカオ豆の比率が、質量比で15:85〜95:5である、[1]に記載の焙煎豆の製造方法。
[3]コーヒー生豆を予備焙煎したのち一旦冷却し、予備焙煎した焙煎コーヒー豆とカカオ生豆とを混合して焙煎する工程を含む、[1]または[2]に記載の焙煎豆の製造方法。
[4]焙煎中のコーヒー生豆にカカオ生豆を混合して焙煎する工程を含む、[1]または[2]に記載の焙煎豆の製造方法。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法によって得られる焙煎豆。
[6][5]に記載の焙煎豆を粉砕する工程を含む、粉砕豆の製造方法。
[7]豆温度を30℃以下に保ちながら焙煎豆を粉砕する[6]に記載の粉砕豆の製造方法。
[8][6]または[7]に記載の製造方法によって得られる粉砕豆を抽出することにより得られる飲料。
本発明に用いられる原料のコーヒー生豆としては、特に制限されるものでなく、種類としては例えばアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種などが挙げられ、産地としては例えばブラジル産、コロンビア産、ベトナム産、インドネシア産などが挙げられる。これらを単独でもしくは混合して用いてもよい。
本発明に用いられる原料のカカオ生豆としては、特に制限されるものでなく、種類としては例えばクリオロ種、フォラステロ種、トリニタリオ種、ナシオナル種などが挙げられ、産地としては、ガーナ産、ベネズエラ産、コートジボアール産、エクアドル産などが挙げられる。これらを単独でもしくは混合して用いてもよい。また、カカオ生豆としては、外皮付きのもの、粗砕し外皮や胚芽を除去したもの(カカオニブ)を使用でき、焙煎後の剥皮の手間、皮の匂いの発生防止の観点から、カカオニブの使用が望ましい。
コーヒー豆とカカオ生豆とを混合して焙煎するには、未焙煎のコーヒー生豆と、未焙煎のカカオ生豆とを混合して焙煎する方法が挙げられる。
コーヒー生豆とカカオ生豆とでは、組織・組成の違いにより焙煎速度が異なることから、カカオ生豆の焙煎時間をコーヒー生豆の焙煎時間よりも短くすることが好ましい。これにより、焙煎カカオ豆の焦げを回避することができる。
かかる方法としては例えば、予備焙煎しておいた焙煎コーヒー豆とカカオ生豆を混合して焙煎する方法が挙げられる。この場合、まず、コーヒー生豆を、豆温度が好ましくは160〜250℃、より好ましくは180〜230℃に到達するまで予備焙煎を行い、一旦室温まで冷却する。予備焙煎時の焙煎時間は好ましくは5〜15分、より好ましくは7〜13分である。この予備焙煎コーヒー豆とカカオ生豆を混合し、予備焙煎コーヒー豆とカカオ生豆の混合焙煎を行う。このときは、豆温度が好ましくは160〜250℃、より好ましくは180〜230℃に到達するまで焙煎する。また、混合焙煎時の焙煎時間は好ましくは2〜15分、より好ましくは3〜8分である。
カカオ生豆の焙煎時間をコーヒー生豆の焙煎時間よりも短くするには、上記焙煎方法2の他に、焙煎中のコーヒー生豆にカカオ生豆を混合して焙煎する方法を採用してもよい。この場合、まず、コーヒー生豆を、豆温度が好ましくは160〜250℃、より好ましくは180〜230℃に到達するまで焙煎したところへ、カカオ生豆を投入する。コーヒー生豆のみの焙煎時間は好ましくは5〜15分、より好ましくは7〜13分である。室温程度のカカオ生豆を投入することで、一旦全体の豆温度が低下するが、加熱を続けることで豆温度は上昇する。そして豆温度が好ましくは160〜250℃、より好ましくは180〜230℃に到達するまでコーヒー豆とカカオ生豆の混合焙煎を行う。混合焙煎時の焙煎時間は好ましくは2〜15分、より好ましくは3〜8分である。
焙煎豆の粉砕方法は特に限定されず、通常の方法により行うことができる。なおカカオ豆は融点が低いカカオバターを多く含むため、焙煎豆を粉砕する際の発熱により油分が溶け出してペースト化し易い傾向がある。ペースト化することで、粉砕機が使用できなくなるとともに、抽出にも使えなくなる。これを回避するには豆温度を30℃以下に保ち粉砕することが好ましい。豆温度を30℃以下に保つためには、例えば、粉砕時に液体窒素を加え発熱を抑えること、予め冷蔵庫等により焙煎豆を10℃以下程度に冷却しておくこと、コーヒー豆と粒径もしくは比重が異なるカカオニブを使用し、混合焙煎後、篩い分けを行い、コーヒー豆のみを粉砕すること、などが挙げられる。また、焙煎豆中のカカオ豆の比率を20質量%以下にすることで、豆を冷却せずに粉砕しても問題となるほどのペースト化を避けることができる。
フォラステロ種ガーナ産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去したカカオ生ニブを用意した。コーヒー豆としてアラビカ種ブラジル産コーヒー生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が200℃に到達するまで、10分間の予備焙煎を行った。これを焙煎機から取り出し、コーヒー予備焙煎豆を得た。このコーヒー予備焙煎豆とカカオ生ニブとを、焙煎コーヒー豆と焙煎カカオ豆の比率が質量比で50:50になるよう調整して混合し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が190℃に到達するまで、7分間の焙煎を行った。これを焙煎機から取り出し、焙煎豆を得た。焙煎豆を冷蔵庫にて10℃程度に冷却した後、コーヒーミルにて粉砕し、試料を得た。
試料を100g秤量し、沸騰した湯にて常圧で抽出し、1000gのカフェモカ様飲料を得た。
このカフェモカ様飲料に、さらにミルク、グラニュー糖を加え、ミルク50質量%、グラニュー糖4質量%のカフェモカ様飲料を調製した。
フォラステロ種ガーナ産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去したカカオ生ニブを用意した。一方、コーヒー豆としてアラビカ種ブラジル産コーヒー生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度200℃に到達するまで10分間の焙煎を行い、200℃に達した時点でカカオ生ニブを焙煎機内に投入した。投入するカカオ生ニブの量は、焙煎コーヒー豆と焙煎カカオ豆の比率が質量比で50:50になるよう調整を行った。豆温度が190℃に到達するまで5分間の混合焙煎を行った。これを焙煎機から取り出し、焙煎豆を得た。これを実施例1と同様にして粉砕し、試料を得た。
試料を100g秤量し、沸騰した湯にて常圧で抽出し、1000gのカフェモカ様飲料を得た。
このカフェモカ様飲料に、ミルク、グラニュー糖を加え、ミルク50質量%、グラニュー糖4質量%のカフェモカ様飲料を調製した。
比較対象として、単独焙煎後に混合して得た焙煎豆から飲料を製造した。
アラビカ種ブラジル産コーヒー生豆を、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が200℃に到達するまで10分間の焙煎を行いコーヒー焙煎豆を得た。次にフォラステロ種ガーナ産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去したカカオ生ニブを、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が190℃に到達するまで7分間の焙煎を行い、カカオ焙煎豆を得た。ここで得られたコーヒー焙煎豆とカカオ焙煎豆を50:50の質量比で混合し、実施例1と同様にコーヒーミルにて粉砕し、試料を作製した。
試料を100g秤量し、沸騰した湯にて常圧で抽出し、1000gの飲料を得た。
この飲料に、ミルク、グラニュー糖を加え、ミルク50質量%、グラニュー糖4質量%の飲料を調製した。
比較対象として、一般的なカフェモカ飲料の製造を行った。
アラビカ種ブラジル産コーヒー生豆をプロバット社製コーヒー焙煎機にて、豆温度が200℃に到達するまで10分間の焙煎を行い、粉砕して試料を得た。
試料を100g秤量し、沸騰した湯にて常圧で抽出し、1000gの飲料を得た。
この飲料に、ミルク、グラニュー糖、チョコレートシロップを加え、ミルク50質量%、グラニュー糖4質量%、チョコレートシロップ5gを含むカフェモカ飲料を作成した。
実施例1〜2、比較例1〜2の各飲料について、専門パネル20名による官能評価を行った(香りと総合評価の高いもの1品選択)。官能評価の結果を表1に示す。
クリオロ種ベネズエラ産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去したカカオ生ニブを用意した。一方、コーヒー豆としてアラビカ種コロンビア産コーヒー生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が210℃に到達するまで11分間の焙煎を行った。210℃に達した時点で、カカオ生ニブを焙煎機内に投入した。投入するカカオ生ニブの量は、焙煎コーヒー豆と焙煎カカオ豆の比率が質量比で50:50になるよう調整を行った。豆温度が190℃に到達するまで5分間の混合焙煎を行った。これを焙煎機から取り出し、焙煎豆を得た。この焙煎豆を、液体窒素にて冷却しながらコーヒーミルで粉砕した。
アラビカ種コロンビア産コーヒー生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が210℃に達するまで11分の焙煎を行いコーヒー焙煎豆を得た。次にクリオロ種ベネズエラ産のカカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去した生ニブを、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度190℃に到達するまで7分間の焙煎を行い、カカオ焙煎豆(ニブ)を得た。得られたコーヒー焙煎豆とカカオ焙煎豆を50:50の質量比で混合し、液体窒素にて冷却しながらコーヒーミルで粉砕した。
実施例3、比較例3で得られた試料を用いた以外は実施例1に準じてミルク、グラニュー糖を加えたカフェモカ様飲料を作製し官能評価を行った。実施例3、比較例3の各飲料について、専門パネル20名による官能評価を行った(香りと総合評価の高いもの1品選択)。官能評価の結果を表2に示す。
フォラステロ種コートジボアール産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去したカカオ生ニブを用意した。一方、コーヒー豆としてロブスタ種ベトナム産コーヒー生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が215℃に到達するまで11.5分間の焙煎を行った。215℃に達した時点で、カカオ生ニブを焙煎機内に投入し、豆温度が230℃になるまで4分間の混合焙煎を行った。投入するカカオ生ニブの量は、焙煎コーヒー豆と焙煎カカオ豆の比率が質量比で80:20になるよう調整を行った。これを焙煎機から取り出し、焙煎豆を得た。この焙煎豆をコーヒーミルで粉砕した。粉砕時には、焙煎豆の冷却を行わなかったが目立つほどのペースト化は起こらなかった。
コーヒー豆としてロブスタ種ベトナム産生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が215℃に到達するまで11.5分間の焙煎を行った。次にフォラステロ種コートジボアール産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去した生ニブを、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度215℃に到達するまで10分間の焙煎を行い、カカオ焙煎豆(ニブ)を得た。得られたコーヒー焙煎豆とカカオ焙煎豆を80:20の質量比となるように混合し、コーヒーミルで粉砕し、試料を得た。
実施例4、比較例4で得られた試料を用いた以外は実施例1に準じてミルク、グラニュー糖を加えたカフェモカ様飲料を作製し官能評価を行った。各飲料について、専門パネル20名による官能評価を行った(香りと総合評価の高いもの1品選択)。官能評価の結果を表3に示す。
フォラステロ種ガーナ産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去したカカオ生ニブを用意した。一方、コーヒー豆としてアラビカ種ブラジル産コーヒー生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度が200℃に到達するまで、10分間の焙煎を行った。200℃に達した時点でカカオ生ニブを焙煎機内へ投入した。投入するカカオ生ニブの量は、焙煎コーヒー豆と焙煎カカオ豆の比率が質量比で50:50になるよう調整を行った。焙煎物の豆温度がそれぞれ160℃−3分(実施例5)、180℃−4.5分(実施例6)、200℃−6分(実施例7)、230℃−7分(実施例8)、245℃−8.5分(実施例9)に到達するまで焙煎を行った。これを焙煎機から取り出し、焙煎豆を得た。焙煎豆を冷蔵庫にて10℃程度に冷却した後、コーヒーミルにて粉砕し、それぞれ試料を得た。
実施例5〜9で得られた各試料を用いた以外は実施例1に準じて、それぞれミルク、グラニュー糖を加えたカフェモカ様飲料を作製し、官能評価を行った。各飲料について、専門パネル20名による官能評価を行った(香り評価と総合評価について、比較例1の試料を用いて作製したカフェモカ様飲料と比較して、好ましい方を選択する)。20名中の各試料を選択した人数を表4に示す。
フォラステロ種ガーナ産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去したカカオ生ニブを用意した。一方、コーヒー豆としてアラビカ種ブラジル産コーヒー生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度200℃に到達するまで10分間の焙煎を行い、200℃に達した時点でカカオ生ニブを焙煎機内に投入した。投入するカカオ生ニブの量は、焙煎コーヒー豆と焙煎カカオ豆の比率が質量比で15:85になるよう調整を行った。豆温度が190℃に到達するまで8分間混合焙煎を行った後、焙煎機から取り出し、焙煎豆を得た。これを冷蔵庫にて10℃程度に冷却した後、コーヒーミルにて粉砕し、試料を得た。
コーヒー豆としてアラビカ種ブラジル産生豆を用意し、プロバット社製コーヒー焙煎機を用いて、豆温度200℃に到達するまで10分間の焙煎を行った。これを焙煎機から取り出し、コーヒー焙煎豆を得た。一方、フォラステロ種ガーナ産カカオ生豆を粗砕きし外皮や胚芽を除去したカカオ生ニブを用意し、従来からのチョコレート用の焙煎カカオ豆を得た。このときの焙煎条件は130℃、50分間とした。ここで得られたコーヒー焙煎豆とカカオ焙煎豆を15:85の質量比で混合し、冷蔵庫にて10℃程度に冷却した後、コーヒーミルにて粉砕し、試料を得た。
実施例10および比較例5で得られた試料を用いた以外は実施例1に準じてそれぞれミルク、グラニュー糖を加えたカフェモカ様飲料を作製し、官能評価を行った。各飲料について、専門パネル20名による官能評価を行った(香り、カカオ感および総合評価の高いもの1品選択)。官能評価の結果を表5に示す。
Claims (8)
- コーヒー豆とカカオ生豆とを混合して焙煎する工程を含み、アルカリ処理を行わない、焙煎豆の製造方法であって、
前記焙煎を豆温度が160〜250℃に到達するまで行い、
カカオ豆の焙煎時間がコーヒー豆の焙煎時間よりも短いことを特徴とする、焙煎豆の製造方法。 - 焙煎コーヒー豆と焙煎カカオ豆の比率が、質量比で15:85〜95:5である請求項1に記載の焙煎豆の製造方法。
- コーヒー生豆を予備焙煎したのち一旦冷却し、予備焙煎した焙煎コーヒー豆とカカオ生豆とを混合して焙煎する工程を含む、請求項1または2に記載の焙煎豆の製造方法。
- 焙煎中のコーヒー生豆にカカオ生豆を混合して焙煎する工程を含む、請求項1または2に記載の焙煎豆の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法によって得られる焙煎豆。
- 請求項5に記載の焙煎豆を粉砕する工程を含む、粉砕豆の製造方法。
- 豆温度を30℃以下に保ちながら焙煎豆を粉砕する、請求項6に記載の粉砕豆の製造方法。
- 請求項6または7に記載の製造方法によって得られる粉砕豆を抽出することにより得られる飲料。
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