JP5721363B2 - 乳含有コーヒー飲料の製造方法、安定化方法及び香味向上方法 - Google Patents

乳含有コーヒー飲料の製造方法、安定化方法及び香味向上方法 Download PDF

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本発明は、乳含有コーヒー飲料の製造方法、その安定化方法及び香味向上方法に関する。
近年、コーヒー飲料の市場では、濃厚感や本物感などに対する要求が高まってきている。この要求に応えるため、コーヒー固形分や乳などを高濃度で配合し、濃厚感や香味を向上させたコーヒー飲料が製造されている。しかし、コーヒー固形分や乳などを高濃度で配合したコーヒー飲料は性状が不安定になりやすく、沈殿やリングを生じやすいという問題がある。
特許文献1には、コーヒーを50℃〜90℃の温水で抽出処理し、引続き0℃〜40℃の水で抽出処理することにより、味および香りに優れたコーヒーを製造する方法が開示されている。特許文献2には、コーヒー豆を低温の抽出温度にて抽出して第1の抽出液を製造する第1抽出工程、第1の抽出液を得た後の前記コーヒー豆を中温の抽出温度にて抽出して第2の抽出液を製造する第2抽出工程、及び第2の抽出液を得た後の前記コーヒー豆を高温の抽出温度にて抽出して第3の抽出液を製造する第3抽出工程を有する、風味、特に香りの優れたコーヒー飲料の製造方法が開示されている。また、特許文献3には、コーヒー豆の抽出液から不溶性固形分を分子の大きさ及び電気的な吸着力に基づき分離することにより、コーヒー飲料を清澄化することが開示されている。特許文献4には、コーヒー飲料中のコーヒー抽出物に由来する多糖類の分子量を調整することにより、製造時の高温殺菌処理や製造後の長期保存による沈殿物の発生や脂肪の分離などを防いだコーヒー飲料が開示されている。
しかしながら、特に乳分を含むコーヒー飲料は、特許文献1〜4に開示された方法によっても、優れた香味や充分な乳化安定性を得ることは困難である。特に、常温より高い温度において中期間から長期間保管した場合、沈殿が多く発生するという問題がある。そのため、香味の向上と共に安定性を向上させるための新しい切り口に基づく製造技術の開発が要望されている。
特開平06−070682号公報 特開平10−313785号公報 特開平11−215951号公報 特開2008−109926号公報
本発明は、高い安定性を有し且つ香味に優れた乳含有コーヒー飲料とその製造方法を提供することを目的とする。また、乳含有コーヒー飲料の安定化方法および香味向上方法を提供することを目的とする。
本発明の第1の実施形態に従って、焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程を含む、乳含有コーヒー飲料の製造方法であって、前記抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量であり且つ10%未満の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収し、前記初期抽出液と前記抽出液とは、同じ温度の抽出溶媒を用いて抽出されることを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の製造方法が提供される。
本発明の第2の実施形態に従って、焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量であり且つ10%未満の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収し、前記初期抽出液と前記抽出液とは、同じ温度の抽出溶媒を用いて抽出されることを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の安定化方法が提供される。
本発明の第3の実施形態に従って、焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量であり且つ10%未満の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収し、前記初期抽出液と前記抽出液とは、同じ温度の抽出溶媒を用いて抽出されることを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の香味向上方法が提供される。
本発明の製造方法によれば、高い安定性を有しかつ香味に優れた乳含有コーヒー飲料を提供することができる。また、本発明の方法によれば、乳含有コーヒー飲料の安定性を向上させることが可能であり、また、香味を向上させることが可能である。
第1の実施形態において、焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程を含む、乳含有コーヒー飲料の製造方法が提供される。該抽出工程では、抽出液の回収開始直後の初期抽出液を除外して抽出液を回収する。
ここで、初期抽出液は、抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量の少なくとも5%(w/w)に相当する固形分を含む。抽出液の固形分の重量は、抽出液の重量に可溶性固形分濃度(以下Brix値)を乗算することによって算出できる。抽出液のBrix値は、通常の測定機器を用いて測定することができる。
焙煎コーヒー豆は、コーヒーの生豆を適切な焙煎度まで焙煎したものである。コーヒー生豆の焙煎は、直火式、熱風式、又は半熱風式などの方法によって行うことができる。焙煎方法、温度、及び時間は、所望の焙煎度を達成するために適宜選択してよい。
コーヒー生豆の種類は、特に限定されないが、アラビカ種及びロブスタ種の何れであってもよい。より詳細には、ブラジル、コロンビア、ベトナム、タンザニア及びモカから選択されるコーヒー豆であってよいがこれらに限定されない。コーヒー豆は1種を単独で用いてもよく、或いは複数種をブレンドして用いてもよい。
焙煎コーヒー豆は、粉砕された後に抽出に供される。粉砕は、ロールグラインダータイプやフラットカッタータイプおよびコニカルカッタータイプ等いずれのタイプの粉砕機を用いて実施してもよい。
焙煎コーヒー豆の抽出には、水〜熱水(0〜100℃)などの抽出溶媒を特に制限されることなく用いることができる。抽出は、バッチ式、半バッチ式、連続式の何れの様式で行ってもよい。抽出方法は、ボイリング式、エスプレッソ式、サイフォン式、ドリップ式(ペーパー、ネルなど)等の方法で行うことができるが、特にドリップ抽出が好ましい。
本実施形態では、抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量の少なくとも5%(w/w)に相当する固形分を含む初期抽出液を、抽出率帯0〜5%の抽出液と称する。抽出率帯0〜5%の抽出液を調合に用いないことにより、沈殿及び乳分の分離が抑制され、且つ、強い香味を有する乳含有コーヒー飲料を製造することができる。一方、抽出率帯0〜5%の抽出液を用いると乳含有コーヒー飲料の性状が不安定になり、沈殿及び乳分の分離が増加すると共に、香味を十分に引き出すことができない。
一般に、ファーストドリップと呼ばれる初期段階の抽出液には、上質な香味が最も含まれているとされる。しかしながら、本発明者らは、ファーストドリップを調合に用いないことにより、特に乳分を含有するコーヒー飲料の性状を安定化させることができ、さらに驚くべきことに香味が向上することを見出した。性状が安定化するのは、ファーストドリップにコーヒー飲料の性状を不安定化させる成分がより多く含まれているためであると考えられる。また、香味が向上するのは、乳含有コーヒー飲料ではファーストドリップを含まない抽出液を用いた方が風味のバランスが向上するためであると考えられる。本実施形態における製造方法に従って製造された乳含有コーヒー飲料は、長期間の保存後も性状が安定しており、沈殿や乳分の分離が少ない。
またさらに、初期抽出液に含まれる固形分が、抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量に基づいて10%未満の重量であることが好ましい。このような、抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量の10%(w/w)未満の固形分を含む初期抽出液を、10%未満の抽出率帯の抽出液と称する。10%未満の抽出率帯の抽出液を調合に用いず、それ以降に回収された抽出液を用いることにより、コーヒー飲料の性状を不安定化させる成分を除外しながらも、十分なコーヒー固形分を得ることができ、香味をなお一層向上させることができる。
なお、抽出工程の後期における抽出液は、渋味やエグ味等の雑味比率が高い。よって、風味の優れた乳含有コーヒー飲料を製造するために、回収する抽出液は、例えば、約40%以下の抽出率帯の抽出液であることが好ましく、約35%以下の抽出率帯の抽出液であることがより好ましく、約30%以下の抽出率帯の抽出液であることがさらにより好ましい。
初期抽出液の液量は、抽出に用いた原料豆の種類(銘柄、焙煎度、ブレンド比率、粉砕度等)や使用量、抽出条件(様式、温度、速度、溶媒等)及び初期抽出液の抽出率帯等に依存しており、適宜決定することができる。
例えば、ドリップ式の抽出を行う場合、焙煎コーヒー豆の蒸らしが終わった後、抽出液の回収を開始する。回収開始直後は、初期抽出液が回収される。予備試験の結果に基づいてある重量を回収した時点で回収を中断し、得られた抽出液を分析して固形分を算出する。初期抽出液の固形分が所定の値(例えば5%)に満たない場合、初期抽出液の回収を再開する。以上の工程を繰り返し、所定の固形分を含む初期抽出液を回収する。
初期抽出液の回収が終了した後、回収容器を交換し、調合用の抽出液の回収を開始する。初期抽出液の回収時と同様に、固形分を確認しつつ、調合用の抽出液を回収する。
予備試験では、例えば、原料と抽出条件を同じにして抽出液の回収を行い、抽出液の重量と固形分の量の関係を示すグラフを作成してもよい。
また、バッチ式の様式で抽出を行う場合、抽出溶媒の量や抽出時間を変化させて、初期抽出液の固形分を調整することができる。
なお、初期抽出液を回収する際には、焙煎コーヒー豆が満遍なく抽出溶媒と接触していることが好ましく、抽出に寄与しない焙煎コーヒー豆が存在しないことが好ましい。例えば、ドリップ抽出において焙煎コーヒー豆を蒸らす際にも、焙煎コーヒー豆の全体が均一に蒸らされることが好ましい。
次に、上記で得られた抽出液を、必要に応じて希釈し、乳分及び任意に糖分、乳化剤、抗酸化剤、香料等を添加して調合液を調製する。必要に応じてpHを調整してもよい。調合液のpHは、6.4〜7.2の範囲であることが好ましく、6.6〜7.0の範囲であることがより好ましい。調合液のpHは、重炭酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウムのようなpH調整剤を用いて行ってよい。
乳分には、生乳、無脂肪乳、濃縮乳等を用いることができる。糖分には、ショ糖、グルコース、フルクトース、キシロース、果糖ブドウ糖液、糖アルコール等を用いることができる。
次いで、調合液を、ホモジナイザー等を用いて均質化処理し、その後、適宜殺菌し、所望の容器に充填して容器詰コーヒー飲料が提供される。殺菌は、当該分野で通常行われている種々の方法によって行うことができる。また、耐熱性の容器に充填する場合は、充填後に加熱殺菌してもよい。容器は、缶、瓶、プラスチックボトル、紙パック、プラスチックパック等を用いることができるが、これらに限定されず、種々の容器を用いることができる。
本実施形態によれば、安定性が高く沈殿が抑制され、さらに香味に優れた乳含有コーヒー飲料を製造することができる。本実施形態の製造方法によれば、特に、常温より高い温度で中期間から長期間保管した場合の沈殿を著しく抑制し、且つ香味が大幅に改善された乳含有コーヒー飲料を提供することが可能である。
なお、本実施形態の製造方法は、乳含有コーヒー飲料のみに限られず、無糖ブラック、加糖ブラック及び微糖ブラックのような乳分を含まないブラックコーヒー飲料を製造することもできる。
第2の実施形態において、焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程において、抽出液の回収開始直後の初期抽出液を除外して抽出液を回収することを特徴とする乳含有コーヒー飲料の安定化方法が提供される。ここで、初期抽出液は、固形分が抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量である量の抽出液である。このような初期抽出液を抽出率帯0〜5%の抽出液と称する。抽出率帯0〜5%抽出液を調合に用いないことにより、乳含有コーヒー飲料を安定化することができ、特に乳を高濃度で含むコーヒー飲料であっても、沈殿や分離を抑制することができる。また、高温で長期間の保存においても、性状を安定化させることが可能である。一方、抽出率帯0〜5%の抽出液を用いると、乳含有コーヒー飲料の性状が不安定化し、沈殿や分離が増加する。
またさらに、初期抽出液に含まれる固形分が、抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量に基づいて10%未満の重量であることが好ましい。即ち、除外される初期抽出液は、10%未満の抽出率帯の抽出液であることが好ましい。抽出率帯0〜10%の抽出液を調合に用いず、それ以降に回収された抽出液を用いることにより、コーヒー飲料の性状を不安定化させる成分を除外するとともに、保管時の乳化安定性を向上させることができる。
第3の実施形態において、焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程において、抽出液の回収開始直後の初期抽出液を除外して抽出液を回収することを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の香味向上方法が提供される。ここで、初期抽出液は、固形分が抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量である量の抽出液である。このような初期抽出液を0〜5%の抽出率帯の抽出液と称する。抽出率帯0〜5%の抽出液を調合に用いないことにより、乳含有コーヒー飲料の香味を著しく向上させることができ、風味の優れた乳含有コーヒー飲料を提供することが可能である。一方、抽出率帯0〜5%の抽出液を用いると、乳含有コーヒー飲料において好ましい香味を十分に引き出すことができない。
またさらに、初期抽出液に含まれる固形分が、抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量に基づいて10%未満の重量であることが好ましい。即ち、除外される初期抽出液は、10%未満の抽出率帯の抽出液であることが好ましい。0〜10%の抽出率帯の抽出液を調合に用いず、それ以降に回収された抽出液を用いることにより、乳含有コーヒー飲料の風味をより向上させることができる。
<試験1>
抽出液の回収開始時から各抽出率帯(5%毎)の抽出液を回収し、該抽出液を用いて乳含有コーヒー飲料を調製し、加温保管時に生成される沈殿物量と香味を評価した。なお、調合に使用する抽出液の量を変化させることにより、乳含有コーヒー飲料のコーヒー固形分を統一した。
(サンプル1)
コーヒー豆はコロンビアエクセルソを用いた。生豆を熱風焙煎してフルシティローストにし、中挽きして粉砕豆を得た。粉砕豆2kgを、17kgの90℃の湯を用いてドリップ抽出した。抽出は、1次給湯において4kgの湯を注いで蒸らし、次いで2次給湯において残りの湯を順次注いだ。2次給湯と同時に抽出液の回収を開始した。抽出率帯0〜5%の抽出液として、回収開始後より1.0kgの抽出液を回収した。回収した抽出液を30℃以下に冷却し、ネル濾過した。デジタル屈折計(RX−5000(株)アタゴ製)を用いて測定した濾液のBrix値(コーヒー成分の固形分濃度)は10.0であり、pHは5.6であった。
得られた濾液1000gを用いて、コーヒー成分のBrix値が1.25になるように調合液8kgを調製した。調合液に対する焙煎コーヒー豆配合量は2000gであった。濾液に、調合液の重量に基づいて、砂糖360g、殺菌乳(乳固形分11.8重量%)640g、濃縮乳(乳固形分27重量%)800g、及び乳化剤20gを添加した。さらに、重炭酸ナトリウムを用いてpHを6.8に調整し、調合液を得た。なお、乳化剤はシュガーエステル及びグリセリン脂肪酸エステルを含む乳化製剤を用いた。殺菌乳及び濃縮乳は、乳固形分が3.64重量%となるように添加した。得られた調合液のBrix値は9.6であった。
調合液を、60℃まで加温した後に、ハンドル・2段均質式ホモジナイザー(三和機械(株)製)を用いて20Mpaの条件で均質化した。次いで190g缶に充填して124℃にて20分の条件でレトルト殺菌を行い、缶入り乳含有コーヒー飲料を得た。この乳含有コーヒー飲料のBrix値は9.6であり、pHは6.4であった。
(サンプル2〜5)
サンプル1の抽出液回収後、表1に示した各抽出率帯の抽出液を順次回収し、サンプル1と同様に、サンプル2〜5の缶入り乳含有コーヒー飲料を製造した。サンプル2〜5の回収抽出液量、抽出液のBrix値、調合液の焙煎コーヒー豆配合量は、表1に示したとおりである。
(サンプル6)
抽出率帯0〜25%の抽出液として、抽出液の回収開始から12.82kgの抽出液を回収した他は、サンプル1と同様に缶入り乳含有コーヒー飲料を製造した。
(評価)
サンプル1〜6の缶入り乳含有コーヒー飲料を、45℃で1ヶ月間保存し、次いで、5℃で12時間保管した。その後、開封して乳含有コーヒー飲料を排出し、缶底の沈殿物の重量を測定した。また、乳含有コーヒー飲料の香味を評価した。香味の評価は、後味の香味強度や質を基準として5段階で評価した。さらに、品質と香味を合せた総合評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0005721363
表1から、抽出率帯0〜5%の抽出液を用いたサンプル1は沈殿物量が最も多く、香味が弱く、総合評価も低かった。一方、抽出率帯5%以降の抽出液を用いたサンプル2〜5は、サンプル1と比較すると沈殿が少なく、且つ香味が強く、総合評価も高かった。また、抽出液回収開始後から時間が経過するに従い沈殿量が減少した。抽出率帯0〜25%の抽出液を用いたサンプル6は、沈殿が多く、また香味も弱く、総合評価も低かった。
<試験2>
除外する初期抽出液の抽出率帯を変化させることにより初期抽出液の固形分を変化させて乳含有コーヒー飲料を調製し、加温保管時に生成される沈殿物量と香味を評価した。なお、調合に使用する抽出液の量を変化させることにより、乳含有コーヒー飲料のコーヒー固形分を統一した。
(サンプル7)
コーヒー豆はコロンビアエクセルソを用いた。生豆を熱風焙煎してフルシティローストにし、中挽きして粉砕豆を得た。粉砕豆2kgを、17kgの90℃の湯を用いてドリップ抽出した。抽出は、1次給湯において4kgの湯を注いで蒸らし、次いで2次給湯において残りの湯を順次注いだ。2次給湯後、抽出率帯0〜5%の抽出液として、回収開始後より1.3kgの抽出液を廃棄し、その後の抽出率帯5〜25%の抽出液(13.34kg)を回収した。回収した抽出液を30℃以下に冷却し、ネル濾過した。デジタル屈折計(RX−5000(株)アタゴ製)を用いて測定した濾液のBrix値(コーヒー成分の固形分濃度)は3.0であり、pHは5.6であった。
得られた濾液2167gを用いて、コーヒー成分のBrix値が1.3になるように調合液5kgを調製した。調合液に対する焙煎コーヒー豆配合量は325gであった。濾液に、調合液の重量に基づいて、砂糖225g、殺菌乳(乳固形分11.8重量%)400g、濃縮乳(乳固形分27重量%)500g、及び乳化剤12.5gを添加した。さらに、重炭酸ナトリウムを用いてpHを6.8に調整し、調合液を得た。なお、乳化剤はシュガーエステル及びグリセリン脂肪酸エステルを含む乳化製剤を用いた。殺菌乳及び濃縮乳は、乳固形分が3.64重量%となるように添加した。得られた調合液のBrix値は9.6であった。
調合液を、60℃まで加温した後に、ハンドル・2段均質式ホモジナイザーを用いて20Mpaの条件で均質化した。次いで190g缶に充填して124℃20分の条件でレトルト殺菌を行い、缶入り乳含有コーヒー飲料を得た。この乳含有コーヒー飲料のBrix値は9.6であり、pHは6.4であった。
(サンプル8〜11)
除外される初期抽出液の抽出率帯を変え、且つ、調合液の焙煎コーヒー豆配合量を変えた以外は、サンプル7と同様に缶入り乳含有コーヒー飲料を製造した。各サンプルにおける初期抽出液の抽出率帯、初期抽出液量、回収した抽出液の抽出率帯、回収した抽出液の量、回収抽出液のBrix値、及び、調合液の焙煎コーヒー豆配合量は、表2に示したとおりである。
(評価)
サンプル7〜11の缶入り乳含有コーヒー飲料を、45℃で1ヶ月間保存し、次いで、5℃で12時間保管した。その後、開封して乳含有コーヒー飲料を排出し、缶底の沈殿物の重量を測定した。また、乳含有コーヒー飲料の香味を評価した。香味の評価は、後味の香味強度や質を基準として5段階で評価した。さらに、品質と香味を合せた総合評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005721363
表2から、抽出率帯0〜5%の抽出液が廃棄されているサンプル7〜10は、抽出率帯0〜5%の抽出液も含むサンプル11と比べて沈殿物量が少なく、香味が強く、総合評価も高かった。また、抽出率帯0〜10%の抽出液を廃棄したサンプル8〜10は、何れも香味が強かった。特に、抽出率帯10〜25%の抽出液を用いたサンプル8は、雑味やエグ味がなく適度な香味を有し、総合評価が最も高かった。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程を含む、乳含有コーヒー飲料の製造方法であって、
前記抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収することを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の製造方法。
[2]
前記初期抽出液に含まれる固形分が、前記抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量に基づいて10%未満の重量であることを特徴とする、[1]に記載の乳含有コーヒー飲料の製造方法。
[3]
焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収することを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の安定化方法。
[4]
前記初期抽出液に含まれる固形分が、前記抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量に基づいて10%未満の重量であることを特徴とする、[3]に記載の乳含有コーヒー飲料の安定化方法。
[5]
焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収することを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の香味向上方法。
[6]
前記初期抽出液に含まれる固形分が、前記抽出工程で用いた焙煎コーヒー豆の重量に基づいて10%未満の重量であることを特徴とする、[5]に記載の乳含有コーヒー飲料の香味向上方法。

Claims (3)

  1. 焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程を含む、乳含有コーヒー飲料の製造方法であって、
    前記抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量であり且つ10%未満の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収し、前記初期抽出液と前記抽出液とは、同じ温度の抽出溶媒を用いて抽出されることを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の製造方法。
  2. 焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量であり且つ10%未満の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収し、前記初期抽出液と前記抽出液とは、同じ温度の抽出溶媒を用いて抽出されることを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の安定化方法。
  3. 焙煎コーヒー豆から抽出液を得る抽出工程において、前記焙煎コーヒー豆の重量に基づいて少なくとも5%の重量であり且つ10%未満の重量の固形分を含む初期抽出液を除外して抽出液を回収し、前記初期抽出液と前記抽出液とは、同じ温度の抽出溶媒を用いて抽出されることを特徴とする、乳含有コーヒー飲料の香味向上方法。
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