JP6086640B1 - コーヒー飲料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コーヒー飲料の味や香りを改善する方法を提供すること。【解決手段】本発明は、焙煎コーヒー豆に対して水又は温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、該焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理し、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理した後に回収することで第1の抽出液を得る第1抽出工程、及び、該第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る第2抽出工程、及び、該第1及び第2の抽出液を混合してコーヒー抽出液とする混合工程を含むコーヒー飲料を製造する方法に関する。また、本発明は、上記工程により、コーヒー飲料の香気成分を改善する方法に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、香気量に優れたコーヒー飲料を製造する方法に関する。
コーヒー豆は焙煎することにより、熱によって生豆に含まれる風味成分や香気成分が化学変化し、コーヒー独特の味や香りを生じるようになる。このような風味成分や香気成分は、コーヒー飲料の製造過程において失われることが多いことが知られている。特に香気成分は揮発しやすい成分が多いため、例えば、コーヒー豆の粉砕工程や抽出工程において、約40〜50%が大気中に放出され得る(非特許文献1)。このため、コーヒー飲料において失われた風味成分や香気成分を補うため、香料等が添加されることがある。
一般的に知られているドリップ抽出法では、始めから高温の熱湯とコーヒー豆とが接触するため、低沸点の成分が抽出直後に揮散したり、酸化したりすることによって、本来保持していた風味成分や香気成分が失われることがある。
近年では、スペシャルティコーヒーが流行しており、コーヒーの専門店が増加している。コーヒーが本来的に有する味や香りをより追求する消費者が増えている傾向を示すものである。このような専門店では、ドリップ抽出法の問題点を改善できる一つの方策として、水出しコーヒーやダッチコーヒーを提供していることがある。このようなウォータードリップ法では、常温や低温の水を用いて、低沸点の成分をコーヒー飲料に閉じ込めることが可能となるが、抽出器の特殊性や長時間の抽出時間の観点から、工業的生産には不適当である。
上記の問題を解決し、味や香りに優れたコーヒー飲料の製造方法として、コーヒー豆を10〜30℃の低温にて第1抽出及び回収を行い、引き続き30〜65℃の中温にて第2抽出及び回収を行い、さらに続いて65〜130℃の高温にて第3抽出及び回収を行った後、第1〜第3の抽出液を混合する3温度帯の3段階抽出法が知られている(特許文献1)。
特許第3057026号公報
R.J.Clarkら、 COFFEE, Volume 2: Technology, 208頁, ELSEVIER APPLIED SCIENCE (1987)
しかしながら、上記特許文献1の方法でも、大気中に失われる香気成分は多く、更に味や香りをコーヒーの抽出液に閉じ込める方法が強く求められている。したがって、本発明は、コーヒーの製造工程で失われる成分を香料等で補うことなく、本来の味や香りを活かしたコーヒー飲料の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理し、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理した後に回収することで第1の抽出液を得る第1抽出工程と、その焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る第2抽出工程との2つの工程に分けることによって、コーヒー飲料が有する総香気量が顕著に増加することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記に掲げるコーヒー飲料の製造方法を提供する。
項1.
焙煎コーヒー豆に対して水又は温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、
上記焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理し、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理した後に回収することで第1の抽出液を得る第1抽出工程、及び、
上記第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る第2抽出工程
を含むコーヒー飲料を製造する方法。
項2.
さらに上記第1及び第2の抽出液を混合してコーヒー抽出液とする混合工程を含む、項1に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項3.
上記焙煎コーヒー豆と低温水との混合比が、上記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水重量1〜15部である、項1又は2に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項4.
上記焙煎コーヒー豆と中温水との混合比が、上記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、中温水重量1〜15部である、項1〜3のいずれか1項に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項5.
上記焙煎コーヒー豆と高温水との混合比が、上記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、高温水重量1〜15部である、項1〜4のいずれか1項に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
項6.
上記第1抽出工程及び第2抽出工程が、同一の抽出器において連続して行われる、項1〜5のいずれか1項に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
さらに本発明は、下記に掲げるコーヒー飲料の香気を改善する方法を提供する。
項7.
コーヒー飲料の香気を改善する方法であって、
焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理し、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理した後に回収することで第1の抽出液を得る第1抽出工程、及び
上記第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る第2抽出工程
を含むコーヒー飲料の香気を改善する方法。
項8.
さらに上記第1及び第2の抽出液を混合してコーヒー抽出液とする混合工程を含む、項7に記載のコーヒー飲料の香気を改善する方法。
項9.
上記香気の改善が、上記コーヒー抽出液における総香気量の増加によりもたらされる、項8に記載のコーヒー飲料の香気を改善する方法。
本発明の別の実施形態において、上記香気成分の改善が、総香気量に占める、2−メチルフランの割合増加、且つアセトアルデヒド及び/又はアセトンからなる群より選択される少なくとも1種の割合低下によりもたらされる、項8又は9に記載のコーヒー飲料の香気成分を改善する方法を提供することも可能である。
本発明により、味や香りに優れたコーヒー飲料の製造方法を提供することができる。特に、本発明により総香気量が増大されたコーヒー飲料の製造方法が提供される。
[コーヒー飲料を製造する方法]
本発明は、焙煎コーヒー豆に対して水又は温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、
上記焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理し、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理した後に回収することで第1の抽出液を得る第1抽出工程、及び、
上記第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る第2抽出工程
を含むコーヒー飲料を製造する方法に関する。
[焙煎コーヒー豆]
コーヒー豆の品種は、特に制限されるものではなく、例えば、アラビカ種、ロブスタ種、アラブスタ種、リベリカ種等のものが挙げられる。コーヒー豆の品種は、アラビカ種またはロブスタ種をさらに細分化して、例えば、ティピカ種、スマトラ種、ムンドノーボ種、アカイア種、ケント種、マラゴジペ種、ブルボン種、カツーラ種、カツアイ種、アマレロ種、コニロン種、ウガンダ種等が挙げられる。コーヒー豆は、複数の種類をブレンドした豆を用いてもよい。
コーヒー豆の産地は、特に制限されるものではなく、例えば、ブラジル、ベトナム、コロンビア、インド、ホンジュラス、ペルー、メキシコ、グアテマラ、コスタリカ、タンザニア、ケニア、イエメン、エチオピア、インドネシア、ジャマイカ、ハワイ等が挙げられる。
コーヒー豆の焙煎は、公知の方法及び装置で行うことができ、焙煎の程度は、目的とするコーヒー飲料に応じて適宜調節することができる。ただし、焙り豆本来の香りを十分抽出するためには、焙煎後の保存期間は短いほどよい。
本明細書において、「焙煎」とは、コーヒー豆を煎ることをいい、具体的には乾燥状態でコーヒー豆を高温で加熱することをいう。焙煎の条件は、コーヒー豆の品種や状態、求める焙煎度合いによって適宜変更され得るが、例えば、焙煎温度は100℃〜400℃とすることができ、110℃〜350℃とすることが好ましく、120℃〜300℃とすることがより好ましく、130℃〜280℃とすることが更に好ましく、150℃〜250℃とすることが特に好ましい。また、焙煎時間は、例えば、1分〜120分とすることができ、2分〜90分とすることが好ましく、3分〜60分とすることがより好ましく、3分〜30分とすることが更に好ましく、3分〜20分とすることが特に好ましい。その他、特殊な焙煎方法として、スチーム焙煎や赤外線焙煎、マイクロ波焙煎等によってコーヒー豆を焙煎することも可能である。
焙煎コーヒー豆のL値は、特に制限されるものではなく、例えば、14〜40とすることができる。本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆のL値は、14以上とすることが好ましく、14.5以上とすることがより好ましく、15以上とすることが更に好ましく、15.5以上とすることが特に好ましく、16以上とすることが最も好ましい。また、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆のL値は、40以下とすることが好ましく、35以下とすることがより好ましく、30以下とすることが更に好ましく、27以下とすることが特に好ましく、25以下とすることが最も好ましい。また、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆のL値は、14〜40とすることが好ましく、14.5〜35とすることがより好ましく、15〜30とすることが更に好ましく、15.5〜27とすることが特に好ましく、16〜25とすることが最も好ましい。本明細書において、L値とは、コーヒー豆の焙煎の程度を色(明度)で評価するための値であり、黒を0、白を100として、色差計で測定することができる。色差計としては、日本電色工業(株)色差計モデルZE−6000を用いることができる。
本発明の焙煎コーヒー豆は、1種単独でも、2種以上が混合されたものでもよい。2種以上の焙煎コーヒー豆の混合物である場合、豆品種や産地の異なるコーヒー豆だけでなく、焙煎度の異なるコーヒー豆の組み合わせであってもよい。焙煎度の異なるコーヒー豆の混合物である場合、L値が上記範囲外のものが含まれていても差し支えないが、L値の平均値が上記範囲内であることが好ましい。L値の平均値は、焙煎コーヒー豆のL値に、当該焙煎コーヒー豆の含有質量比を乗じた値の総和として求められる。
本発明において用いられる焙煎コーヒー豆の量は、抽出器の種類や容量、製品の種類等によって適宜変更されるが、例えば、20g以上とすることができ、50g以上であることが好ましく、80g以上であることがより好ましく、100g以上であることが更に好ましい。また、本発明において用いられる焙煎コーヒー豆の量は、例えば、2000kg以下とすることができ、1500kg以下であることが好ましく、1000kg以下であることがより好ましく、500kg以下であることが更に好ましい。また、本発明において用いられる焙煎コーヒー豆の量は、例えば、20g〜2000kgとすることができ、50g〜1500kgとすることが好ましく、80g〜1000kgとすることがより好ましく、100g〜500kgとすることが更に好ましい。
焙煎されたコーヒー豆は、製品の種類等によって、適切な大きさに粉砕して用いることができる。粉砕は、汎用の粉砕機を用いて行うことができ、高速回転式、ジェット式、ローラー式、シリンダー式、円板式、衝撃式等の粉砕機を用いて行われる。
焙煎コーヒー豆の粉砕の程度は、特に限定されず、例えば、粗挽き、中挽き、細挽き、中細挽き等を用いることができる。焙煎コーヒー豆の平均粒径の測定は特に限定されないが、例えば、網目を備えた金属メッシュにより規定することが可能である。平均粒径が小さすぎると目詰まりが発生することの観点から、JIS標準のメッシュにおいて5〜200番により平均粒径を規定することが好ましい。
コーヒーの抽出に用いられる水は、特に制限されず、天然水、地下水、水道水、蒸留水、イオン交換水等が挙げられる。また、コーヒーの抽出に用いられる水は、硬水であってもよく、軟水であってもよい。
[第1抽出工程]
第1抽出工程では、まず焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理がなされる。加水温度を30℃以下にすることで、コーヒー豆が有する香りを変化させることなく溶出することが目的である。第1抽出工程で用いる低温水は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、15℃以上30℃以下とすることが好ましく、20℃以上30℃以下とすることがより好ましく、25℃以上30℃以下とすることが特に好ましい。本明細書において、接触処理とは、焙煎コーヒー豆の少なくとも一部と加水した水又は温水とを触れ合わせることをいう。焙煎コーヒー豆の少なくとも一部と加水した水又は温水が接触することにより、焙煎コーヒー豆に含まれる香気成分や風味成分が抽出される。
焙煎コーヒー豆と低温水との混合比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水重量1〜15部とすることができる。焙煎コーヒー豆と低温水との混合比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水重量2〜14部とすることが好ましく、3〜13部とすることがより好ましく、3〜12部とすることがさらに好ましく、3〜11部とすることが特に好ましく、3〜10部とすることが最も好ましい。
低温水を用いた接触処理時間は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され限定はされないが、例えば、1〜120分とすることができ、2〜100分が好ましく、3〜80分がより好ましく、4〜60分が更に好ましく、5〜40分が特に好ましく、5〜30分が最も好ましい。
第1抽出工程では、低温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理がなされる。前記範囲内の温度は、酸味、苦み成分をバランスよく抽出し、過剰な溶出を制御するのに適した温度である。低温水で接触処理した後に抽出液の回収を行わないことで、香気成分の揮散を抑制し、最終製品中の総香気量を増大させることが可能となる。また、低温水で接触処理した後に続けて中温水を加水することで、焙煎コーヒー豆の温度は徐々に高まり、種々の香気成分や風味成分がバランス良く抽出されることが期待される。第1抽出工程で用いる中温水は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、30.5℃以上60℃以下とすることが好ましく、31℃以上60℃以下とすることがより好ましく、32℃以上60℃以下とすることが更に好ましく、33℃以上60℃以下とすることが更により好ましく、34℃以上60℃以下とすることが特に好ましく、35℃以上60℃以下とすることが最も好ましい。第1抽出工程で用いる中温水は、更に総香気量を増大させる観点から、35℃以上55℃以下とすることが好ましく、35℃以上50℃以下とすることがより好ましく、35℃以上45℃以下とすることが更に好ましい。
焙煎コーヒー豆と中温水との混合比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、中温水重量1〜15部とすることができる。焙煎コーヒー豆と中温水との混合比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、中温水重量2〜14部とすることが好ましく、3〜13部とすることがより好ましく、3〜12部とすることがさらに好ましく、3〜11部とすることが特に好ましく、3〜10部とすることが最も好ましい。
中温水を用いた接触処理時間は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され限定はされないが、例えば、1〜120分とすることができ、2〜100分が好ましく、3〜80分がより好ましく、4〜60分が更に好ましく、5〜40分が特に好ましく、5〜30分が最も好ましい。
第1抽出工程では、中温水を加水して接触処理した後に抽出液を回収することで第1の抽出液を得る。抽出及び抽出液の回収は、汎用の抽出器を用いて行うことができるが、ピストンフロー方式の抽出器が好ましい。ピストンフローで水や温水を供給することで、加水温度、加水量、抽出液の温度並びに採液量を正確にコントロールすることが可能である。
第1の抽出液の回収液量(重量)は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され制限されないが、例えば、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、1〜15部とすることができ、2〜14部とすることが好ましく、3〜13部とすることがより好ましく、3〜12部とすることがさらに好ましく、3〜11部とすることが特に好ましく、3〜10部とすることが最も好ましい。
第1抽出工程において、水又は温水の加水方法は、特に制限されない。水又は温水の加水方法は、例えば、焙煎コーヒー豆に対して1つ又は複数のノズルから水又は温水を連続的又は断続的に直接加水することも可能であり、焙煎コーヒー豆に対して1つ又は複数のノズルから水又は温水を連続的又は断続的に噴霧して加水することも可能である。
[第2抽出工程]
第2抽出工程では、第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る。高温水を前記範囲内にすることで、濃厚感を与える成分を抽出することができる。95℃以上で抽出するためには抽出器を加圧する必要が生じる。加圧下に100℃以上の抽出温度とした場合、常圧のみで抽出を行う場合とは異なる独特の風味の抽出液を得ることもできる。
第2抽出工程で用いる高温水は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、60℃超過130℃以下とすることが好ましく、60.5℃以上125℃以下とすることがより好ましく、61℃以上120℃以下とすることが更に好ましく、62℃以上110℃以下とすることが更により好ましく、63℃以上100℃以下とすることが更により好ましく、64℃以上98℃以下とすることが更により好ましく、65℃以上95℃以下とすることが特に好ましく、70℃以上95℃以下とすることが最も好ましい。
加圧抽出を行う場合は、加圧圧力は、例えば、0.14〜1.90MPaとすることができ、0.14〜0.91MPaとすることが好ましく、0.14〜0.30MPaとすることがより好ましい。
焙煎コーヒー豆と高温水との混合比は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節されるが、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、高温水重量1〜15部とすることができる。焙煎コーヒー豆と高温水との混合比は、本発明の効果を顕著に奏する観点から、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、高温水重量2〜14部とすることが好ましく、3〜13部とすることがより好ましく、4〜12部とすることがさらに好ましく、5〜11部とすることが特に好ましく、6〜10部とすることが最も好ましい。
高温水を用いた接触処理時間は、焙煎コーヒー豆の種類、量、加圧の有無等により適宜調節され限定はされないが、例えば、1〜120分とすることができ、2〜100分が好ましく、3〜80分がより好ましく、4〜60分が更に好ましく、5〜40分が特に好ましく、5〜30分が最も好ましい。
第2抽出工程における抽出方法や加水方法は、第1抽出工程の方法に準じる。
第1抽出工程における加水量と第2抽出工程における加水量の重量比率は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され制限されないが、総香気量を増大させる観点から、例えば1:0.1〜10とすることができ、1:0.1〜8とすることができ、1:0.2〜6が好ましく、1:0.3〜4がより好ましく、1:0.5〜2が更に好ましい。
第2の抽出液の回収液量(重量)は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され制限されないが、例えば、焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、1〜15部とすることができ、2〜14部とすることが好ましく、3〜13部とすることがより好ましく、4〜12部とすることがさらに好ましく、5〜11部とすることが特に好ましく、6〜10部とすることが最も好ましい。
本発明のコーヒー飲料を製造する方法は、第1及び第2の抽出液を混合してコーヒー抽出液とする混合工程をさらに含んでいてもよい。
第1の抽出液の抽出液量と第2の抽出液の抽出液量とを混合する重量比率は、焙煎コーヒー豆の種類や量等により適宜調節され制限されないが、総香気量を増大させる観点から、例えば1:0.1〜10とすることができ、1:0.1〜8とすることができ、1:0.2〜6が好ましく、1:0.3〜4がより好ましく、1:0.5〜2が更に好ましい。
第1抽出工程及び第2抽出工程は、同一の抽出器において連続して行われてもよい。2つの工程を同一の抽出器において連続して行うことにより、香気成分が大気中に揮散することを抑制することが期待でき、更に生産効率を向上させることができる。
本発明において、コーヒー飲料を製造する際には、公知の方法により、加熱工程を含めることができる。限定はされないが、コーヒー本来の風味成分や香気成分の揮散を抑制することの観点から、加熱工程はレトルト殺菌によりなされることが好ましい。
コーヒー飲料は、缶コーヒー製品、ペットボトル製品、又は紙カップに充填された製品等、公知の方法により、製品化される。また、噴霧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等の公知の乾燥方法により、粉末状のコーヒー製品とすることも可能である。また、濃縮若しくは、デキストリン、アラビアガム等の公知の賦形剤を添加することにより、ペースト状製品とすることも可能である。本発明によるコーヒー飲料は、コーヒー本来の風味成分や香気成分の揮散を抑制することの観点から、容器詰めコーヒー飲料として提供されることが好ましい。
また、コーヒー飲料の製品化においては、香料、牛乳、クリーム、砂糖、乳化剤、シロップ等の公知の成分を添加することが可能である。
コーヒー飲料の製品化においては、無糖コーヒー、加糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレ、カフェラテ、エスプレッソ、カプチーノ、キャラメルコーヒー等のコーヒー飲料製品、コーヒー風味のアイスクリーム、ソフトクリームまたはシャーベット等の冷菓製品、コーヒー風味のキャンディ、ゼリー、クラッカー、ビスケット、ケーキ、チョコレート、煎餅、饅頭、パン、チップス等の菓子製品とすることも可能である。本発明によるコーヒー飲料は、コーヒー本来の風味成分や香気成分の揮散を抑制することの観点から、容器詰めブラックコーヒー飲料として提供されることが好ましい。また、本発明によるコーヒー飲料は、コーヒー本来の風味成分や香気成分の揮散を抑制することの観点から、香料無添加として提供されることが好ましい。
[コーヒー飲料の香気を改善する方法]
本発明は、焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理し、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理した後に回収することで第1の抽出液を得る第1抽出工程、及び
上記第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る第2抽出工程
を含むコーヒー飲料の香気を改善する方法に関する。
コーヒー飲料の香気を改善する方法における第1抽出工程、第2抽出工程、その他の条件は、上記のコーヒー飲料を製造する方法に準じる。
コーヒー飲料の香気は、総香気量を測定することで評価することができる。総香気量の測定方法は限定されないが、例えば、ガスクロマトグラフィー法を用いて以下の条件で測定することができる。
(1)試料の採取
試料10mlをバイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、オートサンプラーTurbo Matrix40(Perkin Elmer製)にて80℃で30分間加温した後サンプリングし、ガスクロマトフィーにて分析を行う。
(2)測定条件
測定装置:GC−2010 PLUS(島津製作所製)
カラム:InertCap WAX 0.32mm×60m
キャリヤーガス:ヘリウム
ガス流量:3ml/min
カラム温度:35℃・2min→45℃・0min(2℃/minにて昇温)→100℃・3min(12℃/minにて昇温)→180℃・2min(12℃/minにて昇温)→225℃・4min(20℃/minにて昇温)
検出器:FID
香気成分は低沸点であり、測定において短い保持時間に認められるピークが該当する。評価の結果は、保持時間が0分〜30分のピークの強度をデータ処理装置により積算し、総ピーク強度として示すことができる。
本明細書において、コーヒー飲料の香気が改善するとは、総香気量が少なくとも10%増加することをいう。限定はされないが、従来の工業的な抽出法(例えば95℃の温水と接触処理)と比較した場合に、総香気量が50%増加することが好ましく、60%増加することがより好ましく、70%増加することが更に好ましく、80%増加することが更により好ましく、90%増加することが特に好ましく、100%増加することが最も好ましい。
また、コーヒー飲料の香気は、コーヒーの香りとして特徴的な各々の香気成分を測定することで評価することができる。このような香気成分は、特に限定されないが、例えば、2−メチルフラン、アセトアルデヒド、又はアセトン等が挙げられる。各々の香気成分の測定方法は限定されないが、例えば、上記ガスクロマトグラフィー法を用いた条件で各々の香気成分のピーク面積から算出することが可能である。
香気成分として2−メチルフランを測定する場合は、従来の工業的な抽出法(例えば95℃の温水と5分間接触処理)と比較した場合に、総香気量に占める2−メチルフランの含有率が少なくとも2%増加することが好ましく、5%増加することがより好ましく、8%増加することが更に好ましく、10%増加することが特に好ましい。
香気成分としてアセトアルデヒド、又はアセトンを測定する場合は、従来の工業的な抽出法(例えば95℃の温水と5分間接触処理)と比較した場合に、総香気量に占めるアセトアルデヒド、又はアセトンの含有率が少なくとも2%低下することが好ましく、5%低下することがより好ましく、8%低下することが更に好ましく、10%低下することが特に好ましい。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
1.総香気量及び各香気成分の評価1
(1)評価試料の作成
[条件:A−1]
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、25℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。低温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に35℃の中温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第1の抽出液とした。
第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に更に70℃の高温水2500gを加水して、25分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収して第2の抽出液とした。
第1の抽出液及び第2の抽出液は分離することなく同一の容器に採取し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液である混合抽出液としての(実施例)の評価試料とした。
[条件:A−2]
95℃の高温水を用いたこと以外は、条件A−1と同様の条件で評価試料を得た。
[条件:B−1]
60℃の中温水を用いたこと以外は、条件A−1と同様の条件で評価試料を得た。
[条件:B−2]
60℃の中温水及び95℃の高温水を用いたこと以外は、条件A−1と同様の条件で評価試料を得た。
[条件:C−1]
30℃の低温水を用いたこと以外は、条件A−1と同様の条件で評価試料を得た。
[条件:C−2]
30℃の低温水及び95℃の高温水を用いたこと以外は、条件A−1と同様の条件で評価試料を得た。
[条件:D−1]
30℃の低温水及び60℃の中温水を用いたこと以外は、条件A−1と同様の条件で評価試料を得た。
[条件:D−2]
30℃の低温水、60℃の中温水及び95℃の高温水を用いたこと以外は、条件A−1と同様の条件で評価試料を得た。
[条件:コントロールA]
焙煎したコーヒー豆の粉砕物300gを抽出器に仕込み、30℃の低温水900gを加水して、10分間接触処理を行った(焙煎コーヒー豆の種類や、L値、平均粒径は条件A−1と同様)。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第1の抽出液とした。第1の抽出液を回収した後の焙煎コーヒー豆に更に90℃の高温水900gを加水して、10分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第2の抽出液とした。抽出中のコーヒー豆と温水の混合物の温度は約50℃であった。第2の抽出液を回収した後の焙煎コーヒー豆にさらに90℃の高温水2200gを加水して、20分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収して第3の抽出液とした。
第1の抽出液、第2の抽出液、及び第3の抽出液は分離することなく同一の容器に採取し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液である混合抽出液としての(コントロールA)の評価試料とした。コントロールAの条件は、焙煎コーヒー豆に3種類の温度帯の水又は温水を接触処理させ、温度帯毎に3回の抽出を行った比較例である。
[条件:コントロールB]
焙煎したコーヒー豆の粉砕物300gを抽出器に仕込み、95℃の高温水3000gを加水して、30分間接触処理を行った(焙煎コーヒー豆の種類や、L値、平均粒径は条件A−1と同様)。抽出液を抽出器より取り出して容器に採取し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液(コントロールB)の評価試料とした。コントロールBの条件は、従来の工業的な抽出法に基づく比較例である。
(2)総香気量の評価
実施例の評価試料(条件:A−1〜D−2)と比較例の評価試料(条件:コントロールA及びB)について、ガスクロマトグラフィー法を用いて香気成分の総量を測定することにより比較を行った。各実施例及び比較例の評価試料は、Brix値を1.2に調製して用いた。
[試料の採取条件]
上述の(実施例)評価試料10mlをバイアル瓶に採取し、密栓した。密栓したバイアル瓶を、オートサンプラーTurbo Matrix40(Perkin Elmer製)にて80℃で30分間加温した後サンプリングし、ガスクロマトフィーにて分析を行った。
[測定条件]
測定装置:GC−2010 PLUS(島津製作所製)
カラム:InertCap WAX 0.32mm×60m
キャリヤーガス:ヘリウム
ガス流量:3ml/min
カラム温度:35℃・2min→45℃・0min(2℃/minにて昇温)→100℃・3min(12℃/minにて昇温)→180℃・2min(12℃/minにて昇温)→225℃・4min(20℃/minにて昇温)
検出器:FID
香気成分は低沸点であり、測定において短い保持時間に認められるピークがこれに該当する。評価の結果は、保持時間が0分〜30分のピークの強度をデータ処理装置により積算し、総ピーク強度として表1に示した。さらに、表1において、各評価試料のコントロールA又はコントロールBに対する総香気量の増加率(%)を求めた。
Figure 0006086640
表1に示すように、実施例の条件(A−1〜D−2)では、比較例の条件(コントロールA)に対して、得られたコーヒー抽出液における総香気量が顕著に増加しており、優れた風味を有していることが確認された。この結果により、焙煎コーヒー豆に3種類の温度帯の水又は温水を接触処理させ、温度帯毎に3回抽出液の回収を行うことに対して、低温水及び中温水を接触処理した後と高温水を接触処理した後との2回に分けて抽出液の回収を行う方が、総香気量が増加することが確認された。
また、表1に示すように、実施例の条件(A−1〜D−2)では、比較例の条件(コントロールB)に対して、得られたコーヒー抽出液における総香気量が顕著に増加しており、優れた風味を有していることが確認された。この結果により、実施例の条件(A−1〜D−2)では、従来の工業的な抽出法に対してコーヒー抽出液における総香気量が顕著に増加することが確認された。本発明を用いることにより、焙煎コーヒー豆が本来保持していた香気成分が失われることを抑制できるため、香気に優れたコーヒー飲料を提供することが可能となる。
(3)香気成分の評価
上記ガスクロマトグラフィー法の結果から、2−メチルフラン、アセトアルデヒド、又はアセトンについて、各香気成分のピーク面積をGC−2010 PLUSに付属の制御ソフトウエアにて算出した。また、実施例の条件(A−1〜D−2)における各香気成分のピーク面積が、比較例の条件(コントロールA又はコントロールB)に対して、どの程度増減しているかについての割合を求めた。結果を表2に示す。
Figure 0006086640
表2に示すように、実施例の条件(A−1〜D−2)では、比較例の条件(コントロールA)に対して、得られたコーヒー抽出液における2−メチルフランの面積割合が増加し、且つアセトアルデヒド及び/又はアセトンの面積割合が低下することが確認された。また、実施例の条件(A−1〜D−2)では、比較例の条件(コントロールB)に対して、得られたコーヒー抽出液における2−メチルフランの面積割合が増加し、且つアセトアルデヒド及び/又はアセトンの面積割合が低下することが確認された。本発明を用いることにより、コーヒー抽出液における香気成分のバランスが変化することで、香気に優れたコーヒー飲料を提供することが可能となる。
2.総香気量及び各香気成分の評価2
(1)評価試料の作成
[条件:E−1]
焙煎したコーヒー豆(ブラジル100%、L値=17)の平均粒径1.6mmの粉砕物300gを容量4000ml、ステンレス製の抽出器に仕込み、30℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った。低温水で接触処理されている焙煎コーヒー豆に更に60℃の中温水900gを加水して、10分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第1の抽出液とした。
第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に更に90℃の高温水2200gを加水して、20分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収して第2の抽出液とした。
第1の抽出液及び第2の抽出液は分離することなく同一の容器に採取し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液である混合抽出液としての(実施例)の評価試料とした。
[条件:コントロールC]
焙煎したコーヒー豆の粉砕物300gを抽出器に仕込み、30℃の低温水1200gを加水して、10分間接触処理を行った(焙煎コーヒー豆の種類や、L値、平均粒径は条件E−1と同様)。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第1の抽出液とした。第1の抽出液を回収した後の焙煎コーヒー豆に更に60℃の中温水900gを加水して、10分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収し、第2の抽出液とした。第2の抽出液を回収した後の焙煎コーヒー豆にさらに90℃の高温水2200gを加水して、20分間接触処理を行った。直ちに抽出液を抽出器より回収して第3の抽出液とした。
第1の抽出液、第2の抽出液、及び第3の抽出液は分離することなく同一の容器に採取し、密閉容器に収納した後加熱殺菌を行い、冷却してコーヒー抽出液である混合抽出液としての(コントロールC)の評価試料とした。コントロールCの条件は、焙煎コーヒー豆に3種類の温度帯の水又は温水を接触処理させ、温度帯毎に3回の抽出を行った比較例である。コントロールCの加水温度の条件は、E−1と同様であり、低温水30℃、中温水60℃、高温水90℃に設定されている。
(2)総香気量及び香気成分の評価
上記[1.総香気量及び各香気成分の評価1]と同じ条件により、総香気量及び各香気成分の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 0006086640
表3に示すように、実施例の条件(E−1)では、比較例の条件(コントロールC)に対して、得られたコーヒー抽出液における総香気量が顕著に増加しており、優れた風味を有していることが確認された。この結果により、加水温度の条件を同一とした場合であっても、焙煎コーヒー豆に3種類の温度帯の水又は温水を接触処理させ、温度帯毎に3回抽出液の回収を行うことに対して、低温水及び中温水を接触処理した後と高温水を接触処理した後との2回に分けて抽出液の回収を行う方が、総香気量が増加することが確認された。本発明を用いることにより、焙煎コーヒー豆が本来保持していた香気成分が失われることを抑制できるため、香気に優れたコーヒー飲料を提供することが可能となる。
また、実施例の条件(E−1)では、比較例の条件(コントロールC)に対して、得られたコーヒー抽出液における2−メチルフランの面積割合が増加し、且つアセトアルデヒド及び/又はアセトンの面積割合が低下することが確認された。本発明を用いることにより、コーヒー抽出液における香気成分のバランスが変化することで、香気に優れたコーヒー飲料を提供することが可能となる。
(3)香気及び風味の官能評価
実施例の評価試料(条件:E−1)と比較例の評価試料(条件:コントロールC)について、官能評価により比較を行った。
上記の実施例の条件(E−1)又は比較例の条件(コントロールC)で得られたコーヒー抽出液の評価試料を缶容器に充填密封し、加熱殺菌(レトルト殺菌)後、10℃以下に冷却してから評価を行った。評価の方法は14人の専門パネラーによる官能評価であり、香り(トップノート、ラストノート、全体の香り)、風味(濃厚感、コク)の評価項目について、いずれの評価試料がより優れているかを選択した。トップノートは、評価試料の開封直後における飲用前及び/又は飲用直後の香りを評価した。ラストノートは、評価試料の飲用後の後に引く香りを評価した。全体の香りは、開缶から飲用後まで香りの総合的なバランスを評価した。結果を表4に示す。
Figure 0006086640
表4に示すように、実施例の条件(E−1)では、比較例の条件(コントロールC)に対して、トップノートにおける香りの立ち上がりが優れており、ラストノートに至るまで持続的な香りの放出が確認された。総合的に評価して香りのバランスにも優れており、且つ濃厚感やコクも味わえることが確認された。特に、香りの持続性及び濃厚感・コクについては、専門パネラー全体の85%以上が実施例の条件(E−1)を選択する結果となった。

Claims (6)

  1. 焙煎コーヒー豆に対して水又は温水を加えて抽出し、コーヒー飲料を製造する方法であって、
    該焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理し、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理した後に回収することで第1の抽出液を得る第1抽出工程、
    該第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る第2抽出工程、及び、
    該第1及び第2の抽出液を混合してコーヒー抽出液とする混合工程
    を含むコーヒー飲料を製造する方法。
  2. 前記焙煎コーヒー豆と低温水との混合比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、低温水重量1〜15部である、請求項1に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
  3. 前記焙煎コーヒー豆と中温水との混合比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、中温水重量1〜15部である、請求項1又は2に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
  4. 前記焙煎コーヒー豆と高温水との混合比が、前記焙煎コーヒー豆の乾燥重量1部に対して、高温水重量1〜15部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
  5. 前記第1抽出工程及び第2抽出工程が、同一の抽出器において連続して行われる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコーヒー飲料を製造する方法。
  6. コーヒー飲料の香気を改善する方法であって、
    焙煎コーヒー豆に10℃以上30℃以下の低温水を加水して接触処理し、さらに30℃超過60℃以下の中温水を加水して接触処理した後に回収することで第1の抽出液を得る第1抽出工程、
    該第1の抽出液を得た後の焙煎コーヒー豆に60℃超過130℃以下の高温水を加水して接触処理した後に回収して第2の抽出液を得る第2抽出工程、及び
    該第1及び第2の抽出液を混合してコーヒー抽出液とする混合工程
    を含むコーヒー飲料の香気を改善する方法であって、
    該香気の改善が、該コーヒー抽出液における総香気量の増加によりもたらされる、コーヒー飲料の香気を改善する方法。
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