JP5107324B2 - コーヒーエキス及びコーヒー飲料の製造方法 - Google Patents

コーヒーエキス及びコーヒー飲料の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5107324B2
JP5107324B2 JP2009214933A JP2009214933A JP5107324B2 JP 5107324 B2 JP5107324 B2 JP 5107324B2 JP 2009214933 A JP2009214933 A JP 2009214933A JP 2009214933 A JP2009214933 A JP 2009214933A JP 5107324 B2 JP5107324 B2 JP 5107324B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coffee
extract
roasted
beans
deep
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2009214933A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2011062127A (ja
Inventor
明夫 杉本
働 塚本
Original Assignee
株式会社 伊藤園
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社 伊藤園 filed Critical 株式会社 伊藤園
Priority to JP2009214933A priority Critical patent/JP5107324B2/ja
Publication of JP2011062127A publication Critical patent/JP2011062127A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5107324B2 publication Critical patent/JP5107324B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tea And Coffee (AREA)

Description

本発明は、クロロゲン酸を多く含むコーヒーエキス、その製造方法、及び該コーヒーエキスを含むコーヒー飲料に関する。
コーヒー等の食品に含まれているクロロゲン酸類は、抗酸化作用や抗高血圧作用を有している。クロロゲン酸類はコーヒーの生豆に多く含まれているが、焙煎するとその多くが分解されてしまうため、一般にコーヒー飲料には高濃度のクロロゲン酸類は含まれていない。
クロロゲン酸類を高濃度で含むコーヒー飲料を製造するためには、従来、生コーヒー豆又はクロロゲン酸が低減しない程度の浅煎り焙煎豆を、水又は含水水混和性有機溶媒で抽出していた。しかし、生コーヒー豆又は浅煎り豆の抽出物は、クロロゲン酸を高濃度で含むものの、穀物臭が強く風味が弱いため、飲用には全く適していない。そこで例えば特許文献1には、L値16〜20の焙煎コーヒー豆より得られた抽出液に、L値25以上の焙煎コーヒー豆又は生コーヒー豆より得られた抽出物を添加し、クロロゲン酸類含有量を調整することが記載されている。しかしながら、生コーヒー豆又は浅煎り豆の抽出物を深煎り豆の抽出液と混合しても、生豆又は浅煎り豆に由来する穀物臭が影響を及ぼし、コーヒー飲料として受け入れられる風味ではないという問題があった。
特許第3973670号公報
クロロゲン酸類を高濃度で含有しながらも、穀物臭がなく、良好な風味を有するコーヒー飲料を製造できるコーヒーエキスを提供することを目的とする。また、該コーヒーエキスの製造方法、並びに該コーヒーエキスを含むコーヒー飲料を提供することを目的とする。
本発明の一つの態様において、浅煎りコーヒー豆から抽出液を取得する工程と、前記抽出液を50〜90℃の範囲の温度で濃縮する工程とを含む、コーヒーエキスの製造方法が提供される。
本発明の他の態様において、上記の製造方法により得られたコーヒーエキスを、深煎りコーヒー豆抽出液と混合することを特徴とするコーヒー飲料の製造方法が提供される。
本発明のさらなる態様において、浅煎りコーヒー豆から抽出液を取得し、前記抽出液を50〜90℃の範囲の温度で濃縮することによりコーヒーエキスを得る第一工程と、深煎りコーヒー豆から抽出液を取得する第二工程と、前記第一工程で得られたコーヒーエキスと前記第二工程で得られた深煎りコーヒー豆の抽出液とを混合する第三工程とを含むことを特徴とするコーヒー飲料の製造方法が提供される。
本発明によれば、深煎りコーヒー豆の抽出液に添加することによりクロロゲン酸類を高濃度で含み、且つ、風味が良好なコーヒー飲料を製造することができるコーヒーエキス、並びに該コーヒーエキスを含むコーヒー飲料を提供することが可能である。
フレーバーホルダーRC-30によるクロマトグラム。
本発明のコーヒーエキスは、クロロゲン酸類を0.6重量%以上の濃度で含有し、且つ、穀物臭が弱いことを特徴とする。本発明のコーヒーエキスは、コーヒー飲料の製造において、深煎りコーヒー豆の抽出液に添加することにより、コーヒー飲料のクロロゲン酸類の含有量を調整するとともに、風味を向上させることが可能である。
より好ましくは、本発明のコーヒーエキスは、クロロゲン酸類を0.6重量%〜18重量%、さらに好ましくは0.9重量%〜12重量%、特に好ましくは1.5重量%〜9重量%の濃度で含有する。
さらに、本発明のコーヒーエキスは、Brixが4〜60であり、好ましくは6〜40、特に好ましくは10〜30である。
本発明のコーヒーエキスは、Brixが2〜6のコーヒー豆の抽出液を加熱しながら濃縮することによって得られる濃縮エキスである。このような濃縮エキスは、浅煎りコーヒー豆から抽出液を取得する工程と、前記抽出液を50〜90℃の範囲の温度で濃縮する工程とを含む製造方法によって製造することができる。
浅煎りコーヒー豆は、コーヒーの生豆を浅く焙煎したものであり、クロロゲン酸含有率の観点からL値が30〜50の範囲に焙煎することが好ましい。焙煎は通常の方法により行ってよく、焙煎環境や焙煎温度などの条件も特に限定されず、適宜決定することができる。
本発明のコーヒーエキスの製造方法は、まず、浅煎りコーヒー豆を抽出し、抽出液を取得する。抽出は通常の方法により行ってよく、例えば、ボイリング式、エスプレッソ式、サイホン式、又はドリップ式(ペーパー、ネル)、カラム式(連続抽出)のような方法を用いることができるがこれらに限定されない。抽出条件も特に限定されず、例えば、浅煎りコーヒー豆又はその粉砕物を、水〜熱水(0〜100℃)を用いて10秒〜30分抽出することができる。
次いで、得られた抽出液を50〜90℃の範囲の温度で濃縮する。本発明者らは、浅煎りコーヒー豆の抽出液を50℃以上の温度で濃縮することにより、浅煎りコーヒー豆に由来する穀物臭が低減されることを見出した。一般に、濃縮すると成分の含有量が高くなると考えられ、実際にクロロゲン酸類の含有量は増大する。従って、穀物臭も強くなると予想されるところ、驚くべきことに、濃縮によって穀物臭が低減し、さらに、後味に残るビター感及び濃厚感が生じ、風味のバランスが良好になることが見出された。
従って、浅煎りコーヒー豆の抽出液を50℃以上の温度で濃縮することにより、クロロゲン酸類を高濃度で含み、且つ穀物臭が低減され、後味に残るビター感及び濃厚感を有する風味良好なコーヒーエキスを製造することが可能である。
濃縮温度は、50℃未満である場合、濃縮時間が長くなるほか、穀物臭が残ってしまい、風味のバランスが悪くなる。また、濃縮温度が90℃を超える場合、穀物臭は低減されるものの酸味が強くなり、特に、100℃で沸騰濃縮した場合は酸味が強くなりすぎ、コーヒー本来の風味が損なわれてしまう。より好ましくは、抽出液は60〜70℃の範囲の温度で濃縮される。この温度範囲で濃縮されたコーヒーエキスは、より後味に残るビター感が強調され且つ風味のバランスが良好である。
浅煎りコーヒー豆の抽出液の濃縮は、特に減圧濃縮によって行われることが好ましい。減圧濃縮によれば、品質に影響を及ぼさずにより短時間で穀物臭を低減できる。
以上の方法によって得られたコーヒーエキスは、クロロゲン酸類を0.6重量%以上の濃度で含有しながらも、浅煎りコーヒー豆に由来する穀物臭が弱く、さらに、後味に残るビター感を有し、風味のバランスが良好である。
本発明のコーヒーエキスは、100gあたり生豆換算でのコーヒー豆を18g〜272g、好ましくは27g〜181g、特に好ましくは45g〜136g抽出したものをいう。
本発明におけるクロロゲン酸類には、3-カフェオイルキナ酸(3CQA)、4-カフェオイルキナ酸(4CQA)及び5-カフェオイルキナ酸(5CQA)のようなモノカフェオイルキナ酸類、3-フェルラキナ酸(3FQA)、4-フェルラキナ酸(4FQA)及び5-フェルラキナ酸(5FQA)のようなモノフェルラキナ酸類、及び、3,4-ジカフェオイルキナ酸(3,4diCQA)、3,5-ジカフェオイルキナ酸(3,5diCQA)及び4,5-ジカフェオイルキナ酸(4,5diCQA)のようなジカフェオイルキナ酸類が含まれる。
本発明のコーヒーエキス及びコーヒー飲料の原料として用いるコーヒー豆の種類は、アラビカ種及びロブスタ種の何れであってもよい。より詳細には、ブラジル、コロンビア、ベトナム、タンザニア及びモカから選択されるコーヒー豆であってよいがこれらに限定されない。コーヒー豆は1種を単独で用いてもよく、或いは複数種をブレンドして用いてもよい。アラビカ種をコーヒーエキスの原料として用いた場合、酸味が際立つ傾向があるため、より好ましくはロブスタ種のコーヒー豆が用いられる。
本発明のコーヒーエキスは、適切なpHであることが好ましい。pHが低い場合は、酸味が強く感じられる傾向がある。一方、pHが高い場合は、風味が弱く塩味が強くなる傾向があり、また、5CQAが異性化して減少する傾向がある。pHの調整は、コーヒーエキスにアスコルビン酸及び重曹などを添加することによって行ってもよい。或いは、浅煎りコーヒー豆の抽出時に、抽出液にアスコルビン酸及び重曹などを添加することによって行ってもよい。また或いは、抽出液とコーヒーエキスの両方で調整してもよい。
コーヒーエキスのpHは5〜6.5の範囲であることが好ましい。より好ましくは、コーヒーエキスのpHは5.1〜6の範囲内であり、特に好ましくは5.3〜5.8の範囲内である。例えば、コーヒーエキスのpHが約5.3である場合、穀物臭が低減され、やや酸味を有し、且つビター感が強調され、風味が良好であった。また、コーヒーエキスのpHを重曹で約5.7に調整した場合、調整しなかった場合に比べて風味がまろやかであった。
浅煎りコーヒー豆の抽出液のpHは4.8〜6.6の範囲であることが好ましい。より好ましくは、抽出液のpHは5.0〜6.4の範囲内であり、特に好ましくは5.3〜6.2の範囲内である。例えば、抽出液のpHが約5.3である場合、穀物臭が低減され、やや酸味を有し、且つビター感が強調され、風味が良好であった。また、抽出液のpHを重曹で約6.2に調整した場合、調整しなかった場合に比べて風味がまろやかであった。
本発明の他の態様において、上記のコーヒーエキスを含むコーヒー飲料が提供される。このようなコーヒー飲料は、上記のコーヒーエキスと深煎りコーヒー豆の抽出液を含む。深煎りコーヒー豆の抽出液に上記のようなコーヒーエキスを混合することにより、クロロゲン酸類を高濃度で含有しながらも、風味が良好なコーヒー飲料を提供することができる。具体的には、浅煎りコーヒー豆に由来する穀物臭が軽減され、且つ、コーヒー本来の風味を保持したまま、さらに後味に残るビター感及び濃厚感が強調されたコーヒー飲料を提供することができる。
本発明のコーヒー飲料は、コーヒーエキスと深煎りコーヒー豆の抽出液を、固形分換算値で1:1.5〜1:19の範囲の配合比で含み、より好ましくは、1:2.3〜1:9の配合比で含む。ここで、固形分換算値は、下式で表される:
固形分換算値=コーヒーエキス又は深煎りコーヒー豆抽出液のBrix/100×配合量
<試験1>
コーヒー豆の焙煎度と、それらのコーヒー豆を用いて作製した熱水抽出物に含まれるクロロゲン酸類の含有率(重量%)の関係を調べた。コーヒー豆を表2に示したL値に焙煎し、粉砕機により粉砕した後、20倍量(重量基準)の90℃の温水を加え、10分間撹拌しながら抽出した。抽出混合物を150メッシュの篩を用いて濾過してコーヒー豆の残渣を除去し、30℃以下に冷却した。濾過して得られた液を濃縮し、その後、凍結乾燥することにより熱水抽出物を得た。
熱水抽出物に含まれるクロロゲン酸類の含有率を、HPLC法により測定した。HPLC法の測定条件は下記の通りである。分析カラムは、Imtakt Cadenza CD-C18 100×4.6mmを用いた。移動相は、A液 0.05M 酢酸、B液 0.05M 酢酸含有100% アセトニトリルを用い、表1に示すグラジェントプログラムで送液した。また、カラム温度は40℃、サンプルクーラーは4℃に設定し、検出波長はUV325nmで測定した。
Figure 0005107324
検量線作成方法:
5-カフェオイルキナ酸(5CQA)の標準品(和光純薬工業株式会社製)を蒸留水で5ppm〜200ppm程度の範囲内で5段階の濃度になるように調製し標準液とした。各濃度の標準液を0.45μmフィルターでろ過した後、HPLCに注入し、得られたピーク面積値と濃度から5点検量線を作成した。
試料の調製及び定量方法:
各試料100mgを正確に量り、100mLのメスフラスコに入れ蒸留水で溶解後、定容し、0.45μmのフィルターで濾過後、HPLCに注入した。定量は5CQAのみ前記5点検量線法により行い含有率(重量%)として算出した。3-カフェオイルキナ酸(3CQA)、4-カフェオイルキナ酸(4CQA)、3-フェルラキナ酸(3FQA)、4-フェルラキナ酸(4FQA)、5-フェルラキナ酸(5FQA)、3,4-ジカフェオイルキナ酸(3,4diCQA)、3,5-ジカフェオイルキナ酸(3,5diCQA)、4,5-ジカフェオイルキナ酸(4,5diCQA)は、フレーバーホルダーRC-30(長谷川香料株式会社)により定性を行い、各ピークの面積値を5CQAの検量線を用いて5CQA相当量として定量し、含有率(重量%)として算出した。図1に、生豆抽出物についてのフレーバーホルダーRC-30によるクロマトグラムを示した。
表2に分析結果を示した。なお、以降の表中でTotal CQAとは3CQA、4CQA及び5CQAの総量を意味し、Total FQAとは3FQA、4FQA及び5FQAの総量を意味し、Total diCQAとは3,4diCQA、3,5diCQA及び4,5diCQAの総量を意味し、Totalとは以上のクロロゲン酸類の全ての総量を意味する。
Figure 0005107324
表2から、5CQA、CQAの総量、FQAの総量、diCQAの総量、及びクロロゲン酸類の総量は、いずれも、L値が低くなるほど、即ち、焙煎が深くなるほど減少していることが示された。
<試験2>
コーヒーエキスの製造工程における濃縮温度と風味の関係を官能評価により調査した。L値33に焙煎したコーヒー豆(ベトナムG-1P)800gを90℃の温水7200g中で15分間撹拌し、抽出した。これをザル及び150メッシュの篩を用いて濾過し、コーヒー残渣(固形分)を分離して抽出液を得た。抽出液を30℃以下に冷却し、次いでネルろ過した。ネルろ過後の抽出液の量は5392gであった。抽出液のpHは5.24、Brixは3.53であり、抽出効率は23.8%であった。この抽出液を8等分し、サンプル1〜7及びコントロール用の抽出液とした。
サンプル1〜6用の抽出液を、エバポレーターにより、それぞれ30℃、40℃、50℃、60℃、70℃、80℃の温度で加熱しながら、焙煎豆の1.3倍量(約130g(おおよその生豆相当量))以下になるまで減圧濃縮し、サンプル7用の抽出液は100℃で沸騰濃縮した。
その後、各濃縮液の液量が130gになるように蒸留水で微調整し、サンプル1〜7のコーヒーエキスを得た。コントロールは、ネルろ過後の抽出液を濃縮せずにそのまま用いた。各コーヒーエキスのBrix、pH、5CQA、クロロゲン酸類の総量の分析結果を表3に示した。
Figure 0005107324
サンプル1〜7及びコントロールを、蒸留水で希釈してBrixを1に調整し、官能評価を行った。官能評価は、専門のパネラー6人により行い、穀物臭、ビター感、風味のバランス、酸味、総合評価(美味しさ)に関する項目について、コントロールを0点として±10点で採点した。その結果を表4に示した。
Figure 0005107324
表4に示したように、コントロールと比べてサンプル3〜7では穀物臭が顕著に低減されており、且つ後味に残るビター感が増強されていた。また、濃縮温度が50℃〜80℃であるサンプル3〜6では風味のバランスが良好となり、総合的な美味しさも増加していた。一方、濃縮温度が30℃及び40℃であるサンプル1及び2では、穀物臭の低減はわずかであり、沸騰濃縮したサンプル7では、酸味が著しく強く、いずれも風味のバランスが悪かった。以上のことから、コーヒーエキスの濃縮温度は、50〜90℃の範囲であることが好ましく、60〜70℃であることがより好ましいことが示された。
<試験3>
試験2で調製したサンプル1〜7及びコントロールのコーヒーエキスを含むコーヒー飲料を作成し、コーヒーエキスの製造工程における濃縮温度と、コーヒー飲料の風味の関係を官能評価により調査した。
深煎りコーヒー豆の抽出液を次のように調製した。まず、L値20.4に焙煎したコーヒー豆(ブラジル4/5)284gを90℃の約10倍量の温水でドリップ抽出し、抽出液をネルろ過後、30℃以下に冷却した。ネルろ過後の抽出液の量は2629gであり、pH 5.36、Brix 3.01であり、抽出効率は27.9%であった。この深煎り豆抽出液を8等分し、試験2で調製したサンプル1〜7のコーヒーエキスを、総重量の1%配合した。また、コントロールは、固形分を合わせるために5%配合した。次いで、蒸留水を加水し液量を700g程度にした後、重曹を用いてpHを6.4に調整し、最終的に蒸留水で液量を1kgに調整した。その後、缶に充填し、123℃で7分間、レトルト殺菌した。コーヒー飲料の官能評価を試験2と同様の方法で行った。その結果を表5に示す。
Figure 0005107324
表5に示したように、浅煎りコーヒー豆の抽出液を濃縮せずに配合したコーヒー飲料(コントロール)と比べて、50℃以上で濃縮したコーヒーエキスを配合したコーヒー飲料(サンプル3〜7)では穀物臭が顕著に低減されており、且つ後味に残るビター感や風味も増強されていた。一方、30℃及び40℃で濃縮したエキスを配合したコーヒー飲料(サンプル1及び2)では、穀物臭の低減が比較的少なく、ビター感も強くなかった。また、100℃で沸騰濃縮したコーヒーエキスを配合したコーヒー飲料(サンプル7)では、酸味以外にも雑味が強くなり総合的な美味しさも低くなった。
以上の結果から、50〜90℃、好ましくは60〜70℃の温度で濃縮したコーヒーエキスを配合したコーヒー飲料は、穀物臭がなく、後味のビター感が強調され、風味が良好であることが示された。
<試験4>
試験2で調製したコーヒーエキスを含むコーヒー飲料を作製し、加温保管による香味劣化を調査した。
深煎りコーヒー豆の抽出液を次のように調製した。まず、L値20.4に焙煎したコーヒー豆(ブラジル4/5)166.4gを90℃の約10倍量(重量基準)の温水でドリップ抽出し、抽出液をネルろ過後、30℃以下に冷却した。ネルろ過後の抽出液の量は1563gであり、pH 5.15、Brix2.88であり、抽出効率は27.4%であった。この深煎りコーヒー豆抽出液を3等分し、試験2で調製したサンプル5のコーヒーエキス34.4g(総重量2kgの1.72%)を配合した。同様に比較対照1として、試験2で調製したコントロールの浅煎りコーヒー豆の抽出液(濃縮無し)173g(総重量2kgの8.65%)を配合した。さらに、比較対照2として、深煎りコーヒー豆抽出液を単独で配合した。次いで、それぞれに蒸留水を加水し液量を1.4Kg程度に調整した後、重曹を用いてpHを6.4に調整し、最終的に蒸留水で液量を2kgに調整した。その後、缶に充填し、123℃で7分間、レトルト殺菌した。
それぞれのコーヒー飲料を60℃で2週間保存した後、専門のパネラー6人により官能評価を行った。その結果を表6に示す。
Figure 0005107324
表6に示したように、コーヒーエキスを添加せず、深煎りコーヒー豆抽出液単独で調製したコーヒー飲料は、60℃で2週間保管した後では酸味が非常に強くなり、且つ、香味も弱くなり、顕著な劣化が認められた。また、濃縮なしの浅煎りコーヒー豆抽出液を配合したコーヒー飲料では、穀物臭が強く、酸味も強かった。一方、70℃で濃縮されたコーヒーエキスを配合したコーヒー飲料は、穀物臭が弱く、酸味も抑えられ、後味にビター感が感じられた。
以上のことから、本発明のコーヒーエキスを配合したコーヒー飲料は、加温保管後も穀物臭及び酸味が抑えられ、後味にビター感があり、良好な風味が保持されることが示された。
<試験5>
コーヒーエキスと深煎りコーヒー豆抽出液の配合比に関する官能評価を行なった。コーヒーエキスには、抽出方法がカラム抽出である以外は試験2のサンプル5と同様の工程で製造したコーヒーエキス(Brix21.8、70℃で濃縮)を用いた。
深煎りコーヒー豆の抽出液は次のように調製した。まず、L値17に焙煎したコーヒー豆(ブラジル4/5)500gを90℃の約8倍量(重量基準)の温水でドリップ抽出し、抽出液をネルろ過後、30℃以下に冷却した。ネルろ過後の抽出液の量は4079gであり、pH 5.17、Brix 3.47であり、抽出効率は28.3%であった。試験2のサンプル5と同様の方法で製造したコーヒーエキスと深煎り豆抽出液を表7のように配合した。次いで、蒸留水を加水し液量を1.4Kg程度に調整した後、重曹を用いてpHを6.4に調整し、最終的に蒸留水で液量を2Kgに調整した。その後、缶に充填し、123℃で7分間、レトルト殺菌した。
さらに、比較対照として、深煎りコーヒー豆抽出液を単独で用い、上記と同様にコーヒー飲料を調製した。
各コーヒー飲料の官能評価は、試験2と同様に専門のパネラー6人により行い、香味のバランス、雑味、総合評価(美味しさ)に関する項目について、コントロールを0点として±10点で採点した。その結果を表8に示した。
Figure 0005107324
Figure 0005107324
表8に示したように、深煎りコーヒー豆抽出液を単独で用いて作製したコーヒー飲料(コントロール)と比べて、コーヒーエキスと深煎りコーヒー豆抽出液を固形分換算値で1:19〜1:1.5の配合比で配合したサンプル1〜5は、香味のバランスが良く、総合的な美味しさの評価も高かった。
一方、コーヒーエキスと深煎りコーヒー豆抽出液の配合比が1:1及び1:0.67であるサンプル6、7は、雑味が顕著に高くなり、香味のバランスも悪く、総合的な美味しさの評価も低かった。
以上の結果から、コーヒーエキスと深煎りコーヒー豆抽出液を固形分換算値で1:1.5〜1:19の範囲で、好ましくは1:2.3〜1:9の配合比で配合することにより、コーヒー飲料の香味のバランスを向上させ、総合的な美味しさの評価が高くなることが示された。
本発明によれば、クロロゲン酸類を高濃度で含み、且つ風味が良好なコーヒー飲料を製造することが可能である。また、そのようなコーヒー飲料を製造するために用いられるコーヒーエキスを製造することが可能である。

Claims (9)

  1. L値30〜50の範囲に焙煎された浅煎りコーヒー豆から抽出液を取得する工程と、
    前記抽出液を50〜90℃の範囲の温度で濃縮する工程と、
    を含む、コーヒー飲料を製造するためのコーヒーエキスの製造方法。
  2. 前記コーヒーエキス100g当たり18g以上の生豆を抽出することを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記濃縮する工程が減圧濃縮であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られたコーヒーエキスを、深煎りコーヒー豆の抽出液と混合することを特徴とするコーヒー飲料の製造方法。
  5. 前記コーヒーエキスと前記深煎りコーヒー豆の抽出液を、固形分換算量で1:1.5〜1:19の配合比で混合することを特徴とする請求項4に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  6. 前記コーヒーエキスと前記深煎りコーヒー豆の抽出液を、固形分換算量で1:2.3〜1:9の配合比で混合することを特徴とする請求項4に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  7. L値30〜50の範囲に焙煎された浅煎りコーヒー豆から抽出液を取得し、前記抽出液を50〜90℃の範囲の温度で濃縮することによりコーヒーエキスを得る第一工程と、
    深煎りコーヒー豆から抽出液を取得する第二工程と、
    前記第一工程で得られたコーヒーエキスと前記第二工程で得られた深煎りコーヒー豆の抽出液とを混合する第三工程と、
    を含むことを特徴とするコーヒー飲料の製造方法。
  8. 前記コーヒーエキスと前記深煎りコーヒー豆の抽出液を、固形分換算量で1:1.5〜1:19の配合比で混合することを特徴とする請求項7に記載のコーヒー飲料の製造方法。
  9. 前記コーヒーエキスと前記深煎りコーヒー豆の抽出液を、固形分換算量で1:2.3〜1:9の配合比で混合することを特徴とする請求項7に記載のコーヒー飲料の製造方法。
JP2009214933A 2009-09-16 2009-09-16 コーヒーエキス及びコーヒー飲料の製造方法 Active JP5107324B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009214933A JP5107324B2 (ja) 2009-09-16 2009-09-16 コーヒーエキス及びコーヒー飲料の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009214933A JP5107324B2 (ja) 2009-09-16 2009-09-16 コーヒーエキス及びコーヒー飲料の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011062127A JP2011062127A (ja) 2011-03-31
JP5107324B2 true JP5107324B2 (ja) 2012-12-26

Family

ID=43949060

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009214933A Active JP5107324B2 (ja) 2009-09-16 2009-09-16 コーヒーエキス及びコーヒー飲料の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5107324B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016041028A (ja) * 2014-08-15 2016-03-31 株式会社ニッセー 缶入りコーヒー飲料
JP2016106607A (ja) * 2014-12-10 2016-06-20 アサヒ飲料株式会社 コーヒー含有飲料
JP2016106606A (ja) * 2014-12-10 2016-06-20 アサヒ飲料株式会社 コーヒー含有飲料
JP6572003B2 (ja) * 2015-06-17 2019-09-04 花王株式会社 希釈用コーヒー組成物の製造方法
JP6767748B2 (ja) * 2016-02-08 2020-10-14 キリンビバレッジ株式会社 容器詰めコーヒー飲料およびその製造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6979472B2 (en) * 2002-05-03 2005-12-27 Kraft Foods Holdings, Inc. Soluble coffee brew color intensification
JP4842680B2 (ja) * 2006-03-28 2011-12-21 花王株式会社 クロロゲン酸類含有物の製造方法
JP4953949B2 (ja) * 2007-07-12 2012-06-13 花王株式会社 容器詰コーヒー飲料の製造方法
JP2009077676A (ja) * 2007-09-27 2009-04-16 Kao Corp クロロゲン酸類含有物の製造方法
JP5475945B2 (ja) * 2007-11-20 2014-04-16 花王株式会社 容器詰コーヒー飲料
JP5015759B2 (ja) * 2007-12-27 2012-08-29 花王株式会社 容器詰コーヒー飲料の製造方法
JP5015758B2 (ja) * 2007-12-27 2012-08-29 花王株式会社 容器詰コーヒー飲料の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2011062127A (ja) 2011-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5390309B2 (ja) 精製焙煎コーヒー豆の製造方法
JP4842680B2 (ja) クロロゲン酸類含有物の製造方法
US9339047B2 (en) Process for producing a concentrated coffee extract
JP5107324B2 (ja) コーヒーエキス及びコーヒー飲料の製造方法
US9717261B2 (en) Roasted coffee beans
JP4548844B2 (ja) 容器詰コーヒー飲料及びその製造方法
JP2013138631A (ja) コーヒー抽出液
JP2007129937A (ja) コーヒーエキスの製造法及びこれを含む飲料及び食品
WO2006098232A1 (ja) 容器詰コーヒー飲料
JP2005040068A (ja) コーヒー飲料の製造方法
RU2731286C2 (ru) Жидкий концентрат эспрессо
JP4925015B2 (ja) 香味の優れたコーヒーエキスの製造法及びこれを含む飲食品
JP2009077676A (ja) クロロゲン酸類含有物の製造方法
JP2014187928A (ja) コーヒー飲料及びその製造方法、並びにコーヒー飲料の酸味抑制方法及びロースト感向上方法
JP2012183035A (ja) 焙煎コーヒー豆
WO2020110353A1 (ja) コーヒー抽出液の製造方法
WO2019142729A2 (ja) 未焙煎コーヒー豆抽出液の製造方法
WO2022230798A1 (ja) コーヒー焙煎豆、コーヒーエキス、及びその製造方法
US20080311271A1 (en) Container packed coffee beverage and process for production thereof
WO2012081097A1 (ja) コーヒーエキス、コーヒー飲料、及びそれらの製造方法
JP6725237B2 (ja) ソリュブルコーヒー
JP2006246745A (ja) コーヒー抽出液の製造方法
JP5721363B2 (ja) 乳含有コーヒー飲料の製造方法、安定化方法及び香味向上方法
JP4871010B2 (ja) クロロゲン酸類含有物の製造方法
JP7527783B2 (ja) コーヒー飲料

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100518

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120803

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121003

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5107324

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151012

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250