JP2009077676A - クロロゲン酸類含有物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焙煎コーヒー豆由来の異味・異臭の低減された、様々な食品に配合可能なクロロゲン酸類含有物を簡便な方法で得る。
【解決手段】焙煎コーヒー豆抽出物を、水混和性有機溶媒と水の質量比が5/95以上70/30未満の混合液に溶解させ、溶解液を薬品で賦活された活性炭と接触させ、クロロゲン酸類含有物を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】焙煎コーヒー豆抽出物を、水混和性有機溶媒と水の質量比が5/95以上70/30未満の混合液に溶解させ、溶解液を薬品で賦活された活性炭と接触させ、クロロゲン酸類含有物を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、クロロゲン酸類含有物を製造する方法に関する。
昨今、食品中に含まれる種々の成分の生理作用に関心が高まっており、厚生労働省もそのような生理学的機能や生物学的活動に関与する成分を含有する食品に対して特定保健用食品として許可を与えることとしている。これらの食品は、飲料、ヨーグルト、スープ、味噌汁、ハンバーグなどの惣菜、錠菓・錠剤などの形態で商品化されており、一日1〜2回の摂取が奨められている。
生理活性機能を有する素材として、様々な素材が提案されているが、抗酸化作用、血圧降下作用、肝機能改善作用等の生理活性機能を有するものとしてポリフェノール類がある(特許文献1、2)。特に血圧降下作用が注目されており、この作用を有するポリフェノールを配合した商品が特定保健用食品として許可されている。中でも、クロロゲン酸類の血圧降下作用は高く、減塩醤油に配合するという技術がある(特許文献3)。
クロロゲン酸類を多く含むものとして焙煎コーヒー豆が挙げられるが、焙煎コーヒー豆又は焙煎コーヒー豆抽出物にはカフェインが含まれ、焙煎コーヒー豆由来の焦げ臭・苦味があるため多種多様な飲食品、化粧品等への使用が制限されていた。
生コーヒー豆抽出物から異味・異臭を除去する方法としては、微生物を接触せしめる方法(特許文献4)等が知られている。また、脱カフェイン等を目的とした各種溶媒による抽出処理に関する技術が数多く提案されている(特許文献5〜7)。
特開平9−84565号公報
特開2003−128560号公報
特開2004−194515号公報
特開2004−81053号公報
特開昭53−145963号公報
特開平2−265433号公報
特開昭60−259145号公報
生コーヒー豆抽出物から異味・異臭を除去する方法としては、微生物を接触せしめる方法(特許文献4)等が知られている。また、脱カフェイン等を目的とした各種溶媒による抽出処理に関する技術が数多く提案されている(特許文献5〜7)。
コーヒー豆抽出物から異味を除去する従来の方法のうち、微生物を接触せしめる方法は、処理後の殺菌並びに菌体分離工程等の負荷が課題となっている。また、各種溶媒による抽出処理では、異味・異臭が十分に低減されないという課題がある。
よって、本発明の目的は、焙煎コーヒー豆抽出物を原料とし、焙煎コーヒー豆由来の異味・異臭の低減された、様々な食品に配合可能なクロロゲン酸類含有物を製造する方法を提供することにある。
よって、本発明の目的は、焙煎コーヒー豆抽出物を原料とし、焙煎コーヒー豆由来の異味・異臭の低減された、様々な食品に配合可能なクロロゲン酸類含有物を製造する方法を提供することにある。
そこで本発明者は、焙煎コーヒー豆抽出物の処理方法について検討した結果、有機溶媒存在下で薬品賦活にて活性化された活性炭を接触することでクロロゲン酸の回収量を大きく損なうことなく焙煎由来の異味・異臭成分を除去できることを見出した。
すなわち、本発明は、焙煎コーヒー豆抽出物を、水混和性有機溶媒と水の質量比が5/95以上70/30未満の混合液に溶解させ、薬品で賦活された活性炭と接触させる、焙煎由来の異臭を低減されたクロロゲン酸類含有物の製造方法を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、焙煎コーヒー豆抽出物における異味・異臭の低減されたクロロゲン酸類含有物を簡便な方法で得ることができる。
本発明に用いられる焙煎コーヒー豆抽出物の原料となるコーヒー豆としては特に限定されないが、好ましくはモカ、コロンビア、ブラジル等のアラビカ種、ジャワロブスタ、AP−1、ベトナムロブスタ等のロブスタ種、又はそれらの雑種等から得られるコーヒー豆が挙げられる。
本発明に用いられる焙煎コーヒー豆抽出物としては、水又は水と水混和性有機溶媒との混合物等により、カラム抽出及び撹拌抽出等の方法により焙煎コーヒー豆から抽出されたものを用いることができる。水混和性有機溶媒と水との混合物を用いる場合には、水混和性有機溶媒/水の質量比が70/30未満であることが好ましい。抽出の際、水又は水と水混和性有機溶媒との混合物等にあらかじめアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又は有機酸塩類を添加しても良い。抽出温度は抽出効率の点から50℃以上が好ましい。更に80℃以上がより好ましい。上限としては180℃以下が好ましい。抽出方法としては、水又は水と水混和性有機溶媒との混合物等にコーヒー豆を入れ、加熱・撹拌し、抽出液を回収する方法や(バッチ法)、焙煎コーヒー豆を充填したカラムに高温・加圧条件下で水又は水と水混和性有機溶媒との混合物等を通液させて抽出する方法(カラム法)等が挙げられる。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。その抽出物は、クロロゲン酸類濃度を高めるために蒸発濃縮等してペースト状としたり、噴霧乾燥、凍結乾燥等して粉末状としてもよい。
本発明の方法に用いられる焙煎コーヒー豆抽出物の原料となる焙煎コーヒー豆は、クロロゲン酸類の含量を多く確保できるという観点から、焙煎後のL値(明度)が30以上、更に38以上、特に45以上の低焙煎コーヒー豆を用いることが好ましい。L値の上限値としては生豆臭の抑制という点から、60以下、更に55以下、特に50以下であることが好ましい。
本発明でいうL値(明度)とは、コーヒー豆の色相から判断した焙煎度の指標であり、コーヒー豆をミル等で粉砕した後に測定用セルにほぼ空隙が生じないように充填し、色差計(例えば、Spectro Color Meter SE2000(日本電色工業(株))を用いて測定することができる。
本発明に用いられる焙煎コーヒー豆抽出物は、クロロゲン酸類を1種以上含有するものである。クロロゲン酸類には、異性体、類縁体が存在し、純粋な異性体、類縁体又はそれらの混合物が含まれる。本発明において、クロロゲン酸類とは、具体的に、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、3−フェルリルキナ酸、4−フェルリルキナ酸、5−フェルリルキナ酸及び3−フェルリル−4−カフェオイルキナ酸等を言う。その他にカフェ酸、フェルラ酸等が含まれていても良い。クロロゲン酸類含有物とは、これらから選択される1種又は2種以上を含有するものをいう。
クロロゲン酸類は焙煎コーヒー豆中に2質量%(以下、単に「%」で示す)以上、更に4%以上、特に8%以上含有されることが、その後の処理工程等の負荷が低減する点から好ましい。また、クロロゲン酸類はコーヒー豆抽出物中には5%以上、更に15%以上、特に30%以上含有されることが、同様の点から好ましい。
本発明で用いる水混和性有機溶媒とは、水と任意の割合で相溶する有機溶媒を指し、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ならびにこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ならびにこれらの2種以上の混合物が抽出率の点から好ましく、特に食品への使用を考慮するとエタノールが好ましい。
焙煎コーヒー豆を溶解した溶液と活性炭を接触させる時はクロロゲン酸の抽出効率と活性炭処理によるクロロゲン酸の回収率の点から水混和性有機溶媒と水の質量比は5/95以上70/30未満であり、好ましくは20/80以上60/40未満、更に好ましくは30/70以上55/45未満にする。
焙煎コーヒー豆抽出物に対し、水混和性有機溶媒と水を混合させる方法は、両者を容器に入れ、振盪により混合、マグネチックスターラー又は攪拌羽根等により攪拌等することが好ましい。
ここで異味・異臭、及び焙煎由来の異臭とは、焙煎コーヒー豆由来の焦げ臭や苦味、青臭み等が挙げられる。焙煎コーヒー豆は特有の焦げ臭や苦味を有しており、その嗜好性は高いものの、焙煎コーヒー豆そのものやその抽出物を他の食品等へ配合する際にはその味と香りが違和感を与えるため、食品の種類によっては好ましくない場合がある。
薬品で賦活された活性炭は比表面積1300〜1700m2/g、細孔容積0.8〜1.8ml/gであることが好ましく、更に比表面積1400〜1600m2/g、細孔容積1.1〜1.6ml/g、平均細孔直径は2.5nm〜10nmが好ましく、更に3nm〜5nmであることが、異味・異臭を有効に除去する上で好ましい。
薬品で賦活された活性炭としては、塩化亜鉛賦活活性炭、リン酸賦活活性炭、過マンガン酸カリウム賦活活性炭などがあるが、塩化亜鉛賦活活性炭が好ましい。特に、塩化亜鉛賦活活性炭で比表面面積、及び細孔容積が上述の範囲であるものが好適である。塩化亜鉛によって賦活された活性炭としては例えばカルボラフィン、白鷺KL(日本エンバイロケミカルズ社製)、などの市販品を用いることができる。活性炭の形状は特に制限されない。活性炭の使用量は、焙煎コーヒー豆抽出物の固形分換算100質量部(以下、単に「部」で示す)に対して5〜60部、特に20〜40部添加するのが、焙煎由来の異臭を除去する効率の点から好ましい。
焙煎コーヒー豆抽出物、水混和性有機溶媒と水の混合液と活性炭を接触させる方法は、バッチ式、カラムによる連続処理等のいずれの方法で行っても良い。一般には、粉末状の活性炭を添加、攪拌し、ろ過操作により焙煎臭を低減した濾液を得る方法、あるいは顆粒状の活性炭等を充填したカラムを用いて連続処理により焙煎臭を低減した溶液を得る方法が採用される。接触させる際の温度は10〜40℃の範囲が好ましく、20〜30℃の範囲がより好ましい。
活性炭で処理すると同時に、酸性白土又は活性白土で処理することが、より効果的な異味・異臭の除去の点から好ましい。酸性白土又は活性白土は、ともに一般的な化学成分として、SiO2、Al2O3、Fe2O3、CaO、MgO等を含有するものであるが、SiO2/Al2O3質量比が3〜12、特に4〜9であるのが好ましい。またFe2O3を2〜5%、CaOを0〜1.5%、MgOを1〜7%含有する組成のものが好ましい。活性白土は天然に産出する酸性白土(モンモリロナイト系粘土)を硫酸などの鉱酸で処理したものであり、大きい比表面積と吸着能を有する多孔質構造をもった化合物である。酸性白土を更に、酸処理することにより比表面積が変化し、脱色能の改良及び物性が変化することが知られている。
酸性白土又は活性白土の比表面積は、酸処理の程度等により異なるが、50〜350m2/gであるのが好ましく、pH(5%サスペンジョン)は2.5〜8、特に3.6〜7のものが好ましい。例えば、酸性白土としては、ミズカエース#600(水澤化学社製)等の市販品を用いることができる。
酸性白土又は活性白土は、焙煎コーヒー豆抽出物の固形分換算100部に対して5〜50部、特に10〜30部添加するのが、カフェイン除去効率、ろ過工程におけるケーク抵抗の点から好ましい。
前処理として焙煎コーヒー豆抽出物(A)に対し、水混和性有機溶媒(B)と水(C)の混合物を、(A)との混合後の(B)/(C)の質量比が70/30〜99.5/0.5となる条件で接触させた後、固形部を回収することが好ましい。本前処理工程を施す場合には、焙煎由来の異臭・異味の除去効果及びクロロゲン酸類の回収率向上の観点から、焙煎コーヒー豆抽出物(A)に対し、水混和性有機溶媒(B)と水(C)の混合物を混合した後の水混和性有機溶媒(B)/水(C)の質量比を70/30〜99.5/0.5の範囲に調整する。好ましくは80/20〜99/1、より好ましくは90/10〜98/2、更に90/10〜97/3、特に91/9〜96/4、殊更92/8〜95/5の範囲に調整することが好ましい。この場合、焙煎コーヒー豆抽出物中にも水混和性有機溶媒及び/又は水が含まれる場合があるため、水混和性有機溶媒と水の混合物を焙煎コーヒー豆抽出物に接触させるに際し、予め焙煎コーヒー豆抽出物中の水混和性有機溶媒及び水の含有量を測定しておき、混合する水混和性有機溶媒/水の質量比を決定することが好ましい。焙煎コーヒー豆抽出物中に含まれる水混和性有機溶媒及び/又は水の量は、前述の製造法や抽出物の形態にもよるが、濃縮や乾燥の工程で水混和性有機溶媒及び/又は水は除去されるため、通常、抽出物中の水混和性有機溶媒は10%以下程度である。焙煎コーヒー豆抽出物中の水の含有量は0〜50%、更に1〜15%、特に2〜8%、殊更3〜7%であることが好ましい。
前処理である固形部を回収する工程においてクロロゲン酸類の回収率向上、異味・異臭の除去の観点から、焙煎コーヒー豆抽出物に対し、水混和性有機溶媒と水の混合物を接触させている際の焙煎コーヒー豆抽出物、水混和性有機溶媒及び水の全体中のクロロゲン酸類含量が1.2%以上であることが好ましく、更に2%以上、特に4%以上の範囲に調整することが好ましい。上記範囲に調整する方法は、焙煎コーヒー豆抽出物中のクロロゲン酸類、水混和性有機溶媒及び水の含量をあらかじめ計測しておき、処理時にクロロゲン酸類の量が所定の範囲に入るように水混和性有機溶媒と水の混合物の使用量を調整することが好ましい。
前処理である固形部を回収する工程において焙煎コーヒー豆抽出物に対し、水混和性有機溶媒と水の混合物を接触させる場合の温度は、処理時間や処理効率及びクロロゲン酸類の回収率の観点から25〜90℃とすることが好ましく、更に45〜70℃とすることが、クロロゲン酸類の回収率向上、異味・異臭の除去効率の点から好ましい。なお、処理時間は処理温度との兼ね合いにより適宜設定することが好ましい。
前処理である固形部を回収する工程において焙煎由来の異臭成分の除去効率向上の観点から、焙煎コーヒー豆抽出物に対し、水混和性有機溶媒と水の混合物を接触させる際に分散剤として粉末固形物を用いることが、コーヒー豆抽出物の固形部同士が凝集(アメ状化)せず、固液界面が増大して分散性が良い点から好ましい。分散剤は焙煎コーヒー豆抽出物に対し水混和性有機溶媒と水の混合物を接触させる初期に添加することが好ましく、更に、予め水混和性有機溶媒と水の混合物に分散剤を混合し、その後、焙煎コーヒー豆抽出物を添加することにより接触させることが、分散性の効果が高く、異味・異臭を効果的に除去できる点から好ましい。水混和性有機溶媒と水の混合物に添加する際の焙煎コーヒー豆抽出物は、ペースト状の濃縮物でも粉末化したものでも良い。また、焙煎コーヒー豆抽出物が粉末化したものであれば、予め分散剤と混合した後に水混和性有機溶媒と水の混合物に分散しても良い。本発明において用いることのできる分散剤とは粉末状の物質を指し、珪藻土、白土等を用いることができる。具体的には、珪藻土であるシリカ100F−A(中央シリカ株式会社)等が挙げられる。分散剤の平均粒径は、0.1〜100μmの範囲であることが好ましく、特に5〜20μmの範囲であることが好ましい。分散剤の添加量は、焙煎コーヒー豆抽出物の固形分換算100部に対し5〜200部に調整することが好ましく、更に10〜100部、特に30〜70部とすることが、異味・異臭の除去効率の点から好ましい。
前処理である固形部を回収する工程において水混和性有機溶媒と水の混合物により接触処理された焙煎コーヒー豆抽出物は、ろ過等の固液分離により液相を除去され、必要であれば回収された固形部を液体で洗浄することが好ましい。洗浄に使用する液体は、クロロゲン酸の回収率向上の点から、水混和性有機溶媒、又は接触処理に使用したものと同様の組成である水混和性有機溶媒と水との混合物が好ましい。
次いで、活性炭及び/又は活性炭と酸性白土又は活性白土と接触させた後のクロロゲン酸類含有物の溶液から、水混和性有機溶媒及び水が、減圧蒸留などの方法を用いて留去される。処理後のクロロゲン酸類含有物は液状、固体状のいずれでも良く、また、凍結乾燥やスプレードライなどの方法によって粉末化しても良い。
本発明の方法により得られたクロロゲン酸類含有物は、該クロロゲン酸類含有物の固形分あたり、クロロゲン酸類が10〜70%、好ましくは20〜60%、更に好ましくは30〜50%と豊富に含まれるため、各種食品に配合して、血圧降下作用を有する食品、血圧降下作用を有する旨表示された食品、血圧が高めの方に適していますと表示された食品等とするのに最適である。食品としてはゼリー、ケーキなどの菓子類、ジュース、コーヒー、お茶類、スポーツドリンク、スープ等の飲料、味噌、醤油、つゆ、たれ等の調味料等が挙げられるが、吸収効率が良く、血圧降下作用を有効に発揮する点から液状食品が好ましく、更に、同様の点から飲料、調味料等の毎日摂取する食品に配合することが好ましい。食品中へのクロロゲン酸類含有物の配合量は、嗜好性・血圧降下作用の点から固形分あたり0.001〜20%、更に0.005〜10%、特に0.025〜5%であることが好ましい。また、一食分あたり10〜5000mg、更に50〜2000mgとすることが血圧降下作用を有効に発揮する点から好ましい。
また、本発明の方法により得られたクロロゲン酸類含有物は、異味・異臭が低減されて風味が良好なため、各種食品に配合しても食品の品質に影響を与えることがない。そのため、上記食品の中でも味の淡白な飲料や食品の美味しさに微妙な影響を与える調味料等にも好ましく配合することができる。
〔クロロゲン酸類含有量及びカフェイン含有量の測定方法〕
クロロゲン酸類含有量及びカフェイン含有量の測定法方は次の通りである。
クロロゲン酸類含有量及びカフェイン含有量の測定法方は次の通りである。
(分析機器)
HPLC(島津製作所(株))を使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通り。ディテクター:SPD−M10A、オーブン:CTO−10AC、ポンプ:LC−10AD、オートサンプラー:SIL−10AD、カラム:Inertsil ODS−2(内径4.6mm×長さ250mm)
HPLC(島津製作所(株))を使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通り。ディテクター:SPD−M10A、オーブン:CTO−10AC、ポンプ:LC−10AD、オートサンプラー:SIL−10AD、カラム:Inertsil ODS−2(内径4.6mm×長さ250mm)
(分析条件)
サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、紫外線吸光光度計検出波長:325nm(クロロゲン酸類)、270nm(カフェイン)、溶離液A:0.05M酢酸3%アセトニトリル溶液、溶離液B:0.05M酢酸100%アセトニトリル溶液、カラム温度35℃
サンプル注入量:10μL、流量:1.0mL/min、紫外線吸光光度計検出波長:325nm(クロロゲン酸類)、270nm(カフェイン)、溶離液A:0.05M酢酸3%アセトニトリル溶液、溶離液B:0.05M酢酸100%アセトニトリル溶液、カラム温度35℃
(濃度勾配条件)
時間 溶離液A 溶離液B
0分 100% 0%
20分 80% 20%
35分 80% 20%
45分 0% 100%
60分 0% 100%
70分 100% 0%
120分 100% 0%
時間 溶離液A 溶離液B
0分 100% 0%
20分 80% 20%
35分 80% 20%
45分 0% 100%
60分 0% 100%
70分 100% 0%
120分 100% 0%
(クロロゲン酸類のリテンションタイム)
3−カフェオイルキナ酸(3−CQA):16.8min、
5−カフェオイルキナ酸(5−CQA):19.8min、
4−カフェオイルキナ酸(4−CQA):21.5min、
3−フェリルキナ酸(3−FQA):22.2min、
5−フェリルキナ酸(5−FQA):26.1min、
4−フェリルキナ酸(4−FQA):27.2min、
3,5−ジカフェイルキナ酸(3,5−diCQA):33.5min、
3,4−ジカフェイルキナ酸(3,4−diCQA):33.8min、
4,5−ジカフェイルキナ酸(4,5−diCQA):36.0min
ここで求めたarea%から5−CQAを標準物質とし、質量%を求めた。
(カフェインのリテンションタイム)
19.4min
ここで求めたarea%から試薬カフェインを標準物質とし質量%を求めた。なお、カフェイン除去効果については、カフェイン/クロロゲン酸類の質量比で評価を行った。
3−カフェオイルキナ酸(3−CQA):16.8min、
5−カフェオイルキナ酸(5−CQA):19.8min、
4−カフェオイルキナ酸(4−CQA):21.5min、
3−フェリルキナ酸(3−FQA):22.2min、
5−フェリルキナ酸(5−FQA):26.1min、
4−フェリルキナ酸(4−FQA):27.2min、
3,5−ジカフェイルキナ酸(3,5−diCQA):33.5min、
3,4−ジカフェイルキナ酸(3,4−diCQA):33.8min、
4,5−ジカフェイルキナ酸(4,5−diCQA):36.0min
ここで求めたarea%から5−CQAを標準物質とし、質量%を求めた。
(カフェインのリテンションタイム)
19.4min
ここで求めたarea%から試薬カフェインを標準物質とし質量%を求めた。なお、カフェイン除去効果については、カフェイン/クロロゲン酸類の質量比で評価を行った。
〔焙煎コーヒー豆抽出物等の製造方法〕
L値50となるまで焙煎したベトナム産ロブスタ種G−1焙煎豆500gを5Lの98℃の熱水で4時間攪拌・抽出した。冷却後、固液分離を行い、抽出液を固形分濃度が20%になるまで40℃にて減圧濃縮を行った後、噴霧乾燥することで「焙煎コーヒー豆抽出物1」を調製した。クロロゲン酸類の含量は24.1%であった。
L値50となるまで焙煎したベトナム産ロブスタ種G−1焙煎豆500gを5Lの98℃の熱水で4時間攪拌・抽出した。冷却後、固液分離を行い、抽出液を固形分濃度が20%になるまで40℃にて減圧濃縮を行った後、噴霧乾燥することで「焙煎コーヒー豆抽出物1」を調製した。クロロゲン酸類の含量は24.1%であった。
〔焙煎コーヒー豆のL値の測定方法〕
焙煎したコーヒー豆10gをハイカットコーヒーミル((株)カリタ)を用い、ダイヤル1にて粉砕し、色差計Spectro Color Meter SE2000(日本電色工業(株))にて測定を行った。なお、1サンプルについて3回測定を行い、その平均値をL値とした。
焙煎したコーヒー豆10gをハイカットコーヒーミル((株)カリタ)を用い、ダイヤル1にて粉砕し、色差計Spectro Color Meter SE2000(日本電色工業(株))にて測定を行った。なお、1サンプルについて3回測定を行い、その平均値をL値とした。
実施例1
25℃にて92%エタノール水溶液混合溶媒400gに分散剤(シリカ100F−A)50gを混合し、攪拌しながら「焙煎コーヒー豆抽出物1」100gを投入し混合する。攪拌しながら60℃に昇温して3時間攪拌後25℃まで冷却する。冷却後ヌッチェ濾過(2号濾紙使用)にて液部を除去後、そのままヌッチェを吸引しながら92%エタノール水溶液100gにて固形部をケーキ洗浄した。その固形部180gをエタノールと水の混合溶媒(エタノール/水質量比=50/50)400gに溶解した。溶解後、溶液の温度を25℃にして活性炭カルボラフィン(塩化亜鉛賦活、比表面積1400m2/g、細孔容積1.1 ml/g)(日本エンバイロケミカルズ社製)を30g添加し2時間攪拌混合した。混合後ヌッチェ濾過(2号濾紙使用)後、同じ溶媒100gによるケーキ洗浄を行うことにより可溶性画分470gを回収した。活性炭工程のクロロゲン酸類の収率は79%であった。回収画分はエバポレーターで固形分33%程度まで濃縮し、本発明の方法による「クロロゲン酸類含有物1」を得た。この抽出物にはクロロゲン酸類は10.6%が含まれていた。カフェイン/クロロゲン酸類比は0.05であった。固形分中のクロロゲン酸類濃度は39%であった。
25℃にて92%エタノール水溶液混合溶媒400gに分散剤(シリカ100F−A)50gを混合し、攪拌しながら「焙煎コーヒー豆抽出物1」100gを投入し混合する。攪拌しながら60℃に昇温して3時間攪拌後25℃まで冷却する。冷却後ヌッチェ濾過(2号濾紙使用)にて液部を除去後、そのままヌッチェを吸引しながら92%エタノール水溶液100gにて固形部をケーキ洗浄した。その固形部180gをエタノールと水の混合溶媒(エタノール/水質量比=50/50)400gに溶解した。溶解後、溶液の温度を25℃にして活性炭カルボラフィン(塩化亜鉛賦活、比表面積1400m2/g、細孔容積1.1 ml/g)(日本エンバイロケミカルズ社製)を30g添加し2時間攪拌混合した。混合後ヌッチェ濾過(2号濾紙使用)後、同じ溶媒100gによるケーキ洗浄を行うことにより可溶性画分470gを回収した。活性炭工程のクロロゲン酸類の収率は79%であった。回収画分はエバポレーターで固形分33%程度まで濃縮し、本発明の方法による「クロロゲン酸類含有物1」を得た。この抽出物にはクロロゲン酸類は10.6%が含まれていた。カフェイン/クロロゲン酸類比は0.05であった。固形分中のクロロゲン酸類濃度は39%であった。
実施例2
「焙煎コーヒー豆抽出物1」100g、及び50%のエタノールと水の混合溶媒400gと酸性白土(ミズカエース#600)50gと活性炭カルボラフィン(日本エンバイロケミカルズ社製)30gを添加し溶液の温度を25℃にして3時間攪拌混合した。混合後ヌッチェ濾過(2号濾紙使用)後、同じ溶媒100gによるケーキ洗浄を行うことにより可溶性画分530gを回収した。活性炭工程のクロロゲン酸類の収率は78%であった。回収画分はエバポレーターで固形分33%程度まで濃縮し、本発明の方法による「クロロゲン酸類含有物2」を得た。この抽出物にはクロロゲン酸類は10.7%が含まれていた。カフェイン/クロロゲン酸類比は0.05であった。固形分中のクロロゲン酸類濃度は38%であった。
「焙煎コーヒー豆抽出物1」100g、及び50%のエタノールと水の混合溶媒400gと酸性白土(ミズカエース#600)50gと活性炭カルボラフィン(日本エンバイロケミカルズ社製)30gを添加し溶液の温度を25℃にして3時間攪拌混合した。混合後ヌッチェ濾過(2号濾紙使用)後、同じ溶媒100gによるケーキ洗浄を行うことにより可溶性画分530gを回収した。活性炭工程のクロロゲン酸類の収率は78%であった。回収画分はエバポレーターで固形分33%程度まで濃縮し、本発明の方法による「クロロゲン酸類含有物2」を得た。この抽出物にはクロロゲン酸類は10.7%が含まれていた。カフェイン/クロロゲン酸類比は0.05であった。固形分中のクロロゲン酸類濃度は38%であった。
比較例1
「焙煎コーヒー豆抽出物1」100g、及び50%のエタノールと水の混合溶媒400gと酸性白土(ミズカエース#600)50gを添加し溶液の温度を25℃にして3時間攪拌混合した。混合後ヌッチェ濾過(2号濾紙使用)後、同じ溶媒100gによるケーキ洗浄を行うことにより可溶性画分556gを回収した。回収画分をカラムに充填した活性炭白鷺WH2C(水蒸気賦活、比表面積1208 m2/g、細孔容積0.54 ml/g)(日本エンバイロケミカルズ社製)30gに室温にて1g/分の流速にて通液した。活性炭工程のクロロゲン酸類の収率は87%であった。回収画分はエバポレーターで固形分33%程度まで濃縮し、「クロロゲン酸類含有物3」を得た。この抽出物にはクロロゲン酸類は10.6%が含まれていた。カフェイン/クロロゲン酸類比は0.05であった。固形分中のクロロゲン酸類濃度は38%であった。
「焙煎コーヒー豆抽出物1」100g、及び50%のエタノールと水の混合溶媒400gと酸性白土(ミズカエース#600)50gを添加し溶液の温度を25℃にして3時間攪拌混合した。混合後ヌッチェ濾過(2号濾紙使用)後、同じ溶媒100gによるケーキ洗浄を行うことにより可溶性画分556gを回収した。回収画分をカラムに充填した活性炭白鷺WH2C(水蒸気賦活、比表面積1208 m2/g、細孔容積0.54 ml/g)(日本エンバイロケミカルズ社製)30gに室温にて1g/分の流速にて通液した。活性炭工程のクロロゲン酸類の収率は87%であった。回収画分はエバポレーターで固形分33%程度まで濃縮し、「クロロゲン酸類含有物3」を得た。この抽出物にはクロロゲン酸類は10.6%が含まれていた。カフェイン/クロロゲン酸類比は0.05であった。固形分中のクロロゲン酸類濃度は38%であった。
〔官能評価〕
各実施例及び比較例により得られたクロロゲン酸類含有物について、それぞれクロロゲン酸類濃度600mg/100mlの水溶液を調製し、口に含んだ時の香味の強さを官能にて評価した。なお、本発明の方法により製造されたクロロゲン酸類含有物の評価は、それぞれのサンプルについて本発明の方法を採らないクロロゲン酸類含有物をコントロールとした。
各実施例及び比較例により得られたクロロゲン酸類含有物について、それぞれクロロゲン酸類濃度600mg/100mlの水溶液を調製し、口に含んだ時の香味の強さを官能にて評価した。なお、本発明の方法により製造されたクロロゲン酸類含有物の評価は、それぞれのサンプルについて本発明の方法を採らないクロロゲン酸類含有物をコントロールとした。
〔焙煎コーヒー豆抽出物由来の異臭・苦味の評価基準〕
A:ほとんど異臭・苦味を感じない
B:異臭・苦味が大幅に低減されている
C:異臭・苦味がやや低減されている
D:異臭・苦味はコントロールと同等である
A:ほとんど異臭・苦味を感じない
B:異臭・苦味が大幅に低減されている
C:異臭・苦味がやや低減されている
D:異臭・苦味はコントロールと同等である
表1の結果から明らかなように、本発明の方法を使用することにより焙煎由来の異臭の低減されたクロロゲン酸類含有物を得ることができる。
Claims (8)
- 焙煎コーヒー豆抽出物を、水混和性有機溶媒と水の質量比が5/95以上70/30未満の混合液に溶解させ、溶解液を薬品で賦活された活性炭と接触させる、クロロゲン酸類含有物の製造方法。
- 焙煎コーヒー豆抽出物がL値30以上の低焙煎コーヒー豆由来である請求項1記載のクロロゲン酸類含有物の製造方法。
- 薬品で賦活された活性炭が比表面積1300〜1700m2/g、かつ細孔容積0.8〜1.8ml/gのものである請求項1又は2に記載のクロロゲン酸類含有物の製造方法。
- 薬品で賦活された活性炭が塩化亜鉛によって賦活された活性炭である請求項1〜3のいずれか1項に記載されたクロロゲン酸類含有物の製造方法。
- 焙煎コーヒー豆抽出物(A)に対し、水混和性有機溶媒(B)と水(C)の混合物を、(A)との混合後の(B)/(C)の質量比が70/30〜99.5/0.5となる条件で接触させた後に固形部を回収し、その固形部を、水混和性有機溶媒と水の質量比が5/95以上70/30未満の混合液に溶解させ、溶解液を薬品で賦活された活性炭と接触させる請求項1〜4のいずれか1項に記載されたクロロゲン酸類含有物の製造方法。
- 固形部を回収する工程において、水混和性有機溶媒と水の混合液に接触させている際の焙煎コーヒー豆抽出物、水混和性有機溶媒及び水の全体中に含まれるクロロゲン酸類の含量が1.2質量%以上である請求項5に記載されたクロロゲン酸類含有物の製造方法。
- 水混和性有機溶媒がエタノールである請求項1〜6のいずれか1項に記載されたクロロゲン酸類含有物の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載された方法により製造されたクロロゲン酸類含有物を使用した、クロロゲン酸類として0.005〜10質量%含有する食品。
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