JP2016202145A - コーヒーエキス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1の方法では、水蒸気を作用させることでコーヒーの香気成分を得るため大掛かりな水蒸気発生装置が必要である。
特許文献2の方法ではスラリーの分離、酵素処理の複数の工程が必要となる。また、特許文献3の方法では酵素処理、失活の工程が必要となる。
特許文献4の方法では、既に低温域で揮発するコーヒーの香気成分が失われているという課題を残している。
よって、より簡便に多くの香気成分を含むコーヒーエキスおよびその製造方法の開発が望まれていた。
[2]コーヒー豆の焙煎度がL値70〜L値16または非焙煎である、前記[1]に記載の方法
[3]コーヒー豆と有機溶媒の比率がコーヒー豆1重量部に対し、有機溶媒0.5〜20重量部である、前記[1]又は[2]に記載の方法、
[4]有機溶媒がプロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン、炭素数8〜10の中鎖脂肪酸トリグリセライド、クエン酸トリエチル、ジエチルセバケートから選択される1又は2以上である、前記[1]〜[3]のいずれか1項に記載の方法、
[5]コーヒー豆と有機溶媒を接触後、冷却し、さらに水および/または親水性溶媒を添加する工程を含む前記[1]〜[4]のいずれか1項に記載の方法、
[6]親水性溶媒がエタノール、液化二酸化炭素および超臨界二酸化炭素から選択される1又は2以上である前記[5]に記載の方法、
[7]さらに固液分離操作により、液体部を分取する工程を含む前記[1]〜[6]のいずれか1項に記載の方法、
[8]前記[1]〜[7]のいずれか1項に記載の方法により製造されるコーヒーエキス、
[9]前記[8]に記載のコーヒーエキスを含有する香料、および
[10]前記[8]に記載のエキス又は前記[9]に記載の香料を含有する飲食品。
コーヒー豆の焙煎度合は、嗜好するコーヒーの香気成分が得られる焙煎度合であればL値約70〜L値約16程度の範囲で特に限定はされないが、より多量のコーヒーの香気成分を得るには低焙煎が好ましく、L値約70〜L値約40が好ましい。
ここで香気には、たとえば甘み、苦み、酸味、コク味などの香味とも呼ばれる嗅覚的および味覚的な感覚も含む。
コーヒー豆と有機溶媒を接触させるには、耐熱容器を用意する。耐熱容器は、蒸気還流式でも良いし、蒸気分留式でも良い。耐熱容器中にコーヒー豆と有機溶媒を入れ、混合する。
加熱後の混合物は、65℃〜常温になるまで冷却するのが好ましい。冷却の方法は、自然冷却、水冷、氷冷などが挙げられるが自然冷却が好ましい。
冷却した混合物に、水または親水性溶媒を単独で、もしくは水と親水性溶媒を混合した溶媒を添加し希釈することが好ましい。ここで使用される水は精製水または水道水などを用いることができるが、精製水が好ましい。また、ここで使用される親水性溶媒は食品又は食品添加物として使用が認められているものであれば特に限定はされないが、残渣の除去を容易にするために粘性の低い液体が好ましい。具体例として、エタノールなどのアルコール類、液化二酸化炭素、超臨界二酸化炭素などが挙げられる。水と親水性溶媒の混合溶媒の例としては95%エタノールを好ましく用いることができる。
工程2で得られた希釈された混合物をコーヒー豆と液体部分に分離することが好ましい。分離の方法は、自然ろ過、加圧ろ過などを適宜に用いることができ、また、これらを組み合わせて用いることもできる。自然ろ過としてはろ紙ろ過、フィルターろ過などが挙げられる。また加圧ろ過としては圧搾空気、コンプレッサーなどを用いる方法などが挙げられる。また遠心分離機などを用いて固液分離しても良い。
エチオピアシダモのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、グリセリン150gと混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール75gを添加し5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、30.2gの褐色のコーヒーエキスを得た。
エチオピアシダモのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、グリセリン150gと混合した。この混合物を200℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール75gを添加し5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、22.1gの褐色のコーヒーエキスを得た。
エチオピアシダモのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、グリセリン150gと混合した。この混合物を150℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール75gを添加し5分間撹拌した。混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、30.4gの褐色のコーヒーエキスを得た。
エチオピアシダモのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール150gと混合した。この混合物を150℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール50gを添加し5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、20.9gの褐色のコーヒーエキスを得た。
エチオピアシダモのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール75gとグリセリン75gの混合溶媒と混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール50gを添加し5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、39.0gの褐色のコーヒーエキスを得た。
エチオピアシダモのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、炭素数8〜10の中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)(ODO;商品名;日清オイリオグループ株式会社製)150gと混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却した。混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、77.1gの褐色のコーヒーエキスを得た。
エチオピアシダモのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、トリアセチン150gと混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却した。混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、63.8gの褐色のコーヒーエキスを得た。
グァテマラのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール150gと混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール50gを添加し5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、76.1gの褐色のコーヒーエキスを得た。
グァテマラのコーヒー豆100gをL値20まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール150gと混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール50gを添加し5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、83.2gの褐色のコーヒーエキスを得た。
グァテマラのコーヒー豆100gをL値16まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール150gと混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間撹拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール50gを添加し5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、46.9gの褐色のコーヒーエキスを得た。
ベトナムロブスタの非焙煎コーヒー豆(生豆)100gを、コーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール150gと混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間攪拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール50gを添加し、5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、98.6gの褐色のコーヒーエキスを得た。
ベトナムロブスタのコーヒー豆100gをL値40まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール150gと混合した。この混合物を180℃になるまでマントルヒーターを用いて加熱し、1時間攪拌した。加熱した混合物を自然冷却で40℃になるまで冷却し、95%アルコール50gを添加し、5分間撹拌した。撹拌した混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、83.9gの褐色のコーヒーエキスを得た。
グァテマラのコーヒー豆100gをL値20まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール30gと混合した後、95%アルコール10gを添加し混合した。この混合物を、室温で1時間撹拌した。混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、13.1gの褐色のコーヒーエキスを得た。
グァテマラのコーヒー豆100gをL値16まで焙煎機を用いて焙煎し、次いでコーヒーミルを用いて細挽きに粉砕し、プロピレングリコール30gと混合した後、95%アルコール10gを添加し混合した。この混合物を、室温で1時間撹拌した。混合物を、圧搾空気を用いて加圧ろ過し、13.6gの褐色のコーヒーエキスを得た。
コーヒーの香気として、そのロースト香、ナッツ香などの焙焼香に含まれるピラジン化合物および、トリチオラン化合物を嗜好の指標として用いた。
実施例8、比較例1および比較例2で得られたコーヒーエキスのピラジン化合物(ピラジン、メチルピラジン、2,5-ジメチルピラジン、2,6-ジメチルピラジン、エチルピラジン、2,3-ジメチルピラジン、2-エチル-5-メチルピラジン、2-エチル-6-メチルピラジン、2-エチル-3-メチルピラジンおよび2-エチル-3,5-ジメチルピラジン)を分析したところ、いずれのピラジン化合物も比較例と比較して、約3〜約10倍の含有量であった。実施例8で得られたコーヒーエキスの分析で検出されたトリチオラン化合物(3-エチル-5-メチル-1,2,4-トリチオランおよび3,5-ジエチルトリチオラン)は比較例1および比較例2で得られたコーヒーエキスではいずれも検出されなかった。
ブラックコーヒー(シルキーブラック(登録商標);サントリー食品インターナショナル社製)に実施例1〜12ならびに、比較例1および2で得られたコーヒーエキスをそれぞれ0.05重量%となるよう添加し、熟練したパネリスト5名による官能評価を実施した。評価は、コーヒーエキス無添加のブラックコーヒーの香りと比較した点数を5段階の点数で評価した。その結果を表1に示す。いずれの実施例で得られたコーヒーエキスを添加したブラックコーヒーも比較例と対比すると、ロースト感、コク、苦味が良好に発現していた。
微糖コーヒー(世界一のバリスタ監修(登録商標)微糖コーヒー;ダイドードリンコ製)を官能評価1と同様の方法で、官能評価を実施した。評価は、実施例1〜12、比較例1および比較例2で得られたコーヒーエキスを添加し、コーヒーエキス無添加の微糖コーヒーの香りと比較した点数を5段階の点数で評価した。その結果を表2に示す。いずれの実施例で得られたコーヒーエキスを添加した微糖コーヒーも比較例で得られたコーヒーエキスを添加した微糖コーヒーと対比すると、ロースト感、コク、苦味が良好に発現していた。
Claims (10)
- コーヒー豆を、常圧下沸点180℃以上の有機溶媒と、150℃〜200℃で接触させることを特徴とする、コーヒーエキスの製造方法。
- コーヒー豆の焙煎度がL値70〜L値16または非焙煎である、請求項1記載の方法。
- コーヒー豆と有機溶媒の比率がコーヒー豆1重量部に対し、有機溶媒0.5〜20重量部である、請求項1又は2に記載の方法。
- 有機溶媒がプロピレングリコール、グリセリン、トリアセチン、炭素数8〜10の中鎖脂肪酸トリグリセライド、クエン酸トリエチル、ジエチルセバケートから選択される1又は2以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- コーヒー豆と有機溶媒を接触後、冷却し、さらに水および/または親水性溶媒を添加する工程を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 親水性溶媒がエタノール、液化二酸化炭素および超臨界二酸化炭素から選択される1又は2以上である請求項5に記載の方法。
- さらに固液分離操作により、液体部を分取する工程を含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法により製造されるコーヒーエキス。
- 請求項8に記載のコーヒーエキスを含有する香料。
- 請求項8に記載のエキス又は請求項9に記載の香料を含有する飲食品。
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JP2009077676A (ja) * | 2007-09-27 | 2009-04-16 | Kao Corp | クロロゲン酸類含有物の製造方法 |
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US20130064956A1 (en) * | 2011-09-09 | 2013-03-14 | Bary Lyn Zeller | Shelf Stable, Brewed Beverage Concentrates And Methods Of Making The Same |
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