JP5499056B2 - 車両用バンパ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車等の車両用のバンパ構造に関し、特に歩行者保護性能を向上したものに関する。
自動車の車体前端部に設けられるバンパは、車両外装の一部を構成する意匠部分であるバンパフェイスの内側に、衝突時にバンパフェイスからの圧縮荷重を受けて車体本体側に伝達するとともに、衝撃吸収効果を有する衝撃吸収(EA)部材を配置して構成されている。
このような車両用バンパ構造に関する従来技術として、例えば特許文献1には、バンパフェイスの上部(本体部)、下部(エアダム部)の内側に、それぞれ衝撃吸収部材を配置することが記載されている。
特開2007−204016号公報
歩行者保護性能を向上するためには、脚からの荷重を極力低い位置で受けることによって、脚の上部が車両後方側に回転する方向に脚を転ばせ、歩行者をフード上へ跳ね上げることが有効であることがわかっている。
しかし、車両の車高や意匠によっては、必ずしも理想的な高さで歩行者の脚部からの荷重を受けることができず、特に一般的な乗用車に対して車高が高いSUV系の車両の場合には、荷重を受ける箇所の位置が必然的に高くなってしまう。
また、上下方向に離間した複数箇所で荷重を受ける場合、上下方向のスパンを拡大して脚への入力荷重を分散させ、圧力過大を抑制することが望ましい。
しかし、このような効果を得るため、バンパ上方のEA部材を高い位置に配置しようとしても、車両の意匠面等からの制約によって十分高い位置に配置できない場合がある。
上述した問題に鑑み、本発明の課題は、歩行者との衝突時に荷重を受ける高さの設定自由度を向上した車両用バンパ構造を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、上述した課題を解決する。
請求項1に係る発明は、車体前端部で車両外部に露出して配置されるバンパフェイスと、前端部が前記バンパフェイスの車両後方側の面部に対向して配置されるとともに後端部が車体構造部材に固定された荷重伝達部材とを備える車両用バンパ構造であって、前記荷重伝達部材の上部又は下部に、車両前後方向の圧縮荷重に応じて前記荷重伝達部材を屈曲させる起点となる溝部を形成するとともに、前記荷重伝達部材は、前記溝部を起点とした屈曲後における前後方向の圧縮荷重に対する強度が、前端部と前記溝部との間の中間部において、前記前端部と前記溝部周辺に対して弱くされることを特徴とする車両用バンパ構造である。
これによれば、衝突時の圧縮荷重によって荷重伝達部材を屈曲させ、前端部を上下方向のいずれかに回動させることによって、未衝突時に荷重伝達部材が配置されている箇所よりも上方又は下方で歩行者の脚部からの荷重を受けることが可能となる。
これによって、バンパ下方に配置される荷重伝達部材の荷重をより低い位置で受けて、脚を転ばせて歩行者をはね上げて傷害値を改善したり、バンパ上方に配置される荷重伝達部材の荷重をより高い位置で受けて、荷重を受ける箇所の上下方向のスパンを広げて、脚への入力荷重を分散させることができる。
また、前端部及び溝部周辺を強固な構造とすることによって、荷重伝達部材を確実に屈曲させつつ、中間部を圧壊させることによって、衝撃を吸収することができる。
請求項2に係る発明は、前記バンパフェイスは、下端部に形成されたエアダム部を有し、前記荷重伝達部材は前記エアダム部の内側に配置されるとともに、前記溝部は下部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパ構造である。
これによれば、例えばSUV系等の車高の高い車両であっても、歩行者の脚の低い位置で荷重を受けることが可能となり、歩行者保護性能を向上できる。
請求項3に係る発明は、前記溝部は、下方から上方にかけて溝幅が連続的に減少するよう形成され、前記溝部の上端部近傍に前記荷重伝達部材が屈曲する際の回動中心が存在することを特徴とする請求項2に記載の車両用バンパ構造である。
これによれば、荷重伝達部材が屈曲する際の回動中心を所定の位置に設定することによって、衝突時の荷重伝達部材の屈曲の再現性を高め、性能を安定化させることができる。
請求項4に係る発明は、前記荷重伝達部材が前記パンパフェイスから入力を受ける前端面部は、前記回動中心よりも低い位置に配置されることを特徴とする請求項3に記載の車両用バンパ構造である。
これによれば、前端面部からの入力によって、確実に荷重伝達部材を所望の方向へ屈曲させることができる。
請求項5に係る発明は、前記荷重伝達部材は前記バンパフェイスの上端部近傍の内側に配置されるとともに、前記溝部は上部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の車両用バンパ構造である。
これによれば、脚の荷重伝達箇所を分散させることによって、傷害値の低減を図ることができる。
請求項に係る発明は、前記バンパフェイスは、衝突時に前記荷重伝達部材の一部を押圧して前記荷重伝達部材が屈曲する方向のモーメントを発生させる押圧部を有することを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の車両用バンパ構造である。
これによれば、バンパフェイスからの入力によって荷重伝達部材に曲げモーメントを与えることによって、上述した効果をより確実に得ることができる。
以上説明したように、本発明によれば、歩行者との衝突時に荷重を受ける高さの設定自由度を向上した車両用バンパ構造を提供することができる。
本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例1の断面図である。 本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例2の断面図である。 本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例3の断面図である。 本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例4の断面図である。 本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例5の断面図である。 本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例6の断面図である。 本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例7の断面図である。
本発明は、歩行者との衝突時に荷重を受ける高さの設定自由度を向上した車両用バンパ構造を提供する課題を、バンパフェイスの内側に配置される衝撃吸収(EA)ブラケットの下部又は上部にV字状の溝部を形成し、衝突時に前端部から受ける入力に応じて、溝部を起点としてEAブラケットを屈曲させ、前端部を上下方向に変位させることによって解決した。
以下、本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例1について説明する。
実施例1の車両用バンパ構造は、例えば通常の乗用車に対して車高が高いSUV型乗用車等の自動車の車両前端部に設けられるものである。
図1は、実施例1の車両用バンパ構造の断面図であって、車両の左右中心部における鉛直面で切って見た断面を示すものである(後述する図2乃至図7において同様)。
また、各図において、衝突時(変形後)の衝撃吸収ブラケットを破線で図示しているが、図示を簡潔にして理解を容易とするため、符号は変形前のものにのみ付している。
車両用バンパ構造1は、バンパフェイス100、衝撃吸収(EA)ブラケット200等を有して構成され、EAブラケット200は、ラジエータロワクロスメンバ300に固定されている。
バンパフェイス100は、本体部110、エアダム部120等を有している。
本体部110は、車両の最前端部を構成する部分であって、図示しないラジエータグリル及びヘッドランプの下部に隣接して配置されている。
エアダム部120は、本体部110の下方に設けられ、車幅方向にほぼ沿って延びた部分である。
本体部110とエアダム部120との間には、走行風を取り入れる開口Oが形成されている。
エアダム部120は、前面部121、上面部122、下面部123等を有して構成されている。
前面部121は、車両前方側に面して配置された部分である。前面部121は、本体部110に対して車両前後方向における位置が後方側に配置されている。
上面部122は、前面部121の上端部から、上方かつ後方に斜めに延びて形成された面部である。
下面部123は、前面部121の下端部から、下方かつ後方に斜めに延びて形成された面部である。
EAブラケット200は、前端部がバンパフェイス100のエアダム部120の内側に配置され、衝突時にエアダム部120から入力を受けて車体本体側(ラジエータロワクロスメンバ300側)へ荷重を伝達する荷重伝達部材である。
EAブラケット200は、例えばポリプロピレン等の樹脂材料をインジェクション成型することによって一体に形成される。
EAブラケット200は、前面部210、上面部220、第1横リブ231、第2横リブ232、第3横リブ233、第4横リブ234、斜行横リブ235、第1縦リブ241、第2縦リブ242、第3縦リブ243、第4縦リブ244、ガセット部245、上側固定部250、下側固定部260等を有して構成されている。
前面部210は、EAブラケット200の前端部に設けられ、エアダム部120の前面部121の車両後方側の面部と間隔を隔てて対向して配置された面部である。
前面部210は、鉛直方向にほぼ沿って配置されている。
前面部210は、エアダム部120の上面部122及び後面部123の後端部よりも車両前方側に配置されている。
この前面部210は、衝突時にエアダム部120の前面部121から圧縮荷重を受ける入力部として機能する。
上面部220は、前面部210の上端部から車両後方側に延びて配置されている。
上面部220は、前面部210の上端部から、第1横リブ231の上端部に至る領域では車両前方側が下がるように傾斜して配置され、第1横リブ231の後方側では実質的に水平に配置されている。
第1横リブ231は、前面部210の後方側に、前面部210とは間隔を隔てて対向して配置され、鉛直方向にほぼ沿って配置された面部である。
第1横リブ231は、上面部220の下面から下方に延びて形成されている。
第1横リブ231の上端部は、前面部210の上端部よりも高い位置に配置されている。
第1横リブ231の下端部は、前面部210の下端部よりも低い位置に配置されている。
第2横リブ232は、第1横リブ231の後方側に、第1横リブ231とは間隔を隔てて対向して配置され、鉛直方向にほぼ沿って配置された面部である。
第2横リブ232は、上面部220の下面から下方に延びて形成されている。
第2横リブ232の上端部、下端部は、第1横リブ231の上端部、下端部とそれぞれ同じ高さに配置されている。
第3横リブ233は、第2横リブ232の後方側に、第2横リブ232とは間隔を隔てて対向して配置され、鉛直方向にほぼ沿って配置された面部である。
第3横リブ233は、上面部220の下面から下方に延びて形成されている。
第3横リブ233の上端部、下端部は、第1横リブ231の上端部、下端部とそれぞれ同じ高さに配置されている。
第2横リブ232と第3横リブ233との間隔(前後方向の距離)は、第1横リブ231と第2横リブ232との間隔よりも小さく設定されている。
また、EAブラケット200は、第2横リブ232と第3横リブ233との間の領域(中間部)における車両前後方向の圧縮荷重に対する破壊強度が、第2横リブ232よりも前方側の領域、及び、第3横リブ233よりも後方側の領域に対して低くなるように構成されている。
このような強度の違いは、例えば、各リブの配置や板圧等を調整することによって設定することができる。
第4横リブ234は、第3横リブ233の後方側に、斜行リブ235を挟みかつ第3横リブ233とは間隔を隔てて配置され、鉛直方向にほぼ沿って配置された面部である。
第4横リブ234は、上面部220の下面から下方に延びて形成されている。
第4横リブ234の上端部、下端部は、第1横リブ231の上端部、下端部とそれぞれ同じ高さに配置されている。
第3横リブ233と第4横リブ234との間においては、金型抜きの関係上、上面部220は設けられておらず、開口221が設けられている。
斜行横リブ235は、第3横リブ233の下端部と、第4横リブ234の上端部との間にわたして設けられ、他の横リブに対して傾斜して配置された面部である。
斜行横リブ235と第4横リブ234との間には、ほぼV字状に下方に開いて形成された溝部G1が形成されている。
第1縦リブ241は、鉛直方向及び車両前後方向にほぼ沿って延びた面部であって、前面部210と第1横リブ231との間にわたして配置されている。
第1縦リブ241の下端部は、前面部210の下端部と第1横リブ231の下端部との間を結ぶ直線に沿ってほぼ水平に配置されている。
第2縦リブ242は、鉛直方向及び車両前後方向にほぼ沿って延びた面部であって、第1横リブ231と第2横リブ232との間にわたして配置されている。
第2縦リブ242の下端部は、第1横リブ231の下端部と第2横リブ232の下端部との間を結ぶ直線に沿ってほぼ水平に配置されている。
第3縦リブ243は、鉛直方向及び車両前後方向にほぼ沿って延びた面部であって、第2横リブ232と第3横リブ233との間にわたして配置されている。
第3縦リブ243の下端部は、第2横リブ232の下端部と第3横リブ233の下端部との間を結ぶ直線に沿ってほぼ水平に配置されている。
第4縦リブ244は、鉛直方向及び車両前後方向にほぼ沿って延びた面部であって、第3横リブ233と斜行横リブ235との間にわたして配置されている。
第4縦リブ244の上端部は、第3横リブ233の上端部と斜行横リブ235の上端部との間を結ぶ直線に沿ってほぼ水平に配置されている。
ガセット部245は、斜行横リブ235と第4横リブ324との間に形成される溝部G1における上端部(溝底部)に設けられ、斜行横リブ235と第4横リブ324とを連結する面部である。
上側固定部250は、EAブラケット200を、ラジエータロワクロスメンバ300の上部に固定する部分である。
上側固定部250は、第4横リブ234の直上における上面部220から、斜め後方側の斜め上方側に延びたプレート状に形成されている。
下側固定部260は、EAブラケット200を、ラジエータロワクロスメンバ300の下部に固定する部分である。
下側固定部260は、第4横リブ234の後方側に突き出しかつ下方が開口したボックス状に形成されるとともに、その後端部における上部には、階段状の段部が形成されている。
ラジエータロワクロスメンバ300は、図示しないラジエータコアの下端部を保持する車体の構造部材であって、車幅方向にほぼ沿って延びた梁状の部材である。
ラジエータロワクロスメンバ300は、上下2つ割りのアッパパネル310、ロワパネル320を接合して閉断面を有するように構成されている。
また、ラジエータロワクロスメンバ300の内部には、アッパパネル310とロワパネル320との間に挟みこまれた状態で溶接されるリンホースメント330が設けられている。
アッパパネル310とロワパネル320との車両前方側の接合部は、車両前方側にフランジ状に突き出して形成され、各パネルはこの接合部においてスポット溶接されている。
EAブラケット200の下側固定部260は、段部よりも下側の領域(後方に突き出した領域)を、この接合部の下側に配置して固定されている。
次に、実施例1の車両用バンパ構造1における、歩行者衝突時の動作について説明する。
バンパフェイス100のエアダム部120の前面部121に歩行者の脚部が衝突すると、前面部121は、ラジエータロワクロスメンバ300に対して車両後方側に相対変位し、EAブラケット200の前面部210に当接する。
EAブラケット200は、前面部210が車両後方側に押され、車両前後方向の圧縮荷重を負荷されると、溝部G1の溝底部に設けられたガセット部245付近を回動中心として、前面部210等を含む前端部が、図1に破線で示すように下方へ回動するように屈曲する。
このような回動を発生させるモーメントを確実に得られるよう、入力を受ける前面部210の中央部は、回動中心である溝部G1の溝底部に対して低い位置に配置されている。
EAブラケット200は、斜行横リブ235と第4横リブ234とが当接するまで回動し、その後、ラジエータロワクロスメンバ300への荷重伝達が実質的に開始される。
このため、歩行者の脚部が荷重を受ける箇所は、衝突前における前面部210の位置よりも低い位置となり、歩行者の脚部を回転させて歩行者をはね上げる効果を向上することができる。
また、EAブラケット200は、荷重により中間部を圧壊させることによって、衝撃を吸収する効果も発揮する。
以上説明したように、実施例1によれば、歩行者との衝突時にEAブラケット200が荷重を受ける高さを、車両の車高や意匠等により制限される下限高さよりも下方に設定することで、歩行者保護性能を高めることができる。
次に、本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例2について説明する。
なお、以下説明する各実施例において、従前の実施形態と実質的に同様の箇所については同じ符号を付して説明を省略し、主に相違点について説明する。
図2は、実施例2の車両用バンパ構造の断面図である。
実施例2の車両用バンパ構造2のEAブラケット200Aにおいては、実施例1のEAブラケット200における第3横リブ233、斜行横リブ235、第4縦リブ244を省略し、第2横リブ232から後方に延びた第3縦リブ243の後端部と、第4横リブ234との間に、溝部G2を形成している。
第3縦リブ243の後端部は、下方側へ行くほど第4横リブ234との間の間隔が広がるように、鉛直方向に対して斜めにカットされている。
また、実施例2においては、実施例1における上面部220の開口221は設けられていない。
実施例2においては、EAブラケット200Aは、衝突時に第3縦リブ243の後端部が第4横リブ234に突き当たるまで屈曲する。
以上説明した実施例2においても、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
次に、本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例3について説明する。
図3は、実施例3の車両用バンパ構造の断面図である。
実施例3の車両用バンパ構造3のEAブラケット200Bにおいては、実施例1のEAブラケット200における第2横リブ232を下方側へ延長し、EAブラケット200Bの下面部から突き出させている。
また、実施例3においては、バンパフェイス100のエアダム部120の下面部123から、車両後方側に突き出して形成され、先端部が未衝突時において第2横リブ232の下端部と車両前後方向に間隔を隔てて対向する突出部124を形成している。
以上説明した実施例3においては、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果に加えて、衝突時に突出部124が第2横リブ232の下端部を車両後方側へ押圧することによって、EAブラケット200Bの先端部が下方へ回転する方向の回転モーメントを発生させ、EAブラケット200Bを確実に屈曲させることができる。
次に、本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例4について説明する。
図4は、実施例4の車両用バンパ構造の断面図である。
実施例4の車両用バンパ構造4のEAブラケット200Cにおいては、実施例1のEAブラケット200における第2横リブ232を下方側へ延長し、バンパフェイス100のエアダム部120の下面部123における後端部と係合する係合部232aを形成している。
係合部232aは、第2横リブ232の延長された下端部から前方側に鉤状に突き出した突起を有して構成されている。
以上説明した実施例4においては、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果に加えて、衝突時に下面部123の後端部が第2横リブ232の係合部232aを車両後方側へ押圧することによって、EAブラケット200Cの先端部が下方へ回転する方向の回転モーメントを発生させ、EAブラケット200Cを確実に屈曲させることができる。
次に、本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例5について説明する。
図5は、実施例5の車両用バンパ構造の断面図である。
実施例5の車両用バンパ構造5のEAブラケット200Dにおいては、実施例2のEAブラケット200Aの溝部G2に代えて、以下説明する溝部G3、G4を設けている。
溝部G3は、第1縦リブ241の後端部と、第1横リブ231の前面との間に形成され、下方が開いたV字状の溝である。
溝部G4は、第2縦リブ242の後端部と、第2横リブ232の前面との間に形成され、下方が開いたV字状の溝である。
なお、実施例5においては、第3縦リブ243は、第2横リブ232と第4横リブ234との間にわたして配置されている。(第3横リブ233及び斜行横リブ235は、実施例2と同様に存在しない。)
以上説明した実施例5においては、衝突時に溝部G3、G4がそれぞれ狭まる方向に変形し、EAブラケット200Dはその先端部が下がる方向に屈曲することによって、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果を得ることができる。
次に、本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例6について説明する。
図6は、実施例6の車両用バンパ構造の断面図である。
実施例6の車両用バンパ構造6は、実施例1のEAブラケット200と実質的に同様のEAブラケット200Eを備えている。
また、実施例6では、バンパフェイス100のエアダム部120の前面部121の上部から、車両後方に突き出した突出部125が設けられている。
突出部125は、未衝突状態においては、EAブラケット200Eの上面部220の前端部と、上下方向に間隔を隔てて対向して配置されている。
実施例6においては、衝突時に、バンパフェイス100が変形してエアダム部120が下方へ移動する際に、突出部125がEAブラケット200の上面部220を下方へ押すことによって、EAブラケット200Eの前端部に、屈曲を促進する方向の回転モーメントを発生させる。
以上説明した実施例6によれば、上述した実施例1の効果と実質的に同様の効果に加えて、突出部125がEAブラケット200Eの先端部に回転モーメントを発生させることによって、確実にEAブラケット200Eを屈曲させることができる。
次に、本発明を適用した車両用バンパ構造の実施例7について説明する。
図7は、実施例7の車両用バンパ構造の断面図である。
実施例7の車両用バンパ構造7においては、バンパフェイス100の内側における下方に、例えば硬質ウレタンフォーム等からなるEA材400を配置するとともに、バンパフェイス100の上端部近傍における内側に、上方側が開いた溝部G5を有するEAブラケット200Fを配置している。
EAブラケット200Fの後端部は、ラジエータコアの上端部を保持するラジエータアッパクロスメンバ300に固定されている。
ラジエータアッパクロスメンバ300の上方には、エンジンルームの上部に設けられたフード600の前端部が配置されている。
実施例7においては、歩行者脚部との衝突時に、EAブラケット200Fは、その先端部が上方へ回動するように屈曲する。
その結果、EAブラケット200Fが歩行者脚部から荷重を受ける高さは、衝突前の高さよりも高くなる。
これによって、EAブラケット200FとEA材400が歩行者脚部との間で荷重伝達を行なう箇所の上下方向のスパンを拡大し、荷重を分散させて歩行者脚部への加害性を軽減することができる。
(変形例)
本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。
車両用バンパ構造を構成する各部材の形状、構造、材質、配置等は、各実施例の構成に限定されることなく、適宜変更することができる。
1〜7 車両用バンパ構造
100 バンパフェイス 110 本体部
120 エアダム部 121 前面部
122 上面部 123 下面部
124,125 突出部
200〜200F 衝撃吸収(EA)ブラケット
210 前面部 220 上面部
221 開口 231 第1横リブ
232 第2横リブ 232a 係合部
233 第3横リブ 234 第4横リブ
235 斜行横リブ 241 第1縦リブ
242 第2縦リブ 243 第3縦リブ
244 第4縦リブ 245 ガセット部
250 上側固定部 260 下側固定部
300 ラジエータロワクロスメンバ 310 アッパパネル
320 ロワパネル 330 リンホースメント
400 EA材
500 ラジエータアッパクロスメンバ
600 フード
G1〜G5 溝部

Claims (6)

  1. 車体前端部で車両外部に露出して配置されるバンパフェイスと、
    前端部が前記バンパフェイスの車両後方側の面部に対向して配置されるとともに後端部が車体構造部材に固定された荷重伝達部材と
    を備える車両用バンパ構造であって、
    前記荷重伝達部材の上部又は下部に、車両前後方向の圧縮荷重に応じて前記荷重伝達部材を屈曲させる起点となる溝部を形成するとともに、
    前記荷重伝達部材は、前記溝部を起点とした屈曲後における前後方向の圧縮荷重に対する強度が、前端部と前記溝部との間の中間部において、前記前端部と前記溝部周辺に対して弱くされること
    を特徴とする車両用バンパ構造。
  2. 前記バンパフェイスは、下端部に形成されたエアダム部を有し、
    前記荷重伝達部材は前記エアダム部の内側に配置されるとともに、前記溝部は下部に形成されること
    を特徴とする請求項1に記載の車両用バンパ構造。
  3. 前記溝部は、下方から上方にかけて溝幅が連続的に減少するよう形成され、
    前記溝部の上端部近傍に前記荷重伝達部材が屈曲する際の回動中心が存在すること
    を特徴とする請求項2に記載の車両用バンパ構造。
  4. 前記荷重伝達部材が前記パンパフェイスから入力を受ける前端面部は、前記回動中心よりも低い位置に配置されること
    を特徴とする請求項3に記載の車両用バンパ構造。
  5. 前記荷重伝達部材は前記バンパフェイスの上端部近傍の内側に配置されるとともに、前記溝部は上部に形成されること
    を特徴とする請求項1に記載の車両用バンパ構造。
  6. 前記バンパフェイスは、衝突時に前記荷重伝達部材の一部を押圧して前記荷重伝達部材が屈曲する方向のモーメントを発生させる押圧部を有すること
    を特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の車両用バンパ構造。
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