JP5496247B2 - 成形同時加飾用金型、成形同時加飾品の製造方法、及び成形同時加飾装置 - Google Patents

成形同時加飾用金型、成形同時加飾品の製造方法、及び成形同時加飾装置 Download PDF

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Description

本発明は、成形同時加飾用金型及びそれを用いた成形同時加飾品の製造方法、特に、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型及びそれを用いた成形同時加飾品の製造方法に関する。
従来、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に加飾シートを固着する成形技術が知られている。この技術では、一対の金型が用意され、一対の金型の一方又は両方に加飾シートが配置され、さらに金型間の空間に溶融樹脂が注入されて射出成形が行われる。この場合、射出成形と同時に、転写層が成形品の表面に転写される。
二色成形では、色又は材質が異なる2種類の溶融した溶融樹脂を順次射出成形して、異なる2種類の溶融樹脂部が接合した2色成形品を製造する。さらに、転写層が転写された一次成形品を成形同時加飾によって作成した後に、一次成形品の加飾面上に二次成形用樹脂を射出成形する2色成形同時絵付け方法も知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2010−105211号公報
特許文献1に記載の2色成形同時絵付け方法では、第1固定型と、第2固定型と、2つの可動型とを有する成形同時加飾装置が用いられる。第1固定型は一次成形を行うのに用いられ、第2固定型は二次成形を行うのに用いられる。2つの可動金型は回転によって第1固定型及び第2固定型に対する位置を変更する。特許文献1に記載の装置では、固定型にロール状の加飾シートが供給される。
一方、例えば、可動型側に加飾シートが配置される成形同時加飾技術も知られている。その場合、加飾シートが長尺であれば供給ロール及び巻取ロールによって可動型側の装置が大型化してしまう。そこで、加飾シートは長尺ではなく枚葉であることが好ましい。しかし、枚葉加飾シートの場合は、金型へ正確に位置決めすることが難しい。
本発明の課題は、枚葉加飾シートの金型に対する位置決め精度を向上させることにある。
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
本発明の一見地に係る成形同時加飾用金型は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型である。成形同時加飾用金型は、第1金型と、第2金型と、複数のクランプ部材とを備えている。第1金型には、枚葉加飾シートが配置される。第2金型は、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第1金型との間に成形用空間部を形成できる。複数のクランプ部材は、枚葉加飾シートを第1金型に押し付けるための部材であり、互いに分離しており、枚葉加飾シートが第1金型に配置されるときに枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に少なくとも1個が移動する。
なお、ここでは、枚葉加飾シートとは、基体シートが剥離されて製品に残らない転写シートと、基体シートが製品に残るラミネートシートを含む。
この成形同時加飾用金型では、複数のクランプ部材が互いに分離しており、枚葉加飾シートが第1金型に配置されるときに少なくとも1個のクランプ部材が枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に移動するので、例えばロボットが枚葉加飾シートを第1金型に配置するために接近してきた際に、クランプ部材の位置を適宜調整することによって、枚葉加飾シートとクランプ部材との接触を減らす又は無くすことができる。つまり、搬入時における枚葉加飾シートに対するクランプ部材からの抵抗を減らすことができる。その結果、枚葉加飾シートが変形又は損傷しにくい。
複数のクランプ部材の少なくとも1個は、第1金型に近接するクランプ位置と、クランプ位置から第1金型に対して斜め外側に離れたクランプ開放位置との間で移動可能でもよい。
この金型では、枚葉加飾シートの搬入時に複数のクランプ部材の少なくとも1個がクランプ位置から第1金型に対して斜め外側に離れたクランプ開放位置にあるので、枚葉加飾シートがこれらクランプ部材に接触しにくい。その結果、枚葉加飾シートが変形又は損傷しにくい。
複数のクランプ部材の少なくとも一対は、第1金型に近接するクランプ位置と、クランプ位置から第1金型に対して垂直方向に離れたクランプ開放位置との間で移動可能であり、各クランプ開放位置では第1金型からの距離が互いに異なっていてもよい。
この金型では、搬入時に、枚葉加飾シートが一度に接触するクランプ部材の数が少なくなる。つまり、枚葉加飾シートに一度に作用する抵抗が少なくなるので、その結果、枚葉加飾シートの変形又は損傷しにくい。
本発明の他の見地に係る成形同時加飾品の製造方法は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられ、第1金型と、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり第1金型との間に成形用空間部を形成可能な第2金型と、枚葉加飾シートを第1金型に押し付けるための部材であり、互いに分離した複数のクランプ部材と、を備えた成形同時加飾用金型を用いた成形同時加飾品の製造方法であって、以下の工程を備えている。
◎クランプ部材の少なくとも1個を枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に移動させる。
◎枚葉加飾シートを第1金型に配置する。
◎複数のクランプ部材が枚葉加飾シートを第1金型に押し付ける。
◎第1金型と第2金型を接近させて型締めする。
◎成形用空間部に溶融樹脂を射出成形する。
この成形同時加飾品の製造方法では、複数のクランプ部材が互いに分離しており、クランプ部材の少なくとも1個を枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に移動させるので、例えばロボットが枚葉加飾シートを第1金型に配置するために接近してきた際に、クランプ部材の開放位置を適宜調整することによって、枚葉加飾シートとクランプ部材との接触を減らす又は無くすことができる。つまり、搬入時における枚葉加飾シートに対するクランプ部材からの抵抗を減らすことができる。その結果、枚葉加飾シートが変形又は損傷しにくい。
本発明のさらに他の見地に係る成形同時加飾用金型は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型である。成形同時加飾用金型は、第1固定金型と、第2固定金型と、可動金型と、複数のクランプ部材とを備えている。第2固定金型は、第1固定金型に並んで設けられている。可動金型は、第1固定金型に対向する位置と第2固定金型に対向する位置との間で移動可能である。複数のクランプ部材は、枚葉加飾シートを可動金型に押し付けるための部材であり、互いに分離しており、枚葉加飾シートが可動金型に配置されるときに枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に少なくとも1個が移動する。第1固定金型と可動金型との間には、枚葉加飾シートを用いた一次成形品を成形するための第1成形用空間部が形成される。第2固定金型と可動金型との間には、一次成形品にさらに別の溶融樹脂で成形を行うための第2成形用空間部が形成される。
この成形同時加飾用金型では、複数のクランプ部材が互いに分離しており、枚葉加飾シートが可動金型に配置されるときに枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に少なくとも1個が移動するので、例えばロボットが枚葉加飾シートを可動金型に配置するために接近してきた際に、クランプ部材の開放位置を適宜調整することによって、枚葉加飾シートとクランプ部材との接触を減らす又は無くすことができる。つまり、搬入時における枚葉加飾シートに対するクランプ部材からの抵抗を減らすことができる。その結果、枚葉加飾シートが変形又は損傷しにくい。
複数のクランプ部材の少なくとも1個は、可動金型に近接するクランプ位置と、クランプ位置から可動金型に対して斜め外側に離れたクランプ開放位置との間で移動可能であってもよい。
複数のクランプ部材の少なくとも一対は、可動金型に近接するクランプ位置と、クランプ位置から可動金型に対して垂直方向に離れたクランプ開放位置との間で移動可能であり、各開放位置では前記可動金型からの距離が互いに異なっていてもよい。
本発明のさらに他の見地に係る成形同時加飾品の製造方法は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型であって、第1固定金型と、第1固定金型に並んで設けられた第2固定金型と、第1固定金型に対向する位置と第2固定金型と対向する位置との間で移動可能な可動金型と、枚葉加飾シートを可動金型に押し付けるための部材であり互いに分離した複数のクランプ部材と、を備えた成形同時加飾用金型を用いた成形同時加飾品の製造方法であって、以下の工程を備えている。
◎クランプ部材の少なくとも1個を枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に移動させる。
◎枚葉加飾シートを可動金型に配置する。
◎複数のクランプが枚葉加飾シートを可動金型に押し付ける。
◎可動金型を第1固定金型に接近させることで、一次成形品を成形するための第1成形用空間部を形成する。
◎第1成形用空間部に溶融樹脂を射出成形することで、枚葉加飾シートを用いて一次成形品を成形する。
◎可動金型を第2固定金型に対向させる。
◎可動金型を第2固定金型に接近させることで、二次成形品を成形するための第2成形用空間部を確保する。
◎第2成形用空間部に溶融樹脂を射出成形することで、二次成形品を成形する。
この成形同時加飾品の製造方法では、複数のクランプ部材が互いに分離しているので、例えばロボットが枚葉加飾シートを可動金型に配置するために接近してきた際に、クランプ部材の位置を適宜調整することによって、枚葉加飾シートとクランプ部材との接触を減らす又は無くすことができる。つまり、搬入時における枚葉加飾シートに対するクランプ部材からの抵抗を減らすことができる。その結果、枚葉加飾シートが変形又は損傷しにくい。
成形同時加飾品の製造方法は、第1固定金型に加飾シートを配置する工程をさらに備えていてもよい。この場合、一次成形品の両面に加飾シートが固着される。
本発明の他の見地に係る成形同時可飾装置は、上記の成形同時加飾用金型と、ロボットとを備えている。ロボットは、枚葉可飾シートを成形同時加飾用金型に搬入する。成形同時加飾用金型は、ロボットが枚葉加飾シートを成形同時加飾用金型に搬入するときに、ロボットを成形同時加飾用金型に位置決めするためのロボット位置決め部材をさらに有している。
この装置では、ロボットは成形同時加飾用金型のロボット位置決め部材によって機械的に成形同時加飾用金型に対して位置決めされる。したがって、ロボットにロボット自体による位置調整のためのカメラを設ける必要が無くなる。
本発明のさらに他の見地に係る成形同時加飾品の製造方法は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型であって、平坦面及び部分キャビティを有する第1金型と、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第1金型との間に成形用空間部を形成可能な第2金型と、を備えた成形同時加飾用金型を用いた成形同時加飾品の製造方法であって、以下の工程を備えている。
◎枚葉加飾シートを第1金型に配置する。
◎平坦面で吸引を行うことで、枚葉加飾シートを第1金型に吸着する。
◎第2金型を第1金型に密着させる。
◎部分キャビティで吸引を行うことで、枚葉加飾シートを部分キャビティに沿うように第1金型に吸着する。
◎成形用空間部に溶融樹脂を射出成形する。
この成形同時加飾品の製造方法では、平坦面での吸引と、部分キャビティでの吸引とが行われるので、枚葉可飾シートが第1金型の部分キャビティに密着する度合いが向上する。
成形同時加飾用金型は、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第2平坦面と、射出成形により形成された一次成形品に対して二次成形部を形成可能な第2部分キャビティとを有する第3金型をさらに有していてもよい。その場合、製造方法は以下の工程をさらに備えている。
◎一次成形品を第1金型に残した状態で、第2金型を第1金型から引き離す。
◎第3金型を一次成形品が残る第1金型に密着させる。
◎第2部分キャビティに溶融樹脂を射出成形する。
◎枚葉加飾シートを第3金型の第2平坦面に吸着させた状態で、第3金型を第1金型から引き離す。
◎枚葉加飾シートが第3金型の第2平坦面への吸着を解除された状態で、成形同時加飾品を第3金型から取り外す。
この製造方法では、第3金型を第1金型から引き離すときに、枚葉加飾シートが第3金型に吸着されているので、第3金型から成形同時加飾品を取り外すときに成形同時加飾品から枚葉加飾シートの一部が剥がれるという問題が生じにくい。
本発明のさらに他の見地に係る成形同時加飾品の製造方法は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型であって、第1金型と、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第1金型との間に成形用空間部を形成可能な第2金型と、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、平坦面と射出成形により形成された一次成形品に対して二次成形部を形成可能な部分キャビティとを有する第3金型を備えた成形同時加飾用金型を用いる。この製造方法は、以下の工程を備えている。
◎枚葉加飾シートを第1金型に配置する。
◎第2金型を第1金型に密着させる。
◎成形用空間部に溶融樹脂を射出成形する。
◎一次成形品を第1金型に残した状態で、第2金型を第1金型から引き離す。
◎第3金型を一次成形品が残る第1金型に密着させる。
◎部分キャビティに溶融樹脂を射出成形する。
◎枚葉加飾シートを第3金型の平坦面に吸着させた状態で、第3金型を第1金型から引き離す。
◎枚葉加飾シートが第3金型の平坦面への吸着を解除された状態で、成形同時加飾品を第3金型から取り外す。
この製造方法では、第3金型を第1金型から引き離すときに、枚葉加飾シートが第3金型に吸着されているので、第3金型から成形同時加飾品を取り外すときに成形同時加飾品から枚葉加飾シートの一部が剥がれるという問題が生じにくい。
本発明のさらに他の見地に係る成形同時加飾装置は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾を行う成形同時加飾装置であって、成形同時加飾用金型と、第1吸引装置と、第2吸引装置と、を備えている。成形同時加飾用金型は、平坦面及び部分キャビティを有する第1金型と、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第1金型との間に成形用空間部を形成可能な第2金型と、を有している。第1金型は、平坦面に開口する第1吸引孔と、部分キャビティに開口する第2吸引孔とを有している。第1吸引装置は、第1吸引孔を用いて平坦面で吸引を行うことで、枚葉加飾シートを第1金型に吸着する。第2吸引装置は、第2吸引孔を用いて部分キャビティで吸引を行うことで、枚葉加飾シートを部分キャビティに沿うように第1金型に吸着する。
この成形同時加飾装置では、平坦面での吸引と、部分キャビティでの吸引とが行われるので、枚葉可飾シートが第1金型の部分キャビティに密着する度合いが向上する。
第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第2平坦面と、成形空間部で射出成形により形成された一次成形品に対して二次成形部を形成可能な第2部分キャビティとを有する第3金型と、第3吸引装置と、をさらに備えていてもよい。第3金型は、第2平坦面に開口する第3吸引孔を有している。第3吸引装置は、第3吸引孔を用いて第2平坦面で吸引を行うことで、枚葉加飾シートを第3金型に吸着する。
この成形同時加飾装置では、第3金型を第1金型から引き離すときに、枚葉加飾シートが第3金型に吸着されているので、第3金型から成形同時加飾品を取り外すときに成形同時加飾品から枚葉加飾シートの一部が剥がれるという問題が生じにくい。
本発明のさらに他の見地に係る成形同時加飾装置は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾を行う成形同時加飾装置であって、成形同時加飾用金型と、吸引装置と、を備えている。成形同時加飾用金型は、第1金型と、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第1金型との間に一次成形品を成形するための成形用空間部を形成可能な第2金型と、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、平坦面と、成形空間部で射出成形により形成された一次成形品に対して二次成形部を形成可能な部分キャビティとを有する第3金型と、を有している。第3金型は、平坦面に開口する吸引孔を有している。吸引装置は、吸引孔を用いて平坦面で吸引を行うことで、枚葉加飾シートを第3金型に吸着する。
この成形同時加飾装置では、第3金型を第1金型から引き離すときに、枚葉加飾シートが第3金型に吸着されているので、第3金型から成形同時加飾品を取り外すときに成形同時加飾品から枚葉加飾シートの一部が剥がれるという問題が生じにくい。
本発明に係る成形同時加飾用金型及び成形同時加飾品の製造方法では、枚葉加飾シートの金型に対する位置決め精度が向上する。
本発明の一実施形態に係る成形同時加飾装置の模式的断面図。 成形同時加飾装置の制御構成を示すブロック構成図。 成形同時加飾装置の制御動作を示すフローチャート。 成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 クランプが枚葉加飾シートをクランプしている状態の平面図。 クランプが開放位置にある状態の平面図。 搬入中の枚葉加飾シートと一対のクランプの位置関係を示す模式的断面図。 搬入中の枚葉加飾シートと一対のクランプの位置関係を示す模式的断面図。 搬入中の枚葉加飾シートと一対のクランプの位置関係を示す模式的断面図。 第2実施形態の成形同時加飾装置の制御動作を示すフローチャート。 第2実施形態における成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 第2実施形態における成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。 第2実施形態における成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図。
(1)構成
図1及び図2を用いて、本実施形態における成形同時加飾装置1を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る成形同時加飾装置の模式的断面図である。図2は、成形同時加飾装置の制御構成を示すブロック構成図である。成形同時加飾装置1は、主に、成形同時加飾用金型2と、固定盤11、可動盤17、第1樹脂射出装置67及び第2樹脂射出装置69を備えた射出成形機、ロボット31、枚葉加飾シート準備装置(図示せず)とから構成されている。
成形同時加飾用金型2は、主に、固定金型3と、可動金型5とから構成されている。固定金型3は、主に、第1固定型7と、第2固定型9とから構成されている。第1固定型7は、第1面21が概ね平坦面であり、その反対側の第2面が固定盤11に固定されている。第2固定型9は、第1固定型7に並んで配置されており、第1面25が平坦であり、第1面25に第2部分キャビティ27が形成されている。第2固定型9は、第1面25と反対側の第2面が固定盤11に固定されている。
可動金型5は、主に、第1可動型13と、第2可動型15ととから構成されている。以下、第1可動型13の説明を行うが、第2可動型15の構造も同じである。第1可動型13は、第1面29が平坦であり、第1面29に第1部分キャビティ30が形成されている。第1可動型13には、第1部分キャビティ30の外側であって、第1面29に開口する第1吸引孔35が形成されている。さらに、第1可動型13には、第1部分キャビティ30の底面に開口する第2吸引孔37が形成されている。なお、第1可動型13は、第1面29と反対側の第2面が可動盤17に固定されている。
第1可動型13には、第1部分キャビティ30の回りにおいて枚葉加飾シート(枚葉フィルム)を保持するクランプ33(33a、33b)が設けられている(図1では、一対の第1クランプ33aのみ図示)。クランプ部材の構造及び動作は後に詳細に説明する。
第1可動型13には、さらに、位置決めピン39が設けられている。位置決めピン39は、第1面29から延びており、固定金型3側に延びている。位置決めピン39は、後述するロボットの位置決めを行うための部材である。図では位置決めピンは1つであるが、複数であってもよい。
可動金型5は、図1の状態から、固定金型3から離れる方向にスラスト移動することができ、さらに、固定金型3から離れた位置で回転軸O−Oを中心に回転することができる。この回転によって、第1固定型7と第1可動型13が対向してさらに第2固定型9と第2可動型15が対向する第1状態(図1)と、第1固定型7と第2可動型15対向してさらに第2固定型9と第1可動型13が対向する第2状態(図8)との間で移行できる。可動金型5を回転駆動する機構としては、図2に示すように、金型回転装置63が設けられている。金型回転装置63は、モータ及び回転伝達装置を含んでおり、可動盤17を回転可能である。可動金型5をスラスト駆動する機構としては、図2に示すように、金型前後進装置65が設けられている。金型前後進装置65は、ピストンシリンダ及びスラスト力伝達装置を含んでおり、可動盤17をスラスト可能である。
可動金型5には、さらに、図2に示すように、平坦面吸引装置71と、製品部吸引装置73が設けられている。平坦面吸引装置71は、第1吸引孔35に接続されている。製品部吸引装置73は、第2吸引孔37に接続されている。
以上に述べた構造によって、第1固定型7と第1可動型13又は第2可動型15とによって一次成形部18が構成され、第2固定型9と第1可動型13又は第2可動型15とによって二次成形部19が構成される。
制御部61は、CPU、RAM、ROMを含むコンピュータであり、各種プログラムを実行することで、制御動作を実行する。制御部61は、金型回転装置63,金型前後進装置65、第1樹脂射出装置67、第2樹脂射出装置69、平坦面吸引装置71、製品部吸引装置73、クランプ駆動装置75、長尺加飾シート駆動装置77を制御可能である。また、制御部61には、各種センサ79から検出信号が入力される。さらに、制御部61は、他の装置(例えば、搬送ロボット、枚葉加飾シート準備装置の制御部)と交信可能であってもよい。
第1固定型7に対応して、第1樹脂射出装置67が設けられている。第1樹脂射出装置67は、第1部分キャビティ30に溶融樹脂を射出可能である。
また、第2固定型9に対応して、第2樹脂射出装置69が設けられている。第2樹脂射出装置69は、第2部分キャビティ27に溶融樹脂を射出可能である。なお、図の簡略化のために、射出装置から金型への樹脂射出路は省略されている。
なお、溶融樹脂としては、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリルスチレン共重合体、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、メタクリル酸メチル、ノリル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテフタレートがある。
(2)成形動作
図3〜図11を用いて、成形動作を説明する。図3は、成形同時加飾装置の制御動作を示すフローチャートである。図4〜図11は、成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図である。
図4では、可動金型5は固定金型3から離れており、両者の間に空間が確保されている。なお、図4では、すでに、第1可動型13の第1部分キャビティ30に一次成形品47(後述)が配置されている。
ステップS1では、制御部61は、ロボット31が第2固定型9と第2可動型15との間に進入するのを待つ。ロボット31の進入は、各種センサ79からの検出信号によって検出されてもよいし、ロボット31からの信号によって検出されてもよい(以下、ロボットの位置検出に関しては同じ。)。ロボット31は、図4に示すように、支持部40と、支持部40の先端に設けられた吸着部43とを有している。吸着部43は、第2可動型15側を向いており、四角形である。吸着部43は、枚葉加飾シート41を吸着している。枚葉加飾シート41の四辺部分41bは、吸着部43の端面外側縁よりさらに外側にある。また、支持部40には、位置決めピン39が挿入可能な位置決め孔42が形成されている。
枚葉加飾シート41は、基体シートと、基体シート上に設けられた加飾層とから構成されている。加飾層は、例えば、表面保護層、絵柄層、接着層を有する。また、枚葉加飾シート41は、基体シートと加飾層との間に剥離層を有していてもよい。枚葉加飾シート41の種類としては、例えば、基体シートが最終的に製品から剥離される転写シートと、基体シートが製品に残るラミネートシートとがある。転写シートは基体シートの厚みが38〜50μmであり、ラミネートシートは基体シートの厚みが100〜400μmである。
ステップS2では、制御部61は、クランプ駆動装置75に制御信号を送信することで、クランプ駆動装置75にクランプ33(33a、33b)を第1面29から離れた開放位置に移動させる。図4に示すように、一対の第1クランプ33aは、斜め外側に移動して、第1面29から離れる。
ステップS3では、制御部61は、長尺加飾シート駆動装置77に制御信号を送信することで、長尺加飾シート駆動装置77に長尺加飾シート23(ロール状フィルム)を次の成形動作のために移動させる。
長尺加飾シート23の層構成は、枚葉加飾シート41の層構成と同様であってもいし、異なっていてもよい。
ステップS4では、制御部61は、図5に示すように、ロボット31が第2可動型15側に移動して、その結果、枚葉加飾シート41が第1面29に当接した状態でロボット31が停止するのを待つ。この成形同時加飾装置1では、位置決めピン39と位置決め孔42によって、ロボット31と第2可動型15との位置決めが機械的に行われるので、枚葉加飾シート41の第2可動型15に対する位置精度が向上し、さらにその後の成形同時加飾において転写精度が向上する。
ステップS5では、制御部61は、平坦面吸引装置71に制御信号を送信することで、図5に示すように、平坦面吸引装置71に枚葉加飾シート41の四辺部分41bを第1面29に吸着させる。このように第1吸引孔35が平坦な第1面29に形成されているので、供給される枚葉加飾シート41を位置ずれなく保持される。
ステップS6では、制御部61は、クランプ駆動装置75に制御信号を送信することで、クランプ駆動装置75にクランプ33(33a、33b)を第1面29に密着したクランプ位置に配置させる。図5に示すように、一対の第1クランプ33aは、斜め内側に移動して、図6に示すように、第1面29に接触する。この結果、クランプ33(33a,33b)が枚葉加飾シート41の四辺を第1面29に押さえつける。このように、枚葉加飾シート41が平坦な第1面29に保持された後に、クランプ33によって機械的に枚葉加飾シート41に固定される。
ステップS7では、制御部61は、製品部吸引装置73に制御信号を送信することで、図6に示すように、枚葉加飾シート41の中央部分41aは、第1部分キャビティ30すなわち製品形状に密着した状態になる。
ステップS8では、制御部61は、図6に示すように、ロボット31が第2可動型15から離れ、さらに固定金型3と可動金型5の間の空間から退避するのを待つ。
ステップS9では、制御部61は、金型回転装置63に制御信号を送信して、金型回転装置63に可動金型5を180度回転させる。その結果、図7に示すように、第1固定型7に対して第2可動型15が対向して、第2固定型9に対して第1可動型13が対向する。
ステップS10では、制御部61は、金型前後進装置65に対して制御信号を送信して、金型前後進装置65に可動金型5を固定金型3側に移動させる。この結果、図8に示すように、固定金型3と可動金型5とが密着する。
ステップS11では、制御部61は、第1樹脂射出装置67に制御信号を送信して、第1樹脂射出装置67に一次成形用樹脂を第1部分キャビティ30に射出させる。一次成形用樹脂は、枚葉加飾シート41と、長尺加飾シート23との間に流れ込み、冷却後に第1樹脂部45となる。この結果、一次成形部18において一次成形品47が得られる。
以上に述べたように、この装置では、最初に、平坦面吸引装置71が、枚葉加飾シート41を第2可動型15の平坦な第1面29に吸引する。次に、クランプ33が、枚葉加飾シート41を第2可動型15に対して押さえつける。さらに次に、製品部吸引装置73が、枚葉加飾シート41を第1部分キャビティ30に吸着する。最後に、第1樹脂射出装置67が、第1部分キャビティ30に溶融樹脂を射出する。以上の工程で枚葉加飾シート41を第2可動型15の第1部分キャビティ30に密着状態にするので、枚葉加飾シート41の位置ズレが生じにくい。
また、制御部61は、第2樹脂射出装置69に制御信号を送信して、第2樹脂射出装置69に二次成形用樹脂を第2部分キャビティ27に射出させる。二次成形用樹脂は、冷却後に、一次成形品47の長尺加飾シート23側の面に接着された第2樹脂部51となる。この結果、二次成形部19において二次成形品53が得られる。なお、図1は、成形同時加飾装置1の最初の製造サイクルを示しており、そのため二次成形品が製造されていない。
ステップS12では、制御部61は、金型前後進装置65に対して制御信号を送信して、金型前後進装置65に可動金型5を固定金型3から離れるように移動させる。この結果、図9に示すように、固定金型3と可動金型5との間に空間が形成される。なお、図から明らかなように、この型開きの結果、一次成形品47は可動金型5側に残り、二次成形品53は固定金型3側に残る。
ステップS13では、制御部61は、図10に示すように、ロボット(図示せず)が、上記空間内に進入して二次成形品53を取り出すのを待つ。
ステップS13が終了すると、プロセスはステップS1に戻る。
(3)クランプの構造及び動作
図11〜図15を用いて、クランプ33(33a、33b)の構造及び動作について詳細に説明する。図11は、クランプが枚葉加飾シートをクランプしている状態の平面図である。図12は、クランプが開放位置にある状態の平面図である。図13〜図15は、搬入中の枚葉加飾シートと一対のクランプの位置関係を示す模式的断面図である。
図11に示すように、クランプ33は、一対の第1クランプ33aと、一対の第2クランプ33bとから構成されている。一対の第1クランプ33aは、図において枚葉加飾シート41の左右両辺を押さえつけている。また、一対の第2クランプ33bは、図において枚葉加飾シート41の上下両辺を押さえつけている。より詳細には、各クランプ33a,33bは、枚葉加飾シート41の各辺に当接する第1部分33Aと、各辺より外側において第2可動型15の第1面29に当接する第2部分33Bとを有している。このように各クランプ33a,33bが枚葉加飾シート41の各辺の外側縁までを第2可動型15に押し付けているので、枚葉加飾シート41の第2可動型15に対する位置精度が向上し、さらにその後の成形同時加飾において転写精度が向上する。
図12に示すように、クランプ33が開放位置に移動した場合、一対の第1クランプ33aは、すでに説明したようにクランプ位置から斜め外側に移動している。したがって、枚葉加飾シート41が第2可動型15に搬入されるときに枚葉加飾シートが一対の第1クランプ33aに接触することはない。以上のように、枚葉加飾シート41の搬入時に一対の第1クランプ33aがクランプ位置から第2可動型15に対して斜め外側に離れた開放位置にあるので、枚葉加飾シート41が一対の第1クランプ33aに接触しにくい。その結果、枚葉加飾シート41が変形又は損傷しにくい。この場合、前述の枚葉転写シート及び枚葉ラミネートシートのいずれであっても上記効果が得られるが、特に枚葉転写シートは厚みが薄くて剛性が低いので、上記場合に優れた効果が得られる。つまり、薄いシートであっても、位置合わせが正確になされ、さらに、しわが生じにくい。
また、図12に示すように、一対の第2クランプ33bはクランプ位置から第1面29に対して垂直に移動している。ただし、図13に示すように、一対の第2クランプ33bの第1面29からの距離は互いに異なっている。したがって、ロボット31が枚葉加飾シート41を搬入してくるときに、図13に示すように最初に枚葉加飾シート41が一方の第2クランプ33bに接触し、次に図14に示すように枚葉加飾シート41が他方の第2クランプ33bに接触し、最後に図15に示すように枚葉加飾シート41が第1面29に当接する。以上のように、枚葉加飾シート41が一度に接触するクランプ部材の数が少なくなる。つまり、枚葉加飾シート41に一度に作用する抵抗が少なくなるので、その結果、枚葉加飾シート41が変形又は損傷しにくい。
第1クランプ33aは、例えば、揺動可能なアームに固定されており、アームはクランプ駆動装置75(例えば、油圧シリンダ)に装着されている。第2クランプ33bは、例えば、図示しないロッドに固定されており、ロッドはクランプ駆動装置75(例えば、油圧シリンダ)に装着されている。なお、クランプは金型に設けられておらず、ロボットアームによって外から金型内に搬入されるものであってもよい。
(4)成形同時加飾用金型の効果
成形同時加飾用金型(例えば、成形同時加飾用金型2)は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾装置である。成形同時加飾装置は、第1金型(例えば、第2可動型15)と、第2型(例えば、第1可動型13)と、4個のクランプ部材(例えば、一対の第1クランプ33a,一対の第2クランプ33b)とを備えている。第1金型には、枚葉加飾シート(例えば、枚葉加飾シート41)が配置される。第2金型は、第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第1金型との間に成形用空間部(例えば、第1部分キャビティ30)を画定できる。4個のクランプ部材は、枚葉加飾シートの四つの辺をそれぞれ第1金型に押し付けるための部材であり、互いに分離している。
この成形同時加飾装置では、4個のクランプ部材が互いに分離しているので、例えばロボットが枚葉加飾シートを第1金型に配置するために接近してきた際に、クランプ部材の開放位置を適宜調整することによって、枚葉加飾シートとクランプ部材との接触を減らす又は無くすことができる。つまり、搬入時における枚葉加飾シートに対するクランプ部材からの抵抗を減らすことができる。その結果、枚葉加飾シートが変形又は損傷しにくい。
この成形同時加飾装置1によれば、例えば、表面及び裏面に加飾によって立体的な模様が設けられさらに裏面に嵌合用リブが設けられた携帯電話の筐体の蓋が製造される。表面及び裏面の加飾は、第1樹脂部45に透明の材料を用いて、さらに枚葉加飾シート41と長尺加飾シート23とによって第1樹脂部45を加飾することで得られる。リブは、第2樹脂部51によって形成される。
(5)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組み合せ可能である。
金型の種類及び形状は特に限定されない。
成形品の種類、構成及び形状は特に限定されない。
成形同時加飾装置は、二材成形機でなくてもよい。二材成形機であっても、構造は前記実施形態に限定されない。例えば、一対の可動型の位置入れ替えは回転で行ったが、スライドで行ってもよい。
クランプの種類の組合せは、前記実施形態に限定されない。
第1固定型に供給される加飾シートは、枚葉であってもよい。
前記実施形態では第2部分キャビティは第2固定型の凹部により形成されていたが、成形同時加飾品の形状によっては第2固定型の平坦面から突出した凸部により形成されていてもよい。
前記実施形態では、枚葉加飾シートは、最初に金型の平坦面の位置で吸着され、次にクランプによって金型に押さえ付けられ、最後にキャビティの位置で吸着されていた。別の実施形態としては、クランプによる押さえ付けを省略してもよい。その場合は、枚葉加飾シートは、最初に金型の平坦面の位置で吸着され、次にキャビティの位置で吸着される。この場合も、平坦面での吸着とキャビティの位置での吸着が行われるので、枚葉可飾シートの金型のキャビティへの密着度合いは高い。
(6)第2実施形態
図16〜図19を用いて、第2実施形態の成形同時加飾装置及び成形動作を説明する。図16は、第2実施形態の成形同時加飾装置の制御動作を示すフローチャートである。図17〜図19は、成形同時加飾装置の一状態を示す模式的断面図である。
本実施形態において、成形同時加飾装置の構造及び成形動作は前記実施形態と同様である。したがって、以下異なる部分を中心に説明し、共通の部分の説明は適宜省略する。
図17に示すように、第2固定型9には、第2部分キャビティ27の外側であって、第1面25に開口する吸引孔81が形成されている。なお、吸引孔81は、第2部分キャビティ27に近いことが好ましい。
可動金型5には、さらに、平坦面吸引装置83が設けられている。平坦面吸引装置83は、吸引孔81に接続されている。
図16に示す成形動作のステップS1〜S11までは、前記実施形態と同様である。その結果、二次成形部19において二次成形品53が得られる。
以下、前記実施形態と異なる動作を説明する。
図16に示すフローチャートでは、図3のフローチャートと異なる点として、ステップS14がステップS11とステップS12の間に挿入されて、ステップS15がステップS12とステップS13との間に挿入されている。
ステップS14では、制御部61は、平坦面吸引装置83に制御信号を送信することで、平坦面吸引装置83に枚葉加飾シート41の四辺部分41bを第1面25に吸着させる。このように吸引孔81が平坦な第1面25に形成されているので、枚葉加飾シート41が第2固定型9に保持される。
ステップS12では、制御部61は、金型前後進装置65に対して制御信号を送信して、金型前後進装置65に可動金型5を固定金型3から離れるように移動させる。この結果、図18に示すように、固定金型3と可動金型5との間に空間が形成される。なお、図から明らかなように、この型開きの結果、一次成形品47は可動金型5側に残り、二次成形品53は固定金型3側に残る。
この型開きのときに、枚葉加飾シート41の四辺部分41bが第2固定型9に吸着されているので、可動金型5からの製品離型時に二次成形品53から枚葉加飾シート41の一部が剥がれるという問題が生じにくい。したがって、二次成形品53に剥離跡が生じにくく、また剥離片による不都合が生じにくい。
ステップS15では、制御部61は、平坦面吸引装置83に制御信号を送信することで、平坦面吸引装置83に枚葉加飾シート41の四辺部分41bを第1面25に吸着させることを停止させる。
ステップS13では、制御部61は、図19に示すように、ロボット(図示せず)が、上記空間内に進入して二次成形品53を取り出すのを待つ。
ステップS13が終了すると、プロセスはステップS1に戻る。
本発明は、溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾装置及び成形同時加飾品の製造方法に、広く適用できる。
1 成形同時加飾装置
2 成形同時加飾用金型
3 固定型
5 可動型
7 第1固定型
9 第2固定型
11 固定盤
13 第1可動型
15 第2可動型
17 可動盤
18 一次成形部
19 二次成形部
21 第1面
23 長尺加飾シート
25 第1面
27 第2部分キャビティ
29 第1面
30 第1部分キャビティ
31 ロボット
33 クランプ
33a 第1クランプ(クランプ部材)
33b 第2クランプ(クランプ部材)
35 第1吸引孔
37 第2吸引孔
39 位置決めピン(位置決め部材)
40 アーム
41 枚葉加飾シート
42 位置決め孔
43 吸着部
45 第1樹脂部
47 一次成形品
51 第2樹脂部
53 二次成形品
61 制御部
63 金型回転装置
65 金型前後進装置
67 第1樹脂射出装置
69 第2樹脂射出装置
71 平坦面吸引装置
73 製品部吸引装置
75 クランプ駆動装置
77 長尺加飾シート駆動装置
79 各種センサ

Claims (9)

  1. 溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に前記射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型であって、
    枚葉加飾シートが配置される第1金型と、
    前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、前記第1金型との間に成形用空間部を形成可能な第2金型と、
    前記枚葉加飾シートを前記第1金型に押し付けるための部材であり、互いに分離しており、前記枚葉加飾シートが前記第1金型に配置されるときに前記枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に少なくとも1個が移動する複数のクランプ部材とを備え、
    前記複数のクランプ部材の少なくとも一対は、前記第1金型に近接するクランプ位置と、前記クランプ位置から前記第1金型に対して垂直方向に離れたクランプ開放位置との間で移動可能であり、各開放位置では前記第1金型からの距離が互いに異なっている、成形同時加飾用金型。
  2. 溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に前記射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型であって、
    第1固定金型と、
    前記第1固定金型に並んで設けられた第2固定金型と、
    前記第1固定金型に対向する位置と前記第2固定金型に対向する位置との間で移動可能な可動金型と、
    枚葉加飾シートを前記可動金型に押し付けるための部材であり、互いに分離しており、前記枚葉加飾シートが前記可動金型に配置されるときに前記枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に少なくとも1個が移動する複数のクランプ部材とを備え、
    前記第1固定金型と前記可動金型との間には、前記枚葉加飾シートを用いた一次成形品を成形するための第1成形用空間部が形成され、
    前記第2固定金型と前記可動金型との間には、前記一次成形品にさらに別の溶融樹脂で成形を行うための第2成形用空間部が形成され、
    前記複数のクランプ部材の少なくとも一対は、前記可動金型に近接するクランプ位置と、前記クランプ位置から前記可動金型に対して垂直方向に離れたクランプ開放位置との間で移動可能であり、各開放位置では前記可動金型からの距離が互いに異なっている、成形同時加飾用金型。
  3. 溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に前記射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型であって、第1固定金型と、前記第1固定金型に並んで設けられた第2固定金型と、前記第1固定金型に対向する位置と前記第2固定金型と対向する位置との間で移動可能な可動金型と、前記枚葉加飾シートを前記可動金型に押し付けるための部材であり互いに分離した複数のクランプ部材と、を備えた成形同時加飾用金型を用いた成形同時加飾品の製造方法であって、
    前記クランプ部材の少なくとも1個を前記枚葉加飾シートへの抵抗を減らすクランプ開放位置に移動させ、
    前記枚葉加飾シートを前記可動金型に配置し、
    前記複数のクランプが前記枚葉加飾シートを前記可動金型に押し付け、
    前記可動金型を前記第1固定金型に接近させることで、一次成形品を成形するための第1成形用空間部を形成し、
    前記第1成形用空間部に溶融樹脂を射出成形することで、前記枚葉加飾シートを用いて一次成形品を成形し、
    前記可動金型を前記第2固定金型に対向させ、
    前記可動金型を前記第2固定金型に接近させることで、二次成形品を成形するための第2成形用空間部を確保し、
    前記第2成形用空間部に溶融樹脂を射出成形することで、二次成形品を成形する、
    成形同時加飾品の製造方法。
  4. 前記第1固定金型に加飾シートを配置する工程をさらに備えている、請求項3に記載の成形同時加飾品の製造方法。
  5. 請求項1又は請求項2記載の成形同時加飾用金型と、
    枚葉可飾シートを前記成形同時加飾用金型に搬入するロボットとを備え、
    前記成形同時加飾用金型は、前記ロボットが前記枚葉加飾シートを前記成形同時加飾用金型に搬入するときに、前記ロボットを前記成形同時加飾用金型に位置決めするためのロボット位置決め部材をさらに有している、成形同時加飾装置。
  6. 溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に前記射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型であって、平坦面及び部分キャビティを有する第1金型と、前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、前記第1金型との間に成形用空間部を形成可能な第2金型と、を備えた成形同時加飾用金型を用いた成形同時加飾品の製造方法であって、
    枚葉加飾シートを前記第1金型に配置し、
    前記平坦面で吸引を行うことで、前記枚葉加飾シートを前記第1金型に吸着し、
    前記部分キャビティで吸引を行うことで、前記枚葉加飾シートを前記部分キャビティに沿うように前記第1金型に吸着し、
    前記第2金型を前記第1金型に密着させ、
    前記成形用空間部に溶融樹脂を射出成形し、
    前記成形同時加飾用金型は、前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第2平坦面と、前記射出成形により形成された一次成形品に対して二次成形部を形成可能な第2部分キャビティとを有する第3金型をさらに有し、
    前記一次成形品を前記第1金型に残した状態で、前記第2金型を前記第1金型から引き離し、
    前記第3金型を前記一次成形品が残る前記第1金型に密着させ、
    前記第2部分キャビティに溶融樹脂を射出成形し、
    前記枚葉加飾シートを前記第3金型の前記第2平坦面に吸着させた状態で、前記第3金型を前記第1金型から引き離し、
    前記枚葉加飾シートが前記第3金型の前記第2平坦面への吸着を解除された状態で、成形同時加飾品を前記第3金型から取り外す、成形同時加飾品の製造方法。
  7. 溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に前記射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾に用いられる成形同時加飾用金型であって、第1金型と、前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、前記第1金型との間に成形用空間部を形成可能な第2金型と、前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、平坦面と前記射出成形により形成された一次成形品に対して二次成形部を形成可能な部分キャビティとを有する第3金型を備えた成形同時加飾用金型を用いた成形同時加飾品の製造方法であって、
    枚葉加飾シートを前記第1金型に配置し、
    前記第2金型を前記第1金型に密着させ、
    前記成形用空間部に溶融樹脂を射出成形し、
    一次成形品を前記第1金型に残した状態で、前記第2金型を前記第1金型から引き離し、
    前記第3金型を前記一次成形品が残る前記第1金型に密着させ、
    前記部分キャビティに溶融樹脂を射出成形し、
    前記枚葉加飾シートを前記第3金型の前記平坦面に吸着させた状態で、前記第3金型を前記第1金型から引き離し、
    前記枚葉加飾シートが前記第3金型の前記平坦面への吸着を解除された状態で、成形同時加飾品を前記第3金型から取り外す、
    成形同時加飾品の製造方法
  8. 溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に前記射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾を行う成形同時加飾装置であって、
    成形同時加飾用金型と、
    第1吸引装置と、
    第2吸引装置と、を備え、
    前記成形同時加飾用金型は、
    平坦面及び部分キャビティを有する第1金型と、
    前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、前記第1金型との間に成形用空間部を形成可能な第2金型と、を有し、
    前記第1金型は、前記平坦面に開口する第1吸引孔と、前記部分キャビティに開口する第2吸引孔とを有しており、
    前記第1吸引装置は、前記第1吸引孔を用いて前記平坦面で吸引を行うことで、前記枚葉加飾シートを前記第1金型に吸着し、
    前記第2吸引装置は、前記第2吸引孔を用いて前記部分キャビティで吸引を行うことで、前記枚葉加飾シートを前記部分キャビティに沿うように前記第1金型に吸着し、
    前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、第2平坦面と、前記成形空間部で射出成形により形成された一次成形品に対して二次成形部を形成可能な第2部分キャビティとを有する第3金型と、
    第3吸引装置と、をさらに備えており、
    前記第3金型は、前記第2平坦面に開口する第3吸引孔を有しており、
    前記第3吸引装置は、前記第3吸引孔を用いて前記第2平坦面で吸引を行うことで、前記枚葉加飾シートを前記第3金型に吸着する、成形同時加飾装置。
  9. 溶融樹脂から射出成形品を形成すると同時に前記射出成形品の表面に枚葉加飾シートを固着する成形同時加飾を行う成形同時加飾装置であって、
    成形同時加飾用金型と、
    吸引装置と、を備え、
    前記成形同時加飾用金型は、
    第1金型と、
    前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、前記第1金型との間に一次成形品を成形するための成形用空間部を形成可能な第2金型と、
    前記第1金型に対して相対的に接近及び離反可能であり、平坦面と、前記成形空間部で射出成形により形成された一次成形品に対して二次成形部を形成可能な部分キャビティとを有する第3金型と、を有しており、
    前記第3金型は、前記平坦面に開口する吸引孔を有しており、
    前記吸引装置は、前記吸引孔を用いて前記平坦面で吸引を行うことで、前記枚葉加飾シートを前記第3金型に吸着する、
    成形同時加飾装置。
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