JP5484899B2 - バルブシート用鉄基焼結合金及び内燃機関用バルブシート - Google Patents

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Description

本件発明は、内燃機関用のバルブシートとして好適な鉄基焼結合金材に係り、特に鉄基焼結合金材の機械的強度及び成形加工性の向上に関する。
バルブシートは、吸気弁、排気弁の弁座になる部位であり、弁(バルブ)と接触し、燃焼室の気密を保たせるために必要な部品である。バルブシートの主な機能として、(1)圧縮気体、燃焼ガスがマニホールドへ洩れるのを防ぐための気密保持機能、(2)バルブの熱をシリンダヘッド側へ逃がすための熱伝導機能、(3)バルブの着座時にバルブの衝突に耐え、高熱且つ高負荷の環境においても摩耗しにくい耐摩耗機能、が挙げられる。そして、バルブシートの要求特性として、(1)バルブへの攻撃性が少ないこと、(2)リーズナブルな価格であること、(3)加工の際、削りやすいことが挙げられる。そのため、内燃機関用バルブシートには、上述した機能、特性を満たすべく鉄基焼結合金材が適用される。
鉄基焼結合金材は、金属の粉末を金型等により加圧成型したのちに、これを融点以下の温度で加熱した後、必要に応じ熱処理等を施して得られるものである。そして、この鉄基焼結合金材は、主成分である鉄の他、これに炭素、銅、ニッケル等を適当量含ませながら、(1)焼結合金の耐摩耗性を向上させるため、混合する元素による機械的性質、耐摩耗性、耐熱性等を向上させる、(2)製品の切削加工性を改善する、(3)生産性の向上によるコスト削減を行う等の利点が得られる。
しかし、自動車部品を構成する材料は、他の諸機械と同様に、年々要求される条件が高くなっており、従来よりさらに高強度化した機械的特性、切削性等の加工性、より高い量産安定性、製造コストの削減が望まれている。バルブシートも例外ではなく、従来の内燃機関用のバルブシートが有している機械的特性に比べ、さらに優れた特性を有する内燃機関用バルブシートが望まれてきている。
このような課題に対し、特許文献1には、鉄基地相に、10μm〜150μmの粒径と500HV0.1以上800HV0.1未満の硬さを有するコバルト基金属間化合物粒子である第一の硬質粒子を面積率で10〜20面積%と、10μm〜150μmの粒径と800HV0.1以上1100HV0.1未満の硬さを有するコバルト基金属間化合物粒子である第二の硬質粒子とを面積率で15〜35面積%、且つ、双方が占有するトータル面積率で25〜55面積%分散させることで、耐摩耗性に優れ、且つ、相手バルブに対する攻撃性の低下を目的としたバルブシートが開示されている。
特開2005−248234号公報
しかし、従来技術に記載されているコバルト基金属間化合物粒子の組合せをもって、これらを鉄基地相に分散含有させた鉄基焼結合金を内燃機関用のバルブシートに用いても、耐摩耗性を得るための硬質粒子の添加量を大幅に増加させなければ、内燃機関に要求される耐摩耗性が得られず、硬質粒子添加量を大幅に増加させる必要がある。その結果、鉄基焼結合金への硬質粒子の添加量の増加に伴い、鉄基焼結合金の靱性が低下し、相手バルブ攻撃性が増加し、切削加工性の低下を招くという問題が生じる。
例えば、特許文献1において、鉄基地相に分散含有させる硬質粒子として、「相手攻撃性が少なく、且つ、粒径が10μm〜150μmのコバルト基金属間化合物粒子」と、「硬さが高く耐摩耗性に優れ、且つ、粒径が10μm〜150μmのコバルト基金属間化合物粒子」との二種類の硬質粒子の組み合わせが開示されている。この特許文献1に開示の鉄基焼結合金をバルブシートとして用いた場合、バルブシート自身の耐摩耗性向上と相手攻撃性の低減を両立させる効果はある。ところが、バルブシートの耐摩耗性と機械的強度と切削加工性とを両立させることが難しくなる場合が生じるという問題があった。
以上のことから、自動車エンジンに代表される内燃機関は、長寿命化、高出力化、燃費向上等が強く要求されており、内燃機関の性能安定性を左右するバルブシートの耐摩耗性向上と相手攻撃性の低減とに加えて、バルブシートの耐摩耗性と機械的強度と切削加工性とを同時に向上させたバルブシート用鉄基焼結合金材が望まれてきた。
以下に述べる本件発明は、このような従来技術の問題を鑑みてなされたものであり、内燃機関用バルブシートの耐摩耗性を向上させるために硬質粒子の添加量を増加させると同時に、バルブシートとしての機械的強度及び切削加工性のトータルバランスに優れた製品の提供を目的とする。
そこで、本発明者等は、上述した課題を達成するために、バルブシート用鉄基焼結合金材の組織に対して分散含有させる二種類の硬質粒子の粒度分布及び硬さに着目し、この粒度分布曲線の粒径のピークトップ位置の差による当該バルブシートの機能及び特性への影響について研究した。その結果、本発明者等は、二種類の硬質粒子の粒度分布曲線における粒径のピークトップの差や硬質粒子の含有量及び硬度差を定めることで上記課題を達成できることに想到した。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、鉄基焼結合金の組織に対して第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子を分散含有させた鉄基焼結合金材であって、当該第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子は、ビッカース硬さが650HV0.1〜1100HV0.1の範囲にあるコバルト基金属間化合物粒子又は鉄基金属間化合物粒子であり、以下の条件1〜条件4を同時に満たすものを選択的に用いたことを特徴とするバルブシート用鉄基焼結合金材である。
条件1: 第1硬質粒子として平均一次粒子径が5μm〜20μmの硬質粒子を用いる。
条件2: 第2硬質粒子として平均一次粒子径が20μm〜150μmの硬質粒子を用いる。
条件3: 第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子を混合した場合に得られる混合粒子は、レーザー回折散乱分析法で測定したときの粒度分布曲線の中に2個のピークが存在し、当該粒度分布曲線のピークトップ位置に相当する粒径T1 としたとき、D とD との差(|D −D |)が15μm〜100μmの範囲となるピークトップ粒径差を備える。
条件4: 鉄基焼結合金の組織内において、前記混合粒子を構成する第1硬質粒子及び第2硬質粒子の双方で占有するトータル面積率が10面積%〜60面積%となり、且つ、当該トータル面積率のうち当該第1硬質粒子又は当該第2硬質粒子のどちらか一方が単独で占有する面積率が2面積%〜40面積%となる。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、前記第1硬質粒子と第2硬質粒子とは、以下のコバルト基金属間化合物組成1、コバルト基金属間化合物組成2、鉄基金属間化合物組成のいずれかの組成を備えるものであることが好ましい。
[コバルト基金属間化合物組成1]
ケイ素 :0.5〜4.0wt%
クロム :5.0〜20.0wt%
モリブデン:20.0〜40.0wt%
残部 :コバルト及び不可避的不純物
[コバルト基金属間化合物組成2]
ケイ素 :0〜4.0wt%
ニッケル :5.0〜20.0wt%
クロム :15.0〜35.0wt%
モリブデン:15.0〜35.0wt%
残部 :コバルト及び不可避的不純物
[鉄基金属間化合物組成]
コバルト :10.0〜20.0wt%
ニッケル :2.0〜20.0wt%
クロム :12.0〜35.0wt%
モリブデン:12.0〜35.0wt%
残部 :鉄及び不可避的不純物
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、前記鉄基焼結合金材の組織は、炭素、ケイ素、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、バナジウムの中から選ばれる二種以上の合金元素を13.0wt%〜90.0wt%の範囲で含有することが好ましい。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、前記鉄基焼結合金材の組織は、第1硬質粒子、第2硬質粒子及び基地相の占める面積率を100面積%としたとき、硫化物又はフッ化物である固体潤滑材粉末を0.2面積%〜5.0面積%の範囲で含有するものであることが好ましい。
本件発明に係る内燃機関用バルブシートは、上述したバルブシート用鉄基焼結合金材を用いて製造されることを特徴とする。なお、当該鉄基焼結合金材は他にも、各種機械部品、軸受部品、電気接点用部品、耐摩耗用部品に応用することができる。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、内燃機関用バルブシートの耐摩耗性を向上させるために、バルブシートの製造に用いる鉄基焼結合金材に添加する硬質粒子の添加量を増加させても、内燃機関の過酷な使用条件に耐える良好な耐摩耗性と機械的強度と切削加工性とをバランス良く維持することができる。従って、当該バルブシート用鉄基焼結合金材を用いて得られるバルブシートは、切削による良好な加工表面が形成でき、バルブの着座時の燃焼室内の気密性を向上させることが可能である。しかも、本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、バルブシートとして十分な強度を備えるため、内燃機関としての長寿命化の要請に応えることが可能になる。
以下に、本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材の形態について説明する。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、鉄基焼結合金の組織に対して第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子を分散含有させた鉄基焼結合金材であって、当該第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子は、ビッカース硬さが650HV0.1〜1100HV0.1の範囲にあるコバルト基金属間化合物粒子又は鉄基金属間化合物粒子であり、以下の条件1〜条件4を同時に満たすものを選択的に用いたことを特徴とする。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、第1硬質粒子と第2硬質粒子とは、ビッカース硬さが650HV0.1〜1100HV0.1の範囲にある硬質粒子であることが好ましい。硬質粒子の硬さが650HV0.1未満の場合、バルブシートとして用いる鉄基焼結合金材の耐摩耗性が低下し、内燃機関としての長寿命化も図り得ないため好ましくない。一方、硬質粒子の硬さが、1100HV0.1を超えると鉄基焼結合金材としての靱性の低下が生じて脆くなるため、衝撃に対する耐衝撃性能が低下するため好ましくない。
ここで、鉄基焼結合金材内に分散させる二種類の硬質粒子のビッカース硬さの差が300HV0.1〜350HV0.1の範囲内であることが、硬質粒子の材質によっては好ましい場合もある。仮に、二種類の硬質粒子として、同じ硬さの硬質粒子を用い、当該硬質粒子を組織に分散含有させた鉄基焼結合金をバルブシートとして用いた場合を考える。この硬質粒子の硬度が高い場合には、バルブシート自身の耐摩耗性を向上させることはできても、当該鉄基焼結合金をバルブシートに加工する際の切削性能が低下すると同時に、バルブシートのバルブに対する攻撃性を減少させることはできず、バルブシートとしての品質バランスが維持できない。また、その硬質粒子の硬度が低い場合には、バルブシートのバルブに対する攻撃性を減少させることはできても、バルブシート自身の耐摩耗性を向上させることはできず、当該鉄基焼結合金をバルブシートに加工する際の切削性能も同時に低下する場合もあり、バルブシート材としての品質バランスが維持できない。従って、中間の硬さの硬質粒子のみを使用することも考えられるが、バルブシート材としての必要強度及び切削加工性を同時に向上させた鉄基焼結合金材を得て、しかも、この鉄基焼結合金材をバルブシートとして用いたときの耐摩耗性向上、相手バルブへの攻撃性の低減を同時に達成することは困難である。従って、硬質粒子の材質によっては、第1硬質粒子と第2硬質粒子とで一定の硬度差を設けることが好ましい場合もある。
また、本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材において用いる二種類の硬質粒子は、コバルト基金属間化合物粒子、鉄基金属間化合物粒子を組み合わせたものである。このコバルト基金属間化合物粒子は、高温でも軟化せず、摩耗し難く、耐腐食性能も高い。また、鉄基金属間化合物粒子は、コバルト基金属間化合物粒子と比較して、鉄基焼結合金の基地相に対する拡散性が劣り、基地との結合性が若干劣るものの、鉄基金属間化合物組成の配合条件によっては、この性能の劣化を最小限に抑えることができ、なにより安価である利点を有する。
条件1は、第1硬質粒子として平均一次粒子径が5μm〜20μmの硬質粒子を用いることが好ましく、条件2は、第2硬質粒子として平均一次粒子径が20μm〜150μmの硬質粒子を用いることが好ましい。すなわち、本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、鉄基焼結合金の組織に対し、二種類の、平均一次粒子径が5μm〜20μmの第1硬質粒子と、平均一次粒子径が20μm〜150μmの第2硬質粒子との混合粒子を分散させたものである。このような粒径範囲にある第1硬質粒子と第2硬質粒子とを組み合わせて使用することで、本件発明に係る鉄基焼結合金材として適正な状態の焼結体が得られる。したがって、第1硬質粒子のみを用いて製造した鉄基焼結合金材の場合には、平均一次粒子径が5μm〜20μmと微細であるため、粒子同士の凝集が発生しやすく、硬質粒子としての効果を発揮できず、製造コストの上昇を招くため好ましくない。一方、第2硬質粒子のみを用いて製造した鉄基焼結合金材の場合には、平均一次粒子径が20μm〜150μmと大きいため、相手バルブ攻撃性が増加し、更には、焼結加工時の粒子同士の焼結が困難となり焼結時間を長く要する等、製造コストの上昇を招くため好ましくない。
上述したように、本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金の組織に分散含有される硬質粒子の平均一次粒子径は、当該第1硬質粒子が5μm〜20μm、第2硬質粒子径が20μm〜150μmである。すなわち、平均一次粒子径としては、5μm〜150μmの範囲の硬質粒子を使用していると言える。この理由は、硬質粒子の平均一次粒子径が5μm未満の場合には、粒子が微細すぎて、焼結工程時に粒子が鉄基焼結合金の基地相に拡散消失しやすく、粒子分散強化の効果が得られず、硬質粒子の効果が期待できなくなるため好ましくない。一方、硬質粒子の粒径が150μmを超えて大きくなると、鉄基焼結合金の組織に分散した硬質粒子が大きすぎて、この鉄基焼結合金をバルブシートとして使用したときに、粒子の割れや欠けが生じやすく、相手バルブへの攻撃性が増加するため好ましくない。
条件3は、第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子を混合した場合に得られる混合粒子は、レーザー回折散乱分析法で測定したときの粒度分布曲線の中に2個のピークが存在し、当該粒度分布曲線のピークトップ位置に相当する粒径T1 としたとき、D とD との差(|D −D |)が15μm〜100μmの範囲となるピークトップ粒径差を備えることが好ましい(以下、当該「|D −D |」をピークトップ粒径差と称する。)。ここで、ピークトップ粒径差が15μm未満の場合は、双方の硬質粒子の粒子径の差が小さいことを示している。かかる場合、二種の粒径の硬質粒子を使用する意味がなくなり、バルブシート材としての必要強度及び切削加工性を同時に向上させた鉄基焼結合金材を得て、しかも、この鉄基焼結合金材をバルブシートとして用いたときの耐摩耗性向上、相手バルブへの攻撃性の低減を同時に達成することは困難になるため好ましくない。一方、ピークトップ粒径差が100μmを超える場合は、大きい硬質粒子が多くなり、相手バルブへの攻撃性が増加する。更に、鉄基焼結合金の組織内での均一な硬質粒子の分布状態を得難く、結果として機械的強度、靱性共に低下するため、この鉄基焼結合金材をバルブシートとして用いた場合好ましくない。
条件4は、鉄基焼結合金の組織内において、前記混合粒子を構成する第1硬質粒子及び第2硬質粒子の双方で占有するトータル面積率が10面積%〜60面積%となり、且つ、当該トータル面積率のうち当該第1硬質粒子又は当該第2硬質粒子のどちらか一方が単独で占有する面積率が2面積%〜40面積%となることが好ましい。当該トータル面積率が10面積%未満の場合には、鉄基焼結合金の組織に含まれる硬質粒子が少ないために耐摩耗性が低下し、硬質粒子を用いる意義が没却するため好ましくない。一方、当該トータル面積率が60面積%を超える場合には、鉄基焼結合金の組織に含まれる硬質粒子が多くなりすぎて、加工も困難となり、バルブシート材として求められる靱性、耐衝撃性が低下し、相手バルブへの攻撃性が増加するため好ましくない。すなわち、鉄基焼結合金材内の硬質粒子は、当該第1硬質粒子及び第2硬質粒子の双方で占有するトータル面積率が上記範囲内となるように含有させることで、より品質の安定したバルブシートを提供することができる。
また、条件4は、硬質粒子のトータル面積率のうち、第1硬質粒子又は第2硬質粒子のどちらか一方が単独で占有する面積率が2面積%〜40面積%であり、他方が、当該トータル面積率より当該一方が単独で占有する面積率を引いた値であることがより好ましい。どちらか一方の硬質粒子の面積率が2面積%未満の場合には、一種類の硬質粒子を用いたと同様の結果しか得られず、バルブシート材としての必要強度及び切削加工性を同時に向上させ、この鉄基焼結合金材をバルブシートとして用いたときの耐摩耗性向上と、相手バルブ攻撃性の低減とを同時に達成することが困難になるため好ましくない。一方、どちらか一方の硬質粒子の面積率が40面積%を超える場合に、他方の硬質粒子が下限である2面積%であると、上述したと同様に、一種類の硬質粒子を用いたと同様の結果しか得られなくなるため好ましくない。すなわち、鉄基焼結合金材の組織に、当該第1硬質粒子及び第2硬質粒子がバランス良く、且つ、偏在することなく分布することで、当該第1硬質粒子のみを用いたときの耐摩耗性の低下、及び、当該第2硬質粒子のみを用いたときの相手攻撃性及び機械的強度の低下を防ぎ、更に品質の安定したバルブシートの提供が可能になる。
なお、二種類の第1硬質粒子と第2硬質粒子とを分散含有させた鉄基焼結合金材を得るための製造方法に関しては、通常用いることのできる全ての粉末冶金製造法を採用することが可能であり、特段の限定は要さない。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、前記混合粒子を構成する第1硬質粒子と第2硬質粒子とは、以下のコバルト基金属間化合物組成1、コバルト基金属間化合物組成2、鉄基金属間化合物組成のいずれかの組成を備えることが好ましい
ここで、コバルト基金属間化合物組成1は、ケイ素含有量が0.5〜4.0wt%、クロム含有量が5.0〜20.0wt%、モリブデン含有量が20.0〜40.0wt%、残部がコバルト及び不可避的不純物である。これらの成分が相互に金属間化合物を形成し、これをコバルト基金属間化合物と称している。そして、コバルト基金属間化合物組成2は、ケイ素含有量が0〜4.0wt%、ニッケル含有量が5.0〜20.0wt%、クロム含有量が15.0〜35.0wt%、モリブデン含有量が15.0〜35.0wt%、残部がコバルト及び不可避的不純物である。このような組成パターンを採ることで、硬質粒子の固体潤滑作用を向上させることができる。
以上に述べてきた組成を備えるコバルト基金属間化合物を硬質粒子として採用することで、当該硬質粒子を分散させて得られる鉄基焼結合金材の耐摩耗性、機械的強度、切削加工性の各特性の向上が図られるため好ましい。
また、鉄基金属間化合物組成は、コバルト含有量が10.0〜20.0wt%、ニッケル含有量が2.0〜20.0wt%、クロム含有量が12.0〜35.0wt%、モリブデン含有量が12.0〜35.0wt%、残部が鉄及び不可避的不純物である。これらの成分が相互に金属間化合物を形成し、これを鉄基金属間化合物と称している。そして、このような組成パターンを採ることで、硬質粒子の固体潤滑作用を向上させることができる。
以上に述べてきた組成を備える鉄基金属間化合物を硬質粒子として採用することで、当該硬質粒子を分散させて得られる鉄基焼結合金材の耐摩耗性、機械的強度、切削加工性の各特性の向上が図られるため好ましい。また、鉄基金属間化合物は、コバルト基金属間化合物と比較して安価であるため、鉄基焼結合金材に分散させる硬質粒子として用いることで、よりコストパフォーマンスに優れた内燃機関用バルブシートの提供が可能となる。
次に、鉄基焼結合金材の組織について説明する。以下の説明における「基地」とは、鉄基焼結合金材の焼結組織に見られる基硬質粒子、固体潤滑剤、粒子間に形成される空孔を除いたものである。本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材の基地には、当該基地の組成を100wt%として、炭素、ケイ素、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、バナジウムの中から選ばれる二種以上の合金元素を13.0wt%〜90.0wt%の範囲で含有するものであることが好ましい。以下、各合金元素について簡単に説明する。
ここで、合金元素としての炭素は、鉄基地中で微細な炭素粒として析出し、固体潤滑性能を向上させるか、鉄又は以下に述べる合金成分との間で耐摩耗性能を向上させる炭化物形成又は金属間化合物の形成助剤としての役割を果たす。このとき、鉄基地中の炭素含有量は0.5wt%〜2.0wt%であることが好ましい。この炭素含有量が0.5wt%未満の場合には、良好な炭化物を形成することもできず、鉄基地中での固体潤滑性能も、炭化物形成による耐摩耗性能及び機械的強度の向上もできないため好ましくない。一方、炭素含有量が2.0wt%を超えると、マルテンサイト組織が増加すると共に、鉄基地中で硬く脆いセメンタイト(FeC)が過剰になり、他の成分との間で形成する炭化物成分量が過剰になり脆くなるため、鉄基焼結合金材として耐衝撃性能に欠け、耐久性及び良好な加工性能がなくなるため好ましくない。
鉄基地中のケイ素含有量は0.2wt%〜3.0wt%であることが好ましい。ケイ素含有量が0.2wt%未満の場合には、良好な金属間化合物を形成することができず好ましくない。一方、ケイ素含有量が3.0wt%を超える場合には、鉄基地中に硬く脆い炭化物が過剰になるため基地の脆化を招き、鉄基焼結合金材として耐衝撃性能に欠けるため、耐久性及び良好な加工性能がなくなり好ましくない。
合金元素としてのクロムは、クロム炭化物を形成する成分であり、耐熱性及び耐食性を向上させ、同時に耐摩耗性を向上させる。このとき、鉄基地中のクロム含有量は0.5wt%〜4.0wt%であることが好ましい。クロム含有量が0.5wt%未満の場合には、耐熱性、耐食性、耐摩耗性のいずれも向上させることが難しいため好ましくない。一方、クロム含有量が4.0wt%を超える場合には、クロム炭化物の生成が過剰になり、そのクロム炭化物が粒界に偏析して、鉄基地が硬く、脆くなるため耐衝撃性能及び加工性能が低下し好ましくない。
合金元素としてのモリブデンは、鉄基地中で固体潤滑作用を向上させるモリブデン炭化物を形成するか、鉄−モリブデン金属間化合物を形成して耐摩耗性を向上させ、焼き戻し軟化抵抗を向上させるように作用する。このとき、鉄基地中のモリブデン含有量は0.2wt%〜5.0wt%であることが好ましい。モリブデン含有量が0.2wt%未満の場合には、モリブデン炭化物の形成量が少なく、耐摩耗性の向上が図れず好ましくない。一方、モリブデン含有量が5.0wt%を超えると、モリブデン炭化物及び鉄−モリブデン金属間化合物の生成が過剰になり、鉄基地が硬く、脆くなるため加工性能が低下し好ましくない。
合金元素としてのコバルトは、タングステンの炭化物と共存することにより、鉄基焼結合金の機械的強度、耐熱性を大幅に向上させ、更に、他の合金成分の均一拡散を促進し、同時に耐摩耗性を高めるように作用する。このとき、鉄基地中のコバルト含有量は0.5wt%〜6.0wt%であることが好ましい。コバルト含有量が0.5wt%未満の場合には、耐熱性、耐食性、耐摩耗性のいずれの向上も図れず好ましくない。一方、コバルト含有量が6.0wt%を超える場合には、これ以上添加しても得られる効果が飽和状態となり経済的ではないため好ましくない。
合金元素としてのニッケルは、鉄基地に対し耐熱性を付与し、同時に耐摩耗性能の向上作用を有す。このとき、鉄基地中のニッケル含有量は0.4wt%〜5.0wt%であることが好ましい。ニッケル含有量が0.4wt%未満の場合は、鉄基地に対し耐熱性を付与することができず好ましくない。一方、ニッケル含有量が5.0wt%を超える場合には、これ以上添加しても耐熱性効果を向上し得ず、硬さの向上に伴い鉄基焼結合金材としての加工性能が低下するため好ましくない。
合金元素としての銅は、鉄基地に固溶して鉄基焼結合金の焼結組織を微細化させる作用を有する。このとき、鉄基地中の銅含有量は0.5wt%〜3.0wt%であることが好ましい。銅含有量が0.5wt%未満の場合には、焼結組織の微細化の効果が得られず、耐摩耗性の向上が図れないため好ましくない。一方、銅含有量が3.0wt%を超える場合には、過剰な金属銅が粒界又は粒子間に析出するため好ましくない。
タングステンは、炭素との間でタングステン炭化物を形成し、耐摩耗性の向上に寄与する。このとき、鉄基地中のタングステン含有量は0.1wt%〜1.0wt%であることが好ましい。タングステン含有量が0.1wt%未満である場合は、鉄基焼結合金に対し、炭化物の形成がなされず耐摩耗性能の向上も図れないため好ましくない。タングステン含有量が1.0wt%を超える場合には、炭素との間で形成する炭化物量が過剰になり脆くなるため、鉄基焼結合金材として耐衝撃性能に欠け、相手バルブに対する攻撃性が増加するため好ましくない。
バナジウムは、鉄基地中で炭化物を形成するため耐摩耗性をより向上させると共に、バナジウム炭化物による析出硬化作用を発揮する。このとき、鉄基地中のバナジウム含有量は0.1wt%〜1.0wt%であることが好ましい。バナジウム含有量が0.1wt%未満の場合は、炭化物の形成による耐摩耗性及び機械的強度の向上が図れず好ましくない。一方、バナジウム含有量が1.0wt%を超える場合には、バナジウム炭化物が過剰に生成され、鉄基地が硬く、脆くなるため鉄基焼結合金材として耐衝撃性能が減少し、加工性能も低下するため好ましくない。
なお、本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材の組織を形成する、炭素、ケイ素、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、バナジウムの組成については、表3に示すように、炭素含有量が1.0wt%〜1.3wt%、ケイ素含有量が0.0wt%〜2.1wt%、クロム含有量が1.0wt%〜19.0wt%、モリブデン含有量が3.0wt%〜20.0wt%、コバルト含有量が4.0wt%〜32.0wt%、ニッケル含有量が0.0wt%〜9.0wt%、銅含有量が0.0wt%〜2.0wt%、タングステン含有量が0.0wt%〜2.0wt%、バナジウム含有量が0.0wt%〜0.5wt%とすることが好ましい。ここで、当該鉄基焼結合金材の組織内における、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル含有量の占める割合が大きくなるのは、第1硬質粒子及び第2硬質粒子の含有する元素が溶融拡散するためである。なお、炭素、ケイ素、銅、バナジウム等は、これら元素を含まない硬質粒子等が当該鉄基焼結合金材の組織内へ含有されることで、組織全体に占める割合としては小さくなる。
以上に述べてきた合金元素から二種以上の合金元素を選択的に用いて、13.0wt%〜90.0wt%の範囲で含有することが好ましい。本件発明の配合条件で得られる合金元素は比較的硬度が高いため、純鉄粉に含有する当該二種以上の合金元素の量が13.0wt%未満である場合には、鉄基焼結合金材の機械的強度の低下を招き、バルブシート自身の耐摩耗性が低下するため好ましくない。また、純鉄粉に含有する当該二種以上の合金元素の量が90.0wt%を超える場合には、鉄基焼結合金材の機械的強度が高くなりすぎて脆くなる傾向があると同時に、この鉄基焼結合金をバルブシートに用いるとバルブへの攻撃性が増大するため好ましくない。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、前記鉄基焼結合金材の組織内の、第1硬質粒子、第2硬質粒子及び基地相の占める面積を100面積%としたとき、硫化物又はフッ化物である固体潤滑材粉末を0.2面積%〜5.0面積%の範囲で含有するものであることが好ましい。このとき、固体潤滑材粉末の含有量が0.2面積%未満である場合には、固体潤滑剤としての機能を十分に発揮出来ず、バルブシートとバルブとの間で凝着が生じるため好ましくない。一方、固体潤滑材粉末の含有量が5.0面積%を超える場合には、含有量に見合う効果は得られなくなり、経済的にも意味がないため好ましくない。なお、固体潤滑材粒子としては、例えば、硫化マンガン粒子、フッ化カルシウム粒子を用いると、共に融点が高いために焼結時にも溶融拡散せず、また、高温条件においても優れた耐焼付き性及び耐摩耗性を有するため好ましい。
本件発明に係る内燃機関用バルブシートは、バルブシート用鉄基焼結合金材を用いて製造されることを特徴とする。本件発明に係る内燃機関用バルブシートは、前記バルブシート用鉄基焼結合金材を用いて製造することで、切削加工時に良好な加工表面が形成でき、バルブの着座時に燃焼室内の気密性を向上することが可能であるため好ましい。また、バルブシートとして十分な耐摩耗性と機械的強度とを備えるため、内燃機関としての長寿命化の要請に応えることが可能になるため好ましい。
以下、本件発明の実施例を示し、本件発明をより詳細に説明する。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材の実施例として、表1に示すように、使用される粉末の配合条件が異なる試料1〜試料29を作成した。表2には、試料1〜試料29に用いられる硬質粒子の組成、ビッカース硬さ、粒径と、合金鋼粉の組成を示す。硬質粒子は、ケイ素、クロム、モリブデン、残部がコバルト及び不可避的不純物、または、ケイ素、ニッケル、クロム、モリブデン、残部がコバルト及び不可避的不純物からなるコバルト基金属間化合物と、コバルト、ニッケル、クロム、モリブデン、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鉄基金属間化合物とを使用した。また、表2に示すように、硬質粒子の硬さは硬質粒子A、E、H、Mが700HV0.1であり、硬質粒子B、C、F、I、J、Nが1050HV0.1であり、硬質粒子D、K、Lが750HV0.1であり、硬質粒子S、Tが900HV0.1である。そして、第1硬質粒子の粒径はいずれも5μm〜20μmの範囲内であり、第2硬質粒子の粒径はいずれも20μm〜150μmの範囲にあるものを用いた。
Figure 0005484899
表1に示すように、原材料となる純鉄粉及び/又は合金鉄粉に外添粉末、硬質粒子(第1硬質粒子、第2硬質粒子)、固体潤滑材は、所定の種類、割合(wt%)で配合した。この配合割合は、前記鉄基焼結合金材の組織が、第1硬質粒子、第2硬質粒子及び基地相の占める重量を100wt%として示したものである。また、表1には、第1硬質粒子と第2硬質粒子との混合粒子から得られるピークトップの粒径差も示している。本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、表1及び表2で示された条件に基づいて、それぞれの粉を混粉した後に、この混粉を金型に充填し、その後成形プレスによって加圧成形し、焼結した。なお、第1硬質粒子及び第2硬質粒子の硬さの差は、試料9、試料13、試料22が50HV0.1であり、試料25、試料27、試料28が150HV0.1であり、試料26が200HV0.1であり、試料4、試料8が300HV0.1であり、試料6、試料10、試料23が350HV0.1である。その他の試料の第1硬質粒子及び第2硬質粒子の硬さの差は、0HV0.1である。
Figure 0005484899
表1はさらに、本件発明に係る鉄基焼結合金材に含まれる硬質粒子及び固体潤滑材の割合を面積率として示す。この面積率は鉄基焼結合金材の組織に硬質粒子を含んだ状態を100面積%として示す。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金は、上述したように、組織に対し粒径の異なる二種類の第1硬質粒子と第2硬質粒子との混合粒子を分散含有させる。当該第1硬質粒子と第2硬質粒子とを混合し、これをレーザー回析散乱分析法で測定したときに得られる粒度分布曲線の中にはいくつかのピークが現れる。ここで、レーザー回析散乱分析法とは、粉体粒子の集合体にレーザーを当てたときに得られる光の散乱パターンを応用し、粒度分布を測定する方法である。
ここで、第1硬質粒子と第2硬質粒子との混合粒子の粒度分布からピークトップ粒径差を求める方法について図1〜図3を用いて以下に説明する。図1は、平均粒径が7.3μmの硬質粒子Aの粒度分布を示す。図1に示す粒度分布からは、粒径が約8μmの位置に1つのピークトップを確認することができる。次に、図2は、平均粒径が91.5μmの硬質粒子Bの粒度分布を示す。図2に示す粒度分布からは、粒径が約90μmの位置に1つのピークトップを確認することができる。図3は、当該硬質粒子Aと硬質粒子Bとをそれぞれ50%ずつ混合させて得られる混合粒子の粒度分布を示す。図3に示すように、硬質粒子Aと硬質粒子Bとの混合粒子の平均粒径は55.3μmとなり、当該硬質粒子Aと硬質粒子Bとの混合粒子をレーザー回折散乱分析法で測定したときに、ピークトップが2つ確認できる。このとき、当該硬質粒子Aの粒度分布曲線のピークトップ位置に相当する粒径(約8μm)と、当該硬質粒子Bの粒度分布曲線のピークトップ位置に相当する粒径(約90μm)とのピークトップ位置の粒径差、すなわちピークトップ粒径差は約82μmである。よって、硬質粒子Aと硬質粒子Bとの混合粒子から得られるピークトップ粒径差は、本件発明の要件である15μm〜100μmの範囲内であることが分かる。上述した例に示すように、二種類の硬質粒子を混合した混合粒子から得られるピークトップ粒径差が15μm〜100μmの範囲内にあることで、鉄基焼結合金内の空隙率が好適な状態で安定し、鉄基焼結合金材の耐摩耗特性、機械的強度、成形加工性をバランス良く向上させることができる。
以上をふまえ、実施例の試料に含有させる二種類の硬質粒子の混合粒子のピークトップ粒径差について見ていくこととする。表1には、実施例試料の第1硬質粒子と第2硬質粒子との混合粒子の粒度分布から得られたピークトップ粒径差のデータを示す。表1に示すように、試料1〜試料29の当該ピークトップ粒径差は全て15μm〜100μmの範囲内である。
表3は、試料1〜試料29の鉄基焼結合金材の組成を示す。表3には、鉄基焼結合金材の組成として、炭素、ケイ素、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、バナジウムが含有されている割合を、残部の鉄を含めたトータル組成を100wt%として示している。
Figure 0005484899
比較例
以下、本件発明に対する比較例について説明する。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材に対する比較例として、表4に示すように、使用される粉末の配合条件が異なる試料30〜試料38を作成した。表には、試料30〜試料38に用いられる硬質粒子の組成、ビッカース硬さ、粒径と、合金鋼粉の組成を示す。硬質粒子は、ケイ素、クロム、モリブデン、残部がコバルト及び不可避的不純物、または、ケイ素、ニッケル、クロム、モリブデン、残部がコバルト及び不可避的不純物からなるコバルト基金属間化合物の組成と、コバルト、ニッケル、クロム、モリブデン、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鉄基金属間化合物の組成の他にフェロモリブデン(Fe−Mo)粒子を用いた。硬質粒子G、Oの組成パターンのフェロモリブデン(Fe−Mo)粒子は、他の硬質粒子の組成パターンと異なりクロム、コバルトを含んでいない。また、表2に示すように、硬質粒子の硬さは、G、Oの組成パターンのフェロモリブデン(Fe−Mo)粒子に関してはビッカース硬さが本件発明の定める範囲から外れる1200HV0.1である。
Figure 0005484899
表4に示すように、試料30〜試料38は、原材料となる純鉄粉及び/又は合金鉄粉に外添粉末、硬質粒子(第1硬質粒子、第2硬質粒子)、固体潤滑材を所定の種類、割合(wt%)で配合した。この配合割合は、前記鉄基焼結合金材の組織が、第1硬質粒子、第2硬質粒子及び基地相の占める重量を100wt%として示したものである。さらに、表1には本件発明に係る鉄基焼結合金材に含まれる硬質粒子及び固体潤滑材の割合を面積率として示す。この面積率は鉄基焼結合金材の基地相と硬質粒子と固体潤滑剤とを全て含めた状態を100面積%として示した。表4に示すように、硬質粒子のトータル面積率は、試料31及び試料32が62.0面積%、試料33が84.0面積%、試料34が70.0面積%となり、本件発明の条件である60面積%以下ではない。また、試料30は、硬質粒子のトータル面積率が8.0面積%となり、本件発明の条件である10面積%以上ではない。なお、表2より、第1硬質粒子及び第2硬質粒子の硬さの差は、試料34が350HV0.1であり、試料37が200HV0.1であり、その他の試料が0HV0.1である。
比較例となるバルブシート用鉄基焼結合金材は、実施例と同様にこの表4、表2で示された条件に基づいて、それぞれの粉を混粉した後に、この混粉を金型に充填し、その後成形プレスによって加圧成形し、焼結した。
以下に、比較例の試料に含有させる二種類の硬質粒子の混合粒子のピークトップ粒径差について見ていくこととする。表4には、比較例試料の第1硬質粒子と第2硬質粒子との混合粒子の粒度分布から得られたピークトップ粒径差のデータを示す。表4に示すように、当該ピークトップ粒径差は、試料35と試料37が13.0μm、試料36が7.0μmであり、本件発明の条件である15μm以上ではない。
表5は、試料30〜試料38の鉄基焼結合金材の組成を示す。表5には、鉄基焼結合金材の組成として、炭素、ケイ素、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、バナジウムが含有されている割合を、残部の鉄を含めたトータル組成を100wt%として示している。
Figure 0005484899
[実施例と比較例の対比]
以下に、本件発明の実施例及び比較例とを対比しつつ、本件発明を詳細に説明する。
図4に、試料1〜試料38のバルブシートと、その相手となるバルブ双方の摩耗量のデータを示し、鉄基焼結合金の組織に対し分散含有させる二種類の第1硬質粒子と第2硬質粒子との混合粒子の粒度分布に着目し、粒度分布が鉄基焼結合金の機械的特性に及ぼす影響について考察する。表1で示した、実施例である試料1〜試料29の粒度分布より得られるピークトップ粒径差は全て本件発明の条件である15μm〜100μmの範囲内にある。一方、表4に示す、比較例である試料30〜試料38の粒度分布より得られるピークトップ粒径差は、試料35〜試料37が15μm未満となり、本件発明の条件の範囲外となった。ピークトップ粒径差が15μm未満であると、双方の硬質粒子の粒子径が小さい場合には、粒子同士の凝集が発生しやすく硬質粒子としての効果を発揮できなくなり、耐摩耗性が劣ることとなる。また、双方の硬質粒子の粒子径が大きい場合には、粉末同士の間に生じる空隙も大きくなり、バルブシート用鉄基焼結合金材の組織に硬さの大きく異なる相が混在して耐摩耗性が劣ることとなる。図4において、試料35〜試料37のバルブ又は/及びバルブシートの摩耗量の増大が顕著となったのは、上述した要因により、バルブとバルブシートの機械的強度、耐摩耗性の特性に差が生じたことが起因すると考えられる。
また、表4に示すように、試料30〜試料34、試料38については、ピークトップ粒径差は全て本件発明の条件である15μm〜100μmの範囲内にあるが、鉄基焼結合金の組織内において、前記混合粒子を構成する第1硬質粒子及び第2硬質粒子の双方で占有するトータル面積率が10面積%〜60面積%の範囲内ではない。図4に示すように、当該硬質粒子のトータル面積率が10面積%未満であると、試料30のようにバルブシート自身の耐摩耗性が低下する傾向が現れ、当該硬質粒子のトータル面積率が60面積%を超えると、試料33が顕著な例であるが、相手バルブへの攻撃性が増大する傾向が現れる。
図5には、試料1〜試料38のバルブシート用鉄基焼結合金材の圧環強度を試料30を100%としたときの相対比率を示した。図5より、比較例は本件発明の実施例と比して、特に試料31〜試料34、試料38の圧環強度が低くなっているのが分かる。試料30の圧環強度が高いのは、第1硬質粒子及び第2硬質粒子の双方で占有するトータル面積率が少ないためであると考えられる。すなわち、これらの試料の鉄基焼結合金材の組織における硬質粒子の占める割合が少ないからである。なお、この場合には図4からも明らかであるが、硬質粒子による耐摩耗性を向上させる効果は生まれず、バルブシート自身の耐摩耗性が低下することとなる。
また、表4に示すように、試料31及び試料32は、用いられる硬質粒子のビッカース硬さが第1硬質粒子及び第2硬質粒子共に、本件発明の条件範囲である1100HV0.1を超えているため、鉄基焼結合金材としての靱性の低下が生じて脆くなる傾向が現れる。すなわち、図5に示すように、試料31及び試料32の圧環強度が低くなる傾向が現れる。
そして、表1及び表4に示すように、試料24〜試料29と、試料37〜試料38においては、硬質粒子に鉄基金属間化合物組成のものを用いた。ここで、硬質粒子にコバルト基金属間化合物組成のものを用いた場合と、硬質粒子に鉄基金属間化合物組成のものを用いたものとで、バルブシート自身の耐摩耗性と相手攻撃性にどのような影響を及ぼすのかについてみてみる。まず、実施例試料のみに着目して、硬質粒子にコバルト基金属間化合物組成のもののみを用いた試料1〜試料23と、硬質粒子に鉄基金属間化合物組成のものを用いた試料24〜試料29とを比較する。すると、図4に示されるように、硬質粒子に鉄基金属間化合物組成のものを用いた試料24〜試料29の方が、バルブシート摩耗量が若干増大する結果となった。これは、鉄基金属間化合物粒子がコバルト基金属間化合物粒子と比較して、鉄基焼結合金の基地相に対する拡散性が劣り、基地との結合性が若干劣るためであると考えられる。但し、表1より、鉄基焼結合金材に含まれる第1硬質粒子及び第2硬質粒子のトータル面積率が同程度である、例えば試料1と試料24とを比較したときにその差は僅かなものである。
次に、硬質粒子に鉄基金属間化合物組成のものを用いた実施例試料である試料24〜試料29と、硬質粒子にコバルト基金属間化合物組成のものを用いた比較例試料である試料30〜試料36と比較する。すると、図4に示されるように、比較例試料である試料30〜試料36の方が、実施例試料である試料24〜試料29よりも、バルブシート自身の耐摩耗性が著しく低下し、相手攻撃性が著しく増大する傾向が現れた。この結果より、硬質粒子に鉄基金属間化合物組成のものを用いたとしても、その組成が本件発明の配合条件を満足する限り、バルブシート自身の耐摩耗性と相手攻撃性に及ぼす影響は少ないことが分かった。
また、表5に示すように、試料30、試料33は、本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材の組織に、炭素、ケイ素、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、バナジウムの中から選ばれる二種以上の合金元素を13.0wt%〜90.0wt%の範囲で含有するという条件を満たしていない。図4において、この試料30、試料33の摩耗量を見ると、バルブシート側の摩耗量とバルブ側の摩耗量のバランスが偏っていることが分かる。このことから、鉄基焼結合金材の組織に含まれる合金元素が13.0wt%〜90.0wt%の範囲から外れると、バルブシート自身の耐摩耗性を向上させると同時にバルブ攻撃性を低減させることが困難となる傾向が現れることが分かる。また、図4に示されるように、試料31及び試料32は、機械的強度の向上に起因するニッケル及びクロムを含まない組成パターンからなる硬質粒子G、Oを用いているため、実施例試料と比してバルブシート自身の耐摩耗性が低下する傾向が現れる。
また、表4に示すように、試料34は、前記鉄基焼結合金材の組織に固体潤滑材粉末を5.5面積%含んでおり、本件発明においてより好ましい範囲である0.2面積%〜5.0面積%の範囲内ではない。この場合、図5の試料34に示されるように、固体潤滑材の含有量が5.0面積%を超えると、圧環強度の低下を招く傾向が現れる。
なお、本件発明に係る試料1のバルブシート用鉄基焼結合金材の組織図を図6に示し、試料6のバルブシート用鉄基焼結合金材の組織図を図7に示す。また、比較例として、試料30のバルブシート用鉄基焼結合金材の組織図を図8に示す。図中における黒色の部分は、基地相を示し、主にパーライトからなる。図中における白色部分は、第1硬質粒子及び第2硬質粒子とこれら硬質粒子の拡散層からなる。本件発明に係る試料1(図6)及び試料6(図7)と、比較例の試料30(図8)とを比較したときに、試料30の組織は当該硬質粒子及びその拡散層からなる白色部分の面積が、試料1の組織(図6)及び試料6の組織(図7)と比較して明らかに小さいことが分かる。このような現象が生じるのは、鉄基焼結合金の組織に含有させる当該第1硬質粒子及び第2硬質粒子が、本件発明の配合条件を満たしていないからである。組織が図8に示すような状態になると、鉄基焼結合金の組織内において白色部分である硬質粒子及びその拡散層の占める割合が低いために、機械的強度は高いが耐摩耗性の低下を招くこととなる。よって、試料30は、本件発明の試料1及び試料6に比べて機械的強度は高いが(図5参照)、耐摩耗性に関しては劣る(図4参照)ものとなる。
なお、上で述べた本件発明の硬質粒子の粒子径は、レーザー回折散乱分析法を用いて、500μm×500μmの視野で観察できる粒子の粒度分布曲線のピークトップ位置に相当する粒径を測定し、これを5視野測定した値の平均値を算出した。硬質粒子の面積率については、各ミクロ組織(500μm×500μm)視野×5視野で観察できる各硬質粒子の面積より求めた。なお、サンプル数は、1視野に50〜100個の硬質粒子が含まれることから、5視野で250〜500個となる。また、測定ソフトは、Win ROOF ver.5.03を用いた。
また、硬質粒子の硬さは、マイクロビッカース硬さ計(荷重:0.1kgf)を用いて測定した値を使用した。
本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材を採用することにより、従来のバルブシート用鉄基焼結合金材が有する耐摩耗性、相手バルブ攻撃性等の特性を損なわずに、且つ、バルブシートとしての機械的強度及び切削加工性のトータルバランスに優れた製品を提供することができる。よって、本件発明に係るバルブシート用鉄基焼結合金材は、バルブシートに適用するのみならず、各種機械部品に広く応用可能である。
本件発明に係る第1硬質粒子の粒度分布を例示した図である。 本件発明に係る第2硬質粒子の粒度分布を例示した図である。 本件発明に係る第1硬質粒子と第2硬質粒子とを混合した場合の粒度分布を例示した図である。 実施例及び比較例における、バルブシート摩耗量(μm)とバルブフェース摩耗量(μm)とを示したグラフである。 実施例及び比較例の圧環強度の相対比率を表すグラフである。 実施例における試料1の金属顕微鏡による組織図である。 実施例における試料6の金属顕微鏡による組織図である。 比較例における試料30の金属顕微鏡による組織図である。

Claims (5)

  1. 鉄基焼結合金の組織に対して第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子を分散含有させた鉄基焼結合金材であって、
    当該第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子は、ビッカース硬さが650HV0.1〜1100HV0.1の範囲にあるコバルト基金属間化合物粒子又は鉄基金属間化合物粒子であり、以下の条件1〜条件4を同時に満たすものを選択的に用いたことを特徴とするバルブシート用鉄基焼結合金材。
    条件1: 第1硬質粒子として平均一次粒子径が5μm〜20μmの硬質粒子を用いる。
    条件2: 第2硬質粒子として平均一次粒子径が20μm〜150μmの硬質粒子を用い
    る。
    条件3: 第1硬質粒子と第2硬質粒子との二種類の硬質粒子を混合した場合に得られる混合粒子は、レーザー回折散乱分析法で測定したときの粒度分布曲線の中に2個のピークが存在し、当該粒度分布曲線のピークトップ位置に相当する粒径T1 としたとき、D とD との差(|D −D |)が15μm〜100μmの範囲となるピークトップ粒径差を備える。
    条件4: 鉄基焼結合金の組織内において、前記混合粒子を構成する第1硬質粒子及び第2硬質粒子の双方で占有するトータル面積率が10面積%〜60面積%となり、且つ、当該トータル面積率のうち当該第1硬質粒子又は当該第2硬質粒子のどちらか一方が単独で占有する面積率が2面積%〜40面積%となる。
  2. 前記第1硬質粒子と第2硬質粒子とは、以下のコバルト基金属間化合物組成1、コバルト基金属間化合物組成2、鉄基金属間化合物組成のいずれかの組成を備えるものである請求項に記載のバルブシート用鉄基焼結合金材。
    [コバルト基金属間化合物組成1]
    ケイ素 :0.5〜4.0wt%
    クロム :5.0〜20.0wt%
    モリブデン:20.0〜40.0wt%
    残部 :コバルト及び不可避的不純物
    [コバルト基金属間化合物組成2]
    ケイ素 :0〜4.0wt%
    ニッケル :5.0〜20.0wt%
    クロム :15.0〜35.0wt%
    モリブデン:15.0〜35.0wt%
    残部 :コバルト及び不可避的不純物
    [鉄基金属間化合物組成]
    コバルト :10.0〜20.0wt%
    ニッケル :2.0〜20.0wt%
    クロム :12.0〜35.0wt%
    モリブデン:12.0〜35.0wt%
    残部 :鉄及び不可避的不純物
  3. 前記鉄基焼結合金材の組織は、炭素、ケイ素、クロム、モリブデン、コバルト、ニッケル、銅、タングステン、バナジウムの中から選ばれる二種以上の合金元素を13.0wt%〜90.0wt%の範囲で含有するものである請求項1又は請求項2に記載のバルブシート用鉄基焼結合金材。
  4. 前記鉄基焼結合金材の組織は、第1硬質粒子、第2硬質粒子及び基地相の占める面積率を100面積%としたとき、硫化物又はフッ化物である固体潤滑材粉末を0.2面積%〜5.0面積%の範囲で含有するものである請求項1〜請求項のいずれかに記載のバルブシート用鉄基焼結合金材。
  5. 請求項1〜請求項のいずれかに記載のバルブシート用鉄基焼結合金材を用いて製造されることを特徴とする内燃機関用バルブシート。
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