JP4335189B2 - 内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、バルブシートを、C:0.4〜1.5%と、Cu、Co、Niよりなる群から選択された少なくとも1種の元素:0.5〜10.0%含有し、ビッカース硬さHVが170〜350である鉄合金製とし、バルブを、CoもしくはNi:7〜13%、またはCoとNiとの合計7〜13%、Al:3〜7%を含有し、ビッカース硬さHVが350〜550であるチタン合金とする、バルブシートとバルブの組合せが開示されている。特許文献1に記載された技術では、バルブシートには、耐摩耗性向上のために、ステライト合金、イートナイト系合金、Mo−Fe、各種セラミック等の800HV以上の硬さを有する硬質粒子を含有してもよいとしている。さらに、特許文献1に記載された技術では、バルブシートには、バルブシートを形成する鉄合金に自己潤滑性を付与し耐摩耗性を向上させるとともにチタン合金製バルブへの相手攻撃性低減のために、鉛(Pb)を含有してもよいとしている。しかし、鉛は環境負荷物質であり、環境への影響が懸念され、一般の市販車への適用には問題を残していた。
(1)内燃機関におけるバルブとバルブシートの組合せ体であって、前記バルブが、硬さ:400HV0.01以上の酸素拡散硬化層を有するチタン合金製バルブで、該チタン合金製バルブがTi−6Al−4V合金製バルブ、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.2Si合金製バルブまたはTi−2.7Sn−4Zr−0.4Mo−0.5Si合金製バルブであり、前記バルブシートが、基地相中に硬質粒子として、20〜70μmの平均粒径と600〜1000HV0.1の硬さを有する球状のアトマイズ製Co基金属間化合物粒子を質量%で10.0〜40.0%分散させ、前記基地相が、質量%で、C:0.5〜1.5%を含み、さらにNi、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で3.0〜10.0%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ前記Co基金属間化合物粒子の周囲に該Co基金属間化合物粒子の合金成分の拡散により形成された、300〜600HV0.1の硬さを有する高合金相を面積率で8〜35%存在させた鉄基焼結合金材からなることを特徴とする内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体。
まず、本発明で使用するバルブシート用の鉄基焼結合金材について説明する。
本発明で使用するバルブシート用鉄基焼結合金材は、基地相中に硬質粒子を分散させたものであり、硬質粒子は、バルブシートの耐摩耗性、バルブへの相手攻撃性に影響を与える。このため、本発明では、バルブシートの基地相中に分散させる硬質粒子は、アトマイズ製Co基金属間化合物粒子とした。そして、本発明では、Co基金属間化合物粒子の分散量を、質量%で10.0〜40.0%の範囲に限定した。分散量が、10.0%未満では、相手攻撃性は低いが、バルブシートの耐摩耗性が所望のレベルを維持できなくなる。一方、40.0%を超える分散量では、相手攻撃性が強くなりすぎるとともに、効果が飽和し、分散量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。このようなことから、Co基金属間化合物粒子の分散量を質量%で10.0〜40.0%の範囲に限定した。
C:0.5〜1.5%
Cは、基地中に含まれ、基地相の強化に寄与する元素であり、本発明では所望の強度を確保するために、0.5%以上の含有を必要とする。一方、1.5%を超える含有はセメンタイト形成傾向が強くなり、靭性が低下するとともに、過焼結が発生する。このため、Cは0.5〜1.5%の範囲に限定した。
Ni、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wはいずれも、基地相を強化し、バルブシートの硬さ、耐熱性、耐摩耗性の向上に寄与し、さらには基地の酸化鉄生成特性に影響する元素であり、選択して1種または2種以上を基地相に含有する。このような効果は、Ni、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上の合計が3.0%以上で認められる。3.0%未満では酸化鉄生成特性はよいが、その他の特性向上は得られない。一方、10.0%を超えて含有しても、効果が飽和して含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となり、また酸化鉄生成特性が劣化する。このため、本発明では、Ni、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で3.0〜10.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは合計で4.0〜9.0%である。
本発明で使用するバルブシート用鉄基焼結合金材では、基地相中に分散したCo基金属間化合物粒子の周囲に、Co基金属間化合物粒子の合金成分が拡散して形成された高合金相を有する。この高合金相はCo、Ni、Mo、Cr、Siを多量に含有する相で、300〜600HV0.1の硬さを有する。このような高合金相を硬質粒子であるCo基金属間化合物粒子の周囲に形成することにより、硬質粒子と基地相との間の硬さ変化を段階的とすることができ、バルブとの摺動に際し摺動面で硬質粒子が浮き出る現象を抑制することができ、チタン合金製バルブへの相手攻撃性が低下することができる。
また、本発明で使用するバルブシート用鉄基焼結合金材では、上記した硬質粒子に加えてさらに固体潤滑剤粒子を分散させてもよい。固体潤滑剤粒子は、バルブシートの被削性の向上、運転時のバルブとの凝着の抑制に寄与する。このような効果は、質量%で0.2%以上の分散で認められる。固体潤滑剤粒子が質量%で0.2%未満では、被削性が劣化傾向を示し、さらにバルブとの凝着発生が促進されやすくなる傾向となる。一方、3.0%を超えて分散させても、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となるとともに、焼結体強度が低下する。このため、固体潤滑剤は質量%で0.2〜3.0%に限定することが好ましい。固体潤滑剤としては、MnS等の硫化物のうちの1種以上、あるいはCaF2等の弗化物のうちの1種以上、あるいはそれらの混合とすることが好ましい。
まず、原料粉として、基地相を形成する、純鉄粉、合金鉄粉(合金鋼粉を含む)および合金元素粉と、硬質粒子として、好ましくは上記した粒径、硬さ、組成の硬質粒子粉と、あるいはさらに固体潤滑剤粉とを、上記した基地相組成、硬質粒子質量%、固体潤滑剤粒子質量%となるように、配合し、混合、混練して、混合粉とする。
ついで、混合粉を、金型に充填したのち、成形プレス等により圧縮・成形し成形体とする。ついで、得られた成形体を、アンモニア分解ガス、真空等の保護雰囲気中で、好ましくは1000〜1200℃の温度範囲に加熱して焼結し、鉄基焼結合金材とする。
本発明の内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体では、バルブはチタン合金製のバルブとする。本発明では使用するチタン合金の種類は使用環境、量産性、製造コスト等の観点から、吸気側バルブに、一般的な、Ti−6Al−4V合金(質量%で、6.0%Al、4.0%V、残部Tiおよび不可避的不純物)を、排気側バルブにTi−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.2Si合金(質量%で、6.0%Al、2.0%Sn、4.0%Zr、2.0%Mo、0.2%Si、残部Tiおよび不可避的不純物)またはTi−2.7Sn−4Zr−0.4Mo−0.5Si合金(質量%で、2.7%Sn、4.0%Zr、0.4%Mo、0.5%Si、残部Tiおよび不可避的不純物)を使用することが好ましい。なお、バルブは、上記したチタン合金で少なくともバルブフェース部を構成してもよい。
ついで、これら圧粉体に、1000〜1200℃の保護雰囲気中(還元ガス雰囲気)で焼結処理を施し、鉄基焼結合金材とした。
図3、図4に得られた鉄基焼結合金材の光学顕微鏡組織をスケッチ図として示す。本発明例のバルブシートでは硬質粒子が球形状を呈し、かつ硬質粒子の周囲に高合金相を有していることがわかる。
表4に示す種類のチタン合金のインゴット材から、鋳造、切削、研削加工により、上記したバルブシートに適合するバルブを加工した。一部のバルブには、大気中で700℃に300分間加熱する酸化処理を施し、表面に酸素拡散硬化層(5〜10μm)を形成した。なお、バルブ当たり面の硬さをマイクロビッカース硬さ計(荷重:0.01kgf)で測定した。
試験時間:9h
カム回転数:3000rpm
バルブ回転数:20rpm
スプリング荷重:35kgf(345 N)(セット時)
リフト量:7.5mm
得られた結果を表5および図1〜図2に示す。
2 治具
3 熱源
4 バルブ
Claims (3)
- 内燃機関におけるバルブとバルブシートの組合せ体であって、前記バルブが、硬さ:400HV0.01以上の酸素拡散硬化層を有するチタン合金製バルブで、該チタン合金製バルブがTi−6Al−4V合金製バルブ、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.2Si合金製バルブまたはTi−2.7Sn−4Zr−0.4Mo−0.5Si合金製バルブであり、前記バルブシートが、基地相中に硬質粒子として、20〜70μmの平均粒径と600〜1000HV0.1の硬さを有する球状のアトマイズ製Co基金属間化合物粒子を質量%で10.0〜40.0%分散させ、前記基地相が、質量%で、C:0.5〜1.5%を含み、さらにNi、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で3.0〜10.0%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ前記Co基金属間化合物粒子の周囲に該Co基金属間化合物粒子の合金成分の拡散により形成された、300〜600HV0.1の硬さを有する高合金相を面積率で8〜35%存在させた鉄基焼結合金材からなることを特徴とする内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体。
- 前記アトマイズ製Co基金属間化合物粒子が、質量%で、Si:0.5〜4.0%、Cr:5.0〜20.0%、Mo:20.0〜40.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなる組成を有するアトマイズ製Si−Cr−Mo系Co基金属間化合物粒子、または、Si:0.5〜4.0%、Cr:15.0〜35.0%、Mo:15.0〜35.0%、Ni:5.0〜20.0%を含み、残部Coおよび不可避的不純物からなる組成を有するアトマイズ製Si−Cr−Mo−Ni系Co基金属間化合物粒子であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体。
- 前記バルブシートが、前記基地相中に前記硬質粒子に加えてさらに、固体潤滑剤粒子を質量%で0.2〜3.0%分散させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体。
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