JP4335189B2 - 内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体 - Google Patents

内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ体 Download PDF

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本発明は、内燃機関用のバルブとバルブシートとの組合せに係り、とくにチタン合金製バルブが組み込まれる内燃機関用として、バルブシートの相手攻撃性の低減に関する。
バルブシートは、内燃機関(エンジン)のシリンダヘッドに圧入あるいは接合されて、燃焼ガスのシールとバルブを冷却する役割を担っている。バルブシートは、バルブによる叩かれ、すべりによる摩耗や、燃焼ガスによる加熱、燃焼生成物による腐食等に晒されるため、従来から、耐熱性、耐摩耗性に優れることが要求されている。近年、このような耐熱性、耐摩耗性に優れることが要求されるバルブシートに、焼結合金が適用されている。
一方、エンジン動弁系部品のなかでもバルブは、軽量化することがエンジンの性能向上に直接結びつくことから、とくに競技用の小型で軽量しかも高出力の高性能エンジンでは、従来から鋼製のバルブに代えて、チタン合金製バルブの使用が考えられてきた。そして、このような競技用高性能エンジンでは、バルブシートとして、Cu−Be系材料製が使用されていた。このようなバルブとバルブシートの組合せにより、軽量化が達成され、出力の向上、燃費の向上等が図られることになる。Cu−Be系材料のバルブシートはチタン合金製バルブへの攻撃性は低いが、しかし、Cu−Be系材料が鉄系材料に比べて塑性変形しやすいことおよび摩耗が生じやすいことに起因して、Cu−Be系材料製バルブシートの耐摩耗性が非常に低く、そのため、チタン合金製バルブとCu−Be系材料製バルブシートとの組合せは、耐久性に乏しく、一般市販車のエンジンに適用することは実用上問題があった。
最近では、地球環境の保全という観点から、燃費改善、高出力化、さらには静粛性の向上などの要望に対処するため、一般市販車へのチタン合金製バルブの採用が拡大しつつある。そのため、チタン合金製バルブに対応したバルブシートの開発が強く要求されるようになってきた。
例えば、特許文献1には、バルブシートを、C:0.4〜1.5%と、Cu、Co、Niよりなる群から選択された少なくとも1種の元素:0.5〜10.0%含有し、ビッカース硬さHVが170〜350である鉄合金製とし、バルブを、CoもしくはNi:7〜13%、またはCoとNiとの合計7〜13%、Al:3〜7%を含有し、ビッカース硬さHVが350〜550であるチタン合金とする、バルブシートとバルブの組合せが開示されている。特許文献1に記載された技術では、バルブシートには、耐摩耗性向上のために、ステライト合金、イートナイト系合金、Mo−Fe、各種セラミック等の800HV以上の硬さを有する硬質粒子を含有してもよいとしている。さらに、特許文献1に記載された技術では、バルブシートには、バルブシートを形成する鉄合金に自己潤滑性を付与し耐摩耗性を向上させるとともにチタン合金製バルブへの相手攻撃性低減のために、鉛(Pb)を含有してもよいとしている。しかし、鉛は環境負荷物質であり、環境への影響が懸念され、一般の市販車への適用には問題を残していた。
また、特許文献2には、600HV以上の硬さを有すると共に、酸素あるいは窒素または酸素および窒素が固溶したチタン合金硬化層を有するバルブと、C:0.4〜1.5%、ならびにCu、Co、Niよりなる群から選択される少なくとも1種の元素0.5〜10.0%を含有し、残部が実質的にFeからなるHV:170〜350の硬さを有するバルブシートとからなる、バルブおよびバルブシート組立て体が提案されている。しかし、特許文献2に記載された技術では、バルブの摩耗は抑制されるが、バルブシートの耐摩耗性向上は不十分であるという問題があった。
また、特許文献3には、フェース部にTiC粒子が3〜50体積%分散したチタン基合金の肉盛を施した排気用チタンバルブと、Ni、Si、Coの適正量を含みさらにW、Mo、Nb、Vの1種または2種以上を適正量含有し、W、Mo、Nb、Vのシリサイドを含む硬質相がマトリックス中に分散した組織の耐摩耗性銅合金よりなるバルブシートと、の組合せが提案されている。しかし、特許文献3に記載された技術では、バルブフェース部の摩耗は抑制されるが、バルブシートが銅合金であり、高温強度が低く、耐摩耗性が不十分であるという問題が残されている。
特許第3361113号公報 特開平6−167206号公報 特開平6−10081号公報
チタン合金製バルブでは、通常、フェース部に酸化処理により酸素拡散硬化層を形成し、これによりバルブの耐摩耗性を維持している。このようなチタン合金製バルブが組み込まれる高性能エンジンに、上記したような、ステライト合金、イートナイト系合金、Mo−Fe、各種セラミック等の硬質粒子を含有するバルブシートを適用すると、過大摩耗が発生しやすくなり、このため、バルブ機能が維持できなくなり、エンジン性能の低下を招く恐れがあるという問題があった。
本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、チタン合金製バルブが組み込まれる高性能エンジン用として、耐久性に優れた、内燃機関用のチタン合金製バルブとバルブシートの組合せを提案することを目的とする。本発明は、チタン合金製バルブに、チタン合金製バルブへの攻撃性が低く、かつ高耐摩耗性を有するバルブシートとを組合せて、バルブとバルブシートの耐久性向上を図ることを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を達成するために、バルブシートの、チタン合金製バルブへの攻撃性に影響する要因について鋭意考究した。その結果、バルブシートの基地相中に分散しバルブシートの耐摩耗性を向上させる硬質粒子が、相手材であるチタン合金製バルブの酸素拡散硬化層を攻撃、破壊し、チタン合金母材と直接摺動し、過大摩耗を発生させることを突き止めた。そして、硬質粒子を、所定範囲の硬さ、粒径を有するアトマイズ製のCo基金属間化合物粒子とし、基地相中に適正量含有させるとともに、基地相組成を適正組成に調整したバルブシートとすることにより、バルブシートの耐摩耗性が向上するとともに、チタン合金製バルブの耐摩耗性が向上することを知見した。バルブの耐摩耗性が向上する詳しい機構については、現在のところ明確となっているわけではないが、発明者らは、つぎのように考えている。
アトマイズ製のCo基金属間化合物粒子は、粒子自体が球状を呈するうえ、鉄基焼結合金製のバルブシートの基地相中に分散させると、基地相中に比較的高硬度の高合金相が多数形成されるため、硬質粒子と基地相との硬さ差が少なくなり、バルブとの摺動面で硬質粒子が浮き出ることがなく摺動面が比較的平滑化して、チタン合金製バルブの酸素拡散硬化層への攻撃、破壊を防止でき、バルブの耐摩耗性が向上するものと考えられる。
本発明は、上記した知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨は次のとおりである。
(1)内燃機関におけるバルブとバルブシートの組合せであって、前記バルブが、硬さ:400HV0.01以上の酸素拡散硬化層を有するチタン合金製バルブで、該チタン合金製バルブがTi−6Al−4V合金製バルブ、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.2Si合金製バルブまたはTi−2.7Sn−4Zr−0.4Mo−0.5Si合金製バルブであり、前記バルブシートが、基地相中に硬質粒子として、20〜70μmの平均粒径と600〜1000HV0.1の硬さを有する球状のアトマイズ製Co基金属間化合物粒子を質量%で10.0〜40.0%分散させ、前記基地相が、質量%で、C:0.5〜1.5%を含み、さらにNi、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で3.0〜10.0%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ前記Co基金属間化合物粒子の周囲に該Co基金属間化合物粒子の合金成分の拡散により形成された、300〜600HV0.1の硬さを有する高合金相を面積率で8〜35%存在させた鉄基焼結合金材からなることを特徴とする内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ
(2)(1)において、前記アトマイズ製Co基金属間化合物粒子が、質量%で、Si:0.5〜4.0%、Cr:5.0〜20.0%、Mo:20.0〜40.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなる組成を有するアトマイズ製Si−Cr−Mo系Co基金属間化合物粒子、または、Si:0.5〜4.0%、Cr:15.0〜25.0%、Mo:15.0〜35.0%、Ni:5.0〜20.0%を含み、残部Coおよび不可避的不純物からなる組成を有するアトマイズ製Si−Cr−Mo−Ni系Co基金属間化合物粒子であることを特徴とする内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ
(3)(1)または(2)において、前記バルブシートが、前記基地相中に前記硬質粒子に加えてさらに、固体潤滑剤粒子を質量%で0.2〜3.0%分散させることを特徴とする内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ
本発明によれば、バルブシートを、耐摩耗性に優れるとともに、相手材への攻撃性を抑制したバルブシートとすることができ、チタン合金製バルブに組合せることにより、チタン合金製バルブの耐摩耗性低下を抑制して、バルブ構造の耐久性向上に寄与し、さらには内燃機関の高性能化に寄与するという、産業上格段の効果を奏する。
本発明の内燃機関用バルブとバルブシートの組合せでは、バルブをチタン合金製バルブとし、バルブシートを、基地相中に硬質粒子として、アトマイズ製Co基金属間化合物粒子を分散させた鉄基焼結合金材からなるバルブシートとする。
まず、本発明で使用するバルブシート用の鉄基焼結合金材について説明する。
本発明で使用するバルブシート用鉄基焼結合金材は、基地相中に硬質粒子を分散させたものであり、硬質粒子は、バルブシートの耐摩耗性、バルブへの相手攻撃性に影響を与える。このため、本発明では、バルブシートの基地相中に分散させる硬質粒子は、アトマイズ製Co基金属間化合物粒子とした。そして、本発明では、Co基金属間化合物粒子の分散量を、質量%で10.0〜40.0%の範囲に限定した。分散量が、10.0%未満では、相手攻撃性は低いが、バルブシートの耐摩耗性が所望のレベルを維持できなくなる。一方、40.0%を超える分散量では、相手攻撃性が強くなりすぎるとともに、効果が飽和し、分散量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となる。このようなことから、Co基金属間化合物粒子の分散量を質量%で10.0〜40.0%の範囲に限定した。
また、本発明で使用するCo基金属間化合物粒子は、比較的軟らかいCo基地中に硬さの高い金属間化合物が分散した粒子であり、鉄基焼結合金材の基地相への焼結拡散性が良好であり、300〜600HV0.1の硬さを有する高合金相の多量形成を容易にでき、基地相硬さを高めることが容易となる。本発明では、Co基金属間化合物粒子は、ほぼ球状を呈する、アトマイズ製粒子を用いるものとする。アトマイズ製粒子は、通常のアトマイズ法で製造された粒子であり、使用するアトマイズ法をとくに限定する必要はないが、粒子形状の観点から、水アトマイズ法を利用して製造された粒子とすることが好ましい。
ほぼ球状のアトマイズ製Co基金属間化合物粒子を基地相中に分散させることにより、バルブへの相手攻撃性が抑制され、バルブの耐摩耗性の低下を抑制することができる。これは、上記したように、アトマイズ製のCo基金属間化合物粒子自体が球状を呈するうえ、基地相中に300〜600HV0.1の硬さを有する高合金相を比較的多量に形成できるため、硬質粒子と基地相との間で段階的に硬さが変化して、バルブとの摺動面で硬質粒子が浮き出る現象が抑制され摺動面が比較的平滑化し、チタン合金製バルブの酸素拡散硬化層への攻撃、破壊を防止できるためと考えられる。
また、硬質粒子としてのアトマイズ製Co基金属間化合物粒子は、20〜70μmの平均粒径と600〜1000HV0.1の硬さを有する粒子とする。平均粒径が20μm未満では、焼結処理中に基地相に拡散しやすく、硬質粒子としての効果が期待できなくなる。一方、70μmを超えて大きくなると、使用中に粒子の割れや欠陥が生じやすく、相手攻撃性が増大する傾向が強くなり、バルブおよびバルブシートの双方の耐摩耗性が低下する原因となる。また、硬さが600 HV0.1未満では、相手攻撃性は低いが、硬質粒子としての効果が期待できなくなる。一方、硬さが1000 HV0.1を超えると、使用中に粒子の割れや欠陥が生じやすくなり、バルブシートの耐摩耗性が低下するとともに、相手攻撃性が増大する。なお、粒子の硬さはマイクロビッカース硬さ計(荷重:0.1kgf)を用いて測定した値を使用し、粒子の平均粒径は、画像解析装置で測定した値を使用するものとする。
本発明では、アトマイズ製Co基金属間化合物粒子は、上記した硬さ、平均粒径を有するアトマイズ製Si−Cr−Mo系Co基金属間化合物粒子とすることが好ましい。Si−Cr−Mo系Co基金属間化合物粒子は、質量%で、Si:0.5〜4.0%、Cr:5.0〜20.0%、Mo:20.0〜40.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなる組成を有する粒子である。Si、Cr、Mo含有量が、上記した範囲を外れると、金属間化合物量が所望の適正量範囲を外れ、上記した600〜1000HV0.1の硬さ範囲内に調整することが難しくなる。
また本発明では、アトマイズ製Co基金属間化合物粒子は、上記した硬さ、平均粒径を有するアトマイズ製Si−Cr−Mo−Ni系Co基金属間化合物粒子としてもよい。Si−Cr−Mo−Ni系Co基金属間化合物粒子は、質量%で、Si:0.5〜4.0%、Cr:15.0〜35.0%、Mo:15.0〜35.0%、Ni:5.0〜20.0%を含み、残部Coおよび不可避的不純物からなる組成を有する粒子である。Si、Cr、Mo、Ni含有量が、上記した範囲を外れると、金属間化合物量が所望の適正量範囲を外れ、上記した600〜1000HV0.1の硬さ範囲内に調整することが難しくなる。
また、本発明で使用するバルブシート用の鉄基焼結合金材では、基地相が、質量%で、C:0.5〜1.5%を含み、さらにNi、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で3.0〜10.0%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有する。以下、組成における質量%は、単に%で記す。
C:0.5〜1.5%
Cは、基地中に含まれ、基地相の強化に寄与する元素であり、本発明では所望の強度を確保するために、0.5%以上の含有を必要とする。一方、1.5%を超える含有はセメンタイト形成傾向が強くなり、靭性が低下するとともに、過焼結が発生する。このため、Cは0.5〜1.5%の範囲に限定した。
Ni、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を合計:3.0〜10.0%
Ni、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wはいずれも、基地相を強化し、バルブシートの硬さ、耐熱性、耐摩耗性の向上に寄与し、さらには基地の酸化鉄生成特性に影響する元素であり、選択して1種または2種以上を基地相に含有する。このような効果は、Ni、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上の合計が3.0%以上で認められる。3.0%未満では酸化鉄生成特性はよいが、その他の特性向上は得られない。一方、10.0%を超えて含有しても、効果が飽和して含有量に見合う効果が期待できなくなり、経済的に不利となり、また酸化鉄生成特性が劣化する。このため、本発明では、Ni、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で3.0〜10.0%の範囲に限定した。なお、好ましくは合計で4.0〜9.0%である。
なお、Niは、耐摩耗性の向上と、基地硬さの増加、および耐熱性の向上に寄与する元素であり、基地相では1.0〜6.0%含有することが好ましい。Crは、基地相の強化に寄与する元素であり、基地相では0.2〜3.0%含有することが好ましい。Moは、耐摩耗性の向上に寄与する元素であり、基地相では0.2〜2.0%含有することが好ましい。Coは、硬質粒子と基地相との接合を強化し、耐摩耗性向上に寄与する元素であり、基地相で1.0〜7.0%含有することが好ましい。V、Wは、基地相の強化と耐摩耗性を向上させる元素であり、それぞれ基地相では0.1〜1.0%含有することが好ましい。
本発明で使用するバルブシート用鉄基焼結合金材では、上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
本発明で使用するバルブシート用鉄基焼結合金材では、基地相中に分散したCo基金属間化合物粒子の周囲に、Co基金属間化合物粒子の合金成分が拡散して形成された高合金相を有する。この高合金相はCo、Ni、Mo、Cr、Siを多量に含有する相で、300〜600HV0.1の硬さを有する。このような高合金相を硬質粒子であるCo基金属間化合物粒子の周囲に形成することにより、硬質粒子と基地相との間の硬さ変化を段階的とすることができ、バルブとの摺動に際し摺動面で硬質粒子が浮き出る現象を抑制することができ、チタン合金製バルブへの相手攻撃性が低下することができる。
なお、高合金相は、8〜35面積%程度を存在させる。この存在範囲を外れると上記した効果が期待できなくなる。
また、本発明で使用するバルブシート用鉄基焼結合金材では、上記した硬質粒子に加えてさらに固体潤滑剤粒子を分散させてもよい。固体潤滑剤粒子は、バルブシートの被削性の向上、運転時のバルブとの凝着の抑制に寄与する。このような効果は、質量%で0.2%以上の分散で認められる。固体潤滑剤粒子が質量%で0.2%未満では、被削性が劣化傾向を示し、さらにバルブとの凝着発生が促進されやすくなる傾向となる。一方、3.0%を超えて分散させても、効果が飽和し含有量に見合う効果が期待できなくなり経済的に不利となるとともに、焼結体強度が低下する。このため、固体潤滑剤は質量%で0.2〜3.0%に限定することが好ましい。固体潤滑剤としては、MnS等の硫化物のうちの1種以上、あるいはCaF2等の弗化物のうちの1種以上、あるいはそれらの混合とすることが好ましい。
つぎに、本発明のバルブシートの好ましい製造方法について説明する。
まず、原料粉として、基地相を形成する、純鉄粉、合金鉄粉(合金鋼粉を含む)および合金元素粉と、硬質粒子として、好ましくは上記した粒径、硬さ、組成の硬質粒子粉と、あるいはさらに固体潤滑剤粉とを、上記した基地相組成、硬質粒子質量%、固体潤滑剤粒子質量%となるように、配合し、混合、混練して、混合粉とする。
基地相を形成する原料粉は、純鉄粉に合金元素粉を混合しても、合金鉄粉あるいは合金鋼粉に合金元素粉を混合しても、また純鉄粉、合金鉄粉あるいは合金鋼粉に合金元素粉を混合しても、上記した基地相組成となるように配合できればいずれでもよい。なお、合金元素の均一分散という観点からは合金鉄粉、合金鋼粉を用いることが好ましい。
ついで、混合粉を、金型に充填したのち、成形プレス等により圧縮・成形し成形体とする。ついで、得られた成形体を、アンモニア分解ガス、真空等の保護雰囲気中で、好ましくは1000〜1200℃の温度範囲に加熱して焼結し、鉄基焼結合金材とする。
このようにして得られた鉄基焼結合金材を、切削、研削等の加工により所定寸法形状の内燃機関用バルブシートとする。
本発明の内燃機関用バルブとバルブシートの組合せでは、バルブはチタン合金製のバルブとする。本発明では使用するチタン合金の種類は使用環境、量産性、製造コスト等の観点から、吸気側バルブに、一般的な、Ti−6Al−4V合金(質量%で、6.0%Al、4.0%V、残部Tiおよび不可避的不純物)を、排気側バルブにTi−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.2Si合金(質量%で、6.0%Al、2.0%Sn、4.0%Zr、2.0%Mo、0.2%Si、残部Tiおよび不可避的不純物)またはTi−2.7Sn−4Zr−0.4Mo−0.5Si合金(質量%で、2.7%Sn、4.0%Zr、0.4%Mo、0.5%Si、残部Tiおよび不可避的不純物)を使用することが好ましい。なお、バルブは、上記したチタン合金で少なくともバルブフェース部を構成してもよい。
さらに、本発明で使用するチタン合金製バルブは、少なくともバルブシートとの摺動面(バルブフェース部)にマイクロビッカース硬さで400HV0.01以上の酸素拡散硬化層を有する。このような酸素拡散硬化層の形成により、バルブの耐摩耗性が向上する。酸素拡散硬化層の硬さがマイクロビッカース硬さで400HV0.01未満では、バルブシートから攻撃を受けてバルブの過大摩耗を生じる可能性が高くなる。なお、酸素拡散硬化層の厚さは5〜20μmとすることが好ましい。この範囲を外れる厚さでは効果が少ないか、あるいは靭性が低下し所望の効果が期待できなくなる場合がある。
なお、好ましくは上記した組成のチタン合金の鋳造材、鍛造材、あるいは成形材等から切削、研削等の加工により所定寸法形状の内燃機関用バルブとすることが好ましい。また、内燃機関用バルブには、さらに大気雰囲気中で加熱する酸化処理を施し、所望厚さの酸素拡散硬化層を形成することもできる。
原料粉として、合金鉄粉または合金鋼粉、および/または純鉄粉に、合金元素粉、および硬質粒子粉を、あるいはさらに固体潤滑剤粒子粉を、表1に示すバルブシート組成となるように配合し、混合、混練して混合粉とした。なお、一部では固体潤滑剤粒子粉は配合しなかった。使用した硬質粒子粉の種類、組成を表2に、固体潤滑剤粉の種類を表3にそれぞれ示す。
ついで、これら混合粉を、金型に充填し、成形プレスにより圧縮・成形し圧粉体とした。
ついで、これら圧粉体に、1000〜1200℃の保護雰囲気中(還元ガス雰囲気)で焼結処理を施し、鉄基焼結合金材とした。
図3、図4に得られた鉄基焼結合金材の光学顕微鏡組織をスケッチ図として示す。本発明例のバルブシートでは硬質粒子が球形状を呈し、かつ硬質粒子の周囲に高合金相を有していることがわかる。
また、得られた鉄基焼結合金材から、切削、研削加工によりバルブシート(寸法形状寸法:φ30×φ27×7mm)を加工した。
表4に示す種類のチタン合金のインゴット材から、鋳造、切削、研削加工により、上記したバルブシートに適合するバルブを加工した。一部のバルブには、大気中で700℃に300分間加熱する酸化処理を施し、表面に酸素拡散硬化層(5〜10μm)を形成した。なお、バルブ当たり面の硬さをマイクロビッカース硬さ計(荷重:0.01kgf)で測定した。
得られたこれらバルブシート、バルブを表1に示すように組合せ、図5に示す単体リグ摩耗試験機を用いて単体リグ摩耗試験を実施した。バルブシート1をシリンダヘッド相当品の治具2に圧入したのち、試験機に装着した熱源3によりバルブ4およびバルブシート1を加熱しながらクランク機構によりバルブ4を上下させて、試験した。なお、試験後、バルブおよびバルブシートの摩耗量を測定した。試験条件はつぎの通りとした。
試験温度:400℃(シート面)
試験時間:9h
カム回転数:3000rpm
バルブ回転数:20rpm
スプリング荷重:35kgf(345 N)(セット時)
リフト量:7.5mm
得られた結果を表5および図1〜図2に示す。
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吸気側の組合せでは、本発明例の組合せであれば、バルブシートの摩耗量は20μm以下、バルブの摩耗量は10μm以下であり、耐摩耗性に優れ、耐久性に優れたバルブとバルブシートの組合せとなっている。本発明例で使用したバルブシートの相手攻撃性が低いことを示している。また、排気側の組合せにおいても、本発明例の組合せであれば、バルブシートの摩耗量は20μm以下、バルブの摩耗量は10μm以下であり、耐摩耗性に優れたバルブとバルブシートの組合せとなっている。
一方、本発明の範囲を外れる比較例の組合せでは、吸気側、排気側のいずれにおいても、バルブシートの摩耗量あるいはバルブの摩耗量のいずれか、あるいは両方が大きくなり、バルブシートの相手攻撃性が大きくなり、実機において所望の耐摩耗性を維持できない可能性が高いと推察される。
実施例におけるバルブシート、バルブの摩耗量を比較して示すグラフである。 実施例におけるバルブシート、バルブの摩耗量を比較して示すグラフである。 本発明例のバルブシート(バルブシートNo.4)の金属組織のスケッチ図である。 比較例のバルブシート(バルブシートNo.22)の金属組織のスケッチ図である。 単体リグ摩耗試験機の概略説明図である。
符号の説明
1 バルブシート
2 治具
3 熱源
4 バルブ

Claims (3)

  1. 内燃機関におけるバルブとバルブシートの組合せであって、前記バルブが、硬さ:400HV0.01以上の酸素拡散硬化層を有するチタン合金製バルブで、該チタン合金製バルブがTi−6Al−4V合金製バルブ、Ti−6Al−2Sn−4Zr−2Mo−0.2Si合金製バルブまたはTi−2.7Sn−4Zr−0.4Mo−0.5Si合金製バルブであり、前記バルブシートが、基地相中に硬質粒子として、20〜70μmの平均粒径と600〜1000HV0.1の硬さを有する球状のアトマイズ製Co基金属間化合物粒子を質量%で10.0〜40.0%分散させ、前記基地相が、質量%で、C:0.5〜1.5%を含み、さらにNi、Cr、Mo、Co、Cu、V、Wのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で3.0〜10.0%含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ前記Co基金属間化合物粒子の周囲に該Co基金属間化合物粒子の合金成分の拡散により形成された、300〜600HV0.1の硬さを有する高合金相を面積率で8〜35%存在させた鉄基焼結合金材からなることを特徴とする内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ
  2. 前記アトマイズ製Co基金属間化合物粒子が、質量%で、Si:0.5〜4.0%、Cr:5.0〜20.0%、Mo:20.0〜40.0%を含み残部Coおよび不可避的不純物からなる組成を有するアトマイズ製Si−Cr−Mo系Co基金属間化合物粒子、または、Si:0.5〜4.0%、Cr:15.0〜35.0%、Mo:15.0〜35.0%、Ni:5.0〜20.0%を含み、残部Coおよび不可避的不純物からなる組成を有するアトマイズ製Si−Cr−Mo−Ni系Co基金属間化合物粒子であることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ
  3. 前記バルブシートが、前記基地相中に前記硬質粒子に加えてさらに、固体潤滑剤粒子を質量%で0.2〜3.0%分散させることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関用バルブとバルブシートの組合せ
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