(実施形態1)
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されない。
前述の通り、本発明の記憶媒体搬送装置は、
ディスク状記憶媒体を搭載可能な複数のトレイを、厚み方向に積重ねた状態から厚み方向に展開した状態および厚み方向に展開した状態から厚み方向に積重ねた状態の双方の状態にすることが可能なトレイ展開手段と、
情報記録および情報再生の少なくとも一方を行う複数の情報記録再生装置の各々に対し、前記展開された複数のトレイの各々を搬入可能および搬出可能なトレイ搬送手段とを有し、
前記トレイ搬送手段が、さらに、前記トレイに前記ディスク状記憶媒体を搭載した状態で前記ディスク状記憶媒体を、前記情報記録再生装置に対し装填可能および取出し可能であることを特徴とする。
図1および2に、本実施形態の記憶媒体搬送装置と、それとともに用いる情報記録再生装置との構造を示す。図1は斜視図であり、図2は平面図である。図示の通り、本実施形態では、長方形状の底板54が水平に配置されており、前記各装置は、全て、底板54の上面に配置されている。ただし、本発明では、底板は、あっても良いし、なくても良い。
なお、以下、説明の便宜上、本実施形態において、底板54の幅方向をX方向、長手方向をY方向、底板54の面と垂直方向(鉛直方向)をZ方向というものとする。X方向、Y方向、Z方向については、図1中に、X、Y、Zの文字および矢印で示すとおりである。
図1および2に示す通り、本実施形態の記憶媒体搬送装置は、ストッカ部50と、ピッカ51と、ディスクローディング部1とを主要構成要素とする。情報記録再生装置は、光学ドライブ列52および53とから形成される。光学ドライブ列52、53は、光ディスクに対して、情報を記録すること、および、記録された情報を再生することの、一方または両方が可能である。光学ドライブ列52は、光学ドライブ(情報記録再生装置)52a、52b、52c、52d、52e、52f、52g、52hが、この順番で上から下に向かって一定の間隔を置いて配置されている。光学ドライブ列53は、光学ドライブ(情報記録再生装置)53a、53b、53c、53d、53e、53f、53g、53hが、この順番で上から下に向かって一定の間隔を置いて配置されている。すなわち、光学ドライブ列52および53は、それぞれ、光学ドライブ(情報記録再生装置)の集合体である。
ストッカ部50と、ディスクローディング部1と、光学ドライブ列52および53とは、Y方向に沿って前記の順番に配置されている。前記情報記録再生装置において、光学ドライブ列52は、前記記憶媒体搬送装置に向かって右側に配置され、光学ドライブ列53は、前記記憶媒体搬送装置に向かって左側に配置されている。ピッカ51は、ストッカ部50、ディスクローディング部1、光学ドライブ列52および53に囲まれるように配置され、ストッカ部50とディスクローディング部1との間をY方向およびZ方向に移動可能である。
ストッカ部50は、後に詳述する光ディスクカートリッジ20を複数収容(収納)可能な部分であり、トレイ積層体収容部に相当する。ピッカ51は、前述の通り、ストッカ部50とディスクローディング部1との間をY方向およびZ方向に移動可能である。ピッカ51は、ストッカ部50から情報を記録再生する対象の光ディスクカートリッジを取り出し、ディスクローディング部1まで搬送可能であり、トレイ積層体搬送手段を構成する。また、ピッカ51は、後述のように、前記トレイ展開手段の一部をも構成する。ディスクローディング部1は、後述のトレイ積層体38を構成する複数のトレイを厚み方向に展開し、各トレイ上に搭載した光ディスクを光学ドライブ列52、53に対しマウント(装填)および取出しする部分である。また、ディスクローディング部1は、展開爪部2と展開爪部3と展開爪開閉手段4と展開爪水平移動手段5を備える。ディスクローディング部1は、展開爪水平移動手段5によりY方向に移動可能であるとともに、展開爪開閉手段4により、展開爪部2と展開爪部3とをX方向に開閉可能である。これにより、光学ドライブ列52、53に対し、前記展開された複数のトレイの各々を搬入可能および搬出可能である。すなわち、ディスクローディング部1は、前記トレイ搬送手段に相当する。また、展開爪部2と展開爪部3とは、後述するピッカ51のテーブル81(トレイ振分用昇降テーブル)とともに、前記トレイ展開手段を形成する。ディスクローディング部1のさらに詳しい構成等については、後述する。
なお、本発明のディスク状記憶媒体搬送装置は、図1および2のように、さらに、前記複数のトレイを厚み方向に積重ねた状態のトレイ積層体を複数収容可能なトレイ積層体収容部と、選択された一つの前記トレイ積層体を前記収容部から取出して前記トレイ展開手段に搬送するトレイ積層体搬送手段とを有することが好ましい。ただし、前記トレイ積層体収容部と、前記トレイ積層体搬送手段とは、なくても良い。また、本発明において、前記トレイ展開手段と前記トレイ搬送手段とは、別部材であっても良いが、前述のように、前記トレイ展開手段と前記トレイ搬送手段の一部が共通していることが好ましい。このような構造であれば、ディスク状記憶媒体を搭載したトレイを前記トレイ展開手段で展開した後、そのまま情報記録再生装置に搬入可能である。詳しくは後述する。
図1および2における各部の配置、構成および機能について、以下にさらに詳細に説明する。
ストッカ部50は、円筒形状を有し、円周方向に並ぶ複数の小部屋を有する層を、Z方向に数段重ねた構造を有する。ストッカ50の各小部屋には、光ディスクカートリッジ20が各1個収納可能である。すなわち、例えば、1層当り8つの小部屋があり、それが16段積み重ねられているとすれば、ストッカ50には、合計128個の光ディスクカートリッジ20が収納できる。ストッカ50への光ディスクカートリッジの最大収納個数は、用途に応じ、ストッカ50の高さを調整して定めればよい。
ストッカ50は、円筒の中心軸周りに回転可能なように、支持手段(図示せず)により底板54に保持されている。ストッカ部50に収納してあるいずれの光ディスクカートリッジ20も、ストッカ50をモータとモータ制御回路(図示せず)により回転させることで、ピッカ51に正対させ、ピッカ51でアクセス可能な状態にできる。
ここで、前述の光ディスクカートリッジ20について、図面を参照しながら説明する。図3と図4は、それぞれ、光ディスクカートリッジ20の斜視図であり、図3は上方向から見た斜視図であり、図4は下方向から見た斜視図である。これらの図に示すように、光ディスクカートリッジ20は、トレイ積層体38と、それを積載したトレイベース37とから形成される。本発明の記憶媒体搬送装置は、このように、さらに、前記複数のトレイを厚み方向に積重ねた状態のトレイ積層体を積載可能なトレイベースを含むことが、前記トレイ積層体の取り扱いやすさの観点から好ましい。ただし、本発明の記憶媒体搬送装置は、前記トレイベースがなくても良い。尚、本実施形態では、一つの光ディスクカートリッジ20に、16枚の光ディスクが収納されるものとする。各トレイに搭載される光ディスクは、前記ディスク状記憶媒体に相当する。
図5は、図3および4におけるトレイ積層体38とトレイベース37を示す分解斜視図である。図5に示すように、トレイ積層体38は、16枚のトレイ(光ディスク搭載トレイ)21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35および36が、上から下にこの順番で積層されている。なお、以下、トレイ21を「第1トレイ」、トレイ22を「第2トレイ」、トレイ23を「第3トレイ」、トレイ24を「第4トレイ」、トレイ25を「第5トレイ」、トレイ26を「第6トレイ」、トレイ27を「第7トレイ」、トレイ28を「第8トレイ」、トレイ29を「第9トレイ」、トレイ30を「第10トレイ」、トレイ31を「第11トレイ」、トレイ32を「第12トレイ」、トレイ33を「第13トレイ」、トレイ34を「第14トレイ」、トレイ35を「第15トレイ」、トレイ36を「第16トレイ」ということがある。
各トレイ21から36は、光ディスクを搭載可能な平坦部40と、その外周の各三箇所に設けられた展開用の突起部(トレイ操作部)を備え、さらに、各トレイの中心部から外周部まで達するU字状の切り欠き部41(クランプ構造貫通部)を有している。第1トレイ21における前記突起部(トレイ操作部)は、図中において、それぞれ、21a、21bおよび21cと表している。第2トレイ22における前記突起部(トレイ操作部)は、図中において、それぞれ、22a、22bおよび22cと表している。第3トレイ23における前記突起部(トレイ操作部)は、図中において、それぞれ、23a、23bおよび23cと表している。第4トレイ24における前記突起部(トレイ操作部)は、図中において、それぞれ、24a、24bおよび24cと表している。以下、第5トレイ25から第16トレイ36までの各トレイにおいても同様である。第1トレイ21において、突起部(トレイ操作部)21aおよび21bは、切り欠き部41におけるU字の開口部を挟むように配置され、突起部(トレイ操作部)21cは、第1トレイ21の外周部において、前記U字の開口部とほぼ反対側の位置に設けられている。第2トレイ22から第16トレイ36までの各トレイにおいても同様である。この16枚のトレイ21から36は、積層された状態でトレイベース37に積載されている。突起部の設定位置は、16枚のトレイ21から36でそれぞれ異なる。より具体的には、トレイ21から36において、前記突起部(トレイ操作部)は、トレイ21から36が積層された状態で、各々、他の何れのトレイのトレイ操作部とも厚み方向に重なり合わない。
なお、本発明の記憶媒体搬送装置に用いるトレイおよびトレイセットは特に制限されないが、例えば、前記本発明のトレイセットを用いることが好ましい。本発明のトレイセットは、前述の通り、前記本発明の記憶媒体搬送装置に用いる前記複数のトレイからなり、前記複数のトレイの各々は、トレイ操作部が外周部に設けられており、前記トレイ操作部は、前記複数のトレイが積層された状態で、各々、他の何れのトレイのトレイ操作部とも厚み方向に重なり合わないことを特徴とする。図5の第1トレイ21から第16トレイ36により形成されるトレイセットは、本発明のトレイセットの一例である。本発明のトレイセットにおいて、前記複数のトレイは、例えば図5の第1トレイ21から第16トレイ36のように、各々、前記トレイ操作部が外周部の3箇所以上に設けられていることが、前記トレイの安定した取り扱いの観点から好ましい。また、前記操作部は、例えば図5の第1トレイ21から第16トレイ36のように、前記トレイ外周部に設けられた突起であることが好ましい。さらに、本発明の記憶媒体搬送装置に用いるトレイ、および前記トレイセットに用いるトレイは特に制限されないが、前記トレイの中心部に、クランプ構造貫通部を有することが好ましい。前記クランプ構造貫通部は、例えば図5の第1トレイ21から第16トレイ36のように、前記トレイの中心部から外周部まで達する切り欠き部である。なお、「クランプ構造」については後述する。また、前記クランプ構造貫通部は、例えば、前記トレイの中心部に設けられた貫通孔であってもよい。これについても後述する。また、本発明において、前記トレイセットを構成する各トレイが積層された状態を「トレイ積層体」ということがある。
なお、本発明では、前記本発明のトレイセットおよび前記本発明のトレイ展開手段を組み合わせて、前記本発明のトレイセットおよび前記本発明のトレイ展開手段からなるトレイ積層体展開システムとして用いてもよい。本発明のトレイ展開手段あるいはトレイ展開システムによれば、例えば、トレイ積層体を載置したトレイ振分用昇降テーブルをトレイ振分保持部に沿って昇降移動させるだけで、予め決められた大きさの間隙を各トレイ間に自動的に形成させることもできる。これにより、各トレイ間の間隙が複数の記録再生装置の配設状態に合うように調整することも可能である。
図3から5における第1トレイ21から第16トレイ36、それらの積層体であるトレイ積層体38、およびトレイ積層体38を積載するトレイベース37について、以下、他の図面を参照してさらに詳しく説明する。
図6は、前記第1トレイ21の平坦部40の上面に光ディスク39を搭載した状態を示す斜視図である。図7は、図6の第1トレイ21において、光ディスク39を搭載しない状態を示す斜視図である。図6に示すように、第1トレイ21においては、光ディスク39の中心と平坦部40の中心42が一致する様に光ディスク39を搭載可能である。第2トレイ22から第16トレイ36の各トレイにも、同様にして光ディスク39を搭載可能である。そして、第2トレイ22から第16トレイ36の各トレイは、各々に光ディスク39を搭載した状態で、トレイ積層体38としてトレイベース37上に積載可能である。
図7に示すように、トレイ21は、薄板により形成されている。トレイ21は、光ディスク39を搭載する平坦部40と、外周部43とを有している。平坦部40は、トレイ21の中央部に設けてある。外周部43は、平坦部40に光ディスク39を搭載可能なように平坦部40の平面に対し若干高くなっている。より具体的には、平坦部40に対する外周部43の高さは、光ディスク39の厚さより若干大きい。また、平坦部40は、U字状の切り欠き部41があるほかは、光ディスク39を載置できるように、円板平面形状の底面を有している。平坦部40の底面の直径は、光ディスク39の直径より若干大きい。外周部43は、平坦部40の縁部に結合している。外周部43は、平坦部40における底面と平行に延びている。
トレイ21の外形は、概ね円形である。ただし、トレイ21の外周部43には、トレイ21をトレイベース37に積載する時にトレイ21とトレイベース37と嵌合させるための嵌合部44が4箇所設けてある。より具体的には、嵌合部44は、突起部21aと21cの間、突起部21cと21bの間、および、切り欠き部41のU字の開口部が外周部43と接する2ヶ所にそれぞれ設けてある。また、突起部21a、21bおよび21cには、それぞれ、円形の貫通孔45があけてある。
また、第2トレイ22から第16トレイ36までの各トレイの構造は、前記突起部の位置が若干異なる以外は、第1トレイ21と同様である。前記突起部の位置については後述する。
光ディスク39および第1トレイ21から第16トレイ36の具体的な寸法を例示すると、以下の通りである。すなわち、光ディスク39の外径は、DVDやCD等の従来の光ディスクの外径と同様の約120.0±0.3mmの範囲に設定し、平坦部40の底面の直径は約120.3mmとする。また、光ディスク39の厚さは、例えば約0.2mmとし、平坦部40に対する外周部43の高さは、光ディスク39の厚さより若干厚く約0.3mmとすることができる。さらに、第1トレイ21から第16トレイ36の総高さは、外周部43の高さに平坦部40の厚さ約0.1mmを加えて約0.4mmとすることができる。
なお、本発明において、ディスク状記憶媒体は特に制限されず、例えば、光ディスクでも磁気ディスクでも光磁気ディスクでも良いが、光ディスクが好ましい。光ディスクも特に制限されず、前述のようなDVDやUDO等でも良いが、前述のような薄型のフィルム状ディスクが特に好ましい。すなわち、DVD等では約1.2mm程度である光ディスクの厚さを、約0.1mmから約0.3mm程度まで薄くしてフィルム状にする。これにより、光ディスクの体積当りの記録密度を増大させて、情報記録媒体としての光ディスクの記録容量が増大したのと同等の効果を得ることができる。本発明において、このようなフィルム状の光ディスクを複数、一度に並列に使用して情報を記録・再生することで、業務向けや企業向けの用途においても、高い記録容量、データ転送速度および保存寿命を低コストで実現できる。なお、このようなフィルム状の光ディスクは、その薄さから可撓性を有することもあり、その場合、「可撓性ディスク」または「可撓性光ディスク」と呼ばれることがある。
次に、前記突起部について説明する。前述の通り、トレイ21から36の構成は、前述の突起部21a、21b、21cから36a、36b、36c、および前記突起部に設けられた貫通孔45の位置を除き、同じである。
前記突起部21a、21b、21cから36a、36b、36c、および貫通孔45は、複数のトレイ21から36を重ねた状態(トレイ積層体)から別々の状態に分ける(厚み方向に展開する)ために設けている。突起部は、複数のトレイ21から36で、別々の位置に設けている。
まず、第1トレイ21においては、図7に示したように、突起部21a、21bおよび21cは、平坦部40の中心42に対し位相を略120度ずらして3箇所設けてあり、いずれも外周部43に対して平行に張り出して設置されている。
図8を用いて、第1トレイ21から第16トレイ36の16枚の各突起部の位置関係を説明する。同図は、第1トレイ21から第16トレイ36の16枚のトレイからなるトレイ積層体(図3および4におけるトレイ積層体38)を、第16トレイ36側から見た底面図である。なお、同図のトレイ積層体は、光ディスクを搭載しない状態である。また、同図において、トレイベース37は図示していない。
図8に示すとおり、第1トレイ21から第16トレイ36の各突起部は、重ねられた(積層された)複数のトレイ21から36を第16トレイ36側から見たときに、各突起部にあけられた貫通孔45が重なり合わない位置に配置してある。なおかつ、複数のトレイ21から36の各々が有する3箇所の突起部は、いずれも平坦部40の中心42に対し、位相を略120度ずらして設けてある。
より具体的には、図8において、平坦部40の中心42を中心とした直径をφDとしたとき、第1トレイ21と第2トレイ22の突起部と第3トレイの突起部23cは、各突起部の貫通孔45の中心がφD=D2=約157mmとなるように採ってある。第3トレイ23の突起部23aと23bと、第4トレイ24から第7トレイ27の突起部と、第8トレイの突起部28cと第9トレイの突起部29cは、各突起部の貫通孔45の中心がφD=D1=約145mmとなるように採ってある。第8トレイの突起部28aと28bと、第9トレイの突起部29aと29bと、第10トレイから第16トレイの突起部は、各突起部の貫通孔45の中心がφD=D0=約133mmとなるように採ってある。
さらに、U字状の切り欠き部41に直交し平坦部40の中心42を通る軸線46を0度として時計周りの角度をαとしたとき、例えば、第8トレイ28の突起部28aでは、α=α0=約14度に採り、同一直径D0上に配置した第9トレイの突起部29aから第16トレイの突起部36aは、α0から時計回りに等角度ピッチ約5.5度で、第16トレイの突起部36aでのα=α1=約58度となるように採ってある。他の突起部に対する角度αも図8に示すとおり、前記と同様に等角度ピッチ約5.5度で採ってある。
貫通孔45は、各突起部に設けてあり、突起部を貫通している。この貫通孔45には、複数のトレイ21から36を展開する際に、ピンが挿入される。ピンが挿入されることにより、展開したトレイの位置が固定される。
図9は、複数のトレイ21から36からなるトレイ積層体38を搭載するトレイベース37を上方(トレイ積層体を積載する側)から見た斜視図である。図示の通り、トレイベース37の中央部には、各トレイの外周部43と同一形状の凹部47を設けてある。凹部47は、略平面であり、トレイベース37の外周部に対して凹んでいる。すなわち、凹部47の外周部は、凹部47の平面から隆起した壁を形成しており、これにより、凹部47にトレイ積層体38を搭載可能である。また、前記外周部において、各トレイ21から36の前記各突起部に相当する位置には、切り欠き部48a、48bおよび48cを設けてある。切り欠き部48a、48bおよび48cにおいては、前記壁が形成されておらず、各トレイ21から36までにおける前記突起部が、凹部47の外周から突出可能である。また各トレイの嵌合部44に相当する部分には、嵌合部49が設けてある。各トレイ21から36の嵌合部44にトレイベースの嵌合部49を当接させることで、積層したトレイ21から36を積載する時に、トレイベース37上に各トレイ21から36が位置決めできる。なお、本発明において、トレイベースを用いない場合には、例えば、前記のようにトレイ積層体とトレイベースを嵌合させて位置決めする代わりに、各トレイに、上下のトレイの一方または両方と嵌合する部分を設けて位置決めしても良い。しかし、トレイベースを用いることが、前述のように、トレイ積層体の取り扱いやすさの観点から好ましい。
トレイベース37において、凹部47の外周に設けられた前記壁の高さは、各トレイ21から36を積載したトレイ積層体38の高さより高く採ってある。具体的には、例えば、総高さ約0.4mmの各トレイを16枚積層することで約6.4mmとなったトレイ積層体38の高さより高く採り、約7mmとすることができる。
図10は、トレイ積層体38を搭載したトレイベース37をトレイベース37側(トレイ積層体38を搭載した側と反対側)から見た底面図を示す。すなわち、図10は、図3および4における光ディスクカートリッジ20の底面図でもある。図示の通り、トレイベース37に切り欠き部48aから48cを設けたことにより、トレイベース37が各トレイ21から36の突起部の貫通孔45と重ならない。すなわち、各トレイ21から36の突起部の貫通孔45は、前述のように、トレイベース37の外周から突出しており、トレイベース37の底面から視認可能である。また、図8においても説明したとおり、第1トレイ21から第16トレイ36の各突起部は、貫通孔45が重なり合わない位置に配置してある。すなわち、トレイベース37側から見たとき、各トレイ21から36の突起部の貫通孔45は、他のトレイの突起部およびトレイベース37に重なることなく、露出している。第1トレイ21から第16トレイ36の16枚からなるトレイ積層体を展開する際には、前記各トレイの突起部を、トレイ展開手段に設けられたトレイ支持部により支持することができる。各トレイ21から36の突起部は、上述のように露出しているので、簡単に支持することが可能である。詳しくは後述する。
なお、第1トレイ21から第16トレイ36およびトレイベース37の材質は特に制限されず、例えば、樹脂、金属等が挙げられる。これらの形状は、例えば、前記トレイやトレイベースが樹脂製である場合、樹脂を適宜な方法で成型することにより、容易に形成できる。また、その他、例えば、プレス加工によっても製造は可能である。
本発明のトレイセットによれば、ディスク状の記憶媒体を積層してコンパクトに収納することができる。さらに、各トレイの外周部には、全てのトレイを積層した状態で、各々、他の何れのトレイとも厚み方向に重なり合わないトレイ操作部が設けられている。後述のように、このトレイ操作部を利用して各トレイを厚み方向に相対移動させることで、各トレイ間の間隙を複数の記録再生装置の配設状態に合わせて調整することもできる。
次に、前記トレイ展開手段および前記トレイ搬送手段について説明する。本実施形態のディスク状記憶媒体搬送装置において、前述の通り、ディスクローディング部1が前記トレイ搬送手段に相当し、ディスクローディング部1の一部とピッカ51の一部とが前記トレイ展開手段を構成する。
図11の斜視図に、図1および2におけるディスクローディング部1の構成を示す。ディスクローディング部1は、展開爪部2と展開爪部3と展開爪開閉手段4と展開爪水平移動手段5を主要構成要素とする。本実施形態では、この展開爪部2と展開爪部3が、後述するピッカ51のテーブル81(Z方向に昇降可能なトレイ振分用昇降テーブル)とともにトレイ展開手段を構成する。
同図において、展開爪部2および展開爪部3は、前述のように、展開爪開閉手段4により、X方向に開閉可能である。展開爪部2および展開爪部3を開いた状態において、展開爪部2は、トレイ積層体収容部(図1および2において、ストッカ部50)に向かって右側に位置し、展開爪部3は左側に位置する。また、前述のように、展開爪水平移動手段5により、展開爪部2と展開爪部3とをY方向に移動させ、トレイを複数の情報記録装置に搬入および搬出可能である。なお、X方向およびY方向の定義については、図1を用いて説明したとおりである。
展開爪部2は、上下に切り立った板状の展開爪支持部77に、8つの展開爪61、63、65、67、69、71、73、75が、上から下に向かってこの順番で固定されている。展開爪部2における前記8つの展開爪のZ方向の設置間隔は、光学ドライブ列52における前記光学ドライブ52aから52hの設置間隔に等しい。同様に、展開爪部3は、上下に切り立った板状の展開爪支持部78に、8つの展開爪62、64、66、68、70、72、74、76が、上から下に向かってこの順番で固定されている。展開爪部3における前記8つの展開爪のZ方向の設置間隔は、光学ドライブ列53における前記53aから53hの設置間隔に等しい。展開爪部2および3は、前記トレイ展開手段におけるトレイ振分保持部に相当する。また、本実施形態において、展開爪部2と展開爪部3の各展開爪は、それぞれZ方向に千鳥配置されている。すなわち、Z方向において、前記展開爪は、上から下に向かって61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76の順番で配置されている。
より具体的には、展開爪部2と3の各展開爪は、両展開爪部とも約57mm間隔で配列され、さらに展開爪61は展開爪62よりも約28.5mm高い位置に設置されている。
展開爪部2と展開爪部3は、それぞれ、展開爪開閉手段4に固定されている。展開爪開閉手段4は、モータ6を備えており、モータ駆動制御回路(図示せず)により展開爪部2をX方向に移動可能である。また、展開爪開閉手段4はモータ7を備えており、モータ駆動制御回路(図示せず)により展開爪部3をX方向に移動可能である。
展開爪水平移動手段5は、モータ8を備えており、モータ制御回路(図示せず)により、展開爪部2と展開爪部3を展開爪開閉手段4ごとY方向に水平移動可能である。また、展開爪水平移動手段5は、支持手段(図示せず)により他の部材に固定されている。前記他の部材は、例えば、図1および2に示す記憶媒体搬送装置および情報記録再生装置を収容する筐体(図示せず)であっても良い。
図12と図13に、ディスクローディング部1を、図1および2の光学ドライブ列52および53側から見た側面図を示す。前述したように、展開爪部2と展開爪部3は、展開爪開閉手段4によりX方向に移動して開閉可能である。図12は、展開爪部2と展開爪部3とが離間する方向に最大限に移動させた状態を示し、図13は、展開爪部2と展開爪部3とが近接する方向に最大限に移動させた状態を示す。図12に示す、展開爪開状態での展開爪部2と展開爪部3の間隙9は、ピッカ51が通過するに十分な幅に設定されている。また、図13では、図11で説明した展開爪部2の各展開爪と展開爪部3の各展開爪とが、Z方向から見て重なり合っている。以下、図12の状態を展開爪開状態と呼び、図13の状態を展開爪閉状態と呼ぶ。
次に、展開爪部2と展開爪部3とにおける前記展開爪61から76の構成について説明する。図14の斜視図に、展開爪61の構成を示す。図示の通り、展開爪61は、突起部61a、61b、61cが縁部61dの内周に固定されて形成されている。縁部61dは、略正方形であり、一片のみが欠損して開口部80を形成している。突起部61cは、開口部80と対向するように形成されている。突起部61aおよび61bは、他の2辺にそれぞれ形成されており、開口部80側から見て左側に突起部61aが、右側に突起部61bが形成されている。
突起部61a、61b、61cには、それぞれ凸状のピン79が備えられている。展開爪61のピン79の設置位置は、前記第1トレイ21の突起部21a、21b、21cの貫通孔45が嵌合するように設定してある。従って、展開爪61は、第1トレイ21を載置した状態で保持することができる。すなわち、展開爪61の突起部61a、61b、61cが、第1トレイ21に対応するトレイ支持部である。
なお、展開爪61に開口部80を設けたことにより、展開部閉状態でピッカ51が通過できる。また、開口部80によれば、展開爪61に第1トレイ21を載置して光学ドライブ52aのスピンドルモータ直下に移動させ、スピンドルモータに光ディスクをチャッキングする際に、展開爪61が光学ドライブ52aの各構成部品と機械的に干渉(衝突)しない。詳しくは後述する。
図15の上面図に、展開爪61から76の構造を示す。図示の通り、展開爪61は、前述のように突起部(トレイ支持部)61a、61b、61cを有する。展開爪62は、突起部(トレイ支持部)62a、62b、62cを有する。展開爪63は、突起部(トレイ支持部)63a、63b、63cを有する。展開爪64は、突起部(トレイ支持部)64a、64b、64cを有する。展開爪65は、突起部(トレイ支持部)65a、65b、65cを有する。展開爪66は、突起部(トレイ支持部)66a、66b、66cを有する。展開爪67は、突起部(トレイ支持部)67a、67b、67cを有する。展開爪68は、突起部(トレイ支持部)68a、68b、68cを有する。展開爪69は、突起部(トレイ支持部)69a、69b、69cを有する。展開爪70は、突起部(トレイ支持部)70a、70b、70cを有する。展開爪71は、突起部(トレイ支持部)71a、71b、71cを有する。展開爪72は、突起部(トレイ支持部)72a、72b、72cを有する。展開爪73は、突起部(トレイ支持部)73a、73b、73cを有する。展開爪74は、突起部(トレイ支持部)74a、74b、74cを有する。展開爪75は、突起部(トレイ支持部)75a、75b、75cを有する。展開爪76は、突起部(トレイ支持部)76a、76b、76cを有する。展開爪62から76は、展開爪61における縁部61dと同様の縁部を有し、前記各突起部の形状と凸状のピンの配置が異なる以外は、展開爪61と同様の構成を有する。
図15において、展開爪62の突起部62a、62b、62cは、それぞれ第2トレイ22の突起部22a、22b、22cの貫通孔45に嵌合するように配置されている。展開爪63の突起部63a、63b、63cは、それぞれ第3トレイ23の突起部23a、23b、23cの貫通孔45に嵌合するように配置されている。以下、展開爪63から76までにおいて、同様に、各突起部は、前記第3トレイ23から第16トレイ36までに対応するように配置されている。展開爪76における突起部76a、76b、76cは、それぞれ第16トレイ36の突起部36a、36b、36cの貫通孔45に嵌合するように配置されている。すなわち、第1トレイ21から第16トレイ36までの各トレイを支持するためのトレイ支持部が、前記各トレイ毎のトレイ操作部の位置に対応している。
また、展開爪閉状態では、展開爪部2と展開爪部3は、展開爪61の上部から見たときに、各展開爪の縁部が一致し、かつ、いずれの展開爪の突起部の凸状のピン79もが露出している(前記各トレイの厚み方向に重なり合わない)状態に位置決めしてある。そして、各展開爪は、前述のように、厚み方向(Z方向)に間隙をおいて配置されているので、各展開爪における前記突起部(トレイ支持部)も、厚み方向に間隙をおいて配置されている。さらに、前述のように、光ディスクカートリッジ20の各トレイ21から36の突起部は、光ディスクカートリッジのトレイ36側から見たときに、そのいずれもが露出している(他の何れのトレイのトレイ操作部とも厚み方向に重なり合わない)。したがって、展開爪部2と展開爪部3を用いて、トレイ21から36の16枚が積層されたトレイ積層体38(前述)を、厚み方向に展開可能である。具体的には、展開爪閉状態で貫通孔45と凸状のピン79の位置を合わせて、光ディスクカートリッジ20を展開爪61の上部から展開爪76の下部に向かって移動させる。この上下方向(Z方向)移動には、後述のように、ピッカ51のテーブル81を用いる。すると、図16の斜視図に示すように、第1トレイ21から第16トレイ36は、それぞれ、展開爪61から76上に、間隔をあけて展開した状態で保持される。このように、本発明のトレイ展開手段によれば、複数の記録再生装置に同時にディスク状の記憶媒体をロード(装填)できるように各記憶媒体の間に適切な間隙を形成させることができる。
次に、ピッカ51について説明する。
図17の斜視図に、ピッカ51を示す。なお、同図には、説明の便宜上、ディスクローディング部1も併記している。また、同図において、ディスクローディング部1は、展開爪開状態を示している。
図示の通り、ピッカ51は、テーブル81と、ストッカ部50から光ディスクカートリッジ20をテーブル81上に出し入れする引き出し(取出し)手段82と、テーブル81をZ方向に上下させる昇降手段83を備える。
ピッカ51のテーブル81は、駆動制御回路(図示せず)により、昇降手段83を駆動することができる。これにより、ピッカ51は、展開爪開状態(図17)にあっては、展開爪部2と展開爪部3の間隙9をとおって自在に上下でき、展開爪閉状態にあっては、各展開爪の開口部80を通って自在に上下できる。
引き出し手段82は、市販されている光ディスクアーカイブやライブラリ装置にて用いられているものと同様な構成のものを用いることができるため、詳細な説明は省略する。
次に、光学ドライブ(情報記録再生装置)について説明する。
前述のように、本実施形態において、光学ドライブ列52は、光学ドライブ52aから52h、光学ドライブ列53は光学ドライブ53aから53hと、各列共に各8台の光学ドライブを備える(図1)。また、光学ドライブ列52と光学ドライブ列53とでは、それぞれ光学ドライブのZ方向の設置高さを変え、千鳥配列になるようにしてある。すなわち、前記光学ドライブ(情報記録再生装置)は、Z方向において、上から下に向かって、52a、53a、52b、53b、52c、53c、52d、53d、52e、53e、52f、53f、52g、53g、52h、53hの順番で配置されている。
より具体的には、例えば、光学ドライブ列52と53の各光学ドライブは、両列とも約57mm間隔で配列することができる。さらに、光学ドライブ52aは光学ドライブ53aよりも、例えば約28.5mm高い位置に設置することができる。
図18の斜視図に、光学ドライブ52aの構造を示す。図示の通り、光学ドライブ52aは、ドライブベース部84と、光ヘッド85と、スピンドルモータ86と、クランパ87と、スタビライザ88とを備える。光ヘッド85は、光ディスク39に対して情報の記録および再生の一方または両方を行うことができる。スピンドルモータ86は、光ディスク39を回転駆動する。クランパ87は、光ディスク39をスピンドルモータ86にチャッキングする(光ドライブに装填する)ことが可能である。スタビライザ88は、光ディスクが前述のように薄型で可撓性がある場合に、光ディスクの面振れをベルヌーイ効果により抑制する。
これらのうち、スピンドルモータ86と光ヘッド85は、ドライブベース84上に設置されている。また、ドライブベース84は、ドライブベース84がクランパ87に対して鉛直上方に位置するように、支持手段(図示せず)により、光ドライブ列(情報記録再生装置)筐体に固定されている。なお、図1、図2および図18では、便宜上、光ドライブ列筐体の図示を省略している。さらに、スピンドルモータ86の回転軸は、Z方向に一致するように設置されている。また、スタビライザ88とクランパ87の円盤部分の中心軸は、スピンドルモータの回転軸に一致するように設置してある。さらに、スタビライザ88とクランパ87のいずれも、直動モータとモータ駆動回路(図示せず)により、それぞれ独立に、Z方向に昇降可能である。
また、クランパ87のクランプ部(クランプ構造)89は、概略円盤形状をしており、その直径は、前記各トレイ21から36の有するU字状の切り欠き部41の幅より小さい。なおかつ、クランプ部89は、スタビライザ88の円盤部分の中心に設けた円形の貫通孔を通って、スピンドルモータ86にアクセス可能である。
光学ドライブ52aの設置高さは、展開爪61の設置高さに合わせてある。すなわち、第1トレイ21が展開爪61上に載置保持された時、第1トレイ上に載置した光ディスク39が、スピンドルモータ86の下端より、例えば約2mm程度下に位置するように設置されている。さらに、光学ドライブ列52において、光学ドライブ52bの設置高さは、展開爪63の設置高さに合わせてある。すなわち、光学ドライブ52b、第3トレイ23および展開爪63の位置関係が、光学ドライブ52a、第1トレイ21および展開爪61における前述の位置関係と同様となるように設置されている。光学ドライブ52c、第5トレイ25および展開爪65においても同様である。さらに、以下、光学ドライブ52d、第7トレイ27および展開爪67と、光学ドライブ52e、第7トレイ29および展開爪69と、光学ドライブ52f、第9トレイ31および展開爪71と、光学ドライブ52g、第11トレイ33および展開爪73と、光学ドライブ52h、第15トレイ25および展開爪75とにおいて同様である。光学ドライブ列53の光学ドライブ53a、53bから53hまでと、第2トレイ22、第4トレイ24、第6トレイ26、第8トレイ28、第10トレイ30、第12トレイ32、第14トレイ34、第16トレイ36と、展開爪部3における展開爪62、64から76までの位置関係についても、光学ドライブ列52と同様である。
また、光学ドライブ列52および53は、前記各光学ドライブにおけるスピンドルモータ86と、光ディスクとのX方向の位置関係を合わせて設置されている。すなわち、各スピンドルモータ86の回転軸は、展開爪開の状態で展開爪水平移動手段5により展開爪部2と展開爪部3をY方向に水平移動させたとき、前記各展開爪上に載置したトレイ21から36上に搭載してある各光ディスク39の中心の導線上に存在する。
次に、本発明の記憶媒体搬送方法について説明する。
本発明の第1の記憶媒体搬送方法は、前述の通り、
ディスク状記憶媒体を搭載した複数のトレイを、厚み方向に積重ねた状態から厚み方向に展開するトレイ展開工程と、
情報記録および情報再生の少なくとも一方を行う複数の情報記録再生装置の各々に対し、前記展開された複数のトレイの各々を搬入するトレイ搬入工程と、
前記トレイに前記ディスク状記憶媒体を搭載した状態で前記ディスク状記憶媒体を、前記情報記録再生装置に対し装填する記憶媒体装填工程とを含むことを特徴とする。すなわち、この記憶媒体搬送方法は、前記複数のトレイに搭載された前記ディスク状記憶媒体を、前記情報記録再生装置に対し装填するための方法であるということができる。
本発明の第1の記憶媒体搬送方法において、さらに、前記複数のトレイを厚み方向に積重ねた状態のトレイ積層体を複数収容可能なトレイ積層体収容部から、選択された一つの前記トレイ積層体を取出すトレイ積層体搬出工程を有することが好ましい。また、本発明の第1の記憶媒体搬送方法において、さらに、前記ディスク状記憶媒体を前記情報記録再生装置に装填した状態で、前記ディスク状記憶媒体を搭載していない前記トレイを前記情報記録再生装置から搬出するトレイ搬出工程を含むことが好ましい。
また、本発明の第2の記憶媒体搬送方法は、前述の通り、
情報記録および情報再生の少なくとも一方を行う複数の情報記録再生装置の各々に装填された複数のディスク状記憶媒体を、各々トレイに搭載された状態で前記情報記録再生装置から取出すディスク状記憶媒体取出し工程と、
前記複数のディスク状記憶媒体を搭載した前記複数のトレイの各々を、前記複数の情報記録再生装置の各々から搬出するトレイ搬出工程と、
前記複数のトレイを、厚み方向に展開した状態から厚み方向に積重ねた状態にするトレイ積層工程とを含むことを特徴とする。すなわち、この記憶媒体搬送方法は、前記情報記録再生装置に装填された前記ディスク状記憶媒体を、前記厚み方向に積み重ねた状態のトレイ(トレイ積層体)に保存するための方法であるということができる。
本発明の第2の記憶媒体搬送方法において、さらに、前記複数のトレイを厚み方向に積重ねた状態のトレイ積層体を、前記トレイ積層体を複数収容可能なトレイ積層体収容部に搬入するトレイ積層体搬入工程とを含むことが好ましい。また、本発明の第2の記憶媒体搬送方法において、さらに、前記ディスク状記憶媒体を前記情報記録再生装置に装填した状態で、前記ディスク状記憶媒体を搭載していない前記トレイを前記情報記録再生装置に搬入するトレイ搬入工程を含むことが好ましい。
本発明の第1の記憶媒体搬送方法および第2の記憶媒体搬送方法を実施するための装置は特に制限されないが、前記本発明の記憶媒体搬送装置を用いて行うことが好ましい。以下、本実施形態の記憶媒体搬送装置における、光ディスクのローディング動作(本発明の第1の記憶媒体搬送方法)について、図面を参照しながら詳述する。
図19Aから図19Gは、本実施形態の記憶媒体搬送装置(図1および2)を用いた光ディスクのローディング動作(本発明の第1の記憶媒体搬送方法)を示す部分斜視図である。ただし、これらの図では、説明の便宜上、必要に応じて前記記憶媒体搬送装置の一部のみを図示している。また、図示の簡略化および明瞭の観点から、一部の符号等の図示を省略している場合がある。
まず、光ディスクのローディング動作に先立ち、展開爪部2と3を展開爪開の状態とする。次に、図19Aに示すとおり、ピッカ51により、ストッカ部50(トレイ積層体収容部)から、ローディングすべき光ディスクカートリッジ20を選択し、ピッカ50のテーブル81上に引き出す(トレイ搬出工程)。なお、例えば、ストッカ部50(トレイ積層体収容部)がない場合は、前記トレイ搬出工程を省略し、適宜準備した光ディスクカートリッジをピッカ51のテーブル81上に載せてもよい。
次に、図19Bに示すとおり、ピッカ51は、テーブル81を展開爪部2、3の上部まで移動させる。次いで、図19Cに示すとおり、展開爪部2と3を展開爪閉の状態とする。さらに、図19Dに示すように、ピッカ51のテーブル81を、各展開爪の開口部80を通して降下させる。これにより、光ディスクカートリッジ20に積載してあった各トレイ21から36は、それぞれ相対する展開爪上に載置されて展開され、その状態で保持される(トレイ搬入工程)。
次に、図19Eに示すとおり、展開部2と3を展開爪開の状態にする。この様にする事で、光ディスクカートリッジ20上に16枚積載されていた光ディスク39を、光学ドライブ列52用の8枚と、光学ドライブ列53用の8枚に分離できる。
さらに、図19Fに示すとおり、展開爪水平移動手段5により展開爪部2と展開爪部3を光学ドライブ列方向に向けて水平(Y方向)移動させる。そして、展開爪2と展開爪3上に載置したトレイ21から36上に搭載してある各光ディスク39の中心を、光学ドライブ列52と53にそれぞれ設置してある各光学ドライブのスピンドルモータの中心軸の直下に位置決めする。ただし、いずれの光学ドライブにおいても、予め、スピンドルモータ86に対するスタビライザ88とクランパ87の間隙は約5mm程度あけておき、その間隙に機械的に余裕をもってトレイが入れるようにしておく。その後、クランパ87を上昇させて、各光ディスク39を各スピンドルモータ86にチャッキングする(記憶媒体装填工程)。
さらに、図19Gに示すとおり、後、展開爪水平移動手段5により展開爪部2と展開爪部3をストッカ50方向に向けて水平(Y方向)移動させ、展開爪部2と展開爪部3を光学ドライブ列52と53の下から図19Eで示した位置に位置決めする。これにより、光ディスク39を光学ドライブ列52および53に装填した状態で、前記第1トレイ21から第16トレイ36までの各トレイを、光学ドライブ列52および53から搬出できる(トレイ搬出工程)。すなわち、各トレイ21から36には、U字状の切り欠き部41を有しているので、クランパ87で光ディスク39をチャッキングした後であっても、各展開爪上に各トレイを載置保持したままで、展開爪部2と展開爪部3を光学ドライブ列52と53の下から引き抜くことができる。なお、本発明の記憶媒体搬送装置において、このように、前記トレイ搬送手段が、前記ディスク状記憶媒体を前記情報記録再生装置に装填した状態で、前記ディスク状記憶媒体を搭載していない前記トレイを前記情報記録再生装置に対し搬出可能であり、または逆に搬入可能であることが好ましい。ただし、前記トレイを前記情報記憶媒体ごと前記情報記録再生装置に搬入した状態のままで情報の記録または再生が可能であれば、前記トレイの搬出または搬入を行わなくても良い。
なお、光学ドライブ列52および53は、図1、2および18では、便宜上、筐体の図示を省略したが、図19Fおよび図19Gでは、筐体も含めて図示している。
以上で、各光ディスク39の各光学ドライブへのローディング動作(本発明の第1の記憶媒体搬送方法)が完了する。この後、スピンドルモータ86を回転させ、スタビライザ手段88を上昇させて光ディスク39の面振れを抑制すると、光ヘッド85で光ディスク39に対し情報の記録または再生が可能になる。
また、各光ディスク39をアンローディングする場合、すなわち、各光ディスク39を各光学ドライブから取出して光ディスクカートリッジ20内に回収する場合には、上述した図19Gから図19Cあるいは図19Gから図19Aの動作を逆の順序で行えばよい(本発明の第2の記憶媒体搬送方法)。
以上、詳述したように、本実施形態によれば、複数の光学ドライブ(情報記録再生装置)に対する複数の光ディスク(ディスク状記憶媒体)のローディング(装填)およびアンローディング(取り出し)が、少ない動作で実現できる。このため、ローディング動作およびアンローディング動作に要する時間が大幅に短縮できる。さらに、本発明は、光ディスク(ディスク状記憶媒体)を特別な構造とする必要がないので、互換性等に優れ、低コストで実施できる。
なお、前述のように、本発明は以上の説明に限定されない。例えば、数値等は、必要に応じ適宜設計変更してもよい。また、例えば、上記の説明では、展開爪2と展開爪3を左右に開閉し、2列の光学ドライブ52および53に光ディスク39を装填可能な構造とした。このようにすると、トレイ展開手段あるいはトレイ搬送手段において、より多くのトレイおよびディスク状記憶媒体を保持できるためである。しかしながら、本発明では、例えば、前記展開爪が開閉しなくても良いし、情報記録再生装置(光学ドライブ)が一列でもよい。その場合、例えば、ピッカが、2列の展開爪および情報記録再生装置の間を通る構造に代えて、1列の展開爪および情報記録再生装置の横を通る構造としても良い。
また、本発明の記憶媒体搬送装置における前記トレイ搬送手段は、例えば、前記複数のトレイを前記複数の情報記録再生装置に搬入する場合と搬出する場合とでは、別途の機構を用いるようにしても良いが、前述のように同じ機構を用いることが簡便で好ましい。同様に、前記トレイ搬送手段は、例えば、前記ディスク状記憶媒体を、前記情報記録再生装置に対し装填する場合と取出す場合とでは、別途の機構を用いるようにしても良いが、前述のように同じ機構を用いることが簡便で好ましい。
以下、本実施形態における前記トレイおよびトレイ展開手段等の変形例について説明する。
図20は、ディスク状の記憶媒体の一種である光ディスク100’(同図においては、図示せず)を搭載するためのトレイを厚み方向に9枚積層してトレイ積層体101’を構成した場合を例にとって、各トレイの構成の概略について示した平面図である。このトレイ積層体101’では、積層された状態で最上層に位置するトレイを第1トレイ11’と称し、その下のトレイを第2トレイ12’、以下同様にして、第3トレイ13’、第4トレイ14’、第5トレイ15’、第6トレイ16’、第7トレイ17’、第8トレイ18’、第9トレイ19’と称している。ただし、図20では第3トレイ13’から第8トレイ18’に関しては図示を省略している。
第1トレイ11’から第9トレイ19’の基本構造は同様であるので、ここでは、図21に示される第1トレイ11’を例にとって、第1トレイ11’から第9トレイ19’に共通する構成について説明する。
第1トレイ11’から第9トレイ19’は何れも略矩形状の外形を有し、その中央部には、例えば図21に示されるようにして、光ディスク100’(同図においては、図示せず)を収納するための略円形状の凹部40’が形成されている。凹部40’の内径は光ディスク100’の外径よりも若干大きめであり、また、凹部40’の深さは光ディスク100’の厚みよりも若干深めである。本発明に用いるトレイは、例えば、前述の第1トレイ21から第16トレイ36のように略円形でも良いが、この第1トレイ11’から第9トレイ19’のように略矩形でもよい。また、第1トレイ11’から第9トレイ19’において、前記凹部40’の中心部には、貫通孔400’(クランプ構造貫通部)が設けられている。前述のように、クランプ構造貫通部が、トレイの中心部から外周部まで達する切り欠き部であれば、前記ディスク状記憶媒体を前記情報記録再生装置に装填した状態で、前記ディスク状媒体を搭載していない前記トレイを引き抜く(搬出)か、または逆に搬入できる。具体的には、例えば、前述の第1トレイ21から第16トレイ36(図3から8)におけるU字状の切り欠き部41について説明したとおりである。しかし、前述のように、前記トレイを前記情報記憶媒体ごと前記情報記録再生装置に搬入した状態のままで情報の記録または再生が可能であっても良い。この場合、例えば、前記第1トレイ11’から第9トレイ19’のように、前記クランプ構造貫通部が、前記トレイの中心部に設けられた貫通孔であっても良い。
第1トレイ11’は、相対する2辺すなわち図21に示される左辺と右辺のうち、左辺の2箇所にトレイ操作部を構成する突起部11a’を2つ備え、また、右辺の2箇所にもトレイ操作部を構成する突起部11b’を2つ備える。
最上層に位置する第1トレイ11’の相対する2辺のうちの一方の辺すなわち図21に示される左辺の側では、前記2つの突起部11a’が微小な間隔δを空けて辺の略中央部に形成されている。一方、相対する2辺のうちの他方の辺すなわち図21に示される右辺の側では、前記2つの突起部11b’が辺の両端部に形成されている。
最上層から数えて2番目の位置に位置する第2トレイ12’の構成も基本的には第1トレイ11’の構成と同様であるが、以下の点で第1トレイ11’と異なる。すなわち、第2トレイ12’は、図22に示されるように、相対する2辺のうちの一方の辺すなわち図22に示される左辺の側の2つの突起部12a’が、第1トレイ11’の左辺の側の前記2つの突起部11a’と比べて微小な間隔δの分だけ此の辺の方向に沿って外側にずらされている。さらに、相対する2辺のうちの他方の辺すなわち図22に示される右辺の側の2つの突起部12b’が、第1トレイ11’の右辺の側の前記2つの突起部11b’と比べて微小な間隔δの分だけ此の辺の方向に沿って内側にずらされている。
以下、これと同様、2≦n≦9の自然数で表される第(n−1)トレイと第nトレイとの関係において、第nトレイの左辺の各々の突起部は、第(n−1)トレイの左辺の各々の突起部の位置からδだけ此の辺に沿って外側にずらされた位置に設けられ、また、第nトレイの右辺の各々の突起部は、第(n−1)トレイの右辺の各々の突起部の位置からδだけ此の辺に沿って内側にずらされた位置に設けられている。
すなわち、第1トレイ11’から第9トレイ19’において、相対する2辺のうちの一方の辺(左辺)では、各突起部間の離間距離が最上層側から数えるトレイの積層順に従って順に増大する。一方、相対する2辺のうちの他方の辺(右辺)では、各突起部間の離間距離が最上層側から数えるトレイの積層順に従って順に減少する。最終的に、最下層に位置する第9トレイ19’においては、相対する2辺のうちの一方の辺すなわち図20に示される第9トレイ19’の左辺の側で、2つの突起部19a’が辺の両端部に形成される。一方、相対する2辺のうちの他方の辺すなわち図20に示される第9トレイ19’の右辺の側では、微小な間隔δを空けて辺の略中央部に2つの突起部19b’が形成されることになる。
このようにして、第1トレイ11’から第9トレイ19’において、相対する2辺のうちの一方の辺(左辺)では各突起部間の離間距離がトレイの積層順に従って順に2×δの刻みで増大する。一方、相対する2辺のうちの他方の辺(右辺)では各突起部間の離間距離がトレイの積層順に従って順に2×δの刻みで減少する。その結果、一方の辺(左辺)に位置する2つの突起部間の離間距離と他方の辺(右辺)に位置する2つの突起部間の離間距離との和は、常に、一方の辺の長さ(他方の辺の長さでも同じ)と略一致することになる。
本発明に用いるトレイでは、このように、一方の辺(左辺)に位置する2つの突起部間の離間距離と他方の辺(右辺)に位置する2つの突起部間の離間距離との和が、一方の辺の長さ(他方の辺の長さでも同じ)と略一致していても良い。また、最上層に位置するトレイの一方の辺(左辺)の2つの突起部が此の辺の略中央部に位置すると共に、最上層に位置するトレイの他方の辺(右辺)の2つの突起部が此の辺の両端部に位置していても良い。さらに、最下層に位置するトレイの一方の辺(左辺)の2つの突起部が此の辺の両端部に位置すると共に、最下層に位置するトレイの他方の辺(右辺)の2つの突起部が此の辺の略中央部に位置していても良い。各トレイにおける突起部の形成位置は、最上層のトレイから最下層のトレイにかけて一定の刻み、例えば、前述のδで変化していても良い。
積層するトレイの枚数が少なければδの値と突起部の幅は相対的に大きくすることが可能であり、また、積層するトレイの枚数が多くなればδの値と突起部の幅を相対的に小さくする必要が生じる。すなわち、前記第1トレイ11’から第9トレイ19’は間隔δを突起部の幅に略一致させているが、少数のトレイを積層する場合にあっては間隔δを広くしてもよい。あるいは、さらに多数のトレイを積層する場合にあっては、積層方向で直近するトレイ同士つまり第(n−1)トレイと第nトレイの突起部が完全に重ならない範囲で、間隔δを突起部の幅に比べて多少小さくしても構わない。
図23の斜視図に、前記第1トレイ11’から第9トレイ19’を積載して格納あるいは搬送するためのするためのトレイベース20’を示す。図示のとおり、トレイベース20’の中心部には、前記第1トレイ11’から第9トレイ19'を積載するためのトレイ載置部43’が設けられている。トレイ載置部43’の両側の枠部には、内側に向けて突出する半円弧状の嵌合突起が形成されている。この嵌合突起が第1トレイ11’から第9トレイ19’の両側の半円弧状の嵌合凹部に係合することで、トレイベース20’に対する第1トレイ11’から第9トレイ19’の位置ずれが防止されるようになっている。
前記第1トレイ11’から第9トレイ19’は、図24に示されるようにして順番に上から下に厚み方向に積層して重ね合わせられ、トレイ積層体101’が形成される。このトレイ積層体101’は、前記トレイベース20上のトレイ載置部43’に収納される。なお、図24では、図示の明瞭の観点から、トレイ積層体101’は、第1トレイ11’から第9トレイ19’を厚み方向に展開した状態で示している。また、図示のように、第1トレイ11’は2つの突起部11a’および2つの突起部11b’を有する。第2トレイ12’は2つの突起部12a’および2つの突起部12b’を有する。第3トレイ13’は2つの突起部13a’および2つの突起部13b’を有する。第4トレイ14’は2つの突起部14a’および2つの突起部14b’を有する。第5トレイ15’は2つの突起部15a’および2つの突起部15b’を有する。第6トレイ16’は2つの突起部16a’および2つの突起部16b’を有する。第7トレイ17’は2つの突起部17a’および2つの突起部17b’を有する。第8トレイ18’は2つの突起部18a’および2つの突起部18b’を有する。第9トレイ19’は2つの突起部19a’および2つの突起部19b’を有する。各突起部の位置関係については前述の通りである。
また、トレイベース20’におけるトレイ載置部43’の幅は、図21に示したトレイの幅W以下の寸法で形成される。Wは、図示の通り、トレイ左辺の2つの突起部(同図では11a’)にそれぞれ設けられた貫通孔42’を結ぶ直線と、トレイ右辺の2つの突起部(同図では11b’)に同じく設けられた貫通孔42’を結ぶ直線との距離である。同図は第1トレイ11’について示しているが、第2トレイ12’から第9トレイ19’におけるWも同様である。これにより、第1トレイ11’から第9トレイ19’を厚み方向に積層してトレイ載置部43’上に収納した状態で、第1トレイ11’から第9トレイ19’の突起部11a’から19a’および11b’から19b’が全てトレイベース20’の外側に突出する。例えば図25の斜視図および図27の平面図に示すとおりである。なお、図25および図27に示すとおり、トレイベース20’は、その上に積層された第1トレイ11’から第9トレイ19’(トレイ積層体101’)とともに光ディスクカートリッジ(光ディスク搬送体)41’を形成する。
本発明に用いるトレイセットにおいて、前述のように、一方の辺(左辺)に位置する2つの突起部間の離間距離と他方の辺(右辺)に位置する2つの突起部間の離間距離との和が一方の辺の長さ(他方の辺の長さでも同じ)と略一致することが好ましい。さらに、より望ましくは、この条件に加え、少なくとも最上層もしくは最下層に位置する何れかのトレイの一方の辺(左辺)の2つの突起部が此の辺の略中央部に位置すると共に、該トレイの他方の辺(右辺)の2つの突起部が此の辺の両端部に位置する。これらの条件に従えば、図24に示されるように、4つの突起部を頂点として形成される各トレイ毎の台形状あるいは矩形状の仮想面の内部に各トレイの重心が位置することになる。これにより、各トレイに設けられた都合4つの突起部を下方から支えるようにすることで、何れのトレイも安定的に保持することが可能である。
前述の条件に従って構成された第1トレイ11’から第9トレイ19’では、4つの突起部を頂点として形成される各トレイ毎の台形状あるいは矩形状の仮想面の内部に各トレイの重心が位置する。しかも、4つの突起部を頂点として形成される各トレイ毎の台形状あるいは矩形状の仮想面の面積が十分に大きい。これにより、突起部の幅および突起部のずらし量を特に小さくしなくても十分な枚数たとえば9枚以上のトレイを積層して重ね合わせることができる。しかも、図25に示す通り、全てのトレイを積層した状態にあっても何れかのトレイの突起部が他の何れかのトレイと厚み方向に重なり合うといった問題は全く発生しない。
図26に、第1トレイ11’から第9トレイ19’の全てを積層して構成されるトレイ積層体101’を積層方向に沿って下面側から見た状態を示す。図示のように、各トレイの突起部11a’から19a’および11b’から19b’は、他の何れのトレイの突起部ともトレイの厚み方向すなわちトレイの積層方向から見て重なり合うことがない。これは、前記各突起部11a’から19a’および11b’から19b’が、前述の位置関係を有しているためである。また、全ての突起部11a’から19a’および11b’から19b’には、図26および図21等に示す、各トレイの位置決めや安定保持のために利用される貫通孔42’が一様に穿設されている。
次に、第1トレイ11’から第9トレイ19’により形成されるトレイ積層体101’を厚み方向に展開するための展開部(トレイ展開手段)について説明する。
図28は展開部(トレイ展開手段)50’を上方から見た平面図である。また、図29は図28の矢視Aから示した展開部50’の側面図である。図示の通り、展開部50’は、テーブル2’(トレイ振分用昇降テーブル2’)を備える。テーブル2’は、ブラケット3’を介して垂直アクチュエータ4’に取り付けられている。垂直アクチュエータ4’は、テーブル2’をトレイの厚み方向すなわち図28における紙面垂直方向(図29中の上下方向)に移動させるための駆動源である。その基部は、図29に示されるようにしてL字型のステーを介してベースプレート5’に固定されている。展開部50’は、さらに、トレイ振分保持部として機能するフレーム6a’および6b’が、一定の間隔を置いて配置されている。図28および29に示されるように、フレーム6a’(図28下側、図29左側)の内側面には、突起ベース31a’、突起ベース32a’、突起ベース33a’、突起ベース34a’、突起ベース35a’、突起ベース36a’、突起ベース37a’、突起ベース38a’、突起ベース39a’が、上から下にこの順番で一定の間隔をおいて固定されている。同様に、フレーム6b’(図28上側、図29右側)の内側面には、突起ベース31b’、突起ベース32b’、突起ベース33b’、突起ベース34b’、突起ベース35b’、突起ベース36b’、突起ベース37b’、突起ベース38b’、突起ベース39b’が、上から下にこの順番で一定の間隔をおいて固定されている。突起ベース31a’はフレーム6a’の内側面の上端部近傍位置に取り付けられ、突起ベース31b’はフレーム6b’の内側面の上端部近傍位置に取り付けられている。また、後述のように、前記各突起ベースには、突起状の支持部(トレイ支持部)21a’から29a’および21b’から29b’が一体的に取り付けられている。この突起状の支持部(トレイ支持部)21a’から29a’および21b’から29b’は、トレイ積層体101’を構成する第1トレイ11’から第9トレイ19’の突起部11a’から19a’および11b’から19b’を支持する機能を有する。
突起ベース31a’から39a’および31b’から39b’の基本構造は同様である。以下、図20に示した第1トレイ11’に対応する突起ベース31a’および31b’と、第2トレイ12’に対応する突起ベース32a’および32b’と、第9トレイ19’に対応する突起ベース39a’および39b’を例にとって詳細な構成を図30に示す。
図30に示すとおり、突起ベース31a’は、最上層に積層される第1トレイ11’の2つの突起部11a’に対応する支持部(突起)21a’を2つ備える。また、突起ベース31b’は、第1トレイ11’の2つの突起部11b’に対応する支持部(突起)21b’を2つ備える。
突起ベース31a’における2つの支持部21a’間の間隔は第1トレイ11’における2つの突起部11a’の間隔と等しい。また、突起ベース31b’における2つの支持部21b’間の間隔は第1トレイ11’における2つの突起部11b’間の間隔と等しい。
また、突起ベース31a’の2つの支持部21a’には、第1トレイ11’の2つの突起部11a’に各々穿設された貫通孔42’に突入して嵌合する位置決めピン44’が垂直に立設されている。これと同様にして、突起ベース31b’の2つの支持部21b’にも、第1トレイ11’の2つの突起部11b’の貫通孔42’に突入して嵌合する位置決めピン44’が垂直に立設されている。
突起ベース31a’は、図29に示したとおり、トレイ振分保持部の一部を構成するフレーム6a’の内側面の上端部近傍位置に水平に取り付けられている。また、突起ベース31b’は、トレイ振分保持部の一部を構成するフレーム6b’の内側面の上端部近傍位置すなわち突起ベース31a’と同等の高さに水平に取り付けられている。
突起ベース32a’から39a’および32b’から39b’の構造も上述した突起ベース31a’および31b’の構造と基本的に同様である。すなわち、図30に示すとおり、突起ベース32a’は第2トレイ12’の2つの突起部12a’に対応する2つの支持部22a’を備える。突起ベース32b’は第2トレイ12’の2つの突起部12b’に対応する2つの支持部22b’を備える。突起ベース33a’は第3トレイ13’の2つの突起部13a’に対応する2つの支持部23a’を備える。突起ベース33b’は第3トレイ13’の2つの突起部13b’に対応する2つの支持部23b’を備える。突起ベース34a’は第4トレイ14’の2つの突起部14a’に対応する2つの支持部24a’を備える。突起ベース34b’は第4トレイ14’の2つの突起部14b’に対応する2つの支持部24b’を備える。突起ベース35a’は第5トレイ15’の2つの突起部15a’に対応する2つの支持部25a’を備える。突起ベース35b’は第5トレイ15’の2つの突起部15b’に対応する2つの支持部25b’を備える。突起ベース36a’は第6トレイ16’の2つの突起部16a’に対応する2つの支持部26a’を備える。突起ベース36b’は第6トレイ16’の2つの突起部16b’に対応する2つの支持部26b’を備える。突起ベース37a’は第7トレイ17’の2つの突起部17a’に対応する2つの支持部27a’を備える。突起ベース37b’は第7トレイ17’の2つの突起部17b’に対応する2つの支持部27b’を備える。突起ベース38a’は第8トレイ18’の2つの突起部18a’に対応する2つの支持部28a’を備える。突起ベース38b’は第2トレイ18’の2つの突起部18b’に対応する2つの支持部28b’を備える。突起ベース39a’は第2トレイ19’の2つの突起部19a’に対応する2つの支持部29a’を備える。突起ベース39b’は第2トレイ19’の2つの突起部19b’に対応する2つの支持部29b’を備える。なお、図30において、突起ベース33a’から38a’までと、突起ベース33b’から38b’までは、図示を省略している。
図31に、突起ベース31a’と突起ベース31b’の取り付け位置の対応関係を示す。図示の通り、突起ベース31a’の支持部21a’に設けられた位置決めピン44’と突起ベース31b’の支持部21b’に設けられた位置決めピン44’との離間距離Lは、第1トレイ11’の突起部11a’に穿設された貫通孔42’と第1トレイ11’の突起部11b’に穿設された貫通孔42’の離間距離すなわち図21に示される寸法Wと一致する。Lは、ベースプレート5’に対するフレーム6a’および6b’の取り付け位置により調整可能である。なお、フレーム6a’および6b’はベースプレート5’に対して垂直である。
フレーム6a’および6b’に対する突起ベース31a’から39a’および31b’から39b’の取り付け状態は図29に示したとおりである。すなわち、前述の通り、突起ベース31a’および31b’がフレーム6a’および6b’の内側面の上端部近傍位置に取り付けられ、その下に、突起ベース32a’から39a’および32b’から39b’が順を追って取り付けられている。
上下に隣接する突起ベースの取り付け間隔は、この展開部(トレイ展開手段)50’に対応する光ドライブ列(情報記録再生装置の集合体)における各光ドライブ(情報記録再生装置)の上下方向の間隔(配設ピッチ)と同等である。光ドライブ列は特に図示しないが、各光ドライブの数および間隔が、展開部50’に対応している以外は、前述の光ドライブ列52または53と同様で良い。
以上の通り、トレイ振分保持部として機能するフレーム6a’および6b’には、第1トレイ11’から第9トレイ19’の各々を支持するための支持部21a’から29a’および21b’から29b’が取り付けられている。支持部21a’から29a’および21b’から29b’は、第1トレイ11’から第9トレイ19’の突起部11a’から19a’および11b’から19b’の位置に水平面内において対応する。さらに、支持部21a’から29a’および21b’から29b’は、トレイの厚み方向すなわち積層方向である上下の方向で重なり合わないように取り付けられている。かつ、支持部21a’から29a’および21b’から29b’は、予め決められた大きさの間隙すなわち情報記録再生装置の上下方向の配設ピッチに相当する間隔をおいて取り付けられている。
図32に、第1トレイ11’から第9トレイ19’の突起部11a’から19a’および11b’から19b’と、第1トレイ11’から第9トレイ19’の各々を支持するための支持部21a’から29a’および21b’から29b’と、突起ベース31a’から39a’および31b’から39b’との対応関係を示す。
但し、図32中では第3トレイ13’から第8トレイ18’と、突起ベース33a’から38a’および33b’から38b’とに関しては図示を省略している。
また、実際には、前述の通り、2つの突起部11a’と2つの支持部21a’は、トレイの厚み方向すなわち積層方向である上下の方向で重なり合う。2つの突起部11b’と2つの支持部21b’は、トレイの厚み方向すなわち積層方向である上下の方向で重なり合う。同様に、2つの突起部12a’と2つの支持部22a’は、トレイの厚み方向すなわち積層方向である上下の方向で重なり合う。2つの突起部12b’と2つの支持部22b’は、トレイの厚み方向すなわち積層方向である上下の方向で重なり合う。以下、突起部13a’および支持部23a’から突起部19a’および支持部29a’までにおいて同様である。突起部13b’および支持部23b’から突起部19b’および支持部29b’までにおいても同様である。しかし、図32では、前記各突起部と支持部との対応関係を明確に図示するため、突起ベース31a’から39a’を第1トレイ11’から第9トレイ19’に対して左側にオフセットすると共に、突起ベース31b’から39b’を第1トレイ11’から第9トレイ19’に対して右側にオフセットしている。
図32に示すとおり、前記各支持部の幅は、対応する突起部と隣接する他の突起部との干渉(衝突)を避けるため、前記各突起部の幅に比べて僅かに狭い幅で形成されている。例えば、2つの支持部21a’間の幅は、第1トレイ11’の2つの突起部11a’間の幅や、此れに隣接する第2トレイ12’の2つの突起部12a’間の幅よりも僅かに狭い。これにより、第2トレイ12’の2つの突起部12a’は、2つの支持部21a’に干渉(衝突)することなく、支持部21a’を跨ぐようにして上下方向すなわち図32の紙面垂直方向に移動することが可能である。したがって、2つの支持部21a’との干渉によって支えられるのは、第1トレイ11’の2つの突起部11a’のみに制限される。
前述したトレイ側の各突起部の場合と同様、支持部21a’から29a’および21b’から29b’の各々は、他の何れの支持部とも、トレイの厚み方向すなわち図32(あるいは図28)の紙面垂直方向から見て重なり合うことがない。
なお、第1トレイ11’の突起部11a’や第9トレイ19’の突起部19b’(図20参照)、および、突起ベース31a’の支持部21a’や突起ベース39b’の支持部29b’(図32参照)は、2つに分けて形成している。しかし、例えば、これらが実質的に一体であっても構わない。その場合、例えば、第1トレイ11’の突起部すなわちトレイ操作部は、相対する2辺のうちの一方の辺(左辺)に1箇所、相対する2辺のうちの他方の辺(右辺)に2箇所、これらを合計して都合3箇所に設けられることになる。
トレイ振分用昇降テーブルとして機能するテーブル2’は、展開部(トレイ展開手段)50’の初期状態においては、図29に示されるように、最上部に位置する突起ベース31a’および31b’よりも上方の待機位置に位置する。但し、ここでいう待機位置とはストッカ(トレイ積層体収容部)からトレイベース20’と共に取り出した積層状態の光ディスクを展開するときの展開操作用待機位置である。情報記録再生装置にマウントされていた光ディスクを回収して改めて積層化するときの待機位置すなわち回収操作用待機位置(図36参照、後述)とは異なる。
次に、図33から36を参照しながら、前記展開部(トレイ展開手段)50’を用いたトレイ展開方法について説明する。なお、図33から36では、各トレイに搭載された光ディスク100’は、図示を省略している。また、各部の構成を明確に図示する必要上、図34から図36では、フレーム6a’および6b’の背景に相当する収納部45’の記載を省略している。
まず、初期状態にあっては、既に述べた通り、トレイ振分用昇降テーブルとして機能するテーブル2’は、図29に示されるような展開操作用待機位置すなわち突起ベース31a’および31b’よりも上方の待機位置に位置している。
次に、トレイ積層体101’を厚み方向に展開するに先立ち、図33に示すように、トレイ積層体101’を収納部(トレイ積層体収容部)45’のストッカ1’から取り出す。この方法は特に制限されないが、例えば以下の通りである。すなわち、まず、収納部45’に配備されたピッカ(図示せず)を作動させる。このピッカにより、展開対象として選択された光ディスク搬送体(光ディスクカートリッジ)41’、すなわち、選択されたトレイ積層体101’と当該トレイ積層体101’を収納したトレイベース20’をストッカ1’から取り出す。そして、光ディスク搬送体(光ディスクカートリッジ)41’を、図示のように展開部50’のテーブル2’の上に載置した後、前記ピッカを待機位置に戻す。なお、収納部(トレイ積層体収容部)45’は、同図では、トレイの形状に合わせた略四角柱状のストッカ1’が並列に集合した形態をしているが、これに限定されない。
次に、垂直アクチュエータ4’を駆動し、トレイ振分保持部として機能するフレーム6a’および6b’に沿って、トレイ積層体101’とトレイベース20’からなる光ディスク搬送体41’を載せたテーブル2’を下降させる。
トレイベース20’を介してトレイ積層体101’を下から支えるテーブル2’の下降動作に伴い、以下のことが起こる。すなわち、まず、前記支持部21a’および21b’の上面に、トレイ積層体101’の最上層に位置する第1トレイ11’の突起部11a’および11b’の下面が当接する。これにより、第1トレイ11’が、図34に示されるようにして突起ベース31a’および31b’の位置に保持される。この際、第1トレイ11’の突起部11a’および11b’の貫通孔42’に支持部21a’および21b’の位置決めピン44’が嵌合し、第1トレイ11’の位置ずれを防ぐ。なお、支持部21a’および21b’は、前述のように、突起ベース31a’および31b’に備えられており、突起ベース31a’および31b’は、トレイ振分保持部として機能するフレーム6a’および6b’に固定されている。
支持部21a’および21b’と当接する突起部を持つトレイは、前述の通り第1トレイ11’のみである。したがって、テーブル2’がさらに降下すると、第1トレイ11’を突起ベース31a’および31b’の位置に残したまま、他のトレイすなわち第2トレイ12’から第9トレイ19’がテーブル2’およびトレイベース20’と共に下降する。
そして、テーブル2’がさらに下降すると突起ベース32a’および32b’の支持部22a’および22b’の上面に第2トレイ12’の突起部12a’および12b’が当接する。これにより、第2トレイ12’が図35に示されるようにして突起ベース32a’および32b’の位置で保持される。このとき、第2トレイ12’の突起部12a’および12b’の貫通孔42’に支持部22a’および22b’の位置決めピン44’が嵌合し、第2トレイ12’の位置ずれを防ぐ。
支持部22a’および22b’と当接する突起部を持つトレイは第2トレイ12’のみであるから、テーブル2’がさらに降下すると、第2トレイ12’を突起ベース32a’および32b’の位置に残したまま、他のトレイすなわち第3’トレイ13’から第9トレイ19’がテーブル2’およびトレイベース20’と共に下降する。
以下、テーブル2’の下降に従い、前記と同様にして、第3トレイ13’が突起ベース33a’および33b’の位置で保持され、第4トレイ14’が突起ベース34a’および34b’の位置で保持され、第5トレイ15’が突起ベース35a’および35b’の位置で保持され、第6トレイ16’が突起ベース36a’および36b’の位置で保持され、第7トレイ17’が突起ベース37a’および37b’の位置で保持され、第8トレイ18’が突起ベース38a’および38b’の位置で保持され、第9トレイ19’が突起ベース39a’および39b’の位置で保持される。最終的に、空のトレイベース20’のみを搭載したテーブル2’が、突起ベース39a’および39b’の下方まで下降して回収操作用待機位置に停止する。このようにして、トレイ積層体101’を形成する第1トレイ11’から第9トレイ19’を、厚み方向に積重ねた状態(積層状態)から厚み方向に展開することができる。図36に、トレイ積層体101’を構成する第1トレイ11’から第9トレイ19’が全て展開されてトレイ振分保持部として機能するフレーム6a’および6b’に保持された状態を示す。
なお、展開した第1トレイ11’から第9トレイ19’を再び積層させるためには、以上の動作を逆に行えばよい。すなわち、まず、垂直アクチュエータ4’を駆動し、トレイ振分保持部として機能するフレーム6a’および6b’に沿って、トレイベース20’のみを載せたテーブル2’を上昇させる。テーブル2’の上昇開始時点におけるフレーム6a’および6b’の周辺の状況は図36の状態と同じである。
テーブル2’の上昇に伴い、まず、第9トレイ19’の下面がテーブル2’上のトレイベース20’に当接して持ち上げられる。これにより、第9トレイ19’の突起部19a’および19b’が、突起ベース39a’および39b’の支持部29a’および29b’における位置決めピン44’から上方に離脱する。そして、第9トレイ19’がテーブル2’およびトレイベース20’と共に上昇を開始する。
テーブル2がさらに上昇すると、第8’トレイ18’の下面がトレイベース20’上の第9トレイ19’の上面に当接して持ち上げられる。これにより、第8トレイ18’の突起18a’および18b’が、突起ベース38a’および38b’の支持部28a’および28b’における位置決めピン44’から上方に離脱する。そして、第8トレイ18’がテーブル2’およびトレイベース20’や第9トレイ19’と共に上昇を開始する。
以下、テーブル2’の上昇に従い、前記と同様にして、第7トレイ17’が第8トレイ18’に重なるようにして回収され、第6トレイ16’が第7トレイ17’に重なるようにして回収され、さらに、第5トレイ15’から第1トレイ11’までが順次同様に回収される。最終的には、第1トレイ11’が第2トレイ12’に重なるようにして回収され、第1トレイ11’から第9トレイ19’の全てがトレイベース20’上に積層して積み重ねられる。
そして、第1トレイ11’から第9トレイ19’からなるトレイ積層体101’とトレイベース20’、すなわち、光ディスク搬送体41’を載せたテーブル2’は、突起ベース31a’および31b’の上方まで上昇した後、前述の展開操作用待機位置で停止する。このときの状況は図33の状態と同じである。このようにして、厚み方向に展開させた第1トレイ11’から第9トレイ19’(トレイセット)を再度積層させることができる。その後、ピッカ(図示せず)を作動させて光ディスク搬送体41’をストッカ1’の収納場所に戻す。
以上、トレイおよびトレイ展開手段の変形例として、略矩形状のトレイの外周部から外側に向けて突起部を突出させるかたちでトレイ操作部を形成した形態について説明した。なお、前記トレイ展開手段50’は、前記ディスクローディング部1と同様に、トレイ搬送手段としての機能を有することが好ましい。このために、前記トレイ展開手段50’が水平移動可能であることが好ましい。
さらに別の変形例として、略矩形状のトレイの外周部にステップ状の切り欠きを設けることでトレイ操作部を形成することもできる。以下、切り欠きを利用してトレイ操作部を形成したトレイ積層体と、この当該トレイ積層体に対応して構成されたトレイ展開手段について一例をあげて簡単に説明する。
前述した略矩形状の第1トレイ11’から第9トレイ19’を用いた形態との相違は、各トレイにおけるトレイ操作部の形状と、トレイ操作部に対応する突起ベースの形状、および、突起ベースに設けられる支持部の形状のみである。したがって、トレイ展開手段の全体的な構成に関する説明は省略し、ここでは、トレイ自体の構造およびトレイ振分保持部として機能するフレーム6a’、6b’の周辺構造についてのみ説明する。
図37の平面図に、前述した第1トレイ11’から第9トレイ19’に代わる第1トレイ71’から第9トレイ79’の形状を示す。併せて、前述した突起ベース31a’から39a’および31b’から39b’に代わる突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’の形状についても示す。突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’には、前述の支持部21a’から29a’および21b’から29b’に代わる支持部81a’から89a’および81b’から89b’が設けられている。
なお、図37においても、前述の図32の場合と同様、突起ベース91a’から99a’を第1トレイ71’から第9トレイ79’に対して左側にオフセットし、突起ベース91b’から99b’を第1トレイ71’から第9トレイ79’に対して右側にオフセットしてトレイ操作部と支持部との対応関係を示している。
図37に示されるように、第1トレイ71’から第9トレイ79’の四隅には階段状の切り欠きが設けられ、各トレイ毎にその形状が異なっている。また、各トレイの中心部には、前記第1トレイ11’から第9トレイ19’と同様に、各々、貫通孔(クランプ構造貫通部)700’が設けられている。
また、トレイ71’から79’を夫々に単独で見ると、その各々について階段状の切り欠きは左右対称かつ上下対称である。
図37中で各トレイの左右に位置する部材は、トレイ振分保持部として機能するフレーム6a’および6b’の内側面(図41参照)に設置された突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’である。突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’は、夫々のトレイ71’から79’の階段状の切り欠きに対応する位置に支持部81a’から89a’および81b’から89b’を備える。
支持部81a’から89a’および81b’から89b’の幅は、各トレイ71’から79’における階段状の切り欠きの段幅よりも若干狭い幅で形成されている。
図38は、第1トレイ71’から第9トレイ79’を積層して構成されるトレイ積層体103’を下面側から示した下面図である。図39はトレイ積層体103’を斜め下方から示した斜視図である。そして、図40は、図38の第1トレイ71’から第9トレイ79’に形成された階段状の切り欠き部を拡大して示した斜視図である。
トレイは下から第9’トレイ79’、第8’トレイ78’、第7’トレイ77’、第6’トレイ76’、第5’トレイ75’、第4’トレイ74’、第3’トレイ73’、第2’トレイ72’、第1’トレイ71’の順に積層されている。
図38から図40に示すように、トレイ積層体103’を下面側から見ると、各々のトレイが他のトレイから遮蔽されない露出部(階段状の突起部)を有する。この露出部が各トレイ毎のトレイ操作部である。
図41は展開部の主要部を示す斜視図である。すなわち、同図は、フレーム6a’および6b’によって構成されるトレイ振分保持部の構成を示す。さらに、同図は、フレーム6a’および6b’に固設された突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’によって下方から保持された第1トレイ71’から第9トレイ79’の展開状態を示す。より具体的には、第1トレイ71’から第9トレイ79’は、突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’に設けられた支持部81a’から89a’および81b’から89b’によって下方から保持されている。ただし、支持部81a’から89a’および81b’から89b’は、図示の簡潔のため、同図においては符号の表示を省略している。
フレーム6a’および6b’は、前述した形態と同様、ベースプレート5’に垂直に取り付けられている。フレーム6a’および6b’の内側面には、突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’が特定の間隔、すなわち、情報記録再生装置の配設ピッチと同じ間隔で取り付けられている。
図42は突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’を取り付けたフレーム6a’および6b’を上方から示した平面図である。図示のように、支持部81a’から89a’および81b’から89b’すなわち各トレイと当接する部分は、トレイの積層方向と逆方向すなわち第1トレイ71’が最上部となる方向から見て互いに重なり合うことなく露出している。なお、図37から40および42に示すとおり、支持部81a’から89a’および81b’から89b’は、突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’における突起の先端に設けられている。本形態では、突起ベース91a’から99a’および91b’から99b’における前記突起の間隔が異なるのみならず、長さも適宜異なっている。これに対応して、前記各トレイにおける階段状の切り欠きの深さも異なる。このような設計により、支持部81a’から89a’および81b’から89b’が、トレイ71’からトレイ79’において、それぞれの支持部に対応する所定のトレイのトレイ操作部のみと干渉(衝突)することが可能である。
図37から図42に示した構成を適用したトレイ展開手段においても、前述と同様にして第1トレイ71’から第9トレイ79’からなるトレイ積層体を展開することができる。すなわち、積層状態にある第1トレイ71’から第9トレイ79’すなわちトレイ積層体103’をテーブル2’上に搭載し、トレイ振分保持部すなわちフレーム6a’および6b’の上部から下方に向けて移動させれば良い。
図43はトレイ振分保持部の最上部に位置する突起ベース91a’から91b’の支持部81a’から81b’を基準として、第1トレイ71’から第9トレイ79’の各トレイ操作部における干渉(衝突)の有無を示した説明図である。図44は、トレイ振分保持部の最上部から2番の位置に位置する突起ベース92a’および92b’の支持部82a’および82b’を基準として、第2トレイ72’から第9トレイ79’の各トレイ操作部における干渉の有無を示した説明図である。図45は、トレイ振分保持部の最上部から3番の位置に位置する突起ベース93a’および93b’の支持部83a’および83b’を基準として、第3トレイ73’から第9トレイ79’の各トレイ操作部における干渉(衝突)の有無を示した説明図である。
図43に示されるように、第2トレイ72’から第9トレイ79’の切り欠き部がトレイ振分保持部の最上部に位置する支持部81a’および81b’に干渉することはない。したがって、第2トレイ72’から第9トレイ79’は、何れも、支持部81a’および81b’を通過して、そのままテーブル2(図示せず)と共に下降することが可能である。
一方、第1トレイ71’の切り欠きにより形成された露出部(トレイ操作部)は、図43に示されるように、トレイ振分保持部の最上部に位置する支持部81a’および81b’と干渉(衝突)する。したがって、テーブル2’(図示せず)が支持部81a’および81b’の位置を通過する過程において、第1トレイ71’のみが支持部81a’および81b’によって支えられて、図41に示される突起ベース91a’および91b’の位置に保持される。
なお、図42に示される支持部81a’および81b’と当接する第1トレイ71’のトレイ操作部は、図38に示される符号71a’および71b’の部分である。
そして、第1トレイ71’を突起ベース91a’および91b’の位置に残したままテーブル2(図示せず)は、さらに下降し、次いで、突起ベース92a’および92b’の位置に到達する。
図44’に示されるように、第3トレイ73’から第9トレイ79’の切り欠き部がトレイ振分保持部の支持部82a’および82b’に干渉することはない。したがって、第3トレイ73’から第9トレイ79’は、何れも、支持部82a’および82b’を通過して、そのままテーブル2(図示せず)と共に下降することが可能である。
一方、第2トレイ72’の切り欠きにより形成された露出部(トレイ操作部)は、図44に示されるように、トレイ振分保持部の支持部82a’および82b’と干渉する。したがって、テーブル2’(図示せず)が支持部82a’および82b’の位置を通過する過程において、第2トレイ72’のみが支持部82a’および82b’によって支えられて、図41に示される突起ベース92a’および92bの位置に保持される。
なお、図42に示される支持部82a’および82b’と当接する第2トレイ72’のトレイ操作部は図38に示される符号72a’および72b’の部分である。
そして、第2トレイ72’を突起ベース92a’および92b’の位置に残したままテーブル2’(図示せず)は、さらに下降し、次いで、突起ベース93a’および93b’の位置に到達する。
図45に示されるように、第4トレイ74’から第9トレイ79’の切り欠き部がトレイ振分保持部の支持部83a’および83b’に干渉することはない。したがって、第4トレイ74’から第9トレイ79’は、何れも、支持部83a’および83b’を通過して、そのままテーブル2’(図示せず)と共に下降することが可能である。
一方、第3トレイ73’の切り欠きにより形成された露出部(トレイ操作部)は、図45に示されるように、トレイ振分保持部の支持部83a,83bと干渉する。したがって、テーブル2(図示せず)が支持部83a’および83b’の位置を通過する過程において、第3トレイ73’のみが支持部83a’および83b’によって支えられて、図41に示される突起ベース93a’および93b’の位置に保持される。
なお、図42に示される支持部83a’および83b’と当接する第3トレイ73’のトレイ操作部は図38に示される符号73a’および73b’の部分である。
以下、テーブル2’(図示せず)の下降に従い、前記と同様にして、第4トレイ74’が突起ベース94a’および94b’の位置で保持され、第5トレイ95’が突起ベース95a’および95b’の位置で保持され、第6トレイ96’が突起ベース96a’および96b’の位置で保持され、第7トレイ97’が突起ベース97a’および97b’の位置で保持され、第8トレイ98’が突起ベース98a’および98b’の位置で保持され、第9トレイ99’が突起ベース99a’および99b’の位置で保持される。そして、最終的に、図41に示されるような展開状態となる。
その他の動作に関しては前述した第1トレイ11’から第9トレイ19’を用いた変形例と全く同様である。
この変形例においても、前述した第1トレイ11’から第9トレイ19’の場合と同様、各トレイ毎のトレイ操作部を頂点として形成される各トレイ毎の矩形状の仮想面の内部に各トレイの重心が位置することになる。したがって、各トレイに設けられた都合4箇所のトレイ操作部を下方から支えるようにすることで、何れのトレイも安定的に保持することができる。
さらに、この変形例では、トレイ操作部として、前述した第1トレイ11’から第9トレイ19’のようにトレイ側面から突出した形状の突起部に代えて、切り欠きで形成された階段状の突起部(露出部)を設けている。このため、トレイの幅の寸法を前述の第1トレイ11’から第9トレイ19’に係る変形例と比べて小さくできる利点がある。
以上に述べた何れの変形例においても、複数枚のディスク状記憶媒体(光ディスク)を同時に取り扱う構造であるにも関わらず、ディスク状記憶媒体それ自体を格別な連結体等を利用して一体化する等の特別な構造とする必要はない。したがって、ディスク状記憶媒体の生産に関しては格別な生産設備を必要とせず、また、個々のディスク状記憶媒体を独立的に交換することも容易である。
また、情報記録再生装置の集合体(光ドライブ列)は、一般的な構造を有する市販の情報記録再生装置を単純に積み重ねて構成することができる。したがって、複数枚のディスク状記憶媒体(光ディスク)を同時に取り扱う構成であっても、改めて格別の記録再生部を設計,製作する必要はなく、装置全体の製造コストの軽減化が可能である。
さらに、展開爪61から76、あるいは突起ベース31a’から39a’、31b’から39b’(91a’から99a’、91b’から99b’)の上下方向の取り付け間隔を調整できる構成としても良い。これにより、情報記録再生装置の集合体(光ドライブ列)を構成する各情報記録再生装置の仕様の変更、例えば、厚みの変更等にも容易に対処することができる。
また、ディスク状記憶媒体(光ディスク)を搭載する各トレイは、ディスク状記憶媒体を載置して格納する機能以外に、前述のように、例えばこのトレイ上でディスク状記憶媒体を回転させる機能を有していても良いが、有していなくても良い。前記各トレイ上でディスク状記憶媒体を回転させる等の必要がなければ、トレイ自体の厚みやトレイとディスク上記億媒体との間のクリアランスも殆ど必要ない。これにより、ディスク状記憶媒体を、極めて密接させた状態で保存(例えばストッカに格納)することが可能であり、特に、多数のディスク状記憶媒体を格納する場合においての装置のコンパクト化が容易である。
なお、以上の実施形態中ではディスク状記憶媒体を同時に16枚または9枚使用する場合について説明した。ただし、これに限定されず、第1トレイ21から36あるいは第1トレイ11’から19’(71’から79’)の積層順序が間違っていなければ、トレイ展開手段は正しく動作することが可能である。すなわち、第1トレイ21から36または第1トレイ11’から19’(71’から79’)の何れかのトレイにディスク状記憶媒体が搭載されていない場合、あるいは、何れかのトレイ自体が存在しない場合であっても、トレイ展開手段の動作自体には何らの支障もない。従って、例えば、図1に示される情報記録再生装置53dのみが故障した場合にあっては、第8トレイ28から光ディスク39を取り外すか、あるいは、第8トレイ28のみをトレイ積層体38のセットから取り外しても良い。これにより、情報記録再生装置53dを除く他の情報記録再生装置52aから52h、53aから53cおよび53eから53hの運用状態をそのまま継続するといったことも可能である。
本発明において、ディスク状記憶媒体に記録する情報は特に制限されず、企業用または業務用の機密文書の電子データ、画像、音声等が挙げられる。本発明の適用範囲も特に制限されず、例えば、企業用または業務用の機密情報の保管または再生等が挙げられる。
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
この出願は、2009年5月20日に出願された日本出願特願2009−122236を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。