JP5480568B2 - ガラス製品の製造方法及びガラス製品 - Google Patents

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Description

本発明は、プレス加工によってガラス製品を製造する方法、及びこの製造方法によって製造されたガラス製品に関する。
ガラス材料で構成されたガラス製品は、様々な製造方法で製造される。ただし、例えばレンズのように、精密な形状精度が要求されるガラス製品の製造方法としては、その成形を行うためにプレス加工が用いられる。プレス加工においては、軟化点以上の温度に加熱されて軟化したガラス材料をプレス型に投入し、高圧を印加してプレス型に応じた所望の形状とし、その後に冷却することによって定型性を得る。
実際の製造方法においては、プレス型に投入する際のガラス材料の形態は適宜設定できる。例えば、ダイレクトプレスと呼ばれる製造方法においては、溶融したガラスを直接プレス型に投入してプレス加工を行う。また、大きな板状体を切断することによって、最終的な製品に近い形状である例えば矩形体形状のガラス材料を予め製造し、これを加熱して軟化させた上でプレス型に投入し、プレス加工を行う方法も行われている。
例えば、レンズ等の光学材料においては、その形状が所定のものとなっていることに加え、その表面が鏡面状態となっていることが必要である。精密プレスと呼ばれる製造方法においては、プレス加工直後に、表面が所望の鏡面となった成形体となるようにプレス加工が行われる。ただし、この方法においては、使用するプレス型が非常に高価になり、かつ、製品(プレス加工後の成形体)の大きさも限定され、サイズの大きな製品への適用は困難である。これに対して、例えば特許文献1に記載されているリヒートプレスと呼ばれる製造方法においては、同一形状のガラスゴブ(成形前のガラス材料)を多数製造し、これを順次プレス加工した後で鏡面研磨を行うことによって製品を多数製造することができるため、例えばカメラ用のレンズ等の製品を低コストで製造することができる。また、例えば特許文献2に示されるように、特にこのリヒートプレスに適したガラス材料も開発されている。
特開2008−110917号公報 特開2009−73716号公報
ガラス材料は、例えば酸化珪素や酸化硼素を主成分とし、これに添加物が添加されることによってその光学特性(屈折率や分散等)が目的に応じて調整される。例えば、レンズ等に用いられるガラス材料には、設計に応じて最適な光学特性をもったものが適宜選択されて用いられる。この際、その物性、特にプレス加工に対して大きな影響を与える歪点、除冷点、軟化点等もこれに応じて変動する。一方、上記のプレス加工においては、成形後のガラス材料が所定の形状であることに加え、この材料が良好なアモルファス状態であり、光透過率が高いこと等の良好な光学的特性をもつことも要求される。これに対して、プレス加工時あるいはその前後におけるガラス材料の状態は大きな影響を与えるが、この状態にはその製造工程における温度と上記の歪点、除冷点、軟化点等の関係が大きく反映される。例えば、歪点よりも低い温度でプレス加工を行った場合、成形が適正に行われず、クラックが生ずることがある。また、ガラス材料の結晶化が生じやすい温度近辺にこのガラス材料が長時間保たれた場合には、ガラス材料の多結晶化が生じ、失透(光透過率が低下すること)が発生することもある。すなわち、良好なガラス製品を得るためには、ガラス材料の種類に応じてプレス加工条件をそれぞれ適正に設定することが必要である。
従って、種々のガラス材料に対する最適なプレス加工条件は異なり、統一的なプレス条件を設定することは困難であった。このため、種々のガラス材料からなるガラス製品を、安定して良好な光学特性を維持した上で成形することは困難であった。すなわち、種々のガラス材料からなるガラス製品を、良好な光学特性を保った状態で再現性よく得ることは困難であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決する発明を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
本発明のガラス製品の製造方法は、ガラス材料をプレス成形することによってガラス製品を得る、ガラス製品の製造方法であって、加熱されたガラス材料の粘性率をη(単位:dPa・s)として、logηの下降率が(logη)/minで1.0以下となるように前記ガラス材料を加熱する第1温度調整工程と、前記第1温度調整行程の後で、logηを3.0〜5.0の範囲として前記ガラス材料をプレス成形型に投入し、プレス成形を行うプレス工程を具備することを特徴とする。
本発明のガラス製品の製造方法は、前記ガラス材料で構成された板状体を切断し、面取りすることによってガラスゴブを製造するガラスゴブ製造工程を具備し、当該ガラスゴブに対して前記第1温度調整工程及び前記プレス工程を行うことを特徴とする。
本発明のガラス製品の製造方法は、前記プレス工程において、加熱された前記ガラス材料表面の温度を、測温手段により計測し、当該測温結果に基づきガラスを加熱することにより粘性を調整することを特徴とする。
本発明のガラス製品の製造方法は、前記第1温度調整工程の前に、logηの下降率が、前記第1温度調整工程におけるlogηの下降率よりも高く、かつ(logη)/minで2.0以下となるように前記ガラス材料を加熱する第2温度調整工程を設けたことを特徴とする
本発明のガラス製品は、前記ガラス製品の製造方法によって製造されたことを特徴とする。
本発明のガラス製品は、レンズであることを特徴とする。
本発明は以上のように構成されているので、種々のガラス材料からなるガラス製品を、良好な光学特性を保った状態で再現性よく得ることができる。
本発明の実施の形態に係るガラス製品の製造方法のフロー図である。 本発明の実施の形態に係るガラス製品の製造方法における良品率の温度依存性(a)、logη依存性(b)を示す図である。 プレス前温度調整工程におけるlogηの変化を模式的に示す図である。 実際のプレス前温度調整工程における温度変化(a)、logηの変化(b)の例である。
以下、本発明の実施の形態となるガラス製品の製造方法につき説明する。このガラス製品の材料となるガラス材料は、特許文献2に記載されているような、例えば酸化珪素を主成分とし、これに添加物が添加されたものである。この材料においては、その組成が調整されることによってその光学特性(屈折率や分散:アッベ数等)が目的に応じて調整される。また、具体的な製品としては、例えばレンズ等があるが、これに限定されず、この製造方法によって任意のガラス製品を製造することができる。
以下では、この製造方法をリヒートプレスにおいて適用してレンズを製造する例について記載する。この製造方法を示すフロー図が図1である。
まず、プレス加工前の形状をもつガラス塊(ガラスゴブ)を多数個得る(ガラスゴブ製造工程:S1)。ここでは、通常のリヒートプレスと同様に、大きな板状体とされたガラス材料を切断加工し、製造するレンズに対応する大きさとされた略矩形体のガラス塊を多数個得る。このガラス塊を、グラインダーを用いて研削したり、樽状の容器中に入れて回転させることによって面取り加工を行い、ガラス塊の角を落とした形状とする(バレル加工)。これにより、最終的な製品となるレンズに近い大きさであり、単純な矩形体よりも滑らかな形状をもち、最終製品となるレンズにより近い形状とされたガラスゴブが多数個得られる。なお、この面取り加工(バレル加工)は必要に応じて行い、切断後の形状と最終製品の形状との差が小さければ、不要である。
次に、ガラス材料が軟化してプレス加工が可能となる温度まで、このガラスゴブを加熱する(プレス前温度調整工程:S2)。この際の加熱は、電気炉等で行われる。この工程においては、室温付近から、歪点・軟化点以上の温度までガラスゴブを加熱するが、その温度を上昇させる手順(温度上昇速度等)については後述する。なお、ここでいう歪点とは、ηを粘度(粘性率:単位dPa・s)として、logη=14.5となる温度であり、軟化点とはlogη=7.65となる点である。
次に、加熱されて軟化したガラスゴブをプレス型に投入し、加圧することによって、ガラスゴブを所定の形状に加工する(プレス工程:S3)。このプレス加工においては、ガラス材料の種類によらず、ガラスゴブ表面における粘度η(単位dPa・s)を、logη=3.0〜5.0の範囲となるべく加熱した状態でプレス加工を行う。ガラスゴブにおける実際の粘度ηを実測することは困難であるため、各ガラス材料に対する温度Tとηとの関係を、予め測定しておくことが好ましい。この場合には、ガラスゴブ表面の温度を測温手段を用いて測定することによって、ηを間接的に算出することができる。この場合の測温手段としては、非接触で温度が測定できる(赤外)放射温度計が特に好ましく用いられる。なお、ここで測定される温度はガラスゴブ表面のものであり、ガラスゴブ内部の温度は測定が困難であるが、表面の温度T、あるいは表面のηが測定できれば充分である。なお、プレス加工時にはガラス材料は加熱されておらず、この間にガラスゴブは冷却される。プレス時間は、例えば5秒程度である。これにより、ガラスゴブは、レンズ形状に成形される。ただし、この状態での表面は、一般的には、レンズとしては必ずしも最適なものとはなっておらず、鏡面ではない場合が多い。
次に、成形後のガラスゴブに対して、軟化点よりも低い温度(一般には除冷点(ガラス材料における内部歪が15分で除去される温度であり、logη=13となる温度)以上)での熱処理を行う(アニール工程:S4)。この工程は、プレス加工においてガラス材料中に発生した歪みを緩和し、良好な光学特性を得るために行われる。従って、プレス工程後に充分な光学特性等が得られていれば、この工程は不要である。
次に、ガラスゴブの表面を研磨材を用いて機械的に研削、研磨することによって、鏡面状態とした後、研磨材等を洗浄によって除去する(研削・研磨・洗浄工程:S5)。これによって、レンズ形状とされ、かつ凹凸が除去された表面をもつガラス製品が得られる。なお、製品として使用可能な表面状態がプレス工程直後に得られている場合には、この研削・研磨・洗浄工程を行う必要はない。
次に、この表面に対して、例えば真空蒸着法等によって反射防止膜等を形成し(コーティング工程:S6)、最終的なガラス製品であるレンズとなる。これにより、レンズ表面の反射を抑制し、このレンズをより高性能とすることができる。なお、この工程も、必要に応じ行われる。
この製造方法における最大の特徴は、プレス工程(S3)において、加熱されたガラスゴブ表面の粘度ηを、ガラス材料の種類に関わらず、logη=3.0〜5.0の範囲に設定することである。これについて以下に説明する。
プレス加工を適正に行うためには、プレス型にガラスゴブを投入される際の温度をガラス材料の軟化点以上とし、ηを小さくすることが必要である。ηが充分小さくならない状態でプレス工程を行った場合、プレス加工時にクラックが発生することがある。ただし、ηが小さすぎる場合には、充分な成形が行われず、ガラス材料がプレス型に融着することがある。すなわち、プレス加工の際のηを適正な範囲とすることにより、高い良品率で成形を行うことができ、この範囲外では、良品率が低下する。
図2(a)に、プレス型に投入する際の温度と、これに対応する良品率を、4種類のガラス材料(硝材A〜D)について測定した結果を示す。これらのガラス材料は、屈折率や分散(アッベ数)等を調整するために、いずれも10成分程度の成分構成からなっている。従って、高い良品率(100%)が得られる温度範囲は、各材料毎に異なっている。いずれのガラス材料においても、この温度範囲よりも低い温度においてはηが高すぎるためにプレス時にクラックが発生し、この温度範囲よりも高い範囲においてはガラス材料の融着が発生するために、良品率は低下している。
これに対して、プレス型に投入する直前のガラスゴブの温度から算出したlogηを温度の代わりに用いた場合(図2(b))においては、材料毎の特性は、ほぼ重なっている。従って、プレス型に投入する直前のlogηを指針とすることにより、ガラス材料の種類に関わりなく良品率を高く保つことができる。この場合の好ましいlogηの範囲としては、図2(b)より、10%以上の良品率が得られる範囲として、logη=3.0〜5.0である。
なお、η(logη)を上記の範囲に設定するためには、ガラスゴブの表面の温度を測温手段(放射温度計)で計測することが好ましいが、放射温度計以外でも、表面の温度を測定できる手段であれば、同様に用いることができる。ただし、ガラスゴブの温度に影響を与えない非接触型の測温手段を用いることが好ましい。
次に、プレス前温度調整工程(S2)について説明する。この工程においては、室温から表面の粘度がlogη=3.0〜5.0になるまで、温度を上昇させる。この温度上昇速度を高くするほど、製造に要する時間を短くすることができ、スループットが向上することは明らかであるが、この温度上昇速度が高すぎる場合には、プレス加工を開始する際のガラスゴブ中の温度が不均一となり、良好なプレス加工ができない場合がある。また、温度上昇速度が低すぎる場合には、スループットの低下に加え、ガラス材料がアモルファス化せずに多結晶化する場合があり、これは失透の原因となる。従って、プレス前温度調整工程においては、この温度上昇速度を、ガラス材料の特性に応じて、更に適正化する。この温度上昇についても、温度Tではなく、logηを用いることにより、ガラス材料の種類に関わりなく設定することが可能である。すなわち、logη下降率を最適に設定することができる。
この工程におけるlogηの時間変化を模式的に図3に示す。この場合に温度(logη)を変化させるパターンにはパターンIとパターンIIの2種類がある。図3中には、ガラス材料の歪点、軟化点に対応する点が示してある。また、一般にガラス材料は、結晶化温度に長時間保持することによって、アモルファスから結晶化(多結晶化)しやすいという性質をもつ。同図中には、この結晶化温度に対応する点も示してある。
パターンIにおいては、初めに温度上昇速度を大きく設定してlogηの下降率を高くする(第2温度調整工程)。その後で、温度上昇速度をこれよりも小さくしてlogηの下降率を低く設定した上で、プレス加工に適した上記の範囲までlogηを下降させる(第1温度調整工程)。パターンIの特徴は、プレス工程(S3)直前のlogη下降率を小さくすること(第1温度調整工程)によって、プレス加工時のガラスゴブ中の温度を均一にすることである。具体的には、第1温度調整工程におけるlogηの下降率は、(logη)/minの値で1.0以下とすることが好ましい。これによって、ガラスゴブ中における温度の不均一性を改善することができる。
この場合、第2温度調整工程におけるlogη下降率はこれよりも高くする。ただし、ガラスゴブ中の温度の不均一性を悪化させないために、第2温度調整工程においても、(logη)/minを2.0以下とすることが好ましい。従って、第2温度調整工程においては、logηの下降率が、第1温度調整工程におけるlogηの下降率よりも高く、かつ(logη)/minで2.0以下となるように、ガラス材料の歪点から温度を上昇させることが好ましい。第1温度調整工程、第2温度調整工程の時間は適宜設定することが可能であるが、スループット等、温度上昇率が低いことによる悪影響が問題にならない場合には、第2温度調整工程を行う必要はなく、第1温度調整工程のみを行ってもよい。すなわち、歪点から(logη)/minが1.0以下となる状態で温度を徐々に上昇させることも可能である。
パターンIにおいては、プレス前温度調整工程(S2)において、特にプレス前温度調整工程の終わり近くにおける温度変化(logη変化)を小さくすることによって、ガラスゴブ中の温度の均一性を向上させることができ、プレス加工を高い精度で行うことができる。従って、パターンIは、ガラスゴブの形状、大きさによってその内部に加熱する際の温度不均一性が大きくなる場合や、温度不均一性を生じやすいガラス材料を用いている場合に特に有効である。
一方、パターンIIにおいては、パターンIとは逆に、初めに温度上昇速度を小さく設定してlogηの下降率を低くする(第3温度調整工程)。その後で、温度上昇速度を大きくしてlogηの下降率を高く設定した上で、プレス工程に適した上記の範囲までlogηを下降させる(第4温度調整工程)。パターンIIの特徴は、プレス工程(S3)直前のlogη下降率を高くし、ガラスゴブが結晶化温度付近にある時間を短くすること(第4温度調整工程)によって、結晶化を抑制することである。これにより、結晶化による失透を抑制することができる。
この場合、第3温度調整工程におけるlogηの下降率は、パターンIにおける第1温度調整工程と同様に、(logη)/minで1.0以下とすることが好ましい。これによって、ガラスゴブが大きな場合でも、温度の不均一性を改善することができる。この温度条件で、ガラスゴブの温度を、その結晶化温度よりも0〜300℃の範囲だけ低い温度まで、加熱を行う。この期間においては、ガラスゴブの温度は結晶化温度よりも充分低いため、結晶化は進展しない。一方、前記と同様に、温度上昇が遅いため、ガラスゴブ中の温度を均一とすることができる。
その後、第4温度調整工程において、温度上昇速度をこれよりも大きくし、logηの下降率を高くする。これによって、このガラスゴブの温度が結晶化温度の近くとなる期間を短くすることが可能である。具体的には、この間のlogηの下降率が、第3温度調整工程におけるlogηの下降率よりも高く、かつ(logη)/minで2.0以下となるように、温度を上昇させることが好ましい。この第4温度調整工程を設けることにより、プレス工程(S3)に至るまでにガラスゴブに結晶化が発生することを抑制することができ、失透を抑制することができる。すなわち、良好な光学特性のレンズを得ることができる。
パターンIIにおいては、第3温度調整工程によってプレス工程前のガラスゴブの温度が均一化されると共に、第4温度調整工程によって失透も抑制される。従って、パターンIIは、特に結晶化が発生しやすいガラス材料を用いた場合に有効である。
なお、図3では便宜上logηが時間に対して直線的に変化するように示してあるが、実際には(logη)/minが上記の範囲となり、かつ温度変化を制御できる範囲内で、この変化を任意とすることができる。図4(a)に、実際のプレス前温度調整工程における温度変化の例(パターンI、II)を示す。このガラス材料は、図2における硝材Cであり、その結晶化温度は725℃である。この測定においては、プレス工程開始時(加熱したガラスゴブをプレス型に投入した時)を原点として示しているため、これよりも負側の時刻における温度が示されている。
図4(b)には、図4(a)に対応したlogηの変化を示す。パターンIにおいては、第1温度調整工程においてlogη/minを上記の範囲で低く設定していることが明確であり、この前にlogηを高い下降率で減少させている第2温度調整工程が設けられていることも明確である。また、この場合にはlogηが10よりも大きな場合の測定は困難であったため、パターンIIにおける第3温度調整工程は明確ではないが、第4温度調整工程において、前記の通り、結晶化温度付近においてlogηをパターンIにおける第1温度調整工程よりも速く下降させていることが明確である。これらのパターンは、対象となるガラス製品に応じて選択することができる。また、これと異なるガラス材料に対して同様のプレス前温度調整工程を行う場合には、このガラス材料における温度と粘性率η、結晶化温度等に応じて、図4(a)における温度設定を変更すればよい。このように、プレス前温度調整工程においては、製品やガラス材料の種類に応じて、第1〜第4温度調整工程を適切に設定することが可能である。また、このための温度(logη)変化についても、上記の範囲内で適宜設定することができる。
従って、上記の製造方法により、種々のガラス材料からなるガラス製品を、良好な光学特性を保った状態で再現性よく得ることができる。この際、例えばカメラのレンズのように、リヒートプレスを用いて大量生産を行うガラス製品の場合には、高い良品率かつ高いスループットでこれを得ることができるため、好適である。
なお、上記の例では、リヒートプレスでレンズを製造する場合について記載したが、上記のプレス工程やプレス前温度調整工程は、プレス加工によって光学的特性が良好なガラス製品を製造する場合に有効であることは明らかである。従って、リヒートプレスに限らず、例えば精密プレスにおいても同様にこれらを適用することができる。また、レンズに限らず、形状精度と高い光学的特性が要求されるガラス製品であれば、同様にこれらを適用できることも明らかである。

Claims (6)

  1. ガラス材料をプレス成形することによってガラス製品を得る、ガラス製品の製造方法であって、
    加熱されたガラス材料の粘性率をη(単位:dPa・s)として、logηの下降率が(logη)/minで1.0以下となるように前記ガラス材料を加熱する第1温度調整工程と、
    前記第1温度調整行程の後で、logηを3.0〜5.0の範囲として前記ガラス材料をプレス成形型に投入し、プレス成形を行うプレス工程を具備することを特徴とする、ガラス製品の製造方法。
  2. 前記ガラス材料で構成された板状体を切断し、面取りすることによってガラスゴブを製造するガラスゴブ製造工程を具備し、
    当該ガラスゴブに対して前記第1温度調整工程及び前記プレス工程を行うことを特徴とする請求項1に記載のガラス製品の製造方法。
  3. 前記プレス工程において、加熱された前記ガラス材料表面の温度を、測温手段により計測し、当該測温結果に基づきガラスを加熱することにより粘性を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス製品の製造方法。
  4. 前記第1温度調整工程の前に、
    logηの下降率が、前記第1温度調整工程におけるlogηの下降率よりも高く、かつ(logη)/minで2.0以下となるように前記ガラス材料を加熱する第2温度調整工程を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のガラス製品の製造方法。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のガラス製品の製造方法によって製造されたことを特徴とするガラス製品。
  6. レンズであることを特徴とする請求項に記載のガラス製品。
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