JP3801136B2 - ガラス光学素子の製造方法及びガラス素材のガラス組成の決定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高精度のガラス光学素子の製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、所定の面精度を有する成形型により、軟化したガラス素材を加圧成形することによって、成形型の成形面を前記ガラス素材に転写し、所望の面精度と光学特性とを有するガラス光学素子を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プレス成形後の研削・研磨工程を要しない精密プレス成形技術が進展し、この技術により多くのレンズ、特に非球面レンズが生産されている。
ガラス光学素子の製造には、光学特性の管理が不可欠である。これは、ガラス光学素子が適用される光学製品の仕様から決定されるものであり、通常は所定の光学恒数(通常、屈折率n及びアッベ数νで表される)などを、その許容範囲(公差)と共に指定することにより管理する。屈折率nは、F線、d線、c線などの測定波長を用いて表される。中でも、d線によるndが指標として最も良く用いられる。アッベ数νdは、下記式で示される。
【数1】
また、ガラス組成を種々選択することにより種々の広範な光学恒数を有する光学ガラスを製造することができることが知られている。
【0003】
光学ガラスは、上記で触れた通り、通常、近紫外〜近赤外の種々の波長での屈折率が精度よく測定され、小数点以下5桁までの値により表現される。しかしながら、同一組成のガラスでもその組成の熔融ガラスが固体になるまでに受けた熱履歴によって、室温で測定するガラスの屈折率が変化してしまう。例えば、ガラス転移点Tg付近のある温度に保持された同一組成のガラス素材であっても、適用された冷却速度の相違によって、室温で測定するガラスの屈折率は相違する。一般に、冷却速度が大きいと、屈折率は低くなり、冷却速度が小さいと屈折率は高くなる。プレス成形によりガラス光学素子を製造する場合にも、加圧成形の後の冷却条件の違いにより、光学素子が有する屈折率は変化してしまう。これは、所望の屈折率範囲に対するずれという形で製造上の課題となる。
【0004】
ガラス光学素子の製造に際しては、アニール工程を設けることが知られている。この工程では、成形したガラス光学素子に一定の熱処理を施すが、主として目的は歪の除去と、屈折率の調整である。屈折率調整に関しては、均一で所望の屈折率を有するガラス光学素子を得るためにアニール工程は有効である。
【0005】
特許文献1には、押圧成形後のガラス光学素子を、歪点以上ガラス転移点以下の温度に所定時間保持する工程と、前記ガラス光学素子が所望の屈折率となる冷却速度にて冷却する工程とからなる、ガラス光学素子の徐冷方法が開示されている。この方法によると、冷却工程で、光学素子間あるいは同一光学素子内に生じる温度不均一が原因で生じる屈折率のばらつきを防止でき、かつある範囲で任意の屈折率に調整できると記載されている。
【0006】
また、特許文献2には、「予め選択した組成のガラス素材を熔融・加熱し、これをプレス成形することによって、ガラス光学素子を製造する方法において、プレス成形工程において生ずるガラス素材の屈折率変化分を、成形されたガラス光学素子に要求される屈折率の値から差引いた値の屈折率のガラス素材を用いて、前記プレス成形工程によりガラス光学素子を成形することを特徴とするガラス光学素子の製造方法」により、ブロックから切りだしたガラス素材や熔融ガラスからレンズ近似形状に作製したガラス素材(ブランク)から、所望の屈折率のガラス光学素子を得る方法が開示されている。
【0007】
特許文献3には、加熱成形後の冷却工程による屈折率の変化に関し、ガラスレンズの屈折率が所望の値になるように、冷却中の冷却速度を制御する方法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開昭61−286236号公報
【特許文献2】
特開平7−53220号公報
【特許文献3】
特開平7−330354号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
プレス成形では、冷却工程における冷却速度が比較的大きいため、成形されるガラス光学素子の屈折率は低くなる傾向がある。したがって、従来は、十分なアニール工程を設けて、所望の屈折率に調整するか、あるいは低下した屈折率によって光学製品の光学設計を行なわざるを得なかった。
【0010】
特許文献1に開示された徐冷方法では、ガラス光学素子の屈折率をある範囲内で所望の値にすることが可能である。しかし、前記公報に図示されているようなアニールのための装置と、アニール工程に多くの時間を要するため、生産効率上の問題があった。さらに、プレス成形後に既に光学設計上の問題がない程度に歪量が小さく、歪の除去が必ずしも必要のないガラス光学素子に対しても、アニール工程が必須となり、この点でも生産効率が低くなるという問題があった。
【0011】
また、特許文献2に記載の方法には、以下のような問題がある。
この方法によると、プレス成形によって生じる屈折率変化分を知るために、プレス成形前のガラス素材の屈折率を実測する必要がある。しかしながら、プレス成形前のガラス素材が、熔融ガラスから急冷されたものである場合には、歪が大きく、屈折率が測定困難であるか、またはばらつきが大きく、測定不可能である。
【0012】
また、上記公報の実施例1及び2によると、同一組成のガラス素材に同一のプレス成形工程を与えても、使用するガラス素材の屈折率が異なるため、結果として得られるガラス素子の屈折率が同一にはならないことが示されている。これは、プレス成形工程によってガラス素材(ブランク)のもつ熱履歴が解消されておらず、即ちガラス素材の有する熱履歴が、成形された光学素子の屈折率に影響していることを意味する。従って、この方法によれば、屈折率変化分を測定するために用いる暫定的なガラス素材と、実際にガラス素子の製造に供するガラス素材とは、同一の熱履歴を有している必要がある。即ち、屈折率変化分を測定するために用いたガラス素材が、熔融状態から急冷されたものである場合には、組成調整の後にガラス素子製造に供するガラス素材も、同一の条件で急冷されたものでなければならず、急冷条件が厳密に管理されていなければ、所望の屈折率から外れた光学素子ができてしまうことになる。
【0013】
また、同じ組成のガラス素材であっても、その熱履歴が相違するために異なる屈折率を有するガラス素材を使用すると、同一のプレス工程を与えた場合に生じる屈折率変化分が相違するため、所定の屈折率のガラス素子を得るために、異なった内容の組成調整を行なわなければならないことも、本公報実施例1及び2に開示されている。
【0014】
特許文献3に記載の方法は、モールドレンズのインデックスドロップの予測値と実際のずれを解消することを意図するものであるが、ドロップすること自体への解決策は何ら与えられていない。
【0015】
本発明は上記の問題点を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、本来、アニールの目的とされる歪の調整と屈折率の調整のうち、屈折率の管理について代替手段を提供することにより、製造上の自由度を与えることにある。
より具体的には、本発明の目的は、プレス成形工程に供するガラス素材が熔解後にどのような熱履歴を受けたものであっても、所望の屈折率を有するガラス光学素子を一定の規則により簡便に精度よく製造することができる方法を提供することにある。さらに本発明は、ガラス光学素子の屈折率を常に一定基準に基づいて把握するため管理がしやすいガラス光学素子の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の通りである。
[ 1 ] 成形型を用いて、軟化したガラス素材を加圧成形し、冷却することを含み、前記ガラス素材が有する熱履歴を実質的に解消する条件で行われるプレス成形工程によって、所望の屈折率n3を有するガラス光学素子を製造する方法において、所定組成のガラスからなるガラス素材を用い、前記プレス成形工程によって得られた暫定光学素子の屈折率n2を測定し、前記所定組成のガラスを規定条件下で処理したときの基準屈折率n1と、前記暫定光学素子の屈折率n2の差分を求め、前記差分又は差分に略等しい量を、所望の屈折率n3に加えた値の屈折率を、前記規定条件下で処理したときに有するガラスを用意し、用意したガラスからなるガラス素材を用いて、前記プレス成形工程によってガラス光学素子を得ることを特徴とする、前記方法(以下、第1の製造方法という)。
[ 2 ] 前記プレス成形工程は、粘度が10 5.5 〜10 9 ポアズに相当する温度としたガラス素材を、前記ガラス素材が10 7 〜10 12 ポアズの粘度を示す温度に予熱した成形型を用いて加圧成形することにより行うことを特徴とする[1]に記載の製造方法。
[ 3 ] 前記プレス成形工程の前に所定組成を有するガラスを規定条件下で処理し、屈折率n1を求めることを特徴とする[1]または[2]に記載の製造方法。
[ 4 ] 前記差分又は差分に略等しい量を、所望の屈折率n3に加えた値の屈折率を、規定条件下で処理したときに有するガラスを、前記所定組成のガラスの組成を調整することにより得る[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[ 5 ] 前記所定組成のガラスを規定条件下で処理したときの基準アッベ数をν1、前記暫定光学素子のアッベ数をν2、所望の光学素子のアッベ数をν3としたとき、前記用意したガラスが、(ν1−ν2)× 0.9〜(ν1−ν2)×1.1の値をν3に加えた値のアッベ数を前記規定条件下で処理したときに有することを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[ 6 ] 前記所定組成を有するガラスが、n3±0.01の範囲内の基準屈折率と、ν3±1の範囲内の基準アッベ数とを有する[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[ 7 ] 前記ガラス光学素子の所望の屈折率n3が前記所定組成を有するガラスの基準屈折率n1に等しい[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[ 8 ] 前記ガラス光学素子を製造するために用いるガラス素材が、少なくとも軟化点から(歪点−50℃)の範囲では300℃〜1500℃/分の冷却速度によって冷却されたものであることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[ 9 ] 前記ガラス光学素子を製造するために用いるガラス素材の屈折率が、その組成の基準屈折率に対して、500×10-5以上低いことを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[ 10 ] ガラス素材を加圧成形し、冷却することを含むプレス成形工程によって所望の屈折率を有するガラス光学素子を製造する方法であって、ガラスが有する熱履歴を実質的に解消する条件に置いたガラスを冷却速度を変化させて冷却し、得られたガラスの屈折率と冷却速度との相関を、所定組成を有するガラスについて求め、上記所定組成を有するガラスを規定条件下で処理したときに得られるガラスの屈折率(以下、この屈折率を屈折率Aと呼ぶ)を、規定条件下での処理における冷却速度に対応する屈折率として、前記相関から求め、上記プレス成形工程における冷却速度を決定し、この冷却速度に対応する上記所定組成を有するガラスの屈折率(以下、この屈折率を屈折率Bと呼ぶ)を、上記相関から求め、上記所望の屈折率をCとするとき、上記屈折率Aから上記屈折率Bを引いた屈折率差を、上記屈折率Cに加えた値の屈折率を、上記規定条件下で処理した場合に示すガラスの組成を決定し、上記決定した組成を有するガラスを上記ガラス素材として用いることを特徴とするガラス光学素子の製造方法(以下、第2の製造方法という)。
[ 11 ] 前記ガラス光学素子の光軸方向の歪が60nm 以下である[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[ 12 ] 前記ガラス光学素子の光軸方向の歪が2nm以上である[11]に記載の製造方法。
[ 13 ] 前記ガラス光学素子が、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ又は平凹レンズである[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[ 14 ] 成形型を用いて軟化したガラス素材を加圧成形し、冷却することを含み、前記ガラス素材が有する熱履歴を実質的に解消する条件で行われるプレス成形工程により、所望の屈折率を有するガラス光学素子を製造する方法において用いられる前記ガラス素材のガラス組成の決定方法であって、所定組成のガラスからなるガラス素材を用い、前記プレス成形工程によって得られた暫定光学素子の屈折率n2を測定し、前記所定組成のガラスを規定条件下で処理したときの基準屈折率n1と、前記暫定光学素子の屈折率n2の差分を求め、前記差分又は差分に略等しい量を、所望の屈折率n3に加えた値の屈折率を、前記規定条件下で処理したときに有するガラス組成を、前記ガラス素材のガラス組成とする、前記方法。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のガラス光学素子の製造方法についてさらに詳細に説明する。
本発明の第1のガラス光学素子の製造方法(請求項1に記載)は、成形型を用いてガラス素材を加圧成形し、冷却することを含むプレス成形工程により、所望の屈折率を有するガラス光学素子を製造する方法である。
すなわち、ある暫定的な、所定組成のガラスからなるガラス素材を用い、プレス成形工程によって得られた暫定光学素子の屈折率n2を測定し、
同じ所定組成のガラスを規定条件下で処理したときの屈折率(以下、規定条件下で処理したときのガラスの屈折率を、基準屈折率という)n1と、前記暫定光学素子の屈折率n2の差分を求め、
その差分又は差分に略等しい量を、所望の屈折率n3に加えた値の屈折率を、前記規定条件下で処理したときに有するガラスを用意し、
上記のプレス成形工程によって、所望の屈折率n3を有するガラス光学素子を製造する。
ここで、差分又は差分に略等しい量とは、計算値としての差分に対し、0.9倍〜1.1倍の範囲を意味する。後述するとおり、製造する光学素子に要求される屈折率(例えばnd)のほか、アッベ数(例えばνd)も所定範囲内とするため、上記の加算を行うときに、この範囲で適宜調製する。
換言すれば、(n1−n2)×0.9〜(n1−n2)×1.1の値をn3に加えた値の基準屈折率を有するガラス素材を用いることである。
n1は所定組成を有するガラスの基準屈折率である。
n2は上記所定組成を有するガラス素材から上記プレス成形工程を経て得られた暫定ガラス光学素子の屈折率である。
n3は前記ガラス光学素子の所望の屈折率である。
なお、屈折率n1、n2、n3は、F線、d線、c線などの測定波長のうち、任意の一定波長における屈折率を意味するが、d線によるndを用いることが好ましい。
【0018】
本発明の第1のガラス光学素子の製造方法では、例えば、上記プレス成形工程の前に所定組成を有するガラスを規定条件下で処理し、屈折率n1を求める段階を実施する。このようにプレス成形工程の前に予め一度だけ屈折率n1及びn2を求めておけば、後は、上記所定の基準屈折率を有するガラス素材を用いたプレス成形工程によって、連続的に所望の屈折率n3を有するガラス光学素子を製造することができる。
従って、本発明の第1の製造方法は、成形型を用いてガラス素材を加圧成形することを含むプレス成形工程により、かつ該プレス成形工程において(n1−n2)×0.9〜(n1−n2)×1.1の値をn3に加えた値の基準屈折率(但し、基準屈折率とは規定条件下で処理したガラスの屈折率である)を有するガラス素材を用いることにより所望の屈折率n3を有するガラス光学素子を製造する方法であって、
上記プレス成形工程の前に
所定組成を有するガラスを規定条件下で処理し、得られたガラスについて屈折率n1を求める段階、及び
上記所定組成と同一組成を有するガラス素材から上記プレス成形工程を経てガラス光学素子を得、得られたガラス光学素子について屈折率n2を求める段階を含むこと方法であることができる。
【0019】
上述したように、熔融ガラスが固体になるまでに受けた熱履歴によって、同一組成を有するガラスであっても、室温で測定される屈折率は異なる。そこで本発明では、組成に応じたガラス素材の屈折率を管理するために、所定組成を有するガラスを基準となる条件下、即ち、規定条件下で処理し、そのガラスの屈折率を用いる。規定条件下で処理し、そのガラスの屈折率を「基準屈折率」と呼ぶ。そして、所定組成を有するガラスの基準屈折率をn1で表す。基準屈折率は、ガラスの組成が異なれば、異なる値を示し、また、規定条件が異なれば、同一の組成を有するガラスであっても、異なる値を示す。
【0020】
本明細書において、「規定条件」とは、ガラスが有する過去の熱履歴を実質的に解消する温度及び時間でガラスを保持すること、及びその後に所定の冷却速度で冷却することからなる条件を意味する。ガラスが有する熱履歴は、そのガラス組成に応じて適した温度と保持時間とを選択することにより、実質的に解消される。具体的には、「ガラスが有する過去の熱履歴を実質的に解消する温度及び時間でガラス素材を保持すること」とは、例えば、ガラス転移温度Tg以上の温度で、ガラス全体の温度が実質的に一定になるまで保持することを意味する。屈折率をより精度高く、かつ効率良く求めるという観点からは、ガラスをTg〜Tg+30℃の一定温度で15分以上の一定の時間保持することが好ましく、さらに好ましくは30分以上5時間以下の時間保持することである。
【0021】
また、「所定の冷却速度での冷却」とは、ガラスに与えられる熱履歴が一定となるように、一定条件下での冷却を意味し、具体的には、室温での屈折率測定に影響を与えないように、歪や屈折率のばらつきが生じない程度の緩い、実質的に一定の冷却速度での冷却であることが好ましい。好ましくは、50℃/hr以下、例えば、30℃/hrの冷却速度で、少なくとも歪点−30℃、より好ましくは、歪点−50℃までの冷却であることが好ましい。
即ち、前記規定条件下での処理は、ガラス転移温度(Tg)〜Tg+30℃の範囲の一定温度で15分以上の一定時間保持し、次いで50℃/hr以下の一定の速度で歪点−30℃まで冷却する処理であることが好ましい。
【0022】
本発明の第1の製造方法では、所定の組成を有し、かつ「規定条件」で処理(保持及び冷却)されたガラスの屈折率n1を用いることで、屈折率値の客観的な把握と管理が可能になる。さらには、組成は同一であるが異なる製法で作製されたガラス素材を用いてガラス光学素子をプレス成形する場合であっても、上記屈折率n1を予め把握しておけば、各ガラス素材の屈折率をその都度測定することなしに所望の屈折率を有するガラス光学素子を得ることができる。
【0023】
上記保持温度及び時間や冷却速度等の「規定条件」は、上記の数値範囲に限定されるものではない。しかし、常に一定条件を適用することにより、基準屈折率は、ガラス組成によってのみ変化することになり、ガラス素材の屈折率の決定が容易になる。なお、本発明において屈折率は室温(23℃±3℃)で測定した値を意味する。
【0024】
本発明の第1の製造方法では、上記「規定条件」での処理(保持及び冷却)を、「所定の組成を有するガラス」に対して施し、屈折率n1を求める。「所定組成」には制限はないが、目的とするガラス光学素子の組成に必要とされる成分を含み、結果的に最終組成に近い物であることが、最終的に目的のガラス素材の組成を決定する際に好適である。
【0025】
次に本発明の第1の製造方法では、屈折率n1を求めたガラスと同一組成を有するガラスを、実際のガラス光学素子の製造方法で用いるプレス成形工程に付して暫定ガラス光学素子を製造し、得られた暫定ガラス光学素子の屈折率n2を求める。
前述のように、ガラスは、同一の組成を有していても熱履歴に応じて異なる屈折率を有することがある。ガラス光学素子の製造方法においても、プレス成形工程において採用される加圧成形温度及び冷却の条件が異なれば、同一の組成を有するガラス素材を用いても、得られるガラス光学素子の屈折率は異なる場合がある。そこで、本発明の第1の製造方法では、実際の製造方法におけるプレス成形工程でガラスが受ける熱履歴の影響を、屈折率n1を求めたと同一の組成を有するガラスについて、屈折率n2を求めることで把握する。
【0026】
本発明の第1の製造方法におけるプレス成形工程は、成形型による加圧により変形可能な粘度を有するガラス素材を、所定温度の成形型により加圧し、成形型が有する光学機能面を転写する工程(加圧成形と呼ぶ)のみでなく、ガラス素材の加熱軟化、上記加圧成形後の冷却工程を含む一連の工程をいう。ここで、「ガラス素材」とは、成形に供するガラスの素材であり、予め重量や形状を成形形状に近似させた偏平球形状、球状などのプリフォームや、ブロック状のガラスから切り出したものなどのほか、熔融ガラスを流出パイプから流下させた状態のゴブも含む。
【0027】
後述するように、ガラス素材は、それが熔解後に経た熱履歴に関わらず本発明に適用できる。すなわち、如何なる熱履歴、及びそれに起因する屈折率を有するものでもよい。熔解ガラスから割れない程度に急冷されたものでも良く、生産効率上は好ましい。その場合、ガラス素材の屈折率が相対的に低下し、場合によっては歪が大きいために屈折率は測定不可能となる場合があるが、本発明の効果を奏する上では何ら支障が無い。ガラス素材の調製に際し、熔解ガラスからの流出時には、10〜1000ポアズの粘度であるが、少なくとも軟化点から(歪点-50℃)の範囲では、300℃/分以上の速度で冷却されたものが好適に用いられる。好ましくは、300〜1500℃/分の冷却速度、更には、400〜1000℃/分の冷却速度が生産効率上、好ましく用いられる。
また、ガラス素材の屈折率は、その組成の基準屈折率に対して、500×10-5以上低い場合などに、本発明の効果が有利に得られる。
【0028】
プレス成形工程においては、例えば、ガラス素材を、その粘度が105.5〜109ポアズに相当する温度とし、プレス成形されるガラス素材が107〜1012ポアズの粘度を示す温度に予熱した成形型を用いて加圧成形することが適当である。ガラス素材の温度を上記の範囲にすることにより、ガラス素材が有する熱履歴を短時間に実質的に解消することができる。
【0029】
加圧成形の後、または加圧成形開始と同時若しくは加圧成形途中に、成形された又は成形中のガラス素材の冷却を行う。プレス成形工程における冷却速度については、以下の点から決定することができる。生産効率上は、冷却速度が大きい方が好ましい。しかし、急冷するとガラス光学素子に歪が相当量残存し、光学性能を阻害する。この歪の許容される残存量は、適用される光学製品の用途や精度によって異なる。したがって、適用される光学製品に許容される歪量に応じて、その範囲で冷却速度を決定すればよい。この冷却は、例えば、10〜250℃/min、好ましくは30〜100℃/minの冷却速度で、Tg以下の温度まで行うことが適当である。
【0030】
同一組成のガラス素材を用いた場合であっても、製造するガラス素子の形状や大きさが変わると、同じ加圧成形及び冷却を適用してもプレス成形品の受ける実質的な冷却速度が変わり、得られるガラス光学素子の屈折率がわずかに変化してしまうことがある。そのため、屈折率n1、n2、及びn3は、厳密な制御が必要な場合は、目的のガラス光学素子と形状や大きさが同じガラスについて求めることが好ましい。又は、形状、大きさが異なるために冷却速度がわずかに変化するのを防ぐために、ガラス光学素子の実質的な冷却速度を制御し、所望屈折率の許容範囲を満たすように冷却方法を微調整することが可能である。尚、上記のようなプレス成形工程における冷却速度のわずかな差異が屈折率に与える影響は比較的軽微である。
【0031】
本発明の第1の製造方法においては、最終製品であるガラス光学素子が示すべき屈折率をn3としたときに、(n1−n2)×0.9〜(n1−n2)×1.1の値をn3に加えた値の基準屈折率を有するガラス素材を用いる。即ち、規定条件下で処理したガラス素材が示す屈折率が、上記範囲であるガラス素材を用いる。(n1−n2)×0.9〜(n1−n2)×1.1の値をn3に加えた値の基準屈折率を有するガラス素材は、例えば、ガラスの組成を調整することで調製することができる。
【0032】
より具体的には、上記範囲の基準屈折率を有するガラス素材は、前記所定組成のガラスについて、所定組成において含まれる屈折率調整成分の量を増加若しくは減少させるか、又は上記範囲の基準屈折率を有するガラス素材の基準屈折率に近似する基準屈折率をもつ硝材を適切な比率で混合することによって調製することができる。屈折率調整成分としては、バリウムホウケイ酸塩ガラスの場合は、主にB2O3、SiO2、BaOの質量比で調整することが好ましい。また、その他の公知の屈折率調整成分を用いてもよい。なお、ガラス素材の組成調整において、ガラス組成を調整することによるndの微調整は、従来から行われている方法を適宜採用して行うことができる。また、後述するνdの微調整も、従来から行われている方法を適宜採用して行うことができる。
【0033】
本発明は、成形型を用いてガラス素材を加圧成形することを含むプレス成形工程により、所望の屈折率を有するガラス光学素子を製造する方法において用いられる前記ガラス素材のガラス組成の決定方法(請求項13に記載)も包含する。この方法は、所定組成を有し、かつ規定条件下で処理したガラスの屈折率n1及び上記所定組成と同一組成を有するガラス素材から上記プレス成形工程を経て得られた暫定ガラス光学素子の屈折率n2を求め、前記ガラス素材のガラス組成を、上記ガラス光学素子の所望の屈折率n3に(n1−n2)×0.9〜(n1−n2)×1.1の値を加えた値の基準屈折率を有するガラス組成とすることを特徴とする。
規定条件、基準屈折率、屈折率n1、屈折率n2、ガラス素材のガラス組成の調整、プレス成形工程等の意味は、本発明の第1の製造方法と同様である。
【0034】
本発明の第1の製造方法、並びに請求項13に記載のガラス素材のガラス組成の決定方法において、ガラス素材として用いられるガラスとしては、特に制限はなく、種々の光学ガラスが本発明に有効に適用される。例えば、バリウムホウケイ酸塩ガラスを挙げることができる。バリウムホウケイ酸塩ガラスの好ましい組成は、例えば、ガラス成分として、
SiO2を30〜55wt%、
B2O3を5〜30wt%、
但しSiO2とB2O3との合量が56〜70wt%でSiO2/B2O3の重量比が1.3〜12.0、
Li2Oを7〜12wt%(但し7wt%は含まない)、
Na2Oを0〜5wt%、
K2Oを0〜5wt%、
但しLi2OとNa2OとK2Oとの合量が7〜12wt%(但し7wt%は含まない)、
BaOを10〜30wt%、
MgOを0〜10wt%、
CaOを0〜20wt%、
SrOを0〜20wt%、
ZnOを0〜20wt%、
但しBaOとMgOとCaOとSrOとZnOとの合量が10〜30wt%、含有するガラスであって、前記ガラス成分のうちSiO2,B2O3,Li2OおよびBaOの合量が72wt%以上であり、TeO2を含まないことを特徴とする光学ガラス、
又は、上記のガラスであって更に、
Al2O3を1〜7.5wt%、
P2O5を0〜3wt%、
La2O3を0〜15wt%、
Y2O3を0〜5wt%、
Gd2O3を0〜5wt%、
TiO2を0〜3wt%、
Nb2O5を0〜3wt%、
ZrO2を0〜5wt%、
PbOを0〜5wt%
を含有するガラスが好適に用いられる。
【0035】
その他の好ましいガラス種としては、ランタン系光学ガラスが挙げられ、例えば、重量%で、B2O325〜42%、La2O3 14〜30%、Y2O3 2〜13%、SiO2 2〜20%、Li2O 2%より多く9%以下、CaO 0.5〜20%、ZnO 2〜20%、Gd2O3 0〜8%、ZrO2 0〜8%、Gd2O3+ZrO2 0.5〜12%を含有し、かつこれらの成分の合計含有量が90%以上であり、さらに、場合により、Na2O 0〜5%、K2O 0〜5%、MgO 0〜5%、SrO 0〜5%、BaO 0〜10%、Ta2O5 0〜5%、Al2O3 0〜5%、Yb2O3 0〜5%、Nb2O5 0〜5%、As2O3 0〜2%、及びSb2O3 0〜2%を含有するものなどがある。
【0036】
本発明の第1の製造方法では、特に、ガラス素材は、(n1−n2)×0.95〜(n1−n2)×1.05の値をn3に加えた値の基準屈折率を有するガラス素材であることが好ましい。
【0037】
本発明の第1の製造方法では、いつくかの異なる組成のガラスのそれぞれについて、基準屈折率を予め求めて置くことで、ガラス素材の選択が容易になる場合がある。また、基準屈折率が、n3±0.01の範囲内であるガラスを、所定組成を有するガラスとして選択することで、所望の屈折率の光学素子を得るために用いるガラス素材との性質が似通っているため、精度高く所望屈折率の光学素子を得ることができる。
さらに、ガラス光学素子の所望の屈折率n3が所定組成を有するガラスの基準屈折率n1に等しいことが好ましい。
【0038】
ガラス光学素子の製造方法においては、屈折率のみではなく、アッベ数も所望範囲にあることが、光学設計上重要である。そこで、本発明の第1の製造方法では、所望の光学素子を得るために、組成を決定する際には、屈折率に加えて、アッベ数νについても、下記の所定範囲内であるようにすることが好ましい。即ち、プレス成形工程において用いるガラス素材が、(ν1−ν2)×0.9〜(ν1−ν2)×1.1の値をν3に加えた値の基準アッベ数を有することで、所望のアッベ数ν3を有する光学素子を得ることができる。
但し、基準アッベ数は規定条件下で処理したガラスのアッベ数であり、
ν1は所定組成を有するガラスの基準アッベ数であり、
ν2は所定組成と同一組成を有するガラス素材から上記プレス成形工程を経て得られた暫定ガラス光学素子のアッベ数であり、かつ
ν3はガラス光学素子の所望のアッベ数である。
【0039】
上記において「規定条件下での処理」、「所定組成を有するガラス」、「プレス成形工程」については、屈折率についての説明と同様である。また、上記範囲の基準アッベ数を有するガラス素材は、屈折率の場合と同様の方法で調製することができ、例えば、前記所定組成のガラスについて、所定組成において含まれる屈折率調整成分の量を増加若しくは減少させることで調製できる。ガラス素材は、好ましくは、(ν1−ν2)×0.95〜(ν1−ν2)×1.05の値をν3に加えた値の基準アッベ数を有することが好ましい。
【0040】
なお、アッベ数ν1、ν2、ν3は、下記式で示されるd線によるアッベ数νdが好適に用いられるが、他の波長によるものであっても実質的に支障は無い。
【数2】
屈折率ndとアッベ数νdは一般に光学恒数と称し、光学設計上の指標とする。
【0041】
前述のように、本発明の第1の製造方法では、基準屈折率が、n3±0.01の範囲内であるガラスを、所定組成を有するガラスとして選択することが好ましいが、同様に、基準アッベ数が、ν3±1の範囲内であるガラスを、所定組成を有するガラスとして選択することが好ましい。所望の屈折率及びアッベ数を有する光学素子を得るために用いるガラス素材との性質が似通っているため、精度高く所望屈折率及びアッベ数の光学素子を得ることができるからである。
【0042】
本発明の好ましい一態様としては、特定組成の熔融ガラスからの塊をTg+30℃で2時間保持し、30℃/hrの冷却速度で歪点−50℃以下まで冷却し、その後、室温で測定した基準屈折率(n1)と、プレス成形後の暫定光学素子の室温での屈折率(n2)の差を把握し、その差(n1−n2)×1.0を、光学素子の所望の屈折率(n3)に加えた値の屈折率を、その基準屈折率として有する組成のガラス素材を用いて、同一のプレス成形工程によって光学素子を製造することができる。このとき、特定組成のガラス素材は、n3±0.01の範囲内の屈折率と、ν3±1の範囲内のアッベ数を有することが適切である。
【0043】
本発明の第2の製造方法(請求項9に記載)は、本発明の第1の製造方法と同様に、ガラス素材をプレス成形工程に付すことによって所定の屈折率を有するガラス光学素子を製造する方法である。但し、本発明の第2の製造方法は、所定組成のガラス素材が一定の加熱状態から冷却されたときの、冷却速度と冷却後の屈折率との相関を利用する。
【0044】
まず、所定組成を有するガラスについて、ガラスを、その熱履歴を実質的に解消するに充分な条件に置く。そして、幾通りかの異なる冷却速度で冷却し、冷却後のガラスの各屈折率を測定し、冷却速度と屈折率との相関を求める。この処理は、冷却速度を変化させたこと以外は、前記本発明の第1の製造方法に関して説明した規定条件の処理と同様である。
ガラス組成が一定の場合、いったん熱履歴を解消するに十分な条件(温度及び時間)にガラスを保持すれば、冷却後のガラスが示す屈折率は冷却速度のみに依存して決まる。具体的には、冷却速度の対数(横軸)と屈折率(縦軸)の相関は、図1に示すとおり直線関係になる。この直線の傾きはガラス組成によって決定される。したがって、ある特定の組成を有するガラスについて、上記相関を予め求めておけば、この組成を有するガラス素材をプレス成形し、冷却して得られるガラス光学素子の屈折率は、プレス工程における冷却速度を決めれば算出することができる。
【0045】
そこで、本発明の第2の製造方法では、まず、冷却速度と屈折率との関係を予め求めたガラスと同じ組成を有するガラスにつき、規定条件下で処理したときの屈折率(屈折率A)を、規定条件の冷却速度より前記相関から求める。ここで、「規定条件」とは、本発明の第1の製造方法における処理と同義である。
次に、プレス成形工程における冷却速度を決定し、この冷却速度に対応する、冷却速度と屈折率との関係を予め求めたガラスと同じ組成を有するガラスの屈折率(屈折率B)を、前記相関から求める。この冷却速度は、ガラス光学素子に許容される歪量の範囲内の速度とすることができる。
前記規定条件下での処理における冷却速度と上記決定された冷却速度とに違いがあれば、その分の屈折率差が、屈折率Aから屈折率Bを引いた値として求まる。そして、この屈折率差を、所望の屈折率Cに加えた値の屈折率を、前記規定条件下で処理した場合に示すガラスの組成を決定する。尚、所望の屈折率Cは屈折率Aと等しいことが好ましい。
【0046】
例えば、図1において、このガラスを「規定条件下で処理」した場合の屈折率Aは、「規定条件下で処理」の冷却速度を例えば、30℃/hrとすると、図1のnaとして求まる。また、実際の製造方法において採用する冷却速度に対応する屈折率Bも、冷却速度が例えば、4800℃/hrである場合、屈折率nbとして求まる。
そして、屈折率Aから屈折率Bを引いた屈折率差(na−nb)を所望の屈折率Cのncに加えた屈折率を、「規定条件下で処理」したときに示すガラス組成を決定する。
このようにして決定した組成を有するガラスをガラス素材として用いる。
ガラス素材は、ガラス原料を調合し、熔融することを含む方法により得られ、かつガラス原料の組成を調整することにより、前記決定した組成を有するガラスを得ることができる。
上記ガラス素材及びガラス原料における屈折率の調整は、上記屈折率差に対応するガラス組成の調整を行えばよい。ガラス組成の調整は、上記本発明の第1の製造方法において説明したと同様な手段を用いることができる。
【0047】
本発明の第2の製造方法によれば、所定組成のガラス素材でプレス成形工程を経た光学素子の屈折率を実測しなくても、所定のプレス成形工程によって所望屈折率を有するガラス光学素子を得ることができる。即ち、本発明の第2の製造方法は、プレス成形で得られるガラス光学素子の屈折率を、簡便な手段で所望の値に調整できる。このため、光学製品に要求される歪の許容範囲に応じて、アニール工程を省略又は短縮することが可能である。尚、この製造方法においては、光学素子を得るためのプレス成形工程における冷却は、歪点−30℃まで、上記の決定した冷却速度で行うことが好ましい。
【0048】
本発明の第1および第2の製造方法は、製造したガラス光学素子の光軸方向の歪が残ってもある程度の範囲内であれば実用上支障が無い光学系があることに着目し、後工程のアニールを省略又は短縮したり、プレス成形工程における冷却速度を大きくし、生産効率を上げることができるものである。上記光学系は、例えば、ビデオカメラ用、デジタルカメラ用の光学系が挙げられる。好ましくは、光軸方向の歪が2nm以上、60nm以下であり、さらに好ましくは2nm以上40nm以下である。
【0049】
即ち、本発明は、成形型を用いてガラス素材を加圧成形することを含むプレス成形工程により、所望の屈折率を有し、かつ歪が2〜60nm であるガラス光学素子を製造する方法を包含する
【0050】
本発明の製造方法で得られる光学素子の形状は、歪が過大にならなければ特に限定されない。凹面を有する光学素子、凸面を有する光学素子のいずれにも、好適に適用できる。
たとえば、歪が2〜60nm、好ましくは2〜40nmである、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ、平凸レンズに好適に用いられ、特に、凸メニスカスレンズが好ましい。
一方、従来、プレス成形後にアニール工程を設けた場合に、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ、平凹レンズは、アニールによって形状精度が劣化しやすい問題があった。これらの形状のレンズ、特に凹メニスカスレンズは、成形後の残存歪が、特に光軸方向において非常に小さいことを、本発明者らは見出した。本発明により、アニール工程を省略し、所望の光学恒数及び低歪である、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ、および平凹レンズを効率良く生産することが可能となった。
例として、プレス成形工程において、10〜250℃/分の冷却速度で少なくともTgまで冷却され、その後実質的にアニール工程を経ることなく製造された光学素子であって、光軸方向の歪が2〜8nm残存している、好ましくは2〜5nm残存している凹メニスカスレンズが挙げられる。これらは、既述の光学系の用途のほか、銀塩カメラ用、特に一眼レフレックスカメラ用の光学系にも用いることができる。
【0051】
本発明は、上記本発明の製造方法で得られる光学素子も包含し、この光学素子は、その光学有効径がφ20mm以下であるが好ましく、更には、φ15mm以下であることが好ましい。
【0052】
【実施例】
以下に本発明を好適な実施例を示しながら、さらに詳細に説明する。
以下の実施例では、光学恒数として、屈折率nd、アッベ数νdを用いた。
【0053】
(参考例1)
バリウムホウケイ酸塩系光学ガラス(基本組成:SiO2 37.8 wt%、 B2O3 24.0 wt%、Al2O3 5.3 wt%、Li2O 8.5 wt%、CaO 5.0 wt%、 BaO 16.1 wt%、La2O3 3.3 wt%、As2O3 0.5 wt%、Sb2O3 0.2 wt%、Tg:500℃)を用いて、ガラスレンズを製造した。
上記バリウムホウケイ酸塩ガラスを熔融し、流出パイプから流下し、切断して冷却(大気による急冷)することにより、偏平球形状のプリフォーム(プレス成形のためのガラス素材)を得た。このプリフォームは、歪が大きく、屈折率の測定ができなかったが、相当低い値となっていることが推定される。これをTg+30℃で2時間保持し、30℃/hrの冷却速度で歪点−50℃以下まで冷却し、室温で屈折率を測定した(nd1.58900、νd 61.30)。これを基準屈折率、および基準アッべ数と呼ぶ。
【0054】
上記の急冷されたプリフォームをプレス成形工程に送り、プレス成形を行った。上型、下型が、炭化ケイ素からなり、その表面を炭素膜で被覆された、公知のガラスモールドレンズ用成形型を用い、ガラス光学素子を成形した。すなわち、前記プリフォームを型にセットし、非酸化性雰囲気で成形型とともにプリフォームをガラス粘度が107.6ポアズに相当する温度に加熱し、その温度で98MPa(100kg/cm2)の圧力で50秒加圧し、しかる後に成形型内で80℃/minの冷却速度で(歪点−30℃)まで冷却し、得られたレンズを取出した。このレンズはプレス径14mm、中心肉厚3mmの凸メニスカスレンズで、光軸方向の歪を測定したところ最大20nmだった。屈折率ndは1.58600アッベ数νdは61.25だった。
【0055】
次に、前記の急冷されたプリフォームを事前に、Tg+30℃で2時間保持し、30℃/hrの冷却速度で歪点−50℃以下まで冷却した(このTg+30℃で2時間の保持、及び30℃/hrの冷却速度で歪点−50℃以下までの冷却は、「規定条件下での処理」に相当する)ものを、プレス成形工程に送り、上記と同一条件で加圧成形及び冷却を行った。得られたレンズは、光軸方向の歪の最大のところで20nmであり、nd1.58600、νd61.25であり、前記の急冷されたままのプリフォームをプレス成形したときと全く同じ光学恒数を有していた。
このことから、プレス成形工程でガラス粘度が107.6ポアズになるまで温度を上げたことにより、プレス成形工程以前の熱履歴の影響が解消され、同一組成のガラスであれば、一定のプレス成形工程を経た後は、同一の屈折率(及びアッベ数)になることが分かる。
【0056】
実施例1
参考例1で示した、Tg+30℃での2時間保持、及び30℃/hrの冷却速度での冷却(規定条件下での処理)を施したプリフォームの屈折率nd1.58900及びアッベ数νd61.30は、基準屈折率及び基準アッベ数であり、n1及びν1で示される屈折率及びアッベ数である。
また、参考例1では、上記組成のガラスを上記条件でプレス成形に付すことでnd1.58600、νd61.25になった。即ち、n2はnd1.58600であり、ν2はνd61.25であった。
即ち、n1−n2は、300×10-5であり、ν1−ν2は0.05であった。
さらに、レンズ設計の所望値(n3及びν3)として、n1及びν1と同一のnd1.58900及びνd61.30を選択し、レンズの成形を試みた。
【0057】
そこで、プレス成形工程後にガラス光学素子が所望の屈折率n3を有するように、プリフォーム(ガラス素材)として基準屈折率がn3より300×10-5高いガラス素材を調製した。即ち、基準屈折率が(n1−n2)+n3=nd1.59200であるプリフォーム(ガラス素材)をガラス組成を置換することで準備した。すなわち、屈折率差(n1−n2)に相当する屈折率調整のため、BaOを1.0wt%増加し、SiO2を0.5wt%、B2O3を0.4wt%、Al2O3を0.1wt%それぞれ減少した。この組成のガラスは、前記規定条件下での処理を施した後に測定した結果、基準屈折率がnd1.59200、基準アッベ数がνd61.35を示すものであった。
この組成のガラスを熔解し、プリフォームを作って参考例1と同様の条件のプレス成形工程においてガラス光学素子を成形した。その結果、得られたガラス光学素子の屈折率は、nd1.58900であり、アッベ数はνd61.30だった。
上記各屈折率の関係を以下の表1に示し、上記各アッベ数の関係を以下の表2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
実施例2
実施例1においては、プレス成形工程により、nd1.58900、νd61.30のレンズが得られた。それに対して、同様のガラス組成のプリフォームを用いて加圧成形しプレス成形工程における冷却速度を80℃/minから120℃/minに変更すると、屈折率は低下してnd1.58815、νd61.28になり、所望の光学恒数(屈折率及びアッベ数)のスペックから外れることが分った。即ち、n2はnd1.58815であり、ν2はνd61.28であり、n1−n2は、385×10-5であり、ν1−ν2は0.02であった。
【0061】
そこで、基準屈折率がnd1.59285、νd61.37になるようにガラス組成を元々の前記基本組成に対して、BaOを1.2wt%増加し、SiO2を0.6wt%、B2O3を0.48wt%、Al2O3を0.12wt%それぞれ減らして、その組成のガラスを熔解し、プリフォームを作成した。このプリフォームを用いてプレス成形工程を実施した結果、所望の光学恒数nd1.58900、νd61.30のレンズが得られた。
上記各屈折率の関係を以下の表3に示し、上記各アッベ数の関係を以下の表4に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
【表4】
【0064】
実施例2では、結果として、冷却速度を速くすることによりサイクルタイムが短縮され生産性が向上した。歪は40nmで本光学設計の許容範囲であった。面精度も良好であった。なお、SiO2、B2O3、Al2O3、BaOの置換による光学恒数調整は、ガラス転移点、屈伏点の変化もほとんどなく、ガラスの化学的耐久性も損なわなかった。
【0065】
実施例3
ランタン系光学ガラスである基本組成SiO2 7.0, B2O3 34.0, Li2O 3.5, CaO 7.5, ZnO 9.0, La2O3 24.0, Y2O3 8.0, Gd2O3 3.0, ZrO2 4.0 wt%のガラス(Tg: 530℃、Ts:570℃)を熔融し、流出パイプから流下し、切断して冷却(大気による急冷)することにより、偏平球形状のプリフォームを得た。このプリフォームは、歪が大きく、屈折率の測定ができなかったが、後述の基準屈折率より相当低いと推定される。これを、Tg+30℃で2時間保持し、30℃/hrの冷却速度で歪点−50℃以下まで冷却し、室温で屈折率を測定した。屈折率nd 1.69750、アッベ数νd 53.60だった。これを基準屈折率と呼ぶ。
【0066】
上記の急冷されたプリフォームをプレス成形工程に送り、加圧成形を行った。型材料は実施例1と同様であるが、ここではプレス径15mm、中心肉厚1.1mmの凹メニスカスレンズを成形した。前記プリフォームを浮上皿上で気流により浮上させて加熱、軟化してガラス粘度を106.7ポアズとし、ガラス粘度が、108.7ポアズに相当する温度に予熱した成形型の下型上に移送し、直ちに98MPa(100kg/cm2)の圧力で20秒加圧し、しかる後に減圧して加圧状態を保ったまま60℃/minの冷却速度でTg以下になるまで冷却し、しかる後に離型し、その後レンズのみを冷却して取出した。このレンズの光軸方向の歪を測定したところ5nmだった。屈折率ndは1.69350 アッベ数νd 53.40だった。
即ち、n2はnd1.69350であり、ν2はνd53.40であり、n1−n2は、400×10-5であり、ν1−ν2は0.20であった。
【0067】
光学設計における所望の光学恒数を、屈折率nd1.69750、アッベ数νd 53.60とし、プレス後の光学恒数がこの値になるようにガラス組成を次のように調整した。即ち、基本組成に対してwt%でSiO2 1.0, Li2O 0.5, CaO 2.5, ZnO 1.5, ZrO2 0.5をそれぞれ減少させ、B2O3 1.5, La2O3 3.5, Gd2O3 1.0を増加した。このガラス(Tg:540℃、Ts:580℃)を、Tg+30℃で2時間保持し、30℃/hrの冷却速度で歪点−50℃以下まで冷却し、室温で測定した基準屈折率は屈折率nd 1.70150、アッベ数νd 53.80だった。
【0068】
このガラスを熔融し、流出パイプから流下し、切断して冷却(大気による急冷)することにより、偏平球形状のプリフォームを得た。この急冷されたプリフォームをプレス成形工程に送り、加圧成形を行った。即ち、型材料等は実施例1とし、プレス径15mm、中心肉厚1.1mmの凹メニカスレンズを成形した。前記と同様、前記プリフォームを浮上皿上で気流により浮上させて加熱、軟化してガラス粘度を106.7ポアズとし、ガラス粘度が108.7ポアズに相当する温度に予熱した成形型の下型上に移送し、直ちに98MPa(100kg/cm2)の圧力で20秒加圧し、減圧して加圧状態を保ったまま60℃/minの冷却速度でTg以下になるまで冷却し、しかる後に離型し、その後レンズのみ冷却して取出した。このレンズの光軸方向の歪を測定したところ最大値が5nmだった。屈折率ndは1.69750、アッベ数νdは 53.60であり、所望の光学恒数のレンズが得られた。上記各屈折率の関係を以下の表5に示し、上記各アッベ数の関係を以下の表6に示す。
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
【0071】
【発明の効果】
本発明の第1の製造方法では、所望の屈折率のガラス光学素子を得る場合、プレス成形工程前後の屈折率を実測する必要はなく、常に、基準屈折率(規定条件下で処理したガラスの屈折率)と特定の屈折率(実際のプレス成形工程と同一条件により得られた暫定ガラス光学素子の屈折率)の関係を把握すればよい。
本発明のプレス成形工程は、ガラス素材が有する熱履歴を実質的に解消する温度に、ガラス素材を付すことにより、ガラス素材の屈折率に依存することなく、かつ測定する必要もなく、一定の規則により、所望の屈折率を有するガラス光学素子を得ることができる。
さらに本発明の製造方法では、一定のプレス成形工程に用いる特定のガラス素材が、ガラス熔解後どのような熱履歴を受けたものであっても、すなわち、流下・急冷されたプリフォームであっても(屈折率測定が不可能な急冷素材であっても)、ブロックから切り出したものであっても、そのガラス組成が一定であれば、一定のプレス成形工程に対して、一定の手段で所望の屈折率のガラス光学素子が精度良く得られる。
【0072】
さらに、光学製品に許容される歪の量により、アニール工程の省略や短縮を選択しつつ、所望の屈折率を有する光学素子を精度良く製造できる。したがって、アニールにより形状精度を損ない易い形状の光学素子に特に有利である。
また、ガラス光学素子の屈折率を、常に一定基準にもとづいて把握するため、管理がしやすい。すなわち、ガラス素材の基準屈折率、プレス成形工程により得られたガラス光学素子の屈折率、及びガラス光学素子に所望の屈折率の関係を把握しておけば、用いるガラス素材の熱履歴によらず、また、プレス成形前後の屈折率変化分を逐一実測する必要もなく、所望の屈折率を有する光学素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ある特定組成のガラス素材の屈折率と冷却速度との相関関係を示す説明図。
Claims (14)
- 成形型を用いて、軟化したガラス素材を加圧成形し、冷却することを含み、前記ガラス素材が有する熱履歴を実質的に解消する条件で行われるプレス成形工程によって、所望の屈折率n3を有するガラス光学素子を製造する方法において、所定組成のガラスからなるガラス素材を用い、前記プレス成形工程によって得られた暫定光学素子の屈折率n2を測定し、前記所定組成のガラスを規定条件下で処理したときの基準屈折率n1と、前記暫定光学素子の屈折率n2の差分を求め、前記差分又は差分に略等しい量を所望の屈折率n3に加えた値の屈折率を、前記規定条件下で処理したときに有するガラスを用意し、用意したガラスからなるガラス素材を用いて、前記プレス成形工程によってガラス光学素子を得ることを特徴とする、前記方法。
- 前記プレス成形工程は、粘度が10 5.5 〜10 9 ポアズに相当する温度としたガラス素材を、前記ガラス素材が10 7 〜10 12 ポアズの粘度を示す温度に予熱した成形型を用いて加圧成形することにより行うことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
- 前記プレス成形工程の前に所定組成を有するガラスを規定条件下で処理し、屈折率n1を求めることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。
- 前記差分又は差分に略等しい量を、所望の屈折率n3に加えた値の屈折率を、規定条件下で処理したときに有するガラスを、前記所定組成のガラスの組成を調整することにより得る請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記所定組成のガラスを規定条件下で処理したときの基準アッベ数をν1、前記暫定光学素子のアッベ数をν2、所望の光学素子のアッベ数をν3としたとき、前記用意したガラスが、(ν1−ν2)× 0.9〜(ν1−ν2)×1.1の値をν3に加えた値のアッベ数を前記規定条件下で処理したときに有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記所定組成を有するガラスが、n3±0.01の範囲内の基準屈折率と、ν3±1の範囲内の基準アッベ数とを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記ガラス光学素子の所望の屈折率n3が前記所定組成を有するガラスの基準屈折率n1に等しい請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記ガラス光学素子を製造するために用いるガラス素材が、少なくとも軟化点から(歪点−50℃)の範囲では300℃〜1500℃/分の冷却速度によって冷却されたものであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記ガラス光学素子を製造するために用いるガラス素材の屈折率が、その組成の基準屈折率に対して、500×10-5以上低いことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
- ガラス素材を加圧成形し、冷却することを含むプレス成形工程によって所望の屈折率を有するガラス光学素子を製造する方法であって、ガラスが有する熱履歴を実質的に解消する条件に置いたガラスを冷却速度を変化させて冷却し、得られたガラスの屈折率と冷却速度との相関を、所定組成を有するガラスについて求め、上記所定組成を有するガラスを規定条件下で処理したときに得られるガラスの屈折率(以下、この屈折率を屈折率Aと呼ぶ)を、規定条件下での処理における冷却速度に対応する屈折率として、前記相関から求め、上記プレス成形工程における冷却速度を決定し、この冷却速度に対応する上記所定組成を有するガラスの屈折率(以下、この屈折率を屈折率Bと呼ぶ)を、上記相関から求め、上記所望の屈折率をCとするとき、上記屈折率Aから上記屈折率Bを引いた屈折率差を、上記屈折率Cに加えた値の屈折率を、上記規定条件下で処理した場合に示すガラスの組成を決定し、上記決定した組成を有するガラスを上記ガラス素材として用いることを特徴とするガラス光学素子の製造方法。
- 前記ガラス光学素子の光軸方向の歪が60nm 以下である請求項1〜10のいずれか1項に記載の製造方法。
- 前記ガラス光学素子の光軸方向の歪が2nm以上である請求項11に記載の製造方法。
- 前記ガラス光学素子が、凹メニスカスレンズ、両凹レンズ又は平凹レンズである請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
- 成形型を用いて軟化したガラス素材を加圧成形し、冷却することを含み、前記ガラス素材が有する熱履歴を実質的に解消する条件で行われるプレス成形工程により、所望の屈折率を有するガラス光学素子を製造する方法において用いられる前記ガラス素材のガラス組成の決定方法であって、所定組成のガラスからなるガラス素材を用い、前記プレス成形工程によって得られた暫定光学素子の屈折率n2を測定し、前記所定組成のガラスを規定条件下で処理したときの基準屈折率n1と、前記暫定光学素子の屈折率n2の差分を求め、前記差分又は差分に略等しい量を、所望の屈折率n3に加えた値の屈折率を、前記規定条件下で処理したときに有するガラス組成を、前記ガラス素材のガラス組成とする、前記方法。
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